2: ◆oKSb2kbYWY 2012/12/09(日) 06:44:24.62
まどか「絆が紡ぐ世界」 ほむら「マミ編」

プロローグ

ほむらとワルプルギスの夜の対戦中

まどか「希望を持つ限り、救われないって言うの?」

QB「そうさ。過去の全ての魔法少女たちと同じだよ」

まどか「うぅ……でも、でも。でも!」

まどか(希望を抱くのが間違い? 違うよ……そんなの間違ってる……)

まどか「行かなくちゃ……」


3: 2012/12/09(日) 06:45:11.62
ほむら「繰り返せば……それだけ、まどかの因果が増える……。私のやってきたことは……」

パシッ

ほむら「!」

まどか「ほむらちゃん」

ほむら「まどか……」

まどか「もういいんだよ、……もういいんだよ、ほむらちゃん」

ほむら「まどか……まさか!」

まどか「ごめんね……私、魔法少女になる」

ほむら「やめて……それじゃ、私は何のために……グス」

まどか「ほむらちゃんは過去に戻れるんだよね」

ほむら「……ええ。でも……」

まどか「ほむらちゃんにひどいお願いをするね。もう1度、過去に戻って。私を……ううん。今度は皆を助けて」

ほむら「まどか……でも」

まどか「おねがい」

ほむら「…………分かったわ」

まどか「ありがと。……QB」

QB「ピョコッ」

まどか「その前に……ほむらちゃんには私の願いを聞こえないようにして。ゴニョゴニョ」

QB「それはかまわないけど……」

まどか「私の願いは……」

4: 2012/12/09(日) 06:45:46.76
キラリーン

ほむら「まどか……」

まどか「ほむらちゃん……お別れだね」

ほむら「ごめんなさい……」

まどか「謝らないで。私はほむらちゃんにひどいお願いをしたんだし」

ほむら「……」

まどか「チュッ」

私はほむらちゃんのおでこにキスをします。

ほむら「!?」

まどか「次の時間軸でうまく行くようにおまじない」

ほむら「まどか……私……」

ほむらちゃんは盾に手をかける。

ほむら「さようなら……」

ビュン

まどか「さようなら、ほむらちゃん」


5: 2012/12/09(日) 06:46:35.62
クラッ。

QB「暁美 ほむらに何をしたんだい? 君の魔力は大分減ってるけど」

まどか「まだ……ワルプルギスの夜を倒すくらいには残ってるよ。それよりも……」

QB「なんだい?」

まどか「ほむらちゃんにはワルプルギスの夜は倒せないって言ってたよね」

QB「彼女だけでは無理だろうね。もっとも、マミ達が生きていても無理かもしれないけど。まあ、君が契約すれば、万事はうまく行くだろう」

まどか「希望を抱いているかぎり、救われないって言ってたよね」

QB「何が言いたいんだい?」

まどか「この世界ではあなたの思い通りになったけど……ほむらちゃんが……ほむらちゃん達が……それを覆してみせる!」

QB「暁美ほむらの希望……つまりはワルプルギスを倒し、君を魔法少女にしないことだね」

まどか「……」

QB「……やれやれ。そんなの不可能に決まっているじゃないか。暁美ほむらに君は救えない。彼女ではワルプルギスの夜は倒せない。君が契約しない限り、ワルプルギスの夜がこの街を破壊する。君はそれには耐えられない」

まどか「ふふふ……勝負だよ、QB」

私は弓を構える。

QB「君の願いがほむらを強くするとかだったら、まだ、君にも勝算はあったかもしれない。でも、君の願いは『ほむらちゃんのソウルジェムを絆で結んでほしい』だろ」

まどか「私は……この街を救わないといけないからねそれに……皆で奇跡を起こさないと意味がないからね」

QB「? わけがわからないよ」


6: 2012/12/09(日) 06:47:03.70
まどか(さよなら……ほむらちゃん。頑張って……)

私はワルプルギスの夜へと矢を発射した。

パアーン

QB「流石だね。残った魔力でも、あのワルプルギスを一撃でね」

まどか「ははは……ぐううううう」

QB「これでノルマは……」

まどか「うううううう……させないよ」

ピシャーン

パリーン

QB「!?」

まどか「……」


7: 2012/12/09(日) 06:47:34.08
QB「最後にソウルジェムを……やれやれ」

まどか「……」

QB「してやられたね。まあ、いいさ」

QB(訳がわからないよ。さいしょから、ほむらを救えばいいのに)

QB「あーあ。また、契約者を探さないと」


8: 2012/12/09(日) 06:48:04.63
???

???『ほむらちゃん』

ほむら「あなたは……」

???『今から、あなたは長い旅に出るの』

ほむら「旅?」

今まで、嫌というほど、旅みたいなことはしてきたけど。

???『今度の旅はね、ほむらちゃんが強くなるための旅』

ほむら「?」

???『頑張って』


9: 2012/12/09(日) 06:48:32.03
病院

ほむら「はっ!」

ここは……いつもの病院。

ほむら「また……私は……」

落ち込んでる場合じゃないわ。約束したじゃない。

ほむら「にしても、へんな夢……ん?」

これは……。

ほむら「リボン?」

私の枕元には赤いリボン……。

ほむら「このりぼんは……まどかの?」

どうして……。

ほむら「考えても仕方がないわね」

とりあえず、まどかの様子でも見に行きましょう。リボンをしまって、私は立ち上がる。

ほむら「ほむ」


10: 2012/12/09(日) 06:49:19.01
まどかの家

ほむら「……」

この時間なら、まどかは自室にいるは……

ほむら「あれ?」

まどかの部屋箱の部屋のはず……。なのに……。

ほむら「でも……」

部屋は物置になっている……。

ほむら「家を間違えたのかしら?」

玄関に回る。

『鹿目』

ほむら「間違いはないわよね」

ガチャッ


11: 2012/12/09(日) 06:50:34.29
ほむら「!?」

知久「やれやれ。お醤油を切らしちゃうなんて……ん?」

ほむら「……」

知久「君は……えっと、どちら様?」

ほむら「あ、いえ……」

偶然とはいえ、チャンス。聞いてみよう。

ほむら「か、鹿目まどかさんに用が……」

知久「鹿目……まどか?」

ほむら「は、はい」

知久「えっと……間違ってないかな? 家にまどかなんていないよ」

ほむら「え?」

私はあまりの言葉に耳を疑う。

ほむら「そんなはずは……娘さんに……」

知久「うーん……家には息子しかいないし……名前もタツヤだし」

ほむら「そんな……フラフラ」

知久「き、君……大丈夫?」

ほむら「いえ……失礼します」

知久「あ、ちょっ……」

私は無視して、歩き出す。

ほむら「まど……か……」

この世界には私が守るべき……まどかはいないの?

17: 2012/12/16(日) 05:49:44.21
テクテクテクテク

自宅に帰らないと。でも……。

ほむら「そんな気分にはなれない……」

約束したのに……。

『約束も守れないなら……』

『氏んじゃえばいいよね』

ほむら「氏ぬ……」

『そうだよ……』

『さあ、いっしょに……』

ぼわーん。

ほむら「!?」


18: 2012/12/16(日) 05:51:13.85
魔女の結界……。

魔女 イザベル 芸術家の魔女 性質は虚栄

ほむら「こいつは……」

私がまどかに助けられた……。

ほむら「……皮肉なものね」

私の始まりの魔女が……私の終わりの魔女になるなんて……。

ほむら「さあ……一思いにやりなさい」

まどかのいない世界なんて……。

バキューン、バキューン

ほむら「!?」

???「危ないところだったわね」

ほむら「あなたは……」

視線を向けると、マスケット銃を構える……。

ほむら「巴……マミ……」


19: 2012/12/16(日) 05:52:56.01
マミ「あら? 私を知ってるの?」

ほむら「……」

幾多の時間軸でね。

マミ「まあ、そのことを聞く前にその前に一仕事をさせてもらうわよ!」

QB「安心していいよ。マミは優秀な魔法少女として優秀だから」

ほむら「……お前は」

QB「僕? 僕の名前はQB。今、マミが戦っているのは魔女さ」

ほむら「知っているわ」

QB「ん? 君は……」

マミはマスケット銃を大量に出して……。

バンッバンッバンッ。

連射。そして、いつもの必殺技だ。

マミ「ティロ・フィナーレ!」

プシュー。

結界はなくなり、元の光景に戻る。

マミ「危ないところだったわね。大丈夫?」

ほむら「……ええ」

残念なことにね。

マミ「あら? その指輪……あなたも魔法少女なの?」

ほむら「……ええ」

マミ「もしかして、QBと契約したばかりなのかしら?」

QB「いや……僕は契約をした覚えはないよ」

マミ「え?」

ほむら「助けてくれてありがと。それじゃ……」

マミ「待ちなさい」

ガシッ

ほむら「手を離してくれない?」

マミ「話が聞きたいわ。家に来て」

ほむら「迷惑じゃないかしら?」

ダメ元で聞いてみる。

マミ「1人暮らしだから平気よ」

ほむら「……分かったわ」


20: 2012/12/16(日) 05:54:38.63
マミの家

マミ「紅茶とケーキでいいわよね」

ほむら「おかまいなく」

マミ「で、あなたは……魔法少女なのよね?」

ほむら「ええ」

マミ「でも、QBは契約した覚えはない、と」

QB「うん」

マミ「あなたは……何者なの?」

ほむら「さあ?」

マミ「誤魔化さないで」

ほむら「誤魔化さないでと言われても……ね」

この時間ではまだ、接触してないから、知らないとは思うけど……。

ほむら「ねえ。鹿目まどかって知らない?」

マミ「鹿目……まどか? 誰?」

ほむら「あなたの中学の2年生にそんな人はいない?」

マミ「……ごめんなさい。心当たりはないわ」

ほむら「そう。スタッ」

落ち込んでいる場合じゃない。まどかを捜さないと。まだ、いないと決まったわけではない。

21: 2012/12/16(日) 05:55:11.18
マミ「あ、ちょっ……」

ほむら「ごめんなさい。病院を抜け出してきてるの」

本当は退院しているけど……まあ、こう言ったほうが無難よね。

マミ「抜け出してって……まったく。何をやってるの……」

ほむら「それじゃ……」

帰り道

ほむら「……まどか」

まだ……希望が消えたわけじゃない。もしかすると、私の勘違いで家を間違えたのかもしれないし、あるいはこの時間軸では別の場所にいるのかもしれない。

ほむら「そうよ……きっと」

まどか「……」

ほむら「!」

今、まどかが悲しそうに私を……。

ほむら「まどか! ……あれ?」

誰も……いない?

ほむら「まどか……」

22: 2012/12/16(日) 05:57:04.83
早乙女「転校生を紹介します」

さやか「そっちが後回しかよ」

早乙女「では、暁美さん」

テクテクテクテク、チラッ

ほむら「……」

まどかの席には違う人が座っている。

ほむら「………まどか」

チラッ。

さやかのほうに視線を向ける

さやか「ん?」

どうやら、美樹 さやかはいるらしい。逆ならよかったのに。

早乙女「え、えーと……?」

ほむら「暁美ほむらです」

ペコリ。

早乙女「えっと……」

ほむら「この席ですよね」

私はサッサと席に着く。

早乙女「え、ええ……」

まどか……ここにもいないの? あなたは……どこに……。

早乙女「じゃ、じゃあ、ホームルームを……」


23: 2012/12/16(日) 05:57:50.27
休み時間

生徒A「暁美さんって、前はどこの学校だったの?」

生徒B「前は、部活とかやってた?運動系?文化系?」

女子C「すっごいきれいな髪だよね。シャンプーは何使ってるの」



さやか「……」

仁美「綺麗な方ですわね。ちょっと、態度が悪かったですけど……」

さやか「……」

仁美「さやかさん?」

さやか「いや……入ってきた時、なーんか、こっちをチラッと見たような気がしたんだけど……」

仁美「そうでした?」

さやか「しかも、まどかとかなんか言ってたような……」

仁美「まどか? さやかさんの知り合いですか?」

さやか「さあ?」

24: 2012/12/16(日) 05:58:21.65
ほむら「ごめんなさい。気分が悪いの。保健室に……」

生徒A「じゃあ、私が……」

ほむら「結構よ。係りの人に……」

生徒B「保健係り……美樹さんね」

ほむら「!」

それは……好都合ね。

生徒C「美樹さーん」

さやか「ん? どうしたー」

生徒A「暁美さんが気分が悪いんだって」

さやか「ほうほう。そういうことなら、この保健係のさやかちゃんに任せなさい!」

ほむら「お願いするわ」


25: 2012/12/16(日) 05:59:25.34
テクテクテクテク

さやか(案内するとは言ったけど……)

ほむら「……」

さやか(何で、転校生が前を歩いてるのよ……)

ほむら「……ねえ」

さやか「ん?」

ほむら「鹿目 まどかを……知らない?」

さやか「誰それ?」

ほむら「あなたの親友よ」

悔しいけれどね。

さやか「親友? 私の?」

ほむら「ええ」

さやか「……ごめん。そんな人に心当たりは……ぐえっ」

私は咄嗟にさやかの胸ぐらを掴みあげていた。

さやか「ちょ……」

ほむら「本当に? 私に嘘をついていない?」

さやか「ほ、本当だってば……鹿目 まどかなんて、知らないよ……」

ほむら「そう」

私は手を離す。

さやか「ごほっ、ごほっ……いきなり、何をすんのよ!」

ほむら(やっぱり、誰も鹿目 まどかを知らない……)

ならば、頼りたくはないが、あいつに聞くしかない。


26: 2012/12/16(日) 06:00:25.08
さやか「あんた!」

さやかは私の胸ぐらを掴んでくる。

ほむら「美樹さやか。貴女は自分の人生が、貴いと思う?」

さやか「は?」

ほむら「家族や友達を、大切にしてる?」

さやか「何を言ってんの?」

ほむら「忠告よ」

さやか「忠告?」

ほむら「ええ。今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね。さもなければ、全てを失うことになるわよ」

さやか「……」

ほむら「離して」

パッと美樹さやかの手を離す。

ほむら「授業の時間よ」

私は呆然とする美樹 さやかを残して、教室に戻った。

27: 2012/12/16(日) 06:01:06.59
さやか視点

喫茶店

さやか「というわけよ」

仁美「それは……ふ、不思議な人ですわね」

さやか「不思議を通り越して、電波だわ」

仁美「それにしても……どうして、鹿目 まどかさんの事を聞いたのかしら?」

さやか「さあ?」

仁美「もしかして、実は暁美さんは違う世界から来て、その世界ではその鹿目 まどかさんとあなたは親友だったりしてたんじゃないでしょうか」

さやか「仁美まで変なキャラ立てないでよ」

仁美「ふふふ。あ、もう、こんな時間」

さやか「今日は何? 格闘技? 日本舞踊?」

仁美「お茶のお稽古ですわ。というか、格闘技って……」

さやか「仁美の腹パンはすごいからね」

仁美「やめてください」

さやか「あはは。ごめん、ごめん。また、明日ね」

仁美「ええ」

仁美が帰って……。

さやか「さて、私もCDでも……」


28: 2012/12/16(日) 06:01:35.64
CDショップ

さやか「んー……これがいいかな?」

QB『…………けて』

さやか「ん?」

何か、聞こえたような……気のせいかな?

QB『……たすけて』

さやか「!」

QB『僕を……僕を助けて……美樹さやか』

さやか「これは……気のせいじゃない?」

声がしたのは……

さやか「こっち?」

私は声がしたほうに進んでいった。


29: 2012/12/16(日) 06:02:27.04
ほむら視点

さやかが声を聞く、ちょっと前

デパート

ほむら「話があるの」

QB「君は……昨日の。どうして、僕がここにいるって分かったんだい?」

ほむら「そんなことはどうでもいいわ。それより、まどかはどこにいるの?」

QB「まどか? 誰だい、それは」

ほむら「鹿目 まどかよ。知ってるでしょ」

QB「……残念だけど、聞き覚えがないね」

ほむら「隠し立てすると容赦はしないわ」

QB「本当に知らないんだ」

こいつは嘘はつかない……。だとしたら、本当に知らないのか?

ほむら「……なら、いい」

ならば、時を待って、次の時間に行けばいい。まどかとは約束したけど、この世界にはまどかは……。

QB「僕からも質問したいね。君は何者だい?」

ほむら「……」

昨日も聞かれたわね。

QB「僕は君と契約した覚えはない……なのに、君は魔法少女だ。実に興味深いよ」

ほむら「答える義務はないわ」

そういえば……。


30: 2012/12/16(日) 06:03:25.50
ほむら「ここには魔女が出るのよね」

あまり、気が進まないけど……、ヘンシン。

ほむら「逃げさせてもら……え?」

QB「へー。君は……『弓』を使うのかい」

ほむら「な、何これ……」

私は盾なのに……

ほむら「どういうこと……」

QB「僕に聞かれても……」

これじゃ……私は時間を……。

ほむら「まどか……との……約束が……」

ビューン!

QB「! これは……魔女の結界……ほむら!」

ほむら「まどか……」

QB「……」

QB(心ここにあらずって感じだね。……まあ、いい。当初の予定通り、美樹さやかを……)

QB『助けて……』


31: 2012/12/16(日) 06:04:34.95
さやか視点

さやか「こっちか」

私は声のしたほうに進んでいく。

びゅーん。

さやか「ん?」

魔女の結界

さやか「な、なんだここ……」

アンソニー「ヒョコヒョコ」

さやか「ひいい」

な、なんだ、ここ……。

さやか「で、デパートだよね……」

???「まどか……」

さやか「? あれは……」

ほむら「うう……」

さやか「転校生!? それと、なんか猫みたいなのも……」

QB「美樹さやか!」

さやか「しゃべった!?」

QB「しゃべるというよりは、テレパシーみたいな物だけどね」

さやか「どっちでもいいわよ! あんたはなんなのよ。それに、転校生まで……」

ほむら「まどか……」


32: 2012/12/16(日) 06:05:42.40
QB「僕の名前はキューベー」

さやか「これはご丁寧に。私は美樹 さやか……って、キューベーは知ってるんだっけ?」

アンソニー「……」

さやか「って、のんきに挨拶してる場合じゃないよ! こ、ここはなんなの!」

QB「ここは魔女の結界さ」

さやか「魔女?」

QB「そう。この世に絶望を振りまくものさ」

さやか「つまり、この変なところは魔女の結界と」

QB「そうさ」

さやか「で、どうすれば、ここを出れるの?」

QB「魔女を倒せばいい」

さやか「どうやって?」

QB「魔法少女になればいいのさ」

さやか「魔法少女?」

QB「魔女が絶望を振りまくなら、魔法少女は希望を振りまくのさ」

さやか「それで?」

QB「僕と契約して、魔法少女になってよ!」

さやか「は?」

QB「僕はね。どんな願いでも何でも叶えてあげられるんだ」

さやか「どんな願いでも? 例えば、金銀財宝とか?」

QB「できるよ」

さやか「不老不氏とか?」

QB「もちろん、できるよ」

さやか「満漢全席とか?」

QB「できるけど、それでいいのかい?」

さやか「うーん……いざ、言われると迷っちゃうなー」

QB「それでできるのがソウルジェム。そのかわり、魔法少女として、魔女と戦う使命を課されるんだ」

さやか「魔女……」

QB「それで、最初につながるんだよ」

さやか「ここを出るには私が契約して、魔法少女になって、魔女を倒せと」

QB「そうだよ」

さやか「……で?」

ほむら「まどか……ううううう」


33: 2012/12/16(日) 06:06:27.07
さやか「そこで泣いてるのは?」

QB「彼女も魔法少女……みたいだね」

さやか「みたい?」

QB「契約した覚えがないんだ」

さやか「でも、魔法少女?」

QB「イレギュラーって奴だね」

さやか「ふーん……ところで」

QB「どうしたんだい?」

アンソニー「ヒョコヒョコ」

さやか「私達、囲まれているんだけど」

QB「時間がないんだ。僕と今すぐ、契約を!」

さやか「誰のせいよ!」

ほむら「約束……ううう」

さやか「ちょっと、転校生!」

ユサユサ。

肩を揺らして、呼びかける。

34: 2012/12/16(日) 06:07:07.68
ほむら視点

ほむら「はっ!?」

私は気がつくと、目の前に美樹さやかが立っていた。

さやか「大丈夫、転校生」

ほむら「美樹さやか!? こ、ここは……」

さやか「魔女の結界らしいよ」

ほむら「そう……」

さやか「落ち着いてるわね」

ほむら「慣れたものなの」

さやか「こんな状況でも?」

ほむら「こんな状況」

アンソニー「ヤア」

ほむら「」

ほむら「な、何で、私達、囲まれてるの!?」ホムッ

さやか「こっちが聞きたいわ!」

QB「美樹さやか! 僕と契約を!」

ほむら「黙りなさい!」

さやか「転校生! あんたも魔法少女なんでしょ! なんとかしてよ!」

ほむら「そんなことを言われても……」

私は弓を使ったことはないし。見たことはあるけど。


35: 2012/12/16(日) 06:08:12.01
ほむら「弓の使い方、分かる?」

さやか「は?」

ほむら「私、使ったことなくて」

さやか「自分の武器が使えないって……」

ほむら「見たことはあるんだけど……」

さやか「というか、転校生の武器は弓矢なの?」

ほむら「らしいのよ」

さやか「人事みたいに……」

ほむら「私の武器じゃなくなってるのよ」

さやか「何を訳の分からないことを……」

バンッバンッ

ほむら・さやか「「!?」」

???「間一髪って、ところね」

あの声は……。

マミ「あなた達……大丈夫?」

QB「マミ!」

さやか「その格好……あなたも魔法少女?」

マミ「あら? あなた、魔法少女を知ってるのね」

さやか「ええ、まあ……今、説明されたばかりで。チラッ」

ほむら「巴……マミ……」

マミ「あなたは……」

さやか「知り合い?」

マミ「昨日、会ってね……その制服、あなたは見滝原中の2年生?」

さやか「え、はい。あなたは……」

マミ「そうそう。自己紹介しないとね。でも、その前に……一仕事させて、もらうわよ!」

巴 マミはマスケット銃を出し、使い魔に乱射していく。

ヒューン

さやか「あれ……景色が……」

マミ「逃げられたようね」

さやか「追いかけないんですか?」

マミ「あなたを置いてはいけないわ。ところで……」

私を睨む、巴 マミ。


36: 2012/12/16(日) 06:09:06.77
マミ「あなた……どういうつもり?」

ほむら「何がかしら?」

マミ「一般人を危険に晒して、魔法も使わずに……使い魔を倒すのに魔力を使うのはもったいないから?」

ほむら「……」

どうやら、私が魔力を惜しむために魔法を使わないと思われてるようだ。

さやか「あー、なんか勘違いしてますが……」

マミ「? 勘違い?」

ほむら「倒さなかったというより……」

さやか「倒せなかっただよね」

マミ「え?」

さやか「なんか、転校生、弓のやり方が分からないとか言ってたし、魔力だなんだかの意思はないんじゃ……」

ほむら「カアアア」

マミ「弓?」

QB「彼女の武器さ」

マミ「……自分の武器の使い方が分からないの」

マミ「……」

さやか「それに温存のために自分を身の危険には晒さないでしょ」

マミ「……たしかに」

ほむら「分かってもらえたかしら?」

マミ「というか、自分の武器が使えないだなんて……」

ほむら「あきれた顔しないで」


37: 2012/12/16(日) 06:09:44.37
マミ「……まあ、いいわ。いずれにしろ、話が聞きたいから、私と来て」

さやか「その前に……」

マミ「ん?」

さやか「あなたは……」

マミ「ああ。私の名前は巴 マミ。見滝原中の3年よ」


38: 2012/12/16(日) 06:10:30.64
マミの家

マミ「なるほど。あなたはキューベーから、魔法少女について、説明されてるのね」

さやか「か、簡単に……たしか、願いを叶えてもらうかわりに、魔女と戦うんですよね」

マミ「そうね。キューベーと契約すると……」

コトン

さやか「なんですか、それ。宝石みたい……」

マミ「これはソウルジェム。キューベーと契約した魔法少女の証よ」

さやか「へー。きれい……」

マミ「……あなたも持ってるわよね」

ほむら「ええ」

コトン

さやか「転校生のも綺麗だね」

QB「というわけで、ぼくと契約して、魔法少女になってよ」

さやか「んー、悩むなー」

ほむら「やめておきなさい」

さやか「え?」

ほむら「魔法少女になれば……きっと、あなたは後悔するわ。ろくなものじゃないもの。魔法少女なんて……」

さやか「ろくでもないだなんて……あんたも魔法少女なんだよね?」

ほむら「そうよ」

さやか「よく、そこまで言えるわね」

ほむら「事実よ」

39: 2012/12/16(日) 06:11:16.78
マミ「暁美さん……だったかしら?」

ほむら「ええ」

マミ「あなた……魔法少女を増やしたくないのかしら?」

ほむら「……そうよ」

さやか「どういうことですか?」

マミ「魔女を倒すとね。時々、グリーフシードが手に入るの」

さやか「グリーフシード?」

マミ「魔女の卵よ。このソウルジェムはね。魔法を使うと濁っていくの。で、グリーフシードはその濁りを浄化するためのものなの」

さやか「へー」

マミ「これを巡って、魔法少女同士で、争ったりするの」

さやか「これがあれば、たくさん、魔法を使えるから……」

マミ「そうよ」

さやか「じゃあ、転校生は……」

マミ「どうなの、暁美さん」

ほむら「……どう思われてもいいわ」

どうせ、言っても信じてはくれない。

マミ「……そう」

さやか「……」

ほむら「私は帰るわ」

まどかもいない……、過去にも戻れない……。私は……。

40: 2012/12/16(日) 06:12:15.37
マミ「待ちなさい」

ほむら「何?」

マミ「手を組まない?」

ほむら「……は?」

マミ「正直な話、私はあなたを掴みきれていないわ。だから、監視する必要があるの」

ほむら「結構よ。私は1人でやっていけるわ」

マミ「武器も使えないのに?」

ほむら「……それは」

マミ「私は監視。あなたは武器の練習。お互いにメリットはあると思わない?」

ほむら「……」

たしかに。まどかはいない。時間も戻せない。でも、調べれば、何か方法があるかもしれない。私は……まどかを救うまで生き続けないといけない。

ほむら「分かったわ」

マミ「ありがとう。で、美樹さんに提案なんだけど、魔法少女になるかならないか、まずは魔女との戦いを見てもらったほうがいいと思うの。だから、これから、魔女退治に付き合ってみない?」

さやか「いいんですか?」

マミ「ええ。やっぱり、実際に見てみないとね」

さやか「それじゃ……お願いします」

マミ「よろしくね」

ほむら「……ええ、よろしく」

48: 2012/12/23(日) 05:28:01.07
帰宅中

さやか「ねえ」

ほむら「何かしら?」

私がマミの家を出るのと同時にさやかも一緒に出てきた。どうやら、この後、用事があるらしい。おそらくは上條 恭介のお見舞いだろう

さやか「まどか……って誰?」

ほむら「……」

さやか「転校生が……ほむらって言った方がいいかな?」

ほむら「好きに呼んでいいわ」

テクテク

ほむら「どうして?」

さやか「ん?」

ほむら「学校であんなことをしたのに」

さやか「……感じたんだよ。あの時のほむら、大切な……宝物を捜すような子供の目っていうのかな……必氏だったからさ」

ほむら「……子供は余計よ」

さやか「ほむらはさ。そのまどかってやつのために魔法少女になったんじゃないの?」

ほむら「……あなたって鋭いわね。そうよ」

さやか「もしかして、ほむらってさ……別の世界の人間だったりしない?」

ほむら「どういうこと?」

さやか「ほむらはそのまどかとかがいた世界の住民で、何らかのことがあって、こっちに来ちゃったとか」

ほむら「面白い発想ね」

さやか「あははは。まあ、そんなことないか」

ほむら「分からないわよ。魔法少女なんているんだから」

さやか「それもそうだね……私はこっちだから」

そっちは病院……やっぱりね。

さやか「またねー」

ほむら「……また、明日」


49: 2012/12/23(日) 05:28:50.03
次の日

ほむら「……」

もう1度、まどかの家に行ってはみたけど……やはり、まどかはいなかった。

ほむら「……どこに」

さやか「おはよ」

ほむら「……美樹さやか」

仁美「おはようございます、暁美さん」

ほむら「志筑 仁美……」

さやか「固いなー。名前で呼んでよ。さやかって」

ほむら「……おはよう、美樹 さやか。志筑 仁美」

さやか「素直じゃないなあ」

QB「やあ」

ほむら「!」

50: 2012/12/23(日) 05:30:23.46
さやか『こいつ、仁美とかには見えないんだってさ』

ほむら『……知ってるわ』

幾多の世界でね。

ほむら『1つ、忠告しておくわ。そいつの言葉に耳を貸しては駄目よ』

さやか『何で?』

ほむら『何でもよ』

QB『ひどい言われようだね。きみはぼくに何か恨みがあるのかい?』

ありすぎて、困るくらいにはあるわね。

仁美「どうしました? 見つめ合って……はっ!? まさか、お2人はもう……」

さやか「え?」

仁美「どっちが誘ったのかしら? ほむさや? さやほむ? で、でも、いけませんわ! 女の子同士で……それは禁断の恋の証ですのよおおおおおおお」

タッタッタッ。

ほむら「……」

さやか「……」

ほむら「なんか、叫んで走り出したんだけど」

さやか「あははは」


51: 2012/12/23(日) 05:31:36.81
放課後

マミ「それじゃ、張り切っていってみましょうか。準備はいい?」

さやか「準備になるかは分からないけど……何もないよりはましかと思って……バット、もって来ました!」

ほむら「バットなんか、持ってきてどうするのよ」

さやか「なによう」

マミ「ま、まあ、そういう覚悟でいてくれると助かるわ」

さやか「ほむらは何か持って来たの?」

ほむら「何も持ってきてないわ」

さやか「むむー。けしからん! やる気が感じられないぞ!」

ほむら「そんなことを言われても……」

持ってきても邪魔なだけだし。

ほむら「やってきたのは弓の撃ち方を調べたくらいね?」

マミ「だいたい、分かったのかしら?」

ほむら「見てできるなら、苦労はないわ」

へたに魔力を使うわけにはいかないし。

マミ「そうよね。……そろそろ、行きましょうか」

さやか「いよいよだね」

ほむら「……」


52: 2012/12/23(日) 05:32:59.97
テクテク

マミ「基本的に魔女を捜すのは足頼みよ」

さやか「刑事さんみたいですね」

マミ「足で捜査……まあ、たしかにね。とりあえず、昨日の魔女を追うわ」

さやか「魔女って何なんですか?」

マミ「キュウベえから聞いてないの?」

さやか「絶望を振りまくとか何とか」

マミ「そうよ。よく分からない自殺とかは魔女とかが原因のことも多いから」

さやか「なるほど。それじゃ、見滝原の平和はマミさんが守ってるんですね」

マミ「大げさよ。そんなたいそれたものじゃないわ」

さやか「いやいや。立派ですよ。憧れちゃいますよ」

マミ「ふふふ。ありがと」

ほむら「……」

良くない兆候だ。美樹 さやかが魔法少女に憧れを持ってしまっている。

さやか「ほむらもこの町の平和のために魔法少女をやってるの?」

ほむら「……いいえ」

さやか「え?」

マミ「……」

ほむら「私は自分の願いのためだけに魔法少女をやっているわ」

まどかを救いたい……そのためだけに。

さやか「……」


53: 2012/12/23(日) 05:34:35.60
マミ「あなたの願いはなんなのかしら?」

ほむら「……内緒よ」

マミ「教えてくれてもいいじゃない」

ほむら「……近いわよ」

私は誤魔化すように言った。

マミ「え? 本当だわ……」

さやか「ついに魔女が……」

廃ビル

さやか「あ、あれは!」

OL「……」

さやか「自殺!?」

マミ「危ない!」

マミはリボンをクルクルと女の人をパパッと助ける。

さやか「その人……」

マミ「大丈夫。気絶してるだけよ」

さやか「よかった」

ほむら「安心するのは早いわ」

マミ「ええ。……いるわ」

54: 2012/12/23(日) 05:37:23.49
マミ「ここね」

さやか「よ、よし」

ほむら「怖いなら、無理しない方がいいわよ」

さやか「だ、誰が怖いって!」

マミ「いくわよ」ヘンシン

ほむら「ええ」ヘンシン

スタスタ

さやか「お、置いていくな!」

結界内

マミ「この奥に魔女はいるわ」

さやか「ゴクリ」

マミ「ふふふ。怖い?」

さやか「こ、これくらい、どうってことねーって!」

ほむら「なら、行くわよ」

最深部

魔女 ゲルトルート 薔薇園の魔女

ゲルトルート「……」

マミ「ここで見てなさい」

さやか「は、はい」

ほむら「私も行くわ」

マミ「大丈夫かしら?」

ほむら「見てるだけじゃ、訓練にならないわ」

マミ「それもそうね」

55: 2012/12/23(日) 05:39:21.68
ほむら「私が使い魔をやるわ」

マミ「大丈夫?」

ほむら「たぶん……」

私は弓を出す。

ほむら「……」

マミ「どうしたの?」

ほむら「どうやって、矢を出せばいいのかしら?」

マミ「……」

さやか「……」

ほむら「こいつ何言ってんだって、目で見ないで」

マミ「イメージしなさい」

ほむら「イメージ……」

-------

まどか『クラスの皆には内緒だよ! 』ビュン

ーーーーーーー

ほむら「グス」

さやか「泣いた!?」

マミ「何をイメージしたのよ」

ほむら「ごめんなさい。えっと……」

矢はこんな感じで。

マミ「で、それを魔法で作るの」

ほむら「こう……かしら」

私は魔法で武器を作れなかったら、感覚は分からないが……

マミ「それでいいわ。じゃあ、暁美さん。開戦の合図を」

ほむら「はい」

私は使い魔に狙いを定める。

アデルベート「ひでぶ!」

さやか「当たった!」

ゲルトルート「ゲルル」

マミ「気づかれたわ。いくわよ、暁美さん!」

ほむら「ええ!」

56: 2012/12/23(日) 05:40:27.96
マミ「お疲れ様」

ほむら「はい」

さやか「あっという間だったですね」

マミ「ええ。暁美さんも中々の腕ね」

ほむら「どうも」

弓でも思いのほか、戦えた。これなら、十分だ。でも……これでは時は戻せない。

マミ「これがグリーフシードよ」

さやか「へー。これが」

マミ「私のソウルジェムを見て。ちょっと、黒くなってるでしょ」

さやか「たしかに、少し……」

マミ「これで。シュルル」

さやか「きれいになった!」

マミ「後、1回分あるわね。暁美さん」

ヒョイ

パチン

マミ「使いなさい。後、1回は使えるわ」

ほむら「あなたが使いなさい。これはあなたのもの。私はいいわ」

マミ「何を言ってるの。2人で取ったんだから、2人の物よ」

たしかに。この先、何があるかも分からないし、今は好意に甘えておきましょう。

ほむら「じゃあ、遠慮なく。シュルル」

マミ「これが魔女を退治することで得られる見返りよ」

さやか「なるほど」

尊敬のまなざしで巴 マミを見る、美樹 さやか。まずいわね、この流れは。

ほむら「……美樹さやか」

さやか「なに、ほむら」

ほむら「前にも言ったかもしれないけど、魔法少女に憧れを持つのはやめなさい」

あなたは魔法少女になってはいけない。

さやか「……」

ほむら「魔法少女なんて……ならないほうが幸せよ」

さやか「ほむら……」

マミ「暁美さん……」

ほむら「行きましょう。外の人を介抱しないと」

57: 2012/12/23(日) 05:48:10.01
さやか「それじゃ、私はこれで」

マミ「また、明日ね」

さやか「はい」

ほむら「私も……」

マミ「待って」

ほむら「?」

マミ「一緒にパトロールに行かない? 話したいこともあるし」

ほむら「……分かったわ」

公園

マミ「あなたは何が目的なのかしら?」

ほむら「……」

マミ「分かったのは美樹さんを魔法少女にしたくないことと誰か……まどかさんだったかしら? その人を探してること。そして、自分の魔法をまるで、初めて使ったような感じ、でも、魔法少女としてはかなりの年数を経ってるように見えることね」

ほむら「……1つ目に関しては、彼女が魔法少女になると大変なの」

数多の世界で魔女になっている。

マミ「グリーフシードが減るからかしら」

けれども、巴 マミには言えない。

ほむら「どうとでも取ればいいわ」

マミ「……そう」

ほむら「私が信用できないみたいだから、やっぱり、手を組むのはやめましょう」

こちらとしては弓の使い方が分かったから、もういい。それに……今はそれよりも、まどかに会いたい。あなたはどこに……。

ほむら「それとも、まだ、監視をする?」

マミ「……」

ほむら「さようなら」ファサ

私はくるりと振り返り、去った。

58: 2012/12/23(日) 05:49:31.71
マミ視点

マミ「ティロフィナーレ!」

さやか「いやー、マミさんって、かっこいいねえ」

マミ「もう。見世物じゃないのよ。一応、危ないことをしてるって自覚は忘れないでほしいわ」

とはいえ、褒められるのは悪い気はしないわね。

さやか「いえーす!」

マミ「まったくもう。それで、願いは決まったのかしら?」

さやか「うーん……願い事って自分のためじゃなきゃ駄目何ですか?」

マミ「例えば?」

さやか「例えば……怪我したところを治すとか」

QB「できるよ。別に契約者が願い事の対象になる必要もないし。それに前例がないわけじゃないよ」

さやか「そっか」

マミ「でもあまり感心できた話じゃないわね。他人の願いを叶えるのなら、なおのこと自分の望みをはっきりさせておかないと。ねえ、美樹さん。あなたはその人に怪我を治してほしいの? それとも怪我を治した恩人になりたいの? 似ているようでも違うことよ、これ」

さやか「……きっついなあ」

マミ「ごめんね。でも、そこを間違えたまま、先に進んだら、きっと後悔するかもしれないから」

さやか「……まあ、私の考え方も甘かったかも……ごめん」

マミ「難しい事柄だからね。ちゃんと考えて選択しないと」

QB「僕としてはすぐにでも契約してほしいんだけどね」

マミ「もう。QBたら」

さやか「あははは」

マミ「ふふふ」

さやか「……ほむら、来ませんね」

マミ「……ええ」

59: 2012/12/23(日) 05:50:22.08
さやか「前に……何かあったんですか? 私が帰ってから」

マミ「ちょっとね……まあ、考え方の違いかしら」

さやか「あいつ……ほむらは悪い奴じゃないと思うんですよね」

マミ「どうして、そう思うの?」

さやか「なんとなく……ですかね」

マミ「な、何となく?」

さやか「あいつ……必氏だったんですよ」

マミ「……」

さやか「私、保健係なもんで、気分が悪いって言ったほむらを保健室に連れて行ったんですが、その時に胸ぐらを掴まれましてね」

マミ「いい人のやることとは思えないわね」

さやか「あはは。そうなんですけど……その前に聞いてきたんですよ。『鹿目 まどかを……知らない?』って聞いてきて……それで知らないって、言ったら、胸ぐらを掴んできたんですよ」

マミ「……まどか」

さやか「その時のあいつの目……大切な物を隠された子供のような目をしていたんですよ。普段はクールなあいつが。それだけ、そのまどかって人が大切だって感じて……。そんな風に思うやつが悪い人って思えないから」

マミ「……」

さやか「私にも大切な人がいるから……分かるんですよ、そういうの」

マミ「美樹さん……」

さやか「だから、もう1度だけ、いっしょにやってくれませんか」

マミ「……私はかまわないけど……むこうがどう思うか」

さやか「私が説得しますよ」

マミ「美樹さんが?」

さやか「任せて下さい。何とかしますから!」


60: 2012/12/23(日) 05:51:15.36
ほむら視点

昼休み

ほむら「無理よ」

さやか「そんなあ……」

ほむら「彼女とは考え方が違うもの」

さやか「私にはそう感じないけど……」

ほむら「それに私にはやることがあるの」

もしかすると、あの子なら……まどかを……。

さやか「ほむらはさ。人を捜してるんだよね」

ほむら「ええ」

なにより、大切な人をね。

さやか「私も協力するよ」

ほむら「……あなたが?」

さやか「だから、お願い!」

ほむら「……なんで、必氏なのよ」

さやか「……無理してる感じがするから」

ほむら「私は無理なんてしてないわ」

さやか「してるよ。ほら」

鏡を向けてくるさやか。

さやか「目の下にすごいクマ……」

寝る間も惜しんでたから……ね。

さやか「マミさんにも協力してもらうからさ。お願いだから、無理しないで」

ほむら「……考えておくわ」


61: 2012/12/23(日) 05:51:55.00
マミ視点

放課後

マミ「一緒に行ってもいいのかしら?」

さやか「いつも1人なんで、一緒に行ってくれたほうがいいんですよ」

私は放課後、美樹さんに誘われて、美樹さんの幼馴染のいる病院にお見舞いに誘われました。

マミ「私、1人ぼっちじゃない!」

さやか「はい?」

マミ「何でもないわ。独り言よ」

さやか「は、はあ……」

62: 2012/12/23(日) 05:52:25.84
さやか「お待たせしましたー」

マミ「早かったわね。どうだったの?」

さやか「なんか、今日は都合が悪いみたいで。失礼しちゃいますよね、せっかく、幼馴染がお見舞いに来たのに」

マミ「ふふふ」

さやか「じゃあ、これから、パトロールにでもいきま……ん?」

マミ「どうした……これは」

病院の壁に孵化直前のグリーフシード……。

マミ「まずいわ。早く……」

パリーン

マミ「結界が……」

さやか「こんな場所で……」

マミ「仕方がないわ。サッサとやつけちゃいましょう」

さやか「はい」


63: 2012/12/23(日) 05:53:15.26
ほむら視点

ほむら「やっぱり、この学校にもいない」

魔女を倒しながら、ここらへんの中学校を捜しても、まどかはいない。

ほむら「一体、どこに……」

ん? そういえば、今日は……。

ほむら「……まずい!」

私は病院に向かって、走り出した。


64: 2012/12/23(日) 05:54:41.58
マミ視点

さやか「マミさんはすごいですよね」

マミ「え?」

さやか「今まで、1人で三滝原の平和を守ってきたんですよね。それって、なかなかできることじゃないし、すごいことですよね」

マミ「そうでもないわよ」

さやか「またまた。謙遜しちゃって。もっと、胸を張っていいと思いますよ。ついでにその胸についても」

マミ「胸って……もう!」

さやか「あははは。すいません」

マミ「まったく、美樹さんたら……」

でも、こんな冗談を言い合えるのもいいものよね。

マミ「私は……そんなに立派じゃないわ」

さやか「そんなことないですってば」

マミ「無理してカッコつけてるだけで、怖くても辛くても、誰にも相談できないし、一人ぼっちで泣いてばかりだし……」

さやか「……何を言ってるんですか?」

マミ「え?」

さやか「マミさんは一人ぼっちなんかじゃないですか」

マミ「美樹さん……」

さやか「私はまだ、魔法少女になるかは……決めてないけど、それでも、相談くらいには乗れるし……」

マミ「……ありがと。そうね、そうなんだよね。……本当に、傍にいてくれるの?」

さやか「まあ、いつでも無理ですけどね」

マミ「……そこははいじゃないかしら?」

さやか「あはははは」

マミ「ふふふ……」ウルッ

さやか「ど、どうしたんですか!」

マミ「ごめんなさい。……参ったなぁ。まだまだちゃんと先輩ぶってなきゃいけないのになぁ。やっぱり私ダメな子だ」

さやか「マミさん……」

QB「話してるところ悪いけど……気配が変わったよ」

さやか「え?」

マミ「急ぎましょう」

さやか「はい」


65: 2012/12/23(日) 05:55:43.23
最深部

マミ「あれは……」

QB「孵化しかかってる……」

使い魔「……」

マミ「邪魔よ!」

襲い掛かる使い魔達を蹴散らす。

マミ「体が軽い……こんな気持ちで戦うの、初めて……」

使い魔「ウギャアアアアア」

使い魔「ひでぶうううううう」

マミ「もう、何も怖くない!」

使い魔「ぐばらばああああ」

マミ「次は……」

QB「! マミ! 気をつけて! 来るよ!」

ピシャーン

魔女 シャルロッテ お菓子の魔女

シャルロッテ「コンニチワ」

さやか「なんか、可愛らしい魔女ですね」

マミ「魔女には変わりないわ。一気に片付ける!」


66: 2012/12/23(日) 05:56:11.96
ほむら視点

病院前

ほむら「はあはあ……これは……結界」

まさか……。

ほむら「急がなきゃ……」

67: 2012/12/23(日) 05:57:35.49
マミ視点

マミ「ティロフィナーレ!」

よし!

さやか「やった!」

私のティロフィナーレが魔女をつらぬ……

シャルロッテ「ヤア」

マミ「!」

さやか「あっ!」

シャルロッテ「イタダキマース」

ビュッ!

シャルロッテ「イタッ」

魔女の身体を矢が貫き、魔女は後退する。

ほむら「ハアハア……間に合ったわ」


68: 2012/12/23(日) 05:58:32.70
ほむら視点

さやか「ほむら……」

マミ「……ペタンッ」

マミを食べようとした魔女に私の矢が頭に刺さります。

シャルロッテ「ジャマスルナ」

魔女はこちらを見ます。

ほむら「こいつは私が片付ける」

さやか「マミさん!」

さやかは腰を抜かした、巴 マミに駆け寄る。

ほむら「喰らいなさい!」

ビュッ! ビュッ!

シャルロッテ「グエエ」

魔女の身体に矢が貫通する。

シャルロッテ「コンニチハ」

ほむら「しつこいわね」

さやか「しっかりしてください、マミさん!」

マミ「あああ……ああ……」

ビュッ! ビュッ!

シャルロッテ「イタイイタイ」

ほむら「サッサと消えなさい」

ビュッ! ビュッ!

シャルロッテ「ヤラレター」

ほむら「ふう」

さやか「倒した……」

マミ「……」


69: 2012/12/23(日) 05:59:55.86
ほむら「大丈夫かしら?」

さやか「私は……大丈夫。でも、マミさんが……」

マミ「うううう……」

ほむら「……私が家まで送って行くわ」

さやか「私も行くよ。こんなマミさんを放ってはいけないよ」

ほむら「……勝手にしなさい」

マミの家

マミ「……ごめんなさい、美樹さん」

さやか「気にしないで下さい」

ほむら「はい。勝手にキッチンを使って申し訳ないけど、お茶を入れたわ」

マミ「ありがと、暁美さん」

ほむら「あなたも飲みなさい」

さやか「サンキュ、ほむら」

マミ「……ありがと、暁美さん」

ほむら「お茶くらいなら、いくらでも入れられるからお礼はいいわ」

マミ「そうじゃなくて……助けてもらって……」

ほむら「気にしなくていいわ」

マミ「でも……」

ほむら「いいから。ほら。お茶でも飲みなさい」

マミ「え、ええ……」

さやか「でも、どうして、あの場所に……」

ほむら「……統計よ」ファサ

さやか「統計って……」


70: 2012/12/23(日) 06:02:27.90
ほむら「そんなことより、美樹さやか。これで魔法少女が危険なものだって分かったでしょ」

さやか「……」

ほむら「1歩間違えれば、あなたも危なかったのよ」

さやか「……」

ほむら「巴 マミもこれで分かったでしょ。一般人を危険に巻き込むことがどれだけ危険なことだってことが」

マミ「ビクッ!」

ほむら「あなたは魔女や使い魔を倒すのに、美樹さやかを連れ回してるけど……1歩間違えれば、いつでもこうなる可能性はあったのよ」

ほむら「これに懲りたら……」

さやか「何さ!」

ほむら「!」

さやか「私が勝手についていったの! だから、マミさんを責めないでよ! それにほむらも一緒に行ってればよかったでしょ! 危険だって、分かってるなら!」

ほむら「それは……たしかに、そうだけど……」

こうなる危険性は分かってはいたけど……止めなかった私にも。

ほむら「そうね……止めなかった私にも落ち度はあるわ。ごめんなさい」

マミ「い、いいのよ、私が……悪いんだもの」

さやか「マミさん……」

すっかり、意気消沈している……まあ、当然ね。1歩間違えたら……。

ほむら「……荷物をまとめなさい」

マミ「え?」

ほむら「今のあなたを1人にはできないわ。私の家に来なさい」

あんなことがあって、ショックだものね。1人でこの家で悶々としているよりは良いだろう。

マミ「……」

ほむら「私があなたの家に行ってもいいのだけれど……」

マミ「……ありがと。それじゃ、おじゃましようかしら」

マミはふらりと立ち上がる。

さやか「……ごめん、私も言いすぎたよ」

ほむら「いいの。私も言いすぎだったし」

さやか「マミさんのこと……頼むね」

ほむら「……ええ」

正直、どこまでできるかは分からないけどね。


71: 2012/12/23(日) 06:03:09.62
マミ「とりあえず、準備できたわ」

ほむら「なら、行きましょうか。美樹 さやかも送っていくわ」

さやか「ありがと」

ほむホーム

ほむら「狭いけど、気にしないでね」

マミ「え、ええ」

ほむら「とりあえず、夕食にでもしましょうか」

帰りに買ったコンビニ弁当を温める。

マミ「そ、それを食べるの?」

ほむら「作れないこともないけど、面倒なのよ」

マミ「まったく……私が作ってあげるわ」

ほむら「いいの?」

マミ「助けてもらったお礼も兼ねてね」

マミは冷蔵庫を開ける。

マミ「……暁美さん」

ほむら「何かしら?」


72: 2012/12/23(日) 06:04:01.95
マミ「冷蔵庫……何も入ってないわよ」

ほむら「なら、コンビニ弁当で……」

マミ「買いに行きましょう」

ほむら「えー」

スーパー

マミ「何を食べたい?」

ほむら「コンビニべんと……」

マミ「……」

ほむら「マミに任せるわ」

マミ「なら、パスタにしましょ」

マミ「そういえば……」

ほむら「どうしたの?」

マミ「お金忘れたわ……」

ほむら「私が出すわよ」

マミ「先輩として、後輩に頼ってばかりなのも……」

ほむら「困った時はお互い様よ。それに私の夕食のためだし」

マミ「そう言ってくれると有り難いわね」


73: 2012/12/23(日) 06:05:07.76
ほむホーム

マミ「すぐに作るわ」

ほむら「お願いね」

思ったよりも元気そう……それとも、無理してるのかしら?

マミ「できたわ」

ほむら「おいしそうね……いただきます」

マミ「口に合えばいいんだけど」

ほむら「ホムホム」

マミ「どうかしら?」

ほむら「とっても、美味しいわ」

マミ「よかった」

ほむら「ホムホム」

マミ「……」

ほむら「食べないの?」

マミ「しょ、食欲がなくて……」

まあ、あんなことがあれば、そうでしょうね。

ほむら「でも、ご飯抜きなんて身体にわるいわよ。少しでも食べなさい。ホムホム」

マミ「ありがと……」

それでも、口をつける気配はない。

ほむら「ごちそうさま」

カチャカチャ。

自分の食器をサッサと片付ける。

ほむら「それじゃ、出かけてくるから、家にいなさい」

マミ「ど、どこに行くの」

ほむら「……あなたは今日、パトロールできないでしょ」

マミ「!」

ほむら「用事のついでにパトロールもしてくるわ」

巴 マミも1人になりたいでしょうし。まあ、1人にするのは不安だけど。少しくらいなら大丈夫でしょう。

マミ「暁美さん……」

ほむら「家で大人しくしてなさい。いいわね」

バタンッ。


74: 2012/12/23(日) 06:06:34.28
路地裏

魔女「ぐべばえばあれあらふぁ」

ほむら「ふー」

ポトン

ほむら「グリーフシードも大分溜まってきたわね」

ようやく、この力にも慣れてきたし……。

ほむら「……まどか」

QB「お見事だね、暁美ほむら」

ほむら「……キューベー」

背後にはにっくき、白い淫獣が。

ほむら「何の用かしら?」

QB「聞きたいことがあってね」

ほむら「聞きたいことですって?」

QB「僕は君と契約した覚えはない。でも、君は魔法少女だ。これはどういうことだい?」

ほむら「あなたに答える義務はないわ」

スタスタ

私は無視をして、歩き出す。

QB「鹿目 まどか」

ほむら「!」

75: 2012/12/23(日) 06:07:16.65
QB「君はその子を捜してるのかい?」

ほむら「知ってるの!」

QB「残念ながら、僕は知らないよ。でも、その反応……君はこの子を捜してるんだね」

ほむら「だから、何よ」

QB「仮説を立ててみたんだが……君は別の世界から来たんじゃないのかい?」

ほむら「え?」

QB「その世界はこの世界と似ていて……非なるものは鹿目 まどかの存在」

ほむら「……突拍子もないわね」

QB「まったくだね。僕もどうかしてるとは思うよ。でも、君の状況に当てはめると合ってる気がするけどね」

ほむら「ふん、くだらな……」

まどか『……ムラチャン』

ほむら「! あれは……」

声をしたほうに振り返る。角からこっちを見るように立っている、あのピンクの可愛らしい女の子は……。

ほむら「まどか!」

QB「まどか? どこにいるんだい?」

ダッ!

私はキューベーを無視して、走り出す。今はこんな奴に構っている暇はない。

ほむら「まどか! ……あれ?」

角には誰もいない……。

まどか『……ムラチャン』

ほむら「!」

今度はあっちに……。

ほむら「まどか! ……いない」

まどか『……コッチダヨ』

ほむら「まどか……」

これは……どこかに私を誘導している?

ほむら「……行くしかないわね」

まどかに繋がる可能性があるし。

ほむら「ここは……」

しばらくの鬼ごっこの後……。

ほむら「魔女の結界……」

まどかの姿はいない。ここに誘導したのかしら?

ほむら「……行ってみましょう」

私は結界に入った。

ほむら「あれは……!?」

マミ「はあはあ……」

ほむら「何で……!」


76: 2012/12/23(日) 06:08:43.29
マミ視点

QBとほむらが会話する少し前

ほむホーム

マミ「はあ……」

落ち着かない。いつもなら、パトロールに行ってる時間だし。

マミ「……」

ガクガクブルブル

―――――――――

シャルロッテ「アーン」

―――――――――

マミ「……」

あ、後少し……暁美さんが来るのが遅かったら、私は……。

マミ「うう……」

これから……まだ、戦うんだ……あの魔女達と。

マミ「ずっとやってきたことじゃない……ずっと……」

怖い……。これまでだって、何度かはピンチもあったけど……。

QB「マミ」

マミ「キュウベえ……」

QB「こんなところでどうしたんだい? パトロールには行かないのかい?」

マミ「……今日は」

QB「まあ、たしかにあんなことはあったから、仕方がないかもしれないね。でも、君がパトロールをしないと、魔女の被害に苦しむ人が増えるのも事実だよ」

マミ「暁美さんがやってくれるわよ」

QB「彼女は信用できるのかい? 暁美ほむらはイレギュラーだ。どんな行動を起こすかも分からない」

マミ「……でも、私を助けてくれたわ」

QB「それもマミに利用価値があるからかもしれないよ。彼女には別の目的があるようだし」

マミ「……」

QB「もっとも、マミが無理なら、仕方がないさ」

マミ「……いいわ。行くわ」

このまま、ふさぎ込んでいても仕方がないし。

マミ「一応、伝言を書いておいて……よし」

QB「気をつけるんだよ、マミ」

マミ「ええ!」


77: 2012/12/23(日) 06:09:42.56
魔女の結界

魔女 Suleika ズライカ

マミ「はあはあ」

それはいくつも倒してきた、魔女。金平糖のようで手足が5本もある魔女

マミ「一気に……」

―――――――――

シャルロッテ『アーン』

―――――――――

マミ「……ぐっ」

攻撃しようとするたびに……あの時の光景が私の頭をよぎる。

魔女「ぐわっ」

ボーっとする私に魔女の突進が迫る。

マミ「くっ……」

何とか、それをいなす。

マミ「戦わなくちゃ……」




78: 2012/12/23(日) 06:11:00.83
QB「やれやれ」

算段としては普段は簡単に倒せる魔女を何とか倒して、力の落ち具合に絶望する。あるいはあの恐怖を再び思い出し、絶望する。かとも思ったんだけど……。

QB「あれでは倒せそうにもないね。そして、絶望する前にやられそうだ」

思ったよりも、傷つき具合は大きいようだ。

QB「仕方がないかな」

まあ、いいや。次はイレギュラーの彼女と接触でもしようかな。



85: 2012/12/30(日) 06:10:40.78
ほむら視点

マミ「はあはあ……」

相手の魔女はたいした強さはない。マミならば、楽勝に倒せる相手だろう。

ほむら「何をやってるのよ……」

しかし、マミはそいつを倒しきれない。攻撃をするのを躊躇するような、怖がっているようだ。

ほむら「まったく……」ビシュッビシュッ

私は矢をはなつ。

魔女「ギエピー!?」

私の矢が魔女を射抜く。

マミ「!?」

くるりと振り返る、マミ。

ほむら「家で待ってなさいって言ったわよね」

マミ「暁美……さん」

ほむら「まあ、後で言い訳は聞くわ」ビシュッビシュッ

まだ、息のある魔女にトドメをさす。息してるかは分からないけれど。

魔女「あがあらえうあおfがdふぁ」ポトッ

グリーフシードを落とし、魔女は消滅した。

マミ「……」ドサッ

マミは結界が解けて、安心したのか、膝をつく。

マミ「はあはあ……」

ほむら「どうしたの。あなたなら、この程度の魔女、楽に倒せると思うのだ……!?」

マミ「はあはあ」

マミのソウルジェムは穢れを溜め込みすぎたのか、真っ黒になってきている。

ほむら「これを使いなさい」

私は今の魔女のグリーフシードを渡す。

マミ「でも……」

ほむら「いいから!」

私はひったくるようにソウルジェムを奪い、グリーフシードで穢れを浄化する。

ほむら「ほら」

マミ「……ありがと、暁美さん」

ほむら「キュウベえ」ポイッ

QB「キュップイ」

ほむら「とりあえず、家に帰るわよ」

マミ「……うん」


86: 2012/12/30(日) 06:14:01.04
ほむホーム

ほむら「さて……」

帰りに買ってきた、午前の紅茶を出す。

ほむら「言い訳を聞こうかしら。私は家で待ってなさいって言っていたわよね」

マミ「……ごめんなさい」

ほむら「どうして、あんなところに……」

マミ「ごめんなさい……」ポタポタ

ほむら「!? な、何も泣かなくても……」

マミ「私……あなたを信用できなかった……」

ほむら「……」

マミ「助けてもらったのに……」

ほむら「なるほど。私がパトロールをしないで、別のことをすると思ったわけね」

マミ「ええ……それに、あのままふさぎこんでばかりもいられないし……」

ほむら「……まあ、事情は分かったわ。でも、どうして、あの程度の魔女に」

マミ「……怖かったの」

ほむら「怖かった?」

マミ「魔女と対峙した時……あの時の魔女を思い出して……」

きっと、マミを食べようとした魔女のことだろう。

マミ「あの時のことを思い出すと……怖くて……」

ほむら「……そう。でも、あなたは魔法少女」

マミ「……」

ほむら「この先、魔女と戦わなくてはならない。戦わなければ、グリーフシードが手に入らない」

マミ「……分かってるわ」

ほむら「だから……これからは一緒に行動しましょう」

マミ「……え?」


87: 2012/12/30(日) 06:18:13.50
ほむら「あなた1人じゃ、不安だもの。私と行動した方がいいわ」

マミ「でも……今の私じゃ、あなたの足を引っ張るわよ」

ほむら「……」

---------------

マミ『ソウルジェムが魔女を産むなら! 皆氏ぬしかないじゃない!』

マミ『いじめられっ子の発想ね』

---------------

ほむら「気にする必要はないわ」

マミ「でも、あなたの邪魔に……」

ほむら「まったく問題ないわ。むしろ、今のほうがいいくらいよ」

マミ「?」

ほむら「ともかく。明日からは一緒に行くわよ」

マミ「あ、明日から?」

ほむら「徐々になんて悠長なことを言ってられないわ。一刻も早く、魔女と戦えるようにならないと」

マミ「スパルタね」

ほむら「そうと決まれば、早く寝ましょうか。でも、その前にお風呂に入らないと」

マミ「そうね」

ほむら「お先にどうぞ」

マミ「? 一緒に入ればいいと思うのだけれど」

ほむら「あなた……正気なの!?」

マミ「え? わ、私、おかしなことを言ったかしら」

ほむら「ええ。とっても、おかしいなことよ。正気とは思えないわ」

マミ「で、でも……その……今日は1人はちょっと……」

ほむら「……仕方がないわね。今日だけよ」

マミ「ありがと」

お風呂場

マミ「……」ボインボイン

ほむら「……」ペターン

ほむら「ほむう……」

マミ「どうしたの、暁美さん」

ほむら「何でもないわ」

マミ「そう?」




88: 2012/12/30(日) 06:19:27.38
マミ「ねえ……」

ほむら「何かしら?」

マミ「あなたはどんな願いで魔法少女になったの?」

ほむら「……」

マミ「あっ、ご、ごめんなさい。言いづらいなら、無理に答えなくても……」

ほむら「私、心臓に病気があって、長い間入院していたの」

マミ「病気を治したくて、キュウベえと契約したの?」

ほむら「違うわ。私はこっちに引っ越してきて……」

契約までの流れを簡単に説明する。

ほむら「というわけよ」

マミ「私、氏んじゃったのね」

ほむら「ええ。言い辛いけれどね」

マミ「……もし、その話が本当だとすれば、何で、あなたはここにいるの?」

ほむら「私が聞きたいわ」

マミ「あなたの願い通りなら……時間を操れるの?」

ほむら「そうよ。まあ、制約はつくけれどね。でも、これを証明することはできないわ。なにせ、今の私の武器は弓だし」

マミ「……」

ほむら「信じるか信じないかはあなた次第よ」

マミ「……ところで」

ほむら「何かしら?」

マミ「湯船には入らないの?」

ほむら「あなたは私に絶望しろというの」

マミ「ええっ!?」


90: 2012/12/30(日) 06:23:34.29

さやか「どうして……」

マミ「遅くなったわ」ガチャッ

ほむら「……」

さやか「……」

マミ「あれ? ど、どうかしたのかしら?」

さやか「いえ……」

ほむら「何でもないわ。昼食にしましょう



放課後

○○○中学

ほむら「……ここにもいない」

時間停止がなくなった状態では満足に調べるのにも不自由するわね。

マミ「ねえ、暁美さん」

ほむら「何かしら?」

マミ「……何で、電柱の影から、中学校を観察しているの?」

ほむら「まどかがいないかと思って」

マミ「あなたが契約することになった女の子ね」

ほむら「ええ」

マミ「なら、直接聞けばいいじゃない。隠れてみていないで」

ほむら「……しいじゃない」

マミ「え?」

ほむら「恥ずかしいじゃない」///

マミ「恥ずかしいって……このままじゃ、不審者よ」

ほむら「前のように時間を止められたら、楽に行くんだけど……」

マミ「まったく……鹿目さんは2年生?」

ほむら「そうだけど……それがどうかしたの?」

マミ「私が聞いてくるわ」

ほむら「ちょっ!?」

マミ「ねえ」

他校生「な、なんでしょうか」

マミ「あなた、何年生?」

他校生「に、2年生です」

マミ「あなたの学年に鹿目 まどかっていう人はいませんか?」

他校生「えっと……ちょっと、聞き覚えは……」

マミ「ありがと」

他校生「い、いえ」

他校生(おっOいでかかったなあ)


91: 2012/12/30(日) 06:24:32.57
何人かにも巴 マミは同じ質問をしていった。

マミ「いないみたいね」

ほむら「……」

マミ「どうかしたの?」

ほむら「よく聞けるわね」

マミ「こんなところで隠れてみていても仕方がないでしょ」

ほむら「それはそうだけど……」

マミ「で、どうするの?」

ほむら「そうね……」

大体のこの街について、調べたけれど、まどかの存在はいなかった。見滝原にはいないのかもしれない。

ほむら「となると……風見野も調べないと……」

マミ「風見野……」

ほむら「早速行きましょう」

マミ「きょ、今日!? さ、流石に急すぎじゃない!?」

ほむら「善は急げよ」

マミ「それはそうかもしれないけど……もう、日も暮れるわよ」

ほむら「問題ないわよ。私達は魔法少女。多少の不審者くらいなら、撃退できるわ」

マミ「そうだけど……って、一般人に魔法を使うのは……」

ほむら「一般人じゃないわよ。不審者、犯罪者によ」スタスタスタスタ

必氏に食い下がる、巴マミを無視して、歩き出す。

マミ「ま、待って……」

???『………ムラチャン』


92: 2012/12/30(日) 06:25:14.08
ほむら「!? ……まどか?」

マミ「え? ど、どこにいるの?」

まどか『……ムラチャン』

ほむら「ほら!」

私はまどかのいるところを指差す。

マミ「? 誰もいないわよ」

ほむら「そんなはず……まどか!」

私はまどかのいる場所に駆け出す。

マミ「待って、暁美さん!」




93: 2012/12/30(日) 06:26:29.99
ほむら「まどか……はあはあ……」

マミ「はあはあ……」

まどかを追いかけて、ショッピング街についた。

ほむら「まどかは……」

仁美「~♪」

ほむら「あれは……志筑仁美……」

しまった、今日は!?

仁美「あら? 暁美さん?」

マミ「! この子……魔女のくちづけ?」ヒソヒソ

ほむら「……そうよ」ヒソヒソ

仁美「ちょうどいいところに出会いましたわ。一緒に行きませんか? 素晴らしい場所に!」

ほむら「いいわよ」

マミ「え!? ……どうして?」ヒソヒソ

ほむら「案内してもらったほうが楽でしょ」ヒソヒソ

マミ「なるほど」

仁美「そちらの方は?」

ほむら「知り合いよ」

マミ「ちょっと!」

ほむら「何かしら?」

マミ「もっと……他の言い方はないの?」

ほむら「……ないわね」

マミ「……」ズーン

ほむら「さあ、案内して」

仁美「こちらですわ」テクテクテクテク

94: 2012/12/30(日) 06:27:35.24
男「……」

女「……」

ほむら「人が増えてきたわね」ヒソヒソ

マミ「……」ズーン

ほむら「いつまでも落ち込んでいないで」

マミ「だって……」

ほむら「………あなたは私にとって……憧れの先輩だった」ボソッ

マミ「!? 今、なんて……」

ほむら「何も言ってないわ」

マミ「でも……」

ほむら「私は何も言ってない」

マミ「そう……」ズーン

仁美「こちらですわ」

ほむら「ありがと」

マミ「反応があるわね」

ほむら「ええ」

男「そうだよ、俺は、駄目なんだ。こんな小さな工場一つ、満足に切り盛りできなかった。今みたいな時代にさ、俺の居場所なんてあるわけねぇんだよな」

マミ「ここにいる人全員……」

ほむら「ええ……あの扉の向こうね」

マミ「行くわよ!」

ほむら「ええ……ぐっ!?」

仁美「どこに行くのかしら?」

私は志筑仁美に腹パンされる。

マミ「暁美さん!」

女の人「……」ダボダボ

ほむら「!」

洗剤を……まずい!

ほむら「ここは私に任せて……あなたは魔女を!」

マミ「でも……」

ほむら「いいから!」

今の巴 マミには無茶だとはしても、現状では入り口に近い巴 マミとバケツに近い、私。無茶でも、やってもらわないと。

ほむら「邪魔!」

仁美「きゃっ」

ほむら「私も後から行くから!」

マミ「……分かったわ」ガチャッ

巴 マミは先に扉の向こうに。

ほむら「えいっ!」

バケツを奪い取り、外に放り投げる。


95: 2012/12/30(日) 06:28:29.86
男達「うあああ」

ほむら「急がないと!」

襲い掛かる男達に私は素早く、扉に入り、鍵をかける。

ほむら「巴 マミ!」

私は結界に入る。

---------

まどか「私、魔女にはなりたくない。守りたいものだって、この世界にはたくさんあったから」

ほむら「ぬううううううううううううう」

---------

ほむら「精神攻撃……」

マミ「うわあああああああああ」

ほむら「巴 マミ!」

---------

交通事故で車の中でマミが1人でいる光景。

---------

---------

シャルロッテ『アーン』

---------

ほむら「巴 マミ!」

マミ「ああ……」

ほむら「大丈夫?」

マミ「……ええ、何とか」

とは言うが、顔色は悪い。長期戦は無理だろう。

ほむら「……サッサとたお……」

???「ハアッー!」ザクッザクッ

ほむら「!?」

使い魔や魔女が切り裂かれていく。

???「これでトドメだあああああああああああ!」ザクッ

ビューン

ほむら「あなた……」

突然の乱入者に魔女はやられ、結界がなくなる。

ほむら「契約……してしまったのね」

???「……」

ほむら「美樹 さやか……」


96: 2012/12/30(日) 06:29:16.75
さやか「大丈夫!? マミさん、ほむら」

マミ「美樹……さん……その格好は……」

さやか「え? あははは……契約しちゃいまして」

ほむら「……どうして」

さやか「どうしても、叶えたい願いがあったからだよ」

ほむら「……」

私がまどかを探してる間に……さやかには目を向けられなかったから。

ほむら「……」

さやか「そんなに怖い顔しないでよ。これから、一緒に頑張ろう」スッ

さやかは私に握手のため、手を出す。

ほむら「……」

さやか「ほむら?」

マミ「暁美さん……?」

ほむら「どうして、あなたは……」

まどかも探さなくてはならないのに……。

ほむら「どうして! 魔法少女に……!」

私はさやかに掴みかかる。

さやか「ぐっ……」

マミ「暁美さん……落ち着いて!」

ほむら「くっ……」

さやか「げほっ……げほっ……あんたが何で、私を魔法少女にしたくないのかは知らないけどさ」

ほむら「……」

さやか「ちゃんと、理由を話さないと伝わらないよ」

ほむら「……」イラッ

今までの時間軸で話をしても、誰も信用してくれなかった。誰も事実を受け止められなかった。なのに……。

ほむら「そんなに簡単に言わないで。何も知らないくせに」

さやか「あんたは何を知ってるの?」

ほむら「……」

さやか「言えないんだね。残念だよ」

さやかはくるりと背を向ける。

さやか「ほむらとは……良い友達になれると思ったんだけどさ」スタスタスタスタ

マミ「美樹さん!」

ほむら「……」

マミ「暁美さん! どうして……」

ほむら「あの娘は……魔法少女になっては……」

マミ「どうして? あなたは何を知ってるの?」

ほむら「……」


97: 2012/12/30(日) 06:29:50.52
---------------

マミ『ソウルジェムが魔女を産むなら! 皆氏ぬしかないじゃない!』

---------------

ほむら「あなたにも話すことができないわ」

マミ「どうして……」

殺されるとは言えない。

ほむら「私が信用できないなら、美樹さやかのところに行ってもいいのよ」

マミ「……美樹さんも心配だけど、あなたも心配よ」

ほむら「私が? もう、弓の使い方にも慣れたわよ」

マミ「そうじゃなくて……」

ピーポーピーポー

ほむら「……まあ、いいわ。この場は去りましょう。厄介なことになるし」

マミ「……ええ」


98: 2012/12/30(日) 06:30:44.01
鉄塔の上

杏子「どういうことだ、おい!」

QB「あれがこの町の新しい魔法少女だよ。とはいっても、つい最近、契約したばっかりだけど」

杏子「ったく。マミが戦えなくなったって聞いたから、わざわざ来てやったのによ……。でも、まあ、こんな絶好の縄張り、みすみすルーキーのヒヨッ子にくれてやるってのも癪だよねぇ」

QB「どうするつもりだい?」

杏子「決まってんじゃん。要するにぶっ潰せばいいんだろ? その子をさ」

QB「まだ、この街にはマミもいるよ」

杏子「……ふん。戦えなくなった魔法少女に私が止められるかよ」


99: 2012/12/30(日) 06:31:53.11
次の日

マミ「ちゃんと、謝らないと駄目よ」

ほむら「何で、私が……」

マミ「美樹さんは魔法少女になったばかりだし……1人より2人、2人より3人よ」

ほむら「戦えないあなたをカウントに入れるの?」

マミ「それは言わないで……」シュン

ほむら「冗談よ」

たしかに昨日は頭に血が上ってしまったけど、ほっとくと魔女になるかもしれないし。

ほむら(何より、ワルプルギスの夜が来るかもしれないし。彼女を戦わせるわけにはいかないけど、私達にもしものことがあれば、代わりにこの街の魔女を退治していってもらわないと)

イレギュラーな世界だから、来るかは分からないけど……。放置するわけにはいかない。もしかしたら、まどかがいるかもしれないから。

ほむら「……分かったわよ。謝ればいいんでしょ」

マミ「それでいいわ」

ほむら「……」

まどか……会いたい。




100: 2012/12/30(日) 06:32:19.32
仁美「ふぁーあ。あ、す、すいません、朝からはしたない」

さやか「眠そうだね、朝から」

仁美「昨日、病院やら警察やらで夜遅くまで」

さやか「な、なんかあったの?」

仁美「何だか私、夢遊病っていうのか。それも同じような症状の方が大勢いて。気がついたら、みんなで同じ場所に倒れていたんですの。お医者様は集団幻覚だとか何とか…。今日も放課後に精密検査に行かなくてはなりませんの。はあ、面倒くさいわ…」
さやか「仁美は真面目だねー。休めばよかったのに」

仁美「ダメですわ。それではまるで本当に病気みたいで、家の者がますます心配してしまいますもの」

ほむら「美樹さやか」

さやか「! ……何よ」

ほむら「話があるの。昼休みに屋上に来て」

さやか「……分かった」


101: 2012/12/30(日) 06:33:11.51
屋上

さやか「で、話って?」

ほむら「昨日のこと……謝ろうと思って。……ごめんなさい」

マミ「暁美さんも反省してるの。許してあげてくれないかしら?」

さやか「………分かりました」

マミ「だって。ほら、暁美さん」

ほむら「ありがと」

さやか「そのかわり……あんたの隠してること……話してよ」

ほむら「……」

さやか「仲間になるんだからさ。隠し事はなしにしようよ」

ほむら「それは……」チラッ

マミ「?」

さやか「そりゃ、隠しておきたいことは誰にだってあるよ。私にもさ。でも、ほむらの隠し事って、そういうのじゃない気がする」

ほむら「……」

鋭いわね、相変わらす。

さやか「それを話さない限り、私はほむらとは組まない」

マミ「美樹さん……」

ほむら「そう……」

マミ「暁美さん!」

ほむら「耳元で叫ばないで」

マミ「ご、ごめんなさい……じゃなくて!」

ほむら「だから、耳元で叫ばないで」

マミ「ほら! 美樹さんに話して!」

ほむら「私は……何も隠してないわ」

さやか「なら、どうして、私が魔法少女になった時、怒ったの?」

ほむら「それは……」

さやか「思えば、ほむらは最初から魔法少女に否定的だったよね? 何か理由があるんでしょ?」

ほむら「……」

無駄に鋭いわね。でも、下手に言ったら……。


102: 2012/12/30(日) 06:34:00.55
---------------

マミ『ソウルジェムが魔女を産むなら! 皆氏ぬしかないじゃない!』

---------------

全員、殺されるわ。

マミ「たしかに。私も知りたいわ」

むしろ、あなたに話をできないから困ってるのだけど。

さやか「やっぱり、話せないんだね。なら、私は1人で行くよ」

マミ「そんな……危険よ。私も……」

さやか「今のマミさんはほむらと一緒に行動したほうが良いですよ」

ほむら「美樹 さやか……」

さやか「話はそれだけ? それじゃ」

マミ「美樹さん!」

美樹 さやかは巴 マミの静止を無視して、屋上を出て行った。

マミ「暁美さん! どうして!」

まさか、あなたが原因ですとは言えない。

ほむら「いいのよ、あれで。無理に危険なことに巻き込む必要はないわ」

マミ「え?」

ほむら「もうすぐ、この町にワルプルギスの夜が来るはず」

マミ「わ、ワルプルギスの夜……そういえば、聞いたことがあるわ。普通の魔女とは違い、結界を必要とせず、大災害を巻き起こす魔女だと」

ほむら「それが来るわ」

マミ「な、なら、なおのこと、美樹さんと協力したほうが……」

ほむら「……」

たしかにそうなんだけど。でも、美樹 さやかが魔法少女になったなら……大体は魔女に……。とはいえ、そんなことは言えないけど。

ほむら「ワルプルギスの夜との戦いでは氏ぬかもしれないわ」

マミ「……」ゾクッ

仮に魔女にならなかったとしても……。

ほむら「そんな危険な戦いにあの子は巻き込めないわ」

マミ「……そうよね」

ほむら「……食事にしましょうか」

マミ「ん? そ、そうね」


103: 2012/12/30(日) 06:34:48.00
夕方

ほむら「ところで」

マミ「何かしら?」

恒例のまどか捜しをしながら、巴 マミにある提案をする。

ほむら「佐倉 杏子に協力を求めたいわ」

マミ「佐倉さんに!?」

ほむら「彼女と私とあなた。この3人なら、もしかしたら……」

ワルプルギスの夜を倒せるかもしれない。こんなチャンスは滅多にないんだから、早く、まどかを見つけないと。

ほむら「そのためにも、早く、あなたに戦えるようになってもらわないと」

マミ「そうね……ところで、どうして、佐倉さんを知ってるの? 前に契約までのことを聞いても出てこなかったけど」

ほむら「……いろいろあるのよ」

マミ「まだ、話してはくれないの?」

ほむら「……ごめんなさい」

マミ「別に謝らなくていいわ。いつか、話をしてくれたら。佐倉さん……か。元気にやってるのかしら」

たしか、佐倉 杏子と巴 マミは師弟関係だったけ? 

ほむら「人の心配より自分の心配よ。とりあえず、使い魔から倒せるようになりましょう」

マミ「……そうね」


104: 2012/12/30(日) 06:36:35.84
路地裏

ほむら「ここらへんね」

私達は結界内に入る。

マミ「ん? 誰かいるみたいね」

さやか「ていっ!」

ほむら「あれは……」

マミ「美樹さん……」

となると、ここで……。

ほむら「巴 マミ。もうすぐ、ここに佐倉……」

カキン! カキン!

さやか「!?」

美樹 さやかが投げた剣が何かに弾かれる。

使い魔「ニゲロー」

さやか「あ、待てっ!」

ヒュー、ドカン!

使い魔を追おうとした美樹 さやかの前に槍が地面に突き刺さる。

さやか「!? な、なに!?」

QB「あの攻撃は……」



マミ「あの槍……まさか!」

ほむら「ええ。……少し、離れて、様子を見ましょう」

私達は路地の出入り口まで下がる



杏子「ちょっと、ちょっと。何やってんのさ。今の使い魔じゃん、魔女なくてさ。見てわかんないの? グリーフシードは持ってないんだよ」

さやか「あれを放っておいたら、誰かが犠牲になるでしょ!」

杏子「あれが4,5人ばかり喰って、魔女になるのを待てっていうの。そしたら、グリーフシードを孕むんだからさ。卵を産む前の鶏シメてどうすんのさ」

さやか「なっ!? あ、あんた、魔女を襲われる人を見頃しにするっていうの!」

杏子「あんた、何か大元から勘違いしてんじゃない? 食物連鎖って知ってる? 学校で習ったよねえ。弱い人間を魔女が食う。その魔女をアタシたちが食う。これが当たり前のルールでしょ、そういう強さの順番なんだから」



マミ「佐倉さん……」

ほむら「ちょっと、顔を出しすぎよ」



杏子「まさかとは思うけど。やれ人助けだの正義だの、その手のおチャラケた冗談かますために…アイツと契約したんじゃないよな、アンタ」

さやか「だったら、何よ!」ザシュッ

杏子「ふん」カキン

美樹 さやかは佐倉 杏子に襲い掛かるが槍で防がれる。

杏子「ったく。やめてくれない? マミはどういう教育をしてんだよ、なあ、おいっ! マミ!」

さやか「え!?」

美樹 さやかは振り返る。どうやら、巴 マミに気づいていたらしい。まあ、姿を見せて、だんだん近づいていってるんだから、当然でしょうけど。


105: 2012/12/30(日) 06:38:16.34
マミ「……佐倉さん」

杏子「久しぶりだなぁ。戦えなくなったって聞いたから、もうくたばったのかと思ったよ」

マミ「……」

さやか「あんた……何よ、その言い方!」

美樹 さやかは1歩引いて、剣を突きにかかる。

杏子「ちっ。うぜえ!」

佐倉 杏子は槍で剣を払いのけ、仕込み槍で体を美樹 さやかに巻きつけ、壁に叩きつける。

杏子「ふん、トーシロが。ちっとは頭冷やせっての」

マミ「佐倉さん! やめなさい! こんなこと……」

杏子「はん。なら、あんたが戦うか?」

QB「やめておいたほうがいいよ、マミ。今のマミじゃ、杏子には敵わない」

マミ「キュウベえ……」

さやか「はあはあ……」

杏子「おかしいなあ。全治3ヶ月ってぐらいにはかましてやったはずなんだけど」

マミ「どうして……」

QB「彼女の願いは癒しの祈りを願いに契約をして、魔法少女になったからね。ダメージの回復力は人一倍さ」

マミ「だとしても……こんなことはやめなさい!」

巴 マミは佐倉 杏子を止めに入ろうとする。

杏子「はん」

マミ「!?」

巴 マミの前に壁のような結界ができる。

杏子「いいさ……こいつに痛い目に見せてから、あんたとやってやるよ」

さやか「舐めるんじゃないわよ……。あんたみたいなやつに……負けるかああ!」

マミ「やめて、美樹さん!」

杏子「ウゼエ、超ウゼエ!」キンッキンッ

杏子の連続での槍の攻撃の前に美樹 さやかは剣で防ぐのが精一杯だ。

杏子「だいたい、口の聞き方がなってないよね! 先輩に対して!」

さやか「ぐっ……舐めるんじゃないわよ!」

無理矢理、突き出た槍を横に弾き、佐倉 杏子に突進する。

さやか「喰らいなさい!」

杏子「はんっ」

佐倉 杏子は横に飛んでかわす。

杏子「喰らいな!」

佐倉 杏子は壁に足をつき、空中にジャンプ、そして、槍を美樹 さやかに槍投げのように投げつける。

さやか「あぶなっ!」

美樹 さやかは咄嗟に横に飛び、直撃はさける。

杏子「おらおら! 油断してんじゃねーぞ、ウスノロ!」

空中にいる美樹 さやかに佐倉 杏子は仕込み槍を巻きつける。

杏子「おら!」

巻きつけた美樹 さやかを巴 マミのほうに叩きつけるように投げつける。

106: 2012/12/30(日) 06:40:27.22
さやか「がはっ」

マミ「美樹さん!」

杏子「さあ……次はあんた……」

さやか「はあはあ……」

杏子「まだ、立てるのか……へん。面白い。言って聞かせてわからねえ、殴ってもわからねえバカとなりゃあ…後は頃しちゃうしかないよねッ!?」
 
さやか「負けない……負けるもんかあ!」

佐倉 杏子の突き出した槍と美樹 さやかの剣が激突する。

マミ「……こうなったら、力ずくで」

QB「やめたほうがいいよ。今の君じゃ……杏子どころかさやかも止められるか分からないよ」

マミ「でも……」

さやか「ああっ!」キンッ

剣が弾かれる。

さやか「ぐっ!」

杏子「終わりだよ!」

佐倉 杏子は後ろに引き、槍を構える。

マミ「それでも、やるしか……」

ほむら「それには及ばないわ」ファサ ビシュンッ パキーン

マミ「結界が……」

私の放った矢が杏子の結界を粉砕する。

ほむら(格好よく決まったわ!)

杏子「なっ!」

動揺した杏子は動きを鈍らせる。

マミ「今ね!」

巴 マミは美樹さやかを庇うように立って、杏子に銃口を向ける。

杏子「チッ!」

佐倉 杏子は槍を引っ込める。


107: 2012/12/30(日) 06:40:53.22
杏子「あんた……何者だい」

佐倉 杏子は私に視線を向ける。

ほむら「……」

杏子「そうか……あんたが噂のイレギュラーって奴か」

さやか「はあはあ……邪魔しないで!」

マミ「落ち着いて、美樹さん!」

ほむら「私は冷静な人の味方で、無駄な争いをする馬鹿の敵。あなたはどっちなのかしら。佐倉 杏子!」

杏子「お前……どこかで会ったか?」

ほむら「さあ? どうかしら?」

杏子(一見すると、弓矢使いだが……まだ、何かあんのか? いや、マミから聞いたのか? ……しかし、私の結界を一撃で粉砕するなんてな)

杏子「なんにせよ、手札が見えないとあっちゃね。悪いけど、今日の所は降りさせてもらうよ」

ほむら「賢明ね」

杏子「はんっ!」

佐倉 杏子はビルの上に逃げていった。

マミ「落ち着いた、美樹さん」

さやか「ええ……なんとか……」

ほむら「そう。巴 マミ」

マミ「何かしら?」

ほむら「美樹 さやかを送って行きなさい。私は寄るところがあるわ」

マミ「……分かったわ。行きましょう、美樹さん」

さやか「私は……大丈夫ですよ」

マミ「無理しないの。行きましょう」

さやか「……はい」

113: 2013/01/03(木) 04:53:20.75
ほむら「さて……」

巴 マミは美樹 さやかを連れて、この場を去った。ここには私と白いゴキブリインキュベーターだけだ。

ほむら「私も……!」

私の前にうっすらと懐かしい人が……。

まどか『……』

ほむら「まどか……」

まどか『……』

ほむら「まどかなの……ねえ!」

まどか『……まどか? まどか、違うよぉ』

ほむら「じゃあ……あなたは……」

まどか『私? 私は……そう、円環の理?』

ほむら「聞かれても……」

QB「君は何を独り言を言ってるんだい?」

ほむら「独り言って……そこに」


114: 2013/01/03(木) 04:54:13.31
シーン

ほむら「あ、あれ?」

まどかが立っていった場所には誰もいなかった。

QB「誰もいないよ? 君はどうかしてるんじゃないかな?」

ほむら「……」

たしかにいたはずだけど。

ほむら「で。どうして、さやか達について行かずにここに残ったのかしら?」

QB「君は実に興味深い。君の魔力自体は普通くらい、マミ達と大体同レベルくらいのものだ。しかし、今の攻撃、いや、時折、とてつもない魔力の影を感じる。今の杏子の結界を一撃で粉砕した。本当に君は興味深いよ」

ほむら「私はあなたの観察対象じゃないわ。それじゃ」ファサ

しかし、インキュベータの観察対象だなんて反吐が出るわね。


115: 2013/01/03(木) 04:56:13.40
ゲームセンター

ほむら「……」

杏子「よっ! ……あんたか? 今度は何の用だい?」

ダンスゲームを華麗にプレイする佐倉 杏子。私も何もなければ、まどかとプレイしたいわね。

ほむら「あなたに協力してもらいたいことがあるの?」

杏子「はっ! やなこった!」

ほむら「あなたにこの街の半分を預けてもいいわ」

杏子「半分? 全部、寄こしな」

ほむら「……」

無茶なことを言うわね。

杏子「大体、マミやあいつが黙っちゃねーだろ」

ほむら「それは私が何とかするわ」

杏子「ふん。イマイチ、信用できねーな。大体、目的はなんだ?」

ほむら「2週間後、ワルプルギスの夜が来る」

まどかは現在、見つかってはいないが、どこかにいるかもしれない。そうなった時、ワルプルギスの夜で氏んでしまったら、元の子もない。

杏子「へえー……何で、そんなのが分かるんだ?」

ほむら「それは秘密。ともかく、そいつさえ、倒せれば……」

私はどうするんだろう……。現状、まどかが見つかっていないこの状況で。

ほむら「……」

杏子「どうした?」

ほむら「いえ……私は何も手出ししないわ。あなたの好きにすればいい」

杏子「……やっぱり、あんたを信用できないが……ワルプルギスの夜ねえ……たしかに1人じゃ、手強いが、2人なら、何とかできるかもなあ。……ほっ」

『クリアー!』

杏子「食うかい?」


116: 2013/01/03(木) 04:57:02.97
ほむホーム

マミ「おかえりなさい! 暁美さん……」

ほむら「……」

杏子「……」

佐倉 杏子を連れて、家に帰ると、巴 マミが豪華な夕食を作って、待っていた。

マミ「とさ、佐倉さん!」

杏子「……なんで、マミがいんだ?」

ほむら「言い忘れていたわね。マミも協力者で、とある事情で家に住んでるの」

杏子「はん、魔女も倒せない魔法少女がいて、大丈夫なのか?」

マミ「……」ビクンッ

ほむら「もう、大丈夫よ。ねえ、巴 マミ」

マミ「え、ええ!」

ほむら「ね?」

杏子「イマイチ、信用できねーが……」

ほむら「美樹 さやかは送ったの?」

マミ「え、ええ……、あ、でも……」

ピンポーン


117: 2013/01/03(木) 04:58:09.73
ほむら「? 誰かしら……」

マミ「待って! 今はまず……」

ガチャッ

さやか「マミさん、夕食に……あんた」

杏子「……」

さやか「何で、ここにいるのよ……」

杏子「これはどういうことだ……私を呼び出して、3対1でぼこそうって腹かい?」

マミ「そ、そういうわけじゃ……」

さやか「まさか、マミさん達はこいつとグルで私を……」

マミ「それも違うわ! た、ただ、夕食に……」

ほむら「そうよ。いがみあってばかりじゃなくて、夕食で歓談でも、との巴 マミの発案よ」

杏子・さやか「「こいつと?」」

ほむら「ほら。息ぴったしじゃない。ねえ、巴 マミ」

マミ「え、ええ! そうね!」

ほむら「もう、夕食もできてるの。ほら、上がりなさい」

杏子「……くいもんは粗末にできねーからな」

さやか「……せっかく、マミさんに誘われたからね」

マミ「た、助かったわ」

ほむら「杏子の分は大丈夫なの?」

マミ「けっこう、多く作ったから……たぶん、大丈夫よ」


118: 2013/01/03(木) 04:59:19.49
配置

さやか マミ

ほむら 杏子

パクパク、カチャカチャ

部屋には食べる音と食器の音だけが響き渡る。

マミ(空気が重い……)

ほむら『杏子』

私は杏子にテレパシーを送る。

杏子『なんだよ』

ほむら『美樹 さやかの前ではワルプルギスの夜については話をしないで』

杏子『何でだよ』

ほむら『彼女には家族や帰る場所があるわ。危険なことにはなるべく巻き込みたくないわ』

杏子『……まあ、いいけどさ。どっちにしろ、そんな雰囲気じゃないしな』

ほむら『そうね』

マミ「ど、どうかしら? 味の方は!」

さやか「……めっちゃうまっすよ。ななめ前にこいつがいなければ」

杏子「……」ピクッ

マミ「ちょっ!?」

ほむら(やぶへびね)

杏子「そういえば、この部屋臭くねえか?」

ほむら「そうかしら?」

杏子「そうだよ。斜め前から、青臭いにおいがするんだよ」

さやか「……」ピクッ

杏子「あははは」

さやか「あははは」

ほむら「良い雰囲気ね」

マミ「どこがよ!」




119: 2013/01/03(木) 05:01:20.10
さやか「ごちそうさま!」

マミ「お、お粗末さまでした」

さやか「それじゃ、帰りますね」

マミ「も、もうすこし、ゆっくりしていけば……」

さやか「こんな奴と一緒に?」

杏子「へん。私は願い下げだね」

さやか「それは私の台詞よ!」バタンッ

さやかは帰っていきました。

マミ「佐倉さん!」

杏子「なんだよ」

マミ「も、もう少し、雰囲気を……」

杏子「まさか、あいつがいるとは思わねーだろ」

ほむら「しかも、私に無断で呼ぶだなんて」

マミ「それは……そうだけど」

杏子「んじゃ、私も帰るわ」

ほむら「もう少し、ゆっくりしていけばいいのに」

杏子「私だって、忙しいんだよ。それにあんたに借りを作りたくはねえ。じゃあな」バタンッ

佐倉 杏子も帰って行った。

ほむら「私も警戒されたものね」

マミ「あなたも……マイペースね」

ほむら「そうかしら?」

マミ「でも、今ので、美樹さんに疑われるかもしれないわね」

ほむら「何を?」

マミ「佐倉さんと裏で手を組んでるんじゃないかって」

ほむら「まさか」


120: 2013/01/03(木) 05:02:23.61
次の日

昼休み

さやか「あんた、あの赤い奴と手を組んでるんじゃないでしょうね」

ほむら「……」

まさか、本当に疑うとは。

ほむら「組んではないわ」

さやか「じゃあ、何で……」

ほむら「あれは……そう。仲の悪いままじゃ、駄目でしょ。魔法少女同士で」

我ながら、何を言ってるのだろう。

さやか「……ふーん」

案の定、疑っている目で私を見る。

さやか「昨日の見たでしょ」

ほむら「え、ええ」

さやか「あれは……正真正銘、頃し合いだったよ。お互いナメてかかってたのは最初だけ。途中からは、アイツも私も本気で相手を終わらせようとしてた」

ほむら「……」

さやか「そんな相手と仲良くなれると思う?」

ほむら「難しいかもしれないわね」

でも……あの娘なら……

ほむら「でも、探せばきっと、仲良くする方法だってあると思うわ。やり方は違っても、魔女を退治したいと思う気持ちは同じでしょ?」

きっと、こう答える。それに数多の時間でこの2人は特に佐倉 杏子は仲良くなろうとしていた。

さやか「……でもさ。夕べ逃した使い魔は小物だったけど、それでも人を頃すんだよ? 次にあいつが狙うのは仁美やほむらの両親かもしれないんだよ」

ほむら「……」

さやか「私はね、ただ魔女と戦うだけじゃなくて、大切な人を守るためにこの力を望んだの。だから、もし魔女より悪い人間がいれば、私は戦うよ。例えそれが魔法少女でも……」

ほむら「……」

さやか「ほむらでも」

ほむら「……さやか」

さやか「それじゃ」


121: 2013/01/03(木) 05:03:01.42
放課後

マミ「ティロフィナーレ!」

使い魔「ぐばらrわふぁsmヴぁそ」

ほむら「よくできたわね」

何だか、昔と逆ね。

ほむら「まだ、怖い?」

マミ「……少し、ね」

ほむら「そう……」

そろそろ……。

ほむら「行くわよ」

マミ「どこに?」

ほむら「橋の上……かしら?」




122: 2013/01/03(木) 05:04:07.10
杏子「いっちょ、派手にいこうじゃねーか!」ヘンシン

マミ「あれは……佐倉さんと美樹さん!」

ほむら「あの2人を止めないと……」

マミ「駄目よ!」ダッ

ほむら「あ、待ちなさい!」

さやか「いくわ……」

マミ「駄目よ、美樹さん!」ドンッ

巴 マミは美樹 さやかに体当たりをする。

さやか「うわっ!?」ポトンッ

美樹 さやかのソウルジェムは手から離れて、空中を飛んでいく。

ほむら「まずいわ!」ダッシュ

私が走っても、間にあわない……急いで、追わないと。


123: 2013/01/03(木) 05:05:51.39
マミ視点

マミ「いたた……」

さやか「いてて……何をするんですか、マミさ……」バタンッ

マミ「美樹さん……?」

美樹さんは私に詰め寄ろうとして、意識を失ったように倒れる。

マミ「どうしたの、美樹さん! ねえ!」

さやか「……」

もしかして、打ち所が……。

QB「やれやれ。今のはまずかったよ、マミ」

マミ「キュウベえ……」

QB「よりにもよって、大事な後輩を下に落とすなんてね」

マミ「え?」

杏子「どけ!」

佐倉さんは美樹さんの首ねっこを掴んで、持ち上げる。

マミ「何をするの、佐倉さん! 乱暴なことは……」

杏子「……どういうことだ、おい! こいつ、氏んでるじゃねーか!」

マミ「ええっ!? ま、まさか、さっきのぶつかりで……」

打ち所が悪くて……。

QB「君たち魔法少女が身体をコントロールできるのは、せいぜい100m圏内が限度だからね」

マミ「100m?」

杏子「何のことだ、どういう意味だ!?」

QB「普段は当然肌身離さず持ち歩いてるんだから、こういう事故は滅多にあることじゃないんだけど」

マミ「い、言ってる意味が分からないわ! それより、美樹さんを……」

QB「はあ。マミ、そこにいるのはさやかじゃないよ。ただの抜け殻だよ」

マミ「抜け殻……? 何を言ってるの、キューベー!」

QB「さやかはさっき、君がさやかにぶつかった時、下に落ちちゃったじゃないか」

マミ「え……?」

杏子「なん……だと……」


124: 2013/01/03(木) 05:06:25.19
QB「ただの人間と同じ、壊れやすい身体のままで、魔女と戦ってくれなんて、とてもお願い出来ないよ。君たち魔法少女にとって、元の身体なんていうのは、外付けのハードウェアでしかないんだ。君たちの本体としての魂には、魔力をより効率よく運用できる、コンパクトで、安全な姿が与えられているんだ。魔法少女との契約を取り結ぶ、僕の役目はね。君たちの魂を抜き取って、ソウルジェムに変える事なのさ」

マミ「何を……何を言ってる、キュウベえ……。う、嘘よね」

QB「僕は嘘はつかないよ、マミ」

杏子「ふざけんじゃねえ! それじゃ、アタシ達、ゾンビにされたようなもんじゃねーか!」

QB「むしろ、便利だろ? 心臓が破れても、ありったけの血を抜かれても、その身体は魔力で修理すれば、すぐまた動くようになる。ソウルジェムさえ砕かれない限り、君たちは無敵だよ。弱点だらけの人体よりも、余程戦いでは有利じゃないか」

マミ「そ、そんな……」

私は力なく、膝をつく。

QB「君達はいつもそうだね。事実をありのままに伝えると、決まって同じ反応をする。訳が分からないよ。どうして人間はそんなに、魂の在処にこだわるんだい?」

マミ「ああ……」


125: 2013/01/03(木) 05:07:26.26
ほむら視点

ほむら「ハア……ハア……」

トラックに乗った、美樹 さやかのソウルジェムを私は走って追いかける。

ほむら(肉体を強化してあるとはいえ……時間を止められないのはきついわね)

このままでは……追いつけない?

まどか『待って……ほむらちゃん』

ほむら「!?」

私はその場に止まり、声のした方に振り向く。

まどか『ここだよ……』

ほむら「まどか!」

まどかの声をした方に走り出す。

ほむら「まどかは……」

いない……ん?

ほむら「これは美樹 さやかの……ソウルジェム」

どうして、ここに……。いや、理由は分かる。

ほむら「まどか……」

きっと、あの子が……。

ほむら「のんびりしてる場合じゃないわ。急がなきゃ」



ほむら「はあはあ」コトッ

私は美樹 さやかの手にソウルジェムを乗せる。

さやか「……はっ」

マミ「美樹さん!」

杏子「あっ……」

さやか「んん……?」

マミ「よかった……ううう……」

さやか「マ、マミさん!? ど、どうして、泣いてるんですか!?」

マミ「うわあああん」


126: 2013/01/03(木) 05:09:03.54
ほむホーム

マミ「……知ってたのね、暁美さん」

ほむら「………ええ」

美樹 さやかに事情を話して、家まで送り、帰宅して、巴 マミは聞いてきた。

マミ「どうして……教えてくれなかったの?」

ほむら「話したら、信じてくれたかしら?」

マミ「………信じなかったでしょうね」

ほむら「そうでしょうね」

マミ「これが……あなたが隠していたことなのね」

まだ、あるのだけれど、今の巴 マミには追い討ちになりかねないから、話せはしない。

マミ「たしかに、こんな話をされても……信じられなかったかもしれないわね。それでも……」

ほむら「?」

マミ「話してほしかったわ………仲間として」

ほむら「……」

『勝手なことを言わないでほしい!』

そう言いたかった。けれど、巴 マミの雰囲気に威圧されてか、声が出なかった。

マミ「たしかに、初めは私は監視対象として、あなたは戦い方の勉強として、手を組んでいたかもしれないわ。でも……でも……」

ほむら「………」

マミ「私は……あなたと一緒にいれて……楽しかった」

ほむら「!」

マミ「あなたとはいい信頼関係を築けていた……そう思っていたのに。あなたには初めから1人のの人しか見えてなかったのよね」

ほむら「巴 マミ……」

マミ「まだ……フルネームなのね」

巴 マミは荷物をまとめ始める。

マミ「短い間だけど、ありがと。楽しかったわ」

ほむら「まっ……」

マミ「さようなら」バタンッ

巴 マミは家を出ていった。


127: 2013/01/03(木) 05:09:48.68
ほむら「………仕方がないわね」

巴 マミに秘密を話すことはできない。しかし、いずれは……。

ほむら「………夕食にしましょう」

私はテーブルにつく。

ほむら「今日のゆうし……いないんだったわね」

最近の癖でマミに聞こうとしたけど、出ていったんだっけ。

ほむら「……何だか、広いわね」

何だか、昨日より、部屋が広い気がする。

ほむら「……そういえば、人と夕食をとっただなんて、久しぶりだったわね」

佐倉 杏子とはあるかもしれないが、友好的なものではなく、ただの打ち合わせをかねてのついでだったし。

ほむら「……巴さん」


128: 2013/01/03(木) 05:10:24.35
マミ視点

マミホーム

マミ「……久しぶりの我が家……ね」

何だかいつもよりも寂しい気がするのは、家にあの子がいたからだろう。

マミ「今なら、美樹さんの気持ちも分かるわ」

暁美さんは……私達を見てはいない。見ているのはきっと……。

QB「やあ、マミ!」

マミ「……キュウベえ」

QB「暁美 ほむらとは別れたのかい?」

マミ「……ええ」

いつもは愛くるしい容姿のキュウベえが何だか、怖い。

QB「やれやれ。で、どうするんだい?」

マミ「何がかしら?」

QB「君は魔法少女だ。魔女を狩って、グリーフシードを手に入れなければならない。でも、今の君は満足に戦えないんだ」

マミ「……何とかするわ」

QB「そうかい。で、どうするんだい? パトロールには行くのかい?」

マミ「……今日はやめておくわ」

QB「分かった」

QB(いい感じに絶望してるなあ。いい傾向だよ)


129: 2013/01/03(木) 05:11:37.20
次の日

ほむら視点

ほむら「……」

美樹 さやかは学校を休んでいる。昨日の今日では仕方がないことでしょうけれど。

ほむら「……」

--------

マミ『私は……あなたと一緒にいれて……楽しかった』

マミ『あなたとはいい信頼関係を築けていた……そう思っていたのに。あなたには初めから1人のの人しか見えてなかったのよね』

--------

ほむら(……私は)

私はまどかを救いたい。そのために行動してきた。すべてを捨ててでも。だから、嫌われてもよかった。でも……。

ほむら「何で、こんなに嫌な気持ちがするのかしら」

昨日の巴 マミの表情を思い浮かべると、胸が痛くなる。

ほむら「……まどか」

私はここに来たときに見つけたまどかのにそっくりな赤いリボンを見つめる。巴 マミの問題だけではない。まどかもいないのだ。

ほむら(これは……私との決別の証なの?)

教師「こらっ! 暁美、リボンばかり見てないでこの問題に答えろ!」

ほむら「ほむっ!?」


130: 2013/01/03(木) 05:12:13.09
マミ視点

放課後

QB「大丈夫かい、マミ」

マミ「え、ええ……」

私はキュウベえを肩に乗せて、パトロールをする。

マミ「! いるわね……」

結界に入る。

魔女 アルベルティーネ 落書きの魔女

マミ「あの時、逃がした使い魔かしら」

QB「そうみたいだね」

マミ「……」

私はマスケット銃を構える。

QB「本当に大丈夫かい、マミ」

マミ「……ええ。やるわよ!」

私は魔女に向かっていった。


131: 2013/01/03(木) 05:13:11.68
ほむら視点

ほむら「魔女の反応は近いわね」テクテクテクテク

ほむら「……ここね」

魔女の結界は……。

ほむら「でも、先客がいるようね。誰かしら?」

美樹 さやかだったら、ちょっと気まずいけど……。

ほむら「なんにせよ、協力できるなら、したほうがいいわよね」

私は結界に足を踏み入れた。


132: 2013/01/03(木) 05:13:45.55
結界

マミ「はあはあ……」

ほむら「……巴 マミ」

私が結界に入ると、魔女と戦う巴 マミがいた。ある意味、今、1番会いたくない人物だ。しかし、その姿を見た時に感じた心が温まるような気持ちはなんだろう。

QB「やあ」

ほむら「……キュウベえ」

QB「何とか、戦えているみたいだね、マミは」

ほむら「そのようね」

一時期のトラウマは乗り越えたのかしら。

マミ「いくわよ……ティロ・フィ……」

―――――――――

シャルロッテ『アーン』

―――――――――

マミ「っ!?」

巴 マミは必殺技のティロ・フィナーレを出そうとして、動きを止める。

ほむら「何をやってるの!」

QB「どうやら、魔女に食べられそうになった時のことを思い出したみたいだね」

ほむら「!」

たしか、あの時もティロ・フィナーレを決めて……。

魔女「カキカキカキ」

使い魔「ウヒャヒャ」

使い魔「ウヒャヒャ」

魔女は使い魔を召喚していく。

ほむら「まずいわね……」

私は弓矢を構える。


133: 2013/01/03(木) 05:15:03.03
ほむら「喰らいなさい」ビュッビュッ

使い魔「うがばえあらがふぁ」

使い魔「ばうれあふぇなおふぁ」

マミ「!?」

ほむら「早く、トドメをさしなさい!」

マミ「暁美さん……」

魔女「カキカキカキカキ」

使い魔「ウキャキャ」

使い魔「ウキャキャ」

マミ「くっ……ティロ・フィナーレ!」

魔女「ウギャアアアアアアアア」

使い魔「キンニクウウウウウ」

マミ「やった……」

使い魔「ウキャキャ」

マミ「!?」

攻撃の当たらなかった使い魔が巴 マミに迫る。

ピシュッ! ピシュッ!

使い魔「マアアアアアアン」

私の弓矢が使い魔を貫く。

ほむら「巴 マミには触れさせないわ」

マミ「暁美さん……どうして……」

ほむら「あなたが……私の……」

何なのだろう。その後の言葉はすんなり出てきた。

ほむら「大切な仲間だから……」///

マミ「暁美さん……」

ほむら「……」///


134: 2013/01/03(木) 05:15:48.50
マミ「まだ、仲間なのね」

ほむら「!?」

何故か、がっかりされたわ。恥ずかしい思いをして、言ったのに。

マミ「……まあ、今はそれでいいわよね」

マミ(本当は友達が良かったのだけど……)

ほむら(何か不味かったかしら)オロオロ

マミ「暁美さん」

ほむら「あ、あの、やっぱり、今のな……」

マミ「これから、よろしくね」スッ

手を差し出してくる、巴 マミ。

ほむら「………こちらこそ」ギュッ

私はその手を力強く握りしめた。


135: 2013/01/03(木) 05:16:46.18
ほむホーム

ほむら「前もって、注意しておくわ。何があっても、私を殺そうとしないで」

マミ「? 私があなたを頃すわけないじゃない」

ほむら「……」

---------------

マミ『ソウルジェムが魔女を産むなら! 皆氏ぬしかないじゃない!』

---------------

ほむら「とにかく、約束して」

マミ「え、ええ」

ほむら「前に私は契約した流れは話したわね」

マミ「え、ええ……たしか、鹿目 まどかさんを守るために契約したのよね」

ほむら「ええ。そして、私は幾多の時間を巡ってきたわ」

マミ「時間を……」

ほむら「最初のループで、私は……」

そこで、私は言い淀んだ。

マミ「どうかしたの?」

ほむら「………ここからは辛い話になるわ。いいわね」

マミ「え、ええ」

ほむら「私は……重要な秘密を知ってしまった。それは……」

マミ「それは?」

ほむら「ソウルジェムが黒く染まるとどうなるか、よ」

マミ「? 魔法が使えなくなるんじゃないの?」

ほむら「違うわ。ソウルジェムが黒く染まりきると……魔法少女は……魔女になる」

マミ「なるほど。魔法少女がま………え?」

巴 マミはキョトンとする。

マミ「今の……聞き間違いじゃないわよね?」

ほむら「ええ。私は目の前で見たわ。まどかが魔女になるところを」

マミ「に、にわかには信じ難いわね」

ほむら「でしょうね」

マミ「………嘘はついてないわよね」

ほむら「もちろん」


136: 2013/01/03(木) 05:18:15.33
マミ「で、でも、キュウベえはそんなこと、一度も……」

ほむら「なら、今度、聞いてみればいいわ。信じるも信じないもあなたの自由よ」

マミ「いえ……信じるわ。あなたを」

ほむら「………意外にショックを受けてないのね」

マミ「ショックを受けてないわけじゃないわ。ただ、美樹さんの一件で、ソウルジェムの秘密の1つを知っちゃったし、まだ、何かはあると思ってはいたし」

幸か不幸か、あれはいい効果があったようね。

マミ「でも、私は……魔法少女だった人達を……」

ほむら「気にすることはないわ。きっと、倒された人達もそのほうが幸せなはずよ。化け物になって、人に襲いかかるよりも」

所詮は自己満足かもしれない。しかし、そう思わなければ、やってられない。

マミ「だと、いいわね」

ほむら「だから、あなたのやってきたことは間違ってはないわ」

マミ「でも、いずれ、私達も魔女に……」

ほむら「先のことを考えても仕方がないわ。1人でも、多くの魔女を倒すために、私達は戦い続けるしかないの。そうしなければ、一般人に被害も出るわ。それから、自分が生き残るためにもね」

マミ「……そうね」

ほむら「……もし、あなたが魔女になりたくないのなら、私があなたを頃してあげるわ」

マミ「!?」

ほむら「だから、安心しなさい」

マミ「……クスッ。変な慰め方ね。頃してあげるわだなんて」

ほむら「……」

マミ「なら、私も、あなたが魔女になる前に頃してあげるわ」

ほむら「私はまどかに会うまで魔女にもならないし、氏ぬつもりもないわ」

マミ「じゃあ、私もあなたが人生をかけられるほどの人である鹿目さんに会うまで、氏ぬわけにはいかないわね」

ほむら「じゃあ、約束しましょう。私達はワルプルギスの夜を倒して、一緒にまどかを捜すの」

マミ「ええ。約束よ」

ほむら「それから、私は……」


137: 2013/01/03(木) 05:19:03.96
私はまどかとの約束、これまでの経緯を話した。

ほむら「………で、この時間軸? に来たのよ」

マミ「………あなたの話が本当だとして、どうして、あなたはここにいるの?」

ほむら「考えられるとしたら……」

まどかの願いかしら?

マミ「もし、暁美さんの言う通り、鹿目まどかさんが優しい人だとしたら、あなたに負担をかけたくなかったかもしれないわね」

ほむら「?」

マミ「つまり、自分の存在を消して、暁美さんに幸せな人生を歩んでほしいとか」

ほむら「!」

たしかにありえるかもしれない。でも、だとしても……。

ほむら「私は覚えてるわ」

マミ「そうね。存在を消されたなら、あなたも忘れているし、推測に過ぎないわ」

ほむら「……」

マミ「不安そうな顔しないで。あなたは鹿目さんを見たことがあるんでしょ? 希望は捨ててはいけないわ」

ほむら「……そうね」

自分では円環の理だとか言ってたけど……。あの姿はまどかだ。

マミ「で、暁美さん。このこと、他の人には……」

ほむら「話してはいないわ」

話せるわけもない。

マミ「なら、早く、話したほうがいいわ」

ほむら「でも……」

信じてくれるだろうか。信じてくれたとしても、受け入れてくれるだろうか。

マミ「大丈夫」

ほむら「巴 マミ……」

マミ「駄目ね」

ほむら「えっ?」

マミ「フルネームだなんて……私達、大切な仲間同士でしょ」

ほむら「それはやめて……」///

恥ずかしい

ほむら「じゃあ……巴さん?」

マミ「うんうん。いい調子よ」

ほむら「からかわないで。とりあえず、ちゃんと話してみるわ」


138: 2013/01/03(木) 05:19:33.30
次の日

ほむら「美樹 さやか」

今日は登校していた美樹 さやかに声をかける。

さやか「……ほむら」

ほむら「今日、はな……」

中沢「上条、もう怪我はいいのかよ?」

上条「ああ。家にこもってたんじゃ、リハビリにならないしね。来週までに松葉杖なしで歩くのが目標なんだ」

ほむら「退院したのね……」

さやか「うん。ところで、用事は?」

ほむら「それよりも、行ってきなさい。まだ声かけてないんでしょ?」

さやか「私は…いいよ」

ほむら「美樹 さやか……」


139: 2013/01/03(木) 05:20:19.97
お昼

さやか「で、話しって何」

私はお昼に美樹 さやかを呼び出した。巴さんには隠れて様子を見てもらっている。これは私が話をしないといけないから。

ほむら「話しておかないといけない事があるの」

さやか「あんたも?」

ほむら「?」

さやか「何でもないよ。続けて」

ほむら「実は……」

お話中

ほむら「というわけよ」

さやか「……」

ほむら「信じて……くれたかしら?」

さやか「あんた……なんで、そんな大事なことを隠してたの」

ほむら「……話しても信じてくれないと思ったのよ」

さやか「……まあ、たしかにそうかもしれないね。じゃあ、何。私達はゾンビにされた上で、魔女予備軍っていうの?」

ほむら「……そうね」

さやか「じゃあ、マミさんはそうなることを知ってて、勧誘したの」

ほむら「巴さんはその事実を知らないわ」

知っていれば、勧誘はしない。

さやか「……巴さんね」

ほむら「?」

さやか「……教えてくれて、ありがと。で、1つ、聞いていい?」

ほむら「構わないわ」

さやか「それを言ってくれたのは……私が魔法少女だから?」

ほむら「?」

質問の意図が分からない。

ほむら「まあ……そうね」

魔法少女でなければ、こんなこと知る必要がないし。

さやか「……やっぱりね。ありがと」

ほむら「……意味が分からないわ」

私は美樹 さやかの出て行ったほうを見て、そう呟いた。


140: 2013/01/03(木) 05:20:45.28


杏子「……」パクパク

ほむら「珍しいわね。あなたが手を出さないなんて」

杏子「……今日、あいつは使い魔じゃなくて、魔女と戦ってるんだ。ちゃんとグリーフシードも落とすだろ。無駄な狩りじゃないよ」

ほむら「そんな理由で貴女が獲物を譲るなんてね」

マミ「元は良い子だから」

杏子「うるせー。…ん? チッ、あのバカ、手こずりやがって」

マミ「早く、助けに行きましょう!」

杏子「私が行くよ!」

佐倉 杏子はいの一番に結界に向かった。

マミ「私達も行きましょう」

ほむら「ええ」


141: 2013/01/03(木) 05:22:16.66
結界

魔女 エルザマリア

さやか「ぐは」

杏子「はんっ!」

佐倉 杏子は美樹 さやかにまとわりつく魔女の攻撃を槍で切り刻む。

杏子「まったく。見てらんねぇっつうの。いいからもうすっこんでなよ。手本を見せてやるからさ」
槍を構え、戦闘体勢にはいる、佐倉 杏子。

マミ「さあ、美樹さん。こっちで、佐倉さんの戦いを……美樹さん?」

さやか「……」

しかし、美樹 さやかはそれを無視して、クラウチングスタートの体勢になる

杏子「オイッ」

さやか「邪魔しないで。一人でやれるわ」 ダッ

魔女に向かって、走り出す、美樹 さやか。

エルザ「ゴムゴムノガトリング」

美樹 さやかに魔女の無数の手の攻撃が迫る。

マミ「あぶない!」

さやか「はんっ!」

美樹 さやかは避けもせず、無数の攻撃を受けながらも、剣で相手を切り刻む。

杏子「あいつ、まさか…」

さやか「あははは、ホントだ。その気になれば痛みなんて…あはは。完全に消しちゃえるんだ」

ザクッザクッザクッザクッザクッザクッザクッ

攻撃を受けながらも、何度も剣で魔女を斬りつける。

マミ「美樹さん……」

魔女「ウガガ………」

魔女は力なく、手を下ろす。

マミ「……美樹さん」

ほむら「まずいわね」

さやか「やり方さえ分かっちゃえば簡単なもんだね。これなら負ける気がしないわ」

魔女「………」ボトンッ

魔女は力尽きて、消滅し、結界は解けて、グリーフシードを落とします。


142: 2013/01/03(木) 05:22:46.27
さやか「ほらっ」ポイッ

美樹 さやかは佐倉杏子にグリーフシードを投げつける。

さやか「あげるよ。そいつが目当てなんでしょ?」

杏子「オイ…」

さやか「あんたに借りは作らないから。これでチャラ。いいわね」

マミ「美樹さん……やめましょう。魔法少女同士でいがみ合うなんて」

さやか「……別にいがみ合ってなんかいませんよ? ただ、こいつに借りを……」クラッ

マミ「美樹さん!」

ふらふらと倒れそうになりながらも、どうにか持ちこたえる。

さやか「ごめんなさい……疲れてるみたい。それじゃ」

マミ「美樹さん……」

ほむら「……」

杏子「あの馬鹿……」


143: 2013/01/03(木) 05:23:25.95
ほむら「私、美樹 さやかを送っていくわ」

マミ「そのほうがいいわね」

杏子「へっ。ほっとけばいいんだ、あんなやつ」

佐倉 杏子はきびすを返す。

杏子「打ち合わせすんだろ。行くぞ」

マミ「……」

ほむら「あなた達は先に行きなさい。私は後から行くわ」

杏子「馬鹿か? お前がいないと話し合いもないだろ」

ほむら「……」

それでも……私は……。

マミ「なら、私が……」

ほむら「それでも……私が行くわ。2人は食事でもして、待っていて」

杏子「あ、おいっ!」

私は佐倉 杏子を無視して、走り出した。

151: 2013/01/06(日) 05:13:07.95
バスの停留所

ほむら「あんな戦い方をしてはいけないわ……美樹 さやか」

美樹 さやかに追いついたのはいいけど、突然の大雨で、私と美樹 さやかは雨宿りのために停留所にいた。

さやか「…ああでもしなきゃ勝てないんですよ。あたし才能ないから」

ほむら「あんなやり方で戦ってたら、勝てたとしても、あなたのためにならないわ」

さやか「あたしの為にって何よ」

ほむら「……」

さやか「こんな姿にされた後で、何が私の為になるって言うの?」

ソウルジェムを私に見せる、美樹 さやか。

ほむら「……」

さやか「今の私はね、魔女を頃す、ただそれしかだけ意味がない石ころなのよ。氏んだ身体を動かして生きてるフリをしてるだけ。そんな私の為に、誰が何をしてくれるって言うの? 考えるだけ無意味じゃん」

ほむら「そんな言い方はやめなさい」

立場は私も同じ。だからこそ、痛みは共有できるはず。

ほむら「それは私や巴さんも同じだわ」

さやか「あはは。そうかもね。でも、あんた達には才能がある。私にはないわ」


152: 2013/01/06(日) 05:13:37.90
さやかの心の回想

QB「暁美 ほむらは底がしれないよ」

さやか「どういう意味? 普通の女のことみたいだけど。そりゃ、すごい美人ではあるけど」

QB「容姿ではないよ。彼女は一見、普通の魔力なんだけど、その奥底には世界を変えるだけの魔力を感じるんだ」

さやか「つまり……?」

QB「彼女はとてつもない才能を隠してるかもしれないってことさ」

回想終了


153: 2013/01/06(日) 05:16:27.95
ほむら「私にもないわよ」

さやか「キュウべえから聞いたわよ。あんたすごい才能を隠してるんでしょ? 私みたいな苦労をしなくても簡単に魔女をやっつけられるんでしょ?」

ほむら「私にはそんな才能は……」

さやか「ふん」

美樹 さやかは立ち上がる。

さやか「大体さ。あんた、私のこととかどうでも良いんでしょ」

ほむら「そんなことは……」

さやか「鹿目 まどか」

ほむら「!」

さやか「あんた、そいつさえ無事なら、他のことはどうでもいいんだよね。私達がどうなろうとさ」

ほむら「……」

鋭いわね……。

さやか「きっと、そいつは嫌な奴なんだろうね。他人を犠牲にしても、自分の幸せを掴ませるためにあんたに人生をかけさせてんだからさ」

ほむら「そんな言い方はやめて!!!」

私は自分でもびっくりするような声をあげた。

さやか「あんたもそんな顔ができんだね」

美樹 さやかは雨の中、外に出る。

ほむら「待ちなさい!」

さやか「……ついてこないで」

ほむら「……」ビクッ

さやか「……」ダッ

美樹 さやかは雨の中、走り出して行った



さやか「バカだよ私。何て事言ってんのよ…。もう救いようがないよ…」




154: 2013/01/06(日) 05:17:14.81
ほむホーム

ほむら「……」

美樹 さやか……。今ごろ、どうしてるのかしら。心配だわ。

杏子「おい」

ほむら「ほむ?」

杏子「作戦会議をすんだろ? 何、ぼーっとしてんのさ」

ほむら「……そうだったわね」

マミ「大丈夫、暁美さん」

ほむら「平気よ。作戦会議の前にあなたに話さなくてはいけないことがあるわ」

杏子「? ワルプルギスの夜よりも重要なことがあるのか?」

ほむら「ええ。……魔法少女についてと……私のことよ」

???「それは僕も聞きたいね」


155: 2013/01/06(日) 05:19:22.47
ほむら・マミ・杏子「「「!!」」」

QB「君は実に興味深い存在だからね」

杏子「てめえ! どの面下げて出てきやがった」

ほむら「………」

マミ「……」

QB「やれやれ、招かれざる客ってわけかい? 今夜は君たちにとって、重要なはずの情報を知らせに来たんだけどね」

杏子「はぁ?」

まさか……。

QB「美樹さやかの消耗が予想以上に早い。魔力を使うだけでなく、彼女自身が呪いを生み始めた」

杏子「誰のせいだと思ってんのさ」

マミ「ねえ、暁美さん。これって……」

ほむら「……ええ。まずいわね」

QB「このままだと、ワルプルギスの夜が来るより先に、厄介なことになるかもしれない。注意しておいた方がいいよ」

杏子「何だそりゃ。どういう意味だ?」

QB「僕じゃなくて、彼女に訊いてみたらどうだい? 君なら既に知っているんじゃないかな? 暁美ほむら」

ほむら「………」

QB「やっぱりね。どこでその知識を手に入れたのか、僕はとても興味深い。君は……」

ほむら「聞くだけのことは聞いたわ。消えなさい」

QB「僕も君のことが知りたいんだが……」

ほむら「お前に話すことなんかないわ。消えなさい」

QB「やれやれ」トテトテ

キュウベえは出て行った。


156: 2013/01/06(日) 05:21:05.96
杏子「ほっとくのかよアイツ」

ほむら「あれを頃したところで、何の解決にもならないわ」

マミ「こ、頃すのは駄目よ!」

杏子「それよりも美樹さやかだ。アイツの言ってた厄介ごとってのは何なんだ?」

ほむら「……そのことと今話をしようとしたことが関係あるの」

杏子「そうなのか」

ほむら「簡単に言えば、彼女のソウルジェムは、穢れを溜め込み過ぎたのよ。早く浄化しないと、取り返しのつかないことになる」

杏子「取り返しのつかないこと?」

ほむら「ええ。それは……」

私は魔法少女の秘密、私のこれまでの経緯を話した。

杏子「……嘘はついてないんだよな?」

ほむら「もちろん」

杏子「なら、1つ、聞きたいんだ」

ほむら「いいわよ」

いきなり、魔法少女は魔女になるとか言われたら、質問の1つや2つあるだろう。しかし、佐倉 杏子の質問は違った。

杏子「何で、お前はワルプルギスの夜と戦うんだ?」

ほむら「え?」

杏子「あんたさあ。鹿目 まどかとかいうやつを守りたいんだろ? でも、現状いないわけだ? いるかも分からない。じゃあ、何で、ワルプルギスの夜と戦うんだ?」

マミ「それはこの町の平和を守るためよ!」

杏子「マミには聞いてねえ。あたしは、こいつに聞いてるんだ」

ほむら「……」

杏子「ワルプルギスの夜との戦いでは氏ぬかもしれないんだ。中途半端な覚悟で戦いを挑むんなら、足手まといだろ」

ほむら「……じゃあ、何で、あなたは戦うの?」

杏子「魔法少女が魔女を退治するのは当たり前だろ」

ほむら「……」

いつもは利己的な彼女から、意外な答えが出できたわね。

杏子「約束もあるしな。この戦いが終われば、私の縄張りも増えるし。私にも十分にメリットはあるさ。しかし……そんな単純なことにも、あんたは何も言えなかった」

ほむら「……佐倉 杏子の言う通りかもしれないわね」

マミ「暁美さん!」

私は何のために戦うんだろう。まどかのいないこの世界で。


157: 2013/01/06(日) 05:21:52.43
ほむら「……意外だったわ」

杏子「あん?」

ほむら「魔女とかの方じゃなくて、そんな事を聞くなんて」

杏子「……そりゃ、ショックだけどさ。そんなことより、あんたが心配だっただけさ」

ほむら「え?」

杏子「何でもない」///

マミ「佐倉さん……」

何故だか、にっこりと笑う、巴さん。

ほむら「?」

杏子「まあ、今は美樹 さやかだろ」

ほむら「そうね」

マミ「明日、学校で話をしましょう」

ほむら「そうしましょう……」

美樹 さやか……。


158: 2013/01/06(日) 05:22:26.96
次の日

ほむら「昨日から……家に帰っていない?」

和子「ええ……心配だわ」

今日、休んでいた美樹 さやかが気になり、私は先生を問い詰めたら、そんな答えが返ってきた。

ほむら「……」

たしかに、今までも、あの後、家に帰っていない時もあった。しかし、まさか、ここでも……。

ほむら「先生、気分が……」

捜しに行かないと。

和子「暁美さん!」

私の手を掴む、先生。

和子「気持ちは分かるけど……授業には出なさい」

ほむら「でも……」

もたもたしていると……。

和子「大丈夫よ。きっと、美樹さんは無事でいるはずだわ。ここは大人に任せて」

ほむら「……はい」

納得はいかないけれど、私は先生の声に従った。

ほむら(まだ……大丈夫なはず。ここは杏子に任せましょう)


159: 2013/01/06(日) 05:22:54.79
放課後

マミ「手分けして捜しましょう」

ほむら「そうね」

杏子に捜索を依頼したけど、未だに美樹 さやかは見つかっていない。

ほむら「見つけたら……」

私は巴さんに覚悟を決めて言う。

ほむら「傷つけてでも……止めなさい」

マミ「傷つけるだなんて、そんな……」

ほむら「一刻の猶予もないわ。体は魔法で何とかなる。けど、ソウルジェムの穢れは……」

マミ「……分かったわ。最終手段として考えておくわ」

ほむら「……お願いね」


160: 2013/01/06(日) 05:23:38.92
駐車場

さやか「はあー!」ザクッ

使い魔「バカアアアアアアア」

さやか「はあ……はあ……」

ほむら「美樹 さやか」

さやか「……ほむら」

ほむら「どうして分からないの。ただでさえ余裕がないのだから、魔女だけを狙いなさい」

さやか「うるさい、大きなお世話よ」

ほむら「もうソウルジェムも限界のはずよ、今すぐ浄化しないと」ポイッ

私は美樹 さやかにグリーフシードを投げる。

ほむら「使いなさい」

さやか「……ふん」

美樹 さやかは足でグリーフシードを蹴る。

さやか「今度は何を企んでるのさ」

ほむら「いい加減にして。もう人を疑ってる場合じゃないでしょう。そんなに助けられるのが嫌なの?」

さやか「……見返りなんていらないよ。ただ、私だけは絶対に自分の為に魔法を使ったりしない」

ほむら「あなた、氏ぬわよ」

さやか「あたしが氏ぬとしたら、それは魔女を殺せなくなった時だけだよ。それってつまり用済みって事じゃん。ならいいんだよ。魔女に勝てないあたしなんてこの世界にはいらないよ」

ほむら「私は……」


161: 2013/01/06(日) 05:24:24.77
『あなたが必要よ』

そう口に出そうとしたけど、出せなかった。幾多の時間軸でまどかを救う上での障害としてしか考えられなかった私が言うのもおこがましい話だ。でも……このさやかとは友達になれる気がする。

ほむら「ねえどうして。貴女を助けたいだけなの。どうして信じてくれないの」

さやか「どうしてかな。ただ何となく分かっちゃうんだよね」

ほむら「……」

さやか「ほむらはさ。私やマミさんとかどうでもよかったんでしょ。鹿目 まどかって奴を救えば、私達なんて、どうなろうとどうでもいいんでしょ。ごまかし切れるもんじゃないよ、そういうの」

ほむら「私は……」

たしかにそうだった。でも……私は……。

さやか「まあ、今は多少は違うかもしれないけどさ。それでも、まだ、思ってんじゃないの?」

ほむら「ち、違う! そんなことないわ!」

さやか「どうかな?」

美樹 さやかは剣を構える。

さやか「まあ、どっちにしても、私を止めたければ、実力で止めにきてよ」

ほむら「私は……」

戦わなければいけないの? 美樹 さやかと。

ほむら「たしかに……最初はそうだったわ。でも……」

さやか「でも?」

ほむら「私は……あなたを……」

さやか「……ふん。友達だって、思ってもないくせに」

ほむら「そんなこと……くっ!?」

美樹 さやかはふらふらになりながらも、剣を投げてくる。

さやか「じゃあね」

美樹 さやかはくるりと私に背を向ける。

ほむら「くっ! 待ちなさい!」

やはり、実力行使でしかないの? 私は弓を構える。

???「やめろ!」ダキッ


162: 2013/01/06(日) 05:24:56.16
誰かに抱きつかれる。

杏子「オイ、さっさと逃げろ」

さやか「……ごめん、ほむら」

杏子「正気かテメェは。アイツを助けるんじゃなかったのかよ」

ほむら「離して! このままじゃ、美樹 さやかは!」

杏子「だからって、殺そうとすることはないだろ!」

ほむら「別に頃すつもりはないわ。足を止めようとしただけよ! そんなことより……」

もう、美樹 さやかの姿はない。

ほむら「逃がしちゃったじゃない」

杏子「お前が矢を向けるからだろ」

ほむら「あなたが邪魔をしなければ……って、今はそんな事を言い合っている場合じゃないわね」

杏子「だったな。早く、あいつを捜そう」


163: 2013/01/06(日) 05:25:51.88
マミ視点

公園

マミ「美樹さん……」

どこに行ったのかしら。

QB「やあ、マミ!」

マミ「キュウベえ……」

QB「君もさやかを捜してるのかい?」

マミ「ええ……ねえ、キュウベえ」

QB「なんだい?」

マミ「この前の暁美さんの話で……魔法少女が魔女になるって……」

QB「彼女はやはり、知っていたのか!」

マミ「やっぱり、本当なのね」

QB「間違いではないね」

マミ「どうして……言ってくれなかったの?」

QB「聞かれなかったからね。それに君の場合、言うべき状況でもなかっただろ」

マミ「それはそうだけど……キュウベえは魔女にするために皆を勧誘したの?」

QB「勘違いしないで欲しいんだが、僕らは何も、人類に対して悪意を持っている訳じゃない」

エントロピーについての説明中。


164: 2013/01/06(日) 05:26:25.65
マミ「そんな……私達はあなた達のために……」

QB「でも、よかったじゃないか!」

マミ「何が良いのよ……」

QB「君はこの町の平和を魔法少女として、守ってきたじゃないか。これで魔女になれば、この宇宙のためにもなれるんだよ!」

マミ「ふざけないで……それじゃ、私が人に危害を加えるようになる存在になるじゃない」

QB「? 君は今まで、人に貢献してきたじゃないか。なら、少しくらい迷惑をかけたっていいじゃないか」

マミ「良いわけないじゃない……」

QB「でも、この宇宙のために氏んでくれたほうが結果として、いいかもしれないよ」

マミ「キュウベえは……」

QB「?」

マミ「私が魔女になっても、良いの?」


165: 2013/01/06(日) 05:27:03.52
QB「もちろん!」

マミ「……なんとも思わないの? ずっと一緒にいたのに」

QB「??? 別に何とも、思わないよ。むしろ、何か思うのであれば、もっと、早くにエネルギー問題を解決できたんだけどね」

マミ「……そう」

目の前にいるこの子が……今まで愛らしいと思っていたこの子が……怖い。

QB「ところで、こんなところでのんびりしていていいのかい?」

マミ「あっ……美樹さんを捜さないと」

QB「しかし、さやかが魔女になれば……暁美 ほむらは絶望するかな?」

マミ「え?」

QB「彼女は実に興味深い。普段はたいした魔力ではないけれど、たまに世界を滅ぼしかねない魔力を感じる。そんな彼女が魔女になれば……僕もノルマを達成できるかもしれない」

マミ「何を言ってるの、キュウベえ……」

QB「それとも、マミが魔女になったほうがいいのかな」

マミ「キュウベえ……」

QB「そのほうが暁美ほむらもぜつぼ……」

シュパーン!


166: 2013/01/06(日) 05:27:51.21
QB「うす……」グサッグサッ

無数の矢がキュウベえを貫いた。

マミ「キュウベえ!」

ほむら「……」


167: 2013/01/06(日) 05:28:26.19
ほむら視点

ほむら「そいつの言葉に耳を貸しては駄目よ」

偶然、巴さんを発見し、様子を見に来れば、キュウベえが巴さんを動揺させようとしたいたので、反射的に矢を放ってしまった。

マミ「な、何も殺さなくても……」

ほむら「安心しなさい」

???「やれやれ」

マミ「あれは……」

QB2「こんなことまで知っていたのかい」パクパクムシャムシャ

マミ「キュ、キュウベえ!」

ほむら「こいつには無数の固体があるのよ」

QB2「キュップイ。やれやれ。本当に君には興味が尽きないよ。君が弓を使わなければ、時間遡行者とでも言ったのだろうけどね」

ほむら「消えなさい」

QB2「やれやれ。嫌われたものだね」

キュウベえはスタコラと消えていった。


168: 2013/01/06(日) 05:28:58.96
マミ「暁美さん……」

ほむら「あいつは人間の価値観とは別の価値観で生きているのよ。だから、気にしないで」スッ

マミ「グリーフシード……?」

ほむら「今ので多少は黒くなったんじゃないかしら?」

マミ「それは……大丈夫だけど」

巴さんはソウルジェムを確認すると、多少、黒くなっている程度だ。今ので、真っ黒になると思ったのだけれど。

ほむら「まあ、こんなところでのんびりしている場合じゃないわ」

マミ「そうね。……美樹さんは見つけた?」

ほむら「さっき、見つけたけど、逃がしてしまったわ。でも、次に行く場所はきっと……」

マミ「見当がついてるの?」

ほむら「たぶんね。急ぎましょう」

マミ「ええ!」

169: 2013/01/06(日) 05:29:43.04
さやか視点



さやか「……」

杏子「はあはあ……」

さやか「……」

どうやら、あいつが来たらしい。

杏子「やっと見つけた…。アンタさ、いつまで強情張ってるわけ?」

さやか「悪いね、手間かけさせちゃって」

杏子「何だよ、らしくないじゃんかよ」

さやか「うん。別にもう、どうでも良くなっちゃったからね。結局私は、一体何が大切で何を守ろうとしてたのか、もう何もかも、わけ分かんなくなっちゃった」

私はソウルジェムを取り出す。

杏子「オイ。……あっ…」

さやか「これが真っ黒になったら……魔女になるんだっけね。それもいいかもね」

杏子「何言ってんだよ!」

さやか「私はただ……ほむらと友達になりたかっただけなんだよ。傷つけるつもりなんて……」

あんたとも友達になれたかもしれないのに。私は……。


170: 2013/01/06(日) 05:31:32.39
杏子「は、早く、グリーフシードを……」

さやか「希望と絶望のバランスは差し引きゼロだって、いつだったかあんた言ってたよね。今ならそれ、よく分かるよ。確かに私は何人か救いもしたけどさ、だけどその分、心には恨みや妬みが溜まって。これから、友達に……親友になれるかもしれない人も傷つけて」

杏子「えっと……あった!」

さやか「誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪わずにはいられない。私達魔法少女って、そう言う仕組みだったんだね」

ほむら「美樹 さやか!」

マミ「美樹さん!」

杏子「お前ら!」

さやか「あたしって、ほんとバカ」 パリン

皆……ごめんね。

私の意識はそこで途絶えた。


171: 2013/01/06(日) 05:32:07.09
ほむら視点

杏子「ぐっ!?」

ほむら「くっ!?」

マミ「きゃあああああ!?」

美樹 さやかのソウルジェムは砕け散り、グリーフードになる瞬間の衝撃破か何かで私達は飛ばされる。

杏子「さやかぁぁっ!!」



QB「この国では、成長途中の女性のことを、少女って呼ぶんだろう? だったら、やがて魔女になる君たちのことは、魔法少女と呼ぶべきだよね」



172: 2013/01/06(日) 05:33:03.28
結界

魔女 オクタヴィア・フォン・ゼッケンドルフ

杏子「こいつは……」

さやか「……」

杏子「さやか!」

落ちてくる美樹 さやかを何とか抱き上げる佐倉 杏子。

マミ「……この魔女に美樹さんはやられたのよね」

ほむら「違うわ。この魔女は……」

かつて、美樹 さやかだった……。

マミ「違うわ。これは美樹さんを襲った……」ウルウル

ほむら「巴さん……」

現実を受け入れられないのね。

ほむら「これは現実よ」

マミ「……分かってるわ! でも……」

目に涙を浮かべながら、巴さんは言った。

マミ「分かってる……あれが美樹さんが魔女になった姿何でしょ」

ほむら「………ええ」

美樹 さやか……。

マミ「うう……」

オクタ「……」サッ


173: 2013/01/06(日) 05:33:47.12
魔女は車輪を出し、こちらに攻撃体勢をとる。

オクタ「ヤレー」

ほむら「くるわ!」

杏子「くそっ!」

佐倉 杏子は美樹 さやかの氏体を抱えながら、車輪を避ける。

ほむら「巴さん!」

マミ「うう……」

巴さんは美樹 さやか魔女になったことに動揺しているのだろう。未だに立ちすくんでいる。

杏子「何やってんだ、あの馬鹿!」

ほむら「危ない!」

マミ「……え?」

巴さんはようやく反応するも、車輪は巴さんに迫る。

ほむら「えいっ!」ドンッ

私は巴さんに体当たりをする。

マミ「暁美さん!」

ほむら「う……ああああああああ!!!!」グシャッ

辛うじて、直撃は避けたけど、私の右足を魔女の車輪が押し潰すように通過していった。

ほむら「うう……」

マミ「暁美さん!」

杏子(最悪だな、こりゃ)

マミ「大丈夫?」

ほむら「……魔法少女になってなければ、やばかったわね」

杏子(私はさやかを抱えているし、マミはショック状態。頼みのあいつも右足を負傷。どうしろってんだよ)


174: 2013/01/06(日) 05:34:15.76
ほむら「私が……倒すわ」ヨロヨロ

マミ「む、無茶よ、その足で」

ほむら「弓に足は関係ないわ」

と、強がるけど、足に力が入らないわね。もしかすると骨もいったかしら。

ほむら(一撃で仕留めないと……)

オクタ「ゴゴゴゴ」

再び、車輪を出す、魔女。

???『……らちゃん』


175: 2013/01/06(日) 05:34:45.05
ほむら「!」

この声は……。

まどか『……むらちゃん』

ほむら「まどか……」

マミ「えっ!?」

まどか『……こっちだよ』

ほむら「……」

これは逃げろってことかしらね。

ほむら(現状を分析しても、勝つのは厳しい……なら)

ほむら「一旦、退きましょう」

杏子「は?」

マミ「それは……できたらいいけど」

ほむら「こっち……くっ」コケッ

思いのほか、足は重症のようね。

マミ「仕方ないわね」ヒョイ

巴さんに私はお姫様抱っこをされる。でも、どうせなら、まどかに……。

ほむら「今はそんなこと考えてる場合じゃないわ」

マミ「?」

まどか『こっちだよ』

ほむら「こっちに進んで」

私は指を指す。

マミ「行くわよ、佐倉さん!」

杏子「信用できんのかよ!」

とは言うが、佐倉杏子もついてくる

オクタ「オオオオオオ」

まどか『こっちだよ』

ほむら「急いで!」

マミ「分かってるわ」

杏子「なあ、本当に大丈夫なんだよな!」

まどか『もうすぐ……ゴールだよ!』

びゅーん


176: 2013/01/06(日) 05:35:28.77


ほむら「あっ……」

マミ「出れた?」

杏子「何がどうなってやがる……」

マミ「まあ、何はともあれ、今は早く帰って、治療をしましょう」

ほむら「そうね」

杏子「……さやか」

ほむら「……」

マミ「……佐倉さん」

杏子「……あんたの言ってたことは本当だったんだな」

ほむら「……ええ」

きっと、半信半疑だったろう。まあ、素直に信じられるわけもないけど。

杏子「……こいつを元に戻せる方法は?」

ほむら「ないわ」

杏子「試したのか?」

ほむら「いいえ。でも……」

あなたはあいつに騙されて……。

ほむら「あいつの……キュウベえの言葉に耳を貸さないで……」

杏子「……」

佐倉 杏子は私達とは反対の方に歩き出す。

ほむら「佐倉 杏子!」

杏子「……」スタスタ

マミ「……佐倉さん」

杏子「……」スタスタ

マミ「氏体を扱う以上、その扱いには気をつけてね。厄介なことにもなるから」

杏子「……」ピタッ

杏子「マミ……おまえ……」

マミ「……」

杏子「……ふんっ」スタスタ


177: 2013/01/06(日) 05:35:54.41
杏子視点

QB「そうまでして氏体の鮮度を保って、一体どうするつもりだい?」

杏子「あいつはないと言っていたが、コイツのソウルジェムを取り戻す方法は?」

QB「僕の知る限りでは、無いね。ただ……」

杏子「ただ?」

QB「暁美 ほむらはおそらく、この世界の人間ではなくて、この世界の人間でもある」

杏子「は? 意味が分かんねえよ」

QB「僕も全てを把握はできていない。つまりは……」

杏子「……お前の知らないこともあるって意味か?」

キュゥべえ「そうさ。魔法少女は条理を覆す存在だ。君たちがどれ程の不条理を成し遂げたとしても、驚くには値しない」

杏子「できるんだな?」

キュゥべえ「前例はないね。だから僕にも方法は分からない。生憎だが、助言のしようがないよ」   

杏子「いらねぇよ。誰が…テメェの手助けなんか、借りるもんか」


178: 2013/01/06(日) 05:36:46.73
マミ視点

マミ「とりあえず、魔法で治療はしたけど、今日は安静にしてなさい」

ほむら「もう、平気よ」

マミ「普通だったら、片足を切断するほどの怪我よ。念のために休んでおきなさい」

ほむら「……仕方がないわね」

マミ「それじゃ、行ってくるわね。何かあったら、連絡するのよ」

ほむら「……分かってるわ」




179: 2013/01/06(日) 05:37:13.02
マミ「……美樹さん」

事前に話を聞いていてよかった。聞いていなければ、今頃は……。まあ、それでも、ショックには違いないけど。

杏子「……マミ」

マミ「……佐倉さん」

登校する私の前に佐倉さんが……。

杏子「話があんだ。来てくれ」

マミ「……分かったわ」

きっと、昨日のことでしょうね。


180: 2013/01/06(日) 05:37:42.44
ある街角

マミ「で、話って?」

杏子「美樹さやか。助けたいと思わない?」

マミ「えっ? 助けられる…の?」

杏子「助けられないとしたら、放っとくのか?」

マミ「そんなことはないわ」

杏子「わるい。妙な訊き方しちゃったな。バカと思うかもしれないけど、アタシはね。本当に助けられないのかどうか、それを確かめるまで、諦めたくない」

マミ「佐倉さん……」

杏子「アイツは魔女になっちまったけど、想い人……上條だっけか。そいつの声ぐらいは覚えてるかもしれない。呼びかけたら、人間だった頃の記憶を取り戻すかもしれないだろ」

マミ「想い人についてはよく知らないけど……一般人を巻き込むの?」

杏子「私だって、なるべくなら、嫌さ。でも……」

マミ「あなたの気持ちは分かるわ。たしかに可能性はあるかもしれない。でも……魔女になった姿を想い人に見られたいかしら」

杏子「それは……」

マミ「だから、私達、2人で行きましょう」

杏子「マミ……」

マミ「今は昔のことは忘れて………ね」

杏子「……しかし、私達、2人で何とかなるか? 私は嫌われてただろうし、あんただって、付き合いが長いわけないだろ」

マミ「そこはほら。魂の叫びってやつで何とかしましょう」

杏子「魂の叫びって……何言ってんだよ、あんた」

マミ「大切なのは付き合いの長さではないわ。私達の気持ちよ」

杏子「……たしかにな。……もしかしたら、あの魔女を真っ二つにしてやったらさ、中からグリーフシードの代わりに、さやかのソウルジェムがポロッと落ちてくるとかさ。そういうもんじゃん? 最後に愛と勇気が勝つストーリー、ってのは」

マミ「佐倉さん……」

杏子「アタシだって、考えてみたらそういうのに憧れて魔法少女になったんだよね。すっかり忘れてたけど、さやかはそれを思い出させてくれた」

マミ「……戻ってきてくれたのね」

昔の佐倉さんが。

杏子「で! 本当に大丈夫なんだよな!」///

マミ「もちろんよ。学校より大切なことだもの」

杏子「よし。じゃあ、行くか」

マミ「ええ」

マミ(ごめんね、佐倉さん)

私は1つ、嘘をついた。私は……。

マミ(いざとなれば……美樹さんを……)


181: 2013/01/06(日) 05:38:59.35
ほむら視点

ほむら「いざ、休みとなるとやることがないわね」

今までやることが多すぎたわけだし。

ほむら「まどかを捜しに行きたいのだけど」

この時間から中学生が歩き回るのもあれだし。

ほむら「……美樹 さやか」

私は……きっと、さやかを助けられたはずだ。でも、結果は……。

ほむら「……考えても仕方がないわ」

今更、悔やんでも、美樹 さやかが戻ってくるはずはない。

ほむら「それでも……」

一言、謝りたかったわね。

ほむら「……もう少し、寝ようかしら」

起きていても、暗い考えしか浮かばないし。

まどか『……』

ほむら「まどか!?」

私の目の前のベッドの上にまどかがうっすらと現れます。

まどか『まどか、違うよぉ。私は円環の理!』エッヘン

そのフレーズ、気に入ってるのかしら。

まどか『そんなことより……』

まどかは緊張感のある表情になります。

まどか『約束……』

ほむら「……ごめんなさい」

美樹 さやかを助けられなかった……。

ほむら「私は……あなたとの約束を……」

まどか『……ほむらちゃん。まだ、完全には破ってないよ』

ほむら「え?」

まどか『マミさんや杏子ちゃんがいるよ』

ほむら「……そうね」

美樹 さやかは助けられなかったけど……。

ほむら「あの2人は助けたいわね」

まどか『頑張って!』

ほむら「ありがと、まどか」

まどか『円環の理!』

ほむら「ありがと、円環の理」

まどか『ウェヒヒ……って、忘れてた。マミさん達がさやかちゃんを、ううん、さやかちゃんだったものを……』

QB「やあ、暁美 ほむら」


182: 2013/01/06(日) 05:39:34.23
ほむら「……何かしら」

せっかくのまどかとの会話を邪魔する、この淫獣め。

ほむら「私は忙しいのよ」

QB「? 何に忙しいんだい?」

ほむら「見れば、分からない? あなたとは到底比べ物にならないほどの大切な人との会話よ」

QB「??? 誰もいないじゃないか?」

ほむら「何を言ってるの? そこに……あれ?」

さっきまで、まどかがいた場所には誰もいない。

QB「そこに誰かいたのかい?」

ほむら「……何か用?」

QB「特に用はないよ」

QB(あえて言えば、足止めだね)

ほむら「……そう」

ほむら(さっき、まどかは美樹 さやかとか何とか言ってたけど……)

たしか、だったものとか言い直してたわね。巴さん達が……。

ほむら「……まさか!」


183: 2013/01/06(日) 05:40:23.67
マミ視点

マミ「暁美さんには手伝ってとかは言わなかったの?」

杏子「アイツはそういうタマじゃないよ」

マミ「そうかしら?」

頼めば、来てくれると思うけど。昨日の怪我もあるから、行かせはしないけど。

杏子「ああ」

マミ「……そう」

杏子「あいつはどこか、私達と距離を置いてる気がする」

マミ「……」

否定はできないわね。

杏子「でも……まあ、マミは違うな」

マミ「え?」

杏子「何となく……あんたには心を開いていてきてるような気がするな」

マミ「そ、そうかしら?」///

杏子「……ここだな」

マミ「……そうね」

杏子「へんっ」ヘンシン

マミ「……」ヘンシン

私達は結界の中に足を踏み入れた。

188: 2013/01/13(日) 05:19:01.01
結界

杏子「打ち合わせ通りにな」

マミ「ええ。基本は守備重視。耐えて、叫んで、耐えて、叫んでの繰り返しね」

杏子「持久戦になるからな」

マミ「分かってるわ」

杏子「なら、よ……来るぞっ!」

マミ「ええ!」


189: 2013/01/13(日) 05:20:55.67
魔女 オクタヴィア・フォン・ゼッケンドルフ

オクタ「コンニチワ」

杏子「行くぞっ!」

マミ「美樹さん! 私よ! 巴 マミよ!」

オクタ「サヤカチャンデース」

魔女は手を上げると、たくさんの車輪が現れる。

杏子「来るぞ、備えろ!」

マミ「分かってるわ!」

暁美さんを傷つけた、車輪の攻撃が私達に迫る。

杏子「チッ。魔女になっても、聞き分けの悪い、奴だぜ!」

車輪を槍でさばきながら、叫ぶ、佐倉さん。

マミ「やめて! もうやめて! 美樹さん!」

オクタ「イヤデス。ヤッテヤルデス」

今度は倍の車輪を出す、魔女。

マミ「持久戦とは言ったけど……これはきついわね」

やるしか……ないのかしらね。

杏子「ハッ、いつぞやのお返しかい?そういえばアタシたち、最初は頃し合う仲だったっけね」

車輪がゴロゴロと私達に向かって転がってくる。

杏子「生温いって、あの時アタシがもっとぶちのめしても、アンタは立ち上がってきたじゃんかよ。怒ってんだろ?何もかも許せないんだろ? わかるよ…それで気が済んだら目ェ覚ましなよ、なぁ」   

マミ「佐倉さん……美樹さん! あなた、言ってたわよね、大切な人を守りたいって……こんなことがしかったわけじゃないわよね!」

私も負けじと叫ぶ。

杏子「アンタ、信じてるって言ってたじゃないか!この力で、人を幸せにでき……ぐっ!」

車輪の攻撃が佐倉さんに何度も命中する。

マミ「佐倉さん!」

杏子「馬鹿! よそ見するな! 私はだい……」


190: 2013/01/13(日) 05:21:51.23
オクタ「ウルサイ!」

マミ「きゃああああああ」

魔女は私を手づかみで持ち上げる。

マミ「うう……」

杏子「さやかっ!!」

佐倉さんは魔女の手を槍で切りつけ、手が切断される。すると、結界が反転、景色が変わる。

マミ「佐倉さん!」

杏子「大丈夫……か?」

マミ「え、ええ」

杏子「なら、よかった。……頼むよ神様、こんな人生だったんだ。せめて一度ぐらい、幸せな夢を見させて」

オクタ「マルデヒトガゴミノヨウダ」

魔女は再びの車輪攻撃に入ろうとするも、

びしゅっ! びしゅっ!

オクタ「ウガアフェwファファ」

魔女の手に無数の矢が突き刺さる。

マミ「この攻撃は……」

杏子「……あいつか」

ほむら「間に合ったようね」


191: 2013/01/13(日) 05:22:37.27
ほむら視点

オクタ「マタヘンナノアラワレタ」

ほむら「あなた達……」

マミ「暁美さん……」

ほむら「どうして、こんな無茶を……」

杏子「……私はさやかを取り戻したいだけだよ」

ほむら「言ったはずよ。そんな方法はないわ」

杏子「……諦めたくなかったんだよ」

ほむら「……杏子」

杏子「……やっと、名前で呼んでくれたな」

杏子は練縛結界(後で調べる)を張る。

マミ「佐倉さん!」

杏子「さっさと、マミ……マミさんを連れて、逃げな!」

マミ「佐倉さん!」

ほむら「……」

杏子「マミさん……あんた、初めから、こいつを倒すために来たんだろ」

マミ「それは……」

杏子「でも、あんたにはできなかったんだろ? まあ、それでいいさ。あんたはその心を持っていてくれれば。師匠ができないことは、弟子のあたしがやるさ」

マミ「佐倉さん……」

杏子「行きな。こいつはアタシが引き受ける!」

マミ「まっ……」

ほむら「行くわよ、巴さん」

マミ「暁美さん! 佐倉さんを……」

ほむら「……今ここで、止めたら、彼女の覚悟も踏みにじることになるわ。それに……今の彼女の結界は私も打ち破れそうにないわ」

私は巴さんをお姫さまだっこにする。

杏子「……サンキュウな」

ほむら「……杏子」

私は振り返り、走り出す。



オクタ「ニゲラレタ!」

杏子「心配すんなよさやか。一人ぼっちは…寂しいもんな。いいよ、一緒にいてやるよ。さやか」


192: 2013/01/13(日) 05:25:02.49
結界外

ほむら「……杏子」

マミ「……佐倉さん」

ほむホーム

ほむら「怪我はないかしら?」

マミ「ええ……。私は大丈夫。それより、暁美さんの足は?」

ほむら「平気よ。……ねえ、佐倉 杏子に美樹 さやかを本当に救える望みがあったの?」

私はそこで見ている、白い淫獣に話しかける。

QB「まさか、そんなの不可能に決まってるじゃないか」

マミ「えっ!?」

ほむら「なら、どうしてあの子を止めなかったの?」

マミ「暁美さん。さすがにこれはキュウベえも知らなかったんじゃないかしら? 佐倉さんの独断で……」

QB「残念だけど、僕は知っていたよ。相談もされたしね」

マミ「じゃ、じゃあ……」

QB「もちろん、無駄な犠牲だったら止めただろうさ。でも今回、彼女の脱落には、大きな意味があったからね。これでもうワルプルギスの夜に立ち向かえる魔法少女は、君とマミだけになった」

ほむら「……」

QB「2人なら、ワルプルギスの夜を倒すのにも苦労しそうだからね。君の隠された潜在能力を見れるかもしれない」

QB(それで倒せても、魔女になれば、よし。潜在能力が出なくても、ワルプルギスの夜の力の前に絶望してもよしだし)

マミ「そ、そんな……そんなことのために、佐倉さんを見捨てたの、キュウベえ……」

QB「見捨てたとは人聞きが悪いなあ」

ほむら「あなた達の……思い通りにはさせないわ。インキュベーター」

QB「キュップイ」




193: 2013/01/13(日) 05:25:31.03
キャスター「12日より行方が分からなくなっていた、市立見滝原中学校2年生の美樹さやかさんが、本日未明、市内のホテルで遺体となって発見されました。発見現場にも争った痕跡が無いことから、警察では、事件と事故の両面で捜査を進めています」

キャスター「続いて、天気予報です」

お天気お姉さん「明日は快晴ですが、夜からは北西の風がやや強く、雨――」」




194: 2013/01/13(日) 05:26:38.25
マミ「明日、出かけましょう」

ほむら「……何を言ってるの」

美樹 さやかや佐倉 杏子を失ったばかりなのに。それに、もうすぐ、ワルプルギスの夜も来る。

マミ「もうすぐ、ワルプルギスの夜が来るからよ。鋭気を養うためにね」

ほむら「……そんな気分じゃないわ」

美樹 さやかだけではなく、佐倉 杏子まで、私は救えなかった。まどかとの約束が……。

マミ「遊園地に行きましょう」

ほむら「人の話しを聞いてるの?」

マミ「お金は大丈夫だから、安心して」

ほむら「だから……」

マミ「もう2度と行けるか、分からないから」

ほむら「……」

マミ「ね?」

ほむら「……分かったわ」


195: 2013/01/13(日) 05:27:35.81
マミ「駅で待ち合わせにしましょうか」

ほむら「普通に一緒に出ればいいじゃない」

マミ「それもいいけど、待ち合わせにしたほうがデートって感じがしない?」

ほむら「私達、同性同士よ。わけがわからないわ」

でも、まどかとはしてみたいわね。

マミ「でも、暁美さん、男らしいし、男装しても、違和感が……」

ほむら「それは胸かしら? 胸のことよね」

マミ「じょ、冗談よ」

マミ(一瞬にして、すごい殺気が……)

マミ「待ち合わせにしたほうが友達に遊びにいくって感じがしない?」

ほむら「それはそうね」

マミ「あんまり、そういうことをしなかったから、行きたいの」

ほむら「……分かったわ。明日、9時に駅で待ち合わせにしましょう」

マミ「ありがとう! 明日が楽しみね!」


196: 2013/01/13(日) 05:28:18.59
次の日

ほむら「……」

何だかんだで、私は7時30分くらいには家を出てしまった。この分では、8時にはついてしまうだろう。

ほむら「別に楽しみにしてるわけではないわ」

待ち合わせに遅れるわけにもいかないし。



ほむら「……何でいるのよ」

マミ「おはよう、暁美さん」

ほむら「何時からいるの……?」

マミ「7時くらいかしら?」

ほむら「早すぎよ」

マミ「暁美さんを待たせるのは悪いし」

ほむら「私はそんなに早くは来ないわ」

マミ「そうかしら? まだ、1時間前よ」

ほむら「……さすがに2時間前には来ないわよ」

1時間前も大概だけど。

マミ「まあ、まだ、早いけど、行きましょうか」

ほむら「そうね」


197: 2013/01/13(日) 05:29:13.11
遊園地

マミ「ついたわ!」

ほむら「……」

しかし、巴さんの意図が分からないわね。一昨日は美樹 さやか、昨日は佐倉杏子が亡くなってるのに、遊園地だなんて……私も気が滅入ってるのに。

マミ「まずはこの遊園地名物! ジェットコースターに乗りましょう!」

ほむら「はいはい、ジェットコースターね………ジェットコースター?」

マミ「ええ! 何でも、殺人事件があって、高校生の探偵が解決したとか」

ほむら「探偵って、そういう仕事だったかしら?」

いいえ、そんなことより……。

ほむら「ジェットコースターはやめましょう」

マミ「どうしてかしら?」

ほむら「私は心臓が悪いのよ」

マミ「? それが?」

ほむら「飲み込みが悪いわね。心臓に悪いのに乗ったら、大変でしょ」ホムッ

マミ「あなた、魔法少女じゃない」

ほむら「……」

痛いところをつかれたわね。

マミ「さては怖いの?」

ほむら「そんなわけはないわ」ファサ

マミ「じゃあ、乗りましょう」

ほむら「望むところよ」

ジェットコースター乗り場

マミ「1番前に座れたわね」

ほむら「そ、そ、そうみたいね」

ほむら(感覚を消そうかしら。いえ、無駄に魔力を消費できないわよね)

マミ「発車するわよ」

ほむら「ええっ!? こ、心の準備を……きゃあああああああああああ」




198: 2013/01/13(日) 05:29:39.84
ほむら「」

マミ「大丈夫かしら?」

ほむら「こ、こんなの、たいしたことないわ」

マミ「まったく、説得力がないのだけど」

ほむら「い、いいから、次に行きましょう」

マミ「少し、休んだほうが……」

ほむら「わ、私は大丈夫だから」

マミ「……なら、少し、ソフトなのにしましょう」

ほむら「そ、それがいいわね」

マミ「次は……お化け屋敷ね」

ほむら「」


199: 2013/01/13(日) 05:30:53.41
ほむら「……待ちなさい、巴さん」

マミ「何かしら?」

ほむら「お化け屋敷はまずいわ」

マミ「何がかしら?」

ほむら「私……心臓が弱いの」

マミ「さっきも言ってたわね」

ほむら「別にお化け屋敷が怖いわけではないけど、急にびっくりするのって、心臓によくないと想うの。下手したら、氏んでしまうわ。けっして、怖いわけではないけど」ホム

マミ「あなた、魔法少女じゃない」

ほむら「……」

また、論破されてしまったわ。

マミ「でも、怖いのなら、やめておくわ」

ほむら「そんなわけないわ」ファサ

マミ「なら、行きましょう」

ほむら「望むところよ」

お化け屋敷

マミ「暁美さん……」

ほむら「何かしら」

マミ「あんまり、くっつかれると、歩きづらいのだけど」

ほむら「あなたが怖がらないようにしてるのよ。感謝しな……」

おばけ「わっ!」

ほむら「ほむううううううううううううううう」ダキッ

マミ「きゃっ!?」


200: 2013/01/13(日) 05:32:10.61
お昼

ほむら「」

マミ「大丈夫?」

ほむら「へ、平気よ」

お化け屋敷に続いて、ハードなのばかり。私の体がもたないわ。

マミ「少し、早いけど、お弁当にしましょうか」

ほむら「……いいわね」

正直食欲はないけど、これ以上、乗り物に乗ったら、私の体がもたないわ。

ほむら「じゃあ、どこで……」

マミ「あの……お弁当を作ってきたの」

ほむら「お弁当?」

マミ「ええ……飲み物でも買って、食べましょう」

ほむら「そうね」




201: 2013/01/13(日) 05:32:48.79
マミ「では……」

マミ・ほむら「「いただきます」」

私達は適当なベンチで昼食を取ります。

マミ「サンドイッチを作ってきたの」

ほむら「いただくわ」ホムホム

マミ「どうかしら?」

ほむら「……美味しいわ」

マミ「よかった」ホッ

ほむら「これは私もお返しをしないといけないわね」

マミ「暁美さんも何か作ってきたのかしら?」

ほむら「はい」

マミ「これは……ホットドック。すごい物を作ってきたのね」

ほむら「そうかしら?」

マミ「こういう場面でホットドックを作ってくるヒロインは見たことがないわ」

ほむら「言われてみれば、たしかに、私も見たことがないわ」

マミ「でしょ?」

ほむら「かく言う私もそこで買ったんだけどね」ホムホム

マミ「ええっ!?」


202: 2013/01/13(日) 05:33:54.68
夕方

ほむら「……」グッタリ

マミ「楽しかったわね」

ほむら「……そうね」

疲れる一日だったわね。

マミ「最後に観覧車に乗りましょうか」

ほむら「……分かったわ」

今日、1番、ゆったりした乗り物だし。


203: 2013/01/13(日) 05:34:23.86
観覧車

マミ「綺麗ねえ」

ほむら「そうね……」

外は夕焼けのオレンジ色で、私達の町が一望できる。

マミ「……少しは気分は晴れたかしら?」

ほむら「え?」

マミ「美樹さんや佐倉さんのこと……自分のせいだって思ってない?」

ほむら「……」

マミ「あなたのせいじゃないわ。あれは仕方がなかったのよ」

ほむら「……分かったことを言わないで」

マミ「……」

ほむら「私は知っていた……この結末を。知っていて、何もできなかった。いえ……」

しなかったと言ってもいいかもしれない。思えば、この時間軸では美樹 さやかは私に手を伸ばしていた。それをとらなかったのは自分だ。私がしっかりしていたら……。

マミ「……そう。未来を知ってるってことは不幸でもあるのね」

ほむら「何を言ってるの……」

マミ「未来を知っているがゆえにそれを変えられないことが自分のせいだと思ってしまう。でもね、未来を知っていたとしても……何もできないこともあるのよ」

ほむら「……」

マミ「あの2人は……たしかに暁美さんが何とかしてれば、助かったかもしれない。でも、逆にそれでも、助けられなかったかもしれない。そんなことは誰にも分からないわ」

ほむら「……」

マミ「暁美さんは……よくやっていたと思うわ。だから、これは仕方がないことだったの」

ほむら「……」

そう言ってくれるのは嬉しいけど……。

マミ「……ねえ、見て。この景色」

巴さんは外を見る。

マミ「この街に……美樹さんや佐倉さんがいたの」

ほむら「……」

マミ「私は……この街を守りたい。ねえ、暁美さん」

巴さんは眩しい笑顔を私に向ける。

マミ「戦う理由……見つけられた?」


204: 2013/01/13(日) 05:34:50.91
葬式会場前

観覧車を降りて、巴さんと別れ、会場前で私は美樹 さやかの写真を見つめる。

ほむら「……美樹 さやか」

あなたは私を恨んでいるのかしら? 

ほむら「……まどか」

私はどうしたら、いいの。


205: 2013/01/13(日) 05:35:20.47
ワルプルギスの夜の当日

マミ「ついに来たわね」

ほむら「……そうね」

結局、答えを見つけられずに、当日を迎えてしまった。

マミ「……ねえ、暁美さん」

ほむら「……何かしら?」

マミ「怖かったら、逃げてもいいのよ」

ほむら「……冗談、言わないで」

逃げても、よかったのかもしれない。でも、そんな気にはなれなかった。

ほむら「……巴さんは」

マミ「?」

ほむら「怖くないの?」

マミ「……そりゃ、怖いわよ。私、そんなに精神的に強くないし、暁美さんには助けられてばかりだし」

ほむら「……」

マミ「本当は逃げたいわよ。でも、私はこの街を守りたいの」

ほむら「……何があなたをそこまで……」

マミ「……この戦いが終わったら、また、遊園地に行きましょう」

ほむら「え?」

マミ「遊園地だけじゃない。映画やお買い物にも行きましょう」

ほむら「な、何を突然……」

マミ「約束よ。氏なないでね。暁美さんとはやりたいことがいっぱいあるんだから」

ほむら「………」


206: 2013/01/13(日) 05:36:45.80
QB「のんきにおしゃべりをしてる場合かい?」

ほむら「……インキュベーター」

QB「後、少しで来るよ」



マミ「いよいよね」ヘンシン



ほむら「今度こそ……」ヘンシン



QB(倒しても、倒さなくても、僕の目的は達成されそうだね)



マミ(この戦い……必ず、勝つわ)



ほむら(……まどか)


207: 2013/01/13(日) 05:37:54.90
魔女 ??? 通称・ワルプルギスの夜 舞台装置の魔女

ワルプルギス「アハハハハハハハ」

マミ「行くわよ、暁美さん!」

ほむら「……ええ」

私達はワルプルギスの夜に向かっていった。

マミ「喰らいなさい!」バンッバンッ

巴さんは先手を打って、マスケット銃でワルプルギスの夜に攻撃を仕掛ける。

ワルプルギス「???」

マミ「くっ……効いてない」

ほむら「なら、私が!」ピシュッピシュッ

私の矢がワルプルギスの身体に命中する。

ワルプルギス「???」

ほむら「……まったく、効いていない」

もっと、近づかないと駄目ね。

ワルプルギス「アハハハハハハ」

マミ「来るわ!」

ワルプルギス「アハハハハ」ビューン

ほむら「あぶないっ!」

ワルプルギスの夜の火炎のような攻撃を私達は横にかわす。

使い魔「キャハハハハ」

使い魔「ウィヒヒヒ」

その攻撃とともに使い魔たちが現れる。

ほむら「巴さん! こいつらを倒しながら、接近して、ワルプルギスに攻撃しましょう!」

マミ「ええ!」


208: 2013/01/13(日) 05:38:21.33
ワルプルギス「アハハハハハ」

私達はワルプルギスの夜の笑い声をBGMにビルの上から上に移動して、ワルプルギスの夜に接近する。

使い魔「ウィヒヒヒヒ」

ほむら「邪魔よ!」ビシュッ

使い魔「ウギャアアアア」

使い魔「キャハハハハ」

マミ「喰らいなさい!」バンッバンッ

使い魔「ギャハー」

ほむら「しつこいわね」

倒しても、倒しても、使い魔が現れる。

ワルプルギス「アハハハハハ」

ほむら「むかつく笑いね」ビシュッ

使い魔「ウギャアアア」

私達は順調にビルからビルに移動して、ワルプルギスの夜に接近していく。

ほむら「この距離なら……」ピシュッビシュッ

ワルプルギス「アハハハハハハハ」ズバッズバッ

私の矢がワルプルギスの体を貫く。


209: 2013/01/13(日) 05:38:47.17
マミ「いけるわね!」

巴さんはマスケット銃を無数に空中に出す。

マミ「無限の魔弾(ヴァロットラマギカエドゥーインフィニータ)!」バンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッ

たくさんの銃弾がワルプルギスの夜に命中する。

マミ「そして!」

大砲のような巨大な銃を出す。

ほむら「あの技は……」

マミ「ティロ・フィナーレ!!!」ドーン

連続の攻撃からのティロ・フィナーレ。これなら……。

マミ「ふう。これでおわりね」スタッ

QB「いい一撃だったね、マミ」

マミ「キュウベえ……」

こんなところにまで現れるなんて、まさにゴキブリね。

QB「でも……」

巴さんの攻撃による煙が晴れていく。

QB「ワルプルギスの夜には通じてはいないね」

ワルプルギス「アハハハハハ」


210: 2013/01/13(日) 05:40:10.67
マミ「なっ!?」

ほむら「……流石の耐久力ね」

マミ「なら、もう1度!」

マミ「無限の魔弾(ヴァロットラマギカエドゥーインフィニータ)!」バンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッ

たくさんの銃弾がワルプルギスの夜に命中する。

マミ「そして!」

大砲のような巨大な銃を出す。

マミ「ティロ・フィナーレ!!!」ドーン

マミ「今度は……」

ワルプルギス「アハハハハハハ」

マミ「そんな……」

QB「マミのあの攻撃を2度も受けきるなんて、流石はワルプルギスの夜だね」

ワルプルギス「アハハハハハハ」ビルヲモチアゲル

ほむら「!? まずい……巴さん!」

ワルプルギス「アハハハ」ビルハッシャ

マミ「!?」


211: 2013/01/13(日) 05:40:47.35
巴さんはようやく、ワルプルギスの夜の攻撃に気づく。

ほむら(このままでは間に合わない)

ほむら「巴さん!」ヒョイッ

私は巴さんをお姫さまだっこにする。

マミ「暁美さん!?」

ほむら「隣のビルに!」ジャンプ

ガシャーン!!

私達がビルから脱出すると同時にビルが激突する。キュウベえもいた気がするが、ざまあみろよ。

ほむら「ん!?」

何とか、隣のビルに届きそうなところで、予想より早く、勢いを失う。

ほむら「くっ!?」

隣のビルにつくも、ギリギリのはしっこ。一歩間違えれば、届かず……。

ピキッ

ほむら「!?」

私の着地と同時に地面がヒビが入ります。

ほむら「まずい!?」

このままじゃ、落ちるわ!


212: 2013/01/13(日) 05:41:15.21
ほむら「……えいっ!」ポイッ

私は咄嗟に巴さんを放り投げた。

マミ「暁美さん!?」

ほむら「……」グラッ

ガシャン

足元が崩れ、瓦礫とともに私も地面にまっ逆さまに落ちる。

マミ「暁美さん!」サッ

巴さんは私に手を伸ばすが……すでに遅かった。


213: 2013/01/13(日) 05:41:44.22
マミ視点

マミ「あ、暁美さん……」ガクッ

私はショックで膝をつく。

QB「この高さから、落ちては助からないね」

マミ「……キュウベえ」

QB「やれやれ。せっかくのチャンスだったのに」

マミ「……暁美さん」

使い魔「ウィヒヒヒ」

使い魔「イヒヒヒ」

QB「落ち込んでる暇はないよ。使い魔達が集まってきたよ」

マミ「……分かってるわ」

私は意を決して立ち上がった。


214: 2013/01/13(日) 05:42:12.81
ほむら視点

ほむら「……」

ほむら(このまま頭から落ちたら、いくら魔法少女とはいえ、氏ぬのかしらね)

ソウルジェムが砕かれない限り、氏なないといっても、頭がなくなれば……。

ほむら(それでも、生きてるのかしらね)

時が止められれば、足から、着地もできたかもしれないけれど。

ほむら「……」

私は……ここで氏ぬの? 約束を何も守れないまま……。

ほむら「ごめんなさい…………まどか……」ウルッ

――――――――――――――――――――――――

ほむら「じゃあ、約束しましょう。私達はワルプルギスの夜を倒して、一緒にまどかを捜すの」

マミ「ええ。約束よ」

――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――

マミ「遊園地だけじゃない。映画やお買い物にも行きましょう」

ほむら「な、何を突然……」

マミ「約束よ。氏なないでね。暁美さんとはやりたいことがいっぱいあるんだから」

――――――――――――――――――――――――

ほむら「ごめんなさい……巴さん」

私の意識はここで途絶えた。




215: 2013/01/13(日) 05:42:41.94
???『……むらちゃん』

ほむら「んん……」

???『……むら』

???『……むら!!』

ほむら「……うるさいわね」

私は目をこすりながら、目を覚ます。

ほむら「もう、朝……ここは?」

どこかの暗闇? そういえば、私はワルプルギスの夜と戦っていたはず……。

???『ほむらちゃん』

ほむら「この声は……」

私は声をしたほうに振り向く。

まどか『ほむらちゃん』

ほむら「まどか……!」

さやか『ほむら』

ほむら「美樹 さやか……」

杏子『ほむら』

ほむら「佐倉 杏子……」

……そうか。ここはあの世なのね。私は氏んだのね。

まどか『頑張ったね、ほむらちゃん』スッ

まどかは笑顔で私に手を差し出す。

ほむら「……まどか」

私は……。


216: 2013/01/13(日) 05:43:22.72
分岐点

1 手を取った場合。

ほむら「まどか!」ガチッ

私はまどかの手を取った。

ほむら「辛かったよ……まどか……会いたかった」

まどか『……』

ほむら「まどか……」

まどか『……やっぱり、駄目だったんだね』

ほむら「!?」

突然、まどかの声が変わった? 

まどか『やっぱり、君にはまどかは救えないんだね』

目の前にはまどかの格好をして、顔がインキュベータの変な奴がいた。

ほむら「インキュベータ……」

ガシャン!!!


217: 2013/01/13(日) 05:43:49.40
マミ視点

マミ「ここに暁美さんが落ちたはず……」

私はワルプルギスの夜の攻撃をかわしながら、暁美さんが落ちた場所を目指してきた。

マミ「暁美さーん!」

ほむら「うう……」

マミ「暁美さん!」

うつぶせに立ち上がろうとする、暁美さん。

マミ「生きているのね……」

思いのほか、無傷でびっくりね。

ほむら「……ここは」

目を覚ましたみたいね。

マミ「暁美さ……」

ほむら「!? まどか!」ダキッ

マミ「あ、暁美さん!?」

ほむら「まどか……会いたかった」

マミ「まどか? ここには……」

私しか……。

マミ「まさか……」


218: 2013/01/13(日) 05:44:39.02
エピローグ

ほむら視点

1ヵ月後

避難所

ほむら「おはよう、まどか」

まどか「おはよう、ほむらちゃん」

ほむら「今日もいい天気ね」

まどか「そうだね」

ほむら「……あれから、1ヵ月ね」

まどか「……そうね」

結論から言えば、私はワルプルギスの夜を倒せなかった。その結果、街には重大な被害が及んで、壊滅状態だけど……。

ほむら「あなたがいるのが救いね、まどか」

まどか「ティヒヒ、ありがと、ほむらちゃん」

ほむら「……これで巴さんがいれば……」

巴さんはあの戦いで……。氏体すら、見つかっていない。

まどか「……ほむらちゃん」

ほむら「まどか……」ダキッ

私はまどかに抱きつき、胸に顔をうずめる。

ほむら「……少し見ない間に、すごく胸が大きくなったわよね」

まどか「そうかな?」

ほむら「そうよ。まるで、巴さんみたい」

まどか「……私はまどかだよ」

ほむら「……知ってるわ」

まどか「……わた……巴さんっていう人は氏んじゃったんだよ」

ほむら「……ええ。まどかの胸に抱きついていたら、気持ちよくなっちゃった。少し、寝るわ」

まどか「おやすみ、ほむらちゃん」



QB「いつまで、こんな茶番を続けるんだい、マミ」

マミ「茶番じゃないわ。これでいいのよ……これが彼女の幸せなのよ」

END


219: 2013/01/13(日) 05:45:28.85
今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

別ENDは明日に

226: 2013/01/14(月) 05:19:58.87
手を取らなかった場合

ほむら「……」

まどか『……ほむらちゃん?』

――――――――――――

マミ『暁美さん』

――――――――――――

ほむら「……ごめんなさい」

私はまどかに出そうとした手を引っ込める。

ほむら「この手は取れないわ」

まどか『……どうして?』

ほむら「……約束があるからよ」

約束を守るためには私は生きなければならない。こんなところで氏ぬわけには行かない。

まどか『……私との約束よりも大事なの?』

ほむら「……それは比べられないわ。どちらも大事な約束だから」

まどか『ここで手を取らなかったら、私の約束を守れないかもしれないんだよ』

ほむら「……」


227: 2013/01/14(月) 05:20:30.56
さやか『……約束のためだけにまどかの手を取らないの?』

杏子『結局、あんたはそうなのか?』

ほむら「……私は」

手を取ろうとして……その手を下ろした。

ほむら「私は……この街を救いたい。み……さやかや杏子がいた……巴さんのいるこの街を! だから、私は……」

この手を取ったら、私は……2度と戻れない気がしたから。

ほむら「……ごめんなさい」

まどか『……謝ることなんかないよ』ニコッ

ほむら「まどか……」

まどかの笑顔は優しくて、暖かった。

さやか『いいんじゃない?』

ほむら「さやか……」



228: 2013/01/14(月) 05:21:03.16
杏子『やれるもんならやってみなよ』

ほむら「……杏子」

杏子『戦う理由、見つけたんだろ? 逃げないって自分で決めたんだろ? なら仕方ないじゃん。後はもう、とことん突っ走るしかねぇんだからさ』

ほむら「……でも、まどかは」

まどか『?』

ほむら「怒ってないの? 私、あなたとの約束を……」

この場を逃せば、もう2度と会えない気がした。

まどか『……ううん。怒ってないよ』ニコッ

変わらない笑顔を浮かべるまどか。

まどか『友達が悩んで決めた、最高の選択なんだよ。怒るわけないよ』

ほむら「まどか……」

さやか『さあ、ごちゃごちゃ言ってないで』

さやかは私をくるりと回転させる。

さやか『さっさと、行ってきなよ。ほむらはいつまでも、ここにいるべきじゃないんだしさ』

ほむら「さやか……」

杏子『ちゃっちゃとワルプルギスの夜なんて、倒してこいよ』

ほむら「杏子……」


229: 2013/01/14(月) 05:22:46.40
でも………ここで別れたら……。

まどか『大丈夫だよ、ほむらちゃん。私達はいつでも、ほむらちゃんの傍にいるよ』

ほむら「まどか……」

さやか『まどかの言う通りだよ。ほむらがいつ諦めて、下を向くか、ちゃんと見てて上げる』

杏子『だから、ごちゃごちゃ考えてねえで、さっさと行ってこいよ』

ほむら「さやか……杏子……」

私は1歩ずつ、皆から離れるように歩き出す。

ほむら「皆……」

私は足を止める。

ほむら「これだけは言いたかった……ごめんなさい」

助けられたかもしれないのに……。

ほむら「私は……」

杏子『……ったく。いつまでも、女々しい奴だな』

さやか『そうだよ。これから、ほむらは三滝原の平和を守っていかなくちゃいけないのにさ。最初から、こんな弱気でどうするの』

ほむら「……」

まどか『ティヒヒヒヒ。私達はいつでも、ほむらちゃんを応援してるよ』

ほむら「……」スタスタ

私はその言葉と同時に歩き出した。

まどか『だから……』

まどか・さやか・杏子『『『頑張れ』』』




230: 2013/01/14(月) 05:23:21.66
ほむら「……………はっ!?」

目が覚めると、私は地面に向かって、落下している。

ほむら「今のは……夢?」

なんにせよ、今はそんな事を考えている暇じゃないわね。

ほむら「くっ……!」

私は頭から落ちないように手を空に伸ばす。せめて、頭から落ちなければ、まだ、何とかなる。

ほむら「んんっ……」

しかし、焼け石に水。どうにもならない。時が止められれば、どうにかできそうだけど、それもかなわない。

ほむら「でも……最後まで諦めない!」

私はダメージを減らすため、後少しで、地面に落ちるまでは諦めないと上に手を伸ばした。それは希望を諦めないと空に天を掴もうとするように。

ほむら「くっ……」

でも……現実は非常だった。私の力では……。

ほむら「……まどか……皆……巴さん……」バサッ

ほむら「!?」

もう少しで、地面に激突しそうな時に、私は何かに抱かれるように優しく、地面に着地できた。

ほむら「……羽?」

白い天使のような羽が私を包んでくれた?

ほむら「……まどか」

私は上を見上げる。

ほむら「……もう少しだけ、力を貸して!」


231: 2013/01/14(月) 05:25:08.18
マミ視点

マミ「ぐっ!!」ダンッダンッ

使い魔「ウィヒヒヒヒ」

使い魔「ウヒヒヒヒ」

QB「やれやれ。まだ、戦うのかい」

マミ「キュウベえ……」

QB「もはや、君1人では、使い魔を倒していくのが限界だろう。逃げるのが懸命だと思うけどね」

マミ「私は……」バンッバンッ

使い魔「ウギャガガ」

マミ「最後まで戦うわ!」

ワルプルギス「アハハハハハ」

私の決意を嘲笑うかのような、ワルプルギスの夜。

QB「そうかい。じゃあ、君の最期を見届けてあげるよ」

マミ「ええ、見ていて! でも、最期は……」

私は無数の銃を出す。

マミ「ワルプルギスの夜よ! 無限の魔弾(ヴァロットラマギカエドゥーインフィニータ)!」バンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッ

QB「流石はマミだ。今までで、一番の火力だ」

マミ「ティロ・フィナーレ!!!」ドーン

ワルプルギス「……」

QB「いい一撃だったね」

マミ「ありがと……これで……」

暁美さんの敵を……。

QB「とはいえ、到底、ワルプルギスの夜には効いていないんだけどね」

ワルプルギス「アハハハハ」

マミ「そんな……」

QB「言ってるじゃないか。君ではワルプルギスの夜に勝てない。大人しく、逃げることだね」

QB(そして、この街を守れなかったことに絶望するといい)

マミ「私は……諦めないわ」

使い魔「ぐへへへへ」

使い魔「ウィヒヒヒヒ」

マミ「最期まで戦う! 魔法少女として!」

QB「そうかい。では君の最期は僕が見届けてあげよう」

???「その必要はないわ」ピシュッ

使い魔「ぶはっ」

使い魔「ぎゃあああああ」

マミ・QB「「!?」」

使い魔が同時に矢の一撃で、消し去られた。こんなことができるのは……

マミ「……遅いわよ、暁美さん」

ほむら「ごめんなさい。遅刻したわね」ファサ

もう、2度と会えないと思っていた人だった。

232: 2013/01/14(月) 05:25:46.74
ほむら視点

QB「驚いた。まさか、生きているなんてね」

ほむら「自分でもびっくりよ」

QB「やはり、君にはとてつもない力が隠されているようだね」

ほむら「……これは私の力ではないわ。私がここに戻ってくれたのは……」

私は抑えられない感情を隠すように、拳をぎゅっと握る。

ほむら「私がここに戻ってこれたのは……私をここまで導いてくれた最高の友達と……」

まどか……。

ほむら「私のせいで助けられなかったにもかかわらず、私を友達と言って、背中を押してくれた友達の……」

さやか……杏子……。

ほむら「優しい心が私をここに戻してくれたのよ」ウルッ

QB「わけが分からないよ」

ほむら「そうね。感情のないあなた達には分からないかもしれないわね……見てなさい。その心が……ワルプルギスの夜を倒す」

マミ「……」スッ

QB「? 君は戦わないのかい?」

マミ「ええ。私も見てみたいわ。暁美さんの戦いを。心を」

QB「やれやれ。人間というのはわけが分からないよ」

ほむら「いくわよ……」バサッ

私は空に飛び上がる。

マミ「白い翼……まるで、天使ね」

ほむら「……」

私は弓を構える。


233: 2013/01/14(月) 05:26:29.30
ほむら(この一撃が勝負ね……)

この一撃で仕留められないなら、私の負けね。

まどか『大丈夫だよ』スッ

弦を引く右手にまどかの手が重なる。

さやか『私達がついてるよ』スッ

さやかの手が重なる。

杏子『自信を持ちな。あんたはやれるよ』スッ

杏子の手が重なる。

ほむら「……」

使い魔「ウィヒヒヒ」

使い魔「ぶははは」

ワルプルギスの夜を守るためか、私に襲いかかろうとする、使い魔達。

マミ「はっ!」バンッバンッ

使い魔「あばばば」

使い魔「あぶらら」

マミ「空気の読めない使い魔達は私が倒しておくわ」

ほむら「巴さん……皆」

『ありがと』

ほむら「さようなら……ワルプルギスの夜……」ビシュッ


234: 2013/01/14(月) 05:27:00.99
私の弓からみんなの希望をこめた矢が放たれた。

ワルプルギスの夜「アハハハ……ハハハ……ハハ……ハ」バーン

私の矢がワルプルギスの夜を一撃で粉々に粉砕した。

QB「これが……心の力かい」

マミ「そうよ。どう、キュウベえ」

QB「たしかにすごい。でも…………………僕の勝ちだよ」

ほむら「あああああああっ!!!」


235: 2013/01/14(月) 05:27:27.83
マミ視点

マミ「暁美さん!」

暁美さんは翼をなくし、地面に落下してくる。

マミ「大丈夫、暁美さん!」

ほむら「あああ……ああああああ!」

マミ「ソウルジェムが……」

QB「あのワルプルギスの夜を倒すのには相当な魔力を使ったはずさ。そうなれば、後はもう、魔女になるしかないさ」

マミ「そんな……」

ほむら「ああああ……」

マミ「暁美さん……」


236: 2013/01/14(月) 05:29:49.50
ほむら視点

ほむら「あああああ……」

このまま、魔女になってしまうのね……。今なら、あの時のまどかの気持ちが分かる。魔女になって、暴れるくらいなら……。

ほむら「ああああ……と、巴さん……」スッ

私は急激に黒く染まっていくソウルジェムを巴さんに差し出す。

ほむら「こ、壊して……」

マミ「暁美さん……」

QB(そう来たか。でも、マミにはできない。暁美 ほむらを頃すことはね)

まどか『大丈夫……ほむらちゃんもマミさんもいっぱい頑張ったもん。だから……』

さやか『穢れは私達が持っていってあげる』

杏子『ったく。こっちにきたら、ロッキー、奢れよな』

マミ「私には暁美さんを……」

ほむら「ああああ……あああ……ああ……あ?」

マミ「ええっ!?」

黒く染まっていった、ソウルジェムが……急に元の色に戻りだした。

QB「馬鹿な!? これは……どういうことだい!?」

マミ「き、奇跡かしら……」

ほむら「……皆」

最後まで、迷惑をかけるわね。でも、これで……。

マミ「暁美さん!!!」ダキッ

ほむら「ほむっ!?」


237: 2013/01/14(月) 05:30:32.33
巴さんが突然抱きついてきた。

マミ「よかった……心配ばかりかけて……2度も……」ウエーン

ほむら「……ごめんなさい」

たしかに今日は心配をかけてばかりね。

ほむら(………にしても)

マミ「わーん、わーん」ムニュウ

ほむら(でかすぎるわ。どうして、ここまで……)

まあ、今はそんな些細なイラつきは置いておいて。

ほむら「次はどこに行きましょうか」

マミ「わーん……え?」

ほむら「約束よ」

――――――――――――――――――――――――

マミ「遊園地だけじゃない。映画やお買い物にも行きましょう」

ほむら「な、何を突然……」

マミ「約束よ。氏なないでね。暁美さんとはやりたいことがいっぱいあるんだから」

――――――――――――――――――――――――

マミ「……暁美さん。……今度は暁美さんが決めていいわよ。前は私が決めたし」

ほむら「そう返されると、急には決められないわね」

マミ「そう? でも……時間はたっぷりあるから」

ほむら「………そうね」

じっくり考えればいいわよね。………皆がくれた時間で。

ほむら(ありがとう……)

ほむら「後……『マミ』さん」

マミ「何かしら? ……え? 今なんて……」ムニュウ

ほむら「私の精神衛生上、今すぐに離れて」

マミ「ええっ!?」


238: 2013/01/14(月) 05:31:12.01
エピローグ

1ヶ月後

教会

ほむら「さやか……杏子……」

あの戦いが終わった後、私は教会の中にさやかと杏子のお墓を建てた。もっとも、さやかのお墓はすでに他の場所にあるのだけれども。

ほむら「1人ぼっちは寂しいもんね」

もちろん、天国では一緒なのかもしれないけどね。

ほむら「……」

ワルプルギスの夜との戦いから、まどか……『円環の理』の姿は見ていない。そして、ワルプルギスの夜を倒した力もなくなって、今の私は巴マミより少し強いくらいに(キュウベえ談)に落ち着いた。

ほむら「ずっと……守ってくれてたんだね」

私のそばで……。

まあ、その結果、キュウベえは私に興味をなくし、営業活動にいそしんでいるわけだけれども。

ほむら「……ありがと」

マミ「ここにいたの」

ほむら「……マミさん」

マミ「今日は新しい魔法少女に会う約束でしょ」

ほむら「……あの淫獣は仕事熱心にもほどがあるわね」

マミ「そうね」

ほむら「めんどくさいわ。マミさんだけで会ってよ」

マミ「そうもいかないわ。『会長』さん」

ほむら「それはやめて」

ちなみになぜ、私が会長と呼ばれるようになったのは……


239: 2013/01/14(月) 05:32:03.03
回想

あの戦いが終わってから、1週間後。

マミ『私達ができることをしていきましょう』

魔法少女が魔女になる。その運命は変えられない。それでも、何かをしていきたい。私達はそう話し合った。そのためにコミュニティを作って、グリーフシードの情報を共有したり、悩みを打ち合ったり、魔女の情報を共有したりをしていこうとなった。(ちなみにキュウベえはマミさんは契約をしないように説得。私は駆除している)しかし、現実的にはコミュニティを作るのは中々に難しい。まあ、誰も好き好んで、自分が魔法少女とは言わないでしょうし。

マミ「なら、ホームページを作りましょう」

ほむら「は?」

いきなり、何を言い出すのかしら。

マミ「なるほど。ツブヤイターもやらないとね。暁美さんの言う通りね」

ほむら「私は何も言ってないわ!?」

マミ「たしかに。名前は重要よね。そうね……魔法少女協会『円環の理』にしましょう」

ほむら「だから、何も言ってないわよ!? というか、『円環の理』ってなに!? 流行ってるの!?」

マミ「もう。暁美さんたら。そんなに会長がいいなら、暁美さんが会長でいいわ」

ほむら「嫌よ! なんか、私がつけた名前みたいじゃない!」

マミ「こうなると、会長のブログも必要よね」

ほむら「その必要はないわ!」

回想終了

240: 2013/01/14(月) 05:33:37.58
結局、ホームページや会長である私のブログ(マミさんが作ってる)やツブヤイターを使うことになった。というわけで、たまに(主にからかう時)に会長とよぶようになった。で、どうせ、失敗かと思いきや、結果的にこれがヒット。抜けた発想だった。協会員もそれなりに増えてきている。中には変なファンみたいなのもできてるけど。

ほむら「世の中、何が幸いするか分からないわね」ホムホム

マミ「? よく分からないけど、今日もりぼんが似合ってるわね」

ほむら「ありがとう」

これはあの病院にあった……まどかのりぼん。私はあの戦いが終わってから、りぼんをするようになった。

マミ「……ねえ、暁美さん。あなたが捜していた鹿目さん、もう、捜さないの?」

ほむら「……」

マミ「今なら、魔法少女協会『円環の理』を使えば……」

ほむら「……もういいのよ」ファサッ

あの戦いで私は感じた。もう2度とまどかに会うことはないだろうと。このりぼんはもう2度と会えないであろう、あの子との絆。

ほむら「……もし、もう1度、時間を巻き戻せるなら……あなた達を救いたいわね」

さやか……杏子……。

マミ「……暁美さん」

ほむら「あなたは……マミさんは……いなくならないでね」

マミ「……当たり前よ。会長を残して、いなくならないわ」

ほむら「急にいなくなって、ほしくなったわ」

まったく

ほむら「………しんみりするのもここまで、ね。会いに行きましょうか」

マミ「え?」

ほむら「新しい魔法少女に会うんでしょ」

マミ「そうだったわ! 実は外に待たせてるの」

ほむら「それを先に言いなさいよ」

ねえ、まどか。この世界には愛しいあなたはいない。けれど、できることをして、この世界を守っていくわ。

マミ「今、連れてくるわ」

ほむら「早くしなさい」

また今度会う時があれば、この世界での思い出をいっぱい話して、笑いあいたいな。『頑張ったね』って、ほめてもらいたいな。せめて、このくらいのわがままは許してほしいな。

ほむら「まあ、でも、簡単にはそちらにいかないけどね」

マミ「連れてきたわよ」

???「あ、あの……こ、こんにちは!」

髪型はさやか。髪の色は杏子。顔はまどかみたいなこの子は……。

ほむら「………」

???「ど、どうしました?」

ほむら「……何でもないわ。こんにちは。私の名前は暁美 ほむら」

まどかと同じくらい大切なマミさんがいるこの世界を守らないといけないから。簡単にはそちらにいく気もない。どんなに苦しくても、辛くても……。


???「い、いい名前ですね。なんか、燃え上がれえ、って、感じで格好いいなあ」

ほむら「ありがとう。で、あなたの名前は?」

???「あっ……私の名前は……」

私はこの世界で生きていく。

???「私の名前は要 円(かなめ まどか)」

END

241: 2013/01/14(月) 05:38:04.39
読んでくださった方はありがとうございます。

242: 2013/01/14(月) 08:53:40.68
乙乙!

243: 2013/01/14(月) 10:02:38.13

穢れを持ってくことなんて出来るならオクタは生まれずに済んだんじゃ・・

245: 2013/01/14(月) 14:30:18.83

次はまた別の時間軸の話なのか

引用元: まどか「絆が紡ぐ世界」 ほむら「マミ編」