2: ◆oKSb2kbYWY 2013/01/14(月) 05:41:11.70
プロローグ・1

ほむらとワルプルギスの夜の対戦中

まどか「希望を持つ限り、救われないって言うの?」

QB「そうさ。過去の全ての魔法少女たちと同じだよ」

まどか「うぅ……でも、でも。でも!」

まどか(希望を抱くのが間違い? 違うよ……そんなの間違ってる……)

まどか「行かなくちゃ……」




3: 2013/01/14(月) 05:41:39.72
ほむら「繰り返せば……それだけ、まどかの因果が増える……。私のやってきたことは……」

パシッ

ほむら「!」

まどか「ほむらちゃん」

ほむら「まどか……」

まどか「もういいんだよ、……もういいんだよ、ほむらちゃん」

ほむら「まどか……まさか!」

まどか「ごめんね……私、魔法少女になる」

ほむら「やめて……それじゃ、私は何のために……」グス

まどか「ほむらちゃんは過去に戻れるんだよね」

ほむら「……ええ。でも……」

まどか「ほむらちゃんにひどいお願いをするね。もう1度、過去に戻って。私を……ううん。今度は皆を助けて」

ほむら「まどか……でも」

まどか「おねがい」

ほむら「…………分かったわ」

まどか「ありがと。……QB」

QB「ピョコッ」

まどか「その前に……ほむらちゃんには私の願いを聞こえないようにして。ゴニョゴニョ」

QB「それはかまわないけど……」

まどか「私の願いは……」




4: 2013/01/14(月) 05:42:19.66
キラリーン

ほむら「まどか……」

まどか「ほむらちゃん……お別れだね」

ほむら「ごめんなさい……」

まどか「謝らないで。私はほむらちゃんにひどいお願いをしたんだし」

ほむら「……」

まどか「チュッ」

私はほむらちゃんのおでこにキスをします。

ほむら「!?」

まどか「次の時間軸でうまく行くようにおまじない」

ほむら「まどか……私……」

ほむらちゃんは盾に手をかける。

ほむら「さようなら……」ビュン

まどか「さようなら、ほむらちゃん」クラッ


5: 2013/01/14(月) 05:43:10.68
QB「暁美 ほむらに何をしたんだい? 君の魔力は大分減ってるけど」

まどか「まだ……ワルプルギスの夜を倒すくらいには残ってるよ。それよりも……」

QB「なんだい?」

まどか「ほむらちゃんにはワルプルギスの夜は倒せないって言ってたよね」

QB「彼女だけでは無理だろうね。もっとも、マミ達が生きていても無理かもしれないけど。まあ、君が契約すれば、万事はうまく行くだろう」

まどか「希望を抱いているかぎり、救われないって言ってたよね」

QB「何が言いたいんだい?」

まどか「この世界ではあなたの思い通りになったけど……ほむらちゃんが……ほむらちゃん達が……それを覆してみせる!」

QB「暁美ほむらの希望……つまりはワルプルギスを倒し、君を魔法少女にしないことだね」

まどか「……」

QB「……やれやれ。そんなの不可能に決まっているじゃないか。暁美ほむらに君は救えない。彼女ではワルプルギスの夜は倒せない。君が契約しない限り、ワルプルギスの夜がこの街を破壊する。君はそれには耐えられない」

まどか「ふふふ……勝負だよ、QB」

私は弓を構える。

QB「君の願いがほむらを強くするとかだったら、まだ、君にも勝算はあったかもしれない。でも、君の願いは『ほむらちゃんのソウルジェムを絆で結んでほしい』だろ」

まどか「私は……この街を救わないといけないからねそれに……皆で奇跡を起こさないと意味がないからね」

QB「? わけがわからないよ」

まどか(さよなら……ほむらちゃん。頑張って……)

私はワルプルギスの夜へと矢を発射した。

パアーン

QB「流石だね。残った魔力でも、あのワルプルギスを一撃でね」

まどか「ははは……ぐううううう」

QB「これでノルマは……」

まどか「うううううう……させないよ」

ピシャーン

パリーン

QB「!?」

まどか「……」



QB「最後にソウルジェムを……やれやれ」

まどか「……」

QB「してやられたね。まあ、いいさ」

QB(訳がわからないよ。さいしょから、ほむらを救えばいいのに)

QB「あーあ。また、契約者を探さないと」



6: 2013/01/14(月) 05:43:37.66
プロローグ・2

???

???「これは夢……?」

???「そうだね……これは夢だよ」

???「……あの戦ってる女の子は?」

???「私の最高の友達だよ」

???「あなたの?」

???「正確にはあなたのでもあるんだよ」

???「……よく分からないや」

???「なら、もう少し、見ようか。最高の友達の頑張りを」


7: 2013/01/14(月) 05:44:26.19
病院

ほむら「はっ!?」

ここは……いつもの病院。

ほむら「また……私は……」

落ち込んでる場合じゃないわ。約束したじゃない。

ほむら「にしても、へんな夢……ん?」

これは……。

ほむら「リボン?」

私の枕元には赤いリボン……。

ほむら「このりぼんは……まどかの?」

どうして……。

ほむら「考えても仕方がないわね」

とりあえず、まどかの様子でも見に行きましょう。リボンをしまって、私は立ち上がる。

ほむら「ほむ」

まどかの家

ほむら「……」

この時間なら、まどかは自室にいるは……

ほむら「あれ?」

まどかの部屋箱の部屋のはず……。なのに……。

ほむら「でも……」

部屋は物置になっている……。

ほむら「家を間違えたのかしら?」

玄関に回る。


8: 2013/01/14(月) 05:44:53.06
『鹿目』

ほむら「間違いはないわよね」

ガチャッ

ほむら「!?」

知久「やれやれ。お酒を切らしちゃうなんて……ん?」

ほむら「……」

知久「君は……えっと、どちら様?」

ほむら「あ、いえ……」

誤魔化さないと。

ほむら「か、鹿目まどかさんに用が……」

知久「鹿目……まどか?」

ほむら「は、はい」

知久「えっと……間違ってないかな? 家にまどかなんていないよ」

ほむら「え?」

私はあまりの言葉に耳を疑う。

ほむら「そんなはずは……娘さんに……」

知久「うーん……家には息子しかいないし……名前もタツヤだし」

ほむら「そんな……」フラフラ

知久「き、君……大丈夫?」

ほむら「いえ……失礼します」

知久「あ、ちょっ……」

私は無視して、歩き出す。

ほむら「まど……か……」

この世界には私が守るべき……まどかはいないの?




9: 2013/01/14(月) 05:45:40.20
ほむら「……」テクテクテクテク

行くあてもなく、私は歩いている。

ほむら「何というか、ソウルジェムが真っ黒にならないのが不思議ね」

まどかがいないこの世界に未練なんてないのに。

ほむら「にしても、どうして、いないのかしら?」

私は橋の上から川を見つめる。

ほむら「いっそ、このまま、落ちるのも手よね」

『そうだね』

『氏んじゃったほうがいいよね』

ほむら「………」

これはまた、絶妙のタイミングで出たわね。

ほむら「はあ……」

ぼわーん。

魔女 イザベル 芸術家の魔女 性質は虚栄

ほむら「こいつは……」

私がまどかに助けられた……。

ほむら「……懐かしいわね」

昔を思い出すなんて。

ほむら「ここで氏ぬのも悪くはないわ」

イザベル「シャアアアア」

ほむら「さあ、やりなさ……」

バキューン、バキューン

ほむら「!?」

???「危ないところだったわね」

ほむら「あなたは……」


10: 2013/01/14(月) 05:46:12.69
視線を向けると、マスケット銃を構える……。

ほむら「巴……マミ……」

マミ「あら? 私を知ってるの?」

ほむら「……」

幾多の時間軸でね。

マミ「まあ、そのことを聞く前にその前に一仕事をさせてもらうわよ!」

QB「安心していいよ。マミは優秀な魔法少女として優秀だから」

ほむら「……お前は」

QB「僕? 僕の名前はQB。今、マミが戦っているのは魔女さ」

ほむら「知っているわ」

QB「ん? 君は……」

マミはマスケット銃を大量に出して……。

バンッバンッバンッ。

連射。そして、いつもの必殺技だ。

マミ「ティロ・フィナーレ!」

プシュー。

結界はなくなり、元の光景に戻る。

マミ「危ないところだったわね。大丈夫?」

ほむら「……ええ」

残念なことにね。

マミ「あら? その指輪……あなたも魔法少女なの?」

ほむら「……ええ」

マミ「もしかして、QBと契約したばかりなのかしら?」

QB「いや……僕は契約をした覚えはないよ」

マミ「え?」

ほむら「助けてくれてありがと。それじゃ……」

マミ「待ちなさい」ガシッ

ほむら「手を離してくれない?」

マミ「話が聞きたいわ。家に来て」

ほむら「迷惑じゃないかしら?」

ダメ元で聞いてみる。

マミ「1人暮らしだから平気よ」

ほむら「……分かったわ」


11: 2013/01/14(月) 05:46:39.80
マミの家

マミ「紅茶とケーキでいいわよね」

ほむら「おかまいなく」

マミ「で、あなたは……魔法少女なのよね?」

ほむら「ええ」

マミ「でも、QBは契約した覚えはない、と」

QB「うん」

マミ「あなたは……何者なの?」

ほむら「さあ?」

マミ「誤魔化さないで」

ほむら「誤魔化さないでと言われても……ね」

この時間ではまだ、接触してないから、知らないとは思うけど……。

ほむら「ねえ。鹿目まどかって知らない?」

マミ「鹿目……まどか? 誰?」

ほむら「あなたの中学の2年生にそんな人はいない?」

マミ「……ごめんなさい。心当たりはないわ」

ほむら「そう」スタッ

落ち込んでいる場合じゃない。まどかを捜さないと。まだ、いないと決まったわけではない。

マミ「あ、ちょっ……」

ほむら「ごめんなさい。病院を抜け出してきてるの」

本当は退院しているけど……まあ、こう言ったほうが無難よね。

マミ「抜け出してって……まったく。何をやってるの……」

ほむら「それじゃ……」


12: 2013/01/14(月) 05:47:07.89
帰り道

ほむら「……まどか」

考えてみれば、まだ、希望を捨てるのは早いわよね。たしかにいつもと違うけれど、どこかにまどかはいるかもしれない。

ほむら「そうよね……きっと」

まどか『……』

ほむら「!」

今、まどかが悲しそうに私を……。

ほむら「まどか! ……あれ?」

誰も……いない?

ほむら「まどか……」

私は空を見上げた。

ほむら「……綺麗な星ね」

こんな空をまどかと見たいわ。

ほむら「……少し、散歩でもしましょうか」


13: 2013/01/14(月) 05:48:53.31
さやか視点

さやか「あー、まずった!」タッタッタッ

恭介のところでついつい、うたた寝して、こんな時間になるなんて。

さやか「看護士さんが来なかったら、ずっと、寝てただろうなあ」タッタッタッ

予期せぬ形で恭介と2人で一晩を過ごすことになりそうだったのは運が悪いのかいいのか。

さやか「あー……早く帰らないと怒ら……」ドンッ

???「ほむっ!?」

さやか「きゃっ!?」

曲がり角で誰かとぶつかって、相手が倒れてしまった。あー、今日は厄日だわ。

???「いたた……」

さやか「あー、すいません。だいじ……!?」

起き上がろうとしているのは同年代くらいの女の子。黒髪の長い娘でタイツをはいている。まあ、それは別にいいんだけど……。


14: 2013/01/14(月) 05:49:27.24
さやか(……白か)

スカートの中の奥から、この子のパンツが見えてる。これで私が異性で朝の登校中だったら、恋に落ちそうね。って、いつの時代の少女漫画よ。

???「すいません、ぼーっと………あなたは!?」

さやか「? どうしたの?」」

???「……」

何かを考えるような顔をする女の子。その間もパンツは見え続けている。

さやか(誘ってんのかな)

???「……いえ、何でもないわ。それじゃ」

立ち上がり、この場を去ろうとする女の子。

さやか「あ、待って!」ガシッ

私は慌てて、腕を掴む。

ほむら「……何かしら」

さやか「何かの縁でこうして、会えたんだから、せめて、名前くらいは……」

???「……ねえ、鹿目 まどかって、知らない?」

さやか「? 誰それ? それが……」ガシッ

???「本当に? ねえ、本当は知ってるんじゃないの? ねえ」ユサユサ

女の子は私の胸ぐらを掴み、私に訴えかけるように揺らしてきます。

???「ねえ! 知らないの? 鹿目 まどかを!」ユサユサ

さやか「し、知らない……ぐっ」

???「……………そう」

女の子は私を離す。


15: 2013/01/14(月) 05:49:57.55
さやか「はあはあ……」

???「ごめんなさい。それじゃ」スタスタ

さやか「あ、待ちなさい!」

???「……暁美 ほむら」

さやか「え?」

ほむら「また、会いましょう。美樹 さやか」タッタッタッ

さやか「え? 何で、私の名前を? ちょっと! ……行っちゃった」

にしても、意外に可愛かったなあ。男の子なら、確実に惚れていたね。


16: 2013/01/14(月) 05:50:45.46
次の日

通学中

さやか「ということがあったんだ」

仁美「まあ。それは運命の出会いですわね」

さやか「そう?」

仁美「きっと、その方が今日、私達のクラスに転校してきますわね。そこで運命の再会!」

さやか「まさかあ。さすがにそこまで、都合よくはなってないよ」

仁美「ですよね。でも、いきなり、掴みかかられるのは怖いですわね」

さやか「うーん……そんなに嫌な感じはしなかったなあ」

容姿のせいもあるけど、なんか、必氏だと感じた。大切なものを無くした子供みたいでさ。

仁美「まさか……さやかさん……」

さやか「ん?」

仁美「その人に一目惚れを……」

さやか「はい?」

仁美「でもいけませんわ、女の子同士で。それは禁断の、恋の形ですのよ~!!」タッタッタッ

さやか「ちょ、待って、仁美~!」タッタッタッ


17: 2013/01/14(月) 05:51:19.83
ほむら視点

ほむら(昨日は予想外だったわね)

まさか、美樹 さやかと会うなんて。

ほむら(でも、1つ、分かったことがある)

この学校、少なくとも、私が入るクラスには鹿目 まどかはいないということだ。

ほむら(あなたはどこに……)

和子「はい、あとそれから、今日はみなさんに転校生を紹介します」

さやか「そっちが後回しかよ!」

和子「じゃ、暁美さん、いらっしゃい」

ほむら「……」スタスタスタ

さやか「ん?」

ほむら「……」チラッ

まどかの席には違う人が座っている。やはり、まどかは……。

さやか「あー!!! あんたは昨日の!」

ほむら「!?」ビクッ

和子「どうしたんですか、美樹さん」

仁美「さっき、話していた、一目惚れしたのはこの方だったんですね!」

さやか「え、ちが……」

クラス全員「なん……だと……」ザワザワ


18: 2013/01/14(月) 05:51:53.71
中沢「ほう……」ニヤリ

何だかよく分からない事態になっているわね。

和子「静かに! そういうことなら、暁美さんは美樹さんの隣に行ってもらいましょう」

ほむら「……え?」

さやか「私の隣にはすでに人が……あれ!? いない!? すでに移動している!」

和子「はい。前後しましたが……それじゃあ自己紹介いってみよう」カキカキ

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

もう何度したか、分からない挨拶をする。

ほむら「席は……あそこですか」

何故か、美樹 さやかの隣の席になってしまった。……憂鬱ね。しかし、ここでは予期せぬ反応があった。

中沢「質問です」サッ

19: 2013/01/14(月) 05:52:37.41
ほむら「え?」

今までになかった反応に私は戸惑う。

中沢「どうやって、美樹さんを落としたんですか?」ニヤリ

さやか「ちょっ!?」

ほむら「? 言ってる意味が分からないのだけれど……」

中沢「質問を変えましょう。2人はどこで出会ったんですか?」

クラスメイト達「いいぞ、中沢!」

さやか「よくないから!」

ほむら「えーと……昨日」

さやか「話さなくていいから!」




20: 2013/01/14(月) 05:53:08.60
ほむら「……」

いつもなら……。

回想

女子A「暁美さんって、前はどこの学校だったの?」

ほむら「東京の、ミッション系の学校よ」

女子B「前は、部活とかやってた?運動系?文化系?」

ほむら「やって無かったわ」

女子C「すっごいきれいな髪だよね。シャンプーは何使ってるの?」

回想終了


21: 2013/01/14(月) 05:53:51.97
というやり取りになるはずなのに。

女子A「百合に興味ある?」

ほむら「……」

初っ端から訳の分からない質問をされた。

ほむら(どう答えたらいいのかしらね)

女子B「安心して。私達、それについては寛容なの」

中沢「だから、安心して、話していいよ」

ほむら「……」

何で、クラスの皆が私に集まるのかしら。

さやか「ダーッ! さっきのは仁美の冗談だから!」

ほむら「……えっと。ごめんなさい。何だか緊張しすぎたみたいで、ちょっと、気分が。保健室に行かせて貰えるかしら」

何だかよく分からないけど、とりあえず、この場を離れたい。

クラスメイト達「……」シーン

私の一言でさっきまで騒いでいたクラスメイト達が静かになった。

ほむら(な、何か、まずったかしら)

中沢「保健室か……。なら、保健委員が連れていかないとな」ニヤニヤ

なんか、中心的な男子生徒……中沢君だっけ? は美樹 さやかを見て、笑っている。よく見ると、クラスメイト達もだ。

さやか「……保健委員は私だけど」

それは好都合ね。もう一度、まどかについて、聞いてみましょう。

中沢「なら、早く暁美さんを連れていかないと」ニヤニヤ

クラスメイト「次の授業、休んでもいいから」ニヤニヤ

クラスメイト「むしろ、今日は戻らなくてもいいから」ニヤニヤ

さやか「あー、うるさい! 行くよ、転校生!」

ほむら「え、ええ」

中沢「転校生だなんて、他人行儀だな。もっと、愛情を込めて、『ほむら♪』とでも、呼んだら……」

さやか「さっさと行くわよ!」

何だか盛り上がっているクラスメイトをおいて、私達は教室を出た。




22: 2013/01/14(月) 05:54:51.61
さやか「はあ……疲れた」

ほむら「えーと……」

さやか「……悪いね。転校生なんて、珍しいから、皆、はしゃいじゃってさ」

ほむら「……」

----------

まどか『ごめんね。みんな悪気はないんだけど、転校生なんて珍しいから、はしゃいじゃって』

----------

懐かしい思い出ね。美樹 さやかで思い出すのはしゃくだけど。

さやか「んで……えっと、ほむらって、呼んでいい?」

ほむら「かまわないわ」ファサ

さやか「どうして、私の名前を知ってたの?」

ほむら「……」

さて、どう答えたものかしら。正直に答えるわけにもいかないし。

ほむら「……いろいろな事情があるのよ」

さやか「ふーん、なるほど……って、どんな事情!?」

誤魔化せないようね。

さやか「まあ、いいや。まだ、ちゃんと自己紹介をしてないね。私は美樹 さやか。気軽にさやかちゃんって呼んでよ」

ほむら「……美樹 さやか」

私は最後の言葉を無視して、続ける。

ほむら「鹿目 まどかを知らない?」

さやか「……」

ほむら「ねえ」

さやか「……」

ほむら「ちょっと! 無視しないで!」

さやか「さやか。フルネームなんて、他人行儀じゃん」プクー

ほむら「ほむむ」

めんどくさいわね……まったく。

ほむら「……さやか」

さやか「はい、何でしょう!」

ほむら(我慢、我慢)

ほむら「昨日も聞いたけど、鹿目 まどかを知らない?」

さやか「うーん………やっぱり、知らないよ」

ほむら「本当に? あなたの親友でしょ?」

悔しいけれど。


23: 2013/01/14(月) 05:55:32.13
さやか「……その人ってさ。ほむらの大事な人?」

ほむら「………ええ。とても、大事で……人生をかけられる人よ」

でなければ、何度もループすることはできない。

さやか「……そうなんだ。私も会ってみたいな」

ほむら「……きっと、仲良くなれるわ。あなたなら」

ほむら(そういえば、さやかにも忠告しておいたほうがいいかしらね)

ほむら「ねえ」

さやか「ん?」

ほむら「貴女は自分の人生が、貴いと思う?家族や友達を、大切にしてる?」

さやか「はい? いきなり、何を聞くの……まあ、大切にはしてるよ」

ほむら「本当に?」

さやか「……うん」

ほむら「そう。もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね。さもなければ、全てを失うことになる」

さやか「……」

ほむら(我ながら、決まったわね)ホムッ

ほむら「忠告はしたわ。それじゃ……」

さやか「……ぷっ」

ほむら「!?」

さやか「あはははは」

ほむら「な、何がおかしいの!」

さやか「何それ、渾身のギャグ?」

ほむら「違うわ! 真剣な忠告よ」

さやか「なら、言い方は考えた方がいいんじゃない? 何がなにやら、さっぱりだよ」

それができれば、苦労はないわ。

キーンコーンカーンコーン

さやか「おっと。その様子なら、大丈夫そうだね。教室に戻ろうか」

ほむら「……ええ」


24: 2013/01/14(月) 05:57:21.27
放課後

さやか「この後、暇?」

放課後になって、さやかは馴れ馴れしくも話しかけてきた。

ほむら(正直、暇ではないのだけど)

この後、まどかを捜さないといけないのだけど……。

ほむら(このままだと、巴 マミと会うのよね……)

そうなれば、いろいろと面倒ね。

ほむら「……暇だけど」

さやか「なら、この後、私達と一緒に……」

中沢「さすがだな」

クラスメイト「暁美さんをデートに誘うのね」

クラスメイト「大胆ねえ」

さやか「違うわよ! 大体、仁美もいるわ!」

仁美「そういうことでしたら、私はいないほうが……」

さやか「余計な気は使わないで! お願いだから!」

中沢「ちなみに暁美さん。この美樹さんをどう思う?」

ほむら「ほむ?」

いきなり、何を聞いてくるんだろう。どう思っているかと聞かれても、まどかを救う上での障害だとは言えないし。

ほむら「……普通に可愛いんじゃないかしら?」

さやか「なっ!?」

外見は悪くないし。

ほむら「後、優しかったわね」

昔……最初のほうの時間軸ではね。

さやか「……」///

クラスメイト「これは脈ありね」

ほむら「? さっきから、何を言ってるの?」

中沢「暁美さんと美樹さんが百合百合な関係だということさ」

なるほど。だから、さっきから、盛り上が…………は?

ほむら「………待ちなさい! どうして、私がさやかと……」

中沢「恥ずかしがる必要はない」

クラスメイト「新しい世界に……」

さやか「あーっ! さっさと逃げよう! この魔境から!」ガシッガシッ

さやかは私と志筑仁美の手を掴む。

さやか「それじゃ!」ビューン

ほむら「ほむっ!?」

仁美「きゃっ!?」

中沢「志筑さんまで、手にかけるとは……天才か、美樹さんは」


25: 2013/01/14(月) 05:57:49.61
喫茶店

ほむら「どうして、私があなたと百合百合な関係にならないといけないの!」ホムッ

さやか「気持ちは分かるけど、私に言われても……」

仁美「お祭り好きですからね、皆さん」

どの時間軸でも、こんなことはなかったのに。まどかのことといい、イレギュラー過ぎるわ。

さやか「まあ、悪い人達じゃないから、勘弁してよ」

ほむら「ほむむ」

まあ、たしかに最初の時間軸でもこんな感じなら、私も馴染めたかもしれないわね。

仁美「というわけで、私は失礼させて、もらいますわ」

さやか「もう? 今日は何? ピアノ? 日本舞踊?」

仁美「お茶のお稽古ですの。もうすぐ受験だっていうのに、いつまで続けさせられるのか」

さやか「うわぁ、小市民に生まれて良かったわ。私達も出ようか」

ほむら「そうね」

30: 2013/01/20(日) 05:51:30.71
さやか「さて……まだ、時間ある?」

ほむら「……平気よ」

何はともあれ、美樹 さやかとこんなに友好的になるのは珍しいこと。今回でデータを収集しておきましょう。

ほむら(にしても……)

まどか……どこにいるの。


31: 2013/01/20(日) 05:52:10.72
CDショップ

さやか「ほむらは何か、音楽とか聴くの?」

ほむら「あんまり、聴かないわね」

長い間の病院暮らしにループでそれどころではなかったし。

さやか「それはもったいない! これとか、おすすめだよ」

ほむら「そうなの?」

最近の音楽事情とかは知らないけど……。

さやか「そうだよ! さやかちゃんはレアなCDを見つける天才だからね!」

やけに自信があるのね。上條 恭介に言われたのかしら。とはいえ、レアなCDを見つけることとおすすめにどんな関係があるかは分からないけど。

さやか「ところで、ほむらのことも聞かせて……」

???『助けて……』


32: 2013/01/20(日) 05:52:41.27
さやか「ん?」

ほむら「!?」

来たわね……淫獣。

さやか「ねえ、今、声が……」

ほむら「気のせいよ。私には何も聞こえないわ」

さやか「え? そうかな?」

???『助けて……さやか……』

さやか「やっぱり、聞こえた! こっちだ!」ダッ

ほむら「待ちなさい!」ダッ

今回は痛めつけてないのに……。何故、この声が……。

ほむら(淫獣め……自作自演ね)

知恵の回る畜生ね。


33: 2013/01/20(日) 05:54:11.34
デパート 工事中

さやか「ここだね……」

ほむら「本当に行くの?」

さやか「怖いなら、ここで待ってて」

ほむら「怖くはないわ。ただ、立ち入り禁止だし」

さやか「大丈夫、大丈夫」

どうやら止めても、無駄のようね。

さやか「じゃあ、行こうか」

ほむら「……ええ」

私達はまだ、工事中のエリアに足を踏み入れた。

さやか「こっちだ」

ほむら(そういえば、あいつなら、知ってるのかしら。まどかを……)

あの淫獣を頼りたくはないが、利用できるなら、利用したい。

さやか「さっきは聞きそびれたけどさ」

ほむら「ん?」

さやか「今度はほむらのことが聞きたいな」

ほむら「私のこと?」

さやか「そう。例えば……さっきの忠告(笑)のこととか」

ほむら「(笑)は余計よ」

人の忠告を笑い話にするなんて、やっぱり、美樹 さやかは美樹 さやかね。

さやか「あれって、結局何なの?」

ほむら「あれは……」

びゅーん


34: 2013/01/20(日) 05:56:12.95
結界

さやか「えっ!? な、なに……」

周りの景色がさっきまでの工事中のエリアではなく、魔女の結界……異様な空間に変わる。

さやか「な、何ここ……ね、ねえ、私達……」

ほむら「……落ち着いて。私について……」

???「また会ったね」

ほむら・さやか「「!?」」

???「やあ! 美樹 さやかに……たしか、暁美 ほむらだね」

ほむら「……ええ」

さやか「ちょっと! 何、この猫みたいなの! しゃべってるし!」

ほむら「こいつは……」

QB「僕の名前はキュウベえ。よろしく、美樹 さやか」

さやか「私の名前を知ってるの?」

QB「もちろんさ」

さやか「どうして……」

QB「それに答える前に……」

キュウベえは周りを見る。それにつられて、私達も周りを見る。



35: 2013/01/20(日) 05:58:09.42
さやか「なっ!?」

ほむら「油断したわ……」

使い魔「ヒャハー」

使い魔「ココハトオサネエゼ」

私達の周りをいつの間にか、使い魔が取り囲んでいる。

さやか「あわわわ」

ほむら「下がっていなさい」ヘンシン

さやか「えっ!? ほむら、その格好……」

ほむら「訳は後で話すわ。一気に……」

私は弓を握る。

QB「へえ。君は弓を使うのかい」

ほむら「ええ……弓?」

私は自分の武器を見る。

ほむら「……弓?」


36: 2013/01/20(日) 05:58:45.84
QB「どこから、どう見ても弓だね」

ほむら「……ど、どうして……」

私の盾は……? あれがないと私は……。

さやか「ど、どうしたの?」

ほむら「……まどか」グスッ

さやか「はい?」

あの盾がないと私は時間を戻せない。ここで私が失敗したら……まどかすら、未だに見つかっていないのに……。

さやか「ちょっと、ほむら!」ユサユサ

ほむら「はっ!?」

さやか「今はボーッとしてる場合じゃないよ!」

ほむら「……分かってるわ」

そうね。まどかに会う前にこんなところで氏ぬわけにはいかないわ。

ほむら「えっと……」

矢はどうやって撃つのかしら?

ほむら(うーん……)


37: 2013/01/20(日) 06:00:28.06
――――――――――――

まどか「いきなり秘密がバレちゃったね。クラスのみんなには、内緒だよっ」ビシュッビシュッ

――――――――――――

相変わらず、凛々しいまどかもいいわね。……っと、今はそんなことじゃなくて……。

ほむら「い、いきなり、秘密がバレちゃったわね。く、クラスのみんなには、な、内緒よっ」///ビシュッビシュッ

私もあの時のまどかを真似て、矢を放った。

使い魔「ヒデブ」

使い魔「グギャアアアア」

ほむら(……にしても)

どこかで弓をやったかしらね。何故か、すんなりと、矢を放つことができたわ。

ほむら「はっ!」ビシュッビシュッ

さやか「きゃああああああ!」

ほむら「!?」

声につられて、振り返ると、さやかに使い魔がにじり寄ってきている。

ほむら(私達は囲まれていたのよね……)

すっかり、失念していたわ。

さやか「あわわわ」

ほむら「さやか……」

使い魔「チャーン」

使い魔「バブー」

ほむら「邪魔よ!」ビシュッビシュッ

私に襲いかかる使い魔を撃退する。


38: 2013/01/20(日) 06:01:10.89
ほむら(まずい……このままじゃ……)

使い魔「ハーイ」

さやか「ああ……」

ガチャン、ピシャリ!

さやかの周りに鎖が落ちて、結界のようにさやかを守る。

???「間一髪ってところだったわね。でも、もう大丈夫」

さやか「だ、誰!?」

QB「安心していいよ。彼女は味方だ」

さやか「あんたに言われても、まったく安心できないよ!」

ごもっとも。

ほむら「……安心していいわよ、さやか。彼女も同業者よ」

さやか「同業者?」

マミ「あら、あなたは……昨日の」

ほむら「………1日ぶりね」

さやか「何? 知り合い?」

ほむら「昨日……ちょっとね」

マミ「いろいろと話したいけど……その前に」ヘンシン

マミ「一仕事させてもらうわよ!」


39: 2013/01/20(日) 06:01:56.13
空中にたくさんのマスケット銃を発生させる。

マミ「はっ!」バババーン

使い魔「ウエーン」

使い魔「デスー」

使い魔を次々に消滅させる。

さやか「す、すごい……」

ほむら「さすがね」

びゅーん


40: 2013/01/20(日) 06:02:28.32
デパート

さやか「あれ? 元に戻った?」

ほむら「魔女は逃げたようね」

さやか「魔女?」

マミ「あなた、大丈夫?」

さやか「ん? え、ええ……何とか」

マミ「そう……えーと」

ほむら「……暁美 ほむらよ」

マミ「なら、暁美さん」パチンッ

ほむら「ほむっ!?」

いきなり、私の頬にビンタをする、巴 マミ。

さやか「な、何をするんですか!」

マミ「一般人をこんなところに連れ込んで……何かあったら、どうするの? 危なく、この娘が襲われていたのよ」

キッと睨む、巴 マミ。言ってることはもっともだけど、私が連れてきたわけではない。

さやか「待って下さい。勘違いです」

さやかは私を庇うように私と巴 マミの間に立つ。

さやか「私はあいつに呼ばれたから、ここに来た」ビシッ

淫獣を指差す、さやか。


41: 2013/01/20(日) 06:02:59.91
マミ「キュウベえが?」

QB「そうだよ、マミ!」

マミ「それを先に言いなさい!」

さやか「だから……」

マミ「……分かってるわ。暁美さん……ごめんなさい。いきなり、叩いて」

ほむら「……別にかまわないわ。逆の立場なら、私もそうしたかもしれないし」

マミ「そう言ってくれると助かるわ。そういえば、あなたは?」

さやか「私は美樹 さやか! 気軽にさやかちゃんと呼んで!」

マミ「私は巴 マミ。あなた達と同じ見滝原中の3年よ」

さやか「同じ学校だったんですか! というか、先輩!?」

マミ「そうよ」ヘンシンカイジョ

さやか「本当だ。同じ制服……」

マミ「そして」

QB「マミ!」

ぽんと巴 マミの胸に飛び込む、淫獣。

マミ「キュゥべえと契約した、魔法少女よ」

さやか「魔法少女……?」

ほむら(この展開は避けられないみたいね)


42: 2013/01/20(日) 06:04:05.51
マミ「ええ。暁美さんと同じくね」

さやか「ほむらも!?」

ほむら「……そうよ。私も魔法少女よ」

ここで隠しても仕方がないので、正直に言った。

さやか「むむ。たしかにへんてこな格好だけど。

ほむら「失礼ね」

マミ「うふふ。とりあえず、ここではなんだし。私の家に来ないかしら?」

さやか「いいんですか?」

マミ「もちろん。詳しい話もしたいし。暁美さんもいい?」

ほむら「ええ」


43: 2013/01/20(日) 06:04:42.75
マミホーム

さやか「うわ……素敵な部屋」

マミ「独り暮らしだから遠慮しないで。ろくにおもてなしの準備もないんだけど」

巴 マミは紅茶とケーキを出してくれた。

ほむら「……」

はるか昔、といっても、時間では最近の話になるけど、こうやって、まどか達と……。

さやか「んー、めっちゃうまっすよ」

マミ「ありがとう……暁美さん?」

ほむら「……何かしら?」

マミ「変なものでも入っていた?」

ほむら「そんなことはないわ。とても美味しいです」

マミ「じゃあ、何で、泣いているの?」

ほむら「え?」ツーン

気がつかぬうちに私の頬に涙が伝っていた。

マミ「どうかしたの? な、何か、変なものが……」オロオロ

ほむら「……何でもありません。ただ……懐かしかっただけです」

マミ「懐かしかった?」

ほむら「昔……こうやって、仲の良い……良かった人と食べた物ですから」

まどか……。


44: 2013/01/20(日) 06:05:32.14
さやか「……」

マミ「そう……」

ほむら「暗くなってしまったわね。続けて」

マミ「……そうね。キュゥべえに選ばれた以上、美樹さんにとっても他人事じゃないものね。ある程度の説明は必要よね

さやか「うんうん、何でも聞いてくれたまえ」

ほむら「それ、逆よ」

マミ「まずはこれを見て」

ソウルジェムを出す、巴 マミ。

マミ「これがソウルジェム。キュゥべえに選ばれた女の子が、契約によって生み出す宝石よ。魔翌力の源であり、魔法少女であることの証でもあるの」

さやか「契約って?」

QB「僕は、君たちの願いごとをなんでもひとつ叶えてあげる」

さやか「え、ホント? 願いごとって、何でもいいの?」

QB「もちろんさ。なんだってかまわない。どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」

さやか「うわぁ…金銀財宝とか?」

QB「できるよ」

さやか「不老不氏とか?」

QB「もちろん、できるよ」

さやか「満漢全席とか?」

QB「できるけど、それでいいのかい?」

さやか「……」チラッ

ほむら「?」ホムホム

さやか「ほむらを嫁にするとか?」

ほむら「ぶーっ!」

マミ「きたなっ」


45: 2013/01/20(日) 06:06:03.75
QB「もちろん、できるよ。それでいいのかい?」

ほむら「言い分けないじゃない!」ホムッ

QB「でも、それと引き換えに出来上がるのがソウルジェム。この石を手にしたものは、魔女と戦う使命を課されるんだ」

さやか「魔女? さっきみたいな奴?」

QB「あれは使い魔。魔女の手下みたいなものさ」

さやか「魔女って何なの? 魔法少女とは違うの?」

QB「願いから産まれるのが魔法少女だとすれば、魔女は呪いから産まれた存在なんだ。魔法少女が希望を振りまくように、魔女は絶望を蒔き散らす。しかもその姿は普通の人間には見えないから性質が悪い。不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみ、そういう災いの種を世界にもたらしているんだ」

マミ「理由のはっきりしない自殺や殺人事件は、かなりの確率で魔女の呪いが原因なのよ。形のない悪意となって、人間を内側から蝕んでゆくの」

さやか「そんなヤバイ奴らがいるのに、どうして誰も気付かないの?」

QB「魔女は常に結界の奥に隠れ潜んで、決して人前には姿を現さないからね。さっき君たちが迷い込んだ、迷路のような場所がそうだよ」

マミ「結構、危ないところだったわよね。あれに飲み込まれた人間は、普通は生きて帰れないから」

さやか「マミさんやほむらは、そんな怖いものと戦ってんですか?」

マミ「そう、命懸けよ。だからあなたたちも、慎重に選んだ方がいい。キュゥべえに選ばれたあなたたちには、どんな願いでも叶えられるチャンスがある。でもそれは、氏と隣り合わせなの」

本当はそれだけではない。けれども、巴 マミの前で言うわけにはいかない。

さやか「んー、悩むなぁ。……ほむらは?」

ほむら「ほむ?」

さやか「ほむらはさ。どう、思う?」

やけに私に話を振るわね。


46: 2013/01/20(日) 06:07:32.16
ほむら「やめておきなさい」

振られた以上はスパッと答えた。

ほむら「魔法少女なんて、ろくでもないわ」

さやか「ふーん、なるほどねえ」

マミ「そういう言い方はよくないわよ、暁美さん」

ほむら「本当のことよ」

マミ「……まあ、いいわ。そこで提案なんだけど、美樹さん、しばらく私の魔女退治に付き合ってみない?」

さやか「えっ?」

マミ「魔女との戦いがどういうものか、その目で確かめてみればいいわ。そのうえで、危険を冒してまで叶えたい願いがあるのかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの」

さやか「良いんですか!」

私に軽はずみに一般人を連れ込むなと言っておきながら……いえ、もう、さやかは一般人ではなくなったのよね。少なくとも、魔法少女の存在を知ってしまったから。

マミ「暁美さんは?」

ほむら「え?」

マミ「暁美さんはどうするの?」

ほむら「私は……」

さやか「もちろん、一緒に来るよね」

ほむら「え?」

さやか「来るよね?」

ほむら「え、ええ……そうさせてもらうわ」

有無を言わさない口調に私は思わず、頷いてしまう。


47: 2013/01/20(日) 06:08:19.51
マミ「よろしくね、暁美さん」

ほむら「……こちらこそ」

まあ、何だかんだで、巴 マミと手を結べたからよしとしましょう。

さやか「それじゃ、そろそろ、帰りますね」

マミ「そうね……明日は……」

さやか「校門で待ち合わせにしましょう」

マミ「オッケー。暁美さんもそれでいい?」

ほむら「かまわないわ」

マミ「それじゃ、また明日」




48: 2013/01/20(日) 06:08:50.47
ほむら(おかしい)

何故、美樹 さやかは私にこんなにも、好意的なのか。視線一つをとっても、親の仇のような目で私を見てくるのに。

さやか「ほむらはこの後、何か予定は?」

ほむら「………特にはないわ」

まどかを捜したいけど、この誘いを断るわけにはいかない、と直感的に私は返事をした。

さやか「なら、ちょっと、私に付き合ってよ」


49: 2013/01/20(日) 06:09:19.57
さやか視点

病院

さやか「今日は遅れちゃって、ごめん!」

恭介「いいよ、きにしないでも。さやかも大変だろ」

私はほむらをロビーに待たせ、恭介のお見舞いに来ている。

さやか「全然、大変じゃないから。あ、花の水、かえるね」

恭介「ありがとう、さやか」

恭介のお見舞いに行く。それが私の、恭介が事故に合ってからの日課。今までは1人で来た。でも、今日は……。




50: 2013/01/20(日) 06:10:39.89
恭介「へー、転校生が来たんだ」

さやか「うん。今、ロビーで待たせてるから。今度、紹介するね」

恭介「でも、いいのかい? 待たせても」

さやか「あー……まあ、大丈夫」

恭介「確認しなかったのかい。まったく、さやかは」

さやか「あはは」

恭介「で、転校生って、どんな娘?」

さやか「おおう。恭介も男の子だねー。転校生に興味津々だねー」

恭介「ち、違うから! そりゃ、僕も男だけどさ……」

さやか「冗談、冗談。転校生ねー……」

私は思ったことを口にした。

さやか「外見は綺麗だし、かわいい娘だと思うよ」

けれども。

さやか「ただ、何考えてんのか分からないし、暗いし、人を寄せ付けない感じがして、嫌な奴だと思うよ」

恭介「……それじゃ、なん」

さやか「おっと、面会の時間も終わりだね。私、帰るよ」

恭介「ん? あ、ああ。ありがと、さやか。来てくれて」

さやか「あははは。気にしないでいいよ」

私は立ち上がり、部屋を出ようとする。


51: 2013/01/20(日) 06:12:00.76
さやか「……でもさ、本当はいい奴だと思うんだよね」

恭介「……」

さやか「だから、その部分をこのさやかちゃんが引き出して、あげちゃうのだ!」

恭介「さやか……」クスッ

さやか「……仲良くなろうとしたのは他にも理由があるんだけどね」

恭介「ん?」

さやか「なんでもない。というわけで、またね~♪」


52: 2013/01/20(日) 06:13:34.61
ほむら視点

病院

ほむら「……病院は好きになれないわね」

ずっと1人だったから。

さやか「ごめんごめん」

ようやく、さやかがやってきた

ほむら「……上條君は元気だったの?」

さやか「元気そうだったよ」

ほむら「……そう」

さやか「それじゃ、行こうか」

ほむら「ええ」


53: 2013/01/20(日) 06:14:03.58
公園

さやか「さて」

さやかは私のほうを見て、にこやかに微笑んだ。

さやか「今度はほむらの話を聞かせてよ」

ほむら「私の話?」

さやか「そう。どうして、魔法少女になったのかとか」

ほむら「何で聞きたいの?」

さやか「うーん……何かの参考になればなあと」

さやか(さすがに仲良くなりたいからとかは恥ずかしい)

ほむら「……そういうこと。なら、私は話せないわ」

さやか「……何で?」

ほむら「あなたには魔法少女になってほしくないからよ」


54: 2013/01/20(日) 06:14:35.80
さやか「マミさんと違って、魔法少女に悲観的なんだね」

ほむら「……事情があるのよ」

さやか「事情、ねえ」

ほむら「話はそれだけ? なら、私は……」

さやか「その事情って? どんな事情? 話して」

ほむら「……だから」

さやか「私はさ。あんたと仲良くなりたいんだよ」

ほむら「……え?」

さやか「だから、ほむらのことが知りたいんだ」

さやか(くっさい台詞だなあ、我ながら)

ほむら「……」

気持ち悪い……。本当に美樹 さやかなの?

さやか「駄目……かな?」

ほむら「……少しだけなら」

私は仕方がないので、事情を話すことにした。


55: 2013/01/20(日) 06:15:02.45
ほむら「鹿目 まどか」

さやか「鹿目 まどか? ああ……ほむらが捜してるって人だね」

ほむら「『鹿目さんとの出会いをやり直したい。彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい』」

さやか「……え?」

ほむら「私は……未来から来た。鹿目 まどかを守るために」

さやか「……」

ほむら「わけがわからないでしょ。この世界には鹿目 まどかは……現在、見つかっていない。おまけに私の武器は……」ヘンシン

私は弓を見せる。

ほむら「弓になっているし。元々の私の武器は盾。時間を戻したり、時間を止めたりできたのよ」

さやか「……」

ほむら「信じられないでしょ」

これで……

----------

さやか「そ、そうなんだ……それじゃ」

さやか(うへー。何言ってんの、この電波女)

----------

となって、明日には嫌われてるわね。


56: 2013/01/20(日) 06:15:45.85
ほむら(………別に嫌われたいわけではないけれど)

幾多の時間軸で敵対視されてきたから、逆に好かれるのもなんというか、気持ち悪いというか。まどかを救うための障害でもあるし。

ほむら(それに……優しくされたら、甘えてしまいそう)

もう、誰にも頼らない。あの時、そう決めたから。

さやか「それから?」

ほむら「……ん?」

さやか「続きは?」

ほむら「!?」

なっ……!? こんな話をされても、平然としている……。

ほむら「……」

さやか「ねえ、早く続きを……」

ほむら「あなた、何者!」

さやか「………え? 私はさやかちゃんだよ」

ほむら「あなたは美樹 さやかではないわね! 本物の美樹 さやかなら、私にこんなに好意的にならないわ!」ホムッ

さやか「いやいや。何を言ってるのよ」

ほむら「だいたい、本物のあなたなら、私のことは『転校生』と呼ぶはずよ!」

さやか「転校生だなんて、他人行儀じゃん」

ほむら「それはそうだけど……」


57: 2013/01/20(日) 06:16:15.44
前回の時間軸、というか、たいていの時間軸ではそう呼ばれてたんだけど。

ほむら「あなたが本物なら、私に敵意を向けてくるはずだわ!」

さやか「何で、私がほむらに敵意を向ける必要があるのさ」

ほむら「ほむむ」

前まではまどかを守るため、もあるし、いろいろな要因で私に敵意を向けてきていた。でも、まどかと関わりがないみたいだし、誤解もないから、敵意を向けられる必要はない。

さやか「もう、気が済んだ? 早く続きを……」

ほむら「……」

さて、どうしたものだろう……。話すのは簡単だ。しかし、信じてもらえるか……。そもそも、本当に美樹 さやかなの?

さやか「ねえ……」

ほむら「……まだ、話せないわ。あなたが本物の美樹 さやかだと分かるまではね」

さやか「何で、そこまで疑うかな」

ほむら「というわけで、また明日ね」

さやか「あ、ちょっと……」

ほむら「さようなら」


58: 2013/01/20(日) 06:17:52.47
さやか視点

次の日

登校中

さやか「というわけよ」

仁美「はあ……」

昨日の公園でのやり取り(魔法少女のことを除いて)をかいつまんで、仁美に話した。

さやか「どうしたもんかね」

仁美「言い辛いことですけど、お付き合いを避けるべきでは……」

さやか「普通はそうだろうね」

いきなり、お前は偽者だとかいう奴とは正直付き合いを避けたほうが賢明だろうし。

さやか「だが、しかーし! この程度で諦めるさやかちゃんではないのだ!」

このまま、引っ込むのも癪な話しだし。

さやか「というわけで、何か案はない?」

仁美「うーん……難しいですわね……。どうして、暁美さんと仲良くなりたいんですの?」

さやか「……初めて会った時の話をしたよね」

仁美「ええ」

さやか「あの時、私に掴みかかってきたあいつの眼……大切な物を無くした子供みたいに必氏な眼だったんだよ」

仁美「はあ……」

さやか「そんな風にさ。人を思えるような、奴が悪い奴だとは思えなくてさ」

仁美「さやかさん……」

さやか「……外見は綺麗だし、かわいいと思うよ。ただ、何考えてんのか分からないし、暗いし、人を寄せ付けない感じがして、嫌な奴だと思うよ。でも……」

ほむら「……」


59: 2013/01/20(日) 06:18:25.21
さやか「ほむら!?」

仁美「暁美さん!?」

いきなり、私達の背後に立っていたほむらに私達はびっくりする。

ほむら「……あなた」

さやか「べ、別に陰口をたたいていたわけじゃ……」

ほむら「本物の美樹 さやかね!」ホムッ

さやか「………は?」

ほむら「昨日はあなたの偽者がいたの。電波な話に聞こえるでしょうけど、気をつけて」スタスタ

さやか「あ、ちょっ……」

ほむら「~♪」スタスタ

鼻歌交じりにサッサと歩いていく、ほむら

仁美「さっきはなんて言おうとしたんですの?」

さやか「……でもさ、本当はいい奴だと思うんだよね。だから、その部分をこのさやかちゃんが引き出して、あげちゃうのだ! ……って」

仁美「なるほど。……私も協力しますわ」

さやか「いいの?」

仁美「何だか、面白そうですし」


60: 2013/01/20(日) 06:19:49.00
ほむら視点

お昼

さやか「一緒にお昼、食べない?」

ほむら「…………え?」

お昼に私が聞いた言葉は衝撃的なものだった。

ほむら「……私と?」

さやか「うん」

ほむら「……あなた、正気なの?」

さやか「何故、そこまで、信じられないって顔をしてるかは知らないけど、正気だよ」

ほむら「……」ピタッ

さやか「ちょっ!?」

私は自分のおでこをさやかのおでこにくっつける。どうやら、熱はないようね。

クラスメイト「だいたーん」

クラスメイト「転校2日目でここまでいちゃつけるとは……」

さやか「ええい! 見世物じゃないから、見るなー!」


61: 2013/01/20(日) 06:20:16.17
ほむら「あなた、大丈夫?」

さやか「だから、何で、本当に心配されなきゃいけないのよ。たかが、一緒にお昼食べようって言っただけじゃん」

ほむら「そ、それはそうだけど」

本物のさやかはどこに行ってしまったのかしら。これはこれで悪くはないのだけれど。

さやか「……仁美、悪いけど……」

仁美「……分かりましたわ」

さやか「行こうか、ほむら」ギュッ

いきなり、手を握る、さやか。

ほむら「どこに?」

さやか「屋上」


62: 2013/01/20(日) 06:20:56.20
屋上

さやか「昨日の続き、聞かせてよ」

ほむら「……まだ、話せないと言ったけれど」

さやか「いやー、気になっちゃってさ。それに私を偽者扱いされるのも気分がいいもんじゃないし」

ほむら「……ごめんなさい」

言われてみれば、そのとおりね。

ほむら「……いいわ。聞きたいなら、話してあげるわ。私の全てを。長くなるわよ」

さやか「いいよ。最悪、5時間目くらい、サボるから」

ほむら「サボるのはまずいけど……まあ、いいわ」

私は思い出すように、一つ一つ、話した。まあ、さやかが魔女になるのはさすがに伏せたけれど。

ほむら「……で、今に至るわけよ」

この世界にはまどかは……少なくとも、さやかとは面識がない。まどかがいれば、信じられたかもしれないが……。

さやか「……」

ほむら「突拍子もない話で信じられないでしょ? 電波な女と思ったでしょ? それでもいい。ただ、魔法少女には……」

さやか「信じるよ」

ほむら「え?」

さやか「私は……ほむらを信じるよ」

ほむら「……」

さやか「ほむら……」

さやかは立ち上がり、私に近づく。


63: 2013/01/20(日) 06:21:38.40
さやか「……辛かったよね、1人でさ」

ほむら「……もう、誰にも頼らない。そう、決めたから」

さやか「ほむら……立派な決意だね」

ほむら「……ありがと」

さやか「でも、その決意も今日でおしまいだよ」

ほむら「え?」

さやか「これからはこのさやかちゃんが! ほむらの戦いを終わらせるためにガンガン頑張りまくっちゃいますからねー!」

ほむら「えー……」

さやか「何よ。その、何言ってんの、こいつみたいな顔は」

ほむら「何を言ってるのよ、あなた」

さやか「口にも出したよ」

ほむら「あなたが味方になったからって、まどかを救えはしないわ。むしろ、障害よ」

さやか「ひどい言いようだね」

ほむら「事実だもの」

さやか「たとえ、事実だとしても! 今回のさやかちゃんががんばっちゃいますから!」

ほむら(正直、何もしないでほしいのだけれど……)

とはいえ、まどかを捜すのに人手はほしい。

ほむら「……分かったわ。協力して」

さやか「うんうん。素直が一番だね! ……ところで、マミさんは魔法少女についての秘密を知ってるの?」

ほむら「知らないわ」

さやか「言わないの?」

ほむら「……ええ。彼女は現実を受け止められない。事実を言えば……」


64: 2013/01/20(日) 06:22:24.69
---------------

マミ『ソウルジェムが魔女を産むなら! 皆氏ぬしかないじゃない!』

---------------

ほむら「私は殺されてしまうわ」

さやか「……それは困るね」

ほむら「さらに困ったことがあるわ」

さやか「まだ、あるの?」

ほむら「私は守るべき、まどかを見つけてはいない」

そう……。まどかの家にはまどかの存在がなかった。この学校にも。

さやか「うーん……近所の学校でも捜してみる?」

ほむら「……そうね」

もしかしたら、まどかは別の学校に通っているのかもしれないし。

ほむら「……そして、最大の問題をどう片付けましょうか」

さやか「ん? まだ、何かあるの?」

ほむら「話に夢中すぎて、もう、6時間目よ」

さやか「おう……」


65: 2013/01/20(日) 06:22:55.04
放課後

中沢「随分、お楽しみだったようだね」

さやか「違うわ! ただ、ほむらの気分が悪くて……」

中沢「俺が保健室に様子を見に行った時には誰もいなかった。ああ、安心してくれ。先生にはちゃんと、保健室で休んでいると言っておいたから」

さやか「それは有り難いけど……」

クラスメイト「でも、手を出すのが早いわね……」

クラスメイト「さすがね……」

仁美「やっぱり、お2人は……」

さやか「違うわ!!!」




66: 2013/01/20(日) 06:23:21.91
さやか「疲れた」

マミ「その……大丈夫?」

ほむら「そっとしておきなさい。私も辛いの……」

マミ「えっと……元気出して」


67: 2013/01/20(日) 06:23:50.68
廃墟

マミ「ここね」

さやか「あ、マミさんあれ!」

女の人「……」タッ

女の人は屋上から地面に落下する。

マミ「危ない!」

巴 マミはリボンをクルクルと女の人をパパッと助ける。

マミ「魔女の口づけ…やっぱりね」

ほむら「そのようね」

さやか「この人は?」

マミ「大丈夫。気を失っているだけ。行くわよ」

さやか「……」ゴクリ

ほむら「ええ」




68: 2013/01/20(日) 06:24:27.96
マミ「ここね」

さやか「よ、よし」

ほむら「怖いなら、無理しない方がいいわよ」

さやか「だ、誰が怖いって!」

マミ「いくわよ」ヘンシン

ほむら「ええ」ヘンシン

スタスタ

さやか「お、置いていくな!」

結界内

マミ「この奥に魔女はいるわ」

さやか「ゴクリ」

マミ「ふふふ。怖い?」

さやか「こ、これくらい、どうってことねーって!」

ほむら「なら、行くわよ」

最深部

魔女 ゲルトルート 薔薇園の魔女

ゲルトルート「……」

マミ「あれがここの魔女ね」

ほむら「どうするの?」

マミ「そうねえ……暁美さんが弓で攻撃して、魔女が気をとられてる隙に私が背後から攻撃するわ」

ほむら「なるほど。分かったわ」ファサ

マミ「準備ができたら、テレパシーを送るわ」

ほむら「ええ」




69: 2013/01/20(日) 06:24:53.96
さやか「やっぱり、マミさんにも協力してもらおう」

ほむら「無理よ。巴 マミには……」

さやか「そこは伏せてさ。話せるところは話して、協力させてもらったほうがまどかって娘も早く見つけられるよ」

ほむら「………たしかに」

問題は……

ほむら「信じてもらえるかしら」

さやか「大丈夫! 私も話すからさ!」

マミ『準備はオーケーよ!』

ほむら『了解よ』

ほむら「危険だから、下がっていて」

さやか「うん」

私は弓を構える。

ほむら「オープンコンパッド!!」




70: 2013/01/20(日) 06:25:22.32
マミ「お疲れ様」

さやか「いやー、流石はマミさんにほむら。あっという間に魔女を倒すなんてね」

ほむら「大したことじゃないわ」///ファサ

さやか(顔を真っ赤にして……)

マミ(照れてるわね……)

さやか「ところで、マミさん」

マミ「何かしら?」

さやか「実はお話が……」

マミ「話?」

マミ(まさか……)

---------

さやか「あたし、マミさんの格好よさに惚れました! すぐに魔法少女になります!」

---------

マミ(みたいな、感じかしら)ドキドキ

マミ「なら、私の家で話さない?」

さやか「長くなるから、そのほうがいいよね」

ほむら「そうね」

マミ「暁美さんもお話?」

マミ(まさか……)

---------

ほむら「マミさんの格好よさに惚れてしまったわ。あなたの弟子にして」

---------

マミ(みたいな、感じかしら)ドキドキ

マミ「す、すぐに行きましょう!」

さやか「はい」

ほむら「病院はいいの?」

さやか「でも、こっちがあるし」

ほむら「話くらい、私ができるわ。行ってきなさい」

さやか「そう? あー、マミさん」

マミ「何かしら!」

さやか「あー……すいません。急な用事ができて……」

マミ「………え?」

さやか「代わりにほむらから話を聞いて下さい! それじゃ!」タッタッタッタッ

マミ「あ、ああ……美樹さん」

マミ(まあ、暁美さんがいるなら、望みはあるわ!)

マミ「行きましょうか」

ほむら「ええ」

76: 2013/01/27(日) 06:04:01.10
マミの家

マミ「今、お茶を入れるわね」

ほむら「おかまいなく」

マミ「ふふ。遠慮しなくていいわ。ちょっと、待ってて」



マミ「ふふ~ん♪」

QB「やあ、マミ」

マミ「キュウベえ。どうしたの?」

QB「君に言っておくことがあるんだ」




77: 2013/01/27(日) 06:04:29.70
ほむら「……というわけなの」

私は魔法少女の秘密を隠して、巴 マミに説明した。

ほむら「信じられる話ではないかもしれないけど……」

突拍子もない話だし……。

マミ「……なるほど」

納得顔で頷く、巴 マミ。

ほむら「信じてくれ……」

マミ「そうやって、美樹さんを騙したのね」

ほむら「!?」

マミ「……」


78: 2013/01/27(日) 06:05:00.59
――――――――――――――――――――

QB「暁美 ほむらには気をつけたほうがいいよ」

マミ「どういうこと?」

QB「彼女と僕は契約した覚えがないって、前に話したよね」

マミ「そういえば……言ってたわね」

QB「つまり、彼女はイレギュラーだ。何をしでかすかは分からない」

マミ「何をしでかすかって……」

QB「もしかしたら、仲をよくなった振りをして、マミを倒しにくるかもしれないよ」

マミ「そんな……」

QB「さやかも騙されているかもしれない」

マミ「美樹さんも?」

QB「彼女は魔法少女については詳しくもないからね。大いにありえることだ」

――――――――――――――――――――


79: 2013/01/27(日) 06:05:41.36
マミ「そんな話をして、美樹さんは騙せても、私は騙せないわ」

ほむら「……そう」

やっぱりね。こんな突拍子もない話を信じてはくれないでしょうね。それこそ、電波扱いよ

マミ「何を企んでいるのかしら」

ほむら「何も企んではいないわ。それじゃ」

マミ「待ちなさい」

ほむら「まだ何かあるの?」

マミ「もう、これ以上、私や美樹さんには関わらないで」

ほむら「……分かったわ」チクチク

そう言われるのは慣れているはずなのに……何故か、心が痛んだ。


80: 2013/01/27(日) 06:06:30.43
さやか視点

病院

さやか「はあーはぁ。うん」

私は病室に入る。うう、緊張するなあ。

恭介「やあ」



さやか「はい、これ」

恭介「うわぁ…。いつも本当にありがとう。さやかはレアなCDを見つける天才だね」

さやか「あっはは、そんな、運がいいだけだよ。きっと」

恭介「この人の演奏は本当にすごいんだ。さやかも聴いてみる?」

さやか「う、い、いいのかな?」 ドキドキ

恭介「本当はスピーカーで聴かせたいんだけど、病院だしね」

さやか「ええぇー…」ドキドキ



恭介「そう言えば……」

さやか「ん?」

恭介「あの転校生とはうまくいってるのかい?」

さやか「うーん……一歩前進した感じかな」

恭介「そうか……」

さやか「おやおや。嫉妬ですか~?」

だとしたら、嬉しいな。

恭介「……そうかもね」

さやか「ええっ!?」

恭介「入院してから、1人でいることが多くて……さやかが毎日、来てくれたからね。少しは寂しいかな」

さやか(これは……いける!)

恭介「でも、その転校生も転校してきたばかりだし、1人で、寂しいだろうからね。さやかが元気付けてくれると助かるだろうね」

さやか「そ、そうかな」///

恭介「そうだよ。さやかは人を元気付けるのがうまいからね」

さやか「あ、ありがと。あはは」

今、顔がめっちゃ赤くなってるよ……。

さやか「任せて! 私が転校生も恭介も元気付けてあげるから!」


81: 2013/01/27(日) 06:07:06.33
次の日

学校

さやか「おはよう、ほむら!」

ほむら「……」チラッスタスタ

さやか「ちょっ、朝から無視はよくないよ」

ほむら「……」スタスタ

さやか「ほむ……」

マミ「美樹さん」

さやか「ん? あ、マミさん。おはようございます」

マミ「おはよう。ちょと、話があるのだけど」

さやか「話ですか? 今すぐに?」

マミ「時間もあれだから、昼休みに屋上にしましょう」


82: 2013/01/27(日) 06:07:32.98
昼休み

さやか「話ってなんですか?」

マミ「昨日、暁美さんに話は聞いたわ」

さやか「! じゃあ……」

マミ「単刀直入に言うわ。美樹さん……あなた、騙されているわ」

さやか「……え?」

私はその言葉に耳を疑った。

さやか「ど、どうして、そんなことを……」

???「それは僕が説明しよう」


83: 2013/01/27(日) 06:08:53.29
さやか「キュウベえ……」

QB「僕も彼女の話を(盗み)聞いていたからね。彼女の話にはいろいろとおかしな点がある。僕は彼女と契約をした覚えがない。しかし、彼女は魔法少女。この点からしておかしいじゃないか」

さやか「それは……でも、ほむらは未来から来たんだし、このキュウベえとは契約をしてなくても、おかしくないじゃない」

QB「たしかに。しかし、それはある前提の元で成り立つんだよ」

さやか「前提?」

QB「暁美 ほむらが本当のことを話しているという前提さ」

さやか「!」

QB「もしかしたら、彼女を嘘をついてるかもしれない」

さやか「それは……」

QB「だいたいがして、おかしいじゃないか。どうして、彼女はまどかを生き返らせなかったんだい?」

さやか「……」

QB「仮に救うにしても、やりようはあったはずさ。それも何度も繰り返し、あげくに見捨ててきた」

さやか「……」

QB「だいたいがして、たかが、1人のために何度も時間をループして救おうとするなんて……まるでストーカーじゃないか」

さやか「!」

QB「僕には感情がないから、分からないけど、君達、人間から言えば、気持ち悪い、あるいはキモいと言うんじゃないかな。マミもそう思わないかい?」

マミ「え、私!?」

マミ(そんなことをしてくれる友達がほしいとは言えない)

QB「もしかしたら、鹿目 まどかという娘がいたとして、そして、暁美 ほむらのことを聞くなりなんなりして、こう願ったんじゃないかな」


84: 2013/01/27(日) 06:09:22.26
回想

まどか「私、暁美 ほむらが気持ち悪い。だから、暁美 ほむらを私のいない世界に飛ばしてほしい」

回想終了


85: 2013/01/27(日) 06:09:56.25
QB「こんな願いをしたんじゃないかな。だから、暁美 ほむらはここに来たとか」

さやか「……」

QB(本当はここまで言う必要はないんだどね。でも、暁美 ほむらはイレギュラーな存在だ。何がどう作用するかも分からない。排除できるなら、そうしておいたほうがいいからね)キュップイ

QB「どうだい、さやか」

さやか「……」


86: 2013/01/27(日) 06:10:49.38
ほむら視点

昼休み

ほむら「……」

昼休みね。

さやか「……」スタスタ

ほむら「ほむ?」

どこかに行くみたいね。

ほむら「……気になるわね」

恐らくは巴 マミのもとにでしょうけど。

ほむら「……少し様子を見ましょう」


87: 2013/01/27(日) 06:11:51.15
回想

まどか「私、暁美 ほむらが気持ち悪い。だから、暁美 ほむらを私のいない世界に飛ばしてほしい」

回想終了



ほむら「そんな……」

まどかはいい娘だから、そんなことは思わないはず………でも、感極まって、抱きついてしまったし……。

ほむら「……」

他の点についても、キュウベえの言う通りだ。私がしっかりしてたら……。

ほむら「……愛想をつかされても仕方がないわよね」

これも罰なのかもしれない。まどかからの……。

ほむら「うう……」タッタッタッタッ

私は目に涙を浮かべながら、その場を去った。


88: 2013/01/27(日) 06:12:24.27
さやか視点

さやか「マミさんもキュウベえと同じ意見ですか?」

マミ「わ、わ、私? 流石にキュウベえは言い過ぎだけど……」

さやか「……そうですか」クルッ

マミ「み、美樹さん!」

さやか「私はほむらを信じますよ」

マミ「!」

さやか「たしかに、キュウベえの言う通りかもしれない。だけど、それだけ、1人の人を想えるのはすごいって思うし、私は気持ち悪いとは思わない。むしろ、尊敬するよ」

QB「それが君の出した答えかい」

さやか「うん。……マミさんはどうします?」

マミ「私は……」




89: 2013/01/27(日) 06:12:52.58
さやか「帰った?」

中沢「ああ。昼休みに、どこかから涙目で帰ってきて、『気分が悪いから、早退します』ってな」

さやか「……」

まさか、聞かれた?

さやか「……ほむら」


90: 2013/01/27(日) 06:13:45.83
ほむら視点

ほむホーム

ほむら「うう……」

私が今までやってきたことって……。

ほむら「まどか……」グスッ

こんな時まで、まどかの名前を呼ぶから、気持ち悪いのかしらね。


91: 2013/01/27(日) 06:15:06.78
さやか視点

放課後

さやか「こっちか」

個人情報だから、と拒む先生を土下座で説得、ほむらの住所を聞いて、やってきたわけだけど。

さやか「……さて」

ピンポーンピンポーン

ガチャッ

ほむら「……」

さやか「やっほー、ほむら。体は大丈夫?」

ほむら「……」バタンッ

さやか「ちょっ……ドアを閉めないでよ!」ピンポンピンポン

ガチャッ

ほむら「何の用?」

さやか「今日、早退したでしょ? だから、心配でさ。さやかちゃんはお見舞いに慣れてるからね!」

さやか(目がはれてる……泣いてたのかな?)

ほむら「お見舞い? 私を笑いに来たんじゃないの?」

さやか「何でよ」

ほむら「昼休みにキュウベえと話してじゃない」

さやか(やっぱり、聞かれてたか)

ほむら「気持ち悪いわよね。笑いたければ、笑いなさい」ウルウル

さやか「……ほむら」

ほむら「私、入院暮らしで1人だったから……まどかに会えて……手を差しのべてくれて、嬉しかったの。でも、まどかにとっては気持ち悪かったのね」

さやか「そんなことないよ!」

ほむら「!?」


92: 2013/01/27(日) 06:22:17.17
さやか「私にはそのまどかって、娘は知らないけどさ。そんなことを思うような嫌な娘なの?」

ほむら「違うわ。まどかは優しくて、天使で……」

さやか「そんな娘なら、ほむらのことをそんなふうに思わないよ」

ほむら「でも……」

さやか「ほむらのやってきたことを電波女だとかそんな風に否定するような娘なら、こっちから願い下げだよ」

ほむら「さやか……」

さやか「もし、キュウベえの言う通りの願いをしてたなら、いいじゃん。そんな奴のためにほむらが人生をかける必要なんてなくなるから」

ほむら「……」

さやか「ほむらには私がついてるから……」

ほむら「………」ガチャッ

さやか「!?」

ほむら「……入りなさい。お茶くらい入れるわ」

さやか「いいの?」

ほむら「かまわないわ」

いつもと変わらない、声に表情だけれど。

ほむら「……………ありがと」ボソッ

そう言ってくれた。


93: 2013/01/27(日) 06:22:47.49
ほむら視点

ほむら「悪いわね、わざわざ。どうぞ、お茶よ」

さやか「気にしなくていいよ。好きできたんだから」

ほむら「で、巴 マミは?」

さやか「うーん、その呼び方は駄目だね」

ほむら「ほむ?」

さやか「フルネームは他人行儀すぎだよ。マミさんとかって、呼ばなきゃ」

ほむら「でも……私はあまり、仲良くなるべきではないから」

さやか「何で?」

ほむら「私は……ワルプルギスの夜を倒したら、この街を出ていくつもりだったから」

さやか「この街を?」

ほむら「私の時間を止める力は……ワルプルギスの夜が現れるまでの1ヶ月だけだから。それをすぎたら、その力はなくなる。私は武器を作れるわけではないから、魔女と戦うだけの力はなくなるわ」

さやか「なるほど。だから、なるべく仲良くはしないと」

ほむら「ええ」

さやか「そんなのあたしが許さないよ」

ほむら「ほむ?」

何を言い出すのかしら。

さやか「ほむらも幸せにならないと駄目だよ」

ほむら「……いいのよ、私は」

まどかさえ、幸せになれば。

さやか「ほむらは良くても、私は駄目なの。友達なんだからさ」

ほむら「友達……」

本当に目の前の娘は美樹 さやかなのかしら。

ほむら「横道にそれてしまったけど、巴さんは?」

さやか「マミさんは……」


94: 2013/01/27(日) 06:23:15.64
回想

マミ「私は…………まだ、何とも言えないわ」

さやか「マミさん……」

マミ「流石にキュウベえの言ってることは言い過ぎにしても、まだ、彼女が信用に足るかは分からないから、現段階では何とも言えないわ」

さやか「……そうですか」

マミ「ただ……」

さやか「?」

マミ「暁美さんを見ていると……胸が締め付けられるというか……不思議な気分になるのよね」

さやか「はあ……?」

マミ「なんというか……前に会ったことがあるような……いえ、親密な仲だった様な……不思議な感じ?」

さやか「よく分かりませんが……」

マミ「とにかく。もう少し様子を見せて」

さやか「分かりました」

回想終了


95: 2013/01/27(日) 06:24:37.83
さやか「というわけよ」

ほむら「何だか、よく分からないわね」

さやか「そうだね。……っと、それじゃ、今後の方針を決めよう」

ほむら「方針?」

さやか「そう。これから、どうするかとか」

ほむら「これからねえ……」

さやか「まずはまどかを捜さないと」

ほむら「……そうね」

しかし……どこにいるのかしら。

さやか「それと……ほむらの話の通りなら、この後、ワルプルギスの夜も来る。それも何とかしないと」

ほむら「ええ」

まどかはいないとはいえ、ワルプルギスの夜をほっとくわけにはいかない。

ほむら「だから、巴さんや佐倉 杏子に協力を求めないと」

さやか「ふむ。戦力は多いほうが良いからね」

ほむら「でも、あなたは魔法少女になっては駄目よ」

さやか「分かってるよ。私だって、人間でいたいもんね」

ほむら「……」

さやか「じょ、冗談だよ。ほむらは立派な人間だよ」

ほむら「……気にしてないわ。それより、巴さんね」


96: 2013/01/27(日) 06:25:03.53
さやか「んー、いきなりは無理だよ。時間を置かないと」

ほむら「いえ、そうじゃなくて……そろそろ、恒例のマミる時期に……」

さやか「あっ! 言ってたね」

ほむら「これまで、私の忠告はことごとく無視されて来たわ」

さやか「うーん……ほむらだけで退治する?」

ほむら「普通はそれでいいと思うわ。でも……」

さやか「なんかあるの?」

ほむら「私の武器は……」

さやか「弓だっけ?」

ほむら「ええ。だから、扱いには自信がないの」

使い始めたばかりだし。

ほむら「なるべくなら、協力して行きたいわね」

さやか「そうだねえ……」サヤサヤ

ほむら「何か良い方法はないかしら」

さやか「素直に頼むしかないね」

ほむら「でも、素直に信じてくれるかしら」

さやか「信じてくれなくても、そこに魔女がいれば、信じざるをえないでしょ」

ほむら「……それもそうね」

さやか「それじゃ、明日、頼んでみよ」

ほむら「ええ」

さやか「それじゃ、また明日ね」

ほむら「送っていきましょうか?」

さやか「平気平気。それじゃあねー」




97: 2013/01/27(日) 06:25:29.62
QB「……」

QB「これはあんまり、よくない展開だね。さやかの説得は無理そうだし……揺さぶるなら、ほむらかな?」

QB「キュップイ」




98: 2013/01/27(日) 06:26:02.85
QB「暁美 ほむら」

ほむら「……」ギロッ

QB「いきなり、睨まないでもらいたいね」

ほむら「どうして、そうされるか、心当たりはないのかしらね」

QB「それが分かれば、僕も苦労はないんだけどね」

ほむら「ふん。何の用かしら」

QB「やれやれ。そんなに敵意を見せないでくれよ。僕は君と敵対したいわけじゃないんだよ」

ほむら「何を言い出すのよ、この淫獣」

QB「僕はむしろ、味方だよ」

ほむら「どの口がそんなことを言うのかしら」

QB「考えてもみてくれ。さやかはすんなり、信じすぎだとは思わないかい?」

ほむら「……」

たしかに。

QB「僕が思うに、彼女は君を貶めたいんじゃないかな?」

ほむら「え?」

QB「つまりはほむらを信用させて、落とすんだよ。人間にはこれが効くらしいじゃないか」

ほむら「……」

QB「君が経験した時間軸を思い出してみれば良いじゃないか。美樹 さやかは君に対して、どう接してきたかを」

ほむら「……」


99: 2013/01/27(日) 06:26:48.79
回想

さやか「あのさあ、キュウべえがそんな嘘ついて、一体何の得があるわけ?」

ほむら「それは…」

さやか「私達に妙な事吹き込んで仲間割れでもさせたいの? まさかあんた、ホントはあの杏子とか言う奴とグルなんじゃないでしょうね?」

ほむら「ち、違うわ!」

まどか「さやかちゃん。それこそ仲間割れだよ」

さやか「はあ、どっちにしろ私この子とチーム組むの反対だわ。まどかやマミさんは飛び道具だから平気だろうけど、いきなり目の前で爆発とか、ちょっと勘弁して欲しいんだよね。何度巻き込まれそうになった事か」

マミ「暁美さんには、爆弾以外の武器ってないのかしら?」

回想終了

まどかは天使ね。

回想

まどか「でも…」

さやか「あ!」

ほむら「貴女は……」

さやか「ふん、遅かったじゃない。転校生」テキイムキダシ

回想終了

まどかは女神ね。


100: 2013/01/27(日) 06:27:23.75
ほむら「たしかに……」

思い返してみれば、この時間軸はおかしいわね。

QB「だろう? このまま、美樹 さやかを信用するのは危険じゃないかい?」

ほむら「そうよね……1つ聞いていい?」

QB「なんだい」

ほむら「何で、私にそんなことを言うの?」

QB「魔法少女のサポートをするのが僕の役割だからね」

ほむら「なるほどね。……消えなさい」

QB「やれやれ」スタスタ

ほむら「まったく、あの淫獣は……」



QB(今回はこれでいい。少なくとも、さやかに対して、不信感を抱かせることができたからね)

QB「キュップイ」


101: 2013/01/27(日) 06:28:12.80
ほむら「たしかにキュウベえの言うとおりね」

美樹 さやかはこんな小細工みたいなことはしない娘だったけど。

ほむら「このまま、さやかを信用するのはきけ……」

???『そんなことないよ!』

ほむら「!?」

今、変な声が……。

ほむら「まどか……?」

???『……まどか? まどか、違うよぉ』

ほむら「じゃあ……あなたは……」

まどか『私? 私は……そう、円環の理!』

ほむら「円環の理……」

まどか『私が誰かなんて、どうでもいいよ! それより、キュウベえの言葉に耳を貸しちゃだめだよ!』

ほむら「でも、さやかが私に優しいだなんて……」

まどか『さやかちゃんは優しいよ! 思い込みが激しくて、意地っ張りで、結構すぐ人と喧嘩しちゃったり。でもね、すっごくいい子なの。優しくて勇気があって、誰かのためと思ったらがんばり過ぎちゃって』

ほむら「でも……」

まどか『私を信じて!』

ほむら「……仕方がないわね」

とりあえず、さやかについては保留にしておきましょう。

ほむら「ところで………あれ?」

シーン。

ほむら「……いない?」


102: 2013/01/27(日) 06:28:40.08
次の日

放課後

病院

マミ「本当に魔女が出るのかしら?」

ほむら「ええ」

さやか「これで魔女がいれば、ほむらの言ってることの信憑性も出ますし」

マミ「それは……そうね」

さやか「じゃあ、ちょっと、私は……」

ほむら「お見舞いね。いってらっしゃい」

さやか「悪いね、いってきます」




103: 2013/01/27(日) 06:29:23.46
マミ「ねえ」

ほむら「ほむ?」

マミ「どこかで私達、会ったことないかしら?」

ほむら「!」

マミ「暁美さん……?」

ほむら「……ないわよ」

まさか、前の時間の記憶が……。

ほむら(まさかね)

さやか「待たせちゃってゴメンね」

マミ「早かったわね」

さやか「何か今日は都合悪いみたいでさ。わざわざ来てやったのに、失礼しちゃうわよね」

ほむら「!」

まさか……。

マミ「そう……なら、行きましょうか」

さやか「はい! ……どうしたの、ほむら」

ほむら「……何でもないわ」

マミ「やっぱり、何もなさ……!」

グリーグシード「……」

マミ「これは……」

さやか「やっぱり、ほむらの言ったとおり……」

ほむら「生まれる前に回収を……」

ビューン


104: 2013/01/27(日) 06:29:50.34
結界

ほむら「……遅かったみたいね」

マミ「……ええ」ビュルル

ほむら「!?」

地面からリボンが生えて、私を拘束する。

ほむら「な、何をするの!」

マミ「今のグリーフシード……あなたが放置したんじゃないかしら?」

ほむら「! 何を言ってるの……」

マミ「私達を信用させるために!」

ほむら「そんなことをして、何になるの……ぐっ」

さやか「何をするんですか、マミさん!」

マミ「さあ、暁美さん!」


105: 2013/01/27(日) 06:30:17.61
回想

QB「この後、暁美 ほむらは何をするかは分からない。あの手この手で信用させてくるだろう。だから、注意したほうがいい」

QB(彼女は排除しないと面倒なことになりそうだからね)

回想終了


106: 2013/01/27(日) 06:30:49.64
さやか「やめてください!」

マミ「騙されてるのよ、美樹さん」

さやか「私は騙されてません!」

ほむら「……」

前回もこうされたわね。

さやか「ほむらを離してください!」

マミ「美樹さん……」

さやか「おねがいします!」

マミ「………あなたがやったわけじゃないのよね」

ほむら「……ええ」

マミ「………そう」シュパッ

リボンを外す、巴さん。

マミ「今回は様子見としてあげるわ」

ほむら「………行きましょう。もたもたしてる場合じゃないわ」スタスタ

さやか(ほむら……)


107: 2013/01/27(日) 06:31:44.30
結界奥

さやか「あれが……魔女」

マミ「まだ、孵化はしてな……」

ピシャーン

魔女 シャルロッテ

マミ「……遅かったみたいね」

ほむら「迂闊に行くのは危険よ。落ち着いて……」

マミ「悪いけど、私が速攻で蹴りをつけるわ!」タッタッタッタッ

ほむら「……」

さやか(ほむら……まるで、信用されてない)

ほむら「……」グスッ

さやか(誰かに信用されるのって大変なんだなあ)

オープンコンバット!

使い魔「オレハオマエヲ」

使い魔「ブッタオス」

マミ「邪魔よ!」ドカッ

使い魔「グハッ」

マミ「体が軽い……こんな気持ちで戦うの、初めて……」

シャルロッテ「コンドハワタシガアイテナノヨノサ」

マミ「悪いけど……一気に決めさせて!」ドカン




108: 2013/01/27(日) 06:32:21.72
さやか「ちょっと、この流れはまずいよ!」

ほむら「……もう、いいわよ」プイッ

さやか「き、気持ちは分かるけど……拗ねてないで!」

ほむら「私なんて、必要ないわ」グスッ

さやか「え、えっと……ここはぱあーっとほむらが助けて、信用を得ないと!」

ほむら「そうかしら?」プイッ

さやか「このまま、マミさんがやられたら、ほむらだって気分が悪いでしょ!」

ほむら「それは……そうね」

さやか「だから……ね?」

ほむら「まあ、あなたに頼まれなくても、助けるけどね。今はその段階じゃないだけ」ホムッ

さやか「おい」



マミ「決めさせてもらうわよ!」



ほむら「あの構えは……」

さやか「マミさんの必殺技……」

マミ・ほむら・さやか「「「ティロ・フィナーレ!!!」」」




109: 2013/01/27(日) 06:32:52.97
シャルロッテ「アバッ」コンチニワ

マミ「!?」

シャルロッテ「イタダキマース」

ほむら「そうはさせないわ!」ピシュッピシュッ

口をあけた魔女に矢をご馳走する。

シャルロッテ「イタタ」

マミ「暁美さん……」

ほむら「ボーっとしないで。追撃よ!」スタッ

マミ「……ええっ!」

マミ「ティロフィナーレ!」チュドーン

シャルロッテ「ギャアアアアア」

ほむら「はああ!」ビシュッビシュッ

シャルロッテ「アバババ」

シャルロッテ「ヤラレター」チュボーン

ほむら「……勝ったわね」

マミ「……ええ」

さやか「やったー!」

マミ「……暁美さん」

ほむら「何かしら」

マミ「……助けてくれて、ありがと」ニコッ

ほむら「……そう」プイッ

マミ「それから、ごめんなさい。あなたを信用し切れなくて」

ほむら「……気にしなくてもいいわ。あなたの気持ちも分かるし」

マミ「……ありがと」

さやか「うんうん。これで、丸く収まったね!」




110: 2013/01/27(日) 06:33:22.54
さやか「まずはこの中学からだね」

私達は魔女を倒した後にまどか捜しを始めた。

さやか「善は急げってやつだね」

ほむら「何を言ってるのよ」コソコソ

さやか「何で、電柱の影に隠れてるのよ」

ほむら「恥ずかしいじゃない」

さやか「そんな方法じゃ、見つかんないでしょ。だいたい、この時間なら、もう、部活やってる生徒しかいないし」

ほむら「じゃあ、どうしろっていうのよ」ホムッ

さやか「聞くしかないじゃない」

ほむら「は、恥ずかしいし」

マミ「恥ずかしがってる場合じゃないわよ」

さやか「そうだよ。もしかしたら、まどかもいるかもよ」

ほむら「ほむう……」

さやか「というわけで、聞いてくるね」



さやか「すいませーん」

マミ「聞きたいことが……」

生徒「はい……」



さやか「知らないってさ」

ほむら「そう……この学校はなし……っと」

マミ「今日はさすがにここまでにしましょう」

ほむら「そうですね」

さやか「じゃあ、帰りますか」

ほむら「送っていくわ」

さやか「え? むしろ、ほむらの方が心配なんだけど。体格的に」

ほむら「私は魔法少女よ」

さやか「ふむ、なるほど」

マミ「それじゃあね、2人とも」

さやか「さよならー」


111: 2013/01/27(日) 06:33:48.12
さやか視点

ほむら「帰りましょうか」

さやか「うん」

ほむら「この学校にはいないとなると……」ホムム

さやか(一生懸命だなあ)

そんなにもまどかって人はいい人なんだろうなあ。

さやか(どうすれば、ほむらの役に立てるのだろうか)

さやか「ねえ、ほむら」

ほむら「何かしら?」

さやか「この後……しばらくすると、ワルプルギスの夜が来るんだよね?」

ほむら「ええ」

ほむら(まどかのいない、イレギュラーな世界だけど……他は正常だしね)

さやか「ならさ。戦力は多い方がいいよね」

ほむら「やめて」

さやか「え?」

ほむら「あなた、自分が魔法少女になろうって考えてない?」

さやか「それは……」

ほむら「前に話したわよね。魔法少女の秘密、末路を」

さやか「……うん」

ほむら「私や巴さんは……もう、魔法少女から戻ることはない。末路は魔女よ。でも、あなたは違うわ」

さやか「!」

ほむら「あなたはそんな運命になる必要なんかないわ」

さやか「……ほむら」

ほむら「着いたみたいね」

さやか「え?」

『美樹』

たしかに私の家に着いてる。

ほむら「馬鹿なことは考えないでね」

さやか「………うん」


112: 2013/01/27(日) 06:34:16.07
次の日

病院

さやか「あっ」

看護婦A「あら、上条君のお見舞い?」

さやか「えっ、あっ、え、えぇ…」

看護婦A「あ、ごめんなさいね。診察の予定が繰り上がって、今ちょうどリハビリ室なの」

さやか「あぁ、そうでしたか…。どうも」



看護婦B「良く来てくれるわよね、あの子」

看護婦A「助かるわ、難しい患者さんだしね。励ましになってくれてるといいんだけど」

看護婦B「事故に遭う前は、天才少年だったんでしょ、バイオリンの」

看護婦A「歩けるようになったとしても、指の方はね…。もう二度と楽器を弾くなんて、無理でしょうね」



さやか(何で恭介なのよ。私の指なんて、いくら動いてたって、何の役にも立たないのに。何で私じゃなくて、恭介なの? もしも私の願い事で、恭介の体が治ったとしたら……)

恭介はどう思うんだろう? ありがとうって言われて、それだけかな? それとも、それ以上のことを言って欲しいんだろうか?

さやか「あたしって…嫌な子だなあ。でも……」

仮にその願いで魔法少女になれば、ほむらの役にも立てる。これは……一鳥二石なのではないか。なんか、違う気もするけど……。

さやか「駄目駄目。魔法少女にはならないって、約束したんだから」


113: 2013/01/27(日) 06:34:43.75
次の日

学校

さやか「おはよう、ほむら。ふぁあーあ」

ほむら「おはよう。眠そうね」

さやか「さやかちゃんにも悩みがいろいろあるんだよ」

ほむら「……言っておくけど」

さやか「分かってるよ」

ほむら「なら、良いけど」


114: 2013/01/27(日) 06:35:11.15
病院

さやか「何を聴いてるの?」

恭介「……『亜麻色の髪の乙女』」

さやか「ああ、ドビュッシー?素敵な曲だよね。あ、あたしってほら、こんなだからさ、クラシックなんて聴く柄じゃないだろってみんなが思うみたいでさぁ、たまに曲名とか言い当てたら、すごい驚かれるんだよね。意外すぎて尊敬されたりしてさ。恭介が教えてくれたから。でなきゃ私、こういう音楽ちゃんと聴こうと思うきっかけなんて、多分一生なかっただろうし」

恭介「さやかはさぁ…」

さやか「なーに?」

恭介「さやかは、僕を苛めてるのかい?」

さやか「え?」

恭介「何で今でもまだ、僕に音楽なんか聴かせるんだ。嫌がらせのつもりなのか?」

さやか「だって恭介、音楽好きだから…」

恭介「もう聴きたくなんかないんだよ! 自分で弾けもしない曲、ただ聴いてるだけなんて。僕は…僕は…っ! ああ!!」 ガシャン

さやか「あっ……。あぁ、あ!」

恭介「動かないんだ…もう、痛みさえ感じない。こんな手なんてっ」

さやか「大丈夫だよ。きっと何とかなるよ。諦めなければきっと、いつか…」

恭介「諦めろって言われたのさ。もう演奏は諦めろってさ。先生から直々に言われたよ。今の医学じゃ無理だって。僕の手はもう二度と動かない。奇跡か、魔法でもない限り治らない」

そんなにひどい怪我だったんだ……。

さやか「あるよ」

ごめん、ほむら……。

恭介「え?」

さやか「奇跡も、魔法も、あるんだよ」

QB「……」

121: 2013/02/01(金) 05:12:55.22
ほむら視点

ほむら「今日も今日とて、パトロールね」

マミ「これも魔法少女の使命よ」

ほむら「そうなんですけどね」

仁美「あら?」

ほむら「ほむ?」

仁美「暁美さんではないですか」

ほむら「志筑仁美……」

ということは……。

マミ「知り合い?」

ほむら「ええ。同じクラスの子よ。それより……」

マミ「……分かってるわ。魔女の口づけね。どうする?」

ほむら「……ここは」

仁美「どうしました?」

ほむら「何でもないわ」

仁美「ああ、そうだ。暁美さん達もぜひご一緒に行きませんか?」

ほむら「どこにかしら?」

マミ「暁美さん!?」

ほむら「ここは魔女のところに案内してもらいましょう。仮に魔女がいなくても、魔女の口づけのついた人達がいるかもしれないし」

とは言え、魔女はいるのだけど。

マミ「なるほどね」

仁美「どこって、それは…ここよりもずっといい場所、ですわ。ええそうですわ、それが素晴らしいですわ」

ほむら「それじゃ、お願いね」




122: 2013/02/01(金) 05:14:10.33
男「……」

女「……」



マミ「増えてきたわね」

ほむら「ええ。……近いわね」

男「そうだよ、俺は、駄目なんだ。こんな小さな工場一つ、満足に切り盛りできなかった。今みたいな時代にさ、俺の居場所なんてあるわけねぇんだよな」

マミ「暁美さん……」

ほむら「分かってるわ……あの扉の向こうね」

マミ「行くわ……ぐっ!?」

ほむら「巴さん!」

仁美「どこに行くのかしら?」

巴さんは志筑仁美に腹パンされる。

マミ「暁美さん! 先に行って!」

女の人「……」ダボダボ

ほむら「!」

洗剤を……まずい!

マミ「ここは私に任せなさい! ……あなたは魔女を!」

ほむら「分かったわ!」

私はドアに飛び込む。

ほむら「サッサと、こんな魔女、倒してあげるわ」


123: 2013/02/01(金) 05:15:11.80
結界

魔女 ハンドルネーム・エリー(キルシュテン)

ほむら「いくわよ」ヘンシン

魔女「……」

――――――――――――――――――――――――――――――――

まどか「私、魔女にはなりたくない。嫌なことも、悲しいこともあったけど、守りたいものだって、たくさん、この世界にはあったから」

ほむら「まどか…!」

まどか「ほむらちゃん、やっと名前で呼んでくれたね。嬉しい…な」

ほむら「はっ…ぅ、ぐっ……うぅ………うう゛ううううう゛うう゛うう゛う!!」

――――――――――――――――――――――――――――――――

ほむら「今更、こんな映像を流されても、どうということはないわ」

魔女「……」

――――――――――――――――――――――――――――――――

まどか「……ほむらちゃん、きもい」

――――――――――――――――――――――――――――――――

ほむら「!?」

――――――――――――――――――――――――――――――――

まどか「……ほむらちゃんのストーカ」

まどか「……ほむらちゃんの電波女」

――――――――――――――――――――――――――――――――

ほむら「まどか……」

使い魔「ウキャキャキャ」ミギテツカム

使い魔「アキャキャキャ」ヒダリテツカム

ほむら「しまっ……!?」

やられる……!?


124: 2013/02/01(金) 05:16:04.39
???「ハアッー!」ザクッザクッ

ほむら「!?」

使い魔や魔女が切り裂かれていく。

???「これでトドメだあああああああああああ!」ザクッ

ビューン

ほむら「そんな……」

???「大丈夫?」

ほむら「どうして……」

突然の乱入者に魔女はやられ、結界がなくなる。

???「いやーメンゴメン。危機一髪ってとこだったねぇ」

ほむら「どうして! どうして、契約してしまったの……さやか!」

さやか「えー、心境の変化といいますかね」

ほむら「あなた……自分の末路が……」ガシッ

さやか「んぐっ」

私はさやかの胸ぐらをつかむ。

マミ「終わったの、あけ……美樹さん?」

さやか「あはは、マミさん」

マミ「あなた……」

さやか「契約しちゃいまして」テヘッ

マミ「……そう。ところで、何かあったの?」

ほむら「……何でもないわ」

ほむら『後で話があるわ』

さやか『ん? 今、話せないの?』

ほむら『……ええ』

マミ「ここにいると面倒なことになるわね。一旦、逃げましょう」

ほむら「……そうね」


125: 2013/02/01(金) 05:16:45.15
鉄塔の上

杏子「あれがイレギュラーと……もう1人は?」

QB「あれがこの町の新しい魔法少女だよ。とはいっても、つい最近、契約したばっかりだけど」

杏子「はあん。この街に3人の魔法少女ねえ」

QB「どうするつもりだい?」

杏子「どうもしないさ。私は手を退くだけさ。イレギュラーは危険な奴かもしれないがマミやあの新顔が何とかするだろ」

QB「そうかい」

QB(さすがにうまくはいかないか)




126: 2013/02/01(金) 05:17:58.23
さやか「で、話しって何?」

巴さんと別れて、公園に寄った。

ほむら「何で……契約したの? あれほど、言ったわよね」

さやか「……恭介とほむらのためだよ」

ほむら「私の……ため?」

たしか、上條君だっけ? そっちは分かるけど、私のため?

さやか「これから、ワルプルギスの夜が来るんでしょ? なら、戦力は多いほうがいいし。まあ、私が役に立つかは分からないけどさ。あははは」

ほむら「……ふざけないで!」

さやか「……」ビクッ

ほむら「あなたは……あなたは!」

さやか「お、落ち着いて……」

ほむら「魔女になってしまうのよ!」

さやか「いずれはそうかもだけど、すぐには……」

ほむら「すぐになるのよ! 幾多の時間軸で見てきたわ!」

さやか「え?」

ほむら「あなたは! 魔法少女の秘密を知って……上條君を寝取られて! 絶望して! 私の邪魔になって!」

さやか「ちょ、ちょ、ちょっと! 落ち着いて話してよ!」

ほむら「……そうね。つまり……」




127: 2013/02/01(金) 05:18:44.86
さやか「なるほどね」

ほむら「ぐす」

さやか「しかし、そうはならないよ」

ほむら「何で?」ホムッ

さやか「たしかに、何も知らずに魔法少女になってたたら、そんな風になったかもね。でも、あたしはそれを知って、契約したわけだし」

ほむら「……」

さやか「しかし、仁美がねえ……」

ほむら「………あなたはどうするの?」

さやか「どうしようかねえ」

ほむら「のんきね」

さやか「それは私も承知の上でだし。……しかし、まさか、仁美がねえ……」

何か、いつもと違うわね。

さやか「ほむらの話だと、あたしはいつも、魔女になってるんだよね」

ほむら「ええ。あなたが魔法少女になっていれば」

さやか「なるほどねえ。変えられない結末ということか」

ほむら「その通りよ」

さやか「えいっ!」チョップ

ほむら「ほむ!?」

さやか「ったく。まどかの運命を変えるために頑張ってるあんたが変えられない結末とか言っちゃ駄目でしょ」

ほむら「ほむう」

さやか「それに運命なんて、簡単に変えられるんだから」

ほむら「簡単に言うわね」

さやか「実際、簡単だよ! このさやかちゃんに任せて!」


128: 2013/02/01(金) 05:19:44.57
次の日



さやか「マミさん!」

マミ「な、何かしら?」

さやか「お話があるんです!」

昼休み

マミ「そ、そんな……」

何をトチ狂ったのか、さやかは巴さんに魔法少女の秘密をペラペラと話した。

ほむら「まずいわよ!」

さやか「このさやかちゃんに任せ……」

びゅるる

ほむら「ほむ!?」

マミ「……今の話、本当なの?」

私をマミのリボンが拘束する。

ほむら「ちょ、どうすんのよ!」

さやか「あれー?」

マミ「本当なのね」

ほむら「い、今のはさやかのじょうだ……」

マミ「キュウベえ」

QB「なんだい、マミ」

ほむら「この害獣、どこにでもわいてくるわね」

マミ「今の話って……」

QB「僕としても、びっくりだよ。その事実を知ってるとはね! それも、暁美 ほむらから、聞いたのかい?」

マミ「本当なの……」ジワッ


129: 2013/02/01(金) 05:22:04.43
訂正

何をトチ狂ったのか、さやかは巴さんに魔法少女の秘密をペラペラと話した。→×

何をトチ狂ったのか、さやかは巴さんにいきなり、魔法少女の秘密をペラペラと話した。



マミ「本当なの……」ジワッ

ほむら「まずいわ! まずいわ!」

さやか「あれれー?」

マミ「うう……ソウルジェムが魔女を」

ほむら「フラグよ!」

さやか「仕方がない! マミさん!」ダキッ

マミ「きゃっ!?」

さやか「落ち着いて下さい!」

マミ「離して! ソウルジェムが魔女を生むなら、皆、氏ぬしかないじゃない! あなたも! 私も!」ジタバタ

さやか「そんな無茶しないでください! 落ち着いて!」


130: 2013/02/01(金) 05:22:47.44
10分後

さやか「ぜーぜー」

マミ「はあはあ」

ほむら「巴さん……少し、話をしませんか?」

マミ「……何かしら?」

ほむら「巴さん……私達はいずれは魔女になるわ」

マミ「……そうみたいね。受け入れたくはないけど」

ほむら「でも、それは今すぐではないの」

マミ「だとしても……結末は同じ。いずれは魔女になるなら……」

ほむら「たしかに結末は同じよ。でも……私達は……魔女を倒すことができる」

マミ「その魔女は元は魔法少女なんでしょ」

ほむら「そうよ。だから、私達が倒すの」

マミ「どういうことよ」

ほむら「あなたは魔女になって、人を襲いたくはないでしょ」

マミ「そうね。そうなるなら、氏んだほうがましよ」

ほむら「他の魔法少女もそう思ってるでしょうね」

マミ「!」

ほむら「魔女になってしまった魔法少女達の苦しみ……私達が解いてあげましょう」

マミ「暁美さん……」

さやか「そうですよ! それにそれは……他の人達も助けられるじゃないですか」

マミ「美樹さん……。……分かったわ」

シュルル

私のリボンが外れる。

ほむら(助かったわ)ホムッ

マミ「暁美さん達の言うとおりね……私、頑張るわ」

さやか「その意気です!」

QB「……」

QB(やはり、彼女は危険だね。この事実を知れば、マミも魔女になるチャンスだったのに)キュップイ

133: 2013/02/03(日) 04:42:32.38
放課後

校門前

ほむら「危なく氏にかけたじゃない!」

さやか「いやー、ごめん、ごめん。勢いでなんとかなるかなあって、思って」

ほむら「勢いで氏ぬところだったわ」

さやか「ごめんってば」

ほむら「今度から軽率な行動は控えなさい」

さやか「はーい。まあ、でも……」

ほむら「ほむ?」

さやか「結末は変わったらでしょ?」ニッ

ほむら「……そうね」

マミ「おまたせ」

さやか「あ、マミさん!」

マミ「さあ、張り切って、今日も行きましょう!」

ほむら「元気ね。もっと、ショックを受けてるかと思ったけど」

マミ「……たしかにショックだったわ。でも……」

さやか「さやかちゃんの言葉で立ち直れたんですね!」

マミ「暁美さんの言葉で立ち直れたわ」

ほむら「ほむ?」

さやか「あれー?」

マミ「暁美さん、ありがと!」

ほむら「ど、どういたしまして?」

さやか「私はー?」

マミ「もちろん、美樹さんにも感謝してるわ!」

さやか「よし!」




134: 2013/02/03(日) 04:45:23.23
ほむら「この後、使い魔を狩ってると、佐倉 杏子が現れるはず」

さやか「ほう。杏子が今日、現れると」

ほむら「……」

さやか「今日だけに」

マミ「美樹さん……」

ほむら「つっこんだら、負けよ」




135: 2013/02/03(日) 04:46:25.47
さやか「むがむがむが……ふがー!(3刀流、鬼切り!)」バサリ

使い魔「あぐっ……」

さやか「あぐ、むがむが!(どうよ、私の腕前は!)」

ほむら「何を言ってるか、分からないし、どうして、剣を口にくわえるのよ」

マミ「そこにロマンがあるのよ」

さやか「むがむが(そのとおり)」

ほむら「はあ……にしても」

マミ「佐倉さん、こなかったわね」

ほむら「……ええ」

一体、どうしたのかしら?

さやか「ほむほむ」

ほむら「いい加減、刀を離しなさい」

さやか「ほむ。……その佐倉 杏子ってのはどんなやつよ」

ほむら「魔法少女らしい魔法少女ね」

さやか「は?」

マミ「言うなれば、グリーフシードを集めるためだけに魔女を倒してるみたいな」

ほむら「つまり、今みたいに使い魔を倒すことはしないの」

さやか「ふむ、なるほど」サヤサヤ

ほむら「どうかしたの?」

ほむら(正義感が強いから、怒ってるのかしら?)

さやか「もし、その杏子ってのが、そんな奴だとしたら、この街には来ないでしょう」

ほむら・マミ「「え?」」


136: 2013/02/03(日) 04:47:19.48
さやか「だって、ここには マミさんやほむらに私、3人も魔法少女がいるんでしょ。しかも、私達は敵対してもないし、万全の状態だし」

ほむら「そうね」

さやか「そんな状態のこの街にわざわざ、突っかかる必要もないじゃん」

ほむら・マミ「「あっ……」」

さやか「ほむらの話し通りなら、マミさんが氏んじゃって、私とほむらも敵対してたから、来たんじゃないの?」

ほむら「なるほど」

マミ「ありえるわね。私達、3人を危険を冒してまで、倒しには来ないでしょうし」

さやか「ふっふーん。さすがはさやかちゃん!」

マミ「でも、どうするの? 佐倉さんは……」

ほむら「この後に来る、ワルプルギスの夜のためにも、佐倉 杏子の力は必要よ」

マミ「なら、どうするの?」

さやか「説得するしかない、んですかね」

ほむら(もの凄く、トントン拍子に進んでいくわね)

さやか「風見野だっけ? とりあえず、行ってみますか」

マミ「わ、わ、私は……」

さやか「どうしました?」

マミ「ちょっと……あの娘とは……訳ありで……」

さやか「はあ……なるほど。会いにくいと」

マミ「そ、そういうことね」

さやか「でも、関係ないですね」

マミ「は?」

さやか「これから、仲間になるんだから、そんなの関係ありませんから」ギュッ

巴さんの手を掴む、さやか。

マミ「ちょっ!?」

さやか「どこにいるんだろ、その杏子は?」

ほむら「たぶん、ゲームセンターじゃないかしら?」

さやか「それじゃ、手当たり次第に捜しますか!」


137: 2013/02/03(日) 04:48:03.84
風見野

ゲームセンター

杏子「~♪」タンタンタンタン

さやか「あれが杏子ね」

ほむら「ええ」

マミ「ど、どうしましょう」オロオロ

ほむら「落ち着きなさい」

さやか「とりあえず、声をかけようか」

ほむら「そうね」

マミ「えっと……」オロオロ

ほむら「あなたはここで待ってなさい」




138: 2013/02/03(日) 04:48:58.34
さやか「ねえ」

杏子「あん?」タンタンタンタン

さやか「あんたが佐倉 杏子?」

杏子「……あんた達、誰だ? あたしにはあんた達みたいな知り合いはいないよ」タンタンタンタン

さやか「ちょっと、話があるんだけど」

杏子「私にはないね。というか、何で、あたしの名前を知ってんのさ」タンタンタンタン

さやか「魔法少女関係と言えば、分かる?」

杏子「! ……へー、なるほどね。いいよ」タンタンタンタン

話しながらも、華麗にダンスゲームをやるのはさすがね。

杏子「よっと!」

パーフェクト!

杏子「ふー。さて……食うかい?」


139: 2013/02/03(日) 04:49:56.21
路地裏

杏子「で、何の用だい? 私を潰しに来たのか?」

さやか「あー、違う違う」

ほむら「早く、出てきなさい」グイグイ

杏子「まだ、連れがいんのか」

杏子(まずいな。さすがに3対1は辛い)

ほむら「ほら!」

マミ「きゃっ!?」

杏子「!? てめえは……」

マミ「ひ、久しぶりね。佐倉さん」

杏子「……なるほどな。1人じゃ、勝てねーから、3人がかりってわけか」

マミ「そ、それは違うわ!」

さやか「今日は話をしに……」

杏子「なるほど。3人じゃ、今の縄張りは狭いから、あたしの縄張りを奪いに来たのか」

ほむら「そうじゃないわ。ただ……」

杏子「何にせよ、手札が見えないとあっちゃね。悪いけど、今日の所は降ろされてもらうよ」ヘンシン

さやか「あっ……」

杏子「あばよっ!」ジャンプ

佐倉 杏子はビルの上へと消えていった。

さやか「あちゃー」

マミ「私のせいかしら」ズーン

さやか「お、落ち込まなくてくださいよ」

ほむら「どうしたものかしらね」

さやか「うーん……1対1で話し合うしかないんじゃない?」

マミ「そうね……」

さやか「それで、その役目は……ほむら、あんたね!」ビシッ

ほむら「ほむ!?」

私!?


140: 2013/02/03(日) 04:50:45.75
さやか「というわけで、任せた!」

ほむら「な、何で、私なの?」

さやか「マミさんはなんかあって、会いづらそうだし、私は用事があるし。消去法でほむらに決定したと」

ほむら「消去法なんて、言葉を知ってるなんて……あなた、本当にさやか?」

さやか「失礼な!」

マミ「まあまあ。今日は遅いから、また、明日ね」

さやか「ん……そうですね」

ほむら「私は1人暮らしだから、平気だけど」

マミ「駄目よ。女の子なんだから、夜道は危険よ」

ほむら「私、魔法少女だし、変身したら、ある程度は……」

マミ「軽はずみにそんなことしては駄目よ。ほら、帰りましょう」

ほむら「ほむ」


141: 2013/02/03(日) 04:51:30.52
次の日

放課後

ゲームセンター

ほむら「いるかしら」

流石に昨日と同じゲームセンターにいるわけはないと、別のゲームセンターに来たのだけど。

ほむら「流石にいないかし……」

杏子「~♪」タンタンタンタン

ほむら「いたわね」

杏子「よ♪」タンタンタンタン

パーフェクト。

ほむら「うまいわね」

感心してる場合じゃないわ。とりあえず、話しかけないと。

ほむら「佐倉 杏子」

杏子「あん? お前は……昨日の」

ほむら「話があるのだけど」

杏子「今日は1人か?」

ほむら「ええ」

杏子「……ここじゃなんだ。場所を移そうぜ」

ほむら「……ええ」


142: 2013/02/03(日) 04:52:15.78
裏路地

杏子「ここなら、いいか。あんた、名前は?」

ほむら「私は……暁美 ほむら」

杏子「お前がねえ……で、何の用だい?」

ほむら「話をしに来たの」

杏子「話、ねえ」

ほむら「実は……」ホムホム

ワルプルギスの夜について、話をする。

杏子「ワルプルギスの夜ねえ。そいつは大変だ」

ほむら「だから、協力してほしいの」

杏子「協力ねえ……」ヘンシン

ほむら「!?」

突然、変身する、佐倉 杏子。

ほむら「何のつもり……」

杏子「……」


143: 2013/02/03(日) 04:53:07.87
回想

QB「あれは美樹 さやかと暁美 ほむらだよ」

杏子「何なんだよ、あいつら」

QB「美樹 さやかはつい最近、魔法少女になったばかりさ」

杏子「つまりは新入りか。もう1人の暁美 ほむらもか?」

QB「彼女はイレギュラーさ」

杏子「イレギュラー?」

QB「僕自身、契約した覚えはないんだ」

杏子「じゃあ、あいつは魔法少女じゃないのか? 指輪はあったが」

QB「彼女も魔法少女さ」

杏子「は? 訳分からねえ」

QB「彼女には気をつけたほうが良い。何を考えてるかは分からないからね」

杏子「たしかに無表情だったけどな」

QB「実際、さやかやマミは彼女に堕ちてしまった」

杏子「新入りはともかく、マミもか」

QB「君も気をつけたほうが良い。油断すると、君も、マミのように……」

杏子「私はそんなヘマはしねえ」

回想終了


144: 2013/02/03(日) 04:54:59.82
杏子「てめえ、何をたくらんでいる」

槍を突きつけられる。

ほむら「べ、別に何もたくらんではないわ」

杏子「……」

ほむら「だから、その槍を下ろして……」

杏子「そうやって、私を油断させようって腹かい?」

ほむら「そんなつもりは……」

まずいわね……。

杏子「お前も変身しろ」

ほむら「え?」

杏子「このまま、痛めつけるのも、後味が悪いからな」

ほむら「……」ヘンシン

杏子「それでいい。はっ!」

槍で私を刺しに来る。

ほむら「ほむ!」

私は咄嗟に横に飛ぶ。槍を勢いをつけるために杏子は後ろに退いたのが幸いし、無事にかわす。

杏子「へえー」ニヤリ

ほむら「何をするの……」

杏子「勝負さ。あんたが勝てば、言うことを聞いてやるよ」

ほむら「!」

杏子「ただし、あたしが勝てば、2度と、ここに来るんじゃねえ」

なるほど。分かりやすい条件。でも……。

ほむら「魔法少女同士で、戦うなんて……」

何となく、まどかなら、こう言った気がする。

杏子「はん! 生ぬるいこと言ってんじゃねえよ」タンッ

杏子は槍を持って、私を突き刺しに来る。

ほむら「くっ!」

私は横に飛んで、かわす。


145: 2013/02/03(日) 04:56:20.90
ほむら「どうしても……戦うと言うのね」

杏子「最初から、そう言ってんだろ」

ほむら「そう……」

なら、私も本気を出さざるを得ないようね。

ほむら「いくわよ」ユミダス

杏子「へー。あんたの武器は弓かい。だが、私には効かないぜ!」

ほむら「それはどうかしら?」

私は弓を構え、杏子を撃ちぬこうとする。

まどか『駄目だよ、こんなの! 絶対、おかしいよ!』ギュッ

矢を放とうとする、私の右手をまどかが一生懸命、掴んでいる。

ほむら「な、何をするの……」

まどか『魔法少女同士で戦うなんて、そんなの絶対、おかしいよ!』

ほむら「そんなこと言ってる場合じゃ……」

杏子「何、ベラベラ、しゃべってんだ!」

ほむら「ほむ!?」

私は横にかわす。

杏子「おらおらおらおら!」

しかし、杏子は槍を何度も私にむかって、切りつける。

ほむら「くっ……」カキン

私は弓で槍を防ぐ。

杏子「おらよ!」ワキバラキック

ほむら「がばっ!?」スッテンコロリン

私が槍に集中している横から、佐倉 杏子の蹴りが入り、私は横に倒れる。

ほむら「くっ……」

杏子「所詮はその程度かい」

まどか『駄目だよ、ほむらちゃん』

ほむら「じゃあ、どうしろと言うの」

まどか『説得だよ!』

ほむら「無茶言わないで」

杏子の攻撃をかわしながら、説得は流石に厳しい。

ほむら(とはいえ、傷つけるのも……)


146: 2013/02/03(日) 04:57:33.28
杏子「ボーッとするな、ウスノロ!」ガシャン

ほむら「くっ!?」

槍を地面に叩きつける。私はバックステップでかわす。

ほむら「やめなさい。私達が戦うなんて、無意味よ」

杏子「はん! お前にはなくても、私には意味があるのさ!」

ほむら「……」

聞く耳を持たないわね。

杏子「おらおらおらおらおらおらおら!」

ほむら「んぐっ!?」

槍で突き刺すのを弓でかわしていく。

ほむら「まったく……弓の使い方は本来、こんなんじゃないのよ」

杏子「防御ばかりじゃ、勝てねーぜ!」マキツケ

ほむら「しまっ……」

私の体に仕込み槍が巻きつけられる。

杏子「ほらよ!」ガシャン

ほむら「ぐはっ」

私はそのまま、壁に叩きつけられる。

杏子「その程度か」

ほむら「ほむむ……」

杏子「あんたの目的はなんだ?」

槍を私に突きつける。

ほむら「目的? だから、ワルプルギスの夜を……」

杏子「本当にそれが目的か?」

ほむら「……私は」

本当は後で話すつもりだった、私のことを話した。


147: 2013/02/03(日) 04:58:49.93
ほむら「……というわけよ」

杏子「……」

ほむら「……信じてくれた?」

今まで、杏子は比較的、私に協力的だった。だから、今回も……。

杏子「なるほどな。…………そうやって、マミ達をたぶらかしたのか」

ほむら「!?」

杏子「悪いが、そんな話、信じられるかよ!」

ほむら「くっ……」

こうなったら……。

まどか『ほ、ほむらちゃん……』アセアセ

ほむら「悪いけど……杏子は私が倒すわ」

まどか『ほむらちゃん!?』

杏子「はん! この状態からやれるなら、やってみな!」

ほむら「ええ!」ピョン

私は隙をついて、ビルの間をジャンプで登っていく。

杏子「逃がすかよ!」

杏子も後に続く。ここまでは計算通り。

ほむら「喰らいなさい!」

私はうんまい棒を杏子目掛けて、投げつける。

杏子「!? てめえ、食いもん、粗末にするんじゃねえ!」

杏子はうんまい棒に手を伸ばす。

ほむら「チャンス!」

私は反転し、杏子に向かって、ジャンプする。

杏子「!? しまっ……」ドンッ

うんまい棒に気を取られながら、上に向かってきた杏子と下に向かう私はぶつかり、杏子と私は地面に落下する。場所としては杏子が下、私が上だ。

ほむら「終わりよ!」

私は弓を構える。

杏子「んぐっ……」

まどか『ほむらちゃ……』

ほむら「……………」

杏子「……?」

ほむら「……」シャキン

私は弓をしまい、着地体制をとる。

杏子「!? ……チッ」クルリ

杏子も着地体制をとる。

ドスン!

ほむら「ほむう……」

足から着地しても、痛いわね。


148: 2013/02/03(日) 04:59:52.72
杏子「おい、てめえ! 何で、さっきは射たなかった?」

ほむら「……あなたはこれから、仲間になるのよ。仲間に矢を射てはしないわ」

自分で何を言ってるのかは分からないけど、何となく、口から言葉が出ていた。

杏子「仲間だあ? 今の勝負は引き分けだろ。賭けはなしだ」

ほむら「引き分け? あれは私の勝ちなはずよ」

杏子「あれで攻撃できたならな」

ほむら「卑怯よ」

杏子「何とでも言え」スタスタ

ほむら「待ちなさい!」

佐倉 杏子は私の制止を無視して、去っていった。


149: 2013/02/03(日) 05:00:36.83
まどか『ほむらちゃん……』

ほむら「まどか……」

影のような、まどかに声をかける。

まどか『私、まどか違うよぉ』

ほむら「そうね。円環の理ね」

まどか『そう!』ウィヒヒ

相変わらず、天使の微笑ね。

まどか『ほむらちゃん』

ほむら「何かしら?」

まどか『人に信じてもらうのは難しいね』

ほむら「そうね」

いつもなら、すんなり、手を組めたのに。

ほむら「ところで……あら?」

シーン。

そこには誰もいなかった。

ほむら「まどか……」

155: 2013/02/10(日) 06:12:20.34
さやか視点

放課後

さやか「どうしたものだろうねえ」ハア

最近、問題が山積みだなあ。まったく、さやかちゃんは考えるのが苦手なのに。

仁美「お待たせしました」

さやか「ん、帰ろうか」

仁美「ええ」

さやか「どこか寄ってこ? 話があるし」

仁美「それは構いませんが……何のお話でしょう」

さやか「未来のお話……かな?」

仁美「はい?」


156: 2013/02/10(日) 06:12:58.35
杏子視点

ほむら戦闘後

杏子「……」チッ

このあたしが情けをかけられるとはな。

杏子「胸糞悪い」

『巴』

杏子「2度とここには来ないと思ったんだけどな」


157: 2013/02/10(日) 06:13:42.98
ほむら視点

次の日



さやか「おはよ、ほむら」

ほむら「おはよう」

さやか「どうだった?」

ほむら「……失敗したわ」

さやか「そっか。まあ、成功ばかりってわけにもいかないから、仕方がないね」

クラスメイト「上條、もう、平気なのかよ」

上條「ああ」

ほむら「……さやか」

さやか「ん?」

ほむら「……行かないの?」

さやか「あー……私はいいよ」

ほむら「行った方がいいわ」

幾多の時間軸で、魔法少女について気にして、上條君とは……。

さやか「行くべきは他にいるから。仁美」

仁美「……ええ」

ほむら「!?」

なっ……て、敵に塩を送ってどうするの!

ほむら「あなた……自分が何を……」

さやか「心配しなくてもいいよ。私は平気だから」

ほむら「でも……」

さやか「私は平気だから」

ほむら「そう……昨日、何かあったの?」

さやか「まー……いろいろと」

ほむら「……そう」

さやか「そんなことより、今日、杏子をどう説得するかだよ」

ほむら「……そうね」

さやか「どう失敗したのさ」

ほむら「昨日は……」

ほむほむまどまど。

さやか「なるほどねえ。なら、次は私が挑戦しようか」

ほむら「あなたじゃ無理よ」

さやか「なんだとー!」

ほむら「杏子は強いということよ。これから、どんどん鍛えないとね」ニコ

さやか「……ほむらは厳しそうで嫌だなあ」

ほむら「まどかも捜さないと」

さやか「そっちもあったね」

ほむら「問題は山積みよ」

158: 2013/02/10(日) 06:14:23.05
放課後

さやか「今日はマミさん、来れないみたい」

ほむら「そう。なら、私達、2人でまどか捜しとついでにパトロールを……」

さやか「あそこにまどかがいる気がする!」ズベシ

ほむら「……ただの喫茶店じゃない」

さやか「まずは一服してから!」

ほむら「はあ……まったく」




159: 2013/02/10(日) 06:14:58.16
ほむら「で」

さやか「ん?」モグモグ

ほむら「志筑 仁美とはどうなったのよ」

さやか「あー……ほむらが気にすることないよ」

ほむら「気になるわよ」

さやか「まあ……ほむほむにも聞く権利があるかな?」

ほむら「ほむほむって何よ」

さやか「仕方がないなあ。昨日……」


160: 2013/02/10(日) 06:15:36.64
回想

仁美「で、お話はなんですの?」

さやか「うーん……単刀直入に言うよ。仁美、あんた、恭介のことが好きでしょ?」

仁美「!? な、なんで、それを……」

さやか「あはは。やっぱり、本当だったんだね」

仁美「わ、私は誰にも話してないのに……」

さやか「まあ、未来人から聞いたって、ことでさ」

仁美「は、はあ……で、それがなんですの?」

さやか「明日、恭介が退院するよ」

仁美「! そ、それはよかったですわ」

さやか「だから、いきなり、コクっちゃいなよ」

仁美「!?」

さやか「ぼやぼやしてたら、誰かに先を取られちゃうからね」

仁美「………さやかさんはそれでいいんですの?」

さやか「私?」

仁美「あなたも……」

さやか「私は……いいんだよ」

仁美「……私にとって、あなたはお友達ですわ。でも、そんな風に気を使われても……」

さやか「……私はね、もう人間じゃないんだよ」

仁美「? それは一体……」

さやか「信じられないかもしれないけどさ」

魔法少女について、説明。

仁美「……」

さやか「だから、私は人間じゃないんだよ」

仁美「……にわかには信じれませんわ」

さやか「だろうね」

私が仁美の立場でも、何、言ってんだ、こいつ状態だろうし。

仁美「……」

さやか「怖い?」

仁美「そ、そんなこと……」

さやか「怖いなら……もう、いいよ。私に話しかけなくても」

私は席を立つ。

さやか「世話、かけたね。それじゃ」

回想終了


161: 2013/02/10(日) 06:16:03.62
ほむら「あんた、ばか?」

さやか「いきなり、赤い女の子の台詞を言われても」

ほむら「出し抜くこともできたのに」

さやか「いやあ、さすがに卑怯でしょ」

ほむら「卑怯もらっきょうもないわよ」

さやか「ずばっと言うね」

ほむら「あなた……後悔しないの?」

さやか「後悔なんて、あるわけない」

ほむら(それはフラグ……)

さやか「まあまあ。そんなことより、杏子のことだよ」

ほむら「……まだ、時間はあるわ。じっくりいくしかないわね」

さやか「そうは言ってもねえ」

ほむら「とりあえず、パトロールの時間よ」

さやか「んん、仕方がない。歩きながら、考えますか」




162: 2013/02/10(日) 06:16:32.59
ほむら「……ここね」

さやか「そうみたいだね」

ほむら「大丈夫? あなたにとって、ちゃんとした魔女戦は初めてでしょ」

さやか「まあ、たしかに前は奇襲で勝ったけど、なんとかなるっしょ」ヘンシン

ほむら「やる気満々ね」ヘンシン

ビューン。

私達は結界に足を踏み入れた。


163: 2013/02/10(日) 06:17:07.80
結界

魔女 エルザマリア

ほむら(そういえば、さやかと協力して戦うなんて、いつ以来かしら)

さやか「私が前衛に行くから、フォローよろしくね」

ほむら「……」

回想

さやか「はあ、どっちにしろ私この子とチーム組むの反対だわ。まどかやマミさんは飛び道具だから平気だろうけど、いきなり目の前で爆発とか、ちょっと勘弁して欲しいんだよね。何度巻き込まれそうになった事か」

回想終了

ほむら(変われば、変わるものね)

やか「フォローは任せた!」

ほむら「ええ!」

オープンコンバット




164: 2013/02/10(日) 06:17:54.12
ほむら「まだまだね」ヘンシンカイジョ

さやか「かあー! 厳しいねえ、ほむらは!」ヘンシンカイジョ

ほむら「無駄に突進ばかりでは駄目よ」

さやか「私は回復力もあるし、その気になれば、痛みなんか消せるし」

ほむら(無駄に教えるべきではなかったわね)

ほむら「もっと、自分のことを大事にしなさい」

さやか「へいへい」

杏子「……」

マミ「……」

ほむら「!?」

さやか「あれ? マミさんに杏子?」

どうして、2人がここに……。

さやか「さすがはマミさん! 杏子を説得できたん……」

マミ「……」ヘンシン

さやか「ま、マミさん?」

杏子「お前が新入りか。なるほど、青臭そうだな」

さやか「なっ!? 失礼な!」

杏子「まあ、今はてめえのことはどうでもいい。用があるのは……」

ほむら「……私ね」

杏子「ああ。お前は信用できない。だから、お前にはこの場所から、出ていってもらう」

さやか「なっ!?」

マミ「悪く思わないでね、暁美さん」

さやか「な、何を言ってるんですか! 私達が争う理由なんて、ないでしょ! だいたい、2人はほむらの話を聞いたんでしょ!」

マミ「ええ。聞いたわよ」

杏子「だが、その話が本当かどうか、分からないだろ」

さやか「そんな……でも、魔法少女についての秘密とかは本当だったでしょ!」

マミ「ええ。でも、だからといって、暁美さんを信用できるわけではないわ」

さやか「そんな……どうして!」

マミ「……」


165: 2013/02/10(日) 06:18:56.15
回想

マミホーム

マミ「久しぶりね、さ、佐倉さん」

杏子「ああ」

マミ「きょ、今日は何をしに……」

杏子「暁美 ほむら」

マミ「!」

杏子「あいつは信用できんのか?」

マミ「……」

杏子「あいつの言ってたことは本当なのか?」

マミ「え?」

杏子「魔法少女が魔女になるとか……」

マミ「それは……」

QB「あながち間違いじゃないさ」

杏子・マミ「「!?」」


166: 2013/02/10(日) 06:19:40.64
QB「やあ、杏子」

杏子「てめえ……」ギロッ

QB「そんなに睨まないでよ」

杏子「どうしてそうされるか、自分の胸に聞きやがれ」

QB「やれやれ。それより、暁美 ほむらについてだけど……彼女については未だに狙いが掴めないよ」

杏子「あの話を信じるなら、まどかってやつを助けるために行動してるんだろうが……」

QB「あいにくとこの世界にその人物はいない」

杏子「そこだ。そんなことがあると思うか? 願いの対象がいなくなるなんてさ」

QB「今までに前例はないよ」

杏子「だとすると、あいつの言ってることは嘘かもしれない。問題はどうして、嘘をつくかだけど……」

QB「彼女は魔法少女の秘密を知っていた。だとしたら、グリーフシードを多く手に入れる必要があると判断したかもしれない」

杏子「なるほどな。自分が長く生きていたいなら、グリーフシードの数は多いほうがいいからな」

QB「君達を油断させて、一気に片づける気なのかもね」

杏子「なるほど」

マミ「……そんな話をしに来たの?」

杏子「協力しよう」

マミ「!」

杏子「協力して……暁美 ほむらを倒す」

マミ「あ、暁美さんを……」

杏子「1対1でも倒せないわけじゃないさ。だが、正直、厳しい。私達が協力すれば……」

QB「なるほど。たしかに君達が協力すれば、暁美 ほむらも倒せるだろう」

マミ「……でも」

杏子「あん?」

マミ「私は暁美さんに……命を助けられたわ」

杏子「!」

マミ「もし、佐倉さんの言うとおりなら、私を見捨ててたんじゃないかしら?」

杏子「……」

QB「それはさやかの存在が原因じゃないかな?」

マミ「どういうこと?」

QB「君を見捨てたら、美樹 さやかは自分を敵視するだろう。それは好ましくない。そう判断したのかもしれない」

マミ「そんな……」

QB「なんにせよ、杏子の存在を認識していたなら、さやかの相手をしながら、杏子の相手をするのはしんどいと判断したかもしれない。いずれも推測の域を出ないさ」

マミ「……キュウベえはどう思うの?」

QB「僕かい? イレギュラーな存在としか言えないね」

杏子「……で、どうすんだ?」

マミ「私は……」


167: 2013/02/10(日) 06:20:14.96
回想終了

マミ「……」

さやか「マミさん!」

杏子「ゴタゴタとうるさい奴だな! サッサと始めようぜ」ヘンシン

ほむら「……逃げなさい、さやか」

さやか「ほむら!」

ほむら「あの2人は強いわ。おそらく……」

さやか「……逃げないよ」

ほむら「さやか……」

さやか「私は……逃げないよ」

ほむら「……そう」

私はマミ達を睨む。

杏子「へっ。ぼんくらが1人増えようとかまわないぜ」

ほむら「……そう」ヘンシン

さやか「いくよ、ほむら!!」ヘンシン

ほむら「さやか……この2人に勝てる見込みは限りなく薄いわ」ゴニョゴニョ

さやか「分かってるよ」ゴニョゴニョ

ほむら「だから……」ゴニョゴニョ

さやか「……卑怯でしょ、それ」ゴニョゴニョ

ほむら「私達が勝つにはそれしかないの」

杏子「作戦タイムは終わったか?」

ほむら「ええ」

杏子「んじゃ、いっちょ、派手にいこうじゃねーか」




168: 2013/02/10(日) 06:20:47.22
さやか「だー!」タッタッタッ

いきなり、さやかは杏子に向かって、突進していく。

杏子「てめえに用はねえ!」シコミヤリマキツケ

さやか「ぐっ!?」

杏子「引っ込んでな!」

そのまま、地面に叩きつける。

さやか「あぐっ……」

そして、そのまま、気絶した。

杏子「もう、終わりかよ」

マミ「後は……」

ほむら「……私だけね」

マミ「……その前に1つ聞きたいの」

ほむら「何かしら?」

マミ「どうして、あの時、助けてくれたの?」

ほむら「あなたを助けたかったからよ」

マミ「どうして?」

ほむら「どうして……ね。仲間を助けるのに理由なんているのかしら」

マミ「!」

ほむら「なんて、格好つけて、言ったけど……本当は……」

マミ「……」

幾多の世界で私はあなたを助けられなかったから? つまりは罪滅ぼし? それはちがうわね。

ほむら「……もう、誰にも氏んでほしくはないから、かしらね」

まどかを救う。そのために私はあなた達を助けることができなかったことはたくさんあった。それは仕方がないことにしても、心を痛めないわけではない。だって……昔は……。

マミ「……」

杏子「話は済んだか? それじゃ……」

マミ「私は降りされてもらうわ」

杏子「なっ!?」

マミ「ごめんなさい、暁美さん」ペコリ

杏子「てめえ……話が違うだろ!」

マミ「佐倉さんに悪いとは思ってるわ。だから、私はこの戦いに手出しはしないわ。見ているだけよ」

杏子「チッ」

ほむら「杏子……」

杏子「仕方がねえ……あたしだけでも……」

ほむら「……戦うのね」

杏子「ああ」

ほむら「勝ったほうが正義ってことね」

杏子「そういうことだな」


169: 2013/02/10(日) 06:21:56.03
ほむら「とはいえ、私はあなたを傷つけたくはないわ。だから、私達の勝利条件はあなたの手を地面につかせたら、勝ちでいいかしら?」

杏子「相撲かよ! だいたい、私に不利だろ!」

ほむら「自信がないかしら」

杏子「……いいぜ。その条件受けてやる。そのかわり……てめえは頃すぞ」

ほむら「好きにしなさい」ユミダス

杏子「へん! いく……」

さやか「さやかちゃんタックル!」

杏子「がはっ!?」バタンッ

杏子は地面に手をついた。

ほむら「私の勝ちね」ファサ

さやか「いえーい!」ブイ

マミ「見事ね、2人とも。あの佐倉さんを倒すなんて」

杏子「待て待て待て待て」

ほむら「どうかしたのかしら?」

杏子「卑怯だろ!」

ほむら「何がかしら?」

杏子「私とお前の一騎討ちじゃないのかよ!」

ほむら「私はそんなこと言ってないわよ」

マミ「言ってないわね」

杏子「ぐっ……だとしても、こいつ、いきなり、負けたじゃないか!」

さやか「あれは演技だよ」

ほむら「そう。本当は1人を倒して、2対1の状況にしたかったんだけど、巴さんが降りてくれたおかげで、助かったわ」ファサ

マミ「どういたしまして」

杏子「ぐぐぐ」


170: 2013/02/10(日) 06:22:27.80
さやか「まだ、言い訳するの?」

杏子「わーったよ! 降参だ、降参」

ほむら「最初からそう言えばいいのよ」

杏子「うるせえ。でも、あんたは信用できない」

さやか「強情だね、この杏子(あんこ)」

杏子「あんこ言うな!」

さやか「つまりは証拠がほしいんだね、あんあん」

杏子「あんあん言うな!」

ほむら「証拠ねえ……」

証明できる物はないし……。

ほむら「……私を信用してくれとは言わない。でも、ワルプルギスの夜との戦いには協力しなさい」

杏子「……」

ほむら「どうかしら?」

杏子「……元々、その約束だろ? 協力はするさ」

ほむら「ありがとう」

杏子「……礼を言われる筋合いはないさ。じゃあな!」

杏子はその場を去った。



QB「……失敗かあ。まあ、いいや。どのみち、彼女達はワルプルギスの夜を越えられないからね」キュップイ


171: 2013/02/10(日) 06:22:53.07
帰り道

さやか「しかし、このままじゃいけないね」

ほむら「何がかしら?」

さやか「あの杏子のこと」

ほむら「今はあれで十分じゃないかしら?」

さやか「それはそうだけどさ。ワルプルギスの夜を倒したら、仲良くはしたいじゃん」

重ね重ね思うけど、本当に美樹 さやか?

ほむら「さやかは……ワルプルギスの夜を倒せると思う?」

さやか「もちろん!」

ほむら「……自信満々ね」

さやか「だって、マミさん、杏子、ほむらに私。この4人がいるんだよ。倒せないわけないよ」

???「それは分からないよ」


172: 2013/02/10(日) 06:23:19.74
さやか「!?」

ほむら「……インキュベーター」

QB「やあ、ほむら」

さやか「ちょっと、ちょっと! いきなり、水を差さないでよ!」

QB「僕は現実を話したんだけどね。たしかに、君達4人が協力すれば、大抵の魔女は倒せるさ。しかし、相手がワルプルギスの夜となれば、話が別さ」

さやか「そんなに強いの……?」

QB「でなければ、暁美 ほむらはここにいることはなかったじゃないか」

さやか「んぐ……」

ほむら「……そんな事を言いに来たの?」

QB「僕は忠告に来たのさ」

ほむら「そう……消えなさい」

QB「やれやれ。まあ、せいぜい、頑張って、この宇宙のために氏んでくれよ。それじゃ」

さやか「何よ、あいつ」

ほむら「気にすることないわ。私達は私達にできることをするだけだから」

そう。今はあいつのことなんかどうでもいい。

ほむら「まどかを捜し出して……ワルプルギスの夜を越える」

それが私に残された道標。

175: 2013/02/17(日) 06:31:15.19
テスト

176: 2013/02/17(日) 06:32:26.10
次の日

放課後

上条「でもさぁ、志筑さんって、帰る方角はこっちなんだっけ?今まで帰り道に見かけたことってないような…」

仁美「ええ。本当は全然逆方向ですわ」

上条「え…じゃあ、今日はどうして?」

仁美「上条君に…お話したいことがありますの」




177: 2013/02/17(日) 06:32:54.08
さやか「……」

ほむら「あなた、やっぱり、馬鹿ね」

さやか「いきなり、人を馬鹿呼ばわりはよくないと思うな」

ほむら「未練たらたらに覗き見なんて」

さやか「これは……仁美が心配だから」アセアセ

ほむら「眼に涙を浮かべながら、言われても、説得力がないわ」スッ

さやか「ん?」

ほむら「ハンカチ。使いなさい」スッ

さやか「……」

ほむら「私はむこうに行くから、1人で泣くなんなり、してなさい」ホムッ

さやか「……」

ほむら「それじゃ」

さやか「……ありがと」


178: 2013/02/17(日) 06:34:33.94
ゲームセンター

さやか「というわけで、第1回ダンシング大会!」

マミ「パチパチー」

杏子「なんだ、これ?」

ほむら「さあ?」

さやか「まあ、あれよ。魔法少女同士の親睦を深めるのが目的よ」

杏子「必要ねーだろ」

さやか「いや、ワルプルギスを倒しても、協力していくんだからさ」

杏子「はあ? 私達はワルプルギスの夜を倒すまでの関係だろ」

さやか「そんな寂しいことを言わないでよ、あんこちゃん」

杏子「杏子だ」

さやか「1位は皆から、ジュースおごりで」

ほむら「賞金まであるのね」

マミ「というか、3つをもらっても、飲めないわよ」

さやか「というわけで、くじ引きくじ引き。ちなみにトーナメントね」


179: 2013/02/17(日) 06:35:17.24
結果

マミ-ほむら

杏子-さやか

ほむら「あなたが相手ね」

マミ「よろしく、暁美さん」

さやか「おおう。いきなり、強敵だ」

杏子「いきなり、ひよっこが相手かよ」

さやか「カチーン。上等よ! 生意気なあんこちゃんに目に物見せてあげるわ」

杏子「やってみろよ、ひよっこ」

さやか「ぐぬぬ」

杏子「ぐぬぬ」

ほむら「早速、仲がいいわね」

マミ「そ、そうかしら?」

ほむら「ところで、私、このゲームやったことがないんだけど……」

マミ「わ、私も……」

さやか「……」

杏子「ぐだぐだになりそうだな」

簡単に説明

ほむら「とにかく、画面の矢印のところを踏んでいけばいいのね」

さやか「そんな感じでいいよ」


180: 2013/02/17(日) 06:35:53.83
スタート

ほむら「……」タンタンッ

マミ「……」ポヨンポヨン

杏子「なあ……」ククク

さやか「笑っちゃ駄目だよ」ククク

杏子「だってなあ……」

ほむら(下手だから、笑われてるのかしら?)

杏子「マミはタプンタプンに揺れて、ほむらは何も揺れもしない。両極端すぎだろ」ククク

さやか「あははははは」

ほむら「……」


181: 2013/02/17(日) 06:36:22.37
WIN ほむら

杏子「あれから、パーフェクトだと……」

さやか「すごい……」

ほむら「どっちでもいいから、勝ちあがってきなさい。叩き潰してあげる!」ホムッ

さやか・杏子「「すごいやる気だ……」」



さやか「さあ、勝負だよ、杏子」

杏子「上等だよ」

マミ「どっちが勝つのかしら?」

ほむら「どっちでもいいわ。叩き潰してあげる」ホムホム

スタート

………

……




182: 2013/02/17(日) 06:37:03.00
WIN 杏子

杏子「よし!」

さやか「かあー! あそこでミスしなければなあ!」

マミ「ハイレベルねえ」

ほむら「氏刑台に立ったのは杏子のようね」

杏子「怖いな、おい!?」

決勝戦

ほむら「……」

杏子「前のリベンジだ」

さやか「貧乳たいけ……」

ほむら「ほむ!」

さやか「あいたっ!?」

杏子「勝たせてもらうぜ、ほむら」

スタート!

ほむら「……」ポイッ

マミ「うんまい棒を投げた!?」

杏子「くいもん、粗末にするんじゃねえ!」ダッ

さやか「あんたも取りに行くな!」

WIN ほむら

さやか「卑怯な……」

ほむら「勝てばいいのよ」ファサ


183: 2013/02/17(日) 06:37:28.37
帰り道

ひとしきり、ゲームセンターで遊んだ後の帰り道。

さやか「いやー、遊んだ、遊んだ」

ほむら「……」

さやか「どうしたのさ。なんか、暗いよ。……ははーん、さては寂しいんだな。かわいい奴だなあ、ほむらは」

ほむら「……こんなことをしていていいのかしらね」

さやか「え?」

ほむら「まどかも見つけられず……こんな風に遊んでいていいのかしらね」

さやか「んー……楽しかったんだし、いいんじゃないの?」

ほむら「でも、ここにはまどかはいないわ」

さやか「そんなにまどかにこだわらなくてもいいんじゃない?」

ほむら「……なんですって?」

さやか「いや、ほむらの人生だからさ。たまには自分のために楽しんでも……」

ほむら「何を言ってるの!」

さやか「!?」

ほむら「私は……まどかを守らないといけないの」

さやか「それは分かるけど……」

ほむら「いいえ、分かってないわ! 私にとって、まどかが全てなの! 私はまどかを守るためにここにいるんだから!」

さやか「……」

ほむら「まどかを守りきれなかったら、私なんかに価値はないのよ。私は……」

パチンッ


184: 2013/02/17(日) 06:37:55.69
ほむら「……」

頬が熱い。きっと、私は殴られたんだろう。興奮が収まって、そう感じた。

さやか「……ごめん」

ほむら「……いいのよ」

少し、頭に血が上りすぎたのは自分でも分かる。

さやか「1つ、いいかな?」

ほむら「何かしら?」

さやか「ほむらはさ。何度も時間を巻き戻したんだよね」

ほむら「ええ。……数えるのを諦めるほどに、この1ヶ月をね」

さやか「だとしたらさ。まどかがいないのはおかしいよね」

ほむら「? それはそうだけど」

さやか「私が思うに……ほむらは……」

???「平行世界から来たんじゃないかな?」


185: 2013/02/17(日) 06:38:44.43
ほむら「……」

さやか「……キュウベえ」

QB「やあ」

ほむら「……どういうこと」

QB「もし、君が好きな時間にいけるのだとしたら、まどかがいなくなるのも分かるさ。でも、君はワルプルギスの夜の現れる1ヶ月前までしかもどせない。だとしたら、まどかという娘がいないのはどうにもおかしい」

ほむら「……」

たしかにたかだか、1ヶ月程度では赤ちゃんなら、ともかくとして、存在を消せはしないだろう。

QB「だから、ここはまどかがいないだけの平行世界という仮説が成り立つ。ということだろ」

さやか「……うん」

ほむら「……じゃあ、何で、私はここにいるの?」

QB「それは分からないよ。それは直接、まどかに聞くしかないんじゃないかな?」

ほむら「……聞けたら、苦労はないわよ」

QB「だろうね」

ほむら「というか、何をしに来たのよ」

QB「君は要注意人物だからね。監視が必要なんだよ」

ほむら「その必要はないわ」ファサ

ほむら「消えなさい」

QB「やれやれ。嫌われたものだね」スタスタ

さやか「……ほむら」

ほむら「……何かしら」

もう、2度とまどかと会えない可能性があるのに、寂しいとは感じる。けど、それほど、ショックはなかった。それはきっと、どこかで感じていたからだろう。あるいは体験していたのだろうか。

さやか「2度とあんなこと言わないで」

ほむら「え?」

さやか「価値がないとか言わないで」

ほむら「……」

さやか「あんたは私にとって、大切な仲間の1人だからさ」

ほむら「……ごめんなさい」

さやか「うん。分かれば、よろしい」

ほむら「私……やっぱり、嫌われてたのよね」

さやか「まどかって娘に?」

ほむら「ええ」


186: 2013/02/17(日) 06:40:10.22
さやか「うーん……というかさ。ほむらに自由になってほしいんじゃない?」

ほむら「自由?」

さやか「逆の立場だったらどうよ。まどかがほむらのためにループを繰り返してるのを知ったら、あんたはどうする?」

ほむら「まどかにそんなことをしてほしくはないわね」

さやか「でしょ? まどかもそう思ったわけよ」

ほむら「あっ……」

もし、私が逆の立場なら、まどかを自由にしたいと願う。もしも、まどかが……。

さやか「まあ、可能性の1つだとしても悪くはないでしょ」

ほむら「……そうね。でも……私はそんな事を望んでないわ」

さやか「だろうね。あるいは……」

ほむら「まだ、何かあるの?」

さやか「ほむらに人を頼ることを思い出してほしかったとか?」

ほむら「意味が分からないわ」

さやか「1人じゃできることなんて、たかがしれてるけど、2人なら、3人ならみたいな」

ほむら「……」

さやか「まあ、私の推測だけどね」

ほむら「……あなた、本当に美樹 さやか?」

さやか「は?」

ほむら「あなたがこんなに私に優しいし、説教までするなんて……」

さやか「……あんたは私をどう思ってるのさ」

ほむら「馬鹿」

さやか「なんだとー!」

ほむら「冗談よ」ホムダッシュ

さやか「待てー!」


187: 2013/02/17(日) 06:40:47.09
3日後

さやか「今日は何をして、遊ぼうか」

マミ「そうねえ……」

杏子「おいおいおい!」

ほむら「どうしたの、杏子」

杏子「何で、毎回集まらせては遊ぶんだよ!」

さやか「? 何か、悪いの?」

杏子「私達は魔法少女だ。魔女を狩らなきゃいけないだろ!」

さやか「それもやってるじゃん」

杏子「……たしかにやってるがな。遊ぶ必要があるのかってんだよ」

さやか「楽しいからいいじゃん」

杏子「んぐっ」

さやか「ははーん。今日も負けるのが怖いんだなあ」

杏子「はん。あんたみたいなひよっ子には負けるかよ」

さやか「カチーン。なら、今日はボーリングで勝負だ!」

杏子「上等……まてっ! 乗せられるか!」

さやか「ありゃ? ノリが悪いね」

杏子「3日間それで、のせられてりゃ、学習するわ!」

ほむら(1日でも駄目よね)

さやか「まあまあ。仲を深める意味でもさ」

杏子「だからな!」

ほむら「……私達は明日にも氏ぬかもしれない運命なのよ。だから、遊べる時には遊んでおくべきだと思うんだけど」

杏子「……それはそうだが」

ほむら「できれば、ワルプルギスの夜との戦いの後も付き合いをしていきたいし、協力していきたい。でもあなたの考えもあるから……せめて、それまでは普通の友達みたいに遊んでいたいのだけど……」

杏子「……分かったよ」

マミ「今回のって、そんなに重いものだったかしら?」ゴニョゴニョ

さやか「いや、そこまでのものじゃないんですけど……」ゴニョゴニョ

杏子「……けっ。まあ、ボーリングは止めだ」

ほむら「……そう」シュン

杏子「ちょっと、付き合え、お前ら」

さやか「私達も?」

マミ「……どこに行くのかしら?」

杏子「ついてくれば、分かる」


188: 2013/02/17(日) 06:43:01.42
教会

マミ「ここは……」

さやか「なんか、廃墟みたいだね」

ほむら「……」

杏子「ちょいと、長い話になる」

途中で買ったりんごを出す。

杏子「食うかい?」

杏子の事情説明

杏子「というわけだよ」

さやか「……あんたにそんなことが……」

マミ「だから……グスッ。あなたは……」グスグス

杏子「泣くな。うっとうしい」

ほむら「……なんで、そんな話を私達にしたのかしら?」

杏子「……なんとなくだよ。特に意味はないさ」

さやか「こんな話をしといて、それは説得力はないよね」

杏子「うるせえ! パトロールに行くぞ」


189: 2013/02/17(日) 06:43:28.76
ワルプルギスの夜の前日



公園

さやか「いよいよ、明日なんだね」

ほむら「……そうね」

さやか「正直さ、勝てると思う?」

ほむら「……どうかしらね。4人で共闘したことなんてなかったから」

さやか「思えば、ここで私達、会ったんだよね」

ほむら「……そうね」

これも円環の理に導かれたおかげかしらね。

さやか「もしも、負けたら……また、繰り返すの?」

ほむら「言ったでしょ。私にもう、そんな力はないの」

さやか「そうだったね。じゃあ、戻せたら?」

ほむら「……ここで氏ぬのも悪くはないわね」

さやか「そう言ってもらうのは嬉しいけどね」

ほむら「?」

さやか「私達は氏なないよ」

ほむら「……そうね」

QB「それは不可能じゃないかな?」

ほむら「……」

さやか「……」

QB「やあ」

ほむら「インキューベーター……」

QB「たしかに4人揃えば、何とか、ワルプルギスの夜にも勝てるかもしれない。でも、無傷にはすまないよ」

さやか「……」

ほむら「……そんなことを言いに来たのかしら?」

QB「現実を教えに来たのさ」

さやか「ったく。空気を読んでほしいよ」

QB「どうして、人類は空気を読むことにこだわるんだい? 訳が分からないよ」

ほむら「お前の思い通りには絶対にならない」

QB「まあ、せいぜい、頑張ってくれ」スタスタ

さやか「本当に何をしに来たんだか」

ほむら「さあ?」

193: 2013/02/24(日) 06:14:45.83
次の日

マミ「いよいよね……」

杏子「びびってんのか?」

マミ「まさか……とは言えないわね」

さやか「……」

ほむら「怖いの?」

さやか「ど、どーってことないって」

ほむら「震えてるわよ」

さやか「あっ……」

ほむら「……来るわよ」




194: 2013/02/24(日) 06:16:44.78
マミ「佐倉さん……この戦いが終わったら……あの時の続きを始めましょう。喧嘩別れする前の……」



杏子「……考えておくよ。生きて帰れたらな」



ほむら「……勝つわよ、さやか」



さやか「……うん」



ほむら「でるわよ……ワルプルギスの夜が」

ワルプルギスの夜 舞台装置の魔女

ワルプルギス「アハハハハハハ」

さやか「でかっ!?」

ほむら「言ったでしょ。あいつは並みの魔女じゃないのよ」

杏子「へんっ。やることは変わらないさ」

マミ「そうね」

ほむら「いくわよ」


195: 2013/02/24(日) 06:18:27.51


ワルプルギス「アハハハハハハ」

ほむら「下手に戦力を分断するのは危険よ。だから、全員で正面突破よ!」

杏子「先陣は任せな!」ダッ

さやか「わ、私だって!」ダッ

マミ「私達も続きましょう」

ほむら「ええ」

使い魔「ウェヒヒヒヒヒ」

使い魔「キリュウチャアアアアアン」

杏子「邪魔だ!」バサッ

さやか「トリャー!」ザクッ

ワルプルギス「アハハハハハ」

マミ「喰らいなさい!」ダンダンダンダン

ほむら「はっ!」ビシュビシュ

ワルプルギス「アハハハハハ」ドドドドン

さやか「よし! 効いてる効いてる」

マミ「この調子で続けるわよ」

ほむら「ええ」


196: 2013/02/24(日) 06:18:55.93
ワルプルギス「アハハハハハ」

使い魔「ウキャキャ」

使い魔「アハハハハ」

さやか「はっ!」ザクッ

杏子「何匹、いやがんだよ」



マミ「……」バンッバンッ

ほむら「……」ビシュッビシュッ

ワルプルギス「アハハハハ」バーンバーン

マミ「くっ……まったく、効いていないわね」

ほむら「流石の耐久力ね……」




197: 2013/02/24(日) 06:19:32.38
杏子「拉致があかねえ……突っ込むか?」

ほむら「焦らないで」

杏子「つったって、長期戦は不利だぞ」

ほむら「それはそうだけど……」

ワルプルギス「アハハハハ」ビームハッシャ

私達に向かって、ワルプルギスの夜が火炎放射のような光線を発射する。

ほむら「ほむっ!?」

杏子「あぶねッ!」

マミ「大丈夫、皆!」

さやか「何とか……」

ほむら(やはり、持久戦は不利……とはいえ、速攻では倒せない……)

一撃で倒せるような魔力があれば、楽なんでしょうが……。

ほむら(ないものねだりはよくないわよね……)

ワルプルギス「アハハハハハ」ビルモチアゲ

とはいえ、絶望はしない。それは……私だけじゃない。仲間と戦っているからかしら?

ワルプルギス「アハハハハハ」ビルハッシャ

杏子「!? おいっ!」

ほむら(私にも力があれば……)

さやか「ほむら!」

ほむら「ほむ?」

ビル「ズドドドドドド」

ほむら「あっ……」

私が顔を上げると、ビルが私に向かって、飛んできている。

ほむら(くっ、油断した……)

仲間と戦えて、気を抜いてしまったのか、あるいは勝てないと思ってしまったか。いずれにしても、あのビルが直撃したら、いくら、魔法少女でも、生きてはいないだろう。

ほむら「……私もおわ……」


198: 2013/02/24(日) 06:19:58.76
さやか「ほむら!」オヒメサマダッコ

ほむら「きゃっ!? さ、さやか……」

さやか「何やってんのさ」タッタッタッ

ほむら「あ、あなたこそ……」

ビル「ズドドドドドド」

さやか「ギリギリだね。投げるから、構えて!」ピョンポイ

さやかは走り幅跳びのようにジャンプして、私を投げる。

ほむら「ぐっ……」ドンコロコロ

さやか「おっと……」ドンコロコロ

ビル「ズガガガガガガン」

間一髪、私とさやかはビルの直撃を避けた。

さやか「いたた……何やってんのさ、ほむら」

ほむら「ごめんなさい……! さやか!」

さやか「え?」

コンクリート「ヒューン」

さやか「あっ……」

ビルのコンクリートがぶつかった衝撃で崩れ、さやかに向かって、落ちてくる。

ほむら「くっ」ユミカマエル

とはいえ、動いている岩に命中できるか……。

???「邪魔だ!」ドンッ


199: 2013/02/24(日) 06:20:29.36
ほむら「ほむっ!?」

何かが私を突き飛ばした。

使い魔「ティヒヒヒヒヒ」

使い魔「アパパパ」

まるで、さやかの最後を見るように使い魔が集まりだした。

???「おらっ!」ドンッ

さやか「きゃっ!?」

グチャアアアアン。

何かを潰したような音を立てて、コンクリートが落ちた。

ほむら「さやか!」

さやか「いてて……」

姿は見えないけど、声が聞こえた。

さやか「あれ? 私……あんた!」

ほむら「どうかしたの!」

マミ「大丈夫?」スタッ

ほむら「巴さん、さやかが!」

マミ「ともかく行ってみましょう」

ほむら「はい!」

さやか「あ、あんた……」

ほむら「どうし……っ!?」

マミ「あなた……」

杏子「へへへ……さやか、無事か?」

さやか「え? う、うん」

杏子「そりゃよかった」

さやか「……って、私のことより! あんた……」

杏子「あん? どうした、ひよっこ……」

さやか「あんた……下半身が……」

杏子「どうってことねーよ、これくらい。魔法で痛みは消えちまうしな」

さやか「だからって……」

杏子「まあ、私はもう、戦力にはならないだろうけどな」

さやか「今すぐ、回復を……」


200: 2013/02/24(日) 06:21:16.25
杏子「余計なことすんじゃねえ!」

さやか「……」ビクッ

杏子「私なんかを助けることに神経を使うなら、あいつに全力で魔力を使え」

さやか「それじゃ、あんた……」

杏子「今まで、どうしようもない人生だったんだ。こんな末路がふさわしいだろ」

ほむら「……いやよ」

杏子「あん?」

ほむら「いやよ! やっと、4人で共闘できて、協力して、ワルプルギスの夜を突破して……仲良くなれると思ったのに……」ジワッ

杏子「……あんたがそんな顔をするなんて、私は氏ぬ前にラッキーだな。……すでに氏んでんだっけか」

ほむら「こんなコンクリート壊して……」

ワルプルギス「アハハハハハハ」ビルモチアゲ

マミ「!? まずいわ、ワルプルギスが……」

使い魔「アフアファウファファ」

さやか「使い魔まで寄ってきた!」ザクッ

杏子「そうだな……ワルプルギスの夜を倒したら……皆でいるのも悪くないかもな……」

ほむら「そうよ!」ビシュッ

ガシャン

私はコンクリートを破壊する。しかし、欠片が杏子の上に落ちる。

杏子「あぐ……」

ほむら「ご、ごめんなさい。でも、これで……」

杏子「……ありがとな、ほむら」

ほむら「お礼なんて、いいから」ヒッパリ

杏子「あのひよっこ……さやかを頼んだぞ……」

ほむら「杏子! 早く……」

焦っているのか、中々、抜けない……。

ワルプルギス「アハハハハハ」ビルハッシャ

杏子「もう、やめろ……」シュルリ

杏子は私にリボンを渡す。


201: 2013/02/24(日) 06:21:50.01
ほむら「これは……」

杏子「あんたなら……きっと、ワルプルギスの夜を倒せるさ。倒して、生き残って……私の墓にこのリボンでも置いてくれ」

ほむら「そ、そんなことできない……私には……」

杏子「そんなことはない……私はお前を信じる」

ほむら「杏子……」

杏子「それから……マ、マミに……ごめんって……言っといてくれ」

ほむら「……嫌よ、あなたが……」

マミ「暁美さん!」

ほむら「え……」

ビルが私達に向かって、飛んできている。このままではさっきのように……。

杏子「いけよ……」

ほむら「杏子……」

杏子「お前は生きなきゃ駄目だろ。生きて、まどかを捜すんだろ?」

ほむら「でも……」

杏子「いけええええええええええええええええええええ!!!」

ほむら「!」

さやか「ほむら!」ギュッ

さやかは私の手を取り、駆け出す。

ほむら「杏子! 杏子!」

杏子「へへ……最後に……いい仕事すんじゃねえか」

使い魔「アハハハハ」

さやか「邪魔!」ザクッ

私を引っ張り、さやかは地面を駆け抜ける

ビル「ズドドドドドド」

その背後でビルが激突した。

ほむら「杏子おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

ワルプルギス「アハハハハハハ」

さやか「……」

ほむら「杏子……」



使い魔「アハハハハハ」

マミ「……佐倉さん」バキュンバキュン

ワルプルギス「アハハハハハ」



さやか「……ほむら」

ほむら「ひっぐ……えっぐ……」

さやか「辛いのは分かるよ。でも、今は……」

今やるべきことは私も分かってる。でも……。


202: 2013/02/24(日) 06:22:25.90
1 立ち上がれない

ほむら「もういや……」

さやか「ほむら……」

ほむら「もう……戦えないよ……まどかあ……」

さやか「……ほむら」

ワルプルギス「アハハハハ」ビルハッシャ

さやか「また、あいつ!」

ほむら「……」

もう、どうでもいい。あれで氏ねば、私も……。

さやか「……あいつを倒すには……私も魔女になればいいのかな?」

ほむら「え? な、何を言って……」

さやか「現状じゃ、私達、勝てないもんね。だから、私……」

さやかは魔力を全開にして、ビルに突っ込む。

ほむら「さやか!」

ビル「ガシャアアアアアアアアン」

青い彗星のようにさやかはビルに突っ込んで、ビルが粉々になる。

さやか「くっ……限界かあ……私にも魔力があればなあ」ピキピキ

ピシャーン

オクタヴィア「ゴゴゴゴゴゴゴ」

ワルプルギス「アハハハハ」


203: 2013/02/24(日) 06:23:06.77
屋上

マミ「あれは……」

QB「美樹 さやかだったものさ」

マミ「キュウベえ……」

QB「彼女は自分の命を賭して、魔女になり、ワルプルギスの夜を倒そうとしたんだ。とはいえ、魔女になったら、そんなこと……」

オクタヴィア「ゴゴゴゴゴゴ」シャリンナゲツケ

QB「! おや、これはすごい! あの魔女はワルプルギスの夜に向かっていってる。これはすごいことだよ。前例がないよ」

マミ「……美樹さん。あなた、そこまで……」

QB「ところで、マミ」

マミ「え?」

使い魔「アハハハ」ザクッ

マミ「ぐっ!?」

QB「後ろががら空きだよ」



ほむら「さやか……」

使い魔「アハハハハ」

使い魔「アハハハハ」

まるで、舞台に立てない二流の役者を嘲笑うように私の周りに集まる使い魔達。私にトドメを刺しにきたのだろうか。



ワルプルギス「アハハハハ」ビシュ

オクタヴィア「がはっ」



ほむら「んぐっ!?」

あの魔女は……さやかはワルプルギスの夜に、私は使い魔に、それぞれ、やられそうだ。

ほむら「はあはあ……」

杏子……マミ……さやか……

ほむら「まどか……」

ほむら(ごめんなさい……)

私がもっと強かったら……。

空の上ではさやかが砕け散るのと同時に私の意識も消えた。

END

204: 2013/02/24(日) 06:23:38.68
今回はここまでです

もう1つのエンドは次回に

読んでくださった方はありがとうございます。

208: 2013/03/03(日) 05:44:06.31
2 立ち上がる場合

ほむら「……杏子」

私は杏子が託してくれたリボンを見つめる。元はといえば、私のせいだ。私が油断をしなければ、皆……。

ほむら「……責任を取らないとね」

あの魔女……ワルプルギスの夜を倒す。

QB「それはやめたほうがいいんじゃないかな?」

ほむら「……インキュベーター」

QB「君たち、4人でも互角だったんだ。佐倉 杏子が消えた今、君達に勝ち目なんてない」

ほむら「……そうね」

でも……。

ほむら「私はやるわ」

弓を構える。

QB「そうかい。君には最後までてこずらされてもらったよ」

ほむら「それはどうも」

QB「だが、それも今日までだよ」

ほむら「そうはうまくはいかないわよ」

さやか「ほむら……」

ほむら「いくわよ、さやか」

さやか「……うん!」




209: 2013/03/03(日) 05:46:06.83
ビルの上

マミ「……佐倉さんは大丈夫なのかしら?」

使い魔「あぶぶぶ」

マミ「!? しま……」

ビシュッ

使い魔「あぶぶ……」ビシャン

ほむら「巴さん」

マミ「……暁美さん」

ほむら「大丈夫かしら?」

マミ「え、ええ」

ほむら「そう。なら、行くわよ」

マミ「え?」

ほむら「あいつを……倒しに!」

マミ「……ええ!」

ワルプルギス「アハハハハハハ」

使い魔「アブブッブ」

ほむら「消えなさい」ビシュッ

使い魔「あばあああああああああ」



QB「すごいね。佐倉杏子の犠牲でチームワークもよくなり、魔力が上がっている。人間とはこうも進化するのかい。とはいえ……」



ワルプルギス「アハハハハハ」ビシュー

ほむら「ぬうううううう」

さやか「くううううう」

マミ「あああああああああ」



QB「とはいえ、ワルプルギスの夜を倒すにはまだまだ、至らないけどね」




210: 2013/03/03(日) 05:47:25.60
ほむら「はあはあ……」

マミ「ところで、佐倉さんは……? 怪我でもしたのかしら?」

さやか「杏子は……」

ほむら「……殺されたわ」

マミ「……え?」

ほむら「……あいつに!!!」

ワルプルギス「アハハハハハ」

マミ「そんな……」

さやか「マミさん……」

マミ「……はああああああ」ダッ

巴さんは突然、走り出す。

ほむら「待ちなさい!」

使い魔「ウキキキキ」

ほむら「邪魔よ!」ピシュッ

使い魔「ウキャアア」

さやか「マミさん!」

ほむら「頭に血が上ってるわね……」

気持ちは分かるけど。

ワルプルギス「アハハハハハ」ビシュー

マミ「きゃあああああああああああ」

向かっていく巴さんにワルプルギスの夜は無慈悲に攻撃を加える。

ズドーン!

さやか「マミさん!」

ワルプルギス「アハハハハハハ」

211: 2013/03/03(日) 05:48:27.94

ほむら「……何がおかしいの」

ワルプルギスの夜は氏んだ杏子や杏子の敵を討つために立ち向かったマミをあざ笑うかのような笑い声を上げるワルプルギスの夜。

ワルプルギス「アハハハハ」

ほむら「何がおかしいの!」ダッ

さやか「ほむら!」

ワルプルギス「アハハハハ」ビシュー

ほむら「こんなのあたらないわ!」サッ

私はワルプルギスの攻撃をかわす。

ほむら「喰らいなさ……」

使い魔「キャキャキャキャ」

ほむら「使い……」

ワルプルギス「アハハハハ」ビシュー

ほむら「しまっ……あああああああああああああ」

ワルプルギスの夜の攻撃をまともに受け、私は後ろに吹き飛んだ。


212: 2013/03/03(日) 05:48:59.85
さやか視点

さやか「ほむら!!!」

QB「ついに君、1人か」

さやか「……くっ」

私は剣を握りなおす。

さやか(突っ込むしかない。でも……)

QB「マミもほむらも通じなかった。僕としては逃げるのが得策だと思うけどね」

そう。このままでは犬氏にだ。

さやか「……逃げないよ」

QB「そうかい。まあ、せいぜい、頑張ってくれ」


213: 2013/03/03(日) 05:50:34.84
ほむら視点

ほむら「ぐっ……」

私はどこかのビルの屋上に衝撃で飛ばされたようだ。

ほむら「はあはあ……」

流石に魔法少女ね。普通だったら、氏んでるような衝撃なのに生きてる。

ほむら「とはいえ……ぐっ。多少は痛むわね」

何とか、立ち上がる。

ほむら「……」

立ち上がったとしても……私はあいつに勝てるの? 私が立ち上がるのに意味はあるの? このまま逃げたほうがいいんじゃないの?

ほむら「……愚問ね」

杏子『あんたなら……きっと、ワルプルギスの夜を倒せるさ。倒して、生き残って……私の墓にこのリボンでも置いてくれ』

杏子は私を信じてくれて、私に想いを託してくれた。ならば、私も杏子の言葉を信じる。

ほむら「……?」

まどか『……』

ほむら「まどか……」

背後に気配を感じ、振り返ると、まどかが立っていた。

まどか『ほむらちゃん……力を貸すね』

ほむら「まど……」

まどか『ギュッ』

まどかは私を優しく、抱きしめた。

ほむら「!?」

私は暖かさに包まれるのと同時に魔力が高まっていくのを感じる。

ほむら「……あなたは」

まどか『ほむらちゃん、頑張って』ティヒヒ

ほむら「……ありがと」

この魔力なら……あいつを倒せる。でも、あいつを倒すことは……まどかを見ることはもうできないということだ。

ほむら「……」

さやか「ほむら!」

ほむら「さやか……」

さやか「大丈夫?」

ほむら「ええ。むしろ、絶好調よ」

さやか「あはは。頼もしいね。この分だと、私の力はいらないかな?」

ほむら「?」

214: 2013/03/03(日) 05:51:04.28
さやか「いやー、私じゃ、あいつに勝てないだろうからね。なら、マミさんかほむらを回復したほうが良いかなって」

ほむら「そう……」ユミカマエ

さやか「じゃあ、私はマミさんを……」

ほむら「待ちなさい」

さやか「ん?」

ほむら「この力は……おそらく、1発で終わるわ」

さやか「……」

ほむら「失敗したら、怖いから……一緒に撃ってくれないかしら」

さやか「……ほむらが私に頼むなんてね」

さやかは私の後ろに立ち、手を重ねる。

ほむら「……行くわよ」

さやか「うん」



215: 2013/03/03(日) 05:51:33.86
ワルプルギス「アハハハハ……!」



QB「これはすごい魔力だ……やはり、彼女はイレギュラーってことかな」



さやか「……まずいよ。ワルプルギスの夜がこっちを警戒してる」

ほむら「焦らないで」

さやか「分かってるよ」



???「ティロ・フィナーレ!!!」

ワルプルギス「アハハハハハ」ズドン

ワルプルギス「アハハハハ」クルリ

マミ「はあはあ……」




216: 2013/03/03(日) 05:52:06.86
ほむら「今よ!」

さやか「いっけえええええええええええ」

ビシャアアアアアアアアアアン。

ワルプルギス「アハハハハハ」クルリ

ワルプルギス「!?」

ドガガガガガガガガン

さやか「やったの……」

ほむら「さあ?」

やるべきことはやった。これで駄目なら……それもまたいいわね。

さやか「ほむら。雲が……」

ほむら「……晴れてきたわね」

空を覆っていた雲が晴れて、綺麗な青空が私達を照らしていく。

QB「おめでとう、さやか、ほむら」

さやか「キュウベえ!」

QB「どうやら、ワルプルギスを倒せたようだね」

ほむら「……んぐっ」ドサッ

さやか「ほむら!?」

QB「魔女を倒すのに無償で、とはいかないのさ」

さやか「え!?」

QB「それなりの代償が必要ということだよ」

ほむら「んん……」

急速にソウルジェムが黒くなるのが分かる。


217: 2013/03/03(日) 05:52:42.61
まどか『……お別れだね』

ほむら「……そうね」

まどか『また、会おうね』

ほむら「……その機会はもう2度とないでしょうね」

まどか『だとしても……また、会おうね。約束だよ』

約束……。

ほむら「……ええ。また、会いましょうね」



218: 2013/03/03(日) 05:58:35.25
ほむら「くうう……はあはあ」

さやか「そ、ソウルジェムの穢れが……」

QB「なくなった!?」

ほむら「……ありがと、まどか」

さやか「だ、大丈夫、ほむら」

ほむら「……私のことはどうでもいいわ。それより、巴さんを迎えに行きましょう」

さやか「で、でも、ほむらはじっとしてたほうがいいんじゃない?」

ほむら「いいのよ。……早く、喜びを分け合いたいの」

この世界ではない、別の世界のまどかのおかげで乗り越えられた奇跡を

ほむら「行きましょう」スッ

さやか「……うん」ギュッ


219: 2013/03/03(日) 05:59:19.07
今回はここまでです

エピローグと新編は来週に

読んでくださった方はありがとうございます。

222: 2013/03/10(日) 06:06:23.75
エピローグ

1ヶ月後

コンサート会場

『三滝原復興コンサート』

ほむら「未練がましいのね、あなたも」

さやか「うるさいやい。私はあいつの演奏が聞きたいだけだい」

ほむら「なら、何で、こんな後ろのほうで立ってみているのよ」

そう。私達は会場の一番後ろの出入り口の脇から立って見ているのだ。

ほむら「志筑さんからチケットをもらったでしょうに」

さやか「……さすがにねえ」

ほむら「……始まるわよ」




223: 2013/03/10(日) 06:06:59.22
ほむら「……いい演奏ね」

さやか「……だね」

恭介「~♪ ……ふう」

観客「パチパチパチパチパチ」

ほむら「パチパチパチ」

さやか「パチパチパチ」

ほむら「さて……行きましょうか」

さやか「……うん」




224: 2013/03/10(日) 06:07:38.08
さやか「……ところで、ほむら」

ほむら「どうかしたの?」

さやか「結局、なんだったのさ、まどかってのは」

ほむら「何よ、藪から棒に」

さやか「前から気になっててね」

ほむら「これは私の仮説だけど、あれはまどかの魔力の欠片だと思うわ」

さやか「欠片?」

ほむら「ええ」

さやか「……よく分からないんだけど」

ほむら「どこかの世界のまどかが願って、その世界の私の意識がこの世界に来た。その時にまどかの魔力の欠片も一緒に」

さやか「つまり……あんたは別の世界の人間ってこと?」

ほむら「そうだとも言えるし、違うとも言えるわ。つまりは身体はこの世界。中身はその世界の私ってことよ」

さやか「うーん……でも、何でまた」

ほむら「理由は分からないけど……まどかには感謝してるわ」

さやか「何で?」

ほむら「……あなたを救えたからかしら」

さやか「……」

ほむら「……」

さやか「……ぷっははははは」

ほむら「……そこまで、笑わなくてもいいじゃない」

さやか「だってさ。あははは」

ほむら「……もういいわ」プイッ

さやか「ごめんごめん。あんたがそんなにくさいこと言うとはね」

ほむら「……たまにはいいじゃない」

さやか「ははは……さて。ひとしきり、笑ったし、マミさんのところに行きますか」

ほむら「そうね」

さやか「……杏子のリボン、マミさんに渡してよかったの?」

ほむら「……」


225: 2013/03/10(日) 06:08:05.07
もわもわ

ワルプルギスの夜 撃破1週間後

コンコン

マミ「どうぞ」

ほむら「おじゃまするわ」

さやか「マミさん!」

私達が発見した時は倒れていて、気絶している巴さんを保護し、グリーフシードで穢れをとりあえず、病院に収容した。

ほむら「身体は大丈夫かしら?」

マミ「おかげさまですこぶる元気よ……とは言っても、私は魔法少女だし、入院する必要もないんだけどね」

ほむら「あの状況では病院が安全だったのよ」

街には多大な被害が及んだ。当然、巴さんの家も。そんなところにはいられないし、避難所に連れて行っても、目立ってしまう。なら、安心して、寝られる、病院が1番良いと判断した。

マミ「もうすぐ、退院できるわ」

ほむら「それは良かったわ」スッ

私は黒いリボンを巴さんに渡す。

マミ「これは……佐倉さんの」

ほむら「あなたに渡すわ」

マミ「何で、私に……」

ほむら「本当は杏子の墓においてくれと言われたわ」

マミ「……」

ほむら「これをどうするかはあなたの勝手よ。それじゃ」

さやか「失礼しますね」

もわもわ


226: 2013/03/10(日) 06:08:33.72
ほむら「……約束は破ることにはなるけど、そのほうがいいと思うわ。1人ぼっちはさびしいものだから」

さやか「……そっか」

ほむら「そんなことより、早く、行きましょう」

さやか「うん」

今、私達は3人で協力して、風見野と見滝原をパトロールしている。もう少し、余裕が出れば、コミュニティも増やしていきたいものだけど。ちなみにインキュベーターは巴さんは説得を、私達は惨殺をすることで処理しているがイタチごっこだ。

ほむら「ねえ、さやか」

さやか「ん?」

ほむら「私はこれから、人を信じて、人に信じられるように頑張ろうと思うわ。たとえ、困難なことでも」

さやか「……あんた、今日は変だよ」

ほむら「今日はそういう日なのよ」ファサ

さやか「そのリボンは決意の現れ?」

ほむら「それもあるわね」

私はあの戦いから、まどかのリボンをつけるようになった。

ほむら「でも、これは……別の世界の私の最高の友達との証だから」

さやか「別の世界ねえ。じゃあ、この世界のは?」

ほむら「言わせないで」

ありがとう、まどか。そして、さようなら。

ほむら「あなたしかいないじゃない」

いずれ、また、会いましょう。

227: 2013/03/10(日) 06:11:39.14
ここで終わりです。

読んでくださった方はありがとうございます。

続き

228: 2013/03/10(日) 07:39:26.84
おつ

引用元: まどか「絆が紡ぐ世界」 ほむら「さやか編」