3: 2012/02/08(水) 00:45:31.18
さやか『何いってんだこの人?コスプレみたいな格好だし……』

マミ「あっ、私のこと信じてないでしょ?」

まどか「い…いきなりそう言われても……」

マミ「そうよね。じゃあ証拠を見せるわ。そっちのあなた、ちょっといい?」

さやか「へっ?何ですか?」

マミ「悪いけど後ろを向いてもらえる?」

さやか「こうですか?」くるっ

マミ「失礼…はっ!」ドカッ!

さやか「ぐえっ!!」ズッ…

まどか「さやかちゃん!?」

マミ「秘孔・解啞門天聴(かいあもんてんちょう)!意思と関係なくあなたは口を割る!」

4: 2012/02/08(水) 00:49:04.27
さやか「だ…誰がそんなインチキ信じるか……へっ?」

さやか『く…口が勝手に……?』

マミ「じゃあ次の質問。私の第一印象どうだった?」

さやか『まずい!言ったら殺される!ガマンだ、ガマン!!』

さやか「!?ぐはっ!」ブシュウッ!!

まどか「さやかちゃん!?さやかちゃーん!!」

マミ「言い忘れてたけど、ガマンすれば身体から血が噴き出すわ」キリッ

さやか「あ…うあぁ……」ブシュッ…

ほむら「何してるの!止めなさい!!」ガシッ!! ズボッ…

5: 2012/02/08(水) 00:53:52.98
さやか「はぁっ…はぁっ……あ…ありがと…」ツツー…

ほむら「傷が浅くて助かったわ。これならすぐに血も止まりそうね」

マミ「あなたは?」

ほむら「この子たちのクラスメイトよ。魔人でもない一般人の秘孔を突くなんて…」

まどか『ほむらちゃん…助けに来てくれたんだ!』

ほむら「突くなら新一(しんいち)にしなさい。あれなら痛み無く口を割れるでしょう?」

まどか『え?責めるとこそっち!?』

マミ「そ、そうね!……あなた、その格好で秘孔を知ってるってことは伝承者?」

ほむら「えぇ。北斗神拳ではないけどね」

まどか「あのっ…伝承者とか魔人ってなに?」

6: 2012/02/08(水) 01:00:12.35
マミ「そういえばまだ二人には話してなかったわね。みんなで私の家に行きましょう」

ほむら『他に人いないし、ここで話せばいいのに。どこの時間軸でも相変わらずね』

マミ「さっきの子には、おわびにケーキをごちそうするから、来てくれないかしら?」

さやか「誰があんたなんかのところに行くか!!」ぷいっ

マミ「残念…じゃあ強引だけどこの手を使いましょう」トンッ

さやか「…………はっ!あれ?あたしはいったい何を……」きょとん

まどか「?さやかちゃん、何いってるの?」

ほむら「マミが頭顳(ずせつ)って秘孔を突いてあの記憶だけ消したのよ」ゴニョゴニョ

まどか「それって…むぐ」ガシッ

7: 2012/02/08(水) 01:02:46.02
ほむら「余計なことを言ったら、あなたまで記憶を消されるわよ…それでもいいの?」

まどか「そ…それはちょっと……」

さやか「まどかに転校生?それと…あなたは?」

マミ「私は巴マミ。あの子たちにあなたが不良にからまれてるって聞いたから、助けてあげたの」

さやか「そ…そうだったんですか。ありがとうございます!」

マミ「いいのよ。せっかくだし、私の家でお茶でも飲んで行かない?」

さやか「いいんですか?喜んで行きます!まどかたちも当然来るよね?」

まどか「えっ!?…うん」

ほむら「えぇ。せっかくだしお邪魔しようかしら」

ほむら『うまくおさまったからいいけど、かなりエグいマネをするわね……』

8: 2012/02/08(水) 01:07:10.55
―マミホーム―

マミ「まだこの子を紹介してなかったわね。こっちは私の大切なお友達のキュゥべぇ」

QB「よろしく!まどか!さやか!……?」

ほむら「……暁美ほむら」

QB「ほむら!」

ほむら『やっぱりウザいわねコイツ…いつものことなんだけど』

さやか「どうしてわたしたちのことを?」

QB「ボクは伝承者候補の子は常にチェックしてるからね。これぐらい当然さ」

まどか「じゃあなんで伝承者のほむらちゃんはわからなかったの?」

QB「彼女はイレギュラー…」

ほむら「言うほどまともにチェックしてないからよ」ズイッ

さやか「ふーん。けっこうダメなヤツなんだね」

9: 2012/02/08(水) 01:10:46.38
マミ「しばらくはQBと暁美さんに聞いてね。私お菓子とか準備してくるから」スタスタ

さやか「まず伝承者ってなんなの?」

QB「拳法の伝承者さ」

まどか「それってどんな拳法なの?」

QB「契約するまでわからない。でもボクと契約すれば伝承者になれるよ」

さやか「でも魔人って悪いヤツと闘わなきゃいけないんでしょ?」

QB「うん。でも何の見返りもなく、キミたちに闘ってほしいとはいわない」

まどか「じゃあそっちも何かしてくれるの…?」

QB「うん。ボクと契約してくれれば、キミたちの願いを何でも一つ叶えてあげるよ」

10: 2012/02/08(水) 01:13:35.52
さやか「何でも?それホントなの……?」

QB「もちろんさ。どんな願いだってかまわない」

まどか「あと魔人ってどんな感じなの?」

QB「大男だよ。彼らは結界に隠れて悪事を行うから人前には現れない」

QB「それを見つけ出して退治するのが伝承者の使命さ」

さやか「お…大男!?あたしたち中学生だよ?そんなヤツら倒せるの?」

QB「大丈夫。どんなに弱い伝承者でも、トラを素手で殺せるくらいの力があるから」

さやか「ほんと!?すごいな!あたしもなっちゃおうかな~」

ほむら「やめなさい。最後まで話を聞いてから決めたほうがいいわ」

さやか「えっ?」

11: 2012/02/08(水) 01:16:18.13
ほむら「相手も同じくらい強いのよ。それにまだソウルジェムの話をしていないでしょう?」

まどか&さやか「ソウルジェム?」

マミ「私たちの闘気、力の源になっているこの宝石よ。ケーキと紅茶持ってきたから、みんなも食べてね」ニコッ

まどか「あ、ありがとうございます。でもなんでそれが大切なの?」カタッ

ほむら「闘気を消耗するとソウルジェムは淀んでいくの」

マミ「でもグリーフシードで回復させれば大丈夫よ」

さやか「グリーフシードって何?」

ほむら「たまに魔人が落とす黒い宝石で、闘気を回復させてくれるのよ」

ほむら「そしてソウルジェムが淀みきると、グリーフシードになって私たちは魔人になる」

マミ「な、なんだってー!?」

12: 2012/02/08(水) 01:19:09.29
さやか「え?マミさんも知らなかったんですか?」

マミ「初耳よそんなの!なんで言わなかったのよ!?」

QB「言ったらキミたちは契約をしない、と知っているからね」

マミ「人の皮をかぶった悪魔め!絶対に許さない!」ドスッ!

QB「へげぇっ」ボンッ!!

まどか「い、いきなり秘孔突くのは……」

ほむら『アイツ人間じゃないのだけど…でもちゃんと秘孔は効くのね』

マミ「はっ!そうね!掃除が大変だもんね!どうしようかしら……」

さやか『そっち!?頃したことへの罪悪感とかは無いの!?』

QB「代わりはいくらでもいるけど、無意味に潰されるのは困るんだよね」ムシャムシャ…

13: 2012/02/08(水) 01:23:24.57
さやか「うわっ、また出てきた!どうなってんだ?」

ほむら「たくさんいるから一匹くらいどうってことないのよ」

QB「そんなことないよ。勿体ないじゃないか」ペロペロ

マミ「掃除してくれるの?ありがとう!」

まどか「えっ!?もう怒ってないんですかマミさん?」

マミ「?一回殺せば、大体のことは水に流してもいいでしょう?ヘンかしら?」

ほむら『寛大なのかバカなのか…なんと言えばいいのやら』

マミ「魔人なんてゴロゴロいるし心配ないわ!仮に暁美さんが魔人になっても、私は殺せる自信があるもの!」

ほむら「そうね。私は今でもあなたを殺れると思うし」

マミ「冗談に決まってるでしょ?そこは『縁起でもないこと言わないで』とか突っ込んでよー!暁美さんの意地悪!」

ほむら『ウザいところはお友達のQBとそっくりね……』ピクピク…

14: 2012/02/08(水) 01:26:07.65
まどか「ねぇほむらちゃん、ソウルジェムって何でできてるの?」

ほむら「その伝承者の魂でできているのよ」

マミ「またまた~。そんなバファリ○のCMみたいなこと言ってー!冗談きついんだから」

ほむら「……」ドカッ!

マミ「あ……」バタンッ…

さやか「ま…マミさーん!…!!…しっ…氏んでる…!!」

まどか「ひ…ひどいよ……なにも殺さなくても…!!」

ほむら「秘孔を突いて仮氏状態にしただけよ。うるさいから黙ってもらおうと思って」

さやか「そうなの!?な、ならいいんだけど……」

15: 2012/02/08(水) 01:28:59.35
まどか「あとなんで変身するの?拳法使えるなら必要ないんじゃ…」

ほむら「私たちは変身しないと力をあまり発揮できないのよ」

さやか「ふーん。さっきの続きだけど、ソウルジェムが壊れると伝承者は氏んじゃうの?」

ほむら「えぇ。あとこれは自分の身から100メートル圏内に持っていないと身体が動かなくなってしまうの」

まどか「そ…そんな身体になりたくないよ…」

ほむら「そうね。それに致命傷を負うと勝手に壊れるし」

まどか「ち…致命傷って?」

ほむら「頭が吹っ飛ぶ、体が木っ端微塵になる、心臓が張り裂ける、ってとこかしら」

さやか「そ…そんな危ない目にあうことやりたい人なんていないよ!」

ほむら「だからアイツは黙って契約させるのよ。問い詰めても『奇跡の対価だから仕方ない』と言い張るばかりで」

16: 2012/02/08(水) 01:31:33.72
マミ「やはり許せない!あなたは氏ぬべき男よ!」ムクッ! ドズッ!

QB「え?あろっ!!」ボンッ!!

さやか「あっ、起きた」

ほむら『頃す口実がほしいだけで、実は何とも思ってなさそうね』

まどか『やっぱり、ほむらちゃんと仲良くしよう…マミさん何か怖いし』

マミ「ところで二人とも実際の伝承者の仕事に興味はない?」

まどか&さやか「ないです。全然」キッパリ

マミ「二人とも遠慮しちゃってー!ツンデレなんだから!」

さやか「いやホントにそんなんじゃないですから!」

マミ「じゃあ明日の放課後一緒に行きましょう。楽しいわよー」

まどか&さやか『に…逃げたり断ったりすれば殺される!答えはもちろん……』

17: 2012/02/08(水) 01:33:07.04
まどか&さやか「喜んで行きます!!」

マミ「ほんと?絶対忘れちゃダメよ。校門のところで待ってるからね」ニコッ

ほむら「私も行っていいかしら?マミの闘い方を参考にしたいから」

マミ「もちろんいいわよ。大勢で行ったほうが楽しいもの」

まどか「あ、もうこんな時間だ。そろそろ帰らないと」

マミ「そうね。親御さんも帰りが遅いと心配するし」

ほむら「じゃあ私たちも行きましょうか」スッ

さやか「今日はありがとう。じゃ、またね。マミさん」

マミ「えぇ。じゃあまた明日ね!」

18: 2012/02/08(水) 01:37:33.31
―翌日の放課後―

まどか「マミさんまだかなぁ」

さやか「はぁー…行きたくないな」

ほむら「仕方ないのよ。はじめて友達ができてハイテンションになってたんだし」

ほむら「それと、あなた達に二つ忠告しておくわ」

まどか&さやか「なに?」

ほむら「戦闘中は私から離れてはダメよ。戦闘中のマミは自分のことしか考えてないから」

まどか「う…うん」

ほむら「もう一つは、マミの戦い方は見習うべきじゃない。絶対に忘れないで」

さやか「どういうことさ?」

ほむら「実際に見ればわかるわ。本人も来たしおしゃべりはやめましょうか」

マミ「お待たせー。じゃあみんな、行きましょう」

19: 2012/02/08(水) 01:41:26.44
マミ「魔人は歩いて探すのよ。近くにいたらソウルジェムが反応する仕組みになってるの」

さやか「意外と地味なんですね」

ほむら「反応があったわね。こっちにいるハズ。行ってみましょう」タッタッタッ…

まどか「あ!この変な形の門は!?」

ほむら「魔人の結界よ。入る前に変身したほうがいいわね」パァァ…

マミ「そうね」パァァ…

マミ「じゃあみんな!行くわよ!」ダッ

さやか「宮殿みたいな場所だなぁ…パッと見は普通の感じだけど」

マミ「みんな止まって。魔人が出てくるわ」スッ

20: 2012/02/08(水) 01:43:15.57
ズンッ… ズンッ…

ほむら「二人とも私の後ろにいなさい。あとは任せたわよ、マミ」

マミ「まかせて!」

ハート「ん~?こんなところに来るとは…キミたちは侵入者かね?」

マミ「えぇ。でも主がこんなブタとは思わなかったわ。ブタはブタ小屋に行きなさい」

ハート「ほ~う…人をブタ扱いするとは…いい度胸じゃないか!!」バチィッ!

ハート「!?いない…?」

マミ「スローすぎてあくびが出るわ。あたぁ!」ドンッ

マミ『だ…打撃が効かない!?』

ハート「私は特異体質の持ち主でね。脂肪により打撃を吸収してしまうのですよー」スッ

ハート「ぬーん!」ドゴォッ!!

マミ「ぐはっ!!」ズンッ!!

21: 2012/02/08(水) 01:46:45.83
まどか&さやか「マミさん!!」

マミ「だ…大丈夫よ…」ドクドク…

まどか『頭からすごい血が出てる!まずいよ…!!』

ほむら『物理攻撃が通じなければ秘孔も突けない…立ってもどうすれば…』

ハート「ブヒヒヒ…強がってられるのも今のうちだ」スッ…

まどか『あれは……トランプ?』

ハート「ふふふ…」スパッ ツツー…

さやか『トランプで自分の顔を切った?何を考えてるんだ!?』

ハート「ち…血~!?」スッ

ハート「いてぇよー!!」くわっ!!

22: 2012/02/08(水) 01:49:54.40
ほむら「!?」

ハート「いてぇよー!!いてぇよー!!」バチコーン!!

マミ「うあぁっ!!」ドンッ!!

さやか「あのデブ…血を見たら急に暴れはじめたよ!?」

QB「間違いない。おそらくあの魔人は、血を見ると狂乱の殺人者になってしまうんだろう」

まどか「マミさん!しっかりして!!」うるっ

マミ「大丈夫…負けるもんですか」ググ…

マミ「あんまり未来の後輩の前で、カッコ悪いところ見せられないものね!」

マミ「そこのブタ。いっておくけど、北斗神拳は無敵よ」

ハート「な…なにをーっ…」

23: 2012/02/08(水) 01:52:28.48
マミ「あたっ!」ドンッ

ハート「ふっ、そんな蹴りなんざ……!?」

マミ「あたたたたたた!!」ドドドドド…

ほむら『あれは…!蹴りで魔人の腹の肉がせり上がっていく!』

マミ「北斗柔破斬(ほくとじゅうはざん)!!」ドカッ!

マミ「北斗神拳の前では、アンタはただの脂肪のかたまりにすぎないわ。氏になさい!」

ハート「なにを~!…ひっ!ひでぶっ!!」ボコボコッ…パーン!!

ほむら「蹴りで脂肪をせり上げて秘孔を突くとは…考えたわね」

マミ「これが格の違いというものよ」ニコッ

24: 2012/02/08(水) 01:54:29.74
まどか「あ!マミさん!後ろ!」

マミ「知ってるわ。むん!」バキィッ!!

使い魔「あがが」ベキベキッ

ほむら「使い魔がまだ残っていたのね」

まどか「使い魔?」

マミ「魔人の取り巻きのザコのことよ」

QB「でも使い魔を放っておくと魔人になってしまうから、注意は必要だよ」ヒョコッ

さやか「あんたいつの間に…」

QB「ついさっきさ。それよりマミ、グリーフシードはいいのかい?」

マミ「そうね!忘れてたわ。ちゃんと拾わなきゃ」ヒョイッ

25: 2012/02/08(水) 01:56:34.18
マミ「見て。私のソウルジェム、昨日より少し濁っているでしょう?」ドクドク…

さやか「それどころじゃないでしょ!頭の血を止めないと!!」

マミ「大丈夫。これを使うと」パァァ…

まどか「あっ!ケガが治った!!」

マミ「そう。そして闘気も元通り、ってわけ」

マミ「あなたも使う?」パシッ

ほむら「せっかくだし使わせてもらうわ」パァァ…

ほむら「ありがとう。もう使えないから、あとはコイツに」ブンッ

QB「任せて!…きゅっぷい」ゴクッ

まどか「あ…食べちゃった!QB、大丈夫…?」

QB「問題ないよ。これもボクの役割のひとつだからね」

26: 2012/02/08(水) 01:59:07.12
マミ「じゃあ今日はこのへんで終わりにしましょう。じゃあね、みんな!」タッタッタッ

さやか「さよならー」

まどか「またあしたー」

さやか「マミさんってすごいな……」

まどか「うん…かっこよかったね」

ほむら「でも見習ってはダメよ」

まどか「どうして?」

ほむら「彼女は戦いを愉しみすぎている。その油断が伝承者には命取りになるのよ」

さやか「でもちゃんと勝ったじゃん?もしかして嫉妬してるの?」

ほむら「違うわよ。この先何回も彼女の戦いを見ていれば、私の話もわかると思うわ」

34: 2012/02/09(木) 00:05:17.18
数日後

まどか「さやかちゃん、上条くんには会えなかったの?」

さやか「うん…せっかく来てやってんのにさー。失礼しちゃうよねー」

まどか「あっ!あれってグリーフシードじゃ!!」

さやか「な…なんかやばそう!ど…どうしよう!?」

QB「孵化しかかってる!下手に刺激したら魔人が産まれてきてしまうよ!」ヒョコッ

まどか「ほむらちゃんもマミさんも連絡先知らないし…」

さやか「くっ…!まどかはどっちか呼んで来て!あたしはコレ見張るから!」

QB「ボクもさやかと残る。あと『刺激を与えないように慎重に来て』と伝えてね!」

まどか「うん、わかった!行ってくる!」タッ!!

35: 2012/02/09(木) 00:08:33.01
まどか「あっ!マミさーん!マミさーん!!」

マミ「鹿目さん?どうしたの?」

まどか「実はかくかくしかじかで…」

マミ「なんですって!すぐに行きましょう!!」ダッ!!

ほむら『あれは…まどか?マミも急いでるみたいだけど……何かあったのかしら?』


QB「怖いかい?さやか?」

さやか「当然でしょ!見つかったら、何されるかわかったもんじゃないし…」

QB「最悪の場合、君が伝承者になれば切り抜けられるよ」

さやか「まだ決めたくない。自分にとっても大事なことだし……」

マミ(大丈夫!?美樹さん!QB!今着いたわよ!!)

36: 2012/02/09(木) 00:12:00.10
さやか「へっ!?マミさんの声がする!」

QB「伝承者はテレパシーを使えるからね。もっとも、さやかの場合ボクが仲介しているけど」

さやか「へー、知らなかった」

QB(まだこっちは大丈夫。孵化させないよう慎重に来てね!)

マミ(オッケー!しっかりやるわ!)


マミ「鹿目さんはあとからついてきてね」

まどか「は、はい!!」

使い魔A「わははは!汚物は消毒だー!!」ボォォーッ

まどか『あれって…火炎放射器!?あんな危ないの持ってるなんて』

マミ「ちょっとそれ貸して」ガシッ

37: 2012/02/09(木) 00:15:16.32
まどか『普通に奪い取った!?』

マミ「あなたの言うとおりね。汚物は消毒すべきよね」ニコッ

使い魔A「えっ…わっ!!そ…そんな、ちょっと…あんた!!」

マミ「ティロ・フィナーレ!」ボォォーッ

使い魔A「はわあ!!うわぢゃー!!」ゴォォー…

マミ「見て鹿目さん!あの使い魔楽しそうに踊ってるわ!面白いわね!!」ニコニコ

まどか「え?あ…はぁ……」

まどか『いくら使い魔と魔人相手でもこんなのってないよ……』

マミ「ティロ・フィナーレ!ティロ・フィナーレ!」ボォォォーッ

使い魔B・C「うわぁぁーっ!!」ゴォォォ…

38: 2012/02/09(木) 00:21:45.28
さやか「!?何か悪寒が…」ブルッ…

マミ「ごめんなさい!遅くなっちゃって!」タッタッタ…

QB「大丈夫。ギリギリセーフさ」

マミ「美樹さん、お手柄と言いたいとこだけど…無茶しちゃダメよ」

さやか「ご…ごめんなさい」

マミ「戦いが終わるまで反省しててね!」ドスッ!

さやか「えっ!?か…身体が動かない……!!」ビキビキッ

マミ「秘孔・新膻中(しんたんちゅう)を突いたわ。私が指示すれば戻るから、終わるまで待ってなさい」

QB「もう魔人が出てくるよ!」

パァァ…

39: 2012/02/09(木) 00:26:05.47
デビルリバース「うごおぉ!!」ズーンッ!!

まどか「なにあれ!?ホントに人なの!?」

さやか「うん…まるで怪獣みたいだ…!」

マミ「どうせ怪力だけの脳筋野郎に決まってるわ」

デビルリバース「氏ねぇ!!」ドゴォー…ンッ!!

マミ「あらあら、こわいこわい。ま、当たりっこないけど」ダンッ!

マミ「片目をもらうわ…ティロ・フィナーレ!!」ボスン…

デビルリバース「どうしたぁ!?ばーかばーか!!」

マミ「うっさいわねバカ!ティロ・フィナーレ!!」ビュンッ!!

デビルリバース「ぐぇあっ!!」ゴチンッ!!

41: 2012/02/09(木) 00:30:27.38
さやか「今何があったの?遠くてよく見えなかったけど」

まどか「マミさんが、使えなくなった火炎放射器を魔人の目にぶつけたみたい」

さやか「ぷっ…マミさんださいなー」

ほむら「マミに聞かれたら殺されるわよ。軽率な発言はひかえなさい」

さやか「うわぁ!!ほむらっ!!」

まどか「ほむらちゃん!?どうしてここに?」

ほむら「まどかが焦ってたから、気になってつけてきたのよ」

まどか「ほむらちゃん…マミさん勝てるかな?」

ほむら「無理ね」

さやか「えっ!?なんで!?」

43: 2012/02/09(木) 00:37:38.65
ほむら「彼女はあの魔人を甘く見すぎてる。私のカンじゃ、まだヤツは何か隠している」

さやか「何かって?」

ほむら「奥の手、ってところかしら」

マミ『やはり力押しだけのバカね。そうと分かれば、もう何も怖くない!』

デビルリバース「ぐふふ」にやり…

マミ「!?」

デビルリバース「風殺金剛拳(ふうさつこんごうけん)!!」ビュオッ!!

マミ「きゃっ!!」ドォンッ!! ズガァーンッ!!

44: 2012/02/09(木) 00:39:41.28
まどか&さやか「マミさーん!!」

さやか「あれっ!?身体が動く…ってことはマミさん氏…」

ほむら「あれは…羅漢仁王拳(らかんにおうけん)!!」

まどか「えっ?なにそれ!?」

ほむら「QBに聞いて。私はマミを助けてくる!二人とも動いちゃダメよ!」ダッ

さやか「羅漢仁王拳って…?」

QB「古代インドに伝わる暗殺拳だ。しかしその凶悪さゆえ、時の皇帝により禁じられたはず」

まどか「魔人も拳法使えるの!?」

QB「伝承者から発生した魔人であれば、ね」

ほむら『よかった…まだ生きている。気絶しているだけのようね』

デビルリバース「なんだおまえはぁ!?」

45: 2012/02/09(木) 00:44:37.93
ほむら「この子にかわりに私が相手するわ。かかってきなさい」

デビルリバース「ごぉぉ!!」バキャッ!!

ほむら「まどか、マミのことも頼むわね」スタッ スッ…

まどか「えっ!?う…うん!」

ほむら「私はマミとは違う」ダンッ!

デビルリバース「ぬうぅ!!」グアッ!!

ほむら「さっそくで悪いけど退場してもらいましょう」ボォォ…

まどか『ほむらちゃんの右手が金色に光り輝いてる!』

ほむら「秘奥義・黄光刹斬(おうこうせつざん)!」ブォッ

46: 2012/02/09(木) 00:47:16.18
デビルリバース「そんなものいたくないぞ……うわぁ!!」ギギギギ……

さやか「攻撃された首の部分が金色に光ってる!」

まどか「しかもそこを境に首から上がズレていく…あのままじゃ首が落ちちゃうよ」

デビルリバース「おぼあ!!」ギギ…ザシュッ! ズーンッ…!!

さやか「やった!マミさんの仇を討てた!」

まどか「でもほむらちゃんは何の技を使ったのかな?」

ほむら「元斗皇拳(げんとこうけん)よ」

まどか「げんと…こうけん?」

47: 2012/02/09(木) 00:49:30.08
QB「体内に充ちた闘気を刃とし、敵の体・細胞を瞬時に断ち滅頃する拳法さ」

さやか「?えーと…それはつまり……?」

ほむら「闘気を自在に操って敵を倒す拳法、ってことよ」

さやか「なるほど。よくわかったよ」

QB「北斗神拳、南斗聖拳(なんとせいけん)と並び称されるほどのものだ」

QB「でも使い手を見るのはだいぶ久しぶりだ。北斗神拳はたまに見るけど」

さやか「てっきり秘孔に詳しいから、ほむらも北斗神拳の使い手だと思ってたよ」

ほむら「あら。私は自分が北斗神拳の伝承者じゃないと話した気がしたけど」

まどか『そういえばそうだった…でもさやかちゃんはマミさんにその記憶消されちゃったんだっけ』

48: 2012/02/09(木) 00:53:48.96
ほむら「それより私の言っていたこと、理解できたかしら?」

さやか「えーと…マミさんが油断してるってこと?」

まどか「うん…よくわかったよ。あの戦い方じゃいろいろとダメだって」

ほむら「よく目に焼きつけておきなさい。伝承者になるって、そういうことよ」

ほむら「お説教はここまで。マミも私も回復しないとね」パァァ…

マミ「ん……あれ?魔人は?」キョロキョロ

ほむら「安心しなさい。私が倒したわ」

マミ「え…もしかして私…負けちゃったの…?」

ほむら「えぇ。油断が命取りだったわ。ただ、生きてられるだけ運がよかったわね」

49: 2012/02/09(木) 00:55:38.78
マミ「そっか…きっとみんなの前で…浮かれてたのね……ひくっ」

マミ「あれ?涙が止まらない……どうしてかな……」グスッ

さやか「マミさん……」

マミ「伝承者は勝たなきゃ意味がないのに…こんな簡単に負けちゃうなんて……」

まどか「そんなに自分を責めちゃダメですよ。マミさん」ポン…

マミ「鹿目…さん……?」ぐすっ

まどか「わたしは、みんなのために頑張るマミさんの姿が見れるだけで嬉しいんです」

まどか「だから、一回の失敗だけでそんなに落ち込まないでください」

まどか「わたしにとって、マミさんはいつでも憧れの先輩のままですから」ニコッ

マミ「鹿目さん…ありがとう…!ひくっ…うわぁーん!!」だきっ

50: 2012/02/09(木) 00:58:27.17
マミ「もうちょっと先輩らしくしなきゃいけないのに…ごめんね…」ぐすっ

まどか「いいんですよ。誰だっていつも強がっていられるわけじゃないですから」ぎゅ…

さやか(なぁほむら。あたしたちお邪魔みたいだし帰ろうか?)

ほむら(そうね。二人だけにしてあげましょう)スッ

マミ「待って二人とも!まだ行っちゃダメ!」くるっ!

さやか「へっ?こっち見てないのにどうしてわかったの!?」ビクッ!

ほむら「空気の流れの変化で動きを読んだんでしょう。相変わらず恐ろしいわね」

マミ「まだみんなにお世話になったお礼をしてないわ。よかったら私の家に来てくれないかしら?ちゃんとお礼したいから」

ほむら「そうね。今回はお言葉に甘えることにしましょうか。さやかはどうするの?」

さやか「断る理由なんてないし、行くに決まってるでしょ?当然、まどかも来るよね?」

まどか「もちろんだよ」

マミ「みんなありがとう…じゃあ、行きましょうか!」

55: 2012/02/10(金) 00:16:33.90
数日後

さやか「ついこないだまで変な人だと思ってたけど、マミさんって普通の人だよね」

まどか「そうだね。浮かれてただけだったんだよ」

まどか「ところでさやかちゃん、上条くんの具合は…」

さやか「うん…相変わらずよくないまま、かな…」

ほむら「前から気になってたんだけど、その少年はどこが悪いの?」ズイッ

さやか「いきなり割り込んでくんな!……腕だよ」

さやか「事故にあっちゃってさ……この前医者に諦めろって言われたんだって…!」

ほむら「医者がダメでもまだ手はあるじゃない」

さやか「え?……根拠もないのに適当なこと言うな!!」

QB「お手柄だよ、ほむら。ボクと契約すればいい、と言いたいのだろう?まかせてよ!」

ほむら「誰があんたなんかに頼むもんですか」

56: 2012/02/10(金) 00:18:48.45
まどか「じ…じゃあどうするの?」

ほむら「マミに診てもらえばいいのよ」

さやか「ふざけるな!マミさんにそんなことができるわけないでしょ!!」

マミ「聞き捨てならないわね…暁美さんの意見は正しいのに」

まどか「マミさん!」

マミ「美樹さん、秘孔ってなんだかわかる?」

さやか「……人頃しの道具」

マミ「違うわよ。秘孔はツボのことよ。だから使い方によっては医学にも応用が利くの」

まどか「ほ…ホントなのQB?」

QB「ホントだよ。訂正するほど間違ったことはいってない」

57: 2012/02/10(金) 00:25:31.57
さやか「じゃあマミさんに診てもらえば!」

ほむら「治る可能性はある、ということ」

さやか「お願いしますマミさん!恭介を診てあげてください!」

マミ「まかせておきなさい!ちゃんと治してみせるわ!」


―病院―
さやか「失礼します…恭介、入るよ」ガラッ

恭介「………?」

さやか「紹介するよ。先輩の巴マミさん」

マミ「こんにちは」ニコッ

恭介「……上条恭介です」

さやか「マミさんは…えーと…なんていえば…」

マミ「私は少し東洋医学の知識があるの。あなたの腕、見せてもらっていいかしら?」

マミ「もしかしたら、治せるかもしれないわ」

58: 2012/02/10(金) 00:28:15.97
恭介「もう指先の感覚すらないんだ、ムリに決まってる!!奇跡や魔法でも起きない限り!!」

さやか「……あるよ」ボソッ

恭介「……え?」

さやか「奇跡も、魔法も、あるんだよ」

マミ「そうよ、簡単に諦めちゃダメ。ちょっと失礼……これは時間がかかりそうね」

さやか「時間がかかる……ってことは、治せるんですか?」

マミ「えぇ。二週間もあれば治るでしょう」ピッ

恭介「へっ?な、何を…」

マミ「また一週間後に来るわ。そのときには、指の感覚が戻る程度にはなってるハズよ」

マミ「でも、決してムリに動かそうとしちゃダメ。あと、栄養はしっかりとること」

マミ「じゃあ私はもう行くわ。あとは美樹さん、お願いね」ガラッ

さやか「あ、はい」

59: 2012/02/10(金) 00:34:07.18
恭介「……さやかは、僕をいじめてるのかい?」

さやか「えっ?」

恭介「あんな子供だましで治るワケがない!もういい加減にしてくれよ!」バキッ!!

さやか「き、恭介!ダメだよ!!CD割っちゃ…恭介?」

恭介「……痛い」ツツー…

さやか「え…今痛いって…?たしか感覚すらなかったハズじゃ…」フキフキ

恭介「す…すごい!さやかが僕の手を握って、血をふいてるのも、なんとなくでもわかる…!」

恭介「さやかの言った通り、奇跡だよね、これ……!!」

さやか「よかった…ちゃんと恭介の腕が戻ってきて…!!」ぽろっ…

恭介「さやか…泣いてるの?お…おおげさだよ…」

60: 2012/02/10(金) 00:38:03.30
さやか「ごめん…でも今まで恭介すごくつらそうだったから…」

さやか「その恭介が、今楽しそうに笑ってるのが嬉しくて……」ぐすっ

恭介「……!!」

恭介「さやかは、いつも僕のことを心配してくれてたんだね…」

恭介「今まで苦しいのは自分だけだと思ってたけど……さやかも苦しんでたんだね」

恭介「今まで気が付いてあげられなくてごめん…それと…」

恭介「ありがとう、さやか…!!」ぎゅっ…

さやか「よかったね、ホントによかったね…!!」ぐすっ

61: 2012/02/10(金) 00:41:02.71
まどか「あの…マミさん、どうでした…?」

マミ「バッチリよ!一週間後また診れば、完治するでしょう」ニコッ

まどか「やったぁ!」

ほむら「よかったわ。てっきり少年を木人形(デク)と呼んで秘孔の研究してるのかと…」

マミ「それはきのうのアミバって魔人のことでしょう?一緒にされたら困るわ」

マミ「それに本物の北斗神拳伝承者はあんなことしないわ。秘孔を全て熟知してるから」

ほむら「すごいわ。無慈悲な殺人鬼マミが救世主に見えるなんて……」

マミ「ちょ…どういう意味よそれ!?いつから私は殺人鬼扱いなのよ!暁美さんのバカ!」

ほむら「冗談よ。本気にしないで」

マミ「もう…相変わらず暁美さんは意地悪なんだからー」ぷくー

ほむら「そんなにむくれないの。これじゃどっちが先輩かわからないわね」くすっ

62: 2012/02/10(金) 00:45:21.39
一週間後

さやか「失礼します。恭介、マミさん連れて来たよ」ガラッ

マミ「ふふっ。上条くん、その後具合はどう?」

恭介「すごいですよ!まだ動かせませんが、指先まで感覚が戻ってきてますし」

恭介「この前は失礼なこといってすいません。あと、治療ありがとうございます」ペコリ

マミ「どういたしまして。でも、お礼なら私だけじゃなくて美樹さんにもね」

マミ「美樹さんがいなければ、私があなたに会うこともなかったわけだし」ピッ

恭介「はい。さやか、ありがとう」

さやか「いいって。そんな気にしないで」

マミ「これで一週間後には完治するハズよ。ただ、ムリをしないようにね」

恭介「本当に何とお礼をいっていいのやら……」

マミ「いいのよ。あと一つだけ、あなたに約束してほしいことがあるの」

恭介「何…ですか?」

63: 2012/02/10(金) 00:48:42.41
マミ「美樹さんのこと、大切にしてあげてね!」

マミ「この約束破ったら、許さないわよー」ニコッ

恭介「もちろんです!これからもずっと、さやかのことを大切に想っていきます!」

さやか「き…恭介…そんなはっきり言われると…恥ずかしいよぉ…//////」かあぁっ

恭介「えっ…あ…ごめん…//////」かあっ…

マミ「うん。じゃあ、私は帰るわね。あとはお二人で、ごゆっくり~」ガラッ

マミ『二人ともいい感じの雰囲気だし、これなら正式に付き合うのもそう遠くなさそうね』

74: 2012/02/11(土) 21:15:36.97
まどか「え~!ウソはよくないよQB?」

QB「ウソじゃないさ。ねぇ、ほむら?」

ほむら「えぇ。信じられないなら、マミにも聞いてみたら?」

マミ「二人とも、どうしたの?」

まどか「あ、マミさん」

ほむら「あなた、この子の才能をどう思う?」

マミ「私じゃ足元に及ばないほど強力な伝承者になれると思うわ」

マミ「あなたが北斗神拳伝承者になれば、無想転生(むそうてんせい)も体得できるハズよ」

まどか「無想転生?」

75: 2012/02/11(土) 21:18:16.45
QB「北斗神拳の究極奥義さ。でも、ボクもどんな技なのかはわからない」

ほむら「珍しいわね。あんたがそんなこと言うなんて」

QB「当然さ。だって体得者が今までに一人もいないんだから」

まどか「そうなの?なのに、なんであるってわかるの?」

QB「そう伝承者たちに聞いているから。マミもボクに聞く前から知ってたし」

ほむら「でも、だからといってあなたが伝承者になる必要はないわ」

マミ「そうよ。すごく大切なことだもの。それだけの理由で決めるべきでないくらい」

まどか「ところで…二人とも伝承者になったときの願い事は何だったの?」

76: 2012/02/11(土) 21:21:36.42
マミ「私は…ちょうど事故で氏にかけていたから、命を助けてほしいとお願いしたの」

マミ「だから、考える余裕なんてなかった」

マミ「そのぶん、あなたと美樹さんには、じっくり考えて結論を出してほしいと思ってる」

まどか「そうだったんですか…ほむらちゃんは…?」

ほむら「私は…その……」

マミ「自分だけ話さないなんてダメよー、それっ!」トンッ!

ほむら「ちょっ…あなた秘孔・新一を突いたわね!やり方が汚いわ!!」

マミ「なんとでも言いなさいな。でも、これでウソはつけなくなったわね」

マミ「さっそく質問!あなたが伝承者になったワケは?」

ほむら「ま…まどかを自分の手で守るためよ…」

77: 2012/02/11(土) 21:24:43.89
まどか「わたしのため!?いったいどうして……?」

ほむら「…私が伝承者になる前、伝承者のあなたに助けられたのよ…」

ほむら「…そのときの私は、何のとりえもないダメな子だった……」

ほむら「…でもそんな私に、あなただけは親切に接してくれた…」

マミ「ちなみにそのとき…私はあなたにどう接してたの?」

ほむら「少し前のさやかみたいに秘孔を突いて遊んでたわ。おかげで詳しくなったけど」

マミ「えーっ!?私ただのイヤな人じゃない!」ガーン

まどか「マミさんは黙っててください!」キッ!

マミ「はい、すいません……」ショボーン…

まどか「それで、それから何があったの?」

78: 2012/02/11(土) 21:28:20.87
ほむら「そのあと、あなたは私を守ると言って拳王(けんおう)に戦いを挑んだ」

まどか「拳王……?」

ほむら「拳王は、史上最強の呼び声高い魔人のことよ」

ほむら「自分より強いマミが拳王に殺されても、あなたは逃げようとしなかった」

ほむら「みんなを守らなきゃ、って。そして、最後にこう言って私のもとを去って行った」

まどか『わたしが伝承者として、最初に助けたのはほむらちゃんなの』

まどか『それが今でもわたしの誇りなんだ。会えてうれしかったよ。じゃあね、ほむらちゃん』

ほむら「その後、あなたは氏んでしまった。何もできない自分が許せなかった…」

ほむら「そのとき、たとえ一人きりになっても、自分の手であなたを助けようと誓った」

ほむら「あなたは私のただ一人の友達だから……」

ほむら「そのためだけに私は、あなたが氏ぬたび、何度もこの一カ月を繰り返しているの」

ほむら「っ……!!」

まどか「ほむらちゃん……」

80: 2012/02/11(土) 21:32:11.04
マミ「ご…ごめんなさい、暁美さん…私が軽はずみなことしちゃったせいで……」

ほむら「…………」ぷいっ

まどか「……ほむらちゃん」ぎゅっ…

まどか「あの…その……ごめんなさい……」

まどか「わたしなんて、何の取り柄もないし、人の役にも立てないのに……」

まどか「そんなわたしのせいで、ほむらちゃんずっと苦しい思いをしてるわけだし……」

まどか「…だから、そんなわたしなんか、もういなくなっちゃたほうがいいのかなって…」

ほむら「いい加減にしてよ!!」がしっ!

まどか「ほむら……ちゃん?」

81: 2012/02/11(土) 21:35:34.43
ほむら「役に立たないとか、意味がないとか……勝手に自分を粗末にしないで!!」

ほむら「あなたを失えば、それを悲しむ人がいるって…どうしてそれに気づかないの!?」ぐすっ

まどか「……ほむらちゃん、ごめんね。わたしが間違ってた」うるっ…

まどか「こんなにも近くで、いつもわたしを見守ってくれたのに」

まどか「それなのに、わたしは…ほむらちゃんの想いに気づいてあげられなくて……」ぐすっ

ほむら「いいのよ、まどか……!!」だきっ…

ほむら「まどかはそのままでいて……あなたがそばにいるだけで、私は頑張れるから……」ぎゅ…

まどか「うん…こんな素敵な友達が身近にいて、わたしはすごいうれしいよ……」ぎゅ…

83: 2012/02/11(土) 21:39:23.08
マミ『一時はどうなるかと思ったけど、これで一件落着ね……』

マミ「!?すごい闘気の持ち主が近づいてくる……!?」

まどか「えっ!?」

ほむら「これほどの使い手はこの近くには一人しかいない!まどかは私の後ろにいて!」

まどか「う、うん!」サッ

杏子「強いヤツがいそうだから探してみたけど…なんだお前かよ」

マミ「………誰?」

杏子「佐倉杏子だボケ!つい二か月前もあたしと勝負したろ!!もう忘れたのか!?」

マミ「あー!近頃いろいろあったんで昔のこと忘れちゃって…ごめんね」てへっ

杏子『ウソかホントかわかんないけど、とりあえずウザいからスルーするか』

84: 2012/02/11(土) 21:42:23.07
杏子「まぁいい。イレギュラーがいるって聞いたんでさ。そいつと勝負しようと思って」

まどか「イレギュラー?もしかしてほむらちゃんのこと?」

QB「うん。そうだよ」

杏子「その髪が長いやつだろ?場所を変えてやろうぜ」スッ

ほむら「やめておくわ。今争っても利にならないし」

杏子「逃げるのかよ!それとも自信がないのか?」

ほむら「勝つ自信はあるわ。もっと言えば、あなたの身体の秘密も知ってる」

杏子「…なんだと?ハッタリぬかすな!」

ほむら「女帝の血…でしょう?あいにく私の拳法には全く効果のない特性だけど」ニッ

杏子「!!」

86: 2012/02/11(土) 21:46:52.07
ほむら「私はあなたに反抗する気はないわ。だからあなたも、退いてくれないかしら?」

杏子「あたしの強さを教えてやろうと思ってたけど、それなら必要なさそうだな」

杏子「じゃあせいぜい頑張りな。あたしは好きにやらせてもらうよ」くるっ

マミ「じゃーねー。またお金が無くなったらいつでも遊びに来てねー!」

杏子「ちゃんと覚えてんじゃねぇか!また近いうちタカリに行ってやるからなー!」ダッ

マミ「いつでも待ってるわよー。バイバーイ!」ぶんぶんっ

まどか『捨て台詞がひどすぎるよ杏子ちゃん…』

まどか「ところで、マミさんは杏子ちゃんに勝ったんですか?」

マミ「いいえ。引き分けだったのよ。いつも決着が着かなくて……」


90: 2012/02/11(土) 21:51:15.04
まどか「す…すごい強いんですね…」

QB「もちろんさ。それに彼女と北斗神拳は相性が最悪だから」

まどか「それがさっき言ってた女帝の血?」

ほむら「えぇ」

マミ「暁美さん、トリック知ってるなら教えてよ!そうすれば私も勝てるようになるから!」

ほむら「今はまだ言えないわ。それにあなたなら、秘孔なしでも勝てるでしょう?」

マミ「そうでもないわよ。まぁ、もう少し鍛えればできると思うけど!!」

ほむら「懲りてないわね。こないだはその自信が命取りになったのに」

マミ「ま…まだ言ってるの!?いい加減その話はやめてよぉ~!//////」かぁっ

ほむら「止めないわ。恥ずかしがってるあなたを見るの面白いもの」

マミ「う~…暁美さんの意地悪…//////」ぷくー

92: 2012/02/11(土) 21:58:52.88
数日後

さやか『恭介も無事に退院できたし、二人で改めてマミさんにお礼言いにいかなきゃね』

ざわざわ… がやがや…

さやか「クラスが騒がしいなぁ…まだ朝なのに、いったい何があったんだろう?」

まどか「さ…さやかちゃん!!」ダッ!!

ほむら「さやか…」

さやか「まどか?どうしたの、ほむらまでそんなに血相変えて?」

まどか「さっき上条くんが、信号無視で突っ込んできた車に轢かれたって…!!」

さやか「え……うそでしょ……!?」

ほむら「ウソじゃないわ。あなたが行ってたあの病院に搬送されたらしいけど……」

さやか「そ…そんなの信じない!!ウソに決まってる!!」ダッ!!

93: 2012/02/11(土) 22:00:56.68
さやか『そんなマンガみたいに不幸が立て続けに起こるわけがあるか!!』タッタッタ

さやか『どうか無事でいて…!!』タッタッタ…

さやか「え……あれって恭介のお父さんとお母さんじゃ…」

恭介父「お願いします!どうかうちの子を助けてあげて下さい!!」

恭介母「それで、うちの子はどうなんですか先生!?」

医者「残念ですが、正直回復の見込みは……」

さやか『え?何?恭介が……氏んじゃうの!?そ…そんなこと…!!』

94: 2012/02/11(土) 22:04:44.08
まどか「か…上条くん大丈夫かな…」オロオロ…

ほむら「大丈夫でしょう。だからこそ、一つ断言できることがある」

まどか「な…なに?それって……?」

ほむら「さやかは――」


QB「このままだとあの少年は確実に氏ぬよ」ヒョコッ

さやか「あんた…恭介をなんだと思ってんのよ!!」グッ!!

QB「でも、キミにはその運命を変えられる力がある」

さやか「……!!」

さやか「な、何が言いたいのよ、あんた…!!」

QB「ボクと契約して、伝承者になってよ!」

95: 2012/02/11(土) 22:07:58.99
杏子「ふーん。お前の言うとおり、見滝原にまた一人ヒヨッコが増えたな」じーっ

QB「うん。でも、どうするつもりなんだい?」

杏子「だったら、新人にはあたしの恐ろしさを、しっかり教えてやらないとな!」にやり

QB「いいのかい?その子はマミやほむらと仲がいい。敵対すればやっかいになるよ」

杏子「そいつ次第でしょ?それに、あいつらにはやりたいようにやるって伝えてあるし」

杏子「どんなヤツかわかんないけど、いきがいいヤツならたっぷりかわいがってやる」


ほむら「さやかは、彼の命を助けるため契約して伝承者になるでしょうね」

まどか「ほ…ほむらちゃんはそういう光景を何度も見てきたの…?」

ほむら「これは今回が初めて。ただ、自分がさやかならどうするか考えれば、わかるでしょう?」

97: 2012/02/11(土) 22:09:56.48
まどか「そ…そうだけど……」

ほむら「そうなると、少し面倒ね…」

まどか「どうして!?上条くんが助かったのにそんな言い方…!!」

ほむら「私が心配なのは上条恭介のことじゃないわ、杏子のことよ」

まどか「杏子ちゃん?」

ほむら「杏子はこの前みたいに食ってかかるでしょう。さやかなら、どうすると思う?」

まどか「あ……!!」

ほむら「そう。必ず反抗する。それがやっかいなのよ」

まどか「でも、いったいどうしたら……」

ほむら「二人の問題であって、私たちが手を出すべきではない、と思うけど……!?」

98: 2012/02/11(土) 22:12:54.49
まどか「そんなこと言わないでよ!わたしには…ほむらちゃんだけが頼りなの!」ぎゅっ…

ほむら『ま…まどか!?そんな熱心に手握られても…あと、か、か…顔が近すぎるわよ!?』

まどか「ねっ?いいでしょほむらちゃん……?」うるうる…

ほむら「…で…できるかぎりのことであれば…やってあげても…いいけど…//////」かあっ…

まどか「ほんと!?ありがとうほむらちゃん!!」ニコッ

ほむら『はぁ…何言っちゃってるんだろ私…やっかいごとには関わりたくないのに…』

まどか『でもこの嬉しそうなまどかの顔見てたら、断ることなんて…できっこないか』

まどか『ほむらちゃんいい人だなー…それに素直じゃないところもかわいいなぁ』

まどか『こういうの…ツンデレっていうんだっけ?ツンデレほむらちゃんかわいい!!』

99: 2012/02/11(土) 22:17:40.32
マミ「あたたたたたーっ!!」ドドドドドド…!!

ジード「どぉえへぷ!!」ドサッ!

マミ「北斗百烈拳(ほくとひゃくれつけん)!!」

ジード「くっ…こんなもの効かんわー!」ムクッ…

マミ「あなたはもう氏んでいる!」

ジード「なにをぱら!!」ボンッ!!

マミ「これで親玉は片付いたかしら?」

スペード「バカが!氏ねぇ!!」グワッ!!

マミ「!?」くるっ

100: 2012/02/11(土) 22:21:23.96
スペード「へ…?」ドズッ!

???「この指を抜いてから三秒後にあんたは氏ぬ」ズッ

スペード「いやだ、氏にたくねぇ!氏に…たわっ」バカッ!!

マミ「これは…北斗残悔拳(ほくとざんかいけん)!?」

さやか「すごいですねー!くらったヤツを見ただけでどんな技かわかるなんて!」

マミ「美樹さん…その格好…あなたまさか…」

さやか「いろいろあって…でも後悔なんてしてないです。自分で考えたうえでの結論ですから」

マミ「そう……じゃあ先輩としてひとつだけアドバイスしておくわ」

さやか「な…なんですか…?」

マミ「この先何があっても絶対諦めちゃダメ。どんなに辛いことや悲しいことがあっても」

さやか「わかってますって!あたしもマミさんやほむらの姿を見てきてるんですから!」

マミ「わかったわ。今度は伝承者として…よろしくね。美樹さん」ニコッ

さやか「はい!こちらこそ、よろしくお願いします!」ニコッ

102: 2012/02/11(土) 22:33:55.21
さやかも北斗神拳だったかー
南斗水鳥拳辺りだと予想しとった

乙でした

103: 2012/02/11(土) 22:37:40.54


さやかちゃんもケンシロウ(正統派)を踏襲するのか
北斗神拳で誰かを救いたいのだろうか

109: 2012/02/12(日) 22:24:11.85
翌日

さやか「さーて。今日はまどかに北斗神拳伝承者、美樹さやかの実力を見せてあげよう!」

まどか「ほ…ほんとに大丈夫?マミさんもほむらちゃんもいないけど……」

さやか「一人でやんなきゃ強くなれないじゃん!なんくるないさー!!」

まどか『ふ…不安だよ……杏子ちゃんの件もあるし…それに何より……』

ほむら『私の見てきたどの世界でも、さやかは私たちの中で一番弱いのよ…』

ほむら『それも経験の問題じゃなくて、もともと才能に恵まれてないっていうのが…』

まどか『…っていってたし……』

さやか「おっ!使い魔だ!さっそく片づけてやる」パァァ…

使い魔1「お~お~、元プロボクサーのオレが勝負してやろうじゃねぇか」シュッシュッ

さやか「なんだ、あんたから頃していいの?」

110: 2012/02/12(日) 22:26:30.21
まどか『つ…使い魔や魔人に口が悪いのはマミさんにそっくり……』

使い魔1「なめんなー!」ビュオッ!

さやか「北斗断骨筋(ほくとだんこつきん)!!」ビシッ!

使い魔「あ~!あ~!あべし!!」ベコッ!!

さやか「ほらー!問題ないじゃん!!」二カッ

使い魔2「うわー!に…逃げろぉっ!!」ダッ!!

まどか「あ!さやかちゃん!他の使い魔が逃げちゃうよ!!」

さやか「まかせなさーい!うわっ!?」ビュンッ

杏子「あんたさぁ、魔人になる前の使い魔倒してどうすんの?」

まどか「き…杏子ちゃん!」

111: 2012/02/12(日) 22:30:37.52
杏子「あんた、こないだマミたちと一緒にいた……」

まどか「はじめまして。鹿目まどかです。よろしくね」ペコリ

杏子「えっと…佐倉杏子だ。よろしくね。そっちのあんたは?」

さやか「美樹さやかです。よろしく…で、なんで使い魔をみすみす見逃したのさ?」

杏子「魔人になったらグリーフシード落とすだろ?もったいないじゃん」

さやか「でも…あの使い魔も人を頃すかもしれないんだよ?それを見過ごせっていうの!?」

杏子「別にいいじゃん。そんなこと」

さやか「なん…だと…?」

まどか「落ち着いてさやかちゃん!杏子ちゃんはおなかがへってイライラしてるだけなの!」

杏子「今は腹減ってねぇよ!!見当違いなこというな!!」

まどか「でも…この前もおなかが減ったらマミさんの家にタカリに行ってる、って聞いたし…」

112: 2012/02/12(日) 22:33:29.43
さやか「…………」じーっ…

杏子「その憐れむような目であたしをじっと見るな!!」

さやか「……まどかも杏子も、ちょっと待ってて」パァァ…

まどか「えっ、さやかちゃん?…変身解いてどこかに行っちゃった」

杏子「勝てないと思って逃げたんじゃないの?」

まどか「わたしは違うと思うけど……あ、戻って来たよ」

さやか「おまたせー」タッタッタ…

まどか「さ…さやかちゃん…その袋は?」

113: 2012/02/12(日) 22:37:54.50
さやか「リンゴだよ。スーパーでたくさん買ってきた」ガサッ

さやか「おなか減ってるなら、これあげるよ。だからあんなこと言わないで」ニコッ

杏子「お前ら…あたしのことなめてんだろ…?」ピキピキ…

さやか「そうじゃないよ!あたしたちにも何かできることないかなって考えて…」

杏子「ふざけるな!口からでまかせいいやがって!!」

杏子「でも食い物は大事だ!ありがたくもらっておく!!」ガシッ!!

まどか「じゃあこれでわたしたちのこと許してくれる……?」

杏子「そういうわけにいくか!」

さやか「じゃあ悪いけどこれは渡せない」ヒョイッ

杏子「なっ…なにすんだ返せ!!」グッ…

114: 2012/02/12(日) 22:41:40.06
さやか「先にケンカ売ってきたのそっちだろ!?せっかくこれでチャラにしようとしたのに!」

杏子「お前もケンカ買っただろ!絶対チャラになんかしてやんねー!」

まどか「ほ…ほんとにごめんね杏子ちゃん…わたしのせいで…」

杏子「もうあんたには怒ってねぇ!あたしが怒ってんのはこいつがケチだからだ!」

さやか「ケチだと!けっこう高かったんだぞコレ!なんだったら、勝負するか?」

杏子「あー…うぜぇ、超うぜぇ!一思いに頃して楽にしてやるよ!!」

杏子「あんたはコレ持ってろ!でも食うなよ!」スッ

さやか「まどか。そんなやつの話気にしなくていいよ!あとで二人で食べよ!」パァァ…

杏子「いい度胸だ。だがあんたごときがあたしにかなうハズがねぇ!」

さやか「……あんた、やる気あんの?構えないとホントに氏ぬわよ」

115: 2012/02/12(日) 22:48:08.97
杏子「あたしの拳に構えはねぇ。あるのは制圧前進あるのみ!敵は全て下郎さ!」

さやか「……なめんじゃないわよ」ボソッ

さやか「北斗羅漢撃(ほくとらかんげき)ーっ!みろぉ、この速い突きがかわせるかぁ!」ブオオッ

杏子『お前もだいぶ人のことなめてるだろ…こーいうとこマミによく似てんなぁ…』

さやか「いくぞぉ!!」ダッ!!

杏子「遅いぞぉ!!」ガシッ!!

さやか「へっ?…も、もしかしてあたしの腕の動き見えてた…?」きょとん…

杏子「何言ってんのさ。そうじゃなきゃ、こうにあんたの両腕つかめないだろ?」

杏子「見てらんないなぁ…あたしが手本見せてやるよ」ブンッ

さやか「うわわっ!…とっとっと、危ない危ない」よろよろよろっ…

116: 2012/02/12(日) 22:51:21.45
杏子「いくよ!」ダッ!!

さやか「!?」

杏子「極星十字拳(きょくせいじゅうじけん)!!」バババッ!!

さやか「ぐあっ!!」ブシュッ!!

まどか「さやかちゃん!?」

さやか『踏み込みが速すぎて見えなかった!!あたしはいったい何をされたんだ!?』

QB「相変わらずすさまじいね。キミの南斗鳳凰拳(なんとほうおうけん)は」ヒョコッ

杏子「なんだ、来てたのかよ」

さやか「ってことはアイツの技は南斗聖拳(なんとせいけん)の一派か…!」

まどか「南斗聖拳?」

117: 2012/02/12(日) 22:57:05.06
QB「うん。相手を内側から破壊する北斗神拳に対し、南斗聖拳は相手を外部から突き入れたり切り裂くことで破壊する」

QB「そして、この二つは表裏一体の拳法なんだ」

QB「その後、北斗神拳と対照的に、南斗聖拳は歴史のなかでいくつも派生していった」

杏子「そしてその南斗聖拳のなかで最強といわれるのが、あたしの鳳凰拳なのさ」

杏子「今さら謝っても許してやんねーからな。覚悟しとけよ」ゴゴゴ…

さやか『たかがリンゴで命の危機に立たされるなんて…あたしって、ほんとバカ』

さやか『でも諦めちゃダメだ!まだ一つだけ手が残ってる!』

さやか「でやーっ!!さやかちゃんキーック!!」ビュオッ

杏子「バカが、もうやけっぱちになるのかよ」サッ

さやか「うわわっ!!いたっ!!」ツルッ!!ゴチーン!!

杏子「へっ?」

118: 2012/02/12(日) 23:00:53.48
まどか「さ…さやかちゃん…?」

杏子『勝手にコケやがった…こいつ救いようのないザコだな……』

さやか「う~…頭いたいよ~……」バタバタ…

杏子「ぷっ。態度はかわいくないのに、パンツは白と青の、しましまでかわいいのはいてんだな」

さやか「えっ…やだ!見んなーっ!!すけべ!!///////」ばっ

杏子「自分で足ばたつかせて見せたくせに」

杏子「でもそんなガキっぽいのじゃ、あの坊やに笑われるよ?」

さやか「そんなことないもん!恭介こういうのが趣味っていってたもん!!//////」

まどか『……上条くんそんな趣味だったんだ……』

さやか「って、そうじゃなくて!かかったな!うりゃりゃりゃーっ!」ドドドド…

杏子「うおっ!?」ズザザザ…

119: 2012/02/12(日) 23:03:37.45
さやか「ふっふっふ…敵をあざむき活路をひらくのも北斗神拳の極意、ってね」

まどか『でもやり方がせこすぎるよ、さやかちゃん……』

さやか「秘孔・人中極(じんちゅうきょく)を突いた」

さやか「秘孔の中でもっとも破壊力のある必殺の秘孔だよ」

さやか「あんたの命はあと三秒!」キリッ

杏子「今回は一本とられたな。いいよ、じゃあ数えてやるよ」

さやか「好きにしなよ、どうせ氏ぬんだし」

杏子「いーち、にーい…」

杏子「さーん」しーん…

さやか「えっ!?うそ!?なんで氏なないのよ!?確かに秘孔を突いたハズ…!」

杏子「あたしに北斗神拳は効かないよ!この身体には女帝の血が流れてるからね!」

120: 2012/02/12(日) 23:07:42.39
まどか『あ…あれが杏子ちゃんの身体の秘密……!』

さやか「どうして……あ、わかった!あんたサイボーグだな!」

杏子「お前と同じ伝承者だ!!とことんムカつくこといいやがって!」

杏子「楽に頃してやんねーからな!じっくりとなぶり頃してやる」ジリジリ…

さやか『くっ…さやかちゃんキックからのコンボはもう通じない…どうしよう…!?』

杏子「おらおら、チンタラしてんじゃねぇ!」ビュオオオオッ!!

さやか「くっ!うあっ!」ザシュッ… ズバッ…

まどか『こ…このままじゃさやかちゃんが!!助けるためにわたしができるのは…!』

杏子「終わりだよ!!」グアッ

さやか「くっ!!」

まどか「QB!わたしと契約して…」

ほむら「その必要はないわ」ガシッ!!

121: 2012/02/12(日) 23:13:44.50
杏子「!?」

まどか「ほむらちゃん!?」

さやか「ジャマすんな!!」ダッ

ほむら「ほむらちゃんキーック!!」バキィッ!!

さやか「うあっ!!」ドーンッ!!

まどか「さやかちゃん!?さやかちゃん!」

QB「大丈夫、気絶しているだけだ」

杏子「お前…いったいどういうつもりだ…?誰の味方なんだよ…!?」

ほむら「私は冷静な人の味方で、無駄な争いをするバカの敵。あなたはどっちなの、杏子?」

杏子『さっきのハイキックすごかったし、こいつさやかってザコと違ってできるしな…』

杏子「やめとくよ。手の内が読めないとあっちゃね。ここは退く」ダッダッダッ…

まどか「あ…ありがとう、ほむらちゃん…」

122: 2012/02/12(日) 23:17:03.94
ほむら「あなたはどこまで愚かなの!?この間も私の気持ち伝えたわよね?」

まどか「ご…ごめんなさい……」

マミ「いいじゃない、どうせ今回は契約するワケなかったんだし」スッ

まどか「マミさん…それってどういう…」

マミ「だって暁美さん、ずっとあなたたちをコソコソつけてたんだもん!」にっこり

ほむら「そ…そそそ…そんなことはしてないわよ!?//////」かああっ

マミ「またまた~!ずっと『まどか変なことしないかしら』って言いながら見守ってたくせに」

マミ「それで鹿目さんが契約しそうになったら、すごい勢いで飛び出してったのよー」

ほむら「……あなた、もしかして私のことつけまわしてたの?//////」

マミ「何か面白そうだったし。でも、それに気づかないようじゃ、まだまだね!」キリッ

ほむら『よ…よりによって一番見られたくない相手に見られるなんて……』

123: 2012/02/12(日) 23:24:57.02
まどか「そ、そうだったの…あ、ありがとう…ほむらちゃん…」

ほむら「べ…別にそんなんじゃないんだから!勘違いしないでよね!//////」ぷいっ

マミ「鹿目さんには相変わらずツンデレなんだからー!かわいいわね~!!」ぎゅっ

ほむら「ちょっ、離しなさいマミ!?//////」

まどか「ツンデレほむらちゃんかわいいなぁ…略してツンほむだね!」にこっ

ほむら「ま…まどかまで~…変な呼び方しないでよー//////」

マミ「ふふっ。観念しなさいツンほむ~」

杏子「あのー…お取込み中悪いんだけどさ」タッ!

まどか「杏子ちゃん?どうしたの…?」

124: 2012/02/12(日) 23:29:04.46
杏子「まだリンゴもらってなかった。あたしの優勢勝ちだしもらってくよ」ヒョイッ

マミ「わざわざリンゴ取りに来るなんて律儀ね~…私の家にはあんまり来てくれないのに」

杏子「来たらしばらくタカリに来るな、っていうくせに」

まどか「ほ…本当にごめんなさい、杏子ちゃん」

杏子「いいよ。そんな気にしなくて。あんたのことはとっくに許してるからさ」にっ

杏子「むしろ感謝してる。あんたのおかげでリンゴもらえたわけだし」

杏子「でもケチなさやかは絶対に許さない」キッ

まどか「杏子ちゃん…」

マミ「佐倉さん、私からもお願いするわ。美樹さんを許してあげてくれないかしら?」

マミ「美樹さんは私の大切な友達でもあり弟子でもあるの。弟子の責任を師匠がとるのは当然でしょ?」

125: 2012/02/12(日) 23:33:10.99
杏子「無理。ガキのケンカに保護者が出てくるのは反則だ。これはあたしらの問題さ」

ほむら「できれば平和的に解決してほしいのだけど」

杏子「それはこいつの出方次第。じゃあな、ヒマならまたマミの家に行かせてもらうよ」ダッ!

ほむら「……やはりやっかいなことになってしまったわね」

まどか「どうしよう、さやかちゃん絶対に自分からは謝らないだろうし……」

マミ「佐倉さんも譲る気は全然ないだろうし…」

さやか「いたたた…なんだよー、ほむらのやつ人の技パクリやがって~…」ムクッ

ほむら「ごめんなさい。あんまり間抜けな技だったんでつい…」

さやか「でもあの杏子ってヤツ、すごい強かった…ほむらが止めなきゃあたし氏んでたな」

126: 2012/02/12(日) 23:36:17.97
マミ「佐倉さん、すごい踏み込みが速いでしょう?正直私も見切るのが難しくて…」

さやか「えっ?マミさんでも難しいんですか?」

マミ「そうよ。だからそんなに気に病まなくても大丈夫」ニコッ

マミ「だけど、あんな大振りキックからの、不意打ちは感心できないわね」

さやか「ご…ごめんなさい」

ほむら「でも、あの勝利への執念だけは…認めてあげてもいいんじゃないかしら?」

さやか「ほむら……」

まどか「ほむらちゃん…見た目はとっつきにくい感じだけど、やっぱり根はすごく優しいんだね!」にぱー

ほむら「か…からかうのはやめなさい//////」かあぁっ…

マミ「またまた赤くなっちゃって。ツンほむなのね~」ニヤニヤ

さやか「なんですかそれ?」

マミ「教えてあげるわ。ツンほむってのはね…」

ほむら「いや、そんなこと話さなくていいから!!」

127: 2012/02/12(日) 23:43:38.90
翌日

まどか「ほむらちゃん、放課後空いてるかな?」

ほむら「空いてるけど…どうしたの?」

まどか「喫茶店に行こうよ。話したいこともあるし…」


喫茶店

ほむら「それで…話って何かしら?」

まどか「うん、さやかちゃんのことなんだけど…」

まどか「さやかちゃんホントはとってもいい子なの。だから、その……」

ほむら「さやかが心配だから、助けてほしいのね?」

まどか「……うん」コクッ

ほむら『こないだは安易に引き受けちゃったけど、今度はしっかり断りましょう』

128: 2012/02/12(日) 23:49:51.79
ほむら「気持ちはわかるけど、あの子は性格も実力も伝承者にむいてないわ」

ほむら「だから、どのみち早い段階で脱落してしまうと思ってる」

まどか「そっ…そんな言い方……!」

ほむら「私はウソをつきたくないし、できもしない約束をしたくもない」

ほむら「だから、さやかのことは諦めて」

まどか「どうして今日は冷たいの?そんなツンばっかりのほむらちゃん見たくないよ……」

ほむら「悪いけど、私はツンデレじゃないから。勘違いしないで」

マミ「そうよそうよ!暁美さんそんな狭い心の持ち主だから、おっOいも小さいのよ!」

ほむら「どの口がそんなふざけたことをいうのかしら…!?」ぎゅうううう…

マミ「ご、ごめんなひゃい…ゆるひてくだひゃい……」ぎゅうううう…

まどか「マ、マミさん……いつからここに?」

129: 2012/02/12(日) 23:53:22.00
マミ「偶然通りがかりに二人がいるのを見かけたのよ。隣、座ってもいいかしら?」ガタッ

まどか「いいですよ。そうだったんですか」

マミ「心が狭い発言は撤回するわ。でも自分が小さいからって、大きい人をねたむのはねぇ…」

ほむら「誰があなたのムダにでかい胸に嫉妬してるのかしら……!?」ぎゅううう…

マミ「はい、あけみひゃん…もういいまひぇん……」ぎゅううう…

ほむら「ばかばかしい。もう帰るわよ」ぷいっ

マミ「待ちなさい貧乳!」

ほむら「あぁ!?」ギロッ

マミ「ご、ごめんなさい…でも私も話したいことがあるの。あなたもそこに座ってくれないかしら?」

ほむら「…………」どかっ

130: 2012/02/12(日) 23:55:58.15
マミ「あなたたちも、美樹さんと佐倉さんのことで悩んでいたんでしょう?」

まどか「え、えぇ…」

マミ「実はね、私にいい案があるんだけど」

まどか「ほ…ホントですか!?」

ほむら「具体的には何をするつもり?」

マミ「それはね―――」


ほむら「――それにしても、だいぶ手の込んだことをするわね」

まどか「でも、それであの二人が仲良くなれるなら」

マミ「やるだけの価値はある、でしょう?」

マミ「じゃあみんなでアドレスの交換をしておきましょう」ピッ

マミ「これでよし…あとは鹿目さん、お願いね」

まどか「はい…わかってます!」

ほむら「しっかり頼んだわよ、まどか」

まどか「まかせて。絶対に成功させるから!」

140: 2012/02/15(水) 23:17:10.87
さやか『やっぱ恭介には会いにくいな…バイオリンの練習忙しそうだし』

さやか『今日はもう帰ろう。会うのはいつでもできるから』くるっ

さやか「!!あんた……!」

杏子「一日中悩んで、あげく会わないで帰るのかい?」

杏子「聞いたよ。あんた、そこの家の坊やの命と引き換えに伝承者になったんだって?」

さやか「それが…なんだってのよ!?」

杏子「たった一回しかない願いを他人のためなんざに使いやがって…くだらねぇ」

杏子「そういうバカ見てるとな、すげームカつくんだよ」ギリッ…

さやか「あんたみたいに…自分のことしか考えてないやつには、一生わかんないわよ!!」

杏子「へっ!!愛なんてくだらねぇもんに振り回されやがって…!」

杏子「場所を選びな!そこがあんたの氏に場所だ!」

まどか『あれは…さやかちゃんと杏子ちゃん!わたしも追いかけなきゃ!!』ダッ!!

141: 2012/02/15(水) 23:20:44.10
杏子「やっぱ歩道橋の上から眺める夜景はきれいだな……この景色、一生覚えときな」

杏子「それがあんたの人生で最後に見る夜景になるんだからさ」パァァ…

さやか「そんな必要ない。あんたを頃してあたしが生き残る」パァァ…

まどか「さやかちゃん!!」タッタッタッタ…

さやか「まどか!?……なんで来たのよ?あんた関係ないでしょ!」

まどか「でも、さやかちゃんのことが心配で……」

さやか「余計なお世話よ!これはあたしたちの問題なんだから!!」

杏子「その通りだ!部外者はすっこんでな!!」

まどか「……どうしても、譲ってはもらえない?」

さやか「当たり前でしょ!そんな気はさらさら無いね!!」

142: 2012/02/15(水) 23:24:25.60
まどか「……そう。じゃあ、仕方ないかな」

杏子「あんたはもう戻りな。いても何もできないんだし」

まどか「そうだね。あとは二人に任せることにするよ」

マミ「ようやく私たちの」パァァ…

ほむら「出番が来た、というわけね」パァァ…

さやか「マミさん?ほむら?いったい何を…?」

まどか「さやかちゃんは、『長いものには巻かれろ』ってことわざは知ってる?」

さやか「知らないけど……どういう意味さ?」

マミ「強いものの味方につきなさい、という意味よ」

さやか「二人ともいったい何を…?」

まどか「まだわからないの?さやかちゃん?」

143: 2012/02/15(水) 23:28:21.46
マミ「私たちはあなたより強い佐倉さんの味方をする、ってことよ」コキッ…

ほむら「あなたにはここで氏んでもらうわ、さやか!!」ボウッ…

さやか「えっ……?うわっ!!やめ…」サッ! ボォォォ…

さやか『さっきのほむらの闘気で欄干が溶けた…なんて威力だ!…!』ぞおっ…

マミ「よそ見してるほど余裕があるのかしら?」ババババッ!!

さやか「くっ!!みんなホントにあたしを裏切ったっていうワケ!?」パパパパ…

ほむら「裏切りではないわ。これは知略よ」

杏子「へっ、頼みの仲間からも見放されたか。ざまぁねぇな」

マミ「今の攻撃を全て防げるようじゃ、少しは強くなったみたいね」

ほむら「でもまだ私たちには到底及ばない。ぼつぼつ氏んでもらいましょうか」

144: 2012/02/15(水) 23:34:05.02
さやか「なっ…バカにするなぁっ!!」ダッ!!

マミ「氏ね無能!!」バキッ!!

さやか「ぐはっ!!」ヨロッ…

マミ「どうしたのザコ?もしかしてそれまで?」ニコニコ

さやか「このーっ!!これならどうだ!!」ダンッ!!

さやか「北斗千手殺(ほくとせんじゅさつ)!!」ブオオッ!!

はむら「ほむらちゃんキーック!!」ドゴッ!!

さやか「うわぁ!!」ドーンッ! ズザザザ…

ほむら「無意味に飛び上がっても、的になるだけよ。あなた弱いんだから」

ほむら「それにしても、今日は雲で北斗七星が見えなくて残念ね」

145: 2012/02/15(水) 23:36:19.38
さやか「な…何のことだよ…?」ヨロッ…

ほむら「あなたにはきっと、北斗七星の横にある星も見えるだろうから」

さやか「そ…それが見えるとなんだってのよ!」

マミ「その星は氏兆星(しちょうせい)といって、余命のほとんどない人しか見れないの」

さやか「え……?」

マミ「でもきっと、あなたの頭上には氏兆星がはっきり輝いているでしょうね!」ダッ!!

マミ「あたぁ!!」グオッ!!

さやか「うりゃーっ!!」ビュッ!!

バキーン!!

マミ「やるじゃない…相打ちに持ってこれるなんて」ツツ…

さやか「うう…」ガクガク…

146: 2012/02/15(水) 23:40:26.77
マミ「でも明らかにあなたのほうが効いてるわ」

さやか「……あたしの勝ち」ボソッ

マミ「どういうことかしら?」

さやか「さっきの相打ちであんたの秘孔・戈穴(かけつ)を突いた。もうあんたも終わり」

マミ「えぇっ…そ…そんなぁ……!!」ガーン…

さやか「どうだ!悔しいかぁ!ははははは!」

さやか「あたしの名をいってみろー!あたしは北斗神拳伝承者・美樹さやか様だー!!ははは!!」

マミ「自分が有利になったとたんにはしゃぐのは、小物っぽいからやめなさい」にこっ

マミ「残念だけど、あんなんじゃ効かないわよ…っ!!」ベコベコッ…

さやか「えっ!?な…なに……!?」

ほむら「知らないの?北斗神拳伝承者は秘孔封じって技も使えるハズなんだけど」

マミ「あなた程度の力で突かれても、簡単に封じれるから問題ないのよね」クスッ

さやか「そ…そんな……!!」

杏子「…………」

147: 2012/02/15(水) 23:44:41.64
ほむら「絶望のどん底に突き落とされたところで悪いけど、公開処刑を続けましょうか」ドガッ! バキッ! ガスッ!

マミ「そうね。やっぱり暴力はいいものね!」ガゴッ! バチッ! ガンッ!

さやか「くっ…くそぉっ……」ぐすっ…

まどか『もう見てられないよ……!!』

杏子「………」ギリッ…

マミ「ふぅ。そろそろ楽にしてあげましょうか」スッ…

杏子「やめろーっ!!」ダッ!! ビュオッ!!

マミ「おっと!」サッ!!

ほむら「くっ!」スッ!!

まどか「杏子…ちゃん?」

さやか「きょう…こ……?」ひくっ…

148: 2012/02/15(水) 23:48:55.47
杏子「てめぇら…その汚ぇ手でさやかにふれるんじゃねぇ!!」わなわな…

ほむら「どういうつもり?あなたはこの子が憎くてしょうがなかったんじゃないの?」

マミ「親切な私たちは、そんなあなたのお手伝いをしてあげたというのに」

杏子「たしかにコイツ見てるとイライラしてムカつくよ、でもな!」

杏子「ほっとけないんだよ!昔の自分にそっくりだからな!!」

さやか「え……?」

杏子「あたしの親父は教会の神父だった。親切な人だったよ…」

杏子「でも親父は教義にない説教まではじめてな…信者の足が途絶え始めた」

杏子「親父の主張は間違ってないが、誰も聞いてくれない。だからあたしは決めたんだ…!」

杏子「伝承者になるから、みんなに親父の話を聞いてほしいってな!」

149: 2012/02/15(水) 23:52:21.31
杏子「それから教会には人が殺到した。メシに事欠く有様だった状況も一変したよ」

杏子「でも親父にからくりがバレた。それで親父はおかしくなっちまった」

杏子「あげく家族は一家心中でいなくなっちまったよ……」

杏子「他人のための願いをしたら、結局みんな不幸になった。だからあたしはこう誓った」

杏子「この力は自分のためにしか使わない、他のヤツはどうでもいい…ってな」

杏子「わかるか?その瞬間あたしは愛を捨てた!いや、女帝の血に目覚めたのさ!!」

まどか「杏子ちゃん……!」

ほむら「自分がおかしなことを言ってる、と思わないのかしら?」

杏子「何がおかしいんだよ!?」

マミ「愛を捨てたあなたが、どうしてそこまで美樹さんに執着するワケ?」

150: 2012/02/15(水) 23:55:40.06
杏子「見てらんねぇからだよ!コイツがあたしと同じ道を歩んで行きそうだから!」

杏子「あたしはな、コイツにはあたしと同じ失敗をさせたくないんだよ!!」

杏子「あんなに辛くてみじめなことを経験するのは、あたしだけでもう十分だからな!!」

さやか「杏子……!!」グスン…

ほむら「……どうあっても、その子を引き渡す気はない?」

杏子「当たり前だ!氏んでもコイツには指一本触れさせねぇ!!」バッ!!

さやか『杏子……ホントにありがとう……!!』ぼろぼろ…

杏子「来るなら来い!まとめて頃してやる!!」ギリッ…!!

マミ「……もういいかしら、暁美さん?」パァァ…

ほむら「そうね。これでもう杏子の本心がわかったから」パァァ…

マミ「佐倉さん、口ではそういっても、愛を捨てきれてないのはバレバレなんだから」

151: 2012/02/15(水) 23:59:41.37
杏子「なんだ?何いってやがる……?変身まで解いて……?」

マミ「暁美さん、鹿目さん。準備はいい?」スッ…

まどか&ほむら「もちろん」スッ…

マミ&まどか&ほむら「二人とも、失礼なことをして、本当に申し訳ありませんでした!!」ペコリ!!

杏子「ふざけんな!!いきなり土下座されたって許すわけねぇだろ!!」

さやか「待って、いったいどういうこと……?」

杏子「お前…コイツらの話聞くつもりなのかよ?」

さやか「あたしも聞きたくないけど、理由がわからないとあとで後悔しそうだし…」

さやか「…みんな、どういうことか話してくれないかな……?」

マミ「でもその前に、コレを使ってくれないかしら?」ヒュッ

152: 2012/02/16(木) 00:01:28.79
さやか「……?」パシッ

さやか「グリーフシード…!?…さっそく、使わせてもらおうかな…」パァァ…

さやか「よし、戻った!いったいどうしてこんなひどいことを!?」

マミ「今回のことを仕組んだのは私なんだけど――」


回想

マミ「最初にいっておくけど、これをやったら私たちは美樹さんが傷つくことになる」

まどか「えっ……?」

マミ「それでも、協力してくれるかしら……?」

ほむら「……それは絶対に成功すると言い切れるの?」

マミ「あの二人なら、きっと乗り越えられると思ってる」

まどか「ま…まず内容を聞かせてください!」

153: 2012/02/16(木) 00:04:34.16
マミ「簡単よ。佐倉さんの前で美樹さんを半頃しにするの」

まどか「は…はい!?」

ほむら「体を鍛えすぎて脳ミソまで筋肉になったのかしら?」

マミ「違うわよ!!一生懸命考えたんだもん!私バカじゃないもん!」

ほむら『かなり重症ね…もうパンチドランカーになってしまったのね』

マミ「暁美さん…私が打たれすぎて、脳障害起こしたとか思ってるでしょ!違うから!」

まどか「でも、なんでそんなひどいことを……?」

マミ「佐倉さんがあんなにつっかかるのは、美樹さんに共感を抱いてるからだと思う」

ほむら「その根拠は?」

マミ「佐倉さんも、自分のためじゃなく、他人のための願いで伝承者になったから、かな」

154: 2012/02/16(木) 00:08:01.62
ほむら「どうして知っているの?」

マミ「昔から佐倉さんと親交があってね…一時はケンカ別れしちゃったけど」

マミ「でも今は仲直りしたから、佐倉さんはタカリや決闘しに来てるのよ」にこっ

まどか「でも、杏子ちゃんはさやかちゃんの願いを知らないんじゃ……」

マミ「知ってるのよ。美樹さんに初めて会う前に私が教えたから」

マミ「佐倉さんが美樹さんを支えてあげてくれれば、と思ったんだけど……」

ほむら「逆効果になってしまった、というワケね」

マミ「残念ながらね…でも、彼女の行動は、小学生が好きな子をいじめるのと同じだと思うの」

155: 2012/02/16(木) 00:10:51.17
まどか「だ…だからって、半頃しにしなくても……」

ほむら「中途半端な攻撃では、杏子の目をごまかせない」

マミ「えぇ。美樹さんはだませても、佐倉さんは必ず見破ってくるわ」

ほむら「やはり、そのときは本気で頃す気で行け、と?」

マミ「えぇ。魔人をなぶり頃す感じでいけば、何も問題ないと思うわ」

まどか「さやかちゃんが氏んじゃったらどうするんですか!?」

マミ「大丈夫!美樹さん、打たれ強さと回復力は人一倍だもん!絶対に氏なないわ!」

ほむら「確かに。あの子なら、なんとか耐えられるでしょう。そこは心配ないハズ」

156: 2012/02/16(木) 00:14:30.23
マミ「そしてそれを見かねた佐倉さんが、止めに入ってくるのを待つ」

マミ「そこで理由を聞けば、たぶん美樹さんにも、佐倉さんの本心をわかってもらえるわ」

まどか「じゃあ、どうやってわたしたちは二人の前に現れればいいんですか?」

マミ「鹿目さんが美樹さんをつけまわして、佐倉さんに会ったら私たちに連絡をくれればいい」

ほむら「ふむ…だいぶ強引ではあるけど……筋は通ってると思うわ」

マミ「強制はしない。わざわざ嫌われ役を買って出るのは気分が良くないでしょうから」

157: 2012/02/16(木) 00:16:47.35
まどか「………わたしは」

ほむら「私は引き受けてあげてもいいわ。別にあの子に嫌われても気にしないし」

マミ「暁美さん……ありがとう。鹿目さんは……?」

まどか「………」

ほむら「……単に好かれようとするだけが友達じゃない」

まどか「ほむらちゃん…?」

マミ「暁美さん……?」

ほむら「相手のことを本当に大切に思えることも必要だと、私は思ってる」

ほむら「ただ、あなたがどう考えるかは別よ。自分で考えて決めればいい」

まどか「ありがとう…今の言葉でわたしもどうするか決まったよ」

158: 2012/02/16(木) 00:18:37.89
まどか「お願いします、マミさん。わたしにもその役、やらせてください」

ほむら「まどか……たくましくなったわね」

まどか「ううん。ほむらちゃんが励ましてくれたからだよ」にこっ

ほむら「………//////」かあっ

マミ「ふふっ。やっぱツンほむのままね」

マミ「みんな根はいい人だって知ってるんだから。別にムリしなくていいのに」

ほむら「う…うるさい!//////」

159: 2012/02/16(木) 00:21:24.34
マミ「――という流れだったの。悪いのは私だから、この二人は責めないで」

まどか「そんなことないです!わたしも共犯ですから!」

ほむら「そうよ。私たちは自分の意思で参加してる。あなただけに罪を着せるわけにはいかない」

マミ「二人とも……気持ちは嬉しいけど、しっかりケジメはつけなきゃだから」

マミ「さぁ、美樹さんに佐倉さん!私が憎いでしょう?はやく頃しなさい!!」バッ

さやか&杏子「…………」

さやか「………」スッ… 

ドゴォォーン!!

杏子「……!?」

160: 2012/02/16(木) 00:27:12.50
マミ「……どうして殺らないの?」パラ…パラ…

さやか「……できませんっ……」

マミ「え?」

さやか「あたしには、そんなこと…できませんっ……!!」

マミ「そう…なら、佐倉さんに頼むわ。さぁ、頃しなさい!」

杏子「……あたしにもできねぇよ」

マミ「あなたまで…どうしてそんなことを言うの!?」

杏子「だってさ、あたしらだけじゃ仲直りできないと思ったから、こんなことしたんだろ?」

さやか「そんな恩人を頃すことなんて、あたしたちには絶対にできない」

まどか「さやかちゃん、杏子ちゃん……」うるっ…

161: 2012/02/16(木) 00:29:15.36
杏子「だからみんな、ありがとね……正直話を聞くまで、外道どもだって思ってたけど…」

ほむら「杏子……」

さやか「だからって演技でも無能とかザコって言わないでよ!!言いすぎだよ!!」

マミ「ごめんなさい。でもたぶん、佐倉さんも同じことを思ってるハズで……」

さやか「なんだとー!?杏子はみんなと違うよね?ね?」

杏子「………ごめん」ボソッ

さやか「う、裏切られた……」ガーン…

マミ「でも特訓すればいくらでも強くなれるわ。私たちも最初から強かったわけじゃないから」にっ

さやか「ま、マミさん……ありがとう!」じーん…

162: 2012/02/16(木) 00:33:54.36
マミ「でも私より先に、あなたにはお礼をいうべき人がいるんじゃない?」

さやか「そうだね…さっきはありがとね、杏子」ニコッ

杏子「べ…別に…そんなんじゃないってば…//////」かぁぁっ

さやか「杏子があたしをあんなに心配してくれてるなんて、思ってなかった」

さやか「だから、あのときその気持ちが聞けて、すごくうれしかったんだ…」ポロッ…

杏子「なっ…なんだよ…そんなんで…泣くなよな…」ぐすっ

さやか「そっちだって…泣いてるくせに…」だきっ

杏子「さやか……?」

さやか「杏子…ほんとにありがと……この前はごめんね…うわぁぁーん…」ぽろぽろ…

杏子「……よしよし、わかってるよ。もういいんだよ。あたしも悪かったから」なでなで

167: 2012/02/18(土) 23:59:40.87
さやか「……なんだかんだで、またみんなに迷惑かけちゃったね」ぐすっ

まどか「わたしたちは、特別なことをしたおぼえはないよ」にこっ

杏子「そのわりには大がかりなことやって…大したヤツらだよ、あんたらはさ」

さやか「ところで杏子、あんたの身体の秘密ってどんなからくりなの?」

杏子「ほむらに聞いてみれば?ウソだとは思うけど、知ってるらしいから」

ほむら「信じてもらえないのはつらいわね。まぁいいわ、杏子、そばに来て」

杏子「へっ?こうかい?」スッ

ほむら「さやか。両手パーの状態にしてかして。」

さやか「いいけど…どうすんの?」

さやか「こうするのよ」むんず…

マミ「ちょっ……!!」

168: 2012/02/19(日) 00:03:21.23
杏子「え…あ……//////」かあぁ…

さやか「な…なんで杏子の胸をあたしにもませてんのよ!!//////」もみもみ…

ほむら「よく触ってみなさい。違いに気づくはずよ」

さやか「え~?ほんとに?」もみもみ…

杏子「ちょっ…やめてよぉ、さやかぁ…あんっ!//////」びくんっ!!

さやか「ごめんね…ちょっと我慢しててね…あ!」

まどか「どうしたの?何かわかったの?」

さやか「うん!この子、心臓が右側にある」

マミ「な…なんですって…?」

ほむら「心臓の位置が逆ということは、血液の流れる要所である秘孔もとうぜん逆になる」

169: 2012/02/19(日) 00:07:02.79
ほむら「それが杏子の秘密、もとい女帝の血の正体よ」

マミ「そ…そんな特異体質の人間がこの世に存在するなんて…びっくりだわ」

杏子「いいだろさやかぁ…もうやめてよ~//////」はぁはぁ…

さやか「ふひひひ~…そうはいくか」キラッ

杏子「え……?」

さやか「ふだん強気な杏子さんが、あんなしおらしくかわいらしい声を出すんですぜ?」

さやか「それなのにやめちゃうなんてもったいないじゃないですかぁ!!」もみもみ

杏子「あんっ…や、やめ……//////」かぁぁっ…

さやか「それに、あたしもぱんつ見られたしおあいこだよー」もみもみ

マミ「もうやめなさい。スケベなおじさんみたいで見てられないわ」がしっ

170: 2012/02/19(日) 00:10:01.94
さやか「え~でもー……」

マミ「でもじゃありません。佐倉さんいやがってるでしょう?」

まどか『マミさん最近かっこいいなぁ…すごく頼りになる先輩って感じだよ』にこっ

マミ「そんなに揉みたいなら、暁美さんが嫉妬した私の大きいのにしなさい!」たゆんっ

ほむら「へ~ぇ…じゃあ、お言葉に甘えて好きなだけ揉ませてもらうわ……!!」ゴゴゴ…

マミ「あ…暁美さん…?そ、そこはだめぇ~っ……」もみもみ…

まどか『……と思ったけどやっぱりいつものままだったね。あはは……』にっ

杏子『さやかのヤツ、いい仲間に恵まれてるな。うらやましくなるよ』

ほむら(私はとっくにあなたもその中の一人だと思ってたけど…迷惑かしら?)

杏子(マミの胸揉みながらテレパシーするなって…でも、たしかにそうだな)ニコッ

171: 2012/02/19(日) 00:13:21.44
2日後

ほむら「今日はみなさんに、重要なお話があります」

マミ「なぁに?あらたまって」

ほむら「二週間後にやって来る拳王の対策について、みんなで考えたいの」

杏子「なんだって?そんなすぐに来るのかよ?」

まどか「たしか史上最強の魔人っていう……」

さやか「えっ!?そんなやばいの来るの!?あたし拳王なんて知らなかったよ!?」

ほむら「さやかが知らないようなので解説するけど、いいかしら?」

杏子「いいよ。あたしらもそんなに細かく知ってるわけじゃないしさ」

ほむら「拳王は称号の名前。あらゆる拳法を極めた王、という意味よ」

ほむら「そして、その魔人の本名はラオウ。かなりの大男よ」

172: 2012/02/19(日) 00:16:42.37
さやか「つ…強そうな名前だなぁ」

ほむら「そりゃそうよ。強すぎて結界に隠れる必要がないレベルなんだから」

ほむら「普段は超巨大な黒王号(こくおうごう)という名馬に乗ってる」

まどか「ど…どんなくらい大きい馬なの?」

ほむら「足跡の大きさが象のと同じくらいあるわ。普通の人間は簡単に踏み殺される」

ほむら「そして大体の敵とは馬上で戦う。強すぎて降りる必要がないのよ」

ほむら「あと戦う前に氏兆星を見たことがあるか聞いてくるから、あるって答えなさい」

杏子「見えなかったらどうすんのさ?」

ほむら「絶対に見えるハズよ」

さやか「なんで?」

ほむら「あいつの頭上に北斗七星があって、あいつ以外氏兆星が見えることになってるから」

173: 2012/02/19(日) 00:18:00.46
マミ「拳王は何か拳法を使うの?」

ほむら「マミやさやかと同じ、北斗神拳よ」

マミ「えーっ!?それじゃ秘孔封じできないから、突かれたら氏ぬしかないじゃない!」

さやか「たしかに実力差ありすぎると防げないし…でもむこうは使えるのか……」ガーン…

ほむら「いうほど差はないわよ。だって、あなたたちもオーラはまとってるでしょう?」

マミ&杏子「たしかにまとってはいるけど……」

174: 2012/02/19(日) 00:20:58.75
さやか「へっ?オーラってなに?ほむらもそれ使えるの?」キョロキョロ…

ほむら「当然よ。拳法を極めたものはオーラを身にまとうことができるの」

さやか「そ…それを使えないと何か困ることがあるの?」

ほむら「拳王に触れることができない。ヤツも強大なオーラの持ち主だから」

さやか「それじゃあたし戦いに参加すらできないじゃん!」

マミ「大丈夫。私が鍛えてあげるから!そのかわり厳しいわよー」

さやか「あ…ありがとうございます!がんばります!」

175: 2012/02/19(日) 00:26:11.13
杏子「あとさ、拳王ってどんな戦い方をするんだ?」

ほむら「拳の性質は剛の拳、つまり典型的なパワーファイターよ」

杏子「ふーん…まぁいいや。あたしには秘孔効かないから」

さやか「お前だけずるいぞ!秘孔が通じないなんて!」

杏子「何とでも言え!女帝の血はあたしだけの特権だからな」

マミ「そうでもないわよ~。剛拳使いなら秘孔なしでもじゅうぶん戦えるのよ?」

杏子「そ…そうだったな…マミの上を行く剛の拳なんだし……」

まどか「そ…そんなに強い敵だったらわたしも戦いに参加したほうがいいかな……」

マミ「ねぇ、鹿目さんはそんな決め方で伝承者になっても後悔しない?」

まどか「そっ…それは……」

176: 2012/02/19(日) 00:29:10.22
杏子「そんないい加減な理由で伝承者になるっていうなら、そんなの、あたしが許さない」

まどか「ご…ごめんなさい……」

杏子「あんただっていつかは、否が応でも命がけで戦わなきゃいけないときが来るかもしれない」

杏子「そのときになって、考えればいいんだよ」ニッ

ほむら「そうよ。それに私たちの力だけでじゅうぶん倒せるから、その必要はないわ」

まどか「ありがとう……杏子ちゃん、ほむらちゃん」

さやか「はいはいしつもーん!具体的にはどう戦うんですかー?」

ほむら「束になって協力し合うのよ。チームワークが重要になるわね」

マミ「それもそうよね。一人づつだと勝ち目はないもんね」

ほむら「では今回はここまで。とりあえず決戦までは、各自で修行に励んでもらいましょう」

182: 2012/02/20(月) 00:20:25.53
マミ「美樹さんとの特訓も十日めかぁ…でも、だいぶ強くなったわね」ニコッ

さやか「そりゃあれだけ練習すればイヤでも強くなりますって……」

マミ『でも妙ね…そろそろオーラをまとえるようになってもおかしくないハズなんだけど』

マミ『やっぱり強い魔人と闘わせてないからかしら…どうしようかな』

杏子「おーっす。さやか、調子はどう?」

さやか「あっ!杏子!こっちは絶好調だよー!!」だきっ

杏子「そっか。今日もよく頑張ってるね。よしよし」なでなで

マミ『あの二人がこんなに仲良くなるなんて……私も頑張ったかいがあったわ』

杏子「たしかに強くなったよね。これならカサンドラにも殴り込めるんじゃない?」

マミ「えっ…!!」ギクッ

さやか「カサンドラ?なにそれ?」きょとん

183: 2012/02/20(月) 00:21:59.69
杏子「えっ?あぁ…今やってるゲームのラスボスの名前だった。勘違いしちゃってさ」

さやか「……杏子のウソつき」じーっ

杏子「あたしはウソなんてついてないよ?」ぷいっ

さやか「わかるもん。親友だから……それに、あたしはウソが大きらいなんだ!」スッ

マミ「佐倉さんよけて!!」

杏子「え!?」トンッ

マミ『新一を使われた!しかもしっかり普段と逆のところ突いてるし……』

杏子「カサンドラっていうのは、ある魔人の結界内の世界のことなんだ…!?」

杏子『や…やられた!!やっちまったー!!』

杏子「その中には、その魔人と使い魔に連れてこられた人間がたくさん収容されててさ」

さやか「え…!?人間を?どうして!?」

184: 2012/02/20(月) 00:24:54.76
杏子「自分と闘った伝承者の家族や知り合いを連れ去ってるんだって」

さやか「…ということは、今まで何人もの伝承者がその魔人に挑んでいったの?」

杏子「あぁ。そして数えきれないほどの伝承者が敗れて氏んでいった」

さやか「す…すごい強そうだ……そんなヤツに勝てるワケないよ」

杏子「その魔人がさ、実は拳王とつるんでるらしいんだよね」

さやか「え…それってまさか……!?」

杏子「そう。カサンドラは、拳王に逆らった伝承者の関係者を収容するための監獄なんだ」

杏子「拳王が四日後ここに来るだろ?だからそれより前に、この町に来るらしいんだよね」

マミ「それで、具体的にはいつ来るの……?」

杏子「明日にはここに来るらしいよ」

185: 2012/02/20(月) 00:29:25.15
さやか「そ…そんなヤツほっとけないよ!!絶対にあたしが倒してやる!」

マミ「み…美樹さん?カサンドラは拳王を倒した後でもいいから、そんな急がなくても…」

さやか「そんなことできませんよ!」

さやか「マミさんも前あたしに絶対あきらめるな、ってアドバイスしてくれたじゃないですか」

さやか「それに杏子も言ってたじゃん、あたしがそこまで強くなったって」

マミ(佐倉さん、どうするの!?どう考えても、カサンドラ行ったら美樹さん氏ぬわ!!)

杏子(冗談だったんだよ!!まさかカサンドラ知らないうえ本気にするとは思わなくて…)

さやか「決めた!あたし明日そいつ倒しに行ってくる!」

マミ「――ということになってしまいまして……」

ほむら「全く…あなたたちはどこまで愚かなの!?」ピキピキ…

ほむら「カサンドラ伝説はまだ誰にも破られていないのよ!?わかってるの!?」

杏子「しょうがねぇだろ!もう決まっちまったんだから!!」

186: 2012/02/20(月) 00:30:59.43
マミ「心配しないで。私たちなら倒せるわ!!」

ほむら「何人使い魔いると思ってるの!?何百って数もいるのよ!?」

QB「大丈夫だよ。使い魔はウイグルの戦いぶりを見守るだけで自分からは襲ってこない」

マミ「それホント!?あとウイグルって何?」

QB「そうだよ。ちなみにウイグルはカサンドラの主である魔人の名さ」

杏子「じゃあさ!あたしらでも勝てるんじゃないか?」

ほむら「それでも数えきれない伝承者を葬ってきたのでしょう?」

QB「うん!」

ほむら「『うん!』じゃないわよこの役立たず!!」パァァ… ボウッ!!

QB「うああああ!!」ボォォォ… プスプス…

187: 2012/02/20(月) 00:33:36.40
QB「でも、ウイグルはオーラを持った伝承者と戦ったことがない」ヒョコッ

杏子「えっ!?オーラなんて簡単に身に付くだろ?ウソいうな!!」

QB「いいや。オーラを身にまとうのは、まれに見る逸材の証なんだ」

QB「だから、キミたちはいつもさやかを弱いというけど、それは間違っている」

QB「さやかが普通で、キミらがあまりにも強すぎるだけなんだよ」

マミ「ほ…本当にそうなの?」

QB「そうさ。キミらのような強いオーラの持ち主は、ウイグルがいる間には見たことがないよ」

QB「この目を見てよ、この目を!ボクのつぶらな目が、ウソをいう目に見えるかい?」

杏子「見える!契約の時だましたろ!そんな汚い目切り裂いてやる!」パァァ… スパァッ

QB「ひょんげぇ!!」バタバタ…

ほむら「せっかくだし解啞門天聴も使いましょう。ウソなら口を割るわ」ドズッ

188: 2012/02/20(月) 00:35:09.49
QB「じ…事実を正確に伝えているよ……」ピクピク…

マミ「ごめんねQB。かわいそうだし、せめて氏に際には天国を見せてあげなきゃ」パァァ… ピシッ

マミ「北斗有情破顔拳(ほくとうじょうはがんけん)!せめて痛みを知らず安らかに氏んでね」ニコッ

QB「はぁぁ~…いい気持ちだぁー…ちにゃ!!」ボンッ!!

ほむら「……なんかコイツ頃してたらどうでもよくなってきたわ」

マミ「そうね。それに美樹さんもう少しでオーラ体得できるから勝てるでしょ」

杏子「でも、さやかをそこまで鍛え上げるなんて…すごいな、マミ。どうやったんだ?」

マミ「当然のことをしたまでです」ニッコリ

ほむら『さやか、この短期間に相当の地獄を見せられたのでしょうね。同情するわ……』

189: 2012/02/20(月) 00:38:07.89
さやか「さぁさぁ、行きましょー!!」

まどか「そ…そんな強い敵なのに、わたしが一緒に行ってもいいの……?」

ほむら「いたほうが人質にとられなくて楽なのよ。私が絶対守ってみせるから」

まどか「ありがとう。ほむらちゃん、ヨーロッパのナイトみたいでかっこいいよ」にこっ

ほむら「べ…別に嬉しくなんかないんだから//////」かあぁっ

マミ『バレバレでわかりやすいわねー』にやにや

杏子「あ。ソウルジェムが反応してるぞ。あっちみたいだ」

さやか「よーし!マミさんとの修行の成果、見せてやる!!」

190: 2012/02/20(月) 00:42:36.96
まどか「こ…ここがカサンドラの入り口……」

さやか「よーし…みんな、準備はいい?」パァァ…

杏子「あたしらはもう変身してるよ。行こうぜ」

さやか「よし!突入だー!」ダッ

ウァァァァ…… ギャアアアアア……

マミ「すごい…まるで鬼が哭いているみたいな音……」

ほむら「だから鬼の哭く街っていわれるのよ」

使い魔A「なんだキサマら…まさか獄長に挑戦しに来たのか?」

さやか「挑戦するのはあたし。あとの四人はギャラリーだよ」

使い魔A「へへ…何人相手だろうと獄長にかないっこねぇ。いいだろう、呼びに行ってやる」タッタッタ…

191: 2012/02/20(月) 00:46:35.82
ほむら『一度入ったら二度と生きては出れない監獄都市カサンドラ…』

ほむら『その獄長ウイグルってどんなヤツなのかしら』

さやか「来たな……!」

ズシーン… ズシーン… ズシーン…

ウイグル「ぐっふっふ…来たな!無謀な挑戦者よ!!」

ウイグル「その無謀なる勇気だけはほめてやろう!!」

さやか「ありがとう。でも、あたしに無謀なんて言葉はないよ」

さやか『すごい大男だ…そこいらの魔人とはわけが違う!マミさんが負けたヤツより強そうだし』

ウイグル「まずは小手調べに、この二本のムチで貴様を切り刻んでやろう」ビシィッ

ウイグル「泰山流双条鞭(たいざんりゅうそうじょうべん)!!」ビュオオッ!!

さやか「うわっ!!」ビシィッ!!

192: 2012/02/20(月) 00:50:49.77
ウイグル「どこから飛んでくるかもわかるまい!どうだ恐怖の味は!ハハハー!!」

ビシィ!! バシィ!!ピシィッ!!

さやか「この…すけべジジィめー!あたしはこんなヘンタイなプレイは大嫌いだー!!」ビュンッ!!

ウイグル「あんぎゃ!!」バチィンッ!!

ウイグル「な!!いつの間にムチの先を!!」

まどか『ムチの先っぽが結ばれてる!?さやかちゃん…あの一瞬であれだけのことを!?』

さやか「それがあんたの恐怖?だったら今度はこっちの番だね」ボキボキ…

使い魔たち「見ろ!獄長がおされてるぞ!いつの間に結んだんだ?」 ざわざわ…

ウイグル「つくづく愚かな者どもよの~」ススー…

ウイグル「ん~ふふふ」ゾリゾリ…

193: 2012/02/20(月) 00:56:13.96
ほむら『獄長がヒゲをいじりはじめた…?』

使い魔B「はぁぁ!!きょ…恐怖の儀式が始まる!!」

杏子「なにがあるんだよ?」

使い魔B「ああやって獄長が引き抜いたヒゲの本数で処刑される囚人が決まるんだ!!」

マミ「な…なんですって!?」

ウイグル「ふむ…1、2……5本。5号獄舎だ!5号獄舎の囚人どもを引きだせぇ!!」

使い魔C「おとなしくしろ!!」グイッ

囚人たち「うああ!!やめてくれ!!オレたちは何の関係もない!!」ズルズル…

使い魔C「ここでお前らは、あのバカを見てろ!!」ガシャッ!!

ほむら「あれは……石の断頭台!!」

194: 2012/02/20(月) 00:59:31.89
ウイグル「ただ闘うのでは退屈だ。こいつらの命もおまえに賭けさせてやろう」ニッ

マミ「待ちなさい!!だったら私たちがかわりになるわ!!」

ウイグル「あ~?聞こえんな!嫌がるヤツの命を賭けるから面白いんだ!フハハハー!!」

杏子「な…なんてヤツだ……!マミ以上の外道だな」

マミ「いつからそんな扱いなのよ!?私いい人じゃない!?」

杏子「普段はそうだけど……魔人相手だとかなりひどいぞ」

マミ「なによ!!私の数少ない趣味の一つ、魔人狩りにケチをつけないでよ!!」

まどか『あれ趣味だったの!?』

ウイグル「そうだ、お前たちに仲間を紹介してやろう。あれを見るがいい!」バッ

さやか「……?お墓?」

195: 2012/02/20(月) 01:02:59.71
ウイグル「あの墓には、今まで無謀にも、このウイグル様に救世主気取りで挑んできたバカどもと」

ウイグル「その時の賭けで処刑された囚人たちが眠っておる!!」

ウイグル「そして、すでにお前の墓も用意してある」

さやか「聞いときたいんだけどさ、その墓は大きめに作ってある?」

ウイグル「いや。なぜだぁ!?」

さやか「あんたをその墓に入れなきゃだし。なら、できるだけ小さくたたむよ」

ウイグル「減らず口をたたきよって!このウイグルの真の姿を見るがいい!!」ムキムキッ

ウイグル「蒙古覇極道(もうこはきょくどう)!!」ドカァッ!!

さやか「ぐあぁっ!!」ズダーンッ!!

杏子「さやかぁっ!!」

196: 2012/02/20(月) 01:06:54.15
マミ『ただのショルダータックルじゃない!あの技はいったい……!?』

ウイグル「蒙古覇極道は、全身を一弾と化し、全てのパワーをたたきつける一撃必倒の格闘技!!」

ウイグル「囚人どもよ、お前たちも哀れよのう。無謀な挑戦者のために、犠牲にならねばならん」

囚人1「待ってください!私は何も関係ないですから!!」

ウイグル「聞こえんな~!それにしてもいい声だ、いい気分だ……」ニタ~…

囚人2「聞こえてるんじゃねぇか!!お願いだ!!やめてくれーっ!!」

ウイグル「知らんなぁー!!囚人どもを殺せ!」

使い魔C「そうら!らっ…らいれっ!!」バコッ!!

ウイグル「なにっ!?」

さやか「言ったでしょ。その墓に入るのはあんただって」ふらふら~…っ

まどか「さ…さやかちゃん……」ブルブル…

ほむら「さやか……!?」

197: 2012/02/20(月) 01:09:17.10
マミ「暁美さん、佐倉さん……気がついた?」

杏子「あぁ。なんとなく感じてるよ」

まどか「えっ!?ど…どうしたの…!?さやかちゃん…負けちゃうの……?」

ほむら「違うわ。さやかの闘気が、だんだん強くなってきてるのよ」

まどか「え……!?」

さやか「もう遊びはおしまい。6本の指で、あんたの蒙古覇極道を止める!」スッ

ウイグル「ならば…受けてみよ!!蒙古覇極道!!」グオッ!!

ドカァァ……ッ!!

杏子「さやか………!!」

198: 2012/02/20(月) 01:16:08.94
ウイグル「な…なにぃ!?」

さやか「どうしたの?こんな力じゃあたしは動かせないよ」ゴゴゴ…

マミ「あれは……!!美樹さん、とうとうオーラを!!」

ウイグル「この350キロの肉体をよくぞ受け止めた…だが!!」

ウイグル「この鋼鉄以上の肩を破ることはできまい!!」ググッ…

さやか「だったら何だってのよ!!北斗鋼裂把(ほくとこうれつは)!!」メギメギッ…

ウイグル「うああきゃー!!」ブシュウッ!!

さやか「あたしの指で、あんたの肩の筋は全部引き裂いた。これで蒙古覇極道は使えない」

ウイグル「くく…さすが北斗神拳…しかし貴様など、このウイグルの敵ではないわ!!」

さやか「おっと待ちなさーい!」

さやか「仏のさやかちゃんは、あんたに一度だけチャンスをあげよう!!」ビシッ!

199: 2012/02/20(月) 01:17:23.95
ウイグル「チャンス……だと?」

さやか「うん。あたしの出す問題に答えられたら、今回はここで終わりにしてあげる」

まどか「さやかちゃん!?そ…そんなことしちゃダメだよ!!」

ほむら「ほっときなさい。たぶん何かくだらないことでも思いついたんでしょう」

さやか「サンキューほむら。まぁ見てなさいって!」

ウイグル「わかった!ぜひそうさせてもらおう!して、その問題とは……?」

さやか「ふっふっふ…心して聞くがいい!じゃあ問題にいくよ~!」

さやか「もんだーい!おいお前!あたしの名をいってみろ!!」

ウイグル「へ………?」ぽかーん…

200: 2012/02/20(月) 01:19:28.32
さやか「さぁどうした?あたしの名をいってみろー!!」

ウイグル「たしかお前の名は……さやか、では?」

さやか「ピンポーン!!せいかーい!!じゃあごほうびをあげよう!!」

さやか「ここでもう終わり。よかったね」にこっ

ウイグル「ぐふふ……自分で言った以上、約束は守れよ」にやり

さやか「大丈夫!あたしはウソが大きらいだから…もうすぐ帰る」

さやか「でもその前に、あたしから言いたいことがあるからよく聞いて」

ウイグル「なんだ?」

さやか「いきなり初対面の女の子を下の名前で呼ぶな!最初もムチでいじめてきたし…この…」

さやか「セクハラすけべじじぃめ!!てめぇに今日を生きる資格はねぇ!!」

ウイグル「な…なにを……ぐふっ!!」べキッ!!

201: 2012/02/20(月) 01:21:58.44
さやか「北斗羅漢撃ーっ!!」ドドドドド…!!

さやか「これでトドメだあっ!!」バキッ!!

ウイグル「ほげぇ!!」ズザザザ… ドスン!!

さやか「あちゃー…やっぱ墓穴が小さすぎたか」

さやか「でもすぐにちょうどよくなるからさ。だから…安心して氏んでね!」ニカッ

ウイグル「うう、おえ…か…体がーっ!ぐるぢいー!!」ゴキッ ベキッ

ウイグル「ひィ…たたずげべ…ば!!」グキグキッ ブシュウ!!

さやか「あたしの墓に間違われるとイヤだし、墓標は壊しておこう」ドガァ!!

さやか「ついでにグリーフシードも回収……と」ヒョイッ

202: 2012/02/20(月) 01:24:37.76
まどか「ひどいよ、さやかちゃん全然約束を守ってないよ!!」

さやか「何言ってんのさ?あたしはちゃんと約束守ったじゃん」

まどか「え……?」

マミ「思い出してみて。美樹さんは見逃すとは言ってないわ。終わらせると言ったのよ」

杏子「あの約束は命をここで終わらせる、って意味だったんだよ。一部省略してたけどな」

まどか「でも、質問の前に自分で仏のさやかちゃんって……」

ほむら「優しいから、救いようのないあいつの命を終わらせてあげよう、って意味でしょう?」

さやか「正解!なんだ、まどか以外はみんなわかってるんじゃない」

マミ「そうよ。だからウイグルは最初から氏神(ジョーカー)をひいていたの」にこっ

203: 2012/02/20(月) 01:27:26.18
マミ「それにしても、なんて素晴らしい…じゃなくて、ひどいことを。いったい誰の影響かしら?」

杏子『どこをどう考えてもあんた以外いないだろ……そっくりだぞ……』

杏子「なんにせよ、さやかがウイグルを倒した!これでカサンドラも終わりだ!!」

ほむら「いいえ。まだ終わってない」

まどか「え?」

マミ「たくさんの使い魔が残ってる。それに捕まった人たちも助けなきゃだし」

さやか「へへ…どうだった、あたしの闘いっぷりは……?」

マミ「立派だったわ。頑張ったわね、美樹さん」ニコッ

杏子「あぁ。オーラも体得してたし…ホントにすごかったよ!」にっ

さやか「ありがと…でもまだ仕事は残って……」ふら~っ…

ほむら「あなたは休んでなさい。あとは私たちが引き受ける。そのために来たんだから」

さやか「う…うん……」

204: 2012/02/20(月) 01:33:48.08
マミ「美樹さんは鹿目さんを守ってあげて。まぁもっとも…」ゴゴゴ…

杏子「あたしらが使い魔を、二人のところにやるようなヘマはしないけどね!」ゴゴゴ…

ほむら「さて、早く終わらせて今日のお祝いでもしましょうか」ゴゴゴ…

さやか『みんなすごいオーラ…あたしじゃまだまだだけど、絶対追いついてみせるんだから!』

使い魔たち「獄長の仇ーっ!!生かしてここから出すな!!」ダダダダ…

杏子「さやか、よく見ときな!ごほうびに、あたしの奥義を見せてやるよ!」スッ…

さやか『南斗鳳凰拳に構えが……!?』

杏子「南斗鳳凰拳奥義・天翔十字鳳(てんしょうじゅうじほう)!!」ブォッ!!

使い魔たち「ぐわああっ!!」ズバババッ!!

杏子「この技は女帝の誇りをかけた不敗の拳!下郎どもにくれてやるには惜しい技だけど」

205: 2012/02/20(月) 01:36:34.01
マミ「ならこっちも…北斗有情断迅拳(ほくとうじょうだんじんけん)!!」ドドッ!!

使い魔D「ほわ~!!」

使い魔E「ふえ~」

使い魔F「へっへっへ~」

ボボボボボボンッ!!

ほむら「元斗白華弾(げんとはくかだん)!」ドドドドドッ!!

使い魔たち「ぐおお!!」ボボボボボッ!!

まどか「み…みんなすごいなぁ…簡単そうに倒していく」

さやか「ホントだよ…大人数を相手に戦うのはすごい難しいことなのに」

マミ「よーし!これならすぐ片付きそうね!行くわよみんな!!」

杏子&ほむら「わかってら!/わかってる!」

206: 2012/02/20(月) 01:41:42.89
さやか「あんなにたくさん人質がいたなんて……」

杏子「でも、お前の手でそのカサンドラ伝説を終わらせたんだ。すごいことだよ」

まどか「うん。助かった人たち、すごいうれしそうにしてた」

まどか「それぐらい、たいへんなことをやったんだ、ってわたしは思うな」

さやか「いや~そんなにほめられると…天狗になっちゃうよ~」

ほむら「じゃあその鼻を、すぐに拳王にたたき折ってもらいましょうか」

さやか「冗談だよー。……実際、あたしが力不足なことも実感できたしさ」

マミ「そんなこと言わないで。美樹さんも確実に成長してるんだから」ニコッ

ほむら「そうね。そういう意味では、今日の勝利は大きな収穫だった」

マミ「ふふっ。この調子で拳王も倒すわよ!!みんな、頑張りましょう!!」

一同「はい!!」

211: 2012/02/25(土) 22:33:39.21
ビュオオオ……

まどか「すごい…ほんとに台風みたい。それに、空も夜みたいに真っ暗だし……」

まどか「みんなもう戦ってるのかな……」ドキドキ…


ズシーン… ズシーン… ズシーン…

マミ「な…何の音?すごい音だけど……」

ほむら「黒王の足音よ」

さやか「こ、これがホントに馬の足音なの?こんな馬絶対にいないよ……」

杏子「普通なら、ね。でも相手が相手だからさ」

ほむら「来たわね…決着をつけてやる……!!」

212: 2012/02/25(土) 22:36:59.20
ラオウ「貴様ら…よもや俺に戦いを挑むつもりか?」ズゥゥゥン…

マミ「そう、といったら?」

ラオウ「一つだけ聞こう。貴様らは、あの北斗七星のわきで輝く星を見たことがあるか?」スッ

一同「ある!!」

ラオウ「ほう…そうか。どうやら俺と貴様らは戦う運命にあったらしい」

ラオウ「よかろう!どこからでもかかってくるがいい!!」サッ…

さやか「あんた…馬から降りないの?」

ラオウ「フフフ…お前ごときの腕でこの俺を同じ地上に立たそうと思ったか!!」

ラオウ「この俺を対等の地に立たせる者はおらぬわ!!」

さやか「誰に言ってんのよ…おいお前、あたしの名をいってみろ!!」ビシッ

ラオウ「お前の名など知らぬ」

さやか「ならそこで馬ごと氏ね!うりゃあ!!」ダッ!

ラオウ「笑止!!」ギロッ

213: 2012/02/25(土) 22:40:41.25
さやか「うわっ!!」ドサッ!!

さやか『なんだ?何があったんだ?』

杏子『ヤツの手は手綱を握ったまま動いていなかったけど…』

マミ『美樹さんは見えない何かに吹き飛ばされたように見えた』

ラオウ「貴様には無数の突きが見えた…違うか?」

さやか「そ…そうだけど……」

ラオウ「貴様が見たのは俺のオーラだ!貴様は俺に触れることすらできんのだ!」

さやか「昔のさやかちゃんならここまでだが、今は違うぜ!ウイグルの次はお前だ!」ゴゴゴ…

ラオウ「ほう…ちょこざいにもオーラをまとうほどの者であったか」

ラオウ「それならば、ウイグルでは手に負えぬのも仕方あるまい」

マミ「美樹さんだけじゃないわ。私たちもよ」ゴゴゴ…

214: 2012/02/25(土) 22:43:51.17
ラオウ「貴様ら全員オーラを使えるのか…しかし、しょせんは小粒ぞろいよ」

さやか「ほざけ!北斗七氏騎兵斬(ほくとしちしきへいざん)!!」グオオ…

ラオウ「ふっ、愚かな!!」バキッ!!

さやか「ぐはっ!!」ズザザザ…!!

杏子「さやか!!」

さやか「大丈夫…でもすごいパワーだ……バケモノめ…!!」グググ…

ほむら「こっちよ」ダンッ!!

ラオウ「ぬおお!!」ビュオッ!!

ラオウ「なっ!!」

杏子『し…信じらんねぇ!あいつ拳王の拳の上に乗りやがった!!』

215: 2012/02/25(土) 22:47:08.61
ほむら「これぞ元斗皇拳・天衝舞(てんしょうぶ)!」

ほむら「続けて…衝の輪(しょうのりん)!!」ギュオッ!!

ラオウ「ぐはっ!!」ボボボボ… ズダーン!!

杏子「よっしゃ!馬から叩き落とした!!」

さやか「あーあ…さっきので自慢のカブトもバラバラになっちゃったねー」

マミ「そんな駄馬の上では私たちは倒せないわ!降りなさい!」

ラオウ「貴様らぁ!!」ブルブル…

ラオウ「よかろう!望み通りにしてやる!そしてお前たちには氏あるのみ!!」ゴゴゴ…

杏子「ぬかせよ…極星十字拳!!」ブオオッ!!

ラオウ「むなしい戦いをまだ挑む気か…その気概だけはほめてやろう!!」くわっ!!

216: 2012/02/25(土) 22:53:50.26
まどか「み…みんな本当に勝てるの……?」

QB「その目で見届けてあげるといい。拳王を前にして彼女たちがどこまでやれるか」

QB「おそらく、彼女たちの力では到底及ばないからね」

まどか「そんな言い方ひどすぎるよ!!みんな頑張ってるんだよ!?」

QB「たとえばだけど、拳王の力が100だとしたらね」

QB「マミは12、杏子・ほむらはそれぞれ10、さやかは8ぐらいでしかない」

QB「しかもこれはかなり譲歩した数字だ。実際もっと差があると思っていい」

まどか「それなのに…なんでみんな戦うの……?」

QB「彼女たちがまだ希望を求めているからさ」

まどか「じゃあみんな氏んじゃうの……?」

217: 2012/02/25(土) 23:00:05.75
QB「確実にね。もっとも、ほむらはこの時間軸を無為にして、戦い続けるだろうけど」

QB「諦めたらそれまでだ。でもキミなら、運命を変えられる」

QB「だからボクと契約して、伝承者になってよ!」

まどか「…………」

QB「聞いてるのかい?まどか?」

まどか「……」バタンッ

QB「どうしたの?まどか!まどか!!――」


まどか「あれ…?ここは……?さっきまでQBといたハズなのに……」

???「お前が鹿目まどか、か?」

まどか「そうですけど…あなたはいったい?」

218: 2012/02/25(土) 23:06:09.02
???「今はまだ名のるべきときではない。時が来たら名のろう」

まどか「そ…そうですか…ところでわたしに何か?」

???「お前は仲間を救うために伝承者になろうとしている、そうだな?」

まどか「はい!どうしても助けたいんです!!」

???「そうか……」ふっ

???「だが今のお前ではラオウに勝てん」

まどか「そんな…どうしてですか?」

???「たとえ拳の実力が互角でも、今のお前には決定的に足りないものがある」

まどか「それはいったい……?」

219: 2012/02/25(土) 23:11:01.12
???「哀しみだ」

まどか「哀しみ……?」

まどか「その…魔人でも哀しみなんてわかるんですか?」

???「あぁ。だから、今から俺がお前に哀しみというものを教えよう」スッ

まどか「ありがとうございます。でも、どうしてそんなことを教えてくれるんですか…?」

???「お前はまだ、氏ぬには惜しい。それと」

???「お前であれば、きっとラオウの哀しみを受け止められるからだ。ではいくぞ……」

まどか「は…はい!!」

???「しばらく目を閉じているんだ。再び目を開けた時には、全てを理解していよう」

220: 2012/02/25(土) 23:15:29.17
まどか「―――はっ!!」パチッ…

ほむら「ま…まどか…どうしてここに……」ググ…

ラオウ「ほう…貴様もこいつらの仲間か。見るがいい!」バッ

マミ&ほむら「うぅ……」

さやか&杏子「くそぉ……」

ラオウ「すでに全員が戦闘不能!!貴様一人ではどうすることもできぬ!!」

まどか「ほむらちゃん、ごめんね…わたし、願い事決まったよ」

ほむら「それじゃあ、いったい私は今まで何のために……」ぐすっ

まどか「大丈夫。ほむらちゃんの哀しみも理解した上での願いだから。わたしを信じて」

ラオウ『こやつ、哀しみといったか……まさか……』

221: 2012/02/25(土) 23:22:21.57
QB「さぁ、キミはどんな願いをするんだい?いってごらん」ヒョコッ

まどか「すべての魔人を、産まれる前に消し去りたい」

まどか「すべての宇宙、過去と未来のすべての魔人を、この手で…でも」

まどか「ラオウ、あなただけは私の拳で天に帰す!!」パァァ…

ラオウ「ほう……こしゃくな!!かかってくるがいい!!」

QB「そんな祈りが叶うとすれば、時間干渉なんてレベルじゃない…」

QB「因果律そのものに対する叛逆だ!キミは…神にでもなるつもりなのか?」

まどか「神様でもなんでもいい。こんなルールなら、わたしがこの手で変えてやる!」

ラオウ「ふっ、神との戦いか……相手にとって不足はないわ!!」ゴゴゴ…

225: 2012/02/26(日) 22:25:09.87
まどか「歴代最強の伝承者として、この鹿目まどかがあなたの不敗伝説に終止符をうつ!」ゴゴゴ…

まどか「あなたは…わたしにとって最初に越えなきゃいけない壁だから!!」スッ

ラオウ「ほざきよって…!俺は貴様を倒し全てをこの手に握る!!」

ラオウ「はぁぁ……!!」ギュオオ…

ラオウ「北斗剛掌波(ほくとごうしょうは)!!」ドウッ!!

まどか「くっ!!」ズザザザザ…

まどか『なんて破壊力…はっ!!もう目前に迫って来るなんて!』

ラオウ「ぬわあぁ!!」ドドドド…

まどか「ぐふっ!!」ドドドドッ!!

ラオウ「攻撃をくらい空に逃げるとは…臆したか!!非力な伝承者よ!!」

ラオウ「しかし、この俺から逃げ切ることなどできんわ!!空で追い打ちをかけてやる!!」ダッ!!

226: 2012/02/26(日) 22:28:50.89
まどか「チャンス!!」ギュンッ!!

ラオウ「なっ!わが間合いに…!!」

まどか「天翔百烈拳(てんしょうひゃくれつけん)!!」ドドドド!!

ラオウ「ぐほぉっ!!」ドーン!!

まどか「よし……」グググ…

マミ「あの構えは…北斗神拳秘奥義・天破の構え(てんはのかまえ)!!」

まどか「北斗神拳奥義・天破活殺(てんはかっさつ)!!」ボンッ!!

ラオウ「かはぁっ!!」ドドドドドドドッ!!

まどか「闘気であなたの秘孔を突いた…もう勝負はついたよ」

ラオウ「ぬるいわ!ぬぅん!!」ボコボコッ

まどか「へっ!?秘孔封じ!?」

ラオウ「とぼけおって…先程からうぬも使っておろうが」

227: 2012/02/26(日) 22:31:28.24
マミ「うそ!?わからなかった…高度すぎて戦いについていけないわ……」

杏子「あいつら以外、何が起きてるかわかんないレベルだから仕方ないよ」

さやか「実力が互角でも、秘孔封じが使えるなんて知らなかった……」

ほむら「お互い防御も超一流の領域なのね」

ラオウ「ふっ…本気でそう思っているのか!?だからうぬらは超一流にはなれんのだ!」

さやか「なっ!!どーいうことだよ!!」

ラオウ「俺が秘孔封じをできたのは、こやつがまだ本気を出していないからにすぎぬ!」

228: 2012/02/26(日) 22:34:57.28
杏子「マジかよ!まだ全力じゃないってのか?」

まどか「ティヒヒ……まさかバレてたなんて。でも、自分だってまだ本気じゃないくせに」

ラオウ「ふふ…神に感謝せねばなるまい!わが前にこれほどの者を送り出してくれたことを!!」

まどか「照れるなぁ…そんな面と向かってお礼を言われると」にっ

まどか「あとね…実は今のわたしにも氏兆星が見えてるんだ」

ほむら「そ…そんな……!!」ぐすっ

ラオウ「ふはははは!このラオウは倒せぬ、と認めたか!!」

まどか「ううん。わたしは正直に言ったから、あなたも空を見て正直に言ってほしいな、って」スッ

ラオウ「まぁよかろう。何を馬鹿なことを……!?」

229: 2012/02/26(日) 22:38:13.96
ラオウ「な…なんと!?わが頭上に氏兆星が!?」ワナワナ…

杏子「そ…そんなことがありえるのか?」

マミ「互角の拳を持つ強者相戦うとき、その両者の頭上に氏兆星が輝く」

さやか「そういう言い伝えが北斗神拳にはあるんだけど……ホントだったんだね」

マミ「鹿目さんのずばぬけた才能が拳王の氏兆星を呼んだ」

マミ「神にすらこの対決の勝敗は見えない、ってことでしょうね」

まどか「さぁ、宿命の幕を閉じようよ…ラオウ!」ニッ

ラオウ「俺に敗北はありえぬ!文字通り全力で貴様を砕いてやるわ!!」ゴゴゴ…

まどか「やっと本気になったのね…だったら、わたしも本気にならなきゃね!!」ゴゴゴ…

230: 2012/02/26(日) 22:42:14.66
ラオウ「最強の北斗を屠る者の名はラオウ!!」

ラオウ「このラオウより真の強者の歴史は始まるのだ!!」

ラオウ「まどか!塵と砕けよ!!」グオオッ!!

まどか「うりゃっ!」ブオオッ…ドカッ!!

ラオウ「うおっ!!」ブシュウウッ!!

ほむら『そんな…すでにまどかの身体は砕けていたハズ……』

杏子『あいつは実体を空に消し去ったっていうのか?』

マミ「あれは……ロッソ・ファンタズマ!!あんな技がこの世に存在するなんて!!」

まどか「北斗神拳の究極奥義・無想転生の前に敵なんていないよ」ニッ

231: 2012/02/26(日) 22:46:36.74
さやか「あれが無想転生!?すごい……」

マミ『渾身のギャグだったのにスルーされた……』ガックリ

まどか「とどめだよ!」ビュッ!!

ラオウ「はぁ!!」ボッ…ドゴォッ!!

まどか「ぐあっ!!」ブシュウッ!!

杏子「なんだと?拳王も同じ技使いやがった……!!」

まどか「うう…やっぱりあなたも使えたのね……この技を」

ラオウ「哀しみを背負うのはうぬだけだと思うなよ」にやり

ラオウ「互いに究極奥義・無想転生を身にまとった今…奥義はもう武器にはならぬ」

ラオウ「いわば無、ゼロにもどったのだ!」

232: 2012/02/26(日) 22:50:57.67
ラオウ「ならばこの戦いは赤子の戦いと同然!いくぞっ、まどか!!」ダッ!!

ラオウ「ぬあっ!!」ドゴッ!!

まどか「くっ…だーっ!!」バキッ!!

ドガッ!! ガゴッ!! ベキッ!! ズガッ!! メギッ!!

さやか「二人ともノーガードなのにあんな打ち合って……すごい意地を感じる……」

ラオウ「ふん!!」バチッ!!

まどか「うあっ!」ダンッ

ほむら「まどか!!」

ラオウ「さすがに経験ではこの俺に一日の長がある!貴様に負けるはずがないわ!!」

まどか「ほ…ほんとにそうかな……?」ググ…

ラオウ「なに?うっ!!」ガクガク…

まどか「あなたもダメージで相当フラフラだよ…強がっても隠せないくらい……」

233: 2012/02/26(日) 22:54:30.16
ラオウ「ぬうぅ…ならば次の一撃に全てをかけるまで!!」ゴゴゴゴ…!!

まどか「ならそれを真っ向から叩き潰す!!闘気をこめた渾身の一撃で!!」ゴゴゴゴ…!!

ラオウ「……ぬっ?なぜ涙を流す…氏に恐怖したか?」

まどか「ううん…ふと、あなたとみんなの哀しみを考えていただけ」

ラオウ「自分の中には他人の想いまでも生きている…とでもいいたそうだな」

ラオウ「よかろう!ならば砕いてみせよう…わが無敵の拳、天将奔烈(てんしょうほんれつ)で!!」

ラオウ「うけてみよ!わが全霊の拳を!!」カッ!!

まどか「……」

ラオウ「天に滅せい、まどか!!」ビュオオッ!!

まどか「はぁぁぁ……!!」

まどか「てやぁっ!!」グオオッ!!

カッ!! ドカァァーンッ……

234: 2012/02/26(日) 22:58:35.25
杏子「なんだ!?どうなったんだ!?」

マミ「あぁ……!!」

ボタッ… ボタッ… 

ラオウ「おあっ!!かはぁっ!!」ズウウン…

ラオウ「ば…ばかな…俺の…このラオウの全霊の拳が……」

まどか「あなたの心はひとりぼっち…だけど、わたしの心は」

まどか「ほむらちゃんにさやかちゃん、杏子ちゃん、マミさん…そしてあなたへの想いが生きてる」

まどか「たとえ誰であろうと、この心を砕くことなんてできない!!」

ラオウ「さりとて、俺も負けるわけにはいかぬ!!」グググ…

ラオウ「見せようぞ!!このラオウの氏に様をーっ!!」ズン… ズン…

235: 2012/02/26(日) 23:02:38.97
ほむら「まだ立ち上がってくるなんて……」

ラオウ「うおぉーっ!!」グオッ!!

さやか『まどかのバカ!どうしてよけないんだよ!?』

まどか「ラオウさん」スッ

ラオウ「ふっ、すでに見切っておったか…この拳にはお前を砕く力が残っていないことを」

ラオウ「今こそ悟った!お前と俺の違いは、愛を刻み込んだ者と愛を捨てた者の違いだということを」

まどか「ううん。そんなことないです。哀しみを、いや愛を捨てた人には無想転生は使えないですから」

ラオウ「……!!」

ラオウ「……たった一度の勝負のなかで、そこまで見抜かれていたか……」

ラオウ「そうか…このラオウが勝てぬわけだ」ふっ

236: 2012/02/26(日) 23:08:01.16
ラオウ「み…見せてくれ…このラオウを倒した者の顔を……」ブルブル…

ラオウ「フ…フフ…みごとだ、鹿目まどかよ!」

まどか「ラオウさん」

ほむら「まどか……」

ラオウ「む…行けーい!!」ドンッ

まどか「きゃあっ!」ガシッ

ほむら「だ…大丈夫?まどか……!?」ぐすっ…

まどか「うん…大丈夫だよ。心配しないで」にこっ

ラオウ「まどか!お前には帰りを心待ちにする仲間がいよう!残る余生は仲間を想いながら幸せに暮らせい!」

まどか「ラオウさん……」

237: 2012/02/26(日) 23:12:35.39
ラオウ「さらばだ、まどか。お前の言葉通り、俺もまた天へ帰ろう」

ラオウ「このラオウ、天に帰るに人の手は借りぬ!!」サアア…

ラオウ「はああっ!!」パァァァ…

ほむら「これは…拳王の身体が白く……!!」

ラオウ「ぬうっ!!」ビカッ ビカッ ビカッ…

ラオウ「わが生涯に一片の悔いなし!!」ボッ ドゴォーン!!

マミ「巨星堕つか……」

さやか「あぁっ!見て!拳王の身体が消えていくよ!」サァァァ……

杏子「そ…それだけじゃない!あの黒王って馬も!いったいなんで……」サァァァ……

QB「気づかないのかい?もう、まどかの願いが叶えられはじめているんだ」

238: 2012/02/26(日) 23:14:37.41
まどか「そうだったね。わたしもまだやり残してた。ちゃんとやらなきゃ」ザッ

まどか「この一撃で、残ったすべての魔人を消し去る」ゴゴゴゴ…

まどか「届け…わたしの願い!!」ドォォーンッ!!


ほむら「……ここは……みんなどこへ……?」キョロキョロ…

QB「まどかがもたらした新しい法則に基づいて、宇宙が再編されているんだよ」

QB「そうか、キミは願いによって時間遡行ができるんだったね。見届けるといい」

QB「まどかの願いと、それがもたらす結末を」ゴゴゴゴ…

239: 2012/02/26(日) 23:17:22.65
ほむら「なに…あの巨大な隕石は?」

QB「あれが、彼女の祈りがもたらしたソウルジェムだ」

QB「彼女の願いはあまりにも壮大すぎた。対価としてあれほどの絶望がもたらされるのも当然だよ」

ほむら「そんな……」

アルティメットまどか「ううん。大丈夫」

ほむら「え……?」

アルまど「わたしの願いは、すべての魔人を消し去ること。本当にそれが叶ったんだとしたら」

アルまどか「もう絶望する必要なんてない!せっかくだし使わせてもらおうかな」ギュオオ…

アルまど「天将奔烈!!」ドウッ!!

ギュウウン… カッ!!

240: 2012/02/26(日) 23:20:49.19
QB「これで、彼女の人生には始まりも終わりもなくなった」

QB「まどかという存在は一つ上の領域にシフトして、ただの概念になりはててしまった」

QB「彼女が生きてきた証は、何一つとして残りはしない」

ほむら「何よそれ…これがまどかの望んだ結末だっていうの!?氏ぬよりもっとひどいじゃない!」

まどか「ううん。いいんだよ」

まどか「今のわたしになったから、本当のほむらちゃんを知ることができた」

まどか「わたしには、こんなに大切な友達がいてくれたんだって」

まどか「だから、ありがとう。あなたはわたしの、最高の友達だったんだね」

ほむら「ううっ…ありがとう……でも、本当にあなたはそれでいいの?」ぽろぽろ…

まどか「わたしは後悔なんてしてないよ……へっ!?」ビキッ

241: 2012/02/26(日) 23:24:35.78
ほむら「まどか!?」

まどか「まだまだ、ほむらちゃんやみんなといっしょにいたいよ……えぇっ!?」

ほむら「秘孔・新一を突かれたのね。でも、まどかほどの使い手が全く気付かないなんて……!」

???「ふっ、これしきに気づかんようでは、ラオウは倒せても俺は倒せんぞ」ニッ

ほむら「あんた…何者なの!?どうしてここに!?」バッ!

まどか「あなたは…あのときの!」

ほむら「まどか、こいつを知ってるの?」

まどか「この人が、わたしに哀しみが何かって教えてくれたんだ」

ほむら「この人が?そうだったの…失礼なことをしてごめんなさい」ペコリ

???「いや、いいんだ」

242: 2012/02/26(日) 23:29:50.52
ほむら「でも…どうしてあなたは、拳王が哀しみを知っているとわかったんですか?」

???「ラオウは暴力による支配では、真の安らぎを得られないことを知っていた」

???「それでも、暴力に頼り続け、悪役を演じ続けるしかなかった」

ほむら「自分が絶望をまき散らす魔人だから…ですか?」

???「それもある。だが最大の要因は、その強大な力ゆえ敵がいなかったことだ」

まどか「だから哀しみを背負いながら、自分が愛を持つ者に倒されることを願っていたの」

ほむら「そういうことだったのね……」

ほむら「でも、なんでまどかに倒させたんですか?あなたほどの力なら、自分で倒せば……」

???「できなかったんだ。俺もとうの昔に、概念になってしまっているから」

まどか「えっ……!!

243: 2012/02/26(日) 23:34:25.92
???「だからラオウを倒せる者が現れるのを待つしかなかった」

???「それもただ腕っぷしが強いだけでなく、心に深い愛を持っている者を……」

ほむら「そして、その条件を満たしていたのがまどかだった」

???「うむ。だがラオウは哀しみを知るゆえ無想転生を使えたが、まどかは違った」

???「そこで俺が彼女の前に現れることになった、というわけだ」

ほむら「そうだったんですか……」

???「それより、さっきはウソをついたな。感心できんな」

まどか「ご…ごめんなさい……」

ほむら『まどかが概念になって、先輩の概念に説教されるなんて思わなかったわ』

???「そんなヤツには、この世界の真理は任せておけん」

244: 2012/02/26(日) 23:39:24.63
まどか「えっ……それってどういう……」

???「お前の構築した概念は俺が管理する、ということだ」

まどか「えぇっ!?それってわたしが概念失格ってことですか!?」

???「うむ。お前はその人と一緒にもとの世界に戻れ」

まどか「ど…どうして……」

???「ラオウは氏に際、何を言ったか覚えているか?」

ほむら「たしか…帰りを待ってる仲間と幸せに暮らせ、と」

???「あぁ。では、俺がお前に哀しみを伝えた時の言葉は覚えているか?」

まどか「『お前はまだ氏ぬには惜しい』でしたよね……あ!!」

???「ここまでいえば、もう気がついたようだな」

245: 2012/02/26(日) 23:45:57.42
まどか「でも…いいんですか!?あなたはひとりぼっちになっちゃうんじゃ……?」

???「俺の中にも多くの強敵(とも)の想いが生きている……決して一人ではない」

???「そのかわり…鹿目まどか、お前に一つだけ頼みたいことがある」

まどか「な…なんですか……?」

???「俺のかわりに、愛と哀しみの大切さを人々に伝えていってほしい」

まどか「わかりました。絶対にやり遂げてみせます!!」

???「今ならまだ実体に戻れるはずだ…早く戻るがいい」

まどか「ありがとうございます!!ところで、あなたの名前は……?」

???「これを見ればわかる」バッ

ほむら「これは……!!」

246: 2012/02/26(日) 23:50:04.17
ほむら「む…胸に北斗七星の形をした七つの傷が……!!」

まどか「ってことは…ももも、もしかしてあなたってケンシロウさん!?」ブルブル…

ケンシロウ「あぁ」

ほむら「闘神って呼ばれる、あの伝説の北斗神拳伝承者!?」

ほむら「うさんくさい伝説が多いから、都市伝説だと思ってたけど……」

まどか「あ…あのっ!!サインください!!」

ほむら『ちょっ…どんだけミーハーなのよ……』

ケンシロウ「ペンも紙もないから無理だな」

まどか「そ…そんなぁ~……」ガクッ

ケンシロウ「やはり、そんな浮ついたやつに概念は任せられんな」

まどか「はうぅ……」ショボン…

247: 2012/02/26(日) 23:53:58.07
ケンシロウ「サインはできんが、これをかわりにやろう」ビリビリ…

ほむら『左手に巻いてある包帯をちぎった?』

ケンシロウ「挫けそうになったら、これを見て俺の使命を思い出してほしい」スッ

まどか「はいっ!!ありがとうございます!!わたし、がんばりますから!!」にぱー

まどか「あっ、もしかして…ほむらちゃんも欲しいの?」にこにこ

ほむら「べっ…別にそんなこと思ってないわよ!?//////」かあっ…

ケンシロウ「そうか…ついでにやろうと思ったんだが…それなら仕方ないな」

ほむら「で…でもっ!!くれるっていうなら…もらってあげても…いいけど…//////」

ケンシロウ「そうか…」にっ ビリビリ…

ケンシロウ「受けとるといい。お前も心に愛と哀しみを刻み込んでいるから、その資格がある」スッ

248: 2012/02/26(日) 23:58:24.69
ほむら「あ…ありがとう…ござい…ます……//////」かああっ…

まどか「よかったね、ほむらちゃん」にこっ

ほむら「べっ…別に嬉しくなんか……//////」

ケンシロウ「この期に及んでもツンほむか」フッ

ほむら「なっ…ななな…もも…もしかして私たちのことずっと見てたんですか!?//////」

ケンシロウ「概念だからな」

ほむら「ケ…ケンシロウさんのいじわる……///////」かああっ……

まどか「ほむらちゃん、顔が真っ赤だよ~」くすっ

ほむら「う~……//////」

ケンシロウ「ほら…そろそろまどかも間に合わなくなってしまうぞ」

249: 2012/02/27(月) 00:01:31.02
まどか「いろいろありがとうございました。ケンシロウさんもお元気で!」

ケンシロウ「うむ。俺の託した使命、よろしく頼む」

まどか「はい!!」ニコッ

ほむら「私たちに力を貸してくれてありがとう。またご縁があったら会いましょう」

ケンシロウ「そうだな」

ケンシロウ「最後にもう一つ言うべきことがある」

ほむら「そ…それは……?」

ケンシロウ「たとえ何があっても愛を忘れるなよ。では、仲間たちと幸せにな…まどか、ほむら」

まどか&ほむら「はい!!では…さようなら!!」

ケンシロウ「うむ。達者でな」にっ

250: 2012/02/27(月) 00:04:54.76
マミ「………しっかりして!鹿目さん!暁美さん!」ゆさっ ゆさっ…

まどか「あれ…マミさん……?」

ほむら「私たちはいったい……?」

さやか「いやー、びっくりしたよ。まどかが拳王倒した後、二人そろって倒れちゃったんだから」

さやか「それにしても最後の氏に様かっこよかったなー…魔獣なのにあこがれちゃった」

ほむら「えっ……拳王?」きょとん

まどか「!?魔獣?なにそれ?」

マミ「二人とも大丈夫…?打たれすぎて軽い記憶喪失にでもなったのかしら……」

251: 2012/02/27(月) 00:10:12.05
マミ「私たち伝承者の敵は、大男の格好をした魔獣っていうヤツらなのは覚えてる?」

マミ「外見は人間と同じだけど、中身はケダモノだから魔獣って呼ばれてるの」

まどか「え…?はぁ…えっと…使い魔は?」

さやか「使い魔なんていないよー。敵は魔獣だけでしょ?」

マミ「魔獣は人々の絶望から生まれてくるの。中には拳法を使うのもいるわ」

ほむら「拳法を使う魔獣は、伝承者の淀みきったソウルジェムから出てきたやつじゃ……」

杏子「ホントにボケちまったのかい?伝承者から魔獣なんて出てくるワケないじゃん」

ほむら「え?」

さやか「絶望に染まりきったソウルジェムは、伝承者ごと勝手に消滅するんだよ。理由はわかってないけどさ」

マミ「このことを円環の理、っていうのよ」にこっ

まどか(ほむらちゃん、やっぱりこの世界って……)

ほむら(えぇ。あなたの概念を、ケンシロウさんがきちんと引き継いだ世界のようね)

252: 2012/02/27(月) 00:13:56.34
杏子「それにしても、二人とも手に何を持ってるんだよ?」

さやか「ほんとだ。いつの間にそんなの持ってきたのさ?」

ほむら「まどか!やっぱりこれって……」しゅる…

まどか「間違いないよ!ケンシロウさんのくれたやつだ!!」

マミ「ケンシロウって北斗神拳を使う神様でしょう?もしかして、あなたたち……」

まどか『も…もしかして気づかれた!?』

マミ「三途の河を見てきたのね!無理もないわ。あれだけの激戦だったんですもの」

まどか「へっ…あ、あの……」あたふた

ほむら「そうね。きっと、二人で三途の河を見てきたのかもしれないわね」フッ

253: 2012/02/27(月) 00:18:00.08
ほむら『その後の戦いで、マミたちの話が本当であることもわかった』

ほむら『それでも、人々の心から絶望がなくなるわけじゃない』

QB「今日はまた一段と瘴気が濃いね」ヒョコッ

ほむら「えぇ。でもしょせん三流魔獣が寄せ集まってるだけ」ザッ

さやか「あっ、遅いぞー、ほむら」にっ

杏子「何だよ…たいやき食べ終わる前に来ちゃったから、あたしの負けじゃん」もぐもぐ…

マミ「今回は私の勝ちね。忘れないでちゃんとお菓子おごるのよ?」ニッ

杏子「わかってるよー…くそー、次はこっちがおごらせてやるもんね」モグモグ…

ほむら「ごめんなさいね。早く来てしまったみたいで」

254: 2012/02/27(月) 00:22:19.31
杏子「なんだ、お前もまだそのボロッちい包帯を左手に巻いてるの?」

さやか「あっ、ホントだ。あたしは、いいかげん捨てたほうがいいと思うよ」

ほむら「あら、ひどいこと言うわね。これでも私は気に入っているのだけど」

マミ「本人が気に入ってるんだし、私たちがとやかくいうべきじゃないわ」ニコッ

ほむら『この世界では、私はひとりじゃない。仲間と一緒に戦い続ける』

ほむら『でも、私が何よりいちばんうれしいのは……』

ボボボボボンッ!!

さやか「あーあ…また一人で全員殺っちゃったよ」

杏子「あたしらの仕事もとっとけ、っていったのに」

マミ「まぁ、私たちが楽できてるんだしいいじゃない」

杏子「それもそうだな」

ザッ ザッ ザッ…

ほむら「おかえりなさい。まどか」にこっ

まどか「おかえり。ほむらちゃん、みんな」にこっ

おわり

255: 2012/02/27(月) 00:27:40.58
以上でこのSSは完結です

続けていくうえで、みなさんのコメントがとても励みになりました

長くなってしまいましたが、最後までご愛読ありがとうございました


257: 2012/02/27(月) 00:54:38.45
乙!

ケンシロウとラオウが現代風な口調になってて自然だったように感じる

258: 2012/02/27(月) 03:26:59.12


伝承者クラスだった魔獣が消えて
代わりに敵がモヒカンになったんじゃもはや負けようがないな

引用元: マミ「私は巴マミ。北斗神拳伝承者よ」 まどか&さやか「!?」