1: 2010/10/10(日) 19:47:59.56
シャア「そうか・・・!しかし、この暖かさを持った人間が地球さえ破壊するんだ!それをわかるんだよアムロ!」
 
アムロ「わかってるよ!だから、世界に人の心の光を見せなけりゃならないんだろ!」


─UC93、3、12─


シャア「ララァ・スンは、私の母になってくれるかもしれなかった女性だ!そのララァを頃したお前に、言えた事か!」
 
アムロ「お母さん・・・・・?ララァが・・・・!?」

アムロ「・・・・・・うわっ!」




アムロ「・・・・・う」

アムロ「ここは・・・・・?」

少女「まだ起きないほうがいいわよ。ひどい状態だったんだから」

アムロ「君は・・・?ここはどこだ?」

少女「ちょっと待ってて。今暖かいお飲み物を持ってくるわ。お姉さまー!」

2: 2010/10/10(日) 19:51:29.74
キエル「つまり、記憶がない、と・・・・?」
 
アムロ「アクシズで戦っていた所までは覚えているんだが・・・・・はっ!」

アムロ「やつは!シャアはどうなった?!」ガバッ

ソシエ「アク、シズ?シャーって?」

アムロ「・・・・?」 

アムロ(なにかおかしいぞ)

アムロ「ここは地球のどこだい?」

キエル「アメリア大陸・イングレッサのビシニティです」

アムロ「アメリア・・・・・?イングレッサだと・・・・・?」

ソシエ「うそ・・・・!?お姉さま、この人ほんとに・・・・」

キエル「・・・・・嘘をついている様子ではありませんね」

4: 2010/10/10(日) 19:53:30.96
ソシエ「どうするの?」

キエル「お父様に報告しましょう。少なくとも傷が癒えるまでこのハイム家で療養させてもらえるよう、わたくしから父には頼んでおきますのでご安心ください、アムロさん」 

アムロ「・・・・・すまない」

ソシエ「まったく、感謝しなさいよ」

アムロ(・・・・・・いったい何が起きているんだ?)

6: 2010/10/10(日) 19:56:46.76
─正暦2345年─

ブロロロロロロロ・・・・・・・・

ソシエ「アムロがうちに来てから、もう二年かぁ・・・・」
 
アムロ「早いものです。あのソシエお嬢さんが、成人だなんて」

ソシエ「それにしても、どこの誰とも知れない男が、ハイム家に奉仕して、グエン様の最新式の自家用車の試運転だなんて、あなたってつくづく果報者よね」

アムロ「本当にこのような待遇、感謝の念に絶えませんよ」

ソシエ「ふふ」

ソシエ「ところでアムロ、何か思い出せた?」

アムロ「・・・・・・」

アムロ(すっかりこの生活にも慣れてしまったな・・・・・・)

ソシエ「叩けばなにか出てくるかな?」ポンポン
 
アムロ「・・・・・・お戯れごとはやめて下さい、お嬢さん」

グエン「アムロ、塩梅はどうだね」

7: 2010/10/10(日) 19:58:27.41
アムロ「新時代の到来を感じさせる素晴らしい出来です、グエン殿。このような代物を扱わせていただけるなど、身に余る光栄です」

アムロ(文明は良くて中世レベル、か。タイムスリップなどと思いたくはないが・・・・・)

グエン「そう謙遜しないでくれたまえ。ほとんど君の設計によって作られたと言っても過言ではないのだ」
 
グエン「ところで、例のミリシャの件について、心は決まったかね」

アムロ「いえ、自分はハイム家に大恩がありますので」

キエル「あら、わたくしはかまわなくってよ?お父様もアムロの才能をハイム家でくすぶらせておくのは忍びないと常々仰っていることだし」

アムロ「キエルお嬢様・・・・・・」

ソシエ「認めないわよパイロットなんて!わたしの愚痴を聞く人がいなくなっちゃうじゃない!」

キエル「まあソシエったら」クスクス

9: 2010/10/10(日) 20:01:05.60
─飛行場

アムロ(俺はこの世界の何も分かっちゃいないが・・・・)

グエン「ノックスでのミリシャのパレードへの参加をアムロ・レイが承諾した。当日はよろしく頼むぞ、大佐」

アムロ(サイコフレームの共振が俺をここに誘ったとでも言うのか・・・・・)

ミハエル「本当でありますか!アムロ君!ようやく決心してくれたのだな!」

アムロ「はい。ですが、パレードの後は今まで通りハイム家にご奉公させて頂くという条件ならば」

アムロ(一体どういう理屈だというんだ・・・・・)

ミハエル「はっはっは。新型戦闘機の性能を知ればそうも言っていられまい」

メシェー「アムロならすぐにエースパイロットになれるよ!なんたってパパのお気に入りだもん!」

ソシエ「アムロの裏切りものー!」

10: 2010/10/10(日) 20:03:12.65
アムロ「グエン殿、本当にガリアは攻めてくるとお思いですか?」

グエン「そうでなければミリシャなど必要なかろう」

グエン「アムロには新時代の作り手として、常に最前線で戦ってもらいたい。無論、そこであっさり氏んでもらっては困る。君には新時代の担い手としての椅子も用意してあるのだよ」

アムロ「グエン殿の仰ることはいつでも無理難題だ」

グエン「ふっ、そうかね。しかしそれに応えるのがアムロ・レイであると、私は信じているよ」

アムロ(どこの世界であっても戦争の影は消えない、か・・・・・)

12: 2010/10/10(日) 20:05:56.97
パレード当日、飛行機部隊によるデモ飛行において、アムロは巧みな操縦技術で観客を魅了した。新型のヒップヘビーをわずか数日で乗りこなしたアムロに、飛行機乗りたちは改めて瞠目せざるを得なかった。

アムロ「気流を肌で直接感じるのも悪くないな」

メシェー「うわーすごい!あんな天才をただの執事に留めておくなんてもったいないよ、パパ!

ラダラム「ったりめぇだ!腕づくでも引き込んでやらぁ!」

その晩、ソシエが宵越しの祭りに興じるているころ、ミリシャの駐屯地に警報が鳴り響いた。

14: 2010/10/10(日) 20:11:29.12
アムロ「こんな玩具じゃ、夜間飛行なんて氏にに行くようなもんだぞ・・・!」

メシェー「アムロ、ぼさっとしてないで!敵が来るよ!」

ノックスの夜空を、無数のミサイルが引き裂いた。敵はノックスの直上から攻めてきたのだ。

アムロ「この物量はなんだ・・・?同じ時代の物とは思えないが・・・・」

ポゥ「お前たち、あまり派手にやりすぎるなよ!敵は丸腰も同然──うわっ」

アムロ「これは・・・・・!モビルスーツ!?いや、モビルアーマーか?!」

メシェー「なんだこれ・・・・・?!ガリアは空飛ぶカカシで戦うっていうの!」

ポゥ「こいつら、本気で我がディアナ・カウンターとやり合うつもりなのか・・・・・・!?なんて不愉快な連中だッ!!!」

ポゥ「野蛮人がッ・・・・!ふざけるんじゃないッ!!!」

16: 2010/10/10(日) 20:14:34.88
ポゥが駆るウォドムが発射したビーム砲は、一瞬で数機の戦闘機を消し飛ばし、その威力を減退させつつもノックスの町の一角を焼き尽くし、さらにビシニティ近くのアーク山を抉った。

アムロ「この火力・・・・・艦隊戦クラスの粒子ビームだ!間違いない!敵はこの文明のモノじゃないッ・・・・・・!」

メシェー「い、今の光・・・・・マウンテンサイクルの方へ伸びていったけど・・・・・ソシエがいるんだよ!?」

アムロ「メシェー、戦力が違いすぎる!ここは一度引いて、グエン殿の指示を仰げ!」

メシェー「このままノックスをやらせろっていうの!?」

アムロ「これはもう戦争じゃない!無駄氏にするだけだぞ!俺はソシエお嬢さんを助けに行く!」

メシェー「・・・・わかった!」

19: 2010/10/10(日) 20:17:23.50
─ミリシャ司令部・ボストニア城

グエン「ミリシャの被害は!」

ヤーニ『・・・・・・は甚大・・・・ザッ・・・・ミハエ・・・・ザザッ・・・・・敵の砲撃で・・・・・氏・・・・・ザザザザ・・・・・・・』

グエン「ミハエル大佐がやられたのか!?ヤーニ軍曹!軍曹!!」

ヤーニ『・・・御曹・・・・ザザー・・・・・・・・・・・・・・・・』

キエル「グエン様・・・・!ディアナカウンターの司令部から通信が──」

グエン「繋げ!!」

グエン「ロナ少将!これは一体どういうことです!?」

カロッゾ『・・・・ザッ・・・・交渉期間・・2年は・・・・・終わったの・・・・ザザザッ・・・』

グエン「しかし・・・・これでは侵略ではないか!!」

カロッゾ『・・・・ガガッ・・期限は一ヶ月も前に切れ・・いる・・・・・・我々は地球に帰還・・・・伝え・・・はず・・・・』

グエン「帰ってくるのに、その土地の町を破壊するのですか!」

カロッゾ『・・・・・即刻・・・・・装解除・・・・ザッ・・・れば・・・ザザーッ・・・我々も・・・穏便に・・・・・プツッ』 

グエン「・・・・ええい!ムーンレィスこそよっぽど野蛮ではないか!」

21: 2010/10/10(日) 20:21:07.44
─マウンテンサイクル

ソシエ「・・・・うぅ・・・・何が起こったの?お祭りは・・・・・?」

ソシエ「・・・・・みんながいない・・・。置き去りにされるなんて・・・」

アムロ「お嬢さん!ご無事ですか!」

ソシエ「・・・アムロ?アムロよね!?遅いじゃない、ばかー!」

アムロ「・・・・・お嬢さん、服をどうしたんです?」

ソシエ「・・・え?う、うわあああ、あっち向いてて!!」

ソシエ「そうだった・・・ヒルをつけてたら光が走って・・・」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ・・・・・

アムロ「!!」

22: 2010/10/10(日) 20:22:14.56
ソシエ「ホワイトドールが・・・・!」

パラパラ・・・・・

アムロ(これはMSだ・・・・・!なぜ遺跡のようになってるんだ!?)

ソシエ「おヒゲが生えてる・・・・。ホワイトドールの中に、機械人形が入っていたの!?」
 
アムロ(ガンダム、なのか・・・・?)

アムロ「ソシエお嬢さん、このコクピットの中なら安全です、こちらへ」

24: 2010/10/10(日) 20:28:16.41
アムロ(このMS・・・・!俺の時代の物より遥かに進んだ技術で造られているというのか・・・!?)

ソシエ「運転できるの?」

アムロ「何であっても機械なんだ!動かしてみせるッ!」

ズ  ズ  ズ・・・・・

ソシエ「う、動いた!」

ズ ズ ズズズズズズズ・・・・・

ソシエ「うわああ、アムロ・・・!・・・・・何、その筒みたいなもの?!」

アムロ「ビームライフル・・・!」

ポゥ「MSの反応・・・・?地球にMSなど無いはずだぞ!」

ポゥは不審に思いつつも、ミサイルをばら撒きながら接近を試みる。

ソシエ「町が焼かれてる!アムロ、早く何とかしてよ!!」

アムロ「これ以上やらせるか!!」

ホワイトドールのライフルから放たれたビームはウォドムを掠めたが、ウォドムの厚い装甲に対しては決定打となり得ない。

アムロ「ちぃッ!銃身が溶けた・・・!?武器は・・・!」

ポゥ「やられた・・・!被害は?!今度は直撃を食らうのか!?」

25: 2010/10/10(日) 20:32:25.32
アムロは機体を巧みに操り、全弾を遮二無二撃ちながら後退するウォドムの懐に飛び込むと、ドーム状の頭を蹴り上げ、よろめいた所に追撃の右ストレートを叩き込む。
間髪入れず両足を掴みあげると、40メートルのウォドムの巨体を中空に放り投げた。

ポゥ「何が起こっているのか分からない!!この私が!野蛮人に弄ばれているというのかッ!?」
 
アムロ「このMSすごいぞ!馬力も運動性も桁違いだ!!!」

ここまで自分の反応をダイレクトに反映するMSにアムロは出会ったことが無かった。
彼の生きた宇宙世紀の技術では、彼のパイロットスキルを超えるスペックを持つ機体など造れなかったのだ。
そんな歯がゆさへの折り合いをつけてきたアムロにとって、このホワイトドールとの出逢いは衝撃であった。

ポゥ「ううッ・・・こんな・・・!野蛮人ごときにタコ殴りにされた挙句に・・・・・ひっく・・・弾まで切らせて帰るなどッ・・・・!
ディアナ様、こんな情けない私めを、どうかお笑い下さいッ!!!ウワアアア」

己の不甲斐なさに咽び泣くポゥ・エイジにとっても、ホワイトドールとの出逢いはまた別の意味で衝撃的だったのである。

27: 2010/10/10(日) 20:34:03.60
ポゥwそりゃいきなりアムロとかポゥでなくても泣くわwww

28: 2010/10/10(日) 20:34:59.05
アムロ「ソシエお嬢さん、ソシエ」

ソシエ「・・・・う・・ん・・・あれ・・・・?・・・・わたし気絶してた・・・?」

アムロ「カカシは行ってしまいましたよ」

ソシエ「でも・・・町は・・・」

ソシエ「・・・・わたし、町の様子を見てくる!お父様が心配だもの!」

アムロ「危険ですお嬢さん!せめて戦闘が終わってから──」

ソシエ「のんびり待っている間に家が燃やされちゃうかもしれないでしょ!!」

アムロ「いけません!」

ソシエ「放してよ!」

老人「おーい、それに乗っとるのは誰じゃ!」

アムロ・ソシエ「!」

31: 2010/10/10(日) 20:38:37.77
ジリリリリリ・・・・・ガチャ

グエン「私だ」

グエン「ジュド爺さんか。・・・・・・・・ホワイトドールが?・・・・現場を徹底的に調べ上げろ。ミリシャを使ってもいい。
戦力になりそうな物が見つかったら報告してくれ。・・・アムロはいるか?・・・・・・そうか、わかった」

キエル「グエン様、アムロが何か・・・?」

グエン「ホワイトドールの石像から現れた機械人形をアムロが操り、敵を退けたらしい。ソシエ嬢もご無事のようだ」

キエル「それは良かった・・・・・。しかしなぜホワイトドールに機械人形が?」

グエン「・・・・・・恐らく黒歴史の遺物だろう」

キエル「黒歴史・・・・・・でございますか?」

33: 2010/10/10(日) 20:40:46.25
ソシエ「なによ、これ・・・・・嘘でしょ」

ソシエ「家が・・・・・めちゃめちゃじゃない・・・・!」

アムロ(ミサイルの直撃を受けたのか・・・・)

アムロ「!!」

アムロ(旦那様・・・・・!)

ソシエ「アムロ・・・・?お父様は──」

アムロ「ソシエお嬢さん、見ちゃだめだ!!」

ソシエ「!!!」

ソシエ「い・・・・いや・・・・」

アムロ「お嬢さん、落ち着くんだ!」

ソシエ「いやああああああお父さまあああああ」

アムロ「くそッ」

アムロ(一体誰が何のためにこんな戦争を・・・・・!)

35: 2010/10/10(日) 20:44:10.90
─ディアナカウンター戦艦アルマイヤー

フィル「ヒゲのMS・・・・?たかが一機のMS、騒ぎ立てするほどの事ではない。それよりもポゥ少尉、貴様の失態の方がよっぽど問題なのだ」

ポゥ「いかなる罰でも受ける覚悟は出来ております・・・ッ!」

カロッゾ「そう息むでない。今この重要な局面で無駄に人員を割くことは賢明ではない。・・・・この件は不問とする」

ポゥ「・・・少将殿・・・!・・・この恩情・・・必ずや報いてみせます・・・・!」

フィル「ロナ少将、これでは兵の戒めになりますまい。軍紀の乱れは避けられぬでしょうな」

カロッゾ「それを承知の上でディアナ様はわしを指揮官に任じたのであろう。
そんなことよりも、ディアナ様が降臨なさるまでにこの地上の混乱を如何にして沈静化するかの方が重要なのだ。ノックスはどうか」

フィル「ミリシャの抵抗が激しく、双方に被害が出ております」

カロッゾ「事態の収拾に全力を尽くすのだ!ハマーンの小言がわしの神経を消耗させていること、よもや知らん訳ではあるまい!」

36: 2010/10/10(日) 20:47:45.95
─マウンテンサイクル

アムロ「ジュド爺さん!」

ジュド「おお、アムロかい。ハイムの旦那さんの話は聞いたよ・・・・・・。酷いもんじゃ、戦争など始めおって・・・・・。
・・・・・それで、ソシエお嬢様は?」

アムロ「一応簡単な葬儀は終えたが、お嬢さんはまだ熱に臥してる。相当まいっているみたいだが・・・・・」

ジュド「ソシエお嬢様はお強い娘じゃ、きっと立ち直って下さるじゃろ」

アムロ「ところで、ヒゲのやつの武器が見つかったというのは・・・・・・」

ジュド「おお、そうじゃった。さ、こっちへ」

ロウ「バッキャロー!そこを掘ったら落盤しちまうって言ったろーがァ!ミリシャは下がりやがれ!」

アムロ「ミリシャも動員しているのか・・・・」

ロウ「お?ジュド爺さん、アムロ!中でみんなが待ってるぜ、早く行けよ」

アムロ「ロウ!君が指揮を執ってるのか」

ロウ「ヤーニ軍曹はミハエル大佐の敵討ちとか言って、ラダラムさんたち連れて出払っちまってるんだよ」

アムロ「軍曹の血の気の多さが、厄介を起こさなければいいが・・・・」

37: 2010/10/10(日) 20:51:13.43
ガロード「お!来やがったか!」

アムロ「やあガロード。マクグリフ技師も来ていたのか」

セレーネ「武器庫のような物から発掘できたのはこれだけよ」

アムロ「これは・・・・・ハイパーハンマー・・・!」

セレーネ「近接戦闘用の兵装のようね。・・・ただ、経年劣化が酷くて、実戦に耐えるかはわからないわ」

ガロード「名付けてガロード・ハンマー何てどうよ!?へへっ、かっちょいいだろ!?」

アムロ「しかし、武器がこれだけとは考えにくいな」

ジュド「もちろん、これが全てではないはずじゃ」

セレーネ「この地下にまだ空洞があるようなのよ。それもかなり広くて、深い」

ジュド「おそらくこの武器庫のような物は、かつては何かの施設だったのじゃろう。
山師の間でこの手の遺跡がマウンテンサイクルと呼ばれておるのは知っておるじゃろ?」

アムロ「マウンテンサイクル・・・・・」

ロウ「おい、大変だ!あのカカシがまた攻めて来やがった!まっすぐこっちへ向かって来る!!」

ガロード「何だとぉ!?」

ジュド「ホワイトドールが狙いか!」

アムロ「ヒゲで出る!」

39: 2010/10/10(日) 20:54:13.85
ポゥ「さあ、出て来いヒゲのやつ!」

部下「よいのでありますか?出撃命令は出ていませんが・・・」

ポゥ「やかましいんだよ!お前は私の上官か!?」

ポゥ「!・・・・来たな、ヒゲめ!!」

アムロ「カカシが一機と・・・・・あのちっこいのは何だ?アルマジロのようにも見える・・・・」

ポゥ「いいか、予定通りやる。私がやつを引き付けておくから、ウァッドで包囲、捕獲しろ!」

部下達「了解!」

アムロ「散開した・・・!カカシは囮か・・・」

ウォドムの砲門が火を噴いた。が、ビーム砲は損傷により使用不可能である。

アムロ「その程度の腕でッ!」

アムロはミサイルを悠然とかわしつつ、ハンマーを投擲する。ロケットモーターによりその破壊力を増した鉄球がウォドムを打った。
ウォドムの装甲が拉げ、モノアイが砕け散った。

ポゥ「鉄球だと!?こんな武器を隠し持っていたのか!ナノスキンが・・・!」

すかさずウァッドがホワイトドールを包囲するが、アムロの前ではこの小型MS、サッカーボールよろしく足先で転がされるのが関の山であった。

40: 2010/10/10(日) 20:55:29.89
ポゥ「ええい、またしても・・・!」

フィル『ポゥ少尉!』

ポゥ「フィル大尉からの通信・・・!?」

フィル『ポゥ少尉!いかなる交戦も許可されていないのだぞ!戻れ!』

ポゥ「ヒゲのMSを捕らえれば、交渉も有利に進むと考えて──」

フィル『貴様は私の上官ではない!口答えをするな!!』

ポゥ「・・・・・!了解・・・・・!」

ポゥ「またしてもッ・・・・・またしても私は・・・・・ッ!ウウウウ・・・・」

アムロ「行ったか・・・・・・」

42: 2010/10/10(日) 20:57:39.17
その後、各地の小競り合いは沈静化し、ボストニア城で交渉が執り行われる事になった。

グエン「──確かに、あなた方の科学技術力が我々を凌いでいることは認めましょう。しかし、我が方の機械人形の威力も、十分ご存知のはずだ」

カロッゾ「・・・・・・グエン卿、我々は戦争をやりに降りてきたのではないのです。本作戦が我々ムーンレィスの二千年ぶりの帰郷であることはすでに申し上げましたぞ」

グエン「それはあなた方の都合だ!」

カロッゾ「我々はあなた方への配慮を怠ったつもりはない・・・・!二年もの交渉期間、空費したのは誰だ!」

グエン「その二年なのです!月の整備された体制の中で、二年という年月が如何ほど長く感じられたかは存じません
──しかし、産業革命さえ興っていない地球での二年など、弾指の間のごとき短さであることを理解して頂きたい!」

カロッゾ「時間の長短は問題ではない!!我々は──」

ヤーニ「カロッゾ・ロナ!覚悟ォ!」ジャキッ

「!!!!」

44: 2010/10/10(日) 20:59:55.66
カロッゾ(う、撃たれる!!!)ササッ

ドンッ、ドンッ・・・・・・!

フィル「・・・・っぐぁ・・・・・・ッ」

グエン「ヤーニ軍曹!?やめろ!交渉は──」

ヤーニ「御曹司!ミハエル大佐には、妻も子もいたんです!!大佐だけじゃねえ!殺された同胞たちの恨み、ここで晴らさせてくだせぇ!」

ドンッ!

ヤーニ「・・・がぁ・・っは・・・・・・」

カロッゾ(危機は去ったか・・・?)こそこそ

カロッゾ「・・・・・・このような事態、残念です、グエン・ラインフォード。とりあえずの休戦です、しかし!フィル大尉の命の代償、蛮人ひとりの血で贖ったものと思われるな!」

グエン「く・・・・ッ!ディアナカウンターの面々をお見送りしろ!」

キエル「・・・・・・戦争、でございますか・・・?」

グエン「・・・・・・本気でやれるとは思っていない。私は負け戦をする気はないのでね」

45: 2010/10/10(日) 21:02:19.65
─ディアナカウンター旗艦ソレイユ

ディアナ「・・・・・・そうですか・・・・。フィル大尉が・・・・。これ以上の諍いは双方にとって無益です。
ロナ少将には今まで以上に上手く立ち回ってもらわねばなりませんね・・・・」

ロナ『かほどの気苦労、微々たるものでございます』

ディアナ「ワタクシも急ぎ降り立ちます。よしなに」

ハマーン「カロッゾ・ロナ・・・・。慎重派と申しましても、あの臆病者の老人にこの不測の事態を捌くだけの能力がありましょうか?
やはりディアナカウンター指揮官には、我が側近の──」

ディアナ「臆病者・・・・・?」

ディアナ「長らく絶縁状態にあった妻子と和解するため、神経症を乗り越え、自ら仮面を脱ぎ捨て世間にその素顔を晒したカロッゾを、臆病者と申すか!ハマーン!!」

ハマーン「!」

ハマーン「失礼致しました・・・・・。私心をこのような場で。しかし陛下、今申したこと、私めの嘘偽りなき本心であります故、なにとぞご再考のほどを・・・・」

ディアナ「ハマーンは下がってよい。ハリー中尉をここへ」

46: 2010/10/10(日) 21:03:06.54
ハマーン様まで出るとかwwwww

48: 2010/10/10(日) 21:04:21.48
地上では緊張が続いていた。一触即発のディアナカウンターとミリシャは、カロッゾとグエンの尽力で何とか抑えられている状態にあった。

領主「月から来たなどと、信用できるものか!我々をたばかるつもりなのだ、きゃつらは!」

グエン「あの技術力を前にすれば、信じるしかないでしょう!お気をお鎮め下さい!」

軍人「交渉が決裂したのなら、武力行使あるのみですぞ御曹司!」

グエン「交渉を止めるつもりはない!落ち着きたまえ!」

グエン「・・・・・はぁ」

キエル「心労が絶えませんわね。お紅茶をお持ちしました」

グエン「すまないな。お父上があのような目に合ってしまったというのに」

キエル「いえ、グエン様のお力になることを、父はきっと喜ぶと思いますので・・・・・・」

49: 2010/10/10(日) 21:06:25.09
─マウンテンサイクル

ソシエ「このボールみたいなのが機械人形なの?」

ロウ「ああ、カプルってんだ」

ソシエ「カプル・・・・・」

メシェー「これ、あたしとソシエに乗らせてよ。ソシエ、これに乗ってお父さんの仇、とろう!」

ソシエ「・・・・うん!」

メシェー「あれ、そっちの機械人形は・・・・?」

ジュド「これはまだ動かせん。なにやら複雑な機構のようでな・・・」

ソシエ「オレンジの犬?狼かな?」

ジュド「ドーベルマンと名付けたんじゃが、どうだい」

メシェー「かっこいいじゃん!」

52: 2010/10/10(日) 21:08:52.19
ガロード「ガロード・ライフルに、ガロード・バズーカ、ガロード・シールドと、それと・・・・」

アムロ「ミサイルもこんなに・・・・・胸部のサイロに積めそうだな」

セレーネ「地下施設はいくつかの階層に分かれていたの。ここにあるのは第三階層まで掘り起こした分よ」

アムロ「優秀なんだな」

ガロード「おっと、ガロード・サーベルを忘れてたぜ!」

アムロ「しかし・・・・この機体のポテンシャルは未知数だな」

セレーネ「この子はきっとまだ秘密を隠してる・・・・。それでも、敵の侵略を食い止められはしないでしょうね」

ガロード「敵さん、月から来たんだってな!月かぁ、俺も行ってみてぇなー!」

セレーネ「月だなんて・・・・。信じられて?」

アムロ「!!」キィィィィン

アムロ(この感覚・・・・・・・・!・・・・・まさか・・・・!!)

53: 2010/10/10(日) 21:10:26.16
ロラン「ユニバース!!これが地球・・・・・。すごい・・・・・。映画で見たのよりずっと綺麗だ!」

マリー「ええ、本当に。それにどこか懐かしくも感じる・・・・・。来るのは初めてなのに」

イザーク「しっかし、地球の重力がここまで重苦しいとはな。よくもこんな地に住もうなどと!」

ロラン「そう?僕は割りと好きだな、この感覚」

マリー「でもこの心地よさは人にとって枷となりはしないかしら・・・・?」

イザーク「・・・・おい、あれは何だ!?戦闘の光じゃないか?!」

女王ディアナが座乗するソレイユ率いる最終帰還部隊が、予定を早めて降下を始めた。
これに怯えたミリシャが降下地点の防衛部隊に向け砲撃を始め、再び戦端が開かれてしまったのだ。

54: 2010/10/10(日) 21:13:17.34
間違えた、マリーじゃなくてマリィだった

一時間ほど空けるのでよければ保守をお願いします

70: 2010/10/10(日) 22:22:48.69
ゴメス「よーし、ドカドカ撃ちこめー!宇宙人の横暴を許すな!」

メシェー「カプル隊は前へ!牽制をかけるよ!」

ソシエ「ムーンレィスがぁ!!」

戦場は瞬く間に硝煙に包まれた。ミリシャは奪取したウァッドまで持ち出し、まさに総力をあげて襲撃をかけたのである。

ポゥ「なんだあの玉っころは!?ディアナ様の帰還を邪魔するのか!!」

ソシエ「お父さまの仇ィィ!!」

メシェーたちのカプルのミサイルと、ゴメス率いる車輌部隊の砲弾を追い風に、ソシエのカプルが猛然と攻めかかった。
対するDカウンターのMSは、発砲を許可されていないため、防戦一方である。

ポゥ「玉っころが・・・!調子に乗るんじゃないッ!!」

ポゥのウォドムのマニピュレータがカプルを掴みあげる。

ソシエ「うわああ!放せ!放しなさいよ!」

がむしゃらに腕を振り回すカプルに堪らず、ポゥが機関砲を撃ち込んだ。これが引き金になり、Dカウンターが攻撃に転じる。戦場の混乱が、一層深まるかと思われたその時──

アムロ「みんなやめろ!ボストニア城ではグエン殿が交渉を再開したんだぞ!」

75: 2010/10/10(日) 22:27:09.90
メシェー「ホワイトドールが!」

ゴメス「アムロ!遅かったなぁ!」

アムロ「ゴメス大尉か!部隊を引き上げろ!取り返しがつかなくなる!」

アムロのホワイトドールがビームサーベルを引き抜き、カプルを甚振るウォドムのマニピュレータを切断した。

ポゥ「ヒゲめぇ!武装が充実している!?マウンテンサイクルを掘り返して・・・・・・!」

アムロ「ソシエ、無事か!」

ソシエ「アムロ・・・?」

アムロ「兵隊のまね事なんてよせ!お嬢さんが戦っているのを知ったらお父様が悲しむぞ!」

ソシエ「なによアムロだって、勝手に執事をやめて兵士になってるじゃない!」

アムロ「それもそうだが、なにもお嬢さんまで戦うことはない!」

アムロ「!」

76: 2010/10/10(日) 22:28:51.75
そこに一機の白いMSが降り立った。丸腰である。

ソシエ「何あれ・・・・!月にもホワイトドールがあるの!?」

ロラン「戦いを止めてください!ディアナ様が帰還なされます!」

ポゥ「あれは親衛隊のロランのホワイト・スモー!」

ロラン「ホワイトドールのパイロット、聞こえますか。ここはどうか、剣をお納め下さい」

その気品ある物腰に、アムロは警戒を解いた。その声はミリシャやDカウンターの面々の、心のわだかまりさえも溶かすかに思われた。

78: 2010/10/10(日) 22:31:52.57
そして、ミリシャの兵や交渉に訪れた諸領主の前に女王ディアナがその姿を現した。

ソシエ「お姉・・・・さま・・・・?!」

キエル「わたくし・・・・?!」

グエン「瓜二つではないか・・・・!」

ディアナの容姿に驚愕する面々の隣で、アムロの意識はまったく別の人物へと向けられていた。

アムロ(シャア・・・・・!!!)

シャア(アムロ・・・・・!遅かったな・・・・!!)
交渉は再開された。しかし水面下では、ミリシャによるロストマウンテン発掘、軍備の増強が行われ、Dカウンター内でも再び主戦論が巻き起こり始めていた。
この状況に際し、ディアナが提言した打開策とは・・・・・・。

81: 2010/10/10(日) 22:37:01.65
─グエン邸

アムロ「親睦パーティ?」

グエン「そうだ。ディアナ・ソレルはこの争いの平和的解決を望んでいらっしゃる」

ソシエ「仲良くする振りして暗殺、なんてことないわよね?」

グエン「無論、その可能性も考えたが・・・・。しかしその危険はあちらにとっても同じこと。
勇気ある提案には、勇気をもって応えねばなるまい」

キエル「あちらの重役たちもそろって参加することからも、その本気度がうかがえます」

グエン「アムロにも、ヒゲの機械人形のパイロットとして出席してもらいたいのだが・・・・」

アムロ「自分もでありますか・・・・」

グエン「しかしアムロのビジュアルではいささか話題性に欠けるとは思わんかね。もっとこう、センセーショナルな刺激と言うものをだな・・・・」

キエル「うーん、確かにそうかもしれませんね・・・・・」

ソシエ「・・・・そうだ!」

ソシエ「アムロが女装してみるっていうのはどうかしら!」

アムロ「えっ」

82: 2010/10/10(日) 22:38:30.37
えっ

85: 2010/10/10(日) 22:41:10.66
ソシエ「あのホワイトドールのパイロットが女の子だなんて、なかなか刺激的じゃない?」

キエル「確かに刺激的だけれど・・・・・それは」

グエン「・・・・・・・・・・・・」

グエン「・・・・パ、パーティへの参加はしめやかに行う方向でいこう。信用を得ることが何よりも肝心だ」

キエル「そ、そうですわね!下手な小細工など、無用の長物でございましょう」

ソシエ「何この空気・・・・!?ただのかわいいジョークじゃない・・・」

アムロ「・・・・・俺の女装姿を想像した後でも、同じことが言えるのかい?」

ソシエ「・・・・・・・え?」

ソシエ「・・・・・・・・・・・・・」

87: 2010/10/10(日) 22:42:46.66
─パーティ当日

マリィ「ほらロラン、貴婦人修行を思い出して!」

ロラン「で、でも・・・・・恥ずかし・・・・」

ハリー「・・・・・!ロランか・・・・・!?」

ロラン「ローラです・・・・」

ハリー「ほぉ・・・・・・・」さわさわ

ローラ「きゃっ・・・・どこさわって・・・・」

ハリー「ふむ・・・・・・中々どうして・・・・・」もみもみ

ローラ「や、やめてっ・・・・」ぺしィッ!

ハリー「はっは、なかなか板に付いているじゃないか。・・・・素質があるのかもしれんな」

ローラ「そっ、そんなこと・・・・」

マリィ「・・・・・こほん。・・・では、参りましょう」

そんなこんなで、パーティは始まったのだが・・・・・

90: 2010/10/10(日) 22:45:02.53
グエン「パーティといっても、月は月、地球は地球同士で盛り上がっていてはな・・・・・」

アムロ「・・・・・こうなることは予想されていましたが」

ハリー「どなたか私と一曲、どうでしょう」

ソシエ「うわぁ・・・・・何あのセンス・・・・」

キエル「わたくしでよろしければ」

ハリー「これは麗しきご婦人・・・・」

ハリー(やはり似ている・・・・・・。クローンというわけではあるまいな・・・・・)

キエル「キエル・ハイムでございます」

ハリー「・・・・ほぅ、ハイム家の・・・・・・・私は親衛隊隊長の・・・・・・」

キエル「・・・・・・・・まぁ・・・・・・・・・・・・あら・・・・・・・・」

アムロ「空気が和んだ・・・・・。あの男、服の趣味は悪いが要領は良いな」

グエン「ではアムロ、女王陛下の元へ参ろうか」

93: 2010/10/10(日) 22:48:25.62
グエン「陛下、こちらがホワイトドールのパイロット」

アムロ「アムロ・レイでございます」

ディアナ「ディアナ・ソレルであります」

ディアナ「こちらは執政のハマーン・カーンと、その側近のシャア・アズナブル大佐、そして親衛隊のローラ・ローラ少尉」

シャア「・・・・・・・・・」

アムロ「・・・・・・・・・」

ローラ(・・・・・・・・?)

ディアナ「アムロ殿は素晴らしいパイロットであると聞き知っています。宜しければ我が方のパイロットのローラと、一曲踊って頂けないでしょうか?」

アムロ「ええ、よろこんで」

94: 2010/10/10(日) 22:51:44.88
>>92
これ前に読んで面白かったんだけど、途中で終わってて残念だったからこのSS書きました
展開とかは違います

96: 2010/10/10(日) 22:54:28.53
ローラ「あのホワイトドールからは、なにか神聖ささえも感じられますわ」

アムロ「ただの兵器です。ホワイトドールだけが特別なわけではありませんよ」

ローラ「ミリシャは次々とMSを発掘しているそうですわね」

ローラ(ターンAの秘密を知らないこの人に、このまま使わせていいのか・・・・?)

アムロ「抑止力ですよ。我々は戦争をしたいのではありません」

ローラ「思いが同じで安心致しました」


ハマーン「・・・・茶番だな」

シャア「・・・・しかし、必要な茶番だ」

シャア「・・・一曲どうだハマーン?」

ハマーン「・・・貴様本気で言っているのか」

シャア「冗談さ」

97: 2010/10/10(日) 22:56:41.87
ディアナ「・・・・どうです?」

ローラ「アムロ・レイは危険な人物ではないと思いますが・・・・。月光蝶の偶発的な解放は心配です」

ディアナ「・・・ではあの計画を・・・・。くれぐれも内密に」

ローラ「・・・・・・はい」

ディアナ「よしなに・・・・・・」

ハマーン(ディアナめ・・・・・こそこそと動きおって。ハリー・オードの入れ知恵か・・・・・?)

98: 2010/10/10(日) 23:02:59.54
アムロ「シャア・・・・・なぜ貴様が・・・!」

シャア「私の意志が、貴様をこの世界へ引き寄せたと思いたくは無いがな」

アムロ「そもそもこの世界はなんだ!?二年前、アクシズで何が起こったんだ・・・・!?」

シャア「そんな疑問、私は千五百年も前に捨てたよ」

アムロ「・・・・・・・何だと・・・!?」

シャア「月の技術ならば可能さ。今も百万の民が冷凍睡眠の中にいる」

シャア「私はこの世界を生きることに決めたのだよ、アムロ」

アムロ「まだ何か企んでいるのか!」

シャア「安心しろ。地球に対して月落としを仕掛けたりはしないさ」

アムロ「冗談!」

シャア「では、先に失礼させてもらう。・・・・ハマーンが待っているのでな」
 
アムロ(あのハマーン・カーンとシャアが組んで何も企んでいないハズはない・・・・・・。一体何を・・・・・?)

100: 2010/10/10(日) 23:05:40.41
交渉は滞っていた。サンベルト一帯の提供というムーンレィスの要求を、地球の領主たちは受け入れない。
狭い仮入植地に押し込められた帰還民たちは困窮し、亡命が相次いだ。

その頃、アルマイヤーのブリッジではカロッゾ・ロナが締め上げるような胃の痛みと必氏で闘っていた。

ハマーン「このザマは何だ?貴様の交渉術の至らなさが、このような事態を招いているのだぞ」

カロッゾ「・・・・・うぬぅ・・・・しかし、わしとて──」

ハマーン「言い訳はいい!!これ以上の貴重な人材の流出は避けねばならん。だいたい貴様は・・・・・・」

カロッゾ「・・・・・ええい・・・・胃がキリキリと言うておる・・・・・。ハマーンなど月へ帰ってしまえ・・・・・・!」

ハマーン「・・・・・・・何か言ったか」

カロッゾ「・・・何でもない!通信終わり!」ブツッン・・・・

102: 2010/10/10(日) 23:08:53.06
そのころ、地上の視察のため、ディアナ・ソレルがグエン・ラインフォードの飛行船に招かれていた。

ソシエ「あーあ、ムーンレィスの女王がお姉さまにそっくりだなんて・・・なんだか気後れしちゃった」

アムロ「これを機にパイロットを降りてみるのはどうです、お嬢さん」

ソシエ「そんなことするわけないでしょ!いつからそんな生意気な口を利くようになったのよ!」

キエル「まぁ、相変わらず二人は仲がいいわね」

アムロ「どちらに?」

キエル「ワタクシですか?ディアナ様とお茶をしていました」

アムロ(・・・・・?なにか・・・・)

106: 2010/10/10(日) 23:13:08.29

ハリー「ディアナ様、そろそろソレイユに戻らなくては」

ディアナ「はい。ではグエン殿、わたくし共はここで」

グエン「この視察が交渉に良い結果をもたらすこと、期待しておりますよ」

ディアナ「ええ。では参りましょう、ハリー」

ハリー「・・・・・・・」

ディアナ「ハリー中尉・・・・・?」

ハリー「・・・・失礼。先ほど、ハマーン執政官から通信がありまして、アルマイヤーのカロッゾ少将との連絡が途絶えたとのことです」

ディアナ「・・・・・・・?」

107: 2010/10/10(日) 23:14:50.71
程無くして、カロッゾが部隊を率い、ボストニア城を急襲した。ディアナ、グエン不在の中での変事であった。
駐在していたミリシャはその圧倒的な兵力の前にことごとく敗走し──ノックスは陥落した。

男性「ノックスは落ちたんだ・・・・!早く逃げなきゃ、クリス!」

女性「そんな・・・・・バーニィ・・・・私たちの街が・・・・・」

男性「しっかりするんだ!家ならまた建てればいい!でも、氏んじゃったら何にもならないんだぞ!」

グエン「一体なぜ!?交渉は?!今までの努力を、無駄にするつもりか、ディアナ・ソレル!!」

壊滅したノックスの街で、凋落したグエンの叫びが空しく響くのであった。

108: 2010/10/10(日) 23:17:29.32
─ソレイユ

ディアナ「ロナ少将との連絡はまだとれないのですか!」

ハマーン「既にシャアを偵察に向かわせておりますが・・・・・・」

ディアナ「ハマーンがいながら、この失態は何か!!」

ハマーン「申し訳ございません。しかしヒステリーを起こした男の心中など、容易には察せませなんだ」

ディアナ「・・・・・ともかく、事態の収拾を急ぎなさい」

ハマーン「は」

ハマーン(いきがるなよ、小娘が・・・・!)

112: 2010/10/10(日) 23:21:37.65
その頃、敗走したイングレッサ・ミリシャは、カロッゾ・ロナの執拗な追撃を受けていた。

メシェー「ソシエ!十一時の方向からカカシが二機!!」

ソシエ「まだ来るの・・・!?もう戦う気力なんて・・・」

ゴメス「ええい!カロッゾがこうもねちっこい男だとは!
アムロのヒゲをもっと前に出せ!!ガロードとロウも出撃しろ!!」

ガロード「ドーベルマンはまだ動かせないっての!」

ゴメス「アルマジロがあるだろ!!」

ロウ「武器がねぇよ!!」

ゴメス「なら体当たりでもすればいい!!」

アムロのホワイトドールは四機のウォドムと十機近いウァッドに足を止められていた。

ポゥ「これだけの戦力差がありながら・・・なぜ墜ちないッ!ヒゲェ!!」

アムロ「カカシの装甲は自己修復機能を備えているのか・・・!?・・・・ならば!!」

アムロはビームライフルの出力を絞り、矢継ぎ早に撃ちつつ一機のウォドムに接近、すかさず二本のサーベルで両断する。

ポゥ「速い──」

114: 2010/10/10(日) 23:22:56.63
ポゥのビーム砲がようやくホワイトドールをとらえた。
シールドに阻まれ機体には届かったが、その一撃は再びアムロの足を止めた。

アムロ「・・・チィッ!」

ガロード「アムロ!メシェーが!!」

アムロ「!」

激しく損傷したメシェーのカプルがガロードとロゥのウァッドに抱えられていた。
ミサイルの直撃を受けたのだ。

ソシエ「ホワイトドールは何をやっているのよ!アムロ!!」

アムロ「くそ!!」

124: 2010/10/10(日) 23:47:28.83
その時、後方から迫るMS部隊があった。

ギャバン「俺の大事な花嫁は無事なのか!?」

ソシエ「ギャバンなの!?」

ゴメス「ルジャーナの援軍か!!」

アムロ「スエサイド部隊・・・・!」

ポゥ「・・・撤退でありますか!?しかしあの程度の援軍――」

カロッゾ『引き際を見誤り、いらぬ損害を被るわけにはいかんのだ!たわけ!』

ポゥ「了解!」

ポゥ(少将殿、お人柄が変わっても、逃げ足の速さだけは変わっていない・・・・)

128: 2010/10/10(日) 23:59:39.12
イングレッサ・ミリシャの残兵は、リリ・ボルジャーノが治めるルジャーナ領のミリシャとの合流を果たした。

メシェー「戦線離脱だってさ、情けないよね」

ソシエ「そんなことない、メシェーはよくやったわよ」

メシェー「・・・・・ありがとう。あたし、すぐに帰ってくるよ!絶対!」

アムロ「・・・・・止めないのかい」

ラダラム「父親としちゃあ、そうしてぇが・・・・・あいつも根っからの飛行機乗りだからなァ・・・・止めても帰ってくるだろうなァ・・・・」

メシェー「ソシエを頼んだよ、ギャバン」

ギャバン「おうよ!お前はしっかりケガ治してこい!」

129: 2010/10/11(月) 00:06:18.85
アムロ「すまなかったなギャバン。俺が不甲斐ないばかりに・・・・」

ギャバン「いいんだよ、あんたには借りがあるからな」

アムロ「・・・・・ああ、去年のパーティでソシエとの仲を取り持ったことか」

ギャバン「そっちじゃない、半年前の軍事訓練で俺の戦闘機を派手に撃ち落としてくれた方だ!!」

アムロ「そっちだったか・・・・・」

ロウ「おい!グエンさんが帰ってきたってよ!お客さんもいるみてぇだ!」

130: 2010/10/11(月) 00:07:39.35
あれ、PCから行けました。規制解除されたみたいです

131: 2010/10/11(月) 00:17:36.03
グエン・ラインフォードはルジャーナ・ミリシャのマリガン中佐に保護され、辛くも逃げ延びた。

ジュド「む?見知らぬMSを連れておるな・・・」

グエン「みんなすまない。迷惑をかけたな」

キエル「すっかりおやつれになって・・・・」

リリ「でも、そんなグエン様もワイルドで素敵ですわ」

セレーネ「そのMSは・・・・?ルジャーナが掘り出したものかしら?」

ロラン「これはフラットっていう、ムーンレィスのMSです」

ギャバン「なんだと!貴様はムーンレィスなのか!?ソシエの父上をやったのか!?」

マリガン「落ち着きたまえギャバン君!・・・・これには事情があるのだ」

グエン「彼らは帰還地からの脱走者だ。詳しくは彼の口から話してもらおう。・・・クワトロさん」

クワトロ「始めまして皆さん。私はクワトロ・バジーナ。こっちは甥のロラン・セアック」

ロラン「始めまして」

アムロ(・・・・シャアめ・・・・!)

キエル(・・・・・・・・大佐がなぜ・・・・・!?)

133: 2010/10/11(月) 00:21:57.52
クワトロ「私たちは二年前、地球の環境調査のため月から降りてきたのです。このフラットを使って」

ロラン「調査員は、調査が終わったら地球に定住することを許されているんですが・・・・
ハマーン執政官は人員不足を理由に、僕らを帰還地に召集して・・・・・・」

ガロード「なるほどねぇ・・・・・そのハマーンとか言うおばさん、アレだな、みんなから嫌われるタイプだな」

ギャバン「・・・・スパイなんてことないだろうなァ?」

ロラン「・・・・・・・」

グエン「やめたまえ、ギャバン・グーニー。彼らはこの二機のMSと月の技術を提供するとまで言ってくれているのだ」

ジュド「それはありがたい!さっそく見てもらいたいMSがあるんじゃが・・・・・」

アムロ(・・・・・ハマーンの差し金か・・・?)

クワトロ(・・・・・貴様に答える義理はないな)

ソシエ「内緒話してる・・・・・知り合いかしら・・・・?」

135: 2010/10/11(月) 00:27:19.57
ロウ「・・・・・つまり、ディアナの地上視察は罠だったんじゃないかって思うんだよ」

ソシエ「その隙に、ノックスをやったのね・・・!」

グエン「出来れば信じたくないがな・・・・・」

キエル「そのような・・・・・!・・・・ディアナ様がそのような策謀をめぐらすことはしないでしょう」

ソシエ「お姉さま、敵の肩を持つの!?」

アムロ「しかしカロッゾ・ロナの今までの交渉ぶりから考えると、確かに今回の突然の侵攻には違和感を感じるな」

キエル「ワタクシもそう感じます。何者かがディアナ様の不在に付け入って、あのような暴挙をはたらいたに違いありません!」

ソシエ「お姉さま!アムロまで!」

ガロード「ま、考えてもしゃーないことを考えてもしゃーないんじゃない?」

ロウ「それもそうだな」

アムロ(シャアなら何か知っているのか・・・・?)

137: 2010/10/11(月) 00:30:27.61
ロラン「驚きました。まさかシャア大佐と鉢合わせるなんて・・・・・」

シャア「私も驚いたよ」

ロラン「大佐は誰からの指示で潜入を?・・・・・ハマーン執政官ですか?」

シャア「いや、女王陛下直々の密命を受けた。ハマーンは介していない」

ロラン(え・・・・・?)

シャア「君はハリー中尉の命令だろう?」

ロラン「・・・・・え、ええ、そうです。ターンタイプの調査のためにと・・・・」

シャア「私も同じさ」

ロラン「そうでしたか・・・・・」

シャア(フッ、甘いな、ロランの坊やは。
それにしても、あのディアナ・ソレルが知恵を付けたというのは本当だったのか・・・)

138: 2010/10/11(月) 00:33:38.22
ロラン(どういうことだ・・・?大佐もディアナ様の・・・・?
でも大佐はハマーン執政官の側近のはず・・・)

ソシエ「こんな所にいたのね!」

アムロ「お嬢さん落ち着くんだ・・・・!」

ロラン「!!・・・・え、えっと、確かソシエ・ハイムさんと、アムロ・レイさん」

ソシエ「ロラン・セアック・・・・・」

ロラン「はい?」

パンッ!

アムロ・クワトロ「!?」

ロラン「え・・・・・えええ・・・・・!?な、何で僕がぶたれないといけないんですかぁ!?」

ソシエ「知らないわよ!でも、なぜだか・・・・・あなたをぶたなきゃいけない気がしたの!!」

ロラン「言いがかりですよ!」

クワトロ「ソシエ・ハイムとは、生命力に溢れる女性なのだな。貴様の主人だろう?」

アムロ「ソシエお嬢さんの平手は痛いのさ」

142: 2010/10/11(月) 00:42:15.24
そのころDカウンターは、カロッゾの追撃・混乱の鎮圧に追われていた。
主戦派の将校たちは続々とカロッゾの傘下に入り、その勢力はもはや見過ごせない規模になっていた。

ソレイユでは、偵察から戻ったハリー・オードが報告を始めていた。

ハリー「性格が一変したカロッゾ少将は、一部の帰還民を使ってマウンテンサイクルを掘り返し、戦力のさらなる増強を図っている模様です」

ディアナ「まずいですね・・・・シャア大佐との連絡も途絶え・・・・・。少将の身に何が起きたのでしょうか?」

ハリー「問い詰めましたところ、あくまでディアナ様への忠誠心から起こした行動であるとのことですが・・・・・あまりに不自然な点が多い」

ハマーン「陛下の交渉、交渉の一点張りの姿勢では、兵の不満も溜まりましょうなぁ・・・・」

ディアナ「ハマーンは戦争をしたいと申すのか?」

ハマーン「そのような・・・・・」

ディアナ「少しよいか、ハリー中尉と二人で話したい」

ハマーン「・・・・は」

148: 2010/10/11(月) 00:54:09.87
ディアナ「・・・・・どうしましょう、わたくし、わたくし・・・・」

ハリー「・・・・・お気を確かにお持ち下さい。ハマーンに弱みを見せてはなりません」

ディアナ「ハリー・・・・・・わたくしは本当は──」

ハリー「もう何も申されるな。・・・・・・何かあれば私にお頼り下さい」

ディアナ「・・・・ハリー殿・・・・・いつから気づいていたのです?」

ハリー「地上視察の時からです。においと気配で感づきました」

キエル「わたくしたち、ほんの小さな出来心から・・・こんなこと──!・・・・んっ・・・・」

ハリー「・・・・小うるさい唇の黙らせ方です」

キエル「・・・・・・ハリー・・・・・」

ハリー(さて、どうしたものかな)

156: 2010/10/11(月) 01:21:51.45
─アルマイヤー

カロッゾ「戦力は揃ったな・・・・・。ハリーが動き出す前に、ミリシャの敗残兵どもを叩き潰す!!月からの増援も来る予定だ」

ポゥ(増援・・・・?まさかあの女ではないだろうな)

カロッゾ部隊による再追撃が始まった。ミリシャは二人のムーンレィスの助けもあり、万全の体勢でこれを迎え撃つ。

ゴメス「いいか、俺たちはこのギャロップを軸に戦線を張り、ゆっくりと後退しつつ敵をキングスレーの谷まで誘い込み、スエサイド部隊による爆撃で一網打尽にする!わかったな!」

ソシエ「私たちは囮ってことじゃない」

ゴメス「何か言ったか!」

ソシエ「何にも!」

ロラン「来ますッ!」

アムロ「まずは俺とロウのドーベルマンで仕掛ける!」

クワトロ「私とロランとソシエ嬢は後方から援護だ」

ソシエ「金ぴかのクワトロさんが仕切らないでよ!!」

ポゥ「ムットゥー隊は上空から援護だ!増援などには期待せず私たちだけで仕留めるぞ!!」

ポゥのウォドムが先制した。超長距離ビーム砲を搭載した強化型である。極太のビームが大地を抉り、谷を揺らす。

ギャバン「なんだこの振動は!アムロ!ソシエは無事なんだろーなぁ!!」

158: 2010/10/11(月) 01:32:16.09
ロウ「こりゃあとんでもねぇ!けど機動性でこのドーベルマンに勝てるわきゃねぇぜ!」

ロウが躍り出た。ドーベルマンのキャタピラが唸り声をあげる。背部ミサイルポッドから一斉にミサイルが発射される。

ポゥ「なんだこの犬っころは!そんな拾い物で何が出来るッ!」

ロウの進撃を三機のウォドムと複数のウァッドたちが阻んだ。

ロウ「こりゃ骨が折れる・・・・ソシエ!ミサイルが切れた!ドーベルマンに乗っかれ!」

ソシエ「わたしを砲台代わりにする気!?」

ロウ「足の遅いカプルじゃメシェーの二の舞だってんだ!!」

ポゥ「玉っころが、犬っころに乗っかって・・・・・遊んでいるのかこいつらッ!?」

160: 2010/10/11(月) 01:38:15.43
そのころアムロは、上空からビームライフルを乱射するムットゥーをあしらいながら、強化型ウォドムを真っ直ぐに目指していた。

アムロ(パワーをチャージしている間につぶせば・・・・)

ポゥ「ふふっ、甘いんだよヒゲェ!!」

アムロ「速い!?・・・・ホバークラフトだと!?」

ポゥ「ほらほら!捕捉してみろヒゲめ!出来るものなら──ッぐぅ──こ、こいつ、ほんとに当ててきたぞ!?」

アムロは胸部のマルチパーパスサイロに装填されたミサイルで巧みに撹乱しながら、ビームライフルを正確に命中させる。この程度、造作も無かった。

アムロ「ビームコーティングされている・・・・なら!」

アムロはライフルでは有効打を与えられないと気づくと、すかさずホワイトドールの尻部にマウントされているバズーカに持ち替え、撃ちかける。

ポゥ「くそっ・・・!おい、ムットゥーは何をやっている!?」

163: 2010/10/11(月) 01:47:34.11
ムットゥーが激しく攻めかける。アムロはその全てを受け流す。

アムロ「ウサギがうるさいッ!」

ポゥ「ヒゲよ沈めェッ!!」

長距離ビームの第二射の轟音が谷に響き渡った。アムロは驚異的な反射速度でこれをかわす。

アムロ「当たるか!」

ポゥ「この距離で外すのか!?」

クワトロ「アムロ!前に出すぎるな!まだターンAのIフィールドは使えん!!」

アムロ「わかってるよ!・・・・・ターンAだと・・!?」

ロラン「ギャロップが後退します!」

ポゥ「敵が後退するぞ!一機に畳み掛けろ!」

勢い込むDカウンター勢に、クワトロの黄金色のフラットとロランのフラットが銃弾を浴びせかける。

ポゥ「金色のMS!?ハリー中尉じゃないのか!?・・・・フラットのソニック・シールドとは、やっかいな・・・・!」

ギャロップによる援護射撃も加わり、Dカウンター側の苦戦が目立ち始めた。

ポゥ「月からの増援はッ!?何をしているんだよ!!」

165: 2010/10/11(月) 01:56:21.43
カロッゾ「・・・・ポゥめ、勇み足を踏みおって・・・!本艦も援護に向かう!」

仕官「少将!援軍が到着しました!」

カロッゾ「来たか!」

ギャバン「おい、本当に大丈夫なんだろうな・・・!ラカン!様子を見て来い!」

ラカン「了解!・・・・・むっ?」

ギャバン「どうした!?」

ラカン「空から・・・・飛行船が!こっちに落ちてきます!」

ギャバン「何ィ!?」

ポゥ「・・・・あんなしょぼい輸送船が増援だと!?舐めるんじゃないよ!!」

「しょぼいとはご挨拶だな、泣き虫ポゥ・エイジ少尉殿」

166: 2010/10/11(月) 02:01:42.84
ポゥ「・・・・・・その声・・・・・やっぱり貴様かッ・・・・・・!モニク・キャディラック!!」

モニク「モニク・キャディラック特務大尉殿だろう?無礼者!──マイ技術中尉!MSを全機発進させろ!!」

オリヴァー「パイロットたち、準備は──」

オリヴァー「あれいない?」

オルガ「おらおらおらおらァ!!ぶちかますぜェ!!!」

クロト「うりゃああああああ!まとめて滅殺!!!!」

シャニ「きっもちいいいいいいいいい!!!!」

オリヴァー「うわぁ!何だこいつら!」

モニク「これまた奇怪な奴らをよこしてきたものだ・・・・あの青臭い少佐殿も・・・・」

172: 2010/10/11(月) 02:38:13.88
既出キャラまとめときます

地球

グエン・ラインフォード(∀)    キエル・ハイム(∀)
イングレッサ領主          ハイム家長女、ディアナと入れ替わり中         

アムロ・レイ(CCA)       ソシエ・ハイム(∀)
ハイム家執事兼ヒゲパイロット    ハイム家次女、カプルのパイロット

ジュド(?)            セレーネ・マクグリフ(スターゲイザー)
山師                地球の技術者       

ロウ・ギュール(アストレイ)    ガロード・ラン(X)
ジュドの助手            ジュドの助手。ロウの兄弟分

ロベルト・ゴメス大尉(V)     メシェー・クン(∀)
ミリシャの士官           カプルのパイロット。負傷につき戦線離脱

ラダラム・クン(∀)        ミハエル・ゲルン大佐(∀)    
メシェーの父            イングレッサ・ミリシャの指揮官。戦氏

ヤーニ・オビュス軍曹(∀)     リリ・ボルジャーノ(∀)
ミリシャの下士官。戦氏         ルジャーナの領主。グエンの婚約者

マリガン中佐(∀)         ギャバン・グーニー(∀)
ルジャーナミリシャの指揮官     スエサイド部隊隊長。ソシエの婚約者

ラカン・ダカラン(ZZ)
スエサイド部隊パイロット

173: 2010/10/11(月) 02:52:41.45
見辛くなってしまう・・・・・

ムーンレィス

ディアナ・ソレル(∀)                 ハマーン・カーン(ZZ)
月の女王。キエルと入れ替わり中         月の執政

シャア・アズナブル大佐(CCA)   ハリー・オード中尉(∀)
ハマーンの側近。偽名を用いミリシャへ     ディアナ親衛隊隊長

ロラン・セアック少尉(∀)              マリィ・パーファシー(00)
親衛隊パイロット。ミリシャに潜入中        親衛隊パイロット

イザーク・ジュール(SEED)             カロッゾ・ロナ少将(F91)
親衛隊パイロット                   ディアナ・カウンター指揮官。性格急変中 

ポゥ・エイジ少尉(∀)                 フィル・アッカマン大尉(∀)
Dカウンターパイロット。泣き虫           Dカウンター主戦派。戦氏

モニク・キャディラック特務大尉(IGLOO) オリヴァー・マイ技術中尉(IGLOO)
月からの増援                     モニクの部下

オルガ、クロト、シャニ(SEED)
三馬鹿

215: 2010/10/11(月) 19:00:29.76
ムーンレィスの試験パイロットが操る三機のMS・イルフートが、スエサイド部隊のボルジャーノンに襲いかかった。

オルガ「おい、敵はどれだよ!!」

クロト「しらねぇよ!!」

シャニ「どれでもいいじゃん」

ギャバン「おい!敵の増援が来るなんて聞いてないぞ!!」

潜んでいたボルジャーノンたちが一斉に姿を現し、空の急襲者たちに攻撃を仕掛ける。

クロト「なんかいっぱい出てきた!」

シャニ「何アレ・・・だっさ・・・」

オルガ「まずは緑のドンくさいのをぶっ潰す!!」

ギャバン「撃ち落とせぇぇ!」

キングスレーの谷が銃撃音に包まれた。

216: 2010/10/11(月) 19:16:13.52
ソシエ「アムロ!ギャバンたちが!!」

クワトロ「これでは作戦にならんな・・・・・」

ロラン「どうするんです!?」

ロウ「戦艦まで出てきたぞ、おい!!」

アムロ「俺はギャバンの救援に行く!シャアはあのカカシを!!三人はMSを頼む!!」

ソシエ「シャアって誰!!?」

ロウ「艦砲射撃がくる!!!」

ポゥ「伏兵・・・!?敵は緑のやつで奇襲をかけようとしていたのか!!ならば逆に谷に追い込み、一網打尽にしてやるッ!!」

217: 2010/10/11(月) 19:28:09.60
ソシエ「ロウ、大変!カプルの弾も切れちゃった!」

ロウ「あんだとぉ!?──うわッ」

ドーベルマンのキャタピラを、一条のビームが捉えた。

ロウ「しまった!!」

ソシエ「ちょっと、何やってるのよ!」

足を潰され、地に伏すドーベルマン。ムットゥーのヒートサーベルが迫る。

ロラン「やらせるかぁー!」

フラットのソニック・ブレードがサーベルごとムットゥーを両断する。

ロラン「ここは僕に任せて、お二人は早く補給へ!」

ソシエ「ありがとう、ロラン!すぐに戻るから!」

カプルがドーベルマンを抱え上げ、どすどすと走って行った。

ロラン「撃ち漏らすわけにはいかない!」

ロランは精密な射撃で、ウァッドを、ムットゥーを撃ち落していく。

218: 2010/10/11(月) 19:43:35.18
アムロがキングスレーの谷に駆けつけた時、スエサイド部隊は三機のMSに翻弄され、甚大な被害
を受けていた。

ギャバン「アムロ!ボルジャーノンじゃ、まるで歯が立たん!」

アムロ「ギャバンもやられたのか!」

クロト「なんだあいつ!」

オルガ「ヒゲが生えてる!?」

シャニ「うわ・・・だっさ」

アムロ「こいつら・・・・武装が・・・・!」

三機が一斉にアムロに飛び掛った。まずオルガのキャノン・イルフートが両肩のビーム砲を撃ちまくり、続いてクロトのソード・イルフートがヒートロッドとビームマシンガンで牽制、アムロの攻撃にはシャニのシールド・イルフートのIフィールドバリアで巧みに対応した。

アムロ「この連携、強化人間か!」

222: 2010/10/11(月) 19:56:25.35
クロト「抹殺!!」

アムロはソード・イルフートのビームソードをシールドで受け、あえてアイドリング状態のサーベルで斬りつけ──
光刃が空を切り、クロトのイルフートが防御体勢を崩した瞬間、出力を上げた。イルフートの頭部を最大出力の光刃が貫ぬく。

クロト「何なんだよこいつはァ!!」

オルガ「ぜんぜん墜ちやがらねぇ!」

ラカン「アムロ!援護するぞォ!」

三機のボルジャーノンが地上からバズーカを放つ。

シャニ「あ~・・・うざい!」

オルガ「ん?ビームの出力が・・・・パワー切れかよ!?」

223: 2010/10/11(月) 20:07:36.28
モニク「マイ、試作機はどうだ?」

オリヴァー「今のところ、小破したクロト機以外の二機は何の問題もなく稼動していますけど、少々エネルギー消費が激しいですね」

モニク「・・・・それは機体の問題というというよりはパイロットの方の問題だろうな」

オリヴァー「・・・・僕もそう思います。・・・・あ、通信入ります」

ポゥ『おいモニク!あのうるさい三匹のハエどもを何とかしろ!!やり辛くてしょうがない!!』

モニク「・・・・そこで機転を利かせられないから貴様はいつまでたっても下っ端なんだよ」

ポゥ『なんだとッ!?自分の部下も躾けられないお前に言えたことか!』

モニク「躾けも何も、あいつらが月の研究機関から我が隊に配属されたのは昨日のことだ」

ポゥ『何!?正規兵では無いというのか!?』

モニク「ああ、その通り──」

モニク「!!!」

モニク「マイ!迎撃しろ!!」

ギャバン「母艦を落とせばァ!!」

ギャバンのボルジャーノンがヒートホークを輸送船に叩き込み、輸送船の機銃が唸りをあげたのは、
ほぼ、同時だった。

225: 2010/10/11(月) 20:19:23.26
ポゥ「何だ!?通信が切れた?!あの女がやられたのかッ!?」

クワトロ「こんな所で余所見とはな」

ポゥ「!!」

ポゥはすかさずミサイルと機関砲で応戦するも、クワトロには掠りもしない。

ポゥ「速い!!こいつ・・・ヒゲはついていないんだぞッ!?」

あっという間に距離を縮められ、ビーム砲を潰される。

ポゥ「このぉ!このぉおお!!」

クワトロ「一応自軍のMSなのでな。壊しはしないさ」

フラットのソニック・ブラストの低周波がポゥを襲った。

ポゥ「ぐぅッ!?──ごぼぉぉ!!」

撤退する強化型ウォドムのコックピット内では、かわいそうなポゥ少尉が吐しゃ物と涙に顔を濡らしていた。

ポゥ「うわぁぁあぁあぁっ!私はもう月に帰るぞ・・・・!帰るぞぉ!!」

226: 2010/10/11(月) 20:41:10.82
両軍の被害は拡大の一途をたどっていた。ロランのフラットが補給に戻ると、敵がギャロップになだれかかる。
補給を終えたカプル、ドーベルマンが艦の護衛にあたるも、疲弊は隠せなかった。

ロウ「いつ終わるんだよこの戦いは!?」

ゴメス「御曹司はリリ様連れて逃げた方がいい!このギャロップももうもたん!」

グエン「指揮官の私が逃げるわけにはいかない!」

リリ「私も、グエン様と運命を共にしますわ」

その戦場に、数機のMSが駆けつけた。ハリー率いるディアナ親衛隊である。

ハリー「両軍とも、戦闘を中止しろ!」

シャニ「また変なのが来た」

キエル「ハリー中尉!」

ロラン(マリィとイザークたちもいる・・・・)

オルガ「趣味の悪いMSに乗りやがって!」

オルガのキャノン・イルフートが放ったビームを、ハリーのスモーのビームガンが撃ち落とした。
一気に距離を詰め、サーベルでキャノン・イルフートのビーム砲の砲身を真っ二つにする。

オルガ「なにぃ!?」

227: 2010/10/11(月) 20:43:01.83
ハリーはオルガには目もくれず──

ハリー「アムロ・レイのターンAの力・・・見せてもらう!」

アムロ「──!」

アムロの反応より一瞬早くハリーは動いた。スモーのヒートファンがホワイトドールの頭部を打ち、ヒゲが折れ、メインカメラが割れる。

アムロ「・・・・ハリー・オードか!やるなッ!!」

ソシエ「ホワイトドールがやられた!?」

アムロは倒れざまにビームサーベルを一閃、スモーの右腕を切断し、歴戦パイロットの意地を見せた。

ハリー「・・・不意打ちをかけたつもりだったのだがな」

アムロ「・・・・・・・」

ハリー「・・・・・・・」

238: 2010/10/11(月) 22:06:33.99
カロッゾ「ハリー・オードが来たか・・・・全軍撤退せよ!これよりサンベルト制圧に向かう!!・・・・いよいよ地球制圧も大詰めだ・・・・・ふふふ」

シャニ「もう終わり?」

クロト「逃げろってさ。あれ、輸送船ぶっ壊れてんじゃん」

オルガ「紫の亀の方に帰ればいいだろ!」

三人の試験パイロットを加えたカロッゾ率いるアルマイヤーの一軍が撤退していく。


グエン「・・・・・・それでは、ディアナ・ソレルには未だ交渉の意思がある、ということで良いのだな」

ハリー「ええ。カロッゾ少将の暴走は我々が総力をもって止めますので、ご安心を」

キエル「・・・・・・・」

ハリー(ディアナ様はご無事のようだ)

ハリー「ソレイユへ帰還する!」

239: 2010/10/11(月) 22:21:22.35
その後、補給を終えたミリシャは、戦力の補充のため、近くのマウンテン・サイクルへ向かった。

─ギャロップ

ソシエ「怪我の具合はどう?りんご剥いてあげる!」

ギャバン「すまないな。それよりも──」

ソシエ「?」


ロラン「け、け、結婚式ですかぁ!?あのおしゃべりソシエさんが結婚!?」

ソシエ「なによ!あなたには関係ないでしょう!」

ロラン「そ、それはそうですけど・・・・」

ガロード「でも、今は止めといた方がいいぜ。なかなか発掘が進まなくて、ジュド爺さんやグエンさん、すっげーピリピリしてんだもん」

クワトロ「しかしギャバン、十五歳のソシエ嬢と結婚など・・・・いささか不純ではないか?」

アムロ「・・・・・・・・」

クワトロ「・・・・・アムロ、その目は何だ」

アムロ「いや・・・・・・」

253: 2010/10/11(月) 22:43:27.93
─マウンテンサイクル

ジュド「ボルジャーノンは使えんのだからもっと要領よくやらんか!」

ロウ「ドリルがたんねーぞ!!クワトロさんも手伝って下さいよ!」

セレーネ「まずいわね。五日かけて収穫ゼロだなんて・・・・」

ロラン「アムロさん!ウァッド持って来ました!」

アムロ「ああ、すまない」

キエル「あの、もし、ロランさん」

ロラン「何です?キエルさん。すいません、今ちょっと手が離せないんです!」

キエル「今すぐでないと駄目なんです!」

ロラン「・・・・・・?はい、わかりました」


ラカン「こっちも掘れそうだ、ソシエの嬢ちゃん!」

ソシエ「今行く!」

ラカン「ん?」

オリヴァー「あ」

ラカン「!」

255: 2010/10/11(月) 22:56:33.85
その頃サンベルトでは、カロッゾ・ロナ軍が侵攻作戦を決行していた。

カロッゾ「地上を這うナメクジどもを一掃せよ!ディアナ様が到着し建国宣言を行うまでに、この土地をクリーンにしておかねばならぬのだ!」


ロラン「・・・・・・・へ?」

キエル「ですから、ワタクシはディアナ・ソレルなのです」

ロラン「ご冗談はやめて下さい・・・」

ディアナ「ローラ!このワタクシの声がわからぬと申すのか?」

ロラン「・・・・・・ほ、本当なんですか・・・・?でも、なんでこんな所に!?」

ディアナ「後で説明いたします。それよりロラン、まずいことになって来ました」

ロウ「おい!二人ともこんな所にいたのかよ!」

ロラン「!」

ディアナ「ロウ、どうしました?」

ロウ「収穫があった!」

261: 2010/10/11(月) 23:05:17.28
オリヴァー「いいんですか?特務大尉!」

モニク「いいんだよ!どうせ二人で掘り出せるようなものではない。ちょうど人手が足りなかった所だしな」

オリヴァー「ですけど!」

ソシエ「いつまで歩かせるつもりなのよ!」

ガロード「まさか罠じゃないだろーな!」

モニク「黙ってついて来い!ガキ!」

アムロ「・・・・・!あれは!?」

クワトロ「木馬か?!」

シャアとアムロにとってその宇宙船は、とりわけ馴染み深い物であった。

ソシエ「モクバ?」

264: 2010/10/11(月) 23:17:08.41
モニク「私たちの船は壊れてしまったからな、お前のせいで」

ラカン「俺じゃない!隊長が──」

モニク「で、どこかに代わりの宇宙船が落ちてないかと三日三晩探したら、これがあったのだ」

オリヴァー「まあ、探したのは僕なんですけど・・・・」

ロウ「くじ運いいよなあ!俺たちなんて五日も探して何も無かったんだぜ!」

ジュド「こりゃあMSじゃぞ・・・・ホワイトドールに似とる」

オリヴァー「この宇宙船の中に、一機だけ積まれていたんです。武器は劣化して使い物にならないですけど」

アムロ「ガンダムだ・・・・!V字アンテナはないが、このトリコロールカラーは・・・」

ソシエ「字が掘ってある!かすれて見づらい・・・・0・GUN・・・・ゼロ、ガン?」

クワトロ「ゼロガン・・・ジェガンの後継機か?」

セレーネ「変わったエンジンね」

ガロード「貝みてぇだな」

271: 2010/10/11(月) 23:35:24.35
発掘作業は急ピッチで進められた。宇宙船のエンジンは、撃墜されたモニクの輸送船のものを代用し、簡単な進水式が行われることになった。

グエン「ところで、この宇宙船の名前を決めたいんだが、何かいい案はあるかね?」

ガロード「グレート・ガロード・ウルトラ・ムーン船!」

ソシエ「ぜっっっったいに嫌よ!」

ロウ「ホワイト・インパルス~白い衝撃~で決まりだろ!」

ソシエ「あんたたち黙りなさいよ!」

ロラン「白いし、ホワイト・ベースなんてどうです」

アムロ「!」

ゴメス「いやいや、俺の考えたホワイト・アークが一番良い!」

ソシエ「ペガサス号なんてどうかしら!」

クワトロ「・・・・・モクバだな・・・・・」

一同「・・・・・・・」

アムロ「決まりだな」

ガロード「じゃあ、モクバに決定!」

ソシエ「何で!?わたしは反対よ!」

275: 2010/10/11(月) 23:54:41.33
ソシエ「だいたい、モクバって何よ!馬でもなければ木でもないじゃない!」

ジュド「モクバだと思って見れば、案外モクバにも見えてくるじゃろ」

ソシエ「どういう意味よ!?」

クワトロ「つまり・・・・もの事は全てタイミング次第ということさ。私の発言のタイミングがみんなの心を掴んだのだよ」

ソシエ「大人ってなんて卑怯なの・・・」

グエン「うむ。この船の名前は決まったな。ところで進水式の日時についてなんだが、私に良い提案がある」


グエンの計らいにより、進水式はソシエとギャバンの結婚式を兼ねて、ミリシャによる全面協力のもと行われることになった。
─式当日

ソシエ「どうしよう、こんな大事になっちゃうなんて・・・・・・わたし緊張しちゃって・・・・上手くやれるかしら?」

キエル「大丈夫よ、ソシエなら。お父様も天国からご覧になっているでしょうから、しゃんとなさい」

ソシエ「お姉さま・・・・ごめんなさい、先にウェディングドレスを着ることになっちゃって・・・」

キエル「ま!・・・ふふ、その様子なら大丈夫そうね、ソシエ」

276: 2010/10/12(火) 00:06:29.72
ギャバン「どうだ?ネクタイ曲がってないか?なれない格好でどうも勝手がわからん」

ロウ「ばっちりだぜ!」

ラカン「似合ってますよ、隊長!あの世からスエサイド部隊の仲間たちも見てるに違いありません」

ガロード「でもこんな物騒な時に結婚することないぜ。別に平和になってからでも・・・・」

ガロード「・・・・・・・」

ロラン「・・・ガロード・・・」

クワトロ「・・・・・・・ガロードも分かってはいるようだが、あえて言わせてもらう。こんな時だからこそ、済ませておくべきこともある」

アムロ「明日にはまた戦地に赴くことになるかもしれないんだ。今までは何とかやってきたが、次はみんな無事じゃ済まないかもしれない」

ギャバン「・・・やめよう。今日はみんなでパーッとやるんだろう?せっかくの上酒が不味くなってもいいのか?」

277: 2010/10/12(火) 00:22:15.65
式は晴れやかに、豪勢に行われた。

キエル「・・・・では、誓いのキスを」

ソシエ「・・・・・・」

ソシエにとってそれは初めてのキスであった。彼女は心の奥深くから込み上げる何かを感じていた。

ギャバン「ソシエ、泣いてるのか・・・?」

ソシエ「・・・・・・・うれしくって・・・・・・」

ソシエ(わたし、何で泣いてるの・・・?これは誰の涙なの?)

それはソシエ自身にさえ理解できない感情だった。そして、同じく、制御できない感情に動揺するものがいた。

アムロ「どうした、ロラン。あのソシエお嬢さんのあんな姿、貴重だぞ」

ロラン「み、見れません」

アムロ「どうしてだい?」

ロラン「見ていられないんです・・・・」

ロラン(僕は一体・・・?)

279: 2010/10/12(火) 00:38:05.48
─ソレイユ

ハマーン「陛下、カロッゾ・ロナがサンベルトを占領いたしました」

ディアナ「・・・・すでに聞いております」

ハマーン「・・・・・我々も参りませんと」

ディアナ「なりません。交渉も無しに建国宣言など、地球の人々への裏切り──」

ハマーン「カロッゾはサンベルトに陣を構えております。おそらく周辺都市に進行し、さらなる領土の拡大を図るでしょうな」

ディアナ「ハリー大尉が部隊を率い戦っています」

ハマーン「兵力があまりに違います。侵攻は食い止められますまい。陛下、こうしている間にも地球の民が氏んでいるのです。ご決断なされよ!」

ディアナ「・・・・・・・!わたくしは、グエン殿と交渉の約束を──」

ハマーン「交渉などどこでしているのですか?きゃつらは今、のん気に結婚式などしておりますが。あなたの妹君のね」

ディアナ「ソシエの?・・・!!」

ハマーン「キエル・ハイム、茶番は終わりにしよう。進路をサンベルトへ向けろ」

キエル「わたくし──」

ハマーン「ハリーが氏ぬぞ」

キエル「!!」

282: 2010/10/12(火) 01:00:07.76
─モクバ

グエン「サンベルト共和国の建国宣言だと!?」

マリガン「サンベルトは敵の攻撃を受けていたのです」

グエン「馬鹿な!我々には何の情報も無かったのだぞ!!」

アムロ「情報操作か・・・・?しかし・・・」

クワトロ「・・・・・・・」

キエル(ワタクシがあの時、サンベルトの危機を伝えていればこのような・・・・・)

ディアナ・ソレルのその決断を鈍らせたのは、ソシエ・ハイムの結婚式であった。ディアナ自身、思い人との結婚を経験し、その幸福を知っているだけに、ソシエとギャバンを戦場へ駆り立て、その幸せを打ち砕くことはどうしても出来なかったのだ。

283: 2010/10/12(火) 01:03:45.68
ガロード「早く止めに行こう!」

ゴメス「しかし俺たちだってまだ部隊の建て直しが出来てないんだ。今はソレイユに任せておいていいんじゃないか」

モニク「今の状況だと、じいさんが正しい。今この戦力で飛び込んで行っても、ひねり潰されて終わりだろう」

ガロード「けどよ・・・・!」

キエル「・・・・・・サンベルトへ参りましょう。ディアナ様だって万全の体勢で戦いに望んでいるわけではないでしょうし」

キエル(キエルさんではこの状況を打破することはできないでしょう・・・・早く助けてあげなければ)

ロウ「決まりだな!」

グエン「サンベルトに向かう!MSの整備を急がせろ」

クワトロ(ディアナ・ソレル・・・・・発言のタイミングを計ったな)

285: 2010/10/12(火) 01:25:14.48
─サンベルト前線

イザーク「マリィ!連携して追い込むぞ!」

マリィ「イザーク、上!」

イザークのシルバースモーのIフィールドバリアーが、キャノンイルフートのヴェスバーを防いだ。

イザーク「ソレイユは何をしているッ!?ディアナ様の威光があれば、こんな無駄な戦いは!」

シャニ「あれ?なんで味方同士で戦ってるんだっけ?」

クロト「そんなこと俺が知るかよ!」


カロッゾ「ポゥ少尉も出撃しろ!」

ポゥ「げほげほ・・・少将殿、私、ひどく熱がありまして──」

カロッゾ「白々しい仮病など使うな、愚か者!銃殺されたくなければウォドムで出ろ!」

ポゥ「了解であります、げほっ」

ポゥ「地球に来てから災難ばかりじゃないか・・・・・」

287: 2010/10/12(火) 01:40:02.49
ハリー「建国式典の式場まで用意しているのか・・・・」

ハリー(やはりあの時、本物のディアナ様をお連れしてくるべきだったか・・・・む?)

砲弾飛び交う戦場を横断するハリーの目に、一機のシルバースモーが映った。

ハリー「こんな所で何を・・・?」

閉じるコックピットのハッチの隙間から、金髪の女の頭が、見えた。

ハリー「あの女、見覚えが・・・・おい、そこのスモーのパイロット聞こえるか」

女は答ぬまま、戦場に消えた。ハリーの目をくらますほどの器量の持ち主である。ハリーの脳裏に一瞬、とある苛烈な女の顔が浮かんだ。

ハリー「・・・・まさかな」

その人物は現在、冷凍刑に処されているはずなのだ。

290: 2010/10/12(火) 01:56:19.55
苦戦を強いられているハリーの部隊の元へ、ディアナから、サンベルト建国宣言を行う、との通信があった。

ハリー「・・・・・では、部隊を引き上げさせます」

ディアナ「是非に。これ以上被害を拡げるわけにはまいりません。このような形での建国、本意ではありませんが・・・・・そちらには夜明けまでには到着します」

イザーク「隊長!ディアナ様のお力はこの程度のモノだったのですか!?」

マリィ「イザーク、落ち着いて」

イザーク「うるさい!この程度のいさかいも鎮められず、何がディアナ・ソレルだ!!」

ハリー「イザーク、これには少々複雑な事情があるのだ。

マリィ「複雑な・・・?」

ハリー「そのことで君たちに協力してもらいたいことがあるのだ」

292: 2010/10/12(火) 02:15:55.36
─モクバ

グエン「ソレイユが建国式典場に到着したらしい。私にも、式典への招待状が来ている」

ガロード「俺たち、MSで攻め込むんだよなぁ?」

クワトロ「一足遅かったようだ。戦闘は既にディアナ様がお鎮めになった」

ロウ「なんとかならねーのか!勝手に地球の領土が奪われてんだぞ!?黙って見過ごせっていうのかよ!」

ソシエ「攻撃が取りやめになったこと、ギャロップのギャバンたちも知ってるわよね?」

グエン「ああ。マリガン中佐には私から伝えた」

グエン「式典へは、私とキエル嬢とリリ、それからクワトロさんとロラン。この五人で参加する」

ソシエ「わたしたちは?」

ゴメス「俺たちはモクバで待機だ」

293: 2010/10/12(火) 02:33:19.82
式典が開かれた。壇上にディアナ・ソレルが上がり、ハマーン執政官とロナ少将がそれに続いた。
地球の領主たちがその様子を注意深く見守っている。

リリ「ロランさんとキエルさんの姿が見えませんわね」

グエン「・・・・時間までには戻るだろう」

キエル「ロラン、結い方はわかりますね?」

ロラン「はい。ハリー中尉から習いましたから」

キエル「・・・・・・・・・・・では、参りましょう」


壇上のディアナ・ソレルが今まさに建国を宣言しようとした時であった。

ディアナ「お待ちを」

式典場が騒然となった。演壇の裏から、ディアナ・ソレルが現れたのである。

グエン「ディアナ・ソレルが・・・・・二人!?」

カロッゾ「どういうことだ!?偽者か!どちらが!?」

330: 2010/10/12(火) 19:24:25.73
ハマーン「・・・・・・・!?」

ディアナ・ソレルが壇上に上がり、ディアナ・ソレルの隣に並んだ。二人のディアナが、同じ顔で、聴衆を見下ろしているのである。

ディアナ(ディアナ様、これは一体・・・・・・?!)

ディアナ(大丈夫です、キエルさん。流れに身を任せてください)

グエン「ディアナ・ソレル!何を遊んでいるのだ!キエル嬢も!」

ハマーン(グエン・ラインフォードに招待状など送った覚えは無いが・・・・・ハリーの仕業か・・・・!)

カロッゾ「蛮族の娘が陛下を装っておるのか!」ジャキッ

ディアナ「・・・・・・・・」

ディアナ「・・・・・・・・」

カロッゾ「み、見分けがつかん・・・・!」

ディアナ「主君であるこのわたくしに、銃を向けるのか!カロッゾ!」

カロッゾ「ええい、ではこちらが偽者かッ!」ジャキ

ディアナ「カロッゾ、目を覚ましなさい!このワタクシの声を忘れたとは言わせません!!」

332: 2010/10/12(火) 19:27:15.13
カロッゾ「・・・・・・!ぬぅ!・・・・・・あ、頭が・・・・・・!」

ハマーン(・・・・・・・まずいな)

ハリー「待てカロッゾ!本物のディアナ様は、この親衛隊が嗅ぎ分ける!」

マリィ「銃をお下げ下さい、カロッゾ少将」

イザーク「この場は我々が引き受けます!少し下がっていてください!」

ハマーン「ハリー、貴様──」

その時、耳をつんざく砲撃音が鳴り響いた。ルジャーナ・ミリシャによる式典の襲撃である。

カロッゾ「・・・・・ぐう・・・・MS隊に・・・迎撃させろッ・・・!」

ハマーン(シャアの仕業か・・・・・ふふ、よくやった)

リリ「マリガン!?なぜ!?」

グエン「作戦の中止は私が伝えたはずだぞ!」

クワトロ「・・・・・どうやらルジャーナミリシャとイングレッサミリシャの間の連絡網は、うまく機能していないようだ」

グエン「止めさせなければ!」

333: 2010/10/12(火) 19:31:08.94
マリガン「リリ様をお助けするのだ!ギャバン、一気に攻め込むぞ!」

ギャバン「ラカン!あの三機が来るぞ!ぬかるなよ!」

ラカン「先手必勝!」

ラカンのボルジャーノンが飛び出し、チェーンマインが炸裂する。不意を付かれたシャニのイルフートの右足が吹き飛んだ。

シャニ「こいつ、前より速くなってる!」

クロト「武器も増えてんじゃん!」

オルガ「関係ねぇッ!おらぁぁ!」

ホバーを上手く使い、ギャバンはオルガのイルフートの砲撃を全弾回避する。

オルガ「まじで速ぇッ!こいつ!」

アムロ「ギャバン聞こえるか!戦いをやめろ!作戦中止をわからないのか!」

ギャバン「アムロ!リリ様とグエン様が捕らえられたんじゃなかったのか!」

アムロ「何だとッ・・・・・!?」

334: 2010/10/12(火) 19:36:08.22
ソシエ「どうするのよ!敵が来るわよ!」

ロウ「迎撃するんだよ!」

ガロード「俺はゼロガンで出るよ!武器はヒゲのを借りる!」

ゴメス「よーし!モクバも動かすぞ!全砲門開けー!」

ソシエ「男の子ってどうしてこうなの!?」

オリヴァー「大尉、僕たち、自軍の敵の艦にいるんですよね・・・・」

モニク「細かいことは気にするな、乗りかかった船だと思え」




カロッゾ「うう・・・・・あ、頭が割れる──」

ブツッン・・・・・・・

カロッゾ「・・・・・・・・・・・・」

カロッゾ(・・・・わしはここで何を・・・・・?)

ハマーン(洗脳が溶けた・・・・・薬の効力をディアナへの忠誠心が打ち払ったか・・・・ここまでだな、後は奴らに任せるとしよう)

ハマーン「陛下、ここは危険です。ソレイユへお戻り下さい」

ディアナ「うむ。ひとまず、建国式典は中止いたします。領主のみなさんもどうか避難してください」

335: 2010/10/12(火) 19:41:00.65
ソシエ「アムロ!助けにきたわよ!」

アムロ「お嬢さん!ゴメス艦長が動いたか・・・!」

クロト「撃滅!!」

アムロのホワイトドールにクロト機がビームマシンガンを撃ちかける。アムロはIフィールドでそれを受け流し──

アムロ「そこッ!!」

振り向きざまに放ったビームがオルガ機を撃ち抜いた。

オルガ「後ろにも目があるのかよッ」

キャノン・イルフートが爆散した。

シャニ「オルガが!このぉおおお!」

クロト「──ん!?撤退命令!?」

ウォドムやムットゥーたちが続々と帰投していく。


─アルマイヤー

カロッゾ「早く退かぬか!わしとしたことが、こんな失態を演じるとは・・・・・!交渉もふいになり、ディアナ様への謀反まではたらいた・・・!娘や娘婿に合わせる顔がないッ・・・・・!!」

カロッゾ「・・・・・・おのれハマーンめ!!珍しくやつが茶など淹れるものだから変には思ったが・・・・薬を忍ばせていたのか!!」

336: 2010/10/12(火) 19:46:23.19
─モクバ

グエン「ゴメス艦長、敵は退いたのだ!こちらも──」

ゴメス「御曹司!あの二機がまだいるんですよ!」


クロト「オルガの仇!!」

シャニ「でぇぇぇぇい!!」

ガロード「しっつこいヤローだぜこいつらも!」

ソシエ「ちょっとやばいかも・・・・!アムロ!」

アムロ「お嬢さん、今援護に──」

キィィィィィィ・・・・ン

『アムロさん、今やらなきゃいけない敵は、そいつらじゃない!』

アムロ「精神波!!!カミーユだと・・・・!?」

カミーユ『あのスモー、核を使う気です!!!』

アムロ「なんだって・・・・?!」

337: 2010/10/12(火) 19:52:06.97
夜の帳が下りたサンベルトの空に浮かぶ二機のMSがあった。アムロは、その二機のスモーが悪意を持ってそこに佇んでいることを感じ取った。

アムロ「・・・・・なんだこの不快感は・・・・やつら何者なんだ・・・!?」

カテジナ「ターンAがこっちに気づいた・・・・あれがニュータイプのアムロ・レイか」

サーシェス「ソレイユが上がるまでこれは使えねえが、相手してやるよ!」

二機が動き出した。

ハリー「む?我が隊のものか?」

アムロ「みんな聞こえるか!!あの二機のスモーは核爆弾を持ってる!この地ごと俺たちを焼きつくす気だ!!」

カロッゾ「!?」

イザーク「核だとぉ!?」

ハリー「何・・・!?アムロ・レイ!妄言ではあるまいな!!」

アムロ「嘘なものかよ!!」

サーシェス「ちょいさァッ!!」

ハリー「あの声!アリー・アル・サーシェスか!?」

その時、ハリーの脳裏にスモーに乗り込む金髪の女が再び思い起こされた。

ハリー「もう一機はカテジナ・ルースか!」

341: 2010/10/12(火) 19:59:15.56
ソシエ「核って何よ?」

ガロード「さあ?」

シャニ「核だってさ」

クロト「へぇー、本物見るのは初めてだ!」


モニク「おい、今の通信が聞こえなかったのか!!」

ゴメス「聞えたさ。何を取り乱して──」

モニク「もうろくじじぃか貴様!?核だよ、核!!」

キエル「核・・・?」

グエン「モニク大尉、核とはなんだね」

モニク「はぁ!?貴様らトチ狂ってるのか!!」

オリヴァー「モニク大尉落ち着いて下さい、ここは地球ですよ」

クワトロ「地球の人々が知らないのも無理は無い。あれは黒歴史の遺物なのだから」

ロラン「僕のフラットも出してください!アムロさんたちを助けに行きます!!」

343: 2010/10/12(火) 20:05:48.46
二機のスモーがアムロとハリーに激しく攻めかかる。

アムロ「くそッ!核を持ってちゃ迂闊に撃てない!!」

ハリー「アムロ!接近戦でしかける!」

カテジナ「ふふふ、ハリー・オード!千年前の屈辱を晴らさせてもらうよ」

カテジナ機はゴールドスモーと切り結びながら、ビームガンをゼロ距離から連射する。黄金の装甲が拉げ、コックピット内で火花が散る。

ハリー「ええい・・・・やんぬるかな!!」

アムロ「ハリー!!──うわっ」

サーシェス「どうしたガンダムさんよぉ!!その立派なおヒゲは飾りってことねぇだろうなぁ!?」

窮地のハリーを黄金色のフラットが救った。

クワトロ「情けないな、ハリー・オード!」

ハリー「シャア・アズナブルに救われるとはッ・・・・!」

カテジナ「こいつ・・・!金に塗れば映えるとでも思ってるのかい!」

344: 2010/10/12(火) 20:11:55.00
ロラン「アムロさん、援護します!」

アムロ「ロランか!」

サーシェス「なんだこのハイヒールはァ・・・!邪魔すんじゃねえよ!」

ロラン「なんだこの人!核を持って戦っている自覚はあるのか・・・・!?」

サーシェスの猛然たる攻撃に、ロランはたじろいだ。その隙をサーシェスは見過ごさず、ヒートファンがロランのフラットの両足を斬りおとす。

ロラン「うわッ!」

アムロ「ロランは下がれ!こいつは普通じゃない!!」

345: 2010/10/12(火) 20:16:50.88
ギャバン「核とかいうのは、町ひとつ簡単に消し飛ばすらしいぞ!」

ソシエ「そんな兵器があるの!?逃げたほうがいいんじゃない!?」

ギャバン「馬鹿言え!アムロたちは戦ってるんだぞ!」

クワトロ「何!?ソシエ嬢たちは戻れ!ここは私たちに──」

カテジナ「甘いよねぇ!!余所見なんてさぁ!」

クワトロ「!!」

カテジナがIフィールドサーベルでクワトロ機に斬りかかった。クワトロの卓絶した操縦技術が直撃から一度はその身を守ったが──卓絶したパイロットであるのはカテジナもまた同じだった。返す光刃がクワトロ機を大破させる。

クワトロ「ええいッ!この状況ではッ・・・!撤退する!」

348: 2010/10/12(火) 20:22:41.68
アムロ「核など使わせる物かよ!」

サーシェス「はっはっはァ!こいつァすげえ!俺の動きを先読みできるパイロットは、カミーユなんちゃら以来、千年ぶりだぜ!」

アムロのホワイトドールが打って出た。二本のビールサーベルを合わせ、巨大な光刃を形成させると、中距離から核を搭載したスモーのバックパックを切断した。

ロラン「拾いました!核拾いましたよアムロさん!」

アムロ「よくやったロラン!急いでモクバへ戻れ!」

サーシェス「おいカテジナァ!ソレイユはもういい!核をぶちかませ!!」

カテジナ機が上空へ飛び上がった。ハリーが追う。

カテジナ「シロッコからの餞別だ!!受け取れェェェェ!!」

アムロ「間に合わない!みんな逃げろォ!!」

351: 2010/10/12(火) 20:27:24.65
核爆弾が上空で炸裂した。モクバまで退避したロランとクワトロがその様子を眺めていた。

ロラン「アムロさんやソシエさんは・・・?!」

クワトロ「・・・・・・・」

ゴメス「隔壁閉鎖!各員衝撃に備えろ!」

グエン「何だこの光は・・・!」

キエル「夜が・・・・朝になってしまいました・・・」

352: 2010/10/12(火) 20:31:05.40
爆心地近くのMSは必氏に退避を試みていた。

イザーク「マリィ!ソレイユには追いつかない!あのミリシャの艦へ逃げ込むぞ!」

マリィ「ハリー隊長は!?」

クロト「うわッ、眩し──」

シャニ「きれー──」

核の光が全てを飲み込んでいく。

ラカン「隊長ォ!間に合わな──」

ギャバン「ラカァァン!!・・・・・・アムロ!ソシエを頼む!!」

そう言ってギャバンは、ソシエのカプルを、ホワイトドールへ投げつけた。

353: 2010/10/12(火) 20:36:15.52
ソシエ「ギャバン!?嫌よ!ギャバン!!!」

アムロ「ソシエ振り返るな!!」

カプルを抱えたアムロはフルスロットルで安全地を目指した。

ソシエ「アムロ!?待って、ギャバンが!戻って!」

アムロ「・・・・・・・」

ソシエ「返事をしてよ!アムロ!お願い!!」

アムロの判断は最も冷酷で、最も正しいのものであった。やがてギャバンも光に飲み込まれ、見えなくなった。

354: 2010/10/12(火) 20:41:45.29
カテジナ「アハハハハ!!キレイな光だねぇ、黒歴史の光って言うのはさぁ!黒歴史が再現されれば、この地球のお空を花火みたいに彩ってくれるんだろう?これだからあんたの女は止められないよ、シロッコォ!!」

サーシェス「宇宙へ帰るぞ。シロッコとハマーンの計画が始まるぜ」

カテジナ「ふふ、共謀してディアナを貶めようなんて、よくやるよねぇあの二人も」

サーシェス「共謀?俺には利用し合ってる様にしか見えねェが」



ロラン「こんな・・・こんなことをする人は一体・・・・・・」

シャア「夜中の夜明け、か・・・・・」

シャア「しかし夜明けと呼ぶには、これはあまりに不穏だ」

357: 2010/10/12(火) 20:49:24.34
─ソレイユ

ハマーン(シャアは無事だろうな・・・・宇宙で待っているぞ)

ディアナ「核の光・・・夜中の夜明けなど・・・あってはならない歪み・・・・」

ハマーン「キエル・ハイム。貴様にはまだ利用価値がある。月まで同行してもらうぞ」

ディアナ「ハマーン、やはりそなたが裏で動いておったか。カロッゾを操り、核まで持ち出して──この大罪、現世の罰のみで償えると思うな!!」

ハマーン「・・・・貴様本物の・・・!いつの間に・・・!」

ディアナ「親衛隊とミリシャのロランの協力です。式典の混乱の中、そなたの目を盗むことは容易なことでしたよ」

ハマーン「口の聞き方には気をつけるのだなディアナ・ソレル。宇宙では既にカイラス・ギリ、そしてターンXさえ我が手中に入ろうとしているのだぞ」

ディアナ「何と・・・・!」

364: 2010/10/12(火) 21:20:21.34
その頃、宇宙では一人の男が吠えていた。
―ギンガナム艦隊旗艦ディアナ・ソレル

ギンガナム「千年前!!マリア主義者たちによる月事変の折!我輩は初めて月の防衛にあたり、見事、敵を撃退した!!まさに軍神の名に相応しき活躍であったといえよう・・・・・・!」

ギンガナム「そんなことはどうでも良い!!!!」

メリーベル「・・・・・・・」

ギンガナム「そんなことよりも肝要なのは!その我輩に対して、ディアナ様がなんと仰ったか・・・・・!!ディアナ様が仰った言葉とは!!!」

ディアナ『ご苦労さまでした、ギム・ギンガナム』

ギンガナム「そう言ってディアナ様はディアナ様のお手にキスをすることを、この我輩に許可して下さったのである!!」

ギンガナム「我輩の魂は震えた・・・・!気づけば我輩は全身全霊で泣いていた・・・・!!あのディアナ様が我輩を、ねぎらって下さったのだ!!」

ギンガナム「ねぎらって下さったのだ!!!!」

ギンガナム「ねぎらって下さったのだァァァァ!!!!!!!」

メリーベル「・・・・・この下り、何度目だい」

ギンガナム「ディアナ様ァ!月は本日も変わりなく美しいですぞォォ!!ディアナ様ァァァ!!!早く!!戻って!!!こォォォォォォい!!!!!!!!!」

373: 2010/10/12(火) 21:34:56.81
―再び地球・モクバ艦内

ソシエ「どうしてギャバンを助けてくれなかったのよ!?」

アムロ「・・・・あの時、ああしなければお嬢さんだってやられていたんだぞ・・・!」

ソシエ「だったら何!?わたし、もう大事な人を目の前で失うのは嫌なの!」

ソシエ「どうせならあの時わたしも見捨ててくれれば良かったのよ!」

パンッ!

ソシエ「・・・・・ぶったの?ぶったのね・・・アムロのくせに・・・・!」

アムロ「二度とそんな馬鹿なことを言わないと、お父様の墓前に誓いなさい!」

ソシエ「・・・・何よ・・・!アムロは戦いばっかりで、わたしが苦しい時そばにいてくれなかったじゃない!」

アムロ「お嬢さん、それは――」

ソシエ「アムロじゃわたしのお父様の代わりなんて、出来っこないんだから!!」

アムロ「お嬢さん、待て!」

376: 2010/10/12(火) 21:42:44.30
アムロ「・・・・・・・」

クワトロ「・・・・・かつて私に、器量の小ささを指摘した一人の男がいた」

アムロ「・・・・・・・」

クワトロ「その私の前でよもや彼自身の器の小ささを晒すとは、皮肉なものだ」

アムロ「何が言いたい・・・!」

クワトロ「フッ、文字通りの意味で受け取ってもらってかまわんよ」

アムロ「他人事と思って!」

378: 2010/10/12(火) 21:47:17.45
ロウ「ソシエは部屋に篭りっきりか・・・・」

ガロード「・・・・・今はそっとしておいてやろうぜ」

ロラン(ソシエさん・・・かわいそうに・・・)

イザーク「ロラン!」

ロラン「イザーク!マリィも!」

ロウ「こいつら確か親衛隊の・・・ロラン、知り合いなのか?」

ロラン「ええ、そうなんです」

マリィ「ハリー隊長がブリッジに集合しろですって」

ガロード「あの変態メガネがかよ!」

イザーク「・・・キサマッ!!!」

ガロード「ひぃ!」

ロラン「まぁまぁ・・・・」

379: 2010/10/12(火) 21:51:49.92
ハリー「つまり、一連の事態はハマーンが引き起こしたものと見て良いでしょう」

ロラン「でも・・・どうして執政であるハマーンさんが・・・・」

ハリー「もともと油断ならぬ女であったから、裏で手ぐすねを引いていても、何ら不思議ではない」

キエル「とても恐ろしい目をした女性でした。ギラギラと・・・・」

マリィ「それにしても、ディアナ様とキエルさんがいつの間にか入れ替わっていただなんて・・・親衛隊としての自信を失ってしまいそう・・・・・」

イザーク「安心しろ。俺なんてまだ、このキエルさんが実は陛下ではないかと疑ってる程なのだからな」

グエン「うむ。似ているというより、同じと言い切ってしまっても良いくらいだ」

ハリー「ところで、あなたはこのハマーンの暗躍をどこまで知っていたのだ?クワトロ・バジーナ。いや、シャア・アズナブル大佐」

グエン「!?」

キエル「えっ!?」

クワトロ「・・・・・・」

380: 2010/10/12(火) 21:55:04.20
ガロード「シャアってハマーンの側近の!?クワトロさん、あんたやっぱりスパイだったってのかよ!!」

シャア「・・・・スパイであることは認めよう。だが、ハマーンとの繋がりはない」

ゴメス「どういうことだ?」

シャア「ハマーンはここへ私を送り込んだが、その後は連絡がつかなくなった。恐らくやつは自分の計画が私に悟られるのを嫌って、ここへ遠ざけた。スパイはその口実だろう」

アムロ「それを信じろと?」

シャア「証拠などないが──今までみんなと共に戦ってきた時間に、嘘は無い」

ロウ「確かにそうだぜ・・・・クワトロさんは、よく戦ってくれたよ」

モニク「私たちを信用させるための芝居だったのかも知れないぞ」

ガロード「ババァは黙ってろよ!」

モニク「何だと、このガキ!絞め頃すぞ!!」

ガロード「クワトロさん!俺は信じるぜ!」

ロウ「俺も!」

シャア「・・・ありがとう。ではこれからも、私はクワトロ・バジーナとしてこの艦にいさせてもらおう」

ソシエ「ちょっと待って」

キエル「ソシエ!?もう大丈夫なの?」

383: 2010/10/12(火) 22:00:49.66
ソシエ「それってつまり、クワトロさんと一緒に来たロランもスパイだったってことじゃない」

ガロード「あ、そっか」

ロラン「・・・え・・・!?いや、その・・・・」

ソシエ「わたしたちを騙してたのね!?最低よ!!」

ハリー「ロランはディアナ様の密命で、ホワイトドールの調査に来ていたのだ」

ソシエ「ロランさんがいなければ建国式でハマーン執政を欺くことも出来なかったでしょうし・・・・責め立てることはないでしょう」

ソシエ「でも・・・こんな顔して嘘をついてたなんて!!一発殴らせてよ!」

ロラン「ソシエさんは僕を叩きたいだけなんじゃないですか!?」

アムロ(お嬢さんは悲しみを乗り越えたみたいだ・・・・・良かった)

387: 2010/10/12(火) 22:35:49.49
グエン「・・・・・シャア大佐、とりあえず今は、あなたの言葉を信じよう。引き換えに、あなたの知る月の秘密をひとつ、教えてもらえないだろうか」

クワトロ「・・・・グエン・ラインフォードとは、ずいぶん打算的な人なのだな」

グエン「これくらいでないと、新しい時代など興せんよ」

クワトロ「いいだろう。ではこの混乱のもう一人の黒幕をお教えしよう」

ハリー「・・・・・・パプティマス・シロッコ、だろう?」

クワトロ「ご名答」

モニク「シロッコだと・・・・・?!」

イザーク「やつは千年前に冷凍刑になったんじゃなかったのですか!」

クワトロ「ああ。数年前、秘密裏に解凍された・・・・ハマーンによって」

388: 2010/10/12(火) 22:39:04.31
グエン「・・・・・シャア大佐、とりあえず今は、あなたの言葉を信じよう。引き換えに、あなたの知る月の秘密をひとつ、教えてもらえないだろうか」

クワトロ「・・・・グエン・ラインフォードとは、ずいぶん打算的な人なのだな」

グエン「これくらいでないと、新しい時代など興せんよ」

クワトロ「いいだろう。ではこの混乱のもう一人の黒幕をお教えしよう」

ハリー「・・・・・・パプティマス・シロッコ、だろう?」

クワトロ「ご名答」

モニク「シロッコだと・・・・・?!」

イザーク「やつは千年前に冷凍刑になったんじゃなかったのですか!」

クワトロ「ああ。数年前、秘密裏に解凍された・・・・ハマーンによって」

389: 2010/10/12(火) 22:41:01.23
ゴメス「話がわからん!」

ロラン「パプティマス・シロッコは、千年前の月事変の首謀者の名前です」

ロウ「月事変?」

ハリー「マリア主義者という一派が、月の首都ゲンガナムで起こしたクーデターのことだ」

クワトロ「私やハマーンはディアナ派として、シロッコやカテジナ、サーシェスらと戦ったのだ」

マリィ「なのになぜ、ハマーンはシロッコと手を組んだのかしら・・・」

ガロード「すげぇ!クワトロさん千年も生きてんのかよ!」

クワトロ「1533歳だ。無論、冷凍睡眠と延命手術は使っているがな」

ハリー「やつらが何を企んでいるかは知らんが、我々も月へ向かい、その野望を止めねばなるまい」

キエル「わたくしの身代わりになったディアナ様も心配ですし・・・・・」

ゴメス「・・・・決まりだな!御曹司!」

グエン「うむ。これよりモクバは月への直接交渉に赴く!」

395: 2010/10/12(火) 22:48:22.05
ミリシャと地上のカロッゾ少将の間で、停戦協定が結ばれた

カロッゾ「ディアナ様はこの不甲斐ないわしをお許しくださった・・・・・!ポゥ中尉!MS隊を率い、ノックスの支援に向かえ!!」

ポゥ「は!了解であります!」

ポゥ(寝込んでいる間に昇進するなど、ふふ、私にもようやくツキが回ってきたぞ!)


一方ミリシャは・・・

グエン「では地上のことは任せたぞ、マリガン中佐」

マリガン「はい、リリ様は私が守ります故」

ガロード「ロウ、お前の分まで宇宙旅行を楽しんできてやるよ!」

ロウ「土産を忘れんなよ!」

ソシエ「メシェーとラダラムさんによろしくね」

ロウ「おうよ!ソシエも調子に乗って食いすぎるなよな!重くて地球に落っこちてきたって、受け止められねぇからな!」

ソシエ「ばか言わないでよ!」

402: 2010/10/12(火) 22:53:26.90
クワトロ「いいのか、セレーネ。君が月の技術を学べば、きっと一流の技師になれるぞ」

セレーネ「いいの。宇宙はここから見上げていたい・・・・なぜだかそう思えるのよ」

アムロ「見上げる、か・・・・・」

ジュド「マウンテンサイクルの発掘や地上のMSの整備のためにも、セレーネはこっちにいた方がいいじゃろ」

オリヴァー「宇宙へ戻れる・・・・・やっと本来の目的を果たせますね!」

モニク「帰ってからどうするか・・・・・」

オリヴァー「フォン・シティで弟さんに会うんでしょう?」

モニク「その後だよ。私はキンケドゥ艦隊にはもう戻りたくないぞ。どうせまた面倒を押し付けられるだけだろうしな・・・・・」

こうして一行は別れ、モクバ組は宇宙へと飛び立った──

                        地球光編・完

406: 2010/10/12(火) 23:00:57.11
書き溜めはもうちょいあります。どうしよう、区切りいいしここで終わりにしようかな

411: 2010/10/12(火) 23:09:04.56
                         月光蝶編


─宇宙

ギンガナム「ねぎらって下さったのだ!!」

メリーベル(まだやってんのかい・・・・)

ギンガナム「ねぎらってくだ──」ピピピピ

ギンガナム「ホエールズからの通信だとォ!?下卑た割り込みをォ、キンケドゥ・ナウ!!!」

キンケドゥ『取り込み中すまない。ディアナ様が帰還なされると、カロッゾ少将からの連絡があった。それと、今はもうキンケドゥ・ナウではなく、キンケドゥ・ロ──』

ギンガナム「我が世の春が来たァァァァ!!!」

キンケドゥ『!?』

ギンガナム「無聊な日々は終わりを告げ、我が世に春が到来せり!!!!」

メリーベル「なんだい、ディアナに会うたびに来る春なんて」

ギンガナム「黙れメリーベル!キサマは我輩の後ろで鈴を鳴らしていれば良いのだ!!」

ギンガナム「全軍総出で御出迎えする!キンケドゥ・ナウ、お主のパトロール艦隊もミスルトゥへ差し向けろ!!」

415: 2010/10/12(火) 23:13:42.81
─モクバ

ガロード「すっげェ!月があんなにでっけェ!!」

ゴメス「・・・・うっぷ・・・・気持ち悪い・・・・」

マリィ「宇宙酔いに効く薬、持ってきました」

ソシエ「ふわふわする・・・・!怖いよー!アムロはなんで平気なの!?」

ロラン「ちゃんと手すりにつかまって下さい」

グエン「しかし、地に足が付かないことが、ここまで人の心を不安にさせるとはな・・・・」

ジュド「・・・・・宇宙なんて久しぶりだ」

421: 2010/10/12(火) 23:16:37.91
クワトロ「ジュド爺さんは以前にも来たことがあるのかい?」

ジュド「ん?すまん、ボーっとしておった。わし、今何か言ったかい?」

ハリー「キエル殿、よかったら二人きりで、部屋でゆっくり地球でも眺めないか?」

キエル「・・・・!・・・・はい、是非に・・・・」

アムロ「宇宙、か・・・・・」

オリヴァー「ん?なんだあの船団は!?」

イザーク「あれはギンガナム艦隊!」

モニク「キンケドゥ・ロナ少佐の艦隊まで来ているぞ!?」

424: 2010/10/12(火) 23:19:49.53
ギンガナム「む!?見慣れぬ宇宙船だが、あれにディアナ様が乗っているのだな?キンケドゥ・ナウ!!」

キンケドゥ『ああ、そうだが、俺はもうキンケドゥ・ロ──』

ギンガナム「ではこれより女王ディアナ・ソレルは先行し、本艦・ディアナ・ソレルを出迎え──ん?」

メリーベル「逆、逆。ややこしい名前をつけるから・・・・」

モニク「なんとか振り切れないのか!?」

ゴメス「無理だ、あんなに出張られちゃあ」

アムロ「一隻近づいてくるぞ」

オリヴァー「通信はいります」

ギンガナム『ディアナ様ァ!お迎えに上がりましたぞォ!!』

一同「!!??」

426: 2010/10/12(火) 23:24:51.04
ハリー「ギンガナム!?待て、この艦には──」

ギンガナム『ハリーか!聞いたぞ、大尉に昇進したのだろう?めでたいなぁ!』

ハリー「ああ、ありがとう、しかしディアナ様は今──」

ギンガナム『今このディアナ・ソレルで牽引してやろう!待っていろォ!!』プツン・・・

一同「・・・・・・・・・・」

ソシエ「な、なにいまの・・・・・」

アムロ「・・・・・・なんて強烈な男だ」

ガロード「しかもプードルみてぇな髪型だったな・・・・・」

ハリー「やつはギム・ギンガナム。首都ゲンガナムの留守を任されている男だ」

クワトロ「熱心なディアナ崇拝者だよ。二千年も前からな」

ソシエ「二千年も・・・・・わたし、ディアナ・ソレルを恨むのやめようかしら・・・・」

そして、誤解は解けぬまま、ギンガナムがモクバへ乗艦した。

427: 2010/10/12(火) 23:28:41.01
ギンガナム「やぁ、皆の衆!見慣れぬ顔も多いが、取りあえずご苦労であったなぁ!」

ハリー「・・・・・・」

ギンガナム「あの口うるさいハマーンはどうした?」

グエン「ギンガナム殿、落ち着いて聞いて頂きた──」

ギンガナム「!!!ディアナ様ァ!!」

キエル「!!」

ロラン(キエルさん、どうして出てきたんです!?)

ギンガナム「おや、御髪をどうなされました?そうか、小生に結って欲しかったのですなァ?!お可愛いことよ!!」

ギンガナム「やや!!?この手触り・・・・・ディアナ様の物ではない!?・・・・・くんくん・・・匂いも違う!!ディアナ様のものはもっと芳しいハズだぞ!!」

ギンガナム「・・・・・おのれ、お主!何者かァ!!ディアナ様を装う不届き者ォ!手打ちにしてくれる!!」

その後数時間に渡る説得の末、ようやくギンガナムは落ち着き、肩を落とし艦へ戻っていった。

480: 2010/10/13(水) 20:00:54.80
─ギンガナム艦隊旗艦ディアナ・ソレル

ギンガナム「いや、申し訳なかったな。小生の早とちりでこのような・・・・・・」

ハリー『気にするな。それより、ソレイユを見なかったか?』

ギンガナム「見ていないな。地球の情報はこちらにはほとんど入ってきていない。カロッゾの謀反もな。核の投下などもっての他だ」

モニク『しかし、私はキンケドゥ少佐に指示されてカロッゾの元へ下りたんだぞ?』

ギンガナム「何ィ?・・・・キンケドゥ・ナウのホエールズに繋げ!」

オペレーター「・・・・・・・・・・応答ありません!!」

メリーベル「・・・・あの後方の艦隊を拡大して写せ!」

キンケドゥのホエールズ月軌道パトロール艦隊のさらに後方の、アスピーテ艦隊がモニターに写しだされた。

ギンガナム「ダミーバルーンだとォ!?」

メリーベル「白のアスピーテはマシュマーの艦隊・・・・・ハマーンの私設部隊だよ!」

482: 2010/10/13(水) 20:06:04.76
ギンガナム「ええい、ハマーンが動いているのか!本物の艦隊を探し出せ!!」

オペレーター「御大将、資源衛星ミスルトゥよりガトー大名(※ギンガナム艦隊における隊長格のこと)から通信です」

ガトー『御大将、凶報です。ミスルトゥが月に向けて動き出しました』

ギンガナム「何?!一体何が起こっているというのだ!!」

ガトー『何者かによる策略としか思えません』

ギンガナム「ええい、ハマーンの仕業だな!!ガトー!何としても月への衝突を阻止せよ!!」

ガトー『全力を尽くします!』

ギンガナム「ハリーたちにも協力を要請しろ!!小生もターンXで出る!!」

その時、ギンガナムの後方のキンケドゥ艦隊が、動き始めた。

483: 2010/10/13(水) 20:10:08.12
─モクバ

クワトロ「なるほど。衛星落としか。いかにもハマーンらしい手だ」

ロラン「衛星落としだなんて・・・・!月には数千万の人々が住んでいるんですよ!?」

アムロ「とにかくミスルトゥに向かうぞ!!」

ゴメス「各員、配置につけ!MSは全機発進!!」


ソシエ「ガロード!なんでドーベルマンを持ってきたのよ!宇宙じゃ走れないのよ!?」

ガロード「へへっこいつ、宇宙も飛べるんだぜ!」

クワトロ「私のフラットはまだ使えないのか」

ジュド「無理じゃよ。損傷が激しすぎる。ゼロガンが余っとるよ」

クワトロ「ああ、ありがとう」

クワトロ(この私がガンダムに乗るとはな・・・・・・)

485: 2010/10/13(水) 20:19:39.00
モクバ隊がミスルトゥに向かっている頃、月の裏に潜伏していたソレイユが動き出した。

ハマーン「プルの姿が見えんな」

マシュマー「カイラス・ギリーの監視に向かいました」

ハマーン「そうか。では、合図をするまでここを動くなよ、マシュマー」

マシュマー「は!ご武運を!」

マシュマー・セロの艦隊はアスピーテ級戦艦により構成される。アスピーテ級は本来ギンガナム艦隊のものであったが、ハマーンからの再三の要求で、一機のバンデットとともに数隻がハマーンに譲渡された。
ハマーンに戦艦を授けられたマシュマーはそれらを白く塗り上げ、赤い薔薇のマーキングを施し、ハマーン親衛隊を結成した。
──そのマシュマー艦隊が、虎視眈々と月の裏側に潜んでいるのである。


─ミスルトゥ

ガトー「各機散開して調査せよ!恐らくノズルのような物があるはずだ。ミスルトゥが月の引力に引かれる前にそれを破壊するッ!」

隊員たち「了解!」

ガトー「ウラキ、君は私の後ろに付いていろ」

コウ「は、はい!」

ガトー「肩の力を抜け。初陣は誰だって緊張するものだ」

コウ「は、はい!」

487: 2010/10/13(水) 20:27:26.32
キンケドゥ艦隊は、ギンガナム艦隊を包囲するように陣形をとった。

ギンガナム「キンケドゥ・ナウ!お主どういうつもりだ!」

キンケドゥ『・・・・・・・』

ギンガナム「お主の後方の艦隊はダミーだったのだぞ!そして今、ハマーンによって月が危機に瀕している時に、このような戯れを!」

キンケドゥ『ギンガナム、ターンXをこちらへ渡してもらおう』

ギンガナム「何ィ!?」

キンケドゥ『我々はカイラスギリーを掌握した。白の宮殿も直に陥落するだろう。ギンガナム、この意味が分かるか』

ギンガナム「貴様・・・・!まさかハマーンの・・・・?!」

キンケドゥ『おとなしくターンXを渡してくれれば、攻撃はしない』

ギンガナム「・・・・・・貴様が裏切るか!!キンケドゥ・ナウ!!MS隊を出せ!ディアナ様に仇なす者どもを討滅するッ!!

488: 2010/10/13(水) 20:34:01.44
ロラン「キンケドゥ少佐が寝返ったのか!?」

ハリー「にわかには信じ難いが・・・・・」

クワトロ「後ろも気になるが、今はギンガナムに任せよう」

ガトー「ハリー・オードの救援か!」

ハリー「ガトー!ノズルは見つかったか」

ガトー「かなり高度な細工が施されている。至る所に偽のノズルが散りばめられ、衛星の外壁内にもそれらしき物を見つけた」

アムロ「厄介だな」

クワトロ「しらみ潰しにするしかあるまい」

ガロード「そんな面倒臭いことしなくてもよ、俺たちがミスルトゥを吹き飛ばしちまえばいいんじゃないの?」

イザーク「アホか貴様!」

ソシエ「あれ、何?MSがこっちに来るわよ?!」

490: 2010/10/13(水) 20:40:26.32
─首都ゲンガナム

ディアナの居城である白の宮殿近くでは、戦闘が起きていた。宮殿を防衛していたギンガナム艦隊のノリス隊を、一機のMSが急襲したのだ。

ノリス「ええい!たかが一機のMSにこうまで苦戦するとはな・・・!」

サーシェス「臓物ぶちまけやがれぇ!!」

サーシェスの駆るMS・゛LE・O゛(レ・オ)のヒートロッドがマヒローのコックピットを貫く。

サーシェス「機体は爆発させんなだとォ?無茶言いやがるぜシロッコの野郎。ドーバーガンも使えねぇってのによ」

ノリス「シロー、何としても宮殿をやらせるなよ!御大将は今手が離せんのだからな!」

シロー「ノリス大名!冬の城にもMSが!」

ノリス「何!?──むぅッ!」

ノリスはレ・Oのビームサーベルをすんでの所で避け、マヒローの左腕のカッターでレ・Oのサーベルの柄を切断し、すかさず回し蹴りを食らわせる。シローのマヒローもハンドガンで攻めかかり、サーシェスは後ずさった。

サーシェス「ノリス相手じゃこっちがもたねぇな・・・・約束は違ェが、奥の手を使わせてもらうぞ、シロッコォ!!」

492: 2010/10/13(水) 20:47:48.21
ノイン「いいか、キンケドゥ少佐の計画通りやるぞ!」

隊員たち「了解!」

ミスルトゥのハリーたちに迫ったのは、キンケドゥ艦隊のルクレツィア・ノイン率いるMS部隊であった。

ガトー「ノインのズサン隊!我々を阻みに来たか!」

マリィ「撃ってくるわ!」

アムロ「迎え撃つ!!」

粒子ビームとミサイルが飛び交った。

ハリー「ガトー、ここは我々に任せろ!ロランも、そのフラットでは戦えん!ガトーと共に行け!」

ガトー「頼む!」

ロラン「了解!」

ガロード「おい、みんな驚け!ドーベルマンの真の姿によ!!」

ガロード「トランスフォーム!!」

ソシエ「え!?」

494: 2010/10/13(水) 20:54:18.20
ドーベルマンが背を起こし、四足が二足になる。頭部が押し上げられ、双眼とⅤ字アンテナの付いた顔が現れた。

ソシエ「ドーベルマンが人になった!?」

クワトロ「可変MSだったとは!」

アムロ「それも、ガンダムタイプじゃないか・・・・!」

勇み立つガロードが敵中に飛び込んだ。ビームライフルを乱射し、挑発する。ノインの部隊は
それを受け流し、ガロードを無視してミスルトゥへ接近する。

ガロード「おい!そりゃないよ!せっかくの見せ場なんだぜ!?」

イザーク「ガトー隊をやるつもりだな!?やらせるかよッ!」

イザークのスモーがノインの隊長機に接近戦を仕掛ける。ノインのズサンは腕部のミサイルでイザークを軽く牽制すると、再び機体を衛星に向けた。

イザーク「こいつ・・・!舐めやがってェ!!」

アムロ「待てイザーク!様子が変だ・・・・!」

497: 2010/10/13(水) 21:01:25.62
ガトー「くそッ、またしてもダミーか!」

ロラン「こっちもダミーです!!」

コウ「大名!マヒローのメガ粒子砲では外壁は崩せません!」

ガトー「どうしたものか・・・!」

ロラン「ガトーさん!敵が来ますッ!」

ズサン隊が火器を斉射する。ミサイルはロランたちの遥か遠方、ミスルトゥの外壁に着弾する。

コウ「へ、下手!?」

ロラン「いえ、違います・・・・この人たち・・・・・・!」

ガトー「・・・・・・・・・」

500: 2010/10/13(水) 21:11:07.97
同じ頃、ギンガナム艦隊とキンケドゥ艦隊の間でも戦端が開かれた。

メリーベル「MSが来た!ギム、ここは私に任せてキンケドゥのホエールズを叩きな!──行け、お前たち!」

メリーベルの操るバンデッツ──MW(モビル・ウォーリア)システムにより無人操作される五機のバンデットたち──が一斉にズサンの一隊に撃ちかかった。ミサイルの直撃を受け、たちまち六機のズサンが爆散する。

ギンガナム「ええい、ちょろちょろと小ざかしいッ!!」

ギンガナムのターンXがホエールズの艦載機を撃ち落としていく。発掘されたばかりで万全の状態ではないターンXといえども、熟練したパイロットであるギンガナムが操れば、驚異的な力を発揮するのだ。

ギンガナム「なんだこいつら、逃げてばかりで骨が無いなァ!」

キンケドゥ「ギンガナム!待て!」

ギンガナム「あれは、キンケドゥ・ナウのズサン!!このターンXの前に、のこのこやってくるとはなァ!!!」

ギンガナムがライフルを連射する。その全てを回避したキンケドゥ・ナウが、ターンXに組み付いた。

ギンガナム「ぐぁッ!流石にやるな──接触回線だとッ!?」

キンケドゥ『ギンガナム、聞いてくれ!』

504: 2010/10/13(水) 21:22:15.65
白の宮殿に、パプティマス・シロッコのシャトルが降り立った。宮殿の周囲にはマヒローの残骸が散乱していた。

シロッコ「サーシェスめ・・・・ゼロシステムは使うなと言ったはずだがな」

程なくして、そこにソレイユも到着した。

ハマーン「・・・・・派手にやったな」

シロッコ「あの男は戦闘狂だ。言葉など通じんよ」

ハマーン「冬の城はどうか」

シロッコ「既にカテジナが制圧した」

ディアナ「パプティマス・シロッコ・・・・・!!」

シロッコ「ご無沙汰しております、陛下」

ディアナ「核を持ち出したのはそなたか・・・!」

シロッコ「黒歴史が望んでいるのです。私はその手助けをしたに過ぎませんよ」

ディアナ「やはり、あの時、そなたを頃していれば・・・・・・・!」

シロッコ「フフ、今さら後悔しても遅いのだよ。サーシェス!ディアナを軟禁しろ」

シロッコ「では私はターンXを受け取りにキンケドゥのもとへ行く」

ハマーン「ぬかるなよ」

509: 2010/10/13(水) 21:32:41.85
─ミスルトゥ

ガロード「こいつら、わざとはずしてんのか!?」

ソシエ「そんなわけないじゃない!ハマーンに寝返ったんでしょ?!」

マリィ「とにかく今は、衛星を止めることだけを考えましょう!」

ノイン「・・・・察してくれたか」

アムロ「ハマーンが現れただと!?」

ゴメス『ああ、ゲンガナムで演説を始めてる。ディアナ・ソレルも宮殿で拘束されているようだ』

クワトロ「やはりこのミスルトゥ落としは陽動だったのか。やつは月の実権を握るつもりだぞ」

アムロ「あのズサン隊の動きは気になるが・・・・俺は先に月へ行きハマーンを止める!」

クワトロ「待て!一人では危険だ。私も同行させてもらう。それと、ターンAは置いていけ。気づかれないように潜入せねばならん!」

アムロ「わかった!ハリー、ここは任せる!」

ハリー「ディアナ様を頼む!私もすぐに向かう!」

513: 2010/10/13(水) 21:43:05.53
─ゲンガナム演説広場

ハマーン「──そして、軟弱なディアナ・ソレルの姿勢がカロッゾ・ロナの独走を招き、親衛隊とディアナ・カウンターの不毛な争いを許した!」

ハマーン「月への情報統制をした後、ディアナは秘密裏に地球のグエン・ラインフォードと通じ、月の技術と引き換えに地球の土地の独占権を得たのだ!
──さらにディアナは、決して許されぬ大罪を犯した。この映像を見ていただきたい」

聴衆からざわめきの声があがる。

ハマーン「そう、核です!ディアナは黒歴史の封印を解き禁忌の核を持ち出すと、親衛隊を使い、サンベルトを制圧していたカロッゾを抹頃しようと企んだ!
核の力の前に平伏したカロッゾのディアナ・カウンターは今、地球人の軍を纏め上げ、月制圧への準備を着々と進めている!」

ハマーン「──断言しよう。ディアナ・ソレルは私利私欲のため月を売った、女王たる資格を持たぬ偽善者であると!!」

聴衆が沸き立った。

ハマーン「これより私はそのディアナを討つべく、ディアナ信者のギンガナム艦隊を殲滅した後、再び地球に降下し、ディアナ・カウンターを一掃する!
ムーンレィスの民よ!私ハマーン・カーンが、月と地球に、真の平和をもたらすであろう!!」

万雷の拍手がこれに応えた。

515: 2010/10/13(水) 21:53:18.05
少女「・・・・・お兄ちゃん・・・・・」

少年「俺はディアナ様を信じるよ」

少女「でも・・・・・」

少年「大丈夫だって。ここが戦場になったりはしないさ。アイスクリーム買ってやるから、元気出せよ、マユ」

少女「うん!」



アムロ「くそッ!一足遅かったか!!」

クワトロ「アムロ、ここで二手に分かれよう。私は港で待ち伏せる」

アムロ「ああ!」

クワトロ「・・・・・・・」

クワトロ「・・・・さらばだ」

521: 2010/10/13(水) 22:02:57.12
─白の宮殿

サーシェス「はっはァッ!!こりゃあ戦争だぜディアナさんよォ!そりゃあもうとんでもねぇ規模のなァ!!」

ディアナ「・・・・・・このような・・・・ッ!」

サーシェス「そんな顔すんなよ、楽しもうぜ?ここには俺たちしかいねぇんだからよ」

ディアナ「触れるな、汚らわしいッ!!・・・・・・・・よくも我が臣下たちを・・・・!」

サーシェス「ああ、ここにいたヤツらのことか?楽しかったぜぇ、泣き叫びながら逃げ惑いやがってよォ・・・・・特にてめぇの侍女、あれは堪んねェよなァ!!」

ディアナ「・・・・・下衆がッ・・・・・!!」

523: 2010/10/13(水) 22:08:39.40
─ミスルトゥ

ガロード「ちくしょう!またハズレかよ!」

マリィ「こっちもよ!」

ハリー「ええぃ・・・!これでは!」

イザーク「おい!ソシエはさっきから何を転がっているッ!」

ソシエ「宇宙で機械人形の運転なんてしたことないもの!」

ノイン「間に合うのか・・・・!?」

ガトー「駄目だロラン・セアック!月の引力がミスルトゥを捉えた!もはや止まるまいッ!」

ロラン「そんな・・・!・・・・・そうだ!」

ソシエ「どこに行くのよ、ロラン!」

ロラン「アムロさんが置いて行ったターンAですよ!サイロの中に、核爆弾が入っていたはずです!もう手段は選べませんッ!!」

ガトー「!!」

ハリー「あの時拾ったものがあったか!頼んだぞロラン!」

524: 2010/10/13(水) 22:14:41.22
シロッコ「ミスルトゥは動いているな。キンケドゥ、状況を知らせ!」

キンケドゥ『パプティマス殿、ギンガナム艦隊は我が艦隊を前に降伏いたしました。予定通りターンXを射出します』

シロッコ「よろしい。座標を送れ」

シロッコ「・・・・・・後はシャアがターンAを持ち出せば全てのカードがこちらのモノになる・・・フフフ・・・」


─モクバ

ゴメス「どうしたロラン!今モクバからも砲撃してるが、ノズルらしきモノは見当たらん!」

ロラン「ターンAを借ります!」

グエン「ターンAだと!」

ロラン「ヒゲです!」

539: 2010/10/13(水) 22:50:19.64
─ゲンガナム

ハマーン「ミスルトゥが落ちるか・・・プル、シャトルを持って来い」

プル『了解』

ハマーン「!」

ハマーン「このプレッシャー・・・・・・・アムロ・レイか」

アムロ「ハマーンには氏んでもらうッ!」ジャキッ

ハマーン「そんな玩具で!」キィィィン

アムロ「──!!グッ・・・・・!がァッは!!」

ハマーン「・・・・・この程度のサイキック・インプレッションにも耐えられんとはな。パイロットばかりやっていれば、こうもなろうが」

アムロ「ぐ・・・待て、ハマーン・・・・!!」

ハマーン「頃しはしないよ。シャアが悲しむ」

540: 2010/10/13(水) 22:55:10.98
ロラン「ターンAか・・・・なんだか懐かしい気がする・・・・・」

ロラン「核を使います!皆さん、ミスルトゥから離れてください!!」

ソシエ「ロラン!」

ハリー「目いっぱい離れろ!スロットル全開でェ!!」

ガロード「逃げろォー!!」

ノイン「ターンAが何か掲げている・・・・ハリーオードからの光通信?・・・・・・!!」

ノイン「全員退避しろ!今すぐに!!」

ロラン「人の英知が生み出したものなら──」

ロラン「人を救ってみせろォォォ!!!」

542: 2010/10/13(水) 23:02:02.17
シロッコ「ターンX・・・・・・生命反応は無し。小細工はないな・・・フフ」

シロッコが乗る、赤く塗られたバンデットがターンXに接近した時であった──

ギンガナム「かかったなァ!!シロッコォォォ!!!」

シロッコ「──ッ!?」

ターンXが起動し、溶断破砕マニピュレータが唸りを上げる──

ギンガナム「穿て!!!シャァァイニング!フィンガァァァァ!!!」

──その瞬間、ミスルトゥが閃光に包まれた。周辺宙域が震撼し、一瞬あらゆる電波が乱れる。

ギンガナム「な、何だァ!?」

シロッコ「あの光・・・・・!やつら、核を奪っていたのか!おのれ!!」

543: 2010/10/13(水) 23:08:25.73
核爆弾により、崩落していくミスルトゥ。

ロラン「止まった・・・止まったのか・・!?」

ノイン「これが、黒歴史の光・・・・・!」

ソシエ「核・・・・・・」

ソシエの脳裏によみがえる、最愛の人が消え去る瞬間──

ソシエ「・・・・・ギャバン・・・・・!」

ガトー(・・・・・・・・・)


─モクバ

オリヴァー「ミスルトゥは完全に停止しました!」

グエン「相変わらず、凄まじい威力だ・・・!」

キエル「・・・あの光、人頃し以外にも使い道があったのですね」

ゴメス「これでようやく一息つけるな」

モニク「それはキンケドゥ艦隊を何とかしてから言う言葉だ」

544: 2010/10/13(水) 23:14:09.13
ハマーン「何が起きた!?」

ガトー『・・・・ターンAの核爆弾がミスルトゥを焼いた。作戦は失敗だ』

ハマーン「何・・・・!?」

ガトー『私は一度ギンガナム艦隊へ戻る』

ハマーン「わかった。ジャンダルムで合流しよう」

ハマーン「・・・・・・」

ハマーン「・・・・シャアか」

クワトロ「・・・・・・・」

ハマーン「ターンAはどうした」

シャア「すまない。機を逃した」

ハマーン「・・・・・・この代償は高くつくぞ」

シャア「すまないと言っている」

そこにプルのシャトルが現れた。

プル「キャスバルー!迎えに来たよ!」

548: 2010/10/13(水) 23:24:45.51
ギンガナムが追撃し、シロッコが応戦する。

ギンガナム「シロッコ!逃がすかァ!!」

シロッコ「貴様!コックピットには生命反応など・・・・!」

ギンガナム「数分間心の臓を止める程度のこと、このギム・ギンガナムに出来ぬと思ったか!!」

ターンXとバンデットの間を閃光が走った。

カテジナ「詰めが甘いんだよ、シロッコ!」

シロッコ「気をつけろ!ターンXは本来の力を取り戻しつつある!」

ギンガナム「カテジナァ!!!」

ターンXのメガ粒子砲がレ・Oを捉えた──と思われた瞬間、レ・Oが、超絶的な動きでそれを回避した。

ギンガナム「何だとォ!?小生の動きを先読みしたというのか!」

カテジナ「うふふ・・・・ゼロシステムを舐めるんじゃないよ!!」

高揚状態のカテジナがギンガナムと激しく切り結ぶ。

550: 2010/10/13(水) 23:34:38.99
カテジナ「!!シロッコ、キンケドゥ艦隊がまっすぐこっちに向かってくるぞ!」

シロッコ「キンケドゥ・ロナめ・・・・!こちらにはカイラスギリーがあること、忘れたわけではあるまい!」

ギンガナム「カイラスギリーはなぁ!このターンXのコックピット、つまりターンXトップがトリガーになるんだよォ!!」

シロッコ「万全でないターンXが、トリガーなどになれるものかよ!!」

ギンガナム「それはどうかなァ!?やってみなければわからんぞォ!!」

シロッコ「俗人が偉そうにッ!」

ギンガナム「俗人で結構である!!!」

カテジナが接近しギンガナムに斬りかかり、シロッコがミサイルで動きを封じる。二人のコンビネーションの前に、苦戦を強いられるギム・ギンガナム。

ギンガナム「ほらほら、小生が苦戦しておるぞォ!?誰が救援に駆けつけてくれるかなぁ!?」

そこへ駆けつけたのは──

ロラン「御大将!!」

552: 2010/10/13(水) 23:39:48.58
御大将余裕じゃねーかw

599: 2010/10/14(木) 20:10:16.84
カテジナ「ターンAが来た!!」

シロッコ「シャア・アズナブルがぬかったか!あのニュータイプの出来損ないめ!!」

ギンガナム「ローラァ!その声はローラではないかァ!?」


時を同じくして、荷電粒子砲塔を搭載した月の要塞・カイラスギリーに、ハマーンが座乗する戦艦・ジャンダルムが現れた。

ハマーン「ディアナ討伐の最初の一歩として、ギム・ギンガナム艦隊を駆逐する!我に続け!!!」


ピピニーデン「ハマーン様の仰ることこそが正義!!我々はハマーン様の旗下に入らせていただく!!」

キンケドゥ「待て!あの演説を鵜呑みにしちゃだめだ!ハマーンはディアナ様を貶めたんだぞ!
義父さんは──いや、地球の人たちは月制圧なんて考えちゃいない!!」

ピピニーデン「止めるのならば!ロナ少佐とて容赦はしませんぞ!」

ハマーンの号令に応えたのはピピニーデン隊、チャリオット隊を始めとする、キンケドゥ艦隊の実に半数以上であった。

600: 2010/10/14(木) 20:17:42.36
キンケドゥ艦隊のハマーン派たちが、一斉にギンガナム艦隊に攻撃を始めた。

キンケドゥ「ディアナ・ソレル、応答しろ!」

スエッソン『なんだ、御大将は今いないぞ』

キンケドゥ「俺たちはギンガナム艦隊を援護するッ!」

スエッソン『助かる!あのモクバも共同戦線を張ってくれるらしい』

キンケドゥ「ターンタイプが二機いれば、この戦力差もあるいは・・・・!」


モニク「おい!ルクレツィア・ノイン聞えるか!」

ノイン『キャディラック特務大尉か!マイ技術中尉も・・・・』

モニク「試験パイロットにはもっとまともな奴をよこせと、お前の彼氏に言っておけ!!」

ノイン『ゼクスに・・・わかった。伝えておこう』

602: 2010/10/14(木) 20:27:30.92
─ゲンガナム・白の宮殿

ハリー「アムロとシャア大佐はどこだ?ハマーンにやられたわけではあるまいな・・・・」

ハリー「あれはソレイユ!・・・・!


サーシェス「おいでなすったな、ズングリムックのおスモーさんよォ!!」


バンデットのミサイルをシールドで弾きながら、ターンAがレ・Oのヒートロッドを斬り落とす。二機のターンタイプが背中を合わせる。

ギンガナム「ターンAを上手く使いこなしているじゃないか、ローラァ!!我が艦隊に入るつもりはないか!?こっちで男を磨けば、小生のように逞しく魅力的な男になれるぞぉ、ローラァ!!」

ロラン「僕はロランです!御大将、ハマーン一派がギンガナム艦隊を攻撃しています!ここは僕に任せて下さい!」

ギンガナム「そうはいかんのだ!ここでシロッコを叩かねば取り返しのつかないことになるのだぞ!!そんなことも解らぬローラではあるまいにィ!!」

603: 2010/10/14(木) 20:31:46.67
シロッコ「何をゴチャゴチャと!落ちろッ!!」

カテジナ「氏ねェ!!」

ロラン「うおおおおおッ!」

ギンガナム「チェエエストォォォォ!!!」

四機が激突する。二機のターンタイプが、光を放つ。

ロラン「なんだこれは!?」

ギンガナム「どうしたのだ、兄弟ィ!!」

シロッコ「これは・・・!?・・・聞えるぞ、黒歴史の声が!!」

604: 2010/10/14(木) 20:33:52.66
その頃、ギンガナム艦隊とハマーン一派は激しく交戦していた。

ガロード「敵も味方もごちゃごちゃしてやがるぜ!」

ガロードのドーベルマンがズサンをなで斬りにしていく。宇宙にあがってからのガロードのパイロットとしての成長には、目覚しいものがあった。

ソシエ「ほんとにガロードなの!?アムロじゃないわよね!?」

マリィ「アムロさんたちはいないのだから、気を引き締めましょう!」

イザーク「ハマーンにカイラスギリーを撃たれたらおしまいだぞ!!」

ゴメス「ミノフスキー粒子散布!弾幕を張れ!モクバで突っ込むぞ!」

モニク「おい!氏にに行くんじゃないんだぞ!?」

オリヴァー「左舷前方より敵MS六機、来ます!」

ゴメス「迎撃ィ!!」

─ジャンダルム

プル「キャスバル、私たちも行こう!」

シャア「しかし、私のバンデットはシロッコが持っていってしまったのだ」

プル「私が取り返してきてあげる!キュべレイで出るよ!」

605: 2010/10/14(木) 20:36:00.70
─D・ソレル

スエッソン「ガトー、待ちやがれ!!御大将を裏切る気か!」

ガトー「ディアナ・ソレルでは、月と地球に安寧をもたらすことはできん!より強い主導者が求められているのだ!」

スエッソン「ハマーン・カーンが女王になどなれるものかよ!」

コウ「ガトー大名!ハマーンは衛星落としを仕掛けるような人間なんですよ!?」

ガトー「犠牲も無しに革命など果たせん!ウラキよ、大義のため時には必要な血もあるのだ!」

コウ「納得できません!」

ガトー「ならば氏んでもらうッ!」

ガトーのマヒローがD・ソレルのブリッジにサーベルを振り下ろした。が、三発のミサイルがそれを防いだ。

ノイン「ガトー覚悟ォ!!」

ガトー「邪魔をするなァ!」

スエッソン「おい、コウ、ノイン!この御大将の船をぶっ壊すんじゃねぇぞ!いや、むしろ傷一つでもつけてみろ!!俺の首が飛ぶぞ!!!」

606: 2010/10/14(木) 20:40:55.20
カテジナ「ターンタイプがどうしたんだい!?」

ロラン「共鳴しているのか・・!?〝∀〟の文字が出てきた!」

ギンガナム「こっちは〝X〟の文字がァ!」

シロッコ「・・・・・・冬の城へ向かうぞ!カテジナ!」

カテジナ「!!まさか・・・・・?!」

シロッコ「黒歴史を公開する時が来た」

カテジナ「アハハハハッ!やっとかい!最後まで付き合わせてもらうよ、シロッコォ!」

ギンガナム「行かせるかァ!!」

そこへ、真紅のMSが単機で現れた。

プル「キャスバルのバンデットを返してよ!シロッコ!」

シロッコ「プルのキュべレイか!カテジナ、そっちへ乗せろ!」

プル「ファンネル!!」

キュべレイが全てのファンネルを放った。プルの脳波に操られ、複雑な軌道を描きながら一斉に襲い掛かる。

608: 2010/10/14(木) 20:43:11.52
ロラン「サイコミュ兵装か!」

ギンガナム「ええい!ターンXのサイコミュはまだ使えんのだぞ!!」

無数の粒子ビームが二機のターンタイプを翻弄する。

ロラン「御大将、シロッコが逃げます!」

ギンガナム「待てやァァァ──ぐわッ」

プル「落ちろ、落ちろ!」

ギンガナム「ローラはシロッコを追え!ここは小生に任せェい!!」

ロラン「頼みました!」

─ジャンダルム

ハマーン「む?接近する友軍機があるな」

シャア「私のバンデットだ。無人操作で帰ってきたのだろう。私も出る」

ハマーン「墜ちるなよ」

シャア「ギンガナムごときに不覚はとらんよ」

617: 2010/10/14(木) 21:12:54.21
冬の城──数百万人のムーンレィスが眠るこの場所に、黒歴史がそっと息を潜めている。
城の管理を任されるのは、千年前ディアナ軍としてマリア主義者と戦った七人の兵士たち──
カミーユ・ビダン、ブライト・ノア、アスラン・ザラ、ジャミル・ニート、マフティー・ナビーユ・エリン、ウッソ・エヴィン、ドモン・カッシュ
──この七人が五年ごとに交代で城を管理し、その間、他の六人は冷凍睡眠の中にいる。

アムロ「・・・う・・・・ここは?」

ドモン「・・・・・・・・・」

アムロ「君は・・・」

ドモン「ドモン・カッシュだ。この冬の城を管理している」

アムロ「・・・俺は、確かハマーンを・・・・」

ドモン「あんたは気絶していた」

アムロ「・・・・・ミスルトゥは?」

ドモン「ロラン・セアックの核が防ぎとめた」

アムロ「ターンAを使ったのか」

ドモン「・・・・・」

アムロ(無口な男だな・・・・)

620: 2010/10/14(木) 21:22:47.13
ロラン「逃がしません!」

シロッコ「ええぃ、しつこい!カテジナ!」

カテジナ「任せときな!」

レ・OがターンAに向けてダミーバルーンを撃ちだす。

ロラン「小賢しいッ!」

ターンAがサーベルで切り払うと、仕込まれていたEMP爆弾が炸裂した。ロランとターンAを電磁パルスが襲う。

ロラン「ぐぁぁあッ!」

カテジナ「ちょろいよねぇ」

621: 2010/10/14(木) 21:24:38.50
プル「何なんだよぉ、お前!」

プルは今にも泣き出しそうだった。三十基ものファンネルが放つビームが一発もターンXに当たらないのだ。それどころかギンガナムはそのファンネルを、サクサクと斬り落とし始めている。

ギンガナム「ふぅむ。シロッコの言ったとおりターンXはどうも本調子ではないようだなぁ。果たしてカイラスギリーをコントロールできるのか、不安になってきたぞ」

珍しく後ろ向きな発言を口にしつつも、既に十基近いファンネルを落としているギンガナムなのである。

ギンガナム「貴様はなァ!シャア・アズナブルの周りで、プルプル言っていればいいのだァ!!」

プル「うわぁあ!助けてぇ、キャスバル!」

ターンXの溶断破砕マニピュレータを、真紅のバンデットのビームサーベルが受け止めた。

ギンガナム「む!?何やつ!シロッコではないな!?」

シャア「遅れてすまないな、プル」

プル「キャスバル!」

ギンガナム「シャア・アズナブル!貴様、クワトロ・バジーナをやっていたのではなかったのかァ!!」

シャア「お遊びはやめたのだよ」

624: 2010/10/14(木) 21:36:55.01
─冬の城

アムロ「──そうか・・・・ブライトやカミーユもこっちに来ていたんだな」

ドモン「こっち?」

アムロ「この世界にだよ」

ドモン「ここ以外の世界があるのか?」

アムロ「・・・何だって」

ドモン「・・・・・・・」

ドモン「そういえば昔、カミーユやシャアも同じようなことを言っていたな・・・・・元の世界では、とか、こっちの世界は、とか・・・・俺には何のことかさっぱりなんだがな」

アムロ「気づいたら見知らぬ場所で寝ていたんだ。理由は分からない」

ドモン「黒歴史が別の記憶を呼び覚ますことがある、というのは聞いた事がある。カミーユなんかもそうだろう。黒歴史に触れる前は普通のムーンレィスだった。
あんたのように世界を飛び越えて来たのは他にシャアだけかもしれない。彼も千年以上前、突然現れたらしい」

アムロ「一体どういうんだ・・・・」

ドモン「俺には理屈で理解できるとは思えない。そういうものだと諦めるしかないな」

626: 2010/10/14(木) 21:50:15.57
ロラン「アムロさん!」

アムロ「!!ロラン、ターンAも!」

ロラン「わあ!ドモン・カッシュさんだ!」

アムロ「知り合いなのか?」

ロラン「ドモンさんはアクションスターなんですよ!去年公開された、『東方不敗、暁に氏す!』すごく面白かったです!CGに見えませんでしたよ、あれ!」

ドモン「いや、あれはだな・・・・・」

ロラン「僕の友達のイザークが大ファンなんです!」

ドモン「そうか・・・・」

ロラン「そんなことよりアムロさん、大変なことになりました」

アムロ「話はドモンから聞いた。俺がハマーンを討ち損じたばかりに・・・」

ロラン「あまり自分を責めないで下さい。それより、ここにはもうすぐ──」

冬の城上空に、レ・Oが現れた。

アムロ「!!このプレッシャー・・・!シロッコか!」

ロラン「アムロさんはターンAに乗ってください!僕はソレイユのホワイトスモーをとってきます!」

アムロ「わかった!」

628: 2010/10/14(木) 22:01:10.62
─モクバ

グエン「ゴメス艦長、後退しろ!前に出すぎた!」

ゴメス「MS隊は何をやってる!」

ソシエ「敵に囲まれるわ!」

ガロード「ふんばれェ!!」

三機のズサンがモクバにミサイルを発射する。機関砲の迎撃を潜り抜けた数基が船体に直撃する。

モニク「うわ、食らったぞ!」

グエン「被害は!!」

オリヴァー「メガ粒子砲が一門潰されました!このままでは・・・!」

メリーベル「モクバはもう沈むのかい!」

マリィ「メリーベル・ガジットのバンデッツよ!」

グエン「救援感謝する!」

メリーベル「モクバ隊はD・ソレルと連携してジャンダルムを叩きに行くよ!」

630: 2010/10/14(木) 22:12:49.32
─白の宮殿

ゼロシステムを解放しバーサーカーと化したサーシェスの怒涛の攻撃の前に、さすがのハリーも
窮地に陥っていた。

ハリー「これがあのノリスをやった力なのかッ・・・・!しかし、ここでやられる訳にはッ・・・・・!」

サーシェス「どうしたどうしたァ!親衛隊のハリーさんよォ!!」

レ・Oのヒートロッドがビームガンを持ったスモーの右腕を切り落とす。

ハリー「なんとォ!」

スモーのヒートファンがレ・Oの右足を叩き切る。

サーシェス「ハッハァ!楽しませてくれるじゃねぇか!」

ロラン「ハリー隊長!」

ハリー「ロランのスモーか!」

ロラン「ハリー隊長、冬の城にシロッコが!おそらく黒歴史の封印を解くつもりです!」

ハリー「何!?」

ロラン「今アムロさんがターンAで戦っています!」

ハリー「ロラン!シロッコの前にまずはサーシェスを討つ!」

サーシェス「やれるもんならなァ!!」

631: 2010/10/14(木) 22:17:33.31
ロランのスモーがビームガンを連射した。サーシェスはその全てを完璧に回避、ハリーのスモーを踏み台にし、接近し斬りつける。
ロランがそれをヒートファンで受けるのを予測したサーシェスは、サーベルを投げ捨て、ドーバーガンを構える。ロランのスモーのサーベルが空を切った。

ロラン「!!」

サーシェス「もらったァァァ!!」

その瞬間ハリーのスモーが後ろから蹴りをいれ、バランスを崩したレ・Oの頭部をロランが斬りおとし、さらにハリーが追撃しドーバーガンを叩き落す。
サーシェスはとっさにロランのスモーにヒートロッドで突きをいれるが、わずかにコックピットを外し、逆にハリーのスモーのIフィールドサーベルに乗機の両腕を斬りおとされる。

サーシェス「この俺の予測が追いつかねェだとォ!?」

ロランがビームガンをゼロ距離からコックピットに撃ちまくり、レ・Oは四散した。

ハリー「ロランは先にアムロのところへ!私はディアナ様をお助けする!」

632: 2010/10/14(木) 22:29:58.34
─冬の城

アムロ「カテジナ・ルースか!!」

カテジナ「シロッコはとっとと黒歴史の管理室へ行きな!アムロ・レイは私がやる!」

シロッコ「ドモン・カッシュ。鍵を渡してもらおう」

ドモン「・・・・・・」

シロッコ「・・・カイラスギリーは私の一存で撃てるのだぞ」

ドモン「・・・・・受け取れ」

カテジナ「氏ねェ!アムロ・レイ!!」

カテジナのドーバーガンをかわしつつ、アムロがビームサーベルを引き抜く。それを見たカテジナもサーベルを引き抜くが、アムロはサーベルをダーツのごとくカテジナ機に投げつけた。

カテジナ「何!?」

カテジナがサーベルでそれを弾いた時には、ターンAが目の前で二本目のサーベルを振っていた。カテジナは何とかそれを避け、斬り返すがかわされる。

カテジナ「こいつ、前より速くなってないか・・・・・!?」

アムロ・レイはターンAに乗り続けることで、その感覚をさらに研ぎ澄ませることに成功していた。
アムロ・レイは成長しているのである。カテジナは戦慄した。

634: 2010/10/14(木) 22:40:02.85
シロッコ『アムロ・レイ聞えるか!私は今黒歴史の部屋にいる』

アムロ「シロッコ、黒歴史を解放してどうするつもりだ!」

シロッコ『宇宙世紀、未来世紀、アフターコロニー、アフターウォー、コズミック・イラ、そして西暦──これら全ての時代の技術と歴史が、この正暦というひとつの時代に再現された時、一体どんなカオスが我々を待っているのか・・・・・私は単純に興味があるのだよ』

アムロ「貴様は自分の欲求のために世界を破滅させるつもりか!」

シロッコ『自分の欲望に正直に生きることは、何も悪いことではない。黒歴史自身がそれを望んでいるのなら、なおさらな』

アムロ「黒歴史の意思だっていうのか・・・!」

シロッコ『そうだよ。私は千年前、黒歴史に触れた時から、黒歴史の声を聞くことが出来る唯一の人間になった。戦うことしか能の無い貴様とは格が違う!』

シロッコ『黒歴史がこの世界に、人の心にどんな波紋を描くか・・・・とくと刮目せよ!』

黒歴史が解放され、月の上空、宇宙空間、いたるところにその映像が投射された。

635: 2010/10/14(木) 22:45:36.35
変調が起きた。黒歴史が、一部の人々の記憶を呼び覚ましていく。

『ソロモンよ、私は帰って来たッ!!』『今持っている肉体にだけ囚われるから!』

グエン「何だこれは!?」

キエル「このような光景は初めて目にします・・・・!」

ゴメス「月の技術によるものなのか!?」

オリヴァー「スクリーンなんて無いのに・・・!?」

モニク「映画か、アニメか!?」

ジュド「・・・・・・・・・違う・・・・アニメなんかじゃない・・!これは・・・・・・これは・・・・・!」

636: 2010/10/14(木) 22:46:09.60
ジュドーwww

638: 2010/10/14(木) 22:52:07.67
『戦いの歴史は、繰り返させません!』『引き金くらい感情で引け!己のエゴで引け!無慈悲なまでにィ!!』

ソシエ「なによこれ・・・・・見て、ロランが映ってる!」

マリィ「何か・・・・頭の中に何かが・・・・・!」

ガロード「この動く写真みたいなの、宇宙に浮いてるのか!?」

イザーク「どういうことだ、これは!!」

メリーベル「・・・・・・えらい事になったね、こりゃ・・・・」

『バーニィ、もう戦わなくていいんだ!』『月光蝶であるッ!!』

ハマーン「シロッコめ・・・・!」

シャア「・・・・・・・・黒歴史が・・・・・ッ!」

プル「なぁにこれ・・・!?」

ギンガナム「おおッ?!小生はいつの間に銀幕デビューしたのだァ!?」

ギンガナム「──と思ったが・・・・これは間違いなく黒歴史であるなぁ・・・・・シロッコめぇ・・・ディアナ様が決して公開してはならぬと仰っていたものを垂れ流すとはとんだ不届き者だ!!誅さねばならぬなァ!!!」

639: 2010/10/14(木) 23:01:02.47
『待たせたな、ヒヨッコどもォ!!』『女たちの所へ戻るんだ!!』

ハリー「間に合わなんだか!」

ディアナ「シロッコ・・・・お主は取り返しのつかないことを・・・」

『また戦争がしたいのか!あんたたちは!』『悲しいけどこれ、戦争なのよね!』

少女「・・・・・・これ、お兄ちゃんだよね?」

少年「・・・・・・・・・マユ・・・・・・・生きてる・・・・」

少女「え?」

少年「マユが生きてる!!」

少女「???」

642: 2010/10/14(木) 23:12:11.73
『行け、アクシズ!忌まわしい記憶と共に』『早く戦争にな~れ!』

アムロ「シャアだとッ!?この映像は、俺の生きた世界のものだ・・・・!!」

ロラン「これが・・・黒歴史だというのか・・・・?」

ドモン「・・・・・・これは禁忌だ」

カテジナ「アハハハハハ!すごいじゃないのさ!これが──」

『ガンダムよ、天に昇れ!』

カテジナ「──!!!」

カテジナ「・・・・・・・あ、あああ、ああ、坊やが・・・」

シロッコ「カテジナの記憶も目覚めているな。人々の記憶の目覚めが世界をどう変えるか・・・見ものだな」

『カテジナさん・・・!」

カテジナ「!!」

648: 2010/10/14(木) 23:30:38.87
少年の声を聞いたカテジナは激しく動揺した。そしてその動揺は錯乱を招いた。
カテジナが気づいた時には彼女はもう引き金を引いていた。
カテジナの記憶と共に呼び覚まされたトラウマが、彼女にそうさせたのだ。


冬の城が崩れ落ちていく。辛くも逃げおおせたシロッコが、アムロとロランとドモンがその様子を呆然と眺めていた。

冷凍睡眠中の人々と、六人の城の管理人の声無き断末魔の声が、宇宙を駆けた。
その断末魔は殊にニュータイプたちの精神に大きな打撃を与え、身体にまでその影響を及ぼした。

アムロが吐血し、シロッコが嘔吐し、ハマーンが失神し、シャアが号泣する。

シャア「カミーユ・・・・・・ブライト・・・・・・おのれ!カテジナ!!」

アムロ「・・・・・人は過ちを繰り返すのか・・・・!」

シロッコ「カテジナァ・・・・・!貴様何をしたァァ!!」

カテジナ「だ、だって、坊やの声が・・・・」

ウッソ『カテジナさん・・・・・・・』

カテジナ「ほら!」

シロッコ「幻聴だ!愚かな真似を・・・・カミーユ・ビダンたちを頃したことは間違いなくハマーンやシャアの逆鱗に触れた・・・!奴らは我々を敵として認知するだろうな・・・!」

652: 2010/10/14(木) 23:37:15.86
カテジナさん何やってんすかwwwwwwwww

695: 2010/10/15(金) 20:00:43.74
ウッソ『カテジナさん、こんな過ちを、いったい何度繰り返すんです・・・!』

カテジナ「アタシは今全てを思い出したんだよ・・・クロノクル・・・シャクティ・・・カルルマンだって・・・・」

カテジナ「こんな記憶が頭の中にいっぺんに流れこんできて、人が正気でいられると思うのかい!?」

ウッソ『あなたの業が強すぎたんですよカテジナさん!』

カテジナ「じゃあそれなら、アタシの深すぎた罪業がまた過ちを生んだのなら、あんたが今度こそ止めを刺しておくれよ!アタシを救っておくれよ!坊やならそれができるんだろ!?ウッソ・エヴィンなんだろう!?」

ウッソ『・・・・・・できませんよ・・・あなたが今、すべてを焼いてしまったんです・・・・・』

カテジナ「ウッソ!待って、アタシも連れて行って──」

ドモン「カテジナァァァ!!絶対に許さんッ!!!」

カテジナ「!!」

696: 2010/10/15(金) 20:05:00.80
ロラン「ドモンさん、生身でどうしようっていうんです!?」

ドモンが超人的な動きで約十メートルの高さにあるレ・Oのコックピットへ駆け上がった。
装甲を素手で引き剥がし、ハッチをこじ開ける。

ロラン「僕は今夢でも見ているんでしょうか・・・・・・・」

アムロ「あれで本当に人間なのか!?」

ドモンはカテジナを地上に引きずり下ろすと、カテジナの頭めがけて拳を振り上げた。

ドモン「!」

カテジナ「ウウウ・・・・頃しておくれ・・・・もう・・・」

ドモンは拳を収めた。

ドモン「・・・できない」

カテジナ「・・・どうして・・・・・・」

697: 2010/10/15(金) 20:07:43.69
富野の言い回しを会得してるとかレベル高い・・

698: 2010/10/15(金) 20:10:02.45
その様子を、ソレイユのハリーとディアナが見ていた。

ハリー「よろしいのですか?あのような大罪人には、情け容赦ない報いを与えるべきかと」

ディアナ「罪びとに情けをかけぬなと申すのなら、彼女の場合、情けをかけ生かすべきでしょう・・・・・」

アムロ「・・・・・・・・・」

ロラン「・・・・・・・・・」



記憶の再生が、人を幸福にした。

少年「あああ・・・マユ・・・!マユゥ!!」

少女「お、お兄ちゃん!離れてよ!痛いし・・・・・恥ずかしいよ!!」

少年「離れるもんか!!もう二度と!!」

人に背負いきれぬ罪科を与えた。

カテジナ「アアア・・・・・ウワアアアアア・・・・・」

黒歴史の公開が人類と世界に幸をもたらすのか不幸をもたらすのかは、誰も知らない。しかし、采は投げられたのである。

700: 2010/10/15(金) 20:15:43.96
シャア「ええい、放せプル!彼らの仇をとらねばこの心は鎮められんッ!!」

プル「だめだよ!その機体じゃ、シロッコに殺されちゃう!」

ハマーン『プルの言うとおりだ。トリガーはまだシロッコのブラックドールが握っている。前へ出れば我々も背後を撃たれるぞ』

シャア「しかし、カミーユたちが殺されたんだぞ!シロッコとカテジナと刺し違えてでも・・・・!」

ハマーン『落ち着け!ここで我々が討たれては元も子もない。シロッコは孤立している。使えるものは利用しきったほうが良い。頃すのならばその後でも遅くは無い』

シャア「・・・・・・・しかし・・・」

シャア「すまない、カミーユ・・・・・またしても・・・・お前を救うことができなかった・・・・・!」

ジャンダルムとピピニーデン率いる護衛艦隊が、カイラスギリーの裏側へと引き上げていく。

シロッコ「フフ、英断だよ、ハマーン。さて、ターンXが力の全てを解放する前に、ギンガナムを叩かねばな・・・・」

701: 2010/10/15(金) 20:21:29.80
ギンガナム「冬の城が焼かれたァ!?先ほどのえも言われぬ不快感はそのせいであったか・・・・ハリー!!我が親友のドモン・カッシュは生きておるのであろうなァ!!」

ハリー『奴は不氏身だ。人類では殺せんよ。それよりも、そちらにシロッコが向かったはずだ、気をつけろ。カイラスギリーは制圧できたか』

ギンガナム「いや、ハマーン一派の防衛網がなかなか破れんのだ。ガトーも裏切り、どうも旗色が悪い」

ハリー『ソレイユとターンAもすぐそこへ駆けつける』

ギンガナム「ディアナ様はご無事だろうなァァ!?」

ハリー『無論だ、私を誰だと思っている』

ギンガナム「親衛隊隊長のハリー・オード大尉であるッ!!」

ギンガナム「む?あれはブラック・ドール!シロッコめェ!あんなモノを持ち出しおって!!」

704: 2010/10/15(金) 20:25:42.58
─モクバ

スエッソン『ハマーンが要塞の裏側に逃げた!カイラスギリーの制御を誰が握っているかわからん以上は、奴も放置しておくわけにはいかん!ここはギンガナム艦隊に任せろ!!』

ゴメス「わかった!俺たちはキンケドゥの兄ちゃんと一緒にジャンダルムを討つ!」

モニク「マリィが帰投するぞ、ハッチ開け!」

グエン「どうしたのだ、マリィ!」

マリィ『すみません・・・あの映像を見たら、何だか気持ちが悪くて・・・・・・』

オリヴァー「んん?僕は何ともないぞ?」

モニク「お前みたいな昼行灯とマリィじゃ比較にならないんだよ、バカ!」

その時、一機のMSがハッチを飛び出していった。

ゴメス「ゼロガン!?おい、誰が乗ってる!」

ジュド「これ以上、悲しみを増やしちゃいけない!!」

キエル「ジュドお爺さん!?」

グエン「おい、ジュド爺さん!どうしたというのだ!!」

705: 2010/10/15(金) 20:30:20.58
ジュド「違う・・・・!俺はジュド爺さんじゃない・・・・」

ジュドー「俺はジュドー・・・・!ジュドー・アーシタなんだよ!!!」

ガロード「なな、何だって!?」

イザーク「とうとうボケたのか!!」

ソシエ「ジュド爺さん、どこへ行くのよ!!」

ジュドー「ハマーン・・・!あんたはまた・・・間違いを犯すのかよ!!」


ハマーン「!!」

ハマーン「この波動・・・ジュドー・アーシタ・・・・!・・・黒歴史が記憶をここへ呼び寄せたのか」

シャア「・・・・・モクバが来る」

707: 2010/10/15(金) 20:33:03.77
シロッコのブラックドールのメガ粒子砲の斉射が、三隻の戦艦と二十数機のMSを鉄くずに変える。

─D・ソレル

スエッソン「ば、化け物かァッ!?メリーベルを前に出せ!この艦が危うい!」

ギンガナム『スエッソン!メリーベルは下げろ!冬の城が焼かれたんだぞ!!』

スエッソン「しかし御大将、このままではD・ソレルが・・・・!」

ギンガナム『シロッコは小生に任せておけばよい!!貴様はガトーを警戒しろ!』

コウ「ガトォォォォォォォ!!!」

ガトー「む!ウラキか!」

コウ「ここで・・・決着をつけるッ!!」

ガトー「!!動きが違う・・・・・!!本当にあのウラキなのか!?」

コウとガトーのマヒローが激突した。

710: 2010/10/15(金) 20:38:00.74
シロッコ「ふ、ギンガナムめ。ターンXなどと、俗人に似合わぬ代物をッ!!」

ギンガナム「ブラック・ドールゥ・・・・・でかければ強いというのはなァ!!心の弱い人間が、力の限りを尽くして張る薄っぺらな虚勢なんだよォォ!!!」

シロッコのブラックドールのサイコミュハンドがターンXを襲う。さしものギンガナムも、シロッコ相手では余裕は無い。

ギンガナム「おこちゃまプルのようには行かんかァ!」

ターンXの機体の各部が分離し、ブラックドールのオールレンジ攻撃をかわす。

シロッコ「ええい、サイコミュ兵装を解放したか・・・!時間が無い!」

ハリー「シロッコ覚悟ォ!!!」

シロッコ「ゴールド・スモー!まとめて始末されに来たかァ!!!」

ハリー「ギンガナム!!チームワークでェェ!!!」

シロッコ「ディアナ・ソレルの飼い犬は、ディアナの尻だけ追いかけていればいいッ!!!」

ハリー「何ィッ・・・・!!」

ギンガナム「ディアナ様の尻とほざいたかァァ!!」

ハリー・ギンガナム「オ・ノォォォォレェェェェェ!!!!」

711: 2010/10/15(金) 20:43:39.41
─D・ソレル

スエッソン「コウのやつがあのガトーと渡り合いやがってるのか!ま、その程度のこと、この俺様にもできるがな!」

ロラン『スエッソン大名!救援に来ました!』

メリーベル「ローラのロランかい!すっかりギンガナム艦隊の一員になってるじゃないか、アハハッ!」

ロラン「僕は親衛隊のロランですッ!」

ロラン「メリーベルさん・・・・あなたを氏なせるわけにはいかないんです・・・!」

メリーベル「・・・・・そうかい。迷惑かけるね」

スエッソン「チャリオットの隊が来るぞ!撃ち方始めーッ!」

メリーベル「行け、お前たち!」

メリーベルのバンディッツとロランのホワイトスモーが、敵味方入り混じる戦闘に飛び込んだ。

719: 2010/10/15(金) 21:16:44.00
保守ありがとうございました
再開します

720: 2010/10/15(金) 21:17:52.93
その頃、カイラスギリーの裏ではジャンダルム艦隊とモクバ・キンケドゥ艦隊も交戦状態にあった。

プル「ぷるぷるぷるぷる~!」

先鋒のプルのキュべレイがファンネルを発射した。

ソシエ「なにあれ!?ふわふわしたのが来るわ!」

ガロード「変なキノコ!」

イザーク「サイコミュだッ!ソシエは下がれ!」

ピーリス「大佐、あの艦から、何か嫌な感じがします」

シャア「モクバだよ。ティファは実戦の感覚を掴めればいい。私のそばを離れるな」

ティファ「・・・・・・・はい」

キンケドゥ「おい、弾幕薄いぞ!左舷から敵が来てるじゃないか!」

キンケドゥの艦ではオペレーターは役立たずである。レーダーが危機を知らせるより先に、キンケドゥ・ロナの感覚がそれを察知してしまうのだ。

723: 2010/10/15(金) 21:23:16.86
─モクバ

ディアナ『冬の城が焼かれ、冷眠中の民とワタクシの古き友が氏にました』

グエン「何と・・・・」

ディアナ『同時に黒歴史の記録も闇に葬られてしまいました』

グエン「!!」

ゴメス「あんなもの始めから無いほうがいいんだし、良かったじゃないか」

ディアナ『必要だからあのような形で残されていたのです。戦いの歴史を繰り返さないためには、無くてはならぬ物なのです』

グエン「もとに戻す方法は無いのですか!」

ディアナ『・・・・・一つだけあります』

モニク「と、言いますと?」

ディアナ『かつて黒歴史を、人体に移植する計画がありました』

キエル「体の中、でございますか?」

ディアナ『ええ。千年前、ギルバート・デュランダルという遺伝子学者が、人の遺伝子に黒歴史の情報を刷り込む技術の開発に成功しました』

725: 2010/10/15(金) 21:28:51.41
ディアナ『大変危険が伴う移植手術です。何せ人類の何百万年分もの歴史の全てを一身に宿すのですから、普通は精神が溢れて壊れてしまうのです。多くの実験体が犠牲になりました。
しかし、ひとりだけ成功した実験体がいました。実は千年前の月事変は、その人物をめぐる争いでもあったのです』

ディアナ『──その人物を、ぜひそちらで保護していただきたい』

グエン「まだ生きているというのですか・・・!」

ディアナ『直にそちらに到着するでしょうから、どうぞよしなに・・・・・・それと、キエルさんにお願いがあるのです』

キエル「わたくしに・・・でありますか?」

ディアナ『・・・・・・これがワタクシからの最後の頼みごとになるかもしれません』

マリィ「ディアナ様・・・!?何を・・・・?!」

キエル「・・・・なんなりと」

ディアナ『ふふ・・・思えば、あの入れ替わりも、ワタクシが言い出したことでしたね・・・・本当に、ご迷惑をおかけして・・・・』

キエル「いえ、わたくしこそ・・・・」

ディアナ『マリィ、そなたもお手伝いしてくださいね』

マリィ「・・・・はい!」

728: 2010/10/15(金) 21:36:27.25
ブラックドールが拡散粒子砲をばら撒く。サイコミュハンドが飛び交う。粒子ビームの嵐の中で、ターンXとゴールドスモーがIフィールドを展開しながら必氏に応戦する。

ギンガナム「ニュータイプがァ!!」

ハリー「我々ディアナ様の下僕にィ!!」

ハリー・ギンガナム「勝てるわけねェだろォォォォォォ!!!!」

シロッコ「騒がしいッ!!」

ハリーのスモーがメガ粒子砲をIフィールドサーベルで弾きながら、ギンガナムのターンXがサイコミュハンドを叩き斬りながらブラックドールに接近する。

729: 2010/10/15(金) 21:38:43.63
ハリー「接近戦ならばァ!!I・フィールド・サーベルッ!!!」

ギンガナム「ばァァァくねつッ!!ゴッド・フィンガァァァァァ!!!」

二つの得物がブラックドールを貫いた。

シロッコ「甘いッ!!!」

至近距離からのメガ粒子砲による反撃で、撥ね飛ばされる二機。

ギンガナム「ええぃ、頑丈な!ハリー、貴様のスモーは片腕が無いのだから、あまり前に出すぎるんじゃないッ!!」

ハリー「そうはいかんッ!ここで引かば親衛隊隊長の名が泣くというものッ!!」

シロッコ「まだだ・・・!カイラスギリーはもっと敵を引きつけてからではなければ撃てんッ・・・・!」

732: 2010/10/15(金) 21:44:04.71
ジュドー「ハマーンは止まれ、ジャンダルム!!」

シャア「ゼロガンだとッ!パイロットは誰だ・・・!?」

プル「突っ込んできた!やっちゃえ、ファンネ──」

シャア「プル!なぜ撃たん!」

プル「・・・・・撃てないよ」

シャア「お腹が痛いのか!」

プル「違う、心が痛いの・・・・!」

シャア「プルは私のことを嫌いになったのか?」

プル「ううん!キャスバルのことは大好きだよ!でも・・・・あの人は撃てない・・・・撃っちゃいけないの・・・・・!」

シャア「ええぃ!プルはモクバをやれ!私がヤツを──!!!」

アムロ「シャアめ!!」

シャア「ちぃッ!ピーリス!ティファとともにあの白いのをやれ!」

ピーリス「ヒゲのやつでありますか!」

シャア「そっちには絶対に手を出すな!殺されるぞ!!」

734: 2010/10/15(金) 21:51:05.52
ハマーン「・・・シャア、頼んだぞ・・・・・カイラスギリーに転進せよ!」

ジュドー「待て、ハマーン!!」

ピーリス「行かせるかッ!!」

ティファ「・・・・・・落とす・・・・!」

ジュドー「くそッ!邪魔なんだよ!!」

無数のファンネルがゼロガンに迫る。ジュドーは老躯を軋ませながら、操縦桿を握る。

ジュドー「なんなのこの体はッ!?全然動きやしない!!」


アムロ「シャア、貴様はいつも!ガロードやロウたちの善意を踏みにじって!」

シャア「何も知らない貴様が、偉そうに言う!」

アムロの白いターンAとシャアの赤いバンデットが斬り結ぶ。が、機体の性能の差から、勝敗は明らかであった。

シャア「ええぃ、如何ともしがたい!!ここでむさと命を散らしても何にもならんッ!!」

アムロ「シャア、やらせてもらうッ!」

736: 2010/10/15(金) 21:56:55.81
ガロード「何だよこれ!速ェ!!」

プルのファンネルが、ガロードのドーベルマンを釘付けにする。イザークがスモーのビームガンでファンネルを撃ち落していく。

プル「あのスモーが邪魔だな!」

プルがサーベルを引き抜いた。

イザーク「この俺に接近戦を仕掛けるとはな!」

迎撃するイザークの進路を、ファンネルのビームが塞ぐ。

イザーク「姑息なんだよォォ!!」

スモーとキュべレイが衝突する。

プル「強い!」

イザーク「このォォォ!!!」

ガロードが被弾しつつも、その順応性を活かしてファンネルを落とし始めた。

ガロード「負けられないッ!!」

737: 2010/10/15(金) 22:01:17.92
キンケドゥ艦隊はピピニーデンの護衛艦隊と砲撃戦を繰り広げていた。

キンケドゥ「全艦、ピピニーデンのアルマイヤーに集中砲火!全砲門開け!」

ゴメス「あの中央のをやるそうだ!主砲照準、撃てーィ!!」

ミサイルとビームの嵐の中で、アルマイヤー級が撃沈する。

ソシエ「MSが来る!」

ノイン「君は下がっていろ」

ソシエ「なめないでよ!わたしだって!」

敵のズサのミサイルが火を噴いた。キンケドゥ艦隊のズサとソシエのカプルが迎撃する。

ソシエ「なんとー!」


マリィ「キエルさん、終わりましたよ」

キエル「うむ。よしなに」

マリィ「・・・・本当に見分けがつかない・・・・」

キエル「ふふ」

マリィ「今出て行くのは危険です。もう少し待ちましょう」

739: 2010/10/15(金) 22:07:17.00
スエッソン「よーし!一気に敵中突破するぞ!MS隊前へ出ろ!!ソレイユは下がっててくださいよ!」

チャリオット艦隊の防衛網を破ったギンガナム艦隊がカイラスギリーを目指し猪突猛進する。

ロラン「スエッソン大名!敵はカイラスギリーで僕らを一掃するつもりですよ!!」

スエッソン「御大将を信じろ!既にターンXがトリガーを掌握しているハズだ!」

ロラン「根拠はなんです!?」

スエッソン「そんな難しい言葉、ギンガナム家の辞書には載っていない!!」

ロラン「そんなこと!」

ガトー「ええい、突破されたか!そこをどけ、ウラキッ!!」

コウ「どくものかァー!!」

ガトー「ぐッ・・・・!しかし、なにかデジャヴのようなものを感じる・・・・!これは何だッ!」

740: 2010/10/15(金) 22:14:03.21
ギンガナム「我が艦隊が来たか!命数尽きたなシロッコォォォ!!ターンXは万全なのだァァ!!!」

シロッコ「撃てッ!!カイラスギリー!!!」

カイラスギリーの荷電粒子砲が発射された。

ギンガナム「なんだとォォ!?」

ハリー「ギム・ギンガナム!!!」

凄まじい威力の粒子ビームがターンXを飲み込んだ。

ギンガナム「うおオオオオ!I・フィールド・バリアァァァァ!!!」

ギンガナムが必氏にその威力を拡散させようとするも、粒子はギンガナム艦隊の半数を消し飛ばし──

スエッソン「御大しょ──」

ロラン「スエッソン大名ォォ!!!」

ロラン「──地球が──!」

カイラスギリーの粒子砲が地上を焼いた。宇宙を、再び悲しみと痛みが満たした。

741: 2010/10/15(金) 22:21:13.26
シロッコ「ハハハハ!残念だったな、ギム・ギンガナム!!」

グエン「カイラスギリーが撃たれただと!!」

キンケドゥ「ギンガナム艦隊が壊滅・・・・・!!・・・・・地球に着弾だって!?」

ディアナ「ターンXは・・・・間に合わなかったのですね・・・・・・・」

ハマーン「上手く掃除をしてくれたな、シロッコ」

ジュドー「撃たせちゃいけなかったんだ・・・・地球をッ・・・・・!」

ソシエ「地球が、やられたの!?」

ゴメス「・・・・・・今、情報が入った。照準はルジャーナで間違いないそうだ」

ガロード「そんな・・・!!ルジャーナには、セレーネやロウもいるんだぞ!!」

ソシエ「メシェーや、ラダラムさんやマリガン中佐だって・・・・・・・・」

グエン「・・・・リリ・・・・・」

アムロ「くそォォ!!こんなこと・・・・ッ!」

シャア「・・・・・・・・・・・・」

744: 2010/10/15(金) 22:29:13.89
その頃、荷電粒子ビームの直撃を受けたギム・ギンガナムとターンXは、大気圏にまで押しやられていた。


ギンガナム「ええい、ターンXは機能不全を起こしたか!機体の制御がきかぬ・・・・・!このまま地表に激突すれば、小生とて無事ではすまん・・・・・!」


ギンガナム「・・・・・・・・・・」


ギンガナム「・・・・・・ディアナ様・・・・・・・」


ギンガナム「ディアナ様にお仕えした二千年間、小生は幸せでしたぞ・・・・・・・」


大気圏を抜け、ギンガナムが最期に目にしたものは──




ギンガナム「ほぅ・・・!地球から眺める月も、美しいのだなぁ・・・・・・・!」

747: 2010/10/15(金) 22:47:17.33
一瞬の混乱の後、再び戦場が爆炎と閃光に包まれた。

ハリー「おのれシロッコォォォォ!!」

シロッコ「そんな機体ひとつで何ができるッ!十分もあれば第二射を撃てるのだぞ!!」

ロラン「──カイラスギリーは本来、隕石破砕用に建造されたものなんですよ・・・・!」

シロッコ「!」

ハリー「ロラン!」

ロラン「それを地球に向けて、あまつさえ大勢の人々を巻き添えにして撃つなんて・・・・・!」

ロラン「僕は許しませんッ!絶対にッ!!許しませんよォォォ!!!」

シロッコ「許さぬか・・・・!ならば、このシロッコを何とするッ!」

ロラン「その御命をもって贖ってもらいますッ!!」

シロッコ「笑止ッ!!」

ブラックドールの放つ網の目のごときビームの中を、ロラン・セアックが駆ける。

シロッコ「なぜだ、なぜ当たらんッ!!」

ロラン「でやああああああ!!」

ロランのホワイトスモーのIフィールドサーベルが、ブラックドールを袈裟に斬った。

748: 2010/10/15(金) 22:56:20.30
シロッコ「小僧ォォォォ!!」

ブラックドールが閃光を放ち爆発していく。

ロラン「やったのか・・・・?」


カイラスギリーの発射。それが〝合図〟であった。月の裏側のマシュマー艦隊が、動いた。

マシュマー「これより我々は、ハマーン様の地球降下をお助けする!気を引き締めて行け!!」

セロツー「ようやくこの時が・・・・・ハマーン様バンザーイ!!」

セロスリー「私の勇士を今こそお見せする時・・・・ハマーン様バンザーイ!!」

セロフォー「我らがハマーン様バンザーイ!!」

セロファイブ「ハマーン様・・・・ああ、ハマーン様・・・・!!ハマーン様!!」

セロシリーズ「ハマーン様、バンザーーーイ!!!!」

十五人のマシュマー・セロのクローン──通称〝セロシリーズ〟──の鬨の声が、宇宙に轟いた。

752: 2010/10/15(金) 23:03:09.88
パプティマス・シロッコは頭部のコックピットブロックで辛くも脱出していた。

シロッコ「私は、この世界の行く末を見届けねば・・・・!氏に切れるものではない・・・・ッ!」

ハマーン「貴様が黒歴史を公開などしなければ、シャアが悲しむこともなかった・・・・」

シロッコ「キュべレイ!・・・・ハマーン・カーン!」

ハマーン「さよならだ。お前はよくやってくれたよ」

キュべレイのビームサーベルがコックピットのシロッコを貫いた。



シャア「何!?シロッコは私に討たせろと言ったではないか!」

ハマーン『一刻も早くカイラスギリーを掌握する必要があったのだ。部隊を引き上げさせろ。マシュマーが動いた』

シャア「・・・・・了解した」

シャア「プル、ソーマ、ティファ、撤退する!」

少女たち「了解!」

アムロ「逃げるのか、シャア!!」

シャア「引き際をわきまえていると言ってもらおう」

754: 2010/10/15(金) 23:09:10.90
ゴメス「おい、ガロードたち戻れ!月の裏から増援が来たぞ!!それもかなりの規模だ!」

ガロード「おいマジかよ!」

アムロ「ちィッ!俺はシャアを追う!」

グエン「待て!アムロは行くな!ターンAが無ければここは切り抜けられない!」

アムロ「・・・・だがッ・・!」

ゴメス「カイラスギリーにはジュド爺さんが向かった」

アムロ「何だとッ!?」

ガロード「俺はジュドーなんちゃらだーって言ってさ。口調もなんか変わってた」

アムロ「ジュドー・・・・・?ジュドー・アーシタか!!」

ガロード「なんだ、聞いてたのか?」

ソシエ「すっごく強かったのよ」

755: 2010/10/15(金) 23:12:24.26
コウとガトーの戦いは続いていた。カイラスギリーのビームが通過していった、MSと戦艦の残骸漂う宙域で、二機のマヒローはぶつかり合い、離れ、ぶつかり合う。武装などとうに無くし、カッター一振りで切り合う二人。

コウ「うおおおおお!!」

ガトー「おおおおおお!!」

コウのマヒローがガトーのマヒローに刃を突き立てる。ガトーのマヒローがコウのマヒローを切り付ける。
コウのマヒローが殴りつけ、ガトーのマヒローが蹴り飛ばす。

コウ「これで決めるッ!」

コウが戦艦の残骸を蹴り、勢いをつけガトーに吶喊した。

ガトー「ぬぅッ!!」

コックピット付近に刃を受け、ガトーが激しく体を打ち付ける。コウも、ガトーが返した刃の一撃を食らい、コックピットから投げ出される。

コウ「今度こそ、決着をつけたぞ・・・・!ガトー・・・・・!」

ガトー「ウラキ・・・・連邦の、コウ・ウラキ少尉、か・・・・!」

マヒローが四散した。

758: 2010/10/15(金) 23:18:04.38
カイラスギリーのトリガーを、ハマーン・カーンが掌握した。

ハマーン「チャージが完了し次第ディアナのソレイユを撃つ。射線上の友軍機に伝えよ」

ジュドー「待て!ハマーン!」

ジュドーが駆るゼロガンが、カイラスギリーの粒子砲塔の前に現れた。

ハマーン「ジュドー・・・・久しいな。だいぶ年老いてはいるが」

ジュドー「あんたにも分かるだろ!地球の人々の叫びが!!」

ハマーン「・・・・そこをどけ。お前を頃したくはない」

ジュドー「分かんないんなら、教えてやる!この光で教えてやる!!」

ゼロガンのバックパックから、おびただしい量の、緑色に輝く光が放出される。

ハマーン「何だこれは・・・・・!」

ジュドー「人の心を繋ぐ光だッ!あんたを救う光なんだぞ、ハマーン!!」

ハマーン「私の中に、人の意識が、入り込んで・・・・・ッう!」

ハマーン「不愉快な・・・・私から出て行けェェッ!!」

ハマーンの拒絶が、ハマーンの意思と直結しているカイラスギリーのトリガーを引いた。

761: 2010/10/15(金) 23:21:19.02
ジュドー「ハマーン!!!!」

ジュドー・アーシタを乗せたゼロガンが蒸発し、カイラスギリーの二射目がソレイユに迫る──

ハリー「うおおおおお!!」

地球を撃たせないため、自ら標的となったソレイユを、損傷したゴールドスモーが左腕一本で押し出した。カタログスペック上、絶対にあり得ない力で。そのすぐ背後を粒子が通過する。

ディアナ「!?ハリー、お止めなさい!ワタクシはここで氏ぬ運命なのです!月にはキエルさんが──」

ハリー「たとえこの魂燃え尽きようともォ!!ディアナ様はやらせん!やらせはせんッ!!」

ゴールドスモーの両足が溶解する。

ハリー「ユニバァァァァァァス!!!!」

ゴールドスモーのバーニアが唸りを上げる。限界を超えた機体が自壊していく。

ハリー「ディアナ様!!我が務め、全ういたしましたぞ!ロラン、後のことは頼ん──」

ハリーのゴールドスモーが爆散した。

ロラン「ハリー隊長ォォォォ!!!」

816: 2010/10/16(土) 20:01:56.80
ジュドーとハリーの氏が、アムロを突き動かした。

アムロ「これ以上やらせるものかッ!!」

ソシエ「アムロ、どこに行くのよ!敵が──」

──アムロのターンAがふっ、と姿を消した。

ソシエ「──え?」

次の瞬間、アムロ・レイとターンAはカイラスギリーの砲塔前にいた。

シャア「!!」

ハマーン「ターンAだと!?一体どこから──」

アムロの精神波がターンAを包みこみ、全てのエネルギーが一本の巨大なビームサーベルとなって凝縮される。

アムロ「ターンAガンダムは、伊達じゃないッ!」

ターンAが振り下ろしたビームサーベルが、砲身ごと要塞を両断する。

ハマーン「急ぎ進路を地球へ向けろ!!奴は化け物だ!!ターンXを回収するッ!!」

逃げていくジャンダルムを、オーバーロードしたターンAのコックピットから睨み付けることしかできないアムロ・レイであった。

820: 2010/10/16(土) 20:05:59.30
─ソレイユ

ディアナ「カイラスギリーは落ちましたか・・・・・ロラン、ジャンダルムを追い地球へ降下します」

ロラン「・・・はい」

ゴメス『おい、ディアナ・ソレルさん!』

ディアナ「なんでしょう、ゴメス艦長」

ゴメス『キエルのお嬢ちゃんが大変なんだ!あんたから何か言ってくれ!』

─モクバ

キエル「放してください、マリィさん!ハリーの元へ行かせて下さい!ここでこの身を投げれば、彼と再会できるのです!」

マリィ「いけません!キエルさん!!」

ディアナ『キエルさん、聞えますか』

キエル「!」

822: 2010/10/16(土) 20:10:27.43
ディアナ『ハリー・オードは忠義に生き、その忠義に殉じました。彼の遺志を無下にする行為は、このワタクシが許しません』

キエル「・・・・・・!」

ディアナ『・・・・キエルさん。ハリーが愛したキエル・ハイムは少なくとも、自らの務めを放棄し悲しみに暮れるあなたではなかったでしょうね・・・』

キエル「ディアナ様・・・・・・・」

キエル「・・・・・申し訳ございません。わたくしはいやしくもディアナ・ソレルの御名をお借りする身でありながら、このような痴態を・・・・・」

ディアナ『良いのです。ディアナ・ソレルもまた人の子であると、改めて思い知りましたよ・・・・・』

ディアナにとって、キエルは鏡の中の自分であった。キエルにとってもそれは同じことだった。
二人はお互いを見つめることで、我が身を顧みるのである。

ディアナ「もう大丈夫です。月へ参りましょう」

マリィ「お送りいたします」

ディアナ「是非に」

825: 2010/10/16(土) 20:15:41.33
十五機のハンマ・ハンマが鬼神のごとき活躍で、キンケドゥ艦隊を苦しめていた。

キンケドゥ「くそッ!たった十五機のMSにこれほど・・・・・!ターンAは!どこに消えちゃったんだよ!」

ソシエのカプルのミサイルが、一機のハンマ・ハンマを捉える。すかさずノインのズサンのアームパンチが止めを刺す。

ノイン「やるな!」

ソシエ「任せなさい!」

ゴメス「弾幕薄いぞ!もっと突っ込め!!」

オリヴァー「十二時の方向より敵MS五!」

モニク「前に出すぎなんだよ!氏にたがり!!」

ゴメス「この艦が囮になれば、ソシエ嬢ちゃんたちの負担が減るだろ!!」

モニク「増やしてるんだよ、馬鹿め!」

826: 2010/10/16(土) 20:19:51.45
ガロード「モクバが危ねェ!!」

イザーク「行くぞガロード!遅れをとるなよ!」

ガロード「癇癪持ちのイザークなんかに遅れるかよ!」

イザークのスモーとガロードのドーベルマンが、五機のハンマ・ハンマに突っ込む。

ガロード「三機そっちに行った!!」

イザーク「でえええい!」

イザークのスモーが一機のハンマ・ハンマと切り結ぶ。後方からのビーム砲を受ける。

イザーク「こんのォ!!」

ガロード「イザーク!」

ドーベルマンのサーベルが一機を切り捨てる。スモーのビームガンが一機を撃ち落す。

ガロード「大丈夫かよ!!」

イザーク「お前に助けられるとはな!!」

828: 2010/10/16(土) 20:25:30.84
グエン「・・・・艦長、ジャンダルムに通信を繋げ」

ゴメス「なんだって!?」

グエン「ハマーン・カーンと交渉がしたい」

モニク「交渉だと!?そんなものが通じると思うのか!?」

グエン「ハマーンはカイラスギリーを潰され、ターンAはこちらにあるのだ」

ゴメス「だがハマーン派の艦隊はまだ──」

グエン「指揮官は私だ!ゴメス艦長!」


ハマーン「モクバからの通信だと・・・・?・・・・・繋げ」

グエン『ハマーン・カーン執政に、少しお話がある』

ハマーン「・・・・何だ」

グエン『あなたは黒歴史のバックアップをとっているはずだ』

ハマーン「なぜそう思う」

829: 2010/10/16(土) 20:29:45.59
グエン『あなたほどの人物が、その程度の予防線を張っていないはずがない』

ハマーン「・・・・・確かに、こちらには黒歴史の記録が残っている。全てではないが」

グエン『やはり私の読みは正しかった。執政、取引だ』

ハマーン「取引?」

グエン『黒歴史は人類が共有すべき財産であると、私は考えている。黒歴史の象徴的な存在であるターンタイプも同じだ』

グエン『こちらはターンAを差し出す。引き換えにその黒歴史のデータを、譲っていただきたいのだ』

ハマーン「正気か・・・?!」

シャア「罠かもしれんな」

グエン『騙まし討ちなどするつもりはない。信じて欲しい』

ハマーン「・・・・・・わかった。合流地点の座標を送る」

831: 2010/10/16(土) 20:35:31.23
モニク「お前頭おかしいんじゃないのか!!」

ゴメス「ターンAは貴重な戦力だ!手放すわけにはいかん!!」

グエン「黒歴史があればターンタイプの量産とて可能なのだ!!そうなればハマーンを出し抜ける!!モクバを発進させろ!!」

ゴメス「・・・・・断る!」

グエン「これは命令だッ!!」

モニク「行きたいのなら一人で行け!私たちはこんな馬鹿げたことに付き合っていられない!」

グエン「馬鹿げたことだと・・・・!地球の命運がかかっているのだぞ!!」

メリーベル「──話は聞いたよ!グエン・ラインフォード!」

モニク「バンデッツだと!?」

グエン「メリーベル・ガジット!なぜ君が・・・!」

メリーベル「袖振り合うも多生の縁っていうじゃないか!さ、早くこのシャトルに乗りな!」

832: 2010/10/16(土) 20:39:40.40
アムロ「モクバはどこだ・・・・!?」

グエン「アムロ!」

アムロ「グエン様か!バンデッツが一緒だと・・・」

グエン「アムロ、ターンAを渡してもらおう」

アムロ「!?」

グエン「ハマーンと取引をした。黒歴史のデータを受け取る代わりに、そのターンAを譲り渡す」

アムロ「・・・・・・見損なったぞ、グエン・ラインフォード!地球の領主であるあなたが、黒歴史の語ったものを分からないわけではないだろうに!!」

グエン「地球の未来を思うからこその行動だよ、アムロ!理解してくれ!!」

アムロ「ハマーンがそんな交渉を飲むわけがない!殺されるだけだ!」

グエン「あちらにはシャア・アズナブルもいるのだ!彼に仲介役をやってもらえばいい!」

アムロ「甘いよ、グエン!シャアはそんなお人よしじゃない!!」

835: 2010/10/16(土) 20:44:41.77
グエン「ならば、結構!メリーベル、行くぞ」

メリーベル「ターンAはいいのかい?」

グエン「後払いでもかまわないだろう。交渉相手を待たせるわけにはいかない」

アムロ「待て、グエン!!」

グエン「安心したまえ。量産型ターンタイプの試作機は、君にパイロットをやってもらうよ」

アムロ「そんなこと!・・・・・・・グエン、これでは道化人だぞ・・・!」

─モクバ

キンケドゥ『ここは俺たちに任せて、モクバ隊はジャンダルムを追ってくれ!!』

ゴメス「わかった!今頃お馬鹿な御曹司がハマーンを引き止めている頃だろう。MS隊は早く帰還しろ!」

モニク「アムロもどこかにいるはずだ。拾わないとな」

836: 2010/10/16(土) 20:49:37.79
ハマーン「来たか・・・・ターンAはどうした」

グエン「ターンAは諸事情あって今は渡せない。しかし、この私を証人としてそちらに同乗させていただく!」

ハマーン「何・・・・・・?」

グエン「このラインフォード、ガリアとアメリアの架け橋となり、ゆくゆくは地球をその掌中に収める男だ!!決してそちらに不都合はないはずだ!」

ハマーン「笑わせるな!己の器も推し量れぬ俗物に、世を動かせると思ってか!!」

グエン「待ちたまえ!話し合いは──」

ハマーン「世迷言の続きははあの世でするんだな。・・・・・殺れ!シャア!」

シャア「そういうことだ。グエンの坊や」

グエン「ええぃ!メリーベル!!」

メリーベル「グエンはやらせないよ!」

841: 2010/10/16(土) 20:54:59.89
シャア「道化のメリーベル・ガジット・・・・君を頃す理由が、私にはある!」

メリーベル「数ならこっちの方が多いんだ!やれ、お前たち!」

バンデッツがシャアの赤いバンデットを取り囲み、ミサイルによる飽和攻撃を仕掛ける。
シャアはその全てを避け、切り払い、撃ち落す。

シャア「血と肉の通わぬマシンなどに、この私は倒せん!」

シャアのバンデットが、バンデッツの無人機を撃破していく。

メリーベル「な、なんだいこいつ!ミサイルをファンネルみたいに使って!」

赤いバンデットのミサイルの攻撃を受けたメリーベルのバンデットが、グエンのシャトルに激突する。

グエン「シャア・アズナブル!あなたが私を見限ったのではない!私があなたを見限ったのだ!それを忘れるな!!」

シャア「見限る?ハッハッハッハッ!!いかにも坊やらしい物言いだな、グエン・ラインフォード!」

シャトルが閃火に消えた。

ハマーン「無駄な時間を割いたな。地球へ急ぐぞ、シャア」

842: 2010/10/16(土) 21:00:39.87
その頃、月の首都ゲンガナムの演説広場には、親衛隊のマリィ・パーファシーを従えたディアナ・ソレルが現れていた。

ディアナ「月に住むムーンレィスの皆様、どうかお聞き下さい。ハマーン・カーンとパプティマス・シロッコの企みにより、地球に住む多くの人々が、命を落としました」

聴衆「黙れ偽善者が!貴様が核など使ったせいだろう!」

ディアナ「・・・・!」

マリィ(キエルさん・・・・)

ディアナ(ハリー、どうかわたくしに力を・・・・!)

ディアナ「・・・・・わたくしは核など持ち出しておりませんし、ましてや月を売るような行為も断じてしておりません。
力が至らずにこのような事態になってしまいましたが、わたくしは月と地球の和平に向け、身を削り努力をしてきたつもりです。地球の人々との友好を望むお気持ちは、皆様とて──」

聴衆「地球人などどうなろうと構うものか!売国奴はナメクジみたいに地上を這っていろ!!」

ディアナ「・・・・・・そのような物言い、わたくしは大変残念に思います。なぜ地球を、上から見下ろすことしかできないのですか?この宇宙には上も下もないのです。
月だろうと、地球だろうと、この宇宙の一部ではないですか!月に住んでいるから、文明が発達しているからといって地球の人々に対し尊大に構えて良いはずがないのです!人はみな、人なのです!」

拍手と野次が飛び交う。

キエル「わたくしには、これで精一杯です・・・・お力になれず、申し訳ありません・・・・・」

マリィ「いえ、十分ですよ・・・・後は、ディアナ様が・・・・」

844: 2010/10/16(土) 21:05:45.40
グエンのシャトルの残骸の中を、メリーベル・ガジットが漂っていた。彼女はかつて幾度も命の危機にさらされた経験から、生き延びる術を心得ているのだ。

メリーベル「グエン、氏んだのかい」

グエン「・・・・・まだ、氏ぬわけ、には・・・・・」

メリーベル「天があんたを生かした。そうだろう?」

グエン「しかし、私は、全てを失った・・・・黒歴史も・・・・」

メリーベル「それなら心配はいらないよ。地球に戻ったら、あたしの体を隅々まで調べてみるんだね。あんたの望みを叶えられるはずだよ」

グエン「何・・・?まさか、君が・・・・・!」

メリーベル「移植手術に成功した、唯一の実験体さ」

千年前、月事変の原因となったひとりの少女は、道化として振る舞い、生き長らえることに成功していたのであった。

グエン「ならばなぜ、それを最初に言ってくれなかったのだ・・・・・!そうすればハマーンになど・・・!」

メリーベル「黒歴史の危険性と重要性はあたしが一番良く知ってる。あんたが黒歴史を正しく扱える人間かどうかを試させてもらったのさ。
あんたは若くて短絡的だけど、愚か者じゃない」

グエン「なんとも・・・・・・」

847: 2010/10/16(土) 21:12:43.68
ジャンダルムは、ターンXの落下地点に降りた。

ハマーン「損傷がひどいな」

部下「ですが、カイラスギリーの直撃を受け、大気圏を越えて地表に落下して原型を留めているだけでも、驚きです」

ハマーン「パイロットは氏んだか」

部下「ええ。あ、コックピットの中は見ないほうがよろしいかと・・・・」

ハマーン「・・・・・・・」

ハマーン(あのギム・ギンガナムも、骸と為ればただの人間、か・・・)

ハマーン「ターンXトップは予備のものを使え。他は修復して使う。モクバが降りてくるまでに済ませろ」

部下「努力します」

シャア「・・・・・・」

850: 2010/10/16(土) 21:20:16.58
その頃、イングレッサではハマーン一派の艦隊とD・カウンター、ミリシャ連合が交戦していた。

ポゥ「ムーンレィス同士でやり合うのにはもう飽き飽きだ!」

シルバースモーを与えられたポゥ率いるMS部隊が必氏に応戦する。

カロッゾ「ソレイユやモクバもすぐに駆けつける!ここを耐え忍べば、戦況は覆る!」

ポゥ「本当なのか・・・?はったり言ってんじゃないだろうな!?」

カロッゾ「聞えておるぞポゥ!減給されたいか!」

ポゥ「申し訳ありません!」

ポゥ(洗脳が解けたというのに、やや強気なのは何なんだ・・・・?)

ズサン・マヒロー部隊の攻撃が地上を揺らす。ボルジャーノン、カプル、ウォドムは地上から、ムットゥーやスモーやフラットが上空からそれを迎撃する。

ポゥ「おい!ミリシャはもっと働け!敵に回すとあんなに面倒くさかったのに、この頼りなさは何だ!?」

ロウ「るっせー!ルジャーナが壊滅したんだよ!そっちの復旧のせいでこっちまで手がまわんねぇんだ!」

ポゥ「ここはお前たちの土地だろ!?D・カウンターばかりが被害を受けるのはおかしいじゃないか!」

メシェー「見て!ソレイユが降りてきた!」

851: 2010/10/16(土) 21:30:10.16
ディアナ「ではロラン隊長、出撃してください」

ロラン「は!ロランセアック、ホワイトスモー行きますッ!」

ロラン率いる新・親衛隊が戦場に飛び込んだ。


カロッゾ「ディアナ様!」

ディアナ『ご苦労様でした、カロッゾ少将。ノックスは復旧したようですね』

カロッゾ「はい。しかし、ルジャーナはもはや再建不可能かと思われます」

ディアナ『地上がどれほど混乱したことでしょう・・・申し訳ございません。我々の力が足りず、このようなことに・・・』

カロッゾ「ディアナ様が御謝りになることはありません。ハマーンです。あやつを何としても討ち取らねばなりますまい」

ディアナ『カロッゾ・・・変わりましたね。言動が少々過激に・・・・』

カロッゾ「はて・・・?」

853: 2010/10/16(土) 21:38:41.29
─ジャンダルム

シャア「私も出る。プルは艦の護衛に回れ。ティファとピーリスと私で親衛隊をやる」

ハマーン「ロラン・セアックには気をつけろ」

シャア「少年一人に苦戦する私ではない」


ポゥ「ロラン・セアックのスモーか!」

ロラン「ポゥ中尉、救援に来ました!」

ロウ「ロランか!?」

ロラン「えっ・・・!ロウ!?ロウなのか!?」

ロウ「この声を忘れたとは言わせねーぞ!」

メシェー「あたしもいるよ!」

ロラン「ふ、ふたりとも、カイラスギリーの照射で氏んじゃったのかと・・・・」

ロウ「ああ!?」

メシェー「あたしたちはノックスの復旧を手伝ってたから無事だったんだよ。パパやリリ様やマリガン中佐も」

ロウ「セレーネもな!」

ロラン「そうだったのか・・・・!」

855: 2010/10/16(土) 21:47:21.64
シャアのバンデットと二機のキュべレイが戦場に現れ、オールレンジ攻撃で連合軍に猛威を振るう。
特にミリシャのパイロットにとって、初見のサイコミュ兵器など、対処しきれるものではない。成すすべなく撃破されていくカプルとボルジャーノン。

ポゥ「ロラン、ここはムーンレィスの私たちが!」

ロラン「はい!」

ロラン「シャア・アズナブル・・・・・!」

シャア「ロラン・セアックか」

ロラン「なぜ裏切った!クワトロさん!!」

バンデットとスモーがサーベルで斬り合う。

シャア「私は私の成すべきことをするために、ここにいる。裏切りなどと君に詰られる筋合いはない」

ロラン「裏切りでしょう!みんなあなたを信じていたのに、結局ハマーンの言いなりじゃないですか!」

シャア「ハマーンの言いなりか。確かにそうだが、それはあくまで手段でしかない」

ロラン「言ってることがわかりません!」

シャア「始めから君に理解など求めていない!」

ロラン「ああ言えばこう言う!」

シャア「子どもが言う事か!」

856: 2010/10/16(土) 21:54:28.23
バンデットが距離をとり、ミサイルを放つ。絶妙な間隔で発射された数発のミサイルが、スモーを捉
える。爆炎に包まれるスモー。

シャア「これで終わりというわけではあるまい!」

ビームガンを撃ちながら、爆炎からスモーが飛び出す。かわすバンデットの右腕に、スモーが投擲したヒートファンが命中する。

シャア「やるな!・・・ピーリス、こっちを頼む」

ピーリス「了解!」

ロラン「逃げるのか!シャア!」

シャア「大人には大人の都合というものがある」

ロラン「そんな言い逃れ!」

ピーリスのキュべレイのサーベルがロランの行く手を阻んだ。

ロラン「くそッ」

857: 2010/10/16(土) 22:01:53.57
シャアのバンデットがDカウンターの包囲網を破りつつ、ソレイユに接近する。

カロッゾ「あれはシャア・アズナブルだ!MS隊!ソレイユをお守りしろ!」

シャア「ディアナ・ソレルには恨みはないが──」

上空から迫る艦があった。

ディアナ「・・・・モクバが来ましたか」

シャア「ちィッ!ターンXの整備はまだ終わっていない・・・!ハマーン、退くぞ!」

ハマーン「うむ。全軍、撤退する!」

─モクバ

ガロード「おい、なんだよ!これからって時に逃げるのかよ!」

アムロ「地球に落ちたターンXが気になるな」

ソシエ「壊れちゃったんでしょ?」

モニク「カイラスギリーの直撃を受けて消滅したんじゃないのか?」

860: 2010/10/16(土) 22:10:52.77
連合軍も撤退し、部隊の再編成を行った。

─モクバ

メシェー「グエン様とジュドお爺さんが・・・・」

ロウ「せっかく再会を喜び合えると思ったのにな・・・・」

ガロード「カイラスギリーなんてものを人に向けて撃つ人間をよ、許しておけるほど俺は優しくないぜ」

アムロ「もちろんだ。ハマーンとシャアだけは何としても討つ」

ソシエ「クワトロさん、悪い人じゃなかったわよね・・・?」

オリヴァー「僕にはそう思えたな」

モニク「やっぱり演技だったってことか。全部」

セレーネ「信じたくはないわね・・・」

ゴメス「どんな理由があろうと、ハマーンと共にいる以上は敵だ。情は捨てるべきじゃないか?」

アムロ「シャアは俺が倒す」

ソシエ(アムロとクワトロさんって・・・・)

864: 2010/10/16(土) 22:20:11.20
─ソレイユ

イザーク「キンケドゥ艦隊からの連絡は!?何もないのですか!」

ロラン「落ち着けよ、イザーク」

イザーク「落ち着いていられるか!あっちにはマリィだっているんだぞ!」

ディアナ「キンケドゥ少佐は優秀です。そう易々とやられはしないでしょう」

ロラン「ノインさんだっているんだし、大丈夫さ。今は目の前の敵に集中しよう」

─アルマイヤー

カロッゾ(キンケドゥは生きておる・・・・鼓動を感じるぞ・・・・)

カロッゾ「ポゥ中尉」

ポゥ『何でありますか!』

カロッゾ「明日の決戦を生き延びたら、昇進させてやろう」

ポゥ『ほ、本当でありますか!』

カロッゾ「うむ。今夜はしっかり英気を養っておくように」

ポゥ『了解!』

868: 2010/10/16(土) 22:28:12.60
─ジャンダルム

シャア「ターンXの修復は進んでいるのか?」

ハマーン「ターンXは私に任せておけ。お前が気にすることではない」

シャア「・・・・・・・」

プル「マシュマーは来るの?」

ハマーン「明日の夜までにはキンケドゥを追い立てて地上へ降下するだろう」

ピーリス「決戦は明日でありますか」

ハマーン「そうだな。今日はしっかり休んでおけ」

プル「じゃあみんなでお風呂に入ろう!ね、キャスバル!」

シャア「ん?そうだな。そうしよう」

ハマーン「・・・・・・」

シャア(・・・・・アムロ、明日こそ必ず・・・・!)


夜明けと共に、決戦の火蓋が落とされた。

872: 2010/10/16(土) 22:30:28.11
シャアさりげなく何いってんだwwww

876: 2010/10/16(土) 22:43:29.66
決戦はイングレッサ。ムーンレィスと地球人が最初に交戦したこの場所で、ムーンレィスと地球人が入り混じり戦っていた。


メシェーとソシエの率いるカプル隊が地上から全弾を撃ちまくる。秋空を爆炎が彩る。

メシェー「すごい数!」

ソシエ「少し下がったほうがいいかも!ロウたちと合流しよう!」

カプルたちがどしどし走るその上空を、ポゥ率いる部隊が飛ぶ。

ポゥ「後退するのが早いんだよ!あの玉っころども、私たちに面倒を押し付けて!」

マヒローが急降下しながら斬りかかるのを、ポゥがビームガンで冷静に撃ち落す。

ポゥ「迂闊なんだよ!おい、ボルジャーノンども!援護はどうした、援護は!」

催促されて、ボルジャーノンたちが地上からバズーカを撃ちかける。数機が空中に飛び上がり、マシンガンとヒートホークで攻撃する。

ポゥ「そうそう、それでいいんだ!早く私を昇進させてくれ!」

887: 2010/10/16(土) 23:53:29.88
ロウ「おい、こっちにも敵が来たぞ!」

ガロード「ちゃっちゃと片して、飯たらふく食いてーな!」

ロウのフラットとガロードのドーベルマンが迎撃する。

ロウ「お前、腕上げたな!」

ガロード「宇宙で戦ってみりゃわかる!」

ズサンのミサイル群を、フラットのソニック・シールドが防ぐ。ガロードのドーベルマンが跳躍し、変形する。ビームサーベルが閃き、ズサンがスクラップになる。

ロウ「おい!何だそれ!?」

ガロード「へへッ!驚いたろ!!」

メシェー「みんなー!」

ソシエ「助けてー!」

ロウ「何だお前ら!敵がわんさか来るじゃねーか!」

ガロード「よし、フラット隊、ウァッド隊、前へ出るぞ!迎え撃つ!」

889: 2010/10/17(日) 00:02:50.64
最前線では、プルたちニュータイプ部隊と親衛隊が交戦していた。

三機のキュべレイの放つファンネルがスモーを損傷させ、撃墜していく。

イザーク「くっそォ!ひらひら飛び回りやがって!!」

プル「見飽きたんだよその顔!」

ピーリス「一気に決めるッ!!」

ピーリスのキュべレイがサーベルを抜き、ロラン機に仕掛ける。

ティファ「・・・・落とす・・・・ッ!」

ティファ機がビームガンで援護する。

ロラン「この人たち、ニュータイプというものか!」

ロランがピーリス機を蹴り、ティファ機に打ちかかる。

ピーリス「虚仮にしてェェ!!」

890: 2010/10/17(日) 00:12:48.83
─アルマイヤー

カロッゾ「敵の艦隊が前に出てきたな。我々も前に出る。ソレイユは後方に下がっていてよろしい!」

─ソレイユ

ディアナ「よしなに」

ディアナ(カロッゾ・・・・頼れる男に成長して・・・・やはりあなたをDカウンターの指揮官に任じて良かった)

─モクバ

ゴメス「よーし、カロッゾさんを援護するぞ!主砲照準!」

モニク「このおっさんは何でこんなに前に出たがるんだ?」

オリヴァー「知りませんよ・・・・でも生き生きしてて良いんじゃないですか?」

ゴメス「何をひそひそやってる!睦言ならベッドの中だけでしろ!」

モニク「スケベじじぃがァ!」

オリヴァー「べ、ベッド・・・・」

モニク「想像してるんじゃない!!」

892: 2010/10/17(日) 00:22:50.69
─ジャンダルム

ハマーン「シャア、お前も出ろ。私も後からターンXで追う」

シャア「・・・・・・分かった」


アムロのターンAは単機で敵中にいた。ビームライフルとバズーカの連射がアルマイヤー級を轟沈させる。

アムロ「シャアはどこだ・・・・・・!」

アムロ「!」

シャアのバンデットのファンネルミサイルが駆ける。

アムロ「追加武装か!」

アムロの感覚がファンネルを捉え、ターンAが彼の超速の反射に追随し、それを撃ち落す。

アムロとターンAの相性は完璧だった。その上、アムロはターンAを乗りこなし、その性能を半分以上引き出している。これは今までのターンAのパイロットの中で最も高い数字であろう。

シャア「ええぃ!しかし私はこの千五百年間、貴様との決戦の演習を怠ったことはないのだ!負けられるものか!」

シャアは血の滲むような努力と意地で、このアムロが駆るターンAと、何とか渡り合っているのである。

893: 2010/10/17(日) 00:33:50.88
戦いが数時間続いたころ。上空にキンケドゥ艦隊とマシュマー艦隊が現れた。激しく撃ち合い、数隻が炎上し、爆発する艦もあった。

ソシエ「なにあれ・・・・・!」

ロウ「馬鹿でけぇMS!!」

巨大なMAがキンケドゥ艦隊を蹂躙していた。

ディアナ「アルパまで出してきたか!ハマーン!」

カロッゾ「おのれ!キンケドゥ・・・・!耐えよ!」

─ホエールズ

キンケドゥ「振り切れない!このままじゃ・・・・!」

ホエールズは被弾していた。

ノイン「ハンマ・ハンマも半数が残っているというのに・・・!」

マリィ「ホエールズは先に友軍と合流してください!」

キンケドゥ「すまない!」

マシュマー「逃がさんぞォ!当たれェ!」

キンケドゥ「下げ舵20!取り舵いっぱい!」

895: 2010/10/17(日) 00:44:09.79
ホエールズをメガ粒子砲が掠める。

マシュマー「キンケドゥ・ロナはニュータイプであったな・・・・!簡単には沈まぬか!」

ターンAのビームサーベルが、バンデットを裂いた。

シャア「ちぃッ!」

機体が爆発するも、シャアは辛くも脱出する。

アムロ「逃げられたッ!?」

アムロ「!」

上空の艦隊が戦場に乱入し始める。

カロッゾ「全艦、キンケドゥ艦隊を援護しろ!」

ディアナ「ワタクシも前に出ます」

カロッゾ「致し方ありますまい!どうかご無理はなさらぬよう!」

ピーリス「また、不愉快が来るッ!」

マリィ「!・・・・この感覚は一体・・・!?」

マシュマー「ハマーン様!お助けに参りました!!」

ハマーン「キンケドゥ艦隊は虫の息、か。私もターンXで出る!」

897: 2010/10/17(日) 00:55:36.51
マシュマーの巨大MA・アルパが、有線ビーム砲と百基を超えるファンネルで猛攻をかける。
一瞬で数十機のMSが塵と化す。

アムロ「ロラン、奴をやる!」

ロラン「わかりました!」


─ジャンダルム

ハマーン「ターンX・・・・これがあれば、敵を殲滅できよう。雌伏千年、ようやくこの時が──」

シャア「そこまでだ、ハマーン」

ハマーン「シャアか、どうした?アムロ・レイとの決闘は?」

シャア「ターンXには私が乗らせてもらう」

ハマーン「・・・・・やはりな。この程度の裏切り、予想はできていたよ。しかしターンXをお前に渡すつもりはない」

シャア「悪いが、ターンXの制御は私が握っている」

ハマーン「何・・・・?」

ハマーン「!」

898: 2010/10/17(日) 01:06:14.01
ハマーン「機体が、動かん・・・!」

シャア「ターンXの本体は、私が乗っているこちらのターンXトップと接続されている」

ハマーン「入れ替えていたのか・・・・!」

シャア「お前には黒歴史のバックアップとともに消えてもらう」

ハマーン「それがお前の野望か・・・」


マシュマー「!!ハマーン様の危機!やらせんぞ、シャアァァ!!!」

アルパが放ったメガ粒子砲がジャンダルムを軽く、弾いた。
艦内が激しく揺れ、ハマーンがその隙にキュべレイに乗り込む。

シャア「マシュマーか!ええい、小賢しいまねを!」

ターンXとキュべレイがカタパルトを飛び出し、空中で斬り合う。

シャア「プル、ピーリス、ティファ!マシュマーを止めろ!」

ハマーン「マシュマー!その小娘たちを全員始末しろ!!」

900: 2010/10/17(日) 01:17:15.80
二百基以上のファンネル飛び交う地獄の戦場を、二機の白いMSが馳せる。
アムロのターンAと、やや遅れてロランのホワイトスモー。

ロラン「アムロさんの背中が、遠い!」

ロラン「機体の性能じゃない・・・・・!圧倒的な経験値と、センスの差だ!何であんなに避けられるんだ?アムロさんは全身が目なのか!?」

ピーリス「マシュマァァ!!」

プル「マシュマーにアルパなんて扱えるわけないだろ!!」

ティファ「・・・・行きます・・・ッ!」

マシュマー「子どもが戦場に出るなど・・・・!」

ニュータイプたちの精神が戦場でぶつかり合う。
アルパと三機のキュべレイの戦闘に、ターンAが介入する。

プル「おヒゲのターンAだ!!」

ピーリス「大佐が気をつけろと言っていた奴!!」

アムロはファンネルを巧みに避けつつ、アルパに迫るが、三機のセロシリーズに邪魔される。

アムロ「くッ!さすがにキツいな!」

901: 2010/10/17(日) 01:27:36.21
マリィ「アムロさんが危ない!ホエールズを頼みます!」

ノイン「任せてくれ!」

ピーリス「!!来たな・・・!」

マリィ「アレがいる!」

マリィのスモーとピーリスのキュべレイのサーベルが火花を散らす。

ピーリス「何なんだ、貴様ッ!」

マリィ「あなたこそ!」

その頃、ハマーンとシャアも激しく撃ち合っていた。

シャア「ハマーン。お前と千五百年間連れ添ってみて、気付いたことがある」

ハマーン「・・・・・何だ」

シャア「お前とは愛し合うよりも、頃し合うほうが似合っている、と」

ハマーン「・・・・そうか。お前がそう思うのなら、そうなのかもしれんな・・・・だが、ターンXは返してもらおう」

903: 2010/10/17(日) 01:35:33.61
モクバはアルマイヤーとともにキンケドゥ艦隊と合流を果たしていた。

キンケドゥ「みんなすまない!」

ゴメス「気にするな。それより、アムロたちは平気か?」

モニク「あそこに突っ込む気か!?あのファンネルの数を見ろ!」

カロッゾ「ジャンダルムに集中砲火を浴びせるぞ!!」

戦艦の一斉射撃は、ジャンダルムのIフィールドに弾かれる。
逆にジャンダルム艦隊の斉射が連合軍の艦隊に降り注ぐ。

ガロード「おい、MSが来るぞ!モクバは手が放せないから、俺たちでやる!」

ポゥ「お前が仕切るな!ガキンチョ!」

ロウ「カプルは地上からこっそり援護してくれればいい!」

ソシエ「こっそりって何よ!わたしたちだって──」

メシェー「心配してくれてんだよ。前にあたしがやられたこと、あっただろ?」

905: 2010/10/17(日) 01:45:38.97
ピーリスとマリィがぶつかり合う。ピーリスはファンネルに牽制させつつ、接近を試みるが、マリィのビームガンがそれを許さない。

ピーリス「ええぃ!ここまでやり辛いのは初めてだ!!」

マリィ「この人の戦法が・・・読める・・・!」

マリィ「それどころじゃない・・・・感情も・・・すごく苛立っている」

マリィが斬りかかる。ピーリスのビームガンはスモーのIフィールドを破ることができない。
キュべレイがスモーのヒートファンを蹴り落とし、サーベルで突く。スモーが身をよじってそれを避け、Iフィールドサーベルでキュべレイの腕を斬りおとす。その後方からキュべレイのファンネルがビームを──

プル「だめェェェ!!」

ピーリス「!」

プル「その人をやっちゃだめ!」

ピーリス「何を・・・!」

マリィ「隙ありッ!!」

マリィのサーベルがキュべレイを両断した。

907: 2010/10/17(日) 01:55:51.85
ピーリス「うあああ──」

ピーリスの断末魔に反応したファンネルが、マリィの機体を貫く。

マリィ「・・・・・私は、何を頃したの?私が、私を、頃したの・・・?」

マリィのスモーが墜落し、動かなくなった。

ロラン「マリィが!」

イザーク「マリィィィィ!!」

プル「こんなの・・・もう嫌だよ・・・!自分で、自分を頃すなんて・・・・!」


ハマーンのキュべレイのファンネルと、シャアのターンXのオールレンジ攻撃──ブラディ・シージ〝血の包囲網〟──が入り乱れ撃ち合う。が、ハマーンの劣勢は明らかであった。

ハマーン「シャア・・・!私は、お前と──」

シャア「ええい!慣れぬMSだと、こうも・・・・・!」

ハマーン「お前は地球で、私は月で、ともに人類の繁栄を見守ろう!世界を正しく導きたいのなら私とともに生きろ!シャア!!」

シャア「ハマーン・・・・悪いがそれはできない。私の目指す世界では、お前は弊害でしかない」

ハマーン「・・・・シャア・・・・どうして・・・・・」

908: 2010/10/17(日) 02:07:26.64
キュべレイの最後のファンネルが落とされた。対峙する両機。

『あんたは、そうやってシャアを地球に閉じ込めようとしてるから!』

ハマーン「ジュドー・・・・!!」

『ともに生きることは、歩み寄ることなんだ!それなのにあなたは・・・・!』

ハマーン「カミーユ・ビダン・・・!」

ジュドー『あんたの心は、人を求めて泣いていたのにッ・・・・!』

ハマーン「・・・・よせっ・・・・!」

カミーユ『誰かを恨まなきゃ戦えないのかよ・・・・!何かを憎まなきゃ生きられないのかよ・・・・!そんな命の、何がうれしいんだよッ!!』

ハマーン「やめろっ・・・・やめてくれ!」

ジュドー『その心と向き合えれば、シャアとだって・・・・・・!』

ハマーン「・・・・私は・・・・私はァ・・・・!」

シャア「ハマーンの動きが止まった・・・・仕留めさせてもらうッ!」

ハマーン「!」

909: 2010/10/17(日) 02:16:11.87
ターンXのビームサーベルが、キュべレイを貫いた。

シャア「すまないな、ハマーン。だが私も、ここで止まるわけにはいかんのだ」

ハマーン「ふ、ふ・・・・お前の・・・手で・・・・終わる、のも・・・・悪くはない、か・・・・」

ハマーン「・・・・・・・シャア・・・・・・・・」

ハマーンとキュべレイを閃光が包んだ。

シャア「これで、黒歴史はこの世から消えたか・・・・後はこのターンXの月光蝶で・・・・」

シャア「──この不快感・・・・ピーリスが氏んだ・・・・!?いや、それだけではない・・・・ハマーンが、氏んだ・・・・」

カミーユ『クワトロ大尉!あなたも、なぜハマーンにもっと──』

シャア「ええい!邪魔をするなカミーユ!」

マシュマー「ハマーン様が・・・・・・ハマーン様がァアァァァァァァ!!!!!」

マシュマーのオーラがアルパを包み、眩い光を全身からほとばしらせる。

アムロ「なんだ、このエネルギーは・・・!」

911: 2010/10/17(日) 02:26:54.67
鬼と化したマシュマーと乗機アルパが暴走を始めた。

マシュマー「ハマァァァンさまァァァァアァア!!!」

ロラン「なんだこれは!?本当に人間が動かしているのか!?」

百基のファンネルがプルとティファを襲う。

プル「キャスバルゥ!!たすけて──」

プル機がエンジンに直撃を受け、制御不能のまま戦場の彼方へと消えていった。
ティファ機も被弾していく。両足を、両腕を、頭部を爆破され、コックピットにビームが迫る。

ティファ「あッ──」

シャア「ティファは下がれ!」

シャアのターンXがティファを守る。

ティファ「シャア大佐・・・・・」

ロラン「ターンX!」

アムロ「シャア!!」

マシュマー「シャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

913: 2010/10/17(日) 02:35:18.68
アルパの拡散メガ粒子砲が迸る。ロランのスモーのIフィールドが貫かれ、機体が損傷する。
ティファのキュべレイもビームの嵐の中で見えなくなった。

ロラン「これ以上は・・・・!」

シャア「ええい!ティファまでも・・・・!」

シャア「!」

アムロ「シャア、貴様はまた、幼いニュータイプを戦争の道具に使って!」

アムロがターンAのライフルででアルパのファンネルを撃ち落しつつ、ターンXに斬りつける。

シャア「道具ではない。昔の反省を生かして、ひとりひとり人間として大切に扱ってきた!」

アムロ「その結果がこれか!かわいそうに、彼女たちももっと生きたかっただろうに!」

シャア「氏地に赴いたのは彼女たちだ!私は生かそうと頑張った!」

アムロ「情けないやつ!!」

シャア「貴様に何がわかるッ!」

ターンAがターンXを蹴り飛ばし、ターンXがビームライフルを落とす。立て続けにターンAの腹部ビーム砲がターンXに直撃し、地上へ落下するターンX。

シャア「ええい!Iフィールドが・・・!シートも私に反発しているッ!」

914: 2010/10/17(日) 02:46:03.68
ロランのスモーがアルパの機体を切り裂いていく。しかし巨大な機体には決定打とならない。

イザーク「ロランッ!援護するぞ!」

イザークと数機の親衛隊のスモーが駆けつけ、ファンネルを撃ち落していく。

二機のスモーがメガ粒子砲の直撃を受け蒸発する。

ロラン「イザーク!こいつにIフィールドは通じないッ!」

イザーク「化け物ォォォ!!」

マシュマー「この私にそんな薄っぺらい膜が通じるものか!!この私の、厚き、そして熱きハマーン様への忠誠心が、全てを貫くのだ!!シャアを焼き消せば、ハマーン様も冥界よりこの私を褒めて下さるはずなのだッ!!」

スモーが蒸発する。その攻撃はシャアには届かない。

イザークとロランがIフィールドサーベルに全エネルギーを送り、頭部コックピットを貫いた。

マシュマー「ハマァァン様ッ!!今、あなたの御許に──」

スモーたちがアルパの爆発に巻き込まれる。

アムロ「ロラン!イザーク!」

シャア「ターンXよ!私に力を示せッ!!」

そして、シャアのターンXがついに最終兵器──月光蝶を解放した。

916: 2010/10/17(日) 02:58:33.94
アムロ「!!これは!?」

ディアナ「月光蝶・・・・!あれを拡げてはいけません!!文明が・・・・滅びてしまう!!」

カロッゾ「ソレイユの盾となれ!ディアナ様をやらせるなァ!!!」

キンケドゥ「黒歴史の輝きが・・・・!」

ガロード「オーロラかァァァ!?」

ロウ「なわけねーだろォォォ!!」

ゴメス「隔壁閉鎖!!衝撃はくるのか!?」

ソシエ「みんな氏んじゃうの!?」

ロラン「月光蝶を呼ぶんじゃない!!!」

アムロ「黒歴史の映像が正しければ、この光は・・・・・!」

アムロのターンAも月光蝶を放つ。

シャア「なにッ!?」

月光蝶がぶつかり合う。せめぎあい、混ざり合い、やがて光の拡散が止まった。

ノイン「月光蝶を、月光蝶が止めた・・・・!」

カロッゾ「ひとまず、安心か・・・・むッ!?ソレイユが!!」

919: 2010/10/17(日) 03:09:14.85
その頃、アーク山を歩く一人の僧がいた。

コレン「つぅ~きのたまよぉ~やどれ~やどれ~やど・・・・・ん?」

コレン「・・・・・ありゃあ、月光蝶の光だなァ・・・・こうしちゃいられねぇ!」


シャア「ええい、アムロ!私がわざと置いて行った機体で・・・・!」

アムロ「シャア!なぜ月光蝶などを使う!文明を、世界を破滅させる気か!!」

シャア「アムロ!あの時アクシズで貴様が見せた人の心の光は人々に伝わらなかったのだよ!!
ラプラス戦争、マフティー動乱、コスモバビロニア建国戦争、木星戦役、宇宙戦国時代・・・・あの後も人間たちは戦いを止めなかった!だから!」

アムロ「だがそれが歴史だ!事実を曲げてまで作る未来には何の意味もない!」

シャア「ではこの世界はどうだ!戦いの記憶が、数多の悲劇を生んだ!黒歴史がなければ氏なずにすんだ人間が、どれだけいるというんだ!だから私は、黒歴史を葬り、このターンXで文明を再び土に還し、新しい歴史の創始者となる!」

アムロ「そんな勝手!人の過ちに目を瞑り、都合の良い所だけを切り抜いて歴史などと!!」

アムロ「──シャア貴様、黒歴史に残されていた、元の世界で行った自分の悪行を隠蔽しようとしてるんじゃないのか!」

シャア「私がそんなに小さい人間に見えるのか!」

アムロ「見えるとも!!」

921: 2010/10/17(日) 03:18:00.35
月光蝶発動の混乱の間隙を突いて、ジャンダルムがソレイユに猛然と攻めかかり始めた。ソレイユの船体を多数のビームとミサイルが直撃し、そこかしこから煙を上げている。

カロッゾ「!!ディアナ様が!!」

カロッゾ「アルマイヤーを突っ込ませろ!!特攻をかける!!!」

アルマイヤーがソレイユの前に出、集中砲火を受ける。

ディアナ「カロッゾ!おやめなさい!あなたまで・・・あなたまで散ることはないのです!!」

カロッゾ「なんとォォォォォ!!!!」

アルマイヤーがジャンダルムに激突する。船体が拉げ、爆炎をあげながら地上に落ちていく。
カロッゾ・ロナの体が、宙を舞った。その意識が、空を駆けた。

カロッゾ『──キンケドゥ、聞えるか、私だ!カロッゾ・ロナだ!』

キンケドゥ「義父さん!?今助けに──」

922: 2010/10/17(日) 03:25:50.29

カロッゾ『もう遅い!ベラを・・・・・我が娘ベラ・ロナを頼んだぞ!あの子は優しい子だ・・・・情けないこのわしを抱きしめてくれた・・・!温かい胸を持っておる・・・・!お前も知っていることと思うがな・・・・・』

カロッゾ『・・・・ああ、できることなら一度だけ、我が孫をこの腕に抱いてみたかった──』

キンケドゥ「義父さん・・・・!!うわあああああ!!!」

キンケドゥ「・・・・・・・博物館に・・・・行くんじゃなかったのかよ・・・・!三人で一緒にさぁ・・・・!」

キンケドゥ「・・・・・・・・俺のズサンを用意しろ!!」

ノイン「何をするつもりです!!」

キンケドゥ「戦うんだよ!仇だってとれば、癒される心もあるんだろ!?」

ノイン「落ち着いてください!指揮官であるあなたが!」

キンケドゥ「・・・・・・・ッ!」

キンケドゥ「・・・・・落ち着く・・・落ち着け・・・冷静に・・・・・・そうだ・・・ベラの暖かい胸を思い出すんだ・・・・俺には帰るところがあるんだ・・・・!
子どもを作ろう。いっぱい作ろう。五人は欲しいな。それで、みんなで毎年お墓参りに行って、義父さんが寂しくないように──」

キンケドゥ「・・・・・取り乱してすまない。戦闘を続行するッ・・・・・!」

ゴメス「カロッゾ・ロナが!!・・・・・・・・!」

ゴメス「敵艦隊はまだ健在だ!!モクバも特攻をかける!!!みんな退艦しろッ!」

925: 2010/10/17(日) 03:35:13.07
ポゥ「少将殿ォォォ!!ウワアアア!!!!」

ソシエ「モクバが動いた!私たちも──」

ロウ「いや、ゴメス艦長は特攻をかけるつもりだッ!!」

メシェー「そんな!」

ガロード「俺たちはどこに帰ればいいんだよォ!!」

ソシエ「止めなきゃ・・・!みんな、みんな、氏んじゃ──」

ソシエのカプルの足元に砲弾が着弾し、爆風で吹き飛ぶカプル。

メシェー「ソシエが!!」

ガロード「ソシエエエ!!!!」

モニク「ふざけるな!!特攻など、今すぐ艦を戻せ!!」

ゴメス「じゃあここでソレイユがやられるのを、見てろって言うのか!!」

モニク「ソシエやガロードの帰る場所はどうなる!?この船は私たちの家だッ!命なんだよ!分からないのか!!」

ゴメス「だが──」

モニク「今からオリヴァーもMSで出る!こいつの帰る場所を奪ったら、私はお前を許さないからな!ゴメス!」

926: 2010/10/17(日) 03:44:25.56
オリヴァー「え!?僕・・・・!?」

モニク「何か文句があるのか!早く出ろ!お前作業用モビルリブの操縦上手かっただろ!」

オリヴァー「しかし・・・・・!」

モニク「月に帰ったら、私の手料理を振舞ってやる!だから早く行け!」

オリヴァー「は、はい!!」

オリヴァー「と、勢い込んで来たけど、モニク大尉の手料理は、命を懸けてまで食べる価値はあるんだろうか・・・・?」

セレーネ「オリヴァー!どうしたの?」

オリヴァー「まだいたんですか!?MSを借ります!」

セレーネ「待って!氏ぬ気!?」

吹き飛ばされたソシエのカプルが、戦場をゴ口リと転がる。

ロラン「ソシエ!ソシエさん!」

ソシエ「・・・・・う・・・・・・ロラン?」

928: 2010/10/17(日) 03:52:37.90
二機のターンタイプが激突する。撃ちあい、斬り合い、翻り、旋回し、あらゆる兵装を使い戦う。

シャア「黒歴史の存在は、それを我欲のために利用せんとする者も同時に生むんだよ!アムロ!」

アムロ「グエン・ラインフォードやシロッコの事を言っているのなら、確かにそれも事実だが──黒歴史があったからこそ、月光蝶や核の別の使い道も示せた、これも事実だ!」

シャア「真実は常にひとつだ!このメビウスの輪のごとき戦いの連鎖を断ち切るため、私はここにいる!ララァの導きでな!」

アムロ「!・・・シャア、貴様は何にも変わっちゃいない!!人々が後世に残した声を、ちっぽけなエゴで踏みにじるだけでは飽き足らず、女をその言い訳にして!」

シャア「アムロ・・・・・・!今の言葉、聞き捨てならん!!そもそも貴様がララァを──」

アムロ「そのセリフなら、二年前にも聞いたよ!」

シャア「そうかい!だが私は千五百年ぶりなのでな!言わせてもらう!!」


ソシエ「ロラン、月光蝶の光って大昔に地球の文明を滅ぼしたものだって言うけれど・・・なぜだろう、この青い光、わたしにはどこか暖かくも感じられるわ」

ロラン「そうですね。僕もそう感じます。力って結局、使う人次第なんじゃないでしょうか」

ソシエ「怖い人が使うから怖い兵器なのね。ギャバンを頃した核と、ロランが使った核も、同じ物なのね」

ロラン「・・・はい」

929: 2010/10/17(日) 04:00:33.35
いつ果てるとも無きターンタイプ同士の戦い。地球はもう、夜明け前である。戦いの火も消えた戦場で、アムロとシャアだけが戦っている。

ソシエ「あの二人、ずっと闘ってる・・・・あんなに純粋な人たちなのに」

ロラン「純粋だから闘うんですよ。純粋すぎるから」

ソシエ「そういうものなの・・・・」

ロラン「ソシエさん、笑わないで聞いてもらえますか」

ソシエ「なに?」

ロラン「僕、あの二人はどこか別の時間から来たんだと思うんです。そうでなきゃ腑に落ちないことが多すぎるんですよ。きっと黒歴史にあるような悲劇を何度も目の当たりにしてきたんだろうなって」

ロラン「僕、今、変なこと言ってますよね」

ソシエ「ううん、わたしもそう思うわ」

ロラン「僕、そういう素直なソシエさん、好きですよ」

ソシエ「・・・・・・!そんなこと・・・・・・・」

930: 2010/10/17(日) 04:10:10.20
コレン「宿命は時間も空間も選ばねぇのよォ。たとえ時空が隔てようとも・・・・宿命がふたりを引き合わせる。殊にガンダムが紡ぐ宿命とあっちゃァ、人は永劫、逃れる術を知らねェわなァ」

アムロ「シャア!!」

シャア「アムロ!!」

ターンAのサーベルがターンXの腹部を切裂き、ターンAのマニピュレータがターンAの胸を貫く。

地上に落下した二機のターンタイプを、繭状のナノマシンがそっと包み込む。

ソシエ「繭がたってるみたい・・・・」

月が二つの繭を優しく照らしていた。

やがて、月日が経ち、黄金の秋が、地上を彩った頃──

933: 2010/10/17(日) 04:23:21.09
─月

キラ「やぁ」

マユ「あ!キラさんだ!」

シン「こんちわ先輩!ゼミ帰りですか?」

キラ「うん。そんなところ」

シン「フレイさんとはどうなんです?」

キラ「ん?まぁ、ぼちぼちかな・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
テクス「残念だが、もうMSには乗れないだろうな。何かあったらナースコールしてくれ」

シロー(ノリス大名が守ってくれたこの命。大事にしなければ)

アイナ「シローさん、大丈夫ですか?」

シロー(かわいいナースさんだなぁ)

アイナ「じゃあ下全部脱いで、お尻をこっちにむけて下さい」

シロー「えっ」

アイナ「座薬ですよ。テクス先生、呼んできます?」

シロー「いえ!今脱ぎますッ!!」

934: 2010/10/17(日) 04:30:07.24
ハマーン一派の残党との戦いは、しばらくの間続いた。キンケドゥ中佐率いる艦隊はその鎮圧に追われていた。

キンケドゥ「ポゥ大尉、この宙域にはもういないだろう。月に帰るぞ」

ポゥ「了解!」

ポゥ「一年で二階級昇進だなんて・・・・・!もうモニクには偉い顔させないぞ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
オリヴァー「あの、モニク大尉、手料理はいつ・・・・・」

モニク「知らん!」

オリヴァー「それより、新しい試験パイロットというのは?」

モニク「間もなく到着するはずだ。今度はまともなやつだぞ。ゼクスのお墨付き──」

プル「ぷるぷるぷる~」

プル「あれ?」

オリヴァー「子ども・・・・?」

モニク「ガキだとォ!?ゼクスのやつ!!騙したのかァ!!」

935: 2010/10/17(日) 04:39:53.47
ゼクス「?今誰か私を呼んだか?」

ノイン「ゼクス、入りますよ」

ゼクス「ああ・・・・・・」

ゼクス「二年と六十三日ぶりだな・・・・」

ノイン「二年と六十三日と十二時間ぶり、ですよ」

ゼクス「そうだったか・・・」

─白の宮殿

ディアナ「では親衛隊の皆様、ご苦労でした」

ロラン「は!」

ロラン「あれ、イザークは?」

マリィ「ドモン・カッシュのサインをもらいに行ったわ」

─冬の城

ドモン「じゃあ俺は、しばらく冷凍睡眠に入る。ここの管理は任せたぞ」

カテジナ「・・・・・・ああ」

カテジナ「聞えるかい、坊や。坊やのところへ行くのは、しばらく先のことみたいだ・・・・・待っていてくれるよね・・・・・」

941: 2010/10/17(日) 04:54:18.20
─地球

ガロード「おい!こっちも掘れそうだ!」

ロウ「俺はシド爺さんのところに行って道具もらってくる!」

ガロード「ああ!」

ガロード「ん?」

ティファ「・・・・・・・・」

ガロード「女、の子?」

アメリア大陸はアメリア合衆国として生まれ変わった。グエン・ラインフォード初代大統領は、メリーベル・ガジットの遺伝子に刷り込まれている黒歴史の情報を月へと返上した。
その際、ディアナ・ソレルとの間で何らかの取引があったようだが──真相を知るものはほんの一握りである。

グラハム「サンベルト自治州より馳せ参じた、グラハム・エーカー部隊であるッ!グエン・ラインフォード大統領と大統領夫人リリ殿に謁見賜りたい!!」

ヒイロ「・・・・・・・・」

メシェー「なにあれ、かっこつけちゃってさ」

ゴメス「閣下なら今いないぞ!」

942: 2010/10/17(日) 05:02:57.20
グエン「紹介しよう。左から、カトリーナ、ティエリア、カリスタ」

カトル「どうぞ」

ティエリア「よろしく」

カリス「お願いします」

キエル「・・・・・ま、まぁ・・・・」

メリーベル「新しい舎弟だってさ。ローラのロランには断られたらしいけど」

ソシエ「趣味・・・・?」

セレーネ「ソシエ、いる!?大変よ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ソシエ「ギャバン!!」

ギャバン「ソシエ・・・・・・地獄から這い上がってきたぞ・・・・」

ギャバン「まぁ、体はこんなになっちまったけどな・・・・」

ソシエ「いいのよ!私がギャバンの足になってあげる!だからもう、遠くへ行かないで!」

ギャバン「行くもんか・・・・・・・」

943: 2010/10/17(日) 05:09:56.90
その頃。ガリア統合領主トレーズ・クシュリナーダは宮殿の窓から月を眺めていた。

五飛「ヒイロは無事に潜入したみたいだ。」

トレーズ「・・・そうか」

五飛「こいつらは?」

トレーズ「我々の新たな仲間だよ」

アレルヤ「ああ、世界の声が聞える・・・・また戦争になるんだね、ハレルヤ。え?マリィもいるのかい・・・?」

ソラン「・・・・・俺はガンダムになる。どこの世界であろうとも」

五飛「大丈夫かこいつら・・・・・」

トレーズ「さぁ戦争を始めよう!・・・・・この地球を覆う戦火が真の勝者と敗者を決定付ける。グエン・ラインフォード・・・・相手にとって不足はない。私は、勝者になりたい・・・・・・!」

──グエン・ラインフォードの戦いは、これから始まる。

コレン「ときがみらいにすすむと~・・・っかァー!酒がんまい!!やっぱり地球の夜明けは最高の肴だねェ!お天道さんと酌み交わす酒のなんと美味いことよ!」

コレン「・・・・さて、あの二人は宿縁を断ち切れたのかねェ・・・・・」

945: 2010/10/17(日) 05:13:51.95
─UC93、3、12─

アムロ「・・・・ここは・・・・アクシズ・・・・・!」

シャア「全ては泡沫の夢だったというのか・・・・・しかし・・・私たちは何度も戦ったが、いつも決着はつかないのだな」

アムロ「何を!この戦いでは、貴様は負けたんだぞ!」

シャア「千五百年も前のことなど、いちいち覚えちゃいない!」

アムロ「都合のいい奴!」

シャア「・・・・アムロ、私は、ロランやソシエがいたあの世界を幻想だったとは思えない。いや、そう思いたくない自分がいる」

アムロ「俺も同じさ。彼らは、頃し合うことしかできないニュータイプとも、地球に縛られたオールドタイプとも違うから」

シャア「・・・・・ああ・・・暖かい・・・・・心が、溶けてゆく・・・・・・・・」

アムロ「ここからでも、月がみえたんだな・・・・・・ロランたちも違う場所から、同じ月を見ているのかもしれない。シャア、そうだとしたら──・・・・・」

アムロ「・・・・・・・シャア、俺は、この光が人々に伝わらなかったとは思わない。歴史は事実を語るが、人の心までは映せない。そう思うよ──」

                                                                              終                     

948: 2010/10/17(日) 05:21:27.82
終わりました。途中けっこう辛かったりもしたけど、みなさんのたくさんの支援のおかげで何とか完結できました!
おかげで寝不足です。どうしてくれる。語彙不足、言葉の誤用、酷い展開、などなど御見苦しい点ばかりの駄文でしたが、お付き合いいただきありがとうございました。
ほんとはトレーズたちガリア組は本編に出てくる予定だったんですが、やめました。Wファンの方申し訳ない

ではまたいつかVIPでお会いしましょう。さようなら

949: 2010/10/17(日) 05:22:40.70
毎晩ミテタヨー

956: 2010/10/17(日) 07:27:59.10
乙 かなり良SS

引用元: シャア「夜中の夜明け、か・・・・・・」