1: 2012/11/17(土) 21:15:57.52
「「「なっ!?」」」ガタタッ

P「……亜美?」

亜美「え、もしかしてと思って言ったらマジ? 兄ちゃん彼女いないの!?」

P「……コホン。結論から言うといない、が! 今俺にそんなものは必要ないんだ!!」

亜美「ふーん」

P「仕事の方が今は楽しいからな! 色恋にうつつを抜かしてる暇はないさ!」

亜美「でもさ、兄ちゃんって結構イケてるじゃん?」

ザワッ…

P「そ、そうか? それは嬉しいけどさ……」

亜美「そーだよー! その気になれば彼女くらいできるっしょー!」

P「あの、亜美? どうしてそんな急に……」

亜美「んーぶっちゃけその年で彼女なしはナイっしょー!」

P「」グサッ

亜美「ま、それもあるし。一人じゃいろいろ大変だと思うんだけど、ね? 作る気ないの?」

P「……いや、その」

7: 2012/11/17(土) 21:24:04.47
亜美「だってご飯とか作ってもらえるんだよ?」

P「はい……」

亜美「さぁそろそろ本音を聞かせてもらおうか、チミィ!」

P「……です」

亜美「ん?」

P「彼女、欲しいよ! 悪いか!」

ギラッ

亜美「ほうほう、さすが兄ちゃんも男ですなぁ!」

P「でもやっぱり現実的じゃないっていうかさ……日常生活支えてもらえたりとそれはわかるんだよ」

P「ただ、仕事も忙しいし、そういうのに対応してもらえる人とか、いろいろ考えるとやっぱり難しいだろ……」



亜美「じゃ、亜美が彼女になってあげよっか!」

P「……え?」

亜美「だって亜美なら兄ちゃんの仕事とかに合わせられるし? 料理だって少しくらいならできるけど?」

P「そ、それはそうだろうけど……亜美?」

10: 2012/11/17(土) 21:33:49.74
亜美「……なーんて、ちょっと本気にしちゃった?」

P「……おい」

亜美「もーそんなに残念そうな顔しないでよー!」

P「してないしてない。全く……ここまでくると尊敬に値するよ」

亜美「えっへっへー! ま、からかわれないようにショージンするんだね、兄ちゃん!」

P「……でも、亜美のいう事ある程度当たってるっていうか」

亜美「ん?」

P「一人じゃなかなか手が回らなかったり、そういうのを手伝ってくれる人っていうのはすごく魅力的というか」

P「なおのことお互いに一緒に居て楽しかったりしたら、そりゃ人生バラ色だろうなぁ、なんて」

亜美「んー」

P「あ、いやすまん、つい……ったく俺をここまで感傷に浸らせるとはこのマセガキめ」

亜美「ふふ~ん、褒め言葉としてうけとっておくよーん! でも、本当に欲しくなったら、考えてあげなくもないかな!」

P「はいはい、ありがとうございます。さ、仕事行くぞ」

亜美「はーい! あ、でも本当にアイドルに手、出しちゃダメだよ?」

P「いいから早く仕度しなさいっ!」

14: 2012/11/17(土) 21:45:07.78
――
亜美「にーーーーちゃあああん!」

ドカッ

P「うわっと……亜美、今のは流石に危ないだろうが」

亜美「もーそんなこと言って嫌いじゃない癖にー!」

P「ったく……そんな乱暴じゃ、亜美こそカレシできないぞ?」

亜美「え、何? まさかこの前の気にしてるの? うわー大人げな~い!」

P「う、うるさい! ……でもまあ」

亜美「え?」

真美「あ、兄ちゃん」

P「おぉ真美、おはよう」

真美「えっと、今日はレッスンだよね?」

P「あぁ。ん? 真美……」

真美「え? ちょ、ちょっと兄ちゃん!?」

P「あ、すまんすまん。糸くず」

真美「あ、う、うん……ありがと」

15: 2012/11/17(土) 21:52:19.34
P「さて……ん、どうした亜美?」

亜美「……なんでもないですよー。あ、兄ちゃん」

P「ん?」

スッ

真美「……え? 亜美?」


亜美「ほら……糸くず」

P「あ、あぁ……ありがとう。……というか亜美、近い」

亜美「ん? あ、ごみんごみん。あっ、もしかしてキスされると思った!? ごめーん!」

P「はぁ……感謝した俺が馬鹿だったよ……」

亜美「え、何それ! それは違うっしょー!」

P「そうですね、ありがとうございます亜美様。ほら、いつまでもふざけてないで仕事仕事」

亜美「むー……」

真美「……」



「ねぇ、兄ちゃん」

19: 2012/11/17(土) 22:06:15.62
「亜美は知ってるんだよ。ううん、亜美だけじゃなくてさ、事務所のみんな」

「兄ちゃんのこと、好きだって。誰がどのくらい好きかはわかんないけど」

「わかってるのは亜美がどれくらい好きかってことだけだし」

「でも亜美もね、どれくらい好きかわかんない。でもでも、もっともっと兄ちゃんと遊びたい、一緒に居たい」

「できればそのご飯だって作ってあげたいし、おいしいって言ってもらいたい。もっともっと褒めてもらいたい」

「それが好きなのかな、よくわかんない。でも、兄ちゃんは」

「亜美のこと、好きなの? 嫌いじゃない、と思うけど……好きなの?」

「全然わかんない……だからもっともっと兄ちゃんの近くにいたい。遊んで、ふざけて、今兄ちゃんに一番近いのは亜美だもん」

「それなのに、真美? 真美には優しいよね。亜美の方が近くない? そりゃ、竜宮とかで会う時間は少ないかもだけど」

「……こんな亜美より、真美の方が兄ちゃんの好み? うん、やっぱりよくわかんない」

「別に真美がうらやましいとか、そういうことじゃなくて。みんな兄ちゃんのこと見てるから」

「だったらホント、誰か彼女になっちゃってさ。このよくわかんないもやもや消してほしい」

「でも、アイドルで彼女ができたら……大変だし、ピヨちゃんとか、りっちゃんとか? うん、兄ちゃんのこと大事にしてくれる人」

「誰でもいいよ、今の兄ちゃんのまま一緒に頑張ってくれる人なら。でも……できれば兄ちゃんから選んでほしい」

「……それが亜美だったら。……真美だったら?」
――

20: 2012/11/17(土) 22:11:49.60
亜美「ね、真美」

真美「どしたの?」

亜美「真美は兄ちゃんのこと好き?」

真美「え!? ど、どうして?」

亜美「んーなんとなく」

真美「……わかんない、っていうか好きだよ? でもなんかよくわかんない」

亜美「そっか、真美もなんだ」

真美「え? あ、亜美も?」

亜美「うん。それに、兄ちゃんのこと好きな人って結構いそうじゃん?」

真美「あ、確かに。……亜美、兄ちゃんにカノジョ作れーとか言ったんだっけ」

亜美「ん? あーうん。言った言った」

真美「それって、亜美が成りたいってこと?」

亜美「えーなんでそうなるの? 亜美は作りな、って言ったんだよ?」

真美「そうだけど……亜美は兄ちゃんに彼女ができてもいいの?」

亜美「……わかんない」

22: 2012/11/17(土) 22:17:04.19
真美「真美はちょっと嫌かな。事務所の皆の誰かだったらいいけど」

亜美「そっか」

真美「でも、亜美違うんだね。ずっと兄ちゃんのこと好きなんだって思ってたけど」

亜美「え? マジ?」

真美「うん。だっていっつも抱き着いてたりして」

亜美「あれはだって真美もやってたじゃん……ってそうだよ、真美こそ兄ちゃんのこと」

真美「ううん、真美は別に。ただなんか、あんまりベタベタするの、嫌かなとか思っちゃって」

亜美「ほうほう、真美は真面目ですなぁ」

真美「ち、違うよ! なんていうか、恥ずかしくなっちゃうんだよね」

亜美「それが恋だよ!」

真美「……やっぱりわかんないや」

亜美「そうだよねぇ……でも、真美の話聞いてたらさ」

真美「うん」

亜美「やっぱり、亜美は兄ちゃんのこと好きなのかも」

真美「……そっかー」

24: 2012/11/17(土) 22:24:08.37
――

亜美「兄ちゃん兄ちゃん!」

P「ん? 亜美か、どうした?」

亜美「別に~なんとなく暇だったからさ」

P「俺はそんなに暇じゃないんだが……」

亜美「いいでしょ別に!」

P「まあいいけどさ」

亜美「兄ちゃんはさ、どんなタイプが好きなの?」

P「……またこの前のか? 正直言うと結構来るものが……」

亜美「今日は真面目だから!」

P「今日はって……そうだなぁ、やっぱり優しいとかいうのは欠かせないよな」

亜美「ふむふむ」

P「後は……これと言って思いつかん」

亜美「優しければ誰でもいいの?」

P「おいおい、なんかその言い方怖いからやめてくれよ……」

27: 2012/11/17(土) 22:33:16.43
亜美「優しいねェ、なるほど」

P「そんな要望通りの人が来るわけでもないし、これくらいの方が身の丈に合ってると俺は思う!」

亜美「……優しいくらいなら亜美も」

真美「あ、兄ちゃん」

亜美「あ、真美」

P「おぉ真美。どうした?」

真美「何の話してるのかなーって」

亜美「兄ちゃんの理想のタイプについてミーティング中だ!」

真美「ほほ~!」

P「そんな大それたもんじゃ……」

真美「それでそれで?」

亜美「優しい人がいいんだってー」

P「逆にお前らはどうなんだ?」

亜美「亜美? んー……そう言われると」

P「ほらな? そんな理想のタイプなんて言われてもパッと思いつかんよ」

28: 2012/11/17(土) 22:39:15.36
真美「真美も思いつかないかなぁ、優しいっていうのはいいよね」

亜美「でもでも、優しくない人がいい、なんて言わないっしょ?」

P「お前またそういうことを……」

真美「兄ちゃん、他には?」

P「うーん……ま、仕事柄面倒を見ることが多いからある程度リードしてくれる人の方がいいかもな」

亜美「あずさお姉ちゃんみたいな?」

P「あずささん……もなんだかんだ面倒見るだろ?」

真美「まあ確かに……」

亜美「それじゃ何? 兄ちゃんマザコン的な?」

P「ぶふっ! な、何を言い出すんだ亜美!」

真美「え、兄ちゃん……?」

P「真美もそういう顔をするな! 断じて違う、どうしてそうなるんだ!」

亜美「おやおやー動揺しておりますなー? これはまさか大スクープなんじゃ?」

真美「でも、真美もいろいろしてくれる人の方がいいかも。ママみたいな意味でも!」

P「まあでもそうだよな! わかるよな、真美!」

29: 2012/11/17(土) 22:44:30.50
亜美「むー……兄ちゃんマザコン認めるの?」

真美「マザコンっていうか、兄ちゃんはお姉さんみたいな方がいいってこと?」

P「そ、そう! そうだよ真美! いやぁ流石だな!」

亜美「もー真美ばっかり……」

P「そう拗ねるなって亜美。ただ俺はマザコンではない!」

亜美「じゃ、亜美達のこと好き?」

P「……はい?」

亜美「マザコンじゃないんでしょ! ほら!」

P「な、何だよそのトンデモ理論は……子供じゃないんだから」

真美「そうだよ亜美、ちょっと落ち着いて……」

亜美「……」

P「真美もこう言ってるし、な? 機嫌直してくれよ……」




「亜美は子供?」

31: 2012/11/17(土) 22:51:39.34
亜美「……亜美は」

P「……亜美?」

亜美「兄ちゃんは、子供は嫌なんだ」

P「いや、嫌とは言ってないぞ、どうしたんだ亜美?」

亜美「……真美は、大人」

P「そりゃ確かに真美の方が大人っぽいけど、成長には差があるし気にすることじゃないだろ?」



「真美は大人」



真美「あ、亜美……」

亜美「……真美の方が、いいんだ」

ダッ


P「お、おい亜美!」

真美「亜美……」

37: 2012/11/17(土) 23:26:52.28
「バカ」

「亜美が悪い、でも真美も兄ちゃんも……」

「こんな思い、したくないからあんな風に言ったのにさ」

「……嫌だよ、どうして? どうしてこんな風になったら急にわかってくるのさ」

「亜美は兄ちゃんが好き」

「どうしてかわかんないけど……わかんないわかんないって言ってごまかしてたのかな」

「真美はすごく大人っぽいよね。亜美にもわかる」

「でも、だからって亜美は真美みたいになった方がいいの? わかんないんだってば……」

「だからってそのままの亜美でいたら、ずっと兄ちゃんは亜美のことを見てくれない」

「そう思ったらまた悲しくなって……亜美は何をしたらいいのかな」

「子供みたいな亜美を辞めて、真美みたいになって……でも、それじゃあ真美に勝てないし、もしかしたらもう……兄ちゃんと真美」




「ダメじゃん! ダメダメ! こんなの、亜美じゃないよ!」

「真美は真美、亜美は亜美って昔から知ってることなのに、亜美のバカ!」

「……なら、亜美は亜美なりに頑張るしかないっしょーー!!!」

38: 2012/11/17(土) 23:31:30.78
――
亜美「……おはよう、ございまーす」

P「亜美……」

亜美「その……兄ちゃん」

P「悪かった!!」

亜美「え?」

P「子供っぽい……嫌だよな。真美と比べられるのが嫌だってことくらい、わかるだろうに俺ってやつはさ」

亜美「あ、いや……」

P「自分が煽られたからって、最低だよ。どっちが子供か、後ですごく反省したんだ。真美にも言われてさ……」

亜美「真美に……」

P「真美とは、話したか?」

亜美「あ、いや。昨日は会わなかったから」

P「そうか……でも、真美は何も悪くない。俺が無神経すぎた。ホント、この通りだ!」

亜美「に、兄ちゃん……いいよ、亜美こそ……ごめんなさい」

P「亜美……」

亜美「亜美、なんていうか……真美にやきもち焼いてたのはホントでね」

40: 2012/11/17(土) 23:36:02.19
亜美「だから、もうわかんなくなって……兄ちゃんに当たって」

P「……あぁ」

亜美「ごめんなさい……」

P「いやいや、こちらこそだ。せっかく俺のこと、心配してくれたんだもんな。彼女のこと」

亜美「あ、うん」

P「全く、そこからしておかしいんだよな。こんな年下に心配されてさ、かっこ悪いったらありゃしない」

亜美「……兄ちゃん」

P「ん?」

亜美「やっぱり、カノジョっていた方がいいと思うんだ」

P「あぁ、それはそうだな。そうそう」

亜美「……それで、亜美はね」






P「だから、明日出かけることになったんだ」

亜美「……え?」

42: 2012/11/17(土) 23:39:57.13
P「あそこまで言われて、流石に何もしないのはまずいかな、なんて思ってたらさちょうどよくメールが来て」

P「明日食事でもどうかってな。いつもなら仕事うんぬんで断るところだったが、ちょっと頑張ってみようと思ってな」

亜美「あ、う、うん」

P「まだわからないが、亜美のおかげだ。ま、これでどうなるかは全く予想できないし、失敗したらまた亜美にネタにされるけどな~」

亜美「あ、亜美もそこまでひどくないよ……そっか」

P「あはは、そうかそうかそれは失礼しましたね。ま、相手についてはそのうち話すさ」

亜美「……うん」

P「わざわざこんなこと話して悪いけど、亜美くらいだからさ。話せるの」

亜美「全然大丈夫。……兄ちゃん」

P「なんだ?」


亜美「絶対付き合うところまで行かなきゃ許さないんだからね!」

P「……あぁ、任せとけって!」

亜美「……あはは!」



「あはは……」

46: 2012/11/17(土) 23:46:56.98
――
「なんだか最近こうやって布団にくるまってること、多くなった気がするなぁ」

「でも、落ち着くって言うか、泣いても誰にも見られないし文句も言われないから居心地いいんだよね」

「……兄ちゃん、彼女できるのかぁ」

「あの兄ちゃんの感じだよ? そりゃ、女の子だったら基本付き合うって」

「……失敗してほしいとか、思ってないよ? でも」

「亜美のおかげなのかな……」

「亜美はこうなって欲しかったのかな」

「……きっと、そうだよね。亜美が最初思ってた通りだもん!」

「それにさ、兄ちゃんに亜美しかいないって言われたとき、やばかったー」

「……今泣いてるからいいけどね。えへへ……」

「どんな人だろ、やっぱりあずさお姉ちゃんみたいにどたぷーんで、ミキミキみたいにスタイルがいいのかな。それで優しくって……」

コンコン

亜美「え?」

真美「亜美、いる?」

亜美「ちょ、ちょっと待って今開ける!」

47: 2012/11/17(土) 23:52:25.45
真美「亜美……」

亜美「ごめんね、真美」

真美「え?」

亜美「この前のこと。兄ちゃんと話したんだ、ちゃんと仲直りしたし」

真美「……そっか」

亜美「それで真美にも謝らなきゃって思ってた」

真美「真美も、その……亜美がさ」

亜美「え?」

真美「真美がなんていうか、変なこと言っちゃったから……」

亜美「違うよ! あれは亜美がなんていうか、兄ちゃんをいじるためにさ!」

真美「でも、好きなんでしょ? あんな風にしたら、嫌われちゃうかもだし」

亜美「大丈夫っしょ! ……あ、でも」

真美「うん?」

亜美「兄ちゃん……ホントに彼女ができるかも」

真美「……え?」

48: 2012/11/17(土) 23:56:38.22
亜美「ってことで」

真美「そっか……」

亜美「亜美はね、別にいいんだ。そういう話だったし、これで亜美の思い通り!」

真美「……」

亜美「どしたの? 真美がそんなに考えなくても」

真美「あ、うん……でも」

亜美「もー気にしなさんな! むしろ亜美としては別れたときにどうやっていじってやろうとか、考えるのが忙しいと言いますか!」

真美「……」

亜美「もちろん別れてほしいわけじゃないけどさ、兄ちゃん下手こいてガックリしてそうじゃん? だから……」

真美「亜美、無理してない?」

亜美「……」

真美「真美は……ちょっとさみしいかな」

亜美「……そりゃ、亜美も。でもいいんだよこれで」

真美「……」

亜美「……もう、寝よっか。じゃね、真美。また明日」

50: 2012/11/18(日) 00:04:02.00
――
亜美「ん……あれ? う、うわわわわ! ち、遅刻!! ……ってそっか、今日はお昼過ぎからだっけ」

亜美「真美はもう、行っちゃったのかー」


亜美「ふわぁ……目がしょぼしょぼする……」

亜美「ちょっと泣きすぎちゃったかも……目、赤くなってないよね?」



亜美「おはようございまーす!」

亜美「あり? 誰もいないの?」

亜美「ふーん、つまんないの。……あれ? 兄ちゃん?」

亜美「下に止まってるの、車かな……あっ! っということはあれでデートか!!」

亜美「裏から入ったから気が付かなかったなー。……でも、事務所の下で待ち合わせ?」

亜美「んっふっふ~、でも兄ちゃん緊張してるっぽいねー! ここで見てると超面白い!」

亜美「お! 誰か来たっぽい!? どんな人かな~……え?」




亜美「……真美?」

51: 2012/11/18(日) 00:07:12.28
亜美「……兄ちゃんと、話してる」

亜美「ち、違うよ。うん、きっと真美も何してんの? とか聞いてるだけでさ!」

亜美「……なんで、なんであんなに楽しそうなのかな」

亜美「あ……車に乗って」



亜美「……」




亜美「真美……?」




亜美「そういう、ことだったの?」


亜美「……亜美は、そういう風になって欲しかったんだっけ」



亜美「あはは……」

「やっぱりわかんないや」

54: 2012/11/18(日) 00:16:58.81
「双子だから、すっごく似てる」

「でも、全然違うところもあってさ」

「……どこが違うんだろうね」

「どっか、違うんだろうね」

「兄ちゃんはどうやって選んだのかな。でも、それはいいや」

「真美は……どういう風に思ってたんだろ」

「別に真美は間違ってないよ。亜美はちゃん言えなかったし、恋ってそういうものだってことくらい知ってる」

「最初に亜美がそういう風に言った時に、事務所に居た皆、燃えてたよ」

「兄ちゃんのカノジョには私が~! そんな感じ。わかってたし、それでもいいって思ってたけどさ」

「やっぱり亜美を選んでほしかったのに。それでも、それでも他の人ならね」

「……なんで真美なの?」

「亜美じゃ、足りないの?」

「……じゃ、もういいや。……なんていえるくらい亜美ってまだ大人じゃなくて」

「まだまだ子供でさ……なんだ、まだ子供じゃんよ」

「う、うぅ、うわあああああああああああああん!!!」
――

55: 2012/11/18(日) 00:20:03.17
亜美「……」

真美「ただいまー……あれ? 亜美?」

亜美「……真美」

真美「どうかした?」

亜美「……今日さ、兄ちゃんと一緒にいたよね」

真美「え? ……見てたの?」

亜美「偶然、車に乗るとこみちゃって」

真美「見てただけ?」

亜美「そうだよ」

真美「そっか……」

亜美「真美」

真美「……何?」

亜美「おめでと」

真美「……え?」

亜美「だって、あの感じだと付き合うことになったんじゃないの?」

56: 2012/11/18(日) 00:24:37.81
亜美「亜美はいいの……亜美は……」

真美「あ、亜美……」

亜美「兄ちゃんが選んだならそれで……」

真美「ち、違うんだよ亜美……」

亜美「いいの。亜美はそういう風になってほしくって」

真美「だから亜美」

亜美「いいの!!!」

真美「亜美……」


亜美「もう、いいんだってば……」

真美「……違うよ、亜美。真美は別に、兄ちゃんのカノジョじゃない」

亜美「……」

真美「勘違いさせちゃったんだったらごめん……」

亜美「……じゃああれは」

真美「普通にお仕事っていうか」

亜美「亜美の、勘違いだったの?」

57: 2012/11/18(日) 00:29:18.26
真美「亜美、変だよ……そんなに気にしなくても」

亜美「……真美も嘘つくのやめて?」

真美「あ、亜美……」

亜美「すごく、楽しそうだった。ただのお仕事でも、すごく」

真美「……」

亜美「別に亜美はいいんだよ? でも、そうやって勝手に亜美の気持ち考えてとか、嘘つかれるのは絶対に嫌」

真美「だ、だから……」

亜美「……じゃあいい、兄ちゃんのところに行ってくる」

真美「ち、違うんだって亜美……」

亜美「何が違うのさ」

真美「それは……」

亜美「……もう、わかんないんだってば」

真美「……」

亜美「亜美は、亜美は兄ちゃんのことが好きだったの! でも、でもあんなこと言っちゃったからこんなことになってさ!!」

亜美「本当は彼女なんて作ってほしくない! 亜美だけを見てほしいって! でも、でも今更そんなこと言えるわけないっしょ!!!」

61: 2012/11/18(日) 00:36:17.83
真美「じゃあそういえばいいじゃん!」

亜美「無理だってば……そんなわがまま、無理に決まってるじゃん……」

真美「無理なんかじゃないって」

亜美「無理だよ! そんなの……また子供っぽいって言われて」

真美「……ごめん、さっきのは嘘」

亜美「……」

真美「本当は、兄ちゃんに無理言って遊びに連れてってもらったの」

亜美「……どうして?」

真美「……ひどいってわかってる。けど、真美も好きだった。兄ちゃんのこと」

亜美「……」

真美「だから、遊びに行こうって。そこで、告白してきたんだ」

亜美「真美……」

真美「でも、亜美に聞いてた兄ちゃんのカノジョさんとか、どうなのかなって心配だった」

真美「それでも真美、今日告白しようって決めてたの。亜美に話を聞いて」

亜美「亜美の……どうして?」

62: 2012/11/18(日) 00:42:45.86
真美「亜美の最初の言葉で、真美も頑張ろうって思って」

真美「それが亜美の本当の気持ちかどうかくらい、真美にはわかってたけど」

真美「……真美も、どんどん兄ちゃんのこと好きになって」

真美「あの、タイプの話の時……真美裏切って。兄ちゃんによく見てもらいたくて……」

真美「すごく、亜美に悪いなって思ってたの! でも、でももうここまでしたら……どうしようもなくて」

亜美「真美……」

真美「それで、昨日彼女の話を聞いたとき思ったのがね、亜美がかわいそうだなって」

亜美「……亜美?」

真美「変だよね……本当なら真美が悔しいとか、想うはずなのに。……でも、それくらい亜美が兄ちゃんのこと好きって真美にも伝わってきて」

真美「それでも今までのこととか考えたら、もうどうしようもないから。告白して、ダメだったら亜美のこと手伝うって決めたの」

亜美「真美……」

真美「それで、無理に頼んで。……しっかり振られちゃったけどね、えへへ」

亜美「……」

真美「ごめん、ごめんね亜美……真美、怖かったんだ、なんだか亜美に負けちゃうことが」

真美「やっぱり亜美の方が大人だよね、真美は大人の振りするだけでさ……ぐすっ……」

63: 2012/11/18(日) 00:46:00.93
亜美「そんなことない……そんなことないよ」

真美「亜美……」

亜美「だって、まだ嘘ついてるの、なんとなくわかるもん」

真美「……」

亜美「真美は、真美だもん。亜美とは比べられないでしょ?」

真美「……うん、そうだよね」

亜美「……亜美も兄ちゃんに言ってくるね」

真美「亜美、うん。頑張ってね」

亜美「ありがと」



「真美も、苦しんでたんだね」

「わかってなかったの、亜美だけじゃなかったんだ」

「だから、よくわかんなかったんだ」

「亜美と真美は、二人だからわかる」

「亜美こそ、ごめんね。でも、今は真美のために……兄ちゃんに言わなきゃ」

65: 2012/11/18(日) 00:49:32.55
――
亜美「兄ちゃん」

P「亜美か、どうした?」

亜美「……昨日さ、真美と一緒にいたでしょ?」

P「……よく知ってるな」

亜美「もしかして、カノジョって真美のことだったり?」

P「そ、そんなわけないだろ?」

亜美「……あはは、ごめんごめん。ちょっとしたジョーダン!」

P「……どうしたんだ、亜美」

亜美「うん、亜美ね。真美と話したんだ」

P「もしかして、昨日のことか?」

亜美「昨日のこと、詳しくは知らないよ? でも、なんとなくわかる……」

P「……」

亜美「兄ちゃんは、本当優しいよね。カノジョなんて、いない癖にさ」

P「……なんのことだか」

亜美「あはは、だから昨日困ったんでしょ?」

66: 2012/11/18(日) 00:51:52.53
――

真美「あ、兄ちゃん!」

P「真美? どうしたんだ?」

真美「どうしたって、ここ事務所だし」

P「あ、あぁそうだったな」

真美「ねぇ、何やってんのー?」

P「ん? あぁ、えっと……彼女を待っててだな!」

真美「ほうほう」

P「だからお子様は事務所に居るんだな。というか、真美は仕事終わりか」

真美「うん、だから暇なんだけど……あ、そうだ」

P「なんだ?」

真美「これからドライブいこーよ!」

P「……ん?」

真美「彼女なんて、無視して真美とドライブ!!」

P「い、いやそれは……」

67: 2012/11/18(日) 00:56:04.46
真美「……お願い」

P「……わかった」

真美「やったー! ありがと兄ちゃん!」




真美「……それであの時さー」

P「あのさ、真美」

真美「何?」

P「亜美のことだろ?」

真美「……うん」

P「……」

真美「亜美は子供なんかじゃないよ?」

P「あぁ、だから俺も困ってるんだ」

真美「……」

P「あそこまで深く考えてるなんて、最近になってようやく分かった。考えるたびに今までの俺を責めたくなるほどに」

P「俺だってわからないよ……亜美にその思いを伝えられたとき、俺は答えてあげられるのか? いや違う、どう断ればいいのか……」

69: 2012/11/18(日) 00:58:56.16
真美「……」

P「あぁ、すまん。真美にこんなこと言ったってしょうがないのに……」

真美「結局、亜美のこと考えてるよね」

P「あ、いや、それはだな……」

真美「ううん、いいんだよ。真美も、もうなんていうか」

P「……真美?」

真美「兄ちゃん、好き」

P「……真美」

真美「ほら、予行練習だよ? 上手に断って見せて?」

P「……ごめん」

真美「……サイテー」

P「……ごめん、本当に」

真美「あはは、これじゃダメっぽいね。確かにこんなんじゃ、カノジョがいる振りをした方が、それっぽいっしょ」

P「……真美」

真美「真美はもういいよ、でも亜美のことはちゃんと考えて。……それが、真美のためでもあるから」

71: 2012/11/18(日) 01:06:57.42
P「最低だよな……担当アイドルにここまでいろいろ背負わせて」

真美「……」

P「真美が、亜美をどれだけ大切に思って、亜美がどれだけ真美のことを知ってるか」

P「日々実感する。だからこそ、今こうしてる間、亜美がどれだけ苦しんでいるか……俺には想像もつかない」

真美「……真美も泣きそう」

P「……泣かせてやりたいけど、俺にはそんな権利ないな」

真美「帰ったら、亜美に話すよ。そしたら、兄ちゃんも覚悟決めないとね」

P「……あぁ」

真美「……最後に、ギュッてして?」

P「……」



真美「……嘘に決まってんじゃん。バカ!」

P「……ごめん」

真美「ね、早く帰ろ?」

P「……あぁ」

72: 2012/11/18(日) 01:11:49.26

――
亜美「……」

P「……先に謝らせてくれ、ごめん」

亜美「謝られても、さ……」

P「そうだよな……」

亜美「……真美に昨日、いろいろ話してもらってどうでもよくなったっていうか」

亜美「やっと、わかったんだよね。亜美のなかのもやもやの正体」

P「……」

亜美「だから、今までいろいろ考えたけど、別に今日はもういいや」

亜美「想う事、言ってやるから覚悟してよね、兄ちゃん」

P「俺にできることなら、受け止めるさ」

亜美「……」




ドクン

亜美「やっぱり彼女作らずに待ってろ!!!」

73: 2012/11/18(日) 01:17:35.06
P「……」

亜美「子供っぽい、って言われてすごくつらかった。でも、それって子供っぽいのが自分でダメだって考えてたからで」

亜美「亜美達は、子供だから仕方ないんだよね。年齢とかも含めちゃって」

P「……そうだな」

亜美「だったら、もう待つしかないじゃん。でも、その間に……何かあったら困るけど」

亜美「亜美はそれまで待つしかないもん。……そしたら、待ってくれるかどうかかな」

P「まだだな」

亜美「え?」

P「まだ亜美らしくない。表現が遠すぎる、”大人”みたいだ」

亜美「……やっぱりいじわるだね、兄ちゃん」

P「いじわるで結構。この仕事、恨まれることも一つですから」

亜美「そんじゃ、言うけど。子供のわがままとして!」




亜美「亜美が大人になるまで、待っててくれますか?」

P「俺でよかったら、な」

75: 2012/11/18(日) 01:21:21.00
亜美「……ぐすっ」

P「お、おいそこで泣くのか……?」

亜美「だってぇ……」

P「まだまだこれからだろうに。わかってないこと、たくさんあるだろ? アイドルはどうするんだ?」

亜美「……後3,4年でトップアイドルになれば、問題ないんでしょ?」

P「おっと、言ってくれますね……」

亜美「えっへっへー、なんてったってうちらは2倍速ですから!」

P「……元気が戻ってきたか?」

亜美「……わかんない」

P「そうか、わかんないか」

亜美「うん、わかんないよ」

P「それも幸せかもな」

亜美「本当に何年後まで待ってくれるかもわかんないですしー?」

P「それはあれだろ、亜美にもかかってるわけだし」

亜美「何それ! そういうのは兄ちゃんとか男の役目って感じっしょ!」

76: 2012/11/18(日) 01:25:20.56
P「ま、まあ努力はしますよ」

亜美「全く……でも、よかった」

P「ん?」

亜美「なんでもないよー! それっ!」

P「あっ、ちょ、返せ!」

亜美「やだねー! えへへー!」

―― 

P「おはようござ……痛っ!!」

亜美「えっへっへー!」

真美「早速ひっかかりましたな亜美隊員!」

亜美「やりましたなー! んっふっふ~!」

P「お前らなぁ……ちょっとは女らしくなったと思えば……」

亜美「何? また彼女が欲しいとか言っちゃうカンジ?」

真美「わー、それは亜美にどんなオシオキされるかわかんないねー! ま、どうしてもっていうなら真美が代わりに」

P「シャレにならんからやめてくれ……あとその話題はもう少し声を小さくだな……」

77: 2012/11/18(日) 01:31:03.44
亜美「今思ったけど、やっぱり1年って長いし? 別になんとなくイチャイチャすればいいよねって!」

P「またお前はとんでもないことを……」

真美「そしたら真美もー!」

P「もう突っ込まんぞ……」

亜美「そのころには、超絶セクチーになってるだろうし、覚悟してなよ、兄ちゃん!!」

P「期待してますよー」

亜美「……でも」

チュッ

P「……ん?」

亜美「……忘れると困るから、一応ね」

P「……お前な、そんなことしてると俺が耐えられなくなるだろうが」

亜美「な、何言っちゃってるのさ兄ちゃん!?」

P「はっはっは、冗談だよ冗談!」

亜美「んもー!! 兄ちゃん!! 待てーー!!」


78: 2012/11/18(日) 01:32:01.73

おもしろかった

84: 2012/11/18(日) 01:35:24.29
ふと思いついて殴り書いたからひどいことになってるが後悔はしていない
真美も可愛いでも亜美も可愛いできることなら双子両方幸せにしたい
大人になった亜美がただイチャイチャするSSもそのうち書きたいよね 支援サンクスでした

引用元: 亜美「兄ちゃんは早く彼女作りなよ!」