4: 2012/03/23(金) 21:06:46.33
真「ふぅ―――それにしても、疲れたなあ……」

響「……真、今日はちょっと、頑張り過ぎだったんじゃないか?」

真「ええー?……そ、そういう響だってさあ、いつもより張り切ってなかった?」

響「うぐっ……ひ、否定はしないさー……。でも、やっぱり仕方ないじゃないかぁ……」

真「……うん、そうだね」

響「…………」

真「…………」

真・響「「どんな風にプロデュースしてくれるんだろう……」」

真「……やっぱそこだよねー!」

響「なー!」

6: 2012/03/23(金) 21:10:27.85
真「……」

響「……」

真・響「「楽しみだなあ」」ポワワーン



?「……?」

?「あれ、あの二人って……」

?「…………」ン~?

?「……!あはっ☆やっぱりそうなの!」

?「真く~ん、響ぃ~、待ってなの~」

タッタッタ……

7: 2012/03/23(金) 21:15:59.45
…………

(事務所のみんなの方針を提案することになり、千早・春香・貴音・雪歩・真美・やよいの6人までが終わった)

(真美については辛く当たってしまったが、その分きちんとサポートしてやらなきゃな、と改めて思った)

(あとは真・響・美希の3人だけになったのだが……)

P「……真美ぃ~、もう泣くこたぁないだろー?」

P「ちゃんと指切りもしただろ?ほら、元気元気」

8: 2012/03/23(金) 21:20:59.58
真美「ヒック……ち、違うんだよぉ……ヒック、に、にいちゃん……」ポロポロ

真美「なんかね……真美、急に、き、気が抜け……ちゃって……」ズズッ

真美「じ、ぶんでも……ヒック、なみだ……とめ……らんないの……ぉ……」ヒック

P「あ~、もう……」

P「……しょうがないなあ」グイッ

ギュッ

真美「あっ……///」

真美(に、兄ちゃんの胸……)

真美(………おっきくてあったかい……)

P「しばらくこうしてていいから、落ち着け、な?」ポンポン

9: 2012/03/23(金) 21:26:25.20
真美「う、うん……///」ギュ

真美「(兄ちゃん……)…………///」ギュウウ

春香(いいな~、真美)

やよい(はわわわ……)ドキドキ



真美「……スーッ、ハーッ、スーッ…………ん、もう大丈夫っ」

P「ほんとか……?」スッ

P「……まあ、目は真っ赤だけど、いつもの真美に戻ったな」

真美「……うんっ!」ニカッ

11: 2012/03/23(金) 21:31:39.59
真美「あ……そうだ!」

クルッ

真美「あ、あの……やよいっち…………これから……よろしくね!」スッ

やよい「真美……」

やよい「……うんっ!こちらこそ」ギュッ

真美「……えへへっ」

やよい「がんばっていこうね」ニコッ

……パチパチパチパチ

真美「み、みんなぁ……///」

やよい「あうぅ、はずかしいですー///」

貴音「ふふ……新しい『アイドルゆにっと』の誕生ですね」

13: 2012/03/23(金) 21:36:49.63
雪歩「おめでとう、真美ちゃん、やよいちゃん」

春香「こりゃあ私も、竜宮小町も、うかうかしてられないかもですね」

P「そうだな。二人の可能性は、それだけ未知数だからな」

P「……この二人が成長したら……ひょっとしたら、とんでもない

ガチャ

響「ただいまー、みんなー!……あ、プロデューサー、早く方針、聞かせてくれよぉ!」

響「もう自分、レッスン中もそればっかり考えてて、いつもより張り切っちゃったくらいさー」

響「…………」

響「…………あれ?」

14: 2012/03/23(金) 21:41:40.75
P(うわー、響……うわー……)

春香(ひ、響ちゃん……)

雪歩(あわ、あわわ……な、何か言ってあげないと……!)

P「お、おう……響……おかえり」

響「?ただいま」

貴音「ひ、響……あの……そ、そう。真、真は一緒ではなかったのですか!?」

響「?なに慌ててるんだー貴音?真なら、美希と会っちゃっておやつ選びに付き合わされてたぞー」

15: 2012/03/23(金) 21:47:31.73
響「真が気を利かせてくれて、自分だけ先に帰ってこられたんだー」

響「あ、でもコンビニに寄るくらいだから、もうすぐ帰ってくるさぁ」

P「そ、うか……」

響「……あれ!?真美、目ぇ真っ赤じゃないか……ど、どうしたんだ!?」

真美「え、あ、えーと……その……」

響「だ、大丈夫か!?なにかあったのか!?」アタフタ

P(アカン)

P「響、真美は大丈夫だから、方針について話そう……な!」

17: 2012/03/23(金) 21:52:46.52
P「真美、大丈夫だよな!?」

真美「ん!?あ……だ、大丈夫だよ!ひびきんも気にしないで!」

P「えーと、あっちの会議室が空いてたはずだから、二人で話そう、ほらこっちこっち」チョイチョイ

響「……?わかったぞー」タタタッ


ガチャ、バタン


P「……ふぅー……で、響の方針についてか……」

ストンッ

響「ああ、自分は、どんな活動をしていけばいいんだ?教えてくれよプロデューサー!」

19: 2012/03/23(金) 21:56:26.94
P「……響は、こういう活動をしたい、っていう希望はあるか?」

響「ん?うーん……そうだなあ。自分、ダンスが好きだから、ダンスパフォーマンスはやってみたいな」

P「他には?」

響「他は……うぅ、ごめんなさい。ちょっと思いつかないぞ」

P「いやいや、まだやりたい事が見つからないのもしょうがない」

P「…………」

P「…………」ニヤリ

P「そうだなあ、響がどんな人物なのか分析すれば、響に合った活動も考えやすくなるかもなあ」

響「ほ、ほんとうか!?」

20: 2012/03/23(金) 21:58:36.34
P「ああ。……そうだ、俺が感じた響の性格や特徴とかを、今から言っていってみよう」

P「自分はそんなんじゃないよ、と響が思ったら、その都度訂正してくれ」

響「えーと……要するに、何か違うと思ったら、その場で言えばいいんだな?」

P「そうそう、そういうこと」

P「そうだなあ……まず響は、沖縄育ちだ」

響「うん」

P「元気でおおらか、南国育ち特有の朗らかさがある。響の可愛らしさを大きく形作ってるな」

響「う……えへへ///……自分ではよくわかんないけど、悪い気はしないぞ」

22: 2012/03/23(金) 22:03:16.91
P「あとはそうだなあ。もう無いかなあ」

響「え、ええぇ!?いやいや、もっとあるだろ!?」

P「え?ああ、ごめんごめん……あ、そうだ」

P「響の良さは、何と言っても『物怖じしない』ことだな」

響「……っていうと……どういうことだ?」

P「どんな物や相手にでも、普段の自分のまま接していける、ってことだ。貴音とも仲が良いのが、その証拠かな」

響「あ~……そうだなあ。貴音って変なとこで自分の世界に入るから、みんな積極的には話そうとしないもんな」

24: 2012/03/23(金) 22:08:00.24
P「そう、みんなからすると接しづらい人でも、響は簡単にその人の中へ入っていける」

P「物怖じしない、前へ前へ出ていける、というのは芸能界ではとても重要だ」

P「あとそれと関係して、立ち直りが早いのも良い所かな」

響「そ、そうか……!ふふん。ま、まあ自分は完璧だからな!」

P「……もう無いかな」

響「えぇ!?……いや、じ、自分は……まだまだ自分の良い所、あると思うぞ……」

P「そうか?……ああそうだ、物怖じこそしないんだが、響は周りの空気にも敏感だ」

25: 2012/03/23(金) 22:14:16.55
P「みんなの様子が普段と違う、何かおかしい、ということにも気づけるし、そういう時には積極的に気遣いができる」

響「あー、そうだなあ。さっきの真美もなんかおかしかったからなぁ。自分、ちょっと焦っちゃったぞ」

P「あとは響はたくさんの動物を飼ってるけど……それは別にどうでもいいか」

響「んなっ!?ど、どうでもいいことあるわけないだろー!」ガタッ

響「あの子たちは、自分の大事な家族なんだっ!家族を悪く言われたら、いくらプロデューサーでも黙ってられないぞ!?」

26: 2012/03/23(金) 22:20:24.48
P「そうだったか、すまないな。……つまり響は家族思いだし、動物の世話をするのも得意、だと」

響「んぅ?……んん……そういうことになると……思う」

響(な、なんか調子狂っちゃうなあ……)

P「あとはそうだ、自分の気持ちに素直だ」

響「っていうと……例えば?」

P「今みたいに自分が思ったこと、感じたことを隠そうとしない。自分をさらけ出すのに抵抗が無い」

P「嫌なことは嫌だって言うし、自分が感じたことをその場ではっきり言う」

27: 2012/03/23(金) 22:25:29.83
P「でも自分が悪い、と思ったらちゃんと謝れるし、自分の心では納得できなくても、相手の気持ちを感じて意見を譲ることもできる」

響「ああー……まあ、そうなのかもな。やっぱり完璧だからな」フフン

P「何事にも全力を出す、というのも良い所だな」

P「そういった響の『ひたむきさ』に触れて、好きになる人も多い」

響「ま、まあな~♪」

P「あと空気が読めない」

28: 2012/03/23(金) 22:31:23.82
響「ふへ!?」ガタタッ

P「周りの空気には敏感なんだが、『察する』ことができない。だから余計なことに首を突っ込んで、損をする」

響「ぬ……ぐぐぐ…………」ワナワナ

P「……あれ、違ったかな?」

響「違う……って言いたいけど……言い切れないぞ…………」ワナワナ

響「この前も……レッスンが上手くいかなかった雪歩を励まそうとして……余計に落ち込ませちゃったんだ……」

響「ただそっとしといてあげればよかっただけなのに、自分がしゃしゃり出ちゃったせいさ……」

30: 2012/03/23(金) 22:37:13.97
P「……そういうことで言えば、響は持ち前のその元気が、よく空回りするな」

響「あぐっ」ズキン

P「自分では良いことをしたと思っていたのに、結果はそうではなかった、ということがよくある」

P「響の『ひたむきさ』は、響が『空気が読めない』せいで、相殺されてしまうんだな」

響「ぬぬぬー……そんなことないっ!て言いたいけど…………心当たりがありすぎるさー……」ショボン

P「おいおい……響……全然カンペキじゃないじゃないか」

響「ううぅ……返す言葉も…………」ガックシ

P「…………」

33: 2012/03/23(金) 22:43:09.21
P「…………ふ、ククク……ク……」

響「……?プロデューサー?」

P「いや……クク……す、すまん……ククッ」

響「な、なんで笑ってるさぁ!自分、何かおかしなこと言ったか!?」

P「いや、そうじゃない……ククッ……いかん、一旦落ち着こう」フゥー

P「ハーッ……ああ、すまんすまん」

響「……?プロデューサー、さっきから何かおかしいぞ?」

響「ひょ、ひょっとして……自分をからかってるのかぁ!?」

34: 2012/03/23(金) 22:48:21.51
P「…………」

P(…………いや、試す価値はあるな)

P「そうだな、からかってる」

響「でえぇ!?ぷ、プロデューサー、それはあんまりじゃないかぁ!」ワナワナ

響「自分は、今日一日、これを楽しみにして過ごしてきたんだぞ!」

響「ま、真面目に、もっと真面目に自分と話してくれてもいいじゃないかぁ、プロデューサー!」ジワァ

P「あ、いや、ごめん。……いかんなあ、ちょっと踏み込み過ぎたか」

響「は?」

P「……フゥー」

35: 2012/03/23(金) 22:52:45.35
「……響。お前の希望である、ダンスを主軸にした活動は、ちゃんと考えてある」

P「でも、それとは別に、お前に挑戦して欲しい活動があるんだ」

響「え……どんなだ?」

P「……『バラエティ』だ」

響「バラエティ?」

P「前々から思っていたんだが……さっきの会話で、確信に変わった」

P「響、ダンス中心の活動と並行して、『バラエティアイドル』やってみないか?」

響「…………バラドル……」

37: 2012/03/23(金) 22:55:02.64
響「え、と……なんでさっきの会話で、そんなことがわかったんだ?自分じゃ全然、わからなかったぞ」

P「ふーむ、そうだなあ……」

P「まずな、俺がつい笑っちゃったんだが……響の『返し』はスゴイ」

響「返しって何だ?」

P「意識的、無意識的なもの関係なく、『ボケ』に的確に反応する。それが『返し』」

P「俺が『多分突っ込まれるだろうな~』と思いながら適当に放り投げた会話を、響はちゃんと処理してくれた」

響「あ、あれってやっぱりふざけてたのか!?」

P「うん。まあ、そのことについてはすまん」

響「……」ムスーッ

39: 2012/03/23(金) 22:58:40.73
P「……司会者の人たちからすれば、コール&レスポンスがしっかりしているタレントは、とても頼りがいがある」

P「漠然としたものでも、響に話を振れば、ちゃんと反応を見せてくれる」

P「トークや展開の『流れ』を意識しすぎて、思うように発言できないタレントもいる」

P「話を広げてくれる、こちらの話にリアクションをとってくれる、ということは共演者にとってはありがたいことだ」

P「……あと今言った『リアクション』だ。俺の発言にいちいち反応してくれてるんだが、それも面白い」

響「……自分の反応が面白いのか?」ジトー

40: 2012/03/23(金) 22:59:25.94
P「面白い。悪い意味でなく、純粋に良い意味で」

P「……響はさっきも言ったが、南国育ち特有の可愛らしさがある」

P「その響の可愛さが、喜怒哀楽を表に出すたびに、さらに何割も増していく」

P「響は765プロの中で、一番感情豊かだ。事務所の誰よりも、感情を表に出す」

P「驚いたとき、ガッカリしたとき、怒ったとき、納得行かないとき、楽しいとき……」

P「何かを経験するその度に表情が変わり、『我那覇響』の新しい面が見える。魅力が解放されていく」

41: 2012/03/23(金) 23:00:17.12
響「え……?う……あぅ……///」

P「……その顔も可愛いぞ。『恥ずかしいとき』の顔も」グッ

響「え、えぇ~…………か、勘弁してほしい……ぞ……///」マッカッカー

P「ふふ、こういう響の反応もそうだ……今言ったことは、裏を返せば『響の反応を見たい』ということに繋がる」

P「俗に言う『イジられる』ってやつだ。たまにエグイ弄り方をする人もいるが、響の可愛さは、そこまでのキツイ弄りを躊躇わせる」

P「響の反応が可愛いのと、返しの能力は高いのも相まって、愛のあるイジりをしてもらえるだろう」

P「一生懸命に頑張る響は、きっととてもテレビ映えする」

42: 2012/03/23(金) 23:05:36.21
響「そ、そうか~♪」

P「まず最低限の知名度を得るのに、響個人の活動は『グラビアアイドル』から始めてほしい」

P「響はスタイルも抜群だ。容姿の存在感と、沖縄育ちの健康的な肌があって、水着も絵になる」

P「雑誌の表紙で考えても、少年誌・青年誌に限らず、引く手数多だ」

P「そこで知名度が上がってきたら、バラエティへ進出する。……ここからが戦場だ」

響「せ、戦場…………」ゴクリ

P「いやな、出始めのバラエティだと、次に繋がるために、収録一回一回で目に見える結果を残せるようにしたいんだ」

43: 2012/03/23(金) 23:11:51.41
P「MCやディレクター、番組スタッフに気に入られれば、また番組に呼んでもらえるかもしれない、ってな」

P「だから若手タレントからしたら、気張り過ぎて緊張したり、思うように発言出来なかったりもする」

P「そこにアイドルだけじゃなく芸人たちもいるから、コメントやトークの取り合いになることもあるな」

P「だから戦場なんだが……響に関して、その面はあまり危惧してない」

響「なんでだ?」

P「さっきも言ったろ?『返し』と『反応の良さ』が素晴らしい」

P「オーディションを受けることが楽しいなら、テレビ出演に緊張することもあまりないだろう」

45: 2012/03/23(金) 23:17:47.23
P「MCに振られたときの反応や返し、そして自分から積極的に発言できる能力」

P「響のそういった力を考えると、ゲーム番組やトーク番組だけじゃなく、グルメレポートやロケ企画にも使いやすい」

響「なんか、褒められっ放しで逆に怖いぞ……」

P「…………そう、だな」

P「…………」

P「積極的に発言できるんだが……響は多人数だと、自分を出せないことも多い」

P「事務所の中でもそうだ。人見知りするわけでも、みんなから避けられてるわけでもないのに……輪に入れないことが多い」

響「!」ズキン

46: 2012/03/23(金) 23:23:12.09
P「図星か?」

響「…………」

P「多分……みんながどう思ってるかじゃない。響自身が、空回りしてみんなに嫌な思いをさせることを、一番恐れてるんだ」

P「普段は元気で人懐っこいのに、そんな考えが、時折みんなとの交流を躊躇わせる」

P「……そこが、一番の不安要素なんだよな……」

P「大人数でのトーク番組は、バラエティの王道だ。変に委縮してしまったりすると、自分を出せずに終わってしまうかも……」

響「うぐぐ……」

P「…………」

P「……でもな、それが響の一番の武器でもある」

47: 2012/03/23(金) 23:28:43.65
響「……へ?な、なんでだよ……」

P「響はバラエティに必要な要素、『返し』『リアクション』『積極性』をすべて持ってる」

P「だけどな、だからってバラドル全員、それだけで人気が出るわけじゃない」

P「響のウィークポイントであり、最大の魅力……それは、『危うさ』だ」

響「あや……うさ……?」

P「積極的で、誰とも仲良くなれる元気な子……芸能界には、それを売りにしているバラドルはたくさんいる」

P「代表者としては『ベッキー』だ」

響「『天才志村動物園』で見る人だな」

48: 2012/03/23(金) 23:33:54.38
P「性格的にも良い娘で、仕事に対してのモチベーションも高い」

P「彼女の活動には常に『安定感』がある。どんな仕事をしても、スタッフの求めるものを的確に判断し、結果に繋げる」

P「だから一般からの人気ももちろん、業界内での人気度は更に高い」

響「はぁ~、すごいんだなぁ」

P「響はベッキーのようなタイプかと言うと、そうではない」

P「響は確かに元気で、誰とも仲良くなれる」

P「だけど……本当は寂しがり屋だし、泣き虫だ」

49: 2012/03/23(金) 23:39:21.76
響「うえぇ!?」

P「……違ったか?」

響「…………いや、否定はしない……ぞ……」

P「……大丈夫だ響、だからこそお前の魅力は、さらに増すんだ」

響「……なんでだ?」

P「……響がテレビに出て、活動したとする。おそらく世間の人は最初に『明るくて元気な子』だと思うだろう」

P「だけど、響にはそうじゃない一面がある」

響「……」

『誰とでも仲が良いのに、たまに一人ぼっちに見える時がある』

『元気で、何事にも動じないような娘なのに、時折すごく寂しそうに見える時がある』

51: 2012/03/23(金) 23:44:41.27
P「響自身は、それを自分の『いやな所』だと思うかもしれない」

P「だけど、それは『我那覇響』を語る上で決して外すことはできない」

響「む……」

P「ベッキーのように、求められるものを完璧にこなせる、そういうタレントはごく一部だ」

P「だけど、ただ明るくて元気があるだけのタレントなら、いくらでもいる」

P「……響は、そうじゃない」

響「…………」

響「それが……『危うさ』なのか?」

P「そう、そうなんだ。……『守ってあげないと』と思わせる何かがある」

響「守って……」

52: 2012/03/23(金) 23:50:14.26
P「響が寂しがり屋だと言った。だけど、それでもお前はとっても強い娘だ」

P「自分から寂しい、なんて滅多に言わないし、みんなに嫌な顔をして欲しくないから、自分を犠牲にするのも厭わない」

響「……うん、まあ……」

P「テレビで活躍する響は、多分とても輝いている」

P「積極的に発言するし反応も良いから、きっとみんなから愛される」

P「そんな人懐っこい、共演者からも可愛がられるバラドルになれるだろう」

P「……だけど、その元気が時に空回りしてしまうことも、それが原因で落ち込んでしまうこともあるかも」

53: 2012/03/23(金) 23:55:05.92
P「するとその瞬間……みんなが、響のことを『もっと知りたい』って思うようになる」

響「それで、自分のことを……?」

P「何事にも全力で取り組む響を、ひょっとしたらうっとおしく思う人もいるかもしれない」

P「でもそんな響も、時には失敗する。失敗すると、普段とは違ってしおらしくなる」

P「あんなに元気だった娘が、こんな弱い姿を見せてしまうのか。と、響のことを気にかけてしまう……」

P「響の持つ危うさは言うなれば、『気丈に振る舞いながらも、何かの拍子に壊れてしまいそう』と思わせるもの」

55: 2012/03/23(金) 23:55:52.38
P「……もちろん、普段の収録でそんな姿をしょっちゅう見せても、ただの『無理した女の子』だ」

響「……」

P「響本人が普段から明るく、その自分のいやな所を決して見せようとしないからこそ、たまに見せる影がとても魅力的に映る」

P「響が何にでも一生懸命取り組む姿を見て、そして時には失敗してしまう姿を見て、みんなが『愛おしい』と思う」

P「そして何より、落ち込んでもすぐ元気になる響を見て、『もっと頑張ってほしい』と思うようになる」

P「……失敗をプラスに変える、欠点を魅力に変える……『弱さ』を『可愛さ』に変える、響にはそういう才能がある」

56: 2012/03/23(金) 23:56:45.00
響「……なんか……結局褒められてるのか、けなされてるのか、よくわかんないなぁ……」フゥ

P「心外だなあ…………俺は、最初から最後まで、全部褒めてるつもりだ」

P「元気で明るい響だけじゃない……失敗しちゃって落ち込む響を、俺はたまらなく愛おしく思うよ」

響「ぷ、プロデューサー!?///」

P「バラエティにおけるベッキーみたいな、完璧な人間なんて中々いないんだ……」

P「ていうかベッキーだって、あの有吉弘行から『元気の押し売り』って言われて凹んだこともある」

57: 2012/03/23(金) 23:57:32.15
P「普段は元気なベッキーだからこそ、落ち込んだ時のいつもと違う表情は、新鮮に映る」

P「完璧じゃないからこそ、見えてくる魅力ってあるんだよ」

響「完璧じゃないからこそ……」

P「失敗したって、落ち込んだっていいんだ。響はその姿を見せようとしないし、あくまで元気に振る舞おうとする……それでもいいんだ」

P「だからこそ、響は響らしくあって、だからこそ響はとっても可愛い」

響「うぅ~……す、すっごく恥ずかしいぞ……あんまり可愛いとか言わないでくれよプロデューサー……///」

P「その恥ずかしがってる顔も……やっぱりすごく可愛い」

響「か……勘弁してくれぇ……///」パタパタ

響「///」マッカッカー

58: 2012/03/23(金) 23:58:26.32
P「……バラエティ番組、どうだろう?」

響「…………」

響「……失敗してもいいのか?本当に?」

P「積極的でさえあれば、失敗したって構わない。一生懸命取り組む、へこたれないこと、それが一番大事だ」

響「自分は……その強さ、持ってるかなあ」

P「俺は持ってると思うぞ。でも時には泣いたっていいんだ。……収録で泣かれると困るけど」

響「……プッ、あはは!そうか、なら……多分大丈夫だ!」

P「やってみるか?……ああ、辛かったらいつでも抜け出していいからな?そのための『帰る場所』も用意してる」

響「……プロデューサー……」

グッ

響「なんくるないさー!」ビシッ


響編 おわり

70: 2012/03/24(土) 00:33:58.97
P「オッケー。沖縄で響が見てたような、超有名バラエティにも出せるようにしてやる」

P「あとはやっぱり……『天才志村動物園』とかな」

響「えへへっ、頼むぞープロデューサー」

響「あ……ていうか『帰る場所』ってなんだ?」

P「ああ、それはな……ダンス活動とも関係してくるんだ」

響「?どういうことだー?」

P「……真たちもそろそろ帰ってきたかな?あいつらとも話がしたいから、ちょっと呼んでくる」

響「???」

71: 2012/03/24(土) 00:34:47.86

ガチャ

真「お邪魔しまーす」

響「おう、おかえり」

美希「……あふぅ」

P「おい……こんだけ遅刻しといて、まだ寝足りないのか」

美希「眠いものは眠いんだから、しょうがないの」

P「……まあいいや。今からお前たち3人の、活動方針を決めようと思うんだ」

真「おぉー、やっとですね!」

美希「何でもいいけど、早く教えてほしいの」

響「ん?え?……自分の方針なら、さっき聞いたばっかりだぞ?」

P「……響は人の話を聞かないねー、もう」

72: 2012/03/24(土) 00:35:35.06
響「へ?え?」

P「『お前たち3人の』って言ったでしょ?」

響「……あ」

真「ってことは……この3人で、何かするってことですか?」

P「そうだ。お前たち3人で一緒に活動してもらう」

P「活動内容は……『アイドルグループ』だ」

響「グループ……」

P「3人で歌を歌って、ダンスをして、アイドルとして活動する」

美希「それって……律子、さんのとこの、竜宮小町みたいなやつ?」

P「まあ……方向性は違ってくるけど、ああいう活動をしていきたいな」

73: 2012/03/24(土) 00:36:23.40
真「アイドルグループかぁ……それで、どんな曲を歌うんですっ!?」

P「ああ、曲な。……ちょっと待ってろ。デモテープはあるから、ラジカセ取ってくる」


―――

P「例えばこういうのとかな」カション

~♪~

美希「『迷走mind』……真君には似合いそうなの」

~♪~

真「『relations』かぁ。……カッコいい系の曲が中心なんですか?」

P「いや、一応そうじゃないのも考えてるぞ」

~♪~

響「『shiny smile』かー、明るくて良い曲だな」

74: 2012/03/24(土) 00:37:24.31
P「この曲自体は正統派なんだが、このグループで考えると『変化球』になる」

P「2、3枚CDを出した後にこれを発表すれば、このグループのイメージにも幅が出る」



真「ってことは、やっぱり最初の2曲みたいなイメージで……」

P「まあ……そうだな」

P「この3人でのグループ活動を考えると……当面の目標は『AKB48』だ」

真「AKB48……ですか?」

美希「美希たち3人だよ?あんなに多くないの」

P「いやまあ、あくまで最近のトレンドと活動の傾向で言うなら、だな。グループのイメージ自体は違うところにある」

75: 2012/03/24(土) 00:39:10.24
P「少人数、ダンスパフォーマンス、という点では、往年の『SPEED』のようなイメージでいきたい」

美希「……誰だっけ」

P「ハァ……さすがに響はわかるよな?」

響「も、もちろんだぞっ!自分たちの大先輩で、沖縄が生んだ超有名アイドルグループさぁ!」

P「……そう、ダンスに力を入れる芸能養成学校『沖縄アクターズスクール』出身の、アイドルグループだ」

P「歌やビジュアルだけじゃなく、ダンスパフォーマンスにも定評があった」

P「対してAKBは、流石に個々のダンスの技術ではアクターズ出身者に劣る」

P「だが、あっちはあっちで、『多人数』の強みを最大限に活かすダンスをしている」

76: 2012/03/24(土) 00:40:04.69
美希「どんなの?」

P「『ヘビーローテーション』の、マーチングバンドのような恰好と振り付けが代表的だな」

P「あれを少人数でやっても、見た目的にちょっと寂しい。多人数でやるからこそ、画面がより華やかになる」

P「つまり、見ていて『楽しい』と思わせるダンスだ。よりそう思わせるには、あの人数は好都合だ」

響「な、なるほど……」

P「SPEEDのようなグループはそういう意味では、『カッコいい』、と視聴者に『憧れ』を抱かせるダンスだ」

P「ダンスで『魅せる』場合は、多人数だと個々が埋もれてしまうから、少人数の方が都合が良い」

77: 2012/03/24(土) 00:40:50.49
P「ダンスが得意な真と響、ビジュアルで男性層に強く訴えかける美希」

P「総合すると、3人のグループのイメージはSPEEDが最も近い」

真「ん?……じゃあ、なんでAKBを引き合いに出したりしたんです?」

響「そういえばそうだな」

P「……それはな……『ギャップ』だよ」

響「ギャップ?」

P「SPEEDもそうだったが、AKBの彼女たちも年相応の少女らしさがある」

P「一度ステージに上がると、その姿からは想像できないほどのパフォーマンスを披露する」

79: 2012/03/24(土) 00:43:10.32
P「だけど普段はテレビや雑誌で、年頃の女の子らしい面をさらけ出したりしている」

P「ステージで輝きながら、普段は自分たちと変わらぬ一人の少女」

P「そのギャップに男性は惹かれ、特に同年代の女性たちは憧れを抱く」

P「自分もああなりたい、ってな」

真「でもプロデューサー、AKBとSPEEDと、そこはどっちも同じなんじゃ……」

P「……同様の部分はあるんだが、そうじゃない部分でのギャップもある」

美希「どういうとこ?」

P「AKBもSPEEDもライブパフォーマンスが肝のグループだ。だから、ライブでのカッコよさと普段の姿とに、ギャップがある」

80: 2012/03/24(土) 00:44:54.83
P「だけどSPEEDがテレビ番組に出演するときは、大体が音楽番組。バラエティはあまり出なかった」

P「それに歌手活動を中心にやっていたから、メンバー個々の活動は後年まであまり認知されていなかった」

P「だから基本的に普段は『年相応の女の子』、ライブでは『カッコいい』『歌って踊れる』という、イメージのギャップが生まれる」

真「まあ、そうですよね」

P「対して、AKBは違う。バラエティなんかで、個々のメンバーが色々な姿を見せている」

P「体当たりのロケをしたり、共演者からイジられたり、時には芸人がやるような罰ゲームを受けたり」

81: 2012/03/24(土) 00:45:56.48
P「音楽そのものに興味が無かった人も、そういった入口からAKBを知り、メンバーの『バラエティでの顔』を覚える」

響「あ、なるほど……そういう人たちがライブのパフォーマンスを見れば……」

P「ご名答。普段の『バラエティでの顔』とは全く違う『アイドルの顔』を見て、そのギャップにも心惹かれる」

P「SPEEDのようなライブでの『カッコいい』イメージだけでなく、バラエティでの『親しみやすい』イメージもつくわけだ」

P「だから、グループのイメージはSPEEDでも、活動はAKBを目安にしてほしいんだ」

響「はあぁ~……」

82: 2012/03/24(土) 00:47:17.03
真「ってことは……僕もバラエティに出るんですか?」

美希「む~……テレビに出るのはいいけど、美希は罰ゲームなんてしたくないの」

P「いや、全員がそういうわけじゃないよ……」

P「……AKBのメンバーには、バラエティ中心の者もいれば、ドラマによく出る者、より『アイドル』として活動する者もいる」

P「結局、『アイドルの顔』がより引き立つ活動が出来ればそれでいいんだ」

P「その中で響には、バラエティアイドルの道を提案した」

響「うん。やれるだけやってみるぞ」

83: 2012/03/24(土) 00:48:47.62
P「……普段バラエティで明るく活躍する響が、グループだとカッコいいアイドルに変身する」

P「二人にも、そういうギャップが生まれるような活動を考えていきたい」

真「ボクは、ボクはどうなるんです!?」

美希「ミキの活動ってなーに?……あふぅ」

P「そうだなあ……じゃあ、まずは真から言っていくか」

P「終わったら美希にもすぐ話すから、ちょっと待ってろ……寝るなよ?」

美希「はーい、わかったの」

真「……はい、じゃあお願いします」

84: 2012/03/24(土) 00:51:01.03
P「真は……だなあ」

P「……お前個人の希望としては、もっと可愛い服着たりしたいんだろ?」

真「そうですね。ボクも女の子ですし、ライブでは『カッコいい』んでもいいですけど、普段はもっと可愛く行きたいです」

P「そうだなあ……」

真「この前テレビで見た時に、伊織が着てたフリフリの付いたピンクのドレスなんか、もうたまんないですよね」

真「ああいうの着て、男の人たちをキュンキュンさせてやりたいですよ!」ヘヘッ

P「…………」

85: 2012/03/24(土) 00:51:47.43
響「う……」

美希「……真君には似合わないの」ボソッ

真「?美希なんか言った?」

美希「……なんでもないの」

P「真……」

真「はい」

P「事務所の中でな……真ほど、自分の持ち味に気づいていない奴もいないぞ」

真「…………は?」

真「え、と……どういうことですか?」

P「ちなみに逆は伊織だ。あいつはセルフプロデュースだけでも良い位置まで行けるだろう」

87: 2012/03/24(土) 00:52:33.46
真「いや、だから……」

響(ぷ、プロデューサーまさか……)

P「お前にそういう服は似合わん」

真「えっ!!」

美希(ウンウン)

響(や、やっぱりかあぁ)

P「お前の魅力は、今言ったみたいな可愛い服を着て、発揮されるようなものじゃない」

真「…………」グッ

真「そんなことくらい、ボクだってわかってますよ……」

89: 2012/03/24(土) 00:53:30.35
真「でも、男の人と間違われたり、女の子からだけキャーキャー言われたり……」

真「…………っ」

真「もうイヤなんです!ボクだって可愛い服を着て、もっと女の子らしくしたいんです」

真「アイドルになって、そういう服を着て、男の人がボクを見て『可愛い』って言ってくれるような……そんなアイドルになりたんです!」

真「もちろんダンスは好きだから、プロデューサーの言ってくれたグループ活動は嬉しいです」

真「でも……だったら、それ以外の活動では、もっと女の子らしくさせてくれたっていいじゃないですか!」

P「真……」

真「…………すいません。急に取り乱したりして」

90: 2012/03/24(土) 00:54:22.21
P「…………ハァー」

P「だから、お前は自分の持ち味に気づいてないって言ったんだ」

真「……どういうことですか」

P「まず前提が間違ってる。真は女の子らしくて可愛い」

真「!!!///」ボッ

真「えぇーっ!?あの、ちょ、え、あの、その?……ぷ、プロデューサー!?///」アタフタ

響(確かに今の慌ててる真は可愛いぞ)

美希(それは、美希もちょっと思うな)

P「お前の持ち味はな、確かに『カッコいい』って部分でもあるよ」

P「並の男じゃ歯が立たないくらい顔立ちが整ってるし、男役も嵌ってる」

91: 2012/03/24(土) 00:55:11.94
P「かと言ってむさ苦しいわけじゃないから、清潔感があって女の子から人気があるのもわかる」

P「でもな、真は可愛い。傍で見てきて何度も思った」

真「い、今の説明のどこに、可愛い要素があるっていうんですかぁ!?///」バタバタ

P「……芸能界で男役や男装の麗人役を演じた女優はたくさんいる」

P「イケパラの『堀北真希』、金八先生の『上戸彩』、西遊記の『深津絵里』、どろろの『柴咲コウ』」

P「そういう役は宝塚出身の女優がよく担当するものだが、それ以外でもこういった人たちが演じている」

P「特に真のイメージに一番近いのは、『堀北真希』だと思う」

92: 2012/03/24(土) 00:56:28.81
真「僕が……堀北さんに近いんですか?」

P「上戸彩は特に演技力で、性同一障害のある生徒役を務めた」

P「深津絵里や柴咲コウは、それぞれの役柄になりきり、端正な顔立ちを武器に男役を演じきった」

P「もちろんそれぞれの良さはあるが、敢えて言うなら一番近い」

P「堀北真希はその年齢もあるが……そういう演技をするときに『少年』っぽさがある」

P「演じる役もそうだが、声も。ゲームで少年役の声優をやったこともあるしな」

真「結局、男っぽいんじゃないですか」

P「違う違う。真にも、堀北真希にも言えること……それは、『透けて見える可愛らしさ』だ」

93: 2012/03/24(土) 00:57:32.42
真「透けて見える……?」

P「どんなにカッコいい男の役を演じていても、彼女が持つ女性らしさ、可愛らしさは隠せない」

P「まあそれでいいんだけどな。男装の麗人はそういう部分も肝だし、それが嫌ならそれこそ男性を使えばいいんだから」

P「……真だって見ようによっては『イケメン』だ。確かに男に間違われる時もある」

真「そ、そうですね」ムスッ

P「だけど、真がふとした時に見せる表情や仕草は、どれも女性らしさに溢れている」

真「!」ドキン

P「笑った時のやわらかな笑顔とか、照れた時の真っ赤な顔とか、落ち込んだ時の気弱な反応とか」

94: 2012/03/24(土) 00:58:39.43
P「そうだなあ、『健康的な可愛さ』と言い換えてもいい。女性スポーツ選手が見せる可愛さとも共通してくるかもな」

P「でも……真はそれに気づいていない。いつだって自分は男っぽいと思って、それでいて女の子らしさに憧れてる」

P「だけどそうじゃない。真は気づいていないだけで、十分に可愛くて女の子らしい」

P「逆に真が男を演じようとしても……普段の表情や仕草から、女の子らしさが『透けて見える』んだ」

真「え、と……ありがとうございます///」モジモジ

P「『自然体でいることで見える可愛らしさ』……『菊地真』の最大の持ち味は、そこだ」

95: 2012/03/24(土) 00:59:41.76
P「……何なら二人に聞いてみると言い」

P「『今の自分の表情や仕草を見て、可愛いと思うかどうか』ってな」

真「プロデューサー……あうぅ///」

真「……」チラッ

響「う……エヘヘー」

美希「真君。ミキは真君のこと、カッコいいって思ってるよ」

真「……今は?」

美希「あ……アハハー」

真「…………」

真「……………………ハァ」

真「……プロデューサー、わかりましたよ」

97: 2012/03/24(土) 01:02:39.63
真「無理しないで自然体でいれば、ボクは一番可愛いんですね?そうなんですね?」

P「だからそうだって」

P「それに『伊織が着てたような』服が似合わないだけで、真に似合う『可愛い服』なんていくらでもある」

P「真は『素材を活かす』って言葉を知らないな。お前がきちんとそういうオシャレをしてこなかったのもあるけど」

P「お前らしく自然体で、より可愛く、なんてスタイリストさんにかかればすぐだ」

P「無理に女の子らしくしようとするな。お前は今のままでも、女の子らしくって可愛いんだ」

真「そうですか……」

真「……」フゥー

真「……よっし(パンッ)!わかりました!」

98: 2012/03/24(土) 01:05:29.22
真「もう吹っ切れました!ボクの可愛さが透けて見えるってんなら、男役だろうと何だろうと、全部やりきってやりますよ!」

P「……真……吹っ切れすぎだって」

真「え、そうですか?」

P「流石にそこまでは求めてないぞ……。男っぽい格好をお願いすることはあるかもしれんが」

真「え、じゃあ……ボク個人では、どんな活動をしていけばいいんですか?」

P「真個人では、『役者』と『モデル』だな。お前が出たいなら、バラエティも視野に入れるが」

P「とりあえず『アイドルグループ』も含めて、『3本柱』でアピールしていきたい」

99: 2012/03/24(土) 01:07:27.69
真「3本柱……」

P「これは、実は雪歩にも提案した方針だ。だがどれかに重点を置かない雪歩とは違って、真の活動は『アイドル』に重点を置く」

真「なんでです?」

P「お前たち3人のグループにそれだけ可能性がある、というのが一つ」

P「さらに、真の普段の女の子らしさは、どちらの分野でも発揮される、というのがもう一つ」

P「役者なら、仮に本当に男役でも、さっき言ったように女の子らしさは透けて見える」

P「元気な女の子の役を中心に取ってくるけど、何にしても、あくまで自然な演技を心がけてほしい」

101: 2012/03/24(土) 01:13:28.95
P「……あと真の『自然体』を活かすなら、CMも効果的だと思う。健康的な可愛さは、商品の紹介をするのにうってつけだ」

P「スポーツ飲料のCMとか似合いそうだな。……『CMタレント』も考えてもいいかもしれない」

真「はい、わかりました」

P「そしてモデルは、『真に似合う可愛い服』を実際に着てもらうため」

P「ま、グラビアの方も考えてるけど、女性誌を中心に行きたいな」

真「あ……ありがとうございます、プロデューサー!」

102: 2012/03/24(土) 01:15:30.67
P「……流石に男性誌はないだろうが、『男っぽい恰好をしたい女の子』向けの女性誌はある。そこから声がかかる場合もある」

P「でも大丈夫だ。いくら見た目だけカッコよくなっても、真の女の子らしさは消えないから」

真「そういう仕事でもガンガン受けて行けってことですね」

P「まあね。……打算的な言い方だけど、やっぱり女性ファンを獲得できそうだから」

真「へへっ、今更そんなことで怒ったりしませんよ」

真「何だったら、男の恰好しながら、フェロモンバリバリになれるようなアイドルになってやりますよ!」

P「……き、期待してるぞ……」



真編 おわり

110: 2012/03/24(土) 01:43:30.75
P(ていうか宝塚の男役の人とか、カッコいいというか「美形」なんだよな)

P(真も成長したら、765プロ一の美人さんになりそうなもんだ)

P(……まあ、今言ってもややこしくなるだけだから、後で言ってやろう)

P(―――で、ようやくか……)

P「美希、待たせたな。最後はお前だ」

111: 2012/03/24(土) 01:45:44.90
美希「ホントだよハニー。ミキ、待ちくたびれちゃったの」

P「元はと言えば遅れてきたお前のせいなんだけどな~。……じゃまあ、方針を考えるか……」

P「まずメインとなる、アイドルグループについてはどうだ?」

P「曲は、激しいダンスのものが多くなると思うが」

美希「ん~……あんまり疲れるのはヤだけど、ミキ運動できるし、ヘーキだと思うの」

P「……わかった。じゃあ俺が考えた、グループのそれぞれの立ち位置を話そう」

112: 2012/03/24(土) 01:49:19.42
美希「?どんなの?」

P「えーとだな……まず、美希がセンターを務める」

P「と言っても、美希を中心に売り出すわけじゃない」

P「美希の特徴である、金髪その他もろもろ……インパクトを考えると、真ん中に配置するのが一番効果的だ」

真「まあ……そこはしょうがないですよね」

響「この中だったら、美希が一番目立つもんな」

P「……話が早くて助かる。で、その両サイドに二人が付く」

114: 2012/03/24(土) 02:00:13.02
P「あくまでも美希は『センターの位置』にいるだけで、それ以上でも以下でもない」

P「歌のパートやら何やら、美希の担当が重くなるような贔屓はしたりしないし、そういう扱いも受けさせない」

P「美希もそれでいいか?」

美希「うん。ミキが目立つせいで真君と響にヤな思いさせたくないし、何よりミキが疲れちゃうのもヤなの」

P「はは、正直だな。……じゃあ、グループのポジションはそれで行こう」

真「わかりました」

響「わかったぞ」

美希「ハイなの」

115: 2012/03/24(土) 02:08:34.21
P「次にグループでの活動そのものについて話していく」

P「3人での活動は、定期的なライブパフォーマンスと、音楽番組への出演を中心に考えてる」

P「個々のとは別に、グループでのラジオ番組とかテレビ企画とかも出来ればいいな」

真「そうですねー、この3人で色々やってみたいですね」

P「そうだな。ただ3人一緒に出すときは、あくまでクールな『アイドルの顔』を忘れないように」

P「響が普段バラエティでは見せない姿を、見せるような……そういう気概で取り組んでほしい」

響「うん、わかったぞ」

116: 2012/03/24(土) 02:13:27.74
P「そんで個々の活動だ。イザという時には『カッコいいアイドル』として活動するが、普段は違う顔を見せれるように」

P「真美とやよいにも、個々の活動をしながらのアイドルユニットを考えていたんだが、この3人はちょっと意味合いが違う」

響「どう違うんだ?」

P「あの2人は将来を見据えてのアイドル活動だ。今はまだ力を蓄えて、アイドルの経験を積むためにユニットを組む」

P「だから、アイドル活動と個々の活動の比重は、個々の活動の方に置きたい」

P「だけど、こっちの3人のグループには『可能性』が既にある。年齢的にも個々の能力的にも、『完成形』が見える」

P「だから、それぞれの活動のすべてが、この3人の『アイドルグループ』での活動に繋がるようにしたい」

117: 2012/03/24(土) 02:18:32.69
P「響には『バラドル』で親しみやすいキャラクターを、真は『役者』や『モデル』で、健康的な女の子として」

P「それぞれ『アイドル』として活動したときに、より魅力的に映るようにな」

P「そして、美希……お前だ」

美希「ハニー。ミキは何をやれば、『ぎゃっぷ』ってやつが出るの?」

P「うーんそうだなあ……やっぱり『モデル』と『タレント』の両立が一番かなぁ」

美希「ミキも真君みたいなモデルさんなの?」

P「いや、真のそれとはかなり違うな」

P「……ちょっと待ってろ」

118: 2012/03/24(土) 02:23:55.24

―――

P「はい、お待たせ」ドサッ

真「これ、ファッション雑誌ですか」

響「ずいぶんたくさんあるんだなあ……」

美希「あ、今月号まだ見てなかったのもあるの♪」

P「どれだ?」

美希「えっと、『Popteen』と『CUTiE』はまだなの」

P「『Seventeen』とか『ViVi』とか……こっちの『S Cawaii!』は読んだのか?」

美希「どっちも読んだよ。Sカワは……あれば読むけど、自分じゃ買わないの」

P「……なるほど。大体分かった」

119: 2012/03/24(土) 02:29:24.18
美希「なにが?」

P「いや、美希のファッションの傾向が」

P「……まず、真については、こっちの『KERA』や『SEDA』、『mini』のモデルが適任だな」

真「えーと」ドレドレ

真「表紙見た感じだと、統一性は無いみたいですけど……」

P「えーとな、KERAは『パンクスタイル』中心。真の『カッコいい』面を引き出せる」

P「SEDAは『カジュアル/ストリート』、miniは『ボーイッシュ』……ボーイッシュと言っても、オシャレさを追求した上でのボーイッシュだ」

P「どっちも、KERAとは違う一面……真の『自然な可愛さ』が出せる」

120: 2012/03/24(土) 02:35:00.08
真「は~、なるほどー。……ボクもちゃんとこういうの読まないとなぁ」パラパラ

P「……で、美希が読んでいるのは『ギャル』系、『ティーン』系の雑誌。あとカジュアルか」

美希「うん」

P「美希の場合、本人の服装や雑誌の嗜好とビジュアルとが、完全にマッチしてる」

P「美希自身には言うまでもないんだが、自分に似合う服をきちんと理解している証拠だ」

P「加えて、中学生離れしたルックスとスタイルがある」

121: 2012/03/24(土) 02:40:14.46
美希「それって、ミキのおっOいのこと?」

P「……まあ、そうだね」

真(うぐ……)

P「……だから、ちょっと年齢層高めの雑誌にも、違和感無く溶け込めるはず」

P「……美希は、どの雑誌のモデルをやってみたい?」

美希「んっとねー……Seventeenは昔から読んでたから、モデルさん、やってみたいの」

P「同じ系統なら、別の雑誌でも大丈夫か?」

美希「む~……ミキだったら絶対すぐのせてもらえると思うけど……もし無理なら仕方ないの」

122: 2012/03/24(土) 02:45:19.06
P「大した自身だな」

美希「だって……雑誌のヒトから、スカウトされたこと、あるよ?」

P「……は?」

響「え?な、なんだそれ、聞いてないぞ?」

美希「だって言ってないもん。街歩いてたら、お姉さんに写真とられて、雑誌にのったの」

P「ちょ、おい!そういうことは早く言えよ」

真「ていうかどの雑誌?」

美希「えっと……CUTiEだったかな。それがきっかけで、CUTiEも読み始めたからおぼえてるの♪」

124: 2012/03/24(土) 02:51:24.84
美希「それでお姉さんに『読者モデルならない?』って言われたけど、ハニーに無断でなると怒られちゃうと思って、断っといたの♪」

P「あ、ああ……そこの判断は正しいよ。よかった」

美希「でしょ?ほめてほめてー」

P「……」ナデナデ

美希「~♪」

美希「だから、ミキが見てる雑誌のモデルくらいだったら、すぐになれるって思うな」

P「…………」

P「うーむ……」

美希「ハニーどうしたの?怖い顔して」

126: 2012/03/24(土) 03:00:50.70
P「…………」

P「美希は……モデルの仕事でいいだろう。ティーン雑誌、ギャル系雑誌の方面でな」

P「ビジュアルを考えると、それこそ『カリスマモデル』にもなれる逸材だ。ファッションショーからも声がかかるレベルの」

美希「あはっ☆やっぱり?」

P「……それに美希自身の、そういう歯に衣着せぬ物言いとか、大胆な発言とか……」

P「そういうのテレビ受けするだろうから、タレント兼モデルとしてテレビに出れば、さらにファンが付くだろう」

127: 2012/03/24(土) 03:05:42.64
P「テレビでは『自由奔放なわがまま娘』、雑誌では『カリスマモデル』、そして本業は『本格派アイドル』」

P「ギャップという意味では十分すぎるくらいだ」

P「テレビで『常識知らずだな』と悪印象が付いた場合も、アイドル活動でそういう人たちを実力で黙らせることが出来る」

P「……が、流石に度を越してしまうと、俺も世間も、フォローできなくなるかもしれない。そこは気を付けてほしい」

美希「……?どういうこと?ジツリョクで黙らせればいいんじゃないの?」

P「それにも限界があるんだ。傍若無人に振る舞って、評判を落としたタレントはたくさんいる」

128: 2012/03/24(土) 03:12:45.81
P「一番有名なのは『沢尻エリカ』だろう。不遜な態度からバッシングを浴び、それまでの順調だった活動に大きくセーブがかかった」

真「『別に……』って人ですよね。ボクも、あれはいい気分しませんでしたね」

響「あーあの人かー。あれはちょっとなー」

P「そう、いくら才能があっても、『世間の悪評』の前では無に等しい」

P「美希はまだ仕事、というかレッスンに対しても、真面目になりきれていない」

P「今日だって遅刻してきたし、もっとやる気を出してくれてもいいと思う。少なくとも俺は」

130: 2012/03/24(土) 03:17:50.42
P「何も優等生でいろ、なんて言わない。行き過ぎた発言にならないよう、考えて行動してほしいだけ」

P「……『二人に迷惑かけるのはヤだ』って言ったんなら、グループ活動に支障がでないよう、弁えた行動を心がけてほしい」

美希「む~……しょうがないの。ミキが自分で言ったことだし、ハニーにも迷惑かけたくないの」

P「……良い子だ。美希が本気出せば凄いのは、俺もわかってる」

P「美希は歌が上手いし、ダンスも出来る。ビジュアルは男性を惹きつけて止まない」

P「モデル活動でももちろんだが、何より『アイドル』になるべくして、生まれたかのような人間なんだ」

131: 2012/03/24(土) 03:23:17.60
P「その美希がやる気と本気を出せば、誰も太刀打ちできないよ。……そして、その本気の出し方も知ってるもんな」

美希「えへへ、当たり前だよ?美希は、ハニーのためだったらゼンリョクで頑張っちゃうの!」

響(プロデューサーべた褒めだなぁ……)

響(……あれ?自分の時は確か、こういう話の後に……)

美希「じゃあ、ミキはモデルさんやって、テレビに出て、アイドルでカッコよく決めちゃえばいいんでしょ?」

P「まあ、そうだな……」

132: 2012/03/24(土) 03:30:17.19
美希「うん、どれもバッチリできそうなの。……見ててねハニー。ハニーのために、ミキ頑張るからね」

P「…………」

真「?プロデューサー?」

P「…………」

響「ぷ、プロデューサーどうしたんだ……?」

美希「ハニー、まだ怖い顔してるの……?」

P「…………美希」

美希「なーに?」

P「…………」

P「活動は今言った感じで構わない。態度とやる気を改められるなら、俺もしっかりとフォローしよう」

P「ただ……始める前に、お前に直してほしい点が一つだけある」

135: 2012/03/24(土) 03:36:32.17
美希「やる気と態度のこと?それだったら、ハニーのためにちゃんと直すようにするの」

P「いや、そこじゃない。……そこじゃないんだ」

P「もし自分の力では直せそうもないようなら……活動方針を見直す必要もある」

美希「?ミキにそれ以外で直すところなんてないと思うの。ハニーがそう言ったんだよ?」

P「いや……俺が美希に直してほしいのは『能力』の話じゃない。『適性』の話だ」

美希「???……何のこと?」

P「……」

P「……お前にはな、絶対的に足りてないものがあるんだよ」

136: 2012/03/24(土) 03:40:56.74
P「それが……アイドルとしての……『意識』だ」

美希「いしき……?」

真「意識……」

P「まだ本格的に活動してるわけじゃないから、そういう意識が理解できない、育たないのも無理はない」

P「だけど、他のみんなはレッスンや俺の言葉を通じて、多少なりとも『アイドル』としての振る舞いや、常識が身についてきている」

P「……なのに美希には、明らかにその意識が欠如している」

P「ちゃんと言い聞かせてやれなかった俺の責任だと思う……申し訳ない」

美希「……?ハニー、なんであやまってるの?」

P「…………」

137: 2012/03/24(土) 03:45:36.60
P「……アイドルとしての意識。美希にはわかるか?」

美希「……ん、ううん」フルフル

P「……まず一つは、仕事に真面目に取り組む姿勢だ」

P「これはさっき言った『やる気』『態度』とほぼ同じ」

P「結局今の段階で身についてなかったから、とりあえず言ってみた」

P「……が、美希本人がさっき改めると言ってくれた以上、これについては言及しない。美希を信用する」

P「……問題は、もう一つの『意識』についてだよ」

美希「え……?ハニー、今ので終わりじゃないの?」

139: 2012/03/24(土) 03:50:28.53
P「……多分お前は、テレビに出てる時でもどんな時でも、俺のことをそうやって『ハニー』って呼ぶよな」

美希「うん!だって、ハニーはハニーだよ?ミキの大切な人だもん」

P「……それで、みんなの前で今みたいなことを言うんだろうな」

美希「む~……それの何が悪いの?ミキはハニーのことが好きで、それはジジツなの」

真「あ……美希、それは……」

響「た、しかに……ちょっと……」

P「…………」フゥー

P「お前がな、『恋』を活力に頑張ってるのは知ってるよ。そして恋する本気のお前には、誰も勝てないってことも」

142: 2012/03/24(土) 04:00:19.82
P「お前が俺のことを好きなのも知ってるし、俺だって悪い気はしないさ」

P「ふざけてるように見えて、お前なりに俺への気持ちも本気だってことも……もちろんな」

美希「ふざけてなんてないの。ミキはハニーのためだったら、いつだって本気なの」

P「……そこが、問題なんだよなぁ」ハァ

美希「なんで?」

P「……まず大前提として、『アイドル』に恋愛はご法度だ」

P「それは何でだかわかるか?……美希だけじゃない。わかったら誰でも答えていいぞ」

真「……」スッ

P「よし、真」

143: 2012/03/24(土) 04:04:31.46
真「あの、多分ですけど……ファンのみんなを裏切ることになるから……とか」

P「……そうだな。それも理由の一つだ」

P「特に男性ファンは、アイドルに少なからず『清純性』を求めてる。よっぽど変な売り方をしなきゃ、どんなアイドルにでも」

P「……自分たちの『憧れ』や『理想』であり続けていてほしいと願っている」

P「過去に、『リア・ディゾン』というアイドルがいた。『グラビア界の黒船』と呼ばれた、確かな才能を持った外国人タレントだった」

P「彼女は日本に来てから、瞬く間にアイドルの道を駆け上がった。しかし、その道はある日を境にパッタリと消える」

146: 2012/03/24(土) 04:09:47.96
真「そ、それってもしかして……」

P「……そう。妊娠、してしまっていたんだ。しかも熱愛報道、婚約発表のどちらもない状態で、本人の口から発表した」

響「そ、それはひどいな……」

P「……彼女自身が、日本でどこまで上り詰めるつもりだったのかはわからない」

P「だが間違いなく、その発表によって、彼女の日本での『アイドル』の道は閉ざされた」

美希「……」

P「アイドルの恋愛。それがファンの心に刻むショックは、計り知れない」

147: 2012/03/24(土) 04:14:27.80
P「アイドルだって人間だから、美希やリア・ディゾンのように恋愛をすることだってあるさ」

P「だけど、だからこそ、その姿を絶対に表に出してはいけないんだ」

P「少なくともそういう活動をしている内は、ファンを裏切る行為……『スキャンダル』、なんてもっての外だ」

P「……他には?」

響「え、えっと……」スッ

響「例えば、自分たちのグループが全員同じ人を好きになっちゃったら……気持ちが、バラバラになるから、とか……」

P「ん、いいとこ突いたな。それも理由の一つになる」

148: 2012/03/24(土) 04:20:41.57
P「全員が俺に惚れたら、って話でもないな。何ならみんなが好きになる人が別々でも、その問題は発生する」

P「まず……好きな人を取り合うなんてのは論外だ。それでチームがまとまるわけがない」

P「だけどそもそも恋愛にかまけすぎると、『アイドル』としての意識が薄くなってくる」

美希「薄くなる……って?」

P「……さっきも言ったように、アイドルはみんなの『憧れ』でなくてはならない」

P「そのためには、特定の人間にじゃない、『全員』に平等に愛情を注げなければならない」

P「ファンの一人一人を大切に思い、感謝することができる、それが真の意味での『アイドル』だ」

150: 2012/03/24(土) 04:26:15.23
真「それは、そうですよね……」

P「恋をするな……とは言わない。お前たちだって思春期の女の子だ。恋の一つや二つ、したって構わん」

P「だけどもし、それがエスカレートしたら……」

『自分にはこの人しかいない。この人に全てを捧げる』

P「……になってしまったら。……ファンを愛せなくなってしまったら『アイドル』とは呼べなくなる」

美希「う…………」

P「恋愛と、ファンへの愛情とを分けて考える、という開き直りも出来なくはないが……おそらく今の美希には出来ない」

P「『俺』と『ファン』……どちらかを選べと言われたら、間違いなく俺を選ぶ。……そうだろ?」

151: 2012/03/24(土) 04:32:16.26
美希「…………」

P「『最低でも』……そう、最低でもその質問に『どちらかなんて選べない』と答えられなきゃ、お前に『アイドル』は務まらない」

P「真と響……インパクトこそ無くなるけど、ダンスをメインとした堅実なアイドルユニット」

P「そう売り出さざるを得なくなるな。……その場合、美希はモデル活動、タレント活動に精を出してくれ」

美希「え……そ、そんなの……ヤなの……。美希だって、みんなみたいに……」

P「……モデルやタレントだったら、そういうことを心配しなくて済むのにか?」

152: 2012/03/24(土) 04:37:15.32
P「それだったら、俺のことを気軽に……まあ気軽でいいか。気軽に『ハニー』って呼んでくれて構わないし、問題ないのに?」

P「それはイヤだ、みんなと一緒にステージに立ちたい、と言うなら、腹を括るしかない」

P「……どうしても『アイドル』の道に進む気があるのなら……その場合は、俺のこと

美希「イヤッ、そんなのイヤなの!!」

P「…………」

美希「……ダメだよ……。そんな……ハニーのこと、嫌いになんてなれないよ……」フルフル

響「美希……」

真「…………」

154: 2012/03/24(土) 04:43:53.41
P「美希……今からの話を、最後までちゃんと聞くんだ、いいか?」

美希「……」コクン

P「……お前は俺のことが好きで、それを力に、レッスンを頑張ってきた」

P「お前を本気にしたのは『恋』だ。恋を否定することは、美希の本気を否定することになる」

P「でもだったら……本当の本気で『アイドル』を目指すなら……『俺だけ』を見るのは、もうやめろ」

美希「ハニー……」

P「『星井美希』には、間違いなく『アイドル』の才能がある」

P「モデルやタレントでは、決して到達できない高みに行くだけの、そういう力がある」

156: 2012/03/24(土) 04:49:02.53
P「……俺のことが好きなら、それでいいと思う。違う男のことを好きになったっていい」

美希「み、ミキはっ、ずっとハニー一筋だよ!?絶対、絶対ぜっーたい変わらないの!」

P「……あくまで例だよ。肝心なのは、美希が『ファン』の方へ、俺に向けるのと同じぐらいの愛情を、向けられるかどうかだ」

美希「ファンの人に……ハニーみたいな……」

P「俺だけを見るな。『ファン』から目を逸らすな」

P「そもそも恋愛をしている時点で、美希のことを思ってくれるだろう、未来のファンを既に裏切っているんだ」

P「それでもアイドルをやりたいって言うなら……『俺』と『ファン』を平等に見るんだ」

159: 2012/03/24(土) 05:03:06.49
美希「ハニーを……」

P「俺のことを嫌いになる必要なんてない。……でも、俺を特別視しちゃいけない」

P「美希の笑顔は、俺じゃなくファンに向けて見せるもので、その愛情も、本来ファンに向けて注がれなきゃいけないものなんだ」

P「……わかってくれ、美希」

美希「…………」

響「ん……うぅん……」

真「……うーん……」

美希「…………」

160: 2012/03/24(土) 05:06:29.82
美希「ハニー」

P「なに?」

美希「ハニーのことは、好きでいてもいいんだよね」

P「……まあ、そうは言ったけど。……お前

美希「いいんだよね!?」

P「…………はい」

響(び、びっくりしたぞ……)

美希「…………わかったの」

美希「……ミキ、ハニーにほめられると思って、すっごく真剣に『アイドル』のこと、考えるようになったんだよ」

美希「……でも、ミキの考えはまだまだ全然だったって、今の話でわかったの」

美希「ハニーはハニー。それはこれからもずっと変わらない。ミキの中で、一番大切な人」

162: 2012/03/24(土) 05:11:32.37
P「…………」

美希「だから……ミキがトップアイドルになるまで……ミキの中の『一番大事なもの』は……隠しておくの」

真「み、美希……」

美希「ミキ、『一番』を何個も作れるくらいキヨウじゃないもん」

美希「……だから、アイドルでいる間は、『一番大事なもの』のことは、忘れておくの」

美希「真君、響、事務所のみんな、パパとママ、お姉ちゃん……そして、ファンの人たち」

美希「みんな同じくらい大事なもの。だからちょっとの間だけ……ハニーも、その中にまぜちゃうの」

P「自分の気持ちを偽る……のか」

美希「……あはっ☆しょうがないの。……ミキにはこれくらいしかできないから」

美希「だから……ハニー、約束してほしいの」

164: 2012/03/24(土) 05:14:44.84
P「……なんだ?」

美希「もしミキが……ううん、『ミキたち』がトップアイドルになれたら」

美希「その時は……ミキ、ハニーに全力の思いをぶつけるの」

美希「だからハニーも……ハニーの正直な気持ちを、教えてほしいの」

美希「それまではミキ、いっぱいいっぱい頑張るよ。ファンの人たちのこと、ハニーと同じくらいに愛せるようにする」

美希「今日約束してくれれば、ミキはどこまでだって頑張れちゃうの」

美希「だからその時がきたら……」

P「…………」フゥー

美希「ハニー、お願い……」

165: 2012/03/24(土) 05:20:21.21
P「…………」

P「……もう一度確認しておく。美希は今の時点で、俺という思い人がいる。……『裏切り者』のアイドルだ」

美希「……う、うん」

P「しかも、今に至るまで、芸能界に対するちゃんとしたやる気や態度を、あまり見せてこなかった」

美希「……うん」

P「そんなお前が……初めて、『決意』を口にした」

P「俺への『好き』の気持ちを一旦忘れる。仕事に真剣に取り組む……本当に出来るんだな?」

美希「……ふふっ、心配しないでほしいの。いくら一番じゃなくなったって、ハニーはミキにとって大事な人だもん」

美希「そんな大事な人との約束、絶対破るわけにはいかないの」

166: 2012/03/24(土) 05:24:35.32
美希「それに、ケッキョクはハニーのために頑張るんだもん。ミキにとっては……同じことだよ」

P「……わかった」

美希「……ハニー……」

P「……これからは、『プロデューサー』だ」

美希「……わかったの。じゃあ、これからもよろしくね?……『プロデューサー』……」

P「ああ、約束しよう。……絶対に、その時にまでに答えを出してやる」

美希「…………」

美希「……真君、響」

真「なんだい?」

響「どうしたんだ?」

167: 2012/03/24(土) 05:27:27.89
美希「ミキ……本当の本気で、これから頑張るよ」

美希「いっぱい迷惑かけちゃうかもしれないけど……2人と一緒にトップアイドル、目指したいの」

美希「ミキの目標が、自分勝手なものだってわかってる。だけど一緒に……ついてきてほしいの」

美希「……ダメかな」

P「……」

真「へへっ、なーんだ。そんなことか」

響「……自分だって、一人じゃ不安なんだ。美希と真がいてくれた方が……『帰る場所』がある方が、力強いさー」

真「ボクだって、美希みたいな立派な決意はまだ持てないけど……この3人でどこまで行けるか、楽しみなんだ」

168: 2012/03/24(土) 05:30:03.89
響「こうなったら一緒にトップ、目指すしかないさぁ。よろしくな真、美希」

真「ボクの方からも、お願いするよ……美希、響」

ガシッ

美希「まことくん……ひびき……」

美希「……」ポロ

美希「ふ……たりとも……」ポロポロ

美希「うん……う゛ん……。ありがとう……なのぉ……」ズズッ

美希「グスッうぅっ……ヒック……あり……ヒックうぅ……」ポロポロ

響「あーあー、もう美希ってば。綺麗な顔が台無しだぞ?」

真「しょうがないなあ……二人とも、泣きやむまで傍にいるからさ」ナデナデ

美希「うん……うん……」グスッ

169: 2012/03/24(土) 05:35:01.34
P「…………」

P(……美希、お前は本当にいい仲間に巡り合えた)

P(やっぱりこの3人を一緒にしたのは、間違いじゃなかった……)

P(元気で心の支えになってくれる響、明るさと優しさで包んでくれる真)

P(そして、底なしの才能とやる気で、2人を引っ張って行ける美希)

P(……そうだ、お前たち3人なら、きっともっと輝けるはずなんだ)

P(―――美希を「裏切り者」だ、なんて言ったな……)

P(そうなると、俺は……「卑怯者」だ)

170: 2012/03/24(土) 05:35:51.19
P(美希の好意を利用して、あいつを焚き付けた……。どうしようもないプロデューサーだ)

P(でもだからこそ……お前たちのことを最後まで見続け、導いていかなきゃならない)

P(美希の……いや、全員の本気に応えてやるためにも……)

P(何より、俺が彼女たちに示した道なんだ……俺が責任持たなくて、どうするんだ)

P(…………)

P(みんな、それぞれ輝けるだけの力を持ってる。そして俺が、より輝ける手助けをする)

P(それが、アイドルの『親』である、『プロデューサー』の役目なんだからな)



美希編 おわり

172: 2012/03/24(土) 06:01:23.49
と、いうわけで竜宮以外の全アイドルの担当が終わりました。
長々と朝までかかりましたが、読んでくれた人、支援くれた人、ありがとうございます。
特にエピローグも用意してないので、このまま終わりということで……

真美編を見てもらえばわかるんですが、
竜宮は完全に「そういうもの」として見ながら話を作ったので
自分のやる気が高まってきたら、パラレルで話を書くかもしれません。

この設定を利用してなんか書くかもしれないんで、
よろしければその時にまた応援してくれれば幸いです。
お疲れ様でした~

173: 2012/03/24(土) 06:14:29.94

38: 2012/03/23(金) 22:57:17.13

引用元: 真「AKB48……ですか?」