1: 2012/11/22(木) 21:09:39.86
それは、平凡な小学3年生だったわたしに起こった小さな事件

始まりは、ほんの些細なキッカケでした

2: 2012/11/22(木) 21:11:50.19
----12月 八神家・リビング----

はやて「はぁ・・・何やみんながおらんと静かやなぁ・・・」


守護騎士のみんなと暮らし始めて半年

始めはみんな家に居ましたが、最近では出かける事が多くなりました

今日も闇の書と、一人と一冊でお留守番です


はやて「はぁ・・・」

3: 2012/11/22(木) 21:14:25.06
寂しくないと言えば嘘になります

けれど、留守にするというのは

みんなそれぞれやりたい事ができたという事です


はやて「うん・・・それはきっと、ええ事や」

闇の書「・・・」

はやて「闇の書はいつも近くに居てくれるからなぁ。それで充分や」

4: 2012/11/22(木) 21:17:21.05
いつまでもションボリしているわけにはいきません

わたしはみんなのお母さんですので、そんな状態では心配さてしまいます


はやて「よーしっ、みんなが居なくても大丈夫なように強くならなあかん!」


そうと決まれば行動あるのみです

さて、なにをしようかな・・・


はやて「あっ、そうや!」

5: 2012/11/22(木) 21:20:35.90
----八神家・廊下----

はやて「さっ、やるよー!」


折角みんなが居ないのです

このチャンスに思いっきり車椅子を動かす練習をしようと思います


はやて「いくよー!」グッ

闇の書「・・・!」

7: 2012/11/22(木) 21:23:45.07
手に力を込めると、車椅子はゆっくりと動き始め

そして徐々に速度を増していきます


はやて「海鳴の銀の彗星とはわたしの事やぁ!」


速度と共にわたしのテンションも上がっていきます

いつか名乗ろうと思っていた二つ名を思わず叫んでしまいます


はやて「たあああぁぁぁぁぁ!」

8: 2012/11/22(木) 21:27:06.28
車椅子はコーナーに差し掛かります

ここで減速するのは素人の証拠、そのままの速度でコーナーに突っ込みます

そう、わたしは風になるのです


はやて「幻の二輪ドリフトやぁ!」


最高速のままカーブに突っ込み、ドリフトをしながら見事に方向転換します

流石わたし、車椅子の扱いは手馴れたものです

9: 2012/11/22(木) 21:30:07.26
と・・・


はやて「!?」


なんと廊下にヴィータのぬいぐるみが落ちています

うっかり置き忘れたのでしょうか

このままでは踏んでしまいます

10: 2012/11/22(木) 21:32:43.10
映画の第2弾の公開劇場で1500円で売っていたとはいえ、

買い込む人が多くすぐ売り切れになるほどの人気のぬいぐるみです

それに何より、ヴィータに買ってあげたプレゼントです

うっかり踏んでしまったら、大変な事になってしまいそうな気がします


はやて「てぇい!」


車椅子を操作して避けようとします

11: 2012/11/22(木) 21:35:02.70
しかし、高速で動いている状態で変な動きをしたせいか

なんと車輪がロックされてしまいました


ガツッ

はやて「ふあっ!?」


そのままわたしは空中に投げ出されます

膝の上に乗せていた闇の書も、いい勢いで飛んでいきます


あぁ、今晩の夕飯は何にしよう?

13: 2012/11/22(木) 21:38:10.83
ガシャーン

ドサッ

ヒューン ガゴンッ

闇の書「痛っ!?」


はやて「あたたた・・・」


一瞬の現実逃避を挟んで、地面に叩きつけられます

幸い、大した怪我はなさそうです

14: 2012/11/22(木) 21:41:56.98
はやて「そういえば、今何か声がしたような・・・?」

はやて「あれ?闇の書があらへん?」


膝の上からどこかに飛んでいってしまった闇の所の行方を探します


なんと廊下の隅っこまで飛んでいったようです

えらく飛んだものです


はやて「ごめんな、今行くから待っててなー」

はやて「よいしょ、っと」


車椅子を起して腰掛け、闇の書の落ちてる場所まで移動します

15: 2012/11/22(木) 21:44:04.67
はやて「それにしても、凄い音がしたなぁ・・・」

はやて「あかんあかん。闇の書が壊れたら大変や。もうやめとこ・・・」

はやて「うん、見た目は平気そうや。よかった。んしょ、っと」

ヒョイッ カラン

はやて「ん・・・?」


闇の書を拾った拍子に、なんだか軽い音が聞こえました

17: 2012/11/22(木) 21:47:10.00
はやて「・・・?」

フリフリ

闇の書「」カランカラン

はやて「あかん!?」


大変な事をしてしまいました

こともあろうに、うっかり落とした弾みで闇の書が壊れてしまいました

18: 2012/11/22(木) 21:50:24.13
はやて「そ、そんな。みんなになんて謝ったら!?」


どうして本である闇の書の中から硬い音が聞こえるのかはこの際どうでもいいです

振ると中からカラカラと音がするという事実の方が重要です

みんなの大切な本を壊してしまいました

どうしていいか分かりません


はやて「どないしよ!?接着剤!?」

ヴィータ「ただいまー!」

はやて「!?」

20: 2012/11/22(木) 21:53:34.43
なんと、このタイミングでみんなが帰ってきてしまいました


シャマル「ただいま、はやてちゃん」

ザフィーラ「・・・」

シグナム「今戻りました」

はやて「み、みんな!?おかえり!あはは・・・」

シグナム「主・・・?どうされました?」

シャマル「凄い汗!大丈夫、はやてちゃん!?」

ザフィーラ「ヴィータ!タオルだ!」

ヴィータ「分かった!」タッタッタッタッ

はやて「な、なんでもない!なんでもないから心配せんといて!」

21: 2012/11/22(木) 21:56:07.75
思わず闇の書を服の中に隠してしまいました

鼓動と冷や汗が収まりません


シグナム「し、しかし万が一のことがあっては!」

はやて「大丈夫やって。ちょっと運動してただけやから」

はやて「シグナムは心配性やね」

シグナム『シャマル、主は・・・』

シャマル『うん・・・確かに鼓動が早くなってるけど、それだけみたい』

ザフィーラ『本当に運動をしていただけのようだな』

シグナム「そうでしたか・・・」

22: 2012/11/22(木) 21:59:25.57
上手く誤魔化せました

隠してどうなるものでもありませんが、何とかしないといけないとも思います

と、ここで妙案が浮かびました

先日お友達になった月村すずかちゃんに相談してみる事にします


はやて「そんなら、ちょう出かけてくるな?お留守番おねがいや」

シャマル「それなら、私が一緒に・・・」

はやて「大丈夫やって。帰ったばかりで疲れてるやろ?ゆっくりしててや」

23: 2012/11/22(木) 22:01:03.12
シャマルに付いて来られては意味がありません

上手い事かわして外に出かけます


はやて「そんなら、夕飯作る時間までには帰るからー」

パタン

24: 2012/11/22(木) 22:04:06.49
----八神家・玄関----

はやて「ふぅ・・・さて、すずかちゃんに電話や」


携帯を取り出してすずかちゃんに電話を掛けます

簡単に事情を説明して、いつもの図書館で会うことになりました


はやて「よし、そんなら行こかー」

26: 2012/11/22(木) 22:07:14.70
----八神家・リビング----

ヴィータ「はやてー!タオルー!・・・っていねぇ!?」

シャマル「今出かけちゃったわ」

シグナム「なにか焦っておられたな・・・」

ザフィーラ「しかし、これは好機だ。集めてきた魔力を闇の書へ還元しよう」

シグナム「そうだな・・・シャマル、闇の書を」

シャマル「分かったわ。ヴィータちゃん、闇の書を出して」

ヴィータ「おうっ!ザフィーラ、闇の書を貸してくれ」

ザフィーラ「シグナム、闇の書を・・・」

シグナム「む・・・?」

シグナム「ちょっと待て。今誰が闇の書を持っているんだ?」

29: 2012/11/22(木) 22:10:15.86
----海鳴市・市立図書館----

フリフリ カラカラカラ

すずか「本当だ、何だか音がするね」

はやて「せやろ?どうしたらええやろ?」


すずかちゃんは真剣な表情で考え始めました

ついこの間お友達になったばかりなのに、こんな相談をしてしまって

とても申し訳ない気持ちになります

30: 2012/11/22(木) 22:13:55.00
すずか「ごめんね、はやてちゃん。私にはどうしようもないかも」

はやて「さよかぁ・・・」

はやて「ごめんな、すずかちゃん。こんな相談してしもうて」

すずか「ううん。頼ってもらえて嬉しいよ」


すずかちゃんは天使です

こんな相談でも真面目に聞いてくれます

31: 2012/11/22(木) 22:16:22.93
すずか「あっ、そうだ」

すずか「他のお友達にも聞いてみよう?」

はやて「他のお友達?」

すずか「うん、学校のお友達なんだけど・・・もしかしたらいいアイデアが浮かぶかも!」


そんなこんなで、すずかちゃんのお友達の家に行くことになりました

32: 2012/11/22(木) 22:19:48.85
----八神家・リビング----

ザフィーラ「あったか!?」

シグナム「いや、見つからん!」

ヴィータ「やべーぞ、どこいったんだ?」

シャマル「あぁん、もう!どうしよう!」カポッ

シグナム「落ち着けシャマル!少なくともぬか床の中には無いはずだ!」カチャ

ヴィータ「シグナムこそ!冷蔵庫の中には無いだろ!」パカッ

ザフィーラ「ヴィータ、それは昨日の夕食のカレーだ。その中にあったら大変なことになる」

シグナム「お前、こんなときにまた食べ物か・・・!」

33: 2012/11/22(木) 22:22:07.85
ヴィータ「なっ!?ちげーよ!たまたまだよ!」

ザフィーラ「そもそも、今は全員食べ物関連の場所だっただろう。少しは落ち着け」

ヴィータ「っつーか、ザフィーラ。お前庭に埋めたりしてねーよな?」

ザフィーラ「そんな事をするはずが・・・いや、確認して来よう」

シグナム「1階はあらかた探し終えた、次は2階だ!」

シグナム「シャマルと私は自室を、ヴィータは主の部屋を頼む!」

ヴィータ「おうっ!」

34: 2012/11/22(木) 22:24:55.95
----ハラオウン家・リビング----

フェイト「いらっしゃい、いまリンディて・・・リンディさんが居ないけど、ゆっくりして行ってね」

はやて「ありがとうございますー」


すずかちゃんのお友達の、フェイトちゃんの家にやってきました

フェイトちゃんは最近転校してきたばかりのお友達だそうです


アリサ「それで?急に呼び出したりして、何の相談なの?」

なのは「まぁまぁ、アリサちゃん。まずはお話を聞こうよ」


それから、アリサちゃんになのはちゃん

二人とも、すずかちゃんとは昔からのお友達だそうです

36: 2012/11/22(木) 22:27:47.93
なのは『ごめんね、フェイトちゃん。魔法の練習中だったのに・・・』

フェイト『大丈夫だよ。それに、まだなのはは闇の書に吸われた魔力が戻ってないんだから無理しないで』

なのは『うん。でも、今度あの本を見つけたらちゃんと封印しないと!』


なにやらフェイトちゃんとなのはちゃんが見つめ合っています

二人はとても仲が良いという話です

少し羨ましいと思いました

37: 2012/11/22(木) 22:30:16.32
はやて「実はな、家族の大切にしてた物を壊してもうて・・・」

アリサ「あらら・・・」

はやて「どうしていいやら分からなくて、相談に乗ってもらおうと思て・・・」

なのは「うーん、正直に謝った方がいいんじゃないかな?」

すずか「お家の人に怒られるのが怖いんだよね?私も気持ちが分かるよ」

なのは「そっかー・・・」

フェイト「ちなみに、何を壊しちゃったの?」

はやて「うん、これなんよ・・・」


そう言って闇の書を取り出します

40: 2012/11/22(木) 22:33:29.25
なのは「!?」

フェイト「これって・・・!」


その瞬間、フェイトちゃんとなのはちゃんの顔色が変わりました


はやて「二人とも、どないしたん?」

なのは『フェイトちゃん!これって・・・!』

フェイト『うん、間違いないよなのは!これは・・・』

42: 2012/11/22(木) 22:36:47.26
フェイト『魔導書型のデバイスだね。凄く珍しいタイプだよ』

なのは『うわぁ、こ、こんなレアなデバイス初めて見たよ。写真撮ったら怒られるかな?』

はやて「えっと・・・?」


フェイトちゃんは目を輝かせながら、なのはちゃんはプルプルと震えながら

それぞれ闇の書を見ています

正直可愛いです、持って帰りたいと思いました

43: 2012/11/22(木) 22:39:23.49
アリサ「ほらほら、なに固まってんのアンタ達。はやてが困ってるでしょ!」

なのは「ふえっ!?」

フェイト「あ、ごめんね。つい・・・」

すずか「何とか直せないかな?」


みんなで知恵を絞ります

状況が状況だけに手放しでは喜べませんが、友達ってこんな感じなんだと嬉しくなりました


フェイト『家族の人が管理局の魔導師なのかな?』

なのは『そうだとしたら、デバイス壊したら怒られちゃうよね・・・』

44: 2012/11/22(木) 22:42:13.17
クロノ「おや?フェイトの友達か?」

なのは「あっ、クロノ君!」

アリサ「フェイトのお兄さん?」

すずか「優しそうなお兄さんだね」

フェイト「えっと・・・今は違うよ・・・」

はやて「どうも、お邪魔してますー」

クロノ「あぁ、大した物のも出せないが。せめてゆっくりして行ってくれ」

すずか「ありがとうございます」


優しそうなお兄さんです

ザフィーラにもこのぐらいの爽やかさが欲しい所です

46: 2012/11/22(木) 22:44:28.60
なのは「ねぇ、クロノ君。これなんだけど、どうにかならないかな?」

クロノ「これ?」

フェイト「うん、ほら・・・この本・・・」

クロノ「・・・?」


フェイトちゃんのお兄さんは闇の書をジッと見つめます

その表情は真剣そのものです

47: 2012/11/22(木) 22:47:20.43
クロノ「これは・・・まさかとは思ったが・・・」

フェイト「クロノ?」

アリサ「どうかしたんですか?」

クロノ『フェイト、なのは、落ち着いて聞いてくれ』

クロノ『この本は・・・』

48: 2012/11/22(木) 22:49:32.36
クロノ『良く分からないが、かなり珍しいデバイスだ』

クロノ『それも、かなり深刻なレベルで破損してる。これだと管理局まで持って行かないと直せない』

なのは『あぁ、やっぱり?』

フェイト『それだと時間掛かっちゃうよね?』

クロノ『まぁ、魔導書型の時点で貴重品だからね。扱いも難しくなるよ』

クロノ『それにしても、今時こんなデバイスがあるなんてね。使用者はどんな人だろう?』

フェイト『はやての家族の人らしいよ』

49: 2012/11/22(木) 22:52:08.16
はやて「あのぉ・・・?」


今度は3人で見つめ合っています

この人たちはアイコンタクトが出来るのでしょうか?

サッカーとか強そうです


クロノ「あー、この本は誰が?」

はやて「あ、わたしです」

クロノ「実はこの手の物に詳しい知人が居るんだが」

はやて「ほんまですか?」

50: 2012/11/22(木) 22:54:10.49
クロノ「あぁ。ただ、直すには少し時間がかかるかもしれないんだ」

クロノ「それまで預かることになるけど、構わないかな?」

はやて「直るなら構いません!おねがいします!」

クロノ「分かった、ちゃんと修理して返すから。それまで預かるよ」

はやて「ありがとうございます!」


これで闇の書が直る見込みが立ちました

あとはそれまでみんなを誤魔化すだけです



しかし、このときのわたしは知りませんでした

まさかあんな予想外の事態が起こってしまうことを・・・

51: 2012/11/22(木) 22:56:50.15
----アースラ艦内----

クロノ「今戻った。闇の書捜索の状況は?」

ランディ「対象は発見できていません!」

クロノ「そうか・・・」

エイミー「今休憩中だけど、一休みしたらまた頑張るよー!」

クロノ「あぁ、頼む」

リンディ「あらクロノ。お帰りなさい」

クロノ「只今戻りました、艦長」

リンディ「これから本局よね?時間大丈夫?」

クロノ「えぇ、問題ありません」

52: 2012/11/22(木) 22:59:24.47
リンディ「あら?その本は?」

クロノ「これですか?フェイトの友人が所持していたデバイスらしいんですが、破損しているみたいで」

クロノ「本局に行くついでに技術部に預けてこようかと」

リンディ「あら、そうなの」

エイミー「よーし、休憩終了!捜査再開するよ!」

クロノ「あぁ、僕もそろそろ本局に向かおう」

53: 2012/11/22(木) 23:01:35.99
エイミー「アレックス!ランディ!よろしく!」

アレックス「はいっ!」
ランディ「はいっ!」

ピピッ

フィーン フィーン

エイミー「えぇ!?いきなり反応が!?」

クロノ「なんだって!?」

リンディ「それで、闇の書はどこに?」

エイミー「反応・・・えぇぇぇ!?」

エイミー「対象、アースラ艦内!」

クロノ「バカな!」

55: 2012/11/22(木) 23:04:57.85
リンディ「誤報・・・かしらね・・・?」

エイミー「ですかねぇ・・・?」

リンディ「クロノ、こっちは大丈夫だから。本局に行って大丈夫よ」

クロノ「しかし・・・!」

エイミー「誤報誤報!あー、もう。メンテナンスしたばっかりなんだけどなぁ・・・」

クロノ「はぁ・・・」

クロノ「それじゃ、行って来ます」

57: 2012/11/22(木) 23:06:19.18
クロノ「エイミー、期待してるんだからしっかりしてくれ」

エイミー「はーい・・・」

クロノ「・・・」テクテクテク

シュィィィン

エイミー「あっ、反応が消えた」

リンディ「やっぱり誤報みたいね」

58: 2012/11/22(木) 23:09:00.97
----八神家・はやての部屋----

ヴィータ『くそっ、みつからねぇ・・・』

ヴィータ『これじゃはやてが・・・はやてが・・・』

シグナム『諦めるなヴィータ!もっと良く探すんだ!』

ヴィータ『分かってるよ・・・』

「ただいまー」

ヴィータ「!?」

シャマル『はやてちゃんが帰ってきたわ!探すのはここまでね・・・』

59: 2012/11/22(木) 23:11:36.25
----八神家・玄関----

ヴィータ「はやてー、おかえりー!」

シャマル「おかえりなさい、はやてちゃん」

シグナム「お疲れでしょう。さぁ、私が居間までお連れしますので」

ザフィーラ「庭には・・・埋まってなかった・・・」


家に帰るなりみんなが総出で迎えてくれました

嫌な予感しかしません

闇の書の事がバレてしまったのでしょうか?

ザフィーラが泥だらけなところが、また不安を誘います

60: 2012/11/22(木) 23:13:53.43
はやて「み、みんな急にどないしたん・・・?」


おそるおそる聞いてみます


シャマル「えっ、な、なんのことですか?」

ヴィータ「はやてー・・・」

シグナム「何でもありません。何の異常もありません。ダイジョウブです」

シグナム「さぁ、抱き上げますのでお掴まりください」

シグナム「ヴィータ、シャマル。車椅子の車輪を頼む」

シャマル「えぇ。分かったわ」

ヴィータ「・・・」

ザフィーラ「靴を脱がせますので、失礼します」

61: 2012/11/22(木) 23:16:02.98
明らかにみんなの様子がおかしいです

ヴィータなんかさっきからずっと泣きそうです

これはまずいです


はやて「あんな・・・闇の書なんやけど・・・」

シグナム「!?」
シャマル「!?」
ヴィータ「!?」
ザフィーラ「!?」

シグナム「し、心配は要りません!あれは昔から、時々フラッとどこかへ行くことがあるのです!」

シャマル「そっ、そうなんですよー。困っちゃいますよねー?」

62: 2012/11/22(木) 23:19:00.07
知りませんでした

闇の書の趣味は一人旅だったようです

それにしても、シグナムたちは闇の書が出かけたと思っているようです

本なのに一人旅なのかという疑問はそっちのけです

とりあえず助かりました

無用な心配をかけないように、話を合わせます


はやて「さ、さよか?残念やなぁ、今夜はすき焼きなのになぁ」

ヴィータ「はやてぇ・・・」

63: 2012/11/22(木) 23:21:15.17
はやて「なんや、ヴィータはすき焼き嬉しくないか?」

ヴィータ「そんなこと・・・ない、けど・・・」

はやて「そんなら早く食べよ?ほら、支度するからキッチン行かな」

シャマル「あ、私も手伝います!」

シグナム「私も手伝いますので、何なりと」

ザフィーラ『ヴィータ、この隙に少しでも探すぞ』

ヴィータ『うん・・・』


その日、久しぶりにみんな(ひとり除く)揃って食べた夕食は

とても楽しくて、おいしかったです

64: 2012/11/22(木) 23:24:34.54
----時空管理局本局----

クロノ「技術部は、と・・・」

グレアム「おぉ、クロノ!」

アリア「あら?」

クロノ「グレアム提督にリーゼ達も・・・今からそちらに伺おうかと」

ロッテ「クロ助、ここで何してんの?」

クロノ「技術部に用事があってね」

クロノ「ですが、先に例の事件について報告を・・・」

グレアム「あぁ、分かった。あっちの応接室で聞こうか」

65: 2012/11/22(木) 23:27:04.86
----時空管理局本局・応接室----

グレアム「なるほど、進展なし・・・か・・・」

クロノ「申し訳ありません」

グレアム「いや、そう気にすることじゃない」

アリア「10年前の事件でも、探すのにかなり手を焼いたからね・・・」

クロノ「範囲はかなり絞り込めているので、じきに発見できるかと」

グレアム「ふむ」

クロノ「ロッテ、無限書庫の方は?」

ロッテ「こっちも進展なし。あの子が頑張ってるんだけどねぇ」

クロノ「そうか・・・」

66: 2012/11/22(木) 23:29:53.06
グレアム「なんにせよ、気を張り詰めすぎずに頑張ってくれ」

クロノ「ありがとうございます」

グレアム「ところで、さっきから気になっていたんだが・・・その本は?」

クロノ「あぁ、これですか?」

クロノ「フェイトの友人から預かったものなんですが、どうも酷く破損してるみたいで」

グレアム「ふむ?」

フリフリ カラカラカラ

ロッテ「内部パーツ逝っちゃってるじゃん・・・」

アリア「魔導書からそんな音聞いたのは初めてだわ・・・」

67: 2012/11/22(木) 23:31:54.03
グレアム「ストレージ型のデバイスのようだが、ここまで破損するとは・・・一体何があったんだね?」

クロノ「詳しいことは何も・・・」

グレアム「そうか・・・」

クロノ「それでは、そろそろ失礼します」

グレアム「うむ」

テクテクテク シューン

グレアム(見た事があるような本だったが・・・どこで見たんだったか・・・)

ロッテ(なんだっけあの本・・・見た事あるんだけどなぁ・・・)

アリア(うーん、思い出せそうにないわね。ま、いっか・・・)

69: 2012/11/22(木) 23:34:54.32
----時空管理局本局・技術部----

マリー「それじゃ、修理しとくね」

クロノ「あぁ、頼む」

シューン

ユーノ「マリーさん、例のもの・・・ってクロノ?」

クロノ「君か。どうしてここに?」

ユーノ「レイジングハートのフレーム強化プランを頼まれててね。クロノこそどうして?」

クロノ「フェイトの友人から預かったデバイスを修理しに来たんだ」

ユーノ「へぇ・・・」

70: 2012/11/22(木) 23:37:24.50
マリー「ほら、これこれ」

ユーノ(あれ、これ闇の書じゃ?)

クロノ「変わったデバイスだから時間が掛かると思ったけど、彼女なら大丈夫そうだ」

マリー「任せといて。しっかり直すよ!」

ユーノ(でもクロノが持ち込んできたってことは違うんだろうな)

クロノ「直ったら連絡を頼む」

マリー「あーい」

72: 2012/11/22(木) 23:39:52.68
----八神家----

シグナム『主が寝ている隙に、全て探すんだ!』

シャマル『やってるわよぉ!』

ザフィーラ『しかし、もう探す場所が無いぞ!』

ヴィータ『どうすんだよ、おい!』

シグナム『・・・なるべく考えないようにしていたんだが』

シャマル『私も同じ結論だわ・・・』

ヴィータ『やっぱりか・・・』

ザフィーラ『他にあるまい・・・』

74: 2012/11/22(木) 23:42:29.90
シグナム『蒐集をしに行った他の世界で落としてきたか・・・』

ヴィータ『砂漠に落としてたらどうしよう・・・』

シャマル『考えちゃ駄目よヴィータちゃん・・・』

ザフィーラ『無心になって探そう・・・』

シグナム『とりあえず、もう一度家の中を全て探してから考えよう・・・』

75: 2012/11/22(木) 23:44:54.49
----時空管理局本局・技術部----

マリー「うーん、内部パーツかなぁ?」

マリー「それにしても、変わったデバイス・・・」

マリー「こういうの見ると、色々触ってみたくなるよね」

マリー「このあたりのプログラムとか何が起きるんだろ?」

ポチポチ

ピカーッ

マリー「へっ!?」

76: 2012/11/22(木) 23:48:10.16
マリー「デバイスが光って・・・!」

闇の書「・・・」

マリー「ひ、人が出てきた!?」

マリー「いや、もしかしてこれって・・・古代ベルカの融合騎!?」

闇の書「あ、どうも。このデバイスの管制融合騎です」

マリー(割と気さくなお姉さんだー!)

77: 2012/11/22(木) 23:50:46.15
----八神家----

朝起きると、横でヴィータがグッスリと氏んだように眠っていました

起さないようにそっと移動します


私の朝は早いです

学校はお休みしていますが、みんなのために朝ごはんを作るからです


居間に行くとシグナムとザフィーラが床で倒れるように寝ていました

また夜更かしをしたのだと思います

78: 2012/11/22(木) 23:52:20.49
ベッドで寝ないと体を壊すと注意しても、なかなか治りません

困ったものです

とりあえず毛布を掛けて、そのまま寝かせておきます


しばらくするとシグナムたちが起きました

シャマルも寝坊したと慌てて起きてきました

ヴィータも眠そうな目を擦りながら起きてきます


さぁ、1日の始まりです

79: 2012/11/22(木) 23:54:06.73
----時空管理局本局・技術部----

シューン

ユーノ「マリーさん、昨日頼まれてたパーツですけど・・・」

ユーノ「って、えぇぇ!?」

マリー「うぅぅっ、うぅ・・・あなたも大変だったのね・・・うぅぅ・・・」

闇の書「私の事はいいんだ。だが、騎士達のことだけが申し訳なくて・・・」

マリー「大丈夫、ちゃんと気持ちは伝わってるよ・・・うぅぅ・・・」

闇の書「ありがとう。そう言ってもらえると少し心が楽になる」

ユーノ(なんだこれ?)

80: 2012/11/22(木) 23:56:13.34
マリー「あぁ、ユーノ君?今ね、この人の話を聞いてたの」

マリー「この人、ずっと苦しんでて。可哀想だよぉ・・・」

闇の書「始めまして、闇の書の管制融合騎です」

ユーノ(あぁ、やっぱり闇の書だったんだ)

81: 2012/11/22(木) 23:58:32.45
マリー「よーし、バッチリ直すよ!」

闇の書「ありがとう。とても心強い」

ユーノ「振ると音がするんでしたっけ?パーツの部品が折れたのかな?」

フリフリ カラ ポロッ カツーン

マリー「あ、なんか落ちた」

ユーノ「音がしなくなった。それが原因だったみたいだ」

闇の書「これは・・・」

闇の書(あれ?これ防衛プログラムだ)

83: 2012/11/23(金) 00:01:41.73
マリー(凄く真剣な表情。そんなに重要な部品だったのかな?)

ユーノ「見た事ない部品だなぁ・・・代替の部品とか見つかるかな・・・」

闇の書「いえ、これはいらない部品です。廃棄してください」

マリー「え?いいの?」

闇の書「はい。折角なので粉々にしてください」

マリー「?」

84: 2012/11/23(金) 00:03:41.74
----八神家・リビング----

はやて「そんでなぁ・・・」


おやつを食べながら今でみんなとお茶を飲みます

しかし、なぜか微妙な空気です

みんな目が虚ろです

これはいよいよ謝る時なのかもしれません


はやて「実はな、みんなに話しておきたいことがあるんや」

ヴィータ「っ!」ビクッ

87: 2012/11/23(金) 00:06:44.83
シグナム「主、その前に我々の話をお聞きください」ガタッ

はやて「いやいや、大事な話なんや。わたしから・・・」

シャマル「こっちも大切な話なんです!」


シグナムやシャマルは譲りません

ザフィーラも無言です

ヴィータに至っては子犬みたいに小さくなって震えています

なにこれかわいい

88: 2012/11/23(金) 00:09:10.36
はやて「あかんて。頼むから先に話させて!」

シグナム「いえ、主であれど・・・譲ることは出来ません!」

はやて「もぅ!なんでこんなときだけこんな強情なん!?」

シャマル「聞いてください、はやてちゃん!」

ザフィーラ「我々の話は一刻を争うのです」

ヴィータ「はやてぇ・・・ごめん・・・ごめんねぇ・・・」


もうてんやわんやです

ついにヴィータが泣き出しました

しかしわたしも引っ込みがつきません

90: 2012/11/23(金) 00:11:03.08
と、その時です


「ただいまー」

はやて「ん?」

シャマル「今の声って・・・」

シグナム「まさか・・・!?」

92: 2012/11/23(金) 00:14:37.75
----八神家・玄関----

クロノ「ここが自宅か?」

闇の書「はい、ありがとうございました」

クロノ「なに、大したことじゃないさ」

クロノ「それじゃ、僕は帰るから。何かあったら連絡してくれ」

クロノ(そういえばユーノが何か言いたそうだったな。後で聞いてみるか)

闇の書「お世話になりました」

パタン


はやて「誰!?」

93: 2012/11/23(金) 00:18:25.23
玄関に行くと知らない女の人が闇の書を持って立っていました

面識が無いはずなのになぜか親しみを覚える、そんな人でした


シグナム「お前!どこへ行っていたんだ!」

シャマル「待ってシグナム、なんであの子が外に出てるの!」

シグナム「はっ!そういえば!」

ザフィーラ「まだ稼動できる段階まで達していないはずだが・・・!」

ヴィータ「ばっ!?ザフィーラ!」

94: 2012/11/23(金) 00:19:59.77
はやて「え、ちょ・・・この人誰!?」


どうやらみんなの知り合いのようです

こんな人と知り合いなら紹介してくれればいいのにと思いました


闇の書「はじめまして。私が闇の書の管制融合騎です」

はやて「へぇ!?」


知り合いどころの話ではありませんでした

全く予想していなかった事が起きました

95: 2012/11/23(金) 00:21:37.56
シグナム「おまっ、なんで出てきてるんだ!」

ヴィータ「まずい、シグナム!記憶が戻ってきた!闇の書は完成させちゃダメなんだ!」

シャマル「そんな・・・!」

ザフィーラ「ここまでか・・・」

闇の書「あぁ、その問題なら・・・ぶつかった拍子に解決した」

はやて「え、ちょ、まって!?」

96: 2012/11/23(金) 00:23:25.15
それからみんなで闇の書の話を聞きました

今まで歩んできた人生のこと

わたしの体のこと

みんながわたしを助けるために一生懸命になってくれていたこと

ありえない勢いで壁に激突して、気絶していたこと

その弾みで本来は分離できないはずのパーツが外れたこと

そのパーツが外れたおかげで、わたしの体はいずれ回復すること

外れた危険なパーツが復元されない、正常な魔導書の動作に戻ったこと

ついでに何故か外に出られるようになったこと


全ての問題は解決したらしいです

98: 2012/11/23(金) 00:25:54.44
闇の書を壊してしまって、隠してしまっていた事については、みんなに謝りました

ですが、みんなしてそんな事は気にしなくていいと言ってくれました

わたしは家族に恵まれたと思います

99: 2012/11/23(金) 00:28:05.36
この後、闇の書は新たな名前を授かり

はやて達と共に末永く幸せに暮らしたとか


そして、後に生まれた末っ子と家族みんなで次元世界の平和を護っていくのだが

それはまた別のお話



おわり











アルフ「あれ?あたしの出番は・・・?」

102: 2012/11/23(金) 00:31:01.33
おまけ


----無人世界・魔導廃棄物処理場----

ディアーチェ「目が覚めたらゴミ捨て場だった・・・何故だ・・・」

シュテル「さぁ・・・」

レヴィ「ま、自由になれたんだからいいんじゃない?」

ディアーチェ「むぅ・・・?」

ユーリ「ディアーチェ、あんまり気にしたらダメですよ?」

ディアーチェ「そうだな・・・」

ディアーチェ「では、わが覇道を進むとしよう。行くぞ、シュテル!レヴィ!」

シュテル「王のお気に召すままに」

レヴィ「折角出られたんだし、楽しむぞー!」



おまけおわり

103: 2012/11/23(金) 00:32:08.10


幸せそうでなによりや

107: 2012/11/23(金) 00:33:49.94

久々に完結したなのはSSが見れてうれしかった

引用元: はやて「うっかり闇の書を落としたら壊れた」