3: 2013/06/13(木) 17:05:20.84
エレン「うおおおおおおお!」ザンッ

リヴァイ「……」ザシュザシュザシュ

ジャン「アルミン班は迂回しろ! よっしライナー出番だ、あの二人に続け!」

ライナー「おう!」

ベルトルト「行こうみんな!」


ワアアアアアアア


アルミン(……調査兵団に入ってどれくらい経っただろうか)

アルミン(幼馴染のエレンは、兵団でも不動の二番手の座を射止めて見せた)

アルミン(もちろんそれは、兵長の補佐ということなんだけど)

リヴァイ「……やはり俺についてこれるのはお前ぐらいか。まだ削ぎ足りねえだろ?」

エレン「もちろんですよ……目の前に数ばかりごちゃごちゃといるんだから。ジャン!」

ジャン「今は左翼を援護してくれ!」

リヴァイ「了解した。行くぞ、『相棒』」ニヤリ

エレン「行きましょうか」ニッ


ワアアアアア

兵長とイェーガーだ!
助かった!
勝てる、人類は勝てるぞ!
おいしっかりしろ、人類最強と人類の希望が来てくれたんだよ! 助かるんだ、お前!

ワアアアアアア


アルミン「……すごい、なぁ」

4: 2013/06/13(木) 17:12:31.21
アルミン(人類は急速に尊厳を取り戻しつつある)

アルミン(英雄二人による快進撃、ウォール・マリア奪還への光明)

アルミン(幼馴染は、人々が崇める『人類の希望』になった)


リヴァイ「今日の討伐数は14か、微妙だな」

エレン「よっしゃ、18」

リヴァイ「チッ……」


アルミン(二人の強さの秘訣? そんなこと、いつだって本人たちが口にしてる)


リヴァイ「帰ってペトラの飯が食いてぇな」

エレン「今日もアニと会ってから飯に行きますね、先食べといてください」

リヴァイ「おう」


アルミン(曰く、『愛の力』だ)

5: 2013/06/13(木) 17:15:49.71
アルミン(人類はきっと負けない、二人の英雄がいるから)

アルミン(二人は強い、誰よりも強い)


ライナー「すげえなエレンのやつ、同期の中でも一番の出世株だ」

ベルトルト「あそこまで強いと、巨人の方がかわいそうだよね……ははは……」

サシャ「この間お給金で私にお肉買ってくれたんですよ! お金持ちです!」

コニー「町中、兵長かエレンのファンで溢れかえってるからな」

クリスタ「本当にすごい、強いよエレンは。氏にたがりなんかじゃない」

ユミル「……ケッ」

ミカサ「…………」

ジャン「……クソッ」


アルミン(誰もが彼に憧れる)

アルミン(誰よりも彼は、希望という言葉を体現している)

6: 2013/06/13(木) 17:21:51.88
アルミン(兵長だってえげつない強さだ。巨人の群れを単機突破したと思ったら全滅させていたりしてる)

アルミン(最近ではエレンと兵長専用の、換えの刃とガスを運ぶ係りの兵士までいるほどだ)


リヴァイ「少し血がついちまったな」

エレン「まあまあ、洗えばいいじゃないですか」


ハンジ「やあアルミン」

アルミン「あ、ハンジさん……」

ハンジ「ちょっと氏亡確認者と行方不明者の照合をやっててね。氏んだかどうか分からないけど消えちゃう人が、最近多いんだよね」

アルミン「……」


リヴァイ「しかしペトラのやつ、今日もやはり美しかったな」

エレン「ブフォォ」

リヴァイ「おい……何を笑っている」

エレン「や、まさか兵長の口からそんなセリフが聞けるとは」プルプル

リヴァイ「……壁内に戻るまで鬼ごっこでもするか。俺鬼、お前逃げる」

エレン「やべえガチだ! クソ、まだアニと添い遂げてないのに氏ねるかよー!」

リヴァイ「……!」


ハンジ「……はあ、あの色ボケ二人組みは放っておこう」

アルミン「そうですね」

7: 2013/06/13(木) 17:28:14.60
アルミン(エレンの生活は規範的だ)

アルミン(朝早く起きるし、夜更かしもしない)

アルミン(時々フラッと消えてみんなが探したりするけど、それ以外はまともだ)


エレン「アニ今日は髪下ろしてるのか? はは、そっちも似合ってるぞ」


アルミン(ただご飯は、絶対に部屋で食べる)

アルミン(貴重なアニ分補給らしい。アニ分ってなんだよ)


エレン「今日も疲れたけど、アニの笑顔を守ってるって思ったらいくらでも力が出てくるんだ」

エレン「だから俺は大丈夫、そんな不安そうな顔すんなって」

エレン「……あ、悪い! 頭なでるのイヤだったか?」

エレン「…………! ちょ、お前……や、そんな顔真っ赤にしておねだりとかされたら、ヤバッ……」


アルミン(いつからか、僕はエレンがアニと付き合っているという話を聞いた時に、もうエレンはこうなっていた)

アルミン(末期にもほどがある、手遅れなレベルでいちゃいちゃしていた)

8: 2013/06/13(木) 17:31:01.61
リヴァイ「チッ……ペトラ、今日のスープは塩味足りねえな」


アルミン(ご飯を自室で食べるという点では兵長も同じだ)

アルミン(英雄二名にはよく分からないところで共通点がある)


リヴァイ「ほら、食べてみろ」

リヴァイ「……おい、口を開けてスプーンをしゃぶれ」

リヴァイ「恥ずかしいだと? このスープを俺の前に出したことのほうが恥ずかしいと思え」

リヴァイ「まあ……うまかった」


アルミン(こちらはペトラニウム摂取だったっけ。兵長の頭ヤバイマジでヤバイ)

アルミン(ハンジさんもそれとなくいい加減にしるよう言ってはいるが、ぬかに釘うち、暖簾に手押しだ)

9: 2013/06/13(木) 17:36:13.66
ミカサ「……」

アルミン「ミカサ」

ミカサ「アルミン。エレンは、がんばってる?」

アルミン「それはミカサだってよく知ってるだろ? 本当に、エレンが巨人を駆逐する日も近いよ」

ミカサ「私はそういうことを言ってるわけじゃない」

アルミン「……いつもどおりさ、エレンなら。いつもどおりなんだ」

ミカサ「そう」

アルミン「世界は残酷なんだよ」

ミカサ「……この世界は、美しくない」

ミカサ「私の世界は色を失ってしまった」フラフラ

アルミン「……君が色を失ったのなら、エレンと兵長が失ったのは光だ」

11: 2013/06/13(木) 17:37:40.23





アルミン「アニもペトラさんも氏んじゃったんだから」





15: 2013/06/13(木) 17:43:20.36
エレン「アニよせよ、くすぐったい」

…………

エレン「え、昨日あんまり会えなかったから?」

…………

エレン「何言ってんだよ、昨日はあんなに……あれ、昨日……? 昨日はどうだったっけ……?」

…………

エレン「ああそうだ、昨日だって会ったじゃないか。嘘つくなよアニ。なんでお前嘘を」

…………

エレン「違う……昨日のことをアニが忘れるはずがない……誰だよお前、なんでアニの顔してここにいるんだ……!」

…………

エレン「アニはそんなこと言わない! お前は偽者だ!! 氏ねよ偽者!!!」

ガシャァン!!

…………
…………
…………

エレン「ははは、大きな音にびっくりして、アニは可愛いなあ」

16: 2013/06/13(木) 17:47:23.81
リヴァイ「俺は何をしているんだろうな、ペトラ」

…………

リヴァイ「そうか、よくやれているのか、俺は」

…………

リヴァイ「自分でも分からないんだ、お前が愛しいこの気持ちが、本当にあっていいものなのか」

…………

リヴァイ「すまない……何を言っているんだろうな、俺は。今日は寝るとするか」

…………

リヴァイ「ああ……また明日……」

…………

…………

…………


リヴァイ「…………寒いな」

17: 2013/06/13(木) 17:50:41.11
アルミン(女型の巨人との戦闘でペトラさんは踏み潰された)

アルミン(ペトラさんだった何かを抱えて、無言で立ち尽くす兵長の姿が、いまだに忘れられない)


アルミン(そして計画を立て、僕やエレン、ミカサで女型の巨人を倒すことに成功した)

アルミン(ただうまく行き過ぎて、巨人に変身していたアニは衰弱した状態で姿を現すことになった)

アルミン(仲間を殺された兵士たちが、アニを嬲り、穢し、頃すのを、僕たちは見ていることしかできなかった)

アルミン(リヴァイ兵長は、黙認した)


アルミン(そこから、二人の英雄が誕生した)

19: 2013/06/13(木) 17:56:19.37
アルミン(エレンと兵長の関係はとても歪だと思う)

アルミン(本来なら二人は頃しあってもおかしくないほど憎みあって当然だ)

アルミン(けれど、二人が決して手放そうとしない氏者への妄念が、二人を戦友にした)

アルミン(事実を受け入れたとき、二人はどうなるのだろうか)

アルミン(僕の知っている『愛』は、こんなものじゃなかった)

ミカサ「世界は残酷で、歪で、ほの暗い」

ミカサ「光がないまま、エレンたちはきっと彷徨い歩いているだけ」

アルミン(僕らにできることはたった一つなんだ)



リヴァイ「待っていろペトラ。じきにすべて終わる、終わらせる」

エレン「大丈夫だよアニ、俺たち人類は勝つ」


リヴァイ「人類は負けない」

エレン「俺たちがいるから! 絶対に負けない!」


アルミン(今にも崩れ落ちそうな二人の英雄を、誰よりも近くで見守ることが……)

ミカサ「…………」



エレン「さあ……人類の反撃はここからだ!!」




終わり

20: 2013/06/13(木) 17:59:36.08
くぅ疲

なお>>1の過去作は
エレン「英霊達の鎮魂歌」
ってやつだから(ステマ)


前作で超ハードシリアスに挑戦したから明るい話が書きたかった
ポッポな雰囲気と人類の希望を感じてくれたらうれしい

引用元: リヴァイ「人類は負けない」エレン「俺たちがいるから!」