2: 2013/05/26(日) 12:26:13.06


アニ「どうしたの、唐突に?」

ライナー「ふふふ、実はこの前買った宝くじが見事当たったんだ!」

ベルトルト「ええ!? 本当かいライナー!」

ライナー「あぁ。 ……まぁ、といっても1万円だけどな」

ベルトルト「それでも当たるだけ十分じゃないか。でもいいのかい?」

ライナー「あぁ、どうせあぶく銭だし、折角だからみんなで楽しむためにパーっと使おうと思ってな」

アニ「それで誘うのがいつもの3人かい? 芸がないね」

3: 2013/05/26(日) 12:27:01.80
ライナー「まぁまぁ、折角だから幼なじみ同士久々に親睦を深めようぜ。それとも、鍋は嫌いだったか?」

アニ「……別に、嫌いじゃないよ」

ベルトルト「ボクは大好きだよ、お鍋」

ライナー「よし、そうと決まれば放課後みんなで買い出しに行こうぜ!」

4: 2013/05/26(日) 12:27:46.34
放課後





ライナー「さて、早速買い物に来たわけだが」

ベルトルト「今日は何の鍋にするんだい?」

ライナー「うーむ、寄せ鍋が無難なところだが、ありきたりだしな。アニ、何かリクエストはないか?」

アニ「カニ鍋」

ライナー「さ、流石にそれはちょっと、予算的に……」

ベルトルト「いいんじゃないかい、寄せ鍋で」

ライナー「そうか? それじゃあまず野菜から買っていくか」

5: 2013/05/26(日) 12:28:36.13

ベルトルト「やっぱり白菜は基本だよね」

アニ「それと、ネギ」

ライナー「白菜と、ネギと。おっ、えのきも買っとくか」

アニ「そういえば、ちゃんこと寄せ鍋って何が違うの?」

ライナー「さあ? 出汁のとり方とかじゃないか?」

ベルトルト「お相撲さんが作る寄せ鍋をちゃんこっていうだけだよ」

ライナー「へー。あ、ニラも入れるか」

アニ「……ニラは息が臭くなるから入れないで欲しい」

ライナー「なんだ、お前でもそんな事気にするのか? 意外としおらしいところもあるんだな」

アニ「……イラッ」 ゲシッ!

ライナー「いだっ! いだい! 脛を蹴るな脛を!」

6: 2013/05/26(日) 12:29:36.47

ベルトルト「今のはライナーが悪いよ。あ、春菊としいたけ入れとくよ」

ライナー「これで4種類か、まぁ野菜はこんなものか?」 ゲシゲシ!

アニ「次は何買うの?」 シュッ! シュッ!

ライナー「次は魚介類だな。というか脛を蹴りながら会話に参加するの止めてくれ」 ゲシゲシ!

ベルトルト「寄せ鍋と言ったら海老が欲しいとこだけど」

ライナー「流石に高いな」

アニ「鱈とかは?」

ライナー「鱈かぁ、俺はあんまり好きじゃないな。あの独特の臭みが好きになれん」

ベルトルト「鱈は足が速いからね。」

アニ「鮪より速いの?」

ライナー「えっ」

ベルトルト「えっ」

アニ「えっ」

7: 2013/05/26(日) 12:33:08.60

ベルトルト「アニ、魚に対しての足が速いっていうのは、だいたい腐りやすいって意味なんだよ」

アニ「――― っ!」

ライナー「なんだ? 顔真っ赤にして。鮪と鱈がかけっこでもしてるところを想像でもしたか?」

アニ「しね」 ガスッ! バキッ!

ライナー「痛い! マジ痛い! うなじはやめろって!」

ベルトルト「なんで君はそう地雷を踏みにいくんだ」

ライナー「ほら、ほら! イカ買ってやるから! 蹴るのやめろ!」

アニ「カニも買ってくれたら許す」

ライナー「どんだけカニ好きなんだお前は……」

8: 2013/05/26(日) 12:37:30.92

ベルトルト「次はお肉だね」

ライナー「肉と言ったら牛肉だな」

アニ「鶏肉だろ」

ベルトルト「今回は魚介も入るし、豚か鳥の方がいいと思うよ」

ライナー「おっ、外国産豚肉がグラム80円だってよ。これにしようぜ」

アニ「国産も90円じゃん。こっちにしようよ」

ライナー「10円の差はでかいぞ。だいたい、産地なんてどこでも大差ないだろ」

アニ「味が全然違うよ。そうでなくても、海外産はいい噂聞かないし」

ベルトルト「まぁ、質と安全を取るなら国産だよね」

ライナー「しょうがない、今日くらいは奮発するか。その代わり、鳥は海外産な」

アニ「モモなら許す」

10: 2013/05/26(日) 12:38:21.43

ベルトルト「量はどうするんだい?」

ライナー「どっちも1キロずつあれば十分だろ」

アニ「3人だろ? 流石に多すぎないかい?」

ライナー「そうか? 俺は結構食うぞ」

ベルトルト「1日で食べきらなくても、冷凍にすれば次に回せるしね」

アニ「それもそうか。で、具はこんなところかい?」

ライナー「ああ。あとは昆布と豆腐と飲み物と、締めのうどんってところか」

アニ「デザートは?」

ライナー「は、デザート?」

アニ「……いや、なんでもないよ」

ベルトルト「――― フフッ」

アニ「……ギロ」

11: 2013/05/26(日) 12:39:04.26
ベルトルト「! で、デザートは僕が出すよ! ハーゲンダッツでいいかい!?」

ライナー「お、悪いな。じゃあ俺は抹茶で」

アニ「ストロベリー」

ベルトルト「そ、それじゃあ僕はバニラにしようかな (危なかった……)」

ライナー「よし、買い出しはこんなところだな。会計済ませてくるからちょっと待っててくれ」

12: 2013/05/26(日) 12:39:59.30
ライナー家



ベルトルト「おじゃましまーす」

アニ「邪魔するよ」

ライナー「おう、鍋の準備をするから、適当にくつろいでくれ」

ベルトルト「買い物袋はどうする?」

ライナー「どうせすぐ使うから、その辺に置いといてくれ」

ベルトルト「おっけー」 ドサッ

アニ「何か手伝うことはあるかい?」

ライナー「いや、米を研いで野菜を切るくらいだからな」

アニ「じゃあ鍋とコンロの準備だけしとくよ。どこにあるんだい?」

ライナー「お、悪いな。そこの棚に入ってるはずだ」

13: 2013/05/26(日) 12:40:26.27
アニ「どれどれ? お、あった。ガスもちゃんとあるみたいだね」

ベルトルト「じゃあ僕は食器を準備しておくよ。僕とアニの茶碗はここだったよね?」

ライナー「ああ、箸もそこに入ってるぞ」 ザクザク

アニ(早く始まんないかな)カチャカチャ

ベルトルト「あ、アニ。コンロそこに奥なら、ボクはその辺に座るからとっといてね」

アニ「? 広いテーブルでもなし、どこに座ろうと一緒だろ?」

ベルトルト「いやいや、座る位置が重要なんだよ」

アニ「――― ?」

14: 2013/05/26(日) 12:41:24.15
数分後

ライナー「鍋よし! 具よし! コンロよし! 準備完了だな! 飲み物はどうする?」

ベルトルト「あ、僕は烏龍茶で」 ソワソワ

アニ「なっちゃん頂戴」

アニ「ありがと。 ところでもういいかい? いい加減お腹すいたよ」

ライナー「まてまて、こういう時はまず乾杯からだろ」

アニ「いらないよ、面倒くさい」

ベルトルト「まぁまぁ、折角ライナーが企画してくれたんだし、好きにさせてあげようよ」

アニ「……しょうがないね」

ライナー「ごほん、えーまず、こうして幼馴染3人集まってパーティーを開けることを嬉しく思う!」

ベルトルト(うわ、これ長くなるパターンだ)

ライナー「思えば幼い頃から、辛いことも悲しいことも、楽しいことも3人で分かち合い……」

アニ(おなかすいた…… お昼ぬかなきゃよかった)

ライナー「こうして俺が一人で暮らせているのも、一重に二人のおかげだと思う! そもそも―――」

ベルトルト「ラ、ライナー、そろそろ乾杯にしようよ?(放っておいたら10分は語りそうだ)」

ライナー「お、それもそうだな。では、3人の変わらぬ友情に、乾杯!」

ベルトルト「乾杯!」

アニ「……よくそんな恥ずかしいこと真顔で言えるね」 カンパイ…

15: 2013/05/26(日) 12:42:02.84
ライナー「よし! では早速鍋の方を――― !」

ベルトルト「ライナー、やるのか!? 今、ここで――― !」

ライナー「ああ! ――― いくぞ、点火ぁ!」 カチカチカチ、ボゥ!

アニ(なにやってんだこいつら)

ライナー「さて、じゃあ早速具を入れていくか!」

ベルトルト「あ、それじゃあ僕が……」

アニ「いいよ、あたしがやるよ」

ベルトルト「え、でも……」

アニ「今日は荷物も持たなかったし、これくらいはやらせてもらうよ」

ベルトルト「そ、そう? それなら任せるけど……」

ライナー「ん? どうしたベルトルト」

ベルトルト「あ、いや別に……」

16: 2013/05/26(日) 12:42:43.57
アニ「? 変な奴だね。それじゃあ、入れるよ」 具材ドバー

ベルトルト「あーーーーーっ!」

アニ「きゃ!?」

ライナー「ど、どうしたベルトルト!?」

ベルトルト「ダメじゃないか! 適当に具を入れちゃあ! あぁあぁ、肉と魚まで一緒に!」

アニ「え、いいじゃない、どうせ一緒くたになるんだし……」

ベルトルト「そういう問題じゃないよ! ほら、はやく取り出して! まだ間に合う!」

アニ「え、でも」

ベルトルト「早く!」

アニ「わ、わかったよ」

ライナー「」

17: 2013/05/26(日) 12:43:21.32
ベルトルト「いいかいアニ? 鍋っていうのは料理なんだ。そして料理というからには、ちゃんとした手順があるんだ」

アニ「そ、そう。知らなかったよ」

ベルトルト「はぁ、これだから……いいかい? まず最初に入れるのはダシの出る具、つまり魚介や鶏肉だよ」

アニ「いや、ダシなら昆布が入って……」

ベルトルト「この魚介や鶏肉のダシが味の決め手になるんだ!」

アニ「は、はい」

ライナー(アニが気圧されている、珍しい……いや、無理もないか)

ベルトルト「ほら、早く入れて」

アニ「う、うん。それじゃあ入れるよ」ドバー

ベルトルト「ダウトォーーーー!」

アニ「ひぃ!?」

18: 2013/05/26(日) 12:43:55.08
ベルトルト「なんだよその入れ方は! 盛りつけもへったくれもないじゃないか!」

ライナー「い、いいじゃないか。どうせみんなでつつくんだし、見た目なんか」

ベルトルト「鍋はまず目で楽しむものなんだライナー!」

ライナー「お、おう……」

ベルトルト「君たちも見たことあるだろう、お店やの鍋の写真を」

ベルトルト「美しく、計算された盛りつけ! あの豊潤な光景を目で味わうのが鍋の楽しみの一つなんだよ!?」

アニ(いや、ウチで食べる鍋にそこまで求めてないんだけど)

ベルトルト「ほら、まずは鰆の背を上にして、そうそう次にカニをワイルドに並べて! いいね! レオンハートチックだ!」

アニ(私が作るなんて言わなきゃよかった)

ベルトルト「はい、次は火の通りづらい野菜! 緑が映えるように配置して! あ、ネギは断面を上にするんだよ!」

ライナー(そういえば、鍋を一緒に食べるのは初めてだったな。まさかここまで鍋奉行だとは……)

ベルトルト「次は豆腐! 固くなりやすいお肉なんかは最後だよ! ――― よし、そんなところかな」

アニ「あ、あぁ、もういいかい?」

ベルトルト「うん、見た目もいいね。流石アニ、センスいいよ」

アニ「……どうも (全く嬉しくないよ!)」

19: 2013/05/26(日) 12:44:35.24
ライナー「え、えーと、ベルトルト? 食べる順番は、どうすればいいんだ?」

ベルトルト「食べる順番? ははは、そんなの適当でいいよ。みんなが自由に語らいながらつつけるのが鍋の醍醐味だからね」

アニ(本気で言ってんのか)

ライナー「お、おう! そういうことなら早速食べるか! 腹が減って仕方ないからな!」

アニ「そ、そうだね。あ、ライナー、私ゴマだれで……」

ベルトルト「 ゴ マ だ れ ? 」ゴゴゴゴゴ

アニ「やっぱポン酢で」

ベルトルト「ポン酢はいいよね! 具とダシの味を最大限に引き出してくれる!」 ニコォー

アニ(ただのあんたの好みだろ!)

ライナー(ごまポン酢はありなのだろうか)

20: 2013/05/26(日) 12:45:16.84
アニ「あ、えっと、じゃあお肉もらうよ?」

ベルトルト「ストップ!」

アニ「今度は何!?」

ベルトルト「そのお肉はもう少ししてからが食べごろだよ。はい、このイカなんか食べごろだよ」

アニ「……あ、ありがとう」

ライナー「そ、それじゃあ俺もイカにしようかな?」

ベルトルト「あ、ライナー。そのえのき、今が最高の歯ごたえだよ、ほら、そっちから食べよう」

ライナー(結局自由に食べれないじゃないか!)

アニ(確かに絶妙の火加減で美味しいけどさ……)

21: 2013/05/26(日) 12:45:51.19
ベルトルト「あ、アニ! なにしてるんだ!?」

アニ「な、何が?」

ベルトルト「火が強火のままじゃないか!? ほら、早く弱めて!」

アニ「あ、あのさ、よかったら、ベルトルトに任せよっか?」

ライナー「お、おう! それがいい! ベルトルトは鍋に一家言あるみたいだしな!」

ベルトルト「え、そ、そうかい? まぁ二人がそういうなら、やらせてもらおうかな」ゴソゴソ

アニ(うわ、すっごい嬉しそう)

ライナー(マイおたまとか取り出し始めたぞ。準備万端だったんだな)

ベルトルト「えへへ、あ、食べたいのあったら言ってね。頃合になったらよそってあげるから」

22: 2013/05/26(日) 12:46:33.63

数十分後

ライナー「ふぅー、食った食った」

アニ「締めの雑炊も美味しかったよ、ベルトルト」

ベルトルト「そ、そうかい? 喜んでもらえて満足だよ」

ライナー(しかしこいつずっとアクとってたな)

ベルトルト「あ、食器片付けてくるね」

アニ「いいよ、それくらい私が」

ベルトルト「いやいや、最後まで責任を持つのが鍋奉行の努めだからね」

アニ「あ、そう……」

ライナー「しかし美味かったな。たまにはこういうのもいいだろ、アニ?」

アニ「……ま、たまにはね。ベルトルトのあれは予想外だったけど」

ライナー「なんだかんだで美味かったけどな」

アニ「いくら美味しくてもあれはちょっと……次は鍋以外で頼むよ」

23: 2013/05/26(日) 12:47:12.45
ライナー「お、なんだ? 早速次の機会を楽しみにしてるのか?」

アニ「なっ、別にそういう意味じゃないよ……」

ライナー「任せておけ、今度はエレンたちも呼んで大人数でやろう」

アニ「なんでそこでエレンが出てくるのさ。それよりデザートはまだ?」

ライナー「おぉ、そういえばすっかり忘れてたな。ベルトルトー!こっち来るとき、冷凍庫からアイス持ってきてくれ!」

ベルトルト「わかったー、もう終わったから今行くよー! って、あれ? ライナー、冷凍庫何も入ってないよ?」

ライナー「ん? そんなはずは……」

ベルトルト「そういえばライナー、買い物袋そこに置いといてって言ってから、アイスしまった?」

24: 2013/05/26(日) 12:47:45.12
ライナー「しまった」

アニ「それって、どっちのしまった?」

ライナー「主に、その、失敗の時に使う方の」

ベルトルト「……」

アニ「……」

ライナー「(ゝω・)テヘペロ」

アニ「しね!」

特に理由のある食べ物の恨みがライナーを襲って終了

25: 2013/05/26(日) 12:49:35.99
以上です。
進撃である必要は、ただこの3人が仲良くしてるとこを書きたかった、それにつきます。
お目汚し失礼いたしました。

29: 2013/05/26(日) 13:35:53.09

こういう雰囲気の話好きだよ

引用元: ライナー「今夜は鍋パーティーだ!」