12: 04/11/11 00:40:50 ID:???
 それは惣流・アスカ・ラングレーが葛城家に同居を始めて間もないある日のこと。
昼休みのチャイムと共に、アスカは同居人である碇シンジの元へと歩み寄り、黙って手
を差し出した。
 シンジは鞄から紅いハンカチで包まれた弁当箱を取り出すとにっこり笑ってアスカに
手渡した。

「なんや、弁当までシンジに作らせとんのかいな。ほんまにぐーたらな女やな」
「なんですってぇ!これはねぇ、バカシンジがどうしても作りたいからって言うから作
らせてあげたのよ!。勘違いしないでよね!」
「どうだか。朝も夜もシンジに作らせとるそうやないか。ほんまは料理でけへんのやろ。」
「はんっ!この天才に出来ない事なんてないわ。料理なんて簡単よ!」
「なら証拠を見せてみぃ」
「いいわよ。今日の夕食に招待して上げるわ。ドイツ料理のすばらしさを教えて上げる。
と言っても胃袋ばかり大きいあんたの舌じゃドイツの味はわかんないかもね」
「なんやとぉ!・・・・」

 延々と言い争いを続ける二人をよそに、シンジとケンスケは黙々と食事を始めた。
つきあっていたら昼休みが終わってしまうからだ。
二人はクラス委員長の洞木ヒカリが止めにはいるまで不毛な言い争いを続けた。

14: 04/11/11 00:41:34 ID:???
放課後、シンジが帰り支度をしていると、アスカが目の前に立ち、また手を差し出した。
「……なに?」
なんだか判らないシンジは恐る恐る問いかけた。
「買い物行くからお財布よこしなさいよ」
「あ、僕もつきあうよ」
「いいから!あんたはあのバカ達とヒカリをつれて家で待ってなさいよ」
「で、でも、」
「なによ、あたしには買い物も一人で出来ないと思ってるの?」
「ち、違うよ。荷物持ちは要らないかなー……なんて、はは」
「ふん、ま、あんたにしちゃ良い心がけじゃない。だんだん下僕の心得が判ってきたよ
うね。でも今日はいいわ」
「(なんだよ下僕って)そ、そう? じゃ、家で楽しみに待ってるよ」
言い返したいが、口では勝てないと判っているシンジは、アスカに財布を渡すとトウジ
達をつれて家へと向かった。

午後7時、まだアスカは帰ってこない。
「遅いなアスカ……」
「見栄を張って料理する言うたはいいが、ほんまは出来へんので帰るに帰れんのとちゃうか?」
「それはあるな、今頃必氏に料理の本を読んでたりするんじゃないか?」
「もう二人ともやめなさいよ。ねぇ、碇君。アスカまだこのへんの地理に明るくないか
ら道に迷ってるんじゃないかしら」
「うーん、そうかも……スーパーに行ったこともないはずだし……」
などと会話をしているうちにアスカが帰ってきた。

「おかえり、遅かったね」
「まったく、この辺にはろくな食材が無いわね。おかげで新横須賀まで足を延ばすハメ
になったわ」
「ええぇ! 新横須賀までわざわざ買い出しに!?」
「そうよ、おかげでまぁまぁの物が買えたから楽しみにしてなさいよ」
そう言うとアスカは台所に篭もり夕食の準備を始めた。

15: 04/11/11 00:42:17 ID:???
「っ!」
「どうしたの、アスカ?」
「な、なんでもないわよ!。覗くんじゃないって言ったでしょ!」
アスカは包丁をシンジに突きつけ台所より強制退去させた。
その後も台所からは「いっ!、この!、チクショー!」などと言う声が漏れ聞こえてき
たが、アスカによる絶対領域と化した台所には近づくことさえ出来なかった。
そして1時間後。ようやくアスカの許しが出てダイニングの席に着いたシンジ達は、テ
ーブルの上に並べられた料理の数々を見てため息をついた。

「どう? これがドイツ式の夕食よ!」
得意満面のアスカ。だが一同は料理を見たまま一言も発しない。
テーブルの上には確かにドイツらしい料理が並んでいた。
パン、薄切りにした数種類のソーセージとチーズの盛り合わせ、キュウリのピクルス、
山盛りの生のカリフラワーとドレッシング3種類、そしてコーヒー。これで全部だ。
「あ、あのアスカ、これってもしかして前菜ってやつ?」
いち早く再起動を果たしたシンジが聞くとアスカは一気に顔を曇らせた。
「こ・れ・が・ドイツ式の夕食だって言ったでしょ!。これで全部よ!」
「えぇーっ!これだけ?」
「そうよ、『カルテスエッセン』て言うの。ドイツではね、体を動かす昼間に暖かくて
ボリュームの有る食事をとって、夕食は火を使わない料理で済ますのよ。これなら洗い
物も少ないし合理的でしょ?」
「そ、そうだね。ははは……」
 もはや言うべき言葉を失ったシンジは力無く笑い、目の前の料理を消化にかかった。
「なんや、これっぽっちじゃ腹が膨れんやないか。惣流、ほんまにこれがドイツ式なん
か? 料理でけへんのをごまかしとるんちゃうやろな」
「なんですってぇ!」
ケンスケとヒカリは天を仰いだが時既に遅し、第2次惣流・鈴原戦争は勃発した。

16: 04/11/11 00:43:05 ID:???
「あの、アスカ? このソーセージとってもおいしいわ。どこのメーカーなの?」
ヒカリが何とか調停役を買って出るとアスカは嬉しそうに微笑んだ。
「さすがにヒカリは味が判るわね。どっかのジャージバカとはえらい違いだわ。それは
ね、わざわざ本場ドイツから取り寄せた手作りの逸品なのよ!」
「手作りなの?」
「そうよ、今日はそれを探すのでえらく時間が掛かったわ。加持さんに教えてもらった
新横須賀の国連軍相手の店でようやく見つけたのよ」
「手作りって、もしかして高いんじゃ……」
嫌な予感が走りシンジが恐る恐る尋ねる。
「まぁねぇ、ドイツなら街のソーセージ屋でどこでも売ってるようなもんだけどね。全
く日本は物価が高くて困るわ」
「ア、アスカ、レシート見せてよ!」
「レシート? 捨てちゃったわよそんなモン」
「じゃ、じゃぁお財布、お財布返してよ!」
「うるさいわねぇ。ほら」
シンジが財布の中身を確かめると中には小銭しかなかった。
「ああーーーーーーっ!!!」
恨めしそうにアスカを見るシンジ。
「もしかして全部使っちゃったの?」
「悪い? ホントはもっと良いパンとかワインも買いたかったんだけど足りないんで諦
めたのよ。もっとお金入れときなさいよ」
「2週間分の生活費だったんだよ? これからどうするんだよ!」
「そんなの知らないわよ。あんたが家計を預かってるんだから、あんたが何とかしなさ
いよ」
財布ごと渡してしまった己の不明を後悔するシンジであったが後の祭りである。
「とにかく、ドイツ式で良いならこれからも私が夕食を作って上げても良いわよ?」
「い、いいよ。僕が作るよ……」
「そう? じゃぁ、任せるわ。あんたがやりたいって言ったんだから、後から文句言わ
ないでよね」
今後も3食全て自分で作らなければならないことに頭を抱えるシンジだが、アスカの指
に巻かれた絆創膏の数々を思い、まぁ、大怪我されるよりはいいかと自分を納得させる
のであった。

17: 04/11/11 00:43:54 ID:???
そして10年後……

「ただいま」
「あ、お帰りシンジ。夕飯出来てるわよ」
「……またカルテスエッセンなの?」
「何よ、文句有る? あたしが当番の時はドイツ式でいいって約束でしょ?」
「(はぁ)いや、今日みたいな寒い日は暖かい物が食べたいなぁ……なんて、あはは」
「だからぁ、あたしが暖めてあげてるでしょ!」
そう言いうなりアスカはシンジを押し倒した。
体を動かす夜には暖かくてボリュームのある物が食べたいと切に思うシンジであった。

Fin

18: 04/11/11 00:44:45 ID:???
以上、お粗末様でした。

19: 04/11/11 00:54:51 ID:???
よかよか

20: 04/11/11 01:08:36 ID:???
もうちょっと台詞と台詞の間に文章を入れたほうがよか。。。

31: 04/11/11 23:40:01 ID:???
それじゃ短いのを一つ。

ドイツ式結婚 -婚約編- 1

西暦2018年のある春の朝、まだ日の登り切らぬ頃、朝帰りした葛城ミサトは慎重に自宅
のドアを開け自室へと忍び足で向かっていた。
「あ、おはようございますミサトさん」
突如キッチンから聞こえてきた声に、ミサトはギクッとして立ち止まり、恐る恐る声の
する方を振り返った。
そこには同居人であり葛城家の主夫として全権を預かる碇シンジが、燃えるゴミの袋を
抱えて立っていた。
「あ、シ、シンちゃんおはよう。今日は早いのね」
ミサトは内心の焦りを押し隠し、引きつった笑顔でシンジに挨拶を返した。
「ええ、今日は燃えるゴミの日なんで、ちょっと早起きしてゴミをまとめてたんです」
屈託のない笑顔で応えるシンジ。
「いつも済まないわね。そうだ、今日はお礼に朝御飯を作って上げるわ」
ミサトは後ろめたさからそう提案した。
何しろ昨夜は夜勤と偽って男と過ごしていたのだから。
「い、いいですよ。ミサトさんは夜勤明けなんですから休んでいてください。今日も仕
事なんでしょう?」
ミサトの料理の腕を知っているシンジは、冷や汗を流しながらやんわりと拒否した。
「じゃぁ、そのゴミ捨ててきて上げるわ。ほら、貸してご覧なさい」
シンジの様子にちょっと不満げなミサトは、シンジの抱えたゴミ袋を両手で奪い取ろう
とする。
その左手に光る物を見つけたシンジが何気なく聞く。
「あれ? ミサトさん、指輪なんかしてるんですか? 珍しいですね」
その言葉を聞いた途端、ミサトはゴミ袋を取り落とし、慌てて右手で左手を隠す。
「こ、こ、こ、これはね。な、何でもないの。そう、ただのアクセサリーなんだからね!」
慌てふためくミサトをよそに、シンジはとびきりの笑顔を見せてただ一言言った。
「おめでとうございますミサトさん!」
いくら鈍いと言われていても、左手の薬指の指輪の意味くらいは知っていたのである。

32: 04/11/11 23:42:06 ID:???
シンジは朝の顛末をアスカに話しながら朝食を食べていた。
ミサトは午後から出勤と言うことでまだ寝ている。
「…でさ、僕がそう言ったらミサトさん真っ赤になっちゃって。『シンちゃん ありがとう』
って言いながら泣くんだよ。よっぽど嬉しかったんだね。加持さんがプロポーズしてくれたのが」
「ふーん、とうとうミサトと加持さんも纏まったか。ま、ミサトには加持さんはもった
いないけどしょうがないか」
アスカはさして驚くでもなく平然とその事実を受け入れた。もはやアスカにとって加持
は恋の対象ではなく、態度こそ素っ気ないものの二人の婚約を心から喜んでいた。
「で、どんな指輪だったの?」
興味津々でアスカが尋ねる。
本当は日頃シンジとの仲をからかわれているお返しに、ミサトをたたき起こして冷やかし
てやろうとしたのだが、シンジに止められたのだ。
「えーっとね、プラチナの台に大きなダイヤが載ってたよ。恥ずかしがってあまりよく
見せてくれなかったけど、結構大粒のダイヤだったから高かったんじゃないかな」
「ダイヤねぇ。日本人てダイヤが好きよねぇ」
「あれ? アスカはダイヤの指輪って好きじゃないの?」
「もちろん好きよ。でもドイツじゃぁ婚約指輪にダイヤの指輪を贈ることは珍しいわね」
「そうなんだ? じゃあ、ドイツではどんな指輪を贈るの?」
「ドイツではね、婚約時に結婚指輪を贈るのよ。そして結婚まではそれを左手に填め、
結婚式の時に右手に填め直すの。結婚てゆうのはお金がかかる物だから、指輪にお金を
かけるよりも、他にもっと有意義に使おうって発想なのね」
「なるほどね。確かに婚約指輪って高いよね。日本では給料の3ヶ月分てゆうのが相場
みたいだし」
「なによそれ、変なの。どうゆう発想なのかしら。どうせダイヤなんてよほど大きい物
以外は財産価値なんて無いんだから、無理して高い物買うこと無いのにねぇ」
「そうなんだ、でも、その指輪をはめ直す儀式ってなんかいいよね。いかにも婚約から
結婚に歩みを進めたってゆう感じで」
「そうでしょ? あたしの時もそれでいこうかなと思ってるのよねぇ」
「ア、アスカぁ……」
アスカの甘い声による爆弾発言にシンジは首まで真っ赤にして俯いた。
アスカはその様子を見てにやりと笑いコーヒーを啜るのだった。

33: 04/11/11 23:43:02 ID:???
そして6年後……

「アスカ、僕と結婚してください!」
そういってシンジは指輪のケースをアスカに差し出した。
アスカは指輪を一目見るなりケースをシンジに押し返した。
「ア、アスカ?」
シンジは顔面蒼白になってアスカに問いかけた。
「何でダイヤじゃないの?」
「だ、だってドイツでは結婚指輪を婚約の時に贈るってアスカが……」
「あんたバカぁ? ここは日本であんたは日本人でしょ? あたしもあんたと結婚した
ら日本人になるのよ? なんでドイツ式でやらなくちゃいけないのよ!」
「だ、だってアスカ言ったじゃないか。自分の時もドイツ式でやりたいって」
「そんなこと言ったかしら? 覚えてないわ。それより、ちゃんとダイヤの指輪用意し
なさいよ。職場の女どもに自慢できないじゃない。相場は3ヶ月分だそうだけどあんた
の安月給じゃ3ヶ月分じゃ大した物は買えないから……そうねぇ、半年分てとこかしらね」
「アスカぁ……」
がっくりとうなだれるシンジ。来日して9年、どんどん日本に馴染んでゆくアスカだっ
たが、こんなところまで馴染まなくても良かったのにと思うシンジであった。
アスカは気落ちしたシンジを見つめて微笑んだ。
「バカね、あたしはダイヤを自慢したいんじゃなくてあんたを自慢したいのよ。あたし
のことをこんなに思ってくれてるんだってね。だから、がんばって早く指輪を用意すん
のよ」シンジが爪に灯を灯す生活をして無事給料半年分の指輪を贈ることが出来たのは
それから10ヶ月後のことであった。

37: 04/11/11 23:49:28 ID:???
あ、Finって入れてねーや。
以上です。
ちなみに婚約編と銘打ってますが、結婚式編も披露宴編もまだ1文字たりとも書いてません。
披露宴編だけはネタは脳内にあったのですが何年も前のことなので忘れました。
結婚式編はネタ探しからやらんと書けません。
後はプロローグだけ書いて放り出した未完の長編しかないです。

これでだいぶ敷居が下がったと思うので、このくらい俺だって書けらぁって人はどんどん書いてね。

引用元: 落ち着いてLAS小説を投下するスレ 2