864: 2005/04/07(木) 09:24:34 ID:???
題名・・・にゃぁーん・・・


アタシの名前は『アスカ』

…シンジは、そう呼ぶのよね
実は他にもいろいろ名前があるけれど、それは秘密
今回アタシが話してあげるのは、シンジとアタシのお話だから
アタシは彼に『アスカ』って呼ばれるのが、結構気に入っているのよ


そのアタシのお気に入りのシンジがどんな人かって言うと…
言っちゃあ何だけど、普通の人
お弁当の端っこに、申し訳程度に乗ってるシャケみたいに普通
彩のおまけってとこね
それだけが好物なんていう人はあんまり見かけないわね

でも、アタシは大好き

から揚げや玉子焼きには見劣りするかもしれないけど、それは通じゃないのよ
塩で締まった身は噛めば噛むほど味が出るし、皮との境目の脂身なんてホント美味しいんだから
もちろんアタシは皮まで大好物

アタシの知っているシンジはそんな人
見る目のない人にはわからない味のある人
だから彼の魅力を知っているのはアタシだけ 
目立たないから、安心。…なんて
アタシ、すっかり油断してたの

865: 2005/04/07(木) 09:25:18 ID:???

アタシ達の逢引は、いつも太陽が西に傾いてから
シンジは真面目な学生さんだから、学校が終わらないとアタシに会いに来られないの
でも 「お待たせ」
そう言って彼に微笑みかけられたなら、待ってることなんて何の苦にもならないわ
手に持っているのは学生カバンだったり、ポケ単だけだったり、買い物袋だったりするけれど
彼は必ず会いに来てくれるもの
どんなに遅くなったって、アタシへの贈り物を忘れたこともないし
それって、しっかり愛されてるってことでしょう?
会える時間の長さなんて関係ないわ
シンジがアタシに会いにきてくれる  それがとっても大事なことだもの

なのに、そのシンジとの大切な逢瀬に
最近、無粋な闖入者が現れるようになったの

「シンジー、あんた、また寄り道して!
 まーた、そんなのに構ってる」
「『まーた』、って…なんだよ、それ
 いいじゃないか
 嫌ならついてこなきゃいいのに」

今日だって、ほらね

「あんたがこそこそしてるからでしょ? 
 何してるんだか気になるじゃないの」

「昨日の夕食の時にも話しただろ
 アスカだって、…可愛いって言ってたくせに」

866: 2005/04/07(木) 09:26:02 ID:???

そうなの
アタシが油断していた隙に、ついてしまったムシ
アタシのシンジにしつこく絡んでくるこの赤毛の女の子も、【アスカ】って言うのよ
彼はその【アスカ】がアタシによく似てるなんて言うけど、アタシはそうは思わないわ
赤毛は赤毛でも、アタシは赤毛の茶虎
彼女の色は光に透ける金茶でしょ? これは大きな違いよ

シンジが誰にでも優しいのは美徳だけれど、彼女はどうかと思うの
シンジの見る目を疑っちゃうわ 

だって【アスカ】は、猫より犬が好きなんて言うのよ
そのくせ、彼女の性格はまさに猫

シンジは犬っぽい性格なのにね
それでも上手く行っちゃってるみたいなのはどうしてかしら
やっぱりシンジが猫好きだから?

彼はね、甘えられるのにとっても弱いのよね
素直な愛情表現やスキンシップに溶けちゃうの
アタシがしなやかな体を摺り寄せてあげたりすれば、もうめろめろ
でもそれは、彼自身が甘えベタだからなんだと思うわ
ホントは自分が甘えたいのにね

彼女もそれを知ってか知らずか、さり気に上手
ほらまた!
こっそり手なんか繋ごうとしてる!

アタシは最高に甘い声で、シンジの注意を引いてあげたわ
だってシンジはアタシのものよ

867: 2005/04/07(木) 09:26:46 ID:???

【アスカ】のブルーの瞳は晴れた空みたいで綺麗だけど、
アタシの瞳だって負けちゃいないわ 睨まれたって平気
ねぇ、シンジはどっちが綺麗だと思う?

お互いを牽制しあって険悪な空気を醸し出すアタシ達を見比べて、
ため息なんてついてる場合じゃないのよ

「仲良くすればいいのに」
「だってこいつがアタシのこと嫌うのよ!」

違うわ、【アスカ】がアタシを嫌いなのよ!

威嚇しあうアタシ達を見て、シンジは笑ってるけれど
これは、真剣な女の戦い  笑って誤魔化されたりしないわよ

シンジもアタシを好きならば、態度で示してくれてもいいでしょう?
投げ出された彼の手に催促すれば、彼の指がくすぐるようにアタシを撫でる
つぼを心得た愛撫に、アタシはうっとりと声を漏らす
ああ、愛されるってステキなことね

見せ付けられたアタシ達の愛の交歓に、彼女は対抗するようにシンジの反対の手をとって握りこむ
指と指を交互に絡ませるなんて、難易度が高いわ
【アスカ】もやるわね

悔しいけれどアタシはシンジの指に絡ませられるような、長い指は持ってないの
でも、ピンクのニクキュウは必殺技よ
柔らかくって瑞々しくって最高の感触なんだから
そっと押してくれたら、真珠を磨いたみたいな三日月の爪だって出ちゃうんだから

これと勝負できる【アスカ】の持ち物は、唇くらいしかないと思うわ

868: 2005/04/07(木) 09:27:30 ID:???

アタシ達の勝負は一進一退
いつだって気が抜けないの

アタシが彼女を嫌いなのはね
認めたくはないけれど、アタシと彼女が少し似てるところがあるからだと思うの
好みのタイプや、性格なんかね
だから、シンジが彼女を好きになるのもわかっちゃうの
それがとっても腹が立つから仲良くなんかしたくないのよ
それはきっと、彼女も同じ  それもわかるから、嫌んなっちゃうのね

でも譲ってなんかあげられないわ
アタシだってシンジが大好きなんだもの

長い西日が山の端にすっかり隠れて、街灯が白い明かりを灯したら
アタシ達のお別れの時間

今日の贈り物も素敵だったわ
アタシ達が仲良くするところを見せ付けるという楽しみ方を覚えたら
彼女との対決はスリリングで緊張感があって、そんなに悪くないと思えるようになったしね

また来てね、シンジ 待ってるわ

アタシは【アスカ】にわざと視線を流してから
「さよなら」の挨拶の変わりに、シンジの膝に乗って背伸びして唇に口付けを贈るのよ
ピンクの舌を出して挑発的に彼を舐めるのも忘れずに

きゃぁーきゃぁー言ってアタシを捕まえようとしても、もう遅いわ
【アスカ】の手からするりと逃げるなんて、アタシにとっては簡単なこと

869: 2005/04/07(木) 09:28:16 ID:???

彼女の手の届かない塀の上から見下ろして、アタシはフン!と鼻をならしてやったわ

「なんかくやしい!
 シンジ!!」
「………ホント、そっくりだと思うよ アスカ達ってさ………」
「なんか言った!」
「いいえ、何にも言ってません」

とぼけるのが下手ね
でもそういうところも気に入ってるから、アタシはシンジの好きな尻尾をゆらゆらしてあげたの
名残惜しげにアタシの後姿を追ってくれる視線も好きよ

「いつまで見てんのよ!」

とうとう実力行使に出た彼女がシンジの顔を掴んで噛み付いたけれど、それはほんの一瞬

「嫌ぁー
 ネコカンの味がする~」

涙目で給水所に駆けていって嗽するなんて、【アスカ】もまだまだね
 
彼を独り占めしようなんて許さないわよ

アタシだってシンジが大好きなんですからね!

                        終

870: 2005/04/07(木) 09:29:33 ID:???
GJ!マターリしますた

871: 2005/04/07(木) 09:29:42 ID:???
いとよろし。

873: 2005/04/07(木) 09:31:49 ID:???
イイヨ、イイヨー
猫はいいねぇ、リリンが(ry
ともかく猫大好きな身としてはこの上なく萌えました

引用元: 落ち着いてLAS小説を投下するスレ 12