5: 2010/10/30(土) 14:46:01.42
「行ってきます」

ただ広いだけで何の温もりも感じさせない家を出る。
今日は雨が降りそうだ。
傘、持って行かなきゃ。

「斉藤」
「はっ」

執事の斉藤は、名前を呼んだだけですぐに私の求めるものをくれる。
だけど、そんな斉藤でも私が一番欲しているものは与えてくれない。
斉藤から傘を受取ると、私は重いカバンを肩に引っ掛け歩き出した。

――――― ――

6: 2010/10/30(土) 14:53:39.68
駅に着いた途端、待っていたように雨が降りだした。
私は電車が来るのを待つ間、携帯のメールボックスを確認した。
誰からもメールは届いていない。

雨の中を走ってきた電車に乗り込む。
いつもは朝の通勤、通学ラッシュを避けて乗っているので比較的空いている電車は、
今日は雨の日のせいか、人が多くて混んでいた。

混みあった電車に乗るのは初めてで、すごくわくわくした。
だけど、電車を降りると慣れていないせいでひどく気分が悪くなった。

まだ始業の時間まで少しある。
少し休んで行こうかな。

駅の改札を出たところにあったベンチに腰掛けた。
その時、「ムギちゃーん!」と声がした。

9: 2010/10/30(土) 15:01:24.26
「唯ちゃん!」
「ムギちゃん、おはよう」

見ると、唯ちゃんが息を切らせながら私に駆け寄ってきた。
背中にはギターケースを背負っている。

「ムギちゃん、どうしたの?学校行かないの?」
「ううん、ちょっと電車で酔っちゃったみたいだから休憩してたの」
「え!?大丈夫!?」

唯ちゃんは私の言葉に驚いたように言って飛び退いた。
私が「唯ちゃんの顔を見たら平気になっちゃった」と冗談交じりに言うと、
「ほんとー?」と嬉しそうに笑った。

「でも、本当に無理はしちゃだめだよムギちゃん」
「えぇ、大丈夫」
「そっかー。それじゃあムギちゃん、一緒に学校行こう!」

10: 2010/10/30(土) 15:11:18.87
私が頷くと、唯ちゃんは元気に歩き出した。
私もその後に続く。

少しだけ、冷たかった心が温かくなった。
誰かに本気で心配される。
それだけで、こんなにも嬉しくなる。

私は朝が苦手だった。
誰も居ないような家を出て、一人で学校へ向かうことが、寂しくて仕方なかった。
車での送り向を断ったのは私だけど、それでも一緒に登下校する他の子たちを見て
羨ましくなった。
それに何より、私には送り出してくれる家族がいることが羨ましかった。

私は、家から送り出してくれたり、帰りを待っててくれる家族がいない。
だから、なんだと思う。
私が「愛して欲しい」「愛したい」と思うようになったのは。

「あ、そうだムギちゃん」

11: 2010/10/30(土) 15:17:21.33
突然、唯ちゃんが立ち止まって振り向いた。
ぼーっとしていた私は、唯ちゃんを追い越しそうになって慌てて足を止めた。

「なに、唯ちゃん?」
「ムギちゃん、何か考え事でもしてたの?悩み事?」

唯ちゃんが心配そうに眉を顰めて訊ねてきた。

「えっと……」
「ずっと前から思ってたんだけど、ムギちゃん、朝はあんまり元気ないよね?」

吃驚した。
朝の私はそんな風に見られてたのかな。
確かに、教室に着くまで私は暗い顔をして歩いてるって自分でも自覚していたけれど。

「低血圧、かな?」
「えー、絶対違うよー!低血圧の人はもっと不機嫌そうなんだもん!」

12: 2010/10/30(土) 15:26:39.52
唯ちゃんはそう言うと、私の顔を覗きこんできた。

「ゆ、唯ちゃん?」
「ムギちゃん、絶対に何かあるでしょー?」

その顔は、ただの好奇心や何かと違って、本当に真剣で、思わず目を逸らしたく
なった。

「……ちょっと寂しいから、かも……」

私は小さな声で答えた。
本当はもうちょっと違うけど、嘘ではない。

「寂しい?どうして?」

13: 2010/10/30(土) 15:31:54.98
唯ちゃんが、きょとんとしたように訊ねてきた。
私はそっと足を後ろに踏み出して近過ぎる唯ちゃんから少し距離をとる。

「一緒に学校、行く人がいない、からかな」

私はゆっくりと考え込みながら言った。
これも間違っては無い。

「あ、そっかー!ムギちゃんは電車通学だもんね!」
と唯ちゃんが納得したように声を上げた。

「え、えぇ、そうなの」
「それじゃあ私、明日からムギちゃんと一緒に学校行くよ!」

15: 2010/10/30(土) 15:41:54.18
「え!?」
「あれ、だめかな?」

私が驚いて声を上げると、唯ちゃんが困ったように首を傾げた。
私は慌てて首を振る。

「そ、そんなことはないけど……でも唯ちゃん、いいの?」
「いいよー!最近憂ね、あずにゃんとか純ちゃんと一緒に行ってるし、ちょうど
私も一人だったんだー!」

だから一緒に行っていい?

唯ちゃんは確かにそう言った。
私は頷いた。嬉しかった。

「えへへ、それじゃあムギちゃん、今日は走ろうか!」
「え、どうして?」
「学校、遅れちゃうよ!」

時計を見るとあと少しでチャイムが鳴る時間だった。
立ち止まって話していた私たちは、走り出した。

朝、いつも重い身体が、今日は軽かった。

――――― ――

27: 2010/10/30(土) 18:58:09.71
少しだけつまらない授業も、今日はなんだか楽しくて仕方がなかった。

早くお茶したいなあ、なんて考えていると、あっという間に時間が過ぎていく。
気が着けば、放課後のチャイムが鳴っていた。

私はカバンを持つと立ち上がる。

「ムギちゃん、一緒に行こ!」

教室を出ようとすると、唯ちゃんが追いかけてきた。
私たちは並んで歩き出す。

「今日のお菓子はなーにかなー?」
「なーんでしょう?」

二人で言葉に節をつけふざけながら歩く。
唯ちゃんは、鼻歌まで歌い始めた。

「あ、私の恋はホッチキス!」
「えへへ、せーかい!」
「やった!」

34: 2010/10/30(土) 20:23:24.58
何の曲かが当たって、喜びながら部室に入る。
そこは私の大好きな空間が広がっていた。

「おーっす、唯、ムギ!」
「遅いぞ」
「こんにちは、唯先輩、ムギ先輩」

りっちゃんが、澪ちゃんが、梓ちゃんが。
皆がいる。

私は唯ちゃんと顔を見合わせると、弾む心を抑えながら皆の元へ歩き出す。

「ねえねえりっちゃん澪ちゃん!これすごくない!?」
「おぉ、すげーなあ!」
「そんなことはどうでもいいだろ、梓、練習しよう」
「あ、はい」

四人の会話を聞きながらお茶を淹れる。
幸せで贅沢な温かい時間。

38: 2010/10/30(土) 21:32:32.65
私はこの中には入らない。
違う、入れない。

「あずにゃーん」

唯ちゃんが梓ちゃんに抱き着いた。
りっちゃんが澪ちゃんに叩かれる。

あ、いいな。
いつも思う。羨望と、そして少しだけ、感じる妬み。

お茶を淹れて持って行く。皆はそれを待っていましたとばかりに熱いそれを
喉の奥に流し込んでいく。

私は見ているだけで、この輪の中には入れない。
だって、それだけで充分なんだもの。

でもね、何でだろう。今日はちょっとだけ、苦しい。
朝唯ちゃんに少し自分の気持ちを話してしまったせいだろうか。
ぎゅっと胸に手を当てる。こんな気持ち振り払おうと皆から目を逸らして俯く。

39: 2010/10/30(土) 21:38:02.42
「ねえねえムギちゃん!」

突然、唯ちゃんがさっき梓ちゃんにしていたように私に抱きついてきた。
私は吃驚してしまい、持っていたティーカップから手を離してしまった。

「わ、ムギちゃん危ない!」

咄嗟に唯ちゃんが手を出して、ティーカップが落下するのは免れた。
けど、唯ちゃんの手に熱い紅茶が掛かってしまい、微かに手が赤みを帯びている。

「ご、ごめんね唯ちゃん!火傷してる!」
「えー、大丈夫だよこのくらい」

唯ちゃんはそう言って笑うけど、私は申し訳なくて、唯ちゃんの手を引いて
立ち上がった。

「とにかく、保健室に行って冷やそう!」
「う、うん……」

私の剣幕に驚いたのか、唯ちゃんは大人しく頷いた。


40: 2010/10/30(土) 21:41:54.59
保健室には誰も居なくて、私は勝手に入らせてもらうと氷を探し出して唯ちゃんに
渡した。

「ごめんねー、ムギちゃん」
「私のほうこそごめんなさい。唯ちゃんに怪我させちゃうなんて……」

どんなことがあっても、私は誰も傷付けたくはなかった。
誰かが傷付くところなんて見たくなかった。
それが、心の傷でも、身体の傷でも。

「ムギちゃんのせいじゃないよ!」
「でも……」
「それよりさ」

唯ちゃんは、私の言葉を遮るようにして言った。

「ムギちゃん、やっぱり何か悩み事、あるの?」

42: 2010/10/30(土) 21:49:51.91
「……どうして?」

訊ねると、唯ちゃんは「わかんないよ」と言って首を振った。
そして、「でも」と続けた。

「何となく、そんな気がするんだ。だって、伊達に三年間、ムギちゃんと一緒にいた
わけじゃないもん!」
「……唯ちゃん」
「ねえ、ムギちゃん。私には言えない悩み?朝も聞いたけど、本当のこと、言えない?」

言えないよ、唯ちゃん。
そんなこと、言えない。

愛して欲しいって。愛したいって。
今まで隠してた家のこととか、そんなこと全部ひっくるめて説明するのが嫌なんじゃ
なくって、ただそんなこと言って唯ちゃんに引かれるのが、嫌われるのが怖かった。

43: 2010/10/30(土) 21:59:16.80
私が黙っていると、唯ちゃんは「ムギちゃん」と私の手を握ってきた。

「朝、言ってたよね。ムギちゃん、寂しいって」
「え……?……うん」
「もしかして、やっぱり寂しいの?」

唯ちゃんの目が、私を真直ぐに射抜く。
嘘を見抜かれそうなほど、真直ぐな目。

「あのね、今日ずっと考えてたんだけど……ムギちゃん、本当に朝登校する人が
いないから寂しいの?」
「それは……」
「私ね、何でムギちゃんが寂しいのか理由がわかんないよ。わかったらムギちゃんの
ために何かしてあげられるのに……」

45: 2010/10/30(土) 22:17:59.17
唯ちゃんの顔が、見る見るうちに歪んでいった。
大きな瞳に、涙の粒が浮かぶ。

「唯ちゃん……」

握られた手を、私はぎゅっと握り返した。

自然と、言葉が漏れていく。
私は唯ちゃんに、話した。家のことも、自分の家族のことも。

「私ね、ずっとおかえりなさいって、お母さんやお父さんに言ってほしかった。
けど家にはほとんど帰ってこないから……会うことだって難しいくらい」

私がそう言って笑って見せると、唯ちゃんはまるで自分のことのように泣き出した。

「ゆ、唯ちゃん!?」
「わ、私もお母さんとかお父さんはよく家にいないけど……、憂がいてくれるし……
何も知らなかった、ムギちゃんのこと……!誰もいないなんてそんなの、寂しいに決まってるのに……!」

46: 2010/10/30(土) 22:20:12.80
唯ちゃんの頭を撫でながら、私が「でも、慣れてるから」と言うと、唯ちゃんは
「そんなのおかしいよ!」と首を振った。

「おかしいよムギちゃん……」
「唯ちゃん……」

唯ちゃんは泣き続けた。
泣けない私の代わりに。

やがて、優しい赤が保健室を染め始めたとき、唯ちゃんは涙を拭って
私を見た。

「ムギちゃん、家においでよ!」

51: 2010/10/30(土) 22:36:24.68
「……どういうこと?」

「家、私や憂しかいないけど……でも、ムギちゃんにおかえりっていえるよ!
ううん、私がムギちゃんにおかえりって言いたい!」

きらきらと輝く瞳で、唯ちゃんは。
私はどう返事したらいいかわからなくて、うんともううんとも言えずに唯ちゃんに
縋りつくように抱き着いた。

「ムギちゃん?」
「……唯ちゃん、私……」
「何も言わなくていいよ、ムギちゃん」

唯ちゃんの暖かな手が、私の頭をゆっくりと撫でていく。
それがとてもとても心地よかった。

53: 2010/10/30(土) 22:46:22.77

「それじゃーな」

りっちゃんと澪ちゃんが、続いて梓ちゃんがそれぞれの家へ帰って行った。
いつもなら私も、梓ちゃんと同じ場所で反対方向に曲がって駅に向かうけど、
今日は唯ちゃんの隣をずっと歩いた。

「なんか新鮮だねえ」
「そうね」

唯ちゃんがそう言って笑い、私も笑い返す。
何度も来てるはずなのに、見える景色全部が新鮮で気持ちよかった。
家には「暫く唯ちゃんの家にお世話になる」と言って連絡しておいた。

「ムギちゃんムギちゃん!憂にメールしたらね、今日はご馳走作って待ってるって!」
「別に気遣わなくてもいいのに……」
「いいのいいの!憂の作る料理は美味しいよー!」

89: 2010/10/31(日) 12:50:09.77
唯ちゃんは嬉しそうに笑いながら「楽しみだなあ」とスキップする。
私の心まで、いつも部室に入るときに感じるみたいに弾んでいく。

唯ちゃんの家の前に着くと、まるで見ていたかのように憂ちゃんが家から出てきた。

「お姉ちゃん、紬さん、お帰りなさい!」

お帰りなさいと言われた私は、嬉しさと驚きと、色々な感情が混じって、ちゃんと
「ただいま」って言いたいのに震える声になってしまった。

「早く入って!晩御飯の用意はもうできてるよ!」
「さっすが憂~!それじゃあさっそく……」
「手を洗ってから!紬さんも早く!」

「憂のケチ~」と唇を尖らせながら、唯ちゃんは家の中に入っていく。
憂ちゃんが私の背中を押して、中に入らせた。

90: 2010/10/31(日) 13:08:36.86
唯ちゃんが、多分洗面所のほうから顔を出して「ムギちゃんこっちー」と手を
振った。

「手洗わなきゃ憂にご飯食べさせてもらえないよー」
「え!大変、すぐ行くね!」

私は靴を脱ぐと、洗面所に向かう。
憂ちゃんが後ろで「そんなに急がなくてもいいですよ」と笑っていた。

手を洗ってリビングに行くと、確かに豪勢な料理が並んでいた。
クリスマス会や年末年始で何度か泊まったこともあるけど、こうして何もないのに
友達の家に泊まることは初めてな私は、わくわくもしていたけど少しだけ緊張した。

94: 2010/10/31(日) 13:47:51.70
「ムギちゃん、そんなに緊張しなくても大丈夫だよう」
「う、うん、そうだよね!」

唯ちゃんに言われて、私はふっと肩の力を抜いた。

「紬さんの口に合うかどうかわかりませんけど……どうぞ」

憂ちゃんがお茶碗にご飯をいっぱいよそって私に渡してくれた。
ありがとう、とお礼を言って受取る。
私は一口食べると「美味しい!」と憂ちゃんを見た。
憂ちゃんは嬉しそうによかったです、と言って他のものも勧めてくれた。

一人で食事するより、やっぱり誰かと食べるほうが、
どんな料理でも美味しく感じさせる。
いつも家に居るシェフが作る料理とは違ったけど、とても温かくて本当に
美味しいと思った。

95: 2010/10/31(日) 13:58:01.21
ご飯を食べ終えると、唯ちゃんが私を唯ちゃんの部屋に誘ってくれた。
けど、その前に何も泊まらせてもらうお礼を持って来ていなかった私は、せめて
何か手伝わなきゃと思って憂ちゃんのお皿洗いを手伝わせてもらった。

「別に私一人でも大丈夫ですよ?」
「いいのいいの!美味しい料理いっぱいご馳走になっちゃったし、これくらいは
させて」

申し訳なさそうな憂ちゃんにそう言うと、「気にしなくていいのに」と言いながらも
私に仕事をくれた。憂ちゃんの洗ったお皿を布巾で拭いて、食器棚に戻す。
それを数十分かけて終わらせると、唯ちゃんが待っていたように駆け寄ってきて
私の手を引いて二階に駆け上がった。

「ムギちゃん、私の部屋で遊ぼう!」
「お姉ちゃん、もう夜だからギターとかあんまり大きな音たてちゃだめだよー?」
「はーい」

下から聞こえた憂ちゃんの声に、唯ちゃんは元気よく返事した。

97: 2010/10/31(日) 14:07:46.15
唯ちゃんの部屋に入るのは久しぶりだった。
そういえば、唯ちゃんの家に来ること自体、久しぶりじゃないかな?
そう思いながら部屋を見回していると、唯ちゃんがごそごそとギターケースを
開けてギターを取り出した。

「ムギちゃんムギちゃん、一緒に何か演奏しようよ!」
「え、でも私楽器ない……」
「あ、そっかあ……」

唯ちゃんが残念そうに呟いた。
そして、ジャーンと一度だけギターの玄を震わせると、「そうだ!」と声を上げた。

「私がギター弾いて、ムギちゃんが歌えばいいんだよっ!」

99: 2010/10/31(日) 14:15:02.51
「……え、けど……」

唯ちゃん、さっき憂ちゃんにギター弾いちゃだめって言われてなかった?
けど唯ちゃんは、そんなこと忘れたというように「やろうよやろうよ!」と言って
私を甘えるような視線で見る。

そんな目をされたら断るわけにはいかないよ。

「私、歌、上手くないよ?」
「大丈夫だよ!ムギちゃん声綺麗だし。それに一度、ムギちゃんの歌声、
聴いてみたかったんだー」

唯ちゃんは嬉しそうにそう言って、ギターをかき鳴らし始めた。

101: 2010/10/31(日) 14:19:31.95
「この曲は……ふわふわ時間!」
「さすがムギちゃん!」

唯ちゃんの手が、何度もストローク。
確かなメロディーを紡いでいく。

唯ちゃんが、私を催促するように歌いだす。
私もそれに合わせて歌った。
唯ちゃんと私の声が溶け合って、ハーモニーが生まれていく。

気持ちいい!
ぞくぞくするくらい、それが気持ちよかった。

下から憂ちゃんが怒った顔を覗かせるまで、私たちは歌い続けた。

119: 2010/10/31(日) 21:46:17.14
憂ちゃんが怖い顔で私たちを注意しに来ると、私と唯ちゃんは必氏になって謝った。
そうすると、憂ちゃんは私たちの頭を撫でて「しょうがないなあ」と笑って許してくれた。

憂ちゃんが部屋を出て行くと、私たちは「そろそろ寝ようか」という話になり、
唯ちゃんは押入れから布団を出そうと立ち上がった。

「あ、私も手伝うね!」
「うん、ありがとー」

一緒に重い布団を唯ちゃんのベッドの傍に置くと、唯ちゃんは「疲れたー」と
布団をちゃんと敷くまえに寝転んでしまった。
私もその横に寝転んでみる。部屋の電気がチカチカと少し眩しかった。

120: 2010/10/31(日) 21:50:31.41
「あーなんかもうこのまま寝ちゃってもいいやー」
「だめだよ唯ちゃん。風邪引いちゃう!それに唯ちゃんはベッドで……」
「ムギちゃんが私のベッド使っていいよー」

唯ちゃんが腑抜けた声で、そう言った。

「でも今寝ちゃったらお風呂入れないよ?布団敷いてからお風呂入るんだったよね?」
「……、そうだった」

私の言葉に、唯ちゃんはしばらく沈黙すると、のっそり起き上がった。
ちょうど、憂ちゃんが「お風呂沸いたよー」と下から叫んだ。

「唯ちゃん、お風呂どっちが先に……」
「ムギちゃん、一緒に入ろうよ」

122: 2010/10/31(日) 22:01:24.76
唯ちゃんは、さっきまでとはうってかわって元気な声になると、私をそう誘った。

……えっと、一緒に?

「ででで、でも唯ちゃん……!」
「だいじょーぶだよムギちゃーん、合宿だって一緒に入ってたもん」

私の反応が楽しかったのか、唯ちゃんは凄く楽しそうに笑いながら言って、
「行こう」と私の手を引っ張り浴室まで連れて行った。

「けどいざ二人っきりでこうしてると、なんか妙に恥ずかしいね」
「えぇ……」

私たちはお互い、相手を見ないようにしながら背中合わせで服を脱いだ。
唯ちゃんが「それじゃあ先に入ってるね」と浴室のドアを開けて中に入った。
私もその後すぐに、唯ちゃんの後に続いた。

「わあ、唯ちゃんのお家のお風呂って広いのね!」

123: 2010/10/31(日) 22:06:16.84
「えー、そんなことないよー?ムギちゃんの家のほうがきっともっと……」

唯ちゃんはそこまで言って黙り込むと、突然「ごめん」と謝ってきた。
私はその理由がわからなくて、どうしたの?と訊ねた。

「えっと、ムギちゃんが家にいる間は出来るだけ、ムギちゃんも私たちの家族の
一員みたいに過ごしてもらおうってて……。ムギちゃん家の話のこととか
もで切る限りしないでおこうって思ってて……」

唯ちゃんはそう言って申し訳なさそうに私を見た。
その表情がさっきお皿を洗わせてもらったときの憂ちゃんの顔とそっくりで、
思わず笑ってしまった。

「そんなこといいよ、唯ちゃん。気にしないで」
「そ、そう……?あ、ムギちゃん、早く入って入って!寒いでしょ!」

124: 2010/10/31(日) 22:12:54.35
唯ちゃんは浴槽から手を出して私を招いた。
浴槽に身を浸すと、温かいお湯が私の全身を温めてくれた。

「あー、気持ちいいねえ、ムギちゃん……」
「うん……」

二人でしばらく温かい時間を満喫する。
けど、さすがに10分もしたらのぼせてきてしまった。

「唯ちゃん、私そろそろのぼせてきちゃった……」
「え!それじゃあ頭洗おっかー。ムギちゃん、私が洗ったげる!」
「ほんとー?じゃあお願いしちゃう」

唯ちゃんは「任せて!」と胸を叩くと、私をシャワーの前に座らせた。

126: 2010/10/31(日) 22:22:01.65
唯ちゃんの手が、私の髪を梳いて行く。
頭をマッサージするように手を動かしていくので、うっかり眠りそうになってしまう。

「唯ちゃん、洗うの上手いねえ、美容院で働いたって大丈夫なんじゃない?」
「えへへ、そうかなあ?」

唯ちゃんが嬉しそうに笑って「じゃあほんとになってみようかな」と言って手を
動かし続ける。
シャンプーを泡立て、髪を丁寧に洗っていく。

「ムギちゃんの髪ってすごい綺麗だよね」
「そうかな?」
「うん、すっごい!私も髪伸ばしてみたいんだけど、ちょっと無理そう。お手入れとか
も大変そうだし……」

127: 2010/10/31(日) 22:29:30.48
それならいっそ、りっちゃんみたいにオデコ出しちゃったら?と言うと、唯ちゃんは
それだけはだめ!と首をぶるんぶるんと勢いよく振った。

シャワーで泡を落とすと、唯ちゃんは「よし、終わり」と言ってへなへなと
してしまった。

「ちょっと頑張りすぎちゃったよー」
「それなら今度は私が頑張る番ね!唯ちゃんの髪洗う!洗いたい!」
「えー、別にいいよー」
「遠慮しないで!」

唯ちゃんがそれなら、と言ってさっきとは逆に私が今まで座っていたシャワーの前に
座った。

唯ちゃんの髪も、少しだけ癖があったけど、綺麗な髪だった。
りっちゃんや梓ちゃんの髪みたいにさらさらでもないし、澪ちゃんみたいに艶もない
けど、私は唯ちゃんの髪にいつまでも触れていたいと思った。

130: 2010/10/31(日) 22:34:01.76
「はい、終わり」
「ムギちゃんありがとー。いつもの倍きれいになった気がするよ」
「どういたしまして」

ふふふ、と笑い合う。
なんかいいな、って思った。誰かの髪を洗うのも、誰かに洗ってもらうのも。


お風呂を上ると、憂ちゃんが冷たいアイスクリームを用意してくれていた。
パジャマは唯ちゃんのものを貸してもらった。

「憂ー、太っ腹~」

唯ちゃんが嬉しそうに憂ちゃんに抱き着く。

133: 2010/10/31(日) 22:41:30.25
「もう、お姉ちゃんったら。けどちょっとだけしか食べちゃだめだよ?太っちゃうよ?」
「わかってるもん」

唯ちゃんはぶーと頬を膨らませながらも早速お皿に盛られたアイスをつついている。
憂ちゃんが「紬さんも早く食べちゃってください!」と私を手招いた。

「あ、そうだういー」

アイスを三人で食べながら、唯ちゃんが突然思い出したように言った。

「なに、お姉ちゃん?」
「今はね、ムギちゃんのこと紬さんじゃなくってムギお姉ちゃんって呼んだら?」
「え!」

声を上げたのは憂ちゃんじゃなくって私だった。
私が憂ちゃんに「お姉ちゃん」って呼ばれるなんて……。

158: 2010/11/01(月) 12:03:15.49
紬はお嬢様でなんていうかよく世間を知らないみたいだ
俺はというとその正反対で極平凡な毎日を過ごす一般人だ自慢じゃないぞ
ある朝いつものように学校へ登校した
距離が結構あったから学校側から自転車通学が許されてたから風のごとく漕いだねまぁ当たり前だが風にはなれないよほんとによい子のみんなは信じちゃだめだぞ
近くに友達もいなかったからいつも一人狼での爆走だったよ
そんなわけで学校へ無事到着すると下駄箱の中には何と夢が置いてあったんだ
携帯やらパソコンやら等々便利な機械が充満してるこの世の中で手紙があったんですよこれはさすがに驚いたね
どうせ人間違えだろとかなぜか唐突に思ってねそれをこっそり隣の下駄箱に潜ませておいたのさ

そうさ俺はみての通り何も取り柄もないくそまじめな高校生だこんな奴好きになんのは図書委員ぐらいだねっと
テクテクと教室に向かうが一つ謎ができた
なぜか校舎内全員女ばかりだ男なんて類人猿もどきはおれぐらいしかいないのだと悟り始めたのは一生で初めてのことだ
おかしいなとは内心疑問に思いつつも自分のクラスへと足を延ばした
だがそこはパラダイスだった夢の国だったとはこの時の俺はちょっぴりだけ期待はしてたけど思いもしなかったのであった

160: 2010/11/01(月) 14:33:22.86
おいまだかいい加減にしないとむぎゅるぞ

165: 2010/11/01(月) 16:05:40.69
してくれてる奴だっているってことだよ言わせるな

166: 2010/11/01(月) 16:39:23.35
「ムギお姉ちゃん?」

憂ちゃんが首をかしげながら訊ねるようにして「お姉ちゃん」と言った。
嬉しいような、照れ臭いような、そんな気持ちで思わず「うふふ」と笑ってしまった。

「もう、ムギお姉ちゃん笑わないでよう」

憂ちゃんが頬を膨らませる。それでまた私は笑ってしまう。
いつのまにか、憂ちゃんの口調が敬語じゃなくなっていた。

「なんだかほんとの姉妹みたいだねー」

唯ちゃんがアイスを舐めながら微笑んだ。


167: 2010/11/01(月) 16:49:23.37
気が付くと、いつのまにか夜遅くなっていた。
明日も学校があるからと、私たちは部屋に戻った。
憂ちゃんとは二階の階段を上ったところで別れ、唯ちゃんの部屋へ。

「ばっふーん!」

部屋に入るなり、唯ちゃんは謎の言葉を発してベッドに倒れこんだ。
唯ちゃん曰く、「テンションが高いときに出る擬音語」だそうだ。

「だって、ムギちゃんと二人だけで寝るのって初めてでしょ?だから嬉しくって」

嬉しいのは私だって一緒。
けど、唯ちゃんも嬉しいと言ってくれてその倍嬉しくなった。

さっき敷いた布団に寝転ぶと、唯ちゃんが突然私の横に潜り込んできた。

168: 2010/11/01(月) 16:59:46.57
「唯ちゃんの身体、暖かいねー」
「そう?」

そろそろ肌寒くなってきた季節で、アイスを食べたせいか冷えてしまった身体が、
唯ちゃんの体温で暖められていく。

「今日はムギちゃんの隣で寝ちゃおうかなー」
「どうぞどうぞ」
「じゃあそうしちゃおー!」

唯ちゃんは上半身だけを起こすと、ベッドから枕を引きずり落とすと私の枕の
隣にばさりと音をたてて置いた。
唯ちゃんがそのまま、その枕にダイブしたので私もうつ伏せに寝転がった。

「ムギちゃん、なんだか嬉しそうだねえ」

唯ちゃんは足をパタパタさせながら、私の顔を見てにこにこした。
そういう唯ちゃんだって嬉しそう。

「そうかな?」

170: 2010/11/01(月) 17:06:45.20
「うん、すっごい嬉しそう!」
「誰かと一緒の布団で寝るの、初めてだから、かな……」

私が眠るときはいつも一人だった。ずっと幼い頃から。
斉藤が私が眠りに落ちるまで傍にいてくれたけど、それでも私は寂しかった。
一度でいいから、両親の温もりに包まれて眠りたいと何度も思った。
結局それは、今まで叶わなかった。だけど、両親ではないけど、大切な人が
私の傍にいてくれる。

だから私は、唯ちゃんの言う通りすごく嬉しくて、すごく安心できた。

「そっか……。ふふっ」

唯ちゃんは突然笑い出すと、布団の中に手を入れてぎゅっと私の手を握ってきた。
そして、温かい何かが足に触れた。唯ちゃんの足だった。

「ムギちゃんの足冷たいねー!」
「唯ちゃんの足は温かいよ」
「でしょー?だから私が温めてあげる!」

172: 2010/11/01(月) 17:13:33.24
唯ちゃんはそう言うと、両足で私の足を挟んで擦り合わせてきた。
摩擦で、足がだんだん温かくなってくる。

「温かいねえ……」
「へへっ、私も温かくなってきた!」
「唯ちゃんは元々温かかったよ?」
「違うよー、足はそうだけど、身体は寒かったんだよ!?」
「そうなの?」

そんなどうでもいいような会話を続ける。
それなのに、私たちは何がツボにはまったのかもわからないまま、笑い転げた。
楽しくて楽しくて仕方がなかった。

こんな夜は、初めてだった。

184: 2010/11/01(月) 21:30:00.52
「そろそろ寝ようかあ……」

日付が変わった頃、私たちは漸く話のネタがなくなり静かになった。
けど、目は冴えていて中々眠れない。
隣から、規則的な息遣いが聞こえてきた。

唯ちゃん、寝ちゃったかな。

そっと首を動かして横を見てみた。
すると、暗がりの中、唯ちゃんと目が合った。

「ムギちゃんも起きてたんだ」
「うん、なんだか眠れなくって……」

185: 2010/11/01(月) 21:34:33.10
紬ー俺だー結婚してくれー

187: 2010/11/01(月) 21:40:08.00
「そっか……」

唯ちゃんが目を伏せた。
そして、もぞもぞと身体を動かして私のほうに擦り寄ってきた。

「唯ちゃん?」
「私、おかしいのかも」
「何が?」

訳がわからずに訊ねると、唯ちゃんは「だって」と言って寂しそうに笑った。

「ムギちゃんがどれだけ寂しかったのかなって想像すると、私まですごく寂しく
なってきて……」

何でだろ、と唯ちゃんは私の胸の辺りに顔を埋めながら呟いた。

189: 2010/11/01(月) 21:52:59.08
何も掛ける言葉が思いつかずに、「……ごめんね、唯ちゃん」と謝ると、
唯ちゃんは「違うよ」と遮った。

「違うの、ムギちゃん。ムギちゃんが謝るとこでも、お礼言うとこでもないんだよ。
だって、こんなのって私の自己満足だもん。わかってる。本当のムギちゃんの
寂しさなんて、私わかんないから」

「唯ちゃん……」

「でもね、それでもやっぱり、想像するだけでも苦しくなっちゃうんだ……。
私の家だってよく両親も出かけてるけど、それでも小さい頃はずっと一緒にいてくれた
し、今だって憂もいてくれる。だけどムギちゃんはずっと一人なんだよね?」

190: 2010/11/01(月) 21:59:06.10
唯ちゃんはそこで言葉を切ると、視線を上げた。
けど、目は合わなかった。
合わせてくれなかった。暗いのに、唯ちゃんの目が少し光って見えた。

「私、名前が“唯”のくせに、一人が苦手なの。ずっと誰かと一緒じゃなきゃ
怖くて。けど、皆がいてくれたら私はすごく幸せ。だからね、ムギちゃんの話聞いた
ときも、今だって、物凄く不安になって……」

「うん……」

「誰もいないなんて、嫌だよね。寂しいよね」

唯ちゃんの声が、だんだん震えてくる。
私は小さく首を振ると、ぎゅっと唯ちゃんの背中に手を回した。

191: 2010/11/01(月) 22:03:11.89
「寂しくないよ、今は……。唯ちゃんがずっと傍にいて、私の為に泣いて
くれてるから……」

寂しくない。だから唯ちゃんも泣かないで。
今夜だけでも、こうやって誰かと一緒の布団で眠れることが私は幸せだから。

唯ちゃんは、私の腕の中で泣きじゃくった。
隣の部屋にまで聞こえるんじゃないかというくらい。
きっと、唯ちゃんの泣き声が聞こえたら、憂ちゃんはすぐに飛んでくる。

「唯ちゃんはいいなあ……」

唯ちゃんの頭を撫でながら、私は呟いた。

192: 2010/11/01(月) 22:06:08.76
「え?」
「……唯ちゃんは、皆に愛されてるから」

皮肉でも嫌味のつもりでもない。
ただ、純粋にそう思った。

だから唯ちゃんは、こんなにも誰かの為に泣ける、優しい子になったんだと
思う。

「ムギちゃんだって、皆に愛されてるよ!」

唯ちゃんは涙を拭いながらはっきり言った。

193: 2010/11/01(月) 22:12:44.97
「皆、皆ムギちゃんのこと、大好きだもん、絶対にムギちゃんのお母さんやお父さん
だってそうだよ、私だって、ムギちゃんのこと大好きだもん……!」

唯ちゃんは突然ガバリと布団を跳ね上げ起き上がった。

「ムギちゃんだって皆が好きなように、皆だってムギちゃんのことが大好きで……」



寂しかった。
悲しかった。
結局、どこにも自分の居場所がないような気がしていた。

軽音部でだって、りっちゃんと澪ちゃんはいつでも仲が良いし、唯ちゃんと梓ちゃんだって
そう。私はその四人が楽しそうにしているのを見ているだけでよかった。最初は。
けど、いつのまにかその中に入りたいと思っている自分が居た。

家でも、学校でも、私はずっと、一人な気がしていた。
必ず誰かが傍にいてくれるのに、私はずっと一人だと思っていた。

私は愛されて無いんだって、心のどこかでへそを曲げていたのかも知れない。

197: 2010/11/01(月) 22:25:00.11
唯=俺
紬=嫁

199: 2010/11/01(月) 22:29:32.76
>>198
>>198
>>198
>>198
>>198

200: 2010/11/01(月) 22:38:25.58
だから気付かないふりをした。
皆の笑顔に、皆の温もりに。

自分の心の中に、閉じこもっていただけだった。
高校生になったら、自分の殻を破ろうと思っていたのに、結局何も変わって無い。


「唯ちゃん、私、ほんとはね……」

「え?」

「寂しかったのもあるけど、唯ちゃんや梓ちゃんや、りっちゃんや澪ちゃんを見て、
誰かに愛されたいな、なんて変なこと、思ってたの」

唯ちゃんが、驚いたように私を見た。
私は身体を起こすと、何も声を発さない唯ちゃんと向き合った。

201: 2010/11/01(月) 22:51:48.11
「バカだね、私……」

私は笑った。
初めて、目頭が熱くなって、私は慌てて上を向いた。

「ムギちゃん……」
「ごめんね、唯ちゃん、私が変なこと言って……」

唯ちゃんは「ううん」と首を振ると、私に抱き着いてきた。
今度は、ちゃんと、しっかりと。

「大丈夫だよ、ムギちゃん。……大丈夫。みーんなムギちゃんのこと愛してるよ」

「うん、ありがとう」

「私も、ムギちゃんのこと、大好きだから」

「……うん、私も」

203: 2010/11/01(月) 22:57:03.94
唯ちゃんのこと、大好き。

目が合う。私たちは笑い合う。
やっと、通じ合えた気がした。

放課後の部室を、学校を、教室を、広々とした自分の家。
りっちゃんや澪ちゃんや梓ちゃんや。クラスメートや先生、皆の顔。
全部全部、頭に思い浮かべる。

皆温かくて優しかった。

もうきっと、大丈夫。
明日から、どんな朝も夜も、私は寂しくないよ。

皆が、唯ちゃんが、ちゃんと私の傍にいるから。

終わる。

204: 2010/11/01(月) 22:58:26.54
何かもうぐだぐだとごめんなさい。
やっぱ地の分で書くのやめようか……。
とりあえず、最後まで読んでくださった方ありがとうございました!


206: 2010/11/01(月) 23:02:25.96
ムギちゃんマジ天使

207: 2010/11/01(月) 23:04:42.56
乙。唯紬は至高。

引用元: 紬「愛して愛されて」