1: 2015/11/22(日) 23:05:59.468
L「これを加えるとこうなります。『えるしっているかりんごしかたべない氏神は手が赤い』」

月(……フェイクだ。この4枚目は僕が犯罪者に書かせたものではない……それにこの文章は明らかにおかしい)

月(僕の反応を探っているのだろうが、キラの質を落とすような間違いを無視するのも癪に障るな)

月(さりげなく指摘してみるか……)

月「流河。この4枚目は、本当にキラの手によるものなのか?」

L「……どういうことですか?」

月「これまでのキラの同行から考える限り、彼はそうとう頭が切れる。そんな彼が、こんな間違いを犯すとは思えない」

L「間違い……? この写真に何か気になる点がありましたか?」

月「ああ。プリントナンバーで並べて繋げたものが本当にキラの意図したメッセージなのだとしたら……」

月「『林檎しか食べない氏神は手が赤くなる』ということをLに伝えようとしている、ということになる」

L「そうなりますね」

月「おかしいじゃないか」

L「……何がですか?」

月「いくら林檎しか食べないといっても、手は赤くならないだろう」

L「…………」

5: 2015/11/22(日) 23:11:13.394
月「たしかに林檎は赤い。だけど皮の色が掌に移るなんてことは有り得ない。これは実際に触れてみれば分かる」

月「みかんの食べ過ぎで掌が黄色くなる話はよく聞く。あれはみかんの色素であるカロテノイドが原因だ」

月「柑皮症って言ったかな。色素が体内に溜まって起きる現象で、ニンジンなんかでも起こるらしい」

月「林檎にもカロテノイドは含まれているが、微量だし、食べ過ぎて掌が赤くなったなんて話は聞いたことがない」

月「つまり、いくら氏神が林檎しか食べないからといっても、掌が赤くなることはないんだ」

L「…………はい。それで?」

月「………………」

月(なんだこいつ……本当に馬鹿なのか?)

月「今説明したんだけど、わからなかったかな」

L「えっと、おかしい点というのは、つまり」

月「林檎をいくら食べても掌は赤く染まらないのに、氏神の手が赤いと言い切るのは明らかな間違いだってことさ」

L「はぁ……なるほど」

L(どういうことだ……夜神月……単にズレた感覚の持ち主なのか……?)

月(林檎の食べ過ぎで手が赤くなるなんて小学生並みの発想だ……こんなやつがキラ捜査に関わっているなんて)

月(日本警察はキラ事件を軽視しているのか……? 喜ぶべきか、憤るべきか……)

8: 2015/11/22(日) 23:17:08.592
L「林檎の食べ過ぎで掌が赤くはならないことは分かりました。でも、もっと変ところがあると思いませんか?」

月「他に…………? いや、気づかなかったな」

L「そもそも、氏神という存在に言及していること自体が、あり得ないと思います」

月「……!?」

L「夜神くんは、その点についてはおかしいと思わなかったんですか? もしかして氏神の存在を信じているとか……?」

月(こいつ……、もしかして……! そうか、なるほどな……4枚目のフェイクは氏神の存在の有無を確かめるため……!)

月(氏神の存在に感づいている……? まさか、だとしたらノートの存在にも辿りつきかねない……)

L「……夜神くん?」

月(落ち着け……たとえそうだとしても、僕が氏神の存在を知っていることを否定すればいいだけの話だ)

月「ハハハ。そんなわけないだろう。おかしいとは思ったよ。有り得ない、氏神なんて。絶対にね」

月「だからあえて言及しなかっただけさ。氏神ってのは、何かの比喩じゃないかな。あるいは、警察をからかっているだけとか」

L「…………はい。私もそう思います。だからこそ、問題視しませんでした」

L「明らかに挑発ですから。お遊びのつもりでしょう。正直、メッセージの内容はどうでもいい」

L「でも、夜神くんは『手が赤い』という点に対して異様なこだわりがあったようなので、少し……気になりました」

月(…………こいつ)

9: 2015/11/22(日) 23:23:42.884
L「正直に言ってください。絶対に笑いませんから。実は氏神の存在を信じてたりしません?」

月「ハハ、冗談きついな。何度も言わせないでくれ、氏神の存在を信じるなんて有り得ないだろう」

L「有り得ないってことは…………信じている人もたくさんいると思いますけど」

月「そりゃいるだろうけど、僕は違う。実際に目で見たものしか信じない主義だから」

L「そうですか……。それで、夜神くんの見解は私と同じで『いたずら』ということでいいですか?」

月「ん……このメッセージのことなら、まあ、そうだろうね」

月(実際、これに深い意味など無い……でもこのままこいつの意見に同意するのもつまらないな)

月「ただ、まったく無意味ってこともないと思うよ」

L「このメッセージには意味があると?」

月「キラにまつわる一連の事件は典型的な劇場型犯罪だ。ここまで事が大きくなると、犯人も舞い上がる」

月「そういう奴は自分の優位性を示すために、警察へ向けて何かしらヒントを残すことが多いんだ」

L「過去に例はありますね。そして、そのヒントがきっかけで捜査が進展することがある」

月「無意味と決めつけて切り捨てるのは、早計だと言わざるを得ないだろう?」

L「たしかにそうですね。もう少し、このメッセージの意味を考えてみます」

10: 2015/11/22(日) 23:29:51.992
L「ですが……やはり何の糸口も無いと、どうにも」

L「夜神くん。何か思いつくことはありませんか? このメッセージに隠された意味について」

月「うーんどうだろうなぁ」

月(フフフ、馬鹿なやつだ。そうやって無意味な課題に向き合って頭を捻っていればいい)

月「隠されたメッセージねぇ……うーん」

月(テキトーにあしらって、もっと混乱させてやるか……)

月「やっぱり色が重要なんじゃないかな。掌が赤くなるという非現実的なことをあえて書いているわけだし」

L「なるほど。赤……赤ですか……」

月「赤ばかりに注目するのも視野が狭まって良くないな。他の色にも注目しないと」

L「赤以外ですか?」

月「黒も重要だろう。黒い掌が赤になる……この変化に深い意味があると思う」

L「黒から赤…………?」

月(悩んでいるな……フフフ)

L「あの、ちょっと質問があるんですけど」

月「なに?」

12: 2015/11/22(日) 23:35:43.725
L「一般的に知られている氏神って、どういう姿をしていると思いますか?」

月「氏神の姿……? そうだな……骨がローブを羽織って、鎌を持ってる……みたいな」

月「我ながらありきたりだけど、ハハハ。それで、それがどうかしたの?」

L「いえ……ちょっと変だなと思っただけです……」

月「変? 何が? 僕の氏神のイメージっておかしいかな」

L「普通だと思います。氏神と言えば、やっぱり骨ですよね」

月「だろう?」

L「はい。真っ白い骨です。きっと、掌も白いはずなのですが……」

月「…………!」

L「夜神くんは氏神の掌が黒から赤へ変化すると言いました。今話してくれたイメージと矛盾しますね」

月「……」

13: 2015/11/22(日) 23:41:35.649
L「夜神くんは『実際に目で見たものしか信じない主義』なんですよね」

L「もしかして、掌が黒い氏神を見たことがあるんですか?」

月「……」

L「……夜神くん?」

月(こいつは危険だ……今ここで頃すしかない……)

月「なあ流河。こうして知りあえたんだから、連絡先を交換しないか?」

L「え? あ、はい。いいですよ」

月「じゃあ、このメモに名前と連絡先を書いてくれ。あ、フルネームでね」

月「僕は電話帳にフルネームで登録しないと気が済まないたちなんだ」

L「そうですか」

月(……そのメモはデスノートのページを破いて持ってきた一枚だ……!)

月(頃す相手に自ら名前を書かせる……フフフ、こういう馬鹿相手なら楽にできる)

15: 2015/11/22(日) 23:47:06.493
L「それじゃあ、夜神くんの連絡先はこれに書いてください」

月「ああ」

カキカキ

月(書いてる書いてる。『流河旱樹』……へぇ、あの有名人と本当に同じ名前なんだな)

月「はい、書いたよ」

L「こちらも書きました。どうぞ」

月「ああ」

月(あと30秒ってところか?)

L「月と書いてライトですか……面白いですね」

月「そう?」

チラチラッ

月(あと10秒……!)

L「あの、さっきからやけに時計を気にしてますね」

月「ん? まあね……もう残り時間が少ないからネタばらしをするけど……僕がキラなんだ」

L「……えっ、そうなんですか?」

16: 2015/11/22(日) 23:53:38.185
月「冗談だと思ってる? 残念だけど、本当だ。身をもって知ると思うよ。あと5秒で」

L「……?」

月「3、2、1……! ぐおおおおおおおおおおおおおおおあああああああああっ!!!!!!!!!」

ドサッ

L「や、夜神くん!?」

月「うあああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!」

月(な、なんだ……!? 胸が苦しい…………!?)

月「うがぁ……あぁぁ……」

リューク「おい、月。さっき流河がお前に渡した紙切れ、デスノートの切れ端だぞ」

月「なっ……!?」

リューク「お前から渡された紙を半分に破って、片割れをお前に渡したんだ。気づかなかったのか?」

月「よく…………見て……なかっ………………た……………」

ガクッ

L「……………訳が分からない」

END

引用元: L「不正解です。実は4枚目の写真があるんです」月(なに……?)