2: 2011/01/04(火) 18:36:54.86
佐天「壁を生み出す能力・・・?」

先生「ああ。これでお前もついに能力者だ。念願の夢が叶ってよかったな!」

佐天「でも、壁を作るだけの能力ってその・・・あまりにも微妙じゃないですか?
   もっとこう神秘的な・・・例えば空力使いとかの方が良かったなぁ、なんて・・・」

先生「まぁ、実際昔の見立てではお前は空力使いに分類される傾向はあったんだがな。
   身体検査の機材が新調されてからもっと詳しく調べられるようになった結果がこれなんだ、こればかりは仕方ないさ。
   しかしな、風を作るのも壁を作るのもそう変わらんよ。」

佐天「一字違いですし?」

先生「そういう意味じゃあない。そもそも風を作り出すというのは気流の操作によるものだ。
   ではその気流を操作するとはどういう仕組みだろうか。
   簡単に言ってしまえば温度の差、地形の差、その他の要因など含めた多様なケースを擬似的に作り出しているだけなのさ。
   “ここにこういった風を生み出す為の状況を作ろう”それが大体の基本さ。
   専門家じゃないからあまり断言は出来んがな。」

佐天「それはなんとなく分かりますけど。」

先生「先生はな、個人的な意見なんだがお前の能力もこれとあまり変わらないと思うんだよ。
   “ここにこういったものを遮る為の壁を作ろう”それが今のお前の能力な訳だ。
   例えばお前の周りに温度を遮る壁を作るとする、すると徐々に壁の向こうとこちら側で温度が著しく変化する。
   温度差を埋めるために空気が流れ込む。
   ・・・これで風が生まれないか?」

佐天「あっ!」

3: 2011/01/04(火) 18:38:01.02
先生「幻想御手の例も聞いているが、あれも多分この能力のおかげだったんだと思うぞ。無意識だったとは思うがな。
   つまりだな、こんな能力と悲観せずにもっと前向きに考えてみろ。きっと考え付く以上の利点が溢れてくるはずさ。
   そして頑張っていけば、高位能力者も夢じゃないと思うぞ。」

佐天「はい、わかりました!私、頑張ってみます。」



佐天「と言ってはみたものの・・・漠然とし過ぎなのよね、これ。
   例えばこの空き缶と同じ座標に壁を作ると・・・」スッ

カタン、カラカラカラ…

佐天「特に傷ついたり拉げたりすることもなく壁に押し出されて転がるだけ。
   じゃあこっちの自販機と同じ座標に壁を設置してみると・・・」スッ

シーン

佐天「びくともしない。これってまだレベルが低いから?それともレベルは関係なくこの能力の限界?
   重さが問題ってこと?・・・うーん、なんかよくわかんないなー。」

初春「佐天さん、何を唸ってるんですか?」

佐天「あっ、初春ー。それがさぁ、せっかく手に入ったこの能力、1週間経った今でもまだ良くわからないんだよねー。」

初春「壁を生み出す能力、でしたっけ。何系に属する能力なのか、それが分かれば良いんですけどね。」

4: 2011/01/04(火) 18:39:04.87
佐天「この“壁”自体がどういう性質なのかもよく分かんないしねえ。」スッ

初春「うひゃぁ!能力でスカートを捲らないでください!!」

佐天「初春のスカートを持ち上げる為の壁を作る能力!なーんて。
   ほら、ジュースあげるからこれで機嫌直せー。」

初春「ありがとうございます。あ、もしかしてまた当たったとかですか?」

佐天「その通りー。いやあ、なんか最近運が良くってさあ。
   しかし、初春のパンツを拝む為のジュースに困らないってのはいいよねえ。」スッ

初春「って、なんでまたスカート捲ってるんですかぁー!!」



黒子「あなた達、こんな公衆の面前で何を馬鹿なことをやっていますの?」

御坂「アンタが言えることじゃないでしょうが。」

佐初「「御坂さんと白井さん。こんにちは。」」

御坂「佐天さんが能力を手に入れてから1週間かぁ。どう?あれから。」

佐天「それがですね、いまだにどういう風に使えばいいのかよく分かってないままなんですよー。」

黒子「まぁ、簡単に言えば防御するのがメインの能力ですしね。となれば能力を解明出来る機会も少なくなるのは当たり前。
   シンプルな割りになかなか奥が深いと言いましょうか。」

6: 2011/01/04(火) 18:39:51.68
御坂「つまり能力をふんだんに振舞える場が必要ってことよね。なら佐天さん、あたしで良かったら練習台になるわよ。」

黒子「能力をふんだんに振舞いたいのはお姉さまの方に見えますの。」

御坂「そ、そんなこと、ないわよー?」

佐天「お気遣いは嬉しいんですがー、その、御坂さんクラスになると流石に威力が気になるというか、なんというか。」

御坂「勿論出力は抑えるって。」

初春「となると今度は佐天さんの能力を充分に発揮できなくなると思いますね。」

一同「「「「うーむ・・・」」」」



上条「あれ?あそこにいるのはビリビリ、とその友達か。おーい!」

御坂「あら、アンタは・・・・・・はっ!これって使えるかも!!」ピーン

黒子「お姉さまの考えていることが手に取るように分かりますの。」

佐初「「左に同じく。」」

上条「なんだなんだ?」

7: 2011/01/04(火) 18:40:44.24
──────────
───────

上条「成る程ね、俺がサンドバッグに・・・じゃなくてビリビリと俺が能力で闘って、佐天さんがそこに壁を作って性質その他諸々を調べるという訳ですか

。」

佐天「あの、私のためにこんな危ないことしなくてもいいんですよ??」

上条「だーい丈夫、上条さんにはこの右手がありますからね。」

初春「異能の力なら何でも消せる能力、でしたっけ。」

御坂「そうそう、これならだーれも怪我しないし、極めて安全な実験方法でしょ?」

黒子「傍から見れば極めて危険な実戦方法ですの。」

御坂「それじゃあ行くわよ!」ニコニコ

ソレーッ! バリバリバリ
ヒイイイイイイ バチバチ ドガァン!

佐天「えーっと、御坂さんと上条さんの間に壁を・・・動き回るからやりにくいなぁ。」

初春「上条さーん!あまり動かないでくださーい!」

ソンナムチャナアアア
オラァッ!

黒子「何という恍惚な表情。カメラを持って来るべきでしたわ。」

9: 2011/01/04(火) 18:41:46.40
カンネンシロォ!
イヤアアア

佐天「ここだっ!」

バチバチバチ…プスン

上条「うおっ!すげぇ、右手で触れてないのに電撃が消えた!」

御坂「甘ぁい!」

ズガァ… ーーーン!!

初春「レールガンが貫通した!?」

上条「あっぶねぇ!右手が間に合わなかったが外れてくれて助かったぁ・・・」

黒子「完全に貫通したわけでは無さそうですわね。コインだけが通り抜けたような感じに見えましたわ。」

初春「確かに威力も御坂さんのいつものより落ちてますもんね!」

黒子「ということは・・・佐天さんの“壁”は1度には1種類のものにしか適用しないということでしょうか?」

初春「何でも防御出来たらレベル4は下りませんしね。」

佐天「ということらしいです上条さーん。」

マジデスカァ!?
マチヤガレコラアァァ!
ズデッ

10: 2011/01/04(火) 18:42:51.54
初春「あっ、上条さんが転んだ。」

上条「いってぇ・・・はっ、右手がフェンスに引っかかって抜けない!」

黒子「うん?何やらあの殿方の様子がおかしいようですわ。」

初春「もしかして右手がフェンスに嵌ってしまったんじゃ!?」

佐天「えぇーっ!?大変!!」

御坂「これで・・・今度こそあたしの勝利ぃいいい!」バチバチバチ…

上条「不幸だあああっ!!!」



黒子「わたくしのお姉さまを誑かすお邪魔虫の最後ですのね、ああ、この黒子にもやっと運が向いてきましたわー!」

初春「そんなこと言ってる場合じゃないですよう!早く御坂さんを止めないと!ってあれ?佐天さん?」

佐天(この件は全て私が原因。私が何とかして止めなくちゃ。)
  「御坂さん、駄目えええ!!!」

11: 2011/01/04(火) 18:43:43.99
ズボッ!
上条「抜けた!間に合うか!」

佐天「駄目、間に合わないっ!この距離から壁を作るしか!!・・・あっ!」スッ… ドテッ!

御坂「いっけえええええっ!!!」

ズッ…
ドガアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアァ…



ビリビリビリ

初春「ふわっ、一体何が!?」

黒子「これはお姉さまのレールガン・・・とは規模が桁違いですの!」

初春「それに何故上条さんのところで上空に向かって折れ曲がって・・・」

モクモクモク…

12: 2011/01/04(火) 18:44:37.77
上条「ゲホッ、ゲホ・・・すごい衝撃が・・・一体何が起こったんだ?
   えっ?佐天さん!?大丈夫ですか佐天さん!!」

佐天「うーん・・・はっ、無事でしたか。」

上条「俺は大丈夫だけど、君、怪我は?」

佐天「私は大丈夫です。ちょっと転んだだけですから、あはは。」

モクモクモク……

御坂「何なのよこれ・・・明らかに私には無理なレベルの出力って。
   ・・・おーい、生きてるー?」

上条「お前な、生きてなかったらどう返せばいいんだよ。」

佐天「なんとか大丈夫でーす。」

御坂「えっ?さ、佐天さん、なんでこんな所に!?
   っていうか何でコイツに抱きかかえられてうらやま・・・じゃなくって!
   ちょっとアンタ、いつまで佐天さんに触ってるのよ!いやらしい!!」

上条「えっ?ああ・・・大丈夫?立てる?」

佐天「えーっと、さっきの衝撃が全身に響いちゃっててちょっと無理かもー。」
  (上条さんの腕、意外に大きいんだ・・・ちょっと落ち着くなぁ。)

御坂「佐天さん、い、いますぐソイツから離れないと何をされるか!」

上条「お前なぁ、流石の上条さんでも傷つくぞ。」

13: 2011/01/04(火) 18:45:38.16
バキッ!

初春「!!!
   折れた電灯が!二人共危ない!」

御坂「あたしのレールガンで!」スルッ、チャリーン
  「嘘っ、また・・・」

上条「くっ!今度こそ間に合わねえっ!」

佐天(うわ・・・何かスローモーションみたい。上条さんが身を挺してあたしを守ってくれて・・・
   いや、いける。あの電灯を防御する“壁”を作ればいいんだ。こうやって・・・)スッ



ゴトォン!ガランガランガラン

シーン

14: 2011/01/04(火) 18:46:42.48
御坂「当麻・・・?佐天さん・・・?」

上条「っく、ん、あれ?無事、みたいだ。」

佐天「間に合った・・・・・・」

御坂「よ、良かった・・・」ストン

上条「やれやれ、助かったよ。ありがとうな、佐天さん。」

佐天「いえ、元々の原因は私にありますから。」



初春「佐天ざん!無事だっだんでずがぁ!よがっだぁ~!!」グスグス

黒子「全く、こんなことになろうとは。こんな無茶はいい加減やめていただきたいものですわ。」

御坂「みんな、御免なさい。あたしのせいでこんなことに。」

上条「まあ、誰も怪我せずに済んで良かったじゃないか。」

黒子「さあ、アンチスキルが駆けつける前にここを離れませんと。
   わたくしが上手く話をしておきますから、みなさんはどうぞ構わず。」

御坂「あたしも残るわ、これはどう言い訳してもあたし以外に出来る人がいないし。」

ブスブス…

初春「確かに、焦げ痕が酷いですもんね・・・」

16: 2011/01/04(火) 18:47:28.62
上条「じゃあお言葉に甘えるとするよ、佐天さんもまだ動けないみたいだし俺が送ってあげないとな。」

佐天「あ、なんか御免なさい。」
  (本当はもう歩けるんだけど、いいか。)

上条「いいって。」

御坂「変なことするんじゃないわよ?」イライラ

上条「へいへい。」



黒子(それにしても変ですわね。あの殿方、ずっと“右手”で佐天さんを抱えていたのに
   その佐天さんが能力を行使しましたわ。普通なら打ち消されて発動すら出来ない筈ですのに。)

19: 2011/01/04(火) 18:48:14.90
上条「変だよなあ。あの時、俺の右手は佐天さんに触れ続けてたのに、それでも普通に壁を作り出せたなんて。
   俺の右手はあのレベル5の第一位の能力すら打ち消せた代物なんだぜ?」

佐天「えぇー?ってことはもしかしてあたしの能力ってそれ以上かもってことですかー?」

初春「もう、佐天さんったら。」クスクス

上条「そうかもしれないよな。レベル5を超えるレベル1か、なんだか上条さんはうらやましいですよ。」

初春「そういえば能力の事について、何か分かりました?」

佐天「あぁ、うん。なんかこうさ、能力を使ってるときって無意識に対象の性質みたいなものを考えて壁を作ってる事が分かったよ。
   例えば電気を遮断したり、金属を遮ったり、とかね。」

初春「あぁ!もしかして自販機を壁で押すことが出来なかったのって、材質が多く混ざり過ぎてたからじゃないですか?
   金属にプラスチック、それにジュース。きっと壁さんがどれを基準にしたらいいのか混乱しちゃったんじゃないですか?」

佐天「壁“さん”って、初春は言うことがいちいち可愛いなあ。」

初春「もう!」

佐天「そっか。あたし、やっと自分の能力が理解できてきたんだ。なんか、嬉しいかも。上条さん、ありがとう。」

上条「それは光栄ですよ。」



初春(しかし・・・確か空力使いと誤認されたのは温度を遮る壁を作ったからと言ってましたよね。
   ということはどういうことなのでしょうか?明らかに性質と言うよりも“概念”を遮断しているように見えるのですが。
   それって、上条さんの幻想頃しの原理と同じなのでは・・・)ブツブツ

22: 2011/01/04(火) 18:49:38.95
──────────
───────

黒子「・・・と言うわけで。」

初春「私たち2人が行き着いた仮説なんですが。」

御坂「最近夜遅くまで調べ物してると思ったらこういうことだったのね。」

上条「いい友達じゃないか。」

佐天「さすがはあたしの自慢の親友たち!」

初春「えー、コホン。佐天さんの壁を生み出す能力、これを簡潔に説明するならば、どんなものでも自由に遮断してしまう力。
   上条さんの幻想頃しの任意発動型と言ったところでしょうか。」

御坂「」ガタガタッ

黒子「その性質は実際、殿方の能力と大差ありませんわ。消滅と遮断は紙一重ですの。
   言い換えれば、殿方の能力は範囲無限の遮断能力、と言いましょうか。押し出した先が存在しないので結果は消滅ですが」

御坂「佐天さんがコイツと同じ系統の能力・・・?」カタカタ

黒子「ええ、幻想頃しに消されず振舞える能力であることからもかなり信憑性が高いかと。」

上条「へえ、成る程ねえ。」

23: 2011/01/04(火) 18:50:40.67
初春「その性能、性質から私たちは佐天さんの能力を仮に幻想防壁<イマジンディフェンダー>と名づけることにしました。
   個人的には絶対防御<ラビリンス>とか、完全遮断<ディスコード>とか考えてたんですけど、
   1度には1つのものしか遮断出来ないという特徴から黒子さんに一蹴されました・・・」

佐天「幻想防壁か、いいねそれ。気に入った!」

御坂(能力名まで似てるとか・・・)カタカタ

上条「ビリビリ、コーヒーこぼれてるぞ。」

初春「そして極めつけは2人の能力が全く同時に、そして全く同じ場所に重なった場合。あの時のことは覚えてますよね?」

上条「ああ、勿論。ビリビリのレールガンがおっそろしく強化されたあれだろ?」

佐天「あの時転んじゃって、上条さんの前に作るつもりだった壁がズレて右手に重なっちゃったんだよねえ。」

黒子「そう、そして超絶なタイミングでお姉さまのレールガンがここに放たれた瞬間、本来なら消え失せる筈のレールガンは威力を増し、
   見た限りでも本来の数十倍にもなって上空へ放たれていましたわ。」

初春「これを元に推測した結果、御坂さんのレールガンに0の0乗で計算結果にエラーを起こしたものではないかという結論に達しました。」

黒子「すなわち能力の過剰反応、幻想暴走<イマジンブースター>と言えましょう。」

上佐「「か、かっこいい・・・」」

御坂(もうどうにでもして)チーン

初春「ただし、さっきも言ったとおり、3つ全ての発動タイミングと座標が全く同じでないと不可能です。でなければ、電灯落下の際にも幻想暴走が発動す

るはずでしたから。」

24: 2011/01/04(火) 18:51:33.21
上条「なあ、ちょっといいか?」

黒子「なんですの?」

上条「ビリビリが息をしてない。」



──────────
───────



初春「大丈夫ですか?」

御坂「川の向こうでお母さんが手を振っていたわ・・・」

上条「お前の母親は生きてるだろうが。」

25: 2011/01/04(火) 18:52:21.85
佐天「そっか、あたしの能力って結構すごかったんだ。」

黒子「そうですわね、特に遮断するのは性質ではなく“概念”だということも努々お忘れなく。」

上条「何が違うんだ?」

御坂「そんなことも分からないなんて馬鹿ね。例えばこのスプーンはステンレスで、この缶はアルミニウム。
   性質でみればこの2つは別物。片方しか遮断出来ないの。でも概念としてみるならこれらはどちらも金属。
   これならいっぺんに遮断できるでしょう?」

上条「成る程。やっぱ頭良いんだな、お前。」

佐天(成る程。質問しなくて良かった・・・)

初春「それに能力の遮断を考えるなら、全く目に見えない力であっても、その概念を理解すれば根本から遮断出来ますしね。」

佐天「うへぇ、複雑な演算が必要な能力とかだと無理ってことー?」

黒子「あら、概念の理解に演算能力は不要ですわ。この能力はこういうものだろうという憶測を付ける、それだけで宜しいんですの。
   でなければお姉さまの電撃なんて蚊ほども防げませんもの。」

初春「これもまた、自分だけの現実ってことですよ。」

上条「なんかチートっぽいなあ。」

御坂「チートのレベルで言ったらアンタのがよっぽど上よ。ただ触るだけでいいアンタの能力なんてこの世界で一番どうかしてるわ。」

上条「いやいや、この上条さんだってそこまで無敵ではないのですよ。
   大元を叩かなきゃ何時まで経っても消しては復活しての堂々巡りですからね。よって遠距離戦はなるべく避けるように心がけているのです。」

26: 2011/01/04(火) 18:53:19.83
御坂「へぇ~」ニヤニヤ

上条「はっ・・・」ダラダラ

黒子「大馬鹿者ですの。」



佐天「みんな、ありがとう。あたしの為にここまでしてくれて。」

黒子「わたくしは、ただあなたの能力の助けになればと思ってしたことですの。」

初春「私もです。佐天さん、一緒に高位能力者目指して頑張りましょう!」

佐天「もうー、初春ったら可愛いんだからー!おっと、今日のパンツはまた一段と宜しいですなあ。」ガサゴソ

初春「ふぇっ?あの、佐天さん?上条さんがいる前でこんなこと!やめてくださぁーいい!」

御坂「お前は見るなぁーっ!!」バリバリ

上条「見てねぇえええ!」

御坂「聞くなぁあああっ!」バチバチバチッ!

上条「それは無理だろおおおおお、不幸だあああああっ!!!」



 ?「あいつらか・・・簡単な仕事だな。」

27: 2011/01/04(火) 18:54:17.62
佐天「あたしの能力は幻想防壁ー♪」

御坂「」イラッ

初春「あの、本当にその名前でいいんですか?」

佐天「なーに言ってるの、初春と白井さんが付けてくれた名前だよ、あたしには勿体無いくらい。
   そういえば白井さんはどこへ?」

御坂「なんか用事があるとかで先に行っちゃったみたい。」
  (アイツも特売とか言ってさっさと行っちゃうしなぁ、はぁ。)

Prrrrr

初春「あっ、噂をすればなんとやらですよ。もしもーし、何ですか白井さーん。」

黒子『初春?スキルアウトの犯罪現場に遭遇しましたの。アンチスキルには既に連絡したのですけれど、
   このままでは逃げられてしまいますわ。至急、わたくしのところにサポートに来ていただきたいんですの。』

初春「勿論です、すぐに向かいますね。
   ・・・ということなので、ここで私はお別れですね、それでは。」

御坂「はーい、気をつけてね。」

28: 2011/01/04(火) 18:55:08.20
佐天「最近多いですよね、スキルアウトの窃盗事件。
   なんでも怪我を負ってまでアンチスキルとやりあって、一人も捕まらずに逃げ去るにも関わらず、
   次の事件の時には怪我一つ無くなっているとか。なんだか都市伝説レベルな話ですけど。」

御坂「そうね・・・なんだか嫌な予感がするわ・・・」

黒子「物思いにふけるお姉さまの横顔、素敵ですわー!」

御坂「黒子っ!・・・って、もうスキルアウトの件は片付いたの?」

黒子「スキルアウト?何の事ですの?」

佐天「い、今さっき初春が白井さんの電話を受けて現場に・・・」

黒子「黒子は携帯が故障中なので修理に出していて、今持っているのは代替機ですの。」

Prrrrr

御坂「・・・もしもし。」

 ?「アンタがレベル5だな?今すぐこの携帯がある場所に来い。
   ああ、アンチスキル以外なら誰を連れてきてもいいぜ?特に高位能力者なら大歓迎だ。
   タダシ、モシモアンチスキルニ通報シタ場合、黒子ハ初春ノ無事ヲ約束デキマセンノ、オネエサマ。」

ガチャ、ツーツー

29: 2011/01/04(火) 18:56:12.87
御坂「やられたわね。」

黒子「わたくしの声色でこんな卑怯な真似を・・・」

佐天「は、早く行きましょう。」

黒子「例のスキルアウト集団だとしたら、少しでも人数を集めなくては勝ち目が薄いですの。」

御坂「うん。それでアイツにも連絡してるんだけど・・・アイツの携帯、電源が切れてるわ。」

黒子「あの類人猿はこういうことにしか役に立ちませんのに、どうしてこうも間が悪いのでしょうか。」

御坂「仕方ないわね、もう時間がない。私たちだけで行きましょう!」

黒子「私たち、って佐天さんも一緒ですの?生憎ですけど、戦闘経験が殆どない佐天さんではその、何というか・・・」

佐天「足を引っ張るかもしれないってことは分かってます、でもこのままジッとしていられないんです。
   初春は私のかけがえのない親友だから・・・」

黒子「・・・わかりましたわ。ただし危険と感じたらわたくしがすぐに安全な場所にテレポートさせますの。
   それでよろしいですわね?」

御坂「さぁて、あたし達の大切な仲間を誘拐したスキルアウト・・・首を洗って待っていなさい!」

黒子(しかし何故高位能力者を?普通なら対峙する事すら避けた方が賢明ですのに。)

30: 2011/01/04(火) 18:57:08.56
 ?「なあ兄貴よ、あいつら、本当にここに来ると思うか?」

長男「ハッ!心配するな弟よ。盗んだ資料によるとあのレベル5もレベル4も仲間思いの優良な女子生徒ってことが律儀に書かれてやがる。
   馬鹿正直に通報もせず自分等だけで来るだろうよ。」

次男「俺達がどれだけ無敵か分からずにか、はっはっは。」

長男「弟よ。あまり調子に乗っていると痛い目に合うぞ。俺達にあって他の雑魚のグループに無いもの、それは洞察力だ。
   いいか、何度も言っていることだが自分の力を過信するな。常に現在の状況は過去と照らし合わす事の出来ないものと知れ。」

次男「あ、ああ・・・分かってるよ。」

長男「手前達もだ!この事をしっかり頭に置いておけば絶対に誰もパクられたりしねぇ!」

集団「「「うおおおお!」」」

長男「そしてこれだけは過信することを許す。今日を以って俺達陽文ブラザーズは最強のグループになる!!」

集団「「「おおおおおおおおおお!」」」

初春(このスキルアウト達・・・恐ろしいほど統率力が取れてる・・・
   特にあのリーダー格の人間が一番厄介かもしれないですね・・・生半可な心構えで対峙するのは危険です・・・)

長男「ところで弟よ、末っ子はまだなのか?お前とほぼ同時にこちらに向かっていたはずだろうが。」

次男「ああ、弟なら何か変な奴に追われてるから、そいつを撒いてから来るって言ってたぜ。」

長男「確かに、あの風貌であの能力だしな。変態に付き纏われるのは日常茶飯事だもんな。」

31: 2011/01/04(火) 18:58:20.91
初春(黒子さんの声で私を騙したのがもう一人の弟、三男の能力ということでしたか。
   私の身体の自由を奪ったこの次男も能力者、ということはリーダー格の男もまた・・・?
   それに疑問なのが・・・かけられた能力のレベルが明らかに高いということ。
   恐らく人体の電気信号を操作する能力の持ち主だとは思いますが、時間経過で薄れないところを見るに、これは・・・
   ただのスキルアウトではない・・・?)

三男「お待たせー。・・・って、あれー?まだ始まってないの?」

初春(うわっ、可愛い・・・女の子?いや、次男が弟と言ってたからこの人も男か。
   絶対私より可愛いです・・・ってなんか悲しくなってきました・・・)

三男「一体あいつら何やってんだー?まさか見捨てたかー?」

初春「そんなことありません!彼女たちは絶対に人を見捨てない人達です!!」

次男「ふん、まるで教科書みてぇな台詞だな。いままで運よく見捨てられていなかったおかげかね、そんな世迷言を元気良く叫べるのは。」



御坂「世迷言なんかじゃあないわ、あたし達はあたし達自身に約束をしているの。」

黒子「そう。過去も現在も未来も無く全ての時間という枠で縛られない約束ですの。」



佐天「助けに来たよ、初春ー!!」

初春「みなさん・・・!!!」

長男「ハッ!やっと来たかよ。随分と待ちくたびれちまったぜ。」

32: 2011/01/04(火) 18:59:15.68
三男「GPS機能があるのになーんで僕が寄り道してここに着くよりも遅いのかねえー?」

黒子「仕方ありませんの。お姉さまは地図が大の苦手なんですから。」



──────────
───────

御坂「えーっと、次はこっち、じゃなかった。あっちか。そして次はー・・・
   あれ?どっちだろ?」

黒子「お姉さま、GPS携帯なんですからクルクル回す必要はございませんの。」

御坂「うっさいわねー、分かってるわよ。
   ああもう、分かんなくなっちゃったじゃない!」

佐天「ちょっと見せてもらえます?
   あー、これ、目的地と出発地が逆になってます。」

御坂「えっ」

黒子「どおりで途中から逆走してる気がしましたの。」

33: 2011/01/04(火) 19:00:19.25
───────
──────────

黒子「という訳でガイドを佐天さんに託したところでようやくここに辿り着けましたの。」

次男「ぶっははははは!何だそれ。超電磁砲は空間認識能力レベル0です、ってかー!」

御坂「うるっさぁーーーい!!」ビリビリビリ!

次男「おっと・・・逸るなよ。闘いたいのはこっちも同じだぜぇ?」

佐天「初春を返して!」

三男「それはー、まだ出来ないんだよねー。今返しちゃってそのまま全員逃げられちゃうと意味ないし。」

御坂「誰が逃げるもんか、上等よ。あんた達纏めて消しクズにしてやるわ!!」

長男「まぁ待て、そう勝手に決めるなよ。一応確認だ。
   お前がレベル5の超電磁砲、こっちがレベル4の空間移動と。で、そっちのお前は誰なんだ?」

佐天「あたし?あたしは幻想防壁の佐天涙子。」

長男「幻想防壁・・・?んな能力名全然ヒットしねぇぞ?
   めんどいな、名前から、さ、さ、さて、さてん・・・あった。
   ・・・壁を生み出す能力?なんだそりゃ。レベルは・・・なんだよ1かよ。」

三男「うわー拍子抜けー。」

34: 2011/01/04(火) 19:01:08.52
佐天「ぐっ、白井さーん。なんだか私、滅茶苦茶馬鹿にされてますー。」グスグス

黒子「言わせておきなさいな。あなたの能力はもはやレベルで測れる代物ではございませんの。」

長男「ハッ、大きく出たねえ。まぁ、レベル5とレベル4だけでも充分な収穫かねえ。
   じゃあ手前ら、・・・・・・潰せ!」

集団「「「いえええええ!!!」」」

御坂「何よ、結局人任せの汚いやり方じゃない。でも、こんなもの障害ですらないわ。」バリバリバリ!

次男「だから俺がお前の相手をするんだよ!ハハハァ!」

御坂「筋肉バカってこれだから・・・え?あれ!?コイツ、電撃が効かない!!」

次男「俺は発電能力の使い手なんだよ。と言ってもお前みたいに馬鹿でけぇ電撃を喰らわせることはできねぇが、
   身体の駆動に必要不可欠な電気信号を操ることに長けている。火事場の馬鹿力、って聞いたことあるだろ?
   俺の能力なら脳からの電気信号を誤認させてそれをいつでも自由に使うことが出来る。どうだ、すげぇだろ。」

御坂「そして発電能力であるがゆえにあたしの電撃も効かないってことね・・・
   見た目に似合わず繊細な能力を持ってるのね。・・・何かすっごい詐欺られた気分。」

次男「そう褒められると照れるじゃねぇか!」ドゴォ!

御坂「うっわ、ドラム缶がめっちゃくちゃ。」

次男「さぁ、もっと楽しもうぜぇ?」

御坂「当たり前!」

36: 2011/01/04(火) 19:02:26.29
黒子「あの大男があんな能力だとは。これはお姉さまにとって分が悪い相手ですの。」

雑魚「余所見してんじゃねえ!!」スカッ

黒子「わたくしはお姉さまを余所見したことなんて一度もありませんの。」

雑魚「ぐえっ」ドサッ

雑魚「うわっ」ドサッ

黒子「黒子はいつもこの愛が届くようにと、一途にお姉さまのことを見つめておりますのよ。」



佐天「うわぁ、二人ともすごいなぁ。」

雑魚「へへへ、壁を・・・どうする能力だっけ?」ニヤニヤ

雑魚「塗り替える能力じゃなかったか?」ニヤニヤ

佐天「はぁ・・・あたし、もしかしなくてもすっごい舐められてます?」

雑魚「「大人しくやられとけ!」」

佐天「えい」スッ

雑魚「「ぶへぇっ!なんじゃこりゃ、前に進めねえ!!」」

佐天「地味過ぎる・・・
   けど、これなら勝てる!」

37: 2011/01/04(火) 19:03:41.80
初春「駄目・・・これじゃ勝てない・・・」



長男「おい手前等、何チンタラやってやがる!冷静に対処しろ!!
   弟よ、もう遊びは充分だ、さっさと反応速度を倍に上げろ。超電磁砲は組み伏せちまえば問題ねえ!それでレールガンも撃てねぇだろ。
   そっちの空間移動は重量制限に難があるようだ。体重の軽い奴は重めの奴と2人構成で同時にかかれ、数で押せばいける!
   鉄針は確かに厄介だが、なに、氏にはしねえ。今までに比べたらそんなもん屁でもねえだろ!
   そしてあの壁のやつは射程と範囲と対象の特定が弱点だ。武器の材質はバラけさせろ、
   特にリーチのある物か投擲物が望ましい。それで四方からかかれ!」



黒子「なっ・・・この短時間でここまで分析できるなんて一体何者ですの!」

次男「ちっ、もうおしまいか。もうちょっと楽しみたかったのによぉ!」ビキキッ!

御坂「やばっ!」

黒?「オネエサマー!後ロデスノー!!」

御坂「えっ?」

三男「あっははー、騙されてやんの。」



ズシャアアア

38: 2011/01/04(火) 19:04:56.54
御坂「ぐうっ」ギリギリ

次男「はい一人目終了っと。」



黒子「お姉さま!」

佐天「白井さん!後ろ!!」

黒子「むっ、同じ手には掛かりませんの!」

佐天「違うってば!白井さん、本当に後ろに!!」

御坂「黒子おぉーーー!!!」



ドゴォ!



黒子「がはっ・・・」バタッ

三男「はい二人目っと。駄目だよー?お友達の言うことはちゃーんと聞かないとー。」クスクス

39: 2011/01/04(火) 19:06:25.05
長男「おい、復活される前にさっさとヘッドホンかけさせとけ。」

雑魚「うす。」



ギィーーーキリキリキリ…

黒子「うぅっ、これは・・・」

御坂「キャパシティダウン!」

黒子「何故このようなものが・・・」



長男「能力者を弱らせてから捕まえるのと、捕まえてから弱らせるのとじゃあ出来上がるものにも差が出来るってもんよ。
   第一スピーカーで無差別にジャムってたら俺達も無力化するしな。」

御坂「・・・一体これをどこで手に入れたっていうのよ。」

長男「俺達の目的の為に手当たり次第情報を集めた結果の産物だ。
   どうだ、指方向と骨伝導の組み合わせで脳にガンガン響くだろうが?」

御坂「うぐあああああ!!」

黒子「頭が、割れるようですの・・・」

初春「御坂さん、白井さん・・・」

40: 2011/01/04(火) 19:07:34.00
長男「という訳で残るはお前だけだ、レベル1。」

初春「佐天さんっ!」

佐天「っく・・・」ジリッ

雑魚「どの武器がいいんだぁ?木刀か?」

雑魚「鞭もあるぜぇ?こんなのゲームでしか見たことねぇだろ、へへへ。」

雑魚「ナイフが良いか?ちょっと痛いだけじゃ済まされねーがな!ギャッハッハ!」

佐天「うぅ・・・」ザリッ、カシャン

佐天(後ろは壁・・・か。
   はは、まただ。あたしはまたみんなの力になってあげられないのか。
   こんな能力なら・・・無い方が良かった。)

雑魚「「「さぁどれにするんだぁ?」」」



上条「じゃあ、素手で。」



佐天「え?」

41: 2011/01/04(火) 19:08:34.77
ドッゴオオオ!



雑魚「ぶへらぁっ!」ドタン、バタッ、ドサ…

上条「逃げたガキ、ガタイのいい大男、初春さん。ビンゴだな。御坂・・・白井もいるのか。」

御坂「当麻!」

黒子「類人猿・・・?」

三男「げっ!ストーカー男!!」

佐天「一体どうやってここへ?」

上条「ああ、その理由はこいつのせいだ。」スッ

佐天「壊れた携帯・・・?」

上条「そう、あの後俺は特売に間に合うため猛スピードで走っていたんだけど、途中で盛大に転んじゃってさ、それでこの通りさ。」ボロッ

44: 2011/01/04(火) 19:09:34.84
上条「で、壊しちまったもんは仕方ねえし、修理の為にショップへ行くことにしたんだよ。
   そしたら丁度店から出てきた子供が泥棒と叫ばれながら白井と全く同じ携帯を持って逃げていったんだ。
   追いかけてみて驚いたよ。マッチョ男と合流して、何をするかと思えば白井の声で初春さんを誘い出してるじゃないか。
   通報しようにも携帯は壊れてるし、人通りが無くて誰にも助けを呼べないし、ここでこの場から離れたら見失っちまう。
   それで初春さんが来たところで飛び出して助けようと待っていたんだ。
   まさかそこの大男が即座に初春さんを抱えてとんでもないジャンプで屋根伝いに跳んで逃げるとは思いもしなかったがな。
   だから残った子供の方を追いかけることにしたんだ。途中で撒かれはしたが、しばらくして近くの倉庫から衝撃音が聞こえて
   ようやくここに辿り着けた、ってワケ。」

三男「なんだー。君、ストーカーじゃなかったんだー。」



初春「上条さん・・・良かった・・・!」

長男「ああん?上条・・・?
   か、か、か、かみ、かみじ・・・ああ、あった。はあ?なんだよ。今度はレベル0かよ、何の足しにもなんねえ。」

上条「足し・・・?ふざけんなよお前。人を痛めつけることが足しだと?」

長男「ああ、そうだ。ここまで大きくなったグループはな、当然他のグループとの抗争なんかが発生しやがる。
   何の利益も出ねえクソみてえな抗争がな。
   だからこそ、このグループに箔を付ける為に高位能力者を打ち負かしたっていう触れ込みが必要なんだよ!
   そうすれば弱小グループはいちいち突っかかってこねぇし、優秀な人材がどんどん入ってくれて楽だろお?」

御坂(なんかコイツ・・・かつてのあの男に似てる・・・
   レベル5第一位、一方通行に。)

45: 2011/01/04(火) 19:10:43.88
上条「わかんねえな。それでも根本は変わらねえじゃんかよ。
   関係ない人を巻き込んで怪我させて、自分達も怪我するために結局毎日戦って、今までとこれからで何が違うってんだ?
   そんなもんはな、箔でもなんでもねえ。ただの逃げなんだよ!!」

長男「うるっせえんだよ・・・それに俺達は“怪我”なんてしねえ。絶対にな!!」

上条「はぁ?現に俺に殴られたそいつとか、御坂の電撃まともに喰らってる奴等とか沢山怪我人がいるじゃねえかよ。」

長男「ハッ、そんなもんは治しちまえば怪我じゃねぇだろうがよ?」シュウウウウウン・・・

初春「えっ、まさか!」

黒子「怪我が・・・みるみるうちに治っていきますの!」

初春「肉体再生・・・!」

長男「そう、それが俺の能力だ。」

初春「こんな一瞬で他者の怪我を治せるなんて一体どれだけのレベルなんですか・・・」

長男「結局能力なんてもんは心構え次第で強くも弱くもなるんだってことだな。」

上条「なんかズルくせえ・・・」

長男「本当のズルを知らずにズルいなんて軟弱な言葉言ってんじゃねえよ!!
   行け!手前等!!」

集団「「「うおおおおおおおおおお!!!」」」

46: 2011/01/04(火) 19:11:43.84
上条「くそっ、どうする!?」ダダダッ

佐天「私達どちらも対多数では不利ですよね。」タッタッ

上条「対多数、っつーと御坂の電撃か。そういえばなんであいつら、あんなとこで捕まってるんだ?
   電撃やテレポートで簡単に逃げられるだろうに。」

佐天「あのヘッドホンから流れる音楽が2人の能力を阻害してるんです。」

上条「マジか・・・後ろには大勢のゾンビ、強力な武器は敵地の中って、まるでゲームじゃねえか!ひいいいぃ。」

佐天「ゲーム?・・・あ、そっか!」

上条「えっ?」

佐天「あたし、良い事思いついちゃいました。」



長男「おい、あいつらが二手に分かれてどちらかがレベル5と4を助けに来るつもりだ。囲んで逃げ場を無くせ!!」

佐天「残念でしたー!大外れー!!」

長男「ああ?」

48: 2011/01/04(火) 19:12:32.38
バキッ!
雑魚「ぐへっ」ドサッ
ドカッ!
雑魚「ぎゃあっ」バサッ



長男「なっ・・・」

初春「倉庫の壁と並行に壁を作って2人いっしょにこっちに走ってきてる!」

佐天「モンスターハウスは通路で戦え、って教訓知ってます?」

長男「っく、小癪な。」

上佐「うおらあああああっ!!!」



ギャアアア!
ウオアアアアア!!

49: 2011/01/04(火) 19:13:28.17
長男「何をやっている!冷静になれ!!武器を使うんだ武器を!!」

カキーン!
バシーン!!
ガキーン!!!グサッ!

長男「は?」

佐天「“武器”という“概念”を遮断してみましたー。」

御坂「すごい!」

黒子「チートですの・・・」

初春「佐天さん、輝いてます!!」



長男「おい!何を間誤付いてやがる!!武器を遮断したんなら今、奴の壁は人間が通れるんだろうが!」

雑魚「「「う・・・うおおおお!」」」

52: 2011/01/04(火) 19:15:02.97
バンッ!
ババン!!
バムンッ!!!ドサ…



佐天「やっぱり怖いんで人体を遮断しておきますねー。」

上条「いいぞ、佐天さん!」

初春「佐天さん、能力をどんどん使いこなせるようになってきてます!!」

長男「ちくしょうがあああっ!!」



ウオアアア ドタンバタン
ギャアアア ドタンバタン



上条「よし、このまま御坂達の前に!」

次男「おっと、ご苦労さん。ラスボスは俺だ!」

上条「ラスボス?あっ、本当だ、雑魚がもうほとんどいない。」

佐天「じゃあ壁外しますねー。」

次男「えっ」

53: 2011/01/04(火) 19:16:13.11
上条「御坂!」カチャッ
御坂「当麻!」

佐天「白井さん!」カチャッ
黒子「佐天さん!」



4人「「「「動くなっ!」」」」ザッ!

御坂、起き上がろうとした集団の前に仁王立ち
上条、三男の目の前に拳を構えて仁王立ち
黒子、次男の目の前に鉄針を構えて仁王立ち
佐天、長男の目の前に掌を構えて仁王立ち

次男「兄貴・・・」

三男「兄ちゃん・・・」

雑魚「「「リーダー・・・」」」

54: 2011/01/04(火) 19:17:08.46
長男「ちっ、分かったよ、俺の負けだ。
   ・・・なーんて言うとでも思ったか!」ググッ

初春「あぁっ!」

4人「「「「初春!」さん!」さん!」さん!」

長男「これで形勢逆転だな。」

上条「きったねえ!」

三男「兄ちゃん、それは駄目だよ・・・」

次男「ああ、そんな手を使って勝っても意味が無いって言ったのは兄貴だろう。」

長男「うるせえんだよ、俺に指図するな!!」

初春(そういえば最初から私を人質にすれば負けることは無かったのに、今になって何故・・・?)

長男「心配しなくても俺はまだ穢れ無き勝利に拘ってるんだよ・・・だから弟よ、来い!」

初春(穢れ無き勝利?どういうこと?)

次男「一体何をするつもりなんだ。」

長男「俺のリミッターを外せ。」

次男「なっ・・・」

55: 2011/01/04(火) 19:18:16.22
ザワザワ…
リーダーガミズカラ…?



御坂「あの大男、自分以外の人体の電気信号まで操れるのね・・・」

黒子「うん?それならば何故こちらの方達にはそれをしなかったのでしょうか?」

雑魚「リーダーに止められてるからだよ。」ボロッ…

御坂「え?」

雑魚「常に自分の限界を超える力を引き出す、っつーことは、即ち限界以上に身体を酷使することにある。
   それを繰り返せば身体は簡単にボロ雑巾さ。」

黒子「しかし、あなた方のリーダーはそのデメリットをものともしない能力をお持ちではありませんか。」

雑魚「それも語弊があるな。大体、人間の身体の細胞って一生のうち一体何回まで分裂出来ると思う?
   肉体再生つったって、原理は細胞分裂の促進なだけで、限界数を弄くれるわけじゃねえんだよ。
   極端に何度も再生を繰り返してりゃ、即ミイラ化してお陀仏よ。」

佐天「成る程、そんな弱点が・・・」

雑魚「だからリーダーは俺達が作った怪我だって老化を早めないように計算して日々僅かな量だけ使ってくれてるってワケ。
   そんなんだから、次男さんのリミット解除も実のところ、俺達が見たのは今日が初めてなんだ。」

黒子「だったら、何故こんなことを・・・」

56: 2011/01/04(火) 19:19:14.10
長男「今日は特別な日だからな。」

次男「兄貴・・・」

長男「おい、武器を持って来い。そうだな・・・どいつに対しても有利なリーチの長い物・・・木刀がいい。」

三男「兄ちゃん・・・」

長男「ああそうだ、この少女はお返ししよう。弟よ、こいつにかけた能力を解いてやれ。」

初春「!!」タタタッ

佐天「おー、初春ーお帰り。」ギュウウウ

黒子「一体何を企んでますの?」

長男「ああ?これでハンデは無くなっただろうが。」

御坂「まさか、一人で私達全員と闘う気!?」

長男「おう、どっからでもかかってきやがれ。」

57: 2011/01/04(火) 19:20:29.25
上条「ふざっけんな!!」

長男「・・・・・・」

上条「まだそんな箔とやらに拘ってんのかよ。」

長男「仕方ないだろう?グループの為だ。大きくなり過ぎた組織は何かしらの対策を採らねばならないんだ。」

上条「人を傷つける方法を本気で対策と考えてるのか手前・・・
   何時まで経っても何処まで行っても憎しみと後悔しか残らねえ、負の連鎖しか生まねえやり方が正しいと思ってんのかよ!
   手前は本当は分かってるはずだ。恐らくこの中で一番他人の事を考えてやれる人間だったはずだ。
   自分が間違ってるって事をいい加減分かれよ。・・・それでも一切考えが変わらない、って言うのなら────」



上条「────その幻想をぶち頃す!!」

58: 2011/01/04(火) 19:21:26.31
長男「ちっ!手前みてえな無能力者なんざ倒したって意味ねえんだよ。
   まぁ、ウォーミングアップには丁度いいか?」ブゥン

バガン!

黒子「なんという破壊力・・・」

佐天「でもあんな力で振り回してたら木刀なんてすぐ折れちゃいますよ。」

長男「おいおい、誰が木刀を持ってると思ってんだ?
   肉体再生能力を持つこの俺が持っているんだぜ?」ゾワゾワ…

御坂「そっか、木刀は元々樹木という生き物なんだから、肉体再生が通用するってことね。」

初春「うわ・・・それに見てください、過剰に再生されて禍々しい剣になってますよ。」

黒子「下手な刃物よりよっぽど危険ですの。ここまで計算されていらしたとは・・・」

御坂「ここは私が──」

上条「手を出すな!」

御坂「!」ビクゥ

上条「高位能力者を倒したくてウズウズしてる奴に飛び込んでいくんじゃねえよ。」

御坂「はぁ?アンタまさかあんな奴に私が倒されると思ってんの?」

黒子「事実一度倒されていますの・・・」

59: 2011/01/04(火) 19:22:45.79
上条「そういうことじゃねえ。もうこれはあの野郎にとって高位能力者が闘うことが全てになってるんだよ。
   最早勝ち負けとかの理屈じゃねえんだ。だから、手を出さないでくれ。」

黒子「お姉さま、癪ですけどこれはこの殿方の言うとおりですわ。私達は退きましょう。」

御坂「・・・っくぅ~~~!分かったわよ、ただし負けたら絶対に承知しないんだからね!!」

初春「佐天さん、私達も避難を・・・あれ?佐天さん?」


ザッ


上条「佐天さん。」

佐天「あたしもレベル1だし闘ってもアイツの益にはなんない。
   それに大体初春を誘拐しておいて返したからはい終了、ってそんな都合のいい話あってたまるもんですか!
   初春の痛みはあたしの痛み。うけた痛みを癒すことができる道が本当は避けるべき道だったとしてもあたしは────」



佐天「────この幻想を守り抜く!!」



御坂「」フラァ

黒子「お姉さま?、お姉さま!?」

初春「息をしてないです。」

60: 2011/01/04(火) 19:24:13.14
長男「だーかーらーよおー・・・さっさとレベル5か4を出せって言ってんだろうがあああ!!」ブゥン!

バキバキ メシャッ

上条「くっ、元木刀とは思えないな、あれ。」

長男「逃げんじゃねえ!!!」ブゥン!

ガガガガガッ!

初春「棘が鋸状に・・・」



佐天「くうっ、なんとか壁で凌いでますけど、なんかだんだん壁を迂回するような形に変化してきてます。」

黒子「まるで大鎌ですの」



パシン!
…ゾワゾワゾワ



上条「駄目か。木刀に右手で触れて元に戻してもすぐに鎌に変化しちまう!
   やっぱり本体を叩かねえと埒が開かねえ!!」

62: 2011/01/04(火) 19:25:44.01
佐天「あたしが隙を作ります。」

上条「え?いや危ないって。」

佐天「大丈夫ですよー。あたしには幻想防壁がありますからね。
   あたし一人が入れて木刀だけを遮断するくらいの壁なら簡単に作れますよ。」ダダッ

上条「佐天さんっ!」



長男「お前が先に来ると思ってたよ。」ズガッ…

御坂「木刀を床に突き刺した!?」

佐天「えっ?」

長男「やはり能力の切り替え速度がいまいちだなあ。」ガシッ!

佐天「ぐううっ・・・」ギリギリ

4人「「「「佐天さん!」」」」

上条「てめえええっ!」ダダダッ

長男「お前は右手が自慢のようだな。
   この俺が何も見ていないとでも思ったか!」ヒュッ

63: 2011/01/04(火) 19:26:34.17
ドゴォ…

…ドシーーーーーン



御坂「当麻!」

初春「佐天さん!」

黒子「端から端まで投げ飛ばすとは、なんてイカレた腕力ですの。」

長男「あと2人ぃ!」



上条「う・・・いてててて・・・」

佐天「ゲホッ、ゲホ・・・」

上条「大丈夫か?」

佐天「大丈夫れす、いけます。」

上条「くそっ、どうすればいいんだ。遠近両方こなせる敵を相手にするなんて相当骨が折れるぞ。
   しかも電池切れの心配なしとは。」

佐天「上条さん、それは違いますよ。あのリミッターも、あの木刀も、必ず限界はあります。
   今度こそあたしに任しといてください。いい考えがあるんです。」

65: 2011/01/04(火) 19:30:14.67
長男(クソ・・・もうスタミナ切れかよ・・・まだ大本命が残ってるってのによお・・・)

ザッ

上条「ハァハァ・・・おい、まだ終わっちゃいねえぞ。」

長男「あぁ?まだくたばってねえのかよ!!」

上条「そうだ。お前はこのレベル0すら倒せないってことだ。」

長男「ハッ、ハハッ、・・・しゃらくせえええ!!」

上条「うおおおおおあああああああ!!」ダダダダダダダ

長男「はあああああああっ!!!」ブゥン!


スカッ


長男「何!?距離感覚は間違っていないはず!!」

佐天「ふぅ・・・あたしが“距離”を遮断する壁を・・・張っていたんですよー。」

初春「成る程、それで目の前にいると錯覚させて!」

御坂「攻撃の直前で壁を解いたって訳ね!」

黒子「やっぱりチートですの。」

73: 2011/01/04(火) 20:02:07.08
規制が・・・

76: 2011/01/04(火) 20:04:09.49
長男「なんだとおおおおおおおおおお!!!」

上条「観念しやがれこの野郎!!!」グオッ



メシャッ!

…ズデン、ダダァーン!



長男「ぐっ・・・がはあっ・・・」ボロボロ…サラサラサラ…

初春「木刀が枯れて粉々に・・・」

黒子「どうやらいろんな意味で時間切れのようですわね。
   ずっとリミットを外して闘っていたんですもの。スタミナ切れは流石に治すことは出来ないでしょう。」

御坂「で、まだやるの?」

長男「・・・・・・
   ・・・今度こそ俺の負けだよ。」バタッ

77: 2011/01/04(火) 20:05:05.76
──────────
───────
長男「教授、一体どういうことなんですか!俺達兄弟が3人とも退学だなんて!」

教授「その話はもう何度もしただろう。お前達3人には成長性が無いと判断された。
   この学園ではレベル3止まりさえ許されないのだ。分かってくれ。」

長男「そんな!あんなただの機械の言う事だけを信じるんですか!?
   俺達はもっと上を目指せます。毎日努力しているんです!」

教授「君ねえ、この学園都市で機械すら信じられない人間がこの先やっていけると思っているのかね?
   全く以って愚かすぎる発言だ。この学園の品位にもかかわることだ。やっぱり退学させるのは間違いでは無かったな。」カツカツ

長男「そんな・・・」
──────────
───────
次男「なぁ兄貴、もっと元気出せよ。この学園の考えと俺たちの考えは相容れない物だったんだ。」

三男「そうだよー。別の学園でまた一からやり直そうよ。兄さん達の研究だってそこでまた続けられるってー。」

長男「ああ、そうだな。いつまでもウジウジしていられないよな。
   ここの立ち退きも迫ってるし、早いとこ次の学園を探さなくては。」

三男「3人力を合わせて頑張ろーう。」

78: 2011/01/04(火) 20:05:51.42
──────────
───────
受付「申し訳ありませんが、当学園は既に定員締め切りでして・・・」

長男「そうですか、ありがとうございました・・・」
──────────
───────
先生「ううむ・・・私は担当ではないのでなんとも言えんのだよ・・・」

長男「不躾なのは分かっています、でも弟2人を路頭に迷わせるわけには行かないんです!
   どうか推薦して頂けませんか!?今までの成績や業績はこの学園において必ず利点となるはずです!!」

先生「ちょっと電話だ、失礼。」スタスタ
──────────
───────
長男「どうかお願いします!」

警備「ほらほら、もう帰るんだ。」

長男「せめて、話だけでも!!」
──────────
───────
長男「今日も駄目だったよ・・・」

次男「俺もだ。なんか誰も俺達と目を合わせないように感じるんだ。
   それも不自然過ぎる程にな。」

長男「そう思い込んでいるだけさ。ちゃんと誠意を以って接すればきっと話を聞いてもらえる。」

79: 2011/01/04(火) 20:06:47.46
──────────
───────
長男「いらっしゃいませー。」

大人「ビール1つ。」

大人「私もー。」

大人「焼き鳥くれる?」

長男「かしこまりましたー。」

大人「そうそう、聞いたか?」

大人「ああ、例の。陽文兄弟の話でしょ?」

大人「なんでもどこの学園もこの人物を入学させるなとのお達しが下ってるんだとさ。」

大人「へぇ~、何か問題起こしちゃったの?」

大人「いやそれが、陽文兄弟の研究内容ってのがさ、この学園都市を大きく脅かす存在になるかもしれないっていうんだとよ。」

大人「樹形図の設計者の演算結果ってやつ?」

大人「らしいよ。しっかし、あんな機械一つで人生を狂わされるなんて実際たまったもんじゃないよな。」

長男「・・・・・・」

80: 2011/01/04(火) 20:07:37.79
──────────
───────
長男「俺達は学園都市に見捨てられたんだよ。
   もう俺達の行き着く場所は無い、置き去り出身の俺達には帰る場所も無い。
   裏切られたなら裏切り返してやろうぜ。俺達にはそれだけの能力があるはずだ。」

次男「・・・俺も兄貴の言うことに賛成するぜ。」

三男「僕ももう兄ちゃん達がこんな酷い扱い受けるの、見てられないよ・・・」

長男「見ていろよ学園都市・・・」
───────
──────────

81: 2011/01/04(火) 20:08:26.24
三男「兄ちゃーん、大丈夫ー?」

長男「・・・あぁ、そういえば負けたんだったな、俺は。
   もうこれで完全に俺達の場所は無くなったか。」

次男「兄貴・・・」



上条「なあ。」
長男「心配するな、もう二度と闘いを挑んだりしねえよ。
   つーかもう闘う意味がねえ。」

上条「そうじゃなくってさ、聞いちゃったんだよ、お前達の過去の事。」

三男「ごめんね、兄ちゃん。僕が教えちゃったんだ。」

長男「ハッ、・・・末っ子が話すってことはお前達がそれほど信用するに値する人間ってことなんだろうよ。」

御坂「・・・・・・」

上条「これから、どうするんだ?」

長男「さあな。グループ一つ纏められねえトップなんてリーダーじゃねえよ。
   ・・・俺は引退する。」

雑魚「「「リーダー・・・」」」「「「そんなことねえっすよ」」」

82: 2011/01/04(火) 20:09:43.53
長男「うるっせえんだよ。ケジメくらいつけさせやがれ。
   陽文ブラザーズは今日を以って解散とする。後は手前等で好きにやれ。」

グス…グスン

長男「なあ、そこのレベル4。お前ジャッジメントだろ?資料にそう書いてた。
   頼むからさ、今までやって来たことは俺が全責任を負うから、こいつ等だけは見逃してやってくれねえか?
   盗んできたものは金品じゃねえ。全て手元にあるから今すぐ返す。
   俺がこいつらを脅して能力を悪用して利用してただけだ。そう報告すればいいだろう。」

初春「うーん・・・確かにここにあるのは研究用の装置ばかりですねえ。」

三男「ぜーんぶいろんな学園から盗んできたものなんだー。」

佐天「改めて見てみると、倉庫っていうより研究施設、って感じ?」

黒子「全く・・・その頭の回転の速さには毎度感心させられますの。
   分かりましたわ、この連中が二度と犯罪行為に走らないと約束するならばこの黒子、少しばかり協力して差し上げても宜しいですの。」

次男「そういうことだ、お前等、分かったな!!」

雑魚「「「・・・はい。」」」

上条「やけに聞き分けのいい集団だな。」

雑魚「当たり前だろ。リーダー達は頭のいい事を鼻にもかけず、それでいて俺達になんでも分かり易く教えてくれていたんだ。
   学園に見放された出来の悪い俺達に、勉強を教えてくれたんだよ。
   こんな嬉しい事って他にあると思うかよ?俺達は全員、リーダー達の事が好きなんだよ。」

黒子「道理で知識量がやたら多い雑魚だと思いましたわ。」

83: 2011/01/04(火) 20:10:51.63
バキッ!
グラグラグラ
ガタガタガタガタ…



上条「なっ、なんだ?」

佐天「暴れ過ぎたせいで倉庫が崩れそう!」

初春「えぇーっ!ここにいる人たちで動けるのは私達くらいですよー?」

御坂「それに機材も。これを壊してしまったら弁償は無理に近いかも・・・」



ズシーン!



雑魚「うわあああぁっ!出口が塞がれた!!もう逃げられねえ!!!」

黒子「・・・万事休す、ですわね。」

長男「ハッ。結局これも日頃の行いってやつなのかねえ。」



上条「・・・いや、手はまだある。」

91: 2011/01/04(火) 21:00:33.32
御坂「えっ?」

上条「佐天さん、幻想暴走だ!」

佐天「あっ、成る程ー。白井さんの空間移動をそれで増幅するんですね。」

黒子「お待ちくださいまし。あれは成功率がおっそろしく低いものですの。
   失敗したら増幅されずに消されもしなかった空間移動でわたくしと殿方と佐天さんの3人だけ飛ばす結果になりますの!」

次男「おいおいちょっと待て。話が全然見えてこないぜ。」

初春「上条さんと佐天さんと、もう一人の3つの能力を少しの狂いも無く完璧に同じ座標とタイミングで発動すると
   本来の能力の数十倍もの効果が発揮できるんですよ。これを私達は幻想暴走と名づけました。」

黒子「とにかく、一切のズレ無しで能力を重ね合わせることなんて不可能ですの。無理ですの!」

次男「いや・・・いけるぜ?」

一同「「「???」」」

次男「俺の能力は電気信号を操ることが出来る。ってことはだな、
   脳の電気信号を一時的に繋いじまえば座標とかタイミングその他諸々はカバー出来るわけだろ?」

初春「成る程~。」

黒子「見た目に似合わないインテリですの・・・」

93: 2011/01/04(火) 21:02:21.93
上条「あっ、でもそういった能力は俺だけ無効になっちゃうんだよな、この右手のせいで。」

御坂「何言ってるのよ。その右手は常に発動してるものなんだから、別にタイミングとか座標とか元から意味ないじゃない。
   黒子と佐天さんの2人だけ繋げばいいのよ。」

上条「あっ、そっか。」



黒子「さあて、もう崩壊するまで時間がありませんの。」

佐天「いつでもオッケー。」

次男「じゃあ始めるぞ。」

上条「ああ。」

94: 2011/01/04(火) 21:03:28.32
グラグラグラ
ズシーン



初春「きゃっ!」

次男「よし。これでいいぞ。」

黒佐「佐天さ「黒子さんの感覚を掴みました。」したわ。」

御坂「わっ、ちょっと幻想的。」

黒佐「そ「それではいきますよ。」の。」

長男「よろしく頼む。」

三男「頑張れー!」

上条「来いっ!」



ヴヴン…

グ  ア  ッ  !

95: 2011/01/04(火) 21:04:34.61
──────────
───────

!  ッ  ア  グ

…ヴヴヴ

黒佐「着「着きましたよ。」の。」

上条「ここは・・・河原か。」

御坂「すっ、凄い・・・」

雑魚「「「うおおおおお、俺達生きてるー!!!」」」

初春「人も機材も全て完璧に空間移動出来てますよ!」

黒佐「当然「当然だよー。」ですの。」

御坂「も、もう解いてあげてもいいんじゃない?」

次男「とっくに解いてるぜ。」

黒子「佐天さん、冗談が過ぎますの。」

佐天「あっははー、ごめんなさーい。」

初春「もう、佐天さんったら。」

三男「でも僕そういう冗談は結構好きだよー。」

97: 2011/01/04(火) 21:06:11.26
アハハハハ
アハハハハハ



──────────
───────

長男「上条当麻、いろいろとすまなかったな。」

上条「いいって。アンタにもいろいろあったんだろ。
   罪を償ったら教えろよ。俺に協力できることがあったら言ってくれ。」

黒子「そのことでお話がありますの。陽文ブラザーズのリーダーさん、
   あなたの処遇についてなのですが。」

長男「・・・・・・言ってくれ。」

黒子「当面は第七学区の某病院でのボランティアに決まりましたわ。
   ただし兄弟全員で、住み込みとなりますけれど。」

長男「・・・本当か。・・・住む所まで与えてくれるのか・・・この俺達に・・・」グス・・・

黒子「あそこの医師はとてもいい先生ですの。きっとあなた達の助けになりますわ。」

98: 2011/01/04(火) 21:07:40.05
──────────
───────

上条「あの事件から1週間かぁ。」

御坂「今頃どうしてるのかしらね。」

初春「あっ、聞きたいですか?彼らのその後について。」

黒子「彼らは良くやっていますの。先日も・・・」

初春「あーん、白井さんっ、私が話したかったのに。」

100: 2011/01/04(火) 21:08:57.75
──────────
───────

手紙「親愛かつお節介なる上条当麻とその仲間達へ。
   俺たちは今のところ元気だ。ちゃんと罪を償って毎日を生きている。
   俺達の能力は自分達でも良く分かるくらいこの場所に合ってるんだ。
   末っ子は言語障害の患者のリハビリの手伝いを、
   次男は歩行障害の患者のリハビリの手伝いを毎日やっている。
   そして俺はといえば、やはり能力が過剰になりやすいようで、
   カエル顔の先生と相談した結果、命に関わるほど重要な怪我だけを治している。
   先生が言うに、怪我とは人に与えられた教訓でもあり、それを簡単に取り払っていては
   その人が怪我すること自体を甘く見てしまうことにもなりかねない、とのことで、これには俺も賛成している。
   そんな訳で俺は専ら先生の手伝いばかりしている。
   このまま医者を目指すのもいいのかもしれないな。
   あとグループの連中達は元の学園に無事、戻れているようだ。
   学習の基本は全て叩き込んだ。あいつ等ならもう道を踏み外すこともないだろう。
   そうそう、お前達の方は怪我とか大丈夫なのか?
   特に上条。お前が危険な目に合う度にレベル5は大層心配していたようだぞ。
   彼女をいつも安心させてやれる男であれ。
   そういえばもう一人、お前のことをいつも気にかけている奴がいたようだが・・・
   これを書くとレベル5が煩くなるのは目に見えているからやめておく。」



御坂「ふ、ふふ、ふふふふふ
   ふっざけんなあああああ!!!」ビリィ!

上条「ああっ!俺まだ読んでないのに!」

102: 2011/01/04(火) 21:10:01.17
御坂「あんの野郎~・・・こんな手紙寄越しやがってえええ!」キィー
上条「うわっ、落ち着けってお前。」


佐天「なになに?なんかあったんですかっ?」

黒子「ご覧の通りですの。」


ダイタイモトハトイエバアンタガー
エェー!?イイガカリダロオー


初春「いつもの、ですね。」

佐天「いつもの、だね。」


佐天(いいなあ。あたしもあんな風にはしゃいでみたいなー。)


マチナサーイッ! ビリビリビリビリ
ギャーッ

上条「不幸だあああああっ!!!」




つづく?

104: 2011/01/04(火) 21:12:26.91
という訳でこれで終わりです。
支援ありがとうございました。

拙い文章でイライラさせちゃってごめんね。





御坂妹「陽文ブラザーズ・・・
    ようぶん3兄弟・・・
    さよなら余分三兄弟DAKARA
    ・・・と御坂は伝わりにくいネタをこの場で伝えます。
    ふへ、ふへへへへ・・・」

105: 2011/01/04(火) 21:13:47.60


なかなか面白かったよ。

106: 2011/01/04(火) 21:13:59.13

122: 2011/01/04(火) 22:59:46.10
すみません、読み直していてどうしても気になったので訂正です。
>>91で黒子が
「失敗したら増幅されずに消されもしなかった空間移動でわたくしと殿方と佐天さんの3人だけ飛ばす結果になりますの!」
って言ってますが、良く考えたら失敗とはそれぞれの能力が順番に発生するだけなので単に打ち消されるだけとなります。
よってこの一文はスルーしてください。

ごめんなさい。

引用元: 佐天「壁を生み出す能力・・・?」