1: 2016/08/19(金) 20:58:26.92

P「凛」

凛「なに?」

P「近くないか?」

凛「気のせいだよ」

P「そうか?」

凛「うん」

P「と言うか、暑いんだけども」

凛「夏だからね」

P「いや凛が抱き着いてるせいじゃないかな」

凛「そうかな」

P「そうだよ」

凛「気のせいじゃないかな」


P「そうかな」

凛「そうだよ」


2: 2016/08/19(金) 21:00:33.76

加蓮「たっだいまー」

P「おー、お帰り」

加蓮「いやもーやんなっちゃうよ。外暑くてさ」

凛「……」

P「加蓮」

加蓮「何、Pさん?」

P「何で暑いのに抱き着いてくるんだ?」

加蓮「え、だって別腹だし」

P「何がだ?」

凛「加蓮」

加蓮「んー?」

凛「近いよ。離れて」

3: 2016/08/19(金) 21:04:21.93

P「……」

加蓮「えー? 気のせいだって」

凛「気のせいなんかじゃないから。ほら、早く」

加蓮「もー、分かったってば。いいじゃんちょっとくらい……」

凛「だめ」

加蓮「ケチ」

凛「何とでも言って」

P「……」

凛「プロデューサー、どうかした?」

P「いや、別に」

4: 2016/08/19(金) 21:09:45.94

凛「~♪」

P「……なぁ、凛」

凛「ん」

P「その……何だ……あー」

凛「……言いたい事があるなら言いなよ」

P「……その、俺の気のせいかもしれないんだけどな。こういう送迎の時に」

凛「うん」

P「凛ってさ……奈緒や加蓮と居る時より……一人きりの方が嬉しそうだな、って」

凛「……」

P「……その、悪い。ああ、ほんともう、悪い、こんなの言うべきじゃ」

凛「気のせいだよ」

5: 2016/08/19(金) 21:12:21.23

P「……凛?」

凛「プロデューサー、勘違いしてるよ」

P「……」

凛「二人とは……その、本当は仲が悪いとか、全然そんなの無いよ。誓える」

P「……そうか。気を悪くさせただろう……本当にごめんな」

凛「第一さ、奈緒弄るの楽しいし。加蓮と一緒に奈緒弄るともっと楽しいし」

P「……謝るべきは凛の方な気がしてきたぞ」

凛「後は……多分だけどさ、嬉しそうなのって」

P「ああ」

凛「試されてるからだと思う。言い訳は出来なくて、自分の全力が跳ね返って来てさ」

P「……ああ、分かってきた。何となく」

凛「やり甲斐……って言うのかな。プリムスでの活動もいいけど、ソロの魅力?」

P「確かに凛はそういう所あるよな」

凛「でしょ」

6: 2016/08/19(金) 21:15:23.51

P「余計な口出しして悪かったな。途中で何か奢るよ」

凛「そう? ラッキーかも」

P「そうだよなぁ。凛が二人と仲悪いなんてあり得ないよなぁ」

凛「そうだよ。別にプロデューサーと二人きりなのが嬉しいとかじゃないから」

P「ああ……ん?」

凛「二人の分の時間まで一緒に居られて嬉しいとか、全然そういう事じゃないから」

P「……」

凛「もしそう見えたとしても、それは絶対気のせいだから。誓えるよ」

P「そうか」

凛「うん」

7: 2016/08/19(金) 21:24:39.82

P「凛」

凛「気のせいだよ」

P「まだ何も言ってないぞ」

凛「……そうだったね」

P「ああ。それで凛、何でそんなにそわそわしてるんだ?」

凛「……気のせいだよ」

P「そうか。ところで今日は凛の誕生日だけど」

凛「……」

P「……あ」

凛「え?」

P「ああ、いや。何でも無い」

8: 2016/08/19(金) 21:29:52.65

凛「気になるよ。何?」

P「いや、気のせい以外の何物でもないから」

凛「教えてってば」

P「……」

凛「プロデューサー?」

P「尻尾」

凛「え?」

P「一瞬な、尻尾が揺れて見えた」

凛「……」

P「……」


凛「……気のせいだよ」

P「知ってるよ」

9: 2016/08/19(金) 21:33:53.53

P「凛」

凛「……なに?」

P「無理してるだろ」


凛「…………気のせいだよ」

P「嘘つけ。ちゃんと顔見せてみろ」

凛「別に、気のせいだって」

P「なら体温計で熱測っても問題無いよな」

凛「……」

P「凛」

凛「…………ちょっと、辛いかな」

P「すぐ送る。ひとまず休んでろ」

凛「……ごめんね、プロデューサー……ごめん」

10: 2016/08/19(金) 21:42:54.19


P「――ました。すぐお暇しますので」


凛「……」

P「凛。大丈夫か?」

凛「……プロデューサー」

P「ああ」

凛「ごめんね」


P「……何がだ?」

凛「ライブも近くて忙しいのに、ごめん。レッスン出来なくて、ごめん」

P「……ごめんな。謝らなきゃいけないのは俺の方だ」

凛「違うよ」

P「無理させてたんだ。凛は真面目だからっていつも決め付けて」

凛「違う」

P「俺のせいだ」

凛「違うよ。私のせいだよ」

12: 2016/08/19(金) 21:53:02.94

凛「……」

P「……」

凛「……ふふっ」

P「……はは」

凛「何だか、昔を思い出すね」

P「ああ。お互い意地張ってばっかだったよな」

凛「プロデューサー。私、しっかり休んで、すぐ元通りになるから。安心してよ」

P「ああ。俺も、凛が全力でライブ出来るよう、全力で準備しとくから」

凛「お願いするね」

P「任せろ。だから、凛は今までの分もゆっくり休んでくれ」

凛「……」

P「じゃあ、俺はこれ」


凛「……」

P「……凛?」

凛「……」

P「凛。これじゃ帰れないから」

14: 2016/08/19(金) 22:00:23.37



凛「……気のせいだよ」


15: 2016/08/19(金) 22:00:58.94

P「……いや、気のせいとかじゃなくて。袖を」

凛「気のせいだよ」

P「……女の子の部屋だから。お母様にもすぐ」

凛「気のせいだから」

P「……」



凛「…………だめ?」



P「……いや、気のせいだった。凛ともうちょっとお喋りしたら帰れそうな気がする」

凛「……ふふっ」

P「全く……」

凛「ねぇ、プロデューサー」

P「はいはい、何でしょうお姫様?」

凛「お母さん、たぶん気付いてるから」

16: 2016/08/19(金) 22:18:42.94


P「……」

凛「……」

P「……え、マジ?」

凛「うん」

P「気のせいじゃなくて?」

凛「うん」

P「……」

凛「プロデューサー」

P「……おう」

凛「だから、挨拶はしっかり、ね?」

P「…………おう」

17: 2016/08/19(金) 22:36:14.93

P「……あれ?」

凛「どうかした?」

P「凛……お前、背、伸びたか?」

凛「え? うーん、どうだろ……気のせいじゃない?」

P「そうかな」

凛「最近、姿勢とか体幹とかのトレーニングしてたせいかな」

P「なるほど。かもしれないな」

凛「……」

P「凛?」

凛「この前測ったら、ちゃんと成長してたから。気のせいじゃないから」

18: 2016/08/19(金) 22:49:19.63

P「ん?」

凛「バストもヒップも、ちょこっとずつだけど、ちゃんと大きくなってるから」

P「……」

凛「バストもヒップも、ちゃんと成長中だから。気のせいじゃないからね」

P「なぁ、凛」

凛「なに?」

P「何でいま二回言ったんだ?」

凛「別に」

P「と言うかさ」

凛「ん?」

P「ちゃんと分かってるから。よく確かめてるだろ」

凛「それもそうだね」

22: 2016/08/19(金) 22:59:46.33
 ― = ― ≡ ― = ―


凛「……おはようございます……」


卯月「おは……って凛ちゃん、どうしたんですかその声!?」

未央「しぶりん、風邪? もうすぐ新曲レコーディングだけどだいじょぶ?」

凛「いや、風邪じゃなくて……ちょっとその、カラオケで」

未央「カラオケ……?」

卯月「……あ、ひょっとして、自主レッスンやり過ぎちゃったとか!」

凛「……ん、まぁ……そんな感じ」

23: 2016/08/19(金) 23:01:04.23



加蓮「――いや、ちょっと待って」


27: 2016/08/19(金) 23:28:05.88

凛「……何? 加蓮」

加蓮「みんな、変だと思わない?」

未央「変?」

卯月「どういう事ですか?」

凛「……ちょっと、何なの」

加蓮「あの凛がわざわざ喉痛めるような事しに行くと思う? 普段あんな感じなのに」

未央「確かに……風邪っぽい時に体調管理しなよって言われましたなー」

卯月「凛ちゃん……そんなに今回の曲は力を入れてるんですね!」

凛「う、うん……まぁね」

加蓮「ねぇ、凛」

凛「……なに?」



加蓮「ついてないよね、嘘?」


28: 2016/08/19(金) 23:49:50.41

凛「ついてないよ。気のせいだよ。全く疑り深いね加蓮は」

加蓮「奈緒、フォーメーションΩ」


奈緒「アイサー」

凛「……奈緒、いつの間にちょっ、やめ、くっ」

加蓮「今のは普段の凛ならさ、何馬鹿言ってんのって溜息つくべきとこだったね」

凛「……」

加蓮「それで?」

卯月「……ごくり」

未央「しまむーそれ口に出さなくていいやつだよ」

加蓮「本当の所は?」

凛「……プロデューサーと、二人で」

奈緒「Pさんと、二人で?」

凛「……カラオケに行ってました」

29: 2016/08/20(土) 00:25:58.76

加蓮「……ふーん? 悲しいなぁ、親友に嘘なんて」

凛「ご、ごめんってば……ちょっと、ヒミツの思い出が欲しかっただけで……」

加蓮「ああいや、そっちじゃなくて」

凛「え?」



加蓮「また嘘を重ねられたのが……ね」



凛「…………!」

加蓮「奈緒、パス」

奈緒「よっと。ポパピプペ……あ、Pさん? ああいやすぐ終わるからさ」

加蓮「奈緒が素早く電話を掛け」

凛「奈――」

加蓮「私が素早く凛の口を塞ぐ」

奈緒「うん、昨日。デパートで……あ、へー。そっか。うん、サンキュ」

凛「――! ――っ!!」

加蓮「これがフォーメーションΩ」

卯月「鮮やかなコンビネーションですね!」

未央「ちょっとこのペース辛い」

32: 2016/08/20(土) 11:47:42.85

加蓮「……ふーん? 悲しいなぁ、親友に嘘なんて」

凛「ご、ごめんってば……ちょっと、ヒミツの思い出が欲しかっただけで……」

加蓮「ああいや、そっちじゃなくて」

凛「え?」



加蓮「また嘘を重ねられたのが……ね」



凛「…………っ!」

加蓮「奈緒、パス」

奈緒「よっと。ポパピプペ……あ、Pさん? ああいやすぐ終わるからさ」

加蓮「奈緒が素早く電話を掛け」

凛「奈――」

加蓮「私が素早く凛の口を塞ぐ」

凛「――! ――っ!!」

奈緒「いやペットショップ……うん、昨日。デパートで見た……そっか、人違いかな。うん、サンキュ」

加蓮「これがフォーメーションΩ」

卯月「鮮やかなコンビネーションですね!」

未央「ちょっとこのペース辛い」

33: 2016/08/20(土) 11:48:28.18

奈緒「昨日は定時プラス三時間半で済んだと」

加蓮「へー。ちょっとカラオケ行くには厳しい時間かな? 一時間ちょいで絶唱したのかな?」

凛「……」

加蓮「まぁそもそも、この時期にPさんがアイドルへそんな無茶させないよね」

凛「……」

加蓮「凛、もう無いからね。昨日の夜さ、どこに居たの?」

凛「……」

卯月「……ごくり」

未央「そろそろ帰っていいかな? あ、ダメ?」

加蓮「私の推理を話すね」

奈緒「久々だな名探偵カレン」

凛「……」

加蓮「凛が自発的に喉をやっちゃうような事態は考えにくい。となると故意によるものではない」

35: 2016/08/20(土) 12:17:11.29

凛「……」

加蓮「あたしの勘に言わせれば、この件には絶対Pさんが関わってる。となると」

凛「……」

卯月「ごくり……!」

未央「あ、ハクリュー」

加蓮「Pさんが関わり、なおかつカラオケではない、喉をダメにするような、抗い難いインシデント」

凛「……」



加蓮「――ぶちかませ、奈緒っ! パス!」

奈緒「ラジャー! ポパピプペ……」

凛「待っ――」

加蓮「フォーメーションΔ!」

凛「こひゅっ」

卯月「わぁ、綺麗なチョーク!」

未央「ハイパーボール切れた……」

37: 2016/08/20(土) 13:11:40.07

奈緒「――夜。うん……今の間、何だ? あ、おいちょっと」

凛「……」

奈緒「急用が入ったと。焦った様子で」

凛「……」

加蓮「ねぇ、凛」

凛「…………うん」

加蓮「これだけ教えて?」

凛「……」



加蓮「どっちの家?」


39: 2016/08/20(土) 14:07:32.93
 ― = ― ≡ ― = ―


凛「……」

加蓮「……」

奈緒「……」


P「……カーステレ」

加蓮「いい」

P「……そうか」

凛「……」

加蓮「……」

奈緒「……」

P「……」

40: 2016/08/20(土) 14:12:43.93

奈緒「はぁー…………っ」

加蓮「……」

凛「……」

P「……」


P「……なぁ、凛」

凛「……なに?」

P「ひょっとしたら……もしかしたらだけどさ」

凛「……」

41: 2016/08/20(土) 14:20:06.35



P「……バレてないか?」

凛「……気のせいだよ」


42: 2016/08/20(土) 14:21:00.12

おしまい。


43: 2016/08/20(土) 14:21:40.21

あと夏コミ遊びに来てくれたみんなありがとうね
いつも読んでるよって言われてめっちゃハッピーだよ

新刊は書店委託依頼してるけど正直難しいかも
サイズとお値段考えると店側としては扱う旨味が薄いんだ、今回のは

46: 2016/08/20(土) 19:01:11.61
おつ

引用元: 渋谷凛「気のせいだよ」