6: 2013/02/16(土) 23:32:35.11

千早「あの、プロデューサー」

P「どうした?」

千早「今回カバーすることになった曲なんですが……」

P「『星のかけらを探しにいこう again』か……」



※ジャズをこれから聴いてみたいという人向けのSSです

7: 2013/02/16(土) 23:33:05.28
千早「私と真と四条さんで、別々なアレンジをすると言われて、デモを聴かせてもらったのですが」

千早「私のはジャズ…のようなアレンジで、どう歌えばいいのかわからなくって……」

P「うーん……でも、別にジャズのノリで歌わなくても大丈夫って言われなかったか?」

P「原曲も、アレンジミュージシャンのグルーヴがあるけど、歌自体はそっちに引っ張られてないし」

千早「でも……なんだか引っかかってしまって」

千早「どうせなら、ジャズを少しでも理解してから取り掛かりたいんです」

P「そうか。ジャズは馴染むのになかなか時間がかかるかもしれんけど……」

P「これからジャズの雰囲気のある歌の仕事も来るかも知れないし、ちょっとだけ聴いてみるか!」

千早「はい! 是非お願いします」

11: 2013/02/16(土) 23:35:43.90
P「ところで、千早は何かジャズのCDを持ってたりするのか?」

千早「えっと……この前レコード店に行ったのですが……」

千早「あまりにもたくさんありすぎて、どれを買えばいいのかわからなくって……」

P「確かにありすぎるし、最初はそうなるよな……」

千早「なので、出来るだけ沢山曲の入ってるこのCDを買ったのですが……」

P「難しくてよくわからんかった、と」

千早「はい……」シュン

P「JAZZスタンダード100……うむ、確かに気が遠くなりそうだ」

16: 2013/02/16(土) 23:41:32.33
P「実はな、この手の大量に曲の入ったCDでジャズを理解しようとするのは、むしろ意味が分からなくなったりするんだ」

千早「! ……どうしてですか?」

P「例えばな……日本のアイドルの曲を100曲集めたCDがあったとするだろ?」

千早「はい」

P「その中には松田聖子や山口百恵みたいな、少しオールディーズなアイドルも入っていれば」

P「最近のテクノアイドルPerfumeとか、Aから始まる50人近くいる彼女らの曲だって入ってるわけだ」

P「もちろん765のアイドルもな」

千早「それだけ聴けば、アイドルの曲はわかったも同然ではないですか?」

P「一見そう思うだろ?」

23: 2013/02/16(土) 23:47:41.63

P「でも全部通して聴いてみると、案外イメージがぼんやりしちゃうんだよ」

P「ソロでボーカリスト顔負けの歌を歌う松田聖子や千早の曲」

P「何十人もの声が重なる最近の曲」

P「かと思えば、テクノのピコピコしたサウンドを押し出した曲」

千早「……全部一緒に聴いてたら、輪郭がぼやけてしまって、むしろわからなくなりそうですね」

P「そのとおり」

P「数は聴けても、結局わからないままで終わってしまうし、何より眠くなってしまうからな」

P「その手のCDは初心者には向かないんだ」

千早「なるほど……」

27: 2013/02/16(土) 23:49:59.20
千早「では、ミュージシャンの名前で選んだ方がいいのですか?」

P「確かにそうなんだが、知ってるミュージシャンはいるか?」

千早「……いないです」

P「だよな」

千早「誰か、おすすめのジャズミュージシャンはありますか?」

P「まぁ、あるっちゃあるんだが、もっと別な聴き方があるんだよ」

28: 2013/02/16(土) 23:53:50.67
P「どうせだから、そのCDを利用してみよう」

千早「これをですか?」

P「その中に、『You'd be so nice to come home to』っていう曲があるだろ」

千早「長いですね……あ、ありました」

P「誰の演奏って書いてある?」

千早「えっと……Helen Merrill(ヘレン・メリル)でしょうか」

P「ああ、やっぱりな。じゃあまずはそれを聴いてみよう」


Helen Merrill with Clifford Brown / You'd Be So Nice To Come Home To
http://www.youtube.com/watch?v=YM0PhsP7ulk

31: 2013/02/17(日) 00:00:43.35
千早「……すごい、乾いたような、だけど感情のこもった歌声ですね」

P「千早とは正反対な感じだろうな。ジャズシンガーにはこういうアンニュイな歌声の人が多いんだ」

千早「英語の歌詞だから、意味は良くわからないけど……」

P「まぁ、どんな歌詞かを簡単に訳すとだな……」

P「早く家に帰って、愛する君と一緒に過ごせたら、どれだけ幸せだろうか?」

P「って感じかな」

千早「……そうですよね、家に帰って、大事な人がいるだけで、幸せですよね」

P「これ、1943年くらいの戦時中にできた曲だから、家に帰れることの幸せが身に染みるんだろうな」

千早「なんだか、とても素敵ですね」

P「とりあえず、曲の雰囲気とメロディーはつかめたか?」

千早「ええ、なんとなく」

P「よし。じゃあ次はレコード店に行こう」

34: 2013/02/17(日) 00:06:57.03
――大き目のレコード店――


P「さて着いたぞ」

千早「……やっぱり、たくさんありすぎて困ります」

P「まぁな……とりあえず、さっきの曲名は覚えてるか?」

千早「ええっと……ゆーどびー……」

P「You'd be so nice to come home」ドヤァ

千早「……はいはい」

P「かまってくれよ……」

P「とまぁ、気を取り直して……これにするかな」ヒョイ

千早「えっと……Art Pepper(アートペッパー)? なんか料理みたいな名前ですね」

P「ははは 『Art Pepper Meets The Rhythm Section』だ」

35: 2013/02/17(日) 00:09:19.92
P「さて、このCDの曲目を見てみてくれ」

千早「えーっと……あ! さっきの曲がありました」

P「そう。このアルバムにも『You'd be~』が収録されてるんだ。もちろん違うアレンジでな」

P「さて、俺もあと何枚か選んでおくから、千早も少し選んでごらん」

千早「でも……そんなにたくさんCDも買えないですし……」

P「ふふ 値段を見てみろ」

千早「え? ……一枚、1000円?」

P「そう、ここ最近再リリースされたジャズの名盤は、一枚1000円以下で買えてしまうんだ」

千早「どうしてですか?」

P「俺も詳しくはしらないが、一つはジャズのレコードを出していた会社が設立何周年かの記念にリリースしてるんだ」

P「さらに、著作権の問題もあったんだけど、それが自由になったとかならないとか……」

P「まぁ詳しくは知らんが、とにかく……」


P「昔とは違って、今ならジャズのCDが格安で手に入るということだ」

36: 2013/02/17(日) 00:10:18.38
――事務所――


P「さて、CDを買って事務所に帰ってきましたっと」

千早「結構買いましたね」

P「一枚千円だし、枚数買ってもそれほど痛手にはならないからな」

P「棚にアニソンかアイマスのCDくらいしかないそこの君。5枚くらいジャズのCDがあると、少し部屋の雰囲気が変わるかもしれないぞ」

千早「誰に向かって言ってるんですか」

41: 2013/02/17(日) 00:16:52.62
P「さっき買ったCDを見てみようか」

千早「まずは……最初に手に取ったやつですね」

P「『Art Pepper Meets The Rhythm Section』」

P「アルトサックスの名手だ」

千早「……サックス、ですか」

P「……歌には、関係ないのね……とか思ってるんだろ?」

千早「! ……まぁ、ちょっとはそう思いますけど……」

P「よし、試しに聴いてみようか」


Art Pepper / You'd Be So Nice To Come Home To

44: 2013/02/17(日) 00:22:59.24
千早「……」

P「どうだ? メロディーがわかると、演奏者によっての違いがわかるだろ」

千早「そうですね。。淡々と奏でてますけど、どこかすごく悲しげで……」

P「管楽器のいいところは、感情をこめやすいところなんだよな。悲しみも喜びも滑らかに表現できるんだ」

P「歌はそれ以上に感情をこめやすいけど、この演奏のように込めるのは相当の努力が必要だろうな」

46: 2013/02/17(日) 00:27:33.32
千早「でもプロデューサー。どうしてもわからないというか、どう聴いたらいいのか考えてしまうところがあるのですが……」

千早「途中から、全然メロディーと違うことを弾いてたり、わけのわからない感じになっていて……」

P「んっふっふー……その質問を待っていたのだよ」

千早「亜美真美のマネしても全然可愛くないです」

P「ひどい」

48: 2013/02/17(日) 00:32:37.21



P「その説明をする前に、ジャズの『スタンダード』について説明しないとならないんだ」

千早「私が前に買ったCDも『スタンダード』と書いてましたね」

P「そうだ。ジャズ・スタンダードというのは、ジャズミュージシャンがこぞって演奏した曲の事をいうんだ」

P「素敵なメロディーの曲を、ミュージシャンによって違うアレンジで演奏したりするんだよ」

50: 2013/02/17(日) 00:41:02.74
千早「今回私がカバーした『星のかけら~』と同じような感じですか?」

P「そのとおり。千早も真も貴音も、それぞれに違う声だから聴く側も楽しみがいがあるんだ」

P「しかし、それだけじゃあ終わらないのがジャズの演奏だ」

P「千早が『意味が分からない』と思った部分の正体は“アドリブ”だ」

千早「アドリブ、ですが?」

P「そうだ。その曲の伴奏に合わせて、その時に浮かんだメロディーをそのまま楽器に乗せてるんだ」

P「意味が分からないと思っていた部分も、良く聴いてみると元の曲の伴奏に合わせて新しいメロディーを奏でてる」

千早「……つまり、好き勝手に楽器を弾いてるってことですか?」

P「ああ。そう解釈してくれて構わない」

P「もちろん人によってアドリブは変わるから、それをジャズの醍醐味としてるんだ」

52: 2013/02/17(日) 00:46:48.56
P「元のメロディーの事を“テーマ”と呼ぶんだが、むしろそれよりもアドリブの方がメインに変わったんだ」


P「何を言いたいのか、というと。アドリブ部分を無理に楽しまなくてもいいんだよ」

千早「え? むしろそっちがメインだって言ったじゃないですか」

P「メインではあるが、要は音楽なんだから『ここを楽しまなくちゃならない!』って考えたら楽しくないんだ」

P「好きなテーマのメロディーがあったら、それだけをじっくり聴いていい」

P「いずれアドリブの良さもわかってきたら、それはジャズの世界に一歩踏み出せたってことさ」

千早「ジャズの世界に……」

53: 2013/02/17(日) 00:51:29.89
P「さて、今度はこっちのアルバムを聴いてみようか」

千早「Jim Hallの『Concierto』ですね」

P「英語にも慣れてきたんじゃないか?」

千早「ふふっ……」


Jim Hall - You'd Be So Nice To Come Home To

54: 2013/02/17(日) 01:00:08.56
千早「今度はギターの人ですか?」

P「そうだ。ギターは管楽器と違って、感情を込めたりするのは難しいんだが……」

P「弦楽器特有のリズムのキレの良さを利用するんだよ」

千早「静かに、クールに、という感じですね……」

P「あとは、ギターは管楽器と違って、他の楽器の補助をできるのも特徴かな」

P「さっき言ったように、無理にアドリブを真剣に聴く必要はないけど、この曲はサックスもピアノも」

P「色んな楽器が交代でアドリブしてるから面白いかもしれないな」

55: 2013/02/17(日) 01:02:15.45
まいふぁにぃヴァレンタイン?

56: 2013/02/17(日) 01:07:45.84
千早「次はこれですね。Chet Baker(チェットベイカー)の『Chet』」

P「今度はトランペット奏者だ。でもこいつはボーカルとしても曲を残してるぞ」

P「あとは>>55も言ってる通り『My Funny Valentine』という曲で有名だな」


Chet Baker / You'd Be So Nice To Come Home To
http://www.youtube.com/watch?v=QHHJ9KJWF4E

58: 2013/02/17(日) 01:13:29.31
千早「トランペットとサックスの違いって、こうやって比べてみると良くわかりますね」

千早「トランペットは強く、遠くへ届くようなパワーのある音色というか……」

P「そこがトランペットの醍醐味だよな」

P「サックスと比べると、細かい表現は苦手かもしれないけど、その分サックスにはないパワフルさがあるんだ」

60: 2013/02/17(日) 01:20:56.98
P「よし……じゃあこの曲はこの辺にして……」

千早「今度はどんな曲ですか?」

P「『There Will Never Be Another You』という曲だ」

62: 2013/02/17(日) 01:27:06.35
千早「……また長いタイトルですね」

P「まぁまぁ。ジャズ好きには『アナザーユー』とか略されてるんだけども」

P「まずタイトルだけでも訳してごらん」

千早「えっと……『あなたの他はいません』って感じでしょうか」

P「その通りだ。じゃあ、歌詞を全部ざらっと見てみようか」


There will be many other nights like this,
And I'll be standing here with someone new,
There will be other songs to sing, another fall, another spring,
But there will never be another you.
There will be other lips that I may kiss,
But they won't thrill me like yours used to do,
Yes, I may dream a million dreams,
But how can they come true,
If there will never ever be another you.

65: 2013/02/17(日) 01:32:04.15
千早「うーん……」

P「訳せたか?」

千早「なんとなくですけど……」

千早「『いずれ別れてしまうかもしれないけど、でもきっとあなたの事が一番好きだと思う』って感じでしょうか」

P「そうだな。俺もそういう解釈だ」

千早「……でも、ちょっと都合の良いような感じもします」

P「うん。ヒモみたいな男の詩にも読めるし、純愛なラブソングにも読めるし」

千早「もしかしたら女の敵みたいな曲だったりしますか?」

P「さぁな それも曲をじっくり聴いて、自分で解釈してくれ」

68: 2013/02/17(日) 01:39:12.99
P「まずはさっき出てきた、Chet Bakerの演奏を聴いてくれ。最初はトランペットなんだが、後からチェットのボーカルを聴けるぞ」

千早「トランペットもボーカルも、両方やってる人ですね」

Chet Baker / There Will Never Be Another You
http://www.youtube.com/watch?v=3xpcBx1Gm-c

72: 2013/02/17(日) 01:44:03.16
P(因みに、この曲のボーカルでの名演が思いつかなかったので、youtubeで見つけたやつを貼った)

P(たぶんCDで出ているはずだが、どのアルバムに入ってるかはわからんかった。すまん)

75: 2013/02/17(日) 01:50:14.73
P「さて立て続けにもう一曲。今度はオスカーピーターソンの演奏だ。名前だけは知ってる人もいるんじゃないのかな」

P「因みにピアノの人だ」


There will never be another you / Oscar Peterson
http://www.youtube.com/watch?v=kh_NnsbIqNQ



P(これはアルバムに収録してるものがあるかは疑問だが、あまりにも素敵なピアノだったので乗せた)

77: 2013/02/17(日) 01:56:59.58
P「さて……2曲続けて聴いてもらったわけだが、千早さん、感想は?」

千早「……さっき、都合の良いヒモ男の曲のようにも聞こえると言ったのですが」

P「おう」

千早「こう、アップテンポで歌われると、なんとなくその要素が強くなるような気がします」

千早「……でも、すごく素敵なメロディーですね」

P「だろう? まぁ、ヒモかどうかは抜きにして、悲しげでありつつも明るいメロディーなんだよ」

P「もしかすると、もういずれ会えなくなる恋人だからこそ、明るく歌ってるのかも知れないし」

千早「……」

78: 2013/02/17(日) 02:00:15.75
P「じゃあ今度はこれだ。Lou Donaldson(ルー・ドナルドソン)の『Swing and soul』に収録されてるやつ」

千早「アートペッパーと同じ、アルトサックスですね」

P「こいつは、いつもは明るい曲調が多いんだが、これはゆったりと演奏しているんだ」


Lou Donaldson - There Will Never Be Another You

79: 2013/02/17(日) 02:04:30.80
千早「……さっきまでのと違って、本当に会えない恋人のようですね」

千早「テンポが速いと、ジョークで『君以外にいない』って言ってる気がしてしまうのですが」

千早「これくらい遅いと、むしろ悲しくなりますね」

P「俺もそう思うよ。だからこの曲は、ちょっとテンポが速いくらいの方が好きなんだ」

P「不思議な曲だよな、テンポで全然イメージが変わってしまうんだ」

83: 2013/02/17(日) 02:16:01.18
P「ちょっと今までやったことを確認してみようか」

千早「私が持ってたCDの中あった曲を演奏してるアルバムをいくつか聴いてみたんですよね」

P「もちろん『There Will~』も、スタンダードの曲に入ってるぞ」

千早「演奏者や楽器の違いで、全然違う曲になるんですね……」

P「その違いを感じ取るのが、ジャズの一つの醍醐味だろうな」

P「もちろんアルバムの全てが、スタンダードというわけじゃなくて」

P「中にはそのアーティストオリジナルな曲もあるからな」

P「CDを買って、スタンダード以外の曲をじっくり聴くのもいいな」

千早「つまりスタンダード曲を入口にして、ジャズミュージシャンの特徴を感じるのが一つの楽しみ方、と……」

P「むしろ、その方がわかりやすいだろうな。無理にわかったフリしなくても、好きなメロディーを聴き続ければおのずとわかってくるんだ」

84: 2013/02/17(日) 02:21:07.46
千早「じゃあ、最初に買ったスタンダードしか入ってないアルバムを買って、その中で気に入ったものの曲のタイトルを覚えて」

千早「収録されているCDを探したりすると、無理せずジャズを楽しめる、と……」

P「ああ。それにアルバムも安いし、今はジャズを理解しやすい環境が整ってるから、いいタイミングだと思うよ」

88: 2013/02/17(日) 02:27:16.71
千早「あと他に、初心者でもわかりやすいスタンダードな曲はありますか?」

P「そうだな……『The days of wine and roses』とかは、歌詞もメロディーもぐっとくると思うぞ」

P「邦題は『酒とバラの日々』 歌詞やメロは自分で調べてみてくれ」

90: 2013/02/17(日) 02:33:31.89

千早「なんだかお金持ちなイメージがするタイトルですね」

P「タイトルはな……これは本当にたくさんの名演奏があるから、動画サイトを使ってあれこれ聴き比べてみるといいぞ」

96: 2013/02/17(日) 02:43:45.69
P「さっきまでずっと、スタンダードばかり取り上げたから、一曲だけオリジナルも取り上げてみようと思う」

P「一緒に買ったCDの中に、Joe Pass(ジョーパス)の『For Django(フォージャンゴ)』というのがあるんだけど……」

千早「これですか?」

P「それがな、俺が一番好きなアルバムなんだよ。棺桶に入れて欲しいくらいだ」

千早「そこまで……」

P「ジャンゴっていうギタリストがいたんだが、彼の事を心底敬愛していたジョーパスは」

P「自分がデビューした時に、ジャンゴに捧げるアルバムを作ったんだよ」

P「それがこのアルバムなんだ。アルバムのタイトルになった『For Django』は」

P「最初に聴いたときに、歌詞もないのにメロディーだけで泣いてしまったよ……」


Joe Pass / For Django

97: 2013/02/17(日) 02:52:00.30


千早「はー……」

P「そろそろ疲れてきたかな」

千早「いえ……たくさん音楽を聴いたなって、思っただけです」

P「知らない音楽を聴くっていうのは、相当疲れたりするものなんだよ」

P「どんなにいい曲でもな」

千早「……そういうものですか」

P「だから疲れたらまた別のジャンルの曲を聴けばいいんだよ」

98: 2013/02/17(日) 02:56:58.81
P「どうだ? 今日一日でジャズの事がわかることはないかも知れないけど、前よりはイメージつかめただろ?」

千早「はい! この曲のカバーも、前よりは歌えると思います」

P「ならよかったよ」

P「何度も言うけど、音楽は無理に聴かなきゃならないもんじゃないから、苦手だと思ったら置いといていいんだ」

P「いずれ時間が経ったら、たまらないくらい好きになるかもしれないし」

99: 2013/02/17(日) 02:59:57.89
千早「感情の込め方にも、色んな方法があるんですよね……」

P「そういう技法を感じ取れるのもいいよな」

P「知らないところで、現代のポップスに活かされたりもするし」

101: 2013/02/17(日) 03:07:44.37
P「と、うんちくっぽくなっちまった」

千早「今日はそろそろ帰りましょうか」

P「……お、もういい時間になってたな」

千早「……ありがとうございました。またジャズ以外にも、音楽について教えてください」

P「どうしたかしこまって……どういたしまして。御望みあらばまた、な」

千早「……」

P「どうした?」

千早「……ぜあうぃるねばーびー、あなざーゆーです」ボソ

P「……ん?」

千早「な…なんでもありません!」

P「……そうか。千早、……俺もそう思うよ」

千早「…!」

P「ほら、早く今日は帰って、明日の仕事に備えろ!」

千早「は、はい! お疲れさまでした」ニコ


終わり

102: 2013/02/17(日) 03:11:53.09
④&乙
no title

103: 2013/02/17(日) 03:13:26.04
深夜まで支援どうもでした。なんか美味しんぼの音楽版書いてるみたいな感じになってあれだったけど
ちょっとでもジャズの垣根を低くできたらいいなぁ

ジャズの聴き方はその人のやり方・流儀があると思うけど、入門だから、ってことで許してね


雪歩「黄金の月」 美希「エイリアンズ」 も前に書いたので、よかったらこっちもよろしく

104: 2013/02/17(日) 03:14:38.69



引用元: 千早「ジャズ…ですか?」