1: 2014/01/21(火) 00:20:17.48
キョン「その本ってどの本だ」

佐々木「クローゼットの隙間からはみ出している、あの本の事さ」

キョン「なっ!?ちゃんと仕舞ったはずだぞ!?」

佐々木「言ってみるものだ、まさか本当に何かあるとはね、どれどれ…」

キョン「待て待て佐々木!これはだな、その、勉強には関係ないものだ!」

佐々木「確かに僕は君のご母堂に頼まれて君の勉強を見ているわけだが、どうにも君の集中力が持たないらしいからね、息抜きに何かしようと思ったわけさ」

キョン「わかった!集中する!すればいいんだろ!?」

佐々木「…ならいいんだ、僕も無理強いは好きじゃない」

キョン「そうか…じゃあ勉強の続きを」

キョン(よかった…)

佐々木「とでも言うと思ったかい?」ガチャ

キョン「あっ!!」

佐々木「ふむふむ…これは…『僕っ娘萌え大全』…?」

7: 2014/01/21(火) 00:21:17.36
佐々木「なるほど、キョンはこういうのが好きなわけか…」

キョン(まだ致命傷は避けられる!)

キョン「あ、ああ、嗜む程度にな」

佐々木「なるほどね…なるほど、なるほど…」

キョン「楽しそうだな」

佐々木「くつくつくつ、そうか…おや?奥の方にまだ何か」

キョン「!!」

佐々木「なになに『月刊ボーイッシュ・僕っ娘特集号』、『透けブラ100選』……『ポニーテール名鑑』、『アンタなんて全然好きじゃないんだからね!~魅惑のツンデレ女子~』etc…全部R18だね」

キョン「やめろ!声に出して読むな!すごく居たたまれないから!!」

15: 2014/01/21(火) 00:22:59.96
佐々木「……」

キョン「ああ、誰か俺を頃してくれ、できるだけ苦しまない方法で」

佐々木「キョン、今僕は非常に不愉快な気分だよ」

キョン(そりゃそうだ、そんな風に思われてたなんて不愉快以外の何物でもないだろう)

佐々木「なんで僕っ娘だけじゃダメなんだ!?」

20: 2014/01/21(火) 00:26:57.52
キョン「…は?」

キョン「いやいや、他に言うことがあるだろ!?」

佐々木「いいや、無いよ、これ以上重要なことなんて少なくとも今の僕には考え付かない」

キョン「お前、熱でもあるんじゃないのか?」ピト

佐々木「ね、熱はないよ」

佐々木「それより!」

佐々木「なんなんだこの後半二つは、ポニーテール?ツンデレ?」

佐々木「…いや、まぁ、ポニーテールは良しとしよう、僕だって頑張ればそれっぽくできるし、本格的なものを望むなら髪を伸ばせば…」

キョン「良しと悪しの判定基準がイマイチ分からん」

25: 2014/01/21(火) 00:31:51.11
佐々木「このツンデレというのは何なんだ、一体」

キョン「ツンデレは、特定の人間関係において敵対的な態度(ツンツン)と過度に好意的な態度(デレデレ)の両面を持つ様子、又はそうした人物を指す」

キョン「『初めはツンツンしている(敵対的)が、何かのきっかけでデレデレ(過度に好意的)状態に変化する』、『普段はツンと澄ました態度を取るが」

キョン「ある条件下では特定の人物に対しデレデレといちゃつく』、『好意を持った人物に対し、デレッとした態度を取らないように自らを律し、ツンとした態度で天邪鬼として接する』ような態度である」

佐々木「僕はそんなウィキ○ディアに載っていそうな知識を聞いているんじゃない」

キョン「勘弁してくれ、俺だっていっぱいいっぱいなんだ」

佐々木「割と余裕そうじゃないか」

29: 2014/01/21(火) 00:37:32.90
佐々木「明らかに涼宮さんを意識しているじゃないか」

キョン「ナ、ナンノコトデショウ?」

佐々木「ほう、とぼけるのかい?」

佐々木「そっちがその気なら僕にだって考えがあるよ」

キョン「き、貴様まさか母親に言うつもりじゃ…この年で家族会議なんて御免だぞ」

佐々木「妹ちゃーん!?」

キョン「それはもっとダメでしょうが!!」

34: 2014/01/21(火) 00:43:02.15
キョン妹『なぁにー?』ドタドタ

キョン「ちょっ、とにかくその手に持ってるお宝をこっちに寄越せ!」

佐々木「ダメだキョン、正直に答えてくれるまで渡さないぞ」
ガチャ
キョン妹「どうしたの?」

キョン(こうなったら力ずくだ!)

キョン「ええい!!」ガバッ

佐々木「きゃっ!?」

39: 2014/01/21(火) 00:48:18.59
キョン妹「わっ!」

キョン妹「キョン君が佐々木お姉ちゃんを押し倒してるー!」

キョン「なっ!?違う!いや、違くないが!」

キョン妹「ごゆっくりー!」ドタドタ

キョン(あ、なんかデジャヴ)

40: 2014/01/21(火) 00:55:04.55
キョン「はぁ…はぁ…お前、妹を使うとはなんて卑怯な」

佐々木「……そんなことより、早くどいてくれないか?」

キョン「ああ、悪い」

佐々木「……」

キョン「……」

キョン(うわなにこのくうきつらい)

キョン(佐々木よ、何故顔が真っ赤なんだ、なんで涙目でこっちをちらちら見ているんだ、かわいいなチクショウめ)

佐々木「……キョンは」

キョン「へ?」

48: 2014/01/21(火) 01:01:07.97
佐々木「キョンは涼宮さんの事が好きなのかい?」グスン

キョン「は?」

キョン(なんだその質問は?意図が全く読めん、というかなんだこの感じ…なにちょっと涙声で言ってるんだこいつは)

キョン「いや、そりゃあ仲間だしな、嫌いではないぞ」

佐々木「……キョンのバカ」

キョン「バカじゃなけりゃ今更数学の教えなんざ乞わないさ」

佐々木「まったく…グスッ、君は、なんでこうも鈍いんだ、わざとやってるんじゃないのか?」

53: 2014/01/21(火) 01:09:27.99
佐々木「僕が言ってる好きっていうのは、異性としてだよ」

キョン「……少なからず、魅力は感じるさ」

キョン(工O本で大騒ぎ→赤裸々恋愛トーク、なにこれ、わけがわからないよ)

キョン(恋愛は精神病の一種じゃなかったのか……)

佐々木「…そうか、勝手に一人で騒いで、バカみたいじゃないか、僕……」

佐々木「……キョン、悪いけど、今日は帰らせてもらうよ」

キョン「佐々木!待て!」

佐々木「……」

キョン「とりあえずツンデレ本を持って帰ろうとするのはやめろ」

56: 2014/01/21(火) 01:17:26.88
佐々木「…ん」

キョン「折れ目とかついてないだろうな、大丈夫か」

キョン「全く、どうしたんだ、今日のお前は、大声でわめいたり、人の性癖を見てにやけたり怒ったり」

キョン「およそいつものお前らしくない」

佐々木「…って……ンが…きから…」

キョン「な、なんだよ」


佐々木「だって…キョンが好きだから!」

60: 2014/01/21(火) 01:24:19.55
キョン「……はぇ?」

キョン(うわ、なんだ今の超高デシベルなバックボイスは、気持ち悪い)

佐々木「好きだから…キョンがほかの女の子の事を気にするのが、嫌だったんだ」

佐々木「自分勝手だって言うのはわかってるけど…」

キョン「佐々木……」ギュ

佐々木「きょ、キョン!?何を?」

キョン「バカ野郎、なんで最初からそう言わねえんだ」

佐々木「キョン、君は涼宮さんが好きなんだろう?変に気を持たせるようなことはやめてくれ」

62: 2014/01/21(火) 01:29:50.27
キョン「ハルヒは、そりゃあ容姿端麗で、性格だって最近はよくなってきてるけど、そういうんじゃない」

佐々木「さっき魅力的だって」

キョン「魅力的な人なんざ、案外どこにだっているもんだ、だけどその人たち全員を好きになるわけじゃない」

キョン「少なくとも、俺はそんなに軽くないさ」

キョン「いいか、よく聞け、一度しか言わんからな」


キョン「俺が好きなのは、佐々木、お前だけだ」

64: 2014/01/21(火) 01:33:22.26
佐々木「キョン、ほ、本当かい?」

キョン「俺が嘘でこんなこと言うと思ってるのかお前は、結構ショックだぞ」

佐々木「キョン…あぁ、キョン……!!」ギュウ

佐々木「中学生の時からずっと…ずっと…!君が好きだった」

キョン「おい、あんまり好き好き言うなよ、すげぇ恥ずかしいだろうが」

佐々木「言うさ、いくら言っても言い足りないくらいだ」

佐々木「好きだ、キョン、大好きだ…!」

66: 2014/01/21(火) 01:37:26.36
キョン「落ち着いたか?」

佐々木「…君には何とも、不味い姿を見られてしまったね」

キョン(工口本見られた俺より大分マシだと思う)

佐々木「外もずいぶん暗いね、今日はもう、お暇することにするよ」

キョン「ああ」

佐々木「勉強、あんまり教えられなくて、悪かった」

キョン「いいさ、またいつでも来いよ」

佐々木「くつくつくつ、まったく、君ってやつは……」

佐々木「そうさせてもらうよ」

69: 2014/01/21(火) 01:42:36.19
佐々木「あ、そうだ、これは没収させてもらうよ?」

キョン「ああ!俺のお宝たち!チクショウ!この感じでうまく誤魔化せると思ったのに」

佐々木「キョンには、もうこんなもの必要ないだろう?」

キョン「えっ?」

佐々木「だってキョンには…」

佐々木「ぼ、僕が居るんだから…」カァァ

キョン「佐々木ッ!?お前何言って…!?」

佐々木「じゃ、じゃあまた、キョン!」タタタッ

73: 2014/01/21(火) 01:48:32.13
キョン「ってなことがあってもいいと思うんだ、俺は」

古泉「はぁ…」

古泉(ありえないと言い切れない所がこの人の恐ろしいところですね…)

キョン「なんだよその目は、いいだろ?工口本から始まる恋があったって」

古泉「僕はもう少しロマンチックな始まりの方がいいですね」

キョン「けっ、男のロマンがわからない奴だ」

キョン「おっと、そろそろ帰らなきゃな、じゃあな、古泉」

古泉「ええ、また明日」

78: 2014/01/21(火) 01:51:56.17
キョン「まさか佐々木が勉強を教えに来るなんてな、あの母親め、余計なことしやがって」

キョン「さて、『僕っ娘萌え大全』その他工O本を隠して…っと」
ピンポーン
キョン「なっ!?佐々木の奴もう来たのか?やれやれ」



キョン「あー、疲れた、なぁ佐々木、そろそろ休憩にしようぜ」

佐々木「まだ始めてから1時間も経ってないじゃないか」

キョン「俺の集中力のなさを舐めてもらっちゃ困るぜ」

佐々木「やれやれ……ふむ」

佐々木「ところで」

佐々木「キョン、その本は何だい?」

おわれ

79: 2014/01/21(火) 01:52:57.74
最後の行が見えない

80: 2014/01/21(火) 01:54:16.67
後日談が欲しいなパンツ脱いでるから

81: 2014/01/21(火) 01:54:59.35
これがエンドレスエイトか

84: 2014/01/21(火) 01:59:42.69
さあデート編はまだかね

引用元: 佐々木「キョン、その本は何だい?」