1: 2013/01/15(火) 13:34:17.46
ロンドンの寿司屋


「wonderful!」


パチパチパチパチ……


律「せ、せんきゅー!」

澪「私達は旅行に来たはずなのになんでこんな所で演奏してるんだろう……」

唯「きっと良い演奏しないとお寿司を食べさせて貰えないんだって。
  ね、ムギちゃん?」

紬「どうだったかしら~♪」

梓「心配なんですけど……」


ガラの悪そうな男「~!!!」ガダアッ!


澪「な、何!?」

唯「ムギちゃん、なんて言ってるか分かる?」

紬「えっと……『なんださっきの訳わかんねぇ、カリーだなんだって歌はよォーッ!』」

紬「『スシに合わねえんだよボケッ! 慰謝料払いなァァーーー!?』」

紬「だって」

律「おお、なんかムギの新たな一面を見れた気がする……」

梓「そんなこと言ってる場合じゃないです! 絡まれちゃったんですよ!?」

梓「異国の地ッ! ここ、イギリスはロンドンでッ!」

澪「あわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ」


ガラの悪そうな男「~!!!」


律「ムギ、今度はなんて?」

紬「ちょっと早くて分からなかったけど、
  『金が払えないなら、ストレス発散に付き合って貰おうかア~ン?』て言ってると思う」

2: 2013/01/15(火) 13:44:55.73
唯「一緒に遊びたいってことかな?」

梓「ええ、遊ばれますね確実に。仮に純粋な意味での『遊びたい』だったとしても、
  その台詞を女子高生に吐く時点でコイツはロクな奴じゃあありませんよ」


ガラの悪そうな男「~!!!」


手下a「~」ガダアッ!

手下b「~」ガダアッ!


澪「増えたー!?」

律「ちょ、誰か助け……見て見ぬフリですかーッ!?」

紬「私、こういうピンチに会うのが夢だったの!」

唯「なんだかよく分からないけどどうしようあずにゃん……」

梓「一つだけ手が無いこともありません」

唯「教えてあずにゃん!」

梓「逃げるんですよォーッ!」ダッ!

律「あ、一人で逃げんな!」ダッ!

唯「待ってあずにゃ~ん!」ダッ!

紬「映画! 映画みたいねこれ!」ダッ!

澪「お、置いてかないでェーーー!!!」ダッ!


ガラの悪そうな男「~!!!」ダッ!

手下a b「~!!!」ダッ!


寿司屋の店員「アリガトゴザイマシター♪」

3: 2013/01/15(火) 14:04:09.11
梓「ハァハァ……ここまで来れば大丈夫ですかね」

紬「もう追ってきてはいないみたいよ」

澪「りじゅううう! 怖かったあああ!!!」

律「よーしよしよしよし、もう大丈夫だぞ澪ー」ナデナデ

唯「あずにゃあん……足疲れたぁ……」

梓「それくらいなんですか。私なんてさっきまで履き慣れない靴履いてたせいで、
  足の指先が痛くて痛くて」

唯「それは自業自得だよぉ」

律「どうする? ホテル戻るか?」

紬「仕方ないけどそうしましょう。さっきの人達にまた会ったら嫌だもの」

梓「でもお腹減りませんか? 結局、お寿司は食べ損ねましたし」

唯「私、カップ麺とか色々持ってきてるよ!」

律「準備良いな唯」

唯「憂が持たせてくれたんだよ。心配だからって」

紬「流石は憂ちゃんね。なら、ホテルに行きましょうか」

律「だな、行くぞ澪」

澪「こ、腰が抜けて立てない……おぶってくれ」

律「マジか。ほら背中に手回して……重ッ!」



梓「(はぁ……楽しい旅行のはずが、初日からこんな目に遭うなんてなぁ)」

梓「(明日は何も無いと良いんだけど……あれ?)」

5: 2013/01/15(火) 14:07:43.14
唯の時代のジョセフってかなりのジジイだろ

7: 2013/01/15(火) 14:20:39.58
けいおんて2010年くらいか?
それならジョゼフ90歳だな

8: 2013/01/15(火) 14:25:33.24
律「どうした梓、早く行こうぜ。重くてかなわん」

澪「そんなに重い重い言わないで……」

唯「あずにゃんどうかしたの?」

梓「いや……あの、なんていうかあのですね」

梓「私のむったん……どこに置きました……っけ?」

紬「あらあら、何言ってるの梓ちゃん。さっきのお寿司さんに置きっぱなしに……」

紬「あっ」


「……」


唯「私のギー太!?」

律「マイスティックゥゥゥゥゥ!?」

澪「エ、エリザベェェェス!?」

紬「私の……! あ、私は関係無かったわ」

梓「い、急いで取りに戻りましょう!!」

澪「ででででででも、あの怖い男の人達がまだいたら……!」

律「いや……その心配は無用だぜ澪」

澪「なんで?」

律「もうそこにいる」


ガラの悪そうな男「~!!!」

手下a b「~!!!」


紬「『ヘッ! こんなトコにいやがったぜーーー!』」

紬「『俺らから逃げられると思ったのかよォ! このトンチキがッ!』」

紬「ですって!?」

律「ありがとうムギ!」

10: 2013/01/15(火) 14:58:02.51
梓「くっ……ベタなやられ役の台詞を……」

律「逃げようにも私は澪を背負ってるしな……」

唯「私、もう走れないよ……」

澪「このままじゃ皆やられてしまう……律、私は置いてい」

澪「……やっぱり怖いからおぶってくれ。氏ぬ時は皆一緒だ」

律「そこは勇気出せよ! 置いてかないけども!」

紬「絶体絶命ね……けいおん完ッ!」

梓「終わっちゃ駄目ですーーーッ!!!」


ガラの悪そうな男「~!!!」ニタニタ


紬「『覚悟しなァーッ!!!』!? きゃーっ!」

澪「嫌だああああああーーーッ!!!」



?「お、やっと見つけた。ジジイの体でこれだけのモンしょって追っかけるのはちと辛かったぞ」



唯「……だ、誰?」

ガラの悪そうな男「~!!!」

紬「『なんだァ? この老いぼれはよォ』」

?「嬢ちゃん達、さっきの寿司屋で楽器を忘れていったじゃろ?
  いかんのォ、楽器は音楽家の魂だろーに」

?「ほれ」

唯「ギー太!」

律「私のスティック!」

澪「エリザベスゥ……良かったよぉ」

梓「むったん……! ありがとうございます!」

?「実はわしもあの寿司屋にいてな、嬢ちゃん達の歌を聞いてたんじゃよ。
  なかなかにユニークだった」

紬「そういえば見かけたような気が……」

11: 2013/01/15(火) 15:48:18.35
若いほうかと思ったら老ジョゼフだった、これは期待

19: 2013/01/16(水) 06:43:45.67
?「嬢ちゃん達は日本人か? それにその身なりからすると旅行者と見た」

梓「あ、はい。日本から二泊三日の旅行で……」

?「ふーん、ロンドンなんぞにわざわざ旅行で来るとは物珍しいのォ。
  わしはイギリス人じゃが、どちらかと言えばアメリカの方が好きじゃ」

?「といっても、人のことは言えんがな。実はわしも旅行者なんじゃ。わははは」

唯「おじいちゃんもなの? 仲間ですね!」

?「ふむ、ならばここは同じ旅行者同士、親睦を深めたい所じゃな」

?「(……最近の日本人の娘はレベル高いのォ。
   これはイギリスに来た甲斐があったというモンじゃ)」

ガラの悪そうな男「~!!!」ボアッ!

手下a b「~!!!」

紬「『俺達をムシしてペラペラ喋ってんじゃねー!
   老いぼれもまとめてやってやらぁーーーッ!』……はい!」

律「ムギのリスニングスキルがどんどん上がっていくな」

?「チッ! 空気を読まんか空気を!」

澪「お、おじいさん逃げましょう!」


?「なあに、心配は要らん。『隠者の紫 (ハーミットパープル)』」ビシビシビシィッ


ガラの悪そうな男「ぐげッ!?」ギュンッ

手下a b「!?」ギュンッ

律「な、なんだ? 急にあいつらが苦しみだしたぞッ!?」

20: 2013/01/16(水) 06:44:17.13
?「わしもトシなんでな……あんたらみたいな若造と正面きってやるのは正直キツい」

?「で、だ! 少々卑怯じゃがわしのスタンド、『隠者の紫』を首に巻き付けさせて貰った。
  見えはせんと思うがのォ」

ガラの悪そうな男「ガガッ……!?」

手下a b「ゲェーーーッ!?」

澪「(スタンドってなんだろう)」

?「ちょいと『オチて』貰うわい」ギャギュウウゥ!


ガラの悪そうな男「――ッ!」バタァッ

手下a b「――ッ!」バタァッ


律「も、もがき始めたと思ったら、あっとゆーまに倒れたッ!?」

?「うーん……何の捻りも無しに倒すのもつまらんかったか」

紬「……やっつけたの?」

?「おお、もう大丈夫。ここらへんも治安が悪くなったみたいで困ったもんじゃよ」

澪「た、助かった……」

律「外国ってこえー……」

唯「おじいちゃん、ありがとう!」

?「いいってことよ」

?「(イカした女の子に感謝されるのはいくつになっても良いもんじゃッ!)」

? 「で……どこまで話してたんじゃったかな?」

唯「確か、おじいちゃんも旅行者ってとこまでだよ」

?「おー、そうだそうだ。それで女房と一緒に旅行に来てたんじゃった」

?「何を思ったか、『あなたの故郷へ行きたい』とか抜かしよってのォ」

?「そんで……そんで……女房?」

唯「?」

21: 2013/01/16(水) 06:45:05.82
?「OH! MY! GOD! 女房を寿司屋で待たせたままじゃったァーッ!」

?「早く戻らんと何言われるか……さらばじゃ嬢ちゃん達ッ!」ダッ!

紬「ま、待ってください! 行く前にお名前を……」

?「名前? 名前か」ピタァ

?「わしの名は……ジョースター、ジョセフ・ジョースター!」




ジョセフ「かつて、『ジョジョ』と呼ばれた男じゃッ!」バァーーーン!




唯「じょせふ・じょーすたー……ジョジョさん」

律「ジョジョ……一度聞いたら忘れそうもない響きだ」

澪「うん」

梓「か、かっこいい……」


ジョセフ「では今度こそさらばッ! 縁があればまた会えるじゃろう!」ダッ!


紬「ジョジョさん! ……行っちゃった」

唯「優しい人だったね!」

澪「ああ、ジョジョさんがいなければどうなっていたことやら」

律「その場合は澪をおとりにして逃げてたかもな」

澪「おい」

梓「不思議な人でしたね……見ましたか?
  さっきのチンピラを倒した時、ジョジョさんの腕からイバラが生えていたのを」

律「イバラ? なにそれ」

23: 2013/01/16(水) 09:16:20.89
紬「そんなの見えたかしら?」

唯「ううん」

梓「えっ! あんなにハッキリ出てたじゃないですか!」

梓「右腕からこう……ビシバシビシィィッ! って」

律「梓」ニコッ

澪「なぁ、私も梓も『疲れてる』みたいだからホテルに戻らないか?」

唯「そうだね。あずにゃん、『疲れてる』もんね。今日は一緒に添い寝してあげるよ」

紬「早く寝て『疲れ』を取らないと、明日の行動に差し支えちゃうわ」

梓「や、やめてください! そんな優しい目で私を見ないで!」

梓「本当に見えたんですって! ズギャアアアアアンって!」

澪「行こうか、律。おぶって」

律「お前、楽しようとしてないか? 実はもう歩けちゃったりするだろ」

紬「良いなぁ澪ちゃん……私もりっちゃんにおぶって貰いたいなぁ」

律「ほらー、澪が横着するからー」

唯「じゃあ代わりに私と手を繋いでこうよムギちゃん」

紬「いいの? やったぁ!」


梓「ええー……」

梓「(私の視力は1.5。見間違えるはずがない)」

梓「(あの時、『隠者の紫』とジョジョさんは言ってた。あれが関係してるのかな?)」


唯「あずにゃん行くよ。はいあずにゃんも手繋いで~」ギュッ

梓「(……どうでもいいか)」



梓の背後

?「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

24: 2013/01/16(水) 09:16:52.65
――――――

――――

――

唯「……ってことが旅行中にあったんだ!」

憂「大変だったねお姉ちゃん……怖くなかった?」

唯「全然。さっきも言ったけどさ、
  そのジョセフさん……ジョジョさんがすぐ助けてくれたから平気だったよ」

憂「ジョジョさんかぁ。どんな人なんだろう? 私も会ってみたいな」

唯「とってもカッコいいおじいちゃんだよ。会ったら憂が惚れちゃうかもね」

憂「それは無いよォ」

憂「おっといけない、遅刻しちゃうよお姉ちゃん。早く学校行かないと」

唯「あれ? 学校あったっけ?」

憂「もお、今日は登校日だよ。忘れてたの?」

唯「そういえばそうだった……けどッ!」

憂「ッ!?」

唯「こ、コタツが私の足をガッチリ掴んで……ッ!」ガシッ ビイィィィィイン

憂「スイッチオフっ」カチッ

唯「ああん」

25: 2013/01/16(水) 09:57:13.98
通学路


唯「外はまだ寒いねぇ」

憂「お姉ちゃん達が卒業する頃までには暖かくなるよきっと」

唯「卒業か……うん、卒業するんだよね私」

憂「卒業は嫌?」

唯「んーん、嫌じゃないよ。ただ、少しだけ寂しいかな」

憂「……私も寂しい」

唯「憂はまだ卒業しないじゃん」

憂「そうじゃなくて。もう少し経ったらこの通学路を一人で歩くんだと思うとね」

唯「でも、歩かなくちゃいけない」

憂「……」

唯「私とはもう歩けないけどさ、
  良かったら次はあずにゃんと一緒に歩いてあげて欲しいな。あと、純ちゃんも」

憂「梓ちゃんも純ちゃんも通学路違うよ?」

唯「そういう意味じゃなくて……うーん……上手く言えない」

憂「冗談だよお姉ちゃん。ちゃんと分かってるから」クスッ

唯「そう? 良かったぁ」



『卒業しないで』



唯「ほえ?」クルッ

憂「どうしたのお姉ちゃん」

唯「今、どこかからか声が……」

憂「声……? 何も聞こえなかったよ」

唯「……気のせいかな?」

27: 2013/01/16(水) 12:29:50.08
通学路


律「おーい澪ー!」ダダダッ!

澪「遅い」

律「ごめんな、なんか今朝からちょっと体調悪くて」

澪「……風邪か? なら、今日は戻って休んだ方が良いんじゃ……」

律「平気平気、言うほどは悪くないし」

律「それに、もう梓とは何日も過ごせないんだぜ? なのに休めるかよ」

澪「卒業……するもんな私達」

律「おう。別に一生の別れってこたぁ無いけどさ、
  同じ時を過ごせるのは今しか無いじゃん?」

澪「なんか詩人だな律。やっぱり風邪か?」

律「どーゆー意味だっての」

澪「嘘だよ。私も律と同じ気持ちだ」

澪「でも、無理はするなよ。もし律に何かあったら梓が心配する」

澪「……もちろん、私も」

律「そう?」

澪「そう!」

律「……えへへ、ありが」



『いなくなるなんて嫌だ』



律「……え?」

澪「なに今の……声……か?」

28: 2013/01/16(水) 12:30:30.27
電車の中


ガタン、ガタン……


紬「ふぅ」


紬「(私はあと何回、この電車に乗って学校に行けるんだろう)」

紬「(私はあと何回、五人だけのティータイムを過ごせるんだろう)」

紬「(私は梓ちゃんにとって良い先輩でいられたのかな)」

紬「(梓ちゃんは私達に『翼』をくれた。皆の天使でいてくれた)」

紬「(私は……私達は、梓ちゃんに何をあげられたのかな)」

紬「(何を……残してあげられたのかな)」

紬「……」

紬「卒業って、もっと遠い先のお話だと思っていたんだけど」



『もっと、もっと一緒にいたいです』



紬「!」ガダァッ!

乗客「……?」チラリ

紬「あ……あはは…… ///」スッ



紬「(なんだろうさっきの声は……)」

29: 2013/01/16(水) 12:32:49.03
駅のホーム


紬「(気になるわ……さっきの声)」

紬「(他の人には聞こえてなかったみたいだけど)」

紬「(ただの空耳にしてははっきり聞こえたなぁ……)」

紬「(『もっと、もっと一緒にいたいです』……か)」

紬「あら?」



ジョセフ「だーかーらッ! わしゃあ痴漢なんてしとらんと言ってるじゃろうがッ!」

駅員「ですが、現にこの人が貴方に確かに触られたと」

老婆「フンッ」

ジョセフ「HOLY SHIT! 可愛いギャルならまだしも、こんなババアの尻なんか触るかッ!」

老婆「なんだってェェェ!? アンタだって大概ジジイじゃないのさッ!」オゴォーッ

ジョセフ「痛ッ! や、やめんかッ! つ、杖は駄目ッ!」バシ!バシ!

老婆「もう良いわッ! 地獄に落ちろッ!」スタスタ

駅員「あ、待ってください! し、然るべき所でちゃんとお話をですね……」スタスタ


ジョセフ「いちちちち……」

ジョセフ「……クソッ、なんて災難じゃ。これだから日本の乗り物は……ブツブツ」


紬「……ジョジョさん?」

ジョセフ「む?」クルッ

紬「やっぱり! ジョセフ・ジョースターさんだわ!」

ジョセフ「君は……おお、ロンドンの時のガールズバンドッ!」

紬「放課後ティータイムの琴吹紬です。覚えててくれたんですね」

ジョセフ「もちろんヂャ、わしは良い音楽とべっぴんさんのこの二つだけは絶対に忘れんよ。
     そして君達はその二つを兼ね備えておったからな」

45: 2013/01/18(金) 14:18:47.78
紬「こんな所でお会い出来るなんて、凄い偶然です。
  改めてその節はありがとうございました」

ジョセフ「当然のことをしたまでじゃ。気にせんでええわい」

紬「いえ、受けた恩は決して忘れるなと育てられましたから。日本にもご旅行で?」

ジョセフ「女房と一緒に日本の家族に会いにな。
     そのあと、各地の美味い飯屋でも回ろうかと思ってたんじゃが……」

紬「何かあったんですか?」

ジョセフ「女房の奴、もう良いトシの癖に落ち着きの無い奴でなァ」

ジョセフ「ちょいと目を離した隙にどっか行ってはぐれてしまったんじゃ」

紬「大変! どこでいなくなったんですか?」

ジョセフ「あー、探すのは別に良いんじゃ。どうせ使用人と一緒じゃし、万一は無かろう」

ジョセフ「わしはわしで適当に観光でもしてればどこかで会えるさ」

紬「(お気楽な人だなぁ)」

ジョセフ「さて、どこをうろついたモンか。ここは『サクラガオカ』か」

紬「……」

紬「ジョジョさん」

ジョセフ「ん?」

紬「もし宜しければ、助けていただいたお礼も兼ねまして私が桜ヶ丘を案内しましょうか?
  せっかくここで会えたんですし、きっと何かの縁だと思いますわ」

ジョセフ「申し出はありがたいがその制服、君は学生じゃろう?
     これから学校じゃあないのかな?」

紬「あ、そうだった! でも……うーん……」

紬「(可愛いのォ)」

紬「じ、じゃあせめて私の学校まで一緒に歩きませんか?」

紬「それなら道すがら、桜ヶ丘の良い所もお教え出来ますし。
  もちろん、ジョジョさんが宜しければですけど……」

紬「それに他の皆もジョジョさんが桜ヶ丘にいると知ったら、
  きっと会いたがると思います!」

ジョセフ「そ、そうか?」

紬「はい!」

ジョセフ「まぁ、それなら断る理由も無いが」

紬「良かった! では行きましょう!」

ジョセフ「(……意外と強引な娘じゃの)」

46: 2013/01/18(金) 14:19:44.26
学校の部室


梓「おはようございます」ガチャリ

梓「……」

梓「誰もいない……」

梓「まだ朝だから当然と言えば当然だけど」

梓「……」

梓「でも、もう少しで本当にいなくなっちゃうんだよね……」

梓「そ、そしたら、この部室も広くなっちゃうなぁ。お花でも置いてみようかな?」

梓「ぬいぐるみとかも良いかも。じゃないと寂しいし」

梓「あ、でも色んなもの置きすぎて唯先輩みたいなことになったらどうしよう」

梓「『こら梓ー!』だなんて澪先輩に怒られちゃったりして」

梓「って、その頃には先輩達は卒業して居ないんだって私! あはは」

梓「は……」

梓「……」

梓「……」

梓「……」

梓「なんで……卒業しちゃうんですか……」

梓「いなくなるなんてそんなの嫌ですよ……」

梓「もう練習しろだなんて、口うるさく言いません。
  お茶ばっかり飲んでても怒ったりしないです。だから……」



梓「いなくならないでよぉ……」ぽろっ



ドドドドドドドドドド……


梓「……!?」ゾクゥ

47: 2013/01/18(金) 14:21:04.79
通学路


ジョセフ「~」

紬「~」


ジョセフ「ウククッ! 面白い娘じゃのォ、唯ちゃんは」

紬「いつもそうやって、りっちゃんと一緒に笑わせてくれるんです」

紬「それを澪ちゃんがツッコんで、梓ちゃんが一緒に咎めて……」

ジョセフ「君はそれを眺めてニヤニヤする訳じゃな?」

紬「凄い! なんで分かるんですか?」

ジョセフ「カッカッカッ! 何故か分かっちまうんじゃよ、何故かな」

紬「うふふっ」

紬「あっ、あそこにあるのが私達の学校です」ビシィッ

ジョセフ「ほお、立派なモンじゃ。一枚写真に撮っておくか」カシャ

紬「この後はどうなさるんですか?」

ジョセフ「そうじゃなァ、とりあえず君が教えてくれた所を回ってみるとするよ」

ジョセフ「一通り回ったら……確か駅の近くに喫茶店があったな。
     そこで休んでいると思うわい」

紬「じゃあ、学校が終わったら皆で会いに来ても良かですか?」

ジョセフ「モチロンじゃよ!」

ジョセフ「(モテ期再来か? わしもまだ捨てたモンじゃあないな)」

紬「では、また後でジョジョさん」

ジョセフ「オーケー!(ヒヒヒッ)」



ジョセフ「さ、ここから一番近いのは……」

48: 2013/01/18(金) 14:21:55.27
キィィィィィィィィィィン……



ジョセフ「?」

ジョセフ「グオォッ!? な、なんじゃッ! 頭がッ!」ドサァッ

ジョセフ「(頭が割れるように痛いッ……!
      こ、これは『音』か? なんて耳障りな『音』じゃッ!)」

ジョセフ「!」


紬「はう……」パタッ


ジョセフ「嬢ちゃんッ!」グニャアァァア

ジョセフ「(け、景色が歪んでッ!? イカン、意識が……)」



キィィィィィィィィィィン……



ジョセフ「うああああああ!」

ジョセフ「……」ガクゥッ


――――――

――――

――

49: 2013/01/18(金) 14:23:45.98
ジョセフ「……」

ジョセフ「く……」ムクリ

ジョセフ「い、生きてるのか俺は……?」

ジョセフ「ッ! ……まだ頭がガンガンしてんなァ、クソッ」

ジョセフ「そうだ、嬢ちゃんはッ!?」


紬「……」


ジョセフ「おい嬢ちゃんッ! しっかりしなッ!」

紬「うう……頭が……」

紬「ハッ……貴方は?」

ジョセフ「おいおい、ジジイより先にボケてどーする。立てるか?」

紬「……誰?」

ジョセフ「本当にボケちまったかァ? ジョジョだよ、ジョセフ・ジョースター」

紬「ジョセフ……ジョジョさん? 貴方が?」ジィー

ジョセフ「なんだよ、人のハンサム顔をまじまじとよォ」

紬「……あの、失礼ですけどジョジョさんって、もっとこう……老けてませんでした?」

ジョセフ「老け? 何言って……」サワッ

ジョセフ「(!? ア、アゴのヒゲがねえッ! それにこの感じ……)」

ジョセフ「……て、手鏡とか持ってないか?」

紬「ありますけど……」サッ

ジョセフ「サンキュー」

ジョセフ「……」

ジョセフ「!」

ジョセフ「!!」

ジョセフ「!!!」


ジョセフ「オ――――――ノォ――――――!?」


ジョセフ「か、顔がッ! 体がッ! 若返ってやがるーッ!?」

ジョセフ「(どう見てもこの顔は十代の頃の俺じゃあねーか)」

ジョセフ「どうなっちまってんだァー!?」

52: 2013/01/18(金) 15:34:49.68
紬「……」

紬「あの……本当にジョジョさんなんですか?」

ジョセフ「たりめーだぜッ!」



ジョセフ「俺がジョセフ・ジョースターだッ!」バァーーーン!



紬「!」

紬「確かにジョジョさんだわッ!」

ジョセフ「分かってくれたよーで何よりだぜ」

紬「ええ、ごめんなさい」

ジョセフ「……にしても、なんだってイキナリ若返っちまったんだァ?」


ジョセフ「(思い当たるとしたら、さっきの耳障りな『音』だが……)」

ジョセフ「(というか、そいつしか考えられねえっての)」

ジョセフ「(それに……この理不尽な展開にゃあ、理不尽覚えがあるぜッ!)」


ジョセフ「コイツは……『スタンド』かッ!」

紬「……スタンド? なにかしら?」

ジョセフ「この世の全ての生き物には生命エネルギーってのがある。
     俺にも嬢ちゃんにも、その辺ほっついてる野良猫にもな」

ジョセフ「だがたまーに、目に見える形でその生命エネルギーが具現化することがあるのよ」

ジョセフ「その具現化した生命エネルギーのことを『スタンド』……
     側に現れ立つって意味で『幽波紋 (スタンド)』と言うのさ」

ジョセフ「俺の体に起こったこの現象は明らかにその『スタンド』の攻撃によるものだッ!」

ジョセフ「ま、面倒臭けりゃあ、超能力って解釈でも良いのよん」

紬「まるでマンガみたいなお話ですね」

ジョセフ「お、おう、そーね……」

61: 2013/01/19(土) 06:57:08.97
ジョセフ「オホン。とにかく、さっき言ったとおり、
     『スタンド』は生命エネルギーからなっている」

ジョセフ「てことはよー、その『スタンド』を出している大元……
     『スタンド使い』が俺達の近くにいるはずだぜ」


ジョセフ「(……一つ疑問がある)」

ジョセフ「(この若返りの現象は確かにどこぞの『スタンド』の力によるもんだ。
      まず、間違いねえ)」

ジョセフ「(なのになあんで、嬢ちゃんには何にも起こらねえんだァ?)」

ジョセフ「(あの『音』を原因と仮定すんなら、嬢ちゃんも攻撃は食らってたはずだ。
      現に俺の目の前で嬢ちゃんが倒れたのを見ているしよ)」

ジョセフ「(『音』の中に俺だけに通じる何かがあったのか)」

ジョセフ「(それとも……俺に分からねーだけで、既になんか影響を受けているとか?)」


ジョセフ「……」

紬「?」



ダダダダダッ……



律「おーいムギー!」ダダッ!


紬「りっちゃん!」

ジョセフ「ドラムの嬢ちゃん?」

律「こんなとこにいたのかよ! もうすぐ新歓ライブ始まっちまうぞ!」

紬「……新歓ライブ?」

律「へへっ、私達もう二年生だろ? 軽音部に可愛い後輩が来ると良いな」

紬「二年生? ち、ちょっと待って」

律「まぁ、来るかどうかは私達の演奏次第! 気合い入れてこーぜムギ!」

紬「ストップ! 話を聞いてりっちゃん!」

律「お、おお」

紬「新歓ライブとか、もう二年生とか、いったい何の話をしているの?
  私達もうすぐ卒業でしょう?」

律「はぁ? ムギこそ何の話してるんだ?」

律「卒業なんか、まだ先の話じゃん」

62: 2013/01/19(土) 06:58:39.89
紬「卒業が……先の話?」

律「うん、先」

紬「……」

紬「りっちゃん、貴方の名前はッ!」

律「名前? なんだよいきな……」

紬「いいからッ!」

律「田井中律ですッ!」

紬「年齢はッ!」

律「じゅ、十七歳ですッ!」

紬「今年は何年ですかッ!」

律「2009年ですッ!」

紬「え!?」

律「え!?」

ジョセフ「え!?」

律「な、なんだよぅ、二人して変な顔してさ」

律「てゆーか、そこのデカいお兄さん誰だよ……もしかしてムギの彼氏?」

紬「NO! 若くなっちゃってるけどジョジョさんよ、りっちゃん。
  ほら、ロンドンで助けて貰ったでしょ?」

律「……ジョジョ? ……ロンドン?」

律「なにそれ?」

紬「どういうことなの……」

ジョセフ「な、なあんか嫌な予感……こ、これってつまり……」

律「やばっ、私達の出番までもう時間無い! 行くぞムギ!」ダダッ!

紬「ま、待って! もう色々待って!」ダダッ!



ジョセフ「……」



ジョセフ「ハァ~ア、俺くらい色んな経験してっと大抵のことにゃ驚かねぇけどよ」

ジョセフ「『タイムスリップ』とは恐れいったぜ」

ジョセフ「モチロン、あのお嬢ちゃんがフカシこいてる可能性もあるが、そんな様子は無かった」

ジョセフ「これも『スタンド』かァ?」

ジョセフ「分からんな、なんだってこんなことをするんだ?」

63: 2013/01/19(土) 07:00:20.89
ジョセフ「そいつを聞き出す為にも……まずは『スタンド使い』を見つけだすッ!」

ジョセフ「そしてここに取り出したるは観光用に持ってきたカメラ!」サッ

ジョセフ「俺の『スタンド』を使えば、『スタンド使い』の居所なんて一発だぜーッ!」ズオォオオ


ジョセフ「『隠者の紫』!」ガシァン!


ジョセフ「……」

ジョセフ「あん?」


ジョセフ「『隠者の紫』!」ガシァン!


ジョセフ「……」


ジョセフ「『隠者の紫』! 『隠者の紫』! くのっ、コノッ!」バシバシ

ジョセフ「ハァ、ゼェ~、ハァ、ゼェ~、ゼェ~」



ジョセフ「オ――――――ノォ――――――!?」

ジョセフ「『スタンド』が出せねえだとォ――!?」

ジョセフ「も、もしかして、若返っちまったからかァ?」

ジョセフ「ということは……」



・『スタンド』に頼らず自力で『スタンド使い』を見つけださなくてはならない

・『スタンド使い』を見つけたら、『スタンド』無しで『スタンド使い』と戦わなくてはならない

・そもそも『スタンド使い』を倒せたとしても元に戻れる保証は無い



ジョセフ「オーマイガッ!!!」ガァーン

81: 2013/01/20(日) 05:14:51.95
ジョセフ「無理無理! 出来る訳無いっつーのッ!」

ジョセフ「『スタンド』が使えねーのに、『スタンド使い』がいるかもしれねー場所にいるのは危険過ぎる」

ジョセフ「ここは一旦、逃げるが勝ちだぜッ!」ダダッ!


ジョセフ「(まずは敵さんの『目的』を探らなきゃあな)」

ジョセフ「(ソイツは何者なのか? 何故、こんなことをするのか?)」

ジョセフ「(それが分からないことには手の出しようが無)」



ガン!



ジョセフ「オーッノーッ!」

ジョセフ「なんだーッ? 壁に頭をぶつけちまったよーな感覚だぜ」

ジョセフ「けれども目の前に壁は見えねえ」

ジョセフ「……」ソーッ

ジョセフ「ますます泣きたくなってきましたよォん?」

ジョセフ「ご丁寧に学校の周りに見えねーバリアを張り巡らしてやがる」

ジョセフ「けどよーッ! 俺にだって対抗策が無い訳じゃあ無いんだぜーッ!」



コォオオオオ……!



ジョセフ「『波紋疾走 (オーバードライブ)!』」ゴオォン!



バシュウウウン!



ジョセフ「ダ、ダメだ、『波紋』が壁にその威力ごと吸収されるッ!」

ジョセフ「逃がす気はからっきしねーってことかよ、くそったれーッ」

82: 2013/01/20(日) 06:51:26.10
その頃 体育館のステージ裏


律「おーっす!」

澪「やっと来たか」

唯「ムギちゃんだ!」

紬「あ……澪ちゃん、唯ちゃん」

唯「間に合わないかと思っちゃったよぉ」

澪「ムギがいないと皆、演奏出来ないからな。間に合って良かった」

唯「ねぇねぇ、ムギちゃんは見た? 観客席が新一年生でいっぱいだよ」

律「新歓なんだから、そりゃそうだろー」

紬「あ、あの!」

澪「どうしたムギ?」

紬「わ、私達って高校三年生じゃあなかった? この前、卒業旅行でロンドンに行ったわよね?」

唯「ロンドン?」キョトン

澪「なんだそりゃ」

律「まだ言ってんのかよムギ。私達は二年生になったばっかだって」

紬「……」


紬「(やっぱり何かおかしいわ……)」

紬「(いきなりジョジョさんが若返ったり、皆がまるで昔の皆に戻ったように……)」

紬「(これって、『タイムスリップ』って奴なのかしら?)」

紬「(なんでこんなことが?)」



『……は軽音部による演奏です』



唯「呼ばれたッ!」

律「ヨッシャ、ガンバルぞー!」

澪「手のひらに『人』と書いて飲み込む……手のひらに『人』と書いて飲み込む……」



キィィィィィィィィィィン……



紬「……?」



――――――

――――

――

96: 2013/01/21(月) 03:40:18.89
学校の部室


紬「(う……! 『音』が頭に……)」

紬「……あら?」キョロキョロ



梓「一年二組の中野梓です。パートはギターを少し……」

律「お、唯と一緒じゃん!」

梓「これから宜しくお願いします」

澪「うん、宜しくな梓」

唯「ちっちゃくて可愛い~!」



紬「な、なんで部室にいるの? さっきまで体育館に……あれ?」



梓「宜しくお願いします、紬先輩」

紬「梓……ちゃん?」

梓「新歓ライブでの皆さんの演奏、とても凄かったです! 感動しました!」

唯「うう……眩しすぎて直視出来ません」

律「ええ子や! この子ええ子や!」

澪「一緒に頑張ろうな!」


紬「(あ、ありのまま今起こったことを話すわね!
   私は新歓ライブがこれから始まると思っていたら、既に終わっていました)」

紬「(また、『タイムスリップ』したの……?)」



ガチャリ



紬「(誰か来た? ……えええッ!?)」



さわ子「皆遅れてゴメン、先生がうるさくてさ~。この子が新入部員?」

唯「うん、中野梓ちゃんだよ」

さわ子「黒髪ツインテかぁ、色々着せ替え甲斐がありそうね」

梓「あ、あはは……宜しくお願いします……」


紬「(さわ子先生が制服を着てる……しかも妙に若々しいというか……)」


さわ子「部員もこれで六人。軽音部も良い感じになってきたんじゃあない?」

紬「えっ」

97: 2013/01/21(月) 03:40:46.74
澪「ムギ?」

紬「軽音部……五人じゃないの?」

律「いやいやいや、梓が入ったんだから六人だろ」

紬「いえいえいえ、どう数えても五人よ」

律「はぁ?」

唯「六人で合ってるよムギちゃん。まず、私でしょ?」

唯「澪ちゃん、りっちゃん、ムギちゃん、梓ちゃん……」

紬「うんうん」

唯「さわちゃん」

紬「さわちゃん!?」

さわ子「私を忘れるとは良い度胸ねムギ?」

紬「……さわ子先生は顧問でしょう?」

澪「顧問は堀込先生だぞ」

紬「ちょっと待って……今、頭の中整理したいの」

さわ子「どうしたら、私が顧問なんて発想が出るのよ。私はまだピチピチの高校二年生だっての」

紬「高校二年生!?」

澪「ピチピチは氏語だろ……」

律「さっきからどうしたムギ? おかしいぞ」

紬「もぉ、なにがなんやら……」

100: 2013/01/21(月) 05:19:53.17
学校の校門前


コォオオオオ……!



ジョセフ「一点集中ッ!『波紋疾走』!」ゴオォン!



バシュウウウン!



ジョセフ「これでもダメかよ、チクショー! 出せッ! 出しやがれッ!」


ジョセフ「(……このバリアは『スタンド』によって生み出されたモノ。
      『スタンド』の力は『スタンド』でしか対処出来ねえ)」

ジョセフ「(だから今の俺がいくら『波紋』をぶつけようが意味は無え。
      頭でそう理解していても、ウンともスンとも言わねーのはショックだぜ)」


ジョセフ「くっそーッ! このまま『スタンド使い』を探すしか無いのかよーッ!」

ジョセフ「考えろ……学校全体にバリアを張り巡らせる程の力だ。そう遠くにはいけねー」

ジョセフ「となると、学校内に潜んでいると考えるのが自然だ」



ジョセフ「……行くかァ、学校?」



ジョセフ「でも俺が入っても大丈夫なのか? 確かここ女子校だよなァ?
     『桜が丘女子高等学校』そう書いてあるしよ~っ」

ジョセフ「下手に見つかって騒がれでもしたらメンドーだ。
     ここは抜き足差し足で……なんか悪いことしてるみたいで気分ワリーぜ」ソロォーリ



堀込先生「……む?」

堀込先生「誰だッ! そこで何してるッ!」



ジョセフ「ゲーッ!」


ジョセフ「(こーゆー場面で早速見つかるかフツー!?)」

109: 2013/01/22(火) 05:15:08.81
ジョセフ「あ、あれ~っ? おかしいなあ、ここはどこだァ?」

ジョセフ「日本に観光に来たら迷ってしまいましたァン。ここはドコデスカァン?」

堀込先生「……」

ジョセフ「……」

堀込先生「そんな0.5秒で見破れる嘘をつくんじゃあない。こっちに来い、不審者め!」ガシィッ

ジョセフ「ぎゃぱァー! ですよねーッ! イデデデ、耳を引っ張るんじゃあねーッ!」



唯「お腹減ったぁ……購買って、こんなに遠かったっけ?」

澪「唯は憂ちゃんにお弁当作って貰っているんじゃあなかったか?」

唯「作って貰ってるよ。今朝も作って貰ったよ」

澪「じゃあなんで、購買に……」

唯「そのお弁当をカバンに入れてくるのを忘れてしまったのですよ」

唯「ああ、時間を戻せるなら戻したい……」

律「なんてありがちなウッカリだ。な、ムギ?」

紬「……」

律「ムギー?」

紬「あ、うん! どんとこいです!」ビクゥ

律「おお?」

さわ子「何、ポーッとしてるのよ」

紬「ちょっと考えごとを……」

梓「(なんだか、ぽわぽわした人だなぁ。良い匂いするし)」

唯「もうこうなったら、幻のゴールデンチョコパン手に入れるしか無いよね。
  じゃないと、私がカワイソーだよね」

澪「確かにカワイソーだな……誰にも手をつけられず、
  台所で刻一刻と腐っていく唯のお弁当のことを考えると……」

唯「あう……」



ジョセフ「だーかーらッ! 俺はヘンタイじゃねーつってんだろッ!」

堀込先生「女子校にコッソリ入ろうとする奴がそんな台詞を吐くのか!」

ジョセフ「俺だって入りたくて入った訳じゃあねーッ! だってよォ、こっから出してくれねーのよ!」

堀込先生「何を言っているのか、全く分からん」



律「お、先生だ」

澪「何か揉めてるみたいだけど」

110: 2013/01/22(火) 05:16:02.49
ジョセフ「クッ……面倒臭え」

ジョセフ「(今日はマジで厄日だぜ。こうなりゃあ、『波紋』で眠らせて……)」



紬「……? あっ!」

紬「ジョジョさん!」



ジョセフ「ん? 嬢ちゃんか! ちょーど良い所に来たぜッ!」

ジョセフ「このオッサンをなんとか……」

紬「ジ、ジョジョさん! おお落ち着いて聞いてくださいね!
  私、『タイムスリップ』したんだけど『タイムスリップ』じゃあないの!」

紬「あ、あと、さわ子先生がさわ子先生じゃなくて、さわちゃんなの! 高校生なの!」

ジョセフ「ハァ? 嬢ちゃんが落ち着け、意味が分からねーぞ。さわちゃんって誰だよ」

さわ子「私です!(イケメンキター!)」

堀込先生「琴吹、この人と知り合いか?」

唯「……ムギちゃんの彼氏さん!?」

澪「彼氏!?」

梓「(か、彼氏持ちなんですかッ!?)」ガァーン

さわ子「(一瞬で私の恋終わった……)」

紬「ち、違うわ、えーと……」

堀込先生「やっぱり、不審者か」

ジョセフ「ノォーッ!」


ジョセフ「(なんか上手いことごまかせ嬢ちゃん!
      俺達は今、学校に閉じ込められてる。
      敷地内から外に出られないようにバリアが張られてるんだ)」ヒソヒソ

紬「(ええ!?)」ヒソヒソ

ジョセフ「(これは『スタンド使い』の仕業だ。
      そしてこの『タイムスリップ』もソイツと無関係じゃあない)」ヒソヒソ

ジョセフ「(俺はこれからその『スタンド使い』を探してとっちめる!
      つまり、ここでグダグダしてらんねーのよ)」ヒソヒソ

紬「(わ、分かったわ)」ヒソヒソ

111: 2013/01/22(火) 05:16:56.79
紬「先生、待ってください。その人は怪しい人でも彼氏でもありません!」

律「じゃあ、いったい誰なんだッ!」



紬「実は私の新しい執事なのです!」バァーーーン!



唯「なあんだ、ムギちゃんの執事さんかあ」

律「へー、執事さんだったのか」

澪「全然、そう見えないのは気のせいか?」

梓「執事なんて、今の日本に実在するんですね……」

さわ子「(私の恋終わってなかった!)」

堀込先生「し、執事?」

ジョセフ「そ、そーゆーことなのよ! そーそー!」

ジョセフ「琴吹お嬢さんの執事を務めさせていただいてます?」

ジョセフ「ジョセフ・ジョースターだ。ジョジョって呼んでくれ」

唯「はいジョジョちゃん!」

梓「(ジョジョ……)」

紬「ですから、見逃していただけませんか? 先生」

堀込先生「そういうのは困るんだがな……」

堀込先生「次からはちゃんと報告してくれよ」

紬「はい、申し訳ありません」


ジョセフ「(執事ってなんだオメー!? もっとマシな嘘の付き方あんだろよォ!
      お金持ちのお嬢さんでもあるまいしよー!)」ヒソヒソ

紬「(私、お金持ちなの)」ヒソヒソ

ジョセフ「(あ、そうなの……)」ヒソヒソ

114: 2013/01/22(火) 10:07:10.12
唯「ねぇ、ジョジョさ~ん?」

ジョセフ「あ~ん?」

唯「私達、これからお昼なんですけど、よければ一緒に食べませんか?」

唯「ジョジョさんとお話してみたいなぁ」

澪「おい唯……」ボソボソ

唯「いいじゃん、ご飯は大勢で食べた方が美味しいんだよ」

澪「それはそうだけど……」

唯「ムギちゃんも良いよね?」

紬「そうね……」チラッ

ジョセフ「……そういえば朝から何も食ってねえなァ」

ジョセフ「ここはその話に乗ったぜ!」


ジョセフ「(気になることもいくつか出来たしな……)」


――――――

――――

――

115: 2013/01/22(火) 10:08:02.62
さわ子「どうぞ、ジョジョさん。この卵焼きは私の自信作なんですよ」

ジョセフ「言うじゃねーか、俺は味にうるさいぜ」

さわ子「あーん、してください」ニコッ

ジョセフ「あ、あ~?」



梓「……さわ子先輩、キャラ違いませんか?」

律「言うな、察してやれ」

唯「私も憂にあーん……って、食べさせて貰う時あるよ!」

澪「多分、あの『あーん』には色んな意味があるんだろうな……」



ジョセフ「モグ」

さわ子「……」ドキドキ

ジョセフ「ンめー! ンまいじゃねーの! グー」

さわ子「良かった! やっぱり、女性は料理が出来ませんとね!」

ジョセフ「こりゃあモグモグ、いけるぜッモグモグ」

さわ子「(YES! YES! YES!)」グッ



ジョセフ「そうだ、嬢ちゃん。聞きたいことあったんだ」



紬「はい?」

ジョセフ「おめーよォ、さっき言ってたよなァ?
     『タイムスリップ』だけど『タイムスリップ』じゃあねえとかよ」

ジョセフ「ありゃあ、どういう意味だ?」

116: 2013/01/22(火) 10:14:36.07
紬「上手く説明出来るかはちょっと自信無いんですけど……」

紬「今、私達のいるこの2008年は私達の過ごした2008年じゃないと思うんです」

ジョセフ「その理由を聞かせてくれ」

紬「話の流れは大体同じなんです。私達が二年生になって、新歓ライブして、梓ちゃんが軽音部に入部して……」

紬「ただ、一つだけ違う部分が」

ジョセフ「違う?」

紬「さわちゃん……山中さわ子さんが、
  ここでは高校二年生で私達と同じ軽音部の部員ということになってるんですけど」

紬「私達が元いた2010年では、山中さわ子さんは山中さわ子『先生』として、
  軽音部の顧問として、いたはずなんです」

ジョセフ「そいつは妙ちきりんな話だなァ。
     単に2008年まで時間が巻き戻ったんなら、高校生まで戻るはずは無い」

ジョセフ「加えて、過去には無かったはずの出来事(2008年時点で山中さわ子が平沢唯達と同級生で且つ、同じ軽音部員)
     が起こっている、か」



律「さわちゃんの猫被り~!」

さわ子「か、被ってないっての!」



ジョセフ「(……コイツが『スタンド使い』じゃあねーだろーなァ?)


紬「あ、あともう一つ……」

ジョセフ「……? シーッ!」

紬「……!?」



キィィィィィィィィィィン……



ジョセフ「あ、あの『音』だッ!」

紬「ま、また……!」


――――――

――――

――

136: 2013/01/23(水) 12:06:08.10
講堂


ジョセフ「……」

紬「……」



ジョセフ 紬「ハッ! ここはッ!?」

紬「講堂……?」

ジョセフ「なんだァーッ? いつの間にか、場所が変わってやがるぜッ!
     しかも、俺達以外に誰も見当たらねーッ!」

紬「ま、まただわッ! さっきも、いきなり『音』が聞こえて『タイムスリップ』を!」

ジョセフ「『スタンド』だッ! 嬢ちゃんは俺の後ろに隠れてなッ!」


ジョセフ「(やはり、狙いはこの俺か?
      どこで恨み買ったかは知らねーが、キッチリ落とし前はつけてやるぜッ!)」



ドドドドドドドドドド……



ジョセフ「!」



?「イレギュラーが二人……」ドドドドドドドドドド……



ジョセフ「てめーが、『スタンド』か?」

?「校内全体の夢移行を確認、肉体の夢移行を確認、記憶の夢移行……二名失敗」

ジョセフ「……はっ? なあに、トンチンカンなことほざいてんだァ?」

?「……能力を使用時に対象範囲を校内に集中させたのが失敗だったんですかね?
  ちょうどその時、この二人は校内の外にいた。だから影響が中途半端に……」

?「それにしても部外者が紛れ込んでいたなんて。余計な手間を」

ジョセフ「……もしもお~~~し! 俺の声聞こえてるゥ?
     お耳が少しばかり遠いんとちゃうのォ~~~?」

?「能力起動、対象範囲を『琴吹紬』に設定」

紬「!?」



キィィィィィィィィィィン……



紬「きゃあッ!?」バタッ

ジョセフ「じ、嬢ちゃんッ! てめー!」

?「イレギュラーの数量を 2 → 1 へ」

?「次は貴方ですよ……ですが貴方だけはこの世界では不要な存在、いつ『覚める』とも限らない」

?「ですから……」



ドリーム・ドランカー「この『ドリーム・ドランカー』がここで殺ってやるDEATH!」ドウゥゥゥウン!



ジョセフ「ぎゃあニィーーーッ!?」

137: 2013/01/23(水) 12:06:52.28
『ドリーム・ドランカー』

破壊力:E スピード:D 射程距離:B 持続力:A 精密動作性:A 成長性:?

141: 2013/01/23(水) 12:44:05.63
ジョセフ「じ、冗談じゃねーッ! 殺されてたまっかよッ!」


ジョセフ「(クソッ、俺も『スタンド』さえ使えりゃあ……うん?)」

ジョセフ「(アイツが見えるってことは『スタンド』出せるんじゃあないの俺?)」


ドリーム・ドランカー「DEATH!!!」

ジョセフ「『隠者の紫』ッ!」

ジョセフ「……」

ドリーム・ドランカー「……」


ジョセフ「やっぱり、出やしねえーーーッ! なんでだァーーーッ!?」

ドリーム・ドランカー「アハハハハハハァ! むっだぁん! むっだぁん!」

ジョセフ「お、おちょくりやがってェ~!?」


ジョセフ「(なんでだ!? なんで『スタンド』は見えているのに『スタンド』が出せねえ!?)」


ジョセフ「こうなったら……体力比べといこうぜ、スタンドヤロー!」

ドリーム・ドランカー「あぁ?」

ジョセフ「逃げるんだよオォォォーーーーーーッ!」ダダッ!


ジョセフ「(このままじゃあ、一方的に殺されるッ!
      今は逃げてもなんとしても、奴の『謎』を解いてやるぜッ!)」

143: 2013/01/23(水) 13:03:17.56
ドリーム・ドランカー「あれあれ? 紬お嬢様をほっぽりだしたままで良いんですか? ジョセフ執事」

紬「……」

ジョセフ「しまったッ!? ひ、卑怯だぞてめーッ!」

ドリーム・ドランカー「馬鹿じゃないの」

ジョセフ「だったらよォ……お嬢様を背負って逃げるだけだぜーッ!」ダダッ!


ジョセフ「(あ、意外と重いな嬢ちゃん……)」


ドリーム・ドランカー「アハハハハハハ……」



学校の廊下


ジョセフ「遠くだッ! 今は出来るだけ遠くへッ!」ダダッ!



キィィィィィィィィィィン……



ジョセフ「ぐああああッ!? あ、頭が……ッ!」


――――――

――――

――


講堂


ジョセフ「うう……なッ!?」

ドリーム・ドランカー「おかえりなさいDEATH」

155: 2013/01/24(木) 13:30:53.54
ドリーム・ドランカー「体力比べをするのではなかったんですか?」

ジョセフ「ノォーッ!? 俺は確かに廊下に出たッ!」

ジョセフ「なのになんで、『ここ』に戻っていやがるんだァ!?」


ジョセフ「(まるで『世界 (ザ・ワールド)』でも食らったみてーな違和感だッ!)」

ジョセフ「(そしてその違和感は決まって『音』を聞いてから現れるッ!)」

ジョセフ「(人を若返らせたり、時間を戻したり、瞬間移動させたり、なんでもありかよ)」


ジョセフ「まるで夢でも見てるよーな気分だぜ……」

ドリーム・ドランカー「……!」

ドリーム・ドランカー「やはり貴方は危険です。『均衡』が崩れる」

ドリーム・ドランカー「ここで氏んでください」



キィィィィィィィィィィン……



ジョセフ「うあああああッ!?」


ジョセフ「(ず、頭痛がッ! インフルエンザで氏にそーなくらいにくるピーィ時に、
      全力でヘッドバンキングしたみてーに頭が痛えーッ!?)」

ジョセフ「(し、氏ぬ……これはマジでやばいんじゃあないの……)」


ドリーム・ドランカー「さよなら、ジョセフ・ジョースター」



キィィィィィィィィィィン……

156: 2013/01/24(木) 13:32:09.64
読者諸君、君達はきっとこう考えているだろう。

あのジョセフ・ジョースターがこのまま氏ぬはずがない。終わるはずがない。

きっと、自分達の想像もつかないようなトリックと策でこの絶体絶命な状況を乗り切るだろうと。


言っておこう、そんなことはない!


彼には何の対抗手段も残されてはいない。

当然だ。相手の能力の全貌も掴めず、『スタンド』すら使えず、出来ることは逃げるだけ。

だが、その逃げることすら敵は許さなかった。こうしてジョジョは氏んでいくのである!



ジョセフ「(……ここまで老いぼれながら生きといてよォ。
      こんな氏に方って、あんまりなんじゃねーのよ……?)」



その時、ジョジョは『波紋』の呼吸をした。無意識に体がそうさせたのだ。

ここで散ろうと、最後まで戦い抗う意志の表れなのか?

しかしその『波紋』がジョジョに思わぬ幸運をもたらした!

それは……

157: 2013/01/24(木) 13:33:13.11
ジョセフ「ゲホォッ!」

ジョセフ「う……あ……」フラァァ……バタアァァァアンンッッッ!



バチッ! バチバチィッ!

キィ……ィ……ィィ…………



ジョセフ「(……? 今、一瞬音が途切れたよーな……)」



ガチャリ



梓「な、何の音ですか……? 大きな音がしましたけど……」


ジョセフ「く、来るな……ここは危ねえ!」

梓「ジョジョさん!? ムギ先輩!? どうしたんですか!」ダダッ!

ジョセフ「お、おい、来るなッ!」クルッ



シィーン……



ジョセフ「……『スタンド』がいない?」

梓「ど、どうして二人とも倒れてるんですか? 怪我でも……」

ジョセフ「……いや、なんでもねー。ちょいと足滑らしただけよ。
     それより、嬢ちゃんの方を見てくれ」

梓「は、はい。ムギ先輩!」

紬「ん……梓ちゃん?」

164: 2013/01/25(金) 00:30:34.77
梓「大丈夫ですか? 具合とか悪くないですか……?」

紬「……私、どうしてこんな所で倒れていたのかしら」

ジョセフ「覚えてねーのか?」

紬「……どちら様ですか?」

ジョセフ「にゃにィ? そいつも覚えてねーのかァ!?」

梓「以前、ムギ先輩の新しい執事さんって、自分で言ってませんでしたか?」

紬「そんなこと言ったかしら?」キョトン

ジョセフ「……今が何年何月何日か言えるか?」

紬「えっと……『2008年の8月』! もうすぐ、りっちゃんの誕生日ね」

紬「お祝いしないとね、梓ちゃん!」

梓「は、はい!」


ジョセフ「(まァた、時間が飛んでるぜ。さっきまで新歓ライブとか言ってなかったかァ?)」

ジョセフ「(おまけに嬢ちゃんの記憶も操作されちまった。
      原因は分かりきってるぜ、あの『音』だ)」

ジョセフ「(こんなメンドーな『スタンド』は始めてだぜ……)」

ジョセフ「(倒すには奴の謎を解くしかねえ。
      一見、意味不明でもその謎を解くことによって、攻略法が掴めっかもしんねー)」


・何故、2008年に時を戻されたのか?

・何故、ジョセフ及び、山中さわ子が戻った時間以上に若返ったのか?

・何故、学校の周りにバリアが張られているのか?

・何故、敵の『スタンド』の姿は見えているのに、ジョセフは『スタンド』が出せないのか?

・何故、敵の『スタンド』の姿は見えているのに、本体である『スタンド使い』は姿が見えないのか?

・何故、ジョセフを殺せる状況であったにも関わらず、その姿を消したのか?

165: 2013/01/25(金) 00:56:10.77
『何故、2008年に時を戻されたのか?』


ジョセフ「(分かんねー、知るか)」


『何故、ジョセフ及び、山中さわ子が戻った時間以上に若返ったのか?』


ジョセフ「(最初は俺の『スタンド』を封じるためかと思った。
      俺が『スタンド』を覚醒したのはDIOのヤローの復活と同時期。つまりジジイの時よ)」

ジョセフ「(それより以前に年齢を遡らせりゃあ、『スタンド』は出せなくなるって理屈は通る)」

ジョセフ「(でもよォ、眼鏡の嬢ちゃんまで必要以上に若返らせる理由は無い。そこが分からんのだ)」


『何故、学校の周りにバリアが張られているのか?』


ジョセフ「(俺を外へ逃がさねーためか?。
      誰か俺を狙っている奴がいて、俺の動きを制限する為にってカンジでなァ)」

ジョセフ「(しかあ~し、それだと奴の言ったセリフがオカシイことになるぜ)」


ドリーム・ドランカー『それにしても部外者が紛れ込んでいたなんて。余計な手間を』


ジョセフ「(まるで俺は最初っから関係ありませんでしたァ~ン、
      みてーな言い方をするのはちょお~っと違うんじゃあないのォ?)」

ジョセフ「(バリアを張ったのは『逃がさない』ためじゃなくて、
      何かを『寄せ付けない』ためだとしたら……?)」

166: 2013/01/25(金) 01:17:46.55
『何故、敵の『スタンド』の姿は見えているのに、ジョセフは『スタンド』が出せないのか? 』


ジョセフ「(『スタンド』には幾つかのルールがある)」

ジョセフ「(『スタンド』は『スタンド』でしか倒すことが出来ず、
      その姿は『スタンド使い』にしか認識出来ないってな風になァ)」

ジョセフ「(が、稀に例外は存在する。例えばその『スタンド』のエネルギーが余りにも巨大だった場合、
      一般人の目もその姿を認識しちまうんだ)」

ジョセフ「(ただ、『ドリーム・ドランカー』さんがそこまでの力を持ってたよーには見えなかったぜ。
      主観だけどねー)」

ジョセフ「(つまり、この『例外』は当てはまらねえ。うーん、分からん)」


『何故、敵の『スタンド』の姿は見えているのに、本体である『スタンド使い』は姿が見えないのか? 』


ジョセフ「(単純に遠距離から隠れて操作してるって言えば、それまでなんだけどよォ……)」


『何故、ジョセフを殺せる状況であったにも関わらず、その姿を消したのか?』


ジョセフ「(こいつが一番分かんねー。ツインテールの嬢ちゃんに俺が殺される姿を見られるのを嫌った?
      そりゃあ、なんともお優しいことだぜ)」

ジョセフ「(けどよォ、例え見られたとしても、
      お得意の『音』で記憶を弄れば済むことだろーが)」

ジョセフ「(つまり、あの『スタンド』には見られたくない理由が明確にあったってことよ)」

ジョセフ「(そこに『鍵』があるよーな……無いよーな)」

170: 2013/01/25(金) 02:49:19.07
駄目だ。深夜でも勢いで書けば……とか思ってたら矛盾? が出ちゃいましたね。すみません。

修正版を。


『何故、敵の『スタンド』の姿は見えているのに、ジョセフは『スタンド』が出せないのか? 』


ジョセフ「(『スタンド』には幾つかのルールがある)」

ジョセフ「(『スタンド』は『スタンド』でしか倒すことが出来ず、
      その姿は『スタンド使い』にしか認識出来ないってな風になァ)」

ジョセフ「(が、稀に例外は存在する。例えばその『スタンド』のエネルギーが余りにも巨大だった場合、
      一般人の目もその姿を認識しちまうんだ)」

ジョセフ「(ただ、『ドリーム・ドランカー』さんがそこまでの力を持ってたよーには見えなかったぜ。
      主観だけどねー)」

ジョセフ「(つまり、この『例外』は当てはまらねえ。うーん、分からん)」


『何故、敵の『スタンド』の姿は見えているのに、本体である『スタンド使い』は姿が見えないのか?』


ジョセフ「(単純に遠距離から隠れて操作してるって言えば、それまでなんだけどよォ……)」

ジョセフ「(それとも本体の意志とは別に動く、『自立型のスタンド』?
      そっちの方がまだ可能性高いかなァ……)」

ジョセフ「(そうなると何故、『スタンド』がこのようなことをしたのかを考えなきゃあな。
      理由も無く……だなんて言わせねーぜ。てめーの行為には必ず理由がある)」


『何故、ジョセフを殺せる状況であったにも関わらず、その姿を消したのか?』


ジョセフ「(こいつが一番分かんねー。ツインテールの嬢ちゃんに俺が殺される姿を見られるのを嫌った?
      そりゃあ、なんともお優しいことだぜ)」

ジョセフ「(けどよォ、例え見られたとしても、
      お得意の『音』で記憶を弄れば済むことだろーが)」

ジョセフ「(つまり、あの『スタンド』には見られたくない理由が明確にあったってことよ)」

ジョセフ「(そこに『鍵』があるよーな……無いよーな)」

179: 2013/01/25(金) 12:42:29.24
梓「あの……ジョジョさん」

ジョセフ「……うん? ああ、どうしたァ?」

紬「ムギ先輩、記憶が混乱してるみたいで……ジョジョさんのことを全く覚えてないみたいなんです」

ジョセフ「みてーだなァ」

梓「ですから、ムギ先輩を少し休ませようと思うんです。
  なので、保健室まで連れていくのを手伝っていただけませんか?」

紬「私なら大丈夫よ、梓ちゃん?」

梓「だ、駄目ですよ! もしかしたら、どこかぶつけたのかもしれないじゃないですか」

紬「梓ちゃんって、意外に心配性なのね」クスッ

梓「当然です! 人一人丸々忘れてるなんて、ちょっと変ですよ」

紬「だって、本当に知らないんだもん。その……ジョジョさん?」


ジョセフ「(やはり嬢ちゃんから俺の記憶が消えている……
      というより、別の記憶を植え付けられたと言った方が正解かァ?)」

ジョセフ「(じゃなきゃあ、今は何年何月ですかァ?
      なんて聞かれても、『2008年の8月』なんてスラスラ出る訳がねー)」


ジョセフ「オーケイ! とりあえず、ここに留まるのはよくねー。失礼するぜ、琴吹お嬢さん」ガシィッ

紬「えっ? き、きゃっ! ///」


梓「(お、お姫様抱っこ……!)」


ジョセフ「まァ、何がなんだか分からねーだろーけどよォ、
     ここは大人しくカワイイ後輩の言うことを聞いておくべきだぜ」

紬「は……はい」


ジョセフ「(嬢ちゃん達を巻き込む訳にはいかねえ。
      少なくとも、今確実に殺意を向けられてるのは俺だけだ)」キリッ


紬「あ、あのぉ……///」

ジョセフ「どうした?」

紬「ジョジョさん? の手が……その……当たって……///」

ジョセフ「ゲッ!? ご、ごめェ~ン!」

梓「ていッ!」ゴッ!

ジョセフ「オーッノォーッ! 痛えーッ!?」

186: 2013/01/27(日) 04:49:00.84
――――――

――――

――


学校の部室


梓「すみません、遅れました」ガチャリ



唯「あ、あずにゃんやっと来たぁ」

澪「何かあったのか?」

梓「実はさっきまでジョジョさんとムギ先輩と保健室にいたんです」

律「保健室? どっか具合悪いのか?」

唯「えっ!?」

梓「わ、私はなんでもないです! ただ……ムギ先輩がちょっと体調不良みたいで」

澪「ムギが? 珍しいな。皆で様子を見に行こうか」

梓「今、ジョジョさんがムギ先輩のことを看てます。
  ムギ先輩は『私のことは心配いらないから練習していて』と」

律「そっかー……じゃあ、今日はお茶無しか」

唯「えっ!?」

澪「お前らなぁ……」

梓「ムギ先輩の言うとおり、ここは練習しましょう!」

梓「過ぎた時間は戻りません。ですから、これを機にもっと真面目に……」

唯「ムギちゃんのお茶が無いとイマイチやる気が~……」

律「唯に同じ~……」

梓「もお……」


梓「(なんだか、私も毒されてきちゃったなぁ……
   前までは、この緩い空気はどうなの? とか思ってたのに)」

梓「(今じゃ、すっかりそれが当たり前になって楽しんでる私がいる……)」

梓「(って、ダメダメ! 私がしっかりしないと!)」


唯「あっずにゃあ~ん! 何、難しい顔してるのー?」ムギュウ

梓「唯先輩……びっくりした……」

唯「ごめんね、あずにゃん。ちゃんと練習するからそんな顔しちゃ駄目だよ」

梓「……はいはい」

唯「し、しどい! 信じてないねあずにゃん!?」

梓「言葉より行動ですっ」


『……楽しいなぁ……こんな日がずっと続いたら……』

187: 2013/01/27(日) 04:50:02.24
保健室のベッド


紬「すぅ……すぅ……」

ジョセフ「寝つきが早くてよろしいことで」


ジョセフ「(本人は大丈夫つっても、生身で直に『スタンド』の攻撃を受けてんだ。
      どんな影響があるか分かんねー以上、しっかり休んで貰わんとなァ)」


紬「ううん……もはやゲル状では飽き足らないのォ……ビシバシビシィッて……」

ジョセフ「うおッ!? ね、寝言かァ~? どんな夢見てんだよッ!」

ジョセフ「夢、夢か……」


ドリーム・ドランカー『校内全体の夢移行を確認、肉体の夢移行を確認、記憶の夢移行……二名失敗』

ドリーム・ドランカー『……能力を使用時に対象範囲を校内に集中させたのが失敗だったんですかね?
           ちょうどその時、この二人は校内の外にいた。だから影響が中途半端に……』


ジョセフ「(あの『スタンド』も夢がどうのこうの言ってたなァ)」

ジョセフ「(夢……夢を見る。記憶の夢移行に二名失敗……ってのは、
      話の前後からして、俺と嬢ちゃんのことか)」


ドリーム・ドランカー『次は貴方ですよ……ですが貴方だけはこの世界では不要な存在、いつ『覚める』とも限らない』


ジョセフ「(『覚める』って、物言いも気になるぜ。
      まるで、俺が眠ってるみてーな言い方じゃあねえか)」

ジョセフ「(俺はこの通り、お目目パッチリだもんねー)」

ジョセフ「(何から『覚める』と言うんだ? 眠りから『覚める』? ……夢から『覚める』?)」

ジョセフ「(夢……移行……覚める……)」


ジョセフ「もしかして……見ているのか? 俺は……夢を?」

ジョセフ「待て待て……今、もんのすごぉ~く、喉まで何か出掛かってるぜーッ!?」

紬「むぎゅむぎゅ……何を言ってるの? ……そんなもの見えたかしら?」

ジョセフ「ま、また寝言かよッ! だからどんな夢見てんだよッ!」


ジョセフ「(……っと、長居しちゃあいられねえ。またいつ、『スタンド』に襲われるかも分からん)」


ジョセフ「じゃあな、嬢ちゃん……」

紬「人の腕からイバラは出ませんよ梓ちゃん……疲れてるのよ……ほら、ホテルに戻りまむぎゅ……」

紬「すや……すや……」

ジョセフ「……あァ?」


ジョセフ「(い、今……何て言いやがったァ?)」

188: 2013/01/27(日) 04:50:58.51
紬「くー……くー……」

ジョセフ「人の腕からイバラ……俺の『隠者の紫』じゃあねーかッ!」

ジョセフ「なんで嬢ちゃんが『隠者の紫』を知ってるんだァ!?」

ジョセフ「ロンドンで初めて嬢ちゃん達に会った時に、確かに目の前で使ったけどよォ、
     フツーの人間にゃあ、見えねーはずだぜッ!?」

ジョセフ「……人の腕からイバラは出ませんよ梓ちゃんだァ?」


ジョセフ「(見えていたのか……? 俺の『スタンド』がツインテールの嬢ちゃんには)」

ジョセフ「(そして『スタンド』は『スタンド使い』にしか見えない……)」


ジョセフ「まさかのまさかだぜ、これはよォーッ!」ダダッ!



紬「うう……頭がぐるぐるする……ふにゅ……」

189: 2013/01/27(日) 06:14:07.34
廊下


ジョセフ「うおおおおおーッ!」ダダッ!

ジョセフ「中野梓はどーこだァーッ!」ダダッ!



唯「あれ? ジョジョさんだ、おーい!」



ジョセフ「じ、嬢ちゃんかッ!? ちょうどいいぜ」キキィーッ!

ジョセフ「あのツインテールの嬢ちゃんはどこだッ!?」

唯「あずにゃんのこと? あずにゃんなら部室にいるけど……どうしたんですか?」

ジョセフ「その嬢ちゃんに抜き差しなんねえ用事があんのよ……ん?」

ジョセフ「おめーは何してんだ?」

唯「いやぁ……実はコッソリ練習を抜け出してきたのですよ」

唯「今日のあずにゃん、いつもよりスパルタなんだもん。
  だから、視線をすり抜け、あずにゃんの隙を突いて逃げたのです……」

ジョセフ「だから、背中にギターしょってんのか」

唯「あ、後が怖いぜ……」

ジョセフ「おめー、仮にも先輩だろーが。後輩にケツ叩かれてどうすんだよ」

ジョセフ「って、のほほんとお喋りしてる場合じゃあねーッ!」

唯「ほえ?」


ジョセフ「(さっさとツインテールの嬢ちゃんをとっ捕まえねえとッ!)」


ジョセフ「じゃあなーッ! ……うっ!?」



ドドドドドドドドドド……



ドリーム・ドランカー「こんにちはDEATH!」



ジョセフ「オーマイガッ!? よりによって、このタイミングでェ~ッ!?」

唯「?」

190: 2013/01/27(日) 06:57:31.35
ドリーム・ドランカー「本当に余計な手間をかけてくれましたね……」

ドリーム・ドランカー「邪魔者は消えて無くなるDEATH!」

ジョセフ「ま、待ったァ! STOP! STOP!」

ドリーム・ドランカー「命乞いですか?」

ジョセフ「いーや、違うねッ! てめー……中野梓の『スタンド』だな?」

ドリーム・ドランカー「!」

ドリーム・ドランカー「……」

ジョセフ「へ、へっへっへっ! ドンピシャ?」

ジョセフ「そしてこの世界は『タイムスリップ』した世界じゃあねえ、
     お前が作り出した架空の2008年の夢だ! コイツもドンピシャ?」

ドリーム・ドランカー「!!!」

ドリーム・ドランカー「……な、何故分かったんです」

ジョセフ「うおーッ! セェーッフゥ! てめーのその反応でようやく確信が持てたぜッ!」

ドリーム・ドランカー「カ、カマをかけたんですかッ!?」

ジョセフ「この手の探り合いは俺の十八番なのよーッ!」

ドリーム・ドランカー「グッ……!」

ジョセフ「この世界が『夢』で出来てるってんなら、色々分かってくることはある」


唯「(……ジョジョさん、急に一人で喋り始めてどうしたんだろ?)」


ジョセフ「さぁて、答え合わせといこうかァ?」バン!

204: 2013/01/28(月) 04:44:23.28
ジョセフ「まず一つ目ッ! 俺は本当は若返っちゃあ『いない』ッ!」

ジョセフ「ず~っと、引っかかってたのよォ。
     なんで俺はてめーの姿を認識出来るのに『スタンド』が出せないのかってなァ」

ジョセフ「答えは簡単、俺は『若返ったという夢を見せられていたから』」

ジョセフ「いや、俺だけじゃあねえ。この学校にいる者ほぼ全てにだろうなァ」

ジョセフ「つまり精神的、本質的な所での俺は何も変わっちゃあいねえ。
     『スタンド』だって、ちゃあんと持ってる。だから俺はてめーを認識出来る。
     だが、体は若返ったと思いこんでいるから『スタンド』が出せねえ」

ドリーム・ドランカー「……」

ジョセフ「黙り込むのはそれが正解だから」

ジョセフ「てめーの『夢』は看破されたッ! 俺は『覚めた』ぜ?」



カッ!



唯「うわっ、な、何ッ!? まぶし……!」



ジョセフ「……お~、戻った戻った。やれやれじゃな」バァーーーン!



ドリーム・ドランカー「……ッ!」

ジョセフ「時が戻ったのではなく、わしらは夢を見せられていた。
     分かってしまえば簡単なことじゃなぁ」

ジョセフ「学校を囲むようにバリアが張られていたのも、
     外からの侵入者を弾き、それによって生じる矛盾を防ぐため」

ジョセフ「恐らく、お前の能力の範囲はこの学校の広さが限界ラインなんじゃろう?」

ジョセフ「本当に時が戻ったのならば、そんな手間は必要無いからのォ」


唯「ジ、ジョジョさんがいきなり光ったと思ったらおじいちゃんに……!?
  な、何を言っているのか分からないと思うけど私もあわわわわ」

205: 2013/01/28(月) 04:45:12.31
ジョセフ「皆を今すぐ元に戻せ。そうすればお前を許してやろう」

ドリーム・ドランカー「……だからなんだと言うんですか?」

ジョセフ「む?」

ドリーム・ドランカー「『夢』を『看破』したァ? また、『夢』を見せれば済むことッ!」

ドリーム・ドランカー「それでなくても、ジョセフ・ジョースター! 貴方は私の夢に不要ッ!」

ドリーム・ドランカー「私の『思い出』から……出ていけえええええッ!」



キィィィィィィィィィィン……



唯「な、何これ……? 急に頭が痛く……」

ジョセフ「全く、馬鹿の一つ覚えのよーに鳴きおって!」

ジョセフ「嬢ちゃんッ! 君のギターを借りるぞッ!」サッ

ドリーム・ドランカー「!?」

ジョセフ「わしが何の策も無く、ペラペラ喋っているとでも思ったか?
     その『音』を破る策はたったいま、さっき閃いたッ!」

ジョセフ「『波紋』の呼吸ッ!」



コォオオオオ……!



ジョセフ「Let's Rock!」ギュイイイイイインンンンンッ!


ジョセフ「(『波紋』の呼吸で呼吸と音のリズムを取るッ!
      そのリズムに合わせてギターをかき鳴らし、『音』と『音』の波を重ねるんじゃあッ!)」


ジョセフ「すると……」



キィィ――ィ――ィィ――――



ドリーム・ドランカー「な、なんですか!? 私の『音』が消えていくッ!?」

206: 2013/01/28(月) 04:46:17.70
ジョセフ「フッフッフッ、お前さん物理は得意かなァ?」

ジョセフ「この世のあらゆる『波動』……
     例えば『電波』などは自身と逆位相かつ同振幅の波で打ち消すことが出来る」

ジョセフ「それは『音』も同じことッ!」

ジョセフ「お前の出す『音』の波とわしのギターの『音』の波を重ねればご覧の通りという訳じゃよ」

ジョセフ「ま、わしも機械じゃああるまいし、完全に相頃するのは無理だったがな。
     それでも威力を頃しきるには充分」

ジョセフ「(ぶ、ぶっちゃけ、イチかバチかじゃったァ~! プフゥ~)」


ドリーム・ドランカー「そ、そ……」



ジョセフ「お前の次の台詞は『そんな馬鹿な。有り得ない』と言う」



ドリーム・ドランカー「そんな馬鹿なッ! 有り得ないッ!」

ドリーム・ドランカー「ハッ!?」



ジョセフ「立てるか、嬢ちゃん?」

唯「何が起こってるのぉ~……?」フラフラァ

ジョセフ「嬢ちゃんにはまさに意味不明じゃろうなァ、ギターは返すぞ」



「唯先輩~? どこですか~?」



唯「あ……あずにゃんの声だ」

ドリーム・ドランカー「ま、まずいです……!」ダダッ

ジョセフ「逃がさんッ! 『隠者の紫』ッ!」ビシバシビシィッ!

ドリーム・ドランカー「にゃっ!?」

ジョセフ「……そして、答え合わせ二つ目。お前があの時、わしを殺さなかった理由」

208: 2013/01/28(月) 05:40:06.72
梓「唯先輩~?」



ジョセフ「おーい、こっちじゃこっち」

唯「あずにゃん!」

梓「あ、いた! いつの間にかいなくなったと思ったらこんな所にいたんですか!」

唯「ご、ごめんなさい……」

梓「ごめんなさいじゃないですよ全くもう……それと、こちらの方はどなたですか?」

ジョセフ「……このやり取りも何回目じゃろうなァ、わしはジョセフじゃよ」

梓「え……ジョジョさん? にしては、見た目が随分と……」



梓「ひぃっ!?」ズサァッ!



ドリーム・ドランカー「……」

ジョセフ「……『見える』んじゃな、嬢ちゃん?」

梓「な、なんですかアレ……! ば、化け物!?」ガクガク

ジョセフ「やはり……この嬢ちゃんはコイツの『スタンド使い』だが、
     その『スタンド』を認識していない」

ジョセフ「ドリーム・ドランカー。お前は自我を持ち、その力が暴走した『スタンド』だ」


ジョセフ「(かつて、我が孫の承太郎も『スタンド』を覚醒した時に、
      精神が未熟だった為か、『スタンド』を制御しきれずに
      喧嘩した相手を半頃し以上にしてしまったという)」

ジョセフ「(本来、『スタンド』は精神の強さ、戦いへの本能によって制御するもの)」

ジョセフ「(自身に『スタンド』が覚醒したことすら認識していなかった嬢ちゃんには、
      『スタンド』を己の意志で行動させる力は無かったという訳じゃな)」


ジョセフ「嬢ちゃんにその姿を見られては、
     もしかしたら万が一、自身が制御されて自由に動けなくなるかもしれない」

ジョセフ「そう考えたから、お前はあの時わしを殺さずにその場を立ち去った。違うか?」

ドリーム・ドランカー「……」

217: 2013/01/29(火) 04:07:51.00
ジョセフ「一つ聞かせろ。何が目的でこのようなことをしたのだ?」

ジョセフ「お前の行動は不明な点が多すぎる。
     何故、人に夢を見せる? 何故、『2008年』なのだ?」

ドリーム・ドランカー「……」

ドリーム・ドランカー「……中野梓と桜高軽音部との出会いが、『2008年』だからですよ」

梓「……?」

ドリーム・ドランカー「私は彼女……『中野梓』の『執着』によって生まれた『スタンド』」

ドリーム・ドランカー「『中野梓』が『平沢唯』『秋山澪』『田井中律』『琴吹紬』
           との別れを拒んだが故に生まれた存在です」

ドリーム・ドランカー「彼女は願いました」

ドリーム・ドランカー「『卒業しないで』『離れるなんて嫌だ』『もっと、もっと一緒にいたいです』、と」

ドリーム・ドランカー「それは叶わぬ夢です。時計はその針を無情に進めていく……戻ることは出来ません。
           でも、夢を見ることは出来ます」



ドリーム・ドランカー「私の名は『ドリーム・ドランカー』!
           私の行動理念は『永遠の夢に酔う』!」



ジョセフ「なるほど……だから、夢を見せるのか。嬢ちゃんの、『中野梓』の為に」

ドリーム・ドランカー「分かったのなら、もう邪魔しないでください」

ドリーム・ドランカー「『中野梓』は『進むこと』を望んではいない」

ドリーム・ドランカー「今度は一際、強力な『音』を出します。
           私が『中野梓』に『認識』された以上、
           もう以前ほど力が使えなくなるかもしれない」

ドリーム・ドランカー「そうなる前にこの『夢』を完成させます!
           永遠に、『中野梓』の楽しかった思い出だけを繰り返すんです!」



ジョセフ「『全ては彼女の笑顔の為に』……と言う」



ドリーム・ドランカー「全ては彼女の笑顔の為に!」

ドリーム・ドランカー「……ッ!?」

218: 2013/01/29(火) 04:08:58.99
ジョセフ「ようやく合点がいったぞ……お前は『優しいスタンド』だったんじゃなァ」

ジョセフ「『優しい力を持ったスタンド使い』なら知っていたが、
     『優しいスタンド』に出会ったのは初めてじゃ」

ドリーム・ドランカー「……」



ジョセフ「『優しさ』を履き違えるなよ、馬鹿者」バン!



ジョセフ「『卒業しないで』? 『離れるなんて嫌だ』?」

ジョセフ「そんなモノは子供の戯言じゃよ。
     出会いと別れは二つで一つ。受け入れなきゃあならんのだ」

ジョセフ「このジョセフ・ジョースター、過去を懐かしむことはあっても、
     決して後ろだけは振り向かなかったッ!」

ジョセフ「逃げることはあっても、進むことからだけは逃げなかったッ!」

ジョセフ「わしもこの長い人生で色んな出会いと別れがあったよ」

ジョセフ「せっかく得た大切な友と氏に別れたことも少なくなかった」

ジョセフ「だがな、それでも人は前に進むんじゃ。進まんとイカンのだ」

ドリーム・ドランカー「……」

ジョセフ「嬢ちゃん」

梓「……? はい」

ジョセフ「楽しかったか?」

梓「……何がですか?」キョトン

ジョセフ「あー……記憶は弄られてるんじゃった。まだ、夢を見ているんじゃな。
     まァ良い、直感で素直に答えるんじゃ。深く考えなくていいぞ」

ジョセフ「『楽しかった』か?」

梓「……?」

梓「楽しかった……かな? 良く分かりませんけど……」

ジョセフ「それは良かった。その思い出はきっと、嬢ちゃんの一生の宝物になるじゃろう」ニカッ

ジョセフ「その思い出さえあれば、嬢ちゃんはどこにだって行ける。向かう所敵無しじゃッ!」

梓「?」

唯「……あずにゃん、これ何のお話?」

梓「わ、私だって分からないですよ。
  目の前に変な化け物はいるし、ジョジョさんはおじいさんになってるし、
  意味の分からないことを言われるし……」

梓「ただ……」



『私、一人だけ止まっていたんですね……』



ドリーム・ドランカー「……」



キィィィィィィィィィィン……

219: 2013/01/29(火) 04:11:38.08
ジョセフ「ッ!?」

唯「わっ!? また、変な『音』だ!」

梓「あ、頭の中が……」

ジョセフ「コ、コイツ……! もう一度ギターをッ!」


ジョセフ「(む? ……不思議と嫌な気分にならんのォ?)」


ジョセフ「これは……」

ドリーム・ドランカー「……」


――――――

――――

――

220: 2013/01/29(火) 04:15:15.57
学校の校門前


ジョセフ「……」

ジョセフ「ヌオッ!? ここは……学校の外か」ガバァッ



紬「……」ボーッ

紬「……あら? 私……さっきまで講堂にいたような……?」キョロキョロ




ジョセフ「おお、嬢ちゃん」

紬「ジョジョさん? ハッ、まさか私達……また『タイムスリップ』したのッ!?」

ジョセフ「どうじゃろうなァ……」


ジョセフ「(嬢ちゃんの記憶が戻っている? ……まさか)」



ダダダダダッ……



律「おーいムギー!」ダダッ!


紬「りっちゃん!」

律「窓からムギが来るの見えたから来ちゃった!
  ……というのは建て前で、物理の宿題見せてくれませんか……」

律「澪に見せてくれって頼んだら、『駄目』って、即答されちゃってさ」

律「お願い、この通りッ!」

紬「……」

ジョセフ「……」

律「あれ? おじいさん、どこかで見たお顔……」

律「もしかして、ロンドンで会ったジョジョさん? いやー、その節はどうもどうも」

律「日本には旅行で来たんですかァ?」

紬「……ねぇ、りっちゃん。今年って何年?」

律「2010年ッ! ……それがどうかした?」



紬「……」チラッ

ジョセフ「……」チラッ



紬「戻ってる……」

ジョセフ「戻ったのォ……」

221: 2013/01/29(火) 04:17:26.77
学校の部室


梓「……」ボーッ

梓「にゃっ!?」ビクゥッ

梓「ここは……って、部室だよね。部室に来たんだから、うん」

梓「……なんか頭がボーッとするなぁ」

梓「ふわぁ……あ……」ぽろっ

梓「あれ、私、泣いてる……? 泣いてた? ……なんで?」

梓「あくびしたからかな……」

梓「そもそも、なんで部室に来たんだっけ」



ドリーム・ドランカー「……」

ドリーム・ドランカー「……」スッ

222: 2013/01/29(火) 04:33:54.30
学校の教室


唯「うーん……」

澪「どうした唯?」

唯「なんかね……さっきから頭がふわふわしてるんだよね」

唯「こう……寝起きの頭っていうか、ハッキリしないっていうか」

澪「唯もなのか? 実は私もそうなんだ……昨日、夜更かししたからかな」

唯「何してたの?」

澪「何って……梓に贈る歌の歌詞を考えてたに決まってるじゃないか」

澪「イマイチ、しっくり来るのがなくてさ……」

唯「卒業までにちゃんと完成させないとねぇ……」

唯「そういえばりっちゃんは?」キョロキョロ

澪「……さぁ」

223: 2013/01/29(火) 05:17:29.52
学校の部室



コンコン!



梓「はい?」



ガチャリ



ジョセフ「やぁ、嬢ちゃん。わしの顔に見覚えはあるかな?」

梓「えっ……ジョジョさん……ですか? ロンドンで助けてくれた……」

梓「な、なんでここにいるんですか? ここは女子校……」

紬「私が先生に許可を取って、中に入れたの」

梓「ムギ先輩!」

ジョセフ「いやなに、ちょいと確かめたいことがあってなァ」

梓「確かめたいことですか?」

ジョセフ「簡単なことじゃよ……『隠者の紫』」ビシバシビシィッ

梓「!?」

ジョセフ「わしの右手にイバラが『見える』か?」

梓「は、はい……何なんですか?」

ジョセフ「ふむ、説明せねばなるまいのォ。
     君はその『力』がどういうものかを正しく認識して制御しなければならん」

ジョセフ「嬢ちゃん、君は『スタンド使い』じゃ」

梓「『スタンド』? ……なんですか?」キョトン

ジョセフ「少し理解しにくいかもしれんが、よく聞いてくれ」


――――――

――――

――

224: 2013/01/29(火) 06:10:33.88
ジョセフ「……という訳なんじゃ。いきなり信じろというのは無理かもしれんが」

梓「……いえ、信じます。嘘を言ってるようには思えませんでしたし」

梓「私が身勝手なことを願ったばかりに、そんなことが……」

ジョセフ「そう暗くならんでもいい。
     時として、人の思いというものは多々、間違った方向にいくことがある」

ジョセフ「嬢ちゃんの場合はそれが『スタンド』という形で現れてしまっただけじゃ」

ジョセフ「これからはその『スタンド』と上手く付き合っていくことが必要なんじゃよ」

梓「……出来るでしょうか。
  覚えてはいないですけど、私の『スタンド』が皆にとんでもないことをしたんですよね?」

梓「私……」

ジョセフ「『刃物は使う人次第で料理人にも殺人者にもなる』」

梓「!」

ジョセフ「大丈夫、嬢ちゃんが前に進もうとさえすればそれはきっと、君の力になるじゃろう」

ジョセフ「大切なのは、『今』をどう生きるかじゃよ」

梓「……」

梓「……はい!」



ドドドドドドドドドド……



ドリーム・ドランカー「DEATH!」



梓「にゃっ!?」

ジョセフ「これが嬢ちゃんの『スタンド』じゃ」


紬「(私も『スタンド』見たいなぁ……もどかしい)」

225: 2013/01/29(火) 06:49:36.26
梓「……変な格好してますね」

ドリーム・ドランカー「……酷いです」

ジョセフ「この『スタンド』は『君の夢を誰かに見せるスタンド』。」
     どんな『夢』を見せるかは嬢ちゃん次第じゃ」

梓「私の『夢』……」

紬「梓ちゃんの『夢』は何かしら?」

梓「……」

梓「……演奏したいです。軽音部の皆と、ずっと」

ジョセフ「……」

紬「梓ちゃん……」

梓「唯先輩と……澪先輩と……律先輩と……ムギ先輩と……」

梓「……これから私が出会う、新しい軽音部の皆とです!」

梓「先輩達がいた頃に負けないくらい凄い軽音部を作ってみせます! これが私の『夢』です!」

ジョセフ「……ビッグな夢じゃのォ! グーよグー!」

紬「ええ!」

ドリーム・ドランカー「じゃあ、早速その夢を私が……」

梓「だ、駄目ーッ! この夢は自分の力で叶えるんですッ!」

ドリーム・ドランカー「そうですか……」ショボーン

ジョセフ「プッ!」


ジョセフ「(この様子ならば、心配は要らんじゃろう)」

ジョセフ「(あー……神経すり減ったわい)」


ジョセフ「あ、そうじゃ。分からんことが一つ残ったままじゃったッ!」

梓 紬「?」

ジョセフ「ドリーム・ドランカー。何故、わしと眼鏡の嬢ちゃんだけ、
     夢の世界で大幅に若返ったんじゃ?」

ジョセフ「こればかりは、どうしても分からんかったのだ」

ドリーム・ドランカー「ああ、それはですね」

226: 2013/01/29(火) 08:02:11.04
ドリーム・ドランカー「私はまだ、『スタンド』として覚醒したてなので、
           能力が安定していなかったんです」

ドリーム・ドランカー「だから、『中野梓』の『夢』を再現するはずが、
           他の皆の『夢』まで再現してしまったというか……」

ジョセフ「というと?」

ドリーム・ドランカー「恐らく、その人の心の中で潜在的に、
           一番戻りたいと思っている年齢に若返らせてしまったかと」

ジョセフ「……OH MY GOD」


ジョセフ「(……偉そうに過去がどうのと説教してしまったわしがハズカシィーッ!)」

ジョセフ「(わしもまだまだ、未熟ってことかなァ……)」

227: 2013/01/29(火) 08:38:25.11
――――――

――――

――


ジョセフ「ってなことが、この前日本に行ったときにあってのォ」

ジョセフ「いやァ、承太郎にも見せたかったぞ。わしの活躍する様をな」

承太郎「……やれやれ、じじいの癖に元気なことだぜ」

ジョセフ「わしが五人もの日本の女子高生と友達になったのが羨ましいのかァ承太郎?」

承太郎「いい加減にしな。また、おばあちゃんの雷が落ちるぞ」

承太郎「それより、その『スタンド使い』のガキはどうなったんだ?」

ジョセフ「あれから何のトラブルも無く、元気にやっとるそうじゃよ」

ジョセフ「新生軽音部の部長として、張り切ってるみたいじゃなァ。
     嬢ちゃんに良い後輩が出来るといいのォ」

承太郎「……聞きたいのはそういうことじゃあないんだがな」

ジョセフ「ん? どんな子か知りたいじゃと? しょーがない孫じや。」
     こういうことに使うのはちょいと、気が引けるんじゃがな」ズオォオオ


ジョセフ「ポラロイドカメラに『隠者の紫』」ガシァン!


ジョセフ「ほら写ったぞ、承太郎。可愛い子達じゃろう?」

承太郎「話は最後まで聞けじじい」

承太郎「……」チラッ

承太郎「五人じゃあなかったのか?」

ジョセフ「五人のはずじゃが? 唯ちゃん、澪ちゃん、りっちゃん、ムギちゃん、梓ちゃん……うん?」

ジョセフ「な、なんじゃあ? 知らん子が写っとるぞ……」

承太郎「……そいつが新入部員なんじゃあねーのか」

ジョセフ「な、なるほど……もう一度、日本に行ってこようかなァ」

承太郎「テメー、まだ懲りねーのか」

ジョセフ「ジ、ジョークじゃよジョーク……わはは」




To Be Continued...?

228: 2013/01/29(火) 08:41:47.12
やや駆け足だけどこれで終わりです。

多々ある、描写不足や説明不足、自分の構成力の無さに愕然としてます。

こんなスレにお付き合いいただきありがとうございました。

229: 2013/01/29(火) 08:55:39.19
乙乙乙!
面白かったよ
後日談でもあれば読みたいね

230: 2013/01/29(火) 08:55:53.94


面白かったよ

236: 2013/01/29(火) 10:09:03.93
乙!

もし後日談があるならあずにゃんとスタンドの絡みが見てみたいDEATH!

引用元: ジョセフ「ヘイ嬢ちゃん!」唯「はいジョジョちゃん!」