1: 2010/08/18(水) 00:00:04.75
いつからだろうか、親友から私に送られる視線が変わったと気付いたのは。
弾けるように無鉄砲で、私を無理にでも笑顔にさせたソレが気付いた頃には何か違う物に姿を変えていた。
「りっちゃん最近、澪ちゃんのことばっか見てるねー」
「仲良しさんなのね」
ある放課後、重い意味も含まず軽快に唯の口から出されたその言葉は紬によって威力を増し、私の顔を僅かながら火照らせた。
それは知らぬうちに見られていた羞恥と見てくれていた歓喜、すぐ部室に響くであろう笑い声への余興の為だった。
「な、何言ってんだよ!お前もなんか言えよバカ律!」
2: 2010/08/18(水) 00:08:09.59
眉をひそめて怒鳴ってみるが顔はにやけているんだろう、みんな笑っている。
お決まりのパターンだ、私が怒鳴ると律がおどける。
今日はどうしてやろうか、空手チョップ?ううん見ててくれたんだ、優しく背中を叩いてやろう、
「悪い?」
耳がおかしくなったのかと思った、律がいつもと違う声色で話すもんだから。
唯もみんなキョトンとまばたきをしている、梓なんか怪訝そうに律を伺っている。
「わ、悪いなんか言ってないだろ!なんだ、律はそんなに私のことが好きか」
いつもと違う返答、これは新しい掛け合いの合図だろ?
ちょっと恥ずかしいけど楽しいから誇らしげに笑みを浮かべて言ってみた。
どうせ律が私を馬鹿にして笑いに変わるんだから、って私は芸人か。
3: 2010/08/18(水) 00:15:12.96
「なぁんだ気付いてたのかよー」
降りかかるであろう律の鉄拳に防御にかかっていた私を知ってか知らずかケラケラと律は笑い出した。
「は、はぁ…?」
何言ってんだコイツ、正直こう思った。
私がプライドをすり減らし新しい笑いへと踏み出したと言うのにそれを踏み潰した、いとも簡単に。
「なに言ってんだよ律!そこは立場逆転で律がツッコムとこだろ!?」
「澪先輩いつからそんな芸人魂を…」
梓の割り込みでウッとプライドが崩れる音がした、いつからか律とはこんな掛け合いが当たり前なんだから仕方ない。
「だってぇ、いつか私から言おうとしてたのに気付いてたなんてつまんないぞ澪ちゅわーん」
相変わらず後頭部で手を組みおどけた様子で律が私を見た。
おかしいな、意地悪く曲げた口元じゃない。目だって至って真顔のままだ。
降りかかるであろう律の鉄拳に防御にかかっていた私を知ってか知らずかケラケラと律は笑い出した。
「は、はぁ…?」
何言ってんだコイツ、正直こう思った。
私がプライドをすり減らし新しい笑いへと踏み出したと言うのにそれを踏み潰した、いとも簡単に。
「なに言ってんだよ律!そこは立場逆転で律がツッコムとこだろ!?」
「澪先輩いつからそんな芸人魂を…」
梓の割り込みでウッとプライドが崩れる音がした、いつからか律とはこんな掛け合いが当たり前なんだから仕方ない。
「だってぇ、いつか私から言おうとしてたのに気付いてたなんてつまんないぞ澪ちゅわーん」
相変わらず後頭部で手を組みおどけた様子で律が私を見た。
おかしいな、意地悪く曲げた口元じゃない。目だって至って真顔のままだ。
4: 2010/08/18(水) 00:20:57.03
「えっえっ、じゃありっちゃんと澪ちゃんはお付き合いするの!?」
ぎゅっと手を結んで期待の眼差しを向けた唯が意気揚々と声を張った。
その隣では何か見とれるような眼で頬に手を当て紅潮した表情で紬が唯同じくこちらを見ている。
「何言ってるんだ唯まで…するわけないだろ、二人とも女なんだから」
「あら同性でも性別の壁を超えた恋なんて素敵よ?」
何で紬はこんなに積極的なんだ、以前していた怪しげな発言が頭を漂うが無視しよう。
てゆうかこんな行き先の見えない話題、これ以上行けばとんでもない空気を呼びかねない。
「大体私は律を好きなんて一言も言ってないだろ、性別以前に愛がないんだ」
ぎゅっと手を結んで期待の眼差しを向けた唯が意気揚々と声を張った。
その隣では何か見とれるような眼で頬に手を当て紅潮した表情で紬が唯同じくこちらを見ている。
「何言ってるんだ唯まで…するわけないだろ、二人とも女なんだから」
「あら同性でも性別の壁を超えた恋なんて素敵よ?」
何で紬はこんなに積極的なんだ、以前していた怪しげな発言が頭を漂うが無視しよう。
てゆうかこんな行き先の見えない話題、これ以上行けばとんでもない空気を呼びかねない。
「大体私は律を好きなんて一言も言ってないだろ、性別以前に愛がないんだ」
5: 2010/08/18(水) 00:27:18.93
ガタン、と椅子が床に叩きつけられた。
急に律が立ち上がったんだ、下を向いて表情を読めない律。
ウケなかったのがそんなにショックだったんだろうか、律は私以上に芸人魂があるからな。
「お、おい律…」
「練習しましょう、澪先輩!」
中腰で律に掛けようとした私の手は梓の言葉で遮られた。
まだそれ程お茶をしたわけでもないが梓はムッとした表情で私を睨んでいた。
「そうね、たまには早くから練習するのも良いかもしれない」
「あ、そうだそうだ!私ねぇギー太の手書きシール作っちゃったぁ」
「おい唯、まさかそれギー太に貼るつもりか?」
「違うよりっちゃーん、これは授業中にもギー太と居れるようにおでこに貼るの!」
会話は流されていつの間にか律も唯とじゃれていた、梓を見ればいつも通りだし私はベースを手にした。
急に律が立ち上がったんだ、下を向いて表情を読めない律。
ウケなかったのがそんなにショックだったんだろうか、律は私以上に芸人魂があるからな。
「お、おい律…」
「練習しましょう、澪先輩!」
中腰で律に掛けようとした私の手は梓の言葉で遮られた。
まだそれ程お茶をしたわけでもないが梓はムッとした表情で私を睨んでいた。
「そうね、たまには早くから練習するのも良いかもしれない」
「あ、そうだそうだ!私ねぇギー太の手書きシール作っちゃったぁ」
「おい唯、まさかそれギー太に貼るつもりか?」
「違うよりっちゃーん、これは授業中にもギー太と居れるようにおでこに貼るの!」
会話は流されていつの間にか律も唯とじゃれていた、梓を見ればいつも通りだし私はベースを手にした。
6: 2010/08/18(水) 00:34:33.47
どこか走ったリズムを奏でていたドラム音を最後に、気が付けば時間になっていたので練習は終わった。
「いっけねー!」
各々が帰り支度をしていると律が不意にドラム付近で帰る様子も見せぬまま声を上げた。
「どうしたの?りっちゃん」
「いやぁ教室に忘れ物しちゃってさぁー、取りに行くから皆先帰ってて」
「忘れ物?そんな大事な物なのか?」
「うんー、まぁね。」
私の問いかけに天井を仰ぎどこか不安定な返事を返すと律は足早に部室の外へ向かい、クルッとこちらを振り返った。
「やっぱ外暗いからりっちゃん怖いわ、てなわけで澪だけ待っててねん」
「はぁ!?ちょっと待てよ、なんで私…」
「他の皆は迷惑だろうし帰っていいよ、てゆうか帰れ!部長責任なんて勘弁だから!」
本気なのか状態なのか分からない口調でそう言うと律は軽快な足音を立てながら教室へと消えて行った
「いっけねー!」
各々が帰り支度をしていると律が不意にドラム付近で帰る様子も見せぬまま声を上げた。
「どうしたの?りっちゃん」
「いやぁ教室に忘れ物しちゃってさぁー、取りに行くから皆先帰ってて」
「忘れ物?そんな大事な物なのか?」
「うんー、まぁね。」
私の問いかけに天井を仰ぎどこか不安定な返事を返すと律は足早に部室の外へ向かい、クルッとこちらを振り返った。
「やっぱ外暗いからりっちゃん怖いわ、てなわけで澪だけ待っててねん」
「はぁ!?ちょっと待てよ、なんで私…」
「他の皆は迷惑だろうし帰っていいよ、てゆうか帰れ!部長責任なんて勘弁だから!」
本気なのか状態なのか分からない口調でそう言うと律は軽快な足音を立てながら教室へと消えて行った
7: 2010/08/18(水) 00:39:40.06
唯達も心配してしばらく私に待とうかと声を掛けてくれていたがどうせ違う帰り道なんだからと断った。
律のワガママにも慣れたものだ、幼稚園から始まり耐えきる私は凄い。
「あれ、ほんとにみんな帰ったんだ」
椅子に座り待つこと数分、無責任に言葉を放りながら再び律が姿を現した。
お前が帰れと言ったんだから帰って当たり前だろう。
「ずいぶん遅かったな、忘れ物くらいで」
「うん、まぁね。」
皮肉めいた私の言い種に表情一つ歪ませずに、むしろ笑顔で律が答えた。
ワガママには慣れたがたまに理解出来ない、というよりは癪に障る。
こうゆう人のことを考えずにのうのうとしているところとかが、すごく。
律のワガママにも慣れたものだ、幼稚園から始まり耐えきる私は凄い。
「あれ、ほんとにみんな帰ったんだ」
椅子に座り待つこと数分、無責任に言葉を放りながら再び律が姿を現した。
お前が帰れと言ったんだから帰って当たり前だろう。
「ずいぶん遅かったな、忘れ物くらいで」
「うん、まぁね。」
皮肉めいた私の言い種に表情一つ歪ませずに、むしろ笑顔で律が答えた。
ワガママには慣れたがたまに理解出来ない、というよりは癪に障る。
こうゆう人のことを考えずにのうのうとしているところとかが、すごく。
11: 2010/08/18(水) 00:49:09.15
「はぁ、もういいから早く帰ろう」
溜め息混じりに鞄を持ち上げるとその手を律が酷く強い力で押さえた。
また何かワガママが始まるのかと呆れて表情を見上げると口をへの字に曲げた律がいた。
「今度は何だ…」
「……さっきのアレ、本心か」
「さっき?見に覚えがない。だけど私は嘘はつかない」
「…私のこと、好きじゃないってやつ」
一部声を詰まらせた後、喉奥から無理やり引きずり出されたような声で律が言った。
正直言って笑ってしまいそうだった、真顔でそんな小さなことを気にしてる律がバカらしくて。
「そんなこと気にしてるなんて律らしくないな、本心なわけないだろ。親友も同然だ」
こんな事で長年築いてきた関係を壊したくない、親友だというのは強ち嘘でもないのだから。
「にしてもあの時のボケはひどかったぞ、いくら私でもツッコみきれ無…」
「澪」
あの時と同じ、重い声色が耳を錯覚させた。
握った手首を離さないまま真剣な表情で律は私の名前を呼ぶのだ、ただ事じゃないと悟る
溜め息混じりに鞄を持ち上げるとその手を律が酷く強い力で押さえた。
また何かワガママが始まるのかと呆れて表情を見上げると口をへの字に曲げた律がいた。
「今度は何だ…」
「……さっきのアレ、本心か」
「さっき?見に覚えがない。だけど私は嘘はつかない」
「…私のこと、好きじゃないってやつ」
一部声を詰まらせた後、喉奥から無理やり引きずり出されたような声で律が言った。
正直言って笑ってしまいそうだった、真顔でそんな小さなことを気にしてる律がバカらしくて。
「そんなこと気にしてるなんて律らしくないな、本心なわけないだろ。親友も同然だ」
こんな事で長年築いてきた関係を壊したくない、親友だというのは強ち嘘でもないのだから。
「にしてもあの時のボケはひどかったぞ、いくら私でもツッコみきれ無…」
「澪」
あの時と同じ、重い声色が耳を錯覚させた。
握った手首を離さないまま真剣な表情で律は私の名前を呼ぶのだ、ただ事じゃないと悟る
14: 2010/08/18(水) 00:56:30.00
言われて見ればおかしかったんだ、最近の律は。
今日だってあんな可笑しなことをした、今もこんな小さなことを気にして。
いつからから分からないけど、私の顔色を伺って。
「澪」
「…な、何」
「、好き」
擦り切れそうな声だった、
表情も体制も何もかも律はその瞬間崩した
ただ握った手首は放さず床に膝を着いた
「ごめんなぁ、好きなんだよ。気付いたら澪が好きだった」
懇願するような声で顔を上げないままそう声を漏らした、ただ震える声に律が泣いていることが分かった。
「……私も好きだぞ。さっきも言っただろ親友、」
「違うんだよ!!」
じゃあ何なんだ、なんで急に取り乱してるんだ。
律の中で何があったの?なんで私は気付いてあげられたかったの、なんで私をそんな目で
「私の『好き』は、…そんなんじゃない」
今日だってあんな可笑しなことをした、今もこんな小さなことを気にして。
いつからから分からないけど、私の顔色を伺って。
「澪」
「…な、何」
「、好き」
擦り切れそうな声だった、
表情も体制も何もかも律はその瞬間崩した
ただ握った手首は放さず床に膝を着いた
「ごめんなぁ、好きなんだよ。気付いたら澪が好きだった」
懇願するような声で顔を上げないままそう声を漏らした、ただ震える声に律が泣いていることが分かった。
「……私も好きだぞ。さっきも言っただろ親友、」
「違うんだよ!!」
じゃあ何なんだ、なんで急に取り乱してるんだ。
律の中で何があったの?なんで私は気付いてあげられたかったの、なんで私をそんな目で
「私の『好き』は、…そんなんじゃない」
15: 2010/08/18(水) 01:04:03.19
「私の『好き』はね、そんなんじゃないんだ澪…」
泣いてなかった、泣いてなかったけど酷く眉をひそめて睫に滴を作る涙を律は止めていた。
私は何も言えない。
何も言えない私に律はまだ懇願するような掠れるような、とても辛い声で話す。
「私の澪への『好き』は『愛してる』、だから。…わからない?」
「澪は私を友達として『好き』なんだろ、でも私は違うんだよ」
「私は澪を、澪が異性を見るような目で見てるんだ今。」
「気付いたらそうなってたんだ、澪の横顔がやたら綺麗に見えてさ」
「ベースを弾く手が素敵だった、ずっと見てたら今度は触りたいって思った」
「……私の好きは、澪とキスしたいと思うし抱き合いたいと思うし愛を囁き合いたいと思う好きなんだ」
律が最後の言葉に句読点を打ち終わる頃、気付けば私は握られた手首を振り払っていた。
泣いてなかった、泣いてなかったけど酷く眉をひそめて睫に滴を作る涙を律は止めていた。
私は何も言えない。
何も言えない私に律はまだ懇願するような掠れるような、とても辛い声で話す。
「私の澪への『好き』は『愛してる』、だから。…わからない?」
「澪は私を友達として『好き』なんだろ、でも私は違うんだよ」
「私は澪を、澪が異性を見るような目で見てるんだ今。」
「気付いたらそうなってたんだ、澪の横顔がやたら綺麗に見えてさ」
「ベースを弾く手が素敵だった、ずっと見てたら今度は触りたいって思った」
「……私の好きは、澪とキスしたいと思うし抱き合いたいと思うし愛を囁き合いたいと思う好きなんだ」
律が最後の言葉に句読点を打ち終わる頃、気付けば私は握られた手首を振り払っていた。
16: 2010/08/18(水) 01:11:15.87
振り払った片手を宙にして椅子から腰を浮かせたまま、お互い言葉を発しなかった。
律は振り払われた手をもう片手で庇い、小さく口を開けたまま縮小した黒目の眼差しで私を見つめた。
それは一瞬だったかもしれないし数分だったかもしれない、けど何時もは賑やかな部室に無音が続いた。
「……、あ…っ」
私が漏らした声か律が漏らした声か分からないけど第一声が響いた、ひょっとすると二人ともかもしれない。
きっと告白されるとありがとうやごめんなさいを言うもの何だろうが私は意味の分からない奇声を第一声にした。
そして
「き、……きもちわるい」
実際はそんなこと思ってなかったのかもしれない。
むしろ親友からのステップとして踏み出せた事に何か希望を見ていたのかも。
けどその希望がこんな方向に行くとは思わなかったから、だからそうしか言葉が出なかった。
「あ、……っ!」
また言葉を言おうとしたけど声より先に涙が出そうだったので鞄を乱暴に掴むと部室を飛び出した。
律は振り払われた手をもう片手で庇い、小さく口を開けたまま縮小した黒目の眼差しで私を見つめた。
それは一瞬だったかもしれないし数分だったかもしれない、けど何時もは賑やかな部室に無音が続いた。
「……、あ…っ」
私が漏らした声か律が漏らした声か分からないけど第一声が響いた、ひょっとすると二人ともかもしれない。
きっと告白されるとありがとうやごめんなさいを言うもの何だろうが私は意味の分からない奇声を第一声にした。
そして
「き、……きもちわるい」
実際はそんなこと思ってなかったのかもしれない。
むしろ親友からのステップとして踏み出せた事に何か希望を見ていたのかも。
けどその希望がこんな方向に行くとは思わなかったから、だからそうしか言葉が出なかった。
「あ、……っ!」
また言葉を言おうとしたけど声より先に涙が出そうだったので鞄を乱暴に掴むと部室を飛び出した。
18: 2010/08/18(水) 01:17:25.88
それからあまり覚えてない。
ただ律は追いかけて来なかったし、何も叫んだりしてなかった。
すぐにドッキリ大成功の看板を持って現れるかと思ったけど、そんなのバカな期待だった。
「ねぇ、りっちゃんは?」
次の日の部室へどんな顔して行けば良いのか分からず、でも今行かなければもう行けない気がして。
けど行ったら律は居なかった、だから唯は無邪気にそう聞いた。
昨日と同様に無邪気な声で。
それもまた昨日と同じように紬が受け答えして笑い声に変わった。
だから律が居ないことに安心と不安定さを覚えながらもベースに手をやった。
「澪先輩、帰りましょう」
昨日と同じ、昨日の律みたいにベースに遣った手を梓が掴んだ。
律みたいに強くはないけど、意志の詰まった声で。
ただ律は追いかけて来なかったし、何も叫んだりしてなかった。
すぐにドッキリ大成功の看板を持って現れるかと思ったけど、そんなのバカな期待だった。
「ねぇ、りっちゃんは?」
次の日の部室へどんな顔して行けば良いのか分からず、でも今行かなければもう行けない気がして。
けど行ったら律は居なかった、だから唯は無邪気にそう聞いた。
昨日と同様に無邪気な声で。
それもまた昨日と同じように紬が受け答えして笑い声に変わった。
だから律が居ないことに安心と不安定さを覚えながらもベースに手をやった。
「澪先輩、帰りましょう」
昨日と同じ、昨日の律みたいにベースに遣った手を梓が掴んだ。
律みたいに強くはないけど、意志の詰まった声で。
19: 2010/08/18(水) 01:22:43.41
反射的に昨日を思い出して梓の手を振り払った。
けど梓は同様も見せないまま放れた手を戻し、真っ直ぐ私を見ていた。
「律先輩と何かあったんでしょう、辛そうです。見てられません。」
顔色変えて唯がすぐさま会話に飛び込んできた、けどそんな唯を遮り梓はまだ話す。
「今日友達の付き添いで保健室に行ったらベッドが満員だったんですよ、何か気になったみたら律先輩でした」
痛い、胸が痛い。
「どうしたか聞こうとしたら保健室の先生に止められて、体調が悪くて朝からずっと保健室にいると言われました」
怪我したところをずっと殴られてる気分、辛い。
気がついたら腰を曲げて涙をボロボロこぼしていた。
けど梓は同様も見せないまま放れた手を戻し、真っ直ぐ私を見ていた。
「律先輩と何かあったんでしょう、辛そうです。見てられません。」
顔色変えて唯がすぐさま会話に飛び込んできた、けどそんな唯を遮り梓はまだ話す。
「今日友達の付き添いで保健室に行ったらベッドが満員だったんですよ、何か気になったみたら律先輩でした」
痛い、胸が痛い。
「どうしたか聞こうとしたら保健室の先生に止められて、体調が悪くて朝からずっと保健室にいると言われました」
怪我したところをずっと殴られてる気分、辛い。
気がついたら腰を曲げて涙をボロボロこぼしていた。
20: 2010/08/18(水) 01:27:32.84
その日部活は早い時間に解散になった。
みんな理由を聞きたがっていたが梓がそれを止めて落ち着いたら話してくれと言っていた。
家に着いたらろくにご飯も食べないままシャワーを浴びて乾かない髪でベッドに入った。
目に入る物がすべて律の思い出になっていく。
音楽で耳を塞いで暗闇で視界を塞いだけど不安な未来しか無かった、今日律が居なかった。
このまま変わらないまま親友だと思ってた、大人になってもずっと親友だと。
「律、……ごめん」
みんな理由を聞きたがっていたが梓がそれを止めて落ち着いたら話してくれと言っていた。
家に着いたらろくにご飯も食べないままシャワーを浴びて乾かない髪でベッドに入った。
目に入る物がすべて律の思い出になっていく。
音楽で耳を塞いで暗闇で視界を塞いだけど不安な未来しか無かった、今日律が居なかった。
このまま変わらないまま親友だと思ってた、大人になってもずっと親友だと。
「律、……ごめん」
21: 2010/08/18(水) 01:32:28.61
梓に話そうかと戸惑っていた私を、今日律が学校自体を休んだと言う事実が背中を押した。
相変わらず重たい足取りで部室に入る、心配そうな眼差しがこちらに向けられて私は会釈する。
「話すよ、待たせてごめん」
私が言葉を発しても変わらぬ心配そうな眼差しで皆は頷いた。
紬がお茶を用意してくれて何時もの席に着く。
「ゆっくりで良いのよ」
気遣いの言葉をお茶と共に残して席についた紬を合図につらつらと話をきりだした。
あまり多くは語らない、概要だけでいい。
多くを語ると律に失礼だ、それに私の精神が保たない。
相変わらず重たい足取りで部室に入る、心配そうな眼差しがこちらに向けられて私は会釈する。
「話すよ、待たせてごめん」
私が言葉を発しても変わらぬ心配そうな眼差しで皆は頷いた。
紬がお茶を用意してくれて何時もの席に着く。
「ゆっくりで良いのよ」
気遣いの言葉をお茶と共に残して席についた紬を合図につらつらと話をきりだした。
あまり多くは語らない、概要だけでいい。
多くを語ると律に失礼だ、それに私の精神が保たない。
22: 2010/08/18(水) 01:36:53.07
「そんな事があったんだぁ…」
唯が不安そうに私の話に一息つくとしばらくの沈黙が流れた。
解散を切り出そうかとしたがしばらくすると梓が話を振った。
「それって…律先輩が悪いですよ」
疑問符を浮かべる周りを気にせず梓はそのまま語り継ぐ。
「同性への憧れなんて迷惑なだけなんです、だから胸のうちに閉まっておくべきですよ」
「最初から無理だと分かってる恋なんて相手には迷惑な話です」
迷惑、か
唯が不安そうに私の話に一息つくとしばらくの沈黙が流れた。
解散を切り出そうかとしたがしばらくすると梓が話を振った。
「それって…律先輩が悪いですよ」
疑問符を浮かべる周りを気にせず梓はそのまま語り継ぐ。
「同性への憧れなんて迷惑なだけなんです、だから胸のうちに閉まっておくべきですよ」
「最初から無理だと分かってる恋なんて相手には迷惑な話です」
迷惑、か
25: 2010/08/18(水) 01:43:34.28
その後紬が思春期に有りがちな同性への憧れ、だとか唯は付き合えば良いだとか各々意見をくれた。
けど私は話をしに来ただけで誰かの意見を受け入れるつもりは無かった。
その日も早い解散となった帰り際、最後に部室を出た梓が後ろから駆け寄って来て小さく呟いて行った。
「澪先輩は悪くないですから、思いを口に出した律先輩が悪いです」
もやもやした気持ちが晴れないまま相変わらず怪我を攻撃されているような心境で自宅についた。
相変わらず食事が喉に通らず昨日と同じパターンでベッドに入る。
暗闇になると携帯のライトが点滅しているのが目立った、昨日はいっぱいいっぱいで携帯も見ていなかったから。
「あ…」
昨日の深夜、律からのメールだった。
けど私は話をしに来ただけで誰かの意見を受け入れるつもりは無かった。
その日も早い解散となった帰り際、最後に部室を出た梓が後ろから駆け寄って来て小さく呟いて行った。
「澪先輩は悪くないですから、思いを口に出した律先輩が悪いです」
もやもやした気持ちが晴れないまま相変わらず怪我を攻撃されているような心境で自宅についた。
相変わらず食事が喉に通らず昨日と同じパターンでベッドに入る。
暗闇になると携帯のライトが点滅しているのが目立った、昨日はいっぱいいっぱいで携帯も見ていなかったから。
「あ…」
昨日の深夜、律からのメールだった。
26: 2010/08/18(水) 01:48:24.53
謝罪メールだろうか、また告白されるんだろうか。
バクバクバクバクバクバク、たった一通のメールを空けるのに心臓が敗れそうだった。
いや、空ける気なんて無かった。
ディスプレイにある『律』って言う名前が怖くて内容なんて見れなかった。
『未読メール消去しました』
そう、一言だけ表示したのを確認すると私は携帯を閉じた。
けど興奮が冷めないみたく眠気が遠退いた体を落ち着かせるために外にでた。
深夜の外出、補導されては困るので近くのコンビニまでジュースを買いに行くことにした。
バクバクバクバクバクバク、たった一通のメールを空けるのに心臓が敗れそうだった。
いや、空ける気なんて無かった。
ディスプレイにある『律』って言う名前が怖くて内容なんて見れなかった。
『未読メール消去しました』
そう、一言だけ表示したのを確認すると私は携帯を閉じた。
けど興奮が冷めないみたく眠気が遠退いた体を落ち着かせるために外にでた。
深夜の外出、補導されては困るので近くのコンビニまでジュースを買いに行くことにした。
28: 2010/08/18(水) 01:56:37.00
治安が良いとは言えない地域で深夜にコンビニなんてあまり乗り気では無かった、けど気分転換には最適だと思った。
ジメジメとした気温に身を包まれながらそう遠くはない目的地に足を進める
ふとコンビニの明かりの前に見える異質な明かりが目に入った。
自販機だ。
ジュースを買うだけなんだしわざわざコンビニに入らなくても良いだろう、そこの自販機で済ませよう。
そう思いポケットから小銭を取り出して居ると隣に位置する自販機から煙が流れてきた。
不良だ、
すぐそう思った。
めんどくさいこと極まりない、それよりも怖い。
あまり見ないようにして帰ろう。
「ちょっとお姉ちゃーん、小銭持ってない?」
「は、はいィイイ」
最悪だ最悪だ最悪!
けどこうゆう場合は相手の欲求を飲むのが一番だ、そう習った気がする。
私はすぐさま小銭を取り出し相手に向き直って、
言葉を失った。
ジメジメとした気温に身を包まれながらそう遠くはない目的地に足を進める
ふとコンビニの明かりの前に見える異質な明かりが目に入った。
自販機だ。
ジュースを買うだけなんだしわざわざコンビニに入らなくても良いだろう、そこの自販機で済ませよう。
そう思いポケットから小銭を取り出して居ると隣に位置する自販機から煙が流れてきた。
不良だ、
すぐそう思った。
めんどくさいこと極まりない、それよりも怖い。
あまり見ないようにして帰ろう。
「ちょっとお姉ちゃーん、小銭持ってない?」
「は、はいィイイ」
最悪だ最悪だ最悪!
けどこうゆう場合は相手の欲求を飲むのが一番だ、そう習った気がする。
私はすぐさま小銭を取り出し相手に向き直って、
言葉を失った。
30: 2010/08/18(水) 02:01:54.52
「り、律……」
確かに律だ。
前髪を無造作に下ろして何時もの印象とはかけ離れているが、律だ。
私を取り巻いた煙を追うと律の手に持たれた煙草に追いついた。
律がいる自販機を見ると煙草を打っていた。
なんで?
「…澪……」
頭がカッとなって自分の意識じゃないみたいに律の胸ぐらを勢いに任せて掴んだ。
きっと今私は酷い表情をしているんだろう、律が視線を逸らし煙草をアスファルトに落とした。
「なに…なにしてんだよ!!!バカ律!!」
「何で澪…こんな時間に居んだよ」
「そんなの聞いてないだろ!?何してんだよお前!!!何手に持ってたんだ!!」
確かに律だ。
前髪を無造作に下ろして何時もの印象とはかけ離れているが、律だ。
私を取り巻いた煙を追うと律の手に持たれた煙草に追いついた。
律がいる自販機を見ると煙草を打っていた。
なんで?
「…澪……」
頭がカッとなって自分の意識じゃないみたいに律の胸ぐらを勢いに任せて掴んだ。
きっと今私は酷い表情をしているんだろう、律が視線を逸らし煙草をアスファルトに落とした。
「なに…なにしてんだよ!!!バカ律!!」
「何で澪…こんな時間に居んだよ」
「そんなの聞いてないだろ!?何してんだよお前!!!何手に持ってたんだ!!」
31: 2010/08/18(水) 02:06:32.62
私が律に酷いことしたから?
律の気持ちに答えてあげられ無かったから?
メール返事しなかったから?
律を追いかけて上げなかったから?
「…ねぇ、なんでよ律……」
ぶつけるだけぶつけた言葉は涙になってボロボロと落ちた。
胸ぐらを掴んだ手もだらりとアスファルトを向き律はぎこちなく私を見ていた。
「もう…会いたくなかった、澪に」
「う、…なんでだよォ…っ……!」
「澪って名前も忘れたかったし呼びたくなかった、姿も見たくなかった匂いも忘れたかった」
律の気持ちに答えてあげられ無かったから?
メール返事しなかったから?
律を追いかけて上げなかったから?
「…ねぇ、なんでよ律……」
ぶつけるだけぶつけた言葉は涙になってボロボロと落ちた。
胸ぐらを掴んだ手もだらりとアスファルトを向き律はぎこちなく私を見ていた。
「もう…会いたくなかった、澪に」
「う、…なんでだよォ…っ……!」
「澪って名前も忘れたかったし呼びたくなかった、姿も見たくなかった匂いも忘れたかった」
34: 2010/08/18(水) 02:20:11.19
「澪は私を振ったんだからな、それは異性も同性も関係ない。」
泣き崩れんとばかりに涙をあふれさす私に変わって律は無に近いような表情をしていた。
本当に私のことを忘れてしまったんだろうか、思い出して欲しいのに。
「振った奴降られた奴が仲良く笑う未来なんて、どこの恋愛にも少ないよ澪」
素敵な私なんか思い出さなくていい、カッコ良くなくたっていい。
律が居ないとダメで、律の前じゃ怖がりでダメダメな親友の私を思い出して。
私やっぱり、律がいないと、
「律、私やっぱり…」
ドンッ
律が吹っ飛んだ。
再開を試みようと手を伸ばした先にいた律が急に吹っ飛んで地面に腰を着いていた。
でも私の手は握られていた、律じゃない熱に。
「あ、梓…」
泣き崩れんとばかりに涙をあふれさす私に変わって律は無に近いような表情をしていた。
本当に私のことを忘れてしまったんだろうか、思い出して欲しいのに。
「振った奴降られた奴が仲良く笑う未来なんて、どこの恋愛にも少ないよ澪」
素敵な私なんか思い出さなくていい、カッコ良くなくたっていい。
律が居ないとダメで、律の前じゃ怖がりでダメダメな親友の私を思い出して。
私やっぱり、律がいないと、
「律、私やっぱり…」
ドンッ
律が吹っ飛んだ。
再開を試みようと手を伸ばした先にいた律が急に吹っ飛んで地面に腰を着いていた。
でも私の手は握られていた、律じゃない熱に。
「あ、梓…」
35: 2010/08/18(水) 02:22:05.48
まさかの展開w
36: 2010/08/18(水) 02:24:38.86
「すいませんけど澪先輩から離れてもらえますか、この変態野郎。」
律ほど強くない、投げかけるより包む…そんな心地で梓は私の手を握り、地面に腰着く律を蔑んだ目で見ていた。
乱れた前髪で表情が見えないけど律はピクリとも動かなかった。
そんな律を一瞥し、人が違うかのように笑顔を咲かせた梓が私を振り返り声色高く話す。
「ごめんなさい澪先輩、やっぱり澪先輩が心配で…さっき携帯に電話したのに出ないから自宅まで行ったら外出するところを見たんで着いて来ちゃいました」
律ほど強くない、投げかけるより包む…そんな心地で梓は私の手を握り、地面に腰着く律を蔑んだ目で見ていた。
乱れた前髪で表情が見えないけど律はピクリとも動かなかった。
そんな律を一瞥し、人が違うかのように笑顔を咲かせた梓が私を振り返り声色高く話す。
「ごめんなさい澪先輩、やっぱり澪先輩が心配で…さっき携帯に電話したのに出ないから自宅まで行ったら外出するところを見たんで着いて来ちゃいました」
39: 2010/08/18(水) 02:30:37.23
「もうこんな人と関わらない方が良いですよ、だって仲間の澪先輩をそんな目で見てたんですよ」
「変態ですよ、変態。」
「私が猫耳付けてた時もそんな目で見られてたんですかね、気持ち悪い」
「女なら誰でも良いんじゃないですかぁ?ね、りつせんぱい」
梓は何か糸が切れたみたいにペラペラと一人しゃべりしだした。
言葉は冷静なのにまるで目が冷静じゃない、今にも泣き出しそうな目で怒りを見せている。
こんなに後輩に思われて幸せなんだと思うところなんだろうか、これは
「痛っ…!」
律が煙草吸ってるのを見つけた時みたい、梓の手を振り解き理性のままに梓に平手打ちしていた。
「変態ですよ、変態。」
「私が猫耳付けてた時もそんな目で見られてたんですかね、気持ち悪い」
「女なら誰でも良いんじゃないですかぁ?ね、りつせんぱい」
梓は何か糸が切れたみたいにペラペラと一人しゃべりしだした。
言葉は冷静なのにまるで目が冷静じゃない、今にも泣き出しそうな目で怒りを見せている。
こんなに後輩に思われて幸せなんだと思うところなんだろうか、これは
「痛っ…!」
律が煙草吸ってるのを見つけた時みたい、梓の手を振り解き理性のままに梓に平手打ちしていた。
41: 2010/08/18(水) 02:36:40.85
ハァハァと乱れる息を肩で整えて梓の頬を打った手が小刻みに震えるのを感じつつ下ろした。
ぶたれた頬を押さえて梓は信じられないという表情でこちらを見、ボロボロと泣き出した。
「なんで…なんでですか、澪先輩…」
「言い過ぎだ、律に確かに不備があったかもしれない。けど恋愛云々以前に律は私の親友なんだ」
そう言い捨て動かぬままの律を見遣ると前髪から覗いた泣きそうな目が私を見ていた。
「なんでですかぁああ…!!」
律に気を取られ泣き出した梓から目を離した瞬間だった、暴力になる範囲の力で梓が私の肩を掴んだ。
「梓、」
ぶたれた頬を押さえて梓は信じられないという表情でこちらを見、ボロボロと泣き出した。
「なんで…なんでですか、澪先輩…」
「言い過ぎだ、律に確かに不備があったかもしれない。けど恋愛云々以前に律は私の親友なんだ」
そう言い捨て動かぬままの律を見遣ると前髪から覗いた泣きそうな目が私を見ていた。
「なんでですかぁああ…!!」
律に気を取られ泣き出した梓から目を離した瞬間だった、暴力になる範囲の力で梓が私の肩を掴んだ。
「梓、」
46: 2010/08/18(水) 02:45:32.91
「どうしてそんなに律先輩に拘るんですか!?」
「そんなに二人の絆は強いんですか!?」
「いつもいつもいつも、私が澪先輩を尊敬している横で彼奴はゲラゲラと」
「私だって澪先輩のこと好きでしたよォ…!!」
「けどそんなの言ったら迷惑でしょ!嫌うでしょ?」
「だから我慢してたのに律先輩は、律先輩はぁあ…」
さっきの私みたいだった、言いたいことを言うと梓は手を離し泣き崩れてしゃがみこんだ。
はっきり言ってどうしたら良いのか分からない、こんなの。
泣き崩れた梓と代わるように動かなかった律が立ち上がった。
腰の泥を払うこともせず梓の前へ再びしゃがみこむと子供をあやすような声で話し始めた。
「ごめんな、梓。私梓の気持ち知らなかったわ」
「でも梓も私の気持ち知らなかったみたいだな、お前の予想外れてるよ」
「ごめんだけど澪の私の絆は100年物だし、女だから好きなんじゃなくて澪だから好きなんだ」
「梓は澪より自分が変態と呼ばれずに済む道を選んだろ?けど私は自分より澪を選んだんだ」
ポンポンと泣き声を漏らす梓の頭を撫でやると再び律は私に向いて立ち上がった
「そんなに二人の絆は強いんですか!?」
「いつもいつもいつも、私が澪先輩を尊敬している横で彼奴はゲラゲラと」
「私だって澪先輩のこと好きでしたよォ…!!」
「けどそんなの言ったら迷惑でしょ!嫌うでしょ?」
「だから我慢してたのに律先輩は、律先輩はぁあ…」
さっきの私みたいだった、言いたいことを言うと梓は手を離し泣き崩れてしゃがみこんだ。
はっきり言ってどうしたら良いのか分からない、こんなの。
泣き崩れた梓と代わるように動かなかった律が立ち上がった。
腰の泥を払うこともせず梓の前へ再びしゃがみこむと子供をあやすような声で話し始めた。
「ごめんな、梓。私梓の気持ち知らなかったわ」
「でも梓も私の気持ち知らなかったみたいだな、お前の予想外れてるよ」
「ごめんだけど澪の私の絆は100年物だし、女だから好きなんじゃなくて澪だから好きなんだ」
「梓は澪より自分が変態と呼ばれずに済む道を選んだろ?けど私は自分より澪を選んだんだ」
ポンポンと泣き声を漏らす梓の頭を撫でやると再び律は私に向いて立ち上がった
48: 2010/08/18(水) 02:52:35.94
「秋山澪さん!」
乱れたままの前髪を片手で持ち上げ何時もの髪型、何時もの律になって私の名前が呼ばれた。
「は、はい!」
思わず私もドキリとして棒立ちになる。
緊張気味のやたらと大きな声で返事をすると律を見た。
「あの時は取り乱してまともにプロポーズも出来なくてごめん!」
手の内から漏れた髪が律の顔にかかって、それは見たことのない律で、
少しだけ、ドキッとした
「今梓に話した全部が私のプロポーズ!私は自分より澪が大事で澪を選んだ!」
こうゆうの、昔にもあった気がする。
幼稚園のころに、私に色々教えてくれた律をずっと見てて。
胸がドキドキして。
「これで最後にする、…澪が好き」
乱れたままの前髪を片手で持ち上げ何時もの髪型、何時もの律になって私の名前が呼ばれた。
「は、はい!」
思わず私もドキリとして棒立ちになる。
緊張気味のやたらと大きな声で返事をすると律を見た。
「あの時は取り乱してまともにプロポーズも出来なくてごめん!」
手の内から漏れた髪が律の顔にかかって、それは見たことのない律で、
少しだけ、ドキッとした
「今梓に話した全部が私のプロポーズ!私は自分より澪が大事で澪を選んだ!」
こうゆうの、昔にもあった気がする。
幼稚園のころに、私に色々教えてくれた律をずっと見てて。
胸がドキドキして。
「これで最後にする、…澪が好き」
51: 2010/08/18(水) 03:03:48.94
昔からあったあのドキドキ、あれを 恋 って言うんだろうか。
なら、私
「ごめんなさい!」
一番大きい声。泣いてた梓も真っ赤な目でこちらを見上げている。
私は律が好きかもしれない、でもこれが私の答え。
「…そっか、まぁでも」
「でも、田井中律さん!」
「は、はい…」
「わわ、私からもプロポーズがあるから!」
声が震え出した。どうしようか、人生初めての告白。
「私と、親友になってください」
親友の私を思い出してください。
ダメダメな私を思い出してください。泣き虫な私を。カッコ良くなんかない私を。
「私は、律が好きかもしれないしそうじゃないかもしれない。でも、親友からもう一度やり直したいと言う気持ちは確かなんだ」
それに私は、と言葉を漏らして泣き声の止んだ梓を見る。優しく、優しく。
「私達には、こんなに思ってくれる後輩が居るんだ。中途半端な付き合いは許されないぞ」
梓にも律にも、そう言って笑ってみせた。そしたら梓も律も、おかしいくらいに笑ってみせてくれた。
なら、私
「ごめんなさい!」
一番大きい声。泣いてた梓も真っ赤な目でこちらを見上げている。
私は律が好きかもしれない、でもこれが私の答え。
「…そっか、まぁでも」
「でも、田井中律さん!」
「は、はい…」
「わわ、私からもプロポーズがあるから!」
声が震え出した。どうしようか、人生初めての告白。
「私と、親友になってください」
親友の私を思い出してください。
ダメダメな私を思い出してください。泣き虫な私を。カッコ良くなんかない私を。
「私は、律が好きかもしれないしそうじゃないかもしれない。でも、親友からもう一度やり直したいと言う気持ちは確かなんだ」
それに私は、と言葉を漏らして泣き声の止んだ梓を見る。優しく、優しく。
「私達には、こんなに思ってくれる後輩が居るんだ。中途半端な付き合いは許されないぞ」
梓にも律にも、そう言って笑ってみせた。そしたら梓も律も、おかしいくらいに笑ってみせてくれた。
54: 2010/08/18(水) 03:14:18.97
「ねぇ、りっちゃんと澪ちゃんは?」
次の日の放課後、唯先輩が無邪気に聞いてくる。なんにも知らないくせにほんとバカですね。
「なんかあの二人結局付き合ったみたいですよ、今頃どこかでイチャイチャしてんじゃないですか」
可愛い後輩をここまで泣かせたんだ、洗いざらい有ること無いこと話してやりますから。
「うへぇ~!素敵だね素敵だね!」
バカみたいに唯先輩がピョンピョン跳ねて私に抱きついてくる。
「く、くっつかないで下さいよ」
「あれれ~?あずにゃんおめめ腫れてるよ、悲しいことあったの?」
「な、何も無いです!離れて下さいよ!」
「やだなぁ私たちの仲でしょ~、洗いざらい話してよあずにゃぁん」
私たちの、仲…
「あ、ぅあ……し、知りませんから!」
こんな日常も良いかもしれない、こんなバカな先輩に甘やかされるのも。
どこで何やってるか知りませんけど部活サボった罪は重いですからね、バカップル!帰って来たら恥ずかしくて顔上げれないくらい噂広めてやりますから!
「やっ……ゆ、唯先輩やめてくださいよ!」 「あずにゃん可愛い~!」
おわり
次の日の放課後、唯先輩が無邪気に聞いてくる。なんにも知らないくせにほんとバカですね。
「なんかあの二人結局付き合ったみたいですよ、今頃どこかでイチャイチャしてんじゃないですか」
可愛い後輩をここまで泣かせたんだ、洗いざらい有ること無いこと話してやりますから。
「うへぇ~!素敵だね素敵だね!」
バカみたいに唯先輩がピョンピョン跳ねて私に抱きついてくる。
「く、くっつかないで下さいよ」
「あれれ~?あずにゃんおめめ腫れてるよ、悲しいことあったの?」
「な、何も無いです!離れて下さいよ!」
「やだなぁ私たちの仲でしょ~、洗いざらい話してよあずにゃぁん」
私たちの、仲…
「あ、ぅあ……し、知りませんから!」
こんな日常も良いかもしれない、こんなバカな先輩に甘やかされるのも。
どこで何やってるか知りませんけど部活サボった罪は重いですからね、バカップル!帰って来たら恥ずかしくて顔上げれないくらい噂広めてやりますから!
「やっ……ゆ、唯先輩やめてくださいよ!」 「あずにゃん可愛い~!」
おわり
55: 2010/08/18(水) 03:14:55.01
こま(ry
56: 2010/08/18(水) 03:16:15.17
矛盾点、設定無視、多面読みづらくてすみません!
最後まで読んでくださった方ありがとうございます。
ちなみにエレベーターの人ではないですよ、誤解させてごめんなさい。
本当にありがとうございます。
最後まで読んでくださった方ありがとうございます。
ちなみにエレベーターの人ではないですよ、誤解させてごめんなさい。
本当にありがとうございます。
57: 2010/08/18(水) 03:17:06.08
乙
58: 2010/08/18(水) 03:21:08.73
その後が気になりすぎて眠れん乙
引用元: 唯「ねぇ、りっちゃんは?」
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