1: 2013/02/03(日) 13:01:14.87
男「証拠は揃ってる。まさかアンタが一連の事件の首謀者だったなんてな」

?「……」

男「教えてくれ!なんでアンタがこんなことを……」

?「知られたからには生かしてはおけんな、結界」パシッ

男「やるしかねぇか」

?「土遁!」スッ

男「地中に潜った?……いや、今のは分身だ。本命は上っ!」ガツッ

?「ぐっ!」
(やはりこの程度のまやかし、こいつには通用しないか)

男「よくわかったぜ、アンタが黒幕ってことと話し合いが無駄だってことがな」パッパッパッ

?(あの印、木遁で逃げるつもりか)

?「させるかぁ!」パッパッパッ

男「あの印まさか!!いや、でもあの術は……」

?「じゃあな、男よ」ザバァッ

男「!」

6: 2013/02/03(日) 13:10:57.29
忍「どうしますかこの人?」

忍2「お前が拾って来たんだろ。お前が看病でもしてろよ」

忍3「でもこいつ行方不明中の長の補佐に似てね?一応上に報告しといた方が……」

忍2「そういやスパイかも知れんな、もう一回森に捨てて来いよ。せめて街の方の病院連れて行けば良かったのに」

忍「すいません。つい気が動転して」

男「……」パチッ

忍3「あっ、目を覚ました」

男「つつ……すいませんここは何処ですか?」

忍「忍の隠れ里です」

男「忍の隠れ里……?」

7: 2013/02/03(日) 13:19:37.61
忍2「普通に喋ってどうするんだお前」ポカッ

忍「痛っ!いや、でも隠すのもムリですよ、あざといぐらい忍っぽい格好してますもん私達」

忍2「本当になんで連れて来たんだよバカ」ポカッ

忍「痛い、痛い!すいませんってば」

男「……」

忍2「で、お前はなんで森奥に倒れていたんだ」

男「俺は……」

男「……」

忍「どうしたんですか?」

男「……記憶がない」

忍2「は?惚けると自分のためにならんぞ?」ギラ

男「っ!いえいえ、本当に!」

9: 2013/02/03(日) 13:29:40.87
忍2「拷問でもかけてからさっさと頃しちまおうぜ」

男「っ!」

忍「いや、いや。流石にそれは……」

忍3「婆様に一応鑑定してもらいましょうよ」

男「婆様?」

忍「ええ、婆様は忍者としての人の有能さを鑑定することができるんです」

忍2「はぁ……くのいちの連中なんか頼りたくないんだがな。それも引退したような痴呆ババア」

忍3「じゃあとりあえず連れて行きますか」

10: 2013/02/03(日) 13:37:41.65
忍2「くのいちの里の方に行くのもイヤなんだがな……あんなバカ共、そもそも女が忍なんか」ブツブツ

忍「イヤなら自分と忍3さんだけで連れて行くから別に良いですよ」

忍2「一応付いて行くわ。お前らに任してると毎回ロクなことにならん」

忍3「またまた~本当はくのいちの里に顔出したいだけのクセにぃ~」

忍2「は?」ギロッ

忍3「……すいませんでした」

忍「とりあえずサッサとこの人連れて行きましょうか」

12: 2013/02/03(日) 13:46:08.24
忍2「全く、スパイが誰かもわかっていないって言うのに余計な問題ばっかり」

男「スパイ?」

忍3「隠れ里の男の忍びがいつの間にか一人増えてたんっすよ」

忍2「余所者に余計なことあんまり喋んなよ」

忍3「まぁまぁ、良いじゃないすか」

男「人増えたら普通分かるだろ?誰が昨日までいなかっただとか……」

忍「……この里では皆自分を頃して生きていくのが掟ですから。一日経てば昨日自分を助けてくれたのが誰だったのかもわからない日々です」

男「……ふぅん」

13: 2013/02/03(日) 13:55:15.19
婆様「……なんじゃ、来客かと思えばまた男忍者共か」

忍「いつもすいません婆様」

忍2「一応お前の術は便利だからな」

婆様「今日は何の用じゃ?」

忍「実は記憶喪失の男が森に倒れていたため、忍びかどうか見て欲しいのです。忍3が言うには行方不明中の長の補佐とも少し似ているらしいので」

婆様「忍3、おぬし補佐の素顔を見たことがあるのか?」

忍3「はい、昔一緒に任務をこなした時に怪我をされたのでその時に。余りはっきりとは言えませんが似ていたように思います」

婆様「わかった。少し見てみるとしよう」

男「……」

14: 2013/02/03(日) 14:06:41.91
婆様「……」

忍「どうでした婆様」ソワソワ

男「……」

婆様「忍者じゃないわね、この方」

忍2「……一般人かよ。時間の無駄だったな」

男「ふう」ホッ

忍3「それは完全な一般人ってことですか?それとも結界も張れないレベルだってことですか?」

婆様「完全にただの一般人じゃ」

男「結界?」

忍「忍者見習いを卒業すれば覚えられる術です。結界内では忍術の威力が増し、また結界外には余計な影響を及ぼさないので好きなだけドンパチできます。忍術同士のタイマン用ですね」

16: 2013/02/03(日) 14:14:51.31
忍2「どうするんだよ、無意味に一般人捕まえちまってさ。このまま普通に返したら情報漏洩に繋がるぞ」

忍「すいません。つい勢いで連れて来てしまって」

忍2「バカヤローが」ポカッ

忍「痛い痛い!」

忍3「どうします?幻術掛けた上で街まで連れて帰れば、場所ぐらいなら何とか誤魔化せるんじゃ……」

忍「でもなんであんな所に倒れていたのかがわからないまま返すのは不気味ですね」

17: 2013/02/03(日) 14:23:40.73
忍「あっ!そう言えば巻物に人の記憶をなくす術ありましたよね!ひょっとしてアレをくらったとか」

忍2「ねーよ。あれは禁術だし、もうあの術を使える人間はこの里にはいない」

男「あの……とりあえず俺は街に行って良いんでしょうか?」

忍3「諸々がハッキリしない限りは悪いけど街には返せませんね。アナタの体の傷口の跡がウチの里のクナイの型と似てるんです」

男「えっ……じゃあ?」

忍2「おいおい、そんな重要なことわかってたならさっさと報告しろよ」

忍3「浅い傷口だったから断定できなくてつい……」

18: 2013/02/03(日) 14:33:11.41
忍2「面倒くさいけど、お前はしばらく里で記憶が戻るまでは見張らせてもらうぞ」

男「そんなぁ……」

忍3「にしてもなんで一般人にクナイのかすり傷の跡があったんでしょうか?」

忍2「お前がしばらく住処に連れ帰って見張っとけ忍」

忍「えぇっ!なんで私がっ」

忍2「第一発見者だろ?」

忍「うぐぐ……じゃあせめて明日からも男さんの正体捜し手伝ってくださいね」

忍2「ダメに決まってんだろ。デリケートな事件なんだから必要以上に他の忍者に知らせるワケにはいかないし、里外の任務以外で日を跨いで忍者同士が馴れ合うのはこの里じゃあ御法度だ」

19: 2013/02/03(日) 14:43:41.01
忍3「いや、俺が手伝うよ。忍術服に印付けて待ち合わせしようぜ。それぐらいは良いだろ」

忍2「チッ。勝手にしろ」

男「えぇ~……俺としてはこんな物騒な所嫌なんだけど」

忍2「なら天国でも行ってみるか?」スッ

男「……すいませんでした」

忍「できれば男さん預かるのも忍3さんがやって欲しいな-なんて」

忍3「それはイヤだわ、第一発見者お前だし。じゃあ明日、日が登ったら里の入口付近で」サッ

忍「ですよね…」

忍2「それぐらい良いだろ。なんでそんなにイヤなんだよ」

忍「……ま、まぁ特に理由はないんですけど」

20: 2013/02/03(日) 14:53:05.08
ーーーーー

忍「結局一日中探っても、何ら手掛かりなかったですね。」

男「なんかすいません、俺のせいで」

忍3「一応上層部に報告はしたので大掛かりに調べてもらえるはずです。行方不明の町人だかがわかればそこからすぐ全てわかりますよ」

男「だと良いんだが……」

忍2「他の忍は城からの任務続きなのに気楽なもんだぜ」

忍3「規則だなんだとゴチャゴチャ言いつつも来てくれたクセにツンデレ野郎が」グリグリ

忍2「あ?」

忍3「すいませんでした」

忍2「にしても忍が三人で集まってたら最近流行りの例の事件の的になりやすいから気を付けろよ」

男「例の事件?」

21: 2013/02/03(日) 15:00:43.52
忍2「一夜泊めたんだからそれぐらい説明しとけよ」ポカッ

忍「だ、だって忍2が昨日部外者に余計なこと教えるなって!」

忍2「状況次第だバカヤロー」ポカッ

忍「うぅ……」

忍2「ったく。昨日何の話してたんだお前らは、コイツはしばらくこっちで過ごすんだから多少は教えとかないと支障が出るだろうが」ポカッ

男「忍さんは昨日あの後は顔真っ赤にしてよそよそしかったです」

忍2「お前は女か」ポカッ

忍「うぅ……」

22: 2013/02/03(日) 15:08:54.51
男「で、どういう事件だったんです?」

忍2「変化の術で他人に化けて悪事を働く者がいるんだ」

男「あぁ、やっぱりそういう術があるんですね」

忍2「あることにはあるが、かなりの高等忍術だ。上忍でも極一部しか使えない。何故か上層部はこれらの事件を詳しく調査しないから、冤罪で里の地下に監禁されている者も少なくない」

男「待ってください。皆顔を隠してて日毎に関係を断っているならば変化なんかムダなんじゃ……」

忍2「だから俺らみたいに規則破って馴れ合ってる奴が標的になるのさ」

忍「……」

23: 2013/02/03(日) 15:19:21.52
ーーーーーー

忍「じゃあ今日も一日調査しますか」

男「今日体怠いんでゆっくり休みませんか?」ファア~

忍2「お前段々態度デカくなってきたな……」

男「ああ、馴染んできたよ」

忍「じゃあ団子でも食べに行きませんか?」

忍2「お前は止めろよ」ポカッ

忍3「おい大変だ!」ザッ

男「どうしたんだ?」

忍3「忍2が昨日里の武器庫に火を放ったことになってるらしい」

忍2「おいおいそれって……」

24: 2013/02/03(日) 15:29:08.22
男「変化の術か?」

忍3「このままだったらお前氏刑になっちまうぞ!逃げるんだ!」

忍2「……」

上忍「逃がすかよ」スッ

忍「ひっ!」

上忍「忍3が裏切るとはな、残念ながら忍2の氏刑は長の決定だ」

忍2「わかった」

忍3「おいっ!」

忍2「長の決定なら仕方ない……ヘタに俺が騒げばお前らにも火の粉が飛ぶぞ」

忍「そんな……」

上忍「あ、そこの男を処分することに決定したから」

男「え!?」

25: 2013/02/03(日) 15:36:47.38
男「お……俺もですか?」

上忍「ああ、お前の身元がわかった。ウチの里の人間と抗争になって頭をやられた他里のスパイだ」

忍「いやいやいや、この人は事前に一般人だって婆様が鑑定してくれましたよ」

上忍「は?あんなボケ老人の言うことアテになるかよ」

忍3「なんか、アナタ隠してませんか」ザッ

上忍「なんだ?刃向かうつもりか?」ギロッ

忍3「……忍ィ。男と忍2を連れて逃げてくれ」

上忍「ほう」

26: 2013/02/03(日) 15:43:18.52
忍「……わかりました、逃げましょう」

忍2「ちょ……ちょっと待てよ!お前と忍3は今頭を下げれば罪には」

忍3「……」パッパッ…

上忍「後1つ印を結べばお前は反逆者だぞ」

忍3「結界」パシッ

ズズズズズ

上忍「バカな奴だ」

忍「今の内に逃げましょう」

男「……」

27: 2013/02/03(日) 15:50:33.96
…………

忍「だいぶ逃げましたね。ここまでくれば流石に……」

男「忍3の奴大丈夫だろうか」

忍2「ダメだったみたいだな」

上忍「よっ」

男「……」

上忍「お前らはちょっと刃向かったぐらいじゃ命まではとられないと思ってたようだが、甘いんだよ」ドサッ

忍「生首……その人まさか」

上忍「顔見たことなかったかお前ら、哀れな忍3ちゃんだよ」

忍「おぇっ……」

上忍「ん?お前氏体見たことなかったのか?忍びのクセに」

男「……」

28: 2013/02/03(日) 15:59:16.69
上忍「結界」パッパッパッ

忍「男さんは逃げてください」

忍2「二人でやるぞッ!」

上忍「二人でやれると思ってんのか。どうせレベル20前後の中忍クラス、何人いようが俺の敵じゃあない」

忍「火遁ッ!」

上忍「甘いぜ、風遁ッ!」フゥー

忍2「甘いのはテメェだ!」ブンッ

忍「違う!背中!!」

忍2「!」スカッ

上忍「分身のフェイントだよ、よく見破ったね忍ちゃん」ガツッ

忍2「あがっ!」

忍「忍2さんっ!!」

29: 2013/02/03(日) 16:07:37.15
上忍「オラオラ、オラァ!」ドカッドカッドカッ

忍「くっ」サッサッサッ

上忍「……お前タダモンじゃねーな。なんで下忍中忍の溜まり場の忍び里なんかに」

忍「……」

上忍「そう言えばある日、忍び里の人間が1人増えた事件が起こったな」

忍「……」

上忍「お前、それじゃねーのか」

忍「さぁね」

上忍「が、所詮は俺の敵じゃない」ドコッ

忍「がはっ!!」

男「……」スッ

忍「なっ!なんで出て来たんですかっ!」

31: 2013/02/03(日) 16:14:04.96
男「記憶がなくても……術がなくても……体が覚えてるんだ」

上忍「ふん、小娘をいたぶるのにも飽きた所だ」

忍「なっ!」

上忍「その頭巾をとれ」グイッ

男「!」

上忍「コイツ女だよ、くのいちの方ではなく何故男の方にいたか。コイツがスパイだからだ」

忍「……」

男「俺には関係ねーよ。里なんかどうでも良い」

上忍「あるよ。お前は元里の長の補佐なんだからなっ」ザッ

男「……」

32: 2013/02/03(日) 16:22:14.58
上忍「氏ねっ!術のない忍者に何ができるっ」

男「体術が……体術があるだろうが」ドカッ

上忍「ぐっ!」
(動きが早過ぎる……なら先に忍を頃して動揺を誘うか)

上忍「オラッ」シュッ

スカッ

上忍「え?」

忍「分身ですよそっちは」

男「くらえっ!」ドカッ

上忍「ぐはっ!!」

男「や……やったか?」

忍「殴って殺せる相手じゃありませんよ。逃げましょう」

男「でも忍2が……」

忍「逃げましょう。もう……氏んでますよ」

男「……」

上忍「逃がすかよ……、結界の中なら今の体力でも充分に動ける」ゼェゼェ

33: 2013/02/03(日) 16:27:36.21
男「……」パッパッパッ

忍「無理ですよっ!アナタに術が使えないことは婆様が……」

男「木遁!」トンッ

ズズズズズ

上忍「そんな……あの術をくらってもう木遁が使える段階まで持ち直しているのか!?」

上忍「そんなことは有り得ないっ!」ゼェゼェ

忍「木が地形を変え結界の効力を潰した!?」

男「俺も今のが限界みたいだ……逃げよう」

忍「はっはい!」

上忍「男め……」ギリッ

34: 2013/02/03(日) 16:34:54.72
……………

男「それじゃあ。今日はこの辺りで店仕舞いだな」

忍「はいっ!」

男「……あれからだいぶ経つな」

忍「ええ、流石にここまでは来ませんよアイツらも」

男「結局変化事件はなんだったんだろうな?」

忍「……もう止めましょうよ、昔の話は」

男「いや、どうしても訊いておきたいことがあるんだが……」

忍「なんですか?」

男「なんでスパイなんかしてたんだ?」

忍「スパイ?」

男「ほら最後にあの忍者が言ってた……」

35: 2013/02/03(日) 16:40:59.69
忍「スパイじゃあないんですよ私」

男「え?じゃあなんで……」

忍「私、忍び里の中のくのいちの方面の出身なんですよ」

忍「最初の辺りに忍2さんが言っていたでしょう。女は忍びなんかやるもんじゃないって。それぐらい偏見が強いんですよ」

男「……」

忍「実力はそこそこあったと自負していたんですが、くのいちではほとんど任務が来ません。階級も中忍までしかありません、だから私は婆様に相談して男里にこっそり入ることになりました」

男「そうだったのか」

36: 2013/02/03(日) 16:47:42.81
忍「男さんは何か記憶、戻りましたか?」

男「いや、結局何も……」

忍「そうですか」

男「でも多分、俺は里の長の補佐だったんじゃないかな。何故か術はほとんど使えなくなっちまったみたいだけど」

忍「その可能性が高そうですね」

男「多分俺は上層部の悪事でも見つけて……あの術をくらって全てをなくしたんだ」

忍「あの術?」

忍『あっ!そう言えば巻物に人の記憶をなくす術ありましたよね!ひょっとしてアレをくらったとか』
忍2『ねーよ。あれは禁術だし、もうあの術を使える人間はこの里にはいない』

忍「有り得ませんよ、あの術を使える忍がまだいるすればそれは……」

37: 2013/02/03(日) 16:57:27.93
ーーーーーー

長「任務ご苦労だったな」

上忍「はっ!ただしスパイ疑惑のある忍を取り逃がしました!」

長「……忍については話はついている。ヘタに何かしなくても良い、呼び戻しても良いぐらいだ」

上忍「……は?」

長「それより男を処分しろとは言っていないぞ。結果的に上手く追放できたから良いが……」

上忍「甘いんですよ長は」

長「……」

上忍「アイツは微弱ながら私に木遁を使いました」

長「バカな!俺の術で奴の術は封じたはずだ!!」

上忍「大昔の術ですから。巻物はアテにならなかったようで」

長「術の封印が不完全ならば、記憶の封印も怪しいな」

上忍「私めが……」

長「いや、俺も行く。今度は確実に息の根を止める……」

38: 2013/02/03(日) 17:08:34.94
男「!」

男「この感じ、強力な結界だ!!」

忍「そんなっ!たかだか抜け忍を始末するためにこんな所までくるワケッ」

ドガァーン

忍「ひっ!」

上忍「男、大人しくこっちに来い。そうすれば忍は殺さない」

長「……ふん。こんなボロ小屋に隠れていたとはな」

忍「な……なんで中忍と一般人の始末に長が!」

男「……」スッ

忍「こっ……こんなの従う意味ないよ男っ!」バッ

忍「男が捕まっても、どの道私がこの事態を知っている限り生かしておくメリットがないもの!」

長「俺には人の記憶を消す術が……」

忍「それが不完全だからこんな偏狭まで追いかけてきたクセに!」

長「……交渉決裂だな」

39: 2013/02/03(日) 17:15:04.08
長「結界」バッバッバッ

ズズズズズ

上忍(なんて印の早さと結界の濃さだ……!これが数千もの忍を束ねる長の本気っ!)

忍「やるしかないわね」

男「……」

上忍「氏ねェ!火遁の術!!」バッバッバッ

ブォォォォオ

男「一応訓練しといて正解だったな」バッバッバッ

男「土遁」スッ

上忍「地中に潜ったか」

40: 2013/02/03(日) 17:23:27.21
上忍(相手が視界から消えるのは厄介だな、どう攻めてくるか)ジリジリ

忍「下ばっか気を付けてても駄目ですよっ」シュッ

キィンッ

上忍「このクソアマが……」

忍「今ですっ!」

長(上忍が少し危ないな、援護するか)バッバッ

ドスッ

長「あ゛!!」

男「ばーか、狙いはお前だよ。上忍ぐらい、いつでもやれる」ギロッ

長(……俺のことはまだ思い出していないはずだが、本能で格を察知したか)

長「が、変わり身だ」シュッ

スカッ

長「なッ!」

男「体術ならこっちのが上みたいだなぁ」ドガァッ

長「ぐあっ」

41: 2013/02/03(日) 17:29:33.99
上忍「そんなバカな……」

忍「気を取られてる場合じゃありませんよっ」

上忍「くのいち如きに誰がやられるかぁ!」バッバッバッ

上忍「とっておきを見せてやるぜっ!くらいやがれ」バッバッバッ

男「まずいっ!あの印は雷遁……」バッ

長(隙ができた!)

長「水遁」ババババッ
男「!」

忍「まさか水遁って!」

上忍「雷と……ん?」

バシャア!

42: 2013/02/03(日) 17:32:21.41
男「なんとか避けたが……水遁ってまさか」

忍「ええ、あの術は対象者の忍術と記憶を水に流す禁術……!」

上忍「おっ……俺はいったい誰だ?」

長「外したが距離が取れたな」

男「部下ごとそんな術を……外道め」

43: 2013/02/03(日) 17:38:20.10
男「……俺が木遁で結界を打ち消すから時間を稼いでくれ。アイツが水遁を使ったことを告発するために里に帰るんだ」

長「逃げ切れるとでもか?」バッバッバッ

長「変化の術!!虎!!」グググッ

忍「変化の術を使えるの!?じゃあまさか里の冤罪事件は……」

長「好きな時に里内の邪魔者を消せる術だ。長に相応しい力だろう?」

忍「アナタは人間じゃない!」

長「もっともだ。今は虎だからな」グァアア!

44: 2013/02/03(日) 17:44:25.32
長「氏ねぇ」ブワッ

忍「む……ムリよこんなのっ!」

男「木遁!」

ガガガガガガ!

長「溜めた力を俺を縛るのに使うか……忍を見捨てれば結界を壊せたのにな」

忍「縛られたらアナタは何もできないじゃない!」

長「はて、弱ったな」

長「変化の術!大蛇!!」シュッ

忍「蛇になって木の縄を抜けた!?」

男「マズいッ避けろっ!!」

長「この距離でできるならなァ!!」

45: 2013/02/03(日) 17:49:56.00
忍「へへ……避けてやったわ」ツー

忍「女の顔に傷付けやがってゲスヤロー」

長「差別されたくないと言って男里に行ったのはお主だろうに。これだから女は」

長「後、残念ながら蛇に変化した俺の牙は猛毒だ」

忍「……かっ体がっ!!」プルプル

男「忍ィ!!」

長「直に氏ぬ小娘は放っておいて決着をつけようか」

長「変化の術!龍!!」グォォオ

男「……」

46: 2013/02/03(日) 17:53:40.66
長「龍光鳳仙花ァ!!」ズォォン

男「ぐぁああああ!!」

長「人間の耐えられる技ではない」シュウウゥ…

ボワンッ

長「残念だったな男よ」

長「ぐっ術の反動か視界が眩む……ん?」

47: 2013/02/03(日) 18:01:30.14
男「どうした?俺が氏ぬ夢でも見てたかよ?」

長「これはっ……幻術?この俺がそんなまやかしにっ!!」

男「蛇が目悪いのは知ってたが龍まで盲目だとはな。お前のおかげで一つ物知りになれたよ」

長「コイツ……変化の弱点を見抜いていたと言うのかっ!」

男「幻術で時間を稼いでいる間にしっかり力を溜めさせてもらったぜ。今度こそこの結界を止める」バッバッバッ

男「木遁」バッ

ズズズズズ

長「ぐっクソ!」

男「……」ダダダダダッ

長「い……いかん」

忍「あっ……あっ……」

長「!」
「おい、忍をおいて逃げるつもりか?まだ息があるぞ?」ニヤッ

49: 2013/02/03(日) 18:08:52.86
男「……」ピタッ

長(かっ……勝った!)

忍「男……さん、わた……はもうダメです。早く里へ……行って」

長「なっ!」

忍「地下に冤罪で捕まっている人を……助けてください。私の両親もいるはずですっ……」

男「……」ダッ

長「こっこのアマ!咄嗟になんて嘘を」

忍「……本当は私が孤児でアナタに拾ってもらってたってことですか?それとも……」

長「……」

忍「これはただの麻痺毒だって点ですか?」

忍「女舐めんなバーカ」

長「……さて、どう頃してやろうか」ギリッ

50: 2013/02/03(日) 18:17:38.68

51: 2013/02/03(日) 18:21:35.59
ーーーーーー

男「あれから忍の里へと逃げた俺は、里の皆に真実を話した。長の隠し部屋からすぐ危ない巻物と書類が大量に出てきて地下の冤罪の人間は解放された」

男「その後長は帰って来ることはなく、元補佐であった俺が長になることになった。もっとも記憶は戻っていないのだが」

男「数千の忍を束ねるのは大変で、綺麗ごとばかりじゃあ動けない。長の気持ちも少しだけならわからないでもない、少しだけなら」

男「疑わしきは罰する、その証拠は偽造する。反発する者は許さない。そうでもしないと簡単にはまとめられないのが忍の里なのだ」

男「忍には、生きていて欲しかったな……会いたいよ」

コンコン

男「誰だ?」

忍「えへへ」ガチャ

男「な!生きてたのか?」

52: 2013/02/03(日) 18:26:42.67
忍「結局、長は何もしないで私から去って行きました。少しは情があったのかもしれませんし、私を頃しても、もう何の意味もないとわかったのかもしれません」

男「そ……そうか」

忍「きっと男さんに水遁をした理由もそうだったんでしょう。補佐と長は昔の戦友だったと聞きますから、できれば頃したくはなかったのでしょうきっと」

男(……俺は)

男(長は間違っていなかったんじゃないかって少しだけ思う、少しだけな)


53: 2013/02/03(日) 18:35:44.55
おつ
なんかすっきりしないな

引用元: 男「ここは……忍の隠れ里?」