1: 2009/12/22(火) 21:15:18.89


唯「和ちゃん・・・どうしたの?」

和「・・・」

唯「和ちゃん!」

和「あ、ごめん。何の話だっけ?」

唯「もー!ちゃんと聞いてよ~」

 いけない。またボーっとしてしまった。せっかく唯がお茶に誘ってくれたのに。

唯「それでさあ、あずにゃんがすごい怒ってね~」

和「へえ、あなた達はいつも賑やかね」

唯「うん!あ、アイス溶けちゃう」



4: 2009/12/22(火) 21:16:44.85
急いでアイスを食べ始めた唯は私の幼馴染であり親友だ。
 でも高2になった今はクラスが別で、しかも唯は軽音楽部、私は生徒会で毎日忙しくこうしてたまにしかゆっくり話せない。

唯「和ちゃんは生徒会どうなの?」

和「文化祭が終わったばかりだから、後処理とかでしばらく忙しいわね」

唯「大変だね~うちは全然練習せずにだらだらしてるよ!」

和「胸を張って言う事じゃないでしょ・・・もう、澪とかは呆れてるんじゃない?」

 澪は軽音部の一員で、私のクラスメート。たぶん軽音部の中では私が唯の次に親しい子。
 お互い部活がない時は一緒にお昼を食べるから、最近は唯よりも話してるけど。

唯「うん。でも澪ちゃんも今週くらいならちょっとだらだらしてもしょうがないって言ってたよ~
  そしたらりっちゃんが『じゃあもう帰ろうぜ!』って言い出して澪ちゃんにぶたれちゃったんだ」

 りっちゃん。軽音部部長の律のことだ。その名前を聞くたび少しドキッとする。

和「いつも通りみたいね。安心したわ」
 
 私は、律が好きだから。

6: 2009/12/22(火) 21:19:53.89
私が自分の気持ちに気付いたのは、文化祭が終わった直後だ。私は生徒会室で会長と話していた。

和「お疲れ様でした、会長」

生徒会長「真鍋さんもお疲れ様。っといっても仕事はまだまだ残ってるけどね」

 各企画の申請書の整理、決算、総括の作成など、生徒会には文化祭が終わった後も大量の仕事が残っている。
 ちなみは私は文化系クラブの担当。

生徒会長「来週に総括会議をするから、担当のクラブの報告文まとめといてね。
     あ、今回こそ遅れて提出するクラブがないように」

和「はい。私が責任もってしっかり提出させますので」

 会長が言っているのは他でもない、軽音部のこと。
 律は書類の出し忘れの常習犯で、私はその度に部室に押しかけ律に書類を書かせていた。

7: 2009/12/22(火) 21:21:38.15
でも、私はその行為が嫌いじゃなかった。軽音部の部室はいつも賑やかだし、
 何より、オーバーなリアクションをしながら焦って言い訳をする律が面白くて、可愛かった。

生徒会長「あなたも大変ね。でも会長になったらもっと大変だから、覚悟しといてね?」

和「私は会長になりたいなんて言ってませんよ?」

生徒会長「そう?でもあなたなら適任だと思うんだけどなあ」

和「そんな・・・」

 生徒会長・・・次は私の学年の誰かになる事は確かだけど、私に向いてるのかな・・・。
 そんな事を考えていると、ある事に気付いた。
 年が明けて新学期が始まれば生徒会は世代交代の時期になる。
 三年は引退し、私たち二年が会長を含めた生徒会の要職を引き継ぐ。

8: 2009/12/22(火) 21:23:40.03
当然私も文化部の担当から離れる。それは、軽音部に、律に書類を催促する事がなくなることを意味している。
 それに気がついたとき、胸が苦しくなった。律とあのやり取りが出来なくなると思うと、泣きそうになった。
 書類のやりとりは、律と私だけをつないでいる絆。
 それがなくなれば、幼馴染でもクラスメートではない律とは、ただの”友達の友達”の関係に成り下がってしまう気がした。
 私は律が好きだったんだ・・・その時にやっとわかった。

唯「和ちゃ~ん!」

和「あ!ごめん唯。またボーっとしちゃってた?」

9: 2009/12/22(火) 21:43:22.77
唯「うん。和ちゃんなんか変だよ?体調悪いの?」

和「大丈夫。平気だから」

唯「ダメだよ。和ちゃん生徒会で頑張ってたんだから疲れてるんだよ!今日はもう帰ろ?」

 本当に体調が悪いわけじゃないんだけど・・・でも唯がここまで気を使ってくれたら従うしかない。

唯「約束通り今回は私がおごるね!」

和「覚えてたのね。ありがと」

唯「私は簡単に恩を忘れたりしないよー」

------------------------------------------------------------------------------------

和「じゃあ私はこっちだから。今日は誘ってくれてありがと」

唯「ううん。体調悪いのに誘っちゃってごめんね。今日はゆっくり休んでね」

和「謝る事じゃないって」

13: 2009/12/22(火) 21:53:38.34
唯と別れて帰宅した後、私は自分の部屋のベッドに腰掛け、鞄からファイルを取り出す。
 気を使ってくれた唯には悪いが、総括会議に向けて文章を作らないといけない。

和「吹奏楽部、オカルト研・・・」

 ファイルの中に入っていた、文化系クラブから提出された企画総括文をペラペラとめくっていく。
 私は、あることに期待していた。

和「合唱部、文芸部、・・・ジャズ研。よし、軽音部は出してない・・・あ」
 
 すべてめくり終えて軽音部がまだ書類を出してないとわかり、つい「よし」なんて声に出してしまった。
 自分が恥ずかしくなる。

和「でもこれで明日、律に会えるな・・・」

 明日が楽しみだ。

14: 2009/12/22(火) 22:01:17.25
 翌日。昼休み。澪と一緒にお昼を食べる

澪「あれ、今日はパンなんだ」

和「昨日あまり寝れなくてね。遅刻ギリギリまで寝坊しちゃったからお弁当作る時間がなかったの」

澪「珍しいな。和が寝坊なんて」

 律に会えるのが楽しみで眠れなかったなんてとても言えない。遠足前の小学生じゃあるまいし。

和「澪はそういうこと全然ないよね」

澪「律がよく寝坊するからさ、昔から学校行く時によく私が起こしてたんだよ。おかげで私は寝坊しなくなったんだ」

和「へえ、そうなんだ」
 
 澪と律は幼馴染だ。それにとても仲がいい。なんかまた胸が苦しくなってきた。
 これはあれか?私は澪に嫉妬しているのだろうか。たしかに律と仲良しなのはうらやましいけど・・・

15: 2009/12/22(火) 22:06:10.48
和「澪と律って仲良しよね」

澪「そ、そうか?」

和「ええ。いつも一緒だし」

澪「ま、まあ幼馴染だし、ね」

 幼馴染か・・・澪と律はお互いのことをどう思ってるだろう。
 私が唯に恋愛感情を持っていないように、二人も何もないのか、それとも・・・

和「うらやましいな・・・」

澪「え?」

和「あ、ううん!なんでもない」

 また声に出てしまった・・・

18: 2009/12/22(火) 22:18:46.27
----------------------------------------------------------------------------

 放課後。生徒会室にて書類をもう一回確認。よし、軽音部のは出てない。

和「行ってきます!」
 
 私は颯爽と生徒会室を飛び出し軽音部の部室へと向かう。自分でも生き生きしてるのがわかる。
 階段を上り部室の前へ到着。深く息を吸って勢いよくドアを開ける!

和「律!また書類出し忘れてるわよ!学園祭の企画総括文!」

律「・・・へ?」

唯「あ、和ちゃんおいーっす」

澪「・・・りーつー?」

律「ああああ!忘れてたあ!」

 律は予想通り大慌てだ。ああ、可愛い。

21: 2009/12/22(火) 22:24:31.80
梓「律先輩また出し忘れですか?」

澪「律!これで何度目だよ・・・いい加減にしろ!」

紬「まあまあ。うふふ」

律「ごめーん!すぐ書くから!えーっと確か鞄に入れておいたはず・・・」

 ゴソゴソと鞄の中を漁り始めたけど、見つからないみたいだ。
 律の性格からしてきっと鞄の中はいつもぐちゃぐちゃなんだろうな。

律「あーもう!見つかんない!」

和「そんな事だろうと思って、新しいの持ってきてるから。ほら」

律「おお!さすがは和!ありがとう、今すぐ書くから!」

23: 2009/12/22(火) 22:28:00.29
律は大げさに私に感謝して自分の席に戻り、
 目の前にあったお菓子とティーカップをどけてお気に入りの黄色いシャーペンで書類を書き始めた。

澪「和、いつもごめんな」

和「いいのよ」

紬「和ちゃん、お茶飲んでいかない?」

和「ごめんなさい。まだ仕事があるから。生徒会室に戻らないと」

唯「え~!ゆっくりしてきなよ~」

 私だってここでずっと律を眺めていたいけど・・・律、さっきから何回も消しゴム使ってるな。
 焦って書いてるから間違えまくってるのかな。あ、消しゴム落とした。拾って机に頭ぶつけてる・・・
 どこまで可愛いんだこの娘は!

律「いってー!」

澪「落ち着けって・・・」

24: 2009/12/22(火) 22:31:04.53
和「ふふっ」

律「あ!笑うなよ~」

澪「騒がしくてホントごめん・・・」

和「賑やかでいいじゃない」

唯「だったら和ちゃんも軽音部入ろうよ!」

和「遠慮しとくわ」

唯「ぶー」

 私が仮に軽音部に入ったとしても、律に見とれて練習なんてろくにできないだろう

27: 2009/12/22(火) 22:39:52.18
和「じゃあ生徒会室に戻るから。終わったら持ってきてね」

律「ええ!待ってよ!」

 ああ・・・律に待ってよなんて言われたら私・・・

和「じゃ、じゃあ一杯だけお茶もらおうかな」

 誘惑に負けてしまった・・・生徒会の皆、ごめん。でも書類がちゃんと書かれるか監視してるんだから、
 これも生徒会の仕事だよね。

紬「はい、どうぞ♪」

和「いただきます・・・ああ、おいしい」

紬「ありがとう♪」

唯「軽音部自慢のお茶だからね!えっへん」

梓「なんで唯先輩が威張るんですか・・・」

30: 2009/12/22(火) 22:52:23.63
真剣な表情で書類を書いてる律。こんな表情珍しい・・・写真に収めたい。
 いきなりそんなことするわけにはいかないから頑張って脳に焼き付けないと・・・

和「・・・」

唯「和ちゃん?」

澪「じーっと律を見つめてどうしたんだ?」

律「ん?」

和「は!い、いやあの、真面目な表情してる律って珍しいなーと思って」

律「ひでえ!」

唯「あはは!りっちゃんいつも不真面目だもんね~」

律「お前が言うな!」

澪「馬鹿やってないで書類書けって」

律「へいへい」

31: 2009/12/22(火) 23:03:28.53
 ふう。危ない危ない。うまくごまかせたかな。

紬「あらあら。ふふふ」
 
和「!!」

 何?いまの悪寒は・・・気のせい、だよね
 でもこれ以上ここにいるとボロが出ちゃうな。そろそろ行かないと。

和「もう行くから。お茶ごちそうさま」

唯「え~。もっといてよ~」

梓「あんまり引き止めたら迷惑ですよ」

律「悪かったな和。あとで届けるから」

和「え、ええ、ごめんなさい!」

 律への思いを振り切るように私は音楽室を飛び出した。

38: 2009/12/22(火) 23:28:44.31
生徒会室。

和「ふう・・・」

 自分の席に着く。まだ仕事は他にもあるんだ・・・でも

和「律・・・」

 ドキドキが止まらない。最近律への想いがどんどん激しくなっている。
 このままじゃダメだ。それはわかってるつもりだ。
 でも、女同士なんて・・告白なんてしたらみんなに引かれちゃうかもしれない。
 だったらこのままの関係の方がいいのかな。でもそれじゃあ私が今の担当をはずれたら終わってしまう。

生徒会長「真鍋さん?」

和「は、はい!すいません!」

生徒会長「まだ何も言ってないけど・・・」

39: 2009/12/22(火) 23:43:21.46
和「あ、はいなんでしょうか」

生徒会長「明日、他校との交流会で生徒会全員が放課後、○高校に行くんだけど」

和「はい、そうでしたね」

生徒会長「さっき先生達から、生徒会室に一人は残るようにって要請があったの」

和「急な話ですね」

生徒会長「ええ・・・どうしよう」

 その瞬間、私の脳細胞は想像を絶する速さで回転し、ある計画を思いついた。

和「私が残りますよ!」

生徒会長「え、いいの?」

42: 2009/12/22(火) 23:55:52.98
和「はい。留守は任せてください!」

生徒会長「ど、どうしたの突然元気になって」

和「いえ、とにかく明日は私が生徒会室に残りますので」

生徒会長「真鍋さんがそう言ってくれるなら、任せようかな」

和「ありがとうございます」

 思いがけないチャンスが舞い降りた。
 明日の生徒会室には私しかいない。これはかなりのアタックチャンスなのではなかろうか。
 そんなことを考えていると生徒会室のドアが開いた。

律「お待たせ!書いてきたよ!」

 律だ。明日の事を考えたらいつもよりさらに心臓の動きが早くなった。

和「あ、ありがとう。今度は忘れないでね」

43: 2009/12/23(水) 00:04:31.09
律「大丈夫!もう絶対忘れないからな!」

 控えめな胸を張る律も可愛い。

和「先輩、文化部の総括文これで全部揃いました」

生徒会長「お疲れ様。あ、秋山さんによろしくね」

律「え?はい。じゃあ私部活戻るから」

和「うん。お疲れ」

 もう行っちゃったか。だけど私は明日のためにやるべきことをやらないと。

48: 2009/12/23(水) 00:24:59.26
-----------------------------------------------------------------------

 自宅。家族で共有してるPCを起動する。
 そろそろ自分のPCがほしいな。今はそんなこと言ってられないけど。

和「クラブ用 来年度学園祭アンケート・・・っと」

 私は今、書類を捏造している。

和「提出期限は明日・・・」

 来年度学園祭アンケート。各クラブへ、今年の学園祭を踏まえ来年度はどういう学園祭にしたいか問うものだ。
 まあ内容は何でもいい。そんなもの実際は存在しないのだから。

和「よし。完成。あとは印刷ね・・・」

 家のプリンターに生徒会室から拝借してきた用紙を入れて、印刷を開始する。
 期限を明日に設定したこの書類を、いつもの調子で律に渡し、理由をつけて生徒会室で書かせよう。
 そうすれば私は律と2人っきり・・・
 

49: 2009/12/23(水) 00:31:47.22
 和「印刷完了。これで明日律と・・・うふふふふ」

 おっとまずい。家の中で不気味な笑みをこぼしてしまった。

和「今日は早く寝ようかな・・・」

 明日は大事な大事なアタックチャンス。
 律との距離を縮めて、あわよくば、こ、こ、告白とか

和「律・・・」

 律の夢が見れる事、そして明日の成功を願って私は眠りに・・・寝れない。
 やっぱり明日のことを考えたら眠れない。まずい。これでは2日連続でさすがに寝不足になってしまう。
 ああでも心臓がおとなしくなってくれない!

52: 2009/12/23(水) 01:04:26.55
-------------------------------------------------------------------

 次の日。結局またほとんど寝れなかった・・・でも今日は身体が奮い立って眠気も吹き飛ぶ気分だ

澪「おはよう。和」

和「おはよう」

 いつも通りクラスで澪と挨拶する。勝負は放課後だ

澪「和、どうしたんだ?なんか鬼気迫る表情だけど」

和「なんでもないわ。気にしないで」

 澪・・・もしあなたが律の事を好きだとしても、私は諦められない。ごめんなさい。

55: 2009/12/23(水) 01:16:42.54

澪「そ、そうか?唯に聞いたけど、生徒会が忙しいんなら無理しちゃだめだよ?」

和「ありがとう。大丈夫よ」

 澪はこんなにも優しいし、美人でスタイルもいい。
 律は地味な私なんかより澪を選ぶんじゃないだろうか。
 って、澪が律のこと好きと決まったわけじゃないのになんで勝手にライバル視してるんだろ。
 今日の私はゆとりがない。

和「そろそろ授業ね。席に着きましょう?」

澪「うん」

 今日は授業が頭に入らないだろうな・・・

56: 2009/12/23(水) 01:33:31.58
----------------------------------------------------------------

 放課後。誰もいない生徒会室。

和「ついにこの時が来たか・・・」

 用意していた偽造書類を取り出す。

和「頑張れ、私」

 ちょっとした罪悪感に心を締め付けられたが、私の律への想いはそれ以上だ。
 そんなわけのわからないことを考えながら生徒会室を出る。
 本当は留守番だから離れちゃいけないんだけど、知ったことか。

和「・・・」

 軽音部の部室の前に到着した。落ち着け、まずはいつもの調子でいい。
 深呼吸して、部室のドアを開ける!

和「律!また書類だしてにゃいでひょ!」

 噛んだ。

58: 2009/12/23(水) 01:45:02.83
律「・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」

梓「・・・」

唯「・・・かわいい」

 すごく恥ずかしい。ああでもそんなこと忘れて計画を実行しなくては!

和「と、とにかく、書類出し忘れてるわよ」

律「え、ええ~」

澪「律・・・またか」

律「そんな目で私を見るなあ!」

60: 2009/12/23(水) 01:55:04.98
梓「2日連続ですか・・・」

律「も、もう提出書類なんてなかったはずだけどなあ・・・」

和「ほら、これよ」

律「見覚えもないんだけど・・・それに昨日言ってくれれば良かったのに」

和「ごめんなさい。他の仕事とかあったから言うの忘れてたの」

澪「和が謝る事じゃないよ。りーつー?」

律「うう・・・わかったよ。今書くからさ」

和「ちょっと待って、ここで書くのはだめよ」

62: 2009/12/23(水) 02:07:08.47
律「へ?なんで?」

和「生徒会の方針で、この文章は部長と生徒会以外には機密って事になってるの」

律「こんなアンケートが?」

 ちょっと苦しいけど、押し切れるはず!

和「軽音部のことを信用してないわけじゃないんだけど、
  立場上みんなの目があるところで書かせるわけにはいかないの」

律「面倒だな~。どこで書けばいいんだよ」

 行け!言うんだ私!行けええええええええ!

和「生徒会室で書かない?今日は私しかいないから!」

 言えた!

64: 2009/12/23(水) 02:15:28.05
律「じゃあそうしようかな」
 
 ついに律と2人っきりに・・・
 生徒会室に誘うだけでこんなに精神すり減るんじゃ告白なんてしたら氏ぬかも。

和「あ、ありがとう!」

律「なんでお礼言うんだ?」

和「あ、なんでもないわ」

紬「あらあら」

律「悪いねみんな。ちょっと行ってくるわ。私のお菓子とっとけよー?」

唯「了解!」

律「あやしいな・・・唯、もし食べたりしたら」

澪「いいから早く行け!」

律「わかってるって!」

65: 2009/12/23(水) 02:31:14.24
--------------------------------------------------------------

 生徒会室。律を招き入れる。

和「そこの席を使って。一番机の上が綺麗だから」

律「おう。悪いな」

 律を案内した席は私の席の正面。もちろんあらかじめ机の上を片付けておいた。

律「うへ・・・書く事多いな。時間かかりそうだ」

 少しでも律を長居させるために作ったのだから当然だ

和「私は自分の仕事してるから、好きなだけ時間使っていいわよ」

 目の前に律がいるのに自分の仕事なんか手につくはずはないけど。
 ああ、それにしてもなんていうベストポジション。真正面から律を見つめ続けられるなんて・・・

102: 2009/12/23(水) 16:56:02.73
------------------------------------------------------------------

 数時間経った。
 律は、たまに私に話しかけたり、伸びをしたりしながら書類を書き続けている。
 話の内容は他愛のないものばかりだけど、律との会話はすごく楽しい。
 しかも会話していない時は真剣な律や悩んでる律を見ることが出来る。
 今はまさに至福の時だ。

律「和~」

和「なに?」

律「ここなんて書けばいいかなあ?」

和「自分で考えて」

律「ちぇ~」

 律は上唇と鼻でシャーペンを挟み、うーんと唸りながら椅子にもたれ掛かった。可愛い。

105: 2009/12/23(水) 17:10:32.29
このまま時間が止まってしまえばいいのに。そんなことを思う日が来ようとは。
 でも、時間は刻一刻と進み続ける。

律「ふあ~あ」

 欠伸してる。可愛い。あ、目が合った。

律「・・・何?」

和「ううん。なんでもない」

律「そっか」

和「もうすぐね」

律「何が~?」

和「下校時刻」

律「げ!もうそんな時間かよ!」

109: 2009/12/23(水) 17:26:18.23

 まだだ。まだこの幸福な時間を終わらせるわけにはいかない。

律「まだ書き終わってないよー!」

和「生徒会室なら下校時刻から1時間くらい過ぎても先生が多めに見てくれるから、まだ大丈夫だよ」

律「お。そうなのか。じゃあ間に合うかな。
  澪たちには先に帰るようにメールしとくか」

 やった。律は軽音部より私との時間を選んでくれたんだ。
 妙な優越感に浸った。
 

110: 2009/12/23(水) 17:40:10.80
律「・・・なあ和」

和「何?」

律「ありがとな。いつも」

和「え・・・」

律「今日も、私のためにこんな時間に残ってくれてさ。
  書類忘れた私が悪いのに・・・ごめん」

和「・・・いいのよ」

 胸がズキズキする。本当は今日の書類なんてなかったのに。
 本当は私が律に謝らなきゃいけないのに。
 急に自分がみすぼらしく思えてきた。
 律の純心につけこんで、こんな卑怯な方法で律と2人になろうとする自分がすごく醜い。

125: 2009/12/23(水) 20:20:10.45
 私はなんでこんなことをしてしまったんだ。
 律との距離を縮める方法はいくらでもあったじゃないか。
 こんな、律と軽音部に迷惑をかけるようなことするなんて、私は最低だ。

律「・・・和?どうしたんだ?」

 律が話しかけてくれている。こんな最低な私に。
 ん?どうしたんだっ・・・て?

律「・・・泣いてるの?」

和「え・・・」

 気がつくと、私の目から涙が溢れていた。

127: 2009/12/23(水) 20:32:22.84
和「あ、私…」

 自己嫌悪に陥ってるうちに泣いていたみたいだ。つくづく自分勝手な女だ。

律「わ、私なんか悪いこと言ったかな?ごめん」

 律が自分の席を立ち私の隣に来て、私の顔を心配そうに覗き込んできた。
 あなたは全く悪くないのに。こんな私を心配してくれるの?
 いつもなら喜ばしい場面だけど、今は律の優しさが心に突き刺さる。

和「違う・・・わた、私が・・・ううっ」

 もうダメだ。涙が止まらない。まともにしゃべれない。

律「えっと、ま、まあ落ち着きなよ」

 律の手が私の肩に置かれる。私をなだめようとしてくれてる。
 

132: 2009/12/23(水) 21:31:04.74
和「ううっ・・・律」

律「わわ!っと」

 私は律に抱きついた。抱きついて泣き続けた。

和「ごめんなさい・・・う、わたし、わだじ・・・うう」

律「の、和・・・」

 律は戸惑いながらも私を抱きしめてくれた。
 しばらくの間私の頭を撫でてくれた。

135: 2009/12/23(水) 21:41:11.97

---------------------------------------------------------------

 どのくらい時間がたったのだろう。30分?1時間?
 何にせよここまで泣いたのは記憶の上では初めてだった。

和「うっ・・・ひっく」

律「落ち着いたか?」

和「うん・・・ごめんなさい」

律「・・・」

和「ごめんなさい・・・」

律「あの、さあ。なんで謝ってるのかはよくわかんないけど、
  辛い事とかあるんだったら・・・
  私で良ければ聞くから、さ。私でよければだけど」

 律はちょっと照れながらそう言ってくれた。
 喋り方はいつもの元気な感じではなく、とても優しい。
 
 

136: 2009/12/23(水) 21:56:24.69
 律の優しさのまえで自分がさらにちっぽけに見えたせいか、
 涙を拭っても拭っても視界はぼやけたままだった。

和「・・・あれ?」

 そう、いくら目をこすっても視界がばやけたまま・・・
 ちょっと待って。いくらなんでももう涙は拭い去れたはずだ。
 なんでまだ目の前がぼやけたままなんだろう。
 ベキベキ。おかしいな。涙はもう流れてないのに。
 ・・・ん?今のベキベキって音は・・・

律「和・・・」

和「あ・・・」

律「眼鏡踏んでるぞ・・・」

139: 2009/12/23(水) 22:15:28.13
 通りで視界がぼやけてるわけだ。

和「め、眼鏡が・・・」

律「ちょっと!割れてるから危ないぞ!」

 眼鏡を拾おうとしたら律に静止された。今の私の視力では眼鏡が割れてるかどうかもわからない。

和「あ、ごめん。わからなかった」

律「わからないの?そりゃよっぽどだな」

和「ええ。眼鏡がなければまともに生活できないわ」

律「そうなんだ。って、それで家帰れるのか?」
 
 帰宅。私ほど目が悪いものにとって、眼鏡無しでの帰宅は常に氏と隣りあわせだ。
 道は覚えていても、交通事故の危険性が大幅に上昇する。

和「怖いけど、車に気をつければ大丈夫・・・だと思う」

140: 2009/12/23(水) 22:20:40.98
律「だと思うって・・・。やっぱり危ないから私が送ってくよ」

和「え?いいの?」

律「もちろん!」

和「ありがとう・・・うう」

律「おおい、また泣くなよ?」

 おっと。なんか涙腺が緩くなってるみたいだ。でも本当に嬉しい。

律「じゃあ、行こうか」

和「ええ・・・いたっ!」

律「おい!そのドア開いてないから!」

143: 2009/12/23(水) 22:29:24.68

 私と律は校門を出た。ここまでは何とかなった。でも・・・

和「ごめん、やっぱり怖い・・・」

律「室内であれだもんな。仕方ないよ」

 外の世界を舐めていた。
 数年ぶりに眼鏡を外して歩く外の世界は、私にとっては魔境だった。

和「ちょっと歩くのゆっくりになるけど・・・」

律「いいよいいよ。ほら」

和「え?」

 律が私に手を差し伸べる。

律「そのままじゃ危なっかしいから。手、繋ごうよ」

 !!!!

145: 2009/12/23(水) 22:39:39.55
和「て、てててて、手って!」

律「あ、嫌だった?」

和「嫌じゃない!むしろ・・・じゃなくて、その、お願いします」

律「?おう」

 ああ・・・私のよりちょっと小さいくて細い律の手、やわらかくて暖かい律の手。
 私はなんて幸せなんだろう。こんな興奮を、じゃない幸運を手にするなんて。
 私たちは手をとって歩き始めた。 

和「ああ・・」

律「ど、どうしたんだ?」

和「律って優しいなって思って」

律「や、やめろよ。照れるだろ」

146: 2009/12/23(水) 22:49:46.79
律「和の家わからないんだけど、案内できる?」

和「うん。ギリギリ」

律「ギリギリかよ」

和「ごめん」

律「ははっ」

和「え?」

律「なんか和って意外と面白い奴なんだな。今日一緒にいて思ったよ」

和「そ、そうかな?」

148: 2009/12/23(水) 23:07:07.88
律「うん。今日はなんだかんだで楽しかったかも」

 律の笑顔が眩しい・・・どうしよう。
 今こそチャンスなのではないだろうか。でも・・・

和「あっ!」

律「おわっ!」

 色々考えたらつまづいて転んでしまった。

和「いたた・・・」

律「和、大丈夫か?」

和「うん。ありがと。痛っ!」

律「どうした?うわ。膝擦りむいてるじゃん。うへー痛そう」

153: 2009/12/23(水) 23:18:32.43
本当だ。ぼんやりとしか見えないけど確かに痛そうだ。自分の足だけど。

律「学校戻っても、保健室は閉まってるよなあ」

和「大丈夫よ、歩けるから・・・つっ!」

律「一歩だけですごい痛そうだよ。無理しない方がいいって」

和「でもどうしようも・・・」

律「乗りなよ」

 そういうと律は私に背を向けてしゃがんで手を広げた。
 これってもしかしなくても・・・

和「おんぶ?」

律「うん。私が和を背負ってくよ」
 

157: 2009/12/23(水) 23:46:55.03
和「そそ、そんなおんぶなんて。は、恥ずかしいよ」

律「そんなこと言ってる場合じゃないだろ?
  それに今は生徒はほとんど歩いてないから大丈夫だよ」

 嬉しいんだけど・・・おんぶなんてされたら私の心臓が限界になっちゃう。
 それに背負われてる体勢だと鼓動がもろに律に伝わっちゃうかも・・・
 で、でも律がそこまで言ってくれるんだから仕方ないよね!

和「じゃ、じゃあ頼むわ」

律「よし来い!」

和「じゃあ乗るよ」

律「おう。よいしょっと。意外と軽いんだな」

和「お世辞はいいよ」

律「本当だって。行こうか」

158: 2009/12/23(水) 23:57:28.59
 はあ・・・温かい。律の温もりが背中から直接伝わってくる。
 ドキドキしてるのはもう伝わっちゃってるのかな。
 それで律が私の気持ちに気付いてくれればいいのに・・・

律「足、痛む?」

和「痛くないよ。律のおかげ」

律「いいんだって。元はと言えば今日こうなったのは私が書類忘れたからだからな」

 そうだった・・・私は1つ罪を背負ってるんだ。 
 告白するにしてもしないにしてもそのことを謝らないと一生後悔すると思う。

和「ねえ、律」

律「ここはどっちに曲がればいい?」

和「あ、右で」

律「おっけー。なんか言おうとしてた?」

和「・・・なんでもないわ」

 タイミングを逃してしまった。

164: 2009/12/24(木) 00:19:35.82
 それにしても、律の体温と歩いた時の揺れ具合がなんとも心地良い。
 なんだか眠くなってきたな・・・
 そういえば、昨日も一昨日もほとんど寝てないんだった。
 ごめん、律、ちょっとだけ寝させて・・・

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和「うーん・・・」

 この感じは、結構長く寝ちゃったな。あれ、ここは?
 ソファーの上?それに毛布がかかってる。
 私の家じゃないよね・・・でも知ってる場所だ。

憂「あ、和さん起きましたか?」

和「・・・憂?」

憂「お姉ちゃん!和さん起きたよー!」

唯「おー!おはよう和ちゃん!夜だけどね!」

 ここは唯の家だ・・・

166: 2009/12/24(木) 00:34:54.73

和「唯・・・えっと私は」

唯「あのね~。りっちゃんが和ちゃんを届けてくれたんだよ!」

和「律が?」

唯「うん。和ちゃんが足怪我しておんぶしてたら和ちゃんが寝ちゃったんだって。
  それで起こしたら悪いからって知ってる私の家に連れてきたんだよ」

和「そうだったの・・・」

 よく見たら足の怪我が手当てされてる。
 ここまでされてずっと寝てたなんて、どれだけよく寝てたんだ私は。

和「憂、足手当てしてくれたの?ありがとう」

憂「いえいえ。気にしないで下さい」

172: 2009/12/24(木) 00:43:16.75
唯「なんで憂がやったってわかったの?」

和「消去法で」

唯「うー。それどういう意味?」

和「それで、律は?」

憂「律さんなら、和さんを届けた後帰りました。
  今日はごめんって伝えといてくれって言ってましたけど・・・」

和「そうなんだ・・・」

 私も律に謝らなきゃ・・・電話は恥ずかしいからメールでいいかな。
 あ、そういえば

和「・・・唯、律のアドレス教えてくれない?」

 律の連絡先知らないんだった。聞くタイミングを逃しちゃってて。

176: 2009/12/24(木) 01:01:14.94

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 唯に律の連絡先を聞いて、律にメールした。内容は今日のお礼。
 本当のことはやっぱり言えなかった。
 外はもう暗くなってきていたから、私は唯の家に泊めてもらう事になった。

憂「今からご飯作りますから、休んでてくださいね」

和「ありがとう。私も手伝いたいんだけど、眼鏡がないから・・・」

憂「いいんですよ。和さんはお客さんですから」

唯「和ちゃ~ん!一緒にお風呂入ろうよ~」

和「足怪我してるから遠慮しとくわ」

唯「ちぇ~」

 明日こそ律に謝ろう。そうしよう。

179: 2009/12/24(木) 01:28:12.87
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 夕飯を食べ、唯の部屋に布団を敷いて寝る準備をした。
 何回も泊まってるから慣れたものだ。
 服は唯の物を借りた。ちょっときついけど。

唯「和ちゃん、もう寝ちゃうの?

和「さっきまでたっぷり寝たから、あんまり眠くないかな」

唯「じゃあもっとおしゃべりしようよ~」

和「うん、いつもしてるけどね」

唯「寝る前のおしゃべりは特別なんだよ」

和「まあわからなくもないけど・・・」

180: 2009/12/24(木) 01:32:39.65
唯「寝る前のおしゃべりと言ったら恋のお話だよね~」

和「い、いいよそういうのは。修学旅行じゃないんだから」

 唯の口からそんな言葉が出るとは。唯も年頃なんだなあ。

唯「和ちゃんは好きな人いるの?」

 なんという直接攻撃・・・
 今日のことを思い出してしまうじゃないか

和「い、いない・・・わよ?」

 やばい。ちょっと言葉が引きつってしまった。

唯「その反応。もしかして!」

 唯は妙なところで鋭いんだよね・・・

181: 2009/12/24(木) 01:38:36.40
和「そんなことないって・・・」

 落ち着け。平常心平常心。

唯「教えてよー」

 こうなったら同じ質問聞き返してごまかすか。

和「そういう唯こそ、好きな人いないの?」

唯「私?いるよ」

和「へーそうなんだ・・・え!?いるの?」

唯「なにその反応・・・」

183: 2009/12/24(木) 01:44:25.64
 意外。唯に好きな人がいる上でそんなあっさりと認めるなんて。
 誰が好きなんだろう。ちょっと、いやかなり気になるかも。

和「そ、それで誰が好きなのか聞いていい?」

唯「和ちゃんだよ」

和「へー。和ちゃんって子が好きなんだ」

唯「うん」

 唯は和ちゃんが好きなのか。なるほど。あれ、和ちゃんって誰だっけ?
 えーと・・・いやそれって

和「私じゃん!!」

唯「さっきからノリ突っ込み多いよ、和ちゃん」

186: 2009/12/24(木) 01:48:30.90
和「なんだ。好きってそういうことか。びっくりしちゃった」

唯「そういうことって?」

和「友達としてってことでしょ?もちろん」

唯「・・・」

和「唯?」

唯「和ちゃんのバカ!!」

和「え?え?」

 唯がいきなり私を罵倒して布団を被ってしまった。
 どういうことなんだこれは。

190: 2009/12/24(木) 01:52:38.24
和「あの、唯」

唯「ねえ和ちゃん」

和「な、なに?」

唯「和ちゃんの好きな人ってさ」

和「え、その話は」

唯「りっちゃんでしょ?」

 頭を撃ち抜かれた気分だ。それとも体中に電流が走った気分か。とにかく衝撃を受けた。
 唯に、ばれてた?

和「ち、ちがうわよ」

 口が勝手に否定してしまった。

192: 2009/12/24(木) 02:00:29.72
唯「わかるよ。幼馴染だもん。
  りっちゃんを見る和ちゃんの目、小学生の時好きな男の子に向けてた目と同じだよ」

和「・・・」

 目って。本当に唯は妙なところが鋭い。

唯「認めたくないのはわかるよ。女の子同士って普通じゃないもんね」

和「違うって・・・」

唯「和ちゃん。ある女の子の話、してあげるよ」

和「え?」

唯「いいから聞いて」

198: 2009/12/24(木) 02:12:09.73
唯「あるところに。女の子がいました。その子には、小さい時から仲のいい女の子の友達がいました」

和「・・・」

唯「その友達はとってもしっかり者で、いつも女の子を助けてくれました。
  女の子は、その友達の事が大好きでした。大好きは、いつしか恋にかわっていました」

唯「だけど、女の子はその気持ちを隠し続けました。
  気持ちを友達に伝えたら、お互いの関係が崩れてしまうと思ったからです」

唯「そうやって女の子が自分の気持ちを隠しているうちに、
  友達は別の女の子を好きになってしまいました」

唯「女の子はいまさら友達に気持ちを伝えましたが、
  結局ダメでした。」

唯「もっと早く伝えていれば、と女の子は後悔し、自分の物語を友達に伝える事にしました。
  せめて友達の恋は実るように・・・」

唯「・・・お話はこれで終わりです」

204: 2009/12/24(木) 02:23:09.71
和「唯・・・」

 やっぱり私は馬鹿だ。最低だ。
 自分のことばっかり考えて親友の気持ちに気付いてあげられなかった。
 傷つけてしまった。

和「唯。私・・・」

唯「和ちゃんはりっちゃんが好きなんだよね?」

唯「今の物語・・・」

和「え?」


唯「頷いて!そうしないとそれが和ちゃんになっちゃうんだよ!」
   Nod or it's you


和「・・・!」

唯「今のが和ちゃんの物語になっちゃうんだよ?」

205: 2009/12/24(木) 02:27:32.11
和「・・・ありがとう唯」

和「そうだよ。私、律のことが好き」

唯「うん」

和「唯のおかげで勇気が出た・・・
  明日、律に告白するわ」

唯「がんばって!和ちゃんなら大丈夫だよ!」

和「ありがとう・・・本当に・・・」

唯「えへへ」

 私が今すべき事は唯に謝る事じゃない。
 そんなこと唯は望んでないから。

207: 2009/12/24(木) 02:32:41.44
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 次の日の朝早く。私は自分の家に戻った。
 唯の家から近いし交通量も少ないから眼鏡無しで平気だった。
 昨日も律の事を考えてたけど、不思議とぐっすり眠る事が出来た。
 唯の泣く声は聞かなかったことにした。

和「行って来ます!」

 今から学校だ。スペア眼鏡も装備した。

澪「おはよう和。今日は早いね」

和「ええ。ぐっすり眠れたから」

208: 2009/12/24(木) 02:36:48.29
放課後はすぐに来た。律はメールで屋上に呼んだ。
 ベタな場所だけど、重要なのは場所じゃなくて気持ちだ。


律「お、いたいた。和!」

和「律。来てくれてありがとう」

律「足は大丈夫みたいだな。良かった」

和「あのね、律。謝らないといけないことがあるの」

律「え?」

210: 2009/12/24(木) 02:41:06.15

和「昨日書いてもらった書類、あれは私が捏造したの。
  あんなもの存在しないわ」

律「へ?・・・えっと、なんで?」

和「律と一緒にいたかったから。ごめんなさい」

律「え・・・」

 唯、あなたの物語、絶対に忘れない。
 それにこれからも親友でいてね。
 私も、あなたのように自分に正直になるから。


和「律!」

律「は、はい!?」

和「私はあなたのことが好きです!!」



お わ り

216: 2009/12/24(木) 02:49:47.49
おつ

217: 2009/12/24(木) 02:49:49.85
こんな良いところで終わらせるなんて酷い

引用元: 唯「Nod, or it's you」