1: 2013/03/12(火) 18:22:10.12

光「プロデューサー! おはようっ! 今日もいい朝だな!」

P「おはようございます、南条さん」

光「さぁ、今日も張り切ってお仕事タイムだ!」

P「いきましょうか」

光「おう!」

3: 2013/03/12(火) 18:27:16.57
光「ワンダバダバワンダバ♪」

P「仕事も慣れてきましたね」

光「うん! すっごく楽しい!」

P「疲れやケガは隠さないで報告してくださいね。見ただけではわからないことも多いですから」

光「わかってるさ! 平気平気!」

P「ヒーローたるもの、自己管理は大切ですからね」

光「でも逆境に立たされるのもヒーローっぽいよな!」

P「それも、そうなんですが。無茶をするのがヒーローというわけでもないでしょう?」

光「はーい!」

4: 2013/03/12(火) 18:32:51.40
光「あ、そうだ!」

P「どうしました?」

光「昨日のテレビ見た? ほら、ライダー!」

P「ふふ、もちろん。かっこよかったですね」

光「ねっ! 戦隊もやっとそろってここからスタートって感じだし! っくー! 続きが気になるなー!」

P「それじゃあ、かっこよかったヒーローを見習って仕事もビシっと決めてみましょうね」

光「おう、任せてくれ!」

P「応援してますからね」

光「うん!」

6: 2013/03/12(火) 18:39:11.45
――

光「というわけで、アタシ南条光の特撮名場面コーナーだぜ!」ビシッ

司会「はい、よろしくお願いします! もはや名物コーナーですね」

光「うん! アタシも好きなものがみんなに知ってもらえてうれしいよ!」

司会「それでは今日の名場面は?」

光「ボウケンジャー、Task27! チーフが開運グッズを装備して――」



P「……」

7: 2013/03/12(火) 18:45:56.56
――――

――

光「ただいま、プロデューサー!」

P「おかえりなさい。今日もみんな盛り上がってましたね」

光「おう! やっぱりヒーローはいいよな!」

P「そうですね。南条さんが好きなヒーローは誰ですか?」

光「うーん、そう聞かれると困るんだけど……全員好きだよ。時々不器用だったり、失敗もするけどみんなの希望でさ!」

P「そうですか。いいですね……」

光「まだまだ知らないヒーローもいっぱいいるけどね! アタシもヒーローとしてステージにあがれたらいいなぁ」

P「きっとなれますよ。頑張りましょう」

光「おう! よーし、この後はレッスンだな!」

9: 2013/03/12(火) 18:55:24.72
光「レッスンレッスン~♪」

P「南条さんは、レッスンも楽しそうですね」

光「特訓って、なんだかヒーローっぽいじゃないか! 頑張って鍛えるのさ!」

P「えらいですねぇ……」

光「ふふん、まあね! もっともっと有名になって、ヒーロー南条光の番組なんかもできたりしたらいいよなぁ……」

P「そのために、ですね」

光「そういうことさ! よーっし、プロデューサー! レッスン場まで競争だ!」

P「おっとっと……南条さん、おじさんに無理をさせないでください……」

光「あっ、ごめんなさい!」

10: 2013/03/12(火) 19:00:14.15
トレーナー「いっち、にぃ、さん……」

光「いち、に、さんっ……」

トレーナー「うーん、もう少しかな? フリが大きすぎるからそこを意識して……」

光「そうかな、うーん、難しいなぁ……」

トレーナー「ステップはできてるから、もうちょっと軽めにいきましょう!」

光「はい! いち、に、さんっ!」

トレーナー「それじゃあラジオ体操ですよ……」

光「あ、あれ?」

12: 2013/03/12(火) 19:09:52.54


マストレ「おや?」

P「おや、麗さん。お久しぶりです」

マストレ「久しぶりですね、P殿。 私も久々にこちらに来たものだから、なんだか空気が懐かしいですよ」

P「そうなんですか?」

マストレ「えぇ、まぁ……慶のやつがトレーナーになりたいと言い出しましてね。ノウハウを教えてやってるんです」

P「慶さん? ……末っ子さん、でしたか」

マストレ「はい。まぁ、やるといったからにはとことんです。私のドリンクや下の妹のスケジューリング、メニューなんかを学んでますよ」

P「ははは、いつか頼むことになるかもしれませんね」

マストレ「ええ、機会があればぜひ」

14: 2013/03/12(火) 19:18:13.40
光「はぁっ、はっ、はぁ……ふぅ……」

トレーナー「お疲れ様です。そろそろ休憩にしましょう!」

光「い、いやまだまだ!」

マストレ「いや、休憩だ。トレーナーのいうことは聞くものだぞ?」

光「わぷっ……うぅ……あ」

トレーナー「姉さん? 来てたの?」

マストレ「なに、少しね。オーバーワークは故障の元だ。無理せず休め」

光「……はい」

P「南条さん、ほら。無理はしないんでしょう?」

光「うー、もう少しでコツがつかめそうだったのなぁ」

15: 2013/03/12(火) 19:21:13.12
マストレ「そうだ、君。よかったらこれを飲んでみないか?」

光「……ドリンク?」

マストレ「感想も聞かせてくれるとありがたい。どうだ?」

光「それじゃあ、のども乾いてるし遠慮なく! ありがとう!」

 キュポッ  ごく ごく ごく……

光「うっ……!?」

P「……麗さん、あなた……」

マストレ「なに、いつまでも昔の私だと思われては心外ですね」

光「うまい! おいしいよプロデューサー! あれ?」

P「……なるほど、ならいいんですが」

光「どういうこと?」

16: 2013/03/12(火) 19:24:31.13
P「昔はよく、とても……そう、とてもまずいドリンクを作っていましたから」

マストレ「私も成長するということだよ。どうだった?」

光「普通においしかったよ! でもこれって、あなたが作ったのか!?」

マストレ「まぁね。趣味の一環だ」

光「す、すごい! すごいなー!」

トレーナー「姉さん、私の教えてる子にちょっかい出さないでよ……」

マストレ「はっはっは、すまん。ほらお前にはこっちだ」

トレーナー「まったく、ごまかそうとして……」

   ごく ごく ごく…

トレーナー「うぅっ!? ま、まずっ!?」

マストレ「やっぱりそっちは失敗か……」

トレーナー「ちょっと姉さん!」

光「あはは、トレーナーさんたちは仲良し姉妹なんだな!」

25: 2013/03/12(火) 19:51:06.17
P「ふふっ、いいですねぇ。相変わらず仲がいいみたいで」

トレーナー「姉さんは家族で実験するのをやめてほしいんですけどね」

マストレ「まぁ、おかげで他のアイドルたちが犠牲にならないで済んでるんだ。感謝してるぞ?」

トレーナー「犠牲って言ったね!?」

光「トレーナーさん! ありがとう!」

トレーナー「へ?」

光「ほら、こっちのドリンクがおいしいのもトレーナーさんとお姉さんのおかげじゃないか! だからありがとうって!」

トレーナー「……光ちゃんはいい子だなぁ!」

   わしゃわしゃわしゃ……

光「ちょ、ちょっと! や、やめろ! やめてくれ! 撫でるなー!」

26: 2013/03/12(火) 19:56:17.80
光「もう! まったく! アタシはもう中学生だぞ!」

P「まぁまぁ。愛されるというのもアイドルの資質ですよ」

光「そうだけど! アタシはヒーロー希望なんだから……いや、でもヒーローは愛されてるのか? うーん……」

P「そろそろ時間ですし、今日のレッスンはここまでにしましょうか」

トレーナー「え? あ……姉さんのおかげでプラン崩れちゃったじゃない!」

マストレ「おやおや、人のせいにしてどうするんだ? 休憩をもう少し早めにとっておけば問題なかっただろうに」

トレーナー「ぐぬぬ……もう!」

光「ふ、二人とも喧嘩はやめるんだ!」

P「あれは仲のいいしるしですよ。ほうっておいても大丈夫です」

光「そうなのか……?」

30: 2013/03/12(火) 20:06:41.13
――――

――

光「うーん、今日のレッスンは結構充実してたけど不完全燃焼かな」

P「最後の、コツですか?」

光「うん! あと少しでつかめそうだったんだけどなぁ」

P「うーん……そういう時はイメージトレーニングが一番だと思いますよ」

光「イメージトレーニングかぁ、イメージ……」

P「具体的に想像してやると、実際に動くのと同じぐらいに効果があるそうですよ」

光「アタシがヒーローとして舞台をやってるイメージもいつかいかせるってことか!?」

P「それは……そうですねぇ。そういうお仕事の機会があれば、きっと」

光「よーし! それじゃあ頑張って想像するぞ!」

32: 2013/03/12(火) 20:13:59.92
光「むむむ……」

P「……」

光「………む、うぅ……」

P「……」

光「いや、うーん……」

P「……」

光「うーん……うーん……」

P「……」

光「うーん………ん……んぅ……」

P「……

光「……すぅ……すぅ……」

P「……眠ってしまいましたか。レッスンもハードでしたしね」

36: 2013/03/12(火) 20:18:09.11
   ブロロロロ…  キィ

光「ん……んん……」

P「……?」

光「……んー、ん、よし、いける!」カッ

P「……」

光「よし、勝ったぜプロデューサー! うまくいった!」

P「そうですか。家につきましたよ?」

光「えぇっ!? 早いなぁ」

P「少し、イメージが深く入ったみたいですね。おはようございます」

光「そうなのかぁ、イメージってすごいんだな!」

P「そうですね」

39: 2013/03/12(火) 20:25:18.53
光「プロデューサー、送ってくれてありがとう! また明日!」

P「明日は午後からレッスンですよ。大丈夫ですか?」

光「うん、覚えてるさ! 平気だぜ!」

P「それじゃあ、気を付けて。おやすみなさい」

光「おやすみ!」

  タッタッタ…    バタムッ


P「……ヒーロー」

P「させて、あげたいですけどね」

41: 2013/03/12(火) 20:36:08.61
――

光「おはよう、プロデューサー!」

P「おはようございます。学校は楽しかったですか?」

光「うん! サインしてなんて言われちゃった」

P「少しずつ、メジャーになってきましたからね。ついに番組の準レギュラーですし」

光「プロデューサーを信じてよかったよ! へへっ、ありがとう!」

P「それも、南条さんが頑張っているからですよ。それで……」

光「どうしたんだ?」

P「LIVEフェスがあるんですが、参加してみますか?」

42: 2013/03/12(火) 20:44:05.13
光「フェス? って……なんだ?」

P「歌や踊り、ライブのパフォーマンスを披露して投票してもらうライブバトルは知ってますね?」

光「うん、それは知ってる! 出たことはないけど」

P「どちらかというと、バラエティなどのトークがメインでしたからね……それの大規模なものだと思ってください」

光「ってことは……ヒーロー南条光のお披露目の舞台!?」

P「そうなります。もう少し小さなものから始めてもいいんですが、参加の打診があったので……」

光「やる!」

P「……大丈夫ですか?」

光「大丈夫だよ! っくー! 燃えるじゃないか!」

43: 2013/03/12(火) 20:54:55.26
P「それじゃあ、ライブ向けパフォーマンスの特訓からしないといけませんね」

光「うん! 特訓! いいなぁ特訓!」

P「人前に直接立つのは楽じゃありませんよ?」

光「わかってるさ! だけど、頑張る!」

P「それなら……」

光「うん! いやぁ、楽しみだなぁ……」

P「……」

光「プロデューサー?」

P「あぁ、いえ。無茶はしないようにしてくださいね?」

光「もちろん!」

45: 2013/03/12(火) 21:04:34.09
 

トレーナー「ライブパフォーマンスですか?」

光「うん! アタシもライブバトルデビューだぜ!」

トレーナー「うーん、光ちゃんはダンスも歌もレッスンは積んできてますが……それを実践できるかは……」

光「まだできないけど、できるようにする! それがヒーローだぜ!」ビシィッ

トレーナー「意気込みはいいですけど……それだけでやれるなら苦労しませんよ!」

光「はい!」

トレーナー「よし、いい返事です! 歌はどうするんですか?」

光「あ、えっとこれで!」

トレーナー「はいはい……」

46: 2013/03/12(火) 21:10:41.80
トレーナー「ライブではたくさんの人が来てますから、その人たちへのアピールを意識して!」

光「はい!」

トレーナー「歌声自体は通りますから、自信をもっていきましょう!」

光「はい!」

トレーナー「それからダンス! 大きなフリでアピールするのはいいですけれど、それで返しが遅くなってテンポがずれてたら本末転倒ですよ!」

光「はいっ!」

トレーナー「しばらく、そのまま確認していてください。ちょっとプロデューサーさんとお話してきますね」

光「了解!」

48: 2013/03/12(火) 21:30:11.46
トレーナー「プロデューサーさん?」

P「南条さんは、十分なパフォーマンスを発揮できるようになれますか?」

トレーナー「それは、もちろん。でもなんであの子を急にそんなに大きな舞台に立たせようとしてるんですか?」

P「参加について打診があったんですよ。最近少しずつ知名度があがってきているからどうだ、とね」

トレーナー「そりゃあ、Dランクアイドルですからね。いつかはライブもしていくと思いましたが……格上相手ですよ?」

P「そうですね。Cランク……下手をすればBランクアイドルも参加しますね」

トレーナー「わかってるならなんでですか?」

P「あの子にならできると思っていますから」

トレーナー「でも、それならもう少し経験を積ませてからでもよかったのでは?」

50: 2013/03/12(火) 21:40:17.64
P「あの子は……ヒーローに憧れてますから」

トレーナー「ヒーロー? 確かに、好きだってよく言ってますけれど……」

P「だけど、あの小さな体ではなかなか難しいんです。アイドルとして、ではなくヒーローとして映ることはね」

トレーナー「……だから、バラエティをメインにして知名度をあげていたと?」

P「ライブパフォーマンスを最初に始めていたら、どうしても人を呼ぶのにかわいらしさが必要でしたから」

トレーナー「あの子のキャラが他の人にわかるように、ですか。ヒーロー的な曲を歌うのも納得できるようにと」

P「そうですね。特に同年代は……神崎蘭子や輿水幸子。知名度もキャラも強い子が多いですから」

トレーナー「なら、それこそ……もう少し小さなステージからでよかった気がします」

P「そう、思っていたんですがね……今朝届いた通知に、あの子は迷わず『やる』と答えたんです。意思は尊重してあげたい」

52: 2013/03/12(火) 21:47:06.17
トレーナー「……はぁ、わかりました。できる限りのことを教えます」

P「ありがとうございます」

トレーナー「でも、本当に……無茶させますね。まったく」

P「やっぱり、男って生き物はヒーローを応援したくなるものなんですよ」

トレーナー「光ちゃんは女の子ですけどね」

P「なれるか、どうか。そこはあの子次第でしょう。でも……なれるって信じてますから」

トレーナー「意外と子供っぽいんですね」

P「えぇ、時々言われます」

53: 2013/03/12(火) 21:53:39.83
光「よし、いい感じ!」

トレーナー「それじゃあ、休憩にしましょうか?」

光「うわわっ!? あぁ、びっくりした……」

トレーナー「はい、スポーツドリンク。大丈夫?」

光「うん! ちょっと驚いただけさ」

トレーナー「なら、よかった。……ねぇ光ちゃん?」

光「どうしたんだ?」

トレーナー「いきなり大舞台のライブでも大丈夫なの? きっと、とっても大変だと思うけど……」

光「うーん……まぁ、そりゃあドキドキしてるよ? でも大丈夫さ!」

54: 2013/03/12(火) 22:03:55.60
トレーナー「それはどうして?」

光「だってほら、アタシはヒーローになりたいからさ!」

トレーナー「……?」

光「どんな困難にだって立ち向かう勇気! ってね」

トレーナー「勇気というか、無謀というか……」

光「できるさ! だってトレーナーさんが教えてくれるんだし、プロデューサーだってついてるしね」

トレーナー「すごい信頼ですね……」

光「おう! 一緒に頑張ろうって約束したからな!」

トレーナー「約束かぁ……」

光「うん、約束!」

トレーナー「……それじゃあ、レッスン再開しましょうか!」

光「はいっ!」

55: 2013/03/12(火) 22:12:13.80
――――

――


光「お疲れ様でした!」

トレーナー「お疲れ様でした。大丈夫?」

光「うん! 覚えたぜ!」

トレーナー「ダンスは?」

光「結構できるようになったと思ってるんだけど……ダメかな?」

トレーナー「うーん、少しフリを考え直した方がいいかもしれないかな……」

光「な、なんだって!?」

トレーナー「光ちゃんはやっぱり、ヒーローになりたいんだもんね? 柔らかな動きよりもう少しメリハリのあるダンスのほうが踊りやすいかもって」

光「か、かっこいいやつ! かっこいいやつがいい!」

トレーナー「うん、今日のレッスンをしててそうしようって思ったの。次のレッスンを楽しみにね?」

光「はいっ!」

56: 2013/03/12(火) 22:22:19.54
 ブロロロロ…

光「プロデューサー! トレーナーさんがかっこいいふりつけを考えてくれるって!」

P「よかったですねぇ」

光「うん! 嬉しいなぁ、へへ……」

P「……今なら、正式な申し込みの前だからキャンセルもできますよ?」

光「え?」

P「いえ。いきなり大規模すぎないかとトレーナーさんに言われてしまいましてね」

光「……プロデューサーはアタシを信じられないのか?」

P「いいえ。プロデューサーがアイドルを信じなくちゃ、いけませんよね」

光「大丈夫だよ。アタシがんばるからさ!」

P「不安じゃありませんか?」

光「うーん、ドキドキしてるかな?」

57: 2013/03/12(火) 22:28:06.88
P「……」

光「プロデューサー? どうしたんだ?」

P「……いえ。つきましたよ」

光「え? あ、ホントだ! 早いなぁ」

P「きちんと休んで、疲れは残さないこと。いいですね?」

光「はい! 大丈夫さ!」

P「それじゃあ、おやすみなさい」

光「おやすみ、プロデューサー! また明日!」

63: 2013/03/12(火) 22:55:51.41
――

光「うーん、すてっぷすてっぷわんつーわんつー……」

トレーナー「少しずつ覚えていけば大丈夫ですからね?」

光「うん。ステップステップ……」

トレーナー「うんうん……」

光「ワンツーワンツー……」

トレーナー「いい感じですね」

光「くるっとまわってイナバウアー!」

トレーナー「!?」

光「……あれ? 最後違う気がする」

トレーナー「くるっとまわってワンアピールです。そもそもイナバウアーは背中をそらすことじゃなくてね……」

光「そうなの!?」

64: 2013/03/12(火) 23:02:56.07
――

光「ステップにもだいぶ慣れたかも! どうかな!」

トレーナー「いい感じですね! でも上半身と下半身がバラバラかな?」

光「右と左はいいバランスだと思うんだけどなぁ」

トレーナー「右足と右腕を一緒に出してたら、その場でターンする感じになっちゃいますからね。体のひねりが必要です」

光「ひねりかぁ。難しいけど……こう?」

トレーナー「そうそう、その調子!」

光「うーん、でもそうしたらこう……」

トレーナー「どうしたの?」

光「ちょっと回し蹴りのポーズっぽいかなって」

トレーナー「足がもう少し上がるとかっこいいかな?」

光「くっ……じゅ、柔軟が足りないのか!」

65: 2013/03/12(火) 23:10:28.68
――

光「プロデューサー、見てくれ! このキレを!」

P「おぉ、すごいですね。えらいえらい」

光「そうだろ! へへん!」

P「今日もレッスンにいきましょうか。着替えて――」

光「回し蹴りっ! キメ!」

P「……」

光「あれ? プロデューサー?」

P「南条さん。女の子なんですから服装を意識しましょうね」

光「え? あ……制服のままだった……」

P「私服だとパンツルックですが、スカートは気を付けないといけませんから」

光「……うん、気を付ける。うーん、スカートってひらひらしてやりづらいんだもんなぁ」

67: 2013/03/12(火) 23:19:52.70
――――

――

光「はぁー! 今日のレッスンもなかなかの手ごたえだったぜ!」

P「かなり完成度も上がってきましたね」

光「うん! もうライブも近いしね!」

P「そうですね……少し話をしてもいいですか?」

光「どうしたんだ、プロデューサー?」

P「いつも、努力家で……そんなあなたに、聞きたいことがあるんです」

光「なんだ? 何か大切な話なんだな!?」

P「えぇ。南条さん――」

68: 2013/03/12(火) 23:27:16.91
――

―――――


P「ついに当日……ですね」

光「あぁ! 人もいっぱいだな!」

P「やってきたことを出せれば、きっと。大丈夫ですよ」

光「うん!」

P「応援しています。いってらっしゃい」

光「おう! ヒーロー南条光……いってきます!」

70: 2013/03/12(火) 23:38:55.05
    ワアアアァァァァァァ…


光(す、すごい歓声……ライブステージって、こんなに広いんだ)


光「……でも……」



司会「さぁ、続いてのアイドルは……Dランクアイドル!」

司会「大規模なライブはこれまでほとんどありませんでした。ですが今回は登場!」

司会「小さな英雄! 南条光ちゃんです!」


   ワアァァァァァァァァァ!

72: 2013/03/12(火) 23:48:48.25
光「みんな! よろしくな!」


光(すごい、人がいっぱいだ……アタシのファンの人もいるのかな)

光(……うん、大丈夫。いける!)



光「いっくぞー!」


  \ワアアアアアアァァァァァァァァ!/



P「……」

73: 2013/03/12(火) 23:58:45.21
――

――――

P『南条さん、ヒーローは好きですか?』

光『ヒーロー? 大好きだよ! アタシはずっとヒーローに憧れてたんだ!』

P『そうですか。僕もね……ヒーローが好きです。子供のころは、なりたいって思ってました』

光『そっか、お揃いだな!』

P『仮面ライダーに、憧れてましたよ』

光『ライダーかぁ、1号?』

P『……えぇ』

77: 2013/03/13(水) 00:26:25.73
光『昭和もいいよね! アタシは大好きだよ!』

P『南条さんは昔の作品のこともよく知ってますね』

光『うん! ヒーローはみんなの希望なんだ!』

P『いいですね……最近ね、また好きになってきたんですよ』

光『え? どうして?』

P『仮面ライダーは……改造人間でしたから』

光『……? それが、なんで?』

P『最近ね、また……思うんです。どうして仮面ライダーは勝てたんだろうって』

光『そんなの、正義の味方だからさ!』

P『……えぇ、そうですね』

78: 2013/03/13(水) 00:35:47.95
P『でも、改造人間は。常に新しいものが作られていくんですよ』

光『え?』

P『当時最新型でも、もっとスペックが上の改造人間は、怪人は作られていきます。1号なんて、型落ちでしょう?』

光『それは……そうだけど……』

P『だけど、仮面ライダーはそんな相手にも負けなかった』

光『……うん。それじゃあ、なんでだと思うんだ?』

P『それはきっと、仮面ライダーは怪人じゃなく……改造人間だったからだと、思うんです』

光『改造人間……』

P『心は人間のままだったから。だから……戦い続けるのがつらくても諦めなかったんだと思います』

光『……諦めない』

P『南条さん、ヒーローは……好きですか?』

光『うん。大好きだよ!』

P『なら、どんなにつらくても……大丈夫、きっとね』


――――

――

80: 2013/03/13(水) 00:40:52.87
光「~~~♪」



光(うん、大丈夫……アタシがなりたいのはみんなのヒーローなんだ)

光(だから、アタシのことを知らない人でも。アタシのことを嫌いな人がいたっていい)

光(だけど……でも! アタシはそんな人のことだって好きだ!)

光(楽しいって、思わせたい! アタシが、みんなの……希望だ!)


光「さぁ、まだまだいくぜ!」


 \ワアアアアアァァァァァァァァ……!/

82: 2013/03/13(水) 00:45:19.80
    司会「ありがとうございました! 続いての方は……」


光「……ただいま、プロデューサー」

P「おかえりなさい。いいステージでしたよ」

光「うん。あのさ、ステージって広いんだぜ! ああいうところでヒーローショーで動き回るのって大変だろうなぁ」

P「ダンスも、大きくステージを使ってましたね」

光「……ファンの人、楽しんでくれたかな?」

P「きっと。南条さんのことを知らなかった人だってファンになってくれましたよ」

光「そっか、よかった……うん、よかった!」

P「お疲れ様でした」

光「……ありがとう」

83: 2013/03/13(水) 00:50:52.07
――――

――


マストレ「それで、結果は?」

光「9人中4位だったぜ!」

トレーナー「4位! ……えーっと」

光「楽しかった! ありがとうトレーナーさん! あとお姉さん!」

マストレ「楽しかった、か。よかったな……」

P「えぇ。あのライブ以来ファンレターの数も増えました」

光「やっぱり嬉しいよ! アタシ、アイドルも楽しい……ヒーロー南条光じゃなくて、ヒーローアイドル南条光って感じなんだ!」

トレーナー「二足の草鞋……とは言いませんね。いい目標です」

光「二兎を追うもの、二兎とも取れってね!」

84: 2013/03/13(水) 00:57:37.59
光「まだまだ未熟だけどさ! もっといろんな人がアタシのことを知ってくれると嬉しいなぁ」

トレーナー「そのためにはまたレッスンですね! 日々の鍛練が成功につながりますから!」

光「うん! これからはライブも少しずつ増やすつもりなんだってさ! やっるぞー!」

トレーナー「おーっ!」


マストレ「……フェスは、順位以上に得るものが多かったようだな」

P「えぇ。南条さんはやっぱりヒーローですよ……少なくとも、プロデュースしている僕にとっては……」

光「プロデューサー、何の話をしてるんだ?」

P「おっと……いえ、少しね。大人同士の話をしていたんです」

マストレ「プロデューサー殿は、君のことをヒーローみたいだって褒めていたよ?」

光「えっ、本当か!?」

P「……麗さん、あなたって人は」

マストレ「なぁに、いいじゃないか。たまにはくさいセリフも悪くない」

85: 2013/03/13(水) 01:04:15.31
光「……へへ、アタシがプロデューサーのヒーローか」

P「えぇ。だけど南条さんは……日本のみんなにとってのヒーローになれますよ」

光「うん! 目標は当然そこだ! でもさ、プロデューサー?」

P「どうしました?」

光「アタシも、時々疲れることがあると思うんだ。まだまだ先だと思うけど……」

光「……そんな時はやっぱり、キミがいなくちゃだめだと思うんだ。おやっさん!」

P「お、おやっさん……?」

マストレ「くっ……ふふっ、いいじゃないか、おやっさん」

P「……はぁ。おやっさん、ですか」

光「おう!」

87: 2013/03/13(水) 01:07:54.24
P「それなら、きちんと南条さんの帰る場所になれるように僕も頑張らないといけませんね」

光「プロデューサーが疲れた時はアタシのことを頼ってくれてもいいんだぜ? アタシをおやっさんだと思ってさ!」

P「……おやっさん、ですか」

光「おう!」

P「……くっ、ふ、し、しつれい……」

光「なんでよ、もーっ! アタシだってもう大人だぞ!」

P「えぇ。わかってますよ……それじゃあ、今日も張り切って活動しましょうか!」

光「あぁ、みんなに夢を与える……スーパーお仕事タイムだ!」



おわり

88: 2013/03/13(水) 01:08:55.48
規制解除やったね
光のおやっさんになりたい。再登場待ってる

保守支援ありがとうございました

89: 2013/03/13(水) 01:09:27.86
表と裏が逆の10円玉をやろう

90: 2013/03/13(水) 01:11:11.60


おやっさんPよかった

引用元: モバP「南条さん、ヒーローは好きですか?」