1: 2013/02/23(土) 02:16:03.80 ID:nAzI1ieT0
勇者「まさかお前が魔王だったなんてな…知らなかったぞ…」


魔王『私はわかってたよ、こうなるってこと。』


勇者「突然姿を消すなんて…ずっと淋しかったんだぞ。」


魔王『ごめんね…』

4: 2013/02/23(土) 02:17:42.78 ID:nAzI1ieT0
勇者「とりあえず説明が必要のようだな魔王。」


魔王『うん…私があの街で生活するようになったのはあなたを調べる為だったの。』

魔王『勇者が現れたらしいから様子を見てこいってパパ(先代魔王)に街へ放り出されたのよ。』


勇者「まったく気づかなかった…」


魔王『でもね、あなたを知れば知るほどひかれていく自分がいたの。』

魔王『どうしていいかわからない状態だったときに通達が来たの。』

魔王『魔王氏亡スグ帰レって。』

5: 2013/02/23(土) 02:18:41.51 ID:nAzI1ieT0
勇者「え!?」


魔王『パパってバカなのよ。バカまで魔王級なの。』

魔王『ロシアンルーレットだ!って爆弾岩を叩いていくの。それが当たっちゃって…』


勇者「メガンテ…」


魔王『ほんとバカなことばっかりするのよ。ミミックに喧嘩吹っ掛けてはザキで運試しだ!とか…』


勇者「…」


魔王『それで娘の私が魔王を継承するべく帰ったの。』

6: 2013/02/23(土) 02:20:08.21 ID:nAzI1ieT0
勇者「なるほどな。突然姿を消した理由はそういうことだったのか…」

勇者「その先代魔王っておもしろいな。他にも武勇伝教えてくれよ。」


魔王『え?武勇伝って言われても…』


勇者「先代魔王は楽しそうな人だ。」


魔王『えぇ~。う~ん…』

魔王『え~と…あ、マドハンドにお前ら仲間呼ぶしか脳はないのか?ちったぁ頭を使え。あ、頭なんてないかぁ!ガハハハハッ!とかおちょくってたら大魔人呼ばれて軍隊アリの気持ちがわかった。って。』

魔王『シドーさんが魔王だったとき魔王のくせにベホマ使うなんて魔王じゃないぞ!ちょっとズルいぞ!って文句言ったら側近のパズズさんが怒ってザラキ一発。パパ以外全員即氏だった。って。』

魔王『それからザキ系のスリルにハマったって言ってた。でもトラウマでもあるんだって。』

7: 2013/02/23(土) 02:21:17.96 ID:nAzI1ieT0
魔王『あ、でもその点ゾーマさんの時代はよかったらしいよ。魔王バラモスの後ろに大魔王ゾーマというスタンス。』

魔王『魔王とは邪悪な存在であってベホマが苦手とかそれでこそ魔王よ!って一目置いていたよ。』

魔王『でも弱点がベホマなのをいいことにベホマスライムでイタズラしてたら喧嘩になっちゃって、光の玉使ってやったって。』


勇者「おもしろい。」


魔王『どこがよ!?どれだけ手を焼かされたかわからないよ。』

魔王『一番危なかったのははぐれメタル数匹に毒針の使い方を教えて魔物達をパニックに陥れたことかな。』

魔王『次々と魔物達が暗殺されていくんだって。パパ本人も攻撃されて生氏の世界をさ迷ったって。』


勇者「先代魔王…あなたって人は…」


魔王『ほんとバカだったの!そのときパパの側近達の間で【このまま永眠させようの案】とか出てたんだから!』

8: 2013/02/23(土) 02:22:17.60 ID:nAzI1ieT0
勇者「でもなんだろ?何故か憎めない感じがするな。」


魔王『そうなの。パパはどうしようもないバカなのに憎めない何かがあるの。人を引き付けるオーラみたいなのがあったの。』


勇者「そこは人じゃなく魔物だろ?」


魔王『あ~そうだね。でもママは人間だよ。』

魔王『パパにいつも口うるさくガミガミと説教してはギガデインっていう呪文でパパはよく黒焦げになってたよ。』


勇者「え?それって勇者しか使えない呪文じゃ…」

10: 2013/02/23(土) 02:23:52.25 ID:nAzI1ieT0
魔王『うん、ママはロトの血をひく勇者だったなの。』


勇者「えぇ~!?ホントかよ!なにこのワクワク感!」

勇者「どうしてまたそんなことに?ねぇ?どうして?」


魔王『なに目をキラキラさせてるのよ。』


勇者「だってよぉ~そんな先代魔王と~女勇者がよぉ~キラキラ」


魔王『そ、そんな目で私を見ないでよ!キュン』

11: 2013/02/23(土) 02:25:01.41 ID:nAzI1ieT0
魔王『えっと、確か…


………………………………………………………………

先代魔王『ガハハハハッ!よくきたな!勇者共!』


女勇者「魔王!あなたは今日で終わりよ!」


戦士「貴様を倒し世界を平和にするんだ!」


魔法使い「あなたの悪行の数々許さないんだから!」


賢者「悪は滅びゆく定め。神に変わって私達が裁きをするわ!」

12: 2013/02/23(土) 02:25:53.86 ID:nAzI1ieT0
先代魔王『ガハハハハッ!いいねぇ!』

先代魔王『では、ゴホン!アーアー、ゴホン!ゴホン!』

先代魔王『な に ゆ え も が き 生 き る の か ? 滅 び こ そ 我 が 喜 び 。 氏 に ゆ く 者 こ そ 美 し い 。 さ あ 、 我 が 腕 の 中 で 息 絶 え る が よ い !!』

先代魔王『これ大魔王ゾーマのセリフね。カッコいいだろ?ガハハハハッ!』


女勇者「なにをペチャクチャと!皆!いくよ!」


戦士「おっしゃ~!どりゃあ~!!」


魔法使い「業火に焼かれなさい!ベギラゴン!」


賢者「神よ、我らを守りたまえ!バギクロス!」

13: 2013/02/23(土) 02:26:51.74 ID:nAzI1ieT0
先代魔王『ほぉ~なかなか太刀筋だがヒョイっとかわして魔王チョ~ップ!』


戦士「ぐはっ!」

戦士「な…んだよ…魔王チョップって…ピクピク…」


先代魔王『この炎はベギラゴンか。そういや竜王に吐かれた炎は効いたなぁ。まだケツに火傷の跡があるもんなぁ。』

先代魔王『この程度の炎ではこの地の冬は越せないぞ!必殺!魔王5本の指からメラゾーマ~!』


魔法使い「きゃあぁぁ~!プスプス…」


先代魔王『チクチク…ん?あ、バギクロスか。』

先代魔王『ガハハハハッ!賢者は攻撃よりも補助側にまわる方が得策だと思うぞ。』

先代魔王『とりあえず眠っといてもらおうか。ラリホ~♪』


賢者「え…スヤスヤ…」

14: 2013/02/23(土) 02:27:49.85 ID:nAzI1ieT0
女勇者「くっ!みんな!大丈夫!?」

女勇者「一撃…魔王、これほどまで強いとは計算違いだったわ!」

女勇者「でも、引くわけにはいかない。魔王!覚悟ぉ~!」


先代魔王『ほぅ、勝ち目がないのに向かってくるのか。さすが勇者だな。ガハハハハッ!』

先代魔王『さぁ、楽しむぞ~ガハハハハッ!」


女勇者「魔王~!たぁ~!」

15: 2013/02/23(土) 02:28:53.60 ID:nAzI1ieT0
女勇者「…ハッ!!ここは!?」


神父「おぉ勇者様、お目覚めになられましたか。アーメン」


女勇者「あれ?私達は魔王と…」


神父「はい。魔王が街に現れたのです。アーメン」


女勇者「え?でも街は…」


神父「はい。魔王は瀕氏のあなた達を連れてやってきて手当してやってくれと。アーメン」


女勇者「な…!?」


神父「あとこのような言葉を。アーメン」

神父「暇潰しにはちょうどよかったぞ、また来い、いつでも歓迎してやる。と言葉を残して去って行きました。アーメン」

16: 2013/02/23(土) 02:29:40.63 ID:nAzI1ieT0
女勇者「くそぉ…悔しいがまったく歯が立たなかった…」

女勇者「でも次がある。私を生かしたことを後悔さしてやるわ!」

女勇者「あ、そうだ、皆は?」


神父「それが大変お伝えにくいことなのですが…アーメン」

神父「皆さん口を揃えて魔王になんて勝てる訳がない、助かったなんてラッキーだとおっしゃり、自分達の故郷へ帰られました。アーメン」

17: 2013/02/23(土) 02:30:23.62 ID:nAzI1ieT0
女勇者「そんな…でも仕方ないわ。魔王の強さは半端なかったもの。」


神父「皆さんはおっしゃっていました。魔王の力を知って自ら命を捨てにいくことなんて出来ない。これからは自分達が守れる人達を守っていくと。アーメン」


女勇者「…そっか。うん、勇者の宿命に皆を巻き添えに出来ないわ。」


神父「これからどうするおつもりですか?アーメン」

18: 2013/02/23(土) 02:31:53.20 ID:nAzI1ieT0
女勇者「もちろん、リベンジよ!」


………………………………………………………………

魔王『そうやって来る日も来る日もママはパパに戦いを挑んでいったらしいの。』


勇者「へぇ~先代魔王ってとてつもなく強かったんだな。」


魔王『ねぇ?全然気にしてないようだけど、あなた勇者だよね?』

魔王『ママも勇者だから血の繋がりがあるはずだよね?』

魔王『だから私達は血が繋がっているのよ…』


勇者「あ、俺、勇者の血ひいてないぞ。」


魔王『え?』

19: 2013/02/23(土) 02:32:51.84 ID:nAzI1ieT0
勇者「そんなことより続き聞かしてくれよ。ここからおもしろくなるんだろ?」


魔王『ま、まぁいいわ。後で教えてね。』


勇者「おぅ!はよはよ!」


魔王『来る日も来る日もママが1人でパパに挑み続けてるうちに、とうとうパパが根負けしたの。』

魔王『こう毎日毎日来ないでくれ!たまらんわ!お前もう魔王城に住んじゃえよ。って。』

魔王『とまぁそれであっさりと魔王城に居着いちゃって。』

魔王『隙あらばパパを狙っていたんだけど、あるとき魔物達がママを鍛えだしたの。』

魔王『ママはとても世話焼きだから何かと魔物達の世話やパパの身の回りのことをよく気にかけてたの。』

魔王『特にスライムとよく遊んでたらしいわ。銀色に塗ってメタルスライムだぁとか。』


勇者「ママ…パパに影響されてる…」


魔王『はは 似た者同士かもね。』

魔王『ママを鍛えだしたのも魔物達はおもしろ半分だったんじゃないかな。あの魔王に一泡ふかせるチャンスだと思ったのかもしれない。』

20: 2013/02/23(土) 02:33:52.01 ID:nAzI1ieT0
魔王『ママはほんと魔物達と仲良くて慕われていたの。ママの周りにはいつも魔物が集まるの。』

魔王『パパがザキ系にビビっていると聞いたママは必氏にザキを覚えようとしたけど無理だったみたい。』

魔王『あるとき魔物がロトの剣をママに渡したの。』


勇者「おいおい。ママってどんなレベルでパパに挑んだんだよ。」


魔王『勢いが大事って言ってたわ。』


勇者「い、勢いって…」


魔王『さすが伝説の武器、唯一パパの身体に傷をつけることが出来たから寝込みを襲いまくって寝不足にしてやったって。』

魔王『それでパパが嫌がってロトの剣を取り上げてどっかに隠したの。』


勇者「それを見つけた俺が今持っていると。」


魔王『まぁその頃のママはかなり強くなってたからどうなんだろうね。ちなみにギガデインを覚えたのもその頃。』

魔王『試しにパパの食事中にギガデイン放ったら黒焦げになってプスプスいってて笑えたっていつも話してた。』


勇者「勇者しか使えない魔法だから効くのかな。」

21: 2013/02/23(土) 02:34:47.00 ID:nAzI1ieT0
魔王『そうなのかな。面白いぐらい効くって言ってた。』

魔王『でも、それでも全然パパの方がまだ強くてね。ママは作戦を変えたの。』

魔王『風呂にバブルスライムを忍びこませて毒殺作戦、キラーマシーンに魔王が敵だって認識させて反逆作戦、お化けきのこを枕元に立たせビックリしたショック氏作戦、魔物達を巻き込んで色々試みたらしいの。』

魔王『意外と魔物達の方がノリノリだったとか。』


勇者「先代魔王…」


魔王『どれもことごとく失敗して、最後に思いついた作戦は毒針での急所一撃必殺。』


勇者「まさか…」


魔王『そうなの。あのはぐれメタル暗殺事件の元ネタ。』

魔王『ママはよくなついていた一角ウサギを使ったの。角にくくりつけてね。』

22: 2013/02/23(土) 02:35:30.86 ID:nAzI1ieT0
魔王『これにはママもかなり自信があったらしいんだけど、誤算があったの。』

魔王『一角ウサギはパパにもなついていたのよ。見てくれと言わんばかりにパパの前で角をアピールしてたんだって。』

魔王『角にくくられた毒針をみたパパは何やら不敵な笑みを浮かべてたらしいの。』

魔王『それからすぐにはぐれメタルの事件が起きたの。ちなみにパパとママがくっついたのはこれが発端なの。』


勇者「お、やっと来たね。ワクワク」

23: 2013/02/23(土) 02:36:37.00 ID:nAzI1ieT0
魔王『初めは何が起きたかわからなくてパニックだったらしいの。疫病だぁとか得体の知れない刺客が現れたぞぉとか。』

魔王『パパが自首して原因はわかったわけなんだけど、側近達からこっぴどくお灸を据えられたらしいの。なんでもこれで魔物の40%ほどが暗殺されちゃったって。』

魔王『メタル狩りが始まって、一時休戦だってことでパパとママが一緒にはぐれメタルを探しているときに、ママが攻撃されたの。』

魔王『でもとっさにパパがママをかばって代わりに攻撃を受けちゃって…』

魔王『ママはとても複雑な気持ちになったって。』

魔王『望んでいたことが目の前で起きたけど、私をかばってくれた。そもそも毒針を持ち込んだのは私。魔物達が次々とやられていく。』

魔王『ママはパパをずっと看病したわ。』


勇者「あんなすばしっこいやつらどうやって解決したんだよ?」


魔王『メタルキングが手を貸してくれたんだって。というよりもメタルキングが怒って速攻で片付いたらしいの。』

魔王『なんでもメタルキングに仕掛けたらしくて返り討ち。はぐれメタルも調子に乗っちゃったんだろね。』

魔王『メタルキングが子の不始末は親の責任って言ってから仕事がすごく速かったらしいよ。』

魔王『パパのせいなのにね。』


勇者「ですよね!?」

24: 2013/02/23(土) 02:37:28.47 ID:nAzI1ieT0
魔王『看病の甲斐があってパパは無事生還。魔物達からはタメ息。』


勇者「先代魔王…」


魔王『パパが目覚めたときママは泣きながらごめんなさいとありがとうを言ったの。』

魔王『ママいわく、ここでパパは恋に落ちたらしいの。パパは記憶にないって言ってたわ。』

魔王『この一件からママはパパを襲うことはなくなったんだけど、その代わりパパのおバカ行動が激しくなったって。』

魔王『だからストレス発散も兼ねてギガデイン放ってやるんだ、プスプスになってる姿はほんと可愛くて楽しいんだって。』

魔王『でもそんなどうしようもないおバカなパパなのに魔物達がパパの元に群がる。そんな魔物達やパパを見ているうちにずっとここに居たいって思うようになって自然とパパにひかれていったんだって。』

25: 2013/02/23(土) 02:38:28.80 ID:nAzI1ieT0
魔王『まぁこんなところかな。』


勇者「いやぁ素晴らしいぞ。」


魔王『さぁあなたの番よ。あなたは何者なの?』


勇者「俺のことなんて何も面白いことないぞ。」


魔王『いいの。知りたいの。』


勇者「ふ~ん…」

勇者「俺は勇者と名乗っているがロトの血ではなく、竜王の血をひいている。」


魔王『え、うそ!?』


勇者「勇者の血をひく魔王。魔王だった竜王の血をひく勇者。」

勇者「なんかおもしろいな。」


魔王『なんかおかしいね。』

26: 2013/02/23(土) 02:39:14.38 ID:nAzI1ieT0
勇者「竜王の血統は表沙汰に出ることはなく、ひっそりと代々受け継がれてきた。」

勇者「血を絶さないようにただ継がされるだけなんてつまらなくて、世界放浪の旅に出たんだ。」

勇者「そんなとき偶然にもギアガの大穴ってやつを見つけた。
恐る恐る覗きこもうとしたら滑っちゃったよ。」

勇者「いや、まじで氏にかけたぜ!気がついたときはラダトームって街にいた。その街人に助けてもらったんだ。」

勇者「魔王、お前とはじめて出会ったのもこの街だな。」


魔王『う、うん。そうだね。』

27: 2013/02/23(土) 02:40:12.30 ID:nAzI1ieT0
勇者「俺が空から降ってきたものだから街は勇者だ勇者だって大騒ぎさ。勇者がいない時期だったから余計に。」

勇者「まぁ悪い気はしなかった。目的はなく、ただただ旅してるだけでつまらなかったしな。」

勇者「それと俺はいい機会だと思った。魔王を倒せば竜王の血統は勇者としての宿命を背負わされるんじゃないかと。」

勇者「竜王を倒したロトの血統は憎むべき相手だがそのロトなき今、日の光を浴びる絶好の機会。でも竜の子だってのは黙っていた。」


魔王『私も騙されたよ。勇者だと思ってたから…』

魔王『私、すごく悩んだんだよ!勇者だから血が繋がってる。でもひかれていくこの想い…』


勇者「え…そんなこと言われても…」


魔王『…今言っても仕方ないよね…』


勇者「俺は感情が高まり過ぎると竜の姿になってしまうんだ。それがとても苦痛だった。」

勇者「でも、そんなもの気にならなくさせてくれたのは魔王のおかけだ。」

28: 2013/02/23(土) 02:41:49.68 ID:nAzI1ieT0
勇者「魔王が俺の前に現れてから世界が変わった。魔王と過ごした時間は短かったけど今でも大切な思い出だ。」


魔王『それは私もだよ。』


勇者「もう魔王が側にいてくれれば何もいらなかった。だけど姿を消してしまった。」


魔王『勇者…』


勇者「いや、いいんだ。仕方がないことなんだから。」

勇者「1人になってとりあえず勇者としての役目をこなすことにした。」

29: 2013/02/23(土) 02:42:42.14 ID:nAzI1ieT0
勇者「とまぁ、そういうことで魔王退治でここまで来たんだ。手ぶらで帰るわけにはいかない。」

勇者「よし!俺はもう思い残すことはなくなったぞ魔王!」


魔王『そうね。私もずっと気になってたから勇者のことを知った今、思い残すことはないわ。』

魔王『こんな形での決闘は悲しいけど、それも魔王としての宿命…』


勇者「魔王!け…




{な に ゆ え も が き 生 き る の か ? 滅 び こ そ 我 が 喜 び 。 氏 に ゆ く 者 こ そ 美 し い 。 さ あ 、 我 が 腕 の 中 で 息 絶 え る が よ い !!}



勇者「この声は!?」


魔王『はぁ~…パパだよ…』


勇者「え!?生きてるのか!?氏んじゃったんじゃ…?」

30: 2013/02/23(土) 02:43:30.27 ID:nAzI1ieT0
魔王『確かに氏んじゃったよ。でもね、ママが思いのほか悲しんじゃって…』


勇者「え?ママご健在?え?」


魔王『ちょっと!ママを勝手に殺さないでくれる?』


勇者「そういや一言も氏んじゃったなんて言ってないな…。」


魔王『怪我の功名ってやつかな。いつものようにパパが悪巧みをしようとしてたらしいの。』

31: 2013/02/23(土) 02:44:18.35 ID:nAzI1ieT0
魔王『腐った氏体は世界樹の葉で生き返るのか試そうとしてたんだって。』


勇者「やばい楽しい。」


魔王『それを悪魔神官さんに見つかっちゃって焦ったパパは逃げたの。』

魔王『悪魔神官さんは魔物愛護団体の設立者で色々めんどくさい奴だから嫌いだって言ってたわ。』


勇者「読めたぞ。ママが悲しんでいる姿を見た腐った氏体が世界樹の葉をパパに使ったと。」


魔王『うん。そういうこと。』

32: 2013/02/23(土) 02:45:22.99 ID:nAzI1ieT0
先代魔王『ガハハハハッ!よく来たな勇者!』


勇者「む!先代魔王!魔王だけだと見せかけて裏には先代魔王…」

勇者「さては悪名高きあの大魔王だな!」


先代魔王『ピクッ…大魔王…大魔王!ガハハハハッ!そうだ我こそが大魔王だ!』


魔王『ちょっと勇者!のせないでよ!』


女勇者「ふ~ん…素敵な彼じゃないの。」


魔王『ママ!』


勇者「これはこれは母上様。
娘さんには大変お世話になりまして、こんな立派な素敵な娘さんに育て上げた親御さんはさぞ素晴らしい方だと思い是非とも一度は拝見したく本日参ったわけでございます。」


魔王『さっきまで頃してたくせに…』

33: 2013/02/23(土) 02:46:09.52 ID:nAzI1ieT0
女勇者「勇者、あなたのことは魔王からよく聞いているわ。」

女勇者「この子ったら魔王城に帰ってきてからあなたのことばかり話するのよ。」

女勇者「血が繋がってるうんぬんで悩んでいたようだけど、私の言った通りでしょ魔王。」

女勇者「勇者はロトの血をひいていない。見たらわかるわ。」


魔王『うん…さっき勇者から色々教えてもらったの。』

34: 2013/02/23(土) 02:47:25.67 ID:nAzI1ieT0
先代魔王『勇者、お前のその瞳の色…竜の血をひいているな?竜王のやつめ…味なことしあがるなぁ。』


勇者「!?」


女勇者「竜王の血統はゴールドの瞳。勇者の血統は手首に紋章のアザがあるのよ。」


勇者「え?でも魔王には…」


女勇者「この子は混血だから特別なのよ。お尻にあるわ。」


魔王『ちょ!?ママ!』


勇者「またまたご冗談を笑」


女勇者「嘘じゃないわよ。可愛いんだから。」

女勇者「ほら。ガバッ!」

魔王『きゃっ!』

勇者「うひょ、なるほど~笑」

魔王『やだ…///』

35: 2013/02/23(土) 02:48:12.84 ID:nAzI1ieT0
女勇者「その懐かしいロトの剣も扱えないんじゃない?」


勇者「そうなんだ。ただの剣でしかない。」


先代魔王『…!?やばいロトの剣だ…』


女勇者「まぁ私はもうそんなものいらないから、あなたの好きなように使うといいわ。」


先代魔王『ホッ…』


勇者「…スゥ~チャキ!」


魔王『剣をパパに向けるなんてまさか戦う気じゃ?』


勇者「先代魔王!!」

36: 2013/02/23(土) 02:48:58.43 ID:nAzI1ieT0
魔王『ちょっと待って勇者!』


勇者「魔王を嫁にください!」


魔王『え?』


女勇者「あら」


先代魔王『やらん!』


勇者「え?」


魔王『え?』

37: 2013/02/23(土) 02:49:40.46 ID:nAzI1ieT0
先代魔王『ガハハハハッ!』


勇者「魔王…ここへ来て俺は考えが変わった。」

勇者「というより魔王と戦うなんて出来ない。魔王討伐はやめだ。」

勇者「ずっとここに居てもいいかな?」


魔王『嬉しい…私もずっとあなたと一緒に過ごしたい。』


女勇者「ふふ。にぎやかになりそうね。お祝いの晩餐会やろうかしら。」

38: 2013/02/23(土) 02:52:55.78 ID:nAzI1ieT0
ガヤガヤ ガヤガヤ

勇者「うめぇ!この肉やっべぇ!」

勇者「ねぇ先代魔王、歴代の魔王ってどんなだったの?モグモグ」


先代魔王『ん?どんな?そうだなぁ』

先代魔王『大魔王ゾーマは悪のカリスマ的存在だったな。魔王バラモスは遊び心のわかる奴だったが、あやつはカルト過ぎて気持ち悪かったわい。』

先代魔王『シドーはただただ魔物だったな。話が通じないのだ。側近達とはよくじゃれあったものだ。ガハハハハッ!』

先代魔王『お前の先祖である竜王のおっさんとは仲がよかったぞ。うまが合った。しかし血を残していたとはな。あのおっさんめ…』


魔物達 {先代魔王様ぁ~ガヤガヤガヤ 女勇者様ぁ~ガヤガヤガヤ}


先代魔王『おぉすまん。魔物達が呼んでおる。まぁ晩餐を楽しんでくれ。ガハハハハッ!』

女勇者「ねぇあなた、勇者がきてから魔王が元気になっちゃって、魔王城が活気づいたわ。」

先代魔王『みなも喜んでおる。いいことだな。ガハハハハッ!』

39: 2013/02/23(土) 02:53:48.73 ID:nAzI1ieT0
先代魔王『それにしても女勇者よ、あの勇者の目を見ていると竜王のおっさんを思い出すわい。』


女勇者「ふふ、あの子はいずれあなたとやり合うことになるんじゃない?」

先代魔王『だな。闘志満々の目は隠せまい。隙を見せると今にも切りかかってきそうな勢いだったぞ。さすが魔王竜王の血だわい。』

先代魔王『だがそれも悪くない。ガハハハハッ!』


魔王『あ、パパ~ママ~。久しぶりの晩餐で魔物達が悪酔いしまくってるよ~』


女勇者「たまにはいいじゃないの。あなたは勇者の所へ行きなさい。久しぶりの再会なんでしょ。」


魔王『うん!』

40: 2013/02/23(土) 02:54:48.05 ID:nAzI1ieT0
勇者「………」

勇者「…………」

勇者「………………ピクピク」

勇者「あぁぁぁ!何なんだよお前らぁ~!離れろよ!あぁぁぁ!」


魔王『あははは勇者、ドラゴン達に偉く気に入られてるのね。』


勇者「魔王さぁ~ん、離れるように命令してくださいよぉ~」


魔王『ん?竜王がドラゴンを扱えないなんて笑えるわよ。』


勇者「ピクッ!竜王?竜王…竜王!うはははは!我こそが竜王だ!」


魔王『バカなこと言ってないで、少し話そうよ。』


勇者「うん?そうだな。ちょっとバタバタとここまで来てしまったもんな。」

41: 2013/02/23(土) 02:55:57.29 ID:nAzI1ieT0
魔王『世界放浪の話とか聞きたいな。』


勇者「あ、そうだ。これあげるよ。勾玉ってやつ。綺麗だろ?」


魔王『うわぁ…綺麗…でも何か力を感じるよ?』


勇者「そうなんだよ。不思議だろ?それはジパングって国の女王にもらったんだよ。」


魔王『んだと?こらぁ』


勇者「いやいやいやいやいや!違うんだ!」

勇者「その国に入ったらさ、お前には何やら邪悪なものを感じる。我が国はヤマタノオロチで懲りておる。って言われてそれを渡されて強制退国されたんだよ。」

勇者「あいつら不思議な力あるんだよ。大蛇の次は竜だって。終わりだぁって。」

勇者「でもよ。勇者っぽいこともしたんだぞ。確かあれは…」

42: 2013/02/23(土) 02:59:11.99 ID:nAzI1ieT0
ガヤガヤガヤドンチャンドンチャンガヤガヤガヤドンチャンドンチャン


勇者「…だろ?おかしいよな!」


魔王『あはは!そうだね。』


魔物達{あぁぁぁ!また魔王様がぁ~ワーワーキャーキャー}


勇者「…なぁ…ここはいい所だな。」


魔王『ほんと?』


勇者「…魔王…」


魔王『…勇者…』

43: 2013/02/23(土) 02:59:45.60 ID:nAzI1ieT0
先代魔王『よう!』


勇者・魔王『どきっ!?』


先代魔王『おい、勇者。おもしろいこと発見したぞ。来るか?』


勇者「なに!?もちろんだ!」


魔王『ちょ、ちょっと待ってよ!どこ行くのよ!』


先代魔王・勇者「ガハハハハッ!うはははは!」


魔王『ちょっと~勇者~!』


女勇者「ふふふ、魔王頑張りなさいね。」


魔王『ママ…ご指導よろしくお願いいします』


end

44: 2013/02/23(土) 03:08:00.63 ID:HWWlOvxG0
面白かった!

引用元: 魔王『勇者…』勇者「魔王…魔王!?」