1: 2010/04/27(火) 15:52:19.33 ID:msTrp0460
唯「ムギちゃん今日のお菓子は~?」

紬「昨日は家に世界的に有名なパテシエの方がいらしたから
  その方が持ってきてくれた美味しいケーキよ」

唯「りっちゃん! 早く部室に行こうよ!」

律「よし! 唯隊員、私に続け~!!」ダダッ!

唯「おお~!」ダダッ!

和「ちょっと! 廊下は走っちゃだめでしょ!」

唯「あう~~。怒られた~……」

律「生徒会の回し者め~」

和「なんとでも言ってくれて結構よ」

律「いいじゃん、走るくらい~」

和「危ないって言ってるのよ」

律「そうか……。確かに私には澪みたいなエアバッグが胸にないから」

唯「誰かとぶつかったら大変だねっ!!」

澪「おい……」
けいおん! 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
2: 2010/04/27(火) 15:58:13.79 ID:msTrp0460
律「あら、澪しゃん朝ぶり。寂しくなかった~?」

澪「もう二年になってずいぶんと経つんだから……」

律「そっか~。寂しくて泣いてるんじゃないかって心配してたの~」

澪「おべっか使ったってダメだ」ゴチン!

律「……痛い」ヒリヒリ

澪「和、ゴメンな。私からもきつく言っとくから」

和「いいのよ。お小言いうのも仕事のようなもんなんだから」

紬「今日も生徒会?」

和「ええ」

唯「頑張ってね、和ちゃん!」

和「唯たちも部活がんばるのよ。お菓子ばっかり食べてないでね」

唯「え、エヘヘ……」

3: 2010/04/27(火) 16:01:29.32 ID:msTrp0460
────
────────
────────────

~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪

律「今日は練習が捗るな~」

唯「ムギちゃんの美味しいケーキ食べたおかげだね」

紬「そう? 嬉しいわ」

梓「確かに、いつもよりいい感じですね」

澪「これが続けばな~」

  ガチャ

和「ちょっといい?」

唯「あ、和ちゃん」

律「何か用?」

和「あなた達に対して苦情がきてるのよ」

4: 2010/04/27(火) 16:05:46.91 ID:msTrp0460
澪「苦情?」

和「茶道部や囲碁部などなどから軽音部の演奏がうるさいって生徒会に苦情が上がってきててね」

梓「他の音楽系の部活もそうなんですか?」

和「合唱部や吹奏楽、ジャズ研にはないわね」

紬「なんで軽音部にだけ……」

和「あなた達、窓を開けっ放しで演奏してるでしょ?」

律「だって練習始めると暑くなるんだもん!」

和「気持ちはわからないでもないけど、ちょっとわきまえてほしいわね」

和「他の部はその辺協力的よ」

唯「でも、外でやってる運動部なんかには好評だよ! 元気を貰えるって!」

和「全部が全部動き回る部活じゃないのよ……」

澪「確かに、囲碁や将棋なんかは静かにやりたいだろうし」

紬「茶道だって心が乱れちゃ台無しよね……」

6: 2010/04/27(火) 16:10:55.32 ID:msTrp0460
律「しゃ~ない、ここは生徒会様に従うしかないようだな」

唯「姉御! 下々の私たちにはどうすることもできないんでやんすね」

律「辛いだろうが……耐えてくれ!」

唯「ヘイッ!」

澪「何やってんだ……」

和「まだあるんだけど続けていいかしら?」

紬「うん。気にしないで続けて」

和「吹奏楽部からね。顧問の山中先生について。
  『最近指導にやる気が感じられない。
   これも、軽音部と顧問掛け持ちになったときからで
   恐らく軽音部にその原因があるのではないか』との苦情も」

7: 2010/04/27(火) 16:14:51.59 ID:msTrp0460
律「それは、さわちゃんの責任で私たちには……」

澪「って言うか、さわ子先生ってちゃんと指導することあるんだな……」

梓「お茶飲んでるイメージしかありませんでした……」

和「そのさわ子先生からも苦情がきてるの」

律「えっ!?」

和「『最近、体重が増加傾向にある。きっとこれもムギちゃんのお菓子が美味しいせいだ』って」

紬「そんなっ!?」

唯「自業自得ってやつだよ!」

澪「なんで和もそんな苦情取り扱ってるんだよ!」

和「だって生徒会ですもの」

律「手広くカバーし過ぎだろ、生徒会……」

8: 2010/04/27(火) 16:20:16.25 ID:msTrp0460
和「あと、ここの掃除担当の人たちからも苦情があるんだけど」

梓「まだ、あるんですか!?」

和「『食器がなんだか高級そうで割ったら怖いから安心して掃除ができない』って」

紬「まぁ、そんなこと気にしなくてもいいのに」

澪「実際高い物なんだろうな……」

和「さらに運動部からも『音楽準備室からいつも甘~い香りがしてきて練習に集中できない』って苦情もあるわね」

唯「そんなっ!? 運動部の皆は私たちの味方だって信じていたのにっ!!」

律「唯、所詮は人間の絆なんてそんなもんなのさ……」

唯「憎い……、あの人が憎いっ!!」

梓「何言ってるんですか……」

和「まだあるわよ。『ライブの時に秋山さんをもっと前面に押し出すべきだ』」

澪「……それは?」

和「……ごめんなさい。これはウチの会長の個人的な要望だったわ。どうやら紛れ込んでたみたいね。忘れて」

澪「……」

13: 2010/04/27(火) 16:25:14.34 ID:msTrp0460
和「とにかく、今週中までにこの苦情の対策案を生徒会に示してちょうだいね」

律「え~~っ。めんどくさ~……」

和「駄目よ。下手したら活動停止になっちゃうかもしれないんだから」

唯「それは困るよ~。和ちゃんなんとかならない?」

和「こればっかしはなんともならないわね。あなた達で案を出してくれなきゃ……」

唯「そんな~……」

和(本当は何とかしてやりたいのは山々なんだけど)

和(自分たちで対処するのもこの先絶対に必要になってくるんだから……)

和「じゃあね。私も暇じゃないのよ」

  バタン

唯「ああ~ん、和ちゃ~ん……」








和「はぁ……。仕事とはいえ、嫌な役よね……」

14: 2010/04/27(火) 16:29:19.53 ID:msTrp0460
澪「今週中までに……か」

律「和は血も涙も無い奴だ~!」

紬「でも、生徒会なんだから仕方ないわよりっちゃん」

梓「そうですよ。部活をやってるのは私たちだけじゃないんですし」

唯「……」

澪「どうした? 唯、元気ないな」

唯「う~ん……。和ちゃん、なんかお疲れ気味だった」

紬「きっと和ちゃんも駄目出ししたくてやってるわけじゃないのね」

梓「私たちみたいに、やりたいことだけやってるわけにはいきませんもんね……」

唯「和ちゃんのお仕事だもんね」

律「……そっか、それもそうだよな」

澪「和には甘えてばかりだったもんな」

律「そうだ! 良いこと思いついた!!」

16: 2010/04/27(火) 16:32:48.29 ID:msTrp0460
雑貨屋

澪「で、解決案の相談もほっぽり出して、なんでこんな店に来たんだ?」

律「これだよ、これこれ!」

紬「メガネ? だけど変なものも付いてる」

唯「鼻メガネだよ、ムギちゃん」

紬「へ~、初めて見たわ!」

梓「この鼻メガネがどうかしたんですか?」

律「この鼻メガネを和にプレゼントするんだ!!」

梓「えっ……」

澪「さぁ、帰るか」

律「こらこら、そこっ! 話は最後まで聞く!!」

17: 2010/04/27(火) 16:38:23.61 ID:msTrp0460
律「和はとにかく真面目すぎるんだよ」

澪「いいじゃないか、お前みたいにふざけた人間よりは立派に世の中の役に立つと思うぞ」

律「じゃ、なくて~。たまには息抜きもあった方がいいだろ?」

律「和にはそんな心の余裕も必要なんだよ」

澪「でも、鼻メガネって……」

律「これをどう使うかは和次第だ!!」

紬「どうするの?」

律「たま~に掛けてみて、自分の面白さに気づくとか」

梓「それでどうなるんですか?」

律「さぁ~?」

澪「お前が言い出したんだろっ!!」

梓「きっと対策案を相談するのがめんどくさくなって逃げたんですね」

律「ギクッ」

澪「はぁ~……」

18: 2010/04/27(火) 16:44:12.06 ID:msTrp0460
律「で、でも鼻メガネを掛けて世の中を見てみるのも必要だって」

澪「そんなこと聞いたことない……」

唯「りっちゃん……」

律「うっ……。唯にまでそんなテンションで……」

唯「感動したっ!!」

律「へっ?」

唯「そうだよ! 和ちゃんに必要なのはコレだよコレ!!」

紬「唯ちゃん?」

唯「私、和ちゃんに足りないものは何かな~ってずっと考えていたんだよ」

唯「まさに、この鼻メガネこそが和ちゃんの最後のピースを埋めるアイテムだよっ!!」

律「そうか! やっぱり和の幼なじみの唯はわかってくれるか!!」

唯「うん! ありがとうりっちゃん!!」

梓「和先輩もこんな幼なじみを持って大変だなぁ……」

19: 2010/04/27(火) 16:49:22.40 ID:msTrp0460
律「しかもこの鼻メガネ、そんじょそこらの鼻メガネとは訳が違う」

律「なんと、ちゃんと度が入ってるから目の悪い人も普段の生活で使うことができる優れもの!!」

唯「まぁ! でもお高いんでしょ?」

律「……うん。意外と……」

澪「高いのかよ……」

梓「本当ですね、結構な値段です」

律「でもこのフィット感も抜群で、鼻メガネを掛けてることさえ忘れる装着感なんだよ」

紬「私、今手持ちのお金が少なくて……。このお店カード使えるかしら……」

澪(女子高生がカード持ちか~……)

唯「よし! わかった! ここは私に任されよ!!」

律「ゆ、唯さん!?」

唯「最近お小遣い貰ったばかりだし、今の私なら買える!!」

澪「でも、これ買ったらもう無くなっちゃうんじゃ……」

唯「和ちゃんにはお世話になりっぱなしなのでっ!!」

21: 2010/04/27(火) 16:54:33.92 ID:msTrp0460
唯「それに、和ちゃんには喫茶店なんかで奢ってもらった分もあるし」

唯「それも含めて、この鼻メガネでお返しさせて頂きます!!」

梓(絶対に普通に奢り返してもらった方が喜ばれると思うな~……)

紬「唯ちゃん偉いわ!!」

律「涙が止まりませんばい!!」

澪「まぁ、唯がそれで良いってなら……」

唯「じゃあ、買ってくるね~♪」

22: 2010/04/27(火) 17:00:02.62 ID:msTrp0460
真鍋家

  ピンポーン

唯「の~ど~か~ちゃん」

和「どうしたのよ? こんな時間に」

唯「えへへ~」

和「もしかして、今回の事で文句言いに来たとか?」

唯「違うよ~。はいコレ!」

和「?」

唯「いつも頑張ってる和ちゃんにプレゼント!」

和「何かしら?」ガサゴソ

和「……鼻メガネ?」

唯「うん。心に余裕を、花瓶に水を、メガネっ娘には鼻メガネを」

和「何それ……?」

唯「和ちゃん昔っから頑張りすぎて、へばっちゃうことあったから……」

唯「たまには羽目を外すことも必要かな~って」

23: 2010/04/27(火) 17:05:13.24 ID:msTrp0460
和「唯……」

唯「いつも助けてもらってばかりだからね。たまには私も和ちゃんのお役立ちになりたいんだよ」

和「ふふっ。だからって鼻メガネはないでしょ」

唯「でも、それ度入りだから普段も掛けられるんだよ」

和「どれどれ……。ホント、普段掛けてるやつと変わんないわ」

唯「似合ってるよ、和ちゃん♪」

和「それって、喜んで良いのかしら?」

唯「いいんだよ~」

和「ありがと、せっかくだから貰っとくわ」

唯「うん♪」

和「しかし、まさか、唯に心配されるなんてね~」

唯「私だけじゃなくて、軽音部のみんなも和ちゃんのこと心配してたよ」

和「えっ?」

唯「生徒会大変そうだって」

和「そうなの……、てっきり今日のことで嫌われちゃったんじゃないかと思ってたわ」

25: 2010/04/27(火) 17:08:50.07 ID:msTrp0460
唯「そんなことないよ。みんな和ちゃんの立場はわかってるから」

和「そう……。私は良い友達を持ったわ」

唯「元気になった?」

和「ええ。ありがとう唯」

唯「えへへ。どういたしまして」

和「でも、ちゃんと苦情の対策案は期限までに提出してね」

唯「もう! 褒めてくれたと思ったのに~」

和「ふふっ。それとこれとは話は別よ」

唯「あははっ。鼻メガネ掛けて笑ってる和ちゃん面白い~」

和「よけいなお世話よ」

唯「じゃあね、和ちゃん。また明日学校で」

和「ええ、ありがとう唯」

26: 2010/04/27(火) 17:14:24.80 ID:msTrp0460
和自室

和「鼻メガネか……」

和「うふふ。唯が考えそうなことね」

和「まさか唯に心配されていたなんて。考えもしなかったわ」

和「……」

和「羽目を外す……ね」

和「どんな顔になってるのかしら……」

和「鏡、鏡っと……」

和「ぶっ!?」

和「あはははは!」

和「これは無いわ!」

和「ふふふっ。でも確かに結構似合ってるかもね」

和「これ学校に掛けて行ったらどうなるかしら……」

和「……」

和「ありえないわ」

28: 2010/04/27(火) 17:22:09.93 ID:msTrp0460
翌朝

和「う~ん……」

和「なんだかすごく良く寝たわ~」

和「しかも、目覚ましが鳴る前に起きたし」

和「今何時かしら? メガネ、メガネっと……」

和「おかしい……まだ、四時前?」

和「もしかして……!?」

和「やっぱり! 携帯の時計だったらもう八時前じゃない!」

和「この目覚まし電池切れちゃってる!」

和「とにかく急いで用意しなきゃ!!」アタフタ

29: 2010/04/27(火) 17:27:29.72 ID:msTrp0460
────────

和「学校行く準備はできたけど……」

和「……」

和「どうしよう……、これ付けていこうかな……」

和「でもそんな唯みたいなこと……」

和「……」

和「クレオパトラの鼻が少し低ければ世界は変わっていたかもしれない……」

和「自分で言うのもなんだけど、今まで真面目に生きてきて、それはそれで満足だった……でも」

和「私も少し変わるだけで世界が違って見えてくるかも……」

和「たまには羽目を外す……か」

和「……」

「和~! 早くしないと遅刻よ~」

和「悩んでいる時間なんかないわ!」

和「ええい!!」

30: 2010/04/27(火) 17:32:10.28 ID:msTrp0460
学校 二年一組

澪「和はまだなんだ。私より遅いなんて珍しいな」

澪「……」

澪「和が来ないと話す人いないや……」

澪「……」

澪「早く来ないかな~、和」

澪「……」

  ガチャ

「あ、真鍋さんおはよ……!?」

和「ええ、おはよう」

「あれ誰!?」「真鍋さんだよね?」
    ざわ… ざわ…

和「澪、おはよう」

澪「ああ、おはよう、のど……!?」

澪(和が……鼻メガネだと……!?)

31: 2010/04/27(火) 17:37:42.00 ID:msTrp0460
和「どうしたのよ澪? そんなに固まっちゃって」

澪「え? いや……、その……」

和「変な子ね」

澪「変なのは和の方だろ。なんでそんなに普通に……」

澪(はっ!? 待てよ。もしかしたら……。
  今日はいつものメガネが何らかの原因で使えなくなって
  仕方なくその鼻メガネを代用してるとか……)

澪(律や唯が鼻メガネ着用なら『なに馬鹿やってんだ』って普通に突っ込んで終りだけど)

澪(和のことだ、きっと何か深い理由があるに違いない……!!)

和「どうしたのよ?」

澪(今、私が和にしてやれることは……)

澪「いや、何でもないよ。おはよう和」

和「そう? ならいいんだけど……」

澪(例え鼻メガネでも、いつも通り普通に接してやる事だ!)

「秋山さんがスルーしたわ……」「きっと何か深い理由があるのよ……」ヒソヒソ
「私たちは見守っていきましょう」「ええ、そうね」

和(澪、気付いてくれたかな……?)

33: 2010/04/27(火) 17:43:36.57 ID:msTrp0460
授業中

「じゃあ、ここ。真鍋答えてみろ」

和「はい。その答えは『びっくりするほどユートピア』です」

「うん。正解……!?」

和「先生? どうかなさいましたか?」

「い、いや……」

(あの真面目な真鍋がふざけてるとは思えん。きっと何か深い理由が……)

「正解だ真鍋。よく勉強してきたな」

和「……はい、ありがとうございます」

澪(あれ? 和、なんか落ち込んでる?)

34: 2010/04/27(火) 17:48:28.31 ID:msTrp0460
和(なんでみんな私の変化に気付いてくれないんだろう……)

和(そりゃあ、確かに少しのことだし気付き難いかもしれないけど……)

和「……」

和(でも、澪には気付いてもらって、それを言って欲しかった……)

和(澪は友達だって思ってたから……)

和「……」

和(やっぱり、生徒会で真面目なイメージに合わないのかな……)

和(たまには羽目を外して可愛くしてみようかなって思ってたけど……)

和「……」

和(私にとっては劇的な変化なのよ、これでも……)

和(唯みたいに……)

和(唯みたいに可愛くヘアピン付けてる私っ!!)

※和ちゃんは自分が今鼻メガネだということには気付いていません

36: 2010/04/27(火) 17:54:25.35 ID:msTrp0460
昼休み

和(本当に誰も何も言ってくれない……。なんだか悲しくなってきちゃったわ……)

和(せっかく、このヘアピンで可愛さを演出してるのに……)

和(どうせなら、思い切って聞いてみようかな)

澪「さぁ、和。お弁当食べよ」

澪(なんだか慣れてきたな~。意外と鼻メガネ似合ってるぞ、和!)

和「ね、ねぇ澪。今日の私、何か変わったところない?」

澪「!?」

澪(えっ!? えっ!? ここにきて!?)

澪(まさか本当に、朝からボケっぱなしだったのか、和!!)

澪「いや~、実は朝から気付いていたんだけどさ~」

和「ほ、本当!?」

澪「うん」

和「もう。じゃあ言ってよ。せっかく私も思い切ってイメチェンしたんだから」

澪「そ、そっか。ごめんごめん(思い切り良過ぎだろ……)」

37: 2010/04/27(火) 18:00:13.81 ID:msTrp0460
和「ねぇ、澪はこんな私どう思う?」

澪「えっと……」

澪(これが律だったら、おでこにペシン! で済むけど)

澪(私、和に突っ込んだことないからな~……)

澪「か、可愛いとこあるな~って思うよ」

和「そう? 良かった♪」

澪(喜んでる? どうやらこの返答の仕方は正解だったようだな)

澪「しかし、まさか和がそんなメガネ掛けてくるとは思わなかったよ~」

和(えっ? メガネはいつもと同じだけど……)

和(なんだ……。私が聞いたからとりあえず適当に答えただけなんだ……)

和(もう、こんなヘアピンなんて外してこよう……)

和「ごめん、お手洗いに行ってくるわ。先食べてて……」

澪「の、和……? あれ? なんでそんなに落ち込んで……?」

澪(まさか!? 和、本当は……)

澪(本当は思いっきり笑ってほしかったのか!?)

38: 2010/04/27(火) 18:05:19.99 ID:msTrp0460
トイレ

和「はぁ……。やっぱりこんなことやってくるんじゃなかったわ……」

和「唯みたくヘアピン付けたら可愛くなるって思ったけど……」

和「私には無理があったみたいね」

和「さっさと外して、お弁当食べ……!?」

和「!?!?!?!?!?」

和「な、なんで私鼻メガネ掛けてるのっ!!」

和「……」

和「朝慌て過ぎて間違えて掛けてきちゃったんだ……」

和「それにあまりのフィット感に気付きもしなかった……」

和「だから朝から教室の空気がどことなくおかしかったんだわ」

和「私、メガネしてないと全然見えないのに……」

和「ど、どうしよう……」

39: 2010/04/27(火) 18:10:37.86 ID:msTrp0460
教室

澪「和、なんだか悲しそうだった……」

澪「やっぱり、ボケにはツッコミで返すのが礼儀だよな……」

澪「それに、もしかしたらみんなを楽しませようと思ってたのかもしれない……」

澪「そんな和の真意を受け止めきれなかったなんて……私は和の友達失格だ」

澪「……」

澪「でも、まだ間に合う!」

澪「みんなの前で発言するのは恥ずかしいけど……」

澪「いつも軽音部は和にお世話になってる!」

澪「これは、普段の和へのお返しなんだっ!」

澪「みんなっ! 聞いて!!」

クラス一同「!?」

澪「今、和がお手洗いに行ってるんだ。だからもし帰ってきたら……」

澪「帰ってきたらみんなで大笑いしてほしい!!」

41: 2010/04/27(火) 18:16:08.22 ID:msTrp0460
「でも、秋山さん朝からそこには触れないように接していたじゃない?」

澪「そうなんだけど、それは間違いだったんだ」

澪「和は、その身を犠牲にしてみんなに笑顔を届けたかったんだ!」

「そっか……。私たち真面目な真鍋さんに対して遠慮してたのよね……」

「そうそう。きっとこれは何かの間違いだって」

澪「でも、間違っていたのは私たちの方なんだ!」

澪「だから是非戻ってきたら爆笑の渦で和を出迎えてやってほしい!!」

「わかったわ!」「真鍋さんも可愛いとこあるよね」
「今まで我慢してきたぶん大笑いするわ!」

澪「みんな……。ありがとうっ!!」











和「……なんて話してるのよ……。一気に入りづらくなっちゃったわ……」

42: 2010/04/27(火) 18:23:02.37 ID:msTrp0460
和「でも、ここは覚悟を決めて……!!」

  ガチャ

澪「きたっ!!」

  カタン コロコロ……

澪「ん? 鼻メガネだけが先に教室へ転がってきた……?」

和(3_3)「メガネ、メガネ……」

クラス一同「!?」

和(3_3)「私のメガネはいったいどこに……?」ウロウロ

   \ どっ!!  /   \ ワハハ! /

和(3_3)「ついでに鼻も一緒に取れちゃったわ」

澪「あははははは!! 和!! 最高だ!!」

和(これで良かったのよね……私……)

 二年一組の結束がさらに深まった瞬間であり
 真鍋和の隠れた才能が開花した瞬間でもあった

 おしまい

46: 2010/04/27(火) 18:33:17.68 ID:msTrp0460
>>45
和ちゃんに鼻メガネ掛けさせたかっただけの前振り

47: 2010/04/27(火) 19:08:18.44 ID:Fm7RgCsKP
乙w

48: 2010/04/27(火) 19:22:41.99 ID:vfu4Ybfj0
乙!
完結してよかったー!

引用元: 和「鼻メガネ」