1: 2011/06/26(日) 22:13:27.69 ID:++lteeQL0
梓「日本一ですよ日本一!」

唯「ふぇ?なにが?」

梓「だから何度も教えてるじゃないですか!」

唯「そんなことよりもあずにゃん、私お茶が飲みたいよ。あと、お菓子も!」

梓「さっきご飯を食べたばかりじゃないですか」

唯「ごはんはおかず、だよあずにゃん!」フンスッ

梓「意味が分かりません」

唯「つまり、お菓子は別腹ってことだよ!」フンスフンスッ

梓「最初からそう言ってくれればいいのに…。全然意味違うじゃないですか」

唯「えへへ~」

梓「お茶を淹れるならお・・唯先輩の方が上手じゃないですか」

唯「じゃあ今度、ムギちゃんから教わった美味しいお茶の淹れ方教えてあげるね!」フンスッ

梓「どうせなら今の方がいいんですけど…」

梓「じゃあ今準備しますんで、ちょっと待ってて下さいね」スタスタ

唯「あ~い」ゴロゴロ

2: 2011/06/26(日) 22:15:00.71 ID:++lteeQL0

梓「はい、どうぞ」カチャカチャ

唯「いただきま~す」ゴクリ

唯「不味い」

梓「 」

唯「あ、拗ねた」

唯「でも、愛情たっぷりだね」ナデナデ

梓「そ、そんなこと言ってごまかさなくてもいいです////」

唯「あ、照れた」

梓「照れてないです」ツーン

唯「そうだあずにゃん、大学のアルバム見せてあげるよ!」ガサゴソ

梓「もう何度も見せてもらってます」

唯「いいからいいから~。さあさあ、こっちへきんしゃい」ポンポン

梓「なんですかその喋り方…」

ペラ
唯「ほらこの写真ね~りっちゃんが仮装大会に出たときのでさ~」

ペラ
唯「これはムギちゃんの執事の斉藤さんがね~」

ペラ
唯「澪ちゃん照れてかわい~ね~」

梓(ほんと、楽しそうだな…)

ペラ
唯「これ見て~!りっちゃんが…」

梓「おでこに落書きして皆さんを笑わそうとしたら、水性じゃなくて油性のマジックて書いちゃってて、なんとか落とそうとしているときのですね」

唯「おお!!すごいよあずにゃん!なんで分かったの!?」

梓「…もう何度も聞きましたから覚えちゃいました」

唯「あれ?そうだっけ?」

梓「さっきも言ったじゃないですか…」

唯「あずにゃんは記憶力がいいんだねぇ」ナデナデ

梓「そ、そんなこと無いですッ!何度も聞いたから…ってさっきも言ったじゃないですか!」

3: 2011/06/26(日) 22:15:37.05 ID:++lteeQL0
唯「またみんなで演奏したいねぇ」シミジミ

梓「…そうですね」

唯「みんなに聞いてみようかなぁ」

梓「!?」

唯「携帯はどこへやったかな」キョロキョロ

梓「き、…きっと、皆さん忙しくて今は出られないんじゃないですかね?」アセアセ

唯「久しぶりにみんなの顔が見たかったよ…」ションボリ

梓「そ、それで…」

梓「…そうだッ!こっ今年の演芸大会のゆいあずは何を演奏しましょうか!?」アセアセ

唯「…今年のゆいあずは原点回帰ってことで、U&Iにしようかなぁ」

梓「唯先輩が歌詞を書いた曲ですよねッ!」ホッ

唯「おばあちゃん、喜んでくれるかな?」

梓「」

梓「きっと…、喜んでくれると思います。とても」

唯「今年こそ温泉旅行をプレゼントしたいな」

梓(温泉旅行……)

――回想――


ガチャ
「おばあちゃん!今日も遊びに来たよーッ!」

「あらいらっしゃい。ゆっくりしていって頂戴ねぇ」ニコニコ

「おばあちゃん!お菓子ある!?」パタパタ

「今出してあげるからちょっと待ってね」ニコニコ

「うん!あっそうだ!おばあちゃん、私今度演芸大会に出るんだ!」

「あらそうなの?それじゃあ絶対に見に行かなくちゃねぇ!楽しみだわぁ」ニコニコ

「優勝したら景品がもらえるんだって!いつもおばあちゃんにお世話になってるから、絶対に優勝しておばあちゃんにプレゼントするねッ!」

「ふふ、プレゼントなんていいから、目一杯楽しんでらっしゃい」ニコニコ

「頑張るッ!」フンスッ


――――

4: 2011/06/26(日) 22:16:04.19 ID:++lteeQL0
唯「さて…ギー太はどこにやったかな?おーいギー太ぁ~!ギー太や~い」キョロキョロウロウロ

唯「あったあった…って、うわっ!埃かぶってる!」ガーン

梓「ちゃんと掃除してあげないからですよ!」ガミガミ

唯「うう…。ゴメンねギー太…」シクシク

梓「もう…、掃除してあげますから、貸してください」

唯「ううう…ありがとうあずにゃ~ん…!」ダキッ

梓「ちょっ抱きつかないで下さい!掃除できないじゃないですかッ!」グググ

唯「あずにゃんのいけず~」

梓「あ…、弦にサビが浮いてきてますね…。替えの弦はありますか?」

唯「それがもう無いんだよ…。買いに行かないとだねぇ」

梓「なら、私もギターを点検してもらおうと思っていたので一緒に行きませんか?」

唯「でも出歩くのが面倒だなぁ」ゴロゴロ

梓「何言ってるんですか…」

唯「あたしゃもう年だよあずにゃん」ゴロゴロ

梓「十分元気ですよ」

梓「それに、こんな錆びた弦のままじゃギー太が悲しみますよ」

唯「うおお…ギー太あああ…」

梓「さ、行きますから準備してください」テキパキ

唯「はい…」

5: 2011/06/26(日) 22:16:29.00 ID:++lteeQL0
~楽器屋から帰宅~

唯「よっこらせ…ちょっと疲れたから休んでてもいいかな?」

梓「しょうがないですね…その間に替えておきますから、起きたら練習しましょう」

唯「あいあいさー」ゴロゴロ

数分後

唯「」グースカ

梓「はい、張り替えましたよ」ババーン

唯「」

梓「…お、唯先輩?」

唯「」

梓「唯先輩ッ!!」

唯「梓ちゃん」

梓「なんだ起きてるじゃないでs……え?」

唯「今までずっと付き合ってくれてありがとう。…梓ちゃん、本当にあずにゃんに似てたんだよ…。まるで本当にあずにゃんが来てくれたみたいで嬉しかった。」

梓「な、…何言ってるんですかお…、唯先輩ッ!起きてくださいよ!ねぇ!」

唯「最期にもう一度だけ梓ちゃんと演奏してみたかったな…。おばあちゃん、すっかりボケちゃって。迷惑ばっかりかけてごめんね?」

梓「おばあちゃん!待っておばあちゃん!!起きて!またあずにゃんって呼んでよ!ねえ!?」

唯「」

梓「おばあちゃん!おばあちゃん!!!!」

6: 2011/06/26(日) 22:16:59.04 ID:++lteeQL0
―――この日、日本最長齢となった、おばあちゃん…平沢唯が亡くなった。享年118歳だった。
お茶とお菓子を食べながら雑談するのが好きで、隣に住んでいた両親が良くしてもらっていたこともあり、小さい頃からしょっちゅう遊びに行っては、お茶をご馳走になった。

120歳を越えたあたりから、おばあちゃんが痴呆になってしまった。
好きだったティータイムでのお話に何度も何度も登場した、“軽音部”の思い出話を繰り返すようになった。それを話すおばあちゃんはとても楽しそうで、とても輝いて見えた。

その頃からだったろうか、私の名前が『梓』と言うこともあったためか、私のことを『梓ちゃん』から『あずにゃん』と呼ぶようになったのは。
高校に入学した時に聞いたのだが、おばあちゃんの言う“あずにゃん”という人に、私はよく似ていたらしい。
若くして亡くなった、おばあちゃんの最初で最後の、たった一人の後輩であり、仲間だったそうだ。

おばあちゃんはとても孤独な人だった。
たった一人の妹と氏別し、一番の親友が事故に遭い、仲間たちも先に亡くなっていった。
かつての仲間に楽しそうに話しかけるおばあちゃんの顔を見たら、私は“あずにゃん”じゃないなんて、とても言い出せなかった。だから私は、“あずにゃん”を演じ続けた。

いつも朗らかで、どこかぬけたところのあるおばあちゃん。
でも、その無邪気な笑顔を見ているだけで幸せだった。
その爛漫な笑顔で、多くの人を幸せにしながら駆け抜けたおばあちゃんの生涯は、最期まで軽音部と共にあった。

7: 2011/06/26(日) 22:17:22.88 ID:++lteeQL0
それから、葬儀やらなにやらがあって忙しかった。
両親から色々な事を聞いた。
私に『梓』と名づけたのは両親ではなく、おばあちゃんだったこと。
おばあちゃんとのティータイムで興味を持って小学校の頃から始めたギター。
そのギターを買ってくれたおばあちゃんがムスタングを勧めてきた理由。
本当に、実の孫以上に可愛がってくれた。

おばあちゃんを喜ばせようと参加した演芸大会。いつの頃からかおばあちゃんと一緒に出ていた。
おばあちゃんもその昔、梓さんと一緒にゆいあずとして参加していたという。
結局、おばあちゃんに温泉旅行をプレゼントすることが出来なかった。
今年こそはと意気込んでいたけど、もう、おばあちゃんはいない。

――いつの間にか、演芸大会当日になってしまっていた。

司会「今年もトリを飾るのはこちら、今回はソロでの参加となりました、ゆいあずの梓さんです。盛大な拍手を!」

ワーパチパチパチ

梓「大好きなおばあちゃんの為に歌います。聴いてください。『U&I』!」

~~~~♪

司会「今年は2曲演奏してくれるそうです!それでは2曲目をお願いします!」

いつも笑顔で、いつも遊んでくれたおばあちゃん。
私が泣いているとき、ずっと励ましてくれたおばあちゃんへ。
あなたが大好きだった後輩に贈った曲を、今度は私が贈ります。

梓「天使にふれたよ!」




                            おわり


8: 2011/06/26(日) 22:19:59.18 ID:++lteeQL0

おまけ

唯「ゴメンねみんな~!遅くなっちゃった~!」アセアセ

律「お、来た来た!」

澪「唯の遅刻癖は相変わらずだな」

紬「唯ちゃん、お疲れ様」ニコニコ

梓「もう…、待ちくたびれちゃいましたよ!」プンプン

律「誰より心配してたくせに~」ニヤニヤ

梓「そ、そんなわけ無いじゃないですか!」ツンツン

和「仕方ないわよ。唯も今まで頑張ったわね。ご苦労様」ニコッ

憂「お姉ちゃん、一人で寂しくなかった!?」ガシッ

唯「寂しかったよ~憂いぃ~」ガシッ

純「平沢姉妹の姉妹仲はいつまで経っても変わりませんね」

さわ子「さぁ唯ちゃんも揃ったことだし、ようやくお茶に出来るわね!」フンスッ

律「いやもっと再会を喜ぼうよ」

9: 2011/06/26(日) 22:20:40.54 ID:++lteeQL0
さわ子「え~お菓子ぃ~」ブーブー

澪「つまみだせ」

紬「どんとこいでーす」ガシッ

唯「聞いて聞いてッ!私、日本一になったんだよッ!」


律「ああ、私達はずっと日本一だったじゃないか」

梓(セリフ取られた…田井中このやろう)

紬「これからもずっと、日本一よ」

唯「みんな長老ってこと?」

澪「つまみだせ」

唯「ごめん」

和「許すわ」

唯「私達は最初からずっと、日本一の軽音部だったもんね!」

~~~♪

純「あれ…何の音だろ?」キョロキョロ

憂「あれは…梓ちゃん?」

唯「この曲…」

澪「私達も負けていられないな!」

唯「けいおんオールスターで演奏しよう!」

全員「おー!」

和「あの、私楽器弾いたことないんだけど…」オロオロ

澪「ラップで」

和「」チェケラッチョイ

律「わんつーすりーふぉーわんつーすりー!」

~~~♪

                             おわり

10: 2011/06/26(日) 22:22:54.14 ID:++lteeQL0
 あとがき


初めてスレ立て&SSと言うものを書きました。
文章とか時系列とか伏線とか色々考えて書いたつもりですけども、やっぱり読みづらいかと思います。
そして原作にないオリキャラを出してしまってすみませんでした。
色々なSSの影響受けまくりの稚拙な文章ですが、ほんの少しでも楽しんでいただければ幸いです。
けいおん!!最終回を見て、唯達が梓に贈った曲を今度は梓が贈る…という話なんてどうだろうと思い書いてみました。
結果的に梓本人ではないのですが。
改めて読み返すと、大分超展開ですねw
ところどころで梓が『お、…唯先輩』とか言ってる辺りが伏線だったと思います。
何より、日本一の意味がズレてきてましたし。
今度はもっと分かりやすくて、おばかな感じのものを書けたらと思います。

何か質問などありましたら、起きているうちは返信させていただきます。

11: 2011/06/26(日) 22:38:36.19 ID:dklnlD7t0
読んだ。
乙!

引用元: 唯「日本一!」