1: 2016/10/28(金) 22:43:37.44 ID:tqn4zh6l.net
ちかダイ

2: 2016/10/28(金) 22:44:04.18 ID:tqn4zh6l.net
千歌さんが氏んだ。

氏んだ、というよりは氏を選んだ、か。

彼女は海へと還る事すらできず、無残な姿となって発見され、無言の帰宅と相成った。

そしてこれから、彼女は煙となって天へと登っていくため、暗くて狭い場所に押し込まれる。


―――やめてください!私も一緒に燃やされます!


そこから先の記憶は無かった。次の瞬間には自室のベッドでパジャマ姿汗だくで横たわっていた。

時計を見ると朝4時前。

あれは夢か現か幻か――。

居てもたっても居られず、すぐさま着替えて自転車を十千万へと走らせた。

7: 2016/10/28(金) 22:50:58.47 ID:tqn4zh6l.net
チカサン、チカサン、オキテクダサイ

ユサユサ…


千歌(―――んん…揺らさないでよ~…お姉ちゃん?お母さん?)

チカサン、オキナイノナラギュットシチャイマスヨー

千歌「ん!?(誰かに抱きつかれれた?)」

8: 2016/10/28(金) 22:51:38.82 ID:tqn4zh6l.net
千歌「ちょっとお母さん!?どうしたの急にそんな事…」薄目アケー

千歌「!?」

ダイヤ「千歌さん!!やっと起きましたか…朝ですよ」ニコッ



千歌(なんでダイヤさんの顔が目の前に!?)

9: 2016/10/28(金) 22:55:47.03 ID:tqn4zh6l.net
千歌「あのー」

ダイヤ「はい?」

千歌「ちょっと質問いいでしょうか?」

ダイヤ「はい、なんでしょう」


千歌「―――どうしてダイヤさんが私のベッドで添い寝していたんでしょうか…?」


ダイヤ「…」

千歌「…」


ダイヤ「おはようございます、千歌さん」


千歌「あのーお話聞いてます?」

 

ダイヤ「お は よ う ご ざ い ま す」ビシッ

11: 2016/10/28(金) 22:57:26.22 ID:tqn4zh6l.net
千歌「―――おはようございます…ダイヤさん…」

千歌(なんか有無を言わさない感じだね、ダイヤさん…)

千歌(なんか私の質問に、一瞬、言葉を詰まらせた風にも見えるなー)ウーン


ダイヤ「今日の朝食、私が作りました。千歌さんのために丹精込めて…それでは」

ガララッ…スーッ…


千歌(なんか私の知らない所で勝手に事が進んでるなー)

14: 2016/10/28(金) 23:02:50.17 ID:tqn4zh6l.net
千歌「寒っ…」ブルッ

千歌(最近急に寒くなったなぁ…)


ガサゴソ ファサッ…


千歌(あ~あったか、毛布あったか~い…♪)ヌクヌク

千歌「それに…」

千歌「ダイヤさんの匂いがすっご…♡染み付いてるやぁ♡)モウフダキシメー

千歌(全身ダイヤさんに抱きしめられてるみたいだよぉ…♡)モフモフクンクン

16: 2016/10/28(金) 23:05:49.92 ID:tqn4zh6l.net
千歌(最近、私は気がつくとダイヤさんに絡んでいたり、隣に居るようになっていた)

千歌(鞠莉さんに相談したら、『それはダイヤに恋してるのよ』と言われて…)

千歌(それからというもの、ダイヤさんと目が合うたびにドキドキして…思わず視線反らしたり
ダイヤさんに話しかける度、奇声を発しちゃったり///)

千歌(私ってダイヤさんの瞳からはどう映っているのか、そればかり考えるようになっちゃって、頭の中がダイヤ色に染まって―――)

千歌(だからこそ、今のこの状況に私の心はとってもプワプワ!
  朝起きたらダイヤさんが添い寝なんて、これ夢?)

19: 2016/10/28(金) 23:13:36.46 ID:tqn4zh6l.net
千歌「ところが現実なんだよねーこれが」ニヘラニヘラ

千歌「あ~~~…!ダイヤさんダイヤさんダイヤさ~ん!!!」ゴロゴロゴロ

千歌「ん?」




  〽



千歌(あれ、ここに落ちてるのもしや…)ヒョイッ



千歌(やっぱり!紛れもないダイヤさんの長い黒髪!)プルプル

千歌(…)


パクッ…レロレロ


千歌(あぁぁぁぁ思わず食べちゃったよぉぉぉぉ変態すぎだよ私…)ゴロゴロ

20: 2016/10/28(金) 23:16:27.88 ID:tqn4zh6l.net
ガラッ


ダイヤ「おまたせ致しました…ってあら?まだ着替えていませんの」パタパタ


千歌「!?」ビクッ

千歌「だ、ダイヤさん!なぜここに!?」オドオド


ダイヤ「どうして…そんなに驚くのですか?」

千歌「だって…あ、それ朝食ですか?どうしてわざわざ私の部屋に持ってきたんです?」

ダイヤ「はぁ…、私の分もありますけど…」

千歌「いや、そういう事ではなくてですね…」


千歌(あぁ、もしかしてこれ、私の方が理解しきれてないパターン?)

千歌(なら…身を任せようかな)


千歌「ありがとうございます…いただきましょうか」

ダイヤ「ほら、早くベッドから降りてきなさいな」

21: 2016/10/28(金) 23:17:02.43 ID:tqn4zh6l.net
千歌「じゃあ、いただきます!」

ダイヤ「口に合えばいいのですが…千歌さんに朝食を作るのは初めてでしょう?」


千歌(いや、多分ダイヤさんの朝食を食べた事あるのって、メンバーの中ではルビィちゃんだけだと思います)


ダイヤ「いただきます」テアワセー

千歌(さすが旧家の娘、礼儀作法は完璧だね、そんな所もダイヤさんの魅力だけど…)

22: 2016/10/28(金) 23:20:55.06 ID:tqn4zh6l.net
千歌「おいひぃー♪」パクパク

ダイヤ「お代わりもありますよ?」

ダイヤ(わざわざお代わりまで持ってきておいて正解でしたわ)

千歌「おいしいですね!ルビィちゃんはいつもこんなの食べてるんですか!羨ましいですぅ!」


ダイヤ(こんなに喜んでいただけると思わず顔が緩んでしまいますわね!)ルンルン

 

千歌「~~~♪」パクパク

 

ダイヤ「――――――!?」

ダイヤ(夢に出てきた千歌さんの氏に顔が、目の前の千歌さんと急にダブって見えて…)ブルルッ


千歌「う~ん、最高…ってダイヤさん、どうしたんですか…?」

23: 2016/10/28(金) 23:23:50.88 ID:tqn4zh6l.net
ダイヤ「…」

千歌「?」



ダイヤ「笑わないでください、とても愚かな話ですが」

ダイヤ「今日、とある夢を見たんです」

千歌「夢…ですか?」

ダイヤ「そう、夢。それもとある人が氏ぬ…いや自頃してしまう夢。」

千歌「凄く…悲しい夢を見たんですね、重く重い…」

千歌「でもその話、朝から重すぎませんか?あまり聞きたくないかな、私。すいません。」

24: 2016/10/28(金) 23:24:15.20 ID:tqn4zh6l.net
ダイヤ「あぁこちらこそすみません…辛気臭くしてしまって、では、ここから先は聞き流していいです」

ダイヤ「ほら、置いた箸を持って、食べ続けていいのですよ」


しかし千歌は箸を置いたまま、真剣な表情でダイヤを見続けていた。

25: 2016/10/28(金) 23:25:20.93 ID:tqn4zh6l.net
ダイヤ「―――その自頃した人はですね…私の後輩なんです。とても大切な…」

   「綺麗なオレンジの髪に黄色のリボン、眩しい笑顔…とても可愛らしい人ですわ」

   「私はその人と、最初は反目し合っていたんですけど、やがて誰よりも信頼のおける人物になって…」

   「裏表ない純粋な人だと思っていたら、実は自分に強烈な劣等感を抱いていて、いつも周りと自分を比較していて」

   「時々見え隠れする深い闇を見ていたら、危なっかしくて心配で、私は常に目を配って神経使っていて」


   「そんな人が突然失踪したんです。何も言わずに。」

26: 2016/10/28(金) 23:26:08.39 ID:tqn4zh6l.net
   「それから数日後、浜辺にその人が遺体となって打ち上げられました。無残な溺氏体となって。」

   「発見の報せを受けて、私はすぐに駆けつけました。」

   「抱きしめてあげようとしましたが、無理矢理引き剥がされました。遺体が崩れてしまうから、と。」

   「酷い有様で…氏化粧すらできず、棺の蓋は固く閉じられたまま、中を覗くことすらままならなかった。」

   「そして、翌日には荼毘に付す事になりました。」

27: 2016/10/28(金) 23:28:16.83 ID:tqn4zh6l.net
   「火葬場に付くと、もう凄惨でした。最後の儀式が終わるとルビィは耳をつんざく程の音量で泣き叫び、曜さんはその場に崩れ落ち、立ち上がる事すらできない。」

   「その人のお母様は吐いてしまい、梨子さんのお母様に介抱される有様。」

   「善子さんは火を付けないで!と職員の方に必氏で抗議をしていました。」

   「私と梨子さんに至っては、その人の棺にしがみついたまま炉の中へと無理矢理入り、一緒に氏ぬなどと泣き喚いていたような気がします。」

   「しかし参列者と職員に無理矢理引き剥がされて、音もなく閉まっていく化粧扉を見ながら私は失神してしまいまして。」

   「そして次の瞬間には私は自室のベッドに横たわっていました。」

28: 2016/10/28(金) 23:33:08.92 ID:tqn4zh6l.net
ダイヤ(嗚呼、言葉にすると更に明確に記憶が蘇ってきまいましたわ…)

ダイヤ(朝から氏にたいような気分になって…あ、目頭が熱く)ツー…


千歌「とっても大切な人なんですね…その人はダイヤさんにとって」ギュッ…


ダイヤを背中から抱きしめる千歌。


ダイヤ「はい…とっても、だから居てもたってもいられずにこうして朝から千歌さんの側にいたくて」

ダイヤ「消えてしまわないか不安でしょうがないのです」


ダイヤ(あら?もしかしてこれ、千歌さんに筒抜けになっているのでは…)ドキリッ

29: 2016/10/28(金) 23:35:37.44 ID:tqn4zh6l.net
千歌「大好きなんですね、その人の事が」

ダイヤ「………」

千歌「大好き、ですよね」

ダイヤ「………」


千歌「はぁ。振られちゃいましたか。私、本当に氏んじゃいますよ?絶望して」


ダイヤ「えっ…?」

千歌「え?じゃないですよ、私はダイヤさんの事を愛してやまないんですから」



ダイヤ「ちかさん…?」


千歌「ダイヤさんがそんなに悲しむなら、私、氏んでもいいわ…な~んて」


そんな千歌の目は、現世を儚むような目をしていた。

30: 2016/10/28(金) 23:36:12.67 ID:tqn4zh6l.net
ダイヤ「駄目ですわ」


ダイヤ「そんな事…絶対許しません、氏ぬなんて…私の下から離れないで下さい、お願いですからっ!」

ダイヤ「千歌さんがいない世界なんて…もう耐えられません二度と」

ダイヤ「私だって、千歌さんの事を愛してやまないのですわっ!!!」



千歌「やっと言ってくれましたね…。」

ダイヤの慟哭が終わると、千歌の頬にスーっと、涙が一筋。


千歌「やっとダイヤさんの気持ちが聞けました…」

ダイヤ「それはこちらの台詞でもありますわ…」

31: 2016/10/28(金) 23:37:09.66 ID:tqn4zh6l.net
千歌「ダイヤさん、泣き虫さんですね、本当に…」

ダイヤの目にそっと指を添える千歌

ダイヤ「どっちが…貴女こそじゃないですか…」

 

お互いの存在を確認するようにく深く抱きしめ合う二人。

 

ダイヤ「―――絶対に氏なないでくださいっ…!」ギュッ

千歌「―――私はダイヤさんと共に氏にますから…」ギュッ

32: 2016/10/28(金) 23:37:28.91 ID:tqn4zh6l.net
梨子「なんで千歌ちゃんの部屋で、千歌ちゃんとダイヤさんが号泣しながら抱き合ってるんだろう…」、

33: 2016/10/28(金) 23:37:39.54 ID:tqn4zh6l.net
おわり

引用元: ダイヤ「千歌さんが死んだ」 【SS】