1: 2015/07/26(日) 01:17:39.43 ID:ABv1zFOB0

むかし、ある山おくの村にエリックという少年がいました。


エリックは、やさしいお母さんと、たのもしいお父さんといっしょにしあわせにくらしていました。


山には、ベリーやナッツがみのり、きれいな水がわき、村人はなにもふじゆうのないくらしをしていました。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1437841049

2: 2015/07/26(日) 01:18:10.24 ID:ABv1zFOB0

ある日、街からえらい人がやってきました。


えらい人は、村の若いおとこたちを街へ連れ帰ってしまいました。


エリックのお父さんは、それっきり帰ってきませんでした。


3: 2015/07/26(日) 01:18:40.01 ID:ABv1zFOB0

その年の冬、村にびょうきがはやりました。


エリックのお母さんは、天国へ行ってしまいました。


春になるころ、村にはエリックしか残っていませんでした。


4: 2015/07/26(日) 01:19:10.27 ID:ABv1zFOB0

たった一人村にのこされたエリックは、さびしくてしかたがありませんでした。


やがてエリックは、こんなつらいせかいなんて、無くなってしまえばいいと思うようになりました。


ある日、森から魔女がやってきました。


5: 2015/07/26(日) 01:19:43.45 ID:ABv1zFOB0

魔女は言いました。


「おまえは、このせかいがきらいなのかい」


エリックはうなずきました。


6: 2015/07/26(日) 01:20:17.20 ID:ABv1zFOB0

「じゃあ、おまえにこの種をあげよう。これは“おわりの花の種”。毎日かかさず水をやれば来年の春には、花がさく」


エリックは聞きました。


「花がさいたら、どうなるの?」


7: 2015/07/26(日) 01:20:45.49 ID:ABv1zFOB0

「おまえのきらいな、このせかいが“おわる”のさ」


エリックはそれを聞くと、いっしょうけんめい畑を作り、種をうえました。


そして毎日かかさず水をやりました。


8: 2015/07/26(日) 01:21:27.11 ID:ABv1zFOB0

秋になり、冬になってもエリックはいっしょうけんめい水をやりました。


雑草が生えたときはぬきました。


冬のある日、みしらぬ少女がエリックに話しかけてきました。


9: 2015/07/26(日) 01:21:57.01 ID:ABv1zFOB0

「いつも、いっしょけんめい何をそだてているの」


「花さ」


「わたしもいっしょに、おせわをしていい」


「すきにすれば」


10: 2015/07/26(日) 01:22:30.87 ID:ABv1zFOB0

冬がおわり、春になり、花のつぼみがふくらんだころ、少女が言いました。


「わたしの村も、みんな病気で氏んでしまったの。あなたがいやでなければ、わたしはこれからずっと、あなたといっしょにお花をそだてて生きていきたいの」


エリックは気づきました。


少女が、エリックにとってだいじな人であることに。


11: 2015/07/26(日) 01:23:06.42 ID:ABv1zFOB0

花がさきました。



12: 2015/07/26(日) 01:23:45.09 ID:ABv1zFOB0

おわり

13: 2015/07/26(日) 01:26:47.07 ID:AWOfbJ2AO
乙。無慈悲だな
だが文字通り、自分で蒔いた種なんだよな

14: 2015/07/26(日) 01:56:38.09 ID:mP9XWpewO
これってもしかして、主人公にとってつらい世界が終わった=幸せな世界になった
てこと?

15: 2015/07/26(日) 15:55:01.34 ID:5T8+Y9fxo
二通りに解釈できるわけか

引用元: 【オリジナル童話】 『おわりの花』