1: 2015/10/06(火) 10:46:31.79 ID:O9BuHeid0

男「ククク・・・転校生の男だ・・・よろしく・・・ククク・・・」


女(・・・なによあいつ、無愛想ね。なんか不気味に笑ってるし・・・顔は割りとイケてるけど、なんか気味悪いわね)


先生「う、うん? それでおしまい? そ、そう・・・それじゃああなたの席は・・・女さんの隣でお願いね?」


女(ゲッ、最悪・・・最近ただでさえ『組織』と『機関』と私達の『騎士団』による三つ巴の戦いが激戦を極めて疲れてるっていうのに・・・こんな変な男と・・・)


男「ほう・・・ククク、いいんですか先生? あいつと俺が隣の席で・・・あんたの『選択』はアカシックレコード協定違反ですぜ・・・? フフッ」

先生「・・・え、ええ? 問題ないと思うけど・・・」

男「フフフ・・・平凡な教師みたいな雰囲気を出しておいて、中々食えない事する・・・なかなかこの学園生活は楽しめそうだな・・・ククク」

先生「・・・あなた、何を言っているの? はやく席に就きなさい」

男「フフッ、何も知らない振りをするのは『前回』と変わらんな、先生・・・それじゃあ見させて貰おうか、新たな『選択』が導く『今回』の世界の行く末を・・・カカッ」

男「ククク・・・よろしくな女よ・・・ちなみに俺の名前は御刀虎(おとこ)とも読む・・・フッ、ここまで言えば貴様にはわかるかな?」

女(・・・? なに言ってんのこいつ。黒板に書いた男って漢字以外にも違う書き方があるってこと? ていうかそもそも言葉の上じゃあわかりづらいし・・・)

女「・・・え、えっと、よろしくね、男くん」

男「・・・ふふっ、白を切るか。まぁいい。それが貴様の仮面なのだな? 平凡な学生を演出する為の・・・ククク、了承したぞ女よ・・・」

女(なっ、私の正体を知っている・・・? ・・・ひょっとしてこいつ『機関』か『組織』の・・・)

男「カカッ、女よ。動揺を顔に出すな。『奴ら』に気付かれるぞ・・・フフッ、安心しろ。隠しておいてやる・・・今は、な、ククク・・・」

女(こいつ・・・ただ者じゃないようね・・・)

2: 2015/10/06(火) 10:47:02.16 ID:O9BuHeid0


男「ククク・・・体育の時間、か・・・懐かしい・・・ふふっ、100メートル走などと・・・果たして何百年振りかな・・・」

モブ女1「えっ? 女ちゃんすごすぎない?・・・女子で100メートル走11秒台って・・・普通にインターハイレベルでしょこれ!?」

女「・・・あ、あはは・・・今日はたまたま調子良かっただけだよ・・・」

女(まずいわ・・・もっと抑えるつもりが・・・まぁ本当は0コンマ一秒で駆け抜けられるんだけど・・・あの男の事を変に意識して、ほんのちょっと本気を出してしまったわ・・・)

女(あ、アイツが走るわ・・・さーて、お手並み拝見と行きましょう・・・えっ?)

モブ女2「えっ・・・男くん、めっちゃ足遅くない・・・?」

モブ男1「30秒って・・・なぁ男、お前本気で走れよ?」

男「ゼェゼェゼェゼェ・・・ハァハァハァハァハァ・・・・・・ご、ごめん、今なんて?」

モブ男1「・・・い、いや。何でもない・・・(こいつ、イケメンだし変なオーラ出してる癖に超絶運動音痴じゃねえか・・・)」

女(嘘・・・今の本気・・・? なんかめっちゃ息切れてるし・・・)

男「・・・ハァハァ、やっべ・・・マジでキツイ・・・氏ぬ・・・氏ぬ・・・」

女「ね、ねぇ、ちょっと、大丈夫? 保健室連れて行こうか男くん・・・?」

男「・・・! か、カカッ・・・冥府から蘇った我が身体・・・少々乗りこなすのに時間が掛かっているようだ・・・ククク・・・」

女(? 意味ありげな表情を浮かべて・・・はっ、まさか私達『騎士団』が『組織』と『機関』を同時に壊滅させる為の作戦名『冥府落し』を知っている・・・!?)

女(いえ、まさかね・・・でも、ひょっとしたら・・・ということは、この運動神経の無さっぷりも回りを欺く為の演技・・・? 私自身、普通に心配してしまったし・・・)

女「・・・そっか。まぁ男くんがそう言うなら・・・本当に大丈夫なんだね?」

男「ククク・・・」

女(また、意味ありげな顔して遠くを見て・・・とことん、ただ者じゃないようね、こいつ・・・)


3: 2015/10/06(火) 10:47:56.33 ID:O9BuHeid0

先生「テストを返しまーす!」

モブ女1「相変わらず女ちゃんはすごいね! 全教科95点以上って!」

女「あはは・・・まぐれだよまぐれ・・・」

女(『能力』に目覚めてから、普通の人より思考力や発想力が格段に上昇した以上、当然の結果ね・・・ズルしてるみたいで申し訳ないけど・・・でも今は、隣のこいつよね。こいつも『能力』に目覚めているなら、当然・・・)

女「男くん、テストどうだった・・・?」

男「・・・・・・・」

女「男くん・・・?」

男「・・・・・・国語は、100点」

女「ええ、すごいじゃない!」

男「・・・それ以外は、赤点」

女「・・・え?」

女(国語以外、全教科赤点って・・・いや、国語が100点満点なのはすごいけど・・・漢字マニアの国語の先生が出した難しい漢字も読み書きできてるのはびっくりだけど・・・『能力』に目覚めてるなら、この点数は流石におかしい・・・)

男「・・・ククク、女よ・・・気付いたか?」

女「え?」

男「俺が発したシグナルに、だ」

女(は? シグナル・・・シグナル・・・? っ、まさか!?)

男「ククク、・・・この点数は『奴ら』への警告だ。俺、御刀虎がこの地に来た以上・・・もう貴様らの計画は破綻しているのだと気付かせるための、な・・・俺は優しいだろう?・・・クックック・・・」

女(確かに・・・全ての点数を組み合わせると、コード444・・・S級警戒態勢になるわ・・・この男、一体どこまで・・・)

先生「・・・男くん? 聞いてますか? あなたも補習ですよ?」

男「・・・・・・く、クククっ、補習、それもまた・・・一興・・・」

女(・・・今の嫌そうな顔も迫真の演技に違いないわ・・・こいつの事、騎士団長に報告しておきましょう・・・)



ていうところまで書いたんだけど・・・どう・・・!?!?!?!?!?!?

7: 2015/10/06(火) 10:58:45.10 ID:O9BuHeid0

騎士団長「どうした女、早急に報告しておきたい事とは・・・?」

女「はい・・・団長、御刀虎という二つ名を持つ者に、聞き覚えはありますか?」

騎士団長「御刀虎・・・? 聞いた事がないな・・・一体何者だ?」

女「(かなりそういう事情に詳しい団長でもご存知ない、か・・・一体奴は・・・)はい、私の学校に転校してきた男子学生です・・・『組織』『機関』そして我らが『騎士団』にも属さない者ですが・・・」

騎士団長「ふむ・・・まさか第4の勢力が現れた、と?」

女「いえ、その可能性は恐らくありません・・・ただ、私に度々接触し、意味深な言葉を残していくことから、『騎士団』よりの立場ではあるかと・・・」

騎士団長「ほう・・・味方が増えるならありがたいがな。それで、その者の『能力』は?」

女「申し訳ないですがわかりません。奴は力を隠すのが上手く、まだ能力の片鱗すら見せませんが・・・私の正体をひと目で見破った事、また数々の言動から、ただ者ではないと確信しています」

騎士団長「・・・なるほど。ふふっ、少しその少年に興味が湧いてきたな・・・私がその者と会う事は可能か?」

女「・・・団長。お言葉ですが、奴の『能力』が何か分からない以上、無闇な接触は危険かと・・・」

騎士団長「もう我々には時間がない。この間の戦闘で何人戦線離脱したと思っている?『冥府落し』の決行も迫っている。戦力は一人でも増やしておきたいのだ。危険は承知している・・・頼む」

女「・・・わかりました」

男「ククク・・・我が母よ、今日の晩餐は何かな・・・?」
男母「ケケケ・・・我が息子よ、今日の晩餐は牛をズタズタに細かく引き裂き、コネて練り上げたものの上に血よりも赤い液体を掛けたものだ・・・喜ぶがいい・・・貴様の好物だぞ・・・」


8: 2015/10/06(火) 10:59:18.92 ID:O9BuHeid0



女「男くん・・・今日の放課後ってヒマかな?」

モブ女1「おっ、女ちゃん男くんとデート!? デート!?」

女「う、うるさいなぁ。そんなんじゃないってばぁ!」

男「・・・フッ、放課後か。・・・今は別の世界で海賊をやっている我が同胞の現状を確認する用事があるが(今週のワンピースを読む)・・・確かに時間を持て余しているぞ」

女(・・・? 中盤、ごにょごにょ何言ってるかわからなかったけど・・・ともかく、暇な事は確かなようね)

女「本当? それじゃあ、今日、放課後に駅前のファミレスに集合してくれないかな?」

男「ああ・・・いいぞ・・・ふっ、『奴ら』に気取られぬように、であろう? ふふふ・・・」

女(・・・本当に、何者なの。あなたは?)



9: 2015/10/06(火) 11:00:30.27 ID:O9BuHeid0
男「ククク・・・待たせたな女よ・・・」

女「お、男くん・・・すごい服装だね・・・(気取られぬようにって自分で言っておきながら・・・ドクロマークのTシャツに黒のパーカーと黒のズボンに、尖った靴にジャラジャラ付けてる鎖や十字架のアクセサリーって・・・)」

男「カカッ・・・なにせ、俺の中の獣を抑える為には、この拘束衣がどうしても必要でな・・・ククク・・・」

女「(俺の中の獣・・・? 拘束衣・・・?)ふーん? でも私服の男くん、結構新鮮かも・・・」

男「ククク・・・女の服装も実に俺好みだぞ・・・」

女「え・・・? ほ、本当・・・?///(・・・って、何を嬉しそうな声を出してるの、私。この人はまだ敵か味方かもわからないのよっ)」

男「ああ・・・特にそのペンダントがな・・・ククク、臭うぜ・・・はるか昔の戦争の残り香がな・・・フフッ、一体どこでそれを買ったのだ・・・?」

女「うん・・・? え、それは・・・普通にそこらへんのデパ・・・」

男「みなまで言うな、女・・・俺は分かっているぞ・・・どういう経緯でそのペンダントが今お前の手元にあるかくらいは、な・・・様々な苦労があったのだろう・・・?」

女「う、うん・・・(流石ね、デパートで買ったなんてごまかしが通じる相手ではない、という事は分かってたけど、一瞬で見破られるとは・・・)」

男「・・・ククク・・・」←なにもわかってない



10: 2015/10/06(火) 11:01:17.56 ID:O9BuHeid0

店員さん「女様ですね? はい、既にお一人通しております。どうぞ。こちらへ」

男「・・・俺たちの二人、ではないのか?」

女「うん。ちょっと紹介したい人が居てさ」

店員さん「こちらのお席へどうぞー」

男「・・・女よ。この女に勝るとも劣らないものすごい美人さんは・・・?」

女「男くん・・・いや、男。いい加減腹を割って話しましょう? 私も、学園での仮面を捨てて本音で話すから、ね? この人は騎士団長。私が所属する『騎士団』のリーダーよ」

騎士団長「騎士団長だ。よろしく。君の事は色々と聞いている。まぁまずは座って好きな物を頼みたまえ。お呼びだてしたのはこちらなのだからな」

男「は? 騎士団・・・? あ、は、はい、座ります・・・じゃなかった・・・ククク・・・ふむ・・・ではお言葉に甘えさせて貰いますぜ・・・団長殿とやら?・・・フフッ・・・」

女(とぼけた振りが上手いわね・・・何も知らないみたいな顔をして・・・)

騎士団長(ほう・・・『能力者』だろうに『能力』の気配を欠片も感じない・・・凄まじい隠形術だ・・・ここまでの隠形、私でも出来るかどうか・・・これなら女が『能力』を確認出来ないのも頷ける・・・)

男「ククク・・・それではこの猛牛ケンタウルスの業火焼きと・・・あ、すみません、ステーキとライスとサラダください・・・ふん、レベルの低い者に合わせなければいけないのがこの世界のだめなところだ・・・」

騎士団長「・・・さて、料理が運ばれてくる前に、一つ、確認しておこうかな?」

男「フフフ・・・何をですかな?」

騎士団長「今回の『戦争』における、君の立ち位置を、だ」

男「・・・『戦争』?」

騎士団長「・・・『組織』と『機関』そして『騎士団』の三つ巴のこの戦争が始まってもう丸2年。やっとこの戦争にも終わりが見えてきた。我々は『冥府落し』を近いうち実行し、この『戦争』を集結させるつもりだ・・・だが、『組織』にも『機関』にも不穏な動きがあるという。はっきり言って戦況は半々・・・というか33% 33% 33%と言ったところだろう」

男「・・・はぁ・・・?」

騎士団長「だが、君が現れた事で状況このバランスは崩れる・・・君がどこかの組織に属するつもりなのか、それとも単独行動で何かをするつもりなのか・・・それを今、出来ればここではっきりさせて貰いたいのだ」

男「あの・・・えー・・・っと、その・・・」

女「・・・男、あんたがただ者じゃないのは分かってるのよ。あたし如きじゃあんたの能力、あんたがどれくらい力を持ってるかすら分からない・・・当然、あんたの目的もね・・・」

男「・・・・・・お、おう」

女「出来ればあんたに味方になって欲しい。だけど、あんたが拒むんならそれもしょうがない。でもどうか邪魔だけはしないで・・・ここに来るまで、沢山の犠牲を払ってきたの・・・あんたの言った通り、このペンダントだって氏んだ姉さんの形見よ・・・姉さんが文字通り命がけで助けてくれたから、私は今、ここにいる」

男「・・・・・・」

騎士団長「・・・君が味方になってくれるなら結構。心を込めて歓迎しよう・・・だが、もし君が邪魔してくるのなら、はっきり言って容赦はしない・・・それだけは肝に命じておいてくれ・・・料理が来たぞ?」

男「・・・・・・」

女「男、あたしも同じ気持よ? あんたとはクラスメイトだけど、戦闘になったら手加減は出来ないわ・・・最も、この『戦争』に介入してきた以上、かなり腕には自信あるんでしょうけど・・・」

男「・・・・・・」

騎士団長「・・・すまないな。脅しのような感じになってしまって・・・せっかくの料理が冷めてしまう。まずは食べてくれたまえ」

男「・・・は、はい・・」



11: 2015/10/06(火) 11:02:03.37 ID:O9BuHeid0

騎士団長「・・・ふぅ。中々に美味だったな・・・それで、腹づもりは決まったかな?」

女「お願い、味方して男・・・いや、御刀虎。あんたは度々あたしにアドバイスをしてくれた・・・それはつまり、味方してくれるってでしょう?」

男「いや、それは・・・その、口から出まかせというか・・・その、ごめんなさい、俺はただの邪気眼の中二・・・」

バタン!

男「って、あれ、いきなり電気が消え・・・」

女「・・・停電・・・? いや、ここは団長の『領域』内のはず・・・ですよね!? 団長!」

騎士団長「・・・ああ、でもこれは・・・まさか!」

???「そのまさかですわ」

ババババババッ!

男「あっ、電気付いた・・・は? え? なっ、じゅ、銃!?」

女「・・・ちっ、『組織』の部隊連中に囲まれてるわね・・・」

騎士団長「・・・ふん、『機関』のリーダー、直々の登場とは痛み入る・・・この前のドンパチぶりだな、『機関』のお嬢様?」

機関女「お久しぶりですわね、騎士団長さん? 私のメイドを病院送りにしてくださったお礼参りに来ましたわ・・・投降してくださる?」

騎士団長「ふん・・・今更銃が私達に効くとでも思っているのか?」

機関女「いいえ、思っておりませんわ。ただ・・・我々の持てる技術を全て注ぎ込んだ禍学(かがく)弾なら別の話でしょう? うふふ」

騎士団長「貴様・・・どうして、ここが」

機関女「ええ、我々の情報網に、なにやらジャラジャラとアクセサリーを身につけて『奴ら』やら『機関』やら『世界の運命』やらブツブツ言ってる妖しげな男が引っ掛かりましたの。念のため部下に尾行させたら、あなた方がいらっしゃったもので。ご挨拶に伺った次第でございますわ」

女「なっ・・・ちょ、ちょっと男!? あんた一体何してくれてんのよ!!」

男「え・・・え・・・? ちょ、ちょっと待ってくれ、俺はなにも・・・」

騎士団長「・・・いや、彼を攻めるな、女」

女「だ、団長、何を仰って・・・」

騎士団長「・・・お出ましだ・・・ふふっ、全ては君の作戦通りかな、男?」

女「え・・・?」

機関女「・・・っ! この気配は、『組織』の・・・!」

12: 2015/10/06(火) 11:03:05.49 ID:O9BuHeid0

ドドドドドドドドドドドドド・・・・!!

???「よう。あたしも混ぜてくれよ。『騎士団』と『組織』の皆々様方よぉ・・・!」

???「グオオオオオオオオオオオオオ!!!」

男「で、でけえ・・・バカでけえ、犬・・・の頭が3つ・・・? ケロベロスの、超でかいバージョン・・・? いや、それより・・・あの女・・・まさか・・・!?」

女「『組織』の頭領・・・なんであんたがここに!?」

組織女「なんだよ、来ちゃいけねえのか? つーかてめえみたいな木っ端があたしに話掛けんな。ブチ頃すぞ? お?」

女「・・・や、やれるもんならやってみなさいよ! あんたなんか、団長が出るまでも・・・」

騎士団長「まぁ待て、女。何用かな、頭領殿?」

組織女「用もこうもねえよ。団長さん。仲間はずれは寂しいじゃねえか? あたしもその楽しそうなお話に参加させてくれよ? なぁ」

機関女「・・・また痛い目をみたいようですわね? 頭領さん。私が首を切り落とした竜の葬儀は済みましたの? 弔電も出さなかった無礼をお許し下さいな」

組織女「・・・てめえの葬式はちゃーんとウチが出してやる。今この瞬間にだって準備は出来てんだぜお嬢よぉ?」

機関女「あらあら、まぁ怖い」

騎士団長「・・・挨拶は済んだか? せっかくのところ悪いが、あなた達二人を呼んだ覚えはないのでな。お帰り願いたいのだが・・・?」

機関女「無理ですわ」

組織女「無理だな」

騎士団長「・・・だ、そうだ。どうする、男よ? 2年も戦争やっているが、考えてみれば、こうして一堂に会したのは初めての事・・・ふっ、君なりの考えがあってこのような状況を創りだしたのだろう?」

女「そ、そうなの男・・・?」

男「・・・・・・そんな、嘘だろ、おい・・・・・・」

女「お、男・・・?」

機関女「・・・そう言えば、その殿方は初めてお目にかかる方ですわね。『騎士団』の隠し玉ですの?」

騎士団長「フッ、応える義務はないな・・・いや、というよりかは、はっきり言って、彼が何を考えているかは私にも理解出来ない・・・フフ・・・」

組織女「? こいつには何も感じねえぞ? 団長さんよぉ・・・てめえの『領域』に居ることを許可している以上・・・何の『能力』もないって訳じゃなさそうだが・・・ん? ていうかお前・・・男か・・・?」

女「え? 男、組織女と知り合いなの・・・?」

男「・・・え、あっー・・・ど、どうだったか、なぁっ・・・? ちょ、ちょっと記憶にはないというか・・・」

騎士団長「ほう・・・」

機関女「へぇ・・・」

男「いや、なんていうか、その・・・」

組織女「その顔、その声・・・やっぱり男か・・・ていうかおめえなにやってんだ?・・・分かってんだろうな?これはお前の妄想みたいな遊びじゃなくて、本気の・・・」

男「・・・・・・・・・・・・・・・・・・クッ」

女「お、男? どうしたの、腕抑えだして・・・」

男「ククククククククッ・・・ハハハハハハハハハハッ・・・!」

男「ハーッハッハッハッハッハッハッハ!!!!」

女「お、男・・・!?」

13: 2015/10/06(火) 11:05:00.70 ID:O9BuHeid0

男「カカッ!! カカカカカカカカッ!!」

男「ふぅ・・・久しいな組織女よ・・・ふふっ、案ずるな女。俺の計画通りに上手く物事が運びすぎて思わず笑みがこぼれてしまっただけのこと・・・クククッ、しかし組織女よ。妄想とは一体何の事かな? あまり奇妙なことを言うと俺はお前にお灸をすえなければならん・・・まさか我が胸に宿る我が神拳・・・忘れた訳ではあるまい?」

組織女「いや、だからおめえよ・・・それが妄想だって・・・」

男「ハッ!! とぼけるつもりかっ! まぁそれならそれで構わんっ! あまりに計画通りに行くのも少々つまらんからなぁ・・・?」

組織女「・・・おめえよ・・・無理すんなよ・・・見てるこっちが悲しくなって・・・」

男「ククク・・・そんな事よりいいのか? バラすぞ・・・『アレ』を・・・!?」

組織女「なっ・・・てめぇ・・・! それバラしたら本当にぶっ頃すかんな!!」

騎士団長「・・・ふふっ、流石だな男・・・見事に組織女を手球に取っている・・・」

女「組織女のあんな顔、初めて見た・・・やっぱり男はすごい・・・」

機関女「・・・中々面白い殿方ですわね・・・」

男「ククク・・・ではここに宣言しよう・・・俺、御刀虎はこの『戦争』・・・いや、正式名称は『ラグナロクラストレクイエムハルマゲドン』・・・だったかな?・・・に参戦することを! 勿論俺は『騎士団』に属する・・・! ククク光栄に思うがいい! 組織女! 機関女!! この神拳にその心臓を穿たれ命を散らす名誉と、この戦争の果てに生まれる新世界の礎となることをな・・・!! カカッ!!」

組織女「いや、そんな長い名前じゃねーから・・・」

機関女「・・・なっ、なぜその正式名称を・・・それは機関の血筋にしか知らされていないはず・・・!?」

組織女「そんな長い名前だったのかよ!?」

男「・・・カ、カカッ! 言ったろう!? 計画通りと・・・!! お前らは既に俺の掌の上だ・・・!」

機関女「・・・あなたとじっくりお話したいですわ・・・団長さん。彼をお貸し下さるかしら・・・?」

騎士団長「許可を出すとでも?」

機関女「でしょうね・・・ならば力づくですわ。撃ちなさい。我が部下達」

バラララララララ!!!

機関女「・・・へぇ、全て撃ち落とすとは・・・やりますわね」

女「ハァハァ・・・やらせないわ。絶対に私達がこの『戦争』に勝つんだから!」

騎士団長「ふふっ、腕を上げたな、女よ・・・さて、では先に手を出したのはそちらだぞ? 戦闘を開始させてもらおうか・・・!」

男「・・・組織女は、俺に任せてもらおうか、女、団長殿」

女「・・・いいの? あいつの新しい獣が、どんな『能力』かも分からないのよ?」

騎士団長「女、大丈夫だ。彼には無用な心配さ・・・そうだろう、御刀虎よ?」

男「ククク・・・リミッターを外す時が来たかな・・・? 確認するが団長殿、あんたの『領域』ならばどんなに建物を壊しても現実は壊されないので?」

騎士団長「勿論、その通りだ・・・ふふっ、『領域』の事は一切説明しなかったのに・・・流石だな」

男「フフフ・・・別に、ただそう思っただけですぜ・・・あ、あぶねぇ・・・何となく話の流れで理解しといて本当に良かった・・・」

女「・・・氏なないでよ、男」

男「ククク・・・誰に物を言っているのだ・・・? 我こそは暗黒の邪王、滅亡の神翼、灼眼の堕天使、紅き虎帝、御刀虎だぞ!!」

騎士団長「ふ、頼もしい・・・百人力だな・・・」

男「さぁ行くぞ・・・組織女。ここじゃあ団長殿達の邪魔になる。外へ行こう・・・行こう、な?」

組織女「・・・ああ、わーったよ・・・めんどくせえ・・・」


45: 2015/10/07(水) 18:01:39.27 ID:XDYoy2Lk0


男「ククク・・・数千年振りよなぁ? 我が親友であり我が宿敵、組織女・・・またの名を頭領・・・またの名を鉄血にして鉄拳を持つ女番長・・・フフ、元気にしていたか・・・? 貴様とはドイツ帝国のラストバタリオンを倒す為に一時的に共同戦線を取って以来か・・・ふふ、振り返れば皆懐か・・・」

組織女「・・・てめえ、あんまりふざけてるとマジでぶっ頃すぞ? あたしが気ぃ使ってなかったらてめえは今頃『機関』のお嬢にミンチにされてるとこだぜ・・・分かってんのか・・・あぁ?」

男「あ、はい・・・すみません、全部分かってます・・・すみません、命を助けて頂いて本当にありがとうございます・・・」

組織女「ふん、謝るならいい。後で甘いもの奢れよな。・・・それで、まぁ大体事情は分かってるが・・・一応、全部話せ」

男「あ、はい・・ゴニョゴニョゴニョゴニョ・・・」

46: 2015/10/07(水) 18:02:38.23 ID:XDYoy2Lk0
組織女「・・・ふーん、で、色んな勘違いが重なってあんな状況になっちゃって、あたしに全部妄想ってバラされた時の反応が怖くて、あんな啖呵を切った・・・って感じか?」

男「仰る通りでございます・・・」

組織女「・・・言葉も出てこねえよてめえ」

男「俺もだ・・・どうしよう・・・俺、氏ぬのか?」

組織女「はぁ・・・てめえがあそこで勢いで『騎士団』所属宣言しなけりゃ、あたしの『組織』に入れてやって、おおっぴらに守ってやる事も出来たが、今じゃあ、な・・・まぁとりあえず、あたしの部下達には、てめえに手を出さねえように言っといてやる。あたしに打てる手は今のところそれしかねえわな・・・」

男「ありがとう組織女・・・お前って本当に良い奴だな・・・」

組織女「べ、別に大した事はしてねーよ///(こいつ、相変わらず笑顔は可愛いんだよなぁ・・・)まぁ後は正直に全部あの二人に告白すればいいんだろうが、お前にも体面ってものがあるから無理か?」

男「絶対無理です・・・」

組織女「はぁ・・・ったく。めんどくせえ事しやがって。ほんっと中坊の時から変わってねえなぁ・・・その誤解されやすさっつーか巻き込まれ体質はよぉ・・・」

男「あはは、懐かしいな。屋上で授業サボってたら、組織女とレディースの総長の喧嘩が始まったんだよな」

組織女「ああ、んで知らない内にてめえも巻き込まれて、なんとか勝ったはよかったけど、それが県内でも有名な暴走族の妹で・・・って感じで気付けば大抗争になってて、ニュースにもなったもんなぁ・・・はっ、本当に懐かしいなぁ、おい」

男「組織女が親の都合で転校して以来だから・・・あれからもう2年、か?はええなぁ・・・組織女は今時ケータイもスマホも持ってねえから、連絡も付かなかったし・・・」

組織女「ああ、そりゃあ悪かったよ・・・あたしだって、この『能力』に目覚めた時はお前に相談したかったぜ? てめえはそういう事に詳しそうだったからよぉ。まぁ『戦争』でクッソ忙しくてそれ所じゃなかったもんでな」

男「そうか・・・ところで、さっき俺『領域』について適当言ってたけど、やっぱりここって現実世界とは違う場所なんだな? さっきから人も見当たらねえし」

47: 2015/10/07(水) 18:05:02.55 ID:XDYoy2Lk0
組織女「ああ、まぁ漫画とかに出てくる便利空間だと思ってくれて問題ねえと思うぜ? こっちの世界じゃあ人が空を飛ぶし『機関』のお嬢が持つバカでかいロボットやあたしのでっけえ獣達が物理法則無視して大暴れするし、『騎士団』の連中が戦えば奴らの剣圧でビルが何百個もぶっ壊れるしな。まぁある意味ストレス解消にはちょうどいいぜ?」

男「なるほどね・・・ところでそもそもの疑問なんだが、なんでそんな『能力』に目覚めた?」

組織女「・・・あたしの場合はある日、突然目覚めたな。本当に朝起きたらそれがあるのが当たり前みたいな感じでよ・・・ああ、『機関』のお嬢みたいに『能力』に目覚める事が最初から分かってる一族もいるみたいだぜ? 実際問題、奴は『戦争』や『能力』に関して一番知識がある・・・まぁその話は置いといて・・・そんでもって色々戦闘を繰り返して行く内になんか『組織』のリーダーみたいになっちまってよぉ・・・今に至るって訳だ」

男「なるほど・・・で、『戦争』の目的はなんなんだ・・・なんでこんな争いをしてる? 別に現実の戦争みたいに土地を奪い合ってる訳でもないだろう? 戦争に勝ったら何が貰えるんだ?」

組織女「・・・この『戦争』に勝った勢力は、何でも神様だが聖人だがが残した聖遺物・・・だったかな?を貰えるらしいぜ?そんでその勢力の人間全員、一人一つだけ願いを叶えてくれるって話だぜ?あたしも氏んじまった『組織』の元リーダーに聞いた話だから、確証は持てねえが・・・でも、『機関』のお嬢は一族は代々『戦争』に参加してるらしいし、『騎士団』の団長さんも先祖から『戦争』に関わってるらしいぜ?」

男「・・・マジ?」

組織女「ああ、マジさ。イマイチ信じられねえだろうが・・・なんかてめえの妄想みてえな話だろ?」

男「確かに・・・くそっ、なんで俺にはそんな『能力』が目覚めなかったんだ・・・大暴れしてやる自信があったのに・・・」

組織女「今でもてめえはある意味大暴れしてるよ・・・まぁとりあえず説明はこんな所だ・・・じゃあそろそろ戻るか? そろそろ『騎士団』と『機関』のドンパチも終わる事だろ」

男「・・・えっとじゃあ・・・あの。一つお願いがあるんだけど・・・」

組織女「んだよ、改まって」

男「ほら、俺たちってさ、こうメチャクチャド派手に戦う感じで出てったじゃん? だからこう、そんな感じで戻りたいんだけど・・・」

組織女「・・・めんどっくっせえぇぇ・・・」

男「お願い、お願いお願いお願い! 頼むよぉ・・・」

組織女「キュン) た、ったく・・・しょうがねぇなぁおめえは・・・(こいつ、本当に顔だけはいいからタチがわりぃぜ・・・)・・・じゃあ、まぁ適当にやってやるよ」

男「ありがとう!! やっぱり組織女は良い奴だぜ!・・・あ、違った。ククク・・・我が計画の通り動く走狗よ・・・苦労かけるな・・・フフフ」

組織女「・・・てめえ本当にいつかぶっ飛ばすからな・・・」

48: 2015/10/07(水) 18:06:17.95 ID:XDYoy2Lk0
女「ハァハァ・・・『機関』の部隊の連中は・・・これで、ラストォ!!」

ドォン!!

機関女「へぇ・・・女さん。本当に腕を上げられましたね・・・それもこの短期間に・・・一体何がありましたの? 騎士団長さん」

ギィンギィン!!←二人が戦ってる音。

騎士団長「さぁな。ただ女は守りたいものや仲間の為に戦う時に一番力を発揮する・・・御刀虎という強力な仲間が現れた事で、その『能力』が開花しただけの事だろう・・・それよりいいのか? 大切な仲間はあと一人を残して全員やられてしまったぞ?」

機関女「別に。彼らは全員自律型の戦闘アンドロイドですもの。また量産すればいいだけの事ですわ・・・ふふっ、それにもうじき、我々の最終兵器が完せ・・・」

???「・・・・・ぁあああああああああああ!!!!」

ドォーン!!

機関女「な、なんですの!?」

騎士団長「なにか、爆発したか?」

女「アレは・・・組織女・・・!? 組織女がふっ飛ばされて来たの・・・?」

組織女「ハァハァ・・・クソ、やるじゃねえか、男・・・いや、御刀虎・・・!(なんであたしがこんな事を・・・)」

女「嘘・・・あの組織女が、あんなボロボロに・・・男の実力、一体どれくらいなのよ・・・!」

男「・・・ククク・・・」

騎士団長「・・・男の方は傷一つ付いていない・・・フフフ・・・どうやら我々はとてつもない戦力を得たようだ」

男「ククク・・・フフ・・・ハーッハッハッハッ!!どうしたどうした組織女よ!!腕を落としたのではないか!?まぁそれもしょうがないな!!我が瞳術・邪気眼流奥義・漆黒烈波神無月天龍眼に叶う者なし!!貴様は悪く無い!!俺が強すぎるのだ!!そう気を落とすな!!ハーッハッハッハッハッハッハッハ!!!」

組織女「(こいつのこれはもう病気だろ・・・)・・・くっ、ちょ、調子に乗るんじゃねえぞ・・!」

49: 2015/10/07(水) 18:07:22.82 ID:XDYoy2Lk0
女「わ、技名長いなー・・・」

機関女「そんな・・・じゃ、邪気眼流・・・!? 我が一族の真祖が使っていたとされる秘伝の瞳術名を・・・どうして・・・!?」

組織女「(嘘だろおい!?)・・・ちっ、だが今日はこれ以上の喧嘩は無理か・・・悪いがあたしはトンズラこかせてもらうぜ・・・!」

女「あっ!? 待ちなさい・・・くっ、逃げ足だけは速いのね・・・!」

男「まぁいいさ。女。そう焦る事はあるまい・・・今後、何度奴が来ても同じことよ・・・ククク・・・・・・あとでハーゲンダッツ奢ろう・・・」

騎士団長「そうさ、女。男の言うとおりだ・・・さて、ところでお嬢様・・・三対一になったが・・・どうするおつもりかな?」

機関女「・・・今日のところはここでお暇させていただきましょう。そこの殿方というイレギュラーもありましたし、この人数差で勝てると思うほど私は愚かではありませんので」

女「何言ってるのよ。私達『騎士団』が目の前で二度も敵を見逃すとでも・・・」

シュビッ!

女「なっ!?」

騎士団長「・・・チッ! 機関お得意の瞬間移動装置を設置していたか・・・いつのまに!」

機関女「うふ、それではまた会える日を楽しみにしておりますわ『騎士団』の皆様・・・特に、あなた」

男「ククク・・・俺か・・・?」

機関女「そう。あなたには聞きたい事がたっぷりありますわ・・・うふ、いずれ我が家の拷問室にお招き致しましょう・・・」

男「カカッ、そいつは楽しみだぜマドモアゼル・・・。だが、俺に拷問が効くとでも・・・? 鉄の処O(アイアンメイデン)でも口説き落として虜にしちまうぜ、俺はよ?・・・ククク・・・」

機関女「口の減らない・・・それではみなさん、ごきげんよう・・・!」

騎士団長「・・・行ったか・・・ならしょうがない。我々も、一旦現実世界に帰投するとしよう」

女「はい! 団長!」

男「だな。団長殿の指示に従いますぜ・・・・・・拷問、されたくねぇー・・・」

50: 2015/10/07(水) 18:08:29.73 ID:XDYoy2Lk0
騎士団長「今日の所はご苦労だった。当分『組織』も『機関』の連中も動かないと思う。とりあえず今日の所は二人共疲れているだろうし、解散でいいと思うが・・・異論はあるかな?」

女「ありません」

男「フフッ・・・無いな」

騎士団長「では、解散・・・の前に、男。君には礼を言う。我々の側についてくれて、本当にありがとう・・・君が居れば、我々はきっとこの『戦争』に勝てるだろう・・・ところでその、一つお願いがあるのだが・・・///」

男「・・・? なんです団長殿?」

女「どうしたのです団長? 珍しくまごまごして」

騎士団長「いや・・・その・・・な。君の言う神拳とか瞳術とか・・・その、出来れば見せて貰えないだろうか・・・? 私、実はそういうの割りと好きな方でな・・・/// き、きっと格好良く眼の色や形が変わったり、拳に竜とかそういうエフェクトがついたりするのだろう・・・?」

女「あっ、私も見たいかも! 男の戦ってる姿、一秒も見れなかったし・・・」

男「・・・・・・・・・・・・・・・・え」

騎士団長「それに、君の実力の程も見ておきたいのだ。あっ、いや勿論疑っている訳ではないぞ!? 組織女を退けたのは事実だし・・・ただ、今後の『戦争』において、戦闘の役割などを割り振る上で、参考にと・・・」

女「ほら、さっきはあんなにノリノリだったじゃない。早く見せてよ、男」

男「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

51: 2015/10/07(水) 18:09:26.92 ID:XDYoy2Lk0
騎士団長「・・・男? どうした?」

女「・・・顔色が悪いわよ? まさか!? 組織女との戦闘で怪我でも・・・」

男「・・・・・・ぐ、グアアアアアアアアア!!」

女「お、男!?」

男「グッ・・・離れろ! 俺から、離れろ! 畜生、静まれ・・・静まれ・・・!! 鎮まりやがれ・・・!!」

騎士団長「ど、どうしたのだ、男!?」

男「ハァハァ・・・ようやく鎮まりやがったか・・・フッ、心配かけてすまねえな、団長殿、女」

女「い、いま・・・一体何があったの!?」

男「あァ・・・なぁに、俺の中の『獣』がちょろっと暴れただけだ・・・フッ、戦闘後はいつもこうでな・・・興奮してるこいつらを鎮めるのに苦労する・・・説明するのが遅れてすまなかったな・・・」

女「え・・・じゃあ男のあの服装ってまさか・・・」

男「言ったろ・・・? 拘束衣、だと・・・へ。つっても、普段はここまでじゃあねえんだがな・・・今日はちょっと『こいつら』の暴れ具合が半端じゃねえ・・・悪いが先に帰らせて貰っていいか?」

騎士団長「あ、あぁ・・・すまんな、気が付かなくて・・・送っていこうか?」

男「心配ご無用ですぜ、団長殿。流石に一人で帰れる・・・じゃあ、また学校でな、女・・・ククク・・・『戦争』か・・・血が滾るぜェ・・・ククク・・・」

男「・・・・・・・俺、この『戦争』が終わるまで生きていられるかなぁ・・・」

64: 2015/10/09(金) 00:52:28.49 ID:N5PvcOnA0
大分遅くなりました
投下します。

65: 2015/10/09(金) 00:53:28.42 ID:N5PvcOnA0
組織女「・・・ったく。めんどくせえな、おい。あいつが居たらこれから『騎士団』の連中と喧嘩しづらいじゃねえか・・・」

組織部下女「頭領! ご無事で戻られましたか!私、心配で心配で」

組織女「ただの様子見つったろ? あたしだって無茶はしねえさ・・・それより悪いニュースだ。『騎士団』の連中に一人仲間が増えたんだが・・・」

組織部下女「・・・今更ですか?」

組織女「ああ。そいつには手出しすんな。半端じゃねえぞ。並大抵の奴なら返り討ちにあうのがオチだ。全員に伝えておけ。『騎士団』の目立つ格好してバカ

な笑い方してる奴には手を出すなってな」

組織部下女「は、はい・・・(頭領が言うなんて・・・相当の手練なんだろうな・・・)」

組織女「・・・それで『召喚』の準備の方は?」

組織部下女「はい。9割終わってます。あとは頭領の仕上げだけです」

組織女「そうか、ご苦労さん・・・この『戦争』、絶対に勝つぞ」

組織部下女「はい! もちろんです!」

組織女(・・・わりぃな、男。こっちにも譲れねえ願いってもんがあんだよ)

組織部下女(・・・どうしたんだろう。頭領のこんな物憂げな顔、初めて見た)

組織女「あと、お前・・・スマホつーかケータイ持ってるよな?」

組織部下女「え? あ、はい。持ってますけど・・・ていうか、頭領くらいですよ・・・今時ガラケーすら持ってないの」

組織女「うっせ、ほっとけ。あたしの主義なんだよ・・・んで、一つ。頼みがあんだが」

組織部下女「?」

66: 2015/10/09(金) 00:54:22.07 ID:N5PvcOnA0

機関女「忌々しいですわ・・・! 『騎士団』の気取った連中も、組織女の粗暴な言動も・・・何よりあの男・・・私の神経にえらく障りますわ・・・絶対許

しませんわよ・・・!」

メイド「・・・お嬢様」

機関女「メイド・・・!? もう具合はよろしいの!? まだ絶対安静なはずですわよ・・・?」」

メイド「あの程度の怪我など3日も寝れば治ります。それより大丈夫ですか? 大分気が立っておられるようですが・・・」

機関女「・・・『騎士団』に仲間が増えましたの。それも我が機関家でなければ知り得ない情報を持った男が・・・男、あるいは御刀虎という名前に聞き覚え

は?」

メイド「男・・・御刀虎・・・ですか? 申し訳ありませんお嬢様。そのような名前の人物、一度も聞いた覚えは・・・」

機関女「アンノウン・・・という事ですのね・・・ますます気に障りますわ・・・一体あの男、何者ですの・・・?」

メイド(お嬢様がここまで動揺するなんて・・・こんなお姿、初めて見たかもしれません)

機関女「・・・『機関』家当主として、この『戦争』には絶対に勝たなければなりませんのに・・・私自身の願いの為にも・・・ね。・・・『兵器』の開発は

あとどれくらいですの?」

メイド「はい。私も先ほど確認して参りました。残り10%ほどで完成するとの事です。あとはお嬢様のお力添え次第かと・・・」

機関女「了承しましたわ・・・ふふっ、胸が高ぶりますわね・・・ところで、メイド」

メイド「はい」

機関女「『機関』家当主として、あなたに一つ、命令を下しますわ」

メイド「?」

67: 2015/10/09(金) 00:54:55.02 ID:N5PvcOnA0
女「・・・おはよう、男くん・・・いや、男」

男「・・・・・・どうすんだよおい、マジで氏にたくねぇぞ、・・・でもバラすのも今まで騙してたって事になるし・・・」

女「男?」

男「・・・・・・はっ、なに? なんか言った?」

女「え? いや、おはようって・・・」

男「・・・・・・ククク、そうか。済まないな。脳内戦闘でいかにこの『戦争』で叩き潰そうかと瞑想していたのだ・・・」

女「そう・・・大丈夫なのあんた? なんか目が赤いわよ? クマもできてるし・・・眠れなかったの?」

男「いや、別にそういう訳では・・・」

女「寝不足なら保健室連れて行こうか? あっ・・・それとも・・・『獣』がまだ収まってなかったりするの?」

男「・・・い、いや、大丈夫だ。『奴ら』なら昨日の内に何とか鎮めておいた・・・ククク・・・どちらが飼い主なのか、たっぷり時間を掛けて分からせてやったわ・・・お前にも奴らが俺にひれ伏すポーズを見せてやりたかったぞ・・・」

女「・・・そう、ならよかった・・・あんたね? 『戦争』以外なら寝不足と疲労が一番の敵なんだから、気をつけなさいよ?」

男「ククク・・・女、どうした? やけに優しいではないか・・・? ふっ、惚れたか・・・? 悪いが俺が今まで為してきた所業を考えれば俺の行先は地獄
だぞ・・・? その俺の罪を一緒に背負・・・」

女「そ、そんなんじゃないわよ! ただ、もう・・・仲間を失いたくないだけなの!」

男「・・・・・・・・・」

女「ごめん、声を荒げて・・・でも、本心だから・・・」

男「・・・・・・すまなかった」

女「別にいいわ・・・でも本当に気をつけなさいよ? 『戦争』以外の事でも、なんか悩みがあるのなら言いなさい? 力にはなれないかもだけど・・・聞く
くらいなら出来るんだから!・・・あ、先生来ちゃった・・・いくらアンタが化物みたいに強かったとしても、今はただの学生なんだから、授業中はちゃんと起きてなさいよ?」

男「・・・・・・・」

モブ女1「女ちゃーん? 男くんとなにを話してたのかなぁ? うりうりー」

女「べ、別に何でもないって・・・本当に何でも・・・」

男「・・・・・・・罪悪感、半端ねぇー・・・」

68: 2015/10/09(金) 00:55:29.29 ID:N5PvcOnA0

キーンコーンカーンコーン。

女「あ、男・・・今日、放課後予定とかあるの? なかったら一緒に・・・」

男「ククク・・・悪いが今日はちょっと先客があってな・・・一人で帰らせて貰おう・・・約束の刻が近づいてきているのだ・・・」

女「そ、そっか。気を付けて帰りなさい? 何かあったら・・・まぁあんたなら大丈夫だと思うけど、すぐに連絡するのよ?」

男「ふっ、すまんな・・・埋め合わせは後でしよう・・・楽しみにしておけ・・・ククク・・・」

男「ふぅ・・・ウソついて一人になったはいいが、どうしようかな・・・クソ、確かに俺は厨二とか邪気眼とか大好きだけどよぉ・・・まさか本当にこんな事になるなんてなぁ・・・ククク・・・これも我が運命か・・・って・・・もう骨の髄まで染み付いちゃってんだよなぁ・・・俺のこの口調っていうか、性格はよぉ・・・誤解は解いたら解いたらで、女と騎士団長のことを考えると辛いし・・・フフッ、これが二律背反という奴か・・・って、あのな俺・・・」

???「だ、誰か―!」

男「……女の人の、声?」

不良男1「ゲヘヘ、姉ちゃん綺麗だなぁ・・・こんな町中メイド服で出歩くなんて、いい趣味してるぜ、おお?」

不良男2「それはつまり、やっちゃっていいって事だろ・・・? ケヒヒ!」

メイド「や、やめて下さい(どうしましょう・・・こんな男たち二人、一秒も掛からず消し去る事が出来ますが・・・後処理が面倒ですし・・・)

???「・・・ククク、貴様ら。男二人で婦女子を脅すか。いい根性しているな・・・」

メイド(あら?)

不良1「あぁん!?」

不良2「んだぁてめえは!?」

男「ククク・・・この土地で俺の顔も名も知らぬ愚か者がいるとは・・・ククク・・・煉獄の炎に焼かれて後悔するがブエェァ!?」

不良1「ゴチャゴチャうるせえんだよ!!」

ドュクシ!ドュクシ!

不良2「引っ込んでろこの中2が!!」

ドュクシ!ドュクシ!

男「くっ・・・ふふっ、いいのか?貴様ら?我をぼこって・・・!後悔しても・・・あっ、痛い!やめて!そこだけはやめて!」

69: 2015/10/09(金) 00:56:16.10 ID:N5PvcOnA0


メイド(なんなんでしょうこの男性は。・・・え?目を、片方だけつむって・・・アレは、ウィンク?)

メイド(何回も何回も・・・要は逃げろ、ということなのでしょうか)

メイド(・・・今時の男性にしては珍しくガッツのある方ですね・・・ではありがたく・・・)

不良1「ハァハァ・・・ちっ、手間取らせやがって・・・」

不良2「ってあぁ!?女がいねえ!?クソっ、てめえ!・・・って今度は中2もいねえ!?」

不良1「野郎!!探せ!まだ近くにいるはずだ・・・!」

男「ククク・・・隠れ身の術・・・貴様らごときに見破れる訳がない・・・あー、やべえ、草だらけだ。母さんが怒んなぁ、これ・・・あのメイドさん、遠くまで行ったといいが・・・」

メイド「・・・ただ草むらに隠れるのを隠れ身の術と言うのでしょうか?」

男「うおぉ!?びっくりしたぁ! ってさっきのメイドさん!?なにやってんだあんた!早く逃げないと!」

メイド「いえ、あの野卑な二人なら遠くに行ったのを確認しましたので安心して下さい。それより先程と口調が違いますが、それが本来のあなたという解釈でいいんでしょうか・・・?」

男「っ!? ・・・ク、ク、ク。何を言っているメイド?これは世を忍ぶ仮の姿・・・本来の俺は地獄よりの使者・・・その名も・・・御」

メイド「とりあえずお礼を言わせて頂きます。ありがとうございます」

男「・・・か、カカッ!! いい態度だメイドよ・・・我が真名を聞くとその魂が焼かれる事を未然に防いだということか・・・」

メイド「いえ、単純に面倒くさかったので・・・」

男「・・・」

メイド「・・・」

男「ふ、フフン。まぁいいそういう事にしておいてやろう・・・・・・・・・畜生、大人はつめてえよ・・」

メイド「(顔は可愛いのに・・・残念な男の子ですね・・・)ところで・・・お腹は空いてませんか、助けてくださった方?」

男「?」]

70: 2015/10/09(金) 00:57:16.36 ID:N5PvcOnA0
メイド「なるほど、ここが俗に言うファミリーフードですか」

男「俗に言わなくても多分そうだ・・・そしてメイド服を着たままファーストフード店に入った客は多分世界初だぞ・・・光栄に思うがいい、ククク」

メイド「なんであなたが偉そうなんですか・・・しかしよろしいので?助けてくださったお礼がこんな安い所で」

男「ククク・・・もちろん高級ホテルの最上階のレストランでも俺は構わないが・・・俺がそこに出向くと、そこで食事している財界の連中の手を止めることになるからな・・・気を使ってやっているのだよ・・・」

メイド「・・・とっても幸せそうですね、あなた」

男「いや、今人生で一番やばいかもしれん・・・」

メイド「?」

男「いや、なんでもない・・・ククク、気になるか? 気になるだろう? ここのハンバーガー代の料金分くらいなら教えてやってもいいぞ・・・フフフ」

メイド「いえ、興味ありません」

男「・・・・・・」

メイド「私が興味あるのはお嬢様の事だけですので」

男「・・・ん?お嬢様・・・?そう言えば、そのメイド服は何で来てるのだ?趣味か?」

メイド「流石に少女趣味をしていられる年ではありませんよ・・・仕事上です」

男「へぇー。あんた氏ぬほど美人だし、あり得ないほど似合ってるけどな、勿体ない」

メイド「・・・・・・・」

男「・・・なんだ?ぼーっとして。世界の真理に目覚めたか・・・?ふっ、とうとうお前もそのステージに達したか・・・ククク、面白くなってきやがった・・・さぁ闇と光の戦争を始めようぜ・・・」

メイド「・・・私のぼーっとした時間を返してください」

男「何のことだ?」

メイド「なんでもありません」

男「・・・? 所であんた一体なにしてたんだ? お嬢様とか言うあたり、そのお嬢様の道楽にでも付きあわされてるのか?・・・ククク、陰謀の臭いがするぜ・・・プンプンな・・・」

メイド「いえ、単純な人探しです」

男「・・・ほぉん。で、それはだ・・・」

・・・その時、男に電流走るッ・・・!!

これより先を聞いてはならない、と。

これから先は言動の1つ1つが生氏に直結している、と。

勘や第六感ではなく、己の細胞がそう理解した。そう理解したのを感じた。

メイド「どうしました。急に押し黙って・・・」

男「いや・・・」

メイド「?それでは話を戻しますけど・・・私は男という人物を探しているのです。多分この変に住んでいると思うのですが・・・ご存じですか?」

81: 2015/10/12(月) 23:52:00.26 ID:wE/q+SSc0
組織部下女(頭領もむちゃくちゃな事言うなぁ・・・男って言う人がこの辺にいるから探して、連絡先を知っとけなんて・・・頭領の友人って言えば、大丈夫

。昔、一緒に暴走族を潰したって話すれば応じてくれるって言うけど・・・本当かなぁ・・・大体頭領も今時スマホも持ってないのは・・・まぁ連絡用の獣が

いるから、私達『組織』としては問題ないけど・・・うーん・・・)

組織部下女(で、良くも悪くも・・・いや、どう考えても悪目立つしてるバカな奴だから、すぐに分かるらしいけど・・・)

組織部下女「はぁ・・・歩きまわって疲れたなぁ・・・ちょっと休憩しよう・・・ここのファーストフード店でいっか・・・」

組織部下女(ジュース飲みながら行き先を考えよう・・・空いてる席・・・空いてる席・・・って、ええ!?)

組織部下女(メイドさんがいる!? なんで? うわ、しかも一緒に居る人もイケメンだ! )

組織部下女(はえ~すっごい目立つカップル・・・メイドさんは単純にとんでもない美人さんだし、イケメンの方もなんか変なオーラ出てるし・・・動きもな

んか仰々しいというか、芝居がかってるというか・・・でも、やだ・・・私、あの人、超タイプかも・・・///)

組織部下女(・・・え、ていうかまさかあの人が、頭領の言ってた友人・・・? いや、でもうーん・・・どうしよう、声掛けるか迷うなぁ・・・)

組織部下女(ん? アレ・・・あの人・・・いや、あの女・・・『機関』のメイド・・・!? いや、でもあのメイドはいつも『機関』のお嬢様に付きっきり

のはず・・・!?)

組織部下女(それが今、なんで男の人と一緒に!? あの男の人も『戦争』の関係者?でも今まで見たことないし・・・一体何者なの・・・?)



メイド「・・・?」

男「どうした、キョロキョロして」

メイド(一瞬視線を感じたような・・・気にしすぎでしょうか。考えてみれば『領域』でない現実世界で機関家の外を出歩くのはかなり久々ですし・・・勘違いだといいのですが・・・)

メイド「いえ、なんでも、ではその男という人の事は知らないのですね?」

男「わ、悪いが知らんな・・・まぁ俺が持つ裏社会のネットワークを使えば調べる事は造作もないがな・・・クックック・・・」

メイド「・・・そうですか。なんだか無駄に顔が広そうだったので少し期待したのですか・・・」

男「無駄にってなんだ。あとせめて一言でいいから突っ込んで、スルーやめて・・・というか、その男の特徴とか、なんにも知らないのか?」

メイド「ええ。その男を尾行していたアンドロ・・・」

男「? 尾行?」

メイド(・・・言えませんね、その男を尾行し、撮影していた戦闘型アンドロイドが破壊されて、映像などのデータが無くなった事など。目の前の彼と同じぐらいの電波具合になってしまいます)

メイド「いえ、ただその男の事を知っている安藤・・・というウチの者がロクに引き継ぎもせず、海外旅行に行ってしまいまして、連絡が付かないのですが、お嬢様は早急に彼の者を探しだせと仰ったので・・・こうして探し回っているという訳です」

男「ほ、ほぉーん・・・まぁ頑張ってくれな・・・ククク・・・その者と運命が重なる事を願っているぞ・・・」

メイド「ええ、ありがとうございます。ではすみませんがお先に失礼します。人探しを再開しませんと」

82: 2015/10/12(月) 23:53:16.88 ID:wE/q+SSc0
男「・・・もう、後は暗くなる一方だし、辞めといた方がいいぞ。うん、そうだな。明日とかも明後日とかも確か・・・そうだな、俺のスパコンより優秀な脳みそが弾き出した占いによると、待ち人きたらずだからな・・・出来ることなら、一週間くらい人探しは中止にしといた方がいいぞ」

メイド「メチャクチャな脳味噌してますね・・・残念ですがそうは行きません。お嬢様に早急に、と頼まれた事ですので。私にとってお嬢様からの命令は絶対ですから」

男「・・・あんたにとって、そのお嬢様ってのはそんなに大切か」

メイド「ええ、お嬢様のご命令は全てにおいて優先します。私の恩人ですので」

男「・・・・・・ほう、何かあったのだな・・・? ククク・・・聞かせてもらおうか・・・俺はそういうのが大好物でな・・・きっと暗い出来事を二人で乗り越えた過去が・・・」

メイド「このご時世、お金持ちのメイドという安定して色々と融通も聞き職業としての個性もある仕事はそうそうありません。ボーナスも弾んでくれますし、お嬢様には本当に感謝しております」

男「急に俗物になったなてめぇ!?」

メイド「冗談です・・・お嬢様は、幼い頃に両親を亡くし、友達もおりませんでした。なのでつい、メイドというよりかは、年は10も離れておりませんが親のような目線でお嬢様を見てしまうのです・・・過保護というか、メイドの癖に出しゃばりで、余計な世話焼きと思われるかもしれませんが・・・」

男「・・・」

メイド「すみません。ベラベラとつまらない事を・・・」

男「いや、別に」

メイド「でも・・・おかしいですね・・・先ほど会ったばかりですのに、あなたにはこんな事まで喋れてしまいます・・・私、普段お嬢様以外の人間と会話しないのですが」

男「・・・ククク、ようやく気付いたか? 俺があんたを創作術式『催眠(マインドコントロール)』で操ってるこ」

メイド「・・・きっと貴方のそのキャラクターのせいというか、おかげなのでしょうね」

男「最後まで聞けよ!?」

メイド「クスクス、失礼しました」

男「・・・」

メイド「なんですか、今度はあなたがボーッとして・・・」

男「あんた、せっかく美人なんだからもっと笑おうぜ。もったいねえよ」

メイド「・・・・・な」

男「そう、例えば俺のような笑い方がおすすめだぞ・・・何かを企んでそうで実際には何も企んでない、でもちょっと企んでるかもしれないような声を、な・・・ククク」

メイド「・・・その笑い方は多分、一生しないと思います・・・それでは、またご縁があったら・・・あ、そう言えば貴方のお名前は?」

男「おと・・・ではなく、ククク・・・俺はこの世界では多数の者に恐れられる故、無数の名で呼ばれていてな・・・・例えば・・・灼眼の堕天使とか・・・」

メイド「どこらへんが堕天使なんですかね・・・まぁわかりました。ではまたどこかで、灼眼の堕天使さん?」

男「・・・ククク、ああ・・・宿命が俺たちを呼べば、すぐに再会するだろうさ・・・カカッ・・・あ、ハンバーガー、ごちそうさまでした」

メイド「そういう所は礼儀正しいんですね・・・では」



83: 2015/10/12(月) 23:54:31.64 ID:wE/q+SSc0
男「じゅ・・・」

男「寿命が一兆年縮まったぜ・・・」

男「なんとか誤魔化せたが・・・どうするかなぁ・・・多分・・・っていうか、どう考えてもあのメイドさんは『機関』のメイドだろう・・・あの機関女も確

かこの前、ウチのメイドを病院送りにしたお礼参りに・・・つってたしな・・・お嬢様お嬢様言ってたしよぉ・・・他に俺が探される理由も思いつかねえし・・・」

男「次会ったら殺されそうだな・・・やべえよ・・・やべえよ・・・」

???「あの・・・すみません・・・ちょっといいですか?」

男「・・・ん?・・・だれ?」

組織部下女「頭りょ・・・じゃなくて・・・組織女さんの知り合い・・・と言えば分かりますか? 一緒に暴走族を潰したとか何とか言えば分かるって・・・」

男「!・・・ククク、あいつの知り合いか・・・ふふ、何の用かな?」

組織部下女えっと、組織女さんが、貴方の連絡先を知りたいって言っていて・・・ただ、あの人スマホとか連絡先の類を一切持ってないじゃないですか? なので、何か連絡を取りたい時は、私が仲介役になるんですけど・・・大丈夫ですか?」

男「構わんぞ。むしろあんたはいいのか・・・? フフッ・・・この俺と繋がるという事はすなわち、地獄の釜を自ら開けるようなものだぞ・・・ククク」

組織部下女(っ! やっぱりこの人、『戦争』に関して何か知っている・・・? いや、間違いなく知ってる! そうじゃなきゃ、『機関』のメイドと一緒に居たりしないよね・・・ましてやあの電話やメール嫌いの頭領が自ら接触を取るくらいだ・・・ただ者じゃない・・・それに近くで見ればみるほどイ、イケメンだし・・・///)

組織部下女「・・・あなた、一体何者なんですか・・・?」

男「カカッ、辞めておけ。俺に近づくと火傷じゃあ済まないぜお嬢ちゃん・・・そいつはトップシークレットだ・・・ククク・・・まぁ一つだけ二つ名を教えてやろう・・・御刀虎だ、覚えておきな・・・」

組織部下女「は、はい・・・/// 一生忘れません!一生覚えておきます!!(やだ・・・この秘密主義な所が超クール・・・この人、超かっこいい・・・///)」

男「・・・引かないのか・・・?」

組織部下女「・・・はい、あなたに惹かれてます・・・///」

男「は・・・?」

組織部下女「な、なんでもありません!!/// そ、それじゃあ何か会ったら連絡しますから!! す、すぐに、秒で! 1ナノ秒で連絡しますから! さよなら!」

ピュー!!(女がダッシュで店を出て行く音)

男「なんだったんだ、あいつ・・・組織女も、大変なんだろうなぁ・・・」

男「さて・・・じゃあそろそろ帰るか。まぁ悩んでも仕方ねえ、明日は明日の風が吹く、だ・・・ククク・・・運命の神よ、悪いがお前の思い通りにはならんぞ・・・カカッ!」

ファーストフード店の店員全員(((・・・なんだったんだよあいつら・・・・)))


84: 2015/10/12(月) 23:55:38.30 ID:wE/q+SSc0
男母「ケケッ! 起きろ!我が息子よ!! 貴様、いつのまにあんな可憐な女子と仲良くなっていたのだ? まさか貴様、我が一族の血を飲ませた訳ではあるまいな!? 一生隷属してしまうのだぞ!? ちゃんと責任は取れるのだろうな!?」

男「・・・はぁ?」

女「お、おはよ」

男「お、おう・・・」

男母「ケ、ケケケ・・・我が愚息をわざわざ迎えに来てくれるとは・・・ケケケッ、我が息子よっ、貴様は将来暗黒魔法使い確定だと思っているのにやるではないか! (あ、だ、大丈夫かな・・・女ちゃんに引かれたりしないかな・・・この子に友達出来るか不安だったから本当に嬉しいな・・・出来ればお嫁さんに来てくれないかな・・・)」

男「ク、ク、ク・・・我が母よ、ようやく世界中の女が俺のレベルに追いついてきただけの事よ・・・それより母よ、女の分の朝食は? 女よ、何だったら俺の分の飯を食べるか?」

女「い、いいよ。朝ごはん食べてきたし、勝手に迎え来ただけだからさ・・・早く食べちゃいなよ(男くんの母親もきっと、ただ者じゃないんだろうなぁ・・・そう考えたら、私、よくこの家に上がらせて貰ったな・・・)」

男「そうか・・・では遠慮無く・・・」

男母「女ちゃん・・・もし良かったらこの、ミノタウルスから絞った乳をデザート風に我の魔法で発酵した物でも食べるか・・・?(私は一体何を言ってるんだろう・・・)」

女「い、いえ・・・遠慮しておきます・・・ダイエット中なので・・・(ただのプリンに見えるけど・・・きっと何かすごい秘密が・・・)」

男「モグモグモグモグモグ!! ごちそうさま!! 美味であったぞ!! では行くぞ女!!」

女「え、そんな早く食べなくても大丈夫だけど・・・」

男「いいから、行くぞ女!」

 ギュッ!(手を繋ぐ二人)

女「あっ・・・//」

男「では学校に行って参るぞ我が母よ!!・・・・・・・こう、自分のはともかく、端から見るとすごく恥ずかしいのはどうしてだろうなぁ・・・」

85: 2015/10/12(月) 23:58:29.04 ID:wE/q+SSc0
男「女よ・・・どうして急に迎えに来たのだ・・・? 来るなとは言わんが、せめて一言くらい言ってくれ」

女「ごめん・・・でも、昨日のあんたがあんなだったらか、私心配で・・・」

男「心配してくれるのは嬉しいが、過剰なのもどうかと思うぞ・・・」

女「うん・・・ごめん・・・」

男「・・・ま、まぁ英雄色を好むというからな。女が俺の魅力に取り付かれるのも無理はない。カカッ」

女「そ、そんなんじゃないって言ってるでしょ、もう・・・」

男「・・・・・・何かあったのか?」

女「え?」

男「まだ出会って一週間も経っていないが、女のそんな顔は初めて見たからな。聞いてみただけだ・・・ふっ、我が千里眼が恐ろしい・・・」

女「男は、すごいね。何でも分かっちゃう・・・うん、実は『冥府落し』決行が遅れるらしいんだ・・・原因は色々あるみたいなんだけど・・・」

男「・・・・・・・マジで何かあったのか」

女「それで。それ聞いたら『戦争』に勝てるのか不安になっちゃって・・・ごめんね、私は男の彼女でもないのに・・・」

男「いや・・・」

女「・・・・・・」

男「・・・・・・」

女「(男黙っちゃった・・・やっぱり、うざかったわよね・・・)

男「・・・・・・・・・・・・案ずるな、女よ」

女「え?」

男「正直言って、『戦争』に勝てるかどうかは、微妙だ。俺の力も無限ではないのでな。『機関』も、『組織』も、まだ隠し玉があるはず・・・だが、なんと

しても俺はお前だけは守り抜こう・・・」

女「え・・・?」

男「ククク・・・なにせ、お前は俺が『戦争』に参加するのに、最高のお膳立てをしてくれたからなあ? それに対する礼くらいは当然するさ・・・お前が俺

の名を呼べば、俺は必ずお前の前にあらわれて、お前を守る・・・ここに、それを誓おう・・・ククク、この暗黒の邪王に守られる栄誉を深々と噛みしめるが

いい・・・カカッ」

女「お、男・・・うん・・・へへ、その言葉、信じるよ? 裏切ったら、私の剣で真っ二つにしてやるんだから♪」

男「カッ、それは怖いなぁ・・・ククク、ところで女よ。いつもの顔に戻ったな」

女「え? ・・・あ」

男「ふん、気分は晴れたか? では学校へ行くぞ・・・ああ、勿論『奴ら』に気をつけてな・・・」

女「・・・ふふっ、男に言われなくてもそんな事分かってるわよ!」

男(・・・さっきの言葉は、本心だ・・・例え命に変えても、女と団長殿は守りぬかなくては、な・・・それが悪気があったわけではないとはいえ、これは嘘を付き、二人を騙した罪の報いだ・・・)

101: 2015/10/17(土) 18:52:28.08 ID:uEMMYaFQ0
メイド「・・・お嬢様、ただいま戻りました」

機関女「ご苦労でしたわメイド。随分と時間が掛かりましたわね・・・かの御刀虎に関しての情報は見つかりましたの?」

メイド「いえ・・・申し訳ありませんお嬢様。残念ながら何一つ・・・」

機関女「・・・優秀なあなたが見つけられなかったというのなら、仕方のない事、そう気を落とさなくていいですわ」

メイド「・・・もったいないお言葉・・・」

機関女「部下の失敗の責任を取るのが、上に立つものの責務ですもの。当たり前の事を言っただけですわ・・・しかしそうなると、その御刀虎とやらは相当、『能力』に関しては熟練者ですわね・・・そういった事にめざといあなたですら・・・」

メイド(・・・部下・・・ですか・・・そうですよね。お嬢様にとっては、私は・・・)

機関女「今度、『領域』であったら常に御刀虎の動向を注意しなくては・・・メイド、どうかしたのですの? そんな憂いた顔をして・・・」

メイド「いえ・・・何でもありません」

機関女「? そうですの? あなたは『戦争』に必要不可欠ですもの。体調管理だけはしっかりしてくださいな?」

メイド「はい」

機関女「では、私は『兵器』の最終調整に入りますわ。あなたはとりあえず今日は休みなさい。何かあったらすぐに報告を。それでは」

メイド「・・・僭越ながら、お嬢様の体調は大丈夫なのでしょうか? お嬢様の方もあまり、顔色が優れないようですが・・・」

機関女「私の事は心配しなくても大丈夫ですわ。確かにここのところ、睡眠時間は3時間ほどですが、『戦争』に勝つ為ですもの。これくらいなんてことありませんわ」

メイド「ですがお嬢様・・・」

機関女「心配は結構。ともかく休みなさい。それ以上は聞く耳を持ちませんわ」

メイド「・・・はい」

メイド(お嬢様は焦っておられる・・・それほどまでに叶えたい願いがあるのですね・・・)

メイド(完成を焦るあまり、『兵器』のどこかに見落としがあって、戦闘中に不具合を起こさなければいいのですが・・・)

102: 2015/10/17(土) 18:52:58.42 ID:uEMMYaFQ0
組織部下女「頭領、ただいま戻りました!」

組織女「おう、わりぃな。面倒掛けてよ。あのバカ、すぐに見つかっただろ?」

組織部下女「はい、すぐに見つかりました! 確かに色々と目立つ方でした!」

組織女「だろ? まぁこれからもこの『戦争』が終わるくらいまではあいつとの連絡係になってもらうんだが・・・大丈夫か?」

組織部下女「はい!全然大丈夫です!・・・ところで、頭領」

組織女「ん? なんだ、改まった顔して」

組織部下女「え、えっとぉ・・・そのぉ・・・男さんってぇ・・・///」

組織女「・・・モジモジしてどうした。はっきり言え」

組織部下女「はい・・・あの、男さんって彼女いるんですか・・・?///」

組織女「・・・はぁ?」

組織部下女「い、いえ、なんでもありません!失礼しますぅぅ!///」

組織女「・・・・・・」

組織女(あのバカ、顔だけはいいからなぁ・・・そう言えば中房の時も、あいつ結構モテてたんだよな・・・本人は知らなかったみたいだが・・・)

組織女(組織部下女が面倒起こしてくれなきゃいいが・・・)

組織女「ったく、『召喚の儀』も『戦争』も大詰めだってのによぉ・・・はぁ、やれやれ、あいつが出てくると、なんでも場を引っ掻き回しやがる・・・」

組織女(んで、その面倒とかお世話をするのもあたしの役目・・・ってな・・・ったく、だりぃけど、なんかあいつほっとけねえんだよなぁ・・・)

・・・カサカサ・・・

組織女(・・・っ?人の気配!?)

組織女「誰だ!?出てこいよ!!」

・・・シーン・・・

組織女(返事はない・・・気のせいか?)

組織女「・・・ちっ、あたしらしくもねえ、気が立ってんのかな・・・」

組織女(とりあえず今は『召喚の儀』に集中、だな・・・)

???「・・・・・・・」

103: 2015/10/17(土) 18:53:42.07 ID:uEMMYaFQ0
男「団長殿から呼び出しか・・・それも女抜きで俺一人で来てくれとは・・・一体何の用であろう・・・」

男「まさか愛の告白か・・・?フフン、女はなぜか俺の様なワイルドな男に憧れるからな・・・ククク、告白されても驚かないように、心の準備だけはしておかなくては・・・」

男「・・・冗談はこれくらいにして、マジで何の用なんだろうか・・・どうしよう、メチャクチャ具体的な戦略とかの話されたら。俺全く分からんぞ・・・まぁその場合は適当に誤魔化すか・・・ああ、そんなこんなで、団長の家に着いてしまった。緊張するなおい・・・」

ピーンポーン

男「ククク・・・団長殿、俺だ・・・入れて貰えますかな・・・? ・・・・・・我ながら、この変わり身の速さはすごいな・・・」

騎士団長「あ、ああ。いいぞ。入りたまえ」

男「フフフ・・・失礼しますぜ・・・」

騎士団長「や、やあ・・・済まないな。わざわざ来て貰って」

男「気にしなくて大丈夫ですぜ。あんたが大将だ。気軽に呼びつけて貰って構わんですよ・・・それで本日のご用件は?」

騎士団長「う、うむ・・・まぁ、なんだ・・・いきなり本題に入るのも不粋だからな・・・その前にお茶でも飲もうではないか・・・」

男「? まぁ。出して貰えるなら・・・」

104: 2015/10/17(土) 18:55:15.33 ID:uEMMYaFQ0
騎士団長「そこに座って待っていてくれ。今、お茶を入れてくる」

バタン(ドアが閉まる音)

男「・・・なんだか今日の団長殿は妙に変だな。そわそわしているというか、落ち着きがないというか・・・」

男「まさか本当に告白? いや、流石にないか・・・・・・それにしても・・・品のいい家だな・・・高級感が半端じゃねえ・・・団長殿もそう言えば、気品に溢れているというか、育ちの良さが出てる、上品な人だものな・・・なんかこういう家には使用人とか居そうなものだが・・・」

ガララ(ドアが開く音)

騎士団長「お待たせ・・・君の口に会うか分からんが、お茶菓子も持ってきた。良かったら食べてくれ」

男「・・・す・・・すごい大量に持ってこられたな、団長殿。別に俺はそこまで腹は減っていないが・・・」

騎士団長「あ・・・済まない・・・何せ、余り客人を呼ぶ事がないでな・・・それに、その・・・男性を家に上げる事が初めてだったから、つい加減が分からなくて・・・///」

男「・・・・・・ふ、フフッ。冗談だ団長殿。戦場では一瞬の油断が命取り。ましてやエネルギーの消費によって脳味噌が疲弊し、判断が遅れる事はそれこそ致命的だ・・・だが最近の俺は糖を補給するのを忘れていてな・・・これだけ甘い物をぶち込めば三日三晩は俺の灰色の脳細胞もお祭り騒ぎだろうさ・・・むしろありがたいくらいですぜ?・・・あむっ・・・むぐむぐ、おお、メチャクチャ美味い!!」

騎士団長「・・・そ・・・そうか。それは良かった。あ、お茶も良かったら飲んでくれ。年寄りめいた趣味だが、私は少々お茶に凝っていてな。気に入ってくれるといいんだが・・・」

男「・・・ゴクッ・・・ほぉ・・・こ。これはすごいな・・・ククク、一度だけ飲んだ事があるわ。そうアレは確か・・・ヤクザと各国のマフィアとギャングの最高幹部達を集めたパーティーで俺が場を和ませる為に出した最高級の玉露・・・カカッ、懐かしい味ぞ・・・なんだこれ、氏ぬほどおいしいんだが・・・」

騎士団長「ほう、飲んだ事があったか・・・流石は男だ。しかも一口で理解するとは・・・」

男「・・・・・・え、マジ?」

騎士団長「君が来るというので、つい奮発して買ってしまった・・・高かったがな・・・その茶碗も合わせて10万円ほどだし、果たして君を歓迎するのに、これくらいで大丈夫かと迷っていたが、浅はかな私の知識では、これ以上最高級の物は見つからなかったのだが・・・懐かしの味なら楽しんで貰えたかな・・・?」

男「・・・・・・」

騎士団長「・・・・・・男? 手が震えているぞ?」

男「・・・・・・」

騎士団長「あー! 男、こぼれそう、こぼれそうだぞ!!」

男「・・・はっ。す、スマンな団長殿。懐かしの味に、過去の事を思い出したら、ついぼーっとしてしまっていた・・・」

騎士団長「ふふ、気にする事はない。さぁ私がつぐからいくらでも飲んでくれたまえ」

男「お、おう・・・・・・とことん味わって飲んでおこう・・・」

105: 2015/10/17(土) 18:55:47.15 ID:uEMMYaFQ0
男「ご、ごちそう様です・・・ウップ・・・口の中甘ったるいぜ・・・」

騎士団長「もうお腹いっぱいか? 実は冷蔵庫の中にこれと同じ分くらいの洋菓子も用意しているのだが・・・あと、紅茶も」

男「さ・・・流石にもう大丈夫ですぜ、団長殿。それはまたの機会にでも・・・そうだな。『戦争』に勝った暁にでも、勝利の美酒と共に、味わうとしましょうや・・・」

騎士団長「ふむ。確かに・・・では、そろそろ本題に入るとしよう・・・」

男「ああ・・・では聞かせて頂こうか、団長殿の用件とやらを・・・フフッ、鬼が出るか蛇が出るか・・・『戦争』に勝つ為に、禁断の秘術を解こうと言うのなら、止めはしませんぜ・・・?」

騎士団長「禁断の秘術、か・・・確かに、ある意味そうかもしれんな」

男「・・・ほ、ほお・・・」

騎士団長「・・・なぁ、男。今日は両親がいないんだ」

男「・・・え」

騎士団長「ついでに言うと使用人も今日は休みだ」

男「・・・な、な・・・?」

騎士団長「だから、だからな・・・」

男「い、いやちょっとまってくれ団長殿・・・こ、心の準備が・・・というか、はっきり言って俺の邪王暗黒剣はまだ未使用だから団長殿に恥をかかせてしまう・・・」

騎士団長「・・・今日は思いっきり技名などを叫んでも大丈夫な日なのだ」

男「というか、やはり男女のそう言った事は清らかな付き合いをしたあとで、満月の下で交わした接吻の後、どちらからともなく行う行為でなくては・・・って、は・・・?」

騎士団長「・・・君は一体何を言っているのだ?」

男「え? いや、団長殿こそ一体何を・・・」

騎士団長「いや、だから・・・私もその、なんだ、君のような言動に憧れてるというか・・・ほら、君が組織女を倒して我々に合流する際、何かしらの技名を叫んでいただろう? ふふ、あのネーミングセンスに私は心底惚れ惚れしてしまったぞ・・・///」

男「・・・ああ、そう言えば、そういうのが好きって言ってましたね・・・・・・期待してた俺がバカだった・・・」

騎士団長「何をガッカリしてるんだ・・・? ああ。だって、そういうのカッコイイではないか・・・私自身、こう自分の剣技に名前を付けてみようと思ったのだが・・・どうも、私はセンスが無くてな・・・そうだ、出来る事なら、もう一度あの技名、教えてくれないか?」

男「え? いや、それはちょっと・・・・・・」

騎士団長「そ、そうか・・・きっと色んな誓約があるんだろうな・・・。では、何か他の技名は?」

男「え?」

騎士団長「きっとあの技は、君の中で100ある・・・いや1000ある・・・いや、もっとある技名の一つでしかないのだろう? もしよろしかったら、少しでいいから教えてもらえないだろうか? 参考にしたいのだ・・・」

男「・・・・・・ま、まあ確かに・・・俺が持っている技名は軽く万はあるし・・・べ・・・別に教えても構わんですが・・・いや、でも団長殿・・・こう技名というのは他人に教えると効力を失ったり・・・」

騎士団長「やはりあるのだな!!では早速教えてくれ!!」

男「は、はい・・・」

106: 2015/10/17(土) 18:56:34.26 ID:uEMMYaFQ0
男「こんな地下室があんのか・・・金持ちはちげえなおい・・・」

騎士団長「そうか?別に普通だと思っていたが・・・じゃあ技名を何か一つ、出来ればかっこいいのを教えてもらってよろしいだろうか?」

男「は、はい・・・(くそ、こうなりゃヤケだ・・・俺の今までの邪気眼妄想をフル活用してやる)・・・ふっ、そうだな・・・では、団長殿。適当に剣を振るって貰ってよろしいだろうか?」

騎士団長「ふむ・・・・やぁ!とぅ!はっ!」

ブォン!ブォン!

騎士団長「・・・どうだ。何か私の剣技に似合う技名はあるだろうか」

男「・・・封風剣撃王神断散双覇舞斬」

騎士団長「は?」

男「封風剣撃王神断散双覇舞斬!」

騎士団長「・・・」

男(・・・・・・流石に長過ぎて引いたかな・・・・・?いや、むしろふざけてると思われたらどうしよう・・・)

騎士団長「・・・(フルフル)

男(あ、やべえ・・・肩が震えてる・・・怒ってる・・・絶対怒ってるよ・・・殺されるかも・・・)

騎士団長「男・・・」

男「・・・はい・・・」

騎士団長「・・・ものすごくクールじゃないか・・・鳥肌が立ってしまった・・・ふむ・・・今度の戦いで是非使ってみよう・・・!!」

男「・・・・・・そ、そうですか・・・ククク・・・団長殿のお気に召したなら光栄ですぜ・・・」

騎士団長「ふむ・・・よし・・・試しにやってみよう・・・くらえ!封風剣撃王神断散双覇舞斬!」

ブォォン!!

騎士団長「く、く、クク・・・フフフ・・・楽しい・・・楽しいぞ・・・」

男「・・・・・・」

騎士団長「男、もっと・・・もっと沢山教えてくれ・・・そうしたら私は、もっと強くなれる気がするんだ・・・!」

男「・・・か、カカッ・・・いいですよ団長殿・・・こうなったら今日はとことん付き合いますぜ・・・!」

107: 2015/10/17(土) 18:57:16.64 ID:uEMMYaFQ0

騎士団長「ヤァァァァァ!!剛岩墜蒼連荒烈魔衝襲空断震落!!」

男「遅い!!もっと早口に、魔衝の所を力強く!!」

騎士団長「くっ・・・!!なるほど・・・では、隙ありィ!!剛岩墜蒼連荒烈魔衝襲空断震落!!」

男「ふふっ、合格です・・・流石団長殿・・・飲み込みが速いですな・・・」

騎士団長「ふふっ、これくらい大した事ないさ・・・そんな事よりもっと私に教えてくれ・・・!」

男「カカッ、全くどこまで強くなる気です・・・? 味方ながら恐ろしい・・・ふっ・・・では次。今度は突きの技名をお教えいたしますぜ!」

騎士団長「突きだな・・・よし、ハァァァァ!!」

ドォン!!

男「・・・昴剛衝襲震蒼刹崩裂刃破攻凄陣時追滅!」

騎士団長「・・・よし、見えたぁ!!そこぉ!!昴剛衝襲震蒼刹崩裂刃破攻凄陣時追滅!!」

男「ククク・・・流石団長殿。既に一回聞いただけでイントネーションも完璧だ・・・」

騎士団長「ふふっ、これくらい当然だ・・・」

男「・・・でも、今のは技名を叫ぶのに集中する余り、肝心の技の方が疎かになってましたぜ?」

騎士団長「・・・はっ、言われてみれば、確かに・・・」

男「カカッ、そんなんじゃあまだまだと言わざるを得ないなぁ、団長殿?」

騎士団長「くぅぅ・・・もう一回だ、男・・・貫けェ!!!昴剛衝襲震蒼刹崩裂刃破攻凄陣時追滅!!」

男(・・・俺は一体何をしているのだろう・・・)

108: 2015/10/17(土) 18:58:12.72 ID:uEMMYaFQ0
騎士団長「ハァハァ・・・叫びすぎて、喉が痛い・・・ふふっ、でも体は疲弊しているのに、心はまるで休日の朝のように爽やかだ・・・」

男「フフフ・・・見事でしたぜ、団長殿・・・まさか奥義・火浄乱光九白王氷双水星連破神襲剣暴剛流衝までも使えるようになるとは・・・」

騎士団長「なぁに、君の指導があったからこそだ・・・ありがとう・・・とても充実した鍛錬だった・・・」

男「カカッ、礼を言われるような事は何もしてませんぜ、まぁ俺も、うら若き美しい乙女が躍動する様をこの目に焼き付けられて光栄でしたよ・・・ククク・・・」

騎士団長「う・・・うつくし・・・」

男「・・・? 団長殿、急に顔が赤く・・・」

騎士団長「な・・・何でもない、気にするな・・・!」

男「? わかりました・・・それじゃあ俺はそろそろお暇させていただこうかな・・・技名を伝えるという行為は、思った以上に精神の疲弊が激しかったので・・・」

騎士団長「・・・うむ。わかった・・・今日はほんとうにありがとう男・・・あ、何だったら技名を教えてくれたお礼に・・・その、ウチで料理を食べて行くか? ちょうど、美味しいお肉が入ったのだが・・・」

男「い、いえ・・・流石にそこまでは結構。お礼だったらさっきの美味なお茶菓子で十分すぎるほど十分でしたぜ・・・それに、我が家には閻魔大王よりも恐ろしい女鬼がいるものでな・・・」

騎士団長「? そうか。まぁ君がそう言うなら・・・・・・ところで最近、君の身の回りで妙な事が起きなかったか?」

男「・・・妙な事、とは?」

騎士団長「ふむ、なんだか私の気のせいかも知れんが、最近どうも我々の回りを嗅ぎまわっている奴がいるらしい・・・」

男「・・・・・・ほう」

騎士団長「『冥府落し』の決行が遅れたのも、部下たちに預けている『冥府落し』に使う聖剣に傷が付いていたからなのだ」

男「・・・なん・・・だと・・・?」

騎士団長「まぁ、幸い。修復出来るレベルであったし、今は私が身に着けているから問題はないが・・・」

男「・・・『組織』か、『機関』の連中の仕業、なので?」

騎士団長「いや・・・『組織』の連中は、そんな陰湿な事はしてこないし、『機関』の連中もアレで誇り高い。武器に傷を付けるようなコソコソとした真似はしないさ。どっちの連中も、真正面から戦うのを信条としているからな」

男「・・・」

騎士団長「誰かのイタズラか、あるいは私や『騎士団』に恨みを持った者の犯行か、もしくは私の思いもよらない誰かの犯行かもしれないが・・・ともかく君も気をつけたまえ・・・まぁ君にはいらぬ心配だと思うが・・・」

男「・・・・・・心にとどめておきますぜ、団長殿」

騎士団長「うむ。君は大事な戦力だ・・・気をつけるように」





機関女「・・・・・・ふふ、とうとう、とうとう完成しましたわ!!我が『機関』の科学と禍学と機関家の長きに渡る歴史を全てつぎ込んだ『兵器』が・・・うふふ・・・この『戦争』。我々『機関』が勝利を頂きましたわよ!!!」

119: 2015/10/22(木) 09:21:52.06 ID:bOmiwUf00
女「男ー、迎えに来たわよ!」

男母「ケケケ!さっさと悠久の眠りから目覚めよ我が愚息!!あのような清純な婦女子、貴様のようないい年こいて未だに夢幻に酔っているような奴には勿体なさすぎるくらい勿体なさすぎるのだぞ!?さっさと永遠の盟約を交わし我が一族の血を継がせてしまえ!!(あ、つい本音が・・・)」

男「・・・ク、クク・・・我が母よ・・・朝から少々気分が高揚しているようだな・・・我らの守護神が眠る湖の水でも飲んで落ち着け・・・(女の前で変な事を言わないでくれ母さん・・・)」

男母「け・・・ケケ・・・ほ・・・ほう、珍しくまともな事を言うではないか我が愚息・・・たまには貴様の忠告にしたがってやるとしよう・・・だが勘違いするな、””風””が今はそうしろと言っているだけの事・・・ケケケ」

女(・・・何を言っているのか、よく分からないけど、きっと私には及びもつかない深いレベルの会話なんだろうなぁ・・・)

男父「・・・・・・・」

女(あ、男のお父さんだ。初めて見た。・・・というか、男と男のお母さんはかなりド派手だけど、この人は地味だなぁ・・・)

女「おはようございます。初めまして。男くんのクラスメイトの女です」

男父「ああ、おはよう。ふふっ、君の事はよく男から聞いているよ・・・男と友達になってくれてありがとう」

女「い、いえ・・・そんな、別に・・・///(やだ、男って私の事家族に喋ってるの!?うわ、なんか超恥ずかしいっ・・・でも、この人、なんか普通・・・?)」

プルルルル、ピッ。

男父「・・・俺だ。どうした?ほう・・・クケケ、そうか・・・オバマもその『選択』もしてしまったか・・・なに、気にするな。奴がフリーメイソンのジジイ共の操り人形なのはいつもの事だろ?そんな事より俺はプーチンの動向の方が・・・ほう、300人委員会に楯突くというのか、クケケ、流石我が親友・・・やる事が豪胆だぜ・・・ああ、分かってる。あと・・・そうだな、235時間後にはそっちに行こう・・・奴らに思い知らせてやるとしよう、果たしてどっちが世界を動かす盟主に相応しいかを、な・・・エル・ヨダソウ・コングルゥ・・・!!」

ピッ。

男父「あ、済まないね・・・ちょっとまだ君には今の会話は聴かせるべきじゃなかったね・・・少し早すぎた・・・かな?・・・クハハ・・・まぁいずれ、分かるだろう、その時が来たら、ね・・・クハハ・・・」

女「え・・・あ、は、はい・・・(やっぱりこの人も普通じゃなかった・・・男一家は果たしてどんだけすごいのよ・・・)」

男「ククク、待たせたな女よ、さぁ行くぞ!」

女「あ、うん。お邪魔しましたー」

120: 2015/10/22(木) 09:22:18.92 ID:bOmiwUf00
男「・・・なぁ、女よ、なにかこう・・・我が父に言われなかったか・・・?」

女「え? ああ、なんかプーチンがどうとか、オバマがどうとか・・・」

男「そうか・・・・・・・あのオヤジが家族の中である意味一番ヤバイからな・・・・・・今日は控えめな妄想で良かった・・・・・・」

女「? ところで、男は、この土日は何してたの?」

男「え? ああ、団長殿と鍛錬をしていたぞ」

女「・・・え?」

男「団長殿が俺に教えを乞いたいというのでな・・・お互いに切磋琢磨した、いい時間であった・・・」

女「へ、へぇ~・・・え、団員の誰かも一緒に、だよね?」

男「いや、二人っきりだったぞ」

女「・・・ふ、ふぅぅぅぅぅぅ~ん・・・あの美人な団長と二人っきりだったら、それはさぞかし、楽しい楽しい時間だったんでしょうねぇ・・・」

男「ククク・・・鍛錬の内容が知りたいか・・・?ふっ、だが残念、それは禁則事項だ・・・いかに女と言えどもこれは教えられ、痛っ、痛い痛いっ! いきなりなんだ女!?蹴るんじゃない!」

女「別に・・・蚊が止まってたのよ、でっかい蚊がね」

男「この季節に蚊は恐らくいないと思うが・・・」

女「あら、じゃあ見間違いだったのかしら・・・ま、いいでしょ。ほらテクテク歩く。遅刻するわよ」

男「・・・なんか、機嫌が悪くないか、女よ・・・」

女「別に? いつもどおりよ!」

男「お、おう・・・・・・そう言えば、中学生の時、組織女も確か、俺が他のヤンキー女と仲良く喋っていると機嫌悪くなったりしたっけか・・・女というのは本当に摩訶不思議な生きものだな・・・」

121: 2015/10/22(木) 09:22:59.31 ID:bOmiwUf00
キーンコーンカーンコーン

男「ふぅ・・・もう放課後か。あっという間だな・・・まるで授業などなかったかのようだ・・・はっ、まさか・・・この世界は干渉されているのか・・・?そう言えば聞いた事がある・・・創造主(クリエイター)という存在が居て、そいつらにつまらないシーン、不要な場面だと判断されると、あっさりとそれに関する記憶が消去され、日々もまたたく間に流されると・・・まさか、今、そいつらに攻撃を・・・!?」

女「・・・なにブツブツ言ってんの?」

男「ククク・・・ああ、今世界の真理に気付いてしまった所だ・・・」

女「あっそ・・・それより放課後ヒマ? ヒマよね? だったらちょっと付き合いなさい」

男「・・・お、女よ。その・・・俺は何か、お前にしてしまったか? なんでそんなに不機嫌なのだ?」

女「別に・・・あんたには関係ないでしょ。ほら、早く行くわよ」

男「お、おう・・・」

先生「あ、ちょっとまって男くん。君は明日補習だからね、忘れずにちゃんと来るように、わかった?」

男「・・・ククク、先生、この俺を補習如きで縛れるとでも?」

先生「来なかったら君の成績に多大な影響があるとだけ言っておくわ」

男「・・・あ、はい・・・」

先生「大丈夫よ。厳しくしないから。私、男くんみたいな浮いてて、ちょっと変な生徒を放っておけないの。転校初日はあっけに取られたけどね・・・先生が手取り足取り優しく教えてあげるから、安心して。君と私の特別授業、なんちゃってね、うふふ」

男「・・・・・・あ、の、えーっと・・・・・・//」

女「イラッ)・・・先生。私、男くんと用事があるので、もういいでしょうか?」

先生「あらあら、ごめんなさい。男くん。女さん、気をつけて帰るのよ?」

女「はい、では」

男「ククク・・・アウフヴィーダーゼン・・・やべえ、ドイツ語の先生の発音がわかんねえ・・・・ま、マイティーチャー・・・」

先生「ドイツ語と英語がごっちゃになっちゃってるわね・・・はい、また明日」

122: 2015/10/22(木) 09:24:29.77 ID:bOmiwUf00
男「女よ、それで付き合えとは一体、何の用事なのだ・・・?」

女「・・・『騎士団』の定例会議よ。団長と、私。それと他の主力団員も集めて、『騎士団』の現状確認と、これからの方針を決めるの・・・そこであんたの紹介もするわ。ちなみに場所は、町外れの倉庫街の一番奥。分かる?」

男「ああ、あそこか。そういう場所は転校初日で一通り巡ってあるからな、分かるぞ・・・ククク、ド派手に自己紹介してやろう・・・ところで、純粋に疑問なのだが、今どれくらい団員はいるのだ?」

女「・・・そうね、『戦争』開始初期では数十人居たけれど、今では両手の指の数で事足りるわ。『組織』もおんなじようなもんじゃないかしら? あ、『機関』だけは別ね。あそこは戦闘アンドロイドと巨大な人型兵器が主力ですもの。恐らく人間のメンバーは最初期からあの気取ったお嬢とメイドだけね。まぁ、あの二人はずっと生き残ってるけど」

男「なるほどな・・・なぁ、女。そのメイドというのは、年は俺たちよりそれなりに上の、メチャクチャな美人か?」

女「年は確実に上でしょうね・・・それとまぁ、敵ながら美人だわね、あのメイドは。ついでに言えばお嬢様は人形みたいに綺麗だしね・・・あと、組織女も言動はイカツイけど、よく見れば美形だし、その配下にはアイドルみたいに可愛い子もいるし・・・ったく、敵ながら容姿に恵まれた奴ばっかりでムカつくわ・・・というかなんでメイドが美人って知ってるのよ」

男「まぁちょっとな・・・・・・というか、やっぱりかー・・・・・・」

女「何がやっぱりなの? ・・・っていうか思ったんだけど、あんたって年上好きな訳?」

男「はぁ?」

女「さっき先生にデレデレしてたじゃない。それに団長だって年上だし・・・」

男「いや、別に、俺は年上好きとかそういう訳ではないが・・・というか、急にお前は何を言い出してるのだ?」

女「まぁ、とぼけるんならとぼけるんでいいけど・・・そう言えば、団長も先生も、あとあのメイドも胸おっきいし・・・やっぱり男って胸が好きなの?あんな脂肪の塊が?」

男「お前は本当に何を言っているんだ・・・まぁ確かに、胸は大きい方が好みだが・・・って、あっ・・・」←女の貧相な胸を見つめる。

女「・・・っ、ど、どうせ私は貧乳ですよーだ!!男のばかー!!」

ダッダッダ(涙目で走り出す女)

男「ま、待て女!!俺は貧乳も嫌いじゃない!!むしろそうやって貧乳はステータスとか開き直らずに、コンプレックスを持っていて、貧乳を指摘されたら顔を真っ赤にするお前のその態度に好感が持て・・・って、あっ」

ズル(男が転ぶ音)
バッ(転びそうになって何かをつかもうと手をのばす男)

女「ひゃ、ひゃん・・・!」

男「ふぅ、掴むものがあって、なんとか転ばずに済んだ・・・って」

ワナワナ(制服のスカートが男の手によって脱がされ、可愛らしいパンツが丸見えになり、顔を真っ赤にして震える女)

男「・・・あ・・・す、すまん悪気は・・・」

女「・・・・・・・っ!このアンポンタン!!あんたなんかもう嫌い!!嫌い嫌い嫌い!!大っ嫌い!!あんたなんかもう知らないんだからっ!!」

ダッダッダ(スカートを履き直して顔を真っ赤にして走りだす女)

男「行ってしまった・・・」

123: 2015/10/22(木) 09:25:48.61 ID:bOmiwUf00
女(男のバカバカバカバカ!あんな奴、もうどうだっていいわよ!!俺がお前を守るとかかっこつけた癖に、他の女にデレデレして!!あんな奴最低よっ!!)

女(もう知らないっ!!あんなバカ!!機関のお嬢の兵器に潰されちゃうか、組織女の獣に食べられちゃえばいいんだから!!)

ガラガラ・・・(定例会議が行われる倉庫の扉を開ける音)

団長「お、来たか女・・・うん?男は?」

ガヤガヤ(団員が喋ってる)

女「・・・後から来るって言ってましたよ。場所は分かるって言ってたんで。もう来るんじゃないですか?」

団長「そうか・・・ところでどうした女。機嫌が悪いのか?頬を膨らませて・・・」

女「いえ、別に・・・何でもありません」

団長「ふむ? まぁ、男を団員皆に紹介しなければならないしな・・・もう少し待つとするか・・・」

???「その必要はありませんわ」

団長「・・・ッ! この気配は!? みんな、散れっ!」

ババーン!!ドガッ!ガッシ!ボカッ!(倉庫が壊れる音)

モブ団員1「うわぁぁぁ!!」

モブ団員2「ぎゃああああ!!」

団長「ゴホゴホッ・・・クッ、みんな無事か!? 無事な奴は返事をしろ・・・!」

女「・・・わ、私は無事です・・・!」

団長「・・・女以外で無事な者、いないのか! 返事をしろ!!」

シーン・・・

団長「・・・・・・・クッ、女以外は全員、やられてしまったか・・・!」

124: 2015/10/22(木) 09:26:53.35 ID:bOmiwUf00
機関女「ごきげんよう、騎士団の方々。少々手荒なご挨拶になってしまったようで、ごめんあそばせ?」

女「っ! 『機関』・・・!! それにまた、大量の戦闘アンドロイドと・・・新兵器・・・(なによあれ、今まで人型大型兵器と比較にならないくらい大きいじゃない・・・)!?』

メイド「お嬢様。その『兵器』の実戦は初めてです。あまり無茶はなさらぬよう」

団長「ちっ、メイドまで一緒か・・・あの時の傷は、もう癒えたのかな?」

メイド「その節はどうも。おかげ様で完治致しました。ご迷惑、ご心配をおかけしたお礼に、今日はあなた方に氏出の旅路を贈呈したいと思っております」

団長「減らず口を・・・ふっ、まぁ何度来ても同じこと・・・それに今日の私は一味違うぞ・・・ククク・・・貴様らに奥義・火浄乱光九白王氷双水星連破神襲剣暴剛流衝を披露してやろう・・・!」

機関女「・・・」

女「だ、団長・・・?」

メイド「・・・」

団長「ククク、恐ろしくて声も出ないか・・・?」

機関女「・・・女さん・・・彼女は一体どうしてしまいましたの・・・?」

女「いや、私にも何が何だがさっぱり・・・」

メイド「・・・何か、どこかで聞き覚えがあるような口調というか、なんというか・・・」

?「・・・なんかデカイ音がすると思って、急いで来てみりゃあどうなってんだこりゃあ・・・!」

メイド「・・・この声、どこかで聞いた覚えが・・・?」


125: 2015/10/22(木) 09:27:47.89 ID:bOmiwUf00
機関女「・・・お久しぶりでございますわね、男さん」

男「お、お前は・・・ククク、久しいな、マドモアゼル。カカッ、わざわざ俺の餌食になりに来るとは、よほど我が神拳と瞳術の実験体になりたいと見える・・・おや、隣は新顔さんかな?・・・ククク、残念だな。メイド服を来ている婦女子よ・・・今日、お前はて、天に・・・召される事になるで、あろ・・・あろう・・・」

メイド「(この声、やはりどこかで・・・)貴方がお嬢様の言っていた男・御刀虎さんですか・・・ところで、なぜ顔を私から背けているのです?」

団長「そうだぞ、男。敵と戦うのだ。堂々としたまえ」

男「グッ、いや、その・・・なんというか・・・急に、敵に顔を向けると、腹痛になる病気が・・・」

団長「何を訳の分からない事を言ってるんだ君は。我らは『騎士団』だ。騎士の誇りにかけて堂々と戦うのが筋だろう。ほら、シャキッとしたまえ」

女「そうよ、男。何ビクビクしてるのよ」

男「・・・・・・ぐぅ・・・・・・逃げ場は、ないか・・・・・・」

くるり(男がメイドの方に顔を向ける)

メイド「・・・貴方は・・・あの時の・・・」

男「・・・・・・く、か、カカッ、メイドよ。あの時とは、何の事かな?悪いが暗黒の邪王である俺に仕えたいと申し出てくる女は腐るほど居てな。メイドの顔など一々覚えていないのだ、く、ククク・・・」

メイド「・・・・・・そうですか(一応力を探ってみましたが・・・まぁ、持ってる訳がないですよね。騎士団の二人は勘違いしているようですが・・・)」

男「ふ、ふふふ・・・」

メイド(何の因果でこの『戦争』に関わっているのやら・・・まぁ、とりあえず引き離してあげましょう。いくらお嬢様の敵でも、流石に一般人を巻き添えにしたくはありません。それにこの前のお礼もありますし・・・)

団長「どうした、男。汗ダラダラだぞ」

男「ふ、ふふ・・・武者震いという奴ですぜ、団長殿」

126: 2015/10/22(木) 09:28:40.28 ID:bOmiwUf00
メイド「・・・お嬢様。あの男は私にお任せを」

機関女「・・・貴方の事は信頼していますが、それでも大丈夫ですの? あの男は未知数・・・どんな能力を持っているか、未だにわかりませんのよ?私の『兵器』の大火力で消し飛ばした方が良くなくて?」

メイド「・・・だからこそです。お嬢様です。もし万が一、あの男の能力で、兵器を無力化ないし破壊されれば、我々がこの『戦争』に勝つのは至難の技。故に私があの男を抑えれば問題ないかと」

機関女「・・・わかりました。では行きなさい」

メイド「はい、かしこまりました」

男「ククク・・・どうやら敵のメイドは俺をご指名のようだ・・・」

団長「気をつけろ、男。奴は全身が武器だ。そこかしこから銃器、鈍器、刃物、ありとあらゆる道具を出す戦闘メイドだ。ウチの団員の2割はあのメイドにやられている。まぁ君なら大丈夫だと思うが・・・」

男「ククク・・・了解ですぜ・・・・・・どうやって逃げよう・・・」

女「・・・」

男「な、なんだ女。なにか言いたげな顔して・・・」

女「・・・ふんっ、別に何もっ!」

女(そんな神妙な顔したって無駄よ。しばらく口聞いてやんないんだから・・・)

女(それに男ならどうせ、メイドごとき瞬頃して戻ってくるんだろうし、心配いらないわよ)

男「・・・」

メイド「では、御刀虎さんとやら?ここではお嬢様の邪魔になります・・・場所を変えますが、よろしいですね?」

男「・・・ああ、どこだろうと、俺の勝ちは揺るがないからな・・・ククク・・・メイド、後悔するなよ・・・!」

メイド「(この人のこれはもう病気ですね・・・)それでは、お嬢様。気をつけて」

127: 2015/10/22(木) 09:29:11.77 ID:bOmiwUf00
機関女「さて、ではお二人? この間の続きと行きましょうか?」

女「ふん、もうあんたの戦闘アンドロイド人海戦術には飽き飽きよ。なんか新しい兵器に乗ってるけど、どうせそれだってコケ脅しでしょ。案外芸がないわね、お嬢様?」

団長「女に同意見だな。今日こそ貴様は負ける。今の内に負けた時の言い訳でも考えておけ」

機関女「・・・そうですわね。確かに、今までのわたくしの戦法はお二人には食傷気味かもしれませんわね・・・ですから」

バッ(機関女が人型兵器に乗り込む)。
ガッ、ガガ、ガガガ!

女「なっ・・・戦闘アンドロイドを・・・兵器が食べてる・・・?」

団長「・・・貴様、血迷ったか?」

機関女「いいえ、極めて私は正常ですわ。ただ、この新兵器、燃費が大変悪いので、こうやってエネルギー補給するのですわ」

機関女「そして、大量のエネルギーをたいらげたら・・・うふふ、今までの兵器の十倍のスピードとパワーをもった、モンスターマシンの誕生ですわ・・・!!」

団長「・・・チッ・・・(今までで一番のエネルギーを感じる・・・これは、まずい・・・『冥府落し』があれば、あるいは、だが・・・いや、今の状態では出力が足りないから、どっちにしろ無理か・・・)」

女「だ、団長・・・どうしたら(なにこれ、こんな威圧感、今まで感じた事・・・)」

団長「・・・いいか、なるべく奴とまともに打ち合うな。防御もするな。攻撃をかわす事だけに集中しろ。奴のパワーを考慮すれば防御しても体力を削られてジリ貧だ。かわしてかわしてかわしまくれ!」

機関女「ふふっ、さぁ。それでは行きますわよ。騎士団長さん、女さん。せいぜい私を楽しませるダンスを踊ってくださいな?」

団長「・・・男が来れば、この均衡も崩れるだろう。彼が来るまでの辛抱だ。それまでは全神経を研ぎ澄ませて回避に集中しろ!」

女「はいっ・・・!」

女(そうよ、男が来れば、こんな兵器。すぐにぶっ壊してくれるに決まってるわ)

女(早く来てよね、男。それで、私達を格好良く助けたら・・・見直してあげるんだから)

128: 2015/10/22(木) 09:30:58.27 ID:bOmiwUf00
シュン!(瞬間移動装置で移動した音)

男「フッフッフ・・・メイドよ。まさかまたお前と縁する事になろうとはな・・・しかもこのような場所で・・・カカッ、これだから運命とやらはつくづく面白い・・・神も中々凝ったシナリオをお書きになるものだ・・・」

メイド「・・・・・・次、口を開いたあと、その口調をやめていなければ、容赦なく打ちます。これは警告です」、

男「・・・あ、すみません・・・一銭にもなりはしないのに、俺に合わせてくれてありがとうございます・・・俺が今ここでこうして生きていけるのはメイドさんのおかげです。本当にありがとうございます・・・」

メイド「・・・ふぅ、やれやれ。あなたには一杯食わされましたね。まさかお嬢様が探している御刀虎とやらがあなたとは思いませんでした。まぁ見抜けなかった私も私ですが・・・」

男「・・・その事については、釈明する気はない。あの時、正直に答えたら殺されると俺の勘が言っていたものでな・・・で、俺をどうするつもりだ、メイド?こ・・・頃すのか・・・?」

メイド「・・・あなたのような一般人を躊躇なく殺せるほど、人間を辞めてはいないつもりです。貴方には、あの不良から助けて頂いてお礼もありますしね。ただ、お嬢様の邪魔をするのなら、私の全力を持って排除する、とだけは言っておきます」

男「・・・」

メイド「なぜ、あなたがこの『戦争』に関わっているのか・・・興味はありますが。ただ今はそれを聞いてる時間はありません」

メイド「ですから、もう何も言わずにこの『戦争』から消えて下さい。今後一切、私とお嬢様、そして『戦争』に関わらないでください。そうすれば、私は何も言わずにこの場から立ち去ります。あなたに危害も加えません。それは『機関』家に務めるメイドの誇りにかけて保証します。『騎士団』のお二人には、私があなたの油断を突いて頃した、とでも言っておきましょう。そうすれば、あの二人の中で、あなたは綺麗な思い出として刻まれたままになります。それで問題ないでしょう?」

男「・・・ちょ、ちょっと待てよ、なに言って・・・」

メイド「――これは遊びじゃないんですよ、男さん」

男「・・・」

メイド「あなたの下らない妄想とは違うんです、残念ながら。無力なあなたに出来る事は何もありません・・・なにも」

メイド「それに、今日であのお二人は恐らく氏にますし、いい夢見れたのではないのですか? ちょうどいいではないですか。妄想が現実化してみたいで、この日々は楽しかったでしょう?」

男「な・・・二人が氏ぬって、どういう事だよ!?」

メイド「・・・お嬢様の新兵器は、この『戦争』史上最大、最強の兵器です。エネルギーがすぐに切れてしまう以外は、欠点はなに一つありません。そのエネルギーも、大量の戦闘アンドロイドを連れて行く事で解決済み・・・。我々のシュミレーターでは、99.999999%の確率で、『騎士団』の方々は為す術なく倒れ、我々が勝利するとの結論が出ています」

男「そんな・・・」

メイド「・・・喋りすぎてしまいました。まぁ、あなたを倒すのに掛かった時間と言えば、ちょうどいいでしょう・・・では、そろそろ私は戦場に戻ります」

男「ま、待て・・・待ってくれ・・・」

メイド「申し訳ありませんが無理です。この身は全て、お嬢様の物・・・お嬢様をお守りし、お嬢様の願いを叶えることこそが、我が使命。もし『騎士団』の連中を倒して、お嬢様の願いが叶うのであれば、私はそれに粛々と従うのみです・・・わかりますね?」

男「・・・っ」

メイド「さようならです、男さん。もう二度と会う事もないでしょう・・・ファーストフード店での会話は、心の底から楽しかったとだけ、伝えておきます・・・では」

シュン!(瞬間移動装置を使った音)

男「・・・・・・」

129: 2015/10/22(木) 09:32:34.64 ID:bOmiwUf00
男(どうするんだよ、俺)

男(団長殿も、女も氏ぬらしいぞ)

男(兵器を使えば99%の確率で勝つって・・・ははっ、それ、漫画とか妄想だったら、逆に『騎士団』の勝ちフラグだよな。だったら俺が心配せずとも、二人は勝つだろう。それこそ運良く覚醒やら何かして・・・)

男「・・・でも、これは、漫画でも、妄想でもない・・・」

男(紛れも無い現実だ)

男(だから)

男「99%、二人は氏ぬ・・・」

男(氏ぬ・・・)

男(でも、俺に一体何が出来る・・・俺はただの妄想好きの、邪気眼で、中二で、何の力もない、ただの痛々しい普通の男だ)

男(メイドの言った通り、俺には何も出来ないだろう)

男(大体、瞬間移動装置で飛ばされて、ここがどこかもわからないんだ。冷静に考えて、俺に出来る事は何も出来ない)

男(だから、だから、だから・・・)

女『お、男・・・うん・・・へへ、その言葉、信じるよ? 裏切ったら、私の剣で真っ二つにしてやるんだから♪』

男(・・・くそ、なんであいつの顔が浮かんでくるんだ・・・)

男(俺は結局、あいつを裏切るのか・・・裏切る・・・そうか、俺のやった事は、あいつを騙して・・・)

男「女・・・」

男「・・・」

男(ちくしょう)

男(ちくしょうちくしょうちくしょう!!)

男「ああああああああ!」

男「ちくしょう、やってやる!! あいつは高校での初めての友達だ!!」

男「それに団長殿だって、家にお呼ばれしてくれた初めての女性だ!」

男「その二人を裏切るくらいなら、氏んだ方がマシだぜちくしょう!!」

男(・・・でも、いいか、冷静に考えろ俺、例え俺が盾になって二人を守ったとしても、お嬢もメイドもそれで戦意を喪失するとは考えづらい。だから二人を無力化できるほどの能力を持っていなければ、ただの犬氏だ)

男(そんなのはただの俺の自己満足だ。だから、二人を倒せるほどの力が、今早急に必要な訳だが・・・まさかここで俺に隠された能力が覚醒する訳ではあるまい)

男(そんな世迷い言、理想論は捨てて、もっと現実的に考えろ・・・)

男「現実的、現実的・・・何にしろ、俺一人じゃ無理だ・・・・・・」

男「・・・はッ!」

男(ひらめいた・・・)

男(よし・・・これなら・・・いや、でも・・・行けるか?これは・・・いや、もう、これしかない!)

男「よし・・・大丈夫だ、きっと上手くいく・・・!」

男「待ってろ、女、団長殿!」

男「今すぐ助けに行ってやるからな!」

130: 2015/10/22(木) 09:34:10.54 ID:bOmiwUf00
シュン!(瞬間移動装置の音)
ブォン!!ブォン!!(兵器の駆動音)

メイド「お嬢様。ただいま戻り・・・これは・・・」

女「う、ぅぅ・・・」

団長「ま、だ・・・まだだ・・・」

メイド(今まで常に互角の戦いを繰り広げてきた『騎士団』の二人が、10分ほど目を離しただけで、もう満身創痍・・・さらにお嬢様の『兵器』には傷一つない・・・凄まじいですね、あの『兵器』は)

女「・・・あ、やっと帰ってきた、もう遅いわよ男! ちゃっちゃとこの兵器を・・・って、メイド・・・?」

メイド「申し訳ありません、男さんではなく、私です。女さん」

女「・・・なっ、なんであんたが・・・男はどうしたのよ・・・!!」

メイド「・・・彼なら、氏にましたよ。というより、私がこの手で頃しました」

団長「・・・・・・・・・・・・・・は?」

女「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

メイド「意外とあっけなかったですね。彼が見せた一瞬の隙を付いたら、呆気無く氏んでしまいました。まぁ強者故の油断、という奴でしょう」

女「・・・う、嘘よぉ!!!」

団長「貴様、メイド・・・いい加減な嘘をつくと、タダでは済まさんぞ・・・!!」

メイド「嘘ならばなぜ、帰ってきたのは男さんではなく私なのでしょうか。いつも冷静沈着な団長さんなら、すぐに分かるはずですが・・・」

団長「・・・っ・・・!」

女「嘘よ!そんなの私は絶対に認め・・・」

ブォォォォォン!

女「きゃああああああ!」

団長「女っ! くっ、貴様らっ・・・」

メイド「・・・詰みですよ、お二人。抵抗しないなら、私が痛みなく天国へとお送り致しますが・・・」

団長「たわけた事を抜かせっ・・・おぉぉぉぉ!!」

ギィンギィン!!

メイド(流石の実力ですね、あのお嬢様の兵器と互角に打ち合うとは・・・あるいは一対一でしたら、まだ勝負になったかもしれません・・・いずれ体力切れで、幕引きだとしても・・・それほどまでに団長さんの技量は凄まじい・・・)

メイド(ですが、これは一対一ではなく・・・)

メイド「隙ありです」

団長「ガッ・・・!」

ズッシャアアアア!

女「団長・・・!」


131: 2015/10/22(木) 09:34:53.61 ID:bOmiwUf00
団長「くっ、クソ・・・」

女「・・・男、早く、来てよ・・・男ぉ・・・」

メイド「お嬢様。どうぞトドメはお嬢様の手で」

機関女「・・・」

メイド「お嬢様?」

機関女「・・・・・・」

メイド「お嬢様、どうなさったのです? 早く、トドメを・・・」

ブォン!

メイド「なっ!?」

ブォン!ブォン!ブォン!(兵器がメイドを攻撃する音)

メイド「お嬢様! なぜ、私に攻撃をするのです! 一体何を・・・うっ!?」

ザザァァァァ!!(攻撃が当たってメイドが地面を転がる音)

メイド「お、お嬢様・・・一体どうして・・・・・・」

機関女「・・・」

メイド(さっきからお嬢様は一向に返事をして下さらない・・・・・・はっ、まさか・・・)

機関女「・・・う、あ・・・」

メイド「!?お嬢様!!どうなされたのです!!お嬢様!!」

機関女「・・・あ・・・あ・・・」

メイド(お声に力がない・・・やはり、お嬢様は、機械に取り込まれている・・・!?そう言えば、あれだけ大量に連れてきた戦闘アンドロイドも見当たりませんし・・・まさか、エネルギーが尽きた結果、『兵器』が一番身近なお嬢様のエネルギーを、奪っているとでも!?)

メイド「くっ・・・お嬢様!今助けます!!(この兵器の開発に着手した時、お嬢様は焦っておられた・・・やはり、その時になんらかの設計ミスが・・・!)」

ブォォォォォン!

メイド「グッ・・・く、うぅぅぅぅ・・・!」

バーン!(兵器に攻撃され、壁に打ち付けられるメイド)

メイド(なんという、力・・・立つことすら、困難なほど・・・)

機関女「た、たす・・・・・・あ、ああ・・・・・・」

メイド「・・・お嬢様ぁ・・・!」

132: 2015/10/22(木) 09:36:13.39 ID:bOmiwUf00
ウィーン・・・ガチャン!(兵器が女に近づいてくる音)

女(ああ・・・今日で、これで、私の人生、終わりなんだ・・・)

女(あっけないなぁ・・・)

女(団長も立とうとするけど、もうどこにも力が入らないみたい・・・)

女(私も、無理ね。指一つ動かすのすら出来そうにないわ・・・)

女(ごめんね、『騎士団』のみんな・・・)

女(私達、負けちゃうみたい・・・)

女(お姉ちゃん・・・今、そっちに行くからね)

女(・・・あと、男)

女(ごめんね、不安になったら勝手に会いに行ったり、勝手に嫉妬したり・・・)

女(ごめんね・・・私、最後まで何一つ、可愛くない女だったわよね・・・)

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・(兵器が武器を女に向ける音)

女(最後にもう一度だけ、男の顔が見たいなぁ・・・)

女(男・・・)

『お前が俺の名を呼べば、俺は必ずお前の前にあらわれて、お前を守る・・・ここに、それを誓おう・・・ククク、この暗黒の邪王に守られる栄誉を深々と噛みしめるがいい・・・カカッ』

女(・・・)

女(そう言えば、男は・・・こんな事言っていたわね)

女(来て、くれるかなぁ・・・)

女(無理よね、こんな、可愛げのない女なんか助けるような男、どこの世界にも居るわけないわ・・・)

女(それに名前を呼べば必ず現れて私を守るなんて、冷静に考えればそんなの無理に決まってるもの・・・ただ、私の不安を鎮める為に言ってくれた、優しい嘘よね・・・)

女(それなのに、あっという間に機嫌を直して・・・私、バカだったなぁ・・・)

133: 2015/10/22(木) 09:36:54.35 ID:bOmiwUf00
女(でも・・・)

女(人生の最後くらい、そういう優しい言葉、信じてもいいわよね・・・そういう言葉に、すがってもいいわよね・・・私を助けてくれる誰かが居るって、信じながら氏にたいの・・・)

キュゥゥゥ・・・(兵器がエネルギーを溜める音)

女「・・・けて・・・」

バァァァァン!!(エネルギー弾を発射する音)

女「・・・助けて、男ー!!」



???「――闇に飲まれよおおおおぉぉぉぉ!!!!!」




ドガラッシャアアアアアアアアア!!!!(兵器が吹っ飛ぶ音)

女「・・・え・・・?」

134: 2015/10/22(木) 09:38:06.80 ID:bOmiwUf00


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!!

団長「こ、れは・・・」

メイド「・・・一体、なにが・・・」

???「グルルルルルル・・・!!)

女(・・・巨大な虎に・・・天使みたいな、翼が生えて・・・?)

女(え、その上に・・・誰かが乗って・・・)

???「ククク・・・どうやら・・・間に合ったようだな・・・」

女(あの声、あの口調・・・まさか・・・まさか・・・)

女「まさか・・・お、おと・・・おと・・・」




男「――ふっ、俺の名を呼んだか女? 言っただろう、お前が俺の名を呼べば、必ずお前を守ると・・・ククク・・・盟約はここに果たされた・・・!!」


155: 2015/10/30(金) 15:09:21.31 ID:DDgMIptl0


時を少し遡る。

男「とりあえずあいつに電話しよう・・・頼む、出てくれ」

プr

???「は、はいもしもし!」

男「(ワンコールで出た、速いな)ククク・・・俺の事を覚えているか?組織部下女よ・・・」

組織部下女「はい!!一日足りとも忘れた事はありません!毎日あなたの事を考えてました!!」

男「お、おう・・・済まないが、大至急組織女に取り次いで・・・というか、今すぐ会いたいんだが、可能か?」

組織部下女「はい!無理でも可能にします!多分この時間ならいつもの場所に居ますので!すぐ案内しますよ!というか男さん今どちらにいらっしゃるんですか?なんだったら私、迎えに行きますよ!!(迎えに行けば、一分でも多く男さんと一緒に居られるし・・・///)」

男「(なんだこの食いつきの良さというか、テンションの高さは・・・)そ、そうか。まぁ今は一刻を争う事態だから正直助かる。悪いがお言葉に甘えさせてもらうぞ」

組織部下女「いえいえそんな!で、今はどちらに?」

男「え、あーえーっとここは・・・この辺で一番大きい山のふもとだ・・・(あのメイドめ・・・随分遠くまで飛ばしてくれたもんだ)分かるか?」

組織部下女「・・・」

男「・・・ん?どうした、もしもs」

ヒュー・・・ドォン!!(バカでかい何かが飛んできて、着地する音)

組織部下女「男さん、お迎えに上がりました!」

???「・・・ピューヒョロロロー・・・」

男「お、おう・・・よくアレだけの説明でここがわかったな・・・というか、めちゃくちゃ速いな・・・(組織女とおんなじように、バカでかい獣に乗って飛んできやがった・・・これは・・・鷹か? 鷹の超でかいバージョン・・・)」

組織部下女「えへへ、男さんの為ならどこでも速攻で駆けつけますよ!さぁ、頭領の所までご案内します!」

男「うむ、頼む・・・あ、いや、その前に寄って欲しい所があるんだが」

組織部下女「え?どこへです?(え、やだ。どうしよう・・・男さんの秘密基地とかに寄れって言われたら・・・男さんの秘密に触れちゃう・・・///)」

男「コンビニだ」

組織部下女「・・・え?コンビニ?」

156: 2015/10/30(金) 15:10:10.94 ID:DDgMIptl0
組織部下女「頭領、男さんを連れて来ました」

組織女「おう。お疲れさん」

男「ククク・・・息災であったか、組織女・・・」

組織女「・・・連れて来てもらって早々、申し訳ねえんだけどよ、ちょっと席外してくんねえか。こいつと大事な話があるんでな」

組織部下女「え?あ、はい・・・頭領がそう言うなら」

男「ククク・・・ご苦労であった。組織部下女。改めて礼を言わせて貰おう・・・俺のワガママにも付き合ってくれて感謝する・・・ありがとう」

組織部下女「い、いえいえ・・・そんな・・・(えへへ・・・男さんにありがとうって言われちゃったぁ・・・///)じゃあすぐそこで待機してますんで、何かあったらすぐに呼んで下さい!」

男「・・・済まないな、急に会いに来て」

組織女「別に、構わねえよ。その為に組織部下女をおめーとの連絡係にした訳だしな。で、用件は?」

男「・・・その前にこれ、お土産だ。ハーゲンダッツとコンビニのスイーツ。この前は本当にありがとうな」

組織女「おう、サンキュー・・・ってお前。これどんだけ買ってきたんだよ!? メチャクチャずっしりしてんぞおい!」

男「コンビニであるだけ買い占めてきた。良かったら食ってくれ」

組織女「こんなに貰ってもよ・・・まぁ、ありがとよ」

男「ああ・・・で、その大量のハーゲンダッツに免じて一つ、頼みがある・・・」

組織女「・・・んだよ? そんなに重々しい口調でよ」

男「いや、俺の頼みがめちゃくちゃ厚かましいものとは分かっているから、つい、な・・・中学の時から、俺、組織女には頼りっぱなしでさ・・・本当に感謝してんだ」

組織女「な、なんだよ急に・・・///別に何も出ねえぞ・・・///」

男「いや、お前は良い奴だからな・・・それで今回、というか今すぐ、またお前を頼りにしてしまうんだが、大丈夫か?」

組織女「・・・あたしだって厨房の時にはなんだかんだお前にはお世話になったしな。まぁあたしに出来る範囲だったら、協力してやるよ。で、何の話だ?」

男「・・・」

バッ(男が土下座する音)

組織女「・・・あ?」

157: 2015/10/30(金) 15:11:15.14 ID:DDgMIptl0
男「単刀直入に言う。獣を一匹。貸してくれないか?」

組織女「・・・・・・はぁ?」

男「無茶苦茶言ってるのは分かっているし、メチャクチャな事言ってるのも分かってる。でも頼む。時間がないんだ。今すぐ貸して欲しい」

組織女「・・・・・・」

男「実は今。町外れの倉庫街で、『騎士団』が『機関』のお嬢とメイドに襲われてるんだ。機関の『兵器』が半端じゃねえ強さで『騎士団』は恐らく、女と団長殿を残して全滅。残った女と団長殿もいつまで持つか・・・」

組織女「・・・・・・」

男「この前、久しぶりに再会した時も、組織女のケロベロスのような獣に乗せて移動させてもらったし、さっき組織部下女の鷹みたいな獣の背中に乗せてもらったからわかるが、獣達は俺みたいな無能力者でも触れるんだろ?だから・・・」

組織女「――おい」

男「・・・・・・」

組織女「てめえ、なにさっきからふざけた事抜かしてんだ?敵に手を貸すバカがこの世のどこにいんだ?ああ?」

男「・・・わかってる。でも・・・」

組織女「うるせえ!てめえアレか?この大量のお土産もそれ狙いか?こんなもんでホイホイ獣の一匹や二匹貸すとでも?あたしも舐められたもんだなおい!!」

男「・・・そんなつもりは・・・」

組織女「こっちゃあ『騎士団』の連中には煮え湯を何回も飲まされてんだ!その連中が全滅するってんならあたしにとってこれ以上嬉しい知らせはねえ、笑いが止まらねえよ!」

男「・・・・・・」

組織女「・・・わかったらさっさと土下座やめて帰れ。てめえに出来る事はなんにもねえよ。もともとお前はこの『戦争』になんの関わりもねえ一般人だろうが」

男「・・・・・・」

組織女「帰れつってんだよ!!」

男「・・・・・・頼む」

組織女「うっせえ!!」

男「・・・お前しか、頼れないんだ・・・」

組織女「・・・・・・」

組織女「・・・はぁ。あのな、男。これはダチとしての警告でもあるんだぜ?」

男「・・・・・・」

158: 2015/10/30(金) 15:12:08.84 ID:DDgMIptl0
組織女「あたしらは『能力者』はなんだかんだ身体能力が強化される。ちょっとやそっとの事じゃあ氏にたくても氏ねやしねえ。前の『機関』との喧嘩で、高層ビルの屋上から真っ逆さまだった事があるが、その時も傷一つ付かなかったぐらいだ」

組織女「・・・でも、てめえはそうじゃねえ。ましてやてめえはかなりの運動音痴だ。あたしらのマジの喧嘩に巻き込まれたら・・・てめえ、マジでおっ氏んじまうぞ?」

男「・・・・・・でも、それでも、俺は・・・・・・」

組織女「・・・はぁ。おめえ、結構頑固だもんな。特にそうなったおめえはぶん殴られようが蹴っ飛ばされようが動かねえ事くらいは知ってるけどよ・・・」

男「・・・じゃ、じゃあ!」

組織女「でも、無理だ。今回だけは諦めろ」

男「そんな・・・」

組織女「・・・厨房の時みたいにはいかねえんだよ、男。仮にあたしがお前に獣貸したとしたら、すぐにその現場にブッコミ掛けるつもりだろうが・・・生きて帰れる保証はねえんだ。ダチをわざわざ危険な場所に行かせるほど、あたしは薄情じゃねえ」

男「・・・」

組織女「分かるか? 男。お前の為に言ってんだ。氏なせたくねえんだよ、てめえを」

男「・・・それはありがたいが、でも・・・!」

組織女「・・・あたしからは言える事はそれだけだ・・・帰れ。・・・と言いたい所だが、てめえアホだから仮にあたしから獣借りられなかったら、例え何も出来ないとしても、生身のまんまカチコミ入れるつもりだったろ?」

男「・・・っ」

組織女「悪いがそこまで読んでるぜ?てめえの行動パターンは厨房の時から知ってるからよ・・・組織部下女に送らせる。その町外れの倉庫街から反対方向で、どんなに急いでも1時間は掛かる場所へな。その頃にはもう・・・終わってるだろうしよ」

男「・・・お前!」

組織女「・・・おめえの為だ。悪く思うな。おい、組織部下女!」


組織部下女「はい、頭領。お呼びで?」

組織女「さっき運んで来てくれたばっかで悪いけどよ、こいつを送り届けてくれ」

男「・・・」

159: 2015/10/30(金) 15:12:47.65 ID:DDgMIptl0
組織部下女「・・・は?もうですか?」

組織女「ああ。申し訳ねえが頼む」

男「・・・」

組織部下女「・・・了解です」

組織女「あと、下ろす場所はとなり町の一時間に一本くらいしか電車が通らない田舎道にしてくれ」

男「・・・」

組織部下女「は、はぁ・・・そんな場所でいいんですか?」

組織女「逆にそこ以外に下ろしたら許さねえからな。しっかり送り届けてくれ」

男「・・・」

組織部下女「・・・頭領のご命令なら」

組織女「頼んだぞ・・・いいか、男。おめえが気に病む事は何もねえ。お前からしたら冷たいように聞こえるかも知れんが、元々お前には何の関係もない出来事だったんだからよ。普通に戻るだけだ。お前は一つも悪くねえよ」

男「・・・」

組織部下女「じゃあ男さん、行きますよ」

男「・・・」

組織部下女「男さん?」

男「・・・なぁ、組織部下女。その前に一つ、昔話を聞いてもらえないだろうか」

組織部下女「え・・・(やだ、男さんの昔話、すごく気になる)あ、はい。ぜひ聞きたいです!」

組織女「おい、男。てめえ何を・・・」

男「別に構わないだろう? わざわざ組織部下女に送ってもらったのに、用件だけ済ませてはいさようならでは味気ないではないか」

組織女「・・・」

組織部下女「男さん。話聞かせて下さい!」

男「ふふっ、慌てるな組織部下女。そう、あれは熱い夏の日の夜であった・・・」

160: 2015/10/30(金) 15:13:27.89 ID:DDgMIptl0


男「俺と、そこの組織女はとある暴走的な一族――暴走族とも言う――との激闘を終え、暇を持て余していたのだ」

組織女「暴走族とも言う、じゃなくてそうとしか言わねえと思うが・・・」

男「ゴホンゴホン!・・・それでな、それまで刺激的な毎日を送っていた故に、退屈な日常とのギャップに耐えられなかった俺たちは、気晴らしに映画でも見ようとレンタルビデオ店に行ってみたのだ」

組織女「・・・」

男「その店は夏という事でホラー映画特集をやっていてな。夏といえばお化け、夏といえば肝試しという事で、俺たちはその中でも最強の怖さとされるホラー映画を借りたのだ・・・」

組織女「ふむふむ」

男「その映画は最強の怖さの名の通り、中々秀逸な作品でな。そういったものに耐性がある俺でも時々ビクッとしてしまうほど演出やシナリオも凝っていてな・・・またその映画は、とある着信音が鳴るとその人物は数日後に氏ぬという設定だったのだが、その着信音が中々恐怖を煽るメロディで、劇中にその着信音が鳴る度に背筋が凍ったものだ・・・」」

組織女「・・・てめえ、まさか・・・」

組織部下女「ほうほう」

男「その映画が終盤に差し掛かった時、俺はトイレに行きたくなって一時停止したのだ。その時、パッと部屋の電気を付けただけで組織女がビクッとなってな、顔も青ざめいていて、こいつ大丈夫かと思ったのだが、ふとイタズラを思いついて・・・トイレの中でその着信音をダウンロードして、部屋に戻って10分くらいしたらその着信音が鳴るようにアラームをセットしたのだ」

組織女「お、おいてめえ・・・!」

組織部下女「そ、それで・・・?」

男「それでな、物語もまぁちゃんとオチが付いて、エンドロールが流れ始めた所で俺のアラームの時間になってその着信音が流れ――」

組織女「だぁあああああああああ!?てめえ、それは!!それだけは言うな!!それだけは誰にも言わないって約束しただろうが!?」

男「ふふ・・・何のことだ・・・?俺はただ、昔話をしているだけだぞ?」

組織部下女「え、それで・・・それで、どうなったんです?」

男「ククク・・・その着信音が流れた瞬間。組織女が『ひゃん!?』と可愛らしい悲鳴を上げ――」

組織女「ああああああああああああ!?てめえ頃してやる!!あたしが今、ここで頃してやる!!」

ブン!!ブン!!(組織女が男を殴ろうとする音)
ヒュン!!ヒュン!!(組織女の拳をかわす男の動きの音)

組織女「ちっくしょ・・・てめっ、運痴の癖になんであたしの拳はかわせるんだよ!?」

男「ククク・・・お前の攻撃パターンくらい読みきっている・・・中学生の時からパターンを知っているのは俺も同じなのだよ、組織女・・・!」

組織部下女「すごい、頭領の鉄拳を避けてる人、初めて見た・・・男さん、カッコイイ・・・///」

組織女「くっ、このっ、氏ね!!やっぱり氏んじまえてめえなんか!!オラァ!!」

161: 2015/10/30(金) 15:14:08.05 ID:DDgMIptl0
男「ふふっ、甘いな。怒りで攻撃が単調になっているぞ?・・・それでな、組織部下女。俺が組織女の方に顔を向けると、そこには俺のイタズラにビックリしすぎた余り、おしっk――」

組織女「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」

組織女「わかった!!!わかったから!!!貸す!!!!貸すから!!!!!それ以上なにも言うなぁああああああああああああああああああああああ!!」

組織部下女「と、頭領があんなに取り乱して、顔をトマトみたいに真っ赤にして・・・」

男「ククク・・・この御刀虎に逆らうからこうなるのだ・・・それと、組織部下女・・・組織女にも『組織』の頭領としてのメンツがあろう・・・この事は俺とおまえの秘密にしといてくれないか・・・?」

組織部下女「え・・・(やだ、男さんと秘密を共有しちゃった・・・)あ、は、はい・・・///」

男「フフフ・・・ああ。組織部下女。やはり帰りは送って貰わなくても結構だぞ・・・俺と組織女は急用が出来たからな・・・そうだろう組織女?・・・ククク・・・」

組織女「ああ・・・組織部下女、下がってよし、だ・・・」

組織部下女「あ、はい・・・」

162: 2015/10/30(金) 15:15:15.20 ID:DDgMIptl0
組織女「てめぇ・・・一生恨んでやるからな・・・!」

男「ククク・・・なんとでも言うがいい。さぁ、さっさと貸して貰おうか・・・!」

組織女「グッ、偉そうに・・・・・・ああ、ちょうどてめえにおあつらえ向きの獣が一匹いたぜ・・・」

男「・・・ほう」

組織女「・・・まぁこの際貸すのは構わねえ・・・でも一つ条件があるぜ」

男「ふん、条件が付けられる立場とでも・・・?」

組織女「うっせえ、こっちは恥かかされてんだ!それくらい言わせろ!」

男「ククク・・・まぁいい。確かに俺もお前がいなければ何も出来ないという前提はある以上、しょうがないか。条件を飲んでやろう。俺の器のでかさに感謝するんだな・・・で、条件とは?」

組織女「何様だてめえは・・・まぁ、条件は後で言うさ・・・出てこい!」

ボンッ!(獣が一匹現れる音)

???「グルルルルル・・・」

男「・・・で、でけえな。こいつは?」

組織女「最近召喚に成功した、翼の生えた虎型の獣だ・・・ちょうどてめえの二つ名と被ってるし、こいつでいいだろ?まだ実戦で使ってはいねえが、『組織』内の訓練で今の所全勝だ。強さはお墨付きだぜ。なんでも虎に翼ってことわざもあるくらいだしよ」

男「なるほど・・・ククク・・・では早速使わせてもらうぞ・・・」

組織女「ああ、てめえの命令を聞くようにしてあるから、好きに使えや」

男「ああ。では行ってくる・・・ん?というか、その条件とやらは・・・?」

組織女「・・・こ、今度の週末、一日あたしに付き合え・・・」

男「・・・?ああ、それくらいなら全然構わんぞ。というかむしろそんな条件でいいのか?」

組織女「あ、ああ・・・(こいつ、あっさりと・・・デートの誘いだってわかってんのか・・・わかってねえだろうな・・・この鈍感野郎)」

男「ふふっ、組織女と二人っきりで出かけるのは久しぶりだな・・・むっ、というかひょっとしてそれって、デートのお誘いか?・・・これはなんとしても生きて帰らればならんなぁ・・・カカッ」

組織女「ば、ば、バカッ!ちげーよ!!なに言ってんだ///(・・・たまにこういう不意打ちがあるから、あたしはこいつの事を・・・)早く行っちまえ!!」

男「ああ、冗談だと分かってるって・・・じゃあ行ってくる・・・ありがとな」

組織女「・・・・・・行ったか・・・・・・氏ぬなよ、男」

163: 2015/10/30(金) 15:15:45.63 ID:DDgMIptl0
バサッ!バサッ!(虎の獣が空を掛ける音)

男「ウプッ・・・動きが速いのと、揺れがひどすぎて、酔いそうだ・・・」

男「な、なぁ君・・・もう少しこう、俺に気を使ってだな・・・」

虎形の獣「グルルルルル!!」

バサッ!バサッ!バサバサッ!

男「あ、全く変わる気配ないですね・・・こうなったら気合で我慢するしかないな・・・」

バサッ!バサッ!

男「あ、見えた・・・あそこに行ってくれ!!・・・って、女がやべえ!?あの『兵器』を思いっきりぶっ飛ばしてくれ!!頼むっ!!」



164: 2015/10/30(金) 15:16:21.81 ID:DDgMIptl0
そして、時は現在に戻る。

男「――ふっ、俺の名を呼んだか女? 言っただろう、お前が俺の名を呼べば、必ずお前を守ると・・・ククク・・・盟約はここに果たされた・・・!!」

女「お、お、男・・・あんた、本当に・・・男、なの・・・?氏んだはず、じゃあ・・・」

男「カカッ、女よ。この暗黒の邪王、滅亡の神翼、灼眼の堕天使、紅き虎帝の俺、御刀虎が氏ぬとでも・・・?見くびってもらっては困るなぁ。ククク・・・ちゃんと盟約も守ったであろう?・・・これで機嫌を治してくれるか?女よ・・・」

女「・・・うん・・・うん!良かった・・・あんたが生きてて本当に、良かった・・・」

騎士団長「・・・私は最初から信じていたぞ・・・君は簡単に氏ぬような人物ではない、とな・・・ふふっ、でも来るのが少し遅いな。減点だぞ、男」

男「ククク・・・それは申し訳ない・・・しかし主役というものは得てして遅れてやってくるものですぜ、団長殿?カカッ」

騎士団長「・・・全く、君という奴は『騎士団』の・・・いや、私にとっての最高のモチベーターだよ・・・ふふっ、力が湧いて溢れるようだ・・・!」

メイド「男さん、貴方は一体・・あなたはただの・・・いえ、私が頃したはずですのに、どうして・・・」

男「カカッ、メイドよ。残念ながらお前の常識は俺には当てはまらん!俺、御刀虎は何度でもよみがえるのだ・・・ククク・・・!」

男(あとでメイドには説明しておこう・・・)

メイド(・・・?なんとなくあの巨大な生物は『組織』の獣の面影があるような・・・いえ、今はそれより・・・お嬢様の身を・・・)

男「ん?というかあのお嬢はどこに行ったんだ・・・?」

ウィーン・・・(ふっ飛ばされた『兵器』が立ち上がる音)

女「機関女はあの『兵器』の中よ、男・・・どうやら暴走してるみたいだけどね」

男「暴走、だと?」

騎士団長「ああ、兵器が突如としてメイドを攻撃し出したんだ・・・仲間同士、攻撃する理由と言ったらそれくらいしかないだろうからな」

メイド「・・・それだけではありません」

男「・・・メイド?」

165: 2015/10/30(金) 15:16:53.01 ID:DDgMIptl0
メイド「恐らくお嬢様は、あの『兵器』にエネルギーとして取り込まれております。早くあの兵器を破壊しなければ、お嬢様の命が危ないかも知れません・・・ですから、どいて下さい。『騎士団』のお三方」

女「どいてって、メイド、あんたね・・・あたしたちは男が来た事で気力が回復して、動けるようになったけど・・・あんたは立ってるだけでも辛いでしょ」

メイド「・・・そんな事はありません。元気一杯です。それより今は一時休戦と行きましょう。お嬢様は私が助けます。どうか邪魔だけはしないよう・・・邪魔すれば命の保証は致しません」

男「・・・あのな、メイド。あんたボロボロだろうが。その体で何言ってんだよ」

騎士団長「その忠誠心は驚愕に値するがな・・・」

メイド「・・・別に、あなた達にどうこう言われようが、立ち止まる気は・・・うっ」

男「・・・立ってるだけでフラフラじゃねーか・・・肩貸すぜ・・・」

しゅたっ!(男が獣から降りる音)

メイド「・・・っ、敵の助け、は・・・!」

男「意外とプライド高いって言うか・・・お嬢のこととなると回りが見えねえんだな、あんた」

メイド「う、うるさいですよ・・・離してくださいっ!」

男「嫌だね・・・俺はあんたに借りがあるだろう?その借りを返すまでに氏なれたら寝付きが悪くなる所の騒ぎじゃねえんでな」

男「それに言ったろ。あんたは氏ぬほど美人だって。あんたみたいな綺麗な人を氏なせたらバチが当たるぜ・・・いいから黙って座って見てろ」

メイド「・・・・・・こ、ここ、こんな時に一体何を言い出すんですかあなたは!?」

男「いや、思った事を言ったまでだが・・・」

女「・・・」

騎士団長「・・・」

男「・・・あれ、なんで二人とも俺を睨んで・・・ククク、そうか。この獣の正体を知りたいのだな?そう。俺は一度このメイドに殺されたのだが、俺の中に眠る獣が覚醒し、拘束衣を引きちぎってな・・・地獄の門番前に立って、今までの罪を数えていたのだが、この虎に地獄から現世へと強制的に連れてこられ・・・って、あれ、反応がない・・・」

女「・・・このスケコマシ」

騎士団長「君は誰にでもそういう事を言うのか・・・?」

男「え・・・なにこの空気・・・俺なにか悪い事した・・・?」

メイド「・・・典型的な朴念仁ですね、あなた・・・」

166: 2015/10/30(金) 15:17:22.11 ID:DDgMIptl0
男「ゴホンゴホンッ!ともかく、あの兵器をぶっ壊せばいいんだろ、メイド?中のお嬢は傷つけずに、だ」

メイド「・・・ええ、まぁそうですが・・・でもそんな気遣い、したくもないでしょう?特に『騎士団』の団長さんと女さんは」

騎士団長「・・・まぁ、な」

女「・・・それは否定できないわね」

メイド「そうでしょう?私達はこの『戦争』で、お互いに傷付けあいすぎました・・・積み重ねた気持ちの重みは、とても一言では言い切れないでしょう・・・ですから・・・」

男「・・・団長殿・・・女・・・それはその、そういう気持はちょっと一旦置いておいてもらってだな・・・」

騎士団長「・・・だが、それとこれとは話は別だ」

女「・・・団長?」

メイド「え?」

騎士団長「女、男。私達の所属名はなんだ?」

女「騎士団です・・・」

男「・・・騎士団ですぜ」

騎士団長「だったら騎士らしく・・・公明正大に戦おうではないか。相手の弱みにつけ込むような真似はせずに、な」

騎士団長「だが今の機関女はどうだ?」

騎士団長「『兵器』にエネルギーを取られ、満足に操縦すら出来ず、『兵器』を暴走させている状態の機関女に勝って、果たしてそれは本当の勝利といえるか? 私達はその勝利に誇りが持てるか?」

女「・・・確かに・・・!」

男「ククク・・・団長殿。そんなものは勝利でもなんでもありませんぜ。ただの不意打ち、闇討ちと同義かと・・・(団長殿と女の戦いに対する美意識が高くて助かった・・・)」

騎士団長「そうだろう? ならば答えは一つだ・・・!機関女を助け出したあと、期間をおいて、もう一度お互いにベストな状態で全力を振り絞って戦う!それが答えだ!いいな!?」

女「はい、わかりました団長!」

男「ククク・・・了解ですぜ・・・さぁーて・・・ここからが本番だな・・・どうか氏にませんように・・・」

メイド(・・・お嬢様・・・)

167: 2015/10/30(金) 15:17:59.48 ID:DDgMIptl0
ブォォォォン!(『兵器』の駆動音)

男「ところでメイドよ、どこかあの兵器に弱点はあるのか?」

メイド「・・・首にある、人間でいううなじで当たる部分に、2本、ケーブルが走っています・・・そこを傷付ければ、確証はしませんが、恐らくあの『兵器』の動きも止まるでしょう」

男「なるほどね。じゃあ攻撃するとしたらそこか・・・」

ウィー・・・ン!(『兵器』が男達の方に向く駆動音)

男「・・・とりあえず、俺の獣で奴を食い止めるからその隙に、攻撃を頼む・・・あの『兵器』と真っ向から向かい合えるのは俺の獣くらいだろうからな・・・」

女「そうね・・・とは言っても、私達も回復したのは気力と僅かな体力・・・恐らく、剣を全力で一振りするくらいなものだわ」

騎士団長「・・・情けない話だが、私も同じだな・・・」

女「外したら、終わりね・・・」

男「・・・正直言って、俺も一人と一匹じゃあこの『兵器』には勝てる気はしないから・・・一発勝負か・・・」

女「ちょ、ちょっともう男、プレッシャー掛けるようなこと言わないでよ!」

男「気にするな女。人生だって一回きりの一発勝負だろ。それに比べれば大した事はない」

女「何いいこと言ったみたいな感じになってるのよ!」

男「ククク・・・いいツッコミだ・・・さっきまでの緊張でガチガチより、よっぽどいい表情をしているぞ・・・カカッ」

女「あっ・・・」

騎士団長「ふっ・・・どこまでも頼りがいがあるな君は・・・さぁ――来るぞ」

168: 2015/10/30(金) 15:18:46.72 ID:DDgMIptl0
ドガガガガガガ!(『兵器』が突っ込んでくる音)

男「頼むぜ、気合で受け止めてくれ!」

虎形の獣「グオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

ズッガァアアアアアアアア!!(『兵器』と獣がぶつかる衝撃音)

男(グッ・・・獣にしがみつくのが精一杯だ・・・!)

虎形の獣「ガァ・・・グガッ・・・・オオオオン!!!」

男(よし、捉えた、これなら・・・!)

男「今だ、行け!女!」

女「でやああああああああああああ!!」

ガッギィィイィ!!!

女「やった!?」

・・・ブォォォォォ!!(兵器の駆動音)

騎士団長「いや、まだだ!!もう一発、私が叩きこめば・・・!」

ブォン!!(団長が剣を振り落とす)
ヒュオッ!(それを避ける兵器)

虎形の獣「グオォッ!?」

騎士団長「チッ、獣の拘束から逃れたか!」

男「すまねえ、団長殿!(畜生、あとちょっとだったのに・・・いや、この獣は精一杯やっている・・・こいつを攻めるのはお門違いか)」

騎士団長「いや、私がもう少しはやく剣を・・・クソっ!」

ズガガガガッ!!(『兵器』の移動する音)

女「っ!? まずい、『兵器』がメイドの方に!」

男「・・・くっ、行け、獣っ!あの『兵器』を止めろぉ!!」

169: 2015/10/30(金) 15:19:13.18 ID:DDgMIptl0
ガガガガ・・・ギィィィッ!

メイド「・・・あ」

メイド(『兵器』がこちらに・・・でも、体が動きませんね・・・)

ドドドドドドッ・・・!(兵器がメイドに迫る音)

メイド(・・・これは・・・かわすのは無理そうですね・・・)

メイド(・・・まぁ、お嬢様に殺されるのなら本望と言ったところでしょう)

メイド(可愛らしいお嬢様、美しいお嬢様、私の誕生日にはいつも、私の大好きなお花や、私の為に、ご自分で作られたメイド服をプレゼントしてくださった、優しいお嬢様)

メイド(・・・大好きです、お嬢様)

メイド(そして、さようなら・・・あと、ついでに男さんも・・・あなたほどの変人、例え来世があったとしても、二度と会う事はないでしょうね・・・ふふっ)

ドドドドド・・・キキィー!!(メイドの前で急停止する『兵器』)

メイド「え・・・?」

機関女「・・・はぁはぁ・・・メイド・・・には・・・手を・・・」

メイド(お嬢様の・・・声?)

機関女「逃げなさ・・・はや・・・」

メイド「お嬢様ぁ!!」

男「捕まえたぞこの野郎!!」

ガシィィィィッ!!(『兵器』を獣で捉えた音)

男「団長殿ッ!!早くッ!!」

騎士団長「おおおお!封風剣撃王神断散双覇舞斬!」

ブォン!!(団長の剣を振る音)
ガッッシャアアアアアアアン!!!(団長が兵器をぶっ壊した音)

170: 2015/10/30(金) 15:20:00.14 ID:DDgMIptl0
機関女(ウゥ・・・あれ、わたくしは・・・一体・・・)

機関女(確か『兵器』に乗っていて・・・『兵器』がわたくしの意思とは無関係に暴走し始めたのは覚えていますわ・・・)

???「・・・さまっ!」

機関女(・・・誰ですの? この声・・・メイドに似ていますね・・・そう言えばボロボロのメイドを『兵器』が襲おうとしたので、それをなんとか食い止めようとして・・・)

???「お嬢様!しっかりして下さいお嬢様っ!!」

機関女「・・・メイド・・・?」

メイド「っ!ああ、お嬢様っ、意識が戻って・・・!!」

ガバッ(機関女に抱きつくメイド)

機関女「・・・?これはどういう・・・」

騎士団長「気がついたか、機関女」

機関女「!騎士団長・・・!」

騎士団長「落ち着け。今、危害を加えるつもりはない」

女「あっ、お嬢目が覚めたんだ?よかったわね、メイド」

男「ククク・・・眠り姫のお目覚めか・・・」

機関女「・・・『騎士団』が揃い踏みで・・・どういう事か説明してくださる・・・?うちのメイドは今、泣きじゃくっていて、とてもそういう事が出来る状況ではないみたいですし・・・」

騎士団「ああ、説明しよう・・・信用出来ないようなら、あとでそのメイドに事情を聞いてくれればいい」


騎士団長「カクカクシカジカ」

機関女「・・・そんな事が・・・」

騎士団長「信じられないかもしれないがな」

機関女「いえ、メイドの取り乱し様でわかりますわ・・・そうですか・・・わたくしは・・・まだまだ未熟でしたのね・・・」

機関女「あなた方にも礼を言わなければなりませんわ」

騎士団長「なに、我々の美学に則っただけの事だ。気にする事はない」

女「そうそう、団長の言うとおりよ」

男「ククク・・・」

機関女「・・・・・・団長さんの話では、わたくしがまた体制を立てなおして、再戦という話でしたわね」

騎士団長「ん?ああそうだが」

機関女「そのお話、無かった事にして頂いて結構ですわ・・・わたくし達『機関』は負けを認めます」

女「え?」

男「・・・なん・・・だと・・・」

騎士団長「ど、どういう事だ」

機関女「どうしたもこうしたもありませんわ・・・自分のミスで、身内に謝って手を掛け、さらには敵に命を助けられる・・・こんな失態をした以上、わたくしに『戦争』に参加する資格はないでしょう・・・なによりあなた達のその器の大きさに感服致しましたわ・・・」

機関女「潔く私達『機関』はこの『戦争』から身を引きます・・・それでいいですわね、メイド?」

メイド「はい・・・私は、お嬢様が無事ならそれで・・・!」

171: 2015/10/30(金) 15:20:37.49 ID:DDgMIptl0
騎士団長「・・・ふむ、まぁそう言うなら・・・」

女「なんだか・・・上手く収まったわね・・・まさか男、あんた、そこまで計算してたの?」

男「・・・く、ククク・・・ふふ、そういうのは語らぬが華、という奴であろう?」

騎士団長「ふふ、味方ながら恐ろしいな、君は・・・あっ」

バタッ(団長が倒れる音)

男「ど、どうしました団長殿?急に倒れて・・・」

騎士団長「ど、どうやら・・・自分でも気付かなかったが、本当に体力切れみたいだ・・・少し・・・横にな・・・る・・・」

女「あ・・・ごめんね、男・・・私も・・・限界みた・・・い・・・」

スゥーハァー・・・(二人の寝息)

男「マジで寝ちゃったよ・・・寝る早さ・・・のび太級だなおい・・・」

男「まぁ、本当にギリギリのギリギリまで体力振り絞って戦ってくれたみたいだしな・・・」

男「しゃあねえ、送っていくか・・・なぁ二人を送るの、手伝ってくれるか?」

虎形の獣「グルルゥ!」

男「・・・ありがとよ。助かるぜ」

男(それにしても)

男(流石に今回みたいな芸当はもう二度と出来ないだろうしな・・・もう一回戦えって言われたら確実に氏んでた・・・あそこで機関女が引いてくれたのは運が良かったよ・・・)

男(でも、じゃあ次は組織女との対決か・・・次こそは氏ぬかもな、俺・・・まぁ・・・それはその時になったら考えよう)

男(・・・ところで)

男「なぁ・・・少し聞いてもいいか」

メイド「グスッ・・・はい、なんでしょう?」

機関女「なんですの?」

男「この『戦争』に勝ったら、確か願いが一つ叶うっていう話だったよな?あんたら二人の願いって一体なんだったんだ?純粋な疑問なんだが・・・」

172: 2015/10/30(金) 15:21:07.89 ID:DDgMIptl0
機関女「・・・・・・友達が」

男「?」

機関女「・・・なんでも話し合える友達が欲しかったんですの・・・わたくし、幼い頃から友達とよべる間柄の人間が、一人もおりませんでしたから」

機関女「ですから、『戦争』に勝った暁には、友達と色んな所に行ったり、朝まで他愛のない話をしたり・・・そういった事がしたかったんですの・・・」

機関女「ふふっ、もう叶わぬ願いですけどね・・・」

男「・・・いや、お嬢にはメイドが居るだろう?」

機関女「メイドは・・・メイドですわ・・・。仕事の上での付き合いですもの・・・」

メイド「・・・っ・・・」

機関女「なにより、それ以上を求めるのは、メイドにも迷惑でしょう・・・勿論、とてもとても、感謝はしておりますわ・・・いつもお世話になっていて、わたくしには勿体無いほどですわ・・・」

男「・・・あのな、お嬢。メイドの顔良く見てみろ。仕事だけの付き合いの奴が氏にそうになったからって、こんな心配そうに泣きじゃくるか?迷惑って顔をしているか?」

機関女「!」

メイド「お嬢様・・・そんな風に私の事を思っていてくれたのですね・・・私こそ、いつもお嬢様に至らぬメイドで・・・ご迷惑ばかり・・・」

機関女「そ、そんな事ありませんわ!あなたは美人で気立てが良くて!料理が上手でお掃除も上手で、いつも私の事を心配してくれて!気配りも素晴らしくて・・・あなたは、あなたは・・・!」

男「・・・それでさ、メイド・・・あんたの願いは?」

メイド「は、はい・・・私の願いは・・・ただ、お嬢様が幸せになれるように、と・・・」

機関女「っ!・・・もう、メイド・・・あなたはどこまで・・・!」

ガバッ(メイドに抱きつき返す機関女)

機関女「・・・ああ、あああああああ!」

メイド「お嬢様・・・お嬢様ぁ・・・!」


173: 2015/10/30(金) 15:21:42.86 ID:DDgMIptl0
それから十分後。ようやく落ち着いてきた二人。

男「・・・落ち着いたか、メイド、お嬢」

メイド「はい・・・」

機関女「おかげ様で・・・」

男「ククク・・・ならよかった。それと、お嬢・・・もしメイド以外に遊ぶ仲間が欲しかったら、俺でも呼ぶがいいさ」

機関女「えっ・・・?よろしいんですの?でも、わたくし達は敵同士でしたのよ・・・?」

男「ククク、だからいいんじゃないか・・・お嬢は知らんだろうが、庶民の間じゃあ『強敵』と書いて『友』と読むんだぜ?」

機関女「そ、そうなんですのメイド?」

メイド「いいえ、違います・・・ですがまぁ、今はそういう読み方をしてもいいかと存じます」

機関女「友達・・・友達・・・ふふ、わたくし、男の子の友達は初めてですわ。よろしくお願いしますね、男さん」

男「カカッ、いつでも連絡してくるがいい!・・・メイドよ。これで貸し借りなしでいいか?」

メイド「・・・はい。むしろ、貴方には大きな借りが出来たかも知れませんね・・・(ニコッ」

男「ドキッ)お、おう・・・ま、まぁなんだ。そんな気にしなくてもいいぞ・・・俺のように強い者が弱い者に力を貸すのは当然の摂理なのだからな・・・」

メイド「いいえ、必ず返しますよ・・・・・・」

男「うん・・・?最後なにか言ったか?よく聞こえなかったが・・・」

メイド「うふふ、なんでもありませんよ・・・//」

174: 2015/10/30(金) 15:22:35.40 ID:DDgMIptl0
その後。騎士団長を送り届け女も送り届けた男。

男「よし、もう帰っていいぞ・・・ご苦労だったな・・・組織女によろしく言っておいてくれ・・・」

虎形の獣「オオンッ!!」

女「男、一体何してるの?」

男「ビクッ)な、なんだ女か・・・びっくりさせないでくれ。いや、な。頑張ってくれたこいつに、労いの言葉をと・・・ではさらばだ・・・」

ピュー!(虎形の獣が空に帰っていく音)

女「確かに、あの獣。大活躍だったもんね・・・っていうか、アレ?どっか行っちゃったけどいいの?あの獣は、あんたの中に眠ってるはずじゃあ」

男「あ・・・ああ・・・なぁに、たまにはシャバを見て回りたいと言うのでな・・・まぁ、さんざん暴れまわったから、今は穏やかだろうと判断して、ご褒美を上げたのだ・・・」

女「ふぅーん・・・と、ところでさ、男」

男「うん?」

女「あの、ね・・・」

男「・・・どうした? ゥプッ・・・(くっ、やっぱりあの虎形の獣の上に載ってると、酔うなぁ・・・ジェットコースター張りに早くて、ジェットコースター張りに揺れるもんなぁ・・・)」

女「え、えーっとその・・・」

男「そ、その・・・女?・・・手短に言ってくれると非常に助かるんだが・・・」

女「ちょ、ちょっと待ちなさいよッ!私にだって心の準備があるんだからッ!」

男「お、おう・・・(くっ胃液がせり上がってきた・・・)」

女「だ、だ、だからぁ・・・!」

女「い、一回しか言わないからよく聞きなさいよ!?」

男(限界だ・・・すまん女、あとで聞く・・・)

女「・・・助けてくれて、ありがとう!」

女「私達を助けに来てくれた時の男、すごく、かっこよかったよ・・・」

女「だ、だからお礼に今度、お弁当を・・・」

女「って、あれ。男・・・!?」


男「オゲエエエエエエエエエエ!!」

男「ゥプッ・・・オエッ・・・ハァハァ・・・」

男「口の中、気持ちワリィ・・・」

男「ちくしょう、もう俺は一生、ジェットコースターには乗らん・・・」

第一部、『機関女とメイド編』完ッ!

187: 2015/11/05(木) 22:04:43.79 ID:58+FWtQa0
男「あー・・・先生にたっぷり絞られてしまった・・・クソ、この灰色の脳細胞を持つ御刀虎に学校の勉強など不要だと言うのに・・・」

男「しかし先生、今日はやけに機嫌が悪かったなぁ・・・彼氏にでも振られたのだろうか・・・」

男「あー・・・ハラ減ったなぁ・・・」

ティロン♪

男(うん?LINE・・・?団長殿か・・・)

男(なになに・・・また、日曜に二人っきりで稽古の練習に付き合って欲しい・・・?)

男(日曜・・・確か組織女と遊ぶ約束をしていたな・・・申し訳ないが断ろう・・・先に遊ぶ約束をしていたのは組織女だしな)

男(申し訳ないが、予定があるのでまた今度、と・・・)

ティロン♪

男(ぬ? 団長殿がショボーンとした顔文字を送ってきた)

男(それも何回も・・・)

男(か、可愛いなおい・・・キャラ違う気がするが・・・)

男(あー・・・えー・・・どうしよう・・・)

男(・・・しょうがない)

男(早朝の鍛錬だったら付き合えますぜ・・・っと)

ティロン♪

男(うお、速攻で来た)

男(了解、か。それも可愛い顔文字付きだ・・・)

男(・・・技名、考えておかないとなぁ・・・)

男(技名か・・・そう言えば昨日、団長殿はトドメ差す時に叫んでいたな・・・マジでアニメのワンシーンみたいで、見てて燃えたぜ)

男(しかし・・・冷静に考えたら、マジで昨日よく俺は生き残れたな・・・一つでも間違えたら氏んでも全然不思議じゃなかった・・・)

男(あん時はアドレナリン出まくってたから、何も感じなかったが・・・今考えると相当な無茶したな・・・今更自分のした事にビビるぜ)

男(帰り際にこっそりメイドにあの時の獣が『組織』から借りた獣だって説明した時も、「無茶苦茶な事しますね、あなた・・・」って呆れられたしな)

男(ついでに、「その行動力というか発想力というか勇気は、もう既に一般人の域から逸脱してますね・・・」と言われた。本当にいつか氏んでしまいますよとも)

男(・・・俺は苦笑いするしかなかったが)

男(それにしても・・・昨日のアレで・・・全身バキバキだ・・・組織女の性格知ってるから、『組織』の闇討ちとかないのはわかってるけど・・・)

男(今襲われたらただでさえ運動音痴の俺は、何も出来ないでヤラれるだろうな・・・)

188: 2015/11/05(木) 22:05:38.08 ID:58+FWtQa0
???「だーれだ♪」

男「・・・うぉぉあ!?だ、だ、誰だぁ!?」

女「え、ちょっと男? そんなにびっくりしなくても・・・」

男「(うおぉ・・・女か・・・マジでびびった・・・じゃなくて)・・・ふ、フフン・・・この俺の後ろを取るとは中々だな・・・」

女「えへへ、まぁね」

男「というか、アレ? 俺は先に帰っていいと伝えたはずだが・・・」

女「た、たまたま私も放課後に用事があったのよ、たまたまね!」

男「ほう、そうか。ならば一緒に帰ろう。俺も腹が減りすぎてて、誰かと会話でもして空腹を紛らわせないと、家まで持ちそうになかったからな」

女「うん・・・!えへへ・・・///」

男「・・・?なんでそんなにニヤニヤしている?」

女「え、別になんでもないわよ・・・えへへ・・・///」

男(やけに上機嫌だな・・・ああ、昨日のアレか。ふむ、まぁ約束を守る男という信頼は得られたようでなによりだ・・・)

男(ただ、その分、いつか俺が何の力もないただの邪気眼持ちの中二病患者という事がバレた時が怖いが・・・ここまで来たらなんとでもなれだ)

男「ククク・・・女よ・・・機嫌がいいようだな・・・やはり女は、昨日みたいに不機嫌じゃなく、今日みたいに笑っていた方がずっとずっと可愛いと思うぞ」

女「なっ・・・なっ、ちょ、ちょっと・・・もう・・・恥ずかしい事言わないでよ・・・!そんなに褒めても別になんにも、出ないんだから・・・」

男「?別にほめたつもりはないぞ?思った事を言ったまでだが。お前の笑顔はとても素敵だ」

女「っ・・・あ、あんたねぇ・・・もうちょっとそういうのは・・・か、関係を深めてから言いなさいよ・・・いや、別に今の関係が浅いとかそういう事を言ってるんじ

ゃなくてね・・・!?」

女「あ、あんたとは結構仲いいと思ってるし、これからも仲良くしたいと思ってるというか、その・・・」

男「・・・?よく分からんが、俺もずっと仲良くしたいとは思っているさ。これからもよろしくな、女」

女「~~~~~~っ///(ここであんたのその可愛い笑顔は反則だってばぁ・・・)」

男「・・・どうした女、顔が赤いぞ?昨日の戦闘の影響か?」

女「・・・なんでもない・・・///」

男「そうか・・・? ならいいんだが・・・」

男(でも、こうして横に並んでいる女をまじまじと見ると、女は本当に可愛いなぁ。お人形さんみたいだ)

男(団長殿も、日本美人って言葉がぴったりの凛とした美人だし)

男(・・・やっぱり、こういう綺麗な女の子達を騙してるのは、罪悪感がある、よなぁ・・・)

男(どうしたものか・・・)

189: 2015/11/05(木) 22:06:57.24 ID:58+FWtQa0
女「ねぇ、男・・・ところでさ」

男「うん?」

女「結局あんたって、何者なの?」

男「・・・何者、とは」

女「組織女とタイマンして傷一つない圧勝したり、かと思えば『組織』の獣みたいなのを胸の中に眠らせていたり・・・あんたは謎、謎、謎だらけよ」

女「団長とスマホで少し連絡取ってたんだけど、この『戦争』の歴史上、あんたみたいな『騎士団』の能力者は見た事も聞いた事もないって」

女「あんた、本当に何者なの・・・この『戦争』において、あんたってどういう存在な訳・・・?」

男「・・・(そりゃあただの一般人だしな、俺・・・)」

女「・・・あのね、男」

女「・・・あたしと仲良くしたいと思ってくれてるんなら、厚かましいようだけど・・・ちょっとでもいいから、あんたの秘密を教えてくんない、かな・・・?」

男「・・・」

女「あっ、嫌なら全然答えなくていいのよ、うんっ・・・誰だって秘密にしておきたいことの一つやふたつあるだろうしね!」

男「・・・すまん」

男「今は言えん、今は言えん、が・・・この『戦争』が終わった時に、必ず伝える」

女「そっか、なら・・・」

男「ただ」

女「?」

男「俺の秘密を聞いた時、女や団長殿は俺にガックリくるかも知れん・・・が、その時、俺に対して何をしても構わん・・・まぁ金や命を取られるのはちょっと困るが・

・・」

女「・・・」

男「まぁあり大抵に言えばボッコボコにしていいし、ありったけの暴言を俺に吐いてくれていい」

男「だから頼む、その時までは、何も聞かず俺の事を信じて欲しい・・・」

女「よくわからないけど・・・・・・・とりあえずわかったわ」

男「・・・助かる。まぁあるいは『戦争』によって氏んでしまって、秘密を伝えられないかもしれないがな・・・」

女「そ、そんな事言わないでよ、もうっ!そういう冗談は禁止っ!」

男「・・・そうだな、すまん」

女「まぁ確かに騎士団員はもう私達の3人しかいないけど・・・大丈夫でしょ。あたしは自分で言うのもなんだけど、最近自分がレベルアップしてる事を感じてるし・・・」

女「団長はおそらく、個人の能力ならこの『戦争』最強だし・・・」

女「なにより私達にはあんたがついてるもの。はっきり言って負ける気がしないわ」

男(・・・責任、重大だなぁ、俺・・・)

女「残る相手は『組織』だけだし・・・『冥府落し』も完成は遅れたけど、もうすぐ出来上がるって団長も言ってたし・・・」

女「大丈夫、私たちは勝てるわよ」

男「・・・ふっ・・・そうだな、ククク・・・この御刀虎とした事が、昨日の戦闘のアドレナリンが抜けて、少々気が落ちていたようだ・・・」

女「ふふん、そうそう、あんたに弱気な発言は似合わないわよ・・・あ、そういえば」

男「?」

190: 2015/11/05(木) 22:07:55.37 ID:58+FWtQa0
女「『組織』って自分で言って思い出したんだけど・・・あんたと組織女ってどういう関係な訳・・・?」

女「初めての戦闘の時、男と組織女、結構古くからの知り合いって感じの会話してたけど・・・」

男「・・・(やべえ、なんて言い訳しよう。なんも思いつかねえぞおい・・・)」

女「・・・ひょっとして・・・元恋人だったりするの?」

男「は?」

女「・・・な・・・なんでもない・・・ていうか、あたし、さっきからあんたのプライベートばっかり聞き出しててうざいわよね、ごめん」

男(なんで俺の元恋人かどうかを気にするのかさっぱり分からんが・・・まぁいい。俺も会話にポロが出る前にこの流れに乗っかるとするか・・・)

男「・・・ククク・・・まぁ確かに、この御刀虎の過去や、秘密を知りたい気持ちはわかるが・・・好奇心は猫をも頃すという言葉もある」

男「その辺にしておいて貰えると助かるぞ、女・・・夜の闇よりも暗い我が深淵・・・今の女では聞くに耐えんだろうからな・・・」

女「・・・わかったわ。また後で、あんたの気が乗ったら教えてね?」

男「フフフ・・・いいだろう。心の準備だけはしておけ・・・ククク・・・(よし、上手く難を逃れたぞ・・・)」

女「あ、それで話は変わるけどさ、男・・・」

男「うん?」

女「・・・こ、今度の日曜、一日付き合って欲しいんだけど・・・///」

男「・・・一難去ってまた一難・・・」

女「へ?どういう事?」

男「・・・いや、こちらの話だ」

191: 2015/11/05(木) 22:08:21.71 ID:58+FWtQa0
男「そのー、女・・・?悪いが・・・そう、ちょうど日曜日に『世界会議』と『裏世界会議』が始まるのだ・・・ククク・・・光と闇の勢力が集結するのでな・・・俺はその仲裁役として参戦しなくてはならないので・・・日曜はちょっと・・・」

女「・・・・・・そ、そう・・・・・・ま、まぁ別にいいけどね・・・・・・ただちょっと誘って見ただけだし・・・・・・別に・・・・・・・」

男(めちゃくちゃガックリ来てらっしゃる・・・うなだれていらっしゃる・・・)

男(罪悪感・・・なんか泣きそうな顔してるし・・・)

男「あー・・・女?」

女「なによぅ・・・」

男「(めっちゃ拗ねてる・・・)・・・あー・・・まぁ俺は非常に忙しい・・・忙しいのだが・・・」

男「そのー・・・夜ならばギリギリ時間を作れなくもないぞ・・・多分な・・・」

女「本当!?」

男(えらい勢いで食いついてきたなおい・・・)

女「絶対よ絶対!絶対だからね!あと、わかってると思うけど、二人っきりよ!?」

男「お、おう・・・分かっている、大丈夫だ・・・約束しよう、例え地球が滅ぼうが、宇宙が原子に帰ろうが、必ず今度の日曜はお前と遊ぶとな」

女「ふふっ、ならいいわよ。あんたは約束守る男だもんね♪」

男「・・・・・・」

男(・・・今から、組織女との遊びから抜け出す方法を考えておくか・・・)

192: 2015/11/05(木) 22:11:19.70 ID:58+FWtQa0
男「んじゃ、また明日学校でな、女」

女「うん、わざわざ家まで送ってくれて・・・その、ありがと///」

男「いつも迎えに来てもらっているから、たまにはな。もう暗いし、万が一の事態もある、当然の事だ。気にするな」

女「うん・・・じゃあまたあし・・・」

・・・ざわ・・・ざわ・・・

女(・・・っ、今、一瞬『能力』の気配が・・・!?)

女「誰よっ!?出てきなさい!!」

・・・シーン・・・

男「・・・お、女よ・・・どうしたのだ?急に叫んで」

女「え・・・?あんた感じなかったの?今の『能力』の気配を・・・!?」

男「ん・・・? あ。あぁ・・・感じたような・・・感じなかったような・・・?」

女「なにその曖昧な反応・・・あたしの勘違いかしらね・・・」

男「う、うーん・・・どうだろうなぁ・・・?」

女「・・・・・・・」

女(さっきのは『能力』の気配は間違いないはず・・・それも、感じたのは一瞬だけだったけど・・・鳥肌が立つくらい禍々しい気配だったわ・・・)

女(でも・・・男程の能力者が感じなかったのなら、あたしの錯覚かしらね・・・? 男も、あたしが何言ってるのかわかんないって顔してるし・・・)

女「・・・ごめん、なんでもなかったみたい、忘れて」

男「お、おお・・・そうか。急に叫びだすからびっくりしたぞ・・・」

女「あはは、そうよね。これじゃあまるで中学生がする痛い妄想の登場人物みたいな行動だもんね」

男「・・・・・・」

女「男、どうしたの? 神妙な顔して・・・」

男「いや、何でもない・・・じゃあな、女」

女「そう・・・? うん、また」


女(・・・・・・)

女(・・・さっきの、勘違い、よね・・・)


???「・・・・・・・」

193: 2015/11/05(木) 22:13:10.96 ID:58+FWtQa0
その頃 
とある町外れにて

組織女「な、なぁ・・・この服どうかな?あたしに似合うか・・・?」

組織部下女「あー・・・そうですね・・・普段とのギャップでいいと思います・・・」

組織女「なんだお前つれないなおい・・・よし、次はこの最近流行ってる童Oを頃す服とやらにチャレンジしてみるか・・・あれ、でもあいつ童Oだったかな・・・いや、童Oなはずだ、うん・・・」

組織女「というかこの服恥ずかしいな・・・めっちゃヒラヒラしてるっていうかフラフワしてるっていうか・・・なぁ、どうしよう、これ、あたしが着たら変じゃないか・・・?」

組織部下女「頭領・・・あの、もう5時間くらい、頭領のファッションショーに付き合ってるんですけど・・・」

組織女「なんだお前いいだろうが! 『召喚の儀』もほぼほぼ終わったんだし、その祝いだと思って付き合えよ!!なによりあたしの・・・久しぶりの・・・で、デートなんだぞ!!」

組織部下女「はぁ・・・わかりました・・・わかりましたよもぅ・・・」

組織部下女(まぁせめてもの救いは、頭領が物凄い美人だから見てて飽きないって事くらいかなぁ・・・)

組織女「あー・・・着にくいなぁ・・・これ・・・んっ・・・よし、着れた・・・なぁおい、これやっぱりあたしには似合ってなくねぇか・・・?」

組織部下「はいはい・・・今見ますよー・・・」

組織部下女(はぁ・・・男さん、会いたい・・・)


208: 2015/11/11(水) 09:21:34.36 ID:L9Mp4BiM0

先生「はい・・・じゃあね・・・朝のホームルームをね・・・始めたいと思います・・・」

女「なんか・・・めっちゃ先生、テンション低くない・・・?」

男「確かに・・・顔も氏んでるし、目も虚ろだ・・・」

先生「はい・・・出席取ります・・・女さーん・・・」

女「は、はい・・・」

先生「・・・うふふ、いいわよね、あなた達は・・・肌もピチピチで・・・ツヤッツヤで・・・未来も輝いていて・・・」

女「・・・いえ、そんな・・・」

先生「でもね、うふふ・・・チヤホヤされるのなんて若い頃だけ・・・いい・・・?いつまでも自分が若いなんて思い上がらないことね・・・結婚出来ない女は悲惨よ・・・それを心に刻んでおきなさい・・・」

女「・・・は、はい・・・」

男(教職者としてあるまじき発言のような・・・)

先生「男くーん・・・」

男「ククク・・・この俺の姿が見えるのか・・・中々の『眼』をお持ちのようだな、先生・・・カカッ」

先生「・・・はぁ、貴方ね・・・高校生にもなって、そんな言動して・・・恥ずかしくないの?」

男「・・・・・・え」

先生「いい?社会は甘くないのよ・・・もうあと数年もすれば社会に飛び出すんだから、いい加減現実と妄想の区別くらいつけなさい・・・」

男「・・・く、ククク・・・先生・・・えっと、俺のは妄想とかじゃなくて・・・」

先生「はぁ・・・もういいわ・・・じゃあ、ホームルームは終わりです・・・各自、次の授業の準備をしておくように」

209: 2015/11/11(水) 09:22:26.05 ID:L9Mp4BiM0
女「今日の先生、不機嫌どころの話じゃないみたいね・・・」

男「ああ、ちょっとびっくりだぜ・・・この前俺に接してくれた時とは扱いが違いすぎるぞ・・・そう言えば、昨日の補習も終始不機嫌だったし・・・」

女「・・・流石にあのテンションの低さはおかしいわね・・・何かあったのかしら」

モブ女1「何でもー婚約直前まで言った彼氏さんと別れちゃったっぽいよ?」

男「ほう、そんな事情が・・・だから昨日の補習も機嫌悪かったのか・・・」

女「・・・なるほど、それはああなってもおかしくないわね・・・というか、モブ女1ちゃんと久々に喋った気がする・・・」

モブ女1「?なに言ってるの?私と女ちゃんは毎日喋ってるじゃない」

女「・・・そ、そうよね・・・毎日喋ってるわよね・・・ごめん、私も今日はちょっとおかしいみたい」

モブ女1「それにしても、最近本当に二人ラブラブじゃない?なんか毎日登下校一緒だしさー。もー見せつけちゃってーこのこのーうりうりー!」

女「ちょっともうやめてよ・・・あたしたちそんなんじゃ・・・別に・・・まだ・・・そこまでの関係じゃあ・・・」

モブ女1「あれぇー?なんか前と比べて明らかに否定が弱くなってますなー?それに、『まだ』って、どういう事ですかにゃー?」

女「う、うるさいなぁもうっ!やめてったらー!」

ドタドタ(女がモブ女1を追いかけ回す音)

モブ女1「キャー!女ちゃんが暴力を振るうー!」

女「モブ女1ちゃんが変な事言うからでしょー!?・・・・・・はぁ」

男「・・・」

男(なんとなく、今日の女は元気がないような気がするな)

210: 2015/11/11(水) 09:23:02.80 ID:L9Mp4BiM0
キーンコーンカーンコーン

男「ふぅ・・・退屈な授業がようやく終わったか・・・だが、こういう時間があるからこそ、俺はまだかろうじて、現実との接点を感じられる・・・ふふっ、そう思えば
案外授業も悪く無い・・・ククク・・・」

男「さて、では帰るとするぞ女よ」

女「あー・・・ごめん。男。あたしちょっと今日、用事あるから」

男「・・・そう言えば、今日は一日元気がないようだったか・・・あまりテンションの上がる用事ではないのか?」

女「え・・・分かったの?」

男「うむ、気になって今日は女を一日中見ていたからな」

女「・・・・・・そ、そう///」

男「あ・・・ストーカーみたいで嫌だったか?だったらすまなかったな・・・ただ、どうしたのかと思って・・・悪かった」

女「あ、謝らなくてもいいわよ!ていうか、別にあんただったら見られても・・・」

男「?すまん、最後の方聞こえなかったのだが・・・」」

女「・・・別に、なんでもないわ・・・」

男「そうか?それで、その用事はなんなのだ?出来る事なら俺も付き合うが」

女「・・・大丈夫よ。一人で・・・ううん、一人じゃないと、あたしがダメなのよ」

男「?」

女「・・・今日、お姉ちゃんの月命日だから、お墓参りに行くの。それで、暗い顔してるとこ、あんまり見られたくないから・・・だから大丈夫よ、男」

男「・・・そうか」

女「うん」

男「気をつけて行くんだぞ」

女「あはは、心配ありがと。それじゃ、また明日の朝、迎えに行くから・・・あっ、日曜日の夜の約束、忘れちゃダメよ?」

男「おう・・・あ~そろそろ、本気で、組織女との遊びから抜け出す言い訳を考えなくては・・・」

211: 2015/11/11(水) 09:24:01.74 ID:L9Mp4BiM0
夜の街

男(迂闊だったな・・・今日は我が心の師匠、†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生の新刊の発売日ではないか・・・)

男(俺の中二妄想は†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生から始まったと言っても過言ではない・・・まだ残っているといいが・・・)

男(まぁ先生の本が売り切れているの見た事ないし、増刷掛かっている報告すら聞いた事ないが・・・よくそれでラノベ作家としてやっていけるな、先生・・・)

男(さて・・・先生の本はっと・・・おお、あった・・・くっ、先生の本だけ、もう開店して10時間は立つというのに、未だにうず高く積まれている・・・他の作家の本は見事に減っているから、売れていないのが一目でわかってしまう・・・)

男(†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生は悪くない・・・先生の魅力がわからない庶民が悪いのだ・・・)

男(よし、いつものごとく、観賞用 保存用 布教用に3冊買っておこう・・・!)

パチッ(男の伸ばした手と、誰かが伸ばした手がぶつかる音)

男「あっ、すみません・・・」

???「いえ、こちらこそ・・・って、ええ!?あなたは・・・!?」

男「あれ・・・お前は・・・組織部下女・・・か・・・?」

組織部下女「お、お、男さん・・・!はい、そうです。組織部下女です!」

男「おお、やはりそうか・・・そう言えば先日は世話になったな・・・改めて礼を言うぞ」

組織部下女「いえいえ、そんな!私なんか何にも・・・」

男「何を言う。お前が居てくれなければ、俺はあの日、一生重い十字架を背負う事になっていたかもしれんのだ。本当に感謝している」

組織部下女「・・・あ、あう・・・///」

男「ところで、組織部下女はこんな所で何をしているのだ?」

組織部下女「あ、あの、あのあの・・・え、えーっと・・・ほ、本を買いに・・・来たんですけど・・・」

男「ふふっ、それもそうか・・・それにしてもすごい偶然だなぁ・・・ククク、これもまた、運命という奴かもしれんな・・・」

組織部下女「・・・(う、運命・・・男さんと私は運命の赤い糸で結ばれて・・・なんて、キャー!///)」

男「・・・組織部下女?」

組織部下女「あ、す、すみませんぼーっとして!運命の赤い糸とか!結婚式はハワイがいいとか!子供は一姫二太郎でとか!別にそういう事は一切考えて・・・」

男「一体何を言ってるんだお前は・・・ところで、誰の本を買いに来たのだ?」

組織部下女「あ、うんと、†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†さんの本を買いに来たん、ですけど・・・」

男「・・・な、なに?すまないが・・・もう一度言ってくれ・・・」

組織部下女「?ですから、†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†さんの本を買いに・・・・」

男「・・・組織部下女よ!」

組織部下女「は、はい!なんですか!?え、ちょっと待って下さい!そんな詰め寄ってきて!ダメですこんな所で!今日の下着可愛くですし・・・こ、心の準備が・・・」

男「ようやく・・・ようやく同士に巡りあう事が出来た・・・!ああ、この気持ちをなんと表現したらいいのだろうか!俺は今、猛烈に感動している・・・!」 

組織部下女「お、男さんがどうしてもって言うならいいですけど・・・・・・って、はい?」

212: 2015/11/11(水) 09:24:47.74 ID:L9Mp4BiM0
近くのファミレス

男「この前のお礼もあるし、何でも食ってくれ、組織部下女。遠慮は無用だ。今宵は俺にとって記念すべき夜となったのだからな・・・ククク・・・!」

組織部下女「いえいえ、そんな悪いですよ・・・本当に・・・」

男「遠慮は無用だと言っただろう。いいから好きな物を頼め」

組織部下女「は、はぁ・・・じゃあコーヒーを(立ち話もなんだから、ファミレスに行こうって言われたけど・・・なんかさっきから、男さん目がキラキラしてる)」

男「ククク・・・それにしても意外だったな・・・組織部下女が、†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生の本を読んでいるとは・・・」

組織部下女「え、ええまぁ・・・とは言っても、興味を持ったのは最近ですけど・・・」

男「ほう、という事は余りまだ読んでいないのだな・・・? とは言っても先生の代表作『一万年戦争物語~~最強無敵チートの俺様無双~』は当然呼んだのだろう?」

組織部下女「いえ・・・まだ」

男「・・・そ、そうか・・・では、先生のもう一つの代表作『絶対無敗の俺がハーレムを築くだけの話~ I am the world's strongest man!~』には目を通しているのだろうな?」

組織部下女「いえ・・・というか、実は私、今日初めて†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†さんの本を読もうと思って・・・」

男「・・・そ、そうか・・・」

組織部下女(あれ・・・なんだか・・・めちゃくちゃテンション下がって・・・意気消沈しちゃってる・・・)

男「いや、いいんだ・・・†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生の作品の作品に触れようとするその気持だけでも・・・俺は満足だ・・・」

組織部下女(ひょっとして、私とその作品についてのトークがしたかったのかな・・・)

男「く、ククク・・・なぁに、落ち込むな俺よ・・・そう、俺は今、同士が誕生するかもしれない瞬間に立ち会えたのだ・・・光栄な事ではないか・・・ふ、フフフ・・・」

組織部下女(わ、わぁ・・・めちゃくちゃ虚ろな笑い方してる・・・ものすごくショックだったぽい・・・)

組織部下女「あ、あの・・・」

男「フフ・・・なんだ?この勘違い早とちり男に、何か用でも?」

組織部下女「え、えーっと、その・・・出来れば†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†さんの作品の魅力を教えていただけたらなぁ・・・なんて」

男「! ふ、フフフ・・・その心意気やよしだ・・・ではさっそk・・・」

組織部下女「・・・?どうしたんですか?」

男「・・・いや、やはり辞めておこう」

組織部下女「ええ、何でです?教えて下さいよ」

男「いやな・・・アレは数年前の話だ・・・俺が小学生から中学生という存在にランクアップしたその日、俺はその時、一番†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生の作品にドハマリしていてな・・・その魅力を布教しようと必氏だったのだ」

組織部下女「・・・はい」

男「それで誰かれ構わず、2時間でも3時間でも†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生の作品の魅力を語っていたら、俺はいつのまにかぼっちに・・・じゃなくて、回りの連中が俺のレベルについてこれなくてな・・・」

男「やむなく俺は中学校時代を、一匹狼として生きる事を余儀なくされたのだ・・・まぁ中3の時に組織女と出会って以降は、自然と組織女や、組織女の仲間のヤンキー達と居るようになったのだが・・・・」

組織部下女「・・・つまり、その先生の作品の魅力を語りだすと止まらなくなるから、辞めておこうと言う事ですか?」

男「まぁ、一言で言えばそういうことだ・・・学校の授業じゃないんだ、延々と聞いてるだけじゃつまらんだろう?だから――」

組織部下女「・・・いいえ。ぜひ聞かせてください」

男「・・・ん?・・・え?いいのか?」

組織部下女「はい、むしろ聞いてみたいです。男さんほどの人がハマった作品がどれくらい面白いかを、ぜひ!」

組織部下女(だって、本当は語りたくてうずうずしてるって顔だし・・・それに、男さんが語れば語るほど、一緒に居られるし・・・)

男「く・・・ククク・・・いいだろう・・・ふふ、お前を†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生の世界観に引きずり込んでやるぜ・・・!」

213: 2015/11/11(水) 09:25:40.26 ID:L9Mp4BiM0
男「・・・それでな、脇役達が絶対絶命のピンチに陥ったその時、主人公が戦神と戦女神と竜神と邪神を引き連れて助けるシーンがめちゃくちゃかっこいいんだよ!!」

組織部下女「わぁー、それは確かに面白そうですね!!」

男「だろう!?そうだろう!?く、ククク・・・この面白さが分かるとは・・・いいセンスの持ち主だぞ、組織部下女よ・・・!」

組織部下女「あはは・・・ありがとうございます・・・」

組織部下女(正直、途中から何を言ってるかさっぱりわからなかったけど・・・)

組織部下女(でも、一生懸命語る男さん、可愛いなぁ・・・子供みたいに目を輝かせて・・・)

男「って、うお、気付けば3時間くらい経っている・・・すまんな・・・長々と語ってしまって・・・」

組織部下女「いいえ、男さんのお話が聞けて、とても楽しかったですよ」

男「そうか・・・ならいいんだ。ふふ・・・俺も久々に熱が入ってしまった・・・あー、スッキリしたぜ・・・」

組織部下女「ふふ・・・でも、いいですね。男さんは・・・そんなに熱く語れるくらい好きな事があって」

男「・・・うん?どういうことだ?」

組織部下女「いえ・・・あ、その前に、男さんに一つ確認したいんですけど、男さんって・・・その・・・私や頭領達が今やっている事というか、関わっている事象のこと・・・知っているんですよね?」」

男「・・・まぁ、おおまかにはな・・・(そう言えば、こいつは俺の正体を知らないのか)」

組織部下女「ですよね、この前も私の獣で迎えに行っても、そんなに驚いてなかったですし・・・というか、今更なんですけど、男さんってこの『戦争』において、どういう立場さんです?どこに所属してるんですか?それとも監視役かなにかで・・・?」

男「・・・・・・悪いが、それはトップシークレットだ。教えてもいいが・・・ただ、お前の命の安全は保証出来んぞ・・・それでも、というのなら構わんがな・・・ククク・・・(というか、本当になんなんだろうな、俺の立場・・・)」

組織部下女「・・・分かりました。ならもう聞きません・・・それで、話は戻るんですけど・・・」

男「うむ」

組織部下女「・・・私は例えこの『戦争』で勝ったとしても、別に叶えたい願いがないんです」

男「・・・ほう?」

組織部下女「頭領と同じく、ある日突然、この『能力』に目覚めて今まで戦ってきましたが・・・はっきり言えば、頭領や周りの人に合わせて戦ってきただけで、私自身
は・・・特にこれといって・・・なんです・・・」

男「・・・なるほど」

組織部下女「だから、男さんや頭領、『騎士団』の人たちが羨ましいんです。叶えたい願いがあったり、好きな物ややりたい事があったり・・・私には、そういうもの、一つもありませんから・・・」

男「・・・俺には、その気持ちは残念ながらわからんが・・・例えば、尊敬する人や、好きな人とかはいないのか?」

組織部下女「え? 好きな人は・・・いま、えーっと・・・その・・・めのまえに・・・」

男「?すまんが、よく聞こえん。もう一度言ってくれ」

組織部下女「い、いえ!なんでもありません! 尊敬する人とかは・・・えっと頭領の事は、尊敬しています」

組織部下女「頭領は、元組織のリーダーが亡くなってしまった後も、懸命に私達を励まして、支えてくれました。いつ見ても、あの人は頑張っています・・・だから、私が少しでも支えてあげられたらと思って、いつも頭領のサポートをしているんですけど」

男「・・・そうか」

男「だったらお前は、それでいいんじゃないか?」

組織部下女「え?」

214: 2015/11/11(水) 09:26:27.93 ID:L9Mp4BiM0
男「別に、無理してやりたい事や叶えたい願いを探す必要なんてない。逆にそうやって、自分の事ばっかり考えるより、回りの人間を支える事に力を注げるんなら、それはとても立派な事だと俺は思うぜ」

組織部下女「・・・そ、そうですか、ね・・・自分がないだけですよ」

男「そんな事ないさ。夢ややりたい事を追い求めるのはもちろん素敵な事だろうが、尊敬する人や好きな人の為に尽力できるというのも、同じくらい素晴らしい事だと俺は思うぞ」

組織部下女「・・・」

男「何だったらその願いだって、みんなの願いが叶いますようにって願いでもいいんじゃないか?そういう事を願う奴、俺は好きだな」

組織部下女「・・・」

男「だから、まぁ。そんなに悩むなよ組織部下女。今日だってお前は、俺のオタクっぽい語りを真剣に聞いてくれたじゃないか。それが俺にはとても嬉しかったぞ?そういう風にお前は誰かの役に立ってるんだ」

組織部下女「・・・」

男「だから、自分がないとかそんな事言って自分を安売りするな。大体お前、アイドル並みに可愛いんだから、もう少し自信を持て、な?」

組織部下女「・・・///」

男「・・・と、なんだか、説教臭くなっちまったな。悪い・・・」

組織部下女「いえ・・・あの、今のお言葉・・・とても嬉しかったです・・・すごく・・・すごく・・・」

男「・・・そうか。まぁ、俺、御刀虎の言葉はどんなに汚れた悪魔の魂でさえ浄化してしまうからな・・・当然と言える、ククク・・・!」

組織部下女「あ、それと。たった今、私の願いが決まりました」

男「急だなおい!?・・・で、どんな願いなんだ?」

組織部下女「ふふ、秘密です♪(口に手を当ててウィンク)」

男「ドキッ)そ、そうか・・・まぁ組織部下女の迷いが晴れたのなら、それで構わんが」

組織部下女「はい・・・それじゃあ、私。そろそろお暇しますね」

男「うむ・・・いい時間だしな・・・暗いし送ろうか?」

組織部下女「いえ、大丈夫です。私には獣がいますから」

男「ふふっ、それもそうか」

組織部下女「はい、あ、というか組織女さんから伝言があるのを思い出しました」

男「伝言?」

組織女「はい。日曜日隣町の駅前に朝10時集合だそうで・・・ひょっとして・・・で、デートですか?」

男「カカッ、そんなんじゃあねえよ。俺とあいつはただの友人だ。それ以上でも以下でもない。大体あいつは、すごくいい女だろう?はっきり言って俺には勿体無いぜ」

組織女「そう・・・ですかね・・・?」

男「そうに決まってるだろう?何を疑う事がある。それより、これを持っていけ」

組織女「・・・これは?」

男「俺がいつも持ち歩いている、†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生の、デビュー作の第一刷だ・・・超貴重だぞ・・・ククク・・・我が魂のルーツと言っても過言ではない・・・心して読むがいい」

組織部下女「はい。ありがとうございます。じっくり読ませていただきますね・・・それじゃあ、また会ったら、作品について語り合いましょうね、男さん♪」

男「おう、またな」

組織部下女(えへへ・・・やっぱり男さんはかっこいいなぁ・・・!)

組織部下女(組織女さんとの関係はちょっと気になるけど・・・でも、今はそれより、『戦争』に集中しよう!)

組織部下女(私の願いを叶えるためにも、がんばらなくちゃ、うん!)

215: 2015/11/11(水) 09:27:19.97 ID:L9Mp4BiM0
男「行ったか・・・さて、せっかく見つけた同好の士だ・・・組織部下女も、組織女も倒す事なく、なんとかこの『戦争』を穏便に済ます方法はないものかね・・・」

男「まぁ、難しいだろうが・・・とりあえず、今度の週末の組織女との遊びで、そういう方向に持っていくしかない、か・・・」

男「では、コンビニで今週の喧嘩稼業を読んでから帰るか掲載されているといいが・・・うん?なんだあの人影は・・・どこかで見た覚えがあるような・・・」

???「わたしはー・・・フラれたー・・・」

男「変な歌を歌いながらフラフラと・・・アレは・・・先生・・・?」

???「一生・・・独り身の・・・一人ぼっち・・・寂しい・・・虚しい・・・人生ー・・・」

男(・・・その人影はフラフラと酔っ払った様子で裏路地に入って行ってしまった・・・)

男「・・・どうする・・・先生だったような先生じゃなかったような・・・ええい、とりあえず追いかけて見るとするか・・・」

男(彼氏にフラれたショックで自殺・・・なんて笑えねえしな。人違いだったら、すみません間違えました―で済む話だし)

男「先生―・・・って、あれ・・・?誰もいない・・・?」

男「おかしいな、さっきこの路地に入ったのを見たんだが・・・それとも俺の勘違いだったか・・・?」

男「はっ、まさか・・・異世界に連れて行かれてしまって・・・!?」

男「いや、ないか・・・まぁ、見間違いだったんだろう。俺も色々あるしな」

不良1「きみきみー、こんな深夜にうろついてちゃ危ないよ・・・お兄さん達が家まで送ってってあげるからなー、手間賃として・・・って、てめぇ!?この前の中二か!?」

不良2「てめえ!!この前はよくも俺たちのナンパを邪魔してくれやがったな!!ここで会ったが100年目だゴルァ!!」

男「・・・貴様らは、確かメイドに絡んでた不良・・・」

不良1「おーよく覚えてるじゃねえか中二!!ここでこの前のお礼をたっぷりさせて貰うぜェ!?ヒャッハー!」

不良2「骨の一本や二本じゃ済まさねえかんな、おーん!?明日の朝刊載ったぞてめー!!」

男「ククク・・・やめておけ・・・今日の俺は、ようやくウマが合う仲間を見つけて機嫌がいいのだ・・・今ならば見逃してやるからさっさと・・・ボヘェ!?」

不良1「相変わらずブツブツ訳わかんねえ事言ってんなてめぇ!!オラァ!」

デュクシ!!

不良2「いいからさっさと金出せボケがッ!!」

デュクシ!!

男「か、カカッ・・・本当にその辺でやめておけお前ら。俺に手を出すという事は即ち、裏世界の住民すべてを敵に回す事に・・・あっ、痛い!痛い!やめて、そこ痛いから!!グヒィ!?」

不良1「クソっ、ザコのくせに、妙に耐久力だけはあるなてめぇ・・・いいからはやく財布を・・・」

女「・・・男・・・?」

男「あっ・・・お、女・・・?」

216: 2015/11/11(水) 09:28:07.01 ID:L9Mp4BiM0
不良1「ああん!?関係ねえ奴はひっこんで・・・おっとぉ・・・ヒューゥ。すげえ上玉じゃねえか・・・」

女「・・・あんた、なにやってんの?そんなザコども相手に」

不良1「・・・おい!!俺を無視してんじゃ・・・ベヒぃ!?あ、手首が、手首がぁ!?関節やめろぉ!」

男「あー、いやー、そのー・・・ククク・・・この不良どものストレス解消をしてやろうと思って・・・こんなザコどもの殴打や蹴りなど、何発貰っても屁でもないのでな・・・フフフ」

女「ふーん」

不良2「てめえそこの女!不良1を離しやが・・・ゲヒぃ!?て、てめぇ・・・人の顔を足で蹴りやがっ・・・ゴフゥ!?人の顔を踏むな!!」

女「・・・いい。あんた達、次。この男に手出ししたら、命はないと思いなさい。わかった?」

不良1・2「・・・」

女「・・・」ギュゥ フミフミ

不良1「いでででで!!」

不良2「ああああ顔の皮が剥ける!」

女「わかった?」

不良1・2「・・・・・・・・・・・・はい、わかりました」

女「声が小さい!」

不良1・2「はい!!!!!!わかりました!!!!!!!」

女「よしおっけー。ほら、行ってよし」

不良1「不良2立てるか!?ちっくしょーてめえら覚えてやがれ―!!」

不良2「やがれ―!!!!!!」

女「漫画以外でそのセリフ言う人達、初めて見たわね・・・大丈夫、男?」

男「・・・ふ、ふふ、別に奴らの攻撃など、蚊が止まったくらいにしか感じん・・・」

女「・・・ちょっと見せて。あー血が出ちゃってるじゃない。もーなにやってんのよ」カバンゴソゴソ

女「ほら、バンソーコー貼ってあげるからベンチ座って」

男「・・・いらん。余計なお世話だ」

女「うっさい、怪我人は大人しくする。ほーら」

男「うっ・・・(顔が近いな・・・)」ドキドキ

217: 2015/11/11(水) 09:29:41.81 ID:L9Mp4BiM0
女「はい、終わり。あんた、これにこりて喧嘩は止めときなさいよ?」

男「お、おう・・・」

女「?なに顔赤くしてんの?」

男「・・・別に・・・というか、お前、こんな所でこんな時間に、なにしてるんだ?」

女「言ったでしょ、お姉ちゃんのお墓参りに行くって。それで買い物とか色々してたら遅くなったのよ。ていうか、あんたこそこんな時間になにしてんの?」

男「あー・・・まぁ、なんだそのー・・・色々してたら、こんな時間でな・・・気付いたらあの不良どもに喧嘩売られてて、しょうがなく奴らのフラストレーション解消に一役買ってやったのだ」

女「あんたねぇ・・・あんなバカ共に付き合わなくていいのに。確かに私達『能力者』は、あんな奴らに殴られたって痛くも痒くもないけど・・・」

男「・・・俺を殴って奴らのストレス解消になるのなら安いものだろう。街の治安維持の為だ。仕方あるまい」

女「・・・ま、私が脅したし、奴らも当分悪さしないでしょ・・・じゃあ帰るわよ・・・とは言ってもあたしん家、すぐそこだからさ。今日は送って貰わなくても大丈夫だけど」

男「ああ、そう言われれば確かにここは女の家の近くだったな」

女「でしょ?」

男「うむ・・・では俺も家に帰るとするか・・・バンソーコー、ありがとよ」

女「ふふん、あたしは器が大きいから、お返しは近くのレストランの最高級コース料理で勘弁してあげるわ」

男「・・・カカッ、それはなんとも器の大きい事だ」

女「クスクス、じゃあね、男」

男「フフフ、おう、また明日、学校でな」

218: 2015/11/11(水) 09:30:35.91 ID:L9Mp4BiM0
女(うっふっふー・・・なんだかちょっと男といい感じね、あたし!)

女(男の子ウケする香水とか買ってきたし、明日からもっと急接近出来るかも・・・なんて///)

女(バンソーコー貼る時も、男のゴツゴツした肌に触れちゃったし・・・なんか急に恥ずかしくなってきたわ・・・///)

女(・・・でも、あれ・・・?さっきの男、考えてみるとちょっとおかしいわね・・・男が『能力者』なら、殴られたって出血なんかしないはず・・・)

女(前のお嬢達との戦闘の傷跡が開いた・・・?いや、でも私達は回復も速いわ・・・ましてや古傷や傷跡なんて残らないはずなのに・・・)

女「・・・まぁ、でもそこら辺は・・・男の抱えてる謎って奴なんでしょうけどね・・・」

女(・・・まさか、一般人って訳でもないでしょうに・・・いや、流石にそれはありえないわよね・・・)

女(・・・)

女「・・・ふぅー、考えるのはやめやめ。さっさとお風呂に入って寝まっしょっと」

女「・・・お姉ちゃん、絶対に私達は『戦争』に勝つからね・・・」

女「そうしたら・・・また・・・お姉ちゃんに・・・」




組織部下女「どうしよう・・・男さんから借りた小説・・・ちょ、超つまらない・・・」

227: 2015/11/15(日) 23:38:33.61 ID:atYND1n50
なんだかんだ日曜日。


騎士団長「でやああ!!双雷襲真皇裂乱撃衝!!」

男「・・・ククク・・・いい感じですぜ、次!」

騎士団長「やああああ!!紫神裂時覇滅王双刃!!」

男「・・・ふふ、素晴らしい斬撃だ・・・どんな敵も真っ二つになること間違いない・・・次!連携!」

騎士団長「おおお!!時浄刃!!! 絶皇滅雷剣!!! 破衝斬殺神襲!!! くらえぇ!! 暴裂浄覇断翼乱閃撃!!!!」

パチパチパチ・・・

男「流石団長殿・・・思わず拍手してしまいましたぜ・・・大したものだ・・・」

騎士団長「ふふ、ありがとう・・・私も大分成長してきた気がする・・・!」

男(しかし思うんだが、これ、団長の鍛錬の役に立ってるんだろうか・・・相変わらず団長殿の剣捌きは凄まじいけど)

騎士団長「しかし、悪いな。朝の5時から付きあわせてしまって・・・早朝の鍛錬はいつもこの時間なものでな・・・」

男「いえいえ、大した事では・・・ふぁぁぁ~・・・あ」

騎士団長「ふふっ・・・君も欠伸などするんだな」

男「・・・済まないな団長殿。ちょっと気が抜けたようだ」

騎士団長「気にするな、とても可愛らしい欠伸だったぞ」

男「・・・///」

騎士団長「ふふ、少し休憩にするとしようか」

男「はい」

228: 2015/11/15(日) 23:40:00.11 ID:atYND1n50
騎士団長「今日は朝からわざわざ忙しい所をありがとう、男。おかげで随分と鍛錬がはかどっているよ」

男「団長殿の頼みだし、これくらいなんともないですぜ・・・むしろ、役に立ってるか不安ではありますが」

騎士団長「ふふ、とても役に立っているよ・・・主にメンタル面で、な」

男「そうですか・・・これからも、ご要望とあれば付きあわせてもらいますぜ、団長殿」

騎士団長「うむ、頼むぞ。ほら、今日はこの前言っていた紅茶だ。飲みたまえ」

男「では、遠慮無く・・・うむ、美味い」

騎士団長「ふふ、なら良かった」

男(団長殿は本当にこの訓練が楽しそうだな・・・一生懸命技名を考えてきた甲斐があったもんだ)

男(・・・ところで、団長殿って普段何をしているんだろうか。メイドは置いといて、俺や女は高校生、組織女や組織部下女、それにお嬢もおそらく高校生だろうが・・・)

男「ちょっといいか団長殿?」

騎士団長「ん?どうした、男」

男「団長殿って普段は何をされているんです?」

騎士団長「ん?ああ、言っていなかったか。普段の私は大学生だよ。紅茶の水女子大学に通っている」

男(紅茶の水女子大って・・・日本で最高峰の女子大じゃねーか・・・)

男「前回来た時も思ったのだが・・・団長殿の血筋はいわゆる由緒正しい家系だったりするので?」

騎士団長「・・・まぁ、それなりにな。自慢に聞こえるかも知れないので言わなかったが・・・親が色々とうるさくてね、中学も高校もいわゆるお嬢様学校に通っていたよ」

騎士団長「それに大学も、親が女子大以外行かせんとか言い出してね・・・まぁいわば、世間知らずのお嬢様というやつさ。勿論機関のお嬢ほどではないけれども」

男「ほほう・・・しかしその割には、随分と口調はクールというか、男っぽいというか・・・」

騎士団長「・・・まぁ一応理由はあるのだ。自慢にもならないが、どうも私は同姓から頼られる事が多くてな・・・回りが女子ばかりだからか、男の子役を求められるというか・・・言いたい事がわかるか?」

男「まぁ、なんとなくは・・・」

騎士団長「うむ・・・さらに文化祭や体育祭では、何かと男装をさせられる事が多くてな・・・ならばいっそ男の子役に徹してやろうと思い、気付いたらこんな口調になってしまっていたのだ」

男「・・・団長殿も大変でしたな・・・しかし・・・それではさぞかし女子からモテモテだったでしょう?」

騎士団長「うぐっ・・・なぜ分かる・・・」

229: 2015/11/15(日) 23:41:28.02 ID:atYND1n50
男「まぁなんとなく・・・特に団長殿は、女性からお姉さま等と慕われそうな容姿ですし・・・」

騎士団長「うっ、それも当たりだ・・・まぁ中には、私から見ても、明らかに恋愛感情のこもった目で私を見つめてくる子もいて、正直まいる・・・が、私からすれば彼女たちが羨ましいよ」

男「?どういう事です?」

騎士団長「私自身、幼少の頃から女に囲まれていてな・・・身の回りに男性がいない環境が当たり前すぎて、あまり男性というものを詳しく知らないのだ」

騎士団長「だから、まぁ実は君とこうして二人っきりで稽古するというこの行為も・・・実は私の人生では数えるくらいの、異性とのコミュニケーションという奴なのだ」

男「そ、そうですか・・・(結構ドキっとする事言うなぁ、団長殿は・・・)」

騎士団長「それ故に、初恋もまだでね・・・恋の一つや二つ、私だってしてみたいのだが・・・まぁとは言っても私も大和撫子だ。ここまで来たら将来の旦那様に出会うまで、操を守るつもりだがな」

男「・・・ふふっ、流石の高潔さだな、団長殿」

男(随分と古い価値観だな・・・大和撫子とか久しぶりに聞いたぞ・・・まぁ自ら世間知らずのお嬢様と自嘲するくらいだし、当然か・・・しかし最近、若者の生の乱れが著しいし、そういう奴らに団長殿の爪の垢を飲ませてやりたいぜ)

騎士団長「ふふ、ありがとう・・・しかしまぁ・・・もう少し私は女子から告白される回数を減らす方法とか思いつかないか、男?私はそっちの気はないので、正直困っているのだが・・・」

男「・・・まぁ、それはしょうがない事では?団長殿は男の俺からしても格好良く見えますしな」

男(汗で濡れた肌が色っぽく見え、漆黒の黒髪に白い袴のコントラストがとてつもなく似合っていて・・・まるで一枚の絵のようだ・・・美人は本当に得だな)

騎士団長「カッコイイ・・・か・・・はぁ・・・」

男「・・・そういう風に形容されるのは、お嫌いか?団長殿」

騎士団長「そんなことはないさ。もちろん、どういう形にしろ褒められるのは嬉しいよ・・・ただ・・・」

男「ただ?」

騎士団長「・・・いや、なんでもないさ。さぁ、訓練を再開しよう!」

男「は、はい・・・」

男(うぅーむ、なにやらコンプレックスを抱えているようだ、あまり触れないでおこう)

230: 2015/11/15(日) 23:42:15.45 ID:atYND1n50
一時間後。

騎士団長「剣裂双皇襲護一覇破翼舞剣!! ふぅー・・・こんな所だろうか」

男「ですな・・・俺もそろそろ、用事に行かなきゃならんので」

騎士団長「ふむ・・・お疲れ様だ。楽しく、そしていい鍛錬だったぞ」

男「ククク・・・なら良かったですぜ・・・では」

騎士団長「・・・あ、いや、ちょっと待ってくれ男」

男「・・・なんです?」

騎士団長「その・・・言うのが遅くなってしまったが・・・この前は助けに来てくれて本当にありがとう。改めて礼を言わせて貰う」

男(この前、ああ、お嬢達との戦闘の事か)

男「いいえ、お礼を言われるような事は何も・・・(実際、俺はほぼ全部、他力本願だったしなぁ)」

騎士団長「何を言う。君が来てくれなければ、私達は間違いなく氏んでいた。君は命の恩人なのだ。何度お礼を言っても言い足りないくらいだ」

男「ククク・・・団長殿。俺たちは仲間でしょう?助け合うのは当然の事。逆にそれでお礼を言われても困りますぜ?当たり前の事を当たり前にやっただけの事ですからな」

騎士団長「でも・・・」

男「とにかく、それ以上は言いっこ無しにしましょうや。美しい乙女のピンチに駆けつけるのは、男の義務であり、そして男にとって最大の喜びなんですぜ?」

男「まぁ助けたからと言って、お礼や金銭を要求するような勘違いした馬鹿は、男の風上にも置けませんが。だから、それ以上のお礼はいりませんぜ」

騎士団長「・・・美しい・・・乙女・・・」ポー

男「・・・団長殿?」

騎士団長「・・・はっ。す、すまない男・・・ちょっとぼーっとしてしまって・・・」

男「カカッ、構わんよ団長殿。ぼーっとする団長殿は中々可愛かったですぜ?」

騎士団長「か、かわっ・・・君は何を・・・年上をからかうんじゃないっ」

男「?別にからかった訳ではないですが・・・」

騎士団長「え、ええい!ともかく一旦口を閉じろ男!まったく君という奴は・・・君はという奴はまったく・・・もうっ!」

男「・・・フフフ、そうやって頬を膨らませている所も子供みたいで可愛いですぜ」

騎士団長「っ・・・あの、だから・・・っ・・・」

男「・・・ん?団長殿、顔が真っ赤ですが・・・」

騎士団長「っ・・・ええい、そこになおれ!君には男女交際のあり方というものを教えてくれるっ!」

男「だ、団長殿・・・?急に何を言い出すんです・・・?その、俺には用事があるのですが・・・?」

騎士団長「うるさーい!嫁入り前の女に向かって、そうほいほい可愛いだの綺麗だのと宣って・・・!そんな口の軽い男が我が『騎士団』にいるなど、神が許しても私が許さん!」」

騎士団長「ともかく君にはお説教だ!大体この前だって君は、仮にもその時はまだ敵であったメイドにも散々綺麗だとか美人だとか言ってた!そうやって甘い言葉で幾人もの女を騙してきたんだろう!?」

男「だ、団長殿、落ち着いて・・・!」

騎士団長「これが落ち着いていられるかー!!たっぷり指導してくれる!」

男(・・・すまん、組織女。ちょっと遅れるやもしれん・・・)

231: 2015/11/15(日) 23:42:48.40 ID:atYND1n50
騎士団長「大体君は・・・『騎士団』の団員としての自覚が・・・可愛いとか・・・美人とか・・・別に言うなとは言わな・・・せめて・・・言うなら、わ、私にだけ・・・」

男(長いなー・・・)←聞き流してるから、内容が頭に入ってこない。

騎士団長「という事だ!!わかったか男!?」

男「は、はいわかりました! あの、それで団長殿・・・そろそろ俺は用事に向かってよろしいですかな・・・?」

騎士団長「・・・っ!?は、す、済まない・・・可愛いと言われ慣れてなかったから、訳がわからなくなってしまって・・・つい・・・申し訳ない!」

男(普段キリッとした団長殿が、申し訳なさそうに謝ってる図は、見る人がみれば垂涎ものなんだろうが・・・今はそれを味わう時間が無い!)

男「気にしなくて大丈夫ですぜ団長殿!では俺はこれで!!また後日!!」

男(やばいな、速攻で家に帰って、服を着替えて、また駅へ・・・果たして約束の時間に間に合うか・・・!?)

騎士団長「行ってしまった・・・」

騎士団長(か、可愛いか・・・}

騎士団長「私が、可愛い・・・うふふ」

騎士団長(くっ、何をだらしなくニヤけているんだ私は・・・)

騎士団長(弛み、緩みをなくさねば・・・)

騎士団長「ふんっ!やぁ!!」

ブォン!ブォン!(剣を振る音)

騎士団長(・・・どうも剣を振っても、集中できん・・・)

騎士団長(・・・男、用事って何の用事なのだろうか)

騎士団長(まさか、女とではあるまいな・・・)

騎士団長(・・・)

騎士団長(・・・なんだか、そう考えたら急に苛ついてきたな・・・)

騎士団長「・・・・・・・」

騎士団長(・・・ちょっと、後を追いかけてみるか)

騎士団長(・・・こ、これは別に、ストーカーでもなんでもない。決して犯罪行為ではないぞ)

騎士団長(ただ、男の毒牙にかかる女性の被害を増やさぬ為にだな・・・)

騎士団長「よし、そうと決まれば・・・」

232: 2015/11/15(日) 23:43:19.35 ID:atYND1n50
町外れ 『組織』のアジト

組織女「ん~~むにゃむにゃ・・・ば、やめろ男・・・強引すぎるってぇ・・・ばかぁ・・・」

組織部下女「あれ・・・?頭領。なんでこの時間に、私達のアジトにいるんですか?もうそろそろ男さんと、デートのはずじゃあ・・・ていうか、寝てる?」

組織女「あ、あほ・・・どこ触って・・・だ、だめだって・・・やめ・・・」

組織部下女「頭領~・・・?」

組織女「う、うう~ん・・・?ふぁぁ~・・・んだよ組織部下女、せっかくいい夢見てたのによ・・・」

組織部下女「それは失礼しました・・・ただ、頭領、確か今日って男さんとの約束がある日じゃあ・・・?」

組織女「・・・あ?・・・あぁ!!や、やっちまった!!昨日夜中まで服選んでたから・・・ああ、髪の毛もボサボサだ!ちくしょう!やらかしたー!」

組織部下女「あ、あはは・・・私、男さんに、頭領が遅れるって連絡しておきましょうか?」

組織女「いや、いい!!なんとか間に合わせる!!くっそー!!速攻でシャワー浴びてご飯食べて着替えて化粧して・・・」

組織部下女「あー・・・とりあえず、朝ごはん、用意しておきますね、あはは・・・」

組織女「悪いが頼む!!」

組織部下女(・・・頭領が寝坊なんて、普段なんだかんだきっちりしてるところはとことんきっちりしてる人なのに)

組織部下女(よっぽど楽しみにしてたんだなぁ、男さんとのデート・・・まぁ、男さんはそう思ってないみたいだけど・・・)

組織部下女(いいなぁ、頭領・・・)


それから20分後。


組織女「やべえ、完全に遅刻だ・・・それじゃあ行ってくる!」

組織部下女「はい、お気をつけて・・・」

組織部下女「・・・」

組織部下女(・・・いいなぁ、デートかぁ。私もいつかしたいなぁ・・・)

組織部下女(男さんと恋愛映画見て、ディナーして、そして綺麗な夜景をバックに・・・///)

組織部下女(はぁ・・・まぁ今は遠い夢だけど・・・)

組織部下女(・・・男さん・・・会いたい)

組織部下女(・・・・・・気になる・・・会いたい・・・なにか、理由、理由は・・・)

組織部下女(はっ、そうだ)

組織部下女「・・・頭領は急いで出かけていったし・・・ひょ、ひょっとしたら頭領がなにか忘れ物とかしてるかもしれないから・・・」

組織部下女「その時、頭領がデートから抜け出さないで済むように・・・ちょ、ちょっとだけ、二人の後付けちゃおっかなぁ・・・これは・・・別に尾行とかストーカーじゃなくて、これも男さんが言ってた、人の役に立つ、だよね・・・うん!」

組織部下女「よし、じゃあ早速・・・」

233: 2015/11/15(日) 23:43:53.20 ID:atYND1n50
女(ふふん、今日の夜は男と二人っきりのデート・・・とは、向こうは思ってないかもだけど、えへへ、楽しみだなぁ♪)

女(今日の為に、わざわざ隣町の人気の美容室まで予約したんだから!)

女(美容院に行って、服も新しいのおろして・・・し、下着は・・・ど、どうしようかしらね・・・」

女(いや、ていうか。そもそも私達、まだキスもしてないんだし・・・いくら何でも・・・それはないわよね・・・)

女(いや・・・でも、男って意外と強引そうだし・・・可愛くないの履いてて、幻滅されたら嫌だなぁ・・・いや、でもあたしにも心の準備ってものが・・・)

女(モブ女1ちゃんに相談した方がいいかしら・・・)

女(って、あれ・・・あの後ろ姿は・・・)

女「・・・団長?」

騎士団長「ビクッ)うあぁぁ!?ってなんだ、女か・・・ビックリさせないでくれ」

女「す、すみません・・・えっと、こんな所でなにしてらっしゃるんです・・・?なんか団長らしくもなく、コソコソしてますけど・・・」

騎士団長「しっ!静かにしろ!気付かれたらどうするんだ!」

女「は、はぁ・・・あの・・・何をなされているんですか?さっきから」

騎士団長「・・・追跡だ」

女「・・・は?誰のです?」

騎士団長「・・・お、男の、だ」

女「はぁ・・・?え、どういう事です?」

騎士団長「・・・じ、事情は後で説明する・・・ともかく君もこの追跡に参加しろ!」

女「いや、ちょっと意味が・・・」

騎士団長「いいから!」

女「・・・まぁ、団長のご命令なら」

女(団長がこんなにドギマギしてるの、初めて見たかも・・・でも、一体なんで男を追跡・・・?)

234: 2015/11/15(日) 23:44:27.71 ID:atYND1n50
女(というか、本題の男はどこに・・・あ、居た・・・)

女「男を発見しましたけど・・・男は一体何をしてるんですかね?誰かと待ち合わせみたいですけど」

騎士団長「おそらく女との待ち合わせに違いない・・・見ろ。あんなオシャレな格好をして・・・普段私達と会う時と、全く格好が違うではないか・・・」

女「た、確かに・・・普段はともかく真っ黒か、ド派手かのどちらかですけど・・・随分とこう清潔感があるというか、爽やかというか・・・でも決まった訳ではないですよね・・・?」

騎士団長「いや、そうに決まっているだろう・・・全く、さっき私に可愛いと言っておいt・・・」

女「可愛い?」

騎士団長「い、いやなんでもない・・・とにかくだ!!」

騎士団長「この『戦争』も終盤に差し掛かった時になんたる気の緩みだと私は言いたいのだ・・・今日一日、じっくり追跡して、また説教してやらねば・・・大体、遊ぶ余裕があるなら、私と鍛錬するべきではないか・・・まったく・・・」

女「団長、それは尾行とか、ストーカーとか言うのでは・・・」

騎士団長「ひ、人聞きの悪い事を言うな!ただ私は彼に、女にうつつを抜かしてる場合ではないのだぞ!という事が言いたくてだな・・・!」

女(・・・まぁ私も、夜に会う約束してるから、気の緩みうんぬんに関してはなんとも言えないけど・・・)

女(でもまぁ、まさか男も昼間別の女と遊んで、夜に私と遊ぶほど器用じゃない・・・はず。だからまぁ、適当に男を援護してあげよう)

女「まぁまぁ団長。たまには男もパーッと遊ばせてあげましょうよ・・・男だって365日24時間戦える訳じゃないんですから・・・それに女の子って確定した訳でもないんですし」

騎士団長「むっ・・・まぁ、確かに・・・言われて見ればそうだが・・・」

女「でしょう?大体、こういう陰湿な事は、『騎士団』の誇りに泥を塗る事になるのではないでしょうか?もっと仲間を・・・男を信じてあげましょうよ?それに男だってまさか、この大事な時期に女にかまけて腑抜けたりなんかしませんって」

騎士団長「・・・ふむ、そう・・・だな・・・すまない・・・ちょっと気が動転していたみたいだ・・・ありがとう、女。私は危うく『騎士団』としての誇りに自ら傷を付ける所だった・・・」

女「いえいえ、ふふ、むしろ団長の貴重な姿が見れて、眼福でしたよ・・・もし良かったら、久々にご飯でもどうで・・・あれ?」

女(・・・ん?男の傍に、近寄る人が・・・あれが待ち合わせの人・・・? え、本当に女の子・・・? うわ、しかも超可愛くない、あの子・・・?)

騎士団長「ん・・・? あ、あれはもしや・・・」

235: 2015/11/15(日) 23:45:16.66 ID:atYND1n50
男「ふぅ・・・20分ほど遅れてしまったが・・・まだ組織女は来てないようだ・・・助かったぜ」

男「・・・ん?なんだ、どこからか視線を感じるような・・・ククク・・・とうとうこの世界の『観測者』が現れたようだな・・・フフ、だが、この暗黒の邪王、御刀虎の感覚は騙しきれんぞ・・・ククク・・・」

男(・・・というか、マジで見られているような・・・いや、でもどこにも人影見当たらないし・・・気のせいか)

男「ふぅ・・・それにしても、もし女や団長殿と鉢合わせしてしまったらなんて言い訳しよう・・・まぁでもそこら辺、組織女も意識しておいてくれたのか、わざわざ待ち合わせ場所が隣町な訳だし、大丈夫だろ、多分)

タッタッタ

組織女「はぁはぁ・・・わりぃ・・・だいぶ遅れちまったな・・・」

男「おお、来たか組織女。なに、俺も今来た所だ。気にするな」

組織女「そ、そうか・・・」

組織女(な、なんだよこいつ・・・普段だったら『ククク・・・この御刀虎を待たせるとはいい度胸だ・・・』とか言うくせに・・・なんで今日に限って、そんな優しい言葉を・・・)

組織女「つ、つーか、なんだよお前・・・どうしたんだその格好は・・・?いつものド派手で頭悪そうな服はどうした?」

組織女(ほ、本当にデートだと思ってくれて、服も変えたのかな・・・だったら嬉しいけど・・・///)

男「頭悪そうって言うな!・・・いやよ、久々に組織女と二人っきりで出かけると母さんに言ったら、無理矢理服屋に行かされてな・・・それでこの格好をさせられたのだ・・・全く、いつもの服装でないと、俺の中の獣の拘束が解かれて、『奴ら』が暴れだしてしまうと言うのに・・・」

組織女「そういう事か・・・でも、いいじゃねえか。そういうお前も新鮮だぜ。ていうか、絶対そっちの服装の方がいいと思うぞあたしは・・・」

男「そうか?正直、着てる俺からすれば普段の服装と違いすぎて、ちょっと不安だったのだが・・・お前にそう言われて安心したぜ、ありがとう(ニコッ)」

組織女「~~~っ///(こいつ、普段の「ククク・・・」みたいな不気味な笑い方じゃなくて、こういう屈託のない笑顔だけは本当に可愛いからなぁ・・・)

236: 2015/11/15(日) 23:45:47.12 ID:atYND1n50
男「ていうか。組織女こそ普段のボーイッシュな格好とは違い、、随分と可愛い服装をしているではないか、どうしたのだ?」

組織女「いや、どうしたっていうか・・・それはその・・・まぁ・・・なんとなく・・・」

男「ほう?まぁ理由は何でもいいが・・・ふむ・・・ほほぉ・・・よく見れば薄っすらと化粧もしているではないか」

組織女「な、なんだよ・・・じろじろ・・・見んなって・・・それになんだ、あたしが化粧しちゃ悪いかよ・・・」

男「そうは言ってないだろう?しかし・・・うむ。ふむふむふむ・・・」

組織女「・・・いつまで見てんだよおめえは・・・ど・・・どうせ似合ってないと思ってんだろ・・・?」

男「・・・美しい・・・」

組織女「・・・・・・は?」

男「再会した当初から思っていたのだが、中学生の頃とくらべて・・・いや、あの頃も当然そうだったが・・・さらに綺麗になったな、組織女」

組織女「・・・・・・はぁ?」

男「ともに暴走族のアジトに乗り込んで、勇ましく暴走族のメンバーを倒していくお前は美しかった・・・しかし今の女の子女の子しているお前も、とてもビューティフルだ」

組織女「な、な、な」

男「前々から整った顔立ちという事は知っていたが・・・化粧と服装で女は変わるというのは本当だな・・・組織女はスタイルもいいし・・・モデル雑誌にでも応募してみたらどうだ?きっとすぐにトップモデルになれると思うぞ」

組織女「う、う、うっせぇ!!」

ヒュン!(組織女が男を殴ろうとする音)
シュ!(組織女の拳をかわす男)

男「おっとぉ・・・ククク、見切っていると言っただろう?というか、お前は一体何で怒っているのだ・・・?あ、上から目線がうざかったか?なら謝るが」

組織女「そ、そういう意味じゃなくて・・・むしろ・・・ええい!なんでもねえよ!」

男「一体どうしたんだお前は・・・顔も真っ赤だが・・・」

組織女「なんでもねえって言ってんだろ!」

男「お、おぉ・・・思った事を言っただけなのだが・・・全く、これだから女は訳がわからん・・・」

男「ところで、今日は何をするのだ。俺はまだこの街に引っ越ししてきたばかりで、正直何も分からんぞ・・・まぁ一応それなりに調べてきたが」

組織女「ああ、それなら心配すんな。あたしが色々考えてきたからな」

男「おう、それじゃよろしく頼む」

237: 2015/11/15(日) 23:46:27.95 ID:atYND1n50
女「・・・・・・・」

騎士団長「・・・・・・・」

女「・・・・・・だ、、団長」

騎士団長「・・・な、なんだ女」

女「頬を・・・つねってもらっていいですか・・・」

騎士団長「ほ、ほう・・・奇遇だな、女・・・私もちょうど誰かに頬をつねって欲しかったところだ・・・」

ぎゅうう(お互いの頬をつねる音)

女「うぅ・・・痛いです・・・」

騎士団長「私もだ・・・どうやら夢じゃないようだな・・・」

女「男・・・どうして・・・組織女と・・・」

騎士団長「そう言えば、組織女は確か古い知り合いのような感じだったな・・・」

女「じゃあ・・・まさか、男は組織女と共謀して・・・私達を・・・裏切・・・いや、それはないですよね・・・もしそうだとしたら、機関のお嬢との戦闘が終わった後に、男が私達を襲えば、すべてが終わったはずですし・・・」

騎士団長「うむ・・・その可能性は薄いというか、ほぼないと考えていいだろう・・・というか、彼が私達を裏切った等と考えたくもないしな」

女「それは私も正直同じ考えです・・・ですが・・・ならばなぜ、男は組織女と・・・で、デートみたいな事をしているのでしょう・・・」

騎士団長「・・・」

女「・・・」

騎士団長「それは・・・つまり・・・なんだ・・・彼が組織女を憎からず思っているというか・・・もっとはっきり言ってしまえば・・・す、す、す・・・好き、だからでは・・・?」

238: 2015/11/15(日) 23:46:59.05 ID:atYND1n50
女「・・・・・・」

騎士団長「・・・・・・」

女「団長」

騎士団長「なんだ?」

女「男を追跡しましょう・・・今日一日かけて、じっくりと・・・一挙手一投足をじっくり観察しましょう・・・!」

騎士団長「ふ、ふふっ・・・またしても奇遇だな、女・・・ちょうど私もそのように思っていたところだ・・・!」

女(許せないわ・・・私と夜に遊ぶ約束しておきながら・・・昼間は他の女と遊ぶなんて・・・)

騎士団長(さっき私と稽古したその足で、他の女と逢瀬するとは・・・なんという不埒な男だまったく・・・今度の土日はじっくりと説教してくれる・・・)

女「よし、じゃあ男たちも動き出しましたし、ついて行きましょうって・・・ん?」



???「わぁ・・・男さんの服装、すごく格好いい・・・なんか、頭領もすごく乙女な顔になってるし・・・」

239: 2015/11/15(日) 23:47:35.30 ID:atYND1n50
???「わぁ・・・男さんの服装、すごく格好いい・・・なんか、頭領もすごく乙女な顔になってるし・・・」

女(あ・・・あれは・・・組織部下女・・・!?なんでこんなところに・・・というか、なんであいつはコソコソしてるの・・・?)

女「だ、団長・・・あいつ・・・!」

騎士団長「クソ、組織女め、楽しそうに男の隣を歩きおって・・・うん?どうしたおん・・・」

組織部下女「・・・ん?誰かが私を見てる気が・・・って、あ・・・」←女と団長と目が合う

騎士団長「・・・お、お前は・・・組織部下女!?貴様、こんな所で何をしている・・・!」

組織部下女「『騎士団』の二人・・・!こんな所で何を・・・まさか、頭領を狙って・・・!?」

騎士団長「な、何を抜かす貴様!そんな卑劣な事を私達『騎士団』がする訳ないだろう!貴様こそ、男を闇討ちしようと考えているのではあるまいな!?」

組織部下女「ば、バカな事を言わないで下さい!何で私が大好きな男さんを・・・はっ」

女「大好き・・・?」

組織部下女「ゴホンゴホン!と、とにかく私は、男さんに手出しをするとか考えていません!ただ、私は、男さんの姿が一目見たくt・・・じゃなくて!頭領のサポートが私の役目ですから!頭領が困った時に役立てるよう、影から見守ってたんです!」

騎士団長「・・・・・・ふむ、確かに、手出ししようと思えば、さっきからいくらでも手出しは出来たはずだしな・・・嘘は言っていないか・・・」

女「どうします、団長?戦えば・・・おそらく2対1ですし、確実に倒せますが・・・ただ、男を見失いますよ」

騎士団長「くっ・・・二兎を追えはしないか・・・ならば・・・おい、組織部下女」

組織部下女「な、なんですか・・・やるんですか・・・?戦うのなら容赦はしませんよ!」

騎士団長「違う。よく聞け。ここは一時休戦と行かないか?」

組織部下女「・・・はい?」

騎士団長「お前は組織女を見守りたい、私達は男達を追跡したい・・・ならば今日一日だけ、私達は敵ではない。という事にしないか?」

女「つまり、お互いに手出しはしない、という事ですか?団長」

騎士団長「そういう事だ。今日一日だけは、お互いに『戦争』に関するうんぬんかんぬんは全部一旦止めという事だ・・・win-winな提案だと思うが・・・どうだろう?」

組織部下女「なるほど・・・まぁこうしてグダグダ話合ってる間にも、男さん達が行ってしまいそうですし・・・私もそれで構いませんよ」

騎士団長「うむ・・・まぁ信用しろとは言わんが、それでも『騎士団』の誇りにかけて、貴様を襲う事はないと誓うさ」

組織部下女「・・・わかりました」

女(納得行ってないというか、全面的に信用されてはいないようだけど・・・まぁそっちの態度の方が自然よね)

女「じゃあ、とりあえず追いかけましょう、男たちを見失ったら元も子もないですし」

騎士団長「うむ」

組織部下女「・・・ですね」

248: 2015/11/21(土) 00:11:04.96 ID:qEU49qKc0
男「どうしたのだ?女よ、なんだか今日は随分と歩き方がぎこちない感じだが」

組織女「う、うっせえ。なんでもねえよ(うぅ・・・スカート短すぎたかな・・・普段こんなの履かないから、動きが慣れねえ・・・)

男「・・・」ジー・・・

組織女「ん、んだよ見つめて・・・」

男「・・・いや、なんでも・・・それよりどこに連れてこられるかと思えば・・・水族館か・・・ふふふ、悪くないチョイスだぞ、組織女よ・・・」

組織女「おぉ、そりゃあ良かったぜ。おめえ、こういう所好きだろうと思ってよ」

男「うむ。俺は海とか宇宙とか大好きだぞ。なにせロマンがあるからな・・・」

組織女「出た、厨房の時のお前の口癖だったよな、ロマン」

男「ふふ、そうだ・・・男はロマンが無いと生きていけないのだ・・・知ってるか女よ?深海は宇宙より調査が進んでいないそうだ・・・そう聞いたら絶対に深海には未だ見ぬ巨大生物とか地底人とか居ると思わないか?ほら、ワクワクするだろう?」

組織女「巨大生物、地底人ねぇ・・・残念ながら別にあたしはワクワクもドキドキもしねえが・・・とりあえずここにはジンベエザメとかいるらしいぜ?」

男「・・・マジかよ!!ジンベエザメいんのかよ!!やべえ超テンション上がるんだが!?早く観に行こうぜ!!」

組織女「お、おう・・・(なんだこいつ・・・キャラが違うような・・・)」

ジンベエザメの居るめちゃくちゃデカイ水槽前。

男「おぉ・・・ジンベエザメだ・・・リアルジンベエザメ・・・ほ、ほぁー・・・」

組織女「・・・おい、口開いてるぞ、みっともねえ」

男「おお、指摘ありがとう・・・つい興奮してしまってな・・・いいなぁ・・・でけえなぁ・・・かっけえなぁジンベエザメ・・・」

組織女(めっちゃ目をキラキラ輝かせて見て・・・クッソ可愛いなこいつ・・・)

組織女「そんなにいいか?」

男「おう・・・なにせ世界最大のサメで、世界最大の魚だからな・・・そりゃあ興味も湧くだろう」

組織女「ん?世界最大の魚・・・?それってクジラじゃねえの?」

男「クジラは生物学上、魚類ではなく哺乳類扱いだ。勿論動物というカテゴリーならクジラが世界最大の動物だがな」

組織女「・・・おめえって本当に世界最大、とか生物界最強とか、そういうの好きだよなぁ・・・」

男「言っただろう?ロマンと・・・うわあ・・・口でけえ・・・アレに飲み込まれちゃったらどうなるんだろうな・・・ククク・・・興味が尽きん・・・フフフ・・・」

組織女(子供みてえな顔しやがって・・・うぅ、なんか母性本能みたいなものが疼くわ・・・ああ、だからあたし、こいつの面倒見ちゃうっていうか、なんだかんだこいつに力貸しちゃうんだろうなぁ・・・)

249: 2015/11/21(土) 00:11:38.47 ID:qEU49qKc0
モブ係員1「イルカへのエサやりコーナーはこちらでーす!」

組織女「おい、イルカにエサやりとか出来るらしいぞ。やりに行こうぜ」

男「うむ・・・楽しそうだな・・・よし、やろう」

組織女「おう、あ。なんか餌とか買わなきゃダメっぽいな」

男「ククク、俺が買ってしんぜよう・・・すみません、イルカの餌下さい」

組織女(・・・お)

モブ係員2「はい。お一つ500円になります」

男「んじゃ二つで・・・ほらよ組織女。やろうぜエサやり」

組織女「・・・おめえも、少しは成長したな」

男「ん?」

組織女「いやよ、厨房の時のお前だったら『ククク・・・すまんが生物界の絶対強者である御刀虎の義務として、弱者であるイルカに施しをしたいのだが?』くらいの事を係員さんに言いそうだったからよ」

男「・・・お前、俺の妄想が移ったか?」

組織女「う、うっせえわ!!なに『何言ってんだこいつ』みてぇな顔してんだよ!ぶっ飛ばすぞ!」

男「お前は気づいてないかも知れんが、俺は中学生の時からちょくちょく店員さんにはそれなりに敬語を使ってるぞ・・・まぁたまに勢いで言ってしまう時もあるが、そういう時も即訂正してるし」

組織女「そうなのかよ・・・うわ、なんかめっちゃ恥ずかしいんだが・・・よく毎日こんな事言えるなてめぇ・・・」

男「ククク・・・それが俺のアイデンティティなのでな」

組織女「アイデンティティっていうより病気だと思うぞ、お前のそれはよ・・・」

男「うるせぇ!・・・お、イルカが跳ねた・・・ていうか実際見ると結構でけえんだな、イルカって」

組織女「・・・へぇー・・・結構可愛いな・・・」

250: 2015/11/21(土) 00:12:13.85 ID:qEU49qKc0
モブ係員3「はい、じゃあエサやりタイムスタートです! 」

男「ククク・・・檻に囚われし哀れな者よ・・・せめてもの慰み物だ・・・存分に味わって食べるがいい・・・」

組織女「お前、動物相手にもそうなんだな・・・」

男「ほれっ」

ひょい(餌を投げる)
ひょい(イルカが餌を避ける)

組織女「・・・ぷっ、イルカに嫌われてやんの。偉そうな事言うからだ・・・ぷぷっ」

男「い、イルカ如きの分際で・・・この御刀虎の施しを拒否するだと・・・食え!ほれっ!」

ひょい(餌を投げる)
ひょい(イルカが餌を避ける)

男「おのれイルカぁ・・・!」

組織女「ぷっ・・・あはは、いやー、やっぱり御刀虎さんは一味ちがうなぁおい!」

男「うるせぇぞ組織女!こんな・・・こんなはずが・・・!」

モブ係員3「あー・・・すみません、今の時間のイルカって全部オスなんですよ、動物も異性の方を好むと言われていますんで、女性の方の餌だったら素直に食べるかも知れないです」

組織女「へぇー、じゃあやってみるか、よっと」

ひょい(餌を投げる)
ぱくっ(イルカが餌を食べる)

組織女「ふふふ、見たか男?あたしの餌は一回目で食べたぞ。ほーれ、もっと食べろ。ほれ」

男「・・・」

ひょい、ひょい
ぱくっ、ぱくっ。

組織女「あはは、必氏に食いついて。可愛いな、おい」

男「・・・・・・もういい、イルカは嫌いだ。お前、俺の分の餌まで、やっていいぞ」

組織女「本当か?じゃあ遠慮なく」

男「・・・(遠慮しろよ、と言いたかったが・・・なんだか、純粋に餌やりを楽しんでる組織女を見たら、どうでもよくなってしまった)」

組織女「ほれほれほれ・・・おう、よく食うなお前ら・・・可愛いなぁ・・・」

男(そう言えば、なんか前にもこんな光景・・・組織女が動物に餌をやる光景を見た気がするが・・・忘れた)

組織女「よーし、頭・・・というか、口を撫でてやろう。よしよしよーし・・・ていうか、なんかあたしん所にイルカが集中してねえか、おい?」

男「確かに・・・というか、ほぼほぼすべてのイルカがお前の所に集まってるぞ」

モブ係員3「あはは、お姉さんなつかれてますねー。ここのイルカたち、人間の女の子でも特に美人が好きみたいで・・・イルカは特に賢いから、そう言うの分かるみたいなんですよー」

男「へぇー・・・」

モブ係員3「でも、これだけ集まってきたのはお姉さんが初ですね。いやーカップルのお兄さんが羨ましいですよ、はい」

組織女「か、カップルって・・・あたしは、別に・・・そんなんじゃないっていうか、その・・・」

男「・・・あー、組織女よ。とりあえずはやく終わらせようぜ。他のお客さんがエサやりを楽しめん感じになっている」

組織女「うお、やべ。おら、食え!とにかく食えお前ら!」

ひょいひょいひょいひょい
ぱくっぱくっぱくっぱくっ

男「すげえエサの投げっぷりだな・・・ククク・・・名付けてシュツルム・・・シュツルム・・・ええと、確かドイツ語でシュツルムは暴風で・・・エサ・・・エサのドイツ語は・・・」

組織女「名付けなくていいから手伝えバカ!!」


女「・・・」

騎士団長「・・・」

組織部下女「・・・」

↑影から見守る3人。

251: 2015/11/21(土) 00:13:06.64 ID:qEU49qKc0
男「ふぅー、なんだかんだ水族館楽しかったな。で、このお店は?」

組織女「ハンバーグ専門店だ。お前、ハンバーグ好きだろ?気に入ってくれると思ってよ。あたしのオススメ注文して、予約しといたからよ、すぐ出てくるはずだぜ」

男「ほう・・・そうか・・・ククク、果たして俺の舌を満足させられる料理が出てくるかな・・・?」

組織女「なんだお前、その三流料理漫画に出てくる上から目線の料理評論家みたいなセリフは・・・」

モブ店員1「お待たせしました」

ジュージュー!

男「ほほう、中々美味しそうだな」

組織女「だろ?お前の好きなチーズハンバーグだ、絶品だぜ」

男「ふむ・・・では早速・・・ぱくっ・・・もぐもぐもぐ・・・うおぉ・・うまい・・・うまい、うますぎる・・・!」

組織女「な?」

男「・・・ククク・・・いい店を知っているな、組織女よ・・・グッジョブだ、褒めて使わそう・・・くぅ~うんめぇ~~!!」

組織女「そりゃどうも(満面の笑みで頬張って・・・ほんと、可愛いなこいつ)」

男「ん?どうした組織女よ。俺の顔をじっと見て・・・」

組織女「・・・別に、なんでもねーよ。ほら、水ついでやる」

男「おお、すまん、もぐもぐもぐ・・・うんめぇ~・・・このハンバーグ、神域ィ!!」

組織女「そのオタク臭い褒め方はやめろ・・・ん?」

組織女(今、何か視線を感じたような・・・気のせいか?)


女「なによ・・・愛おしそうに男を見つめちゃって・・・」

騎士団長「くっ・・・男はあんな表情もするのか・・・なんだかこう・・・すごく胸にキュンと来るじゃないか・・・」

組織部下女「男さんはハンバーグ好き・・・メモメモ・・・」

252: 2015/11/21(土) 00:14:33.70 ID:qEU49qKc0
男「どうした、組織女よ、ぼーっとして」

組織女「うん?いや、別に(まぁ気のせいだろう、多分)」

男「そうか?というか、組織女のそのハンバーグも美味そうだな」

組織女「おう、美味いぞ。食べるか?」

男「いいのか?」

組織女「遠慮せず食えよ。ていうか、顔に食いたいって書いてあるし」

男「・・・うむ、ではお言葉に甘えて・・・」

組織女「――いや、やっぱり待て」

男「なんだよ。やっぱり嫌なのか?別に気を使わなくても・・・」

組織女「そ、そうじゃねえよ・・・あたしが食べさせてやる。ほ、ほら。あーん」

男「・・・いや、あの組織女さん・・・?俺は赤ちゃんではないが・・・」

組織女「うっせえ!わ、わかってるわ!いいから、ほら、あたしがあーんしてやってんだから、食えよ!」

男「お、おう・・・じゃあ、遠慮無く・・・はむっ」

組織女「ど、どうだ・・・?」

男「・・・美味い」

組織女「だろ?ほら、もっと食えよ、あーん」

男「あ、あーん・・・」

組織女「へへ、もっと食うか?あ、なんだったらあたしが残ったお前のハンバーグ、全部あーんして食べさせてやろうか?」

男「さ、流石にそこまではいいぞ・・・というか、俺を甘やかしてどうする気だお前は・・・」

組織女「へへん、別になんでもねーよ、ふふん♪」

男(一体どうしたのだろう、組織女は・・・まぁ、男同士でもたまにふざけてこういう事するし、今日はそういう気分なのだろう・・・考えてみれば、今日の組織女はなんか一日ずっと上機嫌だしな)


女「あ、ああ!男が・・・組織女にあーんてされて・・・されて・・・」

騎士団長「ああ・・・ああ・・・くぅ・・・男め、にへらにへらしおって・・・組織女め、ずる・・・いや、そうではなくてだな・・・」

組織部下女「ああ・・・男さんのフォークになりたい・・・なんだったら座ってる椅子でもいい・・・」

253: 2015/11/21(土) 00:15:19.89 ID:qEU49qKc0
組織女「さて、じゃあ次は映画だ。あたしさぁ、このスーツで戦うアクションスパイ映画がずっと見たくてよぉ。これ見ようぜ?」

男「ほう・・・まぁ俺もこの映画には興味があった・・・人知れず世界の為に戦うという点では俺も共感出来るからな、ククク・・・」

組織女「はいはい・・・じゃあこれにすっか。すみません、チケット二枚」

映画館店員「はい、では料金は3600円になります」

組織女「おい男、お前細かいのあるか?あたし持ってなく・・・」

男「はい。ピッタシだと思いますぜ、店員さん」

映画館店員「・・・はい、ちょうど頂きました。ありがとうございます。それではこちらチケットになります」

男「どうも。ほら女。受け取れ」

組織女「・・・お前よ」

男「うん?」

組織女「水族館でも、ハンバーグ専門店でもそうだったけどよ・・・なんであたしに金出させねえんだよ。さっきからあたしが財布出す間にぽんと支払いやがって」

男「なに、男として当然の責務を果たしているだけだが?レディに金を出せと言うほど、この御刀虎は狭量ではないぞ?ククク・・・」

組織女「いや・・・なんかよぉ・・・あたしの気持ち的に申し訳ないっていうか・・・奢って貰ってばっかなのもさ・・・」

男「俺が小学生の頃からお年玉溜めてるの知ってるだろ? 今日はそれからちょっと多めに金を持ってきといた。別に親に小遣いの前借りなどもしていない。気にしなくていい」

組織女「で、でもよぉ・・・」

男「いいから気にするな。待ち合わせた時に言っただろう?今日のお前は美しいと。そんな女と一緒に居れることは、男として大いに誇らしい事であり、そして至福の時間でもあるのだ。細かいお金の事など、お前は何も気にしなくていい」

組織女「・・・う・・・///(こいつの・・・たまに出るこういう直球ど真ん中が、ヤバイんだよなぁ・・・)

男「ククク・・・分かったか組織女よ?貴様はこの暗黒の邪王に黙ってついてくればよいのだ・・・ククク・・・さぁ、共に映画という異世界へと度立とうではないか・・・!」

組織女(黙ってついてくればいい・・・・・・)キュン

男「・・・というかまぁ、今日お前に殆ど行く所任せちゃってるし、流石に金くらいは出させて貰うさ」

組織女「・・・・・・」ボーッ

男「・・・組織女?」

組織女「・・・お、おう?あ、そうだあたし、トイレ行ってくるわ!」

男「・・・?わかった。それじゃあ俺は適当にポップコーンとか買っておくぜ」

254: 2015/11/21(土) 00:16:12.35 ID:qEU49qKc0
女「水族館からの映画館・・・定番だけど、二人共すごく楽しそう・・・なるほど、定番な理由が分かる気がする・・・」

騎士団長「・・・手を繋がない所から見ると、二人は付き合ってはいないようだが・・・全くけしからんな・・・恋人でもない男女が二人っきりで行動とは・・・そもそも男女交際というのはまず文通してからだな・・・」

女「団長、あなたいつの時代の人ですか・・・」

組織部下女「はぁ・・・私も男さんと並んで映画が見たい・・・」

女「(それは私も同意ね)・・・じゃあ、私達も、男が買ったらしきチケットを買っておきますか・・・って、あら?」



ドン! パラパラパラ・・・(人が男にぶつかり、盛大にポップコーンをこぼす音)

不良1「てめっ、どこ見て歩いてんだゴルァ!」

男「いや、ぶつかってきたのはそっちで・・・って、あ」

不良2「またてめーか!この中二ッ!てめーよっぽど俺たちに殺されてぇようだな!?」


騎士団長「むっ、男が良からぬ輩に絡まれているな・・・映画館の店員さんも見てみぬふりか・・・」

組織部下女「くっ、男さん今助けに・・・!」

女「待ちなさい組織部下女!ストーカーがバレた時の言い訳どうするのよ!それに男だってあんなザコ如きに私達の助けなんか必要ないって(ていうか、次手を出したら容赦しないって言ったのに・・・あの不良達もこりないわね)」

組織部下女「はっ、言われてみれば確かに・・・」

騎士団長「まぁ、彼に絡んだ不幸を呪うんだな、あの不良二人は・・・」


男「ふふっ、二度あることは三度ある・・・か、ククク・・・これも運命のイタズラ、あるいは神が仕組んだ出会いか・・・どっちにしろ、いい加減やられっぱなしも尺だ・・・そろそろリミッターを外させて・・・ブフォア!?」

デュクシ!

不良1「今日という今日はてめえ本気でぶっ頃してやるからな!」

男「ふ、ふふっ・・・全く、まぁ生身の人間にいくら殴られようが痛くも痒くもないが、いい加減、貴様ら如きに倒せる御刀虎ではないと、悟ったらどう――がはぁ!?」

デュクシ!

不良2「うっせえ!ともかく一回てめえは本気でシメてやらぁ!!つーかいい加減、その妄想をやめろ!!気持ちワリィんだよ!」


女(・・・妄想?あの不良なに言ってるの?何が妄想なの?)

騎士団長「・・・?さっきからやられっぱなしだが・・・どうしたのだ、男は?」

組織部下女「きっと、最初は手を抜いて相手が調子に乗った時に、思いっきりガーンってやっちゃう男さんの作戦ですよ!」

騎士団長「ふむ、なるほど・・・まぁあの手の輩にはキツイお灸が救いだからな、それくらいやった方がいいだろう」

女(・・・確かにそういう風にとらえる事も出来るけど、でも確かこの前、あたしが助けた時も殴られたっぱなしだったよね、男・・・2回も殴られっぱなしに、普通なる?なんか・・・なにか変じゃないかしら・・・?)

騎士団長「あっ、組織女が戻ってきた」

255: 2015/11/21(土) 00:17:36.26 ID:qEU49qKc0
組織女「てめぇら・・・なにやってんだ?」

不良1「あ、姉御!お疲れ様です。今、この男をボコってた所で・・・オゴッ!?」

ドガッ!

不良2「姐さん!お疲れ様です!姐さんもストレス解消にいかがで・・・ゴハァ!?」

ボガッ!

組織女「てめえら・・・二度とこの男に手ぇ出すなよ・・・!次手ぇ出したらてめえらのタマキン蹴り潰すぞ、あ?」

不良1「えっ・・・えっ、姉御の知り合いで・・!?」

不良2「す、すみません、俺ら、何にも知らなかったもんで・・・!!」

組織女「・・・なんでもいいからさっさと行け。ただし、次あたしと会う時までに頭丸めておけよ」

不良1「・・・あ、姉御・・・それはちょっと・・・」

不良2「俺達のこのリーゼントは、俺らの不良魂の象徴っていうか・・・」

組織女「あ?」ギロッ

不良1・2「「な、何でもありません!!失礼致しましたぁ!!」」ピュー

組織女「あーあー、派手にやられたなぁ・・・ウチのバカがわりぃ、立てるか、男?」

男「く、ククク・・・大丈夫だ、心配するな。俺はタフさだけが取り柄だからな・・・というかあいつら知り合いなのか?」

組織女「まぁ、こっちに越して『戦争』に巻き込まれる前にも、色々あってな・・・・・・つーかんなことより、お前は本当に運がねえっていうか、絡まれやすいっていうか、不幸な出来事に巻き込まやすいっていうか・・・」

男「カカッ、なーに。そういう資質こそ主人公の条件であり、そして振りかかる不幸を跳ねのけてこそ、男としての格が上がるってもんだ。俺は何も気にしていないさ」

組織女「・・・お前って、妙な所で根性あるっつーか男気あるっつーか・・・はぁ、本当にバカだな、お前、ふふ」

男「ふっ、バカで結構・・・」

映画館店員1「お客様・・・大丈夫ですか?この度は不運でしたね・・・これ、あの先ほどの方にポップコーンをこぼされてしまったので、その補償、という訳でもないのですが・・・こちら、サービスのポップコーンとジュースになります・・・よろしかったら」

男「おお、ありがとう・・・おっと、上映時間5分前だ。行こうぜ組織女。あっ、映画の中で怖いシーンがあったら、俺の手を握ってもいいぞ?ククク・・・」

組織女「う、うっせえ!そんな事する訳・・・・・・」

男「・・・うん?どうした押し黙って」

組織女「いや・・・あの、よ・・・本当に怖いシーンがあったら・・・握ってもいいか・・・?」」

男「お、おぉ・・・それは構わんが・・・」

組織女「おう・・・じゃあ、その時は・・・頼むわ・・・」

男「・・・う、うむ」

256: 2015/11/21(土) 00:18:07.58 ID:qEU49qKc0
騎士団長「組織女の知り合い・・・というか舎弟だったのか・・・」

組織部下女「まぁ一件落着って奴ですね・・・男さんがあの不良二人をバッタバッタと倒す所も見たかったですけど」

騎士団長「確かに・・・ふふ、それにしても打たせすぎだ・・・全く、彼は優しすぎるのが問題だな」

女「・・・」

騎士団長「・・・女?どうした、考えこんだ表情で」

女「あ、いえ。なんでもありません」

騎士団長「そうか?そのわりには随分深刻そうな顔だったが・・・」

女「いえ、本当になんでもないですから・・・」

女「・・・・・・」


257: 2015/11/21(土) 00:18:56.16 ID:qEU49qKc0
映画館を後にする二人。

男「ふむ、いい映画だったな。二時間があっという間だった」

組織女「ああ。後半のアクションはマジで格好良かった。テンション上がったぜ。もっかい映画館で見てもいいくらいだな」

男「ふふっ、それにしてもまさか本当に女が手を握ってくるとは思わなかったがな」

組織女「う、うっせえ!しょうがねえだろ!まさかあんな展開になるとは思わなかったからよ・・・んだよ、ビビリだっていいてぇのか?」

男「いや・・・そうでもないさ。ふふっ・・・それにしても、はぁ・・・俺もスパイになりたかったが・・・まぁ何せ俺は御刀虎・・・世界を股にかけ、運命の神に逆らうもの・・・スパイをするには目立ちすぎてしまう宿命が悲しい・・・ククク・・・」

組織女「ククク・・・って笑うから、全然悲しそうに聞こえねえんだが・・・お、夕焼けが綺麗だな」

男「うむ・・・ふふっ、なんか組織女とこうやって夕焼けを見てると、昔を思い出すな・・・二人で初めてちっちゃい族を潰した日・・・初めてタバコ吸って、二人共思いっきりむせたよな、俺たち」

組織女「ぷ・・・あははっ。あったなぁそんなん。それでお互いにタバコは一生吸わないって決めたよな、確か」

男「ああ。はっ、思えば、随分可愛い思い出だな、カカッ・・・俺たちも、若くて青臭かったよなぁ・・・」

組織女「はっ、ちげえねえ」

男「・・・」

組織女「・・・」


女「な、なによ一瞬見つめあったかと思えば、また無言で歩いて・・・ちょっとお似合いみたいな感じに思っちゃったじゃない・・・」

女(とりあえずさっきの事は置いといて・・・男の過去を知っている組織女が羨ましいな・・・)

組織部下女「うぅ・・・なんか、すごくいい雰囲気です・・・」

騎士団長「ま、まさか・・・この後夕焼けをバックにき、キスをするのではあるまいな・・・?」

女「いや、まさか・・・そんな!」

組織部下女「はぁ・・・男さん、私をキツく・・・硬く・・・抱きしめて・・・強引に・・・奪って・・・うふふ・・・」

女「あんたはさっきから一人だけ喋ってるベクトルがやばいわよ・・・?」

騎士団長「ところで、二人はどこに向かって歩いているのだろうな?もう随分町外れに来たようだが」

258: 2015/11/21(土) 00:19:58.10 ID:qEU49qKc0
男「それで、組織女よ。次はどこに連れて行ってくれるのだ?なんか見た感じ、だんだん景色が殺風景になってきているような・・・」

組織女「・・・もう、着いたぜ。ここだ」

男「ここは・・ペット霊園?」

組織女「おう。おまえ、覚えてるか?あたしん家で飼ってたバカ犬のこと」

男「・・・ああ、そう言えばいたな。あいつ、俺にも懐いてくれて可愛かったな・・・って、ここでその話題を振るって事は・・・まさか・・・」

組織女「・・・ああ、あのバカ犬、氏んじまったんだよ、この街に越してきてすぐ。今日がちょうど2回忌でな・・・お前も可愛がってくれたしよ、連れてこようと思って」

男「・・・そうか・・・あいつ氏んじまったか・・・残念だったな・・・俺も、もう一回くらい散歩に連れて行ってやりたかったが・・・」

組織女「そう言ってくれるとあのバカ犬も、尻尾振って喜んでくれると思うぜ」

男「・・・そうだといいが・・・なんか来る途中で、花か、あいつの好きだったドッグフードとか買ってくりゃよかったな・・・ていうか、組織女も言ってくれよ」

組織女「いいんだよ。あいつはお前がここに来てくれただけで十分だろうし、もし生きてたら、お前が差し出したドッグフードにも気づかずにお前に抱きつくだろうぜ。なんせあいつバカだしよ」

男「・・・ふ、そうだな」

組織女「そうさ・・・あいつ、本当にバカでよ、あたしがこの街に越してきた時、族に絡まれた事があって・・・まぁそん時は軽く蹴散らしたんだが、その日の夜にあのバカ犬を散歩させてたら、昼間の報復だかで、後ろからバットで襲われそうになったんだ」

男「・・・なっ」

組織女「・・でもよ、あいつ。普段はのんべんだらりとしてる癖に、そんな時だけゃあ素早くてな。あたしをかばうように、そいつに襲いかかってよ・・・」

男「まさか・・・それで・・・?」

組織女「ああ、襲いかかったはよかったが、そいつの持ってたバッドで、殴られちまってよ・・・慌てて病院に連れて行ったが、もうだめでな・・・まぁ襲ってきた奴は、あたしが顔面腫れ上がるほどボコボコにしてやったが」

男「・・・」

組織女「あいつはあたしがちっちゃい時から一緒に過ごしててよ・・・本当に家族の一員みたいな奴だったんだ、あのバカ犬は」

男「・・・あぁ、知ってるさ」

組織女「だから、だからよ・・・悪いけど、この『戦争』。勝ちは譲れねえ。あたしら『組織』はなんとしても、『騎士団』に勝つ。そしてあたしは、なんとしても願いの力を使ってあのバカ犬を生き返らせる・・・なんせ、お礼の一つも言えずに氏んじまったからよ」

男(・・・今日話し合って、なんとか戦闘を回避するようにしたかったが・・・)

組織女「あたしらも、『召喚の儀』でめちゃくちゃ強力な獣を召喚する事に成功してな・・・勝算は出来た・・・今度の日曜日。あたしらは『騎士団』に総攻撃を仕掛ける」

男(・・・これは無理かもな、この目をした女を俺は止められた事は一度もないし・・・)

259: 2015/11/21(土) 00:20:55.00 ID:qEU49qKc0
組織女「言っとくが、マジだぜ。今度こそお前に手を貸せねえ。貸す事は出来ねえ。もし、その時お前が『騎士団』の側に立つってんなら――そん時は容赦なく叩き潰す」

男「・・・っ」

組織女「それに前みたいに、あたしの昔話で恥かかせようが無駄だぜ?それを『騎士団』の二人が聞こうと・・・ぶっ殺せばいい話だからよ」

男「・・・本気か」

組織女「ああ。だから忠告してやる。逃げろ。あの二人の前から姿を消せ。一週間くらい海外にでも行ってろ。戻ってきた時にはあたしが全部終わらせてる」

男「・・・そんな事が出来るくらいなら、俺はあの時、お前に助けを求めちゃいねぇ」

組織女「ああ、てめえのその性格はわかってる・・・だから、今日お前と二人っきりで遊びたかったんだ・・・これで最後かも知んねえからな・・・」

男「・・・・・・そうか」

組織女「あぁ・・・次に会う時は、敵同士だぜ、男」

男(・・・こうなってしまった、か・・・)

260: 2015/11/21(土) 00:21:36.50 ID:qEU49qKc0
組織女「・・・今日はそれが伝えたくてな・・・気が変わったらいつでも言え。あたしがお前を守ってやる」

男「・・・悪いが、変わる事は多分・・・いや、絶対にないぞ、組織女よ・・・確かに俺は、元々は何の関係もない部外者だったが・・・ここまで深入りしてしまったら、な・・・それにそうほいほい鞍替えするのは、俺のプライドに関わるのでな」

組織女「・・・そんなプライド捨てちまえよ。『騎士団』の連中も、なにかこそこそやってるのは知ってっけどよ・・・聞いたぜ。『騎士団』の連中はもうお前含めて3人しかいないんだろ?対してあたしら『組織』は、正確な人数は言えねえが十人以上は居る・・・どう考えても勝ち目はねえだろ」

組織女「プライドじゃあ飯は食えねえ。命には変えられはしねえはずだ、違うか?」

男「・・・お前は勘違いしているな、組織女よ。残念ながら男というのはプライドを亡くしたら生きていけん生き物なのだ。そこを履き違いちゃいけねえ」

組織女「・・・」

男「大体、俺がそうプライドをほいほい捨てられるようなら、いつもの口調など速攻で変えて、普通の高校生として、普通の生活を送るさ・・・そうしないのは、それをする事こそが俺の誇りであり、俺の信念だからだ」

組織女「・・・そうか」

男「・・・覚えているか?昔、お前にオススメしただろう?†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生の本を」

組織女「ああ、あのクソつまらねえやつか・・・開始2行で投げ出したな、確か」

男「クソつまらねえって言うな!・・・ともかく俺も†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生が描いた登場人物のように格好良く俺も生きたい・・・いや、そう生きると俺は決めたのだ。それこそが俺の生きる道なのだ。例えその行く道がどれほど険しかろうとな」

男「だから、悪いが俺は、それだけは出来んのだよ、組織女。『騎士団』の側に立つと決めた以上、もう後戻りは出来んのだ・・・自分で決めた事を容易く覆すような、そんな男にはなりたくないのだ・・・そのお前の、俺に対する優しさはありがたいけどな・・・」

組織女「・・・へっ、お前らしいな」

男「だろう?」

組織女「ああ、厨房の頃から何にも変わっちゃいねえ大馬鹿だ・・・」

組織女(運動神経がなくて、頭も悪いのに、そのどこまでも真っ直ぐな姿勢、純粋で純真な目)

組織女(一度決めた事はどんなに不利でも貫き通すその精神、例えどんなに勝ち目がない喧嘩でも、一歩も引かずに立ち向かうアホっぷり)

組織女(・・・ああ)

組織女(だから、あたしは、こいつの事が好きなんだな)

261: 2015/11/21(土) 00:22:38.18 ID:qEU49qKc0
騎士団長「デートで墓参りだと・・・つまり、それはあれか・・・プロポーズの言葉でよく聞く「わたしと一緒のお墓に入って下さい」というやつか・・・?い、いくらなんでもそれは気が早過ぎるのでは・・・!?」

女「意外に組織女って重い女なのね・・・」

組織部下女「普段はさばさばしてる頭領をあそこまで狂わせちゃう男さん・・・罪な人・・・」

女「あんた、本当にさっきからなんなのよ・・・いや、ていうか良く見たらここ、ペット霊園だし・・・」

組織部下女「あ、本当だ・・・それにしても、頭領は随分と深刻な顔をして話してますけど、一体何を・・・――って、うん?」

バサバサバサ・・・(組織部下女に一匹の鳩が近づく)

鳩「クックルー!」

組織部下女(この子は・・・連絡用の獣だ。なんだか随分慌てた様子だけど・・・)

連絡用の獣「クックルー!クック―!」

組織部下女「落ち着いて。どうしたの?何があったの?」

女「・・・その子、『組織』の獣よね?」

組織部下女「はい、そうですが」

女「・・・なんか、端から見ると、アンタが思春期をこじらせて動物に話しかけちゃう痛い子に見えるわ・・・」

組織部下女「・・・う、うるさいですよ!あなた達だって似たようなものじゃないですか!自分たちの事を騎士とか名乗って!」

女「な、なによ!名乗っちゃだめなの!?そういう事言うなら、この場であんたをぶった斬ってもいいのよ!?」

262: 2015/11/21(土) 00:23:54.80 ID:qEU49qKc0
組織部下女「ええ、上等ですよ!じゃあ今すぐ・・・」

連絡用の獣「クックー!クックー!」

組織部下女「・・・あ、ごめんね。何でもないの。報告お願い・・・後で覚えておいてくださいよ・・・」

女「それはこっちのセリフよ・・・」

騎士団長「お前たち、もう少し声を抑えろ・・・でないと、男に聞かれ――」

騎士団長(――っ!?なんだ、この気配は・・・おぞましくて・・・背筋も凍るような・・・これは!?)

騎士団長「・・・女」

女「はい?なんでしょう団長」

騎士団長「戦闘の準備をしておけ」

女「え?どうしてです?」

騎士団長「いいからしておけ!」

女「は、はい!」

組織部下女「・・・え?・・・嘘・・・嘘、だよね?もう一回言って・・・?」

連絡用の獣「クックルー!!クックルークック―!!」

組織部下女「・・・本当に?間違いないのね・・・?」

女「・・・どうしたの、組織部下女。あんた顔面真っ青よ・・・?」

組織部下女「・・・」

組織部下女「私達の、『組織』のアジトが、何かに襲われて・・・アジトは崩壊、組織のメンバーもほぼ全滅って・・・連絡が、来ました・・・」

263: 2015/11/21(土) 00:25:15.33 ID:qEU49qKc0
おわーり。
組織女とのデート編でした。
デートした事ないから、書くの大変だった・・・
次からはシリアスになる予定です・・・なんとか今月中には終わらせそうですので、最後までお付き合いください・・・
コメントいただけると大変嬉しいです・・・よろしくお願いします・・・

264: 2015/11/21(土) 00:41:41.05 ID:B/9l017FO
乙!
組織女の力無しに男がどうやってくか見物だな

418: 2015/12/24(木) 21:03:38.40 ID:mt+/efDJ0




引用元: 男「ククク・・・」女(こいつ・・・ただ者じゃないみたいね・・・)