1: 2014/07/18(金) 23:35:38.98 ID:C/dokiMTO
某、空飛ぶ船の上

兵士1「ハルカ隊長!まもなくバロンに着きます!」

春香「あ、は、はーい!」

春香(…なんで隊長?確かに、リーダーはやってはいるけど…)

春香(ここは…おっきな…舞台…?なんで私、こんなトコに…?ていうかこの舞台、空、飛んでる…?)

春香(何より、私の衣装…すっごく重たい…鎧?と、腰に差した剣…本物って言われても信じちゃうくらい、重いよぉ…)

春香(頭のかぶり物も、目のトコにちょっとスキマ空いてるくらいで…息苦しいし、暑い…)

春香(立ってるのが、やっとだよぉ…)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405694138

2: 2014/07/18(金) 23:38:58.61 ID:MuHvGilRO
FF4かな?

3: 2014/07/18(金) 23:49:56.49 ID:C/dokiMTO
春香(これって、舞台のお仕事…なのかな?)

春香(…っていっても、台本もないし、どんなお話かわからないなぁ…)

?「…春香、春香!」

春香(…ん?…誰かに、呼ばれた…?)

?「春香、ここだ!」

春香(この声って…プロデューサーさん?)キョロキョロ

P「…ここだ、ここ!」

春香(…私が首から下げているのは…今の私の格好には、似つかわしくないだろうモノ…そこから、声がする…?)

春香(これって『べろちょろ』?やよいにあげたはずなのに…)

春香「というか、プロデューサーさん、べろちょろになっちゃったんですか?」

P「…わからんが…どうやら、そう思う他ないらしいな…すまん…)

春香「なんで謝るんですか?かわいいじゃないですかぁー」

春香「ってことは、これは夢ですね、夢!」

P「…いや…どうやら夢じゃないらしい…というか、謝ったのは…今俺のいる場所が…というか…)

7: 2014/07/19(土) 00:04:16.51 ID:iKsuBVPCO
春香「プロデューサーさんの、いる場所…?」

春香(プロデューサーさん、もとい、べろちょろは、私が首から下げていて、今は…胸の…とこ…ろ…に…?)

春香「って、なんでそんなトコにいるんですかああああぁぁ!」

P「わわっ、だ、だから謝ったんだって…!」

兵士1「…隊長?」

春香「あっ?な、なんでもありません!き、気にしないで下さい!」

兵士1「は、はぁ…」

兵士2「やはり、隊長も…」

兵士3「いくら命令とはいえ…」

兵士4「罪もない人々からクリスタルを…」

春香「そ、そういえばプロデューサーさん!」

P「な、なんだ?」

春香「これって、お芝居の仕事か何かなんですかねぇ?」

春香「私、記憶が曖昧で…。台本もないし…」

春香「というか、役者の皆さんが話してる内容を一つも理解できないんです…」

P「あ、ああ…その事についてなんだが、お前は記憶が曖昧なんだな?」

春香「はい…。プロデューサーさんは、何か知ってるんですか?」

8: 2014/07/19(土) 00:24:36.65 ID:iKsuBVPCO
P「知ってる、というか、もしかしたら、俺が原因かもしれないんだ…」

春香「え…?どういう事ですか?」

P「ああ、実は…」

ー回想ー

765プロ事務所

P「…よいしょっと」ゴト

千早「ん?プロデューサー、その灰色の箱は、何ですか?」

P「ああ、これはな…」

亜美「あれれ~?これってもしかして~?」

真美「スーファミじゃないッスか?」

春香「スーファミ?」

P「スーパーファミリーコンピュータ。略してスーファミ」

P「もう20年以上も前のゲーム機さ。というか、亜美、真美、よく知ってたなぁ」

亜美「んっふっふ~!この双海姉妹に掛かれば…」

真美「この世にわからないゲーム機なんてないのだよ!兄ちゃん君!」

春香「ホント…遊びの天才だね」

美希「zzz…」

律子「…で?その、昔のゲーム機とやらをどうするつもりですか?プロデューサー殿?」

P「いや、別にサボる為に持って来た訳じゃないからな?最近、皆で遊ぶ事もほとんどなくなってきてるし…皆でできるゲームでも、と…」

亜美「おお~さっすが兄ちゃん!わかってるねぇ~」

真美「これも絆の為…皆の者~宴の準備じゃ~!」

千早「あ、私はゲームとか、あまりやったことがないので…」

P「大丈夫だよ、千早。ちゃんと皆で遊べるゲームを持って来たから…」

9: 2014/07/19(土) 00:52:19.88 ID:iKsuBVPCO
亜美「兄ちゃん早く早くぅ~!」

真美「どんなソフトがあるのかな~?」

律子「…もう!」

律子「私、これからやよいと響を迎えに行きますから、あまりハメを外し過ぎないように…!」

P「ああ、わかってる。頼むな、律子」

ガチャ…バタン

春香「なんか、プレステとかと比べるとかわいいねぇ、千早ちゃん?」

千早「ごめんなさい。プレステ…って、どんなのかしら?」

春香「え?」

亜美「え?」

真美「え?」

P「大丈夫だよ。こいつはプレステよりボタンも少ないし…初心者でもできるゲームを持って来たつもりだ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

亜美「…で?持って来たソフトは軒並み全滅…」

真美「残ったのはRPGって…RPGじゃ一人しか遊べないじゃん!」

P「す、すまん…さすがに20年も昔のソフトじゃ、壊れてたりもするか…でも、1年くらい前はちゃんと動いたんだけどなぁ…」

春香「でも、まだ一つだけ試してないソフトがありますよ?」

P「あー春香。このソフトは一人用なんだ…。だから、皆でできないんだよ…」

亜美「もーこの際RPGでも我慢するyo!」

真美「いざ、セット!アーンド…」

亜美、真美「電源オーン!」カチッ

ブン…

テレレレ…

P「…おっ?動いたか?」

春香「あ、きれいな石…」

亜美「レトロですなぁ」

真美「時代を感じさせますなぁ」

千早(ん…)

千早(…耳触りのいい曲ね…)

P「…懐かしいなぁ。このゲームは、歴代RPGゲームの中でも名作中の名作といっても過言ではない、その時代を生きた人なら知らない人はいないという…」

亜美「はいはーい。ウンチ君はいいから…」

真美「さっそく始めようぜー」ポチ

スゥー

春香「…あれ?画面に誰か出てきましたよ?」


10: 2014/07/19(土) 01:19:49.42 ID:iKsuBVPCO
P「…ん?こんなキャラ、いたっけか…?」

??「…ふむ、久しぶりじゃのう」

亜美「誰、このじいちゃん?」

真美「某月の民か…隕石じいちゃん?」

??「違う!」

??「わしゃ、アレじゃよ。妖精じゃ」

P「妖精…?」

春香「へ~妖精が出てくるゲームなんですね?」

亜美「違うぞ、はるるん」

千早「……っくっ」プルプル

真美「千早お姉ちゃん、どったの?」

千早「…っ妖精っ…おじいさんのっ……プッ…クスクス…」プルプル

P「…何かが、琴線に触れたらしいな…はは」

春香(未だに、千早ちゃんのツボが理解できないよ…)

真美「…で?じいちゃん何の妖精なのさ?」

妖精「スーファミじゃ」

P「スーファミの…」

P(あれ?今、もしかしてつっこむところか?いや、妖精って自分で言ってる時点で…いやいや、そもそも妖精なんているのか?)

亜美「ゲーム機に妖精が宿るとは…」

真美「世も末ですな…」

P(まあ、確かに古いモノ、使い古したモノなどに妖精の類が宿る事がある、とは聞いた事あるが…)

P(…妖精ってもっとこう、キャピキャピした感じじゃないのか…?)

妖精「そうガッカリするな、我が主よ…」

P(実年齢500歳だけど、外見は美少女、みたいな…)

春香「プロデューサーさんの事じゃないですか?主って…」

P「…え?俺?」

妖精「お主がこのスーファミの持ち主じゃろ?」

P「ええ、まあ…」

妖精「長年、大切に使ってくれたお礼に、主にプレゼントをと思ってな、こうして出て来た訳じゃ」




11: 2014/07/19(土) 01:34:31.07 ID:iKsuBVPCO
亜美「じいちゃん、サンタさんだったの?」

妖精「ふん!あの様な低俗な輩と一緒にするでない!」

真美「え?」

春香「サンタクロースって、いい人じゃないんですか?」

P「いや、むしろサンタなんていn…」

真美「兄ちゃん!サンタさんは『い』るんだよ…!」

妖精「嘘じゃ」

皆「え?」

妖精「あやつとは、良き友人じゃ」

春香「あ、あはは…妖精さん、冗談も言うんですね…」

P(なんだこの、イラッとするボケは…)

妖精「話が逸れたが…主にプレゼントを贈らせてもらう。ちなみに、主の望みはわかっておるよ」

P「えっ?そうなんですか?」

P(俺…なんか望みあったっけな?今のままでも充分な気が…)

亜美「いいなー!兄ちゃん、何をお願いしたのさー!」

P「い、いや…お願いなんてした覚えないんだけどな?」




あれ?名前って暗号化されるんじゃなかったっけ?


14: 2014/07/19(土) 01:52:26.53 ID:iKsuBVPCO
妖精「みなまで言うな。話が進まんので強引にゆくぞ?」

妖精「破あああぁぁぁーー!」ゴゴゴ

妖精「冥府を彷徨うがいい!くらえ!積尸気冥界波ー!」

ゴオオオォォォーー

春香「わ、わわっ!ひ、引っ張られr…」シュイーン

千早「……くっ」シュイーン

亜美「ぬう…どうやらここまでの様だな…だが、貴様の拳では氏n…」シュイーン

真美「ぬわーーーーーーーーーー!」シュイーン

P「な…何が起こった…!」

P(あの妖精が光ったと思ったら、皆が消え……いや)

P(吸い込まれたんだ、スーファミに…こんな事って、あるのか!?)

P「あんた一体、何をしたんだ!」

妖精「…ふむ、順を追って話そう」

妖精「まず、誤解される前に言うておくが、あの娘達は生きておるし、この世界に帰ってくる事もできる」

P(生きているのか…!良かった…!)

P「なんで…」

妖精「こんな事をしたのか…というと、我が主、お主の願いなのじゃ」

P「俺の…願い…?」

16: 2014/07/19(土) 02:18:41.34 ID:iKsuBVPCO
妖精「あの娘達は今、そこのカセットの世界にいる」

P「……やっぱり、吸い込まれたのか…」

P(信じろ、と言われても、あまりに非現実が過ぎる…けど、俺にも吸い込まれたように見えたんだ、信じるしかない、か)

妖精「ゲーム世界での生氏、その他の情報は、現実世界に何も関与しない。つまり、寿命などで氏が訪れない限り、ゲーム世界の何かが要因で氏ぬ事はないのじゃ」

妖精「だから、そんな顔をするな、主よ…」

P「だからって、いきなりこんな事するなよ!あの娘達は、俺の、いや、皆の大切なアイドル達なんだ!」

妖精「わかっておるよ。アイドルとして忙しい日々を過ごし、お互いすれ違いになった彼女達に、皆で過ごす時間を与えてやりたい。主はそう思ってスーファミをここへ持って来たのじゃろ?」

P「あ……」

P「だ、だが…」

妖精「案ずるな。『ゲームをクリアすれば、現実世界へ帰れる』んじゃぞ?」

妖精「それに、ゲームの世界ではこちらと時間の進み方が違う。ゲームをクリアしたなら、こちらへ帰ってくる時間も多少は選べるぞ」

妖精「主の持って来たゲームソフトで動いたのは、このソフトのみ。だが、このソフトは一人用。そこでわしの力で皆でゲームを楽しめる様にしたんじゃ」

P(…だったら、積尸気冥界波なんて言うなよ…。一応異世界に飛ばす技だけど、思いっきり悪役の技じゃないか…)

妖精「ちなみに、わしゃ蟹座じゃ」

P「知るか!」


18: 2014/07/19(土) 02:32:13.82 ID:iKsuBVPCO
妖精「心配か?」

P「当たり前だろ?」

妖精「主をゲームへ送る事もできるぞ?」

P「ほ、本当か?」

妖精「じゃが…生憎、キャストは全てうまっておっての…。主が演じる役がないんじゃ」

妖精「せめて、何か媒体がないと、最悪、ただの石コロを演じる…なんて事もあり得るんじゃ」

P「そ、そんな…」

ガチャ…

やよい「うっうー!戻りましたー!」

響「ただいまだぞー!」

妖精(また、役者が増えたな…)

妖精(…ん?)

妖精(ふむ…あれにするかの…)

妖精「主よ…このゲーム、クリアした事はあるな?」

P「え?ああ、一応…」

P(記憶も曖昧だけどな…)

妖精「ならば、あの娘達の良きアドバイザーとなってやるのだ…!」ゴゴゴ…

P「えっ?」

妖精「…アナザーディメンション!」

ゴオオオォォォー

P「おまっ…蟹座じゃ…ないのk…」シュイーン

19: 2014/07/19(土) 02:40:48.61 ID:iKsuBVPCO
やよい「う、うぅ~プロデューサーが…!」

響「消えちゃったぞ…!」

やよい「…ん?あれ?べろちょろもなくなってますー!」

美希「…ふわぁ~」ムクッ

美希「あふう」

美希「もう!皆がうるさくてちょっとだけしか寝れなかったの!」プクー

妖精「!…」ズキューン!

妖精「か、か…」

美希「か?」

妖精「かわいい…///」

美希「んふっ。ありがとうなの!」


20: 2014/07/19(土) 02:59:06.93 ID:iKsuBVPCO
某空飛ぶ船の上

P「…と、いう訳なんだ…」

春香「…じゃあ、ここってゲームの世界なんですね…」

P「ああ…」

P「春香。いくつか確認したいんだが…」

P「今、俺達がいるのは、空の上じゃないか?」

春香「え、え~っと…」キョロキョロ

春香「…はい。お伽話に出てくる様な…空飛ぶ船?の上だと思います」

P「やっぱりか…」

P(確かに、『このゲーム』のプロローグは、空飛ぶ船から始まる…と、すると…)

P「春香、もう一ついいか?」

春香「は、はい!」

P「今、春香は、黒い鎧に身を包んでるんじゃないか?」

春香「黒い…かどうかは…何しろ、頭にも重いかぶり物が…」

春香「でも、骨董品なんかである様な、西洋騎士の鎧…だと思います」

P「そうか…で、さっき『隊長』って呼ばれてたよな?」

春香「はい…よくわからないんですけどね…あはは」

P(どうやら春香は、このゲームの主人公にキャストされたみたいだな…他の皆は…)

21: 2014/07/19(土) 03:17:34.72 ID:iKsuBVPCO
春香「でも、プロデューサーさん。なんでわかるんですか?」

P「ああ、だって俺が持って来たゲームだしな」

P「そのゲームのオープニングのシーンなんだよ、この場所は」

春香「なるほど~」

春香「あれ?でもプロデューサーさん。やったことあるゲームなら、クリアするのも簡単じゃないですか?」

P「いや、今回はたまたま覚えていたが、所々忘れてる部分もあるだろうな」

P「まあ、ずいぶん昔にやったソフトだしなぁ…」

春香「そうですか…」

P「でも、安心しろ!俺がついているからには、必ず元の世界に帰るからな!」

P「もちろん、皆でな!」

春香「プロデューサーさん…」パァー

春香(プロデューサーさんがそばにいてくれるだけで、すっごく安心できる……)

春香「早く、他の皆も見つけなきゃ、ですね!」

春香(ホントは…もう少しだけ、二人でいたいけど…」


26: 2014/07/19(土) 08:00:44.83 ID:iKsuBVPCO
P「ああ、他の皆の事なんだが…」

P「あの妖精は、ゲーム内での配役をあらかじめ決めていた様な口ぶりだった」

P「春香、どうやらお前は、この物語の主人公に選ばれた様だ」

春香「主人公?」

P「ああ!皆をまとめる、大切な役だ!」

春香「う~ん…私にできるかな…」

P「そして、他の皆も、おそらくこのゲームの重要なキャラとして、キャスティングされているだろうな…」

春香「と、いうことは…?」

P「ストーリーを進めていけば、どこかで皆に会えるはずだ!」

春香「!」

春香(そうだ…皆も、私みたいに、このゲームの世界のどこかで戸惑っている…)

春香(私には、プロデューサーさんがいてくれたけど…きっと皆は心細いだろうな…)

春香(私が頑張らなくっちゃ…!)

春香「よ~し!天海春香、この役を完璧に演じ切ってみせますよ~!」

P「はは…仕事って訳じゃないからな。別に完璧になりきる必要はないと思うぞ?」

春香「あ…」

春香「で、でも!この役を演じ切る事ができれば、少しでもトップアイドルに近づけるかもしれないじゃないですか?」

P「……」

P「春香はやっぱり、前向きだなぁ…。偉いぞ」

P「…っと」

春香「どうしたんですか?」

27: 2014/07/19(土) 08:17:44.10 ID:iKsuBVPCO
P「つい癖で、春香の頭を撫でようとしたが…今の俺はべろちょろなんだったな…はは」

春香「ふふっ。そうですよ?今は私の胸で大人し…く…」

P「あ」

春香「」カァーッ

春香「あうぅ…///」

春香(恥ずかしいよ~!でも、今は他の人もいるし、ここで鎧を脱ぐ事なんてできないし…)

春香「プップロデューサーさん?」

P「あっ?あ、ああ…」

春香「あ、あんまり動かないで下さいね?は、恥ずかしいから…」

P「あ、あああも、もちろん!」

P(忘れていたけど、今俺は春香の胸にいる訳で…)

P(こっ心なしか、あったかくて、柔らかくて、気持ちいいというか…)

P(今にも『ムニュッ』という擬音が聞こえてきそうな…)

P(…じゃないだろ!仮にもプロデューサーの俺が、アイドルに手を出すなんて…)

P(…手?手なんて出してないし、そもそも出す手もない。なら合法?)

P(…違う違う!落ち着け俺ー!)


29: 2014/07/19(土) 08:36:35.89 ID:iKsuBVPCO
兵士1「あのー隊長?」

春香「…」

春香「…あっ!は、はい?」

兵士1「大丈夫ですか?さっきから独り言をブツブツと言っておられますが…?」

春香「あ…あはは!だっ大丈夫ですよ、大丈夫。ちょっと考え事を…」

春香(わあ~周りの人の事、すっかり忘れてたぁ~!)

兵士2「やはり隊長も、今回の任務の事を…」

兵士3「我々赤い翼は、誇り高き飛空艇団!か弱いものから略奪など…」

春香「は、はあ…そうですね…」

春香「プロデューサーさぁん…話についていけませんよぉ~」

P「ん~と…今、兵士達は、ついさっき終わった任務について話してるんだ」

P「言葉通り、か弱いもの達から略奪してきたばかりでな…いくら国王の命令とは言え、やっぱり心が痛むよなぁ」

春香「それは…ひどいですね…」

P「だけど今は、兵士達をなだめないとな。全員反逆罪で捕まってしまう」

P「それを止めるのは…春香、お前の役目だ」

春香「うーん…わかりました。やってみます」


33: 2014/07/19(土) 22:31:04.98 ID:iKsuBVPCO
兵士4「オレだって、好きでこんな事…」

春香「み、皆さん、やめて下さい!」

兵士2「しかし隊長!」

春香「へ、陛下にも何かお考えがあっての命令なんです」

春香「それに何より、私は皆さんの事が心配です!余計な事を言って、皆さんが反逆罪で囚われてしまったら、皆さんはもちろん…皆さんのご家族は、どうなりますか?」

兵士達「……」

春香「今は…耐えて下さい」

兵士1「隊長…!」

兵士2「ううっ…隊長!」

兵士3「オレ…一生隊長について行きます!」

兵士4「隊長は…天使や…」

兵士5「隊長は命にかえてもオレが守る!」

兵士6「いやオレが!」

兵士7「私が!」

春香「ふふっ。わかってくれて、ありがとうございます!」



春香「…プロデューサーさん?」ヒソヒソ

P「ああ!上出来だよ!さすがは春香だ!」

春香「えへへ~」

兵士8「たっ隊長!魔物が!」

春香「え?」


34: 2014/07/19(土) 22:55:00.02 ID:iKsuBVPCO
P(!…そうか…そういえば、ここで初の戦闘だったな…)

P(でも、確か問題はないはず…)

P(主人公は、アレを持ってるはずだ)

春香(うわ…な、何…アレ?お化け屋敷に出てくるような…おっきい一つ目の、怪物)

春香(ど、どうしよ~)アタフタ

春香「プップロデューサーさん!」

P「春香、落ち着け!何か、小物入れみたいなもの、持ってないか?」

P「そこに魔物を追い払うアイテムが入ってると思うんだが…」

春香「こ、小物入れ、ですか?でも、鎧も着てるし、そんなものどこに…」

春香「…あ!」

P、春香「べろちょろ!」

ドガアァァン!

兵士4「ぐわっ!」

兵士1「大丈夫か!」

P「春香、まだか?」

春香「ちょ、ちょっと待って下さいよ~」

春香(いくら皆の注意が怪物に向いているとはいえ…)

春香(こんなトコで脱ぐのは恥ずかしいよ~!)

春香「よいしょ、もうちょっと…」

春香「プロデューサーさん、取れました!」

P「よし!そこに、尖った石のようなモノが入ってるはずだ!」

春香「尖った…石…?」ゴソゴソ

春香「ん…これ…かな?」

春香「プロデューサーさん!赤いのと、青いのがありました!」

P「よし、じゃあ赤い方を怪物に向かって投げるんだ!」






35: 2014/07/19(土) 23:13:41.86 ID:iKsuBVPCO
春香「わかりました!」


春香「皆さーん!下がって下さーい!」

兵士3「隊長?」

兵士1「よし、皆、一旦引くぞ!」

兵士達「おおぉぉー!」バタバタ…

春香「いっくよー!」

春香「えーい!」ヒューー

ゴオオオォォォー

魔物「グギャアアァァー」シュー

春香「あ……」

春香(怪物が…跡形も無く…)ブルブル

P「やったぞ!」

兵士6「まだ、来ます!」

バサッバサッ

魔物「キエェェー!」

P「春香、今度は青い方を投げるんだ!」

春香「わ、は、はい!」

春香「怪物さん…」

春香「ごめんなさい!」ヒューー

ピシャァァーン!

魔物「グキェェェーー!」




兵士達「やった!」

兵士達「隊長おぉぉー!お怪我はありませんかー!」

春香「は、はい…だっ大丈夫ですよ…」

春香(腰抜けちゃって、立てないけど…)


36: 2014/07/19(土) 23:32:53.56 ID:iKsuBVPCO
P「よくやったな、春香!」

春香「はい…恐かったですけど…」

P「…」

P「ごめんな…オレがこんな姿じゃなければ、お前を危険な目に遭わせないで済むのに…」

P(見守る事しかできない自分が、もどかしい…!)

春香「プロデューサーさん、気にしないで下さい」

春香「だって、プロデューサーさんの助言があったから、こうして助かったんですから…」

P「春香…」

春香(それに…)

春香(プロデューサーさんがそう思ってくれるだけで、私は幸せですから…)



兵士1「隊長!」

春香「あ、はい」

兵士2「お怪我はありませんか?」

春香「はい。皆さんもご無事で良かった…」

兵士3「隊長がご無事で何よりです!」

兵士4「隊長は…天使や…!」

兵士5「隊長にもしもの事があったら…オレは…オレは…っ!」

兵士6「いやオレが!」

兵士7「私が!」

春香「あ、あはは…」

兵士1「しかし、近頃魔物の数が…」

兵士2「確かに、あまりに多過ぎる…」

春香「プロデューサーさん…」

P「こうして物語は、幕を開けた…ってとこかな?」



春香「べろちょろの姿で言っても、締まらないですね…ふふ」

P「う…」




39: 2014/07/20(日) 01:01:16.53 ID:FKGwyRquO
ミシディアの村



長老「動ける者、怪我の軽い者は、怪我の重い者に付き添うのじゃ!」

長老「その際、重症人ひとりに対し、付き添い人は必ずふたり以上付く事!」

村人達「はい!」

長老「それと、今から白魔道士隊を3つに分ける。交代で治療に当たる事になるゆえ、各自、自分の担当時間を把握しておく事!」

白魔道士隊「わかりました!」

長老「余った男連中は、倒壊した家屋の除去、修理に当たれ!女手は子どもらの保護を!」

男連中「オオォォー!」

女連中「はい!」

長老「最後に、これ以上怪我人を増やさぬ様、皆充分に気をつけてくれ!」

長老「以上!解散!」

村人達「」ゾロゾロ…



長老「…ふう」

長老「一体何を考えておるのか、バロン国王は…」

長老「昨日来た兵士どもは、止むを得ず、といった風じゃったが、侵略に疑問を抱かなくなるのも時間の問題かもしれんな…」

長老「さて…どうしたものか…」

40: 2014/07/20(日) 01:16:00.84 ID:FKGwyRquO
ドドドドドド…

長老「…ん?」



亜美「長老っち~!」…タッタッタッタッ

真美「朝のあいさつ、くらえ~!」タッタッタッタッ

長老「」

亜美「朝マーック!」バキィ

長老「グボォ!」

真美「390えーん!」ドゴォ

長老「ゴハァ!」ガク…



亜美「いや~清々しい朝だねぇ長老っち!」

真美「そんな清々しい朝に…真美達を仲間はずれにして、何をしてるんだい?」

長老「……かと…った…」ヨロッ

亜美「ん~?」



長老「氏ぬかと思うたわー!いきなりなんしよるかー!」

長老「全く…少しは加減を…」

真美「長老っちが悪いんだよ!」

長老「む?」

亜美「亜美達を仲間はずれにするから!」

真美「真美達だって、もう立派なオ、ト、ナな女なんだから、皆の手伝いもしちゃうよ?」


41: 2014/07/20(日) 01:28:25.80 ID:FKGwyRquO

長老(…ふむ…)



長老「ダメじゃ」

亜美「なんでさー!」

長老「お主らはまだまだ子ども…身も心も未熟じゃ」

長老「大人の手伝いより先に、まずは己を鍛えるのじゃ!」

真美「む~!真美達だってマホウ、使えるんだよ?」

亜美「根っ子の手も借りたいくらいっしょ?」

長老「ええーい!修行しないと今晩メシ抜きじゃぞ!」

亜美、真美「それはやだー!」

長老「ならば、修行じゃ」

亜美「ちぇーっ!長老っちのケチんぼ!」

真美「いつか目に桃見せてやるかんね!」

タッタッタッタッ…




長老「すまんな…」

長老「お主らは、この村の希望なんじゃよ…」



44: 2014/07/20(日) 09:34:43.51 ID:FKGwyRquO

ミシディアの村はずれ

亜美「ねー真美」

真美「んー?」

亜美「どっちが来ると思う?」

真美「うーん…こう言っちゃなんだけど…」

真美「聖騎士の千早お姉ちゃんは、想像できないな~」

亜美「あはは!でも、暗黒騎士は様になってそう~」

真美「だね~。千早お姉ちゃんに言ったら、ちょー怒られそうだけど」

亜美「やっぱ、はるるんかぁ~」

真美「真美達のリーダーだしね~」

亜美「でも、王道過ぎてつまんないな~」

亜美「あ、他の誰かの可能性もあるよね?」

真美「ん~、だとーなセンで、マコちんとか?」

亜美「そだねぇ…。マコちんくらいかな」

真美「あとは…」




真美「兄ちゃんとか?」

亜美「……」

真美「……」




亜美、真美「……プッ……」



「「あはははは!」」

亜美「ないない、一番あり得ないよ~」

真美「だよねー?」

真美(真美は…)

真美(…兄ちゃんでもいいんだけどな)

真美(てか、兄ちゃんがいい!)

亜美(…兄ちゃんに来て欲しい…とか、真美は考えてるんだろね、きっと…)

45: 2014/07/20(日) 10:04:17.86 ID:FKGwyRquO

亜美「……」

亜美「それにしても…ベタ過ぎだよねぇ~」

亜美「配役としては」

真美「ま、ね。でも…真美達も双子だし、ちかたないね」

真美「逆に、もしも真美のスタート地点が、亜美と離ればなれだったら…とか考えると」



真美「一緒で良かったぁ…って思うよ?」

亜美「ふむ。少しは妹離れしないとですぞ?真美君」

真美「…」

亜美「…」




真美「ねぇ、亜美の話したいコトって、コレじゃないっしょ?」

亜美「!」

真美「…そりゃあ、真美も…恐い、よ?」





真美「近い内に、自分達がギセイになるって、わかってるのは…」





亜美「……」

真美「でもさ、もしかしたら、何か別の方法が見つかるかも…」

亜美「…可能性は、薄いですなぁ…」

真美「真美ね…」

真美「…兄ちゃんなら、なんとかしてくれる、気がする…ような気がする…」

亜美「あはは…信頼してる割には、ずいぶん弱気だねー?」

亜美「そもそも、兄ちゃんはこっち、来てないかもしんないよ?」

真美「ううん、来てるよ…たぶん…おそらく…きっと…」

亜美(亜美だって、兄ちゃんは頼りにしてるけど…)

亜美(真美のキモチは、亜美とは少し違うんだろーなー…)

亜美「ま、なんくるないさー!ってやつだね」

真美「…似てないけどね」




48: 2014/07/20(日) 12:18:06.75 ID:FKGwyRquO
バロン城 白魔法研究室

白魔道士(…すっごい邪魔なんですけど…!)チラ

美希「zzz…」

白魔道士(ミキさんも一応、白魔道士のはずよね?)

白魔道士(ちゃんと研究とか、してるのかしら…?)

美希「…むにゃ…はにぃ」

白魔道士(まったく…)

白魔道士(邪魔だから、起きてもらおうかな)

ポウ…

白魔道士「エスナ!」

シャララーン

美希「…はっ!」ガバッ

美希「」キョロキョロ

美希「?」

美希「あり得ないの!」

白魔道士「」ビクッ

美希「絶対あり得ないの!」スタスタ ガシッ

白魔道士「な、何があり得ないのかしら…?」

美希「こんなにスッキリした目覚めは、初めてなの!」

白魔道士「ああ…私が起こしたのよ、魔法でね」

美希「まほう?」




50: 2014/07/20(日) 12:44:59.70 ID:FKGwyRquO

美希「魔法って…悪い魔女が、お姫様をカエルに変身させたりするやつ…?」

白魔道士「カエルにするのは、黒魔法ね」

白魔道士「私が使ったのは、白魔法の『エスナ』よ」

白魔道士「私達白魔道士が研究している白魔法は…」

白魔道士「今私がやったみたいに、寝てる人を起こしたり…」

白魔道士「体の悪いところを治したり…いろいろあるわね」

美希「ふーん…まほうって、ホントにあったんだね」

白魔道士「っていうか、あなたも白魔法の研究者でしょ?」

美希「違うの」

白魔道士「え?」





美希「ミキは、アイドルなの!」





白魔道士(あいどる…?そんな職業、あったかしら…?)

白魔道士(というか…ミキさんってこんな自由なキャラだったっけ?)

白魔道士(もっとおしとやかで、落ちついた人だった気が…)

白魔道士(白魔法だって、『赤い翼』のあの方の為に、一生懸命研究してたと思ったけど…)

51: 2014/07/20(日) 12:57:54.01 ID:FKGwyRquO

白魔道士「ねえ、ミキさんは、赤い翼のあの人の為に白魔法を研究してるのよね?」

美希「ミキ、赤いきつねしか知らないの」

白魔道士(え……?)

白魔道士(赤い…きつね?)

白魔道士(そんな名前の飛空艇団、あったかしら…?)

美希「ねえねえ、それより…」

美希「まほう、見せて欲しいの!」

美希「ミキね、まほうで、キラキラーってなりたいの!」

白魔道士「何言ってるの?白魔法なら、あなたも使えるでしょ?」

美希「そうなの?でもミキ、どうやってやるかわかんないの…」

白魔道士「忘れちゃったの?もう…」

白魔道士「それじゃ、この本を読んで…」

「おーい!ちょっとこっち来てくれー!」

白魔道士「あ、はーい!」

白魔道士「…それじゃ、私はもう行くから…」

白魔道士「ちゃんとこの本、読んでね?」スッ

美希「ありがとうなの!」

52: 2014/07/20(日) 13:18:56.56 ID:FKGwyRquO

美希「じー…」

美希「ふむふむ…」

美希「…」

美希「…」

美希「zzz…」バタ

美希「…」スヤスヤ

美希「…」

美希「…」

美希「…」

美希「…はにぃ…」

美希「…」

美希「…」

美希「…」

美希「…」

美希「…」

美希「…」

美希「」ピクッ

美希「あふう」ムクッ

美希「この気配は…!」






美希「ハニーが近づいて来てるの!」






美希「ハニー!」ダダダダ…


56: 2014/07/20(日) 16:01:36.29 ID:FKGwyRquO
バロン王国 造船所

技師「お頭ー!ここ、どうすればいいですか?」

響「え、えーっと…こ、こうすればいいんじゃないか?」

技師「はい!わかりました!」タッタッタッタッ…

響「…ふぅ…」

響(こんなでっかい船の作り方なんて、自分わかんないぞー)

響(ここ、どこなんだろ…)

響(確か、やよいと一緒に事務所に帰ってきて…)

響(プロデューサーがいきなり消えちゃって…)

響(知らないじーちゃんが事務所にいて…)

響(『ゲームの世界』に行ってもらう、とか言われて…)

響(これじゃ、ベタなラノベの展開だぞ…)

響(皆も、この世界にいるんだよな…)

響(皆、どこにいるのかな…)

響(ちょっと、心細いぞ…)シュン…

57: 2014/07/20(日) 16:12:09.26 ID:FKGwyRquO

響「うっ…皆…さみしいよぉ…」グスッ

技師「お、お頭?ど、どうしたんですか?」

響「…なっなんでもないぞー!」ゴシゴシ

響「そっそれより…どうかしたのか?」

技師「もうすぐ、あの船も完成します」

技師「だからお頭に、あの船の名前を決めてもらおうと…」

響「なるほどなー」

響「……」

響「……」

響「よし!」







響「あの子の名前は、『エン太郎』だぞー!」








技師「」

響「よろしくなー、エン太郎?」ナデナデ

技師(世界に誇る飛空艇が…こんな名前でいいのか…?)


58: 2014/07/20(日) 16:26:10.45 ID:FKGwyRquO

ミストの村

??「…ヤヨイ、起きなさい私のかわいいヤヨイ…」

やよい「…ん…んん…」

やよい「…!」ガバッ

??「おはよう、ヤヨイ。起きましたね?」

やよい「…お、おはよう…ございます…」

??「さぁ、顔を洗ってらっしゃい?朝ごはんはできてますよ」

やよい「…わかりましたー」

ガチャ バタン






やよい(ここは…ホントにゲームの世界なんでしょーか?)

やよい(それにあの人…)

やよい(私の…お母さんって…言ってた)

やよい(うぅ…すっごく優しくしてくれるけど…)

やよい(私のお母さんは、やっぱり一人しかいないかなーって)

やよい(それに…)

やよい(皆さんも、きっとどこかにいますよね?)

やよい(ひとりは心細いから…)

やよい(誰かと合流しないと…)







やよい(ごめんなさい、みすとどらごんさん…!)

59: 2014/07/20(日) 16:37:37.17 ID:FKGwyRquO

やよい「うぅ…見たことない生き物がたくさんいますー!」

ゴアァァァー!

ウガァー!

やよい「どうしよう!どっちに行けば…?」キョロキョロ

ドテッ!

やよい「痛たた…」

ゴアァー!ドタドタ…

やよい「あぁ…見つかっちゃいましたぁ!」

ゴアァー!

やよい「やだ…やだよ…!」

ゴアァァァー!

ブンッ!
やよい「助けて……伊織ちゃん!」






ブオォォーー!

やよい「ま、また一体増えて…?」

やよい「……え?」

ゴアァァァー!バタン!

やよい「仲間、割れ…?」

シューー…

フワッ

スタスタ…

ミストドラゴン「ヤヨイ…良かった…!」ギュッ

やよい(みすとどらごんさん、だったんだ…)


60: 2014/07/20(日) 16:46:13.93 ID:FKGwyRquO

やよい「うぅ…ありがとうございますー!」

やよい「それと…」

やよい「…ごめんなさい」

やよい「勝手に、いなくなって…」

ミストドラゴン「いいのです」

ミストドラゴン「こうして、ヤヨイが無事にいてくれれば、それだけで…!」

やよい(あったかい…)

やよい(本当の、お母さんみたい…)





やよい「お母さん…」






ミストドラゴン「!」

ミストドラゴン「やっと…母と呼んでくれましたね…!」ポロポロ…

やよい「お母さんは、お母さんですから!」ギュッ

ミストドラゴン「ふふ…」ナデナデ

やよい(皆さんと、会えるまで…)

やよい(その間だけなら…いいよね?)


61: 2014/07/20(日) 17:07:55.56 ID:FKGwyRquO

トロイア城

あずさ「……」スタスタ

あずさ「…ええと」テクテク

あずさ(ここは…どこかしら~?)


カイポの村

あずさ(ここが…ゲームの世界…?)

あずさ(皆も、どこかにいるのかしらね~?)スタスタ



アガルトの村

あずさ(皆、無事だといいんだけど…)

あずさ(早く帰らないと、お仕事に間に合わないわね)テクテク



ミスリルの村

あずさ(それにしても…)

あずさ(どうも私は、誰かを探さなければいけない気がするんだけど…)



地下水脈

あずさ(私の…娘?)

あずさ(あら~私ったら、まだ結婚もしてないのに…)

あずさ(プロデューサーさんとの娘だなんて…)

あずさ「///」

あずさ「な、何考えてるのかしら、私ったら…!」

ウガァー!

あずさ「きゃっ!」

ウガァー!

あずさ「もう…いけない子…」

あずさ「うふふ…悪い子はお仕置きですよ~?」ゴゴゴゴ…

ウガ?

あずさ「えいっ!」

ピシャァァーーン!

ウゴァァー…バタ

あずさ(ゲームのキャラなら、その目的もあると思うけど…)

あずさ(それが、さっき感じた、私の…娘?と、関係してるのかしらね~?)


あずさ(うん、とりあえずこのスペックなら、やられる心配はなさそうね~)


64: 2014/07/20(日) 18:35:14.96 ID:FKGwyRquO

ダムシアン城

アンナ「待ってくださーい!」ダダダダ…

雪歩「ひぃぃ…ゆ、許してくださいぃぃ~!」ダダダダ…

アンナ「いじわるですわ、ユキホ様は…」ガシッ

雪歩「ひゃっ!」

アンナ「私達、将来を誓い合った仲ではありませんか!」

雪歩「わ、私、女の子に興味はないんですぅ~!」ジタバタ

雪歩(真ちゃんにしか、興味ないんですぅ!)

アンナ「…往生際が悪いですわ…」グググ…

雪歩「うぅ…こうなったら…!」ゴゴゴゴ…

アンナ「!」

雪歩「秘技!アナホッテ・ウ・マッテマ・スー!」チャキ!

ザクザクザクザクザクザク…

アンナ「…行かせませんわ!」チャキ!

ザクザクザクザクザク…

雪歩「わ、私の掘りについてこれるなんて…!」

雪歩「…只者じゃないですぅ!


65: 2014/07/20(日) 18:43:53.50 ID:FKGwyRquO

アンナ(お母様…)

ザクザクザクザクザク…

アンナ(アンナはようやく、生涯を添い遂げられる方を見つけました…)

ザクザクザクザクザク…

アンナ(だからどうか、私達をお許しください…!)

ザクザクザクザクザク…

雪歩「しつこいですぅ!」

ザクザクザクザクザク…

雪歩「こうなったら…パワーアップですぅ!」ゴォーー!

アンナ「なっ…体に纏わせていたオーラを…」

アンナ「スコップに纏わせるなんて…」

アンナ「それでこそ、私が認めた方ですわ…!」

ザクザクザクザクザク…

雪歩「ま、負けませんよっ?」

ザクザクザクザクザク…

67: 2014/07/20(日) 19:02:27.82 ID:FKGwyRquO

ファブール城

真「…427…428…」グッグッ

真「…498…499…っ!」ググッ

真「500~!」ドサッ

真「ハァ、ハァ…」

真「やっぱり、今のボクじゃ…」

真「腕立て500回が精いっぱいかぁ~」

真「せっかくゲームの世界に来てるんだから…」

真「早く悪者と闘いたいなぁ~」

コンコン

真「あっ!どーぞー!」

ガチャ

モンク僧「失礼します」

モンク僧「僧長、陛下がお呼びです」

真「はーい」スタスタ…


王の間

真「お呼びですかぁ~?」

王「マコトよ、待っておったぞ」

王「ここのところ、バロン王国に不審な動きが見られる…」

王「どうやら、バロン王国は、各地のクリスタルを集めている様なのじゃ」

王「それも、かなり強引なやり方でな…」

真「ふむふむ…」

真(やーっとそれっぽくなってきたなぁ~)ワクワク

真「じゃあ、ボクがちょっと行って、悪者をこらしめて来ますよ!」

王「ま、待て!」

真「?」

68: 2014/07/20(日) 19:14:40.70 ID:FKGwyRquO

王「それはならん!」

真「え…なんで?」

王「よいか?バロン王国は各地のクリスタルを集めておる…」

王「我が国に伝わる風のクリスタルも…例外ではないだろう」

王「そこでマコトよ、お主はこの城の守備についt…」

真「わっかりましたぁー!」

王「…え?」

真「いや~ワクワクするなぁ!」

王「ちょっと…」

真「早く攻めて来ないかなぁ!」

王「話を…」

真「あっ、じゃあボク、これからちょっと体動かしてきま~す!」タッタッタッタ…




王「あいつ、あんなにせっかちじゃったっけ?」

73: 2014/07/20(日) 20:48:28.16 ID:FKGwyRquO



貴音(…はて?)

貴音(…もう丸一日ほど、時間が過ぎた訳ですが…)

貴音(未だ、夜が明けませんね…)

貴音(それになぜか…心がざわつきます…)

貴音(何か、大切な事に気づけそうな…)

貴音「それにしても…お腹が空きました…」グゥ

月の民「ターカーネーさーまー!」

ダダダダ…

月の民「ハァ、ハァ…」

月の民「ここにいたんスか…」

貴音「…はて?どこかでお会いしましたか…?」

貴音「あ…」

貴音「なるほど、これが『なんぱ』というものですね?」

貴音「わかりました。丁度お腹も空きましたし…」

月の民「…会話が噛み合ってないッス…」

月の民「まあ、あれだけ永い眠りから覚めたばかりなら…」

月の民「記憶が混乱するのも無理ないッスね」

月の民「…とにかく、館に戻ってくださいッス」

貴音「?…わかりました。それで私は、らぁめんが食べたいのですが…」

月の民「らぁめん…ってなんスか?」

月の民「そんなものないッス」

貴音「」シュン…

月の民「…でも、腹減ってるなら、なんか用意するッス!」

貴音「!」パァー


74: 2014/07/20(日) 20:57:33.28 ID:FKGwyRquO

貴音「もぐもぐ…」

貴音「むしゃむしゃ…」

貴音「ごくごく…」プハァ

貴音「もぐもぐ…」

貴音「むしゃむしゃ…」

貴音「ごくごく…」

貴音「ふぅ…」

貴音「ごちそうさまでした」

月の民「1週間分の食料が…1食で…」

月の民「そうとう腹減ってたんスねぇ…」

貴音「ええ、まあ」

貴音「見たことのない食材ばかりでしたが…」

貴音「どれもまこと、美味でした」ペコリ

月の民「じゃ、そろそろ話していいッスか?」

貴音「ええ、どうぞ」

貴音(そういえば、これはなんぱでしたね…)

貴音(食事のお礼に、お話を聞くのが礼儀でしょう)

75: 2014/07/20(日) 21:09:31.18 ID:FKGwyRquO
月の民「どうやら、青き星で不穏な動きがあるみたいッス」

貴音「あおき、ほし」

月の民「もしかしたら、今封印している月の民の…」

貴音「つきの、たみ」

貴音「あの…」

月の民「なんスか?」

貴音「あおきほし、とは、一体…?」

月の民「ああ、記憶が混乱してるんだったッスね」

月の民「青き星、とは…空を見ればわかるッスけど…」

月の民「空に見える、我々の兄弟とも言える星の事ッス」

貴音「…はて?空に見えるのは、月ではありませんか…?」

月の民「なーに言ってるんスかー?」

月の民「今我々がいるのが、月じゃないッスか!」

貴音「!」ガタッ

76: 2014/07/20(日) 21:20:31.61 ID:FKGwyRquO
貴音(なんと…!)

貴音(ここが…月?)

貴音(嗚呼…私はついに…到達したのですね!)

貴音(毎晩、見上げる事しかできなかった…)

貴音(なるほど、気持ちがこんなに高揚してるのも、納得です)

貴音(げぇむの世界、とはいえ…私の本懐は…)

貴音(遂げられた…と言ってもいい)

貴音「なるほど、青き星、とは地球の事だったのですね?」

月の民「ちきゅうってなんスか?まあ、なんかもうわかってもらえてる感じッスけど…」

貴音「…それで。その『青き星』に何が…?」

月の民「ああ、えーっと…」

78: 2014/07/20(日) 21:36:58.79 ID:FKGwyRquO
月の民「タカネ様は、永い眠りについてた訳ッスが…」

月の民「他にも、いまだに眠ってる月の民もいるんス」

貴音「…」

月の民「そいつがまた、とんでもないんス」

月の民「誰よりも深い憎悪を持ってるんスけど…」

月の民「その憎悪を『思念』として遠くに飛ばしてるらしいんス」

月の民「名前が確か…『コトリ』だったかな…?」

貴音「!」

貴音(聞き間違え、でしょうか…)

月の民「今はそいつを、我々の力で封印してるんスが…」

貴音(確かに、ありふれた名前ではありますが…)

月の民「その封印を保つのも、難しくなって来てるんスよー」

月の民「今じゃもう、思念を飛ばして青き星の人間を操って、悪ささせてるらしいッス」

貴音(いえ、765プロのアイドルがこちらへ来ている以上…)

貴音(小鳥もこちらへ来てる可能性は、充分ありますね…)

月の民「…って、タカネ様?」

貴音「お話は、わかりました」

月の民「さっすがタカネ様!」

貴音「どうやら、身内の不祥事のようです」

月の民「……え?」

81: 2014/07/20(日) 21:56:43.39 ID:FKGwyRquO
エブラーナ城

兵士「王女!ここは危険です!」バタバタ…

伊織「なんなのよ、なんなのよ!」

伊織「このスーパーアイドル伊織ちゃんが来てあげたんだから…」

伊織「もっとちゃんと歓迎しなさいよね!」

グアァァー!

兵士「危ない!」バッ

グサッ!

兵士「ぐぅ…」バタ

伊織「ひっ…!」

伊織「ちょ、ちょっと…!」

伊織「しっかりしなさいよ…!」

グアァァーー!

伊織「きゃー!来ないでぇっ!」バッ

ボオォォ!

グァァ…バタ

伊織「!」

伊織「今…何か出た…?」

エブラーナ王「イオリよ!」タッタッタッタ…

エブラーナ王妃「私のイオリ!無事で良かった…!」ダキッ

伊織「むぎゅ」

伊織「なっ!こ、今度は何?」

82: 2014/07/20(日) 22:17:20.45 ID:FKGwyRquO
エブラーナ王「イオリよ!この城は魔の者に攻められておる…!」

エブラーナ王「兵もほとんどやられた…」

エブラーナ王「お前は逃げるのだ!」

伊織「そりゃ、逃げるけど…」

伊織「あんた達はどうするのよ?」

エブラーナ王妃「ここは、私達が食い止めます!」

エブラーナ王妃「可愛い我が子を守るためなら、たとえここで朽ち果てようと本望です!」

伊織(我が…子?)

伊織(…)

伊織「…そういう設定なら、逃げられないわね!」

エブラーナ王「イオリ…?」

伊織「安心なさい!」

伊織「このスーパーアイドル伊織ちゃんはなんと…」

伊織「さっき変な力に目覚めたのよ!」ドヤァ




83: 2014/07/20(日) 22:27:29.57 ID:FKGwyRquO
エブラーナ王「変な力…とは、どういうものだ?」

伊織「え?」

伊織「えっと、なんかこう…手からボーって火が…」

エブラーナ王妃「!」

エブラーナ王妃「…あなた!」

エブラーナ王「…ああ!」

エブラーナ王「イオリよ…それは、我がエブラーナ王家一族に伝わる…」

エブラーナ王「秘術、火遁の術だ」

伊織「カトン…?」

エブラーナ王妃「おめでとう、イオリ!」

エブラーナ王妃「これであなたも一人前の忍者よ?」

伊織「に、忍者って…」

84: 2014/07/20(日) 22:50:22.84 ID:FKGwyRquO
エブラーナ王妃「それでも、危険です!」

伊織「なんでよ!」

エブラーナ王「お前は力に目覚めたばかり…」

エブラーナ王「その力では、あの者には通用しないだろう」

伊織「なっ!そんなの、やってみなきゃわからないじゃない!」

エブラーナ王妃「ダメです!あの者は…」

ルビカンテ「我をお呼びかな?王妃殿…?」スゥー

エブラーナ王「貴様は!」

ルビカンテ「王族がこんなところに固まっているとは…」

ルビカンテ「手間が省けたな…」

ルビカンテ「3人まとめてかかってこい!」

エブラーナ王「イオリよ!私の背中に隠れてるんだ!」

伊織「…なに…?あの真っ赤なバケモノは…?」

エブラーナ王「くらえ!火遁の術!」

ゴオオオオォォーーー!

伊織(さっきの私のとは、比べものにならないほど、強力な炎…!)

ルビカンテ「ふっふっふ…」

ルビカンテ「ぬるい、ぬるいぞ…」

ルビカンテ「本物の炎とは…」

ルビカンテ「こういうものを言うのだ!」

ゴアアアアアアアァァァァーー!

エブラーナ王「うああぁーー!」

エブラーナ王妃「あああーー!」

伊織「うっ!」

伊織(熱い…!体が溶けそう…!)


85: 2014/07/20(日) 23:28:11.78 ID:FKGwyRquO
エブラーナの洞窟

伊織「…うっ…!」

家老「!」

伊織「…あ…れ?私、どうし…っつっ!」

家老「お嬢、気がつかれましたか…!」

伊織「あんた、誰?」

家老「わしは、エブラーナ家の家老ですじゃ」

家老「ここは、エブラーナの洞窟…」

家老「城は、魔の手によって堕とされたんじゃ…」

家老「生き残った者は皆、ここで体を休めておりますじゃ…」

伊織「…はっ!」

伊織「あの、赤い悪魔は…?」

家老「ルビカンテなら、バブイルの塔へ帰っていったようですな」

伊織「…そう」

伊織(ゲームの世界って言っても、リアリティあり過ぎじゃない?)

伊織(なによ、このいきなりハードな展開は…!)

伊織(いきなり変なのに襲われて…)

伊織(私の親だって言う人が、私を庇って…)

伊織「…あ」

伊織「王と王妃は、どこにいるのよ?」

伊織(私を庇ってあんなのを受け止めたんだもの…)

伊織(きっと、かなり重症よね…)

家老「……」

86: 2014/07/20(日) 23:40:59.55 ID:FKGwyRquO
伊織「…ちょっと!」

家老「…」

伊織「なんとか言いなさいよ!」

家老「王と、王妃は…」

家老「お嬢を庇って…」

伊織「!」

伊織(な…なによ…それ…!)

伊織「…」

伊織(…所詮、ゲームの世界の話よ…)

伊織「…」

伊織(…だけど…!)

伊織「…」

伊織(こんなの、寝覚めが悪過ぎるじゃない!)

伊織「…」グッ

伊織「…よし!」

伊織「新堂…じゃなかった…えっと」

家老「ジイ、とお呼びくだされ」

伊織「ジイ、皆の傷が治ったら、戦いの準備よ!」

家老「お嬢…!」

伊織「あの、赤い悪魔に見せつけてやるんだから!」

伊織「この、スーパー忍者アイドル伊織ちゃんの恐ろしさを!」

90: 2014/07/21(月) 07:59:56.97 ID:DOeiqMA1O
バロン城 中央通路

千早「……」ガチャン ガチャン

千早「……重いわね」

千早「…………くっ」

千早(あれは…夢ではなかった様ね…)

千早「…」キョロキョロ

千早(まるで、映画の撮影ね…)クスッ

千早「…」

千早(…あら?)

ドドドドドドドド…

美希「ハーーニーー!」

美希「どこなのぉー!」

千早「…」

千早(ちょっと変わった格好してるけれど…)

千早(あの挙動は、美希以外あり得ないわね…)

千早「…」

千早(私の格好も、相当変だけどもね…)

千早(でも、美希はあの場にいなかったような…?)

千早(とにかく、知ってる人を見つける事ができて、安心したわ)

千早「美希!」

94: 2014/07/21(月) 18:43:51.26 ID:DOeiqMA1O
美希「ーーん?」ドドドド…

美希「?」ドドドド…

千早「…」

千早(気づいてもらえないみたい…)

千早(ああ、こんな格好してるもの、わかるわけないわね…)

千早(仕方ない…)

兵士1「おい、あれ!」

兵士2「ああ、竜騎士隊隊長のチハヤさんじゃないか」

兵士1「いや~いつ見ても美しい…!」

兵士2「ちょっと、近寄り難いけどな」

兵士1「バーカ、そこがまたいいんじゃないか!」

兵士2「オレは、赤い翼のハルカさんの方が…」

兵士1「お前ベタ過ぎ!」

兵士1「オレみたいな通になるともう…」

兵士2「……あ」

兵士1「あ?」

千早「」バッ!

兵士1「脱いだ!?」

兵士2「やっぱりあの人は、わからん…」

兵士1「うひょー!」


95: 2014/07/21(月) 18:53:09.60 ID:DOeiqMA1O
千早(ちょっと恥ずかしいけれど…)

千早「美希!」

美希「あー!千早さんなの!」ドドドド…

千早「何してるの?」

美希「えっとね」

美希「ハニーが魔法で止まらない美希のキラキラなの!」ドドドド…

千早「?」

千早「よくわからないけど、そっちは壁よ」

美希「きゃー!なのぉー!」ドドドド…

千早「……くっ!」ダッ!

フワッ

兵士1「出たー!チハヤ隊長のジャンプ!」

兵士2「…あんなに、高く…!」

美希「ぶつかる~!」ドドドド…

スタッ

千早「…くっ!」ガシッ!

ゴロゴロ…ドサッ

96: 2014/07/21(月) 19:05:20.20 ID:DOeiqMA1O
美希「…痛たた…」

美希「は!」

美希「千早さん!」バッ

美希「起きてっ!千早さん!」ユサユサ

千早「……っ!」

千早「…」

千早(まさか、こんなところまで跳躍できるとは思わなかったわ…)

千早(…じゃあ、なんで私は飛ぼうと思ったの…?)

千早(もちろん、美希を助ける為…)

千早(違うわね…)

千早(自分なら助けられるって)

千早(私はあの時、思ったから…)

美希「千早さん!」

千早「…大丈夫よ」

美希「!」

美希「良かったぁー!」ギュ

美希「助けてくれて、ありがとうなの!」

千早「いいえ…仲間が」

千早(困ってる時、助けるのは当然の事よ)

千早「…?」

美希「どうしたの?」

千早「…なんでもないわ」

千早「…」



98: 2014/07/21(月) 19:23:34.10 ID:DOeiqMA1O
千早「…あっ!」ズキッ

美希「千早さん、どうしたの?」

千早「ちょっと、足を挫いたみたい…」

美希「えっ?大丈夫?」

千早「…どうやら、歩けそうにないわね」

美希「どうしよう!」オロオロ…

美希(こんな時、真君か響がいたら…って思うの)

美希(何かで冷やした方がいいのかな…?)

『…あなたも使えるでしょ?』

『それじゃ、この本を読んで…』

美希「あ!」

美希(やってみるしかないの!)

美希「えっと、確か…」

美希「…ごにょごにょ…」

千早「…美希?どうしたの?」

美希「ちょっと黙って!」

千早「…」

白魔道士「まったく、どこ行ったのかしらミキさん…」

白魔道士「魔法を教えて欲しいの!とか自分で言い出したくせに…」

キラキラ…

白魔道士「…あら?あの光…」





99: 2014/07/21(月) 19:39:09.50 ID:DOeiqMA1O
白魔道士「あれは、治癒魔法の光よね…?」

白魔道士「しかも、なんて強い魔力…!」チラ

白魔道士「あ、あれは…ミキさん!」

美希「すごい…すっごいキラキラしてる…!」キラキラ…!

美希「…えっと…」





美希「痛いの痛いの、飛んでけー!」ナノ!



シャララーン!キラキラ…

千早「あ…!」

千早(暖かい、光…)

千早(すごい…足の痛みが、消えてくわ…)

千早(これって、美希がやってるの…?)

白魔道士(ちょっと!どういう事?)

白魔道士(あれが…魔法教えて?とか言ってた人の魔力!?)

白魔道士(これって、最上位治癒魔法の…ケアルガ…?)

白魔道士(私なんて、ケアルラがやっとなのに…)

白魔道士(…ちょっと、自信無くすわね…)


100: 2014/07/21(月) 20:05:30.70 ID:DOeiqMA1O
美希「ハァ、ハァ…」

千早「…すごいわ!完全に治ったみたい…!」

美希「よ、良かったぁ~!」

美希(なんか…疲れたの…)

美希「眠い…の」パタ

千早「美希!」

美希「zzz…」

千早「…あ、寝たのね…」

美希「…むにゃ…」

千早「ふふっ…」

千早(ありがとう、美希)

タッタッタッ…

白魔道士「あ、あの!チハヤ様!」

千早「ん…」チラ

白魔道士「サイン下さい!」

千早「え?」

白魔道士「あ…じゃなくて!そ、その!」

白魔道士「ミキさん、お預かりします!」

千早(…誘拐?)

千早(なんて、こんな堂々としてる訳ないわよね)

千早(それに、イザとなったら)

千早(今の私なら、なんとかなりそうな気がするわ)

千早「それじゃ、お願いしてもいいですか?」

白魔道士「あ、はい!ありがとうございます!」ダキッ

美希「…はにぃ…」

タッタッタッタッ…

千早(お礼を言うのはこちらの方なのに…)

千早(いえ、それより)

千早(美希を担いで走って走っていったわね…)

千早(…結構すごいかも)

千早「さて…と、私はどうしようかしら?」

千早「後で美希の様子を見に行って…」

千早(あら?何か忘れているような…)

千早「あ…鎧」

103: 2014/07/21(月) 21:39:58.34 ID:DOeiqMA1O
バロン王国 上空

兵士1「ハルカ隊長!バロンに着きました!」

春香「ばろん?」

P「さっき教えただろ?今の春香の目的地だよ」

春香「あ~、悪い王様の国ですね?」

P「ば、ばか…」

兵士1「…隊長?」

春香「あ…」

兵士2「隊長…わかります!」

兵士3「オレも、隊長と同じ気持ちです!」

兵士4「うっかりさんな隊長も…天使や…」

兵士5「いっその事、隊長が王様になればいいのに…!」

兵士6「いやオレが!」

兵士7「私が!」

春香「皆さん、今の、内緒にしといて下さいね?」テヘッ

兵士達「もちろんです!」

P「なんか、春香も馴染んできたな…」

P(…さて)

P(いよいよバロンか…)

P(確か、王様に冷たくあしらわれるんだったよな…)

P(春香…へこまなきゃいいが…)




105: 2014/07/21(月) 22:00:03.66 ID:DOeiqMA1O
P(そして何よりも)

P(バロンには、味方キャラがいるんだよな!)

P(ええと、白魔道士ローザ、飛空艇技師シド)

P(そして…)

P(竜騎士、カイン)

P(アイドル達に会えるのは嬉しいが…)

P(カイン役のアイドルの事を考えると…)

P(胸が、痛むな…)

P(クソッ、俺が代わってやれれば…)




P(そういえば…)

P(春香には、言っておくべきだな)




P「なあ、春香」

春香「はい?なんですか?」

P「俺がこっちに飛ばされた時の事、話したろ?」

春香「あ…はい」

P「覚えてるか?」

春香「えっと…多分」

P「あの時妖精は…」

P「俺が演じる役は用意してないって、言ったんだ」

春香「…はい。それで、べろちょろになったんですよね?」

P「ああ」

P「それを踏まえた上で聞いてくれ」

春香「はい」

P「ゲームの世界に来て、今までの間に…」

P「俺の声に反応した人間は…春香だけだ」

春香「え?」



108: 2014/07/21(月) 22:32:09.37 ID:DOeiqMA1O
P「俺の声が聞こえてたのは、春香だけだ」

P「と、言いかえてもいい」

春香「ほ、ホントですか?」

P「ああ」

春香「でも、そう言われてみれば…」

春香「兵士の皆さんは、誰もプロデューサーさんと会話してませんね…」

P「まあ、まだ10人足らずの情報だから…」

P「この先、声が聞こえる人間が出てくるかもしれないけどな」

春香「…」

P「だが、ここでさっき言った妖精の言葉だ」

春香「…」

P「演じる役がなかった」

P「つまり、ゲーム世界にとって本当はいるはずの無い人間」

P「イレギュラーなんだ」

P「だから、ゲーム世界のあらゆる者は、俺を認識できない」

P「いるはずない、つまり、いないのと同じだから」

P「こういう推測が立つ」

P「まあほぼ確定だろうな」

P「俺としては、春香達と意思疎通できれば、そんなに大きな問題じゃないがな」

春香「あ…はい…」

春香(プロデューサーさんは、名推理を披露してくれたけど)

春香(私、大変な事に気づいちゃいましたよ…!)

春香(気づいてないんですか…?)

春香(大きな問題ですよ、プロデューサーさん!)






110: 2014/07/21(月) 22:50:37.35 ID:DOeiqMA1O
春香(どうしよう…言った方がいいかな?)

春香(でも、言って下手に混乱させるなら)

春香(言わない方がいいよね?)

春香(でも、言わない事で後で後悔するのも…)

春香(いや、そもそも私の勘違いの可能性…)

春香(は無い、よ。それくらいはわかる)

兵士1「間も無く、着陸完了しまーす!」

春香「あ…」

P「そろそろだな、春香!」

春香「は、はい…」

P「どうした、元気ないな」

春香「あ、さっきの話、もう一回整理してたんです…」

P「そうか?…何かあったら言えよ?」

春香「!」

春香「あ、はい…あ、プロデューサーさん!お城ですよ、お城~!」

P「あ、ああ…」

春香(…とりあえず、様子を見よう)

春香(私がしっかりしてれば、問題ないはずだし)

春香(プロデューサーさん、ごめんなさい)

春香(嘘、ついちゃいました)

111: 2014/07/21(月) 23:16:16.73 ID:DOeiqMA1O
バロン城 城門

P(春香の様子が、明らかにおかしい…)

P(もともと裏表の無い子だから、わかりやすいんだけど…)

P(この感じ…今までの経験から言うと…)

P(…危険度Bくらいだ…)

春香(せっかく、プロデューサーさんと二人っきりなのに…)スタスタ

春香(気分が重いよ…)スタスタ

春香(何か、明るい話題はないかな…?)スタスタ

ベイガン「お待ちしておりました!」

春香「わぁ!」

春香(し、心臓止まるかと思った…)

P「春香、近衛隊長の『ベイガン』だ」

春香「このえって、なんですか?」ヒソヒソ

P「王様直属って事だよ」

春香「じゃあ、偉い人なんですね?」ヒソヒソ

P「かなりな」

P(そういえば、この国の大臣って見た記憶がないな)

P(もしいないとなると、実質ナンバー2じゃないか?)

ベイガン「で、クリスタルは手に入れたのですかな?」

春香「あ、はい…」キラーン

ベイガン「おお…」

ベイガン「さあ、陛下がお待ちです。ご案内致します」スタスタ

春香(この人、なんか恐い…)






112: 2014/07/21(月) 23:49:17.96 ID:DOeiqMA1O
バロン城 中央通路

春香「プロデューサーさん」ヒソヒソ

P「なんだ?」

春香「このかぶり物、もう取ってもいいですか?」

P「俺に断る必要はないと思うぞ」

P「…でも、暑かったろ?」

春香「それはもう…」ファサッ

春香「あー涼しい…」

P(春香の髪の匂いが…それと少し、汗の匂いも…)

P(…って変態か!)



兵士1「あっ…」

兵士2「あれは、ハルカ隊長!」

兵士1「役職はかっこいいのに、守ってあげたくなる可憐さ…」

兵士1「かわいいよなぁ~」

兵士2「お前、チハヤさんはどうしたんだよ!」

兵士1「時間ってのはな、常に流れゆくものなんだ…」

兵士1「人の好みも然り」

兵士2「単に気が多いだけじゃねーか!」

兵士2「ハルカ隊長だけは、渡さないからな…」ボソッ

兵士1「ん?」

兵士2「何でもない!」ガン!

兵士1「痛っ!なんで殴るんだよ!」

兵士2「知らん!」



白魔道士「あ、ハルカ様…」

白魔道士「ミキさん、起こして来た方がいいかしら?」

白魔道士「…まあ、まだ起きないわよねぇ、きっと」



千早「あれは…!」

千早「春…!」

千早「…っと」

千早(誰かと一緒に歩いてるわね…)

千早(とりあえず、様子を見ましょう)


春香「プロデューサーさん、なんか視線を感じます…」

P「うん、こっちでも有名人みたいだな、春香は」


113: 2014/07/22(火) 00:17:02.87 ID:KyWTgpFqO
謁見の間前

春香「…」スタスタ

ベイガン「」スタスタ

ベイガン「」ピタッ

春香「うわっわ、わ…」ドテ

春香「いたた…」

P(このお家芸も、久しぶりだな…)

ベイガン「ハルカ殿!」ヌゥゥン!

春香「ひゃあっ!」ビクッ

ベイガン「こちらでしばらくお待ち下さい!」

春香「ひゃ、ひゃい…」

スタスタ ギィ ガチャン

春香「は~…」

春香「プロデューサーさん…」

P「ん?」

春香「私…あの人、ちょっと苦手です…」

P「ベイガンの事か?」

春香「はい…なんか、人間離れしてるというか…」

P「人間じゃないぞ?」

春香「ええ~!?」

P「まあ、今は何もしてこないから、大丈夫だよ」

春香「今は…ですか」


謁見の間

ベイガン「陛下、恐れながら…」

ベイガン「ハルカの奴めが、陛下に不信を抱いている様子です…」

王「本当かねぇ?」

王「さすがは近衛隊長君だ、よくぞ知らせてくれた」

王「だがまあ、こちらとしても…」

王「クリスタルさえ手に入れば、問題ないんだよ~君ぃ」

王「ハルカ君を、呼んで来てくれるかね?」

ベイガン「は!」

118: 2014/07/22(火) 18:27:03.99 ID:KyWTgpFqO
バロン城 造船所

響「エン太郎~!キレイにしてやるからな~?」フキフキ

技師1「親方!掃除なら我々がやりますよ!」

技師2「そうですよ!」

響「大丈夫だぞ!」

響「この子はもう、自分の家族だからな~!」

響「自分がキレイにしてあげたいんだ!」

技師1「親方…!」

技師2「ズレてますね」

響「でも…」

技師1「?」

響「この子は船…だから…」

響「もし具合が悪くなっても、自分じゃ直してあげられないんだ…」

響「だから、その時は頼むな~!」

技師1「はい!もちろんです!」

技師2(なんで飛空艇技師のトップが…)

技師2(飛空艇の修理ができないのか…)

技師1「あっ、じゃあ!」

技師1「簡単な修理だったら、オレが教えましょうか?」

響「ホントか~?助かるぞ~!」

ザワザワ…

技師2「…ん?」

技師2「なんか外が騒がしいな…」

技師2「ちょっとオレ、見てきますね?」

響「うん!わかったぞ!」

タッタッタッタッ…

119: 2014/07/22(火) 18:47:26.42 ID:KyWTgpFqO
技師1「…この場合は、ここを…」

響「ふむふむ…」

ガチャ…バタン

技師2「親方、どうやら…」

技師2「赤い翼のハルカ隊長が、戻られたようです」

響「えっ、春香?」

技師1「親方は、ハルカ隊長の事…」

技師1「自分の娘の様に可愛がってますからね~」

技師2「顔を見に行かれたらどうです?」

響「ちょっとまて~!」

響「春香は、自分の娘じゃないぞ!」


技師1「ええ、だから、自分の娘の様に…」

響(あれ?そうだっけ?)

響(自分は、友達のつもりなんだけどなぁ?)

響(っていうか、春香の方が1コ上だし!)

響(こんな世界に来たから…)

響(自分、おかしくなっちゃったのかなぁ…)

技師2「親方?」

技師1「あっ…なんか、混乱させちゃってすみません!」

技師1「親方には…」





技師1「本当の娘さんがいらっしゃいますもんね?」

響「」ガーン

響「うがー!わけわかんないぞー!」ジタバタ

技師1「」キュン

響(15歳で、子持ち…)ガックリ

響「と、とりあえず…行ってくるぞ…」トボトボ…

ガチャ…バタン




技師1「な、なんだ…この気持ち…?」

技師1「親方をもっといじめたい!」

技師2「おまえな…」

技師2(わかるけど…)



120: 2014/07/22(火) 19:02:22.43 ID:KyWTgpFqO
謁見の間前

P「そうだ、春香」

春香「は、はい…?」ドキドキ

P「…ん?どうした?」

春香「あ…これから、王様に会うと思うと…」

春香「き、緊張しちゃって…」

P「あ、その事なんだがな…」

P「王様は今…」

P「悪い奴に操られてるからな?」

春香「…」

春香「今言わないで下さいよ…」

春香「もっと緊張してきました…」

P「あと…試したい事が…」

ベイガン「ハルカ殿!!」

春香「ひぎゃっ!」ビクッ!

P「うわっ!」ビクッ!

春香(もうヤダ…この人…)ドキドキ

ベイガン「陛下がお待ちです。こちらへどうぞ」

春香「は、はい…」スタスタ

ギィ…バタン


121: 2014/07/22(火) 19:15:41.05 ID:KyWTgpFqO
謁見の間

春香「…」

P(うそ…?)

春香「ぷ、プロデューサーさん!」ヒソヒソ

P「ちょっと待ってくれ、俺も混乱してるんだ…」

P(こういうのも、有りなのか…?)

P(いや、でもバロン王は操られてただけで、最終的には…)

P(あ、そうだ!)

P「春香、試して欲しい事があるんだが…」

春香「はい?」

P「ちょっと耳貸してくれ」

P(どっちかというと、俺を耳に近づけてくれ、だったか?)

P「ごにょごにょ…」

春香「ええ!?そんな事して、いいんですか?」

P「身の危険はないと思う」

P「ただ、どうなるか見てみたいんだ」

春香「プロデューサーさんが、そう言うなら…」

ベイガン「春香殿?」

春香「あっはい!」

春香(もう、慣れちゃった…)

ベイガン「陛下がお待ちですぞ?」

122: 2014/07/22(火) 19:45:18.84 ID:KyWTgpFqO
王「いや~ハルカ君、ご苦労だったね~?」

春香「は、はい」





春香「社長さんも、お疲れ様です…」





高木「わざわざあんな辺鄙な所に行ってもらって、すまないねぇ~」

春香(あ…無視された)

P(社長ごと操られてるのか…?)

P(操られてる役を社長が演じているのか…?)

P(どっちも有り得るな…)

高木「…で、クリスタルは?」

春香「!」ドキッ!

春香「あ…」

春香「ありません…」

高木「…」

春香(う…)

春香(表情は変わらない、いつもの穏やかな社長さんだけど…)

春香(怒っちゃった…かな…)

P(さぁ…どうなる…?)

高木「…で」




高木「クリスタルは?」




春香「ひっ…!」

春香(表情が変わらない…)

春香(台詞も、変わらない…)

P(そうか…)

春香「社長さん!どうしちゃったんですか?」

高木「…で、クリスタルは?」

春香「いつも、あんなに優しくて」

春香「皆の、心の支えだったのに!」

高木「…で、クリスタルは?」

P「春香…!」

春香「わた、私…!」

春香「いえ、私達…は…!」グスッ

高木「…で、クリ…スタル…は?」


123: 2014/07/22(火) 20:12:31.37 ID:KyWTgpFqO
春香「しゃ、社長…さんっ、グスッ」

春香「元の、社長さんっ…にっヒック」

高木「…で、ク…リス…タ…ルは?」

P「春香、もういい!」

春香「うっ…あ」

P「俺が、悪かった…」

P「渡してくれ…!」

春香「は、い…わかり…ました…」トボトボ…

P(春香…すまない…!)

高木「おお~!なんと素晴らしい…!」

高木「ご苦労だったねぇ~」

高木「もう、下がってくれたまえ」

春香「社長さん…!」

高木「ん?なんだね?」

春香「もう、やめて下さい…!」

春香「こんなの…おかしいですよ…!」

高木「やはり…」

高木「非常に残念だが、私は、君の信頼を得ていないようだね…」

春香「ち、ちが…!」

高木「もう、君には赤い翼は任せられない。君には…」

春香(社長さんの言葉が、頭に入ってこない…)

春香(プロデューサーさんは、操られてるって言ってたけど…)

春香(身近な人が、変わってしまうのが…)

春香(こんなに辛いなんて…)

124: 2014/07/22(火) 20:32:59.43 ID:KyWTgpFqO
千早「…春香!」ガチャ!

春香「…ち、千早ちゃん!?」

春香(千早ちゃんだぁ…!)パァー

P(千早…!)

P(このタイミング…そうか…クソッ)

高木「おや?チハヤ君ではないか?」

高木「どうしたね?ハルカ君が心配かね?」

千早「社長?」

千早(どうして社長が、ここに…?)

高木「ふむ」

高木「ならば、君もハルカ君と共に幻獣討伐に向かうといい」

高木「出発は、明日の朝だ」

千早「…?」

千早「春香、社長は何を言っているの?」

春香「えっと…」

高木「さぁ、もう下がりたまえ」

P「春香、行こう」

春香「は、はい」

春香「千早ちゃん、行こう?」

千早「ま、待って、今、プロデューサーの声が…」

春香「後で、説明するから…」

春香「ねっ?」

千早「わ、わかったわ…」チラ

千早(たくさんの人が、巻き込まれているのね)クルッ

スタスタ…

126: 2014/07/22(火) 20:56:23.38 ID:KyWTgpFqO
バロン城 中央通路

春香「…千早ちゃん!会えて良かった…!」ギュ

千早「春香、そろそろ説明を…」

春香「うっ…ううっ…」

春香「うわあぁぁーーん!」ポロポロ

千早「…」ナデナデ

P「千早」

千早「…プロデューサー?」

千早「どこにいるんですか?」

P「あ…あのな…?」

P「春香の…む、胸のところに…」

千早「は?」

千早「…セクハラですか?」

P「あ、いや…決してそういうのじゃなくてだな…?」

P「あー、春香が泣きやんでからにしようか?」

千早「…そうですね」

千早「じゃあ、美希のところへ行きましょう」

P「!美希もいるのか?」

千早「ええ、たしか、魔法研究所…?だったかしら?」

P「そうなのか!良かった…」

春香「千早ちゃん、ごめん…」

春香「もう、平気」

千早「そう?」

千早(もう少し、このままでも…)

千早(なんてね?)

響「おぉーーい!」ダダダダ…



127: 2014/07/22(火) 21:24:43.79 ID:KyWTgpFqO
千早「…あら?」

春香「あ…!」

響「探したぞー!」

P(響…!)

響「おー!千早もいたのかー!」

千早「ええ。我那覇さんも元気そうね」

響「ああ!自分、完璧だからな!」

千早「」クスッ

春香「響ちゃん…」

P(今日ほど、響のこの台詞に癒された日は、ないだろう…)

千早「じゃあ、行きましょうか」



白魔法研究所

白魔道士(なんなの?)

白魔道士(なんなのなの?)

白魔道士(豪華過ぎるでしょ、今日のゲストは!)

白魔道士(ミキさん風に言うと…)

白魔道士「今日のゲストは、ちょっと豪華過ぎるって思うな!」

白魔道士「…」

白魔道士(わ、私、何言ってるのかしら…///)

白魔道士(ああ…ミキさんと出会ってから…)

白魔道士(どんどん私が崩れていく…)

白魔道士(っと、こんな事してる場合じゃなかった!)

白魔道士(お茶っ葉、探さなきゃ…)






130: 2014/07/22(火) 22:08:40.73 ID:KyWTgpFqO
春香「…」

千早「…」

響「…」

美希「zzz…」

P(空気、重いよ)

P(3人そろって姦しいんじゃないのか?…って、こんな状況じゃ、無理ないか…)

響(2人共、どうしたんだ?こんな空気、耐えられないぞー!)

響「あ、あのさ…説明…とか、してくれるんでしょ?」

春香「あ…うん…」

春香「でも、美希が起きてからって、プロデューサーさんが…」

響「え?プロデューサーもいるのか?」

春香「あ、その事も…その時話すから…」

響「あ、うん…」

響(春香、元気ないなー)

響「春香、変なカッコしてるね?」エヘヘ

春香「え?な…」

春香(響ちゃん、もしかして元気付けようとしてくれてるのかな…?)

春香(なら…)

春香「響ちゃんだって、相当変だよ?」
クスッ

春香「ね?千早ちゃんも、そう思うでしょ?」

千早「あ、ええ…そうね」

響「あっ、2対1はひきょーだぞー!」プンスカ

響「っていうか、千早だって変だからな?」

千早「そうかしら?重いけど、結構気に入ってるのよ?」

千早「私の、イメージカラーだし」

春香「えへへ、ホントだね、千早ちゃん」

響「そういえば…千早だけずるいぞー!」

千早「諦めるしか、ないと思うわ」

美希「zzz…」

3人「あははは…」

P(やっぱり、仲間っていいな…)

コンコン…ガチャ…

白魔道士「あ、あの!」

白魔道士「お、お茶!入りましたなの!」

3人「え?」

美希「…むにゃ…」

P(そんな、バカな…)

白魔道士(やっちゃったーー!!)




131: 2014/07/22(火) 22:32:38.66 ID:KyWTgpFqO
白魔道士(ああー!!なんでこうなるのよ~!)

白魔道士(全部、ミキさんのせいだからねっ!)

3人「…」

美希「zzz…」




響「びっくりしたぁ~!」

響「一瞬、美希かと思ったぞ~!」

白魔道士「……えっ?」

春香「うんうん、モノマネ、上手いですね~!」

白魔道士「あ…そ、そう、ですか?」

千早「よく研究してると思うわ」

白魔道士「べ、別に、けっ研究なんて…!」

響「そ~なのか~?」

響「ここって、美希を研究するとこかと思ったぞ?」

3人「あははは…!」

白魔道士(恥ずかしすぎて、氏にたい!)

響「美希といえば…」

千早「ええ」

春香「まだ…起きないね」

美希「zzz…」


白魔道士(あ…)

白魔道士(汚名返上の、チャンス?)

白魔道士「あ、あの~」

白魔道士「私が起こしましょうか?」






133: 2014/07/22(火) 23:05:27.19 ID:KyWTgpFqO
春香「ん~無理だと思いますよ?」

響「うん。美希は、一度寝たら自分から起きるのを待つしかないからな」

千早「…」

千早(もしかして、美希が使った不思議な力…?)

千早(でも、あれは怪我を治すものだと思ったのだけれど)

千早(眠り姫を起こす…)

千早(まるで魔法、ね)

白魔道士「大丈夫です。前に美希を起こしたことがありますから」

響「え?ホント?」

春香「これは…期待ですよ!」

白魔道士「…」

ポワ…

白魔道士「エスナ!」

シャララーン!

美希「!」ガバッ

3人「」ビクッ

美希「また!」

美希「またまほうなの!」

響「美希~はいさ~い!」

春香「おはよう、美希!」

千早「美希…」

美希「あれ?千早さんだけじゃなくて…」

美希「響と春香もいるの」






134: 2014/07/22(火) 23:24:56.90 ID:KyWTgpFqO
白魔道士「…じゃあ、私は失礼しますね?」

春香「あ、ありがとうございました~」

響「モノマネの人~またな~!」

白魔道士「うぐ…!」

白魔道士「そ、それでは~」

ガチャ…バタン



響「面白い人だったな~」

春香「あの人、美希のモノマネしてたんだよ?」

美希「へぇ~、じゃあきっと、美希のファンの人なの!」

美希「…それより~」

美希「ミキ、ここにハニーがいるって思うな!」

春香「あ、あはは…さすが美希…」

春香「プロデューサーさん?」

響「…」

響「返事がないぞ~」

春香「寝ちゃったのかなぁ?」ゴソゴソ…

千早「は、春香…!」

響「な、何してるんだ~///」

美希「春香がヘンタイさんなの」

春香「これが…プロデューサーさんだよ」スッ

美希「あれ?それって…」

千早「高槻さんの…」

響「べろちょろじゃないのか?」

春香「ちょっと待って…」

春香「プロデューサーさん、朝ですよ!朝!」ブンブンブンブン

P「…ん」ブンブン

P「な、なんだ?」ブンブン

P「うわ、ちょ、やめて!」ブンブン


136: 2014/07/22(火) 23:53:51.25 ID:KyWTgpFqO
P「は~ひどい目にあった…」

春香「こんな時に寝てるプロデューサーさんが悪いんですよ?」

P「はは…ごめんな?」

美希「ハニー!」バッ

春香「あっ…ちょっと美希!」

美希「会いたかったの!」ギュ

P「お、俺もだよ…」

P「でも、ち、ちょっと苦しい…かな…?」

響「美希ー!プロデューサーが氏んじゃうぞー!」

美希「あ…」スッ

美希「ハニー…ごめんなさいなの…」

P「ああ、大丈夫だよ…」

美希「でもね?ミキ、すっごくさみしかったの!」

春香「…」

春香(そう…だよね…)

春香(もう、私だけのプロデューサーさんじゃないんだ…)

春香(私、ずるいよね…)

春香(皆が1人で頑張ってる間…)

春香(ずっとプロデューサーさんを独り占めしてたくせに…)

春香(さみしい、なんて言う権利、ないよね…)

千早「…春香?」

春香「あ…な、なんでもないよ?」

千早「そう?」

千早(なんでもないって顔をには見えないけれど)

P「…じゃあ、これから説明するからな」



150: 2014/07/23(水) 18:36:05.18 ID:BSP7gyN3O
P「…という訳なんだ」

皆「…」

春香(美希の胸に抱かれたプロデューサーさんが…)

春香(説明を終えた…)

春香(もう…私の胸に抱く事は…)

春香(ないのかな…?)

千早「…」チラ

千早(…大丈夫かしら)

響「本では読んだことあったけど…」

響「うーん、まさか自分がこういうの体験するとはね…」

P「ん?小説か何かか?」

響「あっ?ふ、普通の小説だぞ?」

P「?」

美希「あふう」

美希「ミキ、よくわかんないの」

美希「でも…」

美希「まほうでキラキラーってなるのは」

美希「とっても楽しかったの!」

美希「それに、ミキはハニーを信じてるから!」

美希「どんな事があっても、ハニーと一緒なら、乗り越えられるって思うな!」

響「自分も頑張るからなー!」

千早「ええ、そうね」

千早「プロデューサー」




千早「私達のプロデュース、お願いできますか?」



152: 2014/07/23(水) 18:56:09.36 ID:BSP7gyN3O
P「ああ!もちろん!」

P(絶対、皆を守ってみせる!)

春香(皆…強いな…)

春香(ダメだ…気持ちが沈んで…)

『負の感情こそ、暗黒騎士の力』

春香(…えっ?)

『されど、負の力に囚われては、もはや暗黒そのもの』

春香(誰…?)

『ゆめゆめ、騎士である意味を忘れるな…』

春香(皆、聞こえてないの…?)

春香(…もう、聞こえないみたい…)

春香(暗…黒?)

美希(春香…暗いの)

美希(春香は、ずるいって思うな…)

美希(…)

美希(でも…)

美希(春香が悲しいと、たぶんハニーも悲しいの…)

美希(ハニーが悲しかったら、ミキはもっともーっと悲しいの…)

美希(…今回だけだよ?春香…)

153: 2014/07/23(水) 19:12:09.15 ID:BSP7gyN3O
P「ところで、皆聞いてくれ」

皆「…?」

P「さっき、春香に試してもらったんだが…」

P「どうやら、このゲームのストーリーには、逆らえないらしい」

千早「…どういう事です?」

P「例えば、さっき試したのは…」

春香「…」

P「ある人物に、あるアイテムを渡して話が進んでいく場面で」

P「その人物に、アイテムを渡さなかったんだ」

千早「それで…?」

P「そしたら、その人物はアイテムをよこせと繰り返すだけで…」

春香「やめて!」

皆「…!」

P「…あ、ああ、すまない、春香…」

春香「…あ、ご、ごめんなさい、プロデューサーさん…大きな声出しちゃって…」

春香「すみません、続けて下さい…」

P(クソッ!今のは、完璧に俺のミスだ…)

P(春香、すまない…)

響「自分、なんとなくわかるぞ」

154: 2014/07/23(水) 19:30:17.68 ID:BSP7gyN3O
響「よていちょうわ…ってやつだろー?」

P「ああ、まあ、似たような感じだな」

P「それで、ここからが本題なんだが…」

P「おそらく、登場人物も、物語の流れには逆らえない…」

千早「…具体的に」

千早(もったいぶった言い方をするのは)

千早(プロデューサーの悪い癖ね)

P「あ、ああ…明日、春香と千早は旅立つ訳だが…」

響「え?」

美希「そうなの?」

P「本当だ」

P「ここで響と美希が2人についていくと…」

P「物語は進まないだろうな」

P「もしくは、ついていかせまいとする力が働くか…」

美希「ハニーは、どうするの?」

P「俺は…」

P「春香と一緒にいくよ」

春香(…プロデューサーさん…!)

美希(やっぱりなの…)

響「そんな…もう皆とお別れなのか…」ウルッ

P「大丈夫だよ、響」

P「近いうちに、また会える」

美希「ハニー…」

P「なんだ?」

美希「しばらくお別れなんでしょ?」

P「少しの間だけだよ」

美希「じゃあ」

美希「今夜は一緒にいてほしいの」

春香「…!」

155: 2014/07/23(水) 19:53:18.43 ID:BSP7gyN3O
春香(ダメ…)

春香(余計な事考えないで、私)

春香「…」グッ

千早「ちょっとそれは…!」

千早(って言っても、あの状態じゃ、問題なんて…)

千早(って…問題って、何!///)

響「み、美希…何言って…///」

P「いや…なんていうか…」チラ

春香(今の私、きっと、ひどい顔してる…!)

春香「あ、あはは…いいんじゃないですかぁー?」

春香「プロデューサーさん、そんなだし」

春香「皆も、いいよね?」

響「あ…うん…」

千早「春香がいいなら、いいわ」

千早(春香…)

P「えっ?ちょ、いいのか?」

美希「…ダメ?」

P「え、あ、いや、ダメじゃない…」

春香「あっ、そろそろ寝る時間じゃないですか?もう外、真っ暗ですよ?」

春香「あ、私、もう寝ますね?それじゃ…」

タッタッタッタッ…

ガチャ…バタン

千早「あ…」

響「い、いいのか…?」

P「美希、いますぐ春香を…」

美希「大丈夫なの!」

美希「はんぶんこ、だから」

156: 2014/07/23(水) 20:22:39.10 ID:BSP7gyN3O
バロン城 中央通路

春香「うっ…グスッ」

春香(…私、こんなに弱かったっけ?)

春香(皆に合わせる顔がないよ…)




メイド「あら?ハルカ様?」

春香「ん…?」

メイド「ハルカ様、遅くまでご苦労様です」

春香「はぁ…」

メイド「お部屋は整えてありますので、ごゆっくりおやすみなさいませ」

春香「あ…」

春香「あのっ!」

メイド「はい?」

春香「部屋って、どこでしたっけ…?」



バロン城下町

娘「あっお帰りなさい、お母さん」

響「…」ガックリ

響「ホントにいたのか…」

娘「もう、ご飯できてるよ?」

響「そういえば、お腹空いたぞ!」グゥ

P「千早は、どうするんだ?」

千早「えっと…」

千早「我那覇さん、お世話になってもいいかしら?」

響「も、もちろんだぞー!」

響(って、自分の家じゃないけどな!)

響(あれ?自分の家なのか?)

娘「お母さん、お友達の方もどうぞ?」

千早「お世話になりますね」

響「プロデューサー…」ポロ…

P「大丈夫、すぐ会えるさ!」

千早「それじゃ…」

響「おやすみだぞ…」

P「ああ、おやすみ…」








158: 2014/07/23(水) 20:43:32.68 ID:BSP7gyN3O
バロン城下町 ミキの家

美希「ただいまーなの!」

P「…ん?誰もいないみたいだな…」

P(ゲームでは、どうだったっけ?)

P(ローザの家族って、いたかなぁ?)

美希「ハニー」

P「ん?」

美希「ギュってして、いい?」

P「いや、さっきも…」

美希「ミキ、ずっとさみしかったの…」

P「…わかった、いいよ…」

ギュ…

美希「あはっ、ハニー、仔猫みたいにちっちゃいの!」ムギュー

P「うぶっ!」

P(これは…春香よりも…)

美希「しばらくこうしててもいい?」

P「ああ、いいよ」

美希「…」ナデナデ

P「…」

美希「…」

P「…」

美希「…ねえ?ハニー?」

P「なんだ?」

美希「春香の事、どう思う?」

P「い、いきなりだな…」

美希「…」じぃー

P「えっと」

P「大切な、アイドルだよ」

美希「じゃあ、ミキの事は?」

P「…春香と同じ、俺の大切なアイドルさ」

159: 2014/07/23(水) 21:02:51.49 ID:BSP7gyN3O
美希(やっぱり、なの…)

美希「春香とミキは、同じ、なんだね…」

美希「…だから」

美希「はんぶんこ」

P「はんぶんこ?」

美希「さっきの春香…おかしかったでしょ?」

P「ああ…」

P(変な気を起こさなきゃいいが…)

P(いや、春香なら大丈夫だ…)

美希「あんなの、春香らしくないの!」

P「そうだな…」

P(確かに、こっちの世界に来てからの春香は…)

P(不安定、というか…)

P(この世界でいろいろあったからだと思うが…)

美希「今までの春香じゃないって、思うな」

P(そうだ、いつも元気で、ちょっとおっちょこちょいだけど)

P(皆の事を一番に考えてる…)

美希「春香は…いつも皆の事考えてるでしょ?」

P「そうなんだよな」

美希「じゃあ、春香の事は、誰が考えるの?」

P「…!」

160: 2014/07/23(水) 21:19:24.09 ID:BSP7gyN3O
美希「ミキね?」



美希「それは、ハニーの仕事だって思うな」



P「美希…!」

美希「ミキ、今、たーっくさんの元気をハニーにもらったの!」

美希「だから、同じくらいたーっくさんの元気を、春香にもあげて?」

P「…美希!」

P「…いいのか?」

美希「春香はね、ミキ達のリーダーだから、特別に許してあげるの!」

P「美希…お前…!」

美希「春香のとこに、行ってあげて?」

P「ありがとう!」

美希「えへへ…」モジモジ

美希「ハニー!」

P「ん?」

美希「また…会えるよね?」

P「ああ、もちろんだ!」

P(あ…)

P「美希、すまん…」

美希「?」



P「連れてってくれ」



美希「台無しなの」

162: 2014/07/23(水) 21:47:12.37 ID:BSP7gyN3O
バロン城 ハルカの部屋

春香「…」

春香「寝れない…」

春香「…」

春香(…なんで?)

春香(なんで、こんな気持ちになるんだろう…?)

春香(社長さんの事も、美希の事も、プロデューサーさんの事も…)

春香(やだ…!これ以上考えたくないよ…!)

『白は黒に変わり易く』

春香(あ…また…)

『黒は白に変わり難い』

春香(なんだろう…なぞなぞ?)

『昨日の自分に耳を傾けるのだ』

春香「あ…あのっ!」

春香「…」

春香(なんの事を言ってるの?)

春香(でも…)

春香(聞いた事ない声なのに)

春香(なんだか気持ちが落ち着く…)

春香(うん、大丈夫)

春香(私は頑張れる!)

春香(明日、皆に謝らなきゃ…)

ガチャ…

美希「春香ー!」

164: 2014/07/23(水) 22:06:17.15 ID:BSP7gyN3O
春香「!」

春香「…美希?」

春香「…と、プロデューサーさん」

P「春香…」

美希「お届けものなの!」

春香「美希?」

美希「はいっ。ここに、サインを下さいなの!」

春香「あっ…ええと…」

春香「あ、じゃあ…」カキカキ

春香「はい…」

美希「はいっどーぞ?」スッ

P「うわっと!」

春香「あ…」

春香「うん…」スッ

美希「あなたの大事なもの、確かにお届けしましたー!」ナノ!

スタスタ…

春香「美希!」

美希「じゃあ、おやすみなの」

ガチャ…バタン




ハルカの部屋の外

美希「今回だけ…だからね?」

スタスタ…





166: 2014/07/23(水) 22:32:34.85 ID:BSP7gyN3O
ハルカの部屋

春香(…どうしよう)

P(…えっと)

春香(何か、話さなきゃ…)

P(とりあえず…)

P、春香「「あの…」」

春香「あ…」

P「は、はは…」

春香「ちょっと、ベタでしたね…ふふ」

P「だなぁ…」

P「…気分はどうだ?」

春香「あ、はい…」

春香「もう、大丈夫です」

P「そっか…」

春香「ひょっとして、心配してくれました?」

P「当たり前だろ?俺の大事な…」

春香「アイドルだから?」

P「あ、ああ…」

春香「…」

P「な、なんだよ…」

春香「…わかりました…」

P「そ、そうか」

春香「それより、よく美希が許してくれましたね?」

P「それがな…」





P「…という訳だ」

春香(美希…!)

春香(私、もっとしっかりしなくちゃ!)

168: 2014/07/23(水) 22:48:31.78 ID:BSP7gyN3O
春香「プロデューサーさん…」

P「ん?」

春香「ギュってして、いいですか?」

P「俺はペットか何かか?」

春香「今は、そうですね」

P「まったく…どうぞ?」

春香「…」ギュ…

P(にしても、2人して同じ事言うとは…)

P(以外と、思考回路が似てるのかもな)

春香「…」

春香「プロデューサーさん、私…」

P「どうした?」

春香「大事な事を言ってなくて…」

P「大事な事?」

春香「はい」

春香「この世界の人はプロデューサーさんの事、気づかないって話、したじゃないですか?」

P「ああ…したな」

春香「でも、大した事じゃないって、言いましたよね?」

P「うん。春香達に聞こえてれば…」

春香「ダメですよ」

春香「私達がいなかったら、どうするんですか?」

P「あ…?」

169: 2014/07/23(水) 23:13:09.17 ID:BSP7gyN3O
春香「私達がいなかったら、誰にも気づかれないんですよ?」

P「…!」

P(なんだ…それ?)

春香「でも、大丈夫!私…いえ、私達が守りますから…」

P(そ…んな…)

P(結局、俺は、自分の力で春香達を守る事も出来ないのか…?)

P(これじゃ、ただの足手まといじゃないか!)

春香「プロデューサーさん…」

P(こんなハズじゃ…)

春香「プロデューサーさん!」ギュッ!

P「モガ!」

春香「聞いて下さい!」

春香「この事に気づいた時、私、迷ったんです」

春香「プロデューサーさんに、言うかどうか…」

春香「言ったら絶対、落ち込むだろうなって、わかってたから…」

P「…」

春香「でも、わかったんです」

春香「私達がプロデューサーさんを守ればいいって…」

P「でも、それじゃただの…」

春香「足手まといなんかじゃ、ありませんよ?」

春香「プロデューサーさんの知識や、判断力にはすっごく助けられてますし…」

春香「何よりも、プロデューサーさんの存在が…」

春香「私達の、心の支えになるんです!」



170: 2014/07/23(水) 23:26:34.42 ID:BSP7gyN3O
春香「そうやって、助け合っていけばいいじゃないですか?」

P(そう…か)

P(誰かの弱い部分を、他の誰かが補う…)

P「俺は…全然わかってなかったんだな…」

春香「…でも、気づけたじゃないですか?」

P「春香のおかげだ」

P「ありがとう!」

春香「ふふ…」

春香「ふわぁ…」

P「そろそろ寝るか?」

春香「はい…」

P「おやすみ、春香」

春香「おやすみなさい、プロデューサーさん…」




P(絶対、俺が…いや)

P(皆の力で、もとの世界に帰ろうな!)

P(…でも、もしもの時は…)

182: 2014/07/24(木) 18:28:30.72 ID:z7wdEpIVO
翌日…

ハルカの部屋

春香「…」

春香「…ん…」モゾ…

春香「…」ガバッ

春香「ふわぁ…」

P「春香、おはよう」

春香「あ、おはようございます、プロデューサーさん」

春香「…あれっ?」キョロキョロ

春香「どこにいるんですか?」

P「おいおい、忘れたのか…?」

P「ここだよ」ピョコン

春香「あ…///」

春香(そうだ…忘れてた…)

春香(確か、皆でゲームの中に迷い込んで…)

春香(プロデューサーさんが、べろちょろで…)

春香「…な、何も、ありませんでしたよ…ね?」

P「何が?」

春香「な、なんでも…ないです…」

春香(…ちょっとは、ドキドキしてくれたかな…?)

春香(…)

春香(昨日はいろいろあった…)

春香(でも、皆に元気をもらった…)

春香(プロデューサーさんにも、美希にも…)

春香(大丈夫、私、頑張れる!)

P「春香?」

春香「あ…少し、気合いを入れてました…」

P「そっか…」

P「でも、そろそろ準備しないとな?」

春香「そうですね」

春香「あっ」

P「ん?」

バサッ!

P「うわっ、なんだ?急に暗く…」

春香「…着替えるんで、ちょっとそのままでいて下さいね?」

183: 2014/07/24(木) 18:39:19.14 ID:z7wdEpIVO
バロン城 中央広場

春香「千早ちゃん!」タッタッタッタッ…

千早「おはよう、春香」

春香「おはよう、千早ちゃん!」

千早「…」

春香「昨日は、なんかゴメンね…?」

千早「別に、気にしてないわ」

春香「でも、もう大丈夫!」

春香「頑張ろうね!」

千早「ええ」

千早「…」

千早(…誰のお陰なのかしら?)チラ

P「よし、2人共、行くぞ!」




バロン城下町入口

千早「…でね?我那覇さんには娘さんがいて…」スタスタ

春香「へぇー!響ちゃんがお母さんって、なんか新鮮だねぇ」テクテク

P(響がお母さんやってるの、想像すると笑える……ププ)




響「はるかーぁ!ちはやーぁ!」ダダダダ…

娘「お、お母さん、ちょっと…早い…」
ゼェハァ

184: 2014/07/24(木) 18:55:46.59 ID:z7wdEpIVO
春香「響ちゃん?」

千早「我那覇さん…と、娘さんも」

響「見送りに来たぞー!」

春香「わあ、ありがとう!」

千早「でも…娘さん、大丈夫?」

響「え?」

娘「ハァ、ハァ…」タッタッタッタッ

ドテッ

響「!」

響「だ、大丈夫かぁー!」ダダダダ…

娘「痛たた…」

娘「…えへっ、転んじゃいましたぁ」

春香「!」

響「ちょっと見せてみろー」

春香(カブった…)

春香(持ちネタが、カブりました、プロデューサーさん…)

P(…次世代の春香、誕生か…)

娘「平気だよ、お母さん」

娘「それより、アレ…」

響「あ、そうだ。これ、あげるぞー!」スッ

千早「…これは?」

娘「ポーションです!」

春香「ぽーしょん?」

娘「はい、怪我したら、使って下さいね?」

P(これは…ありがたいな…)

春香「ありがとう!」

娘「どういたしまして」

千早「いい子ね…」

響「自分の娘だからな!」




「ハルカ様ー!チハヤ様ー!」ダダダダ…


185: 2014/07/24(木) 19:13:29.18 ID:z7wdEpIVO
白魔道士「ハァ、ハァ…ま、間に合った…」

美希「zzz…」

春香「あ、モノマネさん!」

響「ものまね士ー!」

千早(美希を担いであのスピードで…)

千早(やはり、只者ではないわ)

白魔道士「も、ものまね士て…」

白魔道士「…ああもう、それでいいです!」

白魔道士「それより、お二人は魔法が使えませんよね?」

春香「あ、たぶん、そう…なのかな?」

P「ああ、春香と千早は、魔法が使えないな」

P(でも、この流れは…)

白魔道士「そこで、お二人に餞別を、と…」

白魔道士「はい、ポーションです!お納め下さい」スッ

春香「あ…」

千早「さっきと、同じものね…」

娘「あっ、私も今、ポーションあげたとこなんですよー!」

白魔道士「あ…」

白魔道士(カブったわ…)ガーン

P(がんばれ、ものまね士)


186: 2014/07/24(木) 19:33:21.57 ID:z7wdEpIVO
春香「皆、ありがとう!」ウルッ

千早「大切に、使わせてもらうわ」

響「春香…!千早…!」グスッ

娘「よしよし…」ナデナデ

ものまね士「ご武運を、お祈りしてます…!」

美希「…はにぃ…」ムニャ

P(皆…!)



春香「じゃあ…」チラ

千早「ええ、そろそろ行きますね」

2人「「ありがとうございました!」」

クルッ スタスタ…

響「またあおーなぁー!」ポロポロ

娘「…お母さんったら…」ナデナデ

ものまね士(どうか、ご無事で…!)

美希「…ムニャ…」





バロン平原

春香「…で、どっちに行けばいいんですか?プロデューサーさん」

P「えーっと…」

P「とりあえず、北だ」

春香「き、北って言われても…」

千早「コンパスも何もないので…」

P「そ、そうだな…」

P「あ、じゃあ…」

P「あっちに、バロンの城が見えるだろ?」

春香「はい」

P「その向こうに、山がある」

P「その山を背にして、真っ直ぐ歩いてみようか」

千早(不安だわ)

187: 2014/07/24(木) 19:37:24.54 ID:z7wdEpIVO
あ、そういえば、ローザには母がいるみたいだけど、忘れてたので、この世界にはいません

189: 2014/07/24(木) 20:13:33.82 ID:z7wdEpIVO
ミストの村

やよい「うっうー!大漁ですー!」タッタッタッタッ…

やよい「みすとどらごんさん、こんなに山菜が採れましたよー!」ドサッ

ミストドラゴン「ヤヨイ、ご苦労様です」

ミストドラゴン「お茶を淹れましょうか」

やよい「わぁ!みすとどらごんさんのお茶は…」

やよい「雪歩さんのお茶と同じくらい好きですー!」

ミストドラゴン「ふふ…」

ミストドラゴン「!」

ミストドラゴン(何か…)

ミストドラゴン(悪い予感が…)

やよい「どーしたんですかぁ?」

ミストドラゴン「いえ…さあ、どうぞ?」コト

やよい「うっうー!ありがとうございます!」

やよい「ズズ…」

やよい「…そういえば」

やよい「なんで山には、もやしがないんですかー?」

ミストドラゴン「もやし…?」

やよい「今日は、もやしパーティの日なんですー!」

ミストドラゴン「よくわかりませんが、ヤヨイはそれが好きなのですね?」

やよい「はい!安くて、とってもおいしいんですよ!」

ミストドラゴン「そうですか…いつか、私も食べてみたいですね」



190: 2014/07/24(木) 20:30:10.46 ID:z7wdEpIVO
やよい「あ、じゃあ、私、お洗濯して来ちゃいますね?」

ミストドラゴン「ええ…お願いします」

タッタッタッタッ…




ミストドラゴン(この村も、ヤヨイも…)

ミストドラゴン(私が守らねば…)

ミストドラゴン(…)

スタスタ…




ミストドラゴン「ヤヨイ?」

やよい「ふぇ?」ゴシゴシ

ミストドラゴン「少し、出かけてきますね?留守を頼みます」

やよい「どこに行くんですかー?」

ミストドラゴン「ええ…ちょっと…」

ミストドラゴン「『もやし』を採りに…」

やよい「えっ?」

やよい「ほんとーですかぁ?」

やよい「うっうー!今日はもやしパーティですー!」ウキウキ

ミストドラゴン「…」

ミストドラゴン「それでは、行ってきます…」スタスタ…

やよい「行ってらっしゃーい!」




ミストドラゴン「ヤヨイ…必ず私が…」

191: 2014/07/24(木) 20:49:48.19 ID:z7wdEpIVO
地下水脈

あずさ「あら?ここ、さっきも…」

あずさ(困ったわね~)

あずさ(出られないわ…)

あずさ(こういう時は確か…)スッ

あずさ(この棒を真っ直ぐ立てて…)

あずさ(えいっ)

パタン

あずさ(こっち、ね?)

スタスタ…

あずさ(この棒、最初から持っていたけど…)チラ

あずさ(なかなか役に立つわね~)スタスタ

あずさ(あら?開けた場所に出たわね…)

ザァー!

あずさ(…滝?)

あずさ(…滝つぼに、何かいるわね?)

ヌッ

あずさ「あら~大きなタコさんねぇ~」

オクトマンモス「zzz…」

あずさ(あのタコさんの奥に、出口があるみたいねぇ)

あずさ(起きないといいけど…)ソーッ

カランッ!

あずさ(あっ!棒が…)

オクトマンモス「…!」ムクッ

あずさ(あ…起きちゃったわね…)

オクトマンモス「…」ギ口リ

あずさ(あらあら~)

オクトマンモス「グォー!」ズン!

あずさ(…)

あずさ(…逃げましょ!)タッタッタッタッ…


193: 2014/07/24(木) 21:08:37.20 ID:z7wdEpIVO
ダムシアン城 穴の中

アンナ「ズズ…」

アンナ「!」

アンナ「これは…!」

雪歩「ど、どうですか…?」

アンナ「とても、おいしいですわ!」

雪歩「よ、良かったですぅ…」

アンナ「それにしても…」

雪歩「?」

アンナ「このお茶が、これから毎日飲めるなんて…」

アンナ「私は、幸せですわ!」

雪歩「ち、違いますぅー!」

雪歩(毎日飲めるのは、真ちゃんですぅ!)



ザワザワ…

「何?…が攻めて来るって?」

「…の準備だ!急げ!」

アンナ「何やら、上がさわがしいですわね…?」

雪歩「そうですねぇ…?」


194: 2014/07/24(木) 21:50:16.01 ID:z7wdEpIVO
ファブール城 マコトの部屋

真「セイッ!セイッ!」

真「ハァ…ハァ…!」

真「もう少し…もう少しで、できそうな気がするんだ…」

真「でも、ここを壊しちゃう訳にはいかないしなぁ…」

真「場所を移動しよう」




ファブール城 兵士詰め所

真「ねぇねぇ、この辺りに、修行できそうな広いい場所、ないかなぁ?」

モンク1「ああ、それなら、ここから西にホブス山があるので…」

モンク1「そこで修行されるのがいいと思います」

真「ありがとう!早速行ってみるよー!」

モンク1「え?まさかお一人で?」

真「そうだけど?」

モンク2「なら、我々も付いて行きます!」

真(めんどくさいなぁ…)

真「じゃあ、キミと、キミ!付いてきてよ」

モンク1「はい!」

モンク2「わかりました!」

真「あとの皆は、留守を頼むね?」

モンク達「はい!」

真「あ、あとね、近いうちに、悪者が攻めて来るみたいなんだ」

モンク達「え…?」

真「それまでには、帰るようにするから」

真「じゃあねー!」ダダダダ…

ビューーン!

モンク1「僧長!」

モンク2「お待ち下さいー!」

タッタッタッタッ…

195: 2014/07/24(木) 22:06:45.66 ID:z7wdEpIVO
ホブス山 麓

真「はあぁぁーーー!」

真「破ーー!」ドオン!

ドカァン!

モンク1「あんな大きな岩が…」

モンク2「す、すごい…」

真「…」

真「違う…」

モンク1「え?」

真「もっとだ…!」

真(もっと、強く…)ゴゴゴ…

真(力を貸して、ユリちゃん…!)ゴォーー!




真「覇王ー!」



ボウッ




真「翔吼拳!」



ゴォォォォーー




ズドオオオオオオオオォォォーン!!



グラグラ…



ズズ…



真「できた!」

モンク1「山の形、変わったな…」

モンク2「地割れも、すごいな…」

モンク1「オレ達…」

モンク2「とんでもない人に付いて来たな…」



真「よゆうッチ!」キャピピーン

196: 2014/07/24(木) 22:27:10.85 ID:z7wdEpIVO


貴音「暇ですね…」テクテク

貴音「見上げるべき月も、今や足元に…」

貴音「…」

貴音「おや、あれは…」テクテク

貴音「洞窟ですね…」

貴音「あそこに看板が…」

貴音「…はみんぐうぇい?」

貴音「…入ってみましょう」スタスタ…




ハミングウェイ一族の住処

ハミングウェイ1「フンフフーン!」

ハミングウェイ2「フンフフーン!」

ハミングウェイ3「フンフフーン!」

ハミングウェイ4「フンフフーン!」

ハミングウェイ5「フンフフーン!」

貴音「…!」

貴音「め、面妖な…!」

ハミングウェイ6「フンフフーン!」

ハミングウェイ7「フンフフーン!」

ハミングウェイ8「フンフフーン!」

ハミングウェイ9「フンフフーン!」

ハミングウェイ10「フンフフーン!」

貴音(みな、同じ顔…)

貴音(みな、同じめろでぃを口ずさんでいます…)

197: 2014/07/24(木) 22:42:40.88 ID:z7wdEpIVO
貴音「これが…はみんぐうぇい…というものでしょうか…」


貴音「おや?あの方だけ、微妙に違うような…」スタスタ…

貴音「あの…」

ネミングウェイ「おや?お名前の変更ですか?」

貴音「…?」

貴音「…はて?名前の、変更ですか?」

ネミングウェイ「ん?」

ネミングウェイ(あれ?質問を質問で返された…?)

ネミングウェイ「お名前の変更…するんですよね?」

貴音「…それが…あなたのお仕事なのですか?」

ネミングウェイ「…」

ネミングウェイ(いや、こっちが先に聞いてるんですけど…)

ネミングウェイ「お名前の…」

貴音「あなたは、名付け親ですか?」

ネミングウェイ(人の話、聞けよ!)

ネミングウェイ「おなm…」

貴音「クスッ…まるで、響のようですね…?」

ネミングウェイ「…」イラッ

貴音「そうですね…私も、響を見習って、名前を付けてみましょうか」



198: 2014/07/24(木) 23:09:01.28 ID:z7wdEpIVO
貴音「…はみ蔵」ビシッ

ハミングウェイ1「」ビクッ

貴音「…はみ太郎」ビシッ

ハミングウェイ2「」ビクッ

貴音「…はみ子」ビシッ

ハミングウェイ3「」ビクッ

貴音「…はみ美」ビクッ

ハミングウェイ4「」ビクッ

貴音「…はみ吉」ビシッ

ハミングウェイ5「」ビクッ

ネミングウェイ「…」

ネミングウェイ「…この人、何をしてるの…?」

貴音「…はみ香」ビシッ

ハミングウェイ6「」ビクッ

貴音「…はみ江」ビシッ

ハミングウェイ7「」ビクッ

貴音「…はみ衛門」ビシッ

ハミングウェイ8「」ビクッ

貴音「…はみ助」ビシッ

ハミングウェイ9「」ビクッ

貴音「…」チラ

ハミングウェイ10「」オロオロ…

貴音「」ニコ…

貴音「…はみなんです」ビシッ

ハミングウェイ10「」ビクッ

貴音「…ふう」

貴音「良い仕事をしました」

ネミングウェイ「もうお前帰れ!」

貴音「…」

貴音「どうやら、嫌われてしまったようですね…」トボトボ…

貴音「…ねみの進」ボソッ

ネミングウェイ「黙れ!」

200: 2014/07/25(金) 18:43:52.86 ID:bRUTsLcdO
ミシディアの村はずれ

亜美「…」

真美「…」

長老「…」



亜美「…滅びゆく肉体に、暗黒神の名を刻め…」ゴゴゴ…



長老「!?」

真美「おお~?」ワクワク



亜美「…始原の炎、甦らん…!」ゴゴゴ…



亜美「…フレア!」バッ!


長老「なっ…!」

真美「んっふっふー!そう来たか!」




ーー…シーン…ーー



亜美「…あり?」

長老「ホッ…」

真美「…だめだこりゃ」

亜美「バ、バカな…!」ワナワナ

ゴンッ!

亜美「痛っ!」

長老「…バカはお主じゃ!」

亜美「な、なんでさ~!」

長老「いきなり、そんな高等魔法が使える訳なかろう!」

201: 2014/07/25(金) 18:47:04.21 ID:bRUTsLcdO
あれ、更新されない…?

203: 2014/07/25(金) 19:10:12.53 ID:bRUTsLcdO
ひょっとして、同一文を複数行書いた、に該当するから?

204: 2014/07/25(金) 19:31:00.98 ID:bRUTsLcdO
ん?更新された…

205: 2014/07/25(金) 19:40:56.07 ID:bRUTsLcdO
亜美「だってさ~、どうせなら…最強魔法使ってみたいっしょ~?」

長老「お主にはまだ早い!」

真美「あはは!亜美ドンマ~イ」

長老(ま、最強魔法は別にあるんじゃが…)

長老(アレは、もはや失われた魔法…)

長老(…今となっては、使い手もおらんじゃろうな…)



亜美「…ファイア」ボソッ

ボゥッ!

長老「あちちっ!」

長老「なにするんじゃあ!」バタバタ

亜美「ホラ~、こんくらいのマホウなら、らくしょ~だよ?」

長老「人に向けて使うなぁー!」

真美「ケアル!」ポワ…

キラリーン!

長老「!」

真美「アフターケアもばっちりっしょ?」


206: 2014/07/25(金) 19:47:38.97 ID:bRUTsLcdO
長老「…」

長老(下等魔法とはいえ、この年齢で使いこなすとは…)

長老「アミ、マミ…お主らの実力はわかった…」

長老「だからこそ、更なる修行が必要じゃ!」

亜美「…」

真美「…」

長老「ふむ、そうじゃな…」

長老「今日は、中級魔法を教えるかの」

亜美「…」チラ

真美「…」コクン

真美「ねぇねぇ長老っち」

長老「なんじゃ?」

真美「それよりも、さ…」




真美「セキカマホウ、教えてよ」




長老「…?」

207: 2014/07/25(金) 19:56:31.35 ID:bRUTsLcdO
エブラーナの洞窟

伊織「火遁!」ボウッ!

メラメラ…

伊織「ダメね…」

伊織「この程度じゃ、エブラーナ王の火遁にすら及ばないわ…」

伊織「…はぁ」


兵士1「あちちっ!」

メラメラ…

伊織「…ん?」

兵士2「どうしたんだ?」

兵士1「た、焚き火の火が、椅子に…」

バッシャー!

兵士2「ふぅ…消火用の水が、近くにあって良かったよ」

伊織「…」

伊織「あ…」

伊織「にひひっ!」


208: 2014/07/25(金) 20:03:36.39 ID:bRUTsLcdO
伊織「…って事で」

伊織「あの、赤い悪魔を倒すには、水の力が必要よ!」

家老「…」

伊織「私が、水の忍術を使えるようになればいいのよ!」

家老「…ふむ」

伊織「で、どうやったら使えるようになるの?」

家老「エブラーナ王家一族に伝わる、修行がありますじゃ」

伊織「!」

家老「あまりおすすめできませんが…」

家老「今は時間が惜しい」

家老「…少々、荒っぽいですぞ…?」

伊織「…」ゴク…

209: 2014/07/25(金) 20:17:31.77 ID:bRUTsLcdO
エブラーナ近海

家老「まずは、水そのものに慣れる事からはじめますぞ!」

伊織「あっぷ…ちょ、わ…わた…ごぼっ」

バシャバシャ…

伊織「…っぷは…お、泳げな…がぼっ」

バシャバシャ…

家老「大丈夫!ちゃんと命綱を付けておりますぞ?」

ーーザァァァ…ーー

家老「ん?」

ーーザァァァァ…ーー

家老「む!前方に津波確認!総員退避じゃあ!」ダッダッダッダ…

伊織「え?ちょ、ちょっ…うぷ…」

ーザァァァァァァ!

伊織「いやあぁぁーーーーー!!」

ザッパーーーーン!!




エブラーナの洞窟 特設室(滝)

家老「時には水の厳しさを、その身に感じる事も大切ですぞ?」

ザアァァァァーー!

伊織「…」

ザアァァァァーー!

伊織「……っ」プルプル

ザアァァァァーー!

伊織「……………!」ガクガク

ザアァァァァーー!

伊織「……っ!痛い痛い!もう無理!」ジタバタ

家老「…まだまだぁ!」グイ

伊織「や、ちょっ…」

ザアァァァァーー!

伊織「痛たたたた!痛い痛い痛いのよ!」

210: 2014/07/25(金) 20:34:51.36 ID:bRUTsLcdO
エブラーナの洞窟 特設室(灼熱の部屋)

ゴォォーー!

メラメラ…

家老「…そ、そして、何より…水…の、大切さ…を…」バタッ

伊織「…」チラ

伊織(…ジイが、逝ったわね…)ボー

伊織「…」ボー

伊織「…」ボー

伊織(これ、ただのサウナじゃない…)

伊織「…っ」

伊織「……あつい……」

伊織「あついあつい!あつすぎるのよバカー!」ガバッ

伊織「ハァ、ハァ…」

伊織「…」

伊織(私、氏ぬんじゃないかしら…)




エブラーナの洞窟 救護室

伊織「…はっ!」ガバッ

伊織「…生きて…る?」

家老「お嬢…」

家老「よく、耐えましたな」

伊織「ジイ…」

家老「これでお嬢は、水遁の術を使えるようになったのですぞ?」

伊織(はぁ?あんな修行、とも言えないような苦行で…?)

伊織(これで使えるようになってたら、質の悪い冗談ね…)グッ

伊織「…水遁」スッ

ズバシャーー!

伊織「」

家老「おお!この調子で雷迅の術も…」

伊織「やらないわよ!」スパーン!

家老「あいたっ!」


212: 2014/07/25(金) 21:15:00.53 ID:bRUTsLcdO
バロン平原

春香「どっどうしよう…」ブルブル…

ゴブリン1「グルル…!」

P「春香、落ち着くんだ!」

P(敵はゴブリン2体…)

P(こいつらで苦戦するようじゃ…)

ゴブリン1「グアッ!」バッ!

春香「わっ!」

千早「…くっ!」ダッ!

ガキィン!

春香「ち、千早ちゃん!?」

千早「春香、怪我はない?」ググッ

春香「だっ大丈夫!」

ゴブリン2「グアァー!」バッ


P「春香!左だ!」

春香「えっ?あ、ダメっ!来ないでっ!」ブン!

ゴブリン2「グァッ」ヒョイ

P「か、かわされた?」

春香「あ…千早ちゃんの方に…!」

千早「!」

ゴブリン2「ガッ!」ザシュッ

千早「うっ!」ヨロ…

ゴブリン1「グァァァ!」ブン

春香(あ…!)



春香「やめてぇーーーー!!」ズゥン


ズババーーン!



P「……!」

P(今のが、春香の…)

千早「…」

ゴブリン1「」

ゴブリン2「」

春香「千早ちゃんっ!」タッタッタッ…

春香「大丈夫?」










213: 2014/07/25(金) 21:30:01.45 ID:bRUTsLcdO
千早「え、ええ……くっ」

春香「あ、肩が…!」

春香(こんなに、血が…!)

春香(どっどうしよう!とりあえず止血を…)オロオロ…

P「春香、ポーションだ!さっきもらったろ?」

春香「!」パッ

P「ぐえっ?」

春香「あ、あれ?どこだっけ…」ゴソゴソ

P「は、はは春香、そそんなトコ…うひゃっ!」

春香「あった!」バッ

春香「…コレ、飲み薬ですかねぇ…」

P「うーん、見る限り、そうだなぁ」

春香(化膿止め、とかかなぁ?)

春香「千早ちゃん!」スッ

千早「…」

千早(大丈夫なの?本当に…)

千早「…飲むわ」パシッ

千早「…」グビッ

P「おお!行った!」



215: 2014/07/25(金) 21:57:39.50 ID:bRUTsLcdO
千早「!」スゥッ

春香「き、傷が…!」

千早(信じられない)

春香「よ、良かったぁ!」ウルッ

春香「良かったよぉ…!」ギュ

千早「春香…」

千早「春香、さっきのは…」

春香「あ、あの…」

春香「良く、わからないんだ」

春香「千早ちゃんが危ない!って思ったら」

春香「あんなふうに…」

千早「そう…」

P「さっきのは、春香の力だ」

春香「…」

春香「私の…?」

P「ああ。ちなみに、千早には千早の力があるぞ?」

千早「え?」

千早(ひょっとして、美希を助けた時のアレかしら…)

216: 2014/07/25(金) 22:13:33.56 ID:bRUTsLcdO
P「ああ、まだお前達の力について、話してなかったな」

春香「…」

千早「…」

P「まず、春香の力は…」

P「さっきみたく、敵をまとめて攻撃できる」

P「だが、使うとかなり体力を消耗するはずだ」

P「あんまり使い過ぎるなよ?」

春香「は、はい」

春香(どうやったかなんて、覚えてないけど…)

春香(使いこなせば、皆を守る事ができるかも…)

P「で、千早だが…」

P「かなり高く跳べる力、だ」

千早「…」

千早(やっぱり…)

P「たぶん、高所からの落下で重力を味方に付けて」

P「敵に協力な攻撃をする、という感じだな」

千早(あ、そういう使い方なのね…)

P「これも、おそらく足に負担がかかるから、気をつけるんだぞ?」

千早「わかりました」

千早(確かに、ね)


217: 2014/07/25(金) 22:27:54.08 ID:bRUTsLcdO
P「もう一つ、言いたい事がある」

春香「?」

P「戦うだけじゃなく、危ない時は逃げるのも手だと思う」

春香「確かに…!」

千早「そう…ですね」

P「もらったポーションも、数が限られてる」

P「無理して危険に身を晒すより…」

P「安全策を摂るのが、一番いいと思うんだ」

P「お前達の命が、何より大切だから」

春香「プロデューサーさん…!」

千早「プロデューサー…」

P「本当は、俺も何かできればいいんだが…」

春香「そ、そん…」

千早「そんな事ありません!」

P「千早…」

千早「こうして、生き抜く術を私達に解いてくれる」

千早「それだけで、私達の生存率がどれだけ上がっているか…」

千早「それに…」

千早「私達は、た、大切な指揮官を失っては…」

千早「進む意味がありませんから」

P「千早…」

218: 2014/07/25(金) 22:37:15.91 ID:bRUTsLcdO
春香「…ふふっ」

春香「同じ、ですね。プロデューサーさん」

P「まったくだな…はは」

千早「?」

P「今の千早の言葉はさ…」

P「昨日、春香に言われたのと似たような言葉だったんだ」

千早「!」

春香「言い方は、千早ちゃんらしかったけどねー?」

P「千早の気持ち、嬉しいよ」

千早「…///」カァー



P「さて、そろそろ行くか!」

千早「ええ」

春香「行きましょう!」



P(…しかし)

P(暗黒騎士の力が、あんなに禍々しいものだとはな…)

P(春香…気をつけろよ…?)

219: 2014/07/25(金) 23:01:37.66 ID:bRUTsLcdO
ミストの谷

春香「うわー、真っ白…!」

千早「ほとんど前が見えないわね…」

P「足元、気をつけろよ?」

スタスタ…




P(忘れてたが、この指輪…)

P(確か、村を…)

P(…)

P(避けては、通れないのか…?)




千早「春香…そこ、気をつけて…」

千早「崖になってるから」

春香「え?」ガラッ

春香「うわっ!わ、わっ…」

グラ…

千早「春香!」ガシッ

ヒューー………

春香「…っ!」

春香「はー…危なかったぁ…!」

春香「千早ちゃん、ありがとぉ~!」

P(危なかったな…春香が落ちたら必然的に俺も…)

P(あ、あれ?)

P(…)

P(…ない)

P(ボムの指輪が…ない!)

P(まさか、さっきの…)

ーードゴォォ…ンーー

春香「わ、下の方で…」

千早「…爆発したわね?」

P(うそーー!?)




220: 2014/07/25(金) 23:16:29.67 ID:bRUTsLcdO
ミストの洞窟 入り口

P(どうしよう…!)

P(探しに戻った方が、いいか…?)

P(でも確か、ボムの指輪って)

P(一度使ったら無くなるんじゃなかったか?)

春香「プロデューサーさん!洞窟ですよ、洞窟!」

P「あ…」

P(考えてるうちに、洞窟に着いてしまった…)

P(…とりあえず、進んでみて…)

『引き返しなさい…』

千早「…?」

春香「誰…?」

P(あれ?普通にイベントが起きるのか?)

P(なら、進むしかないな)

P「2人共、気にせず進むんだ」

春香「え?いいんですか?」

P「ああ、話しも進まないからな…」

春香「わかりました…」スタスタ…


221: 2014/07/25(金) 23:37:30.17 ID:bRUTsLcdO
ミストの洞窟

春香「なんか…すごいね…」テクテク

千早「ええ…とても神秘的…」スタスタ

春香「あ…明かりがあるんだね」

千早「…本当」

千早「でも…この明かり、誰が…」

『戻るのです…』

『今ならこちらから危害を加える事は、ありません…』

千早「また…!」

春香「あ、あの!あなたは誰ですか?」

『…』

『命が惜しければ、戻るのです…』

春香「…い、いいんですか?プロデューサーさん…」

P「ああ…行くしか、ないんだ…」



春香「あ、あそこ…明るい…」

春香「出口、かなぁ?」

千早「でも、なんだかあそこだけ…」

千早「異様に霧が濃いわね…」

P「春香、千早、気をつけろ!」



222: 2014/07/27(日) 00:21:36.68 ID:6V88IfguO
スゥーー…


千早「!」

千早「霧が、集まって…」


スタッ


ミストドラゴン「ここまで…来てしまったのですね…」

春香(霧の中から…)

春香(血だらけの女の人が…)

P(人間…?ドラゴンじゃないのか…?)

P(しかも、すごい怪我じゃないか…)

ミストドラゴン「私は…もう、ここから動く事もできません…」

ミストドラゴン「…ですが、最後の力を振り絞って…」

ミストドラゴン「あなた方を…道連れにするくらいは…できるでしょう」

春香「えっ?ちょ、ちょっと待ってください!」

千早「私達は、あなたに敵意はありません」

ミストドラゴン「……?」

P(なんだ?一体どうなって…)

P(ボムの指輪が使えなくなった事で)

P(物語が、歪んだ…?)




223: 2014/07/27(日) 00:31:53.19 ID:6V88IfguO
ミストドラゴン「あなた方は…バロンから来たのでは…?」

春香「えっと、はい」

ミストドラゴン「ミストの村を、滅ぼしに…」

春香「え?ち、違いますよう!」

千早「私達、友達を探してるんです」

ミストドラゴン「…」

ミストドラゴン「どうやら、あなた方は…敵ではないようですね…」フラッ

ドサッ

春香「だっ大丈夫ですか?」

春香「そうだ、ポーションを…」

ミストドラゴン「お気遣い、ありがとうございます…」

ミストドラゴン「ですが、私はもう…長くはありません…」

春香「そ、そんな…」

ミストドラゴン「先ほど、バロンの兵士達が…攻めて来ました」

春香「兵士さんが…?」

千早「…」

ミストドラゴン「ミストの村は、召喚士の村…」

ミストドラゴン「おそらくバロン王は、召喚士の力を恐れ…」

ミストドラゴン「村を滅ぼそうと思ったのでしょう…」

春香「…!」

春香(社長さん…)

ミストドラゴン「私はここで、バロン兵を迎え撃ったのですが…」

ミストドラゴン「何人か…止める事ができませんでした…」


224: 2014/07/27(日) 08:33:13.99 ID:6V88IfguO
ミストドラゴン「あなた方に…お願いしたい事が、あります…」

春香「は、はい…」

ミストドラゴン「村には、私のかわいい娘が待っています…」

ミストドラゴン「血の繋がりはありませんが、私の大切な娘…」

ミストドラゴン「私にはもう…娘を守る力は残っていません…」

ミストドラゴン「ですが、私達幻獣は、召喚士の力になる事で…」

ミストドラゴン「たとえ命が尽きても、召喚士の側にいる事ができるのです」

ミストドラゴン「私の娘…ヤヨイもまた、召喚士…」

春香「えっ…?」

千早「…」

P(やよい…!)

ミストドラゴン「私は、ヤヨイの力になりたい…!」

ミストドラゴン「お願いです。どうか私を…」

ミストドラゴン「ヤヨイの元へ、連れて行ってもらえませんか…?」

春香「…」

春香「わかりました」

P「春香?」

春香「だって、ほっとけないですよ…」

春香(ゲームの世界の事、とはいえ…)

春香(やよいの…お母さん、だしね)

ミストドラゴン「ありがとうございます…!」

ミストドラゴン「…これでもう…悔いはない…」



スゥーー…



…コロン

225: 2014/07/27(日) 08:49:10.11 ID:6V88IfguO
春香「…」

春香(やよいのお母さんが…)

春香(小さな石に、なっちゃった…)

スッ…

春香(真っ白で、細長い石…)

春香(あ、これ、髪留めだ…)

P(…)

P(この先…)

P(俺の知識は、通用するのか…?)

千早「プロデューサー、高槻さんが待っています」

P「あ、ああ、そうだな」

P「春香、行こう」

春香「はい!」




ミストの村

やよい「うぅ…やめてください!」ガシッ

兵士「離せ!」ブン!

やよい「あうっ!」ドサッ

兵士「召喚士は根絶やしにせよ、との…」

兵士「王のご命令だ…」

召喚士「ゆ、許して…!」ガクガク

兵士「恨むなら、自分の運命にしてくれ…」ブン!

グサッ!

召喚士「あ、ぐ…!」

ドサッ!

やよい「あ…うぁ…!」



春香「やよいーーー!」タッタッタッタッ…


226: 2014/07/27(日) 09:04:01.60 ID:6V88IfguO
春香「やよいー!怪我はないー?」タッタッタッタッ…

千早「高槻さん!」タッタッタッタッ…

P「やよい!」

やよい「あぅ……!」ブルブル

兵士「誰だ?」

兵士「…!」

兵士「ハルカ隊長に、チハヤ隊長!」

兵士「丁度いい…!2人の首も持って帰れば、オレは…!」チャキ!

やよい「いや…いや……!」

春香「やよい…?ど、どうしたの…?」

千早(高槻さんの様子が、おかしい…)


やよい「いやあぁぁーーーーー!!」



ゴゴゴゴ…



ーーズドオォォォーーン…



グラグラ…



春香「じ、地震?」ヨロッ

千早「春香!」グイッ

春香「やよい!大丈夫?」

やよい「…」

千早「大丈夫!気を失っているだけよ!」

227: 2014/07/27(日) 09:11:47.45 ID:6V88IfguO
バリバリバリ…!


兵士「うわ!うわ…!」ヨロッ

兵士「うわぁーー!」ヒュー

千早「!」

千早「地割れが…」

春香「ダメ、立っていられない…」ガク




ズズ…



ガラガラ…



P「まずい!家が崩れる!」

春香「……っ!」



ドォン! ドガァン!



ドゴオォォーーーーーン!

228: 2014/07/27(日) 12:06:35.18 ID:6V88IfguO
律子さんへ

前略、お元気ですか?

まぁ、律子さんなら、どこの世界でも

しっかりやって行けると思うので、

余計な心配はしてませんが…。

…なんだか、妙な事になってしまい

ましたね?

私は今、月にいます。

うふふ、夜空に浮かぶ、あの月ですよ?

とってもロマンチックなんですが…。

一人ぼっちで、妄想がはかど…

いえ、なんでもありませんよ?

いきなりお手紙出したのは、実は、

律子さんにお願いしたい事が

ありまして…。

それについては、添付した資料を見て

下さい。

それでは…また、お手紙書きますね?

身体に気をつけて…。




音無小鳥より


229: 2014/07/27(日) 12:18:19.01 ID:6V88IfguO
飛空艇

律子「小鳥さんたら…」

律子「もう、こんな事してる場合じゃないのよ」

律子「早く帰って仕事しないと…」

律子「あ、あれ…?」ドクン

律子「…」

兵士「リツコ様!まもなく到着します!」

律子「…」

兵士「リツコ様?」

律子「…ええ、わかったわ」

律子(何かしら…?)

律子(頭がボーッとする…)




ミストの村

律子「…」スタスタ

律子「…ひどい有様ね…」

律子「…」キョロキョロ

律子「……あ」スタスタ

律子「いたわ…」

律子「この子を、運んで頂戴!」

兵士「は!」

律子(皆、息はあるみたいね…)

律子(少し、安心したわ)

律子「あら…?」チラ

律子(これは確か…)

P「……うっ」

律子「!」

律子(まさか…?)

律子(小鳥さんの指示にはなかったけど…)

律子「…」スッ

律子「さっ、引き上げるわよ!」



230: 2014/07/27(日) 12:33:28.35 ID:6V88IfguO
ミストの村

春香「……」

春香「……う」ピクッ

春香「あ…痛たた…」

春香「は!そうだ!」ガバッ

春香(皆、無事かな…!)ヨロッ

春香「あ…!」

春香「やよい!」タッタッタッタッ…

やよい「……」ピクッ

春香「…よかった!生きてる!」

春香「…千早ちゃん!」

春香「千早ちゃーん!」キョロキョロ

春香「千早ちゃん、どこー!?」スタスタ





春香(千早ちゃん、見つからない…)

春香「プロデューサーさん、大変です!千早ちゃんが…!」

春香「あ、あれ?」

春香「な、なんで!?」キョロキョロ

春香(べろちょろが…ない!)

春香(うそ…!ずっと、首に掛けてたハズなのに…!)

春香「プロデューサーさぁん!どこですかぁーー!?」

春香「返事してくださーい!」

春香「…」

春香「うぅ…どうしよう…」グスッ




231: 2014/07/27(日) 12:47:33.83 ID:6V88IfguO
春香(村中探したけど…)

春香(千早ちゃんとプロデューサーさんは、見つからなかった…)

春香「うっ…ひぐっ…」ポロポロ

春香(どうしよう…どうしよう!)

春香(私が…しっかりしてれば…)

やよい「うう…」

春香「そ、そうだ…」グスッ

春香「…と、とりあえず…」ゴシゴシ

春香「やよいを、どこかで休ませないと…」

春香「…よい、しょ、っと」グイッ

やよい「…」

春香(やよい、軽いなぁ…)

春香「…」

春香(千早ちゃん…プロデューサーさん…)グスッ

春香(2人に何かあったら…)

春香(私の…せいだ…)

トボトボ…




カイポの村付近の砂漠

ズッ…ズッ…

春香(暑い…)

ズッ…ズッ…

春香(立ってるのが、やっとだよ…)

ズッ…ズッ…

春香(私…)

ズッ…ズッ…

春香(2人を守れなかった…)

ピタ…

春香(私、なんで…)

魔物「ギャァーー!」




232: 2014/07/27(日) 12:57:43.55 ID:6V88IfguO
春香「…」

魔物「ギャァーー!」

春香「………れば、いい…」

魔物「ギャ?」

春香「私なんて、いなくなればいいんだ!」

春香「うあああああああああ!」

ズババーーー!

魔物「ギャァーーーー!」ドガッ

バタ

魔物「」

春香(私…なんで生きてるの…?)

春香(なんで…?)ポロポロ…

『……』





カイポの村

春香「ハァ、ハァ…」ヨロッ

春香「どこかで…やよい…を…休ませ…ない…と…」ガクッ

ドサッ!

村人1「?」

村人1「あ…た、大変だー!」

村人2「どうした?」

村人1「ひ、人が倒れてるぞ!」

241: 2014/07/27(日) 15:44:35.56 ID:6V88IfguO
カイポの村 宿屋

春香「…」

春香「…う…ん」

店主「お、気がついたね?」

春香「……」

春香「ここは…」

店主「ああ、ここは、カイポの村の宿屋だよ」

店主「あんたらが村の入り口に倒れてたから…」

店主「勝手に運ばせてもらったんだ」

春香「そうだ!やよい…!」ガバッ

春香「…痛たた…」

店主「あー、もう一人の嬢ちゃんなら、ホラ、隣に…」スッ

やよい「スースー…」

春香「…よかった…!」ポロ

春香(でも…)

店主「大分弱ってたみたいだったから、こっちで手当てさせてもらったよ」

春香「…あ、ありがとうございます」

店主「しっかしあんた、無茶するねぇ…」

春香「?」

店主「何の準備も無しに、人ひとり背負って砂漠越えだなんて…」

春香「はぁ…」

春香(覚えてない…)

春香(私、どうやってここまで…)

春香「…」

春香(でも…)

春香(すっごく嫌な気持ちが渦巻いていたのは、覚えてる…)

243: 2014/07/27(日) 15:57:21.08 ID:6V88IfguO
店主「ま、あんたも無理するな」

店主「2、3日は休んでってもらって構わないからさ」

春香「あ、ありがとうございます」

店主「ちなみに、お代は結構だからな?」

春香「え…?そんな…」

店主「困った時は、お互い様ってやつさ」

店主「…そうだあんた、腹、減ってるだろ?」

春香「あ、いえ…別に」グゥ

春香「あ…///」

店主「あっはっは!なんか作るから、安静にしてな!」スタスタ

ギィ…バタン

春香「…」

春香(私…助かったんだ…)






春香(なんか、久しぶりに食事した気がする…)

春香(やよいはまだ起きてないから…)チラ

春香(やよいの分は、手つかずだけど…)

やよい「……う」モゾ

春香「!」

春香「やよい?」

やよい「…ん…あ」

やよい「あれ?ここは…」

春香「やよい!よかった…!」グスッ

やよい「は、春香さん?」

やよい「春香さん!」ガバッ

春香「やよい…」

やよい「会いたかったですー!」ギュ

春香「……」ナデナデ

やよい「…」

やよい「はっ!そういえば」

やよい「みすとどらごんさんは…どこですか?」

244: 2014/07/27(日) 16:12:00.36 ID:6V88IfguO
春香「みすとどらごんさん?」

やよい「はい、私の…お、お母さん、らしいんですけど…」モジモジ

春香「あ…」

春香「…」

やよい「どーしたんですか?」

春香「やよい…あのね?」





春香「…という訳なんだ」

やよい「そんな…!」ウルッ

やよい「一緒にもやしパーティするって…」

やよい「言ってたのに…!」グスッ

春香「でもね?あの人は最後に…」

春香「やよいの力になりたい、って言って…」

春香「私をやよいの所に連れて行って、って…」

春香「やよい…」スッ

やよい「…これ、なんですか?」

春香「それが、やよいのお母さんだよ…」

やよい「…」

やよい「…」ギュッ

春香「綺麗な髪留めだよね…?」

やよい「…」

やよい「…はい!」

やよい(キレイです…真っ白で…)

やよい(まるでもやしみたい…ふふっ)

やよい(ずっと、一緒です)パチン

春香「うん、すっごく似合うよ!」

やよい「えへへ、そうですかー?」

春香「…」

やよい「そういえば、他の皆は、どうしたんですか?」

春香「…!」

春香「…他の、皆は」




245: 2014/07/27(日) 16:25:40.86 ID:6V88IfguO
春香「響ちゃん…と、美希…は無事…だよ」

やよい「うー、よかったですー!」

春香「ち、千早ちゃ…と、ぷ、プロデューサー…さ…は…っ」ポロ

やよい「は、春香さん?」

春香「いな…っいの…どこ…にも…」グスッ

春香「村…中…ヒック…さ…がし…た…のに…」ポロポロ

やよい「そ、そうですか…」

やよい(春香さん、すっごく辛そう…)

春香「わ、わた…しの、せ…いで…っ」グスッ

やよい「!」

やよい「そんな事ないです!」ガバッ

春香「…?」

やよい「春香さんは、いっつも皆の事を1番に考えてます!」

やよい「そんな、春香さんのせいで、2人がいなくなるなんて…」

やよい「考えられないかなーって!」

春香「…やよい」ヒック

やよい「大丈夫ですよ!2人とも、きっと無事です!」

やよい「いつもの、元気な春香さんに戻って下さい!」

春香「や、やよいぃ…」グスッ

春香「…っごめ…いっ…今だけ…」ガシ

やよい「…はい」ギュ

春香「…う、うわぁぁぁぁん!」ポロポロ




247: 2014/07/27(日) 16:37:22.83 ID:6V88IfguO
春香「…」

春香(やよい…あったかい…)ギュ

春香(柔らかくて、いい匂い…)クンクン

やよい「…」

やよい「…春香さん?」

春香「はっ!」ガバッ

春香「あ…ご、ごめんね?」

春香「もう、大丈夫だから」

やよい「うっうー!春香さんがスッキリしたなら、よかったですー!」



ガシャーン!

「な、なんだ、あんた達!」

「ここにいるのはわかっている!」

「探せ!」

「はっ!」

「ちょっと、やめてくれよ!」





やよい「なんか、下の階が騒がしいですね?」

春香「うん…私、ちょっと見てくるね?」

やよい「あっ…」

やよい「私も、行きます」

春香「やよい?」

春香「身体は、平気なの?」

やよい「もう、大丈夫ですー!」

やよい「それに…」

やよい「一人は、さみしいです…」

春香「わかった。一緒に行こ?」スッ

やよい「はい!」ギュ

スタスタ…


250: 2014/07/27(日) 17:02:47.68 ID:6V88IfguO
カイポの村 宿屋1F

春香「…うわ、ぐちゃぐちゃ…」

やよい「ひどいです!」

春香「あ、店主さん!」タッタッタッタッ…

春香「大丈夫ですか?」

店主「ああ、あんたらか…」

店主「オレは平気だが…店が…」

春香「何があったんですか?」

店主「ああ、バロンの兵隊が来てな…」

春香(また…バロン)

店主「なんか、あんたらを探してたみたいだったけど…」

店主「逃げなくていいのか?」

やよい「…春香さん!これじゃ…」

春香「うん…」

春香「私、ちょっと文句言ってきます!」スタスタ

やよい「あ、待って下さい!」スタスタ

店主「おい!兵隊さんに逆らって無事で…」

店主「…って、行っちまったか…」





カイポの村 はずれ

兵士1「あ…!」

兵士2「隊長!いました!」

兵士長「まったく、手こずらせやがって…」

春香「あ、あの!」

春香「なんでこんな事、するんですか!?」

やよい「店主さんに謝って下さい!」

兵士長「ハルカ隊長…そこの召喚士を差し出せば、許してやろう」

春香「召喚士って、やよいの事?」

やよい「う?」


252: 2014/07/27(日) 17:28:06.21 ID:6V88IfguO
春香「やよいは…私の大切な仲間です!そんな事できません!」

兵士長「ふっ…まあ、問題ない」

兵士長「…もともと、2人とも始末する予定だったからな!」

春香「なっ…!」

やよい「うぅ…そんなの、ひどすぎます!」

兵士長「かかれ!」

兵士1「でやぁ!」ダッ!

兵士2「おおぉ!」ダッ!

やよい「や、やめて下さい!」ブゥン

パキィン!

兵士1「うあっ、て、手が…凍って…!」

春香「え…?」

兵士2「なっ…こ、こいつ、黒魔法も…!」

春香(あれが、やよいの力…!)

やよい「……!」

兵士2「こんのおっ!」ブン!

春香「あっ…!」

春香「やよい、危ない!」

やよい「あ…!」

春香「やめてーー!」ゴゥ

ズババーン!

兵士2「がはっ!」ガクッ

兵士長「な、なにをしておる!」

兵士「かかれ!かかれ!」

兵士1「む、無理です…」

兵士2「手に負えません…」

兵士長「こ、この、役立たず共が…!」

兵士長「ふ、ふふふ。こ、今回だけは、見逃してやろう…」

兵士長「さらばだ!」ダダダダ…

兵士1「隊長!」

兵士2「待って下さい!」

タッタッタッタッ…


253: 2014/07/27(日) 17:45:25.14 ID:6V88IfguO
春香「…」

やよい「…」

春香、やよい「…恐かったぁ~」ヘナヘナ

春香「やよい、平気?」

やよい「は、はい!春香さんも、だいじょーぶですか?」

春香「うん」

やよい「…」

やよい「春香さん」

春香「ん?」

やよい「あの宿屋が荒らされたのって…」

やよい「私のせい…ですよね…?」

春香「そ、そんな事…!」

やよい「私、わかってるんです。自分が狙われてる事…」

春香「やよい…」

やよい「それで…私…」

やよい「あの店主さんに、お詫びがしたいかなーって」

春香「!」






カイポの村 宿屋

やよい「じゃあ、私はこっちをお掃除しちゃいますね?」

春香「うん!じゃ、私はこっちを…」

やよい「うっうー!がんばりまーす!」タッタッタッタッ…

店主「なあ、ホントに手伝ってもらっちゃって、いいのか?」

春香「もちろん!」

春香「やっぱり、ただで泊めてもらうのは、悪いですし…」

店主「しかしなあ…」

春香「それに、店主さんも、言ってたじゃないですか?」

店主「へ?」

春香「困った時はお互い様、ですよ?」ニコッ

店主「…!」

店主「よーし!がんばるか!」

春香「はい!」

254: 2014/07/27(日) 18:12:11.88 ID:6V88IfguO
翌日、カイポの村

村人1「なあなあ、あの宿屋で働いている子達、知ってるか?」

村人2「ああ、かわいいよなぁ~!」

村人2「ハルカちゃんに会うためなら、オレ、毎日でも泊まっちゃうぜ!」

村人1「オレは、ヤヨイちゃんだな!」

村人1「あの純真無垢な笑顔…守ってあげたい!」

村人3「何言ってる!2人ともオレの天使だ!」

村人4「ヤヨイはオレの嫁」

村人5「ぼ、僕は、残った方をもらって行きますね?」

「なんだと!」

「オレのだ!」

「貴様には渡さん!」

ワイワイ ガヤガヤ…





カイポの村 宿屋

店主「2人のお陰で、大繁盛な訳だが…」

春香「店主さーん!2号室の準備、終わりましたー!」バタバタ

店主「よーし、じゃあ、夕食の仕込みを手伝ってくれ!」

春香「はーい!」

店主「ヤヨイは風呂の準備を頼む!」

やよい「うっうー!わかりましたー!」タッタッタッタッ…

店主「い、忙しい…」




夜、カイポの村

店主「ふぅ~!やっと落ち着いた~」

春香「あはは!お疲れ様です」

やよい「すっごいたくさんのお客さんが来てくれましたねー?」

店主「ああ、全部、2人のお陰だよ」

店主「ありがとう!」ペコリ

春香「そ、そんな…頭を上げて下さい!」アセアセ

店主「…」

店主「なあ」

春香「はい?」

店主「ハルカとヤヨイは、仲間を探してる、って言ってたよな?」


255: 2014/07/27(日) 18:30:18.87 ID:6V88IfguO
春香「はい、そうです」

店主「もしかしたら、違うかもしれんが…」

春香「?」

店主「ハルカとヤヨイがこの村に来る2日前に…」

店主「ここらじゃ見かけない女性が、この村に訪れたんだ」

春香「…」

やよい「…」

店主「ひょっとしたら、2人の探してる仲間なんじゃないかと、思ってな」

やよい「春香さん…!」

春香「う、うん…」

春香「その人、どんな人でした?」

店主「う~ん、キレイな人だったよ…確か、髪は青くて…」

春香「…!」

春香(…千早ちゃん?)

店主「あ、そういや、やたらと、あらあら言う人だったな…」

春香「あずささんだ…!」

やよい「あずささんですね!」

春香「それで、その人は、どこに…?」

店主「ああ、行き先は決まってなかったみたいだが…」

店主「地下水脈がある方角へ向かったよ」

やよい「ちかすいみゃく?」

店主「ああ、ダムシアンへ行くために通らなきゃならない洞窟さ」

256: 2014/07/27(日) 18:45:13.10 ID:6V88IfguO
春香(あずささん…)

店主「…」

店主「探しに、行くんだろ?」

春香「え?でも、明日もお店が…」

やよい「そうですー!」

店主「店の事なら、心配すんな」

店主「もともと、一人でやってきた訳だしな」

春香「店主さん…」

店主「明日の朝、出発しなよ」

店主「もちろん、泊まってっていいからさ」

やよい「あ、ありがとうございますー!」ウル

店主「バッ、バカ、泣くなよ…」

店主「ま、まあ…2人がいなくなるのは…」

店主「少し…さみしいかもな?」

店主「な、なんてな!あはは…」

春香「店主さん…」

店主「さ、もう夜も遅い、もう寝たらどうだ?」

春香「はい、おやすみなさい」

やよい「おやすみなさい!」

店主「ああ、おやすみ…」

257: 2014/07/27(日) 19:04:01.95 ID:6V88IfguO
宿屋 従業員の部屋

春香「…」

やよい「…」

春香「やよい…まだ起きてる?」

やよい「はい…」

春香「そっか…私も寝れなくて…」

やよい「…」

やよい「あの店主さん、すっごくいい人ですね…」

春香「うん、そうだね」

やよい「私、ちょっと思ったんです」

やよい「あの人、ちょっとだけ、プロデューサーに似てるかなーって」

春香「…!」

春香「そう言われてみれば…」

春香(ああ、だから、あの人と話すと、安心するのか…)

春香(だから、あの人の力になってあげたくなるのか…)

春香(プロデューサーさん…)

春香(今、どこにいるんですか…?)

春香「あ、そういえば…」

やよい「?」

春香「やよいには、まだ話してなかったけど…」

春香「プロデューサーさんね…?」

春香「べろちょろになっちゃったんだよ…」

やよい「え?それってどういう…」

春香「言葉の通り。プロデューサーさんは、べろちょろで…」

春香「私がいつも首から掛けてたんだけど…」

やよい(だから、あの時べろちょろが消えたんだ…)

やよい「会ってみたいです!」

やよい「べろちょろになったプロデューサーに」

258: 2014/07/27(日) 19:26:04.14 ID:6V88IfguO
春香「ふふ…」

春香(また、会えますよね?プロデューサーさん)




翌朝、カイポの宿屋

店主「おはよう、ハルカ、ヤヨイ」

春香「おはようございます!」

やよい「おはようございまーす!」

店主「…」

店主「ホラ、餞別…いや、給料だ、持っていきな」スッ

春香「わっ…とと」ズッシリ

春香「これ…お金ですか…?」

店主「ああ、働いてもらったんだから、対価は払わないとな?」

店主「あと、薬も少し、入れといた」

やよい「ありがとうございます!」

春香「店主さん…」グスン

店主「おいおい、笑って別れようぜ?」

店主「かわいい顔が、勿体無いぞ?」

やよい「ふふっ、そうですよ?春香さん」

春香「あっ…」ゴシゴシ

春香「そ、それじゃあ…」

店主「ああ」

春香「いろいろ、お世話になりました」

店主「こちらこそ」

やよい「お店、頑張って下さいねー?」

店主「ああ、ありがとう」

春香「ありがとうございました!」ペコリ

スタスタ…

店主「うん…」ポロ

春香「…」クルッ

春香「さようならぁー!」

やよい「お元気でー!」




店主「行っちまったな」

店主「いい子達、だったな…」

店主「あとは…」チラ

村人1「おい、オレのヤヨイちゃんはどこにいるんだ?」

村人2「ハルカちゃんを出せー!」

ワイワイ ガヤガヤ…

店主「これをどうするか、だな…」ハァ


262: 2014/07/27(日) 20:20:26.84 ID:6V88IfguO
春香「あ、そうだ」

春香「少し、買い物して行こうか?」

春香「お金ももらったし…」

やよい「そうですねー」



「人が倒れてるぞー!」

「大丈夫かー?」

ワイワイ ガヤガヤ…

やよい「…?何かあったんですかねー?」

春香「ちょっと見に行ってみようか」スタスタ

やよい「あ、春香さーん!」スタスタ



「おい、大丈夫か?」

「すごい熱だ…」

「しかしこの子、かわいいな。よしオレが…」

「おいやめろ」

春香「す、すいませーん、ちょっと通して下さーい…」ススッ

村人「あっハルカちゃん」

春香「あ!」

春香「美希!」

やよい「美希さん!」

美希「ハァ、ハァ…」

美希「は、ハニー…」

春香「な、なんでここに…?」

やよい「春香さん!」

やよい「美希さんを、休ませましょう!」






264: 2014/07/27(日) 20:41:02.60 ID:6V88IfguO
カイポの村 宿屋

店主「…で、また戻って来た訳か」

春香「は、はは…す、すいません…」

店主「まったく、センチな気分が台無しだな…」

やよい「あ、あの!」

やよい「美希さんは、大切な、仲間なんです!」

店主「ああ、わかってるよ」

店主「ただな…」

店主「あんた達のお陰で、今やこの宿屋も大繁盛」

店主「オレも、店を回すので手いっぱいなんだ…」

店主「どっちか一人、この子の看病の為に残ってもらわないと…」

ガチャ…

村人1「オレがやります!」

村人2「いやオレが!」

村人3「オレも!」

店主「うわっ!お、お前ら…聞いてたのか…」

店主「まったく、なんて客だ…」

村人1「オレ達が手伝えば、看病できるでしょ?」

春香「皆さん…」

やよい「皆、やさしいです…!」

店主「…わかったよ。じゃあ、この子は、1号室に運んでくれ」

村人達「はい!」


266: 2014/07/27(日) 21:09:23.89 ID:6V88IfguO
宿屋 1号室

店主「それにしても、すごい熱だな…」

春香「美希…」

春香(とりあえず、美希は店主さんに任せる事になったけど…)

春香(早くあずささんの所に向かわないと…)

春香(でも、美希も心配だし…)

春香(プロデューサーさん…)

春香(プロデューサーさんなら、どうしますか…?)

店主「こりゃ、もしかしたら、高熱病かもしれないな…」

やよい「こうねつびょう?」

店主「ああ、主に砂漠でかかる病なんだが…」

店主「ずっと熱が下がらず、下手すりゃそのまま…」

春香「…!」

店主「…っと、すまん…」

店主「治すには、『砂漠の光』ってアイテムが必要らしいぜ?」

春香「砂漠の…光、ですか」

やよい「それって、どこにあるんですか?」

店主「ダムシアン地方に住む、アントリオンって魔物の分泌液、らしいぜ?」

店主「だから、どちらにしろあんたらは…」

店主「地下水脈を通ってダムシアン地方へいかなきゃならないみたいだな」

店主「と…ここまでの話、理解できたか?」

春香「多分、8割くらいは…」

やよい「はうー!半分もわかりませんでした…」

店主(うーん、この2人、心配だ…)


267: 2014/07/27(日) 21:17:42.37 ID:6V88IfguO
店主「で、2人でダムシアンに行くんだよな?」

春香「あ…」

春香(ねぇ、やよい…)

やよい(な、なんですかー?)

春香(さすがに、男の人しかいないとこに…)

春香(美希を置いて行くのも、気が引けるんだけど…)

やよい(あ、確かに!)

やよい(でも、それじゃあ、どっちかが残るんですか?)

春香(それだと、一人で旅立たなきゃいけないんだよね…)

やよい(うー、難しいです…)



ガチャ…




「や、やっと…辿り着いたわ…」

268: 2014/07/27(日) 21:32:43.92 ID:6V88IfguO
店主「ん…?あんただれだ?」

店主「お客さんなら、ちょっと下に…」

春香「あ……!」

春香「あなたは…!」




春香「ものまね士さん!」





ものまね士「……」

ものまね士(……白魔道士ですから!)

ものまね士「ハ、ハルカ様、お久しぶりでございます」

やよい「?」

店主「ものまね…士?」

春香「でも、どうしてここに?」

ものまね士「ああ、ミキさんが、どうしても『ハニー』という方に会いたいと…」

ものまね士「城を飛び出してしまって…」

ものまね士「途中まで、一緒だったんですけどね…」

ものまね士「いつの間にか、はぐれてしまって…」

ものまね士「すみません…」

269: 2014/07/27(日) 21:53:33.52 ID:6V88IfguO
春香「あ、いえ…来てくれただけでも、嬉しいですよ?」

春香(ものまね士さんに、美希の看病をお願いしよう!)

やよい「あの…春香さん?」

春香「えっ?」

やよい「このお姉さんは、誰ですか?」

春香「そっか、やよいとは面識がないんだ…」

ものまね士「ハルカ様、説明をお願いします」

店主「うん、何がなんだがわからん」

春香「あ、ええとですね…」




春香「と、いう訳です…」

やよい「へー、美希さんのものまねですかー」

やよい「ちょっと見てみたいかなーって」

ものまね士「…え?」

美希「zzz…」

ものまね士(な、何を…!)

ものまね士(無茶でしょ?無茶過ぎるでしょ?)

ものまね士(いきなり初対面の人の前で…)

春香「や、やよい…ものまね士さん、困ってるよ?」

やよい「うぅ…見たかったですー」ションボリ

ものまね士(あ…)キュン

ものまね士(な、なんて純粋な目なのかしら…)

ものまね士(まさか…天使?)

ものまね士(この目を曇らせたら、私は地獄に落ちるわね…)

ものまね士(大丈夫、できる…)

ものまね士(あれだけ練習したじゃない!)

ものまね士「やります!」

春香「え?やるの!?」

270: 2014/07/27(日) 22:09:53.71 ID:6V88IfguO
やよい「ほんとーですかぁ!」パァー

ものまね士(う…この笑顔、すごい破壊力ね…)

ものまね士「じゃあ…いきます!」ゴゴゴゴ…



ものまね士「ミキね、ハニーの事を思うと…」

ものまね士「すっごく、すっごーく胸がドキドキするの!」




春香「…」

やよい「…」

美希「……ん」

やよい「わー!すごいです!」

やよい「本物かと思っちゃいましたー!」

春香「すごい…また、精度が上がってる…」

ものまね士(なんだろう…?)

ものまね士(達成感と共に、虚無感が…)

店主(元ネタ知らんオレとしては…)

店主(なんのこっちゃ、って感じだけどな…)

美希「…むにゃ…」


271: 2014/07/27(日) 22:36:34.10 ID:6V88IfguO
春香「それでですね…」

春香「ものまね士さんには、美希の看病をお願いしたいんですけど…」

ものまね士「あ、はい。もちろん、そのつもりです」

やよい「ありがとうございますー!」

店主「うん。そいつは助かるな」

店主(ん?そういえば、このねーちゃんは…)

店主(一人で砂漠越えして来たんだよな…?)

店主「なあ、あんた…」

店主「身体は、なんともないのか?」

ものまね士「?…ええ、特に…」

店主「そうか」

ものまね士(そこら辺の男より、よっぽどタフだなぁ)

春香「それじゃ、そろそろ…」

やよい「はい!今度こそ…」

店主「おお、行くか」

ものまね士「お気をつけて…」

ものまね士「ミキさんの事は、任せて下さい!」

春香「はい、よろしくお願いします!」

店主「どこかで水を買っていった方がいいぞ?」

やよい「あ、そうですねー!」



春香、やよい「じゃ、行ってきまーす!」



276: 2014/07/28(月) 18:49:36.32 ID:kbWb6treO
飛空艇

律子「……ふぅ」

律子「…」

律子「とりあえず、小鳥さんの指示通りにしたけど…」

律子「この後はどうすればいいのかしら…」

律子(小鳥さんの手紙では…)

律子(この世界は、まるで異世界のような言い方だった)

律子(確かに、船が空を飛ぶ、なんて現代の技術じゃ無理よね…)

律子(小鳥さん、私に何をさせようというの…?)

律子(私は、どんな役を演じればいいの…?)

律子「…」

律子(演じる…か)

律子(アイドルを卒業した私が…?)

律子(ふふ…)

律子(うまくできるかしら?)

P「うう……」

律子「あら?」

P「…ここ…は?」

P「…そうだ」

P「春香ー!千早ー!」

P「やよいー!」

律子「…大丈夫、皆無事ですよ?」

P「え…律子か?」

P「…そうか、律子も来たのか」

P「ともかく、無事でよかった…」

277: 2014/07/28(月) 19:10:04.75 ID:kbWb6treO
律子「驚きましたね…」

律子「プロデューサーさん、本当にあなたなんですね…」

P「ああ、なぜか俺だけこんな姿でな…」

P「どうやら俺は、招かれざる客、らしい…」

律子(招かれざる…?)

P「あ、そういえば皆は?」

P「律子が助けてくれたんだろ?」

律子「ええ…」

律子「…」

律子「…じゃあ、案内しますね」スッ

スタスタ…

P「あっ…」

律子「どうしたんですか?」

P「すまん、連れてってくれないか?」

律子「…」

律子(…そっか、あんな姿だもの…)

律子(自分で移動できないのね)

律子(ふふ…なんだかかわいい…)

律子「じゃあ、行きましょうか」フワッ

P(あ…)

P(いい匂い…)ドキドキ

P(…って、何ドキドキしてるんだ俺は…)

律子「着きましたよ」

P(ダメだ…この身体になってから…)

P(人と、触れ合う事が多くて…)

律子「プロデューサーさん?」

P「あ?うん、そうだな」

律子「…?」

278: 2014/07/28(月) 19:20:33.30 ID:kbWb6treO
飛空艇 船室

千早「…」

千早(ここは、どこかしら…)

千早(私、助かったの?)

千早(春香…高槻さん…)

千早(プロデューサー…)


ガチャ…


千早「…!」

律子「あら…お目覚めね?」

千早「律子…?」

千早「そう…あなたも来てたのね…」

千早「律子が助けてくれたの?」

律子「…」

律子「ええ…」

P「千早…!」

千早「プロデューサー?」

千早「無事だったんですね…」

千早(…よかった)

千早「…それで、皆は…?」

P「そうだ!律子、皆はどこにいるんだ?」

律子「…」

律子「いないわ」

P「えっ?」

千早(……?)

律子「あなた達だけよ」

P「ど、どういう…?」

律子「他の2人は、見つからなかったの」

千早「……!」

P「まさか、地震で飛ばされて…?」

P(春香…やよい…)

律子「今も、捜索中よ」

280: 2014/07/28(月) 19:28:06.42 ID:kbWb6treO
千早「ところで、律子」

律子「どうしたの?」

千早「プロデューサーを、渡してもらえないかしら?」

P(ん……?)

P(ひょっとして、俺が恋しくなったか…?)

律子「…」

律子「なぜ?」

千早「少し、話があるの」

律子「私に聞かれたら、困るのかしら?」

千早(罠か…もしくは誘導か…)

千早(いずれにしても…)

千早(ここは、前に出るしかないわ)

千早「そうね…」





千早「嘘をつく人は、信用できないものね」






P「え……?」

律子「……!」

律子「どういう事、かしら?」






281: 2014/07/28(月) 19:39:04.73 ID:kbWb6treO
P「千早…何言ってるんだ?」

千早「プロデューサーも、気づいてたと思ったんですけど…」

律子「…」

千早「簡単な事です」

千早「私達は『皆はどこに?』と、律子に尋ねましたね?」

P「ああ…」

千早「でも律子は『わからない』『他の2人は見つからなかった』と言った…」

P「………あ!」






千早「なぜ、2人だと断言できたの?」





千早「私達は、人数については明言していない」

P「そ、そうだ!皆、としか、言ってない…」

律子「……!」

千早「私とプロデューサーだけ救出した理由が、あるのね?」

律子「…」

律子「……合格よ」ニコッ

P「?」


282: 2014/07/28(月) 19:54:22.21 ID:kbWb6treO
千早(やはり…罠?)

律子「私の目に、狂いはなかったわね」
スッ


律子「千早…あなたを、もらうわ」ギロッ


千早「……くっ!」ドクン

千早(な、何…?)

千早(か、身体に…頭に…)

千早(何か…入ってくる…っ)

千早「ああっ!」ビクン

P「千早!」

P「り、律子!何をしたんだ!?」

律子「大丈夫、そのうち慣れるわ」

律子「千早…あなたなら、罠だって事も、気づいたんでしょうね…」

律子「でも、まさか『こう』なるとは、思わなかったみたいね…」

千早(そ、そう…ね…勇み足、だったわ…)

律子「私ね…ある人から、言われたのよ」

律子「パートナーを見つけなさいって」


283: 2014/07/28(月) 20:17:59.85 ID:kbWb6treO
律子「私のパートナー…」

律子「誰が相応しいと思う?」

P(ま、まずいぞ…)

P(まさか『こっち側』に来てしまったとは…)

律子「私、考えたわ…」

律子「765プロで、誰の頭脳が一番私に必要か…」

律子「雪歩、やよい、春香、響は論外…」

律子「伊織と真は、我が強すぎる…」

律子「亜美、真美は、考えが甘い…」

律子「あずささんと美希は、たまに鋭いけど、不安要素が多すぎる…」

P「律子!お前、何言ってるかわかってるのか!」

千早(プロデューサー…おそらく律子は…)

千早「…くっ!」ガクッ

律子「貴音さんと千早で、悩んだの」

律子「…でも」

律子「やっぱりあなたが一番…」

律子「私に近いのよ」

千早(ダ、ダメ…)

千早(意識…が…)ドサッ

285: 2014/07/28(月) 20:46:45.87 ID:kbWb6treO
P「千早ぁーーー!」

P「律子!なぜ……ぐぁ?」ガシッ

律子「プロデューサーさん、あなたはなぜ、平気なんですか…?」ググッ

P「ぐっ…な、何の事…だ…」ジタバタ

律子(…そう、か)

律子(招かれざる、客…ですものね…)

律子(私にとっては、全く逆ですけど…)

律子「…」

律子「…千早のそばに…いてあげてください」スッ

P「律子…」


スタスタ…

ガチャ…バタン


P(律子が『あの役』だとしたら、操られてるだけだ…)

P(そうだよな…律子…?)




飛空艇 船長室

律子(…プロデューサーに効かなかったのは、想定外だったけど…)

律子(小鳥さんに対する駒としては、充分ね…)

律子(あとは…千早がうまくやってくれるかどうか…)

律子(…悪役って、結構楽しいかも…)フフフ…

288: 2014/07/28(月) 21:07:15.32 ID:kbWb6treO
でぃあ 律子さん

お疲れ様です!

どうやら、千早ちゃんをパートナーに

選んだみたいですね?

さっすが、お目が高いです!

それと、何か隠し事、してます?

ううん、怒ってませんよ?

むしろ、大歓迎です!

頭脳戦で律子さんと戦えるなんて、

こんな光栄な事、ありませんから!

あ、次のお願い、添付しておきました~

それでは、千早ちゃんと仲良くしてくださいね。


音無小鳥

290: 2014/07/28(月) 21:21:38.22 ID:kbWb6treO
飛空艇 船長室

コンコン

律子「どうぞ?」

兵士「失礼します!」ガチャ

律子「何?」

兵士「リツコ様、手紙が…」

律子「はぁ~…」

律子「そこ、置いといてくれる?」

兵士「はい!」スッ

兵士「失礼しました!」


ガチャ…バタン


律子「今度は何よ…?」

律子「…」

律子「…」

律子「…………ばれてる」

律子「っていうか何?小鳥さんのこの自信は…」

律子(まあ、今の私は、小鳥さんに逆らえないみたいだけど…)

律子(でも、さすがの小鳥さんも…)

律子(プロデューサーにはまだ気づいてないみたいね…)

律子「で、今度は何をしろってのよ…」

律子「…」

律子「…」

律子「そんな…!」

律子「…本当に、ここまでするの…?」

律子(まあ、選択肢は、ひとつしかない…か)

299: 2014/07/29(火) 18:37:16.86 ID:4UQU4sl2O
地下水脈前半

春香「わぁ、涼しい~」

やよい「はわー、ホントですねー」

春香「外と比べると、天国だよね」

春香(なんか、真夏にコンビニに入った時みたい…ふふ)

やよい「さーがんばって、あずささんを探しましょー!」

春香「おー!」




春香「ふぅ、ふぅ…」テクテク

やよい「るんるん」スタスタ

春香「け、結構、歩いたね…」

やよい「そうですかー?私はまだまだ平気ですよ?」

春香「やよいは元気だねー」




春香「ハァハァ…」トボトボ

やよい「ふんふーん」スタスタ

春香「や、やよい…少しやす…」

やよい「あっ!こんなところにカブトムシが!」

やよい「長介に持って帰ってあげたいかなーって」

春香「…」

春香(何、この体力の差は…)




春香「ゼェ…ゼェ…」ヨロッ

やよい「あーゆーれでぃ!あいむれいでぃ~」

春香(も、もう…無理…)

春香「あ…」ズルッ

ドテッ

春香「…」ゼェゼェ

やよい「は、春香さん!」タタタタ

やよい「だいじょーぶですかぁ?」

春香「ハァ、ハァ…ちょっと…休まない?」

やよい「はい、わかりましたー」



やよい「あっ、あそこ、出口じゃないですかぁ?」





300: 2014/07/29(火) 18:49:16.48 ID:4UQU4sl2O
地下水脈前半を抜けたフィールド

あずさ(困ったわ…)

パチパチ…

あずさ(あのタコさんをどうにかしないと…)

あずさ(先に進めないのね…)

メラメラ…

あずさ(あ…)

あずさ(お魚、焼けたみたい…)スッ

あずさ「はむっ…」

あずさ「!」

あずさ「身が引き締まっていて、美味しいわ」ウフフ

あずさ(お刺身にしてみても、いいかも…)

あずさ「…」

あずさ(うう…)

あずさ(お酒…飲みたいわ)





春香「もう、すっかり夜だ…」

春香(今晩、どこで寝よう…)

やよい「あっ、春香さん!あっちが明るいですー!」

春香「あ…ホントだ」

やよい「行ってみましょう!」

春香「そうだね!」

スタスタ…




春香「これって、テント?」

やよい「はう~キャンプですかね~?」ワクワク

春香「あの~」

春香「誰か、いますかぁ」

301: 2014/07/29(火) 18:59:56.31 ID:4UQU4sl2O
あずさ「は~い?」スタスタ


春香「…あ!」

やよい「あ!」

あずさ「あらあら~?」


春香「あずささ~ん、探しましたよぉ~」

やよい「うっうー!見つかってよかったですー!」

あずさ「春香ちゃん…!やよいちゃん…!」

あずさ(2人とも…無事でよかったわ~)

あずさ(というか、久しぶりに人に会った気がするわね~)

あずさ「あら?そういえば…」

あずさ「2人…だけ?」

春香「あ、ええとですね…」




春香「………と、いう訳です」

春香(こうして説明するのも…)

春香(もう何度目だろ…)

あずさ「あらあら、大変だったのねぇ…」

あずさ(2人とも…)

あずさ(私も、しっかりしなきゃ、ね)

やよい「…」グゥ

やよい「はっ!」

春香「…クスッ」

あずさ「あらあら…」ウフフ

やよい「あぅ……///」

302: 2014/07/29(火) 19:10:18.81 ID:4UQU4sl2O
春香「そういえば、お腹空いたね…」

あずさ「あ…じゃあ、お魚、食べる?」

やよい「え?いいんですかー?」

あずさ「もちろんよ!」

あずさ「丁度、ひとりじゃ食べ切れないな~って思ってたとこなのよ~」

あずさ「ちょっと待っててね?」

スタスタ…



あずさ「はい、どうぞ?」

ドッサリ

やよい「わー!たくさんありますねー!」

春香「あ、あずささん、これ、どうしたんですか?」

あずさ「獲ったのよ?」

春香「ひとりで?」

あずさ「もちろん!」ウフフ~

春香(あずささんのサバイバル能力がすごすぎる…)

やよい「じゃあ、いただきまーす!」モシャモシャ

やよい「!」

やよい「お、美味しいですー!」

あずさ「あら~よかったわ~」

あずさ「どんどん食べてね?」

春香「もぐもぐ…」

春香(あ…ホント、美味しい)

春香(調味料もないのに、不思議…)

春香「あ、そうだ」

春香「お水、あった方がいいよね…」

ゴソゴソ…

303: 2014/07/29(火) 19:30:11.91 ID:4UQU4sl2O
コロンッ

あずさ「あら?」

あずさ「何かしら?」

あずさ(………これは!)

あずさ「春香ちゃん、気がきくわね~」
ウフフ

春香「え?……あ」

春香「あずささん、それぽーしょ…」

あずさ「ゴクゴク…」

あずさ「ふぅ~」

あずさ「美味しいわぁ」

春香「あ、あずささん?」

あずさ「ら~いじょうぶよぉ~」ヒック

春香(あれ…?)

春香(ポーションって、お酒だったの…?)

あずさ「はるかちゃ~ん」ダキッ

春香「ちょ…あ、あずささん…!」ジタバタ

やよい「…はるかさぁ~ん」ギュ

やよい「な、なんだか…身体が熱いんです…」モジモジ

春香「や、やよいまで…?」

あずさ「ウフフ~楽しくなってきちゃったぁ」

あずさ「まだまだ宴はこれからよぉ~」

春香(プロデューサーさん)

春香(私、無事に明日を迎えられるんでしょうか?)

春香「や、やよい…そ、そんなトコ…あっ///」

あずさ「かわいいわ…春香ちゃん…」ムニュッ

春香「だっ、ダメ…」

春香「ああぁぁぁ~~!」




カイポの村

店主「ぁぁああああああ!!!」

…ガチャ

ものまね士「ちょっと、もう夜なんだから、静かにしてくだ…」

店主「オレの…」

ものまね士「?」

店主「オレの秘蔵の…」

店主「バッカスの酒が、無い!」

店主「楽しみにしてたのに…」グスン

ものまね士(…知らんがな)




304: 2014/07/29(火) 19:48:16.76 ID:4UQU4sl2O
ダムシアン城

ドゴーン! ズガーン!


「来たぞ!」

「空からなんて卑怯な!」

「女子供を避難させるんだ!」

ザワザワ…


アンナ「…どうやら、何者かが攻めてきたようですわね…?」

雪歩「こ、恐いですぅ…!」

タッタッタッタ…

兵士「王女!またこんな穴におられたのですか!」

雪歩「ひっ!」

雪歩(お、男の人~!)

アンナ「ユキホ様、私がついております…安心してください」ギュッ

雪歩「…アンナさん…」

アンナ「王女は私に任せていただけませんか~!」

兵士「わかった!頼んだぞ、アンナ殿!」

タッタッタッタッ…

アンナ「さあ、ユキホ様…」

アンナ「とりあえず、この穴から出ましょう?」

雪歩「えっ…でも…」

アンナ「大丈夫!ユキホ様は、何があっても私がお守り致しますわ!」

雪歩「あ、アンナさん…」

雪歩(こんなひんそ~でチンチクリンな私のために…)

雪歩(せ、せめて…足手まといにならないようにしよう…)


305: 2014/07/29(火) 20:07:33.90 ID:4UQU4sl2O
ズガーン!

兵士1「うわぁ!」

ドサッ

兵士2「大丈夫か!」

兵士3「まだ来るぞ!」

バロン兵「」ゾロゾロ

兵士2「くそっ!」



アンナ「…」キョロキョロ

アンナ「ユキホ様、こちらへ!」

雪歩「は、はい!」

タッタッタッタッ…




律子「…」スタスタ…

律子(…嫌な気分になるわね)

律子(さっさと引き上げたいわ…)

律子(千早とプロデューサーは、置いてきて正解ね)

律子(…所詮、私は駒に過ぎない…)

律子(…今は、ね)



王の間

アンナ「ここなら、少しは時間を稼げるでしょう」

兵士4「ですが、王はすでに討たれ…」

兵士4「城の周りも囲まれました…」

兵士4「もはや、逃げ道はないかと…」

アンナ「だから、何か策を考えるのです」

306: 2014/07/29(火) 20:29:27.63 ID:4UQU4sl2O
アンナ「最期まで、諦めてはいけません!」

雪歩(アンナ…さん)

兵士4「…わかりました!この扉は、我々が氏守します!」

アンナ「ええ、お願いします」



雪歩「アンナさん…強いんですね…」

雪歩「私、恐くて…足が震えちゃってますぅ」ガクガク

アンナ「ふふっ…私の足を見てください」

雪歩「?」チラ

ガクガク…

雪歩「あ…!」

アンナ「私も、ユキホ様と同じくらい、恐いんです」

アンナ「でも…私は、ユキホ様を守りたい」

アンナ「だから、ありったけの勇気を奮い立たせてるんです」

雪歩「…勇気」

アンナ「ユキホ様…」

雪歩「はい?」

アンナ「あなたは、すでに心に決めた人が、いるのでしょう?」

雪歩「えっ…あ、あの、その………うぅ///」

アンナ「…はじめから、わかっておりました」

アンナ「けれど、私はやっぱり、あなた以外は考えられません」

雪歩「そ、そんな…」モジモジ

アンナ「だから、決めたのです!」

アンナ「たとえ、あなたの心が私になくても、ユキホ様は私が守る…」

アンナ「あなただけは、氏なせませんわ」ニコッ

雪歩「あっ……」ドキドキ

雪歩(私も、強くならなきゃ…!)



アンナ「ところで…」

アンナ「想い人にはもう、気持ちを伝えたのですか?」

雪歩「うぅ…まだなんですぅ…」

アンナ「ユキホ様…時には壁に向かって行く勇気も…必要ですよ?」

雪歩「は、はい…頑張りますぅ…」

雪歩(真ちゃん…)


307: 2014/07/29(火) 20:50:31.24 ID:4UQU4sl2O
クリスタルルーム

律子(これが、クリスタル…)

律子(すごい輝き…ダイヤの比じゃないわね)スッ

律子「…」スタスタ…

律子(クリスタルも手に入れたし、もう帰りたいんだけど…)

律子(…サボったら、小鳥さんに何言われるかわからないわね)

律子(あら…?)

律子(ふふ…いつもと、逆ね…)



王の間前

兵士達「」

律子「…さて」

律子「行きますか!」

…ガチャ

アンナ「!」

雪歩「あ…」

律子「雪歩…久しぶりね」

雪歩「り、律子さん…!」

雪歩(よかったぁ…律子さんなら、なんとかして…)

ブゥン!

雪歩「きゃっ!」ドサッ

アンナ「ユキホ様!」タッタッタッタッ…

アンナ「大丈夫ですか!」ガシッ

雪歩「は、はい…」

雪歩(今…律子さんの方から、何かが飛んで来たような…)

律子「あら、はずしたわね」

雪歩「えっ?」

律子「雪歩…そういう事だから…」




律子「悪いけど…氏んで?」


ゴゥ…


シャキィーーン!


アンナ「ユキホ様!」バッ!

雪歩「あ、アンナさん!」









315: 2014/07/30(水) 20:13:33.04 ID:UGg6BdcOo
このスレ見て丁度セールしてたからFF4買ったわ

316: 2014/07/30(水) 20:39:25.33 ID:0bOTFPZ9O
地下水脈後半

あずさ「この先に、出口があるみたいなんだけど…」スタスタ

あずさ「タコさんが出口を塞いでるのよね~」

春香「タコさん…ですか」スタスタ

やよい「なんだか、あまり恐そうに思えないかなーって」スタスタ




3人「……」じーっ

オクトマンモス「zzz…」



春香「寝てる…ね」

やよい「寝てますね」

あずさ「寝てるわね~」

あずさ(そういえば、この間も寝てたわね~)

あずさ(ふふ…なんだか、美希ちゃんみたいね~)

春香「静かに行けば、平気…かなぁ」

あずさ「そうねぇ…」

あずさ(そもそもこの間は…)

あずさ(私が、便利な棒を落としちゃったから起きたのよね~)

あずさ(あら?忘れてたけど…)

あずさ(あの便利な棒、置いてきちゃったのね…)

あずさ(便利だったのに、残念ねぇ)


やよい「あのー」

やよい「通してくださいってお願いしても、ダメですかねー?」

春香「え…それは、どうだろう?」

あずさ「言葉が通じれば、いいんだけどね…」

やよい「言葉…」

あずさ「……あ」

あずさ「こういうのは、どうかしら…」

ヒソヒソ…


やよい「あずささん、すごいです!」

春香「いい考えですね…」

春香「やってみましょう!」

317: 2014/07/30(水) 20:49:48.47 ID:0bOTFPZ9O
あずさ「………」

あずさ「2人とも、準備はいいかしら?」

2人「はい!」

あずさ「じゃ、いくわよ…?」ポゥ…

あずさ「えいっ!」


ピシャァァーーン!


オクトマンモス「……」パチ

オクトマンモス「……?」キョロキョロ


あずさ「今よ、2人とも!」

2人「えーいっ!」


ドサドサッ


オクトマンモス「……!」

ズル… ズル…

春香「やった!魚の方に行った!」

あずさ「今のうちに、行きましょ!」

タッタッタッタッ…

オクトマンモス「モシャモシャ…」

オクトマンモス「……」チラ


あずさ「もう少し…!」タッタッタッタッ…

春香「あっ…」ツルッ

バッシャーン!

やよい「は、春香さん!」

あずさ「春香ちゃん、平気?」

春香「は、はい…すみません!」

オクトマンモス「グォーン!」

ズル… ズル…

春香「ああ…気づかれちゃった…!」

318: 2014/07/30(水) 21:01:33.17 ID:0bOTFPZ9O
やよい「タコさん!」バッ!

やよい「見逃してください!」ペコリ

オクトマンモス「グォォーーン!」

やよい「……え?」



あずさ「やよいちゃん!」

春香「やよい!」

春香「やよいは私が守る…!」グッ

やよい「春香さん、待ってください!」

春香「やよい?」



やよい「タコさんは、私達を襲う気は、ないそうです…」



春香「えっ…?」

あずさ「あらあら~」

やよい「はい、それどころか…」

オクトマンモス「グォン、グォン!」

やよい「『魚、うまかった。ありがとう』って言ってます!」



春香「や、やよい…タコさんの言ってる事、わかるの?」

やよい「はい!わかりませんけど、わかります!」

あずさ「やよいちゃん…その言い方は、ややこしいわ…」

オクトマンモス「グォン、グォォン!」

やよい「え?そうなんですか?」

やよい「へぇー!ありがとうございます!」



春香「会話、成り立ってるみたいですね…」

あずさ「え、ええ…不思議ね…」

320: 2014/07/30(水) 21:19:15.51 ID:0bOTFPZ9O
オクトマンモス「グォン、グォォン!(あ、そうだこの杖、おっOいねーちゃんのだろ?)」スッ

やよい「えっ……」

オクトマンモス「グォンォン!(返しといてくれよ)」

やよい「え…と、あ…の……うぅ///」

春香「やよい、どうしたの?」

やよい「…」チラ

あずさ「やよいちゃん?」

やよい「…」チラ

やよい「………」

やよい(あ、あずささんの方が…)

やよい(お、大っきい…かなぁ…って///)

やよい「あずささん…」スッ

あずさ「あら~、これ、便利な棒じゃない!」

あずさ「タコさん…どうも、お手数お掛けしました」ペコリ

春香(プロデューサーさん…)

春香(人は…)

春香(ううん、タコは、見かけによらないみたいです)



あずさ「それじゃ…」

あずさ「どうもお世話になりました~」

春香「タコさん、ありがとうございました!」

やよい「お元気で~!」

オクトマンモス「グォォーーン!(あんたらも、達者でなー!)」



春香「いい人…いや、タコでしたね」

あずさ「そうね~」

春香「ところでやよい、すごいね!」

春香「タコの言葉が、わかるなんて…」

321: 2014/07/30(水) 21:30:57.21 ID:0bOTFPZ9O
やよい「そうですねー!」

やよい「あっでも…」

あずさ「どうしたの?」

やよい「響さんと、カブってるかなーって」

春香(……確かに)

あずさ「あ、外に出るわ…」



ダムシアン砂漠

春香「また、砂漠…」トボトボ

あずさ「あ、あついわね…」トボトボ

やよい「そうですねー!」スタスタ

春香(やよい…元気すぎ…)

春香「あ…そういえば…」

春香「あずささんは、どこに向かってたんですか?」

あずさ「それが…私もよくわからないんだけど…」

あずさ「なぜか、こっちに向かわなければいけない気がしたのよね…」

あずさ(私の娘…か)

あずさ(どんな顔して会えばいいのかしらね)

春香「……あ!」

春香「あそこ、何かあるみたい」

やよい「町?でしょうか…?」

春香「それにしては、ちょっと大きいような…」

あずさ「…春香ちゃん?」

春香「ええ、とりあえず行ってみましょう!」

スタスタ…

323: 2014/07/30(水) 21:43:55.41 ID:0bOTFPZ9O
ダムシアン城 王の間

雪歩「あ…あ……!」ブルブル

アンナ「ユキホ…様…」ヨロッ

アンナ「無事で、よかった…!」ドサッ

雪歩(アンナさんが、私の身代わりに…!)

雪歩(あ、足が…動かないよぉ…!)ガクガク

律子「……」

律子(…もう、後には引けない!)

律子「さあ、雪歩…あとは、あなただけよ…?」ゴゴゴゴ…

雪歩「い…や…!」

雪歩「こ、来ない…で…!」ズリ…

律子「それは…無理な相談ね」スッ




アンナ「ユキホ様…気を…しっかり…!」

雪歩「あ、アンナさ…」

アンナ「…忘れて…しまったのですか…?」

アンナ「どうか…勇気を!」

雪歩「勇…気」

雪歩(そうだ…私、こんな自分を変えたくて…でも…)

律子「…」

律子(スキだらけなんだけど…)

律子(ま、いいか…)

律子(どうせ、雇われの身だし…)

アンナ「そうです…!あなたには…!」



アンナ「想い人が、いるのでしょう?」

雪歩「!!」

雪歩(真ちゃん…!)

324: 2014/07/30(水) 22:05:27.86 ID:0bOTFPZ9O
雪歩(私…ひんそーで、ちんちくりんで…)

雪歩(勇気、の欠片も持ってないけど…)



雪歩(真ちゃんを想うこの気持ちだけは!)

雪歩(誰にも負けない自信がありますぅ!)

雪歩(たとえ、相手が律子さんでも、邪魔は…させません!)

雪歩(アンナさん!ありがとうございますぅ!)



雪歩「……」チャキッ!

律子「ふむ…」

律子「まぁ、一方的なのも面白くないし、ね!」ボゥ…

律子(雪歩…あなた、そんな顔もできるのね…)

律子「…嬉しいわ!」バッ!


ゴオオォォーー!


アンナ「ユキホ様!」

雪歩「…大地に眠る元素達よ…我に、力を!」


雪歩「土遁!」


ザバァー!


律子「土遁て…いつもみたく掘ってるだけじゃないの…」

律子「え……?」

律子「な、何…あの早さ…!」

雪歩「…」ザバッ

シュンッ ザバッ

シュンッ ザバッ

シュンッ ザバッ

律子「な、何よ…あの土の量は…!?」


ザバァー! ジュ……!


アンナ(さすがですわ、ユキホ様!)

律子「雪歩…こんな力を持っていたなんてね…?」

雪歩「わ、私だけの力じゃないですぅ!」

雪歩「私と、アンナさんの…ふ、2人の力ですぅ!」

アンナ(2人の、初めての共同作業、ですわね…?)

アンナ(もう…大丈夫かしら…)

アンナ「ユキホ…様…」

雪歩「!」

雪歩「アンナさん!」タッタッタッタッ…

…ガチャ

325: 2014/07/30(水) 22:26:11.86 ID:0bOTFPZ9O
春香「…あっ!」

春香「雪歩!律子さん!」

雪歩「は、春香ちゃん…?」

やよい「雪歩さん!」

あずさ「律子さんも…無事でよかったわ~」

雪歩「み、皆…」

律子(このタイミングで…)

律子(さて、どうしようかな…)

律子「……」

あずさ「……?」



アンナ「お、お母様…!」ヨロッ

あずさ(あの子が…!)

あずさ(ひどい、怪我)

あずさ(残された時間は多くはないみたいね…)

あずさ(…私、母親らしく、できるかしら…?)グッ

スタスタ…

春香「あ、あずささん…?」

やよい「……?」

律子(引き上げる?)

律子(……)

律子(あと、少しだけ…)

律子(皆といたい…)

あずさ「……」ダキッ

アンナ「お母…様…!」ウルッ

あずさ「よく、頑張ったわね…」ナデナデ

アンナ「会いた…かった」ギュ

雪歩「アンナさんのお母さんって…あずささんだったんですか?」

あずさ「…そうね」

アンナ「ごめんなさい…私、ユキホ様が…忘れられなくて…!」

あずさ「いいのよ…?」

あずさ「雪歩ちゃんなら、惹かれるのも無理ないわ?」

雪歩「あ、あずささん?」

あずさ「私は…賛成よ?」

雪歩「あ、アンナさん…」

雪歩「こんな、ひんそーでちんちくりんな、私でよければ…///」

アンナ「ゆ、ユキホ様…!」

アンナ(嘘でも…嬉しいですわ!)

春香「蚊帳の外だよね…」

やよい「ちょっとだけ、さみしいかなーって…」

326: 2014/07/30(水) 22:45:37.26 ID:0bOTFPZ9O
アンナ「お母様…そこの…」

アンナ「リツコ…なる者…お気をつけください…!」

律子(まあ…そうよね…)

アンナ「あの者が…このダムシアンを滅ぼし、クリスタルを奪ったのです!」

あずさ「……!」

やよい「律子さん…?」

春香(ひょっとして…律子さんも、社長さんみたいに…?)

律子「…本当よ」

律子「あと、雪歩も…頃すつもりだったんだけどね…」

あずさ「……」

春香(…律子さん…!)

やよい「そ、そんな…う、嘘ですよ…」


アンナ「どうやら、時間…の…ようです…」

雪歩「あ、アンナさん!」ウルッ

あずさ「……」

あずさ「…安心して…お眠りなさい…?」ナデナデ

アンナ「お母…様…ユ…キホ様…あ、えて…よか……」ガクッ

雪歩「アンナさん!」グスッ

あずさ「……」ナデナデ

律子「…」

律子「…終わったかしら?」

あずさ「……」

雪歩「うっ…うっ…」ポロポロ

春香「律子さん…」

やよい「こ、こんなの…信じられないです…」

律子「悪いけど、私も暇じゃないのよね」

律子「4人相手でも、負ける気はしないけど…どうする?」

春香(どうする…?)

春香(誰も傷つけたくないよ…!)

春香(律子さん…)

やよい「こんなの…嘘です…」グスッ

雪歩「うっ…うっ…」ポロポロ

律子「……」

律子「じゃ、私行くわね?」クルッ

スタスタ…


あずさ「待ってください!」スタスタ…

327: 2014/07/30(水) 23:01:30.84 ID:0bOTFPZ9O
律子「あ、あずささん?」

律子「だから、暇じゃないんですってば!」スタスタ…

あずさ「律子さん、話してくれませんか?」スタスタ…

律子「それは無理です!」スタスタ…

あずさ「あら、じゃあ、何か訳があるんですね?」

律子「……あ」

律子「くっ……!」タッタッタッタッ…

あずさ「律子さん!」タッタッタッタッ…

春香「あ、あずささん!」

やよい「ううっ…」グスッ

雪歩「うっ…ううっ…」ポロポロ

春香「……」

春香(2人を置いて追いかけるなんて、できない)

春香(私がしっかりしなきゃ…!)

春香(2人が落ち着くのを待って…)

春香(それから、あずささんと律子さんを追いかけ…)

春香(ああ、違う!その前に、美希を助けないと!)

春香(アントリオン…だっけ?)

春香(どこにいるんだろう…?)

春香(離れ離れになった、千早ちゃんとプロデューサーさんも…)

春香(バロンに置いてきた響ちゃんも…)

春香(他の皆の行方も気になる…)

春香(やらなきゃいけない事は、たくさんある…)

春香(しっかりして!私…!)



345: 2014/07/31(木) 20:40:21.38 ID:sdD+//DNO
飛空艇付近

律子「……」

あずさ「……」

律子「…しつこいですね」

あずさ「ええ、しつこいです」

あずさ「律子さんが、心配ですから」

律子(あずささん…)

律子(気持ちは嬉しいけど…)

律子(私の計画には…邪魔ね…)

律子「あずささん…悪いけど…」

律子「……」スッ

あずさ「……!」

あずさ(私は…信じてる)

あずさ(律子さんは、こんなひどい事できる人じゃないって)

あずさ(きっと、何か考えがあるんだわ…)




千早「律子…?戻ったのね」

律子「…」クルッ

律子(…助かったのか、邪魔されたのか)

あずさ「千早…ちゃん?」

千早「…!」

千早「あずささん…!」

律子「千早、出発するわよ?」

千早「……」

千早「…いいのね?」

律子「当たり前でしょ?目的は果たしたの!」

律子「こんな所に、もう用は無いわ!」

千早(そんなに感情的になって…)

千早(…バレバレね)

律子「さあ皆!出発よ!」スタスタ

兵士達「おおー!」バタバタ




あずさ「…千早ちゃん、律子さんをお願いね?」

千早「……」

千早(………もちろんです)クルッ

スタスタ…

346: 2014/07/31(木) 20:46:14.49 ID:sdD+//DNO
あずさ「律子さん…」バサバサ…

あずさ「あなたのお陰で、やるべき事がわかったわ」

あずさ(アンナちゃん、ごめんね…?)

あずさ(あなたの仇、打てそうにないわ…)

スタスタ…

ガタン…

あずさ(う…すごい熱気…!)

あずさ(でも、我慢しなきゃ!)

あずさ(…律子さん、私は、しつこいんですよ…?)



ブワッ…



ババババババ…

347: 2014/07/31(木) 21:03:36.68 ID:sdD+//DNO
ダムシアン城 王の間

やよい「……」

雪歩「……」

春香(嵐は、過ぎ去った…)

春香(大きな爪痕を残して…)

春香(それでも…私達は、前に進まなきゃ)

春香(どうしよう…)

春香(とりあえず、気分転換とか、できないかな…)

春香(……)

春香(…そうだ!)

春香「ねえ、雪歩」

雪歩「…あ、ど、どうしたの?春香ちゃん…」

春香「雪歩…ってさ、この国の偉い人?」

雪歩「あ……」

雪歩「そ、その…」

雪歩「王女……みたい」

やよい「お、お姫様、なんですか?」

春香(やっぱり…)

春香(あとは、あれが壊されてなければ…)

春香「お姫様かぁ…雪歩にピッタリだね?」ニコッ

やよい「う、うらやましいですー」エヘヘ

雪歩「そ、そ、そんな事、ないよっ…」

雪歩「わ、私…なんて…」

春香「…ひんそーで、ちんちくりんで?」フフ…

やよい「穴ほって、うまってますー!」ニコニコ

雪歩「あ……」

雪歩「ふ、2人とも、ひどいよぉ~!」プンスカ

3人「あははは…」




春香「…で、お姫様に相談なんだけどさ」

雪歩「?」

春香「お風呂、入らない?」


348: 2014/07/31(木) 21:24:55.53 ID:sdD+//DNO
ダムシアン城 大浴場

やよい「はわー…とーっても、広いですー…」

やよい「銭湯みたい…!」

チャポン…

春香「あはは…やよいらしい感想だねー」

春香(お風呂…無事でよかったなぁ…)

雪歩「私も、まだ1回しか入ってないけど…」

雪歩「こんなお風呂なら、何回でも入りたくなっちゃうよね…」

春香「ホントだねー…」

ピチャ…

やよい「あの…雪歩さん?」

雪歩「どうしたの?やよいちゃん」



やよい「お…泳いでも…いいですか?」



雪歩「え…?あ、い、いいんじゃないかな…」

やよい「ホントですか?やったぁ!」バシャバシャ

やよい「こーんな広いお風呂、泳がなきゃ損ですよね?」

春香(やよい、かわいいなぁ)


やよい「うっうー!第一のコース!」

やよい「高槻やよい、いっきまーす!」

ザボーン! バシャバシャ…

雪歩「ふふ…やよいちゃん、元気だね」



雪歩「それにしても、春香ちゃん…」

雪歩「いきなり、お風呂入ろうだなんて、びっくりしたよ…」

春香「………私ね」

春香「お仕事とかで、嫌な事があった日は…」

春香「ぜーんぶ、お風呂で流して忘れちゃお、って…決めてるんだ」パシャッ

雪歩「……」

チャプン…





349: 2014/07/31(木) 21:38:38.57 ID:sdD+//DNO
春香「もちろん、今日の事は、忘れていい事じゃないけど…」

春香「気持ちを切り替えるのには、いいかな?って…」

雪歩「春香ちゃん…」

雪歩「そうだよね…皆…律子さんも、探さなきゃだよね…」グッ

春香「うん!」



バシャー!

やよい「1着、高槻やよい選手です!いぇいっ!」

春香「私も、泳ごうかなぁ」チラ

雪歩「え?は、春香ちゃんも…?」

春香「だって、こーんな広いお風呂、泳がなきゃ損、ですよ?」

やよい「あー!春香さんが、私のマネしましたー!」ザブザブ

雪歩「うふふっ」



やよい「そーいえば…」

やよい「雪歩さんって、お肌キレイですよねー」

雪歩「えっ?そ、そんな事、ないよ……///」

やよい「…触っても、いいですか?」

雪歩「へっ?あ、いや…」

ヒタッ

雪歩「ひゃんっ!」バシャッ

雪歩「は、恥ずかしいですぅ!」バシャバシャ

やよい「あ、待ってくださいよー!」バシャバシャ

春香「あっ、やよいだけずるい!私もー」バシャバシャ

雪歩「ふ、2人とも、恐いよ~」


バシャバシャ…


350: 2014/07/31(木) 21:49:21.13 ID:sdD+//DNO
ダムシアン城 更衣室

3人「ふぅ……」

春香「なんか、疲れちゃったね…」

雪歩「2人のせいだよっ」

やよい「でも、楽しかったですー!」





ダムシアン城 3階

春香「忘れてたけど…」

春香「アントリオンの情報、集めなきゃね」

春香「どこかに、無事な人はいないかな?」スタスタ…

ガチャ…

春香「あのー、どなたか…」

老人「……ん?」

老人「おお…あなたは、ユキホ様!」

老人「よくぞご無事で…!」

雪歩「はぅ……!」

雪歩(お、男の人ぉ…!)

春香「あの…ちょっとお尋ねしたいんですが…」

老人「なんじゃ、お前さんは?」

春香「あ、雪歩の友人ですー」ペコリ

老人「ほぉ…そうじゃったか…して、尋ねたい事とは?」

春香「アントリオン…って、ご存知ですか?」

老人「知っとるが…」


352: 2014/07/31(木) 22:04:14.65 ID:sdD+//DNO
春香「実は…友人が病気になってしまって…」

老人「高熱病か!」

老人「確かに、アントリオンの分泌液、砂漠の光で治療できるが…」

老人「アントリオンの住処は、徒歩では辿り着く事はできん」

やよい「えっ?歩いて行けないんですか…?」

老人「ああ」

老人「それに、まさかお主ら、ユキホ様を連れて行く訳ではあるまいな?」

老人「アントリオンの住処は、今や魔物の巣窟…そんな危険な所に…」

春香「あ…えっと」

春香(まずい空気?)

老人「ワシらの希望は、もうユキホ様だけなんじゃ…」

老人「頼むから、ユキホ様を危険な目に遭わせてくれるな…」

春香(そんな…)

雪歩「……」グッ

雪歩「………あ」

雪歩「あのっ!」

老人「ユキホ様?」

雪歩「わ、私の、友人でも、あるんですぅ…!」

雪歩「ど、どうか、教えてもらえませんか…?」

春香(雪歩……!)

老人「なんと、そうでしたか!」

雪歩「」ビクッ

老人「それなら!この爺の知ってる事は、全てお教えしますぞ!」

雪歩「ひぃ……!」

雪歩「あ、あり…がとう、ございますぅ…」


春香(雪歩、ありがとう…)

353: 2014/07/31(木) 22:17:49.44 ID:sdD+//DNO
ダムシアン城 外

春香「これが…ホバー船かぁ…」

やよい「この車…タイヤがついてないですねー」

雪歩「こ、こんな乗り物に乗って、大丈夫かな…?」ドキドキ



春香「…で、誰が運転するの?」

雪歩「春香ちゃん…」

やよい「春香さん…」

2人「お願いしますー」

春香(…ですよねー)

春香(一応、おじいさんに説明は受けたけど…)

春香(ちょっと…いや、かなり不安…)

スタスタ…

春香「…」じーっ

春香「…ふむふむ」

春香「…確か、ここをこうして…」


ドゥルルルル…


雪歩「」ビクッ

春香「あ…エンジン、掛かりそうかも」

春香「もっと強く…えいっ!」

ドゥルル…ルルルーン!

ドッドッドッドッ…

春香「掛かった!」

やよい「春香さん、すごいです!」

雪歩(こ、恐い…)

春香(なんか…車の免許が欲しくなったな)

春香「2人とも、シートベルトはした?」

雪歩「えっ?えっ?」キョロキョロ

やよい「春香さぁん、ないみたいですよー!」

春香「あ、そう…」

354: 2014/07/31(木) 22:37:19.33 ID:sdD+//DNO
春香(これがブレーキで、これがアクセル、かな…?)

春香(なんか、やれそうかも?)

春香「じゃ、どこかにしっかり捕まってね?」

春香(これをこうして…)



ブワッ…



やよい「わあ!浮きましたぁ!」ワクワク

雪歩「ひぃ……!」ブルブル

春香(よし!これで浅瀬も越えられるね!)

春香「じゃあ、行くよ…?」



春香「あーゆーれでぃ?」



やよい「あいむ、れいでぃ!」

雪歩「いや、心の準備が……」ガクガク



春香「レッツゴー!」


ゴオォォォーー!


ビューーーーー!


春香「わっ……!」バサバサッ

やよい「風が、気持ちいーですー!」

雪歩「ムリムリムリ……氏んじゃうよぉ~!」

春香(…っと、雪歩の事も考えてあげないとね)

春香(スピードを落として…)グイッ


ビュィィィーーーン!



雪歩「いやぁぁーー!」

やよい「はわっ!は、春香さん、早過ぎじゃ…!」

春香「あ、あれ?」

春香(あ!ブレーキとアクセル間違えた!)

やよい「は、春香さん!前!前!」

春香「えっ?あ…!」

雪歩「氏ぬ~!氏んじゃうよぉ~!」ガクガク

3人「いやぁーーー!!」

357: 2014/08/01(金) 22:00:29.02 ID:0PWbx3mjO
飛空艇

律子「……」

律子「………はぁ」

P「律子、どうしたんだ?」

P「ひょっとして、あのh…ぐえっ!」

律子「…引きちぎりますよ?」ギ口リ


ガタン!


グラグラ…


律子「……っと!」ヨロッ

P「わっ…なんだ?」

律子「ちょっと揺れましたね」

律子「この船、調子悪いのかしら…」


ガチャ…


千早「…律子、トラブルよ」

律子「…?」

千早「……」チラ


ドタドタ…


兵士「リツコ様!船に、怪しい者が…」

ズイッ


あずさ「あら~また会いましたね~」


律子「……」

P「!」

P「あ、あずささん!」

千早「動力室に、隠れてたみたいね」

律子「あずささん、なんて無茶な…」

あずさ「あら?今、プロデューサーさんの声が…」

P「あずささん、ここです!」ピョコッ

あずさ「あら~、しばらく見ないうちに…」

あずさ「ずいぶん可愛らしくなっちゃいましたね~」ウフフ

P「ええ、まあ…いろいろありまして…」






358: 2014/08/01(金) 22:09:04.02 ID:0PWbx3mjO
律子(…どうする?)

律子(予想外の行動さえなければ…)

律子(私の計画に、害はないはず…なんだけど)

律子(なるべく、不安要素は少ない方がいい)

律子「……」



P「……という訳なんです」

あずさ「あらあら、大変だったんですね~」

あずさ(居場所がわかってない子達は、無事かしら…)

あずさ(春香ちゃん達が見つけてくれるのを、祈るしかないわね…)




律子「それで、あずささん。どういう用件ですか?」

あずさ「さっきも言った通り、律子さんが心配だから…」

あずさ「ついて来ちゃいました~」

千早(律子のようなタイプの、天敵ね)

律子「……」

359: 2014/08/01(金) 22:21:20.37 ID:0PWbx3mjO
P(そういえば、おかしいぞ)

P(ゴルベーザ側に付くのは、味方キャラではカイン…千早だけのはず)

P(あずささんは、一体なんのキャラなんだ?)

P(だいぶ、話がズレてきたな…)

P(もう…オレの知識は、通用しないのか?)

律子「あずささん、私は、あなたの娘の仇のはずですが」

あずさ「わかってますよ…」

あずさ「それでも」

あずさ「あなたが私の、大切な人であることは、変わりませんよ」

P(娘………そうか!)

P(娘がいるのは、シドとテラだけ)

P(シドは響だから、あずささんは……テラだ)

P(……)

P(……なら、俺のすべき事は…)



律子(いっその事、千早と同じように…)

律子(…いえ)

律子(この人は、おそらく…)

律子(何があっても、私を裏切らない)

律子(……)

律子(いつも理詰めの私が、感情論に流されるなんてね)

律子「…わかりました」

360: 2014/08/01(金) 22:29:08.88 ID:0PWbx3mjO
律子「ただし、ここでの長は私です」

律子「私の指示には、従ってもらいますからね?」

あずさ「もちろんです!」ウフフ

律子「じゃあ、あずささん。早速ですけど…」



律子「次の仕事に、ついてきてもらいます」



律子「千早、あなたもね」

あずさ「ええ、わかりました」

あずさ(律子さんが暴走したら、私が…)

千早「わかったわ」

千早(クリスタル…というモノを、奪いに行くのね)

千早(春香…)


P「千早……千早!」ヒソヒソ

千早「なんですか?」

P「ちょっと、話があるんだが」

律子「……」

361: 2014/08/01(金) 23:37:53.79 ID:0PWbx3mjO
カイポの村 宿屋 1号室

美希「zzz…」

ものまね士「…」フキフキ

美希「…はにぃ…」ムニャ

ものまね士「ふふっ…」

ものまね士(ハニーさんの事、大好きなのね…)

コンコン…

ものまね士(ハニーさんて、どんな人かしらね…)

ガチャ…

ものまね士(やっぱり、逞しくて、優しくて、カッコ良くて…」

ものまね士「王子様みたいな…」

店主「誰が王子だって?」ヌッ

ものまね士「ぎゃー!」

店主「わっバカ…!」シーッ

ものまね士「~~~!」

店主「悪かったよ…ノックはしたんだけどな…」

ものまね士「女性の部屋なんだから、返事を待つくらい…」

店主「だから、悪かったって」

美希「…むにゃ…」

ものまね士「……」チラ

店主「…で、誰が王子様なんだ?」

店主「ひょっとして、オレの事か?」

ものまね士「そんな事、ある訳ないでしょ!バカ!」

店主「そんな怒らなくたって…」

ものまね士「…美希さんの王子様は、どんな人かなぁ、って…」

美希「…はにぃ…」

店主「気になるのか?」

ものまね士「別に、そこまで…」

店主「…あんたさ、その娘に惚れてるだろ?」

ものまね士「ばっ!そ、そんな…!」

店主「だってさ、血の繋がりがある訳じゃないのに…」

店主「普通、ここまでできないぜ?」

ものまね士(…確かに)

ものまね士(なんで私、こんなに美希さんの世話を焼いてるの…?)

ものまね士(ほっとけないできないだけ?)

ものまね士(客観的に見たら、やっぱり…その…)

ものまね士(ほ、惚れてるように見えるのかしら…///)

ものまね士「~~~!」ジタバタ




362: 2014/08/01(金) 23:45:09.77 ID:0PWbx3mjO
店主(やっぱ、惚れてるだろ…)

ものまね士「そっ、そんな事より!何の用ですか?」

店主「ああ、腹減ってるかな~と思って…」

店主「メシ、作ったんだが…食うか?」

ものまね士「そんなにお腹は空いてないけど…」

美希「…むにゃ…おにぎり…」

ものまね士「…」グゥ

ものまね士(くそー!)

店主「ははは!まあ、気が向いたら食堂に来いよ」

スタスタ…

ガチャ…バタン



ものまね士(女同士で…なんて)チラ

美希「…はにぃ…」

ものまね士(ありえないの!)



スタスタ…

ガチャ…バタン

364: 2014/08/02(土) 00:04:14.97 ID:HJ1Us27uO
アントリオンの巣

雪歩「ホント、氏ぬかと思ったよぉ…」スタスタ

やよい「私も、もうダメだーって思いましたー」スタスタ

春香「2人とも…ホント、ゴメンね…」トボトボ

春香(なんとか無事に着いたからよかったけど…)

春香(さすがに『テヘッ、事故っちゃいました~』じゃ、済まなかったよね…)

春香(あーあ…私ってなんでこう、ドジなんだろう…)

春香(…カッコ良く、決めたかったなぁ)


ズズ…


グラグラ…


春香「わ…っと」ヨロッ

雪歩「な、何?」

やよい「地震、ですかね?」


……


春香「収まった…かな?」

雪歩「ホッ……」


「……ォォァァアアア!」


やよい「……!」

雪歩「ひっ…!」ズサッ

春香「も、もしかして、アントリオン…かな?」

やよい「…たぶん、そーだと思います」

雪歩「や、やよいちゃん、わかるの?」

春香「あ、雪歩、やよいはね、魔物の言葉がわかるみたいなんだ」

雪歩「へ、へぇ…す、すごいね…」

雪歩(すごいっていうか、恐いよ…)

春香「…で、なんて言ってるの?」


やよい「…ヒマだー!って…」


春香(ヒマなの?まあ、何もなさそうなトコだしね…)

春香(あ…なんとなく、嫌な予感が…)

365: 2014/08/02(土) 00:20:57.13 ID:HJ1Us27uO
アントリオン「ゴアアァァー!」


春香(何だっけ、アレ……アリジゴク…?)

春香(それも…すごく大きい…!)

雪歩「あ……」ガクガク

春香「やよい、通訳お願い」

やよい「オレ様と遊んでくれー!」

やよい「だ、そうです」

春香「あ、遊ぶって…」

春香(何するの…?)

雪歩(こ、こんな大きなお友達と、遊べる訳ないですぅ!)

やよい「何して遊びますかぁ?」

春香「や、やよい!?」

雪歩(やよいちゃんやめてー!)


アントリオン「ゴアアァァーー!(そうだなー、オレ様、身体なまってるからなー)」

アントリオン「ゴアアァ!(ちょっくら、バトルでもするか!)」


やよい「…って言ってますけど、どうしますかー?」

雪歩(無理ー!)フルフル

春香「ば、バトルって言っても…ねぇ…」

春香(でも、この流れなら…)

春香(なんとなく、危険は少なそうな…)

春香(あ、そうだ)

春香「やよい、ちょっと…」


ごにょごにょ…


やよい「わかりましたー!」

367: 2014/08/02(土) 00:30:41.59 ID:HJ1Us27uO
やよい「アントリオンさぁん!」

アントリオン「……?」

やよい「わたしたちが、ばとるに勝ったら…」



やよい「あなたの、ぶんぴちゅっ……」



やよい「あ、あぅ……///」

春香(やよい、がんばれ)

雪歩(やよいちゃんかわいい…恐いけど)


アントリオン「ゴアア!ゴアアァー!(あーわかってるって!ここに来る奴の大半がそれ目当てだからなー)」

やよい「はわ、ありがとうございますー!」




アントリオン「ゴアアァ!(じゃ、そろそろ始めるか!)」



やよい「うっうー!ばとる開始です!」



368: 2014/08/02(土) 00:43:53.03 ID:HJ1Us27uO
春香「……」ジリッ

やよい「……」ドキドキ

雪歩(ど、どうしよう…始まっちゃったよ~!)



アントリオン「ゴアアァーー!(なんだ、来ないのか?じゃ、こっちから行くぞ!)」


ズズッ…


ブォン!


春香「やよい、危ない!」ダッ

やよい「わわっ!」バッ


ドサッ!


春香「やよい、平気?」

やよい「あ、ありがとうございますー!」

雪歩「あ…あ…!」


ユキホ
たたかう
うたう
→かくれる
アイテム



雪歩「ムリですぅ!」


ザクザクザクザクザク…


春香「雪歩!」

春香(下が砂でも関係ないんだね…)

やよい「雪歩さんっ!」


アントリオン「ゴアアァァーー!(オイオイ、ここは砂地だぜ?人間が簡単に掘れるわけ…)」



雪歩「うぇぇーーん!」

ザクザクザクザクザク…

370: 2014/08/02(土) 00:56:56.26 ID:HJ1Us27uO
アントリオン「ゴアァァー!(なっ?人間の力で、あそこまで…!)」

アントリオン「ゴアアアア!(クソッ、このオレ様が、得意分野で負けてられねー!)」


ズザザザザ…


やよい「…もぐっちゃいました」

春香「……だね」

春香(雪歩、大丈夫かな?)



雪歩「ひーん!追って来ますぅ!」


ザクザクザクザクザク…


アントリオン「ゴアア!(負けるかよ!)」


ズザザザザ…


雪歩「ふ、振り払えない…!」

雪歩「なかなかやりますね…!」

雪歩「こうなったら…!」


雪歩「レベルアップで、シャベルアップですぅ!」シャキーン!

雪歩(スコップだけど…)


ザクザクザクザクザザクザクザクザクザクザク…


アントリオン「ゴアアァー!(こ、このオレ様が、追いつけない…だと?)」


ズザザザザ…


アントリオン「ゴアァ!(ば、バカな…!)」


ズザザザザ…

372: 2014/08/02(土) 01:07:56.15 ID:HJ1Us27uO
ズズ…


ズズズ…


春香「暇だねー」

やよい「ですねー」


ドサァッ!


春香「うわっ!」

やよい「はわわっ!」


雪歩「ハァ、ハァ…」ヨロッ

春香「雪歩!」ダキッ


ズザァッ!


アントリオン「……」


春香「ど、どうなったの?」

やよい「雪歩さん…アントリオンさん…」



アントリオン「ゴアアアァァ!(いやぁー!久々燃えたぜ!)」

やよい「アントリオンさん…」

アントリオン「ゴアアァァーー!(負けたよ…。人間にしちゃ、やるじゃねーか!)」

やよい「えっ?じゃあ…」

アントリオン「ゴアアァァー!(約束だからな、持って行きな!)」



ペッ! ビチャ!



3人「」

375: 2014/08/02(土) 01:17:01.95 ID:HJ1Us27uO

ピカーーー!



春香「すっごい光ってる…!」

春香(つばが…)



アントリオン「ゴアァァァーー!(楽しかったぜ、嬢ちゃん達!)」

アントリオン「ゴアアァーー!(じゃ、オレは寝るからよ!元気でな!)」

やよい「あ、ありがとう…ございました?」

やよい(つばを…)


ズザザ…




春香「これ…どうする?」

やよい「ど、どうしましょう…?」

雪歩「汚いですぅ」

春香(雪歩、それは言っちゃダメ)




春香(美希、なんか…ゴメン)

379: 2014/08/02(土) 01:43:35.17 ID:HJ1Us27uO
>>378
今日は、ここまで…


次回は、ファブール攻防戦くらいまで行けたらいいな
【アイマス×FF4】P「ゲームの世界に飛ばされた」【中編】

引用元: P「ゲームの世界に飛ばされた」