結衣「二人とも、さっきから何を話してるの……？」ｶﾞﾀｶﾞﾀ

八幡「何って、誰も相談に来ねえし雪ノ下とたまたまはやみんの事で盛り上がってただけだけど」

雪乃「勝手な事を言わないでもらえるかしら自意識過剰谷君。今日は相談者がいないようだからたまたま昨日観たドラマの話をしただけに過ぎないわ！ それと、次はやみんの事をはやみんと言ったらネット掲示板にあなたの有る事無い事を書き込んでこの学校に居られなくするわよ！」

八幡「おい、それ普通に名誉毀損だろ！つうか、お前の今のその発言脅迫だぞ。八幡本当に不登校になるよ」ｶﾞｸﾌﾞﾙｯ

結衣「はやみんって……ひょっとして、最近デビューしたばかりの若手女優の早見沙織ちゃんのこと？」

雪乃「あら、由比ヶ浜さんも知っているのね。まあ、彼女くらいになれば知られていても当然よね。あ、因みにこれがこの間雑誌に載っていたはやみんの写真よ」っ


八幡「なんだよ、由比ヶ浜もはやみんのファンなのか？」

結衣「いや、ファンというか……、結構雑誌でも見るし名前は知ってるよ。そこまで詳しくないけど。ほら、昨日やってたドラマにはやみん出てたしね！」

雪乃「ええ！ 日曜ドラマ『下町ロゴムロケット』でのはやみんの演技は気迫があってとても素晴らしかったわ。そのおかげもあってドラマはテレビ離れが叫ばれるこのご時世において平均視聴率40%を記録しているのよ！！」ﾄﾞﾔｯ

八幡「いや、だからお前が褒められたわけじゃねえのにドヤ顔すんなよ。それと、はやみんはまだ駆け出しでしかもそのドラマでは毎回一台詞あるかないかの脇役だろ」

雪乃「人生の脇役である比企谷君にそんな事を言われてしまったら、はやみんも困ると思うのだけれど」

八幡「俺は自分の人生ですら脇役なのかよ！？」

結衣(むうっ、ゆきのんばっかしズルいし！！ 私もそのドラマ観てたのに、ヒッキーと勝手に盛り上がってぇーーーー！！)ｶﾞﾊﾏﾌﾟﾝﾌﾟﾝ

結衣(ここはゆきのんに負けてらんない、私も話題作ってヒッキーとの距離を縮めないと///)


結衣「ね、ねえ二人とも？ 若手なら東山奈央ちゃんって子も可愛いよね！！ 」

八幡「東山奈央って……ああ〜なおぼうのことか。確かになおぼうもチラホラ見るよな」

雪乃「なおぼう………？ ごめんなさい由比ヶ浜さん、私はそのなおぼうなるものをよく知らないのだけれど、私の考えが正しければ、それは麻婆豆腐のことかしら？」

結衣「違うしーーーー！！ なおぼうってのは東山奈央ちゃんのニックネームだよ。早見沙織ちゃんがはやみんと呼ばれているのと同じだし」

雪乃「なるほど。それで、その東山奈央さんという若手女優さんは可愛いのかしら？まあ、どうせはやみんの足元にも及ばないのでしょうけど」

八幡「そういや俺も、名前は知ってっけど顔をよく見た事ねえな」

結衣「ほら、丁度同じ雑誌のこのページに載ってるよ」っ



雪乃「初めて見る顔ね。まあ、確かに可愛いけれどそれほど将来が有望とは思えないわね。はやみんと違って役者としてのオーラに欠ける気がするわ」

結衣「ちょッ、ゆきのん流石に言い過ぎだし！！ なおぼうは演技も上手で頭だって良くて性格だってむっちゃ良いんだかんねぇーーーー！」

雪乃「こんな独り身の寂しい哀れな成人男性達からしか支持を得ないような、よく声優にでもありそうな口リ顏になんの希少性があるというのかしら。精々、大きなお友達からチヤホヤされているのに満足してる程度の安いタレントに成り下がるがオチよ。そんなんでよく天下のはやみんと張り合おうとしたわね………由比ヶ浜さん、恥を知りなさい！！」ﾋﾞｼｯ

結衣「うえぇぇーーーーん、ゆきのん酷いよ！！そこまで言わなくってもいいじゃんーーー！！」ｼｸｼｸ

雪乃「由比ヶ浜さん、悲しいけどこれが現実なのよ。比企谷君、あなたもそう思うでしょう？」

八幡「…………………」

雪乃「比企谷君、何を黙り込んでいるのかしら？」

八幡「………………か、かわいい」ﾎﾞｿｯ

雪乃・結衣「えっ！？」

八幡「なおぼう………マジ天使///」

雪乃「なッ！？」

結衣「ヒ、ヒッキー////」ｷﾗｷﾗ

八幡「何この子、天使なの？ 女神様なの！？ マジ愛くるしいんだけど………こんな衝撃を受けたのは戸塚以来だ。戸塚と同レベルかそれ以上の可愛さと言っても過言じゃねえぞ……マジでッ！！」

結衣「ちょ、ヒッキー落ち着いてよ/// てゆうか、そこまで言うと何かキモいしーーー！！」

結衣(てゆうか、ヒッキーの可愛い基準ってさいちゃんなの？ 何か複雑なんだけど………)

雪乃「比企谷君、あなた一体何を言っているの！？」ｱｾｱｾ

結衣「なんかゆきのんが慌てだしたんだけど！」

八幡「何をって、俺はただ思ったことを正直に言ったまでだが」

雪乃「今からでも遅くはないわ。よく考えてからものを言いなさい！ こんな勘違い声優にいそうなありふれた顔にコロッとやられてしまうだなんて……あなたの目はそこまで腐っていたというの！？」

結衣「ゆきのん、これ以上なおぼうをdisるの止めてよーーーーッ！！」

八幡「…………………」

結衣「あれ、ヒッキーがまた黙り込んだんだけど………」

八幡「おい、雪ノ下……」

雪乃「な、何かしら比企谷くん？」

八幡「なおぼうのことを悪く言うんじゃねぇーーーーーよ！！！」

ﾊﾞｼｰｰｰｰﾝｯ！！

雪乃「ｸﾞﾊｧｧ！！！？」

結衣「なッ、ヒッキーがゆきのんのことをビンタした！？ そんでゆきのんが倒れたぁーーーーー！！」

雪乃「な、何をするのよ下種谷君ッ！？ 私のような絶世の美女に手をあげるだなんて………最低よッ！！」

八幡「黙りやがれ！！ 大天使なおぼうを馬鹿にしやがって…………この際だからはっきり言うけどな、早見沙織だなんて所詮は大沢あかねの上位互換みてえなもんだろーーーーー！！」

雪乃「ガーーーーーーーン！！！」

結衣「ちょ！？ ヒッキーもう止めて！！流石に大沢あかねは言い過ぎだよ。ほら、ゆきのんショックのあまり泣き出しちゃったじゃん！！」

雪乃「そそ…そんな、大沢あかねの上位互換だなんて。あまりにも酷すぎるわ……………うぅぅぅ」ﾕｷﾉﾝｼｸｼｸ

結衣「もう、ヒッキーいくらなんでも女子相手に大沢あかね似だなんて可哀想すぎるよ！ 」

八幡「フンッ」ﾊﾁﾏﾝﾌﾟﾝﾌﾟﾝ

結衣(あ、怒ってるヒッキーちょっと可愛いかも////)

この日から、俺達奉仕部は大きく変わった。

どういうわけか総武高校にはなおぼうファンが男女問わず多く存在しており、雪ノ下がなおぼうをdisった事が学校中へと知れ渡り、雪ノ下は学校中の生徒全体から嫌われてしまった。
さすがの雪ノ下も学校中の生徒達を相手に強気になる事は出来ず、更に今回の事はなおぼうをdisった雪ノ下に完全に落ち度があり、先生達も救いの手を差し伸べずにいた。
これを機に雪ノ下は居た堪れなくなったのか不登校を繰り返すようになり、遂には自ら学校を退学した。一部の生徒から「大沢あかね」というあだ名をつけられ、そう呼ばれた事がかなりショックだったのではという噂もある。
雪ノ下亡き後、奉仕部は俺と由比ヶ浜の二人だけで存続する事となった。

それから、皮肉な事に丁度雪ノ下が辞めてから直ぐ後の時期に、なおぼうは大ブレイクを果たす。ドラマや映画で主演クラスのキャスティングで多数出演するようになり、戸塚にも引け劣らない愛くるしいキャラに親しみを覚えた一般層にも受け、なんと現在のレギュラー番組の本数が17本。
すっかりお茶の間の人気者と化したなおぼうだが、その後ハリウッド映画からも直々にオファーが殺到し、20代前半という若さにして前人未到とも言えるありとあらゆる賞を欲しいままとした。
なおぼうは、精々頑張っても大きなお友達ぐらいしにか支持されないような残念声優路線を歩む事なく、様々な人からの指示のもとで順風満帆な道を歩いている。
因みに、はやみんこと早見沙織もなおぼうの活躍の影に隠れるようにそれなりに活躍したが、つい最近になって歳上の知人男性と結婚をしたようだ。まあ、好きな人と結ばれたのだし、はやみんははやみんで幸せ者と言えよう。おめでとうはやみん。因みに、その相手の男性は杉田という名前の役者さんだそうだ。

あれから数年という月日が流れ、俺と由比ヶ浜……いや、結衣は交際を経て結婚をした。
最初は専業主夫を希望してた俺も、どういうわけだが積極的に身体を動かし働く事に生き甲斐を感じている。養うべき妻と、そしてそのお腹の中に子がいるからだ。
どうやら女の子らしく、このまま順調に行けばもう直ぐ生まれるらしい。
名前はもう決めてある。東山奈央のように素晴らしい女性になるようにと"奈央"と名付ける予定だ。



結衣「はい、八幡お弁当。今日もお仕事頑張ってきてね！」

八幡「おう。そんじゃ行ってくるわ」

結衣「えっ」

八幡「な、なんだよ……？」

結衣「もう、八幡ってば……忘れ物だよ///」



ﾁｭｯ

八幡「ッ///」

結衣「えへへへ、気を付けて行って来てね///」

八幡「お、おう………///」


END

主ひはやみんになんか恨みでもあるんか？

>>21

いえ、ないです。
普通にお芝居の上手な方だなと思ってます。

キャラに自分の気持ちを代弁させるのはやめろと何度も言っただろ