1: 2013/05/04(土) 19:25:36.73 ID:8kNNQeGG0
エレン「ああ、そうだな……」

サシャ「ええ、本当に……」

エレン「……」

サシャ「……エレン」

エレン「ん?」

サシャ「なぜ私たちは二人揃って営庭を走らされているんですか?」

エレン「食料庫に忍びこんだところを教官に見つかったからだろ……」

サシャ「そうでした……はぁ」

4: 2013/05/04(土) 19:26:26.09 ID:8kNNQeGG0
サシャ「エレンもついていませんよね、初めて挑戦した日に教官と遭遇するなんて」

エレン「サシャの誘いにのった俺が馬鹿だった」

サシャ「私は楽しかったですよ」

エレン「はぁ?なんでだよ?」

サシャ「エレンが隣にいましたから。今までは一人きりだったので、心細いときもあったんです……」

エレン「……」

サシャ「あの……エレン?次に忍び込むときも一緒にきてくれますか?」

エレン「サシャ……ったく、お前ってやつは」

サシャ「エレン……!」

エレン「一人で行け」

サシャ「そんなっ!?」

7: 2013/05/04(土) 19:31:32.16 ID:8kNNQeGG0
サシャ「あ、あっさり断りましたね」

エレン「当たり前だろ。二度といくか」

サシャ「そんな……私を一人にするんですか!?」

エレン「心細いか?」

サシャ「寂しいです!辛いですよ!」

エレン「そっか……じゃあ、これをサシャに渡しとく」スッ

サシャ「これは……蒸かした芋、ですか?」

エレン「ああ。俺が初めて食料庫から盗んだ芋だ。それを俺だと思ってくれ」

サシャ「エレン……ありがとうございます。芋エレンのこと、大切にしますね!」

エレン「変な名前つけんな」

8: 2013/05/04(土) 19:34:56.37 ID:8kNNQeGG0
エレン「……なぁ、サシャ」

サシャ「はい?」モグモグ

エレン「早速食べてんじゃねぇよ!!俺の上半身どこいった!?」

サシャ「エレンの上半身ですか?それなら目の前にありますけど……」モグモグ

エレン「いや、俺じゃなくて芋エレン(仮)の」

サシャ「……あ」モグモグ

エレン「……」

サシャ「ふふ、食べちゃいました!」

エレン「許すと思うか?」

9: 2013/05/04(土) 19:40:26.84 ID:8kNNQeGG0
エレン「サシャは食べ物を目の前にすると、もう食べずにはいられないんだな」

サシャ「はい……」

エレン「まぁ、あまり気にするなよ。それもサシャの個性だからな」

サシャ「本当にすいませんでした……」

エレン「だから、別に―――」

プーッ

エレン「」

サシャ「」

サシャ「あ、あはは……」

エレン「……サシャ・ブラウス訓練兵」

サシャ「は、はっ!」

エレン「放屁してちょっと加速したな」

サシャ「してませんっ!」

10: 2013/05/04(土) 19:45:52.45 ID:8kNNQeGG0
サシャ「エレンは意地悪です……」

エレン「悪かったって」

サシャ「私だって好き好んで放屁してるわけじゃないんですからね?」

エレン「わかってる。それにしても、さっきのサシャの屁……」

サシャ「ま、まだ続けるんですか?」

エレン「なんか可愛かったよな」

サシャ「……え?」

14: 2013/05/04(土) 19:52:14.46 ID:8kNNQeGG0
エレン「なんていうか、ああいう屁なら別に気にならないよな」

サシャ「……」ススッ

エレン「? なんで俺から離れるんだよ?」

サシャ「だって、エレンは……屁に好意を抱いたんですよね?少し、怖いです……」

エレン「勝手に人を変態にするんじゃねぇ!」

サシャ「クリスタとどっちが可愛いですか?」

エレン「クリスタ。って、なんてこときいてんだ!クリスタに失礼だろ」

サシャ「す、すいません、つい興味本位で……」

エレン「ちなみに、屁とサシャなら屁が勝つ」

サシャ「」

16: 2013/05/04(土) 19:59:14.53 ID:8kNNQeGG0
サシャ「」

エレン「おーいサシャ!帰って来い」

サシャ「……ハッ!?す、すいません、気を失ってました」

エレン「ショックだったんだな」

サシャ「はぁ……まさか自分の屁に負かされるとは思いませんでした。手塩にかけて育てた子供にコテンパンにされた気分です」

エレン「屁は息子でも娘でもないぞ。サシャが生みの親であるのは確かだけど」

サシャ「父親は芋エレンですね」

エレン「あ、だから可愛いって感じたのか。芋とはいえ、俺だもんな」

サシャ「なるほど!そういうことですか」

エレン「……」

サシャ「……」

エレン「真面目に走るか」

サシャ「はい」

18: 2013/05/04(土) 20:13:05.95 ID:8kNNQeGG0
エレン「……」タタタッ

サシャ「……」タタタッ

エレン「ただ黙々と走るのってしんどいな……」

サシャ「わたしはもう慣れっこですよ」

エレン「場数踏んでるもんな」

サシャ「はい」

エレン「走ってるときって何考えてたんだ?」

サシャ「ご飯のことです!」

エレン「だろうな」

サシャ「あ、しりとりとかもしてましたね」

エレン「一人でしりとり?なんか切ないな」

19: 2013/05/04(土) 20:17:12.80 ID:8kNNQeGG0
エレン「暇つぶしにちょっとやってみるか、しりとり」

サシャ「いいですね、やりましょう!きっと楽しいですよ!」

エレン「まぁ、一人でやるよりはな。普通のしりとりでいいか?」

サシャ「うーん……あ、同期の名前縛りとかどうです?」

エレン「おう、いいぜ。先に勝ったほうが負けたほうに何でも一つ命令できるってルールも追加だ」

サシャ「おお!俄然盛り上がってきました!」

21: 2013/05/04(土) 20:18:53.20 ID:8kNNQeGG0
エレン「俺からいくぞ」

サシャ「どんとこいです!」

エレン「じゃあ、ハンナ」

サシャ「ナック!」

エレン「クリスタ」

サシャ「タ……タ……」

エレン「早くしろよ」

サシャ「……タ、タルトルト」

エレン「誰だよ!?」

サシャ「い、いるんですよ!」

24: 2013/05/04(土) 20:29:43.62 ID:8kNNQeGG0
エレン「ベルトルトの親戚か?」

サシャ「あー、はい、多分……」

エレン「……そっか。んじゃ、"ト"だからトーマス」

サシャ「ス……スイナー」

エレン「何をだよ!?ナ……また"ナ"か。ナ、ナ……」

サシャ「ふっふっふ、ギブアップですか?」

エレン「いや、ちょっと待て……そうそう、あいつがいたな、ナカサ」

サシャ「ナカサ!?ミカサじゃなくてですか!?」

エレン「あぁ、いってなかったか?ミカサって七人姉妹なんだぜ。ミカサは三番目で、ナカサは一番下」

サシャ「へー、そうなんですか!」

26: 2013/05/04(土) 20:36:12.87 ID:8kNNQeGG0






サシャ「アニ!」

エレン「ニカサ。二番目の姉だな」

サシャ「サシャ!」

エレン「ヤカサ。八番目の妹で、さっき生まれた」

サシャ「えぇっ!?そんなことあり得るんですか!?」

エレン「はは、嘘に決まってんだろ」

サシャ「やっぱり!」

エレン「まぁ、先に嘘ついたのはサシャだけどな」

サシャ「うっ……ば、ばれてましたか」

エレン「当たり前だろ。タルトルトってお前……」

サシャ「すいませんでした……芋エレンの下半身を分けてあげるので許してください……」スッ

エレン「いらねーよ!」

29: 2013/05/04(土) 20:43:53.72 ID:8kNNQeGG0
エレン「俺の勝ちだな!」

サシャ「先に嘘をついたのは私ですしね……負けました」

エレン「なんて命令すっかな~」

サシャ「い、痛いのとかは嫌ですからね?」

エレン「そうだな……じゃあ、俺を氏ぬ寸前まで追い込んでもらおうか」

サシャ「……え?」

エレン「もう走るのやめたいんだよ……全然疲れねぇ……」

サシャ「あ、そういうことですか。よかったぁ」

33: 2013/05/04(土) 20:50:02.71 ID:8kNNQeGG0
サシャ「でも、エレンを疲れさせるには具体的にどうしたらいいんでしょう?」

エレン「それを考えてくれっていってんだろ」

サシャ「うーん……、あ!私をおんぶして走ってみたらどうです?負荷がかかるから疲れますよ」

エレン「それ、サシャが楽したいだけだろ」

サシャ「違います!私はエレンにおんぶしてもらいたいだけです!!」

エレン「お、おう、そうか。ん?納得していいのか?」

サシャ「早速やってみましょう!」

35: 2013/05/04(土) 20:56:46.78 ID:8kNNQeGG0
サシャ「よいしょっと……」

エレン「サシャって体重何kgあるんだ?」

サシャ「55kgです」

エレン「168cmの55kgか。バランスいいな」

サシャ「あ、私の身長知っててくれたんですね」

エレン「俺と近いからな。抜かれたらなんか嫌だろ?」

サシャ「私、そういうの気にしませんよ?」

エレン「俺がするんだよ。だからサシャ、明日から飯抜きな」

サシャ「そんな!エレンがいっぱい食べて大きくなればいいじゃないですか!」ペシペシ

エレン「尻を叩くな!俺は馬じゃねぇ!!」

36: 2013/05/04(土) 20:59:43.35 ID:8kNNQeGG0
タタタッ

エレン「結構足にくるな……」

サシャ「わー、エレンって走るの速いですね!」

エレン「落ちないように、しっかりつかまってろよ?」

サシャ「はい!」ギュッ

エレン「ッ!?」ビクッ

サシャ「エレン?どうしました?」

エレン「サ、サシャ!当たってる!当たってんだよ!」

サシャ「え?何がです?」

エレン「芋エレンが!背中に刺さってんだ!」

サシャ「あ!す、すいません!」

37: 2013/05/04(土) 21:02:09.32 ID:8kNNQeGG0
エレン「蒸かし芋のくせに、いてぇじゃねぇか……」

サシャ「胸ポケットに入れてたの忘れてました」モグモグ

エレン「食べるのかよ!!潰れてなかったか?」

サシャ「潰れていても、芋は芋です!食べれます!」モグモグ

エレン「……サシャ」

サシャ「はい?」モグモグ

エレン「放屁すんなよ?加速するから」

サシャ「しませんよっ!!」

39: 2013/05/04(土) 21:06:44.34 ID:8kNNQeGG0
エレン「はぁ……はぁ……ど、どうだサシャ、俺……氏にかけてるか?」

サシャ「はい。いまにも倒れそうですね」

エレン「よ、よし……、じゃあ俺はあがりだな……おつかれ……」

サシャ「エレン、行っちゃうんですか?私はおいてけぼりですか?」

エレン「そっか……サシャはまだ元気だったな……」

サシャ「一人は嫌ですよ……」

エレン「なら、サシャも俺をおんぶして走ってみるか?すぐ疲れるとおもうぞ」

サシャ「おお!いい考えですね!」

40: 2013/05/04(土) 21:09:18.44 ID:8kNNQeGG0
エレン「じゃ、乗るぞ?」

サシャ「いいですよー」

エレン「よっ……ぶはっ!?」

サシャ「エレン?」

エレン「サシャの髪が目に……!くそ……」

サシャ「あ、ポニーテールが邪魔なんですね。いまほどきます」

エレン「いてぇ……」

サシャ「はい!どうですか?」

エレン「……なにが?」

サシャ「髪を結ってない私ですよ!感想はないんですか?」

エレン「感想っていわれてもな。サシャはサシャだろ」

サシャ「……もう」

エレン「まぁ、屁よりは可愛いぞ」

サシャ「……屁に勝った!!!リベンジ達成です!!」

42: 2013/05/04(土) 21:13:01.65 ID:8kNNQeGG0








タタタッ

エレン「……」

サシャ「……」

エレン「結局朝まで走っちまったな……」

サシャ「はい……私たちのスタミナはどうなってるんでしょう……?」

エレン「さぁな……」

「サシャ!エレン!」

エレン「ん……?誰かきたな……」

サシャ「あれは……クリスタですね」

44: 2013/05/04(土) 21:17:48.54 ID:8kNNQeGG0
クリスタ「二人とも大丈夫!?目がうつろだけど……」

エレン「心配すんな、大丈夫だから」

サシャ「クリスタはどうしてここに?」

クリスタ「あのね、二人が疲れてると思って食べ物を持ってきたの」

サシャ「それはパンじゃないですか!!いただきます!!」モグモグ

エレン「わざわざ悪いな」

クリスタ「ううん、二人が倒れたりしたら嫌だし……、どうせなら気の済むまで走ってもらいたいから!!」

エレン「は?」

サシャ「え?」

クリスタ「あとでお水も持ってくるから!頑張ってね!」タタタッ

エレン「」

サシャ「」





終わり

45: 2013/05/04(土) 21:19:21.36 ID:stw/Pj880


あんたには期待してるよ

引用元: サシャ「月が綺麗ですね