1: 2013/06/30(日) 20:33:23.95 ID:i3cSdfAxo
【765プロ 事務所】

律子「……」カチカチッ

律子「……」カタカタカタカタ

律子「……」カタカタカタ カチカチッ

律子「……とりあえず今日はこんな所ね」

P「お疲れさん」

律子「ぎゃああああああ!」

P「うわあああああああ!」



2: 2013/06/30(日) 20:34:53.94 ID:i3cSdfAxo
律子「ぷ、プロデューサー?! 脅かさないで下さいよ、もぅ!」

P「いや、そんなつもりは全くなかったんだけど。あー、びっくりした……」

律子「びっくりしたのはこっちですよ! どこから湧いて出たんですか?!」

P「湧いて出たってお前……さっきドアから普通に入ってきたぞ」

律子「それなら声位かけてくださいよ。本当にびっくりしたんですから」

P「声かけたけど返事がなかったからさ。イヤホンして集中してるみたいだったから、邪魔しちゃ悪いかなと思って」

律子「あ……そっか」

3: 2013/06/30(日) 20:36:11.63 ID:i3cSdfAxo
P「まぁそれはともかく。今日は終わりか?」

律子「えぇ、まぁ。それはともかく、やよいや小鳥さんと一緒にご飯食べて帰ったはずの人がなぜここに?」

P「お土産持ってきたんだよ。律子の事だから、どうせ休憩無しでずっと仕事してるんだろうと思って」

律子「私にですか? 何か厄介な仕事押し付ける気じゃないでしょうね?」

P「お前、結構酷い奴だな……」

律子「冗談です。わざわざありがとうございます。何を買ってきてくれたんですか?」

P「3人で行ったファミレスのケーキ。まだ仕事があるなら休憩用にと思ったんだが」

4: 2013/06/30(日) 20:36:45.01 ID:i3cSdfAxo
律子「それじゃ、夕食代わりにここで頂きます」

P「休憩どころか夕食もまだだったのか」

律子「一気に終わらせてさっさと帰ろうかと思ってましたから。思ったより時間経っちゃいましたけど」

P「そうか。悪いな、時間取らせて」

律子「一人でダラダラ残ってもしょうがないって思っただけですから。私、お茶淹れてきますね。二人分でいいですか?」

P「疲れてるだろ、ソファに座って待っててくれよ。お茶位俺でも淹れられるからさ」

5: 2013/06/30(日) 20:38:04.79 ID:i3cSdfAxo
律子「いいんです、疲れてるのはお互い様なんですから。お皿とか運ぶの面倒ですし、給湯室で休憩しません?」

P「そうだな、そうするか。それはそうと律子」

律子「なんですか?」

P「『ぎゃあああ』って悲鳴はどうかと思うぞ」

律子「ほっといて下さい。自分でもちょっと凹んでるんですから」

P「そうか、すまん……」

律子「いえ、こっちこそ……」

6: 2013/06/30(日) 20:38:34.68 ID:i3cSdfAxo
【給湯室】

律子「はい、どうぞ」

P「ありがとう。玄米茶か、香ばしいな」

律子「時間も時間ですし、カフェインが少ないお茶にしました」

P「へぇ、律子も詳しいな」

律子「……まぁ、雪歩に教えてもらったんですけど」

P「なんだ。褒めて損した」

律子「そういう事言う人にはあげませんよ」

P「嘘です、ごめんなさい」

7: 2013/06/30(日) 20:39:24.20 ID:i3cSdfAxo
律子「まったく。それじゃケーキを……あれ、1個しかない」

P「もしかして1個じゃ足りなかったか?」

律子「違います! プロデューサーの分がないって意味です!」

P「す、すまん。律子に食べてほしかったからさ」

律子「そう言ってもらえると嬉しいですけど、私が食べてる所眺めてるつもりだったんですか?」

P「……あ」

律子「こういう所、まだまだですね、プロデューサーは」

8: 2013/06/30(日) 20:39:51.04 ID:i3cSdfAxo
P「面目ない。音無さんにも言われたよ」

律子「……」

P「どうした?」

律子「いえ、何でも。ケーキ、半分こしません? この時間にケーキは魅力的ですけどカ口リーが……」

P「いいのか? そういう事なら半分頂こう」

律子「よ……っと。はい、お好きな方をどうぞ」

P「半分って、縦に半分か」

律子「横に半分にしたらきっちり半分に分けるのが難しいですから。変ですか?」

9: 2013/06/30(日) 20:40:33.57 ID:i3cSdfAxo
P「変ではないけど、器用だなぁと思って」

律子「そうですか。はい、どうぞ」

P「ありがとう」

律子「それじゃ、いただきます」

P「いただきます」

律子「うん、結構いけますね」

P「味もくどくないし、ちょうどいいな。やよい達にも喜んでもらえそうだ」

10: 2013/06/30(日) 20:42:07.55 ID:i3cSdfAxo
律子「やよいにも買ってあげたんですか」

P「家族全員分な」

律子「へぇ。どうしてまた」

P「自分だけいいもの食べるのは家族に申し訳ないって遠慮してるもんだから」

律子「やよいらしいですね」

P「まぁやよい達の分の金出したのは音無さんなんだけどな。自分の分買う口実が出来たって言ってやよいを納得させてたな」

律子「小鳥さんらしいですね」

12: 2013/06/30(日) 20:42:42.20 ID:i3cSdfAxo
律子「それにしても、どういう風の吹き回しですか?」

P「何がだ?」

律子「わざわざ遠回りして事務所によってお土産だなんて」

P「迷惑だったか?」

律子「そうじゃないですけど……せっかく仕事早く終わらせて帰ったのに」

P「俺たちプロデューサー同士だから、日中はほぼ別行動になるだろ?」

律子「えぇ、まぁ。直帰も珍しくないですから、下手すると朝しか会わないって事も最近じゃよくありますし」

P「だから、たまにはこうやって二人でゆっくりする機会があってもいいな、と思ってさ」

13: 2013/06/30(日) 20:43:40.12 ID:i3cSdfAxo
律子「……そうですか」

P「プロデューサーとして、アイドル達には言えない愚痴とかもあるだろ。俺でよければ聴くぞ」

律子「まぁ、あると言えばありますけどね。誰かさんが無茶なスケジューリングするからフォローする羽目になったりとか」

P「うっ」

律子「出張先も告げずに切符と宿の手配を小鳥さんに頼んだ人に代わって、詳しい行先と日時教えてあげたりしなきゃいけなかったとか」

P「ぐっ」

律子「『生っすか』の番組ディレクターに『頑張ってよ律ちゃん。もう一人のプロデューサはまだ頼りないんだからさ』ってプレッシャーかけられたり」

P「り、律子さん」

律子「何ですか?」

P「色々とご迷惑をおかけしたようで……」

14: 2013/06/30(日) 20:44:32.02 ID:i3cSdfAxo
律子「まぁ冗談ですけどね」

P「なんだ、冗談か。はは」

律子「調子にのらない。フォローしたり言われたりしたのは本当ですからね」

P「はい、申し訳ありませんでした」

律子「分かればよろしい」

P「……そうだよな。俺がしっかりしてない分のプロデューサーとしての負担は、律子の方に行くんだよな」

律子「それはお互い様ですから。現に、今こうやって心配されてる訳ですし」

P「気が付くよな、やっぱり。俺こういうの下手だからさ」

律子「いえ、ありがとうございます」

P「俺でよければ、話してくれないか? 何も出来ないかもしれないけど、出来るだけ力になりたいしさ」

律子「……ごめんなさい。こればっかりは、自分自身の問題ですから」

P「そうか……」

15: 2013/06/30(日) 20:45:45.88 ID:i3cSdfAxo
律子「その代わりっていう訳ではないですけど、ちょっと昔話を」

P「あぁ、聴こう」

律子「私がプロデューサーになったばかりの頃は、こうやって仕事終わった後、小鳥さんとおしゃべりしてたんですよ」

P「へぇ」

律子「こんなこと言われたとか、こういう場合どうすればいいのかとか、ほとんど私の相談と愚痴でしたけどね」

P「今の律子からじゃ想像つかないな」

律子「事務を経験して、アイドルも経験して、それで分かった気になっていたんですよ、プロデューサーになる前の私は」

P「実際は違った、と」

律子「えぇ。アイドルとしてじゃなくてプロデューサーとして相手と接する訳ですから、ことごとく勝手が違ってました」

16: 2013/06/30(日) 20:46:17.10 ID:i3cSdfAxo
P「これ言うと気分悪くさせるかもしれないけど、律子はその辺上手にやってるイメージがあったな」

律子「自分でもそう出来ると思ってましたよ。アイドル時代にその辺も勉強したつもりですし。でも、結局『つもり』だったんです」

P「つもり、か」

律子「えぇ。プロデューサーって、アイドルに対して他の人から言われたことをそのまま伝えるなんてしないですから」

P「特に売れないうちはスタッフとか記者からは言いたい放題言われるからなぁ」

律子「えぇ。いざ自分がプロデューサーになると、そういう事を全部受け止めなきゃいけなくなる訳ですから。辛かったですよ、正直」

P「アイドルからプロデューサーだと、余計辛いんだろうな」

律子「あまり他の人にそういう面は見せたくなかったんですけど、小鳥さんにはすぐにばれちゃったみたいで」

P「なるほど。それで最初のおしゃべりの話につながる訳だ」

17: 2013/06/30(日) 20:46:43.69 ID:i3cSdfAxo
律子「えぇ。最初は本当にただのおしゃべりのつもりだったんですけど、気が付いたら色々吐き出しちゃってて」

P「吐き出す……」

律子「違いますからね」

P「はい」

律子「……一番辛かったのは、番組ディレクターに『いつまでもアイドル気分じゃ通用しねぇんだぞ!』って言われた時ですね」

P「キツイな」

律子「今までの自分のアイドルとしての経験全部を否定された気がして。アイドルの前では平静を装ってましたけど、みんな帰った途端我慢できなくなって」

P「……」

律子「その時小鳥さんから――」

18: 2013/06/30(日) 20:47:10.24 ID:i3cSdfAxo
【?ヶ月前 765プロ事務所】

小鳥『そうですか、そんな事を……』

律子『小鳥さん。私のアイドル時代って、何だったんでしょうね』

小鳥『律子さん……』

律子『頑張ったつもりになって、プロデューサーの仕事も分かってるつもりになって、それであんな事言われて』

小鳥『……』

律子『アイドル崩れが……プロデューサーごっこやってるようにしか……見えないん、ですかね……』

小鳥『律子さん、これで涙拭いて下さい』

律子『すみません……』

19: 2013/06/30(日) 20:47:39.00 ID:i3cSdfAxo
小鳥『私は、律子さんがごっこ遊びやってるようには見えませんよ』

律子『でも……』

小鳥『こんなにたくさんのアイドルのプロデューサー兼マネージャーなんて、ベテランプロデューサーでもなかなかできませんよ』

律子『……』

小鳥『この業界でじゅ……こほん、"何年か"ご飯食べてきた私が断言します。律子さんがいるから、今の765プロが成り立ってるんです』

律子『……持ち上げすぎですよ』

小鳥『そんな事ありません。律子さんじゃなかったら、アイドルの子達も今ほど生き生きとアイドル活動できていません』

律子『……どうして、そんなことが言えるんですか?』

20: 2013/06/30(日) 20:48:30.64 ID:i3cSdfAxo
小鳥『それは私が、律子さんがアイドル時代の経験を生かしてプロデューサーのお仕事を頑張ってるのを知ってるからです』

律子『っ……』

小鳥『こんなに和気藹々としてて、それでいてだらけたりふざけ過ぎたりしていない。そういう雰囲気を作ってくれたのは、律子さんですよ』

律子『私は別に……あの子達だからです』

小鳥『もちろんそれもあります。スカウトした社長の見る目があったのも確かです。でも、それだけじゃないはずです』

律子『小鳥さん……』

小鳥『アイドル達への接し方や叱り方、メンタルケア、自分なりに工夫したスケジュール管理』

律子『……』

小鳥『どれもアイドル時代の経験を生かしての事なんじゃないですか?』

律子『それは、まぁ……』

21: 2013/06/30(日) 20:50:22.48 ID:i3cSdfAxo
小鳥『社長のフォローがあるとはいえ、プロデュース1年目でここまでやれるのって、すごい事だと思いますよ』

律子『ありがとう、ございます』

小鳥『すぐに成果が出るほど簡単なお仕事じゃないんですから、焦らずにやっていきましょう。ね?』

律子『……はい』

小鳥『律子さんに厳しい事を言った人だって、良い番組を作ろうとして、もっと765プロに頑張って欲しかったって事だと思いますよ』

律子『……そうですね。それに、ここで潰れたら何の為に押し掛けアルバイトからここまで来たのかわかりませんしね』

小鳥『そうですよ、その意気です』

律子『小鳥さん、ありがとうございました。また明日から今まで通りの秋月律子として頑張れます』

小鳥『よかった。それじゃ、明日のスケジュール確認だけして、今日は早めにあがっちゃいましょうか』

律子『そうですね。えっと、まず春香ですけど――』

22: 2013/06/30(日) 20:52:50.68 ID:i3cSdfAxo
【給湯室】

P「なるほど。俺も、音無さんと同じ意見だな」

律子「……褒めても何も出ませんよ」

P「あのな……。最初ここに来た時、自分の中にあった芸能事務所のイメージと違って驚いたんだ」

律子「そうなんですか?」

P「あぁ。実際に何日か仕事して分かったよ。律子と音無さんだから、こういう雰囲気が成り立ってるんだろうな、ってさ」

律子「実際は小鳥さんもかなりフォローしてくれてましたから」

P「律子がプロデューサーとして与えた影響は大きいと思うぞ」

律子「そうですか?」

P「あぁ。極端な話、黒井社長みたいな性格のプロデューサーだったらこうはなっていないだろ」

律子「例えが極端すぎます。そんなの当たり前です」

P「そ、そうか?」

23: 2013/06/30(日) 20:53:17.26 ID:i3cSdfAxo
律子「本人は否定してますけど、小鳥さんもいたから今の765プロの雰囲気があるとは思いますよ」

P「それについては同意見だ」

律子「自分だってきつい事言われたり、辛い思いしてるはずなのに、そういうそぶりは全然見せませんから、あの人は」

P「あぁ。自分よりも他の人を優先して。悩みや愚痴引き出すの上手だもんな、あの人」

律子「プロデューサーも私と同じ経験がありそうですね」

P「入ったばっかりの頃にな。右も左も分からず、アイドル達の事も全然分からなくて、そんな時に大事な事を教えてもらったんだ」

律子「『アイドルの一人目のファンはプロデューサー』ですか?」

P「あぁ。あの時音無さんに愚痴こぼしてなかったら、今俺はここにいなかったかもしれないな」

24: 2013/06/30(日) 20:54:02.93 ID:i3cSdfAxo
律子「アイドル達だけじゃなく、私たちの事も見てくれてますからね、あの人は」

P「そうだな」

律子「だから小鳥さんの事好きになったんでしょう?」

P「あぁ。あの時から俺は……へぁ?!」

律子「なんて間抜けな驚き方……」

P「ちょ、ちょ、ちょ……え?」

律子「はぁ。もうその取り乱し方で丸わかりですから」

P「……気が、付いてたんだな」

律子「なんとなくは。確信したのはたった今ですけど」

P「そうか……」

25: 2013/06/30(日) 20:54:40.02 ID:i3cSdfAxo
律子「はぁ。そっか。やっぱりそうだったんだ……」

P「律子?」

律子「一つ、愚痴をこぼしても良いですか?」

P「え? あ、あぁ」

律子「小鳥さんに励ましてもらって、そのままプロデューサーとして何とか仕事をこなしてたんです」

P「あぁ」

律子「しばらくして、急に社長から『765プロを密着取材する為にカメラマンが来る』って言われて」

P「うん……うん?」

律子「何の事はない、社長考案のサプライズで、実際は新しいプロデューサーだったんです」

P「あ、あぁ」

26: 2013/06/30(日) 20:56:03.29 ID:i3cSdfAxo
律子「最初はぜんっぜん頼りなくて、ミスばっかりで、空回りしてばっかりで」

P「う……ま、まぁ、それは……」

律子「……でも、いつの間にかどんどん成長して、誰に似たのかアイドル達だけじゃなくて私の事まで気にかけてくれて」

P「そ、それは、その」

律子「気が付いたら、その人の事を凄く頼りにしてる自分がいて」

P「……」

律子「気が付いたら……その人の事、本気で……好きになっちゃった自分がいて」

P「律子……」

27: 2013/06/30(日) 20:59:33.22 ID:i3cSdfAxo
律子「でもその人は、私よりももっと素敵で頼りになる人を好きになっちゃって」

P「……」

律子「隠してたつもりでも、小鳥さんには気付かれてて」

P「そう……か……

律子「小鳥さん、自分は765プロの子達のラブコメ見てニヤニヤ出来ればいいって言ってたのに」

P「待ってくれ律子。この件は俺が勝手に……」

律子「分かってます。小鳥さんから積極的に仕掛ける訳ないですし」

P「それは、まぁ。そもそも小鳥さんが俺の事をどう思ってるかは――」

律子「はいはい、話の腰を折らない」

P「はい」

律子「自分の恋愛に関しては消極的すぎるから、あの美貌とスタイルで今がある訳ですから」

P「それは、まぁ……」

律子「それに、プロデューサーが好きになったのと同じ位、私も小鳥さんの事、大好きですから」

P「そうか……」

28: 2013/06/30(日) 21:01:05.45 ID:i3cSdfAxo
律子「だから、幸せになって欲しいですし、この事も言わないで終わるつもりだったんですけど……」

P「……」

律子「駄目ですね、私。強がってるくせにこういう所弱くて」

P「律子」

律子「……なんですか。『ごめん』なんて言ったらグーで行きますよ」

P「俺の事、好きになってくれて、ありがとうな。すごい嬉しかった」

律子「馬鹿……『ごめん』より酷いですよ、それ」

P「そうか……余計苦しめちゃったな」

律子「本当ですよ、もぅ」

P「ここの所ずっと様子が変だったのってもしかして」

律子「もしかしなくてもこれです。……プロデューサーに気づかれたって事は、他の全員に気づかれてますね」

P「酷い……」

29: 2013/06/30(日) 21:03:08.83 ID:i3cSdfAxo
律子「まぁそれは冗談ですけど。でも、これでスッキリ……しました……」

P「……ハンカチ、よかったら使ってくれ」

律子「……ごめんなさい。泣くつもりなんて、なかっ……たんですけど……」

P「謝らなくてもいいさ。むしろこっちが謝りたい気持ちでいっぱいだ」

律子「話さないで、自分の中だけで、終わらせようと思ったのに……」

P「……」

律子「あの……落ち着くまで、そばにいてもらっていいですか? いてくれるだけで、いいですから」

P「……あぁ、分かった」

――――

――




30: 2013/06/30(日) 21:03:57.30 ID:i3cSdfAxo
【765プロ 事務所前】

律子「これからが大変ですよ」

P「何がだ?」

律子「あずささん、春香、美希」

P「う……」

律子「気が付いていない訳じゃないんでしょう?」

P「あぁ……自分で何とかしなきゃいけない事っていうのも、分かってるつもりだ」

律子「精神的ショックでアイドル引退、なんてなったら、グーがメリケンサック付きになりますからね」

P「大丈夫だ……大丈夫にしたいと思ってる……」

律子「はぁ……ま、その辺はさすがに私からもフォローしますよ」

P「律子……でも、お前……

32: 2013/06/30(日) 21:06:23.68 ID:i3cSdfAxo
律子「しょうがないでしょう。私が大好きな二人の問題なんですから」

P「律子。お前……」

律子「それに、あずささんは私の担当アイドルなんですからね。プロデューサーとしてメンタルケアはしないと」

P「ありがとうな、本当に」

律子「こんなに本心を言うのは今日だけですからね」

P「そうか。でも、ありがとうな」

律子「いえ。こっちこそ、ありがとうございました。いろいろと」

33: 2013/06/30(日) 21:08:05.34 ID:i3cSdfAxo
律子「それじゃ、そろそろ帰りますね」

P「本当に送っていかなくていいのか?」

律子「えぇ。少し、歩きたい気分ですし」

P「そうか……」

律子「ヘタレてないで、さっさと決めちゃわないとダメですからね。プロデューサー殿?」

P「……あぁ、そうだな。いつまでもうだうだしていれれないよな」

律子「そうですよ。それじゃ、私はここで。お疲れ様でした」

P「あぁ、律子もお疲れ様。気を付けて帰れよ」

律子「ありがとうございます。ケーキ、ごちそうさまでした。おやすみなさい」

34: 2013/06/30(日) 21:10:41.53 ID:i3cSdfAxo
律子(嫌いになれたら、もっと楽なんだろうけど)

律子(これじゃ、ふたりとも嫌いになれないじゃない)

律子(本当に……自分に対する事になると鈍感な所まで似てるんだから)

律子「これで幸せになれなかったら、本気で怒りますからね、プロデューサー殿?」

                                         
                                              おわり

35: 2013/06/30(日) 21:13:52.66 ID:i3cSdfAxo


春香「ある日の残業風景」
あずさ「ある日のたるき亭の風景」
千早「ある日の始業前風景」
小鳥「ある休日の風景」
やよい「ある日の夕食風景」

以上5つと同じシリーズの続きとして書きました
最初に書くべきでしたが、やよい「ある日の夕食風景」の直後の話です
良かったら他のも読んでみて下さい


36: 2013/06/30(日) 21:33:12.52 ID:nKojnX5AO

41: 2013/06/30(日) 23:30:00.86 ID:i3cSdfAxo
今更ですが……
スレタイが間違っていました

正しくは
律子「ある日の終業後の風景」
でした

引用元: 律子「ある日の就業後の風景」