1: ◆/Q.vnlAVN. 2013/12/25(水) 21:09:01.02 ID:1o4OkKGq0
【いろは1】

八幡「カクテルパートナーでいいか」

いろは「私に対して色眼鏡かけてますよねそのチョイス。じゃあスーパードライで」

八幡「だってTwitterとかで『酒パなう』とか呟いてバカ発見器に引っかかる連中大抵カクテルパートナーじゃねえか」

いろは「そもそも自販機にカクテルパートナーないでしょ……」

八幡「クリパ?だったか、由比ヶ浜が参加してるあれならありそうだけどな」

いろは「それを言ったら24日の夜にクリスマスパーティーに出席してる雪ノ下先輩と葉山先輩はワインですかね」

八幡「……だろうな」

いろは「……今日はマジ飲んじゃいますよー!先輩今度こそ潰しますから」

八幡「今度こそってなんだ、お前酒初めてだろーが。ていうか生徒会長がこんなんでいいのかよ……」

いろは「あっはっは、私を持ち上げた張本人が何言ってるんですか」

いろは「だからこれからも、ちゃんと私のこと支えてくださいねっ!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1387973340

2: 2013/12/25(水) 21:15:12.74 ID:1o4OkKGq0
【めぐり1】

めぐり「……うー」

八幡「どうでした」

めぐり「690……」

八幡「あー、もうちょいで八割ですね」

めぐり「倫政が、って言うよりは倫理がねー」

八幡「近代以降で一気に難しくなりますからね。まあとにかく、復習までの空き時間でご飯食べましょう」

めぐり「うん。ごめんねお昼作ってもらっちゃって」

八幡「専業主夫志望なんでこれぐらい軽いですよ」

めぐり「じゃあ私がんばって働いて、いっぱいお金稼がないとね」

八幡「…………すいませんやっぱ働きます」

めぐり「?」

八幡(眠っていた俺の労働意欲を呼び覚ますとは、めぐりんの庇護欲オーラ恐るべし)

※めぐり先輩が文系理系どちらなのかは明言されていなかったので、勝手に文系に設定しました。間違っていたらすいません。

3: 2013/12/25(水) 21:21:58.90 ID:1o4OkKGq0
【いろは2】

八幡「生徒会室ってエアコンついてたのか……オイなんだ29度って、エコに貢献しろよ自然水みたいな名前してんだから」

いろは「先輩に名前のことで弄られるとイラっとしますね」

八幡「は?八幡とかすっげーいい名前だろうが。戸塚とかが読んでくれた時にはこの名前をつけてくれた両親に感謝したぞ」

いろは「それ戸塚先輩のパワーが100パーセントあったんじゃ……そうだ紅茶セット持ち込んだの先輩ですよね!?何備品みたいに経費で落としてるんですか!?」

八幡「お前摂関政治って習わなかった?」

いろは「ええ習いましたよ日本史選択ですからッ!なんですか藤原氏気取ってるんですか先輩」

八幡「なんなら材木座あたりをお前に貢がせるまであるぞ」

いろは「自分じゃなくて他人を他人に貢がせる、これもう貢ぐとは言わないんじゃ……」

八幡「……紅茶うめぇ」

いろは「あ、私にも一杯お願いします」

八幡「仕事しろや」

いろは「てへっ」

5: 2013/12/25(水) 21:34:51.58 ID:1o4OkKGq0
【めぐり2】

八幡(めぐり先輩が三年の男子の間で人気らしい)

八幡(受験勉強の最中に告白するようなバカはいないだろうが、勉強の癒しになると評判だ)

八幡(だからだろうか)

めぐり「ごめんね、お弁当なんて作ってもらっちゃって」

八幡(弁当箱をめぐり先輩に渡した瞬間、クラスの先輩方からの視線が一気に強くなったような気がした)

めぐり「あれ、比企谷君ってメガネかけてたっけ?」

八幡「伊達ですよ。カッコいいでしょう?」

八幡(小町から渡された伊達眼鏡は、濁った目を隠し外見だけを良くするのにはもってこいで、こういう状況でめぐり先輩に恥をかかせないようにするため現在装備中である)

めぐり「すごーい、印象が全然違ーう!」

八幡(端から見ればそこそこイケメンなはずだ。後輩のイケメンとかなら先輩だって変に言われずに済むはず)

めぐり「でもね」

ヒョイッ

八幡「あ」

めぐり「私はこっち派かな」

八幡「……さいですか」

八幡(やばいハズいハズいなんだこの会話。そこの男子とか壁殴っちゃってるし。代行早く来てやれよ)

めぐり「うん、こっちのほうが君らしいし」

八幡「ども」

八幡(撤収!撤収!めぐりんの破壊力を侮っていたッ!当方に迎撃の備えなしッ!)

めぐり「それに、カッコいいけど、他の女の子から注目されちゃったら、不安になるから……」

八幡「えっ」

めぐり「……うあ、やっぱ今のなし」

八幡「……」

めぐり「うぅ……」

八幡「……」

八幡(やはり俺の先輩が天使なのは間違いない)

7: 2013/12/25(水) 21:35:54.77 ID:1o4OkKGq0
すいませんめぐりん指定校決まってたの忘れてました
ここでは指定校もらえなかったことにしてください
本当にすみません

9: 2013/12/25(水) 21:45:00.07 ID:1o4OkKGq0
【いろは3】

いろは「っはー……」

八幡「んー」

いろは「あ、どうもですー」

八幡「……チッ」

いろは「はいはい」

八幡「……オイ」

いろは「あ、すいません」

八幡「いいけど、これはどーすんだ」

いろは「そっちでいいですよー」

八幡「おう」


モブ(会長とあの先輩いつも通りだな)

モブ(椅子と椅子がちっけえよな)

モブ(一色先輩目当てで生徒会入った俺が報われない(血涙))


補足
いろはに紅茶渡す

八幡が落としたペンを拾って渡す

いろはの書類ミスを指摘する

ゴミの分別を確認する

10: 2013/12/25(水) 22:02:11.79 ID:E0+jDb5k0
【めぐり3】

八幡「いい子にしてたかい?(ダミ声)」E:サンタコスチューム

めぐり「わーサンタさんだ!何かくれるんですか?」

八幡「めぐり先ぱ……めぐりんは今年一年いい子にしていたから、欲しいものを何でもあげよう」

八幡(ドサグサ紛れにめぐりん呼び成功シャオラァ!さらに欲しがっていたキーホルダーに合格祈願の鉛筆も完備、八幡サンタに隙は無い)

めぐり「……あのねサンタさん。私実はいい子じゃないんです」

八幡「なんですと」

めぐり「学校のお仕事でいろんな人とかかわったんだけど、その時に失敗しちゃいました」

八幡「…………」

めぐり「すごくいい後輩に恵まれてたのに、私はある後輩の頑張りをわかってあげられなくて、つらく当たっちゃったんです」

八幡「それは」

めぐり「……」

八幡「……それが悪いことかどうかを決めるのは、その後輩本人だよめぐりん」

めぐり「そうかもしれないですね。でも私は……プレゼントをもらうべきなのは、その後輩の子なんじゃないなかって思います」

八幡「…………」

めぐり「ごめんなさい、せっかく来てもらったのに」

八幡「……あーあー、そういえばさっきプレゼントを運んだ、濁った目で友達のいなさそうな少年が言ってたなあ。『笑ってほしい人の笑顔が一番欲しいものだ』と」

めぐり「……似合わないセリフだね」

八幡「その少年に言ってやってください。じゃあプレゼントはここに置いておきますから」

めぐり「あ」


八幡(寒っ。やべえ後先考えずに行動したから家までサンタコスか。クリスマスだし補導されたりしねえよな……?)

めぐり「サンタさんっ!」

八幡「うお、何ルームウェアで外に……」

めぐり「……メリークリスマス!」

八幡「……」

八幡(最高のプレゼントがもらえただけ、良しとするか)

11: 2013/12/25(水) 22:17:17.63 ID:E0+jDb5k0
【いろは4】

八幡「なぁーにもかもがきーらめいてー、ガムシャラに夢を追いかけたー」

いろは「……」

八幡「いろあーせたいつかのメリークリスマース」

いろは「68ですかね」

八幡「ケンカ売ってんのか……まあ見てろ」

デデーン 88てんー!

いろは「うっ」

八幡「ほらどうしたよ、お得意の会いたくて震えていつも傍にいる系ラブソングでこれより上の点だしてみろ」

いろは「……先輩ー、本気出しちゃってもいいんですかー?」

八幡「おう」

いろは「はいはーい」

ピピッ

いろは「……すれ違いー急ぐたびにー、ぶつーけあーい、散切れ合うぅ!」

八幡「!?」

いろは「ここでいつかー…ほしがーった、ぉ思いがぁー……キミにあーるーからぁー!!」

デデーン 97てんー!

いろは「ドヤドヤァ」

八幡「なん…だと…」

12: 2013/12/25(水) 22:21:07.31 ID:E0+jDb5k0
【めぐり4】

八幡「ヤスパース」

めぐり「げ、限界状況の人かな……?」

八幡「ハイデッガー」

めぐり「えーっと、現代人は埋没してるダス=マン!氏を意識する時に自分らしさを取り戻す!」

八幡「オッケーです……そろそろ休憩にしましょう。大分仕上がってきてますし」

めぐり「えへへ、そうかな」

八幡「にしても今日はサイゼで良かったんですか?騒がしいと思うんですけど」

めぐり「休憩したらイヤホンタイムだから大丈夫だよ」

八幡「なるほど。じゃあそうしましょうか」

めぐり「ドリンクバーおかわりしてくるね。あ、君は座ってていいよ」

八幡「あ、ども」

めぐり「♪」

八幡(……)

八幡(こうして誰かとサイゼで勉強したことがあったな。あの時は……)

めぐり「お待たせー」

八幡「……」

めぐり「どうかしたの?大丈夫?」

八幡「いえ、全然待ってないですよ」

めぐり「良かった。じゃあこれ」

八幡「……なんすかこのドレッシングみたいなの。水面に油分が浮かんでるんですけど」

めぐり「美味しそうなのいっぱい入れてたら……ごめんね」

八幡(悪意なしでこれかよ!)

13: 2013/12/25(水) 22:23:15.95 ID:E0+jDb5k0
【いろは5】

いろは「やっはろー!です」

八幡「……」

いろは「なんですかその目。せっかく可愛い後輩が先輩みたいな人の買い物に付き合ってあげるっていうのに」

八幡「なんでもねえよ。それで今日は手袋を買うわけだが」

いろは「わーありがとうございますー。ただ冬場に防寒具は狙いすぎてちょっと引きます」

八幡「狙いすぎなのか。オイ……マジかよ」

いろは「うぇ?あ、や、別に気にする人と気にしない人で別だと思いますよー。私とかは気にしないですし」

八幡「いやいいチョイスだと思うんだがな。寒くて手がかじかんだらペンを持つのに影響が出るかもしれないし」

いろは「ペン?……あー、あー。あーーーーーー」

八幡「は?何いきなりしゃがみこんでんだお前」

いろは「でっすっよっねー!じゃあ帰りは先輩の奢りでイタリアンということで」

八幡「俺の出費予定勝手に捏造してんじゃねえ」

14: 2013/12/25(水) 22:23:51.69 ID:E0+jDb5k0
【めぐり5】

めぐり「わーお雑煮だー」

八幡「モチのどにつまらせたりしないでくださいよ」

めぐり「もー分かってるって」

八幡「こたつがあったらもうちょっとはぬくいんですけどねえ」

めぐり「私こたつ出してたら、こたつで寝ちゃうから」

八幡「それで風邪ひいたりしたら目も当てられないっすね」

めぐり「ホントだよねー」

八幡「……目を逸らしたあたり、去年までやらかしてましたね?」

めぐり「ぎくっ」

八幡「今年も出そうとしたところ親に止められ、言い合いの末に完全論破されて今年は大人しく諦めたってところですか」

めぐり「ぎくぎくっ」

八幡「……めぐり先輩は本当にだめぐり先輩ですねえ」

めぐり「だ、だめぐりって呼ばないでよ!怒るよ!?」

八幡(怒っても可愛いから役得なんだよなあ)

34: 2013/12/26(木) 13:43:12.74 ID:tlohmxLa0
お題感謝です。
書き溜めてきますんで、夜に再開します。

大学の名前って多くのスレでT大とかいうふうにぼかされてるけど、やっぱ名前出したらダメなんですかね……

35: 2013/12/26(木) 13:50:42.50 ID:tlohmxLa0
読み返してたら【いろは3】で一色先輩とかわけ分からんこと書いてるな

×一色先輩→○一色さん

36: 2013/12/26(木) 13:51:51.90 ID:tlohmxLa0
読み返してたら【いろは3】で一色先輩とかわけ分からんこと書いてるな

×一色先輩→○一色さん

41: 2013/12/26(木) 20:32:17.69 ID:tlohmxLa0
飯食ってから再開します。

めぐりんといろはすは心の底で、どうがんばっても雪ノ下と由比ヶ浜の本家奉仕部には勝てない、とか思ってるといいと思います。

あと八幡と葉山は心の底で、お互いどうがんばってもこいつには勝てない、とか思ってるといいと思います(露骨なはやはちアピール)

45: 2013/12/26(木) 20:55:50.42 ID:tlohmxLa0
【いろは6】

いろは「ある人が有能であるか無能であるか、判断するのは誰だと思います?」

八幡「有能な人間はそいつと敵対する立場からしたら迷惑なので無能と言い換えられるし、無能な人間も敵対する立場からしたら有能と言える。よってこの世に有能無能の区別などない」

いろは「うわぁ(ドン引き)」

八幡「いきなりどうした」

いろは「すいませんブーメランです。……えっと、私ってほら、一年生で生徒会長じゃないですかー。先輩が言ってたみたいに同情引けてるかなーって」

八幡「お前擬態するの面倒臭がってきてんだろ……まあ悪い噂は聞かねえな」

いろは「ホントですかー?」

八幡(……わざわざ聞いてくるってことは、何か言われたのか)

八幡「やっかみならすぐに終わる。もしくは妙なことを言うグループとは縁を切っちまえ」

いろは「……」

八幡「少なくともぼっちになって俗世から離れればそんな悩みとはサヨナラバイバイだ」

いろは「……気持ち悪いです、先輩が人を気遣ってるとか」

八幡「うるせぇ」

いろは「あんまりそーゆーこと人に言ってると不気味がられますよー」

いろは「……まあ、私なら、いくら言っても気にしませんけどね」


八幡「え?なんだって?」

いろは「しばきますよ」

47: 2013/12/26(木) 20:56:24.51 ID:tlohmxLa0
【いろは6】

いろは「ある人が有能であるか無能であるか、判断するのは誰だと思います?」

八幡「有能な人間はそいつと敵対する立場からしたら迷惑なので無能と言い換えられるし、無能な人間も敵対する立場からしたら有能と言える。よってこの世に有能無能の区別などない」

いろは「うわぁ(ドン引き)」

八幡「いきなりどうした」

いろは「すいませんブーメランです。……えっと、私ってほら、一年生で生徒会長じゃないですかー。先輩が言ってたみたいに同情引けてるかなーって」

八幡「お前擬態するの面倒臭がってきてんだろ……まあ悪い噂は聞かねえな」

いろは「ホントですかー?」

八幡(……わざわざ聞いてくるってことは、何か言われたのか)

八幡「やっかみならすぐに終わる。もしくは妙なことを言うグループとは縁を切っちまえ」

いろは「……」

八幡「少なくともぼっちになって俗世から離れればそんな悩みとはサヨナラバイバイだ」

いろは「……気持ち悪いです、先輩が人を気遣ってるとか」

八幡「うるせぇ」

いろは「あんまりそーゆーこと人に言ってると不気味がられますよー」

いろは「……まあ、私は、気にしませんけどね」


八幡「え?なんだって?」

いろは「しばきますよ」

48: 2013/12/26(木) 20:57:04.42 ID:tlohmxLa0
【いろは6】

いろは「ある人が有能であるか無能であるか、判断するのは誰だと思います?」

八幡「有能な人間はそいつと敵対する立場からしたら迷惑なので無能と言い換えられるし、無能な人間も敵対する立場からしたら有能と言える。よってこの世に有能無能の区別などない」

いろは「うわぁ(ドン引き)」

八幡「いきなりどうした」

いろは「すいませんブーメランです。……えっと、私ってほら、一年生で生徒会長じゃないですかー。先輩が言ってたみたいに同情引けてるかなーって」

八幡「お前擬態するの面倒臭がってきてんだろ……まあ悪い噂は聞かねえな」

いろは「ホントですかー?」

八幡(……わざわざ聞いてくるってことは、何か言われたのか)

八幡「やっかみならすぐに終わる。もしくは妙なことを言うグループとは縁を切っちまえ」

いろは「……」

八幡「少なくともぼっちになって俗世から離れればそんな悩みとはサヨナラバイバイだ」

いろは「……気持ち悪いです、先輩が人を気遣ってるとか」

八幡「うるせぇ」

いろは「あんまりそーゆーこと人に言ってると不気味がられますよー」

いろは「……まあ、私は、気にしませんけどね」


八幡「え?なんだって?」

いろは「しばきますよ」

53: 2013/12/26(木) 21:04:17.94 ID:tlohmxLa0
【めぐり6】

めぐり「さーむーいー」

八幡「うお……ちょっと、ひっつかないでくださいよ」

めぐり「休憩中ぐらいは君からパワーをもらおうと思って」

八幡「若さでも吸ってるんですか」

めぐり「うん?」

八幡「……先輩がサキュバスだったら、もう世の中何も信じられなくなりそうだ」

めぐり「サキュバス?」

八幡「なんでもないですよ。……つーわけで離れてください。このままだと爆発してしまいます」

めぐり「え!?爆発しちゃダメだよ!大丈夫!?」

八幡「(ああ……めぐりん派になる……)

54: 2013/12/26(木) 21:09:42.96 ID:tlohmxLa0
【いろは7】

いろは「せーんぱい」

八幡「触るなあざとい」

いろは「ええー。女の子に袖を引かれてその反応はないですよ先輩ー」

八幡「お前からされるとアレなんだよ。ちょっ、腕絡ませてくんなって」

いろは「寒いんですよー」

八幡「人の話聞いてる?誰かに見られても知らねえぞ」

いろは「先輩意識しすぎでキモいです無理です。勘違いされると思ってるんですか?」

八幡「されないように離れろよお前」

いろは「もう少ししたらでー」

八幡「ええー……」

いろは「……どうでもいいと思ってる相手を無理に振り払わないところ、好きですよ」

八幡「…………」

いろは「♪」

八幡(…………)

57: 2013/12/26(木) 21:22:54.57 ID:tlohmxLa0
【めぐり7】

八幡「先輩、そろそろ出ないとマズイですって」

めぐり「もうちょっとだけ、ね?」

八幡(外で勉強した帰り、家具コーナーに寄ったと思ったらこたつでぬくぬくし始めてしまった。店員さんからの目がすげえ)

めぐり「みかんとかがあったら完璧なんだけどねー」

八幡(何がマズイって俺と先輩こたつの同じ一辺に二人で入ってるんだよ、なんだよ柔らかい感触とかしてやべえよ、マジやべえよ)

めぐり「ねむくなってきちゃったー」

八幡(なんだこの公開処刑は。知り合いに見られたら気まずいってもんじゃねえぞ)

めぐり「ねーねー」

八幡「はいはい、なんですか」

めぐり「こたつ欲しくない?」

八幡(一瞬俺と将来設計でもしてるのかと思ったぜ。邪念を払え、戸塚戸塚戸塚戸塚……!いや邪念を邪念で上書きしてるだけじゃねえかこれ)

八幡「まあ……先輩がセットなら考えますかね」

めぐり「ふふふっ」

八幡「あ、さすがにキモかったですかね」

めぐり「ううん。そういう心にもないことをズバッと言う辺り、線引きがちゃんとしてあるなって感心してたんだよ」

八幡「……先輩は」

めぐり「うん?」

八幡「先輩は時々、陽乃さんに似てますね」

めぐり「ふふ、褒め言葉だね?」

八幡「ええもちろん」

八幡(女の人に対する、これ以上ない賛辞の言葉ですよ)

61: 2013/12/26(木) 21:38:04.86 ID:tlohmxLa0
【いろは8】

いろは「あー歯が痛いです」

八幡「歯医者行けよ」

いろは「虫歯なんですかねー」

八幡「ちゃんと磨かねえからそうなるんだ、俺なんかやることなさすぎて二時間ぐらいぶっ通しで歯磨きしてたことあるぞ」

いろは「逆にどうなんですかそれ……あー歯磨きできる場所とかないですかね」

八幡「保健室とかいいんじゃねえの」

いろは「ここですか?」

八幡「そうここだ」

いろは「貧血気味の可愛い後輩と二人っきりだからってなに考えてるんですかキモいです無理ですごめんなさい」

八幡「仕事中に、頭クラクラするー、とか言い出した後輩を保健室に連れてきた優しい先輩に対して当たり強くね?……あーコップあるな、歯ブラシは新しく卸すか」

いろは「え、本気でやるつもりですか」

八幡「やるのはお前だろ、それともあれか、俺がお前の歯を磨けばいいのか?」

いろは「キモいです、すごいキモいです」

八幡「まあ冗談だっての」

いろは「……でも、いいですよ」

八幡「は?」

いろは「だから先輩……先輩の歯ブラシで、私の歯を、ぴっかぴっかにしてくださ

(省略されました)

62: 2013/12/26(木) 21:46:04.56 ID:tlohmxLa0
【めぐり8】

めぐり「わー綺麗ー!」

八幡「雪も降ってますし、イルミネーションがまだギリ残ってますからね」

めぐり「まあ今から屋内にこもるんだけど」

八幡「また呪文か……ダークモカフラペチーノチョコレートソース追加チョコレートチップ追加、よし覚えてる」

めぐり「いっつもそれしか頼まないよね」

八幡「逆にこれ以外どうやって注文すればいいのか分からないんで」

めぐり「キャラメルフラペチーノキャラメルソース追加、とかのほうが短いよ?」

八幡「……ダークモカって響きがカッコいいじゃないすか」

めぐり「ふふふっ、そうだね」

八幡「あ、手袋大丈夫ですか?寒くないですか?」

めぐり「とってもいいよ!気に入ってるんだ」

八幡「……それはどうも」

めぐり「直接褒められるより、こういうので感謝する方が照れるんだね」

八幡「冷静に分析しないでくださいよハズいんですから」

めぐり「じゃあこの可愛い手袋の左手を貸してあげよう!」

八幡「はい?や、先輩両手つけてくださいよ」

めぐり「……私の左手はこうするから」

ギュッ

八幡「…………」

めぐり「……ダメかな」

八幡「……ダメです」

めぐり「まあ答えは聞いてないんだけどね!」

八幡「オイ」

八幡(……手袋をつけた左手より右手の方が温かかった。人類手袋いらねえんじゃねえかなこれ)

63: 2013/12/26(木) 22:06:29.64 ID:tlohmxLa0
【いろは9】

いろは「ヘイパースパース!」

八幡「なんだこれ」

いろは「今日が最後の日なんですから、めいいっぱい動けますよ!」

八幡(なんで年の瀬に市民体育館でバスケしてんだ俺……休館日スレスレだから人も全然いねえしよ)

いろは「先輩ビビってるー!先輩ピヨってるー!」

八幡「……」

いろは「ちょ、なに無言でスリー決めてるんですか。これ私のクラスマッチに向けての特訓なんですけど」」

八幡「すっげえイラっとした。大体寒いわここ。ジャージの上にダウン着ていい?」

いろは「ダウン着てバスケとかやってたら脱水症状になりますよ」

八幡「さすがサッカー部マネージャー、的確な指摘だなー」

いろは「おちょくられてるようにしか聞こえないんですけどー」

八幡「いいからお前は早くシュート打ってみろって」

いろは「……笑わないでくださいよー。えいっ」

八幡「うおー……バックボードにかすりもしてねぇぞ」」

いろは「ご覧の通りですー」

八幡「一周回って誇らしげにしてんじゃねえよ。まあ飛ぶだけ飛んでるし、左手は添えるだけにしたらいいんじゃねえかな」

いろは「左手は添えるだけですかー……分かりました」

八幡(まあこれ男子向けのアドバイスだけどな。女子って普通両手でシュートするし)

いろは「先輩やった!入りましたよ!」

八幡「マジかよ」

いろは「いえーい!」

八幡「あ、ハイタッチは家訓で禁じられてるんで」

いろは「斬新な拒否り方ですねぇ!」

64: 2013/12/26(木) 22:14:50.20 ID:tlohmxLa0
【めぐり9】

めぐり「今日は夜には家に帰るの?」

八幡「まあ年越しは家でやらないと、妹がうるさいんで」

めぐり「そっかー。でも悪いね、蕎麦作ってもらっちゃって」

八幡「手打ちでやるのは初めてでしたけど、楽しかったですよ。先輩も春あたりにやりましょう」

めぐり「ふふふっ」

八幡「……あの、先輩は、なんでW大にしたんですか?」

めぐり「うーん、最初からそうするつもりだったよ」

八幡(そうだ。最初から先輩はW大を狙っていた。ただそこには、指定校推薦か個別学力試験かという大きな差がある)

めぐり「……指定校をもらえなかったのは、私のせいだよ」

八幡「俺は、運動部なんかより、先輩の方がいいと思いますけどね」

めぐり「それは君が運動部っていうかこっち寄りだからだよ。運動部の人だって頑張ったんだから」

八幡「……そうすか」

めぐり「珍しいね、そんなこと言ってくれるなんて」

八幡「線引きは、きっちりしてるんで」

めぐり「…………」

八幡「蕎麦、のびますよ。蕎麦湯も冷めちゃいます」

めぐり「比企谷君は」

八幡「はい?」

めぐり「……比企谷君は、時々、雪ノ下さんに似ているね」

八幡「男子が言われても嬉しくないですよ、それ」

八幡(俺も彼女も、線の内側に招いた人間には甘い。彼女が由比ヶ浜に、そして俺がめぐり先輩にそうであるように)

八幡(だが佇まいはまるで違う。他人を避けて線の内側に立て篭もる俺と、他人を気に介さず悠然と孤高に位置していた彼女)

八幡(似ていると言われても、本当に、嬉しくなかった)

65: 2013/12/26(木) 22:20:19.42 ID:tlohmxLa0
【いろは10】

いろは「あけましておめでとうございますー」

八幡「……寒ぃ」

いろは「どうせ夜はダラダラしてたんじゃないですか」

八幡「は?一年の最初だぞ?我ながらいいスタート切ったぜ、労働時間ゼロだったし」

いろは「やっぱダラダラしてたんじゃないですか……まあ今日はキリキリ働いてくださいね!」

八幡「福袋って余り物だろ……6つも余り物買い漁るとか、お前は廃品回収トラックかよ」

いろは「面白くないですねー」

八幡「厳しいなオイ」

いろは「ほら行きますよ!もう並んでるんですから!」

八幡「ったく、騒がしい元旦とか元旦じゃねえだろ。お前ホント騒がしいやつだな」

いろは「じゃあ今年一年も騒がしいですねー」

八幡「……まあそうだろう、な」

八幡(かつてのとは少し違う騒がしさを、当たり前のように享受している自分が、久々に嫌だった)

66: 2013/12/26(木) 22:23:42.58 ID:tlohmxLa0
【めぐり10】

八幡「えーっと。このヒートハートアタック?みたいな名前の店のだけでいいんですかね」

めぐり『うん。ごめんね、買いに行ってもらっちゃって』

八幡「俺としては何時の間にカタログを見てたのか甚だ疑問ですが」

めぐり『うっ……まあまあ1つだけだから!』

八幡「6つもなくて良かったです、すでに腕がしびれそうですし」

めぐり『6つ?』

八幡「や、こっちの話です。お守りもついでに買っちゃいますね」

めぐり『え……ショッピングモールって神社もあるの?』

八幡「近くにあるじゃないすか、建物の中にあったら呪いとかかけられそうで怖いっすよ」

めぐり『だよねー。それでお守りって縁結び?』

八幡「もうちょっと受験に対して意識してあげてください」

95: 2013/12/28(土) 20:17:55.58 ID:afQhW7U10
【いろは11】

いろは「へぇー、こんなところに神社とかあったんですねー」

八幡「間違っても福袋6つも抱えて来る場所じゃねえけどな」

いろは「…………7つでしょ」

八幡「ん?ああ。まあお前が2つ持ってるのを感謝すべきかどうか迷うな……せっかくだしもう2つぐらい持たないか?」

いろは「神社って二礼二拍手一礼でしたっけ」

八幡「無視かよ……まあそうだったな」

いろは「じゃあお先に」

八幡「いや俺もするんだが」

カランカラン パチパチ

いろは「……」

八幡(真剣な表情してんな。っと、俺も先輩の合格祈願しとかねえと)

八幡「……」

いろは「……先輩ともっと……仲良く……一年間……」

八幡「あ?先輩って誰だ?葉山か?」

いろは「は?…………え?え?え??」

八幡「いや思いっきり口に出してたんだが」

いろは「……何も聞いていないですよね?」

八幡「いや先輩って今」

いろは「先輩は何も聞いてない。いいね?」

八幡「アッハイ」

いろは「……」

八幡「……」

いろは「じゃあ先輩!先輩は何お祈りしました!?」

八幡「ん?あー……ちょっと悪い、お守り買ってくるから待っててくれ」

いろは「あ、ちょ」


いろは「…………別に。分かってますけど、ね」

97: 2013/12/28(土) 20:26:27.58 ID:afQhW7U10
【めぐり11】

めぐり「……トリポリ……キレナイカ……」

めぐり「……タレントゥム……ロンディニウム、ルテティア、ウィンドボナ……」

めぐり「世界史はそろそろ切り上げかな……」

めぐり「……」

携帯電話「」

めぐり(福袋、買ってくれたかな)

めぐり(……)

めぐり(一緒にいるの、誰なんだろう)

98: 2013/12/28(土) 20:37:05.05 ID:afQhW7U10
【いろは12】

いろは「先輩これどーぞ」

八幡「あ?なんだこれ」

いろは「クリスマスのお返しです」

八幡「お返しって……ああ、潰れたお前を俺の家まで運んだ時のあれか」

いろは「あらかじめ親に友達の家に泊まるって言ってなかったらどうするつもりだったんですかねー」

八幡(そもそもクリスマスに外泊とかいう時点で親も察してただろ)

いろは「起きたら見知らぬベッド、しかも男の人の部屋でビックリしましたよー」

八幡(その後散々騒がれて俺のほうがビックリしたわ。大声で『私の初めて返してください!』とか言い出してそれを聞いた小町の視線がすごかったんだぞ)

いろは「というわけでお返しですー」

八幡「今の語り口からしてお礼参りにしか思えねえんだが」

いろは「まあまあどうぞどうぞ」

八幡「……これは」

いろは「酔っ払って撮った私と先輩のツーショットです、私のスマホから掘り出しました」

八幡(ツーショットっていうか……俺が一色のデコにキスしてるんですが……)

八幡「恐喝かなんかか?」

いろは「やだなー頼み事があるだけですよー」

八幡「うおおお怖ぇ……女子からの頼み事とかトラウマしかねぇ……」思い

いろは「先輩。生徒会の庶務になってください」

八幡「……は?今でも十分お手伝いの臨時役員として仕事できてんだろ」

いろは「分かりました。じゃあ来年も最大限生徒会に協力してください」

八幡「……回りくどいな。どいいう意味だ」

いろは「……じゃあ率直に言いますね。奉仕部をやめてください」

八幡「断る」

いろは「即答ですか」

八幡「今の部長は俺だ。部長がやめてどうする」

いろは「活動はしてるんですか」

八幡「部室の掃除と読書」

いろは「もう雪ノ下先輩はいないんですよ」

八幡「……それでもだ」

いろは「……分かりました。でも考えておいて下さい、私の言葉」

八幡「ああ」


いろは(……ああ。最悪だな、私)

99: 2013/12/28(土) 20:49:57.47 ID:afQhW7U10
【めぐり12】

八幡「…………」

めぐり「浮かない顔してるね」

八幡「いつものことですよ……」

めぐり(福袋を買いに行ってもらった時、何かあったのかな。一緒に誰かといたみたいだし)

めぐり「……答えたくなかったら答えなくていいんだけど……雪ノ下さん?由比ヶ浜さん?」

八幡「……残念、どっちも外れです。ひとし君人形は没収ですね」

めぐり「じゃあスーパーひとし君人形を出すよ。一色さんかな?」

八幡(条件を絞った上で本命を叩き込む、世が世なら先輩は軍師として有名になれたかもしれねえな。もちろんはわわ的な意味でもだが)

めぐり「……あの子なら大丈夫だよ」

八幡「はあ」

めぐり「あの子なら君を追い詰めたりしないから」

八幡(暗に他の誰かは俺を追い詰めてしまったと言っているようで、先輩の笑顔がどことなく空々しかった)

めぐり「……じゃあ今度、初詣にいこっか」

八幡「……はい?お守り渡しましたよね、もう」

めぐり「おみくじ引いてないから、引かなきゃと思って!」

八幡「……やれやれ」

100: 2013/12/28(土) 20:59:47.52 ID:afQhW7U10
【いろは13】

いろは「雪積もってますよ雪!」

八幡「お前は小学生か」

いろは「童心に帰らなきゃだめですよー先輩」

八幡「うるせえぞあざとい。耳当てつけてるのがあざとい。ダッフルコートなのになんかモコモコしててあざとい」

いろは「もう私と話す時の語尾みたいになってますよね、あざといって」

八幡「否定はしないのか」

いろは「耳当てとか超ガーリーじゃないですかー」

八幡「は?ガー……ガーリック?」

いろは「てい!」

八幡「うお!いきなり雪玉投げてくんじゃねえ」

いろは「いきなり投げたのに避けないでくださいよー。てい!てい!」

八幡(うわあ女の子投げしてる、玉が全部山なりだ……)

いろは「ふぇっ」

八幡「……自分でこけてんじゃねえよ、ていうかこけた時の声すらあざといってどういうことだ」

いろは「いやー、何言ってるんですかー、私は私ですよー」

八幡「うわぁ」

いろは「先輩怒りますよ」

八幡「すまん」

102: 2013/12/28(土) 21:07:12.69 ID:afQhW7U10
【めぐり13】

八幡(今日も今日とて先輩とお勉強である。先輩より俺のほうが成績の伸び方激しいんですけど)

めぐり「……お店の中だと暑いねー」

八幡「まあ暖房入ってますし、コートの下はもうちょっと薄着でも良かったかもしれませんね」

めぐり「こういう時のために、じゃじゃーん!」

八幡「……いろはすっすか」

めぐり「うん。店員さんに見つかっちゃったら気まずいけどね」

八幡「……まあ大丈夫でしょ」

八幡(いろはか、生まれた時にはいろはすなんてなかっただろうし……でも無色なのに実は味がベタベタついてるとことか似てんな)

めぐり「デート中に他の女の子のこと考えちゃダメだよ、妹ちゃんに習わなかった?」

八幡「え、コレデートだったんですか、えマジ?」

めぐり(……女の子のこと考えてたのは否定しないんだ。すごい、当てずっぽうで適当に言ったら当たった)

八幡(めぐり先輩がキラキラした目で俺を見てる……いかん、心が浄化されて聖人になってしまう)

103: 2013/12/28(土) 21:15:54.32 ID:afQhW7U10
【いろは14】

いろは「せーんぱい」

八幡「うぜえ……何?教室まで何の用だよ」

いろは「今日もデスクワークと可愛い後輩が待ってますよー」

八幡「マジかよすぐ準備してくる」

いろは「は?……ふぇっ?きょ、今日の先輩は積極的ですね……」

八幡(言い直さなくていいです)

八幡「もちろんだ。何せ可愛いデスクワークが待ってるんだからな」

いろは「そっちかよ」

川崎「……」

葉山「いろは、最近大変じゃないのか、生徒会にサッカー部に」

八幡「心配するな、生徒会の方は俺がいる。馬車馬のようにヒイヒイ言いながら労働するプロレタリアの俺がな」

いろは「あのー、生徒会のネガキャンここで始めないでくれますー?」

八幡「いつからいたんだ会長。葉山逃げろ、こいつのあざとい頼みのせいでお前まで労働者階級に堕ちるぞ。あそこに労基法とかねえぞ」

いろは「代わりに私がいるじゃないですかー」

八幡「うるせえ」

いろは「重い!女の子の頭にカバンのせないでください」

八幡「中身あんま入ってねえぞ、どっちも」

いろは「先輩」

八幡「ごめんなさい」

川崎「……帰ろ」

葉山「は、ははは……」

104: 2013/12/28(土) 21:23:00.55 ID:afQhW7U10
【めぐり14】

八幡「あのー……先輩、凶引いたからってガチへこみしないでくださいよ、見てていたたまれません」

めぐり「ははは……初詣、来ない方が良かったかもねこれ」

八幡「結んで置いて行っちゃダメなんですか?」

めぐり「あれって良くても悪くても、とにかく去年のおみくじを結んで行かなきゃダメらしいよ」

八幡「マジかよ……今まで良かったら持って帰って、悪かったら置いて来たんですけど。そのせいでおみくじを持ち歩いたこととかないんですけど」

めぐり「あ、引いたの全部悪かったんだ」

八幡「とにかくお参りしましょう、二礼二拍手一礼でしたっけ」

めぐり「多分ねー」

カランカラン パチパチ

八幡(先輩の合格祈願はこないだしたしな……まああのバカが会長としてうまくやれるように、ぐらいか)

八幡(我ながら捻くれてるとは思う。一色と来た時はめぐり先輩のことを願い、めぐり先輩と来た時は一色のことを願ってる)

めぐり「……」

八幡「先輩、さすがに時間かけすぎです」

めぐり「え!?ああうん、けど、まだ祈願してないクラスの人が」

八幡「クラス全員分祈願してるんすか……競争社会に向いてないですよ先輩」

めぐり「君の分もお願いしといたよ!」

八幡「一年越しの願いに神様も戸惑ってるでしょうねぇ!」

105: 2013/12/28(土) 21:34:08.67 ID:nxYYQHyI0
【いろは15】

いろは「最悪ですー」

八幡「同感だ……ここの教室のドアの立て付けが悪いのを調査しに来たのに、どっかの誰かがドアを閉めたせいでな」

いろは「最悪ですねーその人」

八幡「お前だお前ェ!まあいい、電話で誰か呼んでくれ」

いろは「は?先輩がやってくださいよー」

八幡「電話かける相手がいねえ」

いろは「うわぁ」

八幡「こういう時こそお前が役に立つ時だろ。女子の半分は友達っぽいし」

いろは「暗に女子の半分を敵に回してると言いましたね……や、携帯ないんですよー」

八幡「あ?」

いろは「生徒会室に忘れて来ました、てへへ」

八幡「総辞職しかねえな……」

いろは「飛び火した他の役員が可哀想でしょそれ」

八幡「いやお前目当てのやつはお前が辞めるんならいる意味ないだろ」

いろは「そんな人いるんですか。……いやいや私なんかを目当てになんてないですってー」

八幡「口元にやけてんぞ」

いろは「もーなんのことですかー。先輩はそういうの絶対になさそうですけどー」

八幡「めぐり先輩」

いろは「……」

八幡「冗談だ」

いろは(…………!?イヤイヤ何ほっとしてんの私)

八幡「とにかく出る手段を」

いろは「あ、あの先輩、この間の話なんですけ」


その瞬間、アラサー独身が放った衝撃のファーストブリットが、閉じられていたドアをこじ開けた。というか吹き飛ばした。

くわえタバコで紫煙を揺らす彼女がドアを踏みつけながら入ってくる。

平塚「助けに来たぞ」

八幡「何ドアぶっ壊してるんですか、弁償もんですよ」

いろは「あと校内は禁煙ですよ先生」

平塚「(`;ω;´)」

107: 2013/12/28(土) 21:41:51.80 ID:Roc8DUG20
【めぐり15】

八幡(最近一色と遊んでめぐり先輩に萌えてばっかりだったから、部室以外でゆっくり読書するのも久々だ)

八幡(昼休みの教室はうるさいが雨が降っているので外で読むにはじめじめしている。部室の鍵を昼休みだけ開けるのも面倒臭い。俺のSE215が火を噴くぜ!いや壊れてるじゃねえかそれ……)

ピトッ

???「だーれだっ」

八幡(うおおおおおおお!?何!?心臓止まりそうになった!なんで目ェ塞がれてんの俺!?イジメ!?)

葉山「あの先輩、ヒキタニ君イヤホン付けてるから聞こえてないんじゃ」

めぐり「え?……あっ」

八幡(しかしこの手の感触……手をつないだことのある女の子とか極少数だが、小町とは違うこの心まで温かくなるような手は……)

八幡「めぐり先輩ですか?」

めぐり「!?」

葉山「!?」

八幡(……お、当たった。とりあえずイヤホン外さないと失礼かな)

八幡「先輩どうしたんですか昼休みに。音楽聞いてたんで気づきませんでしたよ」

めぐり(そっか……声が聞こえなくても、通じるんだ)

めぐり「……ふふふっ、うん♪すっごい嬉しい♪」

八幡「は?何が……ちょ、やめてくださいよこんなところでッ」

八幡(何教室であすなろ抱きとかしてくれてんだ柔らかい感触が……つーか逆だろオイ、なんで俺が抱きしめられてんだ……温かくて柔けえ……)

めぐり「♪♪」

八幡「ちょっと……はぁ」

八幡(役得っちゃ役得か……柔らかい……)



戸塚「うー、八幡……」

葉山「は、ははは……うわぁ……」

三浦「何?ヒキオって実はモテんの?」

海老名(精神を集中、集中……!城廻めぐりを葉山隼人に脳内変換、不可能じゃないはず……ッ!)

由比ヶ浜「…………」

108: 2013/12/28(土) 21:46:20.49 ID:Roc8DUG20
【八幡1】

生徒会長選挙が終わった。

確信はないが、どうやら俺は雪ノ下の望みを粉々にしてしまったらしい。

人間関係を粉々にしてきた俺だが、個人を無意識に踏みつけるとはレベルが上がってきているなあ。クズ度のレベルだけど。

耳に押し当てた携帯電話から流れる甘ったるい声を聞き流しながら、益体もなく思う。

『でねでね、そのゆかりちゃんって人がねーーーー』

通話をぶち切ってやりたい衝動に襲われる。半ば故意的に苛立ちの色を混ぜながら吐き捨てた。

「陽乃さん。本題に入って下さい」

『ちょっとー、気の短い男の子はモテないよ』

「本当にモテませんしそれ以外にも理由はありますしモテようとも思いません」

『仕方ないなー』

愉快そうな声色に、頭の何処かが白熱していく。

毎日が地獄だ。

大切な、守りたいと思ったものを自分で踏み潰し、その残骸を毎日見なければならない。他でもない俺の過失だ。

『ねえねえ比企谷君。私に協力してよ』

「雪ノ下絡みならお断りです。ぼっちは二度と同じ失敗はしません。なぜなら一度失敗したことは速やかに諦めるからです」

『つれないなー。でもさ、今度こそ、って思わない?雪乃ちゃんの力になりたいって』

「……」

ああ、畜生。この人の言葉はどうしようもない。

まるで水面だ。存在しているはずなのに掴みきれない。真実か嘘かなんて分からない。眩しい月を映しだして人を惑わす。

そしてその言葉は抗えないほどに甘い。

なぜなら彼女の言葉は、これ以上なく、俺の本心を突いていたのだから。

178: 2013/12/29(日) 20:43:09.52 ID:zTYw1/Az0
【いろは16】

(デスクワーク中)

八幡「一色、それ」

いろは「はいはーい」

八幡「んー」

いろは「これですか?」

八幡「おう。あ、ほい」

いろは「あ、どうもですぅー」

八幡「うぜぇ……」

いろは「先輩?」

八幡「すまん」

いろは「……」

八幡「なあいろは」

いろは「はいは……!!?!??」

モブ「!!?!!?」

モブ「!!!?!??」

モブ「ウホ、捻デレ先輩がデレた!」

八幡「最後のお前ちょっとこっち来い。ああいやこっち来なくていいから病院行って来い」

いろは「せせせ先輩。いいい今……」

八幡「あ? 一色、それ」

いろは「あっはい。じゃなくって! 今私のこと『いろは』って呼びましたよね!」

八幡「幻聴だ」

いろは「嘘だッ!!」



モブ「一色さん見えてねえのかな。捻デレ先輩耳真っ赤だぜ」

モブ「捻デレ先輩照れ屋さんだったんだ」

モブ「あれは一回気まぐれで呼んでみたはいいけど恥ずかしすぎて後悔してるパターン。ソースは俺」

モブ「お前やったことあるのかよ……」


八幡「オイ誰だ俺のあだ名を『捻デレ先輩』なんてふざけたのに定着させやがったヤツはッッ!!」

いろは「誰でしょうねー(目そらし)」

180: 2013/12/29(日) 20:54:15.74 ID:zTYw1/Az0
【めぐり16】

八幡「じゃあ明日の放課後な」

戸塚「うん、楽しみにしてるね!」

めぐり「あ」

めぐり(え……遊ぶ約束してた、よね? ど、どうしよう……)

八幡「あれめぐり先輩。どうも」

めぐり「や、やあ」

八幡(なんか変だな……他人に話しかけられた俺みたいだ。つまり挙動不審)

めぐり(今の子可愛かったな……ひょっとして彼女さんとか……ううん、そういうのはないって言ってたし)

八幡「あ、明日はすいません。用事入っちゃいました」

めぐり「あ、あはは」

八幡(あ、まさか戸塚といたの見られたのか。でも男だしなぁ)

めぐり「う、うん。楽しんできてね」

八幡「……ええ! デート楽しんできます!」

めぐり「やっぱりデートだったんだ!?」

八幡(面白そうだし放っておこう)

めぐり(比企谷君とデート……うぅー……)

182: 2013/12/29(日) 21:05:57.45 ID:zTYw1/Az0
【いろは17】

いろは「せんぱーい」

八幡「んー?」

いろは「海老名先輩って人から『どきどき学園☆イケメンパラダイス-ぼっちのあいつが頭から離れなくて-』っていう本押し付けられたんですけど」

八幡「うわああああああああああああああああ」

いろは「すごかったですよ、葉山先輩は案の定でしたけど、戸部先輩とかテニス部の戸塚先輩とか寄ってたかって先輩のことグチャグチャのヌチャヌチャにしてましたし」

八幡「うわあああああああああああああああああああああああああああ」

いろは「最近のははやはち単体より複数カップリングの方がキテるとか言ってましたけど何のことですかね……あああと、その……先輩の……えっと、あれ……あれって、こんなに小さいんですか? 私の小指ぐらいしかありませんでしたよ」

八幡「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

いろは「あ、泣きながら走って出て行っちゃった。どうしたんだろ」

モブ「えっぐいことしてんなよ一色さん……後で貸して」

モブ「海老名先輩って誰だよ何者だよ……後で貸して」

モブ「今貸して」

185: 2013/12/29(日) 21:13:51.62 ID:zTYw1/Az0
全員いろはす狙いとは言っていない(震え声)

【めぐり17】

めぐり「ねえねえ」

八幡「先輩スタバで薄い本を開くのはやめてくださいマジで本当にマジで」

めぐり「この本なんだけどさ」

八幡「『いつもぼっちのあいつを狙い撃ち-冬の章-』……春夏秋冬あんのかよふざけんな」

めぐり「君のクラスのメガネかけた子から渡されたんだけど、表紙の君すっごい目がキラキラしてるね」

八幡「本物はドロドロしててすいませんね」

めぐり「私はそっちのほうが好きだよ」

八幡「……どうも」

八幡(素直デレとか一周回って斬新だよ。ガード不能とか無理ゲーじゃねえか)

めぐり「でも男の子ってこんなところに穴空いてるの?」

八幡「ねえよッッ!!! 上げて落とさないでくださいよッッ!!」

189: 2013/12/29(日) 21:32:01.93 ID:zTYw1/Az0
【いろは18】

いろは「せんぱーい。今日の放課後ゲーセンデートしましょうよー」

八幡「うるせえ。仕事中に何言ってんだお前」

いろは「いいじゃないですかー。一段落して他の人出払ってますし。最近付き合い悪いですよー」

八幡「三浦かよお前……今日は生徒会早めに切り上げてめぐり先輩とスタバだから無理」

いろは「うわなんですかそのリア充スケジュール」

八幡「俺も受験0学期()だからな」

いろは「へぇ……自称進学校()の先生が言ってそうなフレーズですね」

八幡「まあそういうわけだ」

いろは「……先輩って、めぐり先輩のこと好きなんですか?」

八幡「お前みたいな人種はすぐアレコレと恋愛に結びつけたがるよな。まあ天使だとは思うぜ。戸塚は大天使だけどな」

いろは「じゃあ……雪ノ下先輩は、女神か何かですか?」

八幡「…………」

いろは「先輩の本心はわかりません。けど、雪ノ下先輩がいなくなっちゃって、その代わりにめぐり先輩と一緒にいる、っていう風に見えても仕方ないですよ」

八幡「……違う…………雪ノ下に……あいつに、代わりなんて……代わりなんて、いるはずが、ない」

いろは「……そうですか。まあ最近構ってくれなくて寂しかっただけですからー」

八幡「お前は勝手に男寄ってくるだろ。寂しかったっていうよりめぐり先輩に妬いてたんじゃねえのか」

八幡(あっヤバイ今の自分で言っといてすげえキモかった)

いろは「~~~~!!」

八幡「オイ! 消しゴム投げてくんな!」



めぐり「…………」

めぐり「今日は……帰ろ……」

190: 2013/12/29(日) 21:39:48.52 ID:zTYw1/Az0
【めぐり18】

八幡(今日も早起きしてめぐり先輩の弁当を作ってきた。5時から野菜を刻む姿はまさに主夫の鑑だったぜ。もうこのまま養ってくれねーかな)

めぐり「あ、こっちこっち」

八幡「はいはいっと。あ、今日はハンバーグ入ってますから」

めぐり「ホント!? ありがとう!」

八幡(花の咲くような笑顔とは言うが、いやいやめぐり先輩の笑顔が隣に並んでたらどんな花もかすんじまうわ)

クラスメイト「ねえねえめぐり。こないだから気になってたんだけど、この後輩君と付き合ってんの?」

八幡(出たな恋愛脳。頭の中で常に西野カナ流れてんじゃねのかってぐらい)

めぐり「彼氏だよー」

八幡(執拗に恋愛に話の方向を……えっ)

クラスメイト「えっ」

クラスメイト「やっぱり!?」

クラスメイト「はあああああああ!? めぐりに彼氏!?」

クラスメイト「嘘だあああああああああああああ!!」

クラスメイト「俺たちの希望がァァァァァ!!」

八幡(一瞬で教室が阿鼻叫喚の地獄絵図に変貌した。オイこれ俺刺されるんじゃねえのかな)

八幡「ってちょっとッ! 何堂々と嘘ついてるんですか」

めぐり「……ごめん」

八幡「えっ、ちょっとどこ行くんですか!? 置いてかないでくさいよちょっとっ!」


めぐり(……こんなことしても、雪ノ下さんには勝てないのにね……)

191: 2013/12/29(日) 21:54:56.19 ID:zTYw1/Az0
【いろは19】

八幡「……何してんだお前」

いろは「あー起きたんですか。ちょっと熱はかるんで体起こしてくださいー」

八幡「っと……いやいや、なんでいるんだよ」

いろは「脇しめてくださいねー。あ、めぐり先輩も来たいって言ってましたけど受験勉強に赴いてもらいましたんで大丈夫です」

八幡「そりゃ何より……小町か?」

いろは「はいー。優しい妹さんですねー」

八幡「……」

八幡(いつからだろうか。小町のやかましい口から出てくる俺の知り合いの名前が、まるっきり変わってしまったのは)

いろは「ポカリどーぞ」

八幡「おお……ちゃんと温くしてあるんだな」

いろは「サッカー部マネージャーですから」

八幡「由比ケ浜にはできねえだろうな」

いろは「…………」

八幡「そうだ! お前今日学校は」

いろは「今日は日曜日ですよ」

八幡「あ……」

いろは「おっちょこちょいなんですから。あ、妹さんは『小町は空気を読んで遥か彼方天竺を目指してきます!』とか言って出て行っちゃいました」

八幡「どこ行ってんだあいつ」

いろは「お、鳴りましたね。……7度8分ですか、あんまり下がってないですねー」

八幡「日曜ってことは、俺プリキュア見逃したのかよ」

いろは「はいはい。あ、熱ピタ替えますね」

八幡「ん」

いろは「うわぁ。大人しくされるがままの先輩とかキモいです」

八幡「うるせえ。まあ……お前には、世話になってばっかだから、な……」

いろは「はあ? ……はいー? お世話になってるのはむしろこっちの方ですよー」

八幡「そんなことねえよ……だって、俺に居場所を、くれてるんだから……」

いろは「……熱がひどいみたいですね」

八幡「だから……ありがと、な……」

いろは「…………寝ちゃった」



いろは(私は生徒会に先輩が欲しい。けれど、先輩は奉仕部にいてこそっていうカンジがする)

いろは(先輩も苦しいんだ。奉仕部がなくなって居場所がなくなっちゃって、けど生徒会に拾われて、嬉しいけれど、奉仕部が愛しくて)

いろは(だからあの部室を守り続けてるんだ)

いろは(悲しい人ですね、先輩は)

いろは(悲しいけれど、私には、その在り方は誰よりも美しく見えた)

192: 2013/12/29(日) 22:03:43.77 ID:zTYw1/Az0
【めぐり19】

めぐり「ごちそうさまー」

八幡「ごちそうさまです。先輩いよいよですね、明日のセンターの準備はどうですか」

めぐり「筆箱はカバンにいれたし、君がくれた鉛筆も削ったよ」

八幡(あれで受験すんのか。うわなんか嬉し恥ずかしい)

めぐり「まあ私はW大志望だからセンターはあんまり関係ないかな。センター利用で受かればすごい嬉しいけど。どっちかっていうと、君こそ大丈夫なの?」

八幡「ナメないでくださいよ。年明けの実力考査は自己最高成績だったんですから。世界史3位、現代社会5位、……国語1位、でしたよ」

めぐり「すっごい! おめでとう! よしよし」

八幡(あ^~)

八幡「……理系教科は、まあ、マトモになったかなって感じでしたけど」

めぐり「真面目に勉強してたもんね。……ってそうじゃなくて! 心配なのは体のほうだよ!」

八幡「体? ……ああ、風邪のことですか。大丈夫じゃなきゃ来ませんよ」

めぐり「そう? でも、はいどーぞっ」

八幡「うおっ」

八幡(いきなり引き倒された。と思ったら顔全体に柔らかい感触が……え? 俺何されてんの? なんで美少女に膝枕されてんの? 爆発すんの?)

めぐり「~♫」

八幡(やっべぇ。やっべぇ。めっちゃ髪撫でられてる。やべえ、やべえ……氏ぬんじゃねえかな俺)

めぐり「どうかな?」

八幡「最高です(即答)」

めぐり「良かったっ」

八幡(というか普通に考えてうつ伏せはおかしいだろ。恥ずかしくないんですか)

八幡「あの、顔の向き変えてもいいすか?」

めぐり「あ、だ、だめっ」

八幡「え?」

めぐり「……今ね、すっごい顔が熱くて、見せられないから……」

八幡「……そうすか」

八幡(あああああああああああああああ!! めぐりんは可愛いなあ! めぐりんは可愛いなぁ!!)

196: 2013/12/29(日) 22:12:08.91 ID:zTYw1/Az0
【いろは&めぐり1】

いろは・めぐり「「じゃじゃーん!」」

八幡「え? なに? どジャァーン?」

いろは「先輩! お弁当ですよ、お弁当!」

八幡「あざとい」

めぐり「がんばって作ってみたよ!」

八幡「センターの自己採点メチャクチャ良かったからって浮かれすぎですよ。まだ受験終わってないじゃないですか……で、俺の昼食スペースに押しかけてきてどうしたんですか」

いろは「いただきまーす」

めぐり「いただきます」

八幡「話聞けよオイ」

いろは「先輩先輩、そのからあげ弁当のからあげと卵焼き交換しましょうよー」

八幡「卵焼きにそのウィンナーも加えろ」

いろは「ほいほーい」

八幡「ほれ」

いろは「どーもー……ハッ! 今のはあーんのチャンスだったんじゃ!」

八幡「アホかお前」

めぐり「比企谷君っ」

八幡「はい?」

めぐり「あーん♫」

いろは「される側じゃなくてする側とはやりますね……」

八幡「あの、その」

めぐり、「う、ダメかな」

八幡「せめてトマトのヘタは取ってください」

めぐり「あわわっ」

いろは「ヘタ取ったらいいんですか……先輩、ホント最近デレ期? って言うんですか、それ入ってますよねー」

八幡「めぐり先輩限定でな」

いろは「…………」

めぐり「ふふっ。前から君は優しかったよ。はい、あーん」

八幡「勘弁してください」

めぐり「結局ダメなんだ!?」

いろは「……ッシャ」

197: 2013/12/29(日) 22:17:34.49 ID:zTYw1/Az0
【八幡2】

今度こそ。

人間がこの言葉を使うときは大抵良くない結果が待っている。ソースは俺。

『うーん、今までもお母さんは雪乃ちゃんを利用しようとしてたんだけど、雪乃ちゃんがそれとなく反発してたんだよね』

「……」

『それがこの間から急に従順になっちゃって、お母さんの言いなりになってるの。パーティーの出席回数も増えたし』

「……」

『聞いてる?』

「続けてください」

『うん、それでね、多分あの子、諦めちゃったんだと思うの、自分で生きることを。まあどうしてかは分からないけど』

「……あなたに分からない訳がないでしょう」

『わー怖い声。そんな声出せるんだね、比企谷君って。まるで今にも誰かを頃しそうだよ』

「殺せるもんなら頃してますよ、自分をッ」

電話越しに吐息が耳をくすぐった。

『じゃあ氏んじゃう前に、雪乃ちゃんをどうにかしてよ』

「……これは、あなたたちの家の事情は関係なしに、とにかくあいつ個人をどうにかしろってことですか」

『うん。家が絡んじゃったら君に頼めないよ、お母さんが出張ってくると私でもどうにもならないし』

「そりゃあ怖いですね。どんな幽鬼が出てくるんだか想像したくもないです」

『お願いするね』

「……分かりました」

返事を待たずに通話の終了ボタンを押す。

スマートフォンをベッドに叩きつけた。

「……ふぅーッ」

陽乃さんの口ぶりからして、今すぐ雪ノ下がお見合いに出されたりするとか、そういう類の動向はないようだ。

だがもし彼女が現状を受け入れ、全てを諦めきっているのなら……

そんな雪ノ下は見たくないと、素直に思った。

222: 2013/12/30(月) 19:07:17.35 ID:GZtrM9XP0
【八幡3】

部室のドアを開ける。いつも通り、彼女が椅子に座って本を読んでいた。

分厚いハードカバーだ。

「きちんとノックをしてくれないかしら、無礼ヶ谷君」

ああ、やめろ。そんな目で俺を見るな。やめてくれ。

「ん……悪いな。由比ヶ浜は?」

「まだ来てないわ」

部屋にいるだけで、自分が今、コールタールの中に沈んでいるような感覚がする。動作が緩慢で怠慢になる。

俺はここで何がしたいんだ。

「陽乃さんが、お前の様子が変だって言ってた」

何の熟慮もなく、俺の口から言葉が転がり出た。

出てしまったものは戻せるはずもなく、冷たい部屋の空気に拡散していく。

「言わなければ分からないのね、やはり」

意味ありげに囁かれた言葉の読み取りを脳が拒否する。文字の裏を読もうとするのを勝手に止める俺がいる。

「もう少しぐらい、家の役に立ってみようと思ったのよ」

「そうか」

「ええ」

その時、廊下にバタバタと足音が響いた。あいつだ。

ドアが開くまで数十秒もないだろう。

気づけよ。

雪ノ下、お前の目、俺に負けず劣らずひどいことになってんぞ。

223: 2013/12/30(月) 19:16:14.01 ID:GZtrM9XP0
【いろは20】

いろは「それにしても先輩、いきなりめぐり先輩と仲良くなりましたよねー」

八幡「俺が泣きながら雨に打たれているところに傘をそっと差して『どうしたの……?ウチ来る?』って言われた」

いろは「なんですかその90年代のメロドラマみたいなシーン。妄想しすぎで引きます」

八幡(まあ事実なんだけどな)

いろは「で、生徒会室の掃除は進んでますか?」

八幡「俺しかいねえのはおかしいだろ」

いろは「他のみんな部活がありますから」

八幡「お前もさっきまでサッカー部行ってたのか。それでジャージか」

いろは「はいー。似合いますかー?」

八幡「袖余らせてるのがあざとくて引く。ていうか袖はともかく裾をダボダボにしても危ないだけだろ」

いろは「いや褒めるところでしょ。ほらほら後輩のジャージ姿ですよー」

八幡「だからクルクル回ってんじゃねえよ危な……」

八幡(言ってるそばから、ターンをキメていた一色の足が、余っていたジャージの裾を踏んだ)

いろは「あっ」

八幡「えっ」

いろは「きゃっ……」

八幡「このバカ……!」

ドサッ

……

ガラッ

モブ「いやー部活もいいけど生徒会活動もちゃんとやらなきゃ一色さんが捻デレ先輩を押し倒してるゥゥゥゥゥ!!?」

モブ「まー今日は仕事そんなにないし、生徒会切り上げてもう一回部活に会長が捻デレ先輩の胸に顔埋めてるゥゥゥゥゥ!!?」

モブ「二人っきりだし片方がこけたのを支えようとして2人して密着したまま倒れちゃうっていうラキスケ展開があったり一色会長が捻デレ先輩に羽交い締めにされてるゥゥゥゥゥ!!?」

八幡「オイ最後捏造してんじゃねえぞ」

いろは(あわわわわわわ顔近いわわわ近い顔近いわわわ)

224: 2013/12/30(月) 19:26:09.62 ID:GZtrM9XP0
【めぐり20】

八幡「あ、めぐり」

めぐり「!?」

八幡「なにしてんの?俺待っててくれたとか?」

めぐり(校門で比企谷君を待っていたら本人がタメ語+爽やかスマイルで話しかけて来た。これは夢かな?)

八幡「ほら行きましょう」

ギュッ

めぐり「ひぁ」

めぐり(手握られた向こうからうわすごい胸痛い顔熱い)

八幡「顔真っ赤だけど、大丈夫?どうかした?」

めぐり「……え、えへへ。ちょっとドキドキしてるだけだよ。……顔なら、君だって真っ赤だし」

八幡「さっきウィスキーボンボン三箱食べさせられたからね」

めぐり「……ん?」

八幡「材木座が通販で間違えて買っちゃって、あいつアルコール全然ダメだし親にばれてもヤバイからって部室に押しかけて来てさあ」

めぐり(……大体分かった。つまりタメ語の比企谷君とデートできるってことでいいんだよね)

めぐり「じゃあ行こうか、え、えぇーっと」

めぐり(あ、これ……私も呼び捨てた方がいいのかなぁ)

めぐり「ふーっ、あー……は、は、は……ち、ま」

八幡「ふみゅう」

ドサッ

めぐり「……」

めぐり「…………」

めぐり「酔って寝ていたら危ない、家に運んで保護しなきゃ(使命感)」

225: 2013/12/30(月) 19:32:47.41 ID:GZtrM9XP0
【いろは21】

いろは(そう言えばこの間、先輩が映画館の上映直前の宣伝で、
仮面ライダーの映画の宣伝を熱心に見てた)

いろは(やっぱ男の子ってああいうのは好きなのかな……)

いろは(私が小さい頃見てたのって、えーっと、鏡を割るやつ……龍騎だっけ?)

いろは(女の人が出て来てたよねー……白いの、真似したなあ。鏡の前で、こんな感じで)

いろは「変身!……なんて」

八幡「……」

いろは「」

八幡「……」

いろは「」

八幡(生徒会室の中で会長がファムに変身してた。え、ミラーモンスターとでも戦うの?)

いろは「……ッ!」

八幡(顔を真っ赤にしてプルプル震えてる。ここはフォローするしかない)

シュバババッ(淀みないインペラーの変身ポーズ)

八幡「変身!」

いろは「……!!」

八幡「……」

いろは「……」

八幡「めちゃくちゃ恥ずかしいなこれ……」

いろは「すいません……反射的に録画しちゃいました」

八幡「ファイナルベントすんぞお前」

228: 2013/12/30(月) 19:46:52.91 ID:GZtrM9XP0
【めぐり21】

めぐり「見て見てー、君が仮面ライダーに変身してる動画が一色さんから送られて来たよ」

八幡「あいつやっぱ轢き頃す。今の俺はリュウガサバイブだ、AP10000を叩き込んでやる

めぐり「まあまあ。あ、私も小さい頃仮面ライダー見てたよ。面白いよねー」

八幡「……先輩ぐらいだったら、クウガとかアギトとかですかね」

めぐり「ううん、Black」

八幡「Black!?」

めぐり「ビデオで見てたの。バトルホッパー好きだったんだよ……ぐすっ」

八幡「あー……よしよし。先輩多分、オートバジンがやられた時も泣いたでしょ。そういうのに弱いでしょ」

めぐり「うん……ぐすぐす」

八幡(晴らしたい、この泣き顔)

八幡「じゃあ今度、クウガのジャラジ回とアギトの劇場版と龍騎のインペラーが氏ぬとこと555の劇場版見ましょうね」

めぐり「うん……うん?」

229: 2013/12/30(月) 19:56:01.56 ID:+3kVW9oC0
【いろは22】

八幡「寒い」

いろは「寒いです」

八幡「言いたいことは分かるな?そこをどけ」

いろは「嫌ですよー、このストーブの真ん前が私の癒しなんです、唯一の安息の場所なんです」

八幡「エアコンぶっ壊した戦犯は会長席で凍えてろ」

いろは「ちょっと押さないでくださいっ。大体壊したんじゃありません壊れたんですー」

八幡「オイ押し返してくるなっての」

いろは「……」

八幡「……あったけえな」

いろは「……はい」




モブ「見ろよ……ストーブの真ん前で2人でひっついてるぜ」

モブ「ストーブ切ってもあったかそうだよなあれ」

モブ「むしろアツアツまである」

モブ「(モブはすから八はすに)切り替えていく」

230: 2013/12/30(月) 20:06:41.65 ID:+3kVW9oC0
【めぐり22】

八幡「あれ先輩、どうしたんですか」

めぐり「ちょっと一色さんの様子を見に、ね」

八幡(センターで高得点をたたき出してから先輩のフットワークが軽いな……そういや今日は節分だ、机の上に豆が置いてある)

めぐり「あー豆だー。これ、いっつも年の数以上に食べちゃうんだよねえ」

八幡(そう言って豆をつまんで、目線まで持ち上げしげしげと眺める先輩の姿に、俺は魔がさしたとしか言いようがなかった)

八幡「鬼はー外ー」

ぺちっ

めぐり「……」

八幡(……すっげえ戸惑ってる)

八幡「鬼はー外ー」

めぐり「え、えぇ?えっと……え?」

八幡(なんか目に涙浮かんで来てるぞこの人……ゾクゾクしてきた)

八幡「鬼はー外ー」

めぐり「いたっ。えっと、君から見て、私は鬼ってこと、かな?」

八幡「鬼はー外ー」

めぐり「いた。……」

八幡(涙目で混乱してる。あーすっげえゾクゾクしてるわ。何これ超楽しい)

めぐり(そうだよ、ね……私、文化祭の時あんなにひどいこと言って……)

八幡(……んん?涙目からいきなりブワッとマジ泣きに変化しましたぞ?)

めぐり「えぐっ……ひっく、ごめん、ごめんね、本当に……ぐすっ。ごめんなさい……ごめんなさい……」

八幡「( ゜Д゜ )」


八幡「( ゜Д゜)」


(もう文化祭の時のことは気にしていないと釈明するのに、豆五粒とハグ二回とナデナデ七回とキス一回を要しました)

235: 2013/12/30(月) 20:15:37.42 ID:+3kVW9oC0
【いろは&めぐり2】

いろは「いやー歌いましたねー!」

八幡「喉カラカラだっつの……」

めぐり「でもあれ、ヒューマンビートボックスっていうの?すごいうまかったね!」

いろは「意外な才能があるものなんですねー」

八幡「どうも。お前はうるせえよTM娘」

いろは「いいじゃないですか別にー」

めぐり「真冬にHOTLIMITはないかなー」

八幡「全くですよ……お、からだ巡茶があるじゃねえか。自販機だとなかなか見かけなくないすか?」

めぐり「え!?あ、ああ、からだ巡茶か……うん、私も久しぶりに見たなー」

八幡「喉渇いたしこれでも買うか」

いろは「……お茶より、水の方がいいと思いますけどね」

八幡「ん?……運動部のマネージャーがそう言うんなら、えっと……いろはすしかねぇ」

めぐり「その指は動かさなくてもいいと思うよ、そのままお茶のボタンを押せばいいじゃん」

八幡「えっ?」

いろは「私は真面目にアドバイスしてるだけですよ。真面目なアドバイスとして、ミネラルウォーターのほうがいいと思うだけです」

八幡「や、ちょっ」

めぐり「体にいいよお茶は」

いろは「このミネラルウォーターは地球に優しいんですよ」

めぐり「地球の話はしてないんじゃないかな」

いろは「お茶500ミリリットルで健康が劇的に改善されるんですか」

八幡(なんだよこれぇ……いや、なんだよこれ)

めぐり「……ねえねえ」

いろは「……どっちを買うんですか?」

八幡「……」

八幡「じゃ、じゃあ俺はこのアクエリアスゼロを選ぶぜ!」

いろは「先輩?」

めぐり「比企谷君?」

八幡「……はい」


八幡(結局俺はからだ巡茶といろはすで累計1リットル以上腹に収めるハメになった。解せぬ)

236: 2013/12/30(月) 20:20:02.46 ID:+3kVW9oC0
【八幡4】

手詰まりだ。

本人がああでは、俺や陽乃さんには手出しのしようがない。

チャンスがあるとすれば、あいつ個人への正の影響力に関して群を抜いている由比ヶ浜ぐらいか。

……できうる限りのリスクヘッジを行い、誰かを犠牲にすることのない方法。

今回は、誰かを犠牲にする必要はなさそうだ。

要するには雪ノ下を啓発するだけなのだから。

だがその難易度は途方もなく高い。

他人のモチベーションにやすやすと干渉できる人間はそういない、まして相手は雪ノ下だ。

方法が見つからない。

由比ヶ浜に雪ノ下を励まさせるのが正攻法なのは間違いないだろう。だがもしそれが失敗した時のためのサブプランが必要だ。

例えば……問題解決を先送りにする、時間稼ぎ。

「…………小町ー、パソコン借りるぞー」

手に持っていた缶コーヒーをテーブルに置き、俺は立ち上がった。

237: 2013/12/30(月) 20:21:28.93 ID:+3kVW9oC0
今日は打ち止めです

めぐりんの唇にキスしたとは言っていない(震え声)
キスするべきは葉山の唇

なんだかんだ言って浅倉さんの変身が一番好きです

272: 2013/12/31(火) 21:17:46.48 ID:XPQMnkcR0
【いろは23】

八幡「まだまだ寒いな……」

いろは「まだ二月ですしね」

八幡「手先がヤバイ、手袋つけてなきゃ氏ぬ」

いろは「私はつけてないですよー」

八幡「雪女かよ……」

いろは「手先が冷たい人は心が温かいんですよー。ほら」

ピトッ

八幡「うお冷た」

八幡(……なんだこのバカップルみたいなの)

いろは「……」

八幡「……」

いろは「心が温かいか……試してみます?」

八幡「!?……いや下手に冷たくて指が凍傷になったりしたらやだからやめとくほらさっさと帰んぞ」

いろは「……ヘタレ」

273: 2013/12/31(火) 21:28:49.46 ID:XPQMnkcR0
【めぐり23】

八幡「何回録画を見直しても紅白おかしかったよな……西川はノースリーブだったし紅蓮はカオスだったし」

めぐり「あわわわわわ」

八幡(廊下のど真ん中でパニクってる先輩と遭遇した。なにしてんだこの人)

八幡「なにしてるんすか」

めぐり「うううう受かっちゃった」

八幡「はい?」

めぐり「センター利用でW大にうううう受かっちゃった」

八幡「……」

めぐり「あわわどうしようどうしよう」

八幡「はぁ」

ナデナデ」

めぐり「うぇ!?」

八幡「お疲れ様でした、先輩」

めぐり「……えへへ。うん!ありがとう!」

八幡「ええ」

八幡(やはり先輩の笑顔は可愛いが、今回は格別だった)

八幡(その時見せてくれた先輩の笑顔は、俺が今まで見てきた笑顔の中でも最高のーー)


『また、ね……比企谷君』


八幡(……)

八幡(…………)

八幡「…………どういたしまして」


八幡(その日俺は、久しぶりに悪夢を見た)

274: 2013/12/31(火) 21:40:53.23 ID:XPQMnkcR0
【いろは24】

いろは「あ、せんぱーい……ってチョコ持ってるぅー!?」

八幡「……なんでもねえよ」

いろは「えーなんですか今の。明らかに何かラッピングされた少女感満載の」

八幡「どうせマズイに決まってる」

いろは(……あーこれ触らないほうがいいあれだな。この人フックだらけだよ、ちょっとでも動いたらすぐひっかかるフックだらけだよ)

いろは「じゃあ私からは美味しいチョコレート!だけでなくマフラーも!」

八幡「おお、冷静に考えりゃ人生初だな、妹以外からチョコもらうのとか」

いろは「ふぇ?お母さんは……ああすいませんその表情やめてください地雷多すぎて対応できないんですよホント」

八幡「分かればよろしい。……マフラー今つけてもいいか?」

いろは「ふぇ」

八幡「あざとい。いや普通に寒いからつけようと……」

ズルズル

八幡「つけよう……つけ……なんだこれすげぇ長ぇ!」

いろは「いやー編んでるうちにどんどん長くなっちゃいましてひどいもんですね編み物がうまいばっかりにー」

八幡「さらっと自慢入れるのやめろ。あでも肌ざわりホントにいいな」

いろは「ッ!!でしょ!?でしょ!?」

八幡「俄然テンション上げてんじゃねえよ……つーかこれどんだけグルグル巻けばいいんだよ」

いろは「任せてください!はいぐーるぐーる」

八幡(魔方陣かな?)

いろは「ぐーるぐーる」

八幡「……」

いろは「ぐーるぐーる……はい完成!」

八幡(俺の首から伸びたマフラーが一色の首もつつんでいた。両者の間にマフラーのアーチがかかっている)

八幡「恥ずかしいほどけ近い暑苦しい手錠代わりかなんかかこれ」

いろは「もーノリ悪いですねー」

ギュッ

いろは「……これでもまだ、私は寒いぐらいですけど」

八幡「……生徒会室のエアコン、さっさと直るといいな」

いろは「……そーですねー」

八幡(目下の心配ごとは、急上昇した体温でチョコが溶けないかどうかだけどな)

275: 2013/12/31(火) 21:50:07.58 ID:XPQMnkcR0
【めぐり24】

めぐり「お待たせーってすごいモフモフしてる!?」

八幡「や、このマフラー長すぎてこうでもしないとダメなんですよ」

めぐり「へぇー……あ、チョコ作ってきたよ!」

八幡「ホントですか」

八幡(歴代最高記録更新じゃねえか、小町含めて四個、下駄箱に入ってた名無し入れて五個とかモテ期かよ俺)

めぐり「後で食べよっか……あーでも」

八幡「はい?」

めぐり「一緒にマフラー巻いてくれなきゃ、わ、渡さないよ」

八幡(……顔真っ赤にするぐらいなら言わなきゃいいのに)

八幡「ぐーるぐーる」

めぐり「わわっ!?ほ、ホントにしちゃうの!?」

八幡「今更聞く耳持ちませんよ。ほらぐーるぐーるっと。暑くないですか」

めぐり「ふぇ?ああうん、大丈夫だよ!」

八幡「じゃあ早く行きましょう。片方が止まってると動けないんで」

めぐり「あ、うん」

スタスタ

めぐり「……」

八幡「……」

めぐり「……帰り、も」

八幡「別にいいですよ」

めぐり「うぇ!?き、聞こえてたの!?」

八幡「女の子の発言聞き逃す奴とか氏ねばいいと思ってるんで」

276: 2013/12/31(火) 22:04:37.34 ID:XPQMnkcR0
【いろは25】

いろは「うわ先輩のiPodアニソンと洋楽しか入ってないじゃないですか、キモッ」

八幡「あ?邦ロックも入ってるだろうが」

いろは「ワンオクぐらいしかわかんないんですけど」

八幡「マンウィズかサカナか時雨ぐらい聞いとけよ……男子の話についていけねえぞビXチ」

いろは「じゃあ勉強のために聞かせてください」

八幡(こいつ開き直りやがった……)

いろは「イヤホンないんで貸してくださいよー」

八幡「へいへい」

いろは「うわ高そうなイヤホン……あ、どうぞ」

八幡「ちょっとした耳栓にもなるぐらいだしな……あ?片方だけ差し出してどうした」

いろは「聞きながらじゃないと説明できないでしょ?どーぞどーぞ」

八幡「左右別に音だしてる曲だったらどうすんだよ……まあいいか。とりあえずこのアルバムから」

いろは「うわー狼さんだー」

八幡「あざとい黙れ」

いろは「そんな女子高生相手に変な目を向けないでください」

八幡「自意識過剰すぎて引く」

いろは「はあ!?さっきから荒く鼻息吹き付けといて何言ってるんですか!しんぴょーせー皆無ですよ!」

八幡「信憑性の発音があざとい。ていうか息が気になるってのは単純に距離の問題ーー」

いろは「」

八幡「」

いろは「」

八幡「」

いろは「……かかか歌詞見ときますにゃ」

八幡「おおおう。基本アルヒュベトだけどにゃ」

いろは(ちといとと近い近い!もうちょっとでキスできた近い!)

八幡(空即是色……後輩のビXチ相手になにしてんだ俺は。この間こいつに似たAV女優を見た時のなんともいえない気持ちを思い出せーー逆効果だボケ!!)

277: 2013/12/31(火) 22:07:51.51 ID:XPQMnkcR0
【めぐり25】

めぐり「そう言えば今日君に食べさせた卵焼き、『素直になるお薬』っていうのいれてみたんだけどどうかな?」

八幡「怖いです」

めぐり「うーん……私のこと好きかな?」

八幡「好きですよ」

めぐり「!!!?」

めぐり(え?なんて言ったの?ええ??ん??ええっ???)

ー十分間経過ー

八幡「あの、薬の効果は三十分ほどなんですが」

めぐり「あ、ははい!えっとじゃあ……」

八幡「……」

めぐり「……私のこと好きかな?」

八幡「大好きです」

めぐり「!!!!!」



八幡(結局めぐり先輩が床を転がってる間に時間切れになった)

303: 2014/01/04(土) 20:03:26.53 ID:fiNnkySk0
【いろは27】

八幡「あ?スローガン?」

いろは「生徒会室の壁って無味無臭じゃないですか」

八幡「ふーん……『定時帰宅厳守!』とかか?」

いろは「いい感じにホワイトですねー。まあ完全下校時刻ですけど」

八幡「スローガンじゃなくても格言とかどうだ」

いろは「どんなのがありますかねー」

八幡「例えばだな」


世にいわゆるいい女というのはいても、都合のいい女はいないのである。
ーー比企谷八幡


いろは「うわぁ」

八幡「そのリアクションやめろ」

いろは「いいんじゃないんですかねうん」

八幡「テメェ……意外と考えるの難しいんだぞ」

いろは「えー」

八幡「オラ書いてみろよ」

いろは「うーん……こんなのどうですかねー」


世にいわゆるいい男というのは少ないが、都合のいい男はそこらに転がっている。
ーー一色いろは


八幡「苦情もんだろこれ」

305: 2014/01/04(土) 20:11:50.16 ID:fiNnkySk0
【めぐり27】

めぐり「はい反対側ー」

八幡「あーい」

めぐり「ふふっ、今度は君がしっかり勉強する番だね」

八幡「まだ0学期ですよー」

めぐり「もう0学期、でしょ?耳綺麗にして授業よく聞けるようにしないとね」

八幡「授業中はちゃんと起きるようにするんで、今寝ていいですか」

めぐり「気に入ってくれたかな?」

八幡「ずっとこうしていたいです」

めぐり「ずっとこうしていられるよ、君が望む限りはずっと」

八幡「……さいです、か」

めぐり「ちゃんと待ってるからね、君が言葉に出して……寝ちゃったかな?」

八幡「……」

めぐり「……私は、ひたすら現状維持を求めるのも、悪くないと思うよ。だって私は今、君と一緒にいられてとっても嬉しいから」

八幡「……」

めぐり「あはは……恥ずかしいなこれ……起きてない、よね?」

八幡「寝てます」

めぐり「…………!!」

八幡「俺も今、楽しいですよ」

めぐり「うぅ……ばかぁ」

306: 2014/01/04(土) 20:18:51.23 ID:fiNnkySk0
【いろは28】

『副会長、誤爆多数につき注意!』


いろは「……なんですかこれ」

八幡「地雷男であることに誇りはないが、さすがに放置するのもアレだしと思って」

いろは「注意書きですか……誤爆ってなんか意味違う気がするんですけど」

八幡「する気もないのに誤って爆発するんだから……うん……これ自爆だな……書き直すか」

いろは「でしょー?」

八幡「言い方うぜぇ……ん、そういや」

いろは「はいー?」

八幡「俺っていい男と都合のいい男、どっちだよ」

いろは「…………」

八幡「……」

いろは「いやいやいや何言ってるんですか自分でそんなこと聞いてくるとかマジキモいですホントキモいです無理ですいい男でいいですよもう」

八幡「ん、んん……?何?新手の自爆?」

いろは「自爆で悪かったですねえ!」

八幡「認めちゃうのかよ……」

いろは「そういうキモい解釈、イタい勘違いの原因になりますよ」

八幡「バッカお前、勘違いしないことに関しては一流だぞ俺。なんなら勘違いでないことを勘違いするまでーー…………」

いろは「あ、自爆した」

八幡「……」

いろは「……書き直しましょっか」


『会長・副会長、自爆多数につき注意!』

310: 2014/01/04(土) 20:45:31.58 ID:fiNnkySk0
【めぐり28】

八幡「んー……」

めぐり(あれ、寝ちゃってる。まあ最近あったかいし、仕方ないかな)

八幡「やわらけー……」

めぐり(ふふっ、寝顔可愛いなぁ。写真撮っちゃってもいいかな……でもシャッター音で起こしちゃったら悪いし)

八幡「めぐりせんぱぁい……」

めぐり「ん?」

八幡「やわらけー」

めぐり(……)

めぐり(…………!!?)

めぐり(いやいやいや。うん、やめよう。考えないでおこう。何変な想像しちゃってるんだろ私。まあね?男のだもん、仕方ないかな?かな?)

八幡「うっ……奥は狭いです、ね……」

ガタガタッ

めぐり「あ、すすすみません。ちょっと寝ぼけてたみたいですははは」

めぐり(落ち着いて。落ち着かないと。一人で椅子からひっくり返っていても何にもならない)

めぐり(いやでも……これ……うん……そういうこと、なの、かな……)

めぐり(夢はその人の深層心理を表すっていうけど、それなら……いや、女の子でたまたま傍にいたからだよ!女の子だったら誰でもいいんだよ!!)

めぐり(あ、なんかへこむなーそれ)

八幡「うーん……あー寝てたのか……すみません先輩……先輩?なんか雰囲気暗いですけど」

めぐり「え?あはは、ちょっと自爆しちゃってて」

八幡「はあ」

めぐり「うん」

八幡「あ……その」

めぐり「ふぇ!?ななな何かな!?」

八幡「耳、触ってもいいですか?」

めぐり「えっ」

八幡「えっ」

314: 2014/01/04(土) 21:08:39.82 ID:fiNnkySk0
【いろは&めぐり3】

めぐり「ねえねえ、昨日の『スクールハイ』見た?」

八幡「ああ、あの法学部志望で口癖が『俺の先輩と後輩が修羅場すぎるッ!!』の爆発系男子高校生が六法全書片手に学校のトラブルを解決していくっていうわけわからんドラマですね」

いろは「説明ご苦労様ですー。ていうか先輩メッチャ見てるでしょ。絶対大ファンでしょ」

八幡「うるせーなドラマぐらい見るわ。特にあの主人公は孤高であるが故に友達はいないっていう設定がいいな。孤高は最強のステータス」

めぐり「私はヒロインの子にがんばってほしいかなー。二期になって先輩の子が不遇な感じがするから」

いろは「まー確かに二期は後輩の子が出番多いですね」

めぐり「嬉しそうだね」

いろは「はいー」

八幡(あれなんだろ、寒気がした)

めぐり「君はどう思う?」

八幡「はい?」

いろは「さっきのセリフからして主人公に感情移入しまくりだと思うんですけど、どっちのヒロインとくっ付いてほしいですかー?」

八幡「バッカお前、孤高なキャラにヒロインとかいるわけねえだろ」

めぐり「一期の第一話で彼女がほしいって言ってたよね?」

八幡「あっはい」

いろは「まあ私は後輩の子をオススメしますよー。人当たりいいですし、可愛いですし」

めぐり「先輩の子はどうかな?がんばってるし、主人公君のことよく信頼して理解してるよ?」

八幡「……あー」

いろは「後輩!」

めぐり「先輩だよね?」

八幡「あのー……」

いろは・めぐり「「?」」

八幡「真面目な話、俺が好きなヒロイン、一期最終話で海外に行っちゃった特進クラスの子なんですけど」

いろは・めぐり「「えっ……あっ」」

(特進クラスの子
サブヒロインの一人
主人公は最終話でこのヒロインに告白するものの、失恋している
このヒロインが本当は主人公のことをどう思っていたかはファンの間でもしばしば議論の対象となっている
黒髪ロングで成績は主席(主人公は次席)
Wikipediaより)

いろは(やらかした)

めぐり(うわすごい落ち込んでる)

八幡「なんで行っちゃったかなーあのヒロイン……いや行かせたの主人公だけどもさ……いやー……はぁ」

(数十分間ぐちぐち言ってましたが、途中で『主人公』が『俺』、『あのヒロイン』が『あいつ』に置き換わりました)

319: 2014/01/04(土) 21:35:22.28 ID:fiNnkySk0
【八幡5】

「由比ヶ浜ちゃんに任せたかあ……まあ妥当かな」

陽乃さんはコップをテーブルに置いた。

季節外れのアイスコーヒーは砂糖もミルクも入っていない。

俺は自分のコーヒーを一口啜り、苦味を飲み込んだ。

「……今回はどうなんですか」

「うん?」

「文化祭の時にしろ、生徒会長選挙の時にしろ、あなたは解決策を思いついて、しかし教えはせずに俺を誘導するような真似をした。今回はどうなんですか。本当は解決策、わかってるんじゃないですか?」

「なに、比企谷君って攻略本見ながらゲームする派?」

ゲーム。その単語に雪ノ下の先行きを重ねることができない。

「あなたは……」

コーヒーをぶっかけてしまいそうな衝動を押し頃し、俺はわざとらしき音をたててカップを置く。

「あなたは、あいつの姉だ」

「今更どうしたの?まさか姉妹なら助け合うべきだなんて言葉、この私に言うわけじゃないよね?」

「似ているんですよ、あなたと雪ノ下は」

陽乃は無言だった。言葉を続ける。

「雪ノ下は。あいつは、さも自分一人でできるかのように振る舞う。あなたも、さも自分一人でできるかのように振る舞う」

「……」

「違うのは、他人を利用することを知っているかどうかだ。あなたは多くの手駒を操る術を知っている。あいつはそれを知らない。けれどあいつとあなたの本質は同じだ。高所から他者を見下ろす孤高。それがあなたたちの本質だ」

俺はその逆だ。俺の本質は奈落の底から他者を見上げる孤独。

だからこそ、俺の目には、彼女がより眩しく見えた。

「で?」

笑顔で催促して来た。まるで相手のパンチは効いていないと主張するボクサーのような表情だ。

「本当はーー今回ばかりは、あなたにも雪ノ下を救う術が見つからないんじゃないんですか」

「…………」

目の前の人の表情は崩れない。

「……コーヒー、冷めますよ」

陽乃さんは無言でコーヒーを啜る。

「まあ、アイスコーヒーですけど」

「ぁ……」

彼女は手に持ったコップに視線を落とした。冷めてしまったのは俺のコーヒーと、怒りだ。

この時になってやっと、雪ノ下陽乃の仮面が剥がれ始めた、気がした。

367: 2014/01/20(月) 17:02:01.10 ID:bJeE+DiV0
【いろは29】

いろは「さあ掃除ですよ!」

八幡「おかしいよな?どう考えてもおかしいよな?なんでお前が俺の部屋掃除すんの?」

いろは「小町ちゃんの許可なら取ってますよー。外堀を埋めるのは基本でしょ」

八幡「セリフの後半不穏すぎでしょ。後輩に部屋を漁られるとか、やはり俺の休日ライフは間違っている」

いろは「……勝ち目がないのにこんなことしてるとか、私とめぐり先輩の青春ラブコメも間違ってますけどね……」

八幡「……あ?何か言ったか?」

いろは「いえー何にもー。あ、この辺とか先輩の痛い黒歴史が眠ってそうですねー」

八幡「ふうん……ってオイオイ、勝手に漁ってんじゃ……」

いろは「んー?なーんですかこれー」

八幡「ーー動くな。……それをこっちに渡せ。早くしろ、間に合わなくなっても知らんぞ」

いろは「うわ一発で掘り当てちゃいましたか……どれどれ、『一ノ宮美穂 Level4の能力者、ギルドでの通り名は『劫火の唄姫』、エイトマンに窮地を救われて以来』」

八幡「ちょっと待てテメェこの野郎」

ダッ
ダッ

いろは「きゃー襲われるぅー」

八幡(何が悲しくて休日に部屋ん中を走り回らなきゃいけねえんだよ……ッ!)

いろは「きゃっ」

八幡「おい人の本踏んでこけてんじゃねえよ……うおっ」

チュッ

八幡「」

いろは「」

八幡「…………デコだからセーフ」

いろは「…………アウトです」

368: 2014/01/20(月) 17:32:27.93 ID:bJeE+DiV0
【めぐり29】

めぐり「一ノ宮美穂って誰なのこれ?」

八幡「うおおおおおあああああああ!!一ッ色ィィィィィィィィィィ!!」

めぐり「金髪ロングって、君のクラスにいたよね」

八幡「違う。違うんです。ていうかなんでこんなことに」

めぐり「君意外とすごいんだね」

八幡「先輩の視線がすごいことに……俺は悪くねえっ!俺は悪くねえっ!」

めぐり「ふーん」

八幡「くっ、ていうか先輩、あざ笑うとかじゃなくてなんで機嫌悪くしてるんすか?」

めぐり「いーやーべーつーにー?で、その一ノ宮っていう子、どういう関係、なのかな?」

八幡「?」

めぐり「?」

八幡「それ俺が考えたオリジナルキャラです、って何恥を上塗りさせてんですか」

めぐり「……」

八幡「先輩?」

めぐり「ごっ、ごめ!今のなしなしなし!ほんとにごめん!」

八幡「うお、先輩!?どっか行っちまった……どうしたってんだ」



めぐり(うわ……架空の人に嫉妬するとか……うわー私……うわー)

369: 2014/01/20(月) 18:06:20.09 ID:bJeE+DiV0
【めぐり30】

モブ「……城廻さぁ、確定なのになんで学校来てんの?」

モブ「ホントホント。私らのこと下に見てるって感じがする」

モブ「こっちは頑張ってるのにさー、あんなすっとろいのがねー」

めぐり「……」

男友達「好き放題言ってんなあ……ガツンと言ってやろうか」

めぐり「……」

女友達「あんまり気にしない方がいいと思うけど……無理かな」

めぐり「……あ、あはは……」

めぐり(……私、がんばったんだけどな。そういう風に言われるんだ。私、たくさんがんばったのに)

モブ「センターだけで受かるとか、私らもうちょいがんばったらいけたかもね」

モブ「要領とかは間違いなくあれよりはいいし?」

モブ「それそれ」

めぐり(やめてよ。私の努力をそんな風に言わないで。そんな風にけなさないで。やめてよ……私……)



八幡「そんなこと言ってる暇があれば勉強すりゃいいのに……」



めぐり「!!」

モブ「はあ?誰?」

八幡「平塚先生の使いっ走りの二年生です。次の国語のコマは英語に変更だそうです」

モブ「ふーん……であんた、さっきなんて言った?」

モブ「なんか言ってたよねぇー?」

八幡「……おんなじように間延びしてても、一色の方が5000%可愛いなこりゃ」

モブ「は?」

八幡「先輩方は受験生なのにどうして努力もせず他人の成果を羨んでばかりなのでしょう、と疑問に思っただけです」

モブ「あのさー、あんた二年だよね?受験生なの。私ら。大した勉強もまだしてないのに、何えらそーなこと言ってんの?」

八幡「今年度のセンター試験なら国数英の主教科は八割、社会理科科目は九割でしたが」

モブ「!?」

八幡「あなたたちとは違って勉強してるので。では失礼しました」

スタスタ

モブ「……ッハ~~~~!?何今の!?」

モブ「意味わかんない!はあ!?」

女友達「あー……今の子って」

めぐり「…………バカ」

371: 2014/01/20(月) 18:10:49.19 ID:bJeE+DiV0
【いろは30】

八幡「んあ?一色、どーしたよ。何か用か?」

いろは「はい?なんで先輩の教室に来たら先輩に用があることになるんですか?自意識過剰すぎでしょ」

八幡(お、おお……えらいツンツンしてんな。機嫌悪い日か)

八幡「じゃー何?葉山か」

いろは「ち、違います」

八幡「じゃあ戸部?っつーか俺の机のところに来なくてもいいじゃん、その用事あるやつのとこに行けよ早く。こっちも休み時間無駄にしたくねえしよ」

八幡(……はあ。別の奴に会いに来たってだけで、なーに不機嫌になってんだよ、俺。ガキじゃあるまいし)

いろは「だ、だから、用事があるのは先輩です……」

八幡「……ここじゃあれだな、場所変えるか」

八幡(……んですぐに機嫌が直るあたり、俺はまだまだガキだな)

いろは「い、いえ!大丈夫です!これあげに来ただけなんで!それじゃあ!」

八幡「あ、ちょっと……なんだこれ、弁当か?」

八幡(全然ツンツンしてなかった。普通にデレデレだった。むしろ俺がデレデレになるまであるぞこれ)



いろは(あーーーー渡した渡しちゃった。にしても弁当って……なにこの超古い少女マンガみたいなアピール)

いろは「……ふふっ」

いろは(喜んでくれたら、いいなぁ)

427: 2014/03/05(水) 23:01:59.27 ID:gUQX+Gk70
【いろは&めぐり4】

いろは「先輩先輩!」

めぐり「うーん?どうしたの?」

いろは「蜘蛛が出ました!」

めぐり「……ああ、それで突然椅子の上に立ち出したんだ。虫苦手なの?」

いろは「はい!」

めぐり「一周回って元気になっちゃってるよ……どれどれ」

カサカサカサカサ

いろは「ひいいいいいいいい」

めぐり「わあ結構大きい。糸とか出すのかなあ」

いろは「糸!?私糸でグルグルにされてミラーワールドに引きずりこまれるんですか!?ひいいいいいい」

めぐり「糸でグルグルにはされてなかったかなあ。Blackはされそうになってたけど。……まあその時は比企谷君が助けに行くよ(適当)。あ、そっち行った」

いろは「ひぎいいいいいいいいいい」

モブ(薄い本かな?)

いろは「やめてとめてやめてとめてやめてとめてもう辞める私会長辞めますうううう!!」

めぐり「生徒会室の蜘蛛が原因で退任とか前代未聞すぎるんじゃないかな……すごい動き方してるよねー、ゴキブリと戦うのかな?アラクネバスターとかでさ」


八幡「うーす」


ガラッ、ブチッ


いろは「」

めぐり「」

八幡「?」

いろは「……先輩」

めぐり「……君」

八幡(は?なにこの空気?え、俺なんかしたか?登場してまだ二秒ぐらいなんだが)

いろは「ナイスナイスグッジョブ大好き愛してますーーッ!!」

めぐり「君なんて……馬に蹴られて氏んじゃえーーッ!!」

八幡「わぶっ!い、いきなり抱きついてくんなよ一色ィ!ていうかめぐり先輩!?それ俺首コキっとされちゃうフラグですから!忘れた頃に敏樹がぶちかましてくるフラグですからやめて取り消してェッ!!」

428: 2014/03/05(水) 23:11:59.21 ID:gUQX+Gk70
【いろは31】

いろは「わー。先輩、このころは純粋な目だったんですねー」

八幡「過去形にするのはやめろ。現在の姿が連想されて悲しくなっちゃうだろうが」

いろは「今の方が好きですよー?……私は」

八幡「……倒置法?」

いろは「まあまあ、あ、ここのページからもう片鱗が……」

八幡「人のアルバム勝手に分析するなよ……オイやめろ撮るな、どうせめぐり先輩に見せる気だろ」

いろは「はい!」

八幡「…………」

いろは「痛い痛い!無言で頭グリグリしないでください!」

八幡「この生意気なビXチが……」

いろは「ビXチ言わないでください!ていうか先輩、先輩の方からお触りしてくるなんて珍しいですね」

八幡「言い方が完全に夜のお店なんだがそれは」

いろは「いちいちうるさいですよ!目の付け所がおじさんじゃないですか変態先輩!」

八幡(まあ確かに身体的接触がこいつ相手になると増えるよな、何故だろうか。まあこいつ痩せ型に見えて意外と柔らかいしなんかいい香りもーーうおおお何考えてんだ俺ェッ!)

ドゴッ

いろは「うわっ!?……きゃっ、何いきなり床に頭突きしてるんですか、猛虎落下地勢ですか?」

八幡「可愛らしく言い直したのはもう慣れたし構わねえが、後半の例えで台無しだバカ」

いろは「生徒会室にマンガを置いた人が悪いんです!(逆ギレ)」

八幡「私だ」

いろは「あなただったのか」

八幡「暇を持て余した」

いろは「生徒会役員達の」

八幡・いろは「「遊び」」



小町(この光景見たら結衣さん心折れるだろうなぁ……)

431: 2014/03/05(水) 23:23:16.59 ID:gUQX+Gk70
【いろは32】

いろは「あー本につまづいちゃったー」

ガシイッ

八幡「テメェ……今のはワザとだろ、どけよ早く……!」

いろは「先輩、なんで抱きとめずに、必氏の形相で私を押し戻そうと抵抗してるんですか……!」

八幡「グイグイ押してくんじゃねーよ、ていうかラッキースケベにしても三回はやり過ぎだろ……!仕組まれたラキスケとかダークよっぴーかよ……!つーか力強いなお前!」

いろは「ふぐぐ……!」

八幡「こんなんしなくても普通に頼めば少しは言うこと聞くぐらいしてやるっつーの……!」

パッ

いろは「ホントですか!?」

八幡「うん」

いろは「じゃあ充電させてください!」

八幡「やだ」

いろは「鬼!悪魔!雪ノ下先輩!」

八幡「本人の知らねえとこで風評被害を広げるのはヤメロォ!」

いろは「ケチー」

八幡(お前マジで遠慮がなくなってきたな……)
八幡「お前みたいなの膝に乗せてたら心臓爆発するわ」

いろは「……!?」

モブ「捻デレ先輩、逆っす」

八幡「」

いろは「……爆発するならしし仕方ないですねっ……見逃ちてあれます」

八幡「」

いろは「うぅ……先輩、あの、いくらなんでもフリーズしすぎです、恥ずかしいのはこっちもなんですが」

八幡「」

いろは「……先輩?」

八幡「」

いろは「…………し、氏んでる……!」

432: 2014/03/05(水) 23:36:05.00 ID:gUQX+Gk70
【めぐり31】

めぐり「今日は私以外の女の子と二百文字も喋ってたよね?なんで?なんで?」

八幡(生徒会の書類を片付けていたら癒しの先輩が病んでいた。やはり俺の青春ラブコメは歪んでいる)

八幡「……って、何すかいきなり。なんのマンガの影響っすか、それ」

めぐり「一年と二十一日みたいなインパクトが欲しかったんだけど……あんまり驚いてないね」

八幡「元ネタがキチ○イアニメなら致し方ないのか……?ていうか二百文字ですか」

めぐり「私が言うのもなんだけど、その、原稿用紙半分ってどうなんだろ……」

八幡「多いっすね」

めぐり「多いんだッ!?」

八幡「まー今日はあいついないですから」

めぐり「ああ、一色さんと話すとすごい文字数増えそうだもんね」

八幡「騒がしいったらありゃしないっすよ。昨日もダーツがどうのボウリングがどうの」

めぐり「あはは、そりゃあ、昨日は三千五百二十四文字も喋ってたし」

八幡「えっ」

めぐり「えっ」

435: 2014/03/05(水) 23:52:24.30 ID:gUQX+Gk70
【めぐり32】

八幡「うわすげー雪……」

めぐり「明日の電車大丈夫かなあ?」

八幡「遅れるかもしれませんね。合法的に学校を休めるとか何それウルトラハッピー」

めぐり「あはは……ブレないねー」

八幡「当然ですよ……ん?なんかこっちに来ますね」

「すいませーん、ちょっと質問いいですか?」

めぐり「え、はい」

八幡「はぁ」

「この雪についてどう思います?」

八幡(うわ取材かよ、俺とめぐり先輩のツーショットが放映されんの?気まずい通り越して申し訳ないじゃねえか)

めぐり「うーん……」

八幡「ま、まあ普通に寒いですね」

めぐり「そうだけど、君といる時の雪って、特別な気分にひたれて私は好きだよ」

「!?」

八幡「!?」

八幡(えっ……えっ)

めぐり「ちょっと恥ずかしいですね、あはは」

(ちょっとどころじゃねえよ!)

八幡(えっ何これメッチャ顔熱いやばい顔真っ赤だこれテレビに流せねえ)

めぐり「じゃあ行こっか……寒いなら、私が暖めてあげるし」

ギュッ

八幡「は、はい」


翌日いろはに締め上げられました

437: 2014/03/06(木) 00:11:47.28 ID:vSQG5yYj0
【いろは33】

いろは「いろはすといえばみかん味ですよねー」

八幡「は?普通に水でいいだろ、なんで味つけるんだよ。透明なのに濃厚なみかん味がして違和感がすげえわ」

いろは「ボトルがエコですし!」

八幡「あれギュッてしぼる意味あんの?」

いろは「ないですねー」

八幡「即答かよ……」

いろは「そういえばりんご味試してみましたか?」

八幡「興味も湧かねえ。どうせ透明なのに気持ち悪いぐらいりんご味なんだろ」

いろは「試してみなきゃ分かりませんよー?」

八幡(なんでこいつこんなゴリ押ししてくんの?業者なの?名前似てるって理由でタイアップでもされたの?)

いろは「ところでいろはすって私のあだ名なんですよねー」

八幡「ああ、知ってる」

いろは「……りんご味か、試してみませんか?」

八幡「えっ……ちょ、まっ………」



小町「お兄ちゃんどしたのー、もう朝だよー?」

八幡「お兄ちゃん相当疲れてるみたいだから寝るわ」

小町「??」

八幡「あーあと……帰りがけに、いろはすのりんご味、買ってきてくれ」

小町「ん、よく分かんないけど分かった!」

八幡「どっちだよ」



同時刻

いろは「疲れてるのかなー、あんな気持ち悪い夢。もう寝よう、遅刻しよう、うん、そうしよう」

いろは「……後少しだったのに」


その日、二人揃って遅刻してきて妙な噂がたつ二年生と一年生のコンビがいたとか

445: 2014/03/06(木) 00:26:06.71 ID:vSQG5yYj0
【めぐり33】

八幡(レンタルしたDVDいい加減消化するか……)

小町「あ、バットマンだー!」

八幡「ダークナイトは何回でも観れるな。あとアイロボットとハングオーバーとホットショットか」

めぐり「一つも知らないや……」

八幡「どれも面白いですよ。ハングオーバーはちょっとキツイかもしれませんけど」

めぐり「裸の銃を持つ男とどっちがきついのかな?」

八幡(……逆に物足りないまであるかもなこれ)

八幡「ていうか何であれを見たことあるんですか」

めぐり「一色さんが勧めてくれたんだ♪」

八幡「クソッ……褒めたらいいのか責めたらいいのか分かんねえ……」


小町(…………ん??? 日曜日に家でお兄ちゃんが女の子と映画鑑賞?? なにこれツッコミ待ち??)


めぐり「あれも面白かったよー、メリーに首ったけ」

八幡「……あれは男女逆転版をよくネットで見かけるよなあ」

めぐり「あっ、これすごいカッコいい!電動ノコギリ!」

八幡「トンファーって言ってあげてくださいよ!」

446: 2014/03/06(木) 00:40:26.82 ID:vSQG5yYj0
【いろは&めぐり5-1】

いろは「ちーきゅーうが泣いーてるー、そーらーがー怯えーてるー」

八幡「……さっきからなんで特撮縛り?いや確かにティガダイナガイアはモロ世代だけどさ」

めぐり「うん、映像見てると懐かしいねー。私はガイアが一番好きだったよ」

いろは「フラァッシュ!何のたーめにー」

八幡「俺は……」

めぐり「絶対ティガでしょ?」

八幡「あれ、バレましたか」

めぐり「そうだと思ったもん。で、最終話だけ気に入らない人だね」

八幡「先輩は俺検定準一級っすか。まあ取っても意味ないですけど。……ぶっちゃけ子供達の演出はいらなかった」

いろは「ミラクルォ!誰のたーめにー」

めぐり「で、一色さんはダイナ派」

八幡「あー絶対そうですね。今のミラクルの発音とか、OPを何回も繰り返し聞いた奴の発音ですし」

めぐり「でも私、ダイナだったらエンディングの方が好きかな」

いろは「WOW???」

めぐり「あ、次私だ」

八幡「ダイナのエンディングか……」

八幡(今考えてみても、君だけを守りたいだなんて、ヒーローのセリフではない)

八幡(だからこそカッコいいんだろう。あの悲劇的ラストといい、ダイナはいちいち俺の感性と合う)

八幡(あと、ソルジェント光線の不発が多いのも空回りを続ける俺の人生と重なる。撃滅のセカンドブリッドや掠りもしないカシリさんほどではないが)

めぐり「ウルトラ?♪ウルトラ?♪ウルトラ?♪」

八幡・いろは「「ハァイ!」」

八幡「ってそっちかよッ!?」

448: 2014/03/06(木) 00:46:33.51 ID:vSQG5yYj0
【いろは&めぐり5-2】

いろは「ほらほら先輩、今度は私とトークしましょうよ!主に特撮で!」

八幡「お前そのテンションで女友達と話してみろ、鬱陶しい交友関係がいい具合に整理されるぞ」

いろは「それ何もない焼け野原も同然じゃないですかやだー」

八幡「俺の話はやめろ」

いろは「自爆カウント追加ですねー。……で、訂正してほしいことがあるんです。確かに三部作だとダイナが好きですけど、一番好きなのはネクサスです!」

八幡「えぇー……」

いろは「あれ?先輩意外と好きじゃない感じですかー?」

八幡「いや大好きだけど」

いろは「…………」

八幡「あ?何いきなりフリーズしてんだお前。早く再起動しろ、画面真っ青じゃなくて真っ赤になってんぞ。ジュネッスかよ」

いろは「……ッ!!」

八幡「痛い痛い。バシバシ叩いてくんなって」

いろは「ふぅーッ……まあ好きなのはジュネッスブルーなんですけど」

八幡「わかる」

いろは「あの捨て身スタイルいいですよね!戦い方に個性が現れてるのって仮面ライダー然りですけど見てて感心しますし!」

八幡「ファイズとかそうだったなー。たっくんデルタとか初見でも『あーたっくんだわこれ』って思ったし」

いろは「執拗なまでに顔面殴りつけてましたもんね。正直三原以外がデルタ使ってたらすごかったと思うんですよ」

八幡「俺は三原より北崎の印象が強すぎてどうもなあ」

いろは「悪役なのにカッコよかったですよねー。ネクサスでいうとダークファウストみたいな」

八幡「孤門のメンタルをボコボコにするのはやめろ」

いろは「ホラーですよねあれ。よく復帰したなあとしか」

八幡「あれを乗り越えたからこそノアにだな」

めぐり「あの……歌終わっちゃったんだけど、聞いてた?」

八幡「んんwww」

いろは「ごまかし方下手過ぎです先輩」

472: 2014/03/06(木) 22:19:18.29 ID:LsxdKpJM0
【いろは34】

八幡「そういえばペットを飼うとしたら、犬と猫と兎、どれにするよ」

いろは「いきなり何の話ですか……あ、この卵焼きおいしい」

八幡「小町のを完コピしただけだがな。前そんな話をしたことがあるんだよ」

いろは「犬派と猫派での話なら分かるんですけど、うさぎさんって……」

八幡「あ? うさぎさん? 普段からそんな呼び方してんの?」

いろは「かわいいじゃないですかー」

八幡「兎は可愛いけどその呼び方はキモい」

いろは「……もう弁当食べてあげませんよ」

八幡「つくってみろって言ったのお前のほうだろ……まあ専業主夫の予行と考えればいいか」

いろは「しゅ、主夫……ッ!」

いろは(そそそそれじゃあ先輩の結婚相手って……にひひひひひ)

八幡「なんか希望のメニューある?」

いろは「愛情たっぷりのサムシングで!」

八幡「お品書きにはございません」

いろは「むぅー」

八幡「……まあ、一つまみ分ぐらいなら、な」ボソッ

いろは「……えへへ」

八幡「チッ」

いろは「も~~~。先輩は捻デレなんですからっ!」

八幡「はいはい。あんまり期待すんなよ、会長様」

473: 2014/03/06(木) 22:28:17.27 ID:LsxdKpJM0
【めぐり34】

八幡「……先輩、またうちのクラスの海老名さんに本渡されたんですか」

めぐり「う、うん。あの……これって」

八幡(……TSめぐり先輩×俺、TS一色×俺、TSめぐり先輩とTS一色と俺の3Pか)

めぐり「……わ、私アヤシイお薬飲んだからって、こここんなの、はは生えてこないよっ!?」

八幡「当たり前です(真顔)」

めぐり(でも、この本なら、私はちゃんと愛してもらえてるんだ……生えなきゃダメなのかなあ……)

八幡(つーかTSまで網羅とか見境なくなってきたなオイ)

めぐり(は、生やそうかな……このお薬ってどこにあるんだろう)

(ぐ腐腐腐腐腐腐、イツデモドウゾ)

めぐり「誰!?」

八幡「邪気が来たかッ!?」

474: 2014/03/06(木) 22:52:08.75 ID:LsxdKpJM0
【いろは35】

いろは「今日はここでお弁当を食べましょう!」

ザワザワザワ

八幡「おい一色、あの、一色さん、えっと」

葉山「……普段一緒に食べてるのか」

いろは「はいー。で、先輩。キリキリ動いてください。ほらおべんと箱」

八幡(えっ葉山スルー?)

いろは「ツッコミ禁止の方向で」

八幡「ウィッス」

いろは「今日は何かな何かなーっと」

八幡「お前の好きなサムゲタンだ」

いろは「ぶっ頃しますよ(ニッコリ)」

八幡「ウィッス」

いろは「あ、チーズハンバーグ! やっぱりチーハンはうめーですよね!」

八幡「口調乱れてんぞ……あと口元汚れてる」

いろは「そこは拭いてくださいよぉ」

八幡「ガキかよ……」

いろは「先輩のベロでっ! イヤーン」

八幡「舌引っこ抜くぞお前」

いろは「舌なくなったらもう先輩の料理味わえないじゃないですか!」

八幡「ほーう? そんなに楽しみにしてくれてたのか」

いろは「ッッ……か、かか、勘違いしないでくださいよ! 先輩の料理が食べたいだけで、あ、や、ちがっ」

八幡「え、あ、ちょ、ちょっと、すまん、もういいっ。俺まで顔熱いじゃねえかっ」

いろは「……先輩のバーーーーーカ!!」

八幡「……バカはてめえだ自爆野郎!!」



由比ヶ浜「……っていうことがあったんだ」

雪乃『そう。それは、なんというか、アレね』

由比ヶ浜「うん」

雪乃『仲が良くて嫉妬してしまうわ』

由比ヶ浜「うん……うん!?」

475: 2014/03/06(木) 23:00:58.25 ID:LsxdKpJM0
【めぐり35】

八幡「……この缶コーヒー」

めぐり「美味しいね!」

八幡「えっ」

めぐり「えっ」

八幡「なんか中途半端に苦いっていうか、後味が引くというか」

めぐり「えー、薄いより好きだよ」

八幡「アメリカンコーヒーとか飲めないでしょ」

めぐり「あのお湯で薄めるやつかな?」

八幡「お店によりけりらしいっすよ。スタバとかはお湯で割りますけど」

めぐり「ふぅん」

八幡「好きなら飲みますか? 俺はMAXコーヒー買いなおしたいんで」

めぐり「あ、じゃあもらうねっ。ふふふ」

八幡「?」

めぐり(……間接キスだぁ)

八幡「えーっと自販機は……」

八幡「…………」

八幡「…………」

めぐり「顔真っ赤だよ? どうしたの? ……気づかれちゃったかな?」

八幡「……勘弁してください」

めぐり「ふふふ、やだ♪」

八幡(……やはり、俺の先輩がこんなに小悪魔なのは間違って……ないなうん)

476: 2014/03/06(木) 23:22:00.81 ID:LsxdKpJM0
【いろは&めぐり6-1】

八幡「……本当にやるんですか」

めぐり「うん」

いろは「先輩はよ、はよ」

八幡(理想のプロポーズ当て、か。誰だこんなふざけた遊びを雑誌に掲載した奴。出て来い。純真な女子高生が騙されてこんなことをするから日本の経済基盤は歪んでいくんだよ、俺の性格みたいに)

八幡「分かりました、やるよ、やりますよ。特にやらないと一色は仕事しなさそうですし!」

いろは「さすが先輩、よく分かってますねー。私のこと分かりすぎててキモいです」

八幡「急転直下で罵倒に移行するのやめろ、心臓に悪いだろ」

めぐり「あははは。じゃあ、まず私から!」

八幡「先輩は……」

八幡(ほわほわしてるけど、男に理想を抱いているわけでもなさそうなんだよな。現実的な感じ? いや、この人は地味に甘えん坊だから……)

八幡「めぐり先輩」

めぐり「はいっ」


八幡「これからは、先輩に嬉しいことがあったら、一緒に喜びます。悲しいことがあったら、一緒に泣きます。迷惑かけるかもしれませんけど、先輩がつらいときは一緒に荷物を持ちます。……一生そばにいても、いいですか?」

めぐり「――――――――――――」


いろは(めぐり先輩がメスの顔になってる……)

八幡「あ、あれ? ハズしちゃいました?」

めぐり「ぅ、あ……」

いろは(先輩、ここでやめてもいいですよ別に。ただ)

いろは(続ければ、今のと同じようなのを何度も言ってくれるということをお忘れなく)

めぐり「!!!! 全然違うよ! ダメダメだね!」

八幡「えぇー」

八幡(恥ずかしいし、さっさと終わらせたいんだがなあ)

477: 2014/03/06(木) 23:45:01.06 ID:LsxdKpJM0
【いろは&めぐり6-2】

いろは「次は私ですね!」

いろは(めぐり先輩は開幕KOだったけど、絶対プロポーズなんかに負けたりしない!)

八幡「一色か……」

八幡(さすがにこいつ相手に真面目にやるのは馬鹿馬鹿しい……いや。案外こいつ、恋愛はだらしないようで一線を踏み越えるようなことはきちんと敬遠してるからな。誠実に振舞ったほうがベターか)

八幡「いろは」

いろは「ッ」

いろは(や、やば、名前呼び久々で、呼ばれただけなのにっ……まだ心の準備が)


八幡「どんな時でもお前の力になるって、約束する。だから、俺をお前の人生のパートナーにしてくれないか? ……結婚しよう、いろは」

いろは「」


めぐり(プロポーズには勝てなかったみたいだね……)

八幡「うわ、今のは正直自分でもキモかったな……あれ、一色?」

いろは「」

めぐり(やめる? 私は止めないけど)

いろは(ッ! 誰が!)

いろは「ぜぜぜ、全然違います! じぇーんじぇん違いますよ!」

八幡「なんか腹立つなその言い方」

いろは(ふぅーっ、ふぅーっ、落ち着け私……けど、これ、私の心臓もつのかなあ……?)

478: 2014/03/06(木) 23:52:49.22 ID:LsxdKpJM0
【いろは&めぐり6-3】

八幡「毎日俺がお味噌汁つくります。だから先輩は、俺に毎日笑顔を見せてください」

めぐり「ふきゅっ!」



八幡「今まで迷惑かけたよな。これからちゃんと借りは返す。人生をかけて、だけどな」

いろは「ふにゅ!」



八幡「一生傍に居ます。俺にあなたの人生を支えさせてください」

めぐり「ぅぁ……っ///」



八幡「じゃケッコンすっか!」

いろは「んだ! ……はい?」



八幡「俺は生きる! 生きてめぐり先輩と添い遂げる!」

めぐり(嬉しいけど、なぜか違和感が)

482: 2014/03/06(木) 23:58:54.18 ID:LsxdKpJM0
【いろは&めぐり6-4】

八幡(えっ、いつ終わんのこれ)

いろは「つ、次に行きましょうっ!」

めぐり「そそそうだよ! 早く!」

八幡(二人とも何なの? クスリでもキメてるの? 怖いんだけど)

いろは「次は私ですよね!」

めぐり「私だよっ!」

いろは「私!」

めぐり「私!」

八幡「……あー」

いろは・めぐり「「どっち!?」」


八幡「ふ、二人ともが、俺の翼だっ!!」


「「…………」」

八幡(くっ……さすがに中村悠一さんのおこぼれは無理があったか!? 所詮俺は非Xラウンダーに過ぎないのか!?)

いろは「……しょうがないですねっ。これぐらいで勘弁してあげます」

めぐり「お仕事に戻ろっか」

八幡「え、あ、はい」

八幡(……なんだ、意外とすんなりいったな。まあ遊びに熱中しててもあれだし、喜ぶべきこと、か)



いろは(……まあ、どーせ私だけだと片翼ですからね。めぐり先輩がいないと飛べないですし)

めぐり(こういう時にあの二人がうらやましくなるなあ。でも、私だって、一色さんと一緒なら……)

503: 2014/03/09(日) 00:09:54.87 ID:PMbb7Smw0
【いろは36】

いろは「……意外とよくできてますね、これ」

八幡「こういう、デパートの中に設置されるお化け屋敷って割高だよな」

いろは「先輩と一緒だから、気にならないんですけどねー」

八幡「フーン」

いろは「だって先輩おごってくれるから」

八幡「テメェ……」

いろは「……でも、おごってくれなくても、二人で居るときは本当にたの」

ゾンビ「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

いろは「アァン?」

ゾンビ「ひっ」

八幡「ひっ」

いろは「…………ちょっと、あの、少ししたらもう一回出てきてください。ちゃんと悲鳴上げるんで」

八幡「遅ぇよ」

504: 2014/03/09(日) 00:17:29.65 ID:PMbb7Smw0
見直したらお化け屋敷二回分残ってたのか……

さっきのは「季節はずれの肝試し」なので、三人バージョンは後日に回します

505: 2014/03/09(日) 00:47:03.77 ID:PMbb7Smw0
【めぐり36】

八幡(慰安旅行という名目でめぐり先輩と日帰り旅行をすることになった)

八幡「しっかし……混浴か」

めぐり「ふふふ、水着だけどね」

八幡「水着の上にタオルってどうなんですかそれ」

めぐり「え、あの、えっと……」

八幡「恥ずかしいなら時間をずらして入るとか」

めぐり「き、君以外の男の人に見られるなんて嫌だよ!」

八幡「!?」

めぐり「う、ぁ……」

八幡「……ああ、もう」

ギュッ

めぐり「!」

八幡(……俺だって、他の男に先輩の水着姿、見てほしくない)

八幡「やれやれですよ」

めぐり「……えへへ」

519: 2014/03/10(月) 01:32:29.85 ID:huYtT4Tv0
【いろは&めぐり7】

いろは「心理テストの時間ですよ!」

めぐり「あー、小学生のときよくやったかも」

八幡「仕事しろよ」

いろは「じゃあ早速いきますよー。あ、拒否権とかないですから」

八幡「ファッ!?」

いろは「えー問題です。ショートケーキ、フルーツタルト、チーズケーキ、チョコレートケーキ。これらを一緒に食べたい相手を答えてください」

めぐり「えーっと……比企谷君、一色さん、比企谷君、比企谷君かな」

いろは「!!??」

八幡「はあ、お腹いっぱいになりそうですね」

いろは(え、え、えぇー……)

いろは「ま、私はめぐり先輩、雪ノ下先輩、結衣先輩、先輩ですけどね☆」

八幡「はあ……何? 俺確かに甘いの好きだけど、ここまで食えって言われると戸惑うぞ」

いろは「それでそれで、先輩は?」

八幡「んー」

八幡「戸塚、陽乃さん、戸塚…………」

いろは(そこですよ、一番肝心なのは!)

八幡「……小町かな」

いろは(ファック!!)


答え
順に何でも話せる人、油断できない相手、おもしろい人、好きな人

521: 2014/03/10(月) 02:09:34.07 ID:huYtT4Tv0
【いろは&めぐり8】

いろは「ここですよここ! この間先輩と二人っきりで来たお化け屋敷!」

めぐり「しれっと自慢を織り交ぜてくるあたりさすがだよね」

八幡「……お、なんか改装されてる」

いろは「所詮作り物ですよ」

めぐり「あはは……とりあえず中に入ろうか。三人で一気に入れるみたいだしさ」

いろは「ふふん、怖かったら私に抱きついていいんですよ、二人とも」

ゾンビ「ヴオアアアアアア」

めぐり「わー怖い」

いろは「なんでゾンビって緑色なんですかね」

八幡(この人たち全然怖がってねえ)

「ヴヴヴ」

八幡(おっ?革命機か?)

「ヴァアアアアアア」

めぐり「すごいSAN値が削れそうな外見の幽霊だね」

八幡「まーた邪神か……あれ?」

いろは「ひあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?」

八幡(うおあっ!? く、暗くて分からんが何かが抱きついてきた!?)

いろは「邪神だめ邪神だめ邪神だめ邪神だめ邪神だめ」

八幡(おいおいおいマジで何だよこいつガチで怖ぇよ! めちゃくちゃブツブツ言ってるぞ!)


めぐり「……」ニコニコ

ゾンビ(やべえ俺らより怖ぇぞあの子)

523: 2014/03/10(月) 02:55:32.09 ID:huYtT4Tv0
【いろは&めぐり9】

八幡「……えっなにこれは(ドン引き)」

いろは「闇鍋です(目そらし)」

めぐり「アイ・ロボット面白いねー(現実逃避)」

八幡(……あのトラブル好きの小町が逃げ出すわけだ。正直俺も逃げ出した)

めぐり「何がいけなかったんだろうねー」

いろは「闇鍋をしようっていう発想じゃないですかー?」

八幡「あんたらが持って来たもんに決まってんだろッ! この鍋に浮いてるやつどう見ても金属物だよなァ!?」

いろは「先輩だって豆乳とクラムチャウダー入れてたじゃないですか!」

めぐり「すごいまともなラインナップだね」

八幡「そりゃこういうときは冒険しないのが俺の信条ですから」

いろは「うわ、女の人氏んじゃいましたよ!?」

めぐり「トゥーフェイスはよくここまでやる気になったよねー。すっごい怖い」

いろは「アメコミの登場人物って大体怖いんですけど」

めぐり「実写になるとイケメンばっかりなんだけどねえ」

八幡「いやいやいやいや、現実逃避してんなよ。食ってくれよ。頼むって」

いろは「あははははー」

めぐり「あははははー」

八幡「…………」


このあと滅茶苦茶腹を壊した。

549: 2014/03/15(土) 23:50:00.17 ID:ALLiRWP30
【いろは37】

八幡「……おいおい、なんだこの手札は」

いろは「わあすっごい無表情だー。でも声が少し上ずりましたね。降ります」

八幡「チッ」フォーカード

いろは「危ないなあ」ワンペア

八幡「ちょっとその声で相手の心を読むのやめてくれよ。ギアスっぽいぞ」

いろは「じゃあ次ですねー」

八幡「……」ブタ

いろは「レイズ! レイズ! レイズ!」

八幡「え? 何だって?」

いろは「(ニッコリ)」

八幡「……降ります」

550: 2014/03/16(日) 00:06:23.66 ID:U+zjF0JO0
【めぐり37】

八幡「新生活ってどうするんですか?」

めぐり「物件自体はもうあるから、家財道具かな。家電製品とかが一番厄介」

八幡「や、厄介って……ははは」

めぐり「コインランドリーで妥協すれば、洗濯機はあるんだけどね」

八幡「料理とかも一式揃えないといけないわけですし」

めぐり「え? 一色さんがなんで?」

八幡「え? なんであいつが? ……まあ料理はそこそこ得意みたいですけど」

めぐり「?」

八幡(眉を寄せて自分の発言を思い返してるめぐりんマジでかわいいんだけどなにこれ)

めぐり「あ!」

八幡「はい?」

めぐり「『いっしき』ってそっち!? なるほどね~」

八幡(誤解が解けて表情が晴れるめぐりんホントかわいくて氏にそう)

551: 2014/03/16(日) 00:37:33.64 ID:U+zjF0JO0
【いろは38】

いろは「王様どーっちだ!」

八幡「なんだこの斬新な遊びは」

いろは「そして私! 十六連射ですよこれ!」

八幡「十五回苦行を味わってるんだが……ルルーシュでも一回で我慢してんだぞいい加減にしろ」

いろは「まあぶっちゃけネタ切れ感ありますけど」

八幡「十円玉三枚を縦に積むまで膝枕だの、ネクサスのファウスト編を二人で見るだの、もうこれ(罰ゲームの基準が)わかんねえな」

いろは「じゃあ何にしますー? 恒例の……ぽ、ポッキーゲームとかー!?」

八幡(何一人で盛り上がってんだこいつ)

いろは「ま、待って。それだけじゃないよね。冷静に考えれば、他にもできる……うへへ」

八幡「おいクスリキメたみたいな表情になってんぞお前」

いろは「失礼な! じゃあお薬買ってきてくださいよ、人為変態できそうなやつ!」

八幡「無理ですわそれ」

いろは「できれば粉末で」

八幡「浮気されて氏ぬじゃん」

いろは「浮気なんてさせませんからね!」

八幡「ん、は、はあ……?」

いろは「……させませんから、ね」

いろは(雪ノ下先輩が相手でも、絶対に)

554: 2014/03/16(日) 01:11:45.99 ID:U+zjF0JO0

【めぐり38】

めぐり「いやーすごい雪だったね」

八幡「前も集中豪雨があったりしてましたから」

めぐり「ああいう時は本当に外出したくないよね」

八幡「クズ代表としてはピザーラの配達を注文したいところです」

めぐり「え? なんで?」

八幡「そりゃあ雨だったり雪だったりの中を歩かせてですね」

めぐり「ふんふむ」

八幡「苦しんでるザマを……」

めぐり「それ、何が楽しいの?」

八幡「えっと……」

めぐり「ん?」

八幡「…………ごめんなさい」

めぐり「?」

八幡(改心させられたんだがなんだこの懺悔室)

555: 2014/03/16(日) 01:36:34.99 ID:U+zjF0JO0
【いろは39】

いろは「ドリンクバーって……ロマンですよね」

八幡「何いってんだこいつ」

いろは「いや、これにハマると抜け出せないじゃないですか」

八幡「元取れねえけどな」

いろは「例えるなら、激辛カレーの食べすぎで普通のカレーが飲み物にしかならないみたいな」

八幡「それただのデブキャラじゃねーか」

いろは「いい加減にしてください! 泣いてる材木座先輩もいるんですよ!」

八幡「個人名を引き合いに出して貶めるのはやめロッテ!」

いろは「じゃー何にします? 何種類混ぜます?」

八幡「カレー」

いろは「カレーは飲み物!?」

八幡「付き合えよお前」

いろは「……ま、仕方ない人ですね」

八幡(面倒見てんだか見られてんだかわかんねえな、ったく)

556: 2014/03/16(日) 01:55:06.34 ID:U+zjF0JO0
【めぐり39】

めぐり「今見ると、この子のやってることあんまりよろしくないんだよねー」

八幡「まあ実の父親が殺されてるわけですからね。そのあたりは計り知れませんよ」

めぐり「……っと、意外にマイティの相性がいいよねこれー」

八幡「ですよね、ゴリ押しでも割と……だからドラゴンはやめろって!」

めぐり「なんで武器なしのドラゴンがだめだって学習しないのかなー」

八幡「コメントが怖いですよ。……お、ペガサス初登場」

めぐり「これ素直にすごいよね。聞こえすぎるっていうの」

八幡「これのせいでフォームチェンジのデメリットっていう概念が生まれましたからね」

めぐり「ロボ、バイオ」

八幡「それ以上いけない(震え声)」

めぐり「……で、次はどうしよっか」

八幡「正直膝が痺れてきたんで、膝枕はやめましょう」

めぐり「じゃあ肩かして!頭置くから!」

八幡(ああ、カップルシートのリア充みたいになる……シャンプーのいい香りがする……)

めぐり(久々に見ると、なんか男の人同士の距離が近い気がするなあ)

760: 2014/04/19(土) 22:28:42.59 ID:1ujz+07u0
【八幡6】

「どーしよっかー……」

グラスの中の氷をカランコロンと鳴らしながら、由比ヶ浜は憂鬱そうに窓の外へ視線を向けた。

カフェオレはもう水で薄くなってしまっていた。

「まあ、本人次第っていう面もあるからな」

「うわヒッキーにフォローされるなんて」

ひどい言われようだった。俺は肩をすくめた。

……由比ヶ浜はだめだった。なら、どうすればいいのだろうか。

「もう考えがない、ってわけじゃない」

「ほんと?」

けれど。

「だれも救われないし、だれも得をしない。そんな案だ」

「それでヒッキーが傷つくのなら、あたしはヤだよ」

「心配すんな、得をするやつもいないが、損をするやつもいない」

由比ヶ浜は視線で続きを促した。

俺は、覚悟を決めることにした。

761: 2014/04/19(土) 22:31:15.06 ID:1ujz+07u0
【いろは40】
いろは「ねえねえ先輩」

八幡「……」

いろは「無視しないでくださいよー」

八幡「……」

いろは「むぅ……」

八幡「……いや、映画館だぞここ。静かにしてろ」

いろは「だってこの映画面白くな」

八幡「うるせぇ! 今必氏に面白いって思いこもうとしてんだよ!」

いろは「やっぱ面白くないんじゃん……先輩と話してる方が私は楽しいんですよ」

八幡「はぁ? ……はいはい」

いろは「あれ? 照れてる? うわー照れてるとか先輩かっわいー」

八幡「」

いろは「ふふふ。ちょっといじめすぎましたねー」

八幡「クソッ、やっぱ映画は一人で見るもんだな。複数人で映画見るとかぶっちゃけあり得ない」

いろは「結局付き合ってくれてるくせにー」

八幡「う、うぜぇ……あと頬を突っつくのやめろ」

いろは「なんか無駄にぷにぷにしてるのがムカつくんですよ! お肉分けてください!」

八幡「お前色んな人敵に回してるからな!?」



観客(((あのバカップル、うるせー!!)))

762: 2014/04/19(土) 22:34:43.16 ID:1ujz+07u0
【めぐり40】
めぐり「見て見て、このドラム……ドラム缶式の洗濯機! 流行ってるんだよね」

八幡「なんすかその五右衛門風呂みたいなの……あ、これ乾燥機もついてるんですね」

めぐり「除菌機能もだっけ? せっかくアイロンのかけ方覚えたんだから、これはナシかな~」

八幡「最近は洗濯機だけじゃなくて、食洗機でも除菌できますし」

めぐり「家電メーカーってばい菌嫌いなのかな?」

八幡「や、別に家電メーカーの好き嫌いは関係ないでしょ。ばい菌好きだから除菌しない家電メーカーとか嫌すぎる」

めぐり「あーなるほど」

八幡「掃除機だったら、やっぱ吸引力の変わらないあいつですか」

めぐり「うーん、ダイソンってお手入れが面倒かも」

八幡「……そもそも掃除機使うんすか?」

めぐり「まだ分かんないかな。でも、こういうのって、カタログ見てるだけでも楽しいでしょ?」

八幡「ま、そうっすね」



はたから見れば新婚である

763: 2014/04/19(土) 22:41:01.24 ID:1ujz+07u0
【いろは41】
八幡「うーん……」

いろは「うわ、先輩が進路で悩んでる。キモっ」

八幡「えっ、ひどくね? 俺だって将来のことぐらい考えてんだよ」

いろは「専業主夫志望のくせに何を……んん?」

八幡「……どうかしたか?」

いろは(第一希望は専業主夫、第二希望は自宅警備員、第三希望……)

いろは「……ホントに、きちんと考えてるんですね」

八幡「別に専業主夫を諦めたわけじゃない。でも、やはり、現実的ではないだろ」

いろは「まあそうですけど、先輩がそんなこと言ってると空からメラゾーマが振ってきそうです」

八幡「メラゾーマじゃない、メラだ。……とか言いたくなるな。まああれだ。ほら。めぐり先輩がエリートコースに行っちゃったから、俺もなんかしなきゃなと思って」

いろは「ふーん」

八幡「……それに、まあ、お前と一緒にいても恥ずかしくないようにしたいしな」

いろは「ふーん」

八幡「…………」

いろは「!?!?!?!?!?!?」

764: 2014/04/19(土) 22:45:36.58 ID:1ujz+07u0
【めぐり41】
めぐり「ねえ、結局生徒会に残るの?」

八幡「あ~……なんかあいつが、副会長にならないなら役職作ってねじこむとか言ってるんですよね」

めぐり「へぇ! すごいね、そんなことできたんだっけ」

八幡「いや知りませんし、出任せかもしれませんけど」

めぐり「でもきっと……君に来てほしいっていう気持ちは本当だよ」

八幡「……」

めぐり「副会長でも兼部はできるよ。心配いらない」

八幡「そうじゃないんです。ただ、俺に、あいつの隣に……そんな役職の上に立つ資格があるのかって」

めぐり「……! あるよ! 君にはある! 向いてないかもしれないけど!」

八幡「ひ、ひでぇ……」

めぐり「え、あ、あれー?」

八幡(……そうだな。向いてる、向いてないは関係ないのかもしれない。俺は……)

八幡「まあ、がんばってみますよ」

めぐり「うん!」



八幡(こういうのを、前に進むと言うのだろうか)

八幡(……なんだか久しぶりで、あまりにも久しぶりすぎる感覚で、まだ戸惑いの方が強かった)




※>>1もミスしていましたが現在の八幡は副会長ではないです、ただの手伝いです

767: 2014/04/19(土) 22:50:33.79 ID:1ujz+07u0
【いろは42】
いろは「~♪」

八幡「おい、あんま変なとこ押すなよ」
八幡(iPodみたいなデバイス機器って人に預けると不安になるよな、まあ俺の場合人に何かを貸すって時点で不安だが)

いろは「……あれ、この『もう寝よう!』っていうプレイリスト、なんですか?」

八幡「ん、寝る直前に再生してるやつだな。昔のアニソンばっかだけど」

いろは「あーなるほど。私もそういうプレイリストは作ってますよ。で、一時間のタイマー設定かけて寝ます」

八幡「たまに自分が寝るより早くタイマーの時間が来て腹立たないか?」

いろは「すっっごい分かりますそれ! いい加減脳波読み取って寝たら電源切るぐらいするべきなんですよね」

八幡「結構メチャクチャ言ってんぞお前……で、寝るとき何聞いてんだよ」

いろは「壮大な感じのBGMですかねー。エスコンとかよく入れてます!」

八幡「……」

いろは「?」

八幡「いや、キャラ的に、Jポップを適当に聞いといた方がいいんじゃ……」

いろは「……あっ」




だんだんキャラ作りと八幡に合わせる予習が配分逆転していったら美味しいです

768: 2014/04/19(土) 22:54:45.33 ID:1ujz+07u0
【めぐり42】
めぐり「大学生ということでディスティニーランドの年間フリーパスを買ったよ!」

めぐり(こ、これで色んな人を遊びに誘える……! 確か雪ノ下さんとよくディスティニーの話してたし、大丈夫だよね!)


八幡「いや、受験生がディスティニーランド行くわけないでしょ。センター利用だからって一般入試なめてるんですか。数学なくても十分きついでんすよ」

めぐり「アッ」


めぐり「……確かにちょっと考えが浅かったね。ごめん」

八幡「まあ、俺が浪人しなけりゃいいですし、今年は大学のご友人と一緒に行ってあげてください」

めぐり「うん!」

めぐり「……」

めぐり(あれ? いつの間に志望大学決まったんだろう? ていうかせっかく数学も人並みに成績上がったのに、使わないの?)

めぐり(数学のない一般入試ってことは、たぶん私立。いや、でも、まさかねー)

めぐり「…………待ってるよ」

八幡「……はい」

めぐり「!!!!!」

めぐり(だ、大勝利なの!? これは大勝利ってことでいいの!?)

八幡(もう逃げらんねえな。しっかりしろよ俺)


八幡(大嫌いだった色合いが自分の中に入ってきても、不思議と、拒絶はできなかった)

八幡(朱に交われば赤くなる、か)

八幡(俺は、戦わなくちゃならないんだ。俺の大好きな自分と、社会に望まれる俺とをすり合わせていくために)

八幡(そうなんだろ……一色、めぐり先輩)

769: 2014/04/19(土) 23:02:05.81 ID:1ujz+07u0
【いろは(仮)1】
※八幡といろはが大学生の設定

いろは「うにゅー」

「ははは、いろはちゃんベロベロだな」

「顔真っ赤だぜ」

いろは「うぅー帰るー先輩にー迎えに来てもらうー?」

「あ、私帰るから、いろは送ってくね」

「別に俺らで面倒見るよ?」

いろは「せんぱー」

「……ならごめん、ちょっと用事あるから、抜けるね。いろはまた明日」

いろは「はいはーい」

「……なぁ」

「……これ、ヤれそうだよな」

771: 2014/04/19(土) 23:08:06.74 ID:1ujz+07u0
いろは「じゃー、わたしはせんぱいに連絡とるんでー」

「いいよほら、駅まで送るから」

いろは「あー、携帯返してよー」

「会計済ませといたぜ」

「おう。じゃあ……行くか」

「どうする? やっぱホテルか?」

「酔った子を2人がかりで連れてったら、店によっちゃ入れてもらえないだろ」

「じゃあよ、俺の先輩がちょうど近くに住んでるから……」

「その先輩にもおすそ分けといくか」

いろは「んにゅー」

「ていうか体超やわらけー……」

「おい、俺にも触らせてよ(笑)」

いろは「うーん……」

772: 2014/04/19(土) 23:11:10.20 ID:1ujz+07u0




ヴゥオ゛オ゛オ゛ォン



「!?」

「え、何」

いろは「あー、先輩だー。先輩のバイクの音がするー」




773: 2014/04/19(土) 23:12:40.75 ID:1ujz+07u0

ヴゥオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ォン


「せ、先輩って、あの、ごっついバイク乗ってる人?」

「暗くてフルフェイスしか見えねえ……つーか怒ってるよなこれ!?」

「すっすいませんでした! 無事一色さんは送り届けたんで僕らはこれでっ」



ヴゥオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ォン



「「ひいぃぃぃすいませんでしたーー!」」

775: 2014/04/19(土) 23:18:06.49 ID:1ujz+07u0
八幡「……排気音だけで逃げるとか雑魚すぎだろ」

いろは「ウェヒヒ、せんぱー。なんでここって分かったんですかー? やっぱりー、愛の力?」

八幡「アホなこと言ってんじゃねえ。お前と一緒に飲んでた女子から連絡が来てよ、それで飲み屋の回りをしらみつぶしに探したんだ」

八幡(まあ戸塚と材木座にも手伝ってもらったけどな)

いろは「あれ、さっきの人たちはー?」

八幡「知らん、どっか行った」

いろは「せんぱいが来てくれたから、どーでもいいんですけどねー。えへへ」

八幡「……ったく。これじゃあ目が放せねえな」

いろは「そりゃあこんなに可愛いわたしですからー!」

八幡「そういう意味じゃねえよッ」

いろは「ちょっとっ、頭ぐりぐりしないでくださいよー」

776: 2014/04/19(土) 23:21:49.71 ID:1ujz+07u0
【八幡7】

「お兄ちゃん、何しようとしてるの」

休日の昼下がり、部屋で書類の整理をしていると、前触れもなく小町が入り込んできた。

「これでも高校生だからな、勉強タイムだ。飽きたらアニメ」

机の上に小町の手が伸びた。

「お兄ちゃんが何を見てるか知ってるよ。なんでこんなの、見てるの」

その時になってやっと気づいた。

小町の声は、芯から冷えていた。

「結衣さんは」

「……猛反発だった」

「あたりまえだよ」

けれど。

「これでいいの? お兄ちゃん、こんなの、これでいいの?」

小町は……俺の目論見を打ち砕こうなんて考えてない。ただ静かに問いかけてきている。

普段ならこそばゆいほどの正しい処置だったが、この時だけは、不意に俺の逆鱗に触れた。

「俺だってッ」

イスを蹴り飛ばし、転がるような勢いで立ち上がった。小町の肩がビクリと震えた。

「俺だって……したくない、したくなかった、こんなことッ。守りたかったさ、あの部屋を、奉仕部を、すべてをッ。でも……俺は……いや、雪ノ下は選んだんだ、あいつの道を。無理やり引っ張って戻すわけにいかないなら、こうするしかないだろッ」



「平塚先生と協力して、留学枠に雪ノ下をねじ込む」

「海外なら、あいつの家の影響も及ばない」

「時間を引き延ばすだけだ、でも、効果はある。あいつならもう一度立ち上がる。今はそれだけの時間がないっていうだけで」

そして。

――代わりに、奉仕部の絆は、消滅する。

278: 2013/12/31(火) 22:13:17.17 ID:XPQMnkcR0
短いですが今日は打ち止めです
明日明後日は所用により投下できないと思いますすみません

年内に終わらせるつもりが都市を越してしまうとは予想外ですが、一人でもはやはt……じゃねえや、いろはすめぐりん派が増えてくれると嬉しいです
個人的にやりたいネタは葉山と八幡のガチホ〇を見てしまった二人の反応ですかね
具体的に言うと奉仕部部室で「雪ノ下さんより俺のほうが相性がいいだろう?」とか「結衣には悪いけど、もう君は俺のものだ」みたいな
もちろんリバース歓迎で

まあ今年はここまでということで
ではよいお年を

279: 2013/12/31(火) 22:19:51.36 ID:xUraqXt+0
乙!

282: 2013/12/31(火) 22:28:57.51 ID:t2GH1TmAO
乙乙
良いお年を

引用元: 八幡「天然ゆるほわと養殖ゆるほわが合わさり最強に見える」