1: 2016/07/28(木) 01:47:49.11 ID:cmwY4PPLo
まほ「エリカ、少し相談があるんだが‥‥いいか?」

エリカ「相談ですか? 私でお役に立てるかはわかりませんが、それでもよろしければ」

まほ「ありがとう。では早速本題だが‥‥みほ、いるだろう? 私の妹且つ、現大洗生徒の」

エリカ「はい」

まほ「最近改めて感じたんだが、みほはかなり慕われているようなんだ。戦車道の仲間達に」

エリカ「はあ。まあ、試合の時から察するに、そんな感じでしたよね」

まほ「単刀直入に言うとだな‥‥みほみたいになりたい」

エリカ「‥‥はい?」

まほ「エリカはともかくとして、もっと他の子にも慕われたい」

エリカ「あの‥‥既にもう、十分慕われてると思うんですが。それ以上って、信仰の対象とかになりたいんですか?」

まほ「いや、自惚れに聞こえるかも知れないが、それは私も自覚している。だが私の場合、戦車道とか西住流ありきというか、どっちかというと、尊敬されている、という感じじゃないか」

エリカ「はあ」

まほ「もう少しこう、なんていうか、別ベクトルというか、なんだろう。こう‥‥」

エリカ「なんです?」

まほ「かわいくなりたい」

エリカ「はい?」

まほ「みほはかわいいだろう? 姉が言うのもアレだが」

エリカ「はあ、まあ」

まほ「あんな感じになりたい」

エリカ「‥‥隊長がですか?」

まほ「そうじゃなきゃ意味がないだろう。それでまあ、他の子たちにも、尊敬というより、親しまれたい」



ガールズ&パンツァー 劇場版Variante 8 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

2: 2016/07/28(木) 01:48:34.20 ID:cmwY4PPLo
エリカ「‥‥あの」

まほ「うん?」

エリカ「この件は、明日以降に持ち越しでもよろしいでしょうか」

まほ「なんで」

エリカ「いえ、私ちょっと、今日はお昼食べ損ねちゃいまして。早めに帰って何か食べたいなと」

まほ「相談に乗ってくれると言ったじゃないか」

エリカ「いえ、そうなんですが、もっとこう、大事な話かと。今回は急を要する内容ではないかなーと」

まほ「私にとっては一大事なんだが」

エリカ「それはそうかも知れませんが‥‥私の腹ペコ具合も、なかなか深刻になってきてまして」

まほ「‥‥わかった。よしわかった。エリカ。帰ったら何を食べるつもりだ?」

エリカ「え? そうですね‥‥まだ決めてませんが、帰りに何か割引きになったお弁当かお惣菜でも買おうかと。仕送り前で、割とカツカツですし」

まほ「帰りにどこか寄らないか。何か食べながら話そう」

エリカ「えっ」

まほ「相談に乗ってもらう以上、支払いは私が持とう。どうだ」

エリカ「いいんですか?」

まほ「もちろん、無理にとは言わないけれど」

エリカ「不肖逸見、隊長がお困りと言うのに、どうして見過ごす事ができましょうか! お供いたします!」

まほ「よく言う。それで、何が食べたい? ガストもいいし、ドンキーでは新メニューを出し始めたみたいだぞ」

エリカ「久し振りに焼肉とか食べたいですね。一人だとなかなか行かないですし」

まほ「えっ。割と容赦ないな‥‥ちょっと待って。‥‥ひぃ、ふぅ、み‥‥言っとくけど、高級店とかは無理だぞ。私だって、次の仕送りまではあまり余裕がない」

エリカ「そんな贅沢は言いませんよ」

まほ「そうか。では行こう。その代わり、しっかり付き合ってもらうぞ」

エリカ「もちろんです!」
 
 
 
 
 

3: 2016/07/28(木) 01:49:32.30 ID:cmwY4PPLo
まほ「‥‥ふむ。焼肉バイキングコース2100円、か。こういうところでよかったのか?」

エリカ「ええ。気楽じゃないですか。それに、もしお悩みが解決しなかった場合の事を考えると、重責が計り知れないですし」

まほ「いや、だったらもう少しちゃんとしたところに行って、プレッシャーを与えたいんだが。逆に」

エリカ「大丈夫ですよ。店のグレードによってマジメに答えるかふざけるか決めるなんて事、しませんよ。隊長相手に」

まほ「まあ、エリカに限ってそんなわけはないと私も思うが。とりあえず、ある程度満たされてから話そうか」

エリカ「そうですね。お腹空きすぎて、お腹と背中が日本戦車の装甲みたいになってますよ」

まほ「ふふっ‥‥む? エリカ!」

エリカ「はい?」

まほ「カレーがある」

エリカ「ああ、こういう店、結構置いてますよ。スパゲティとかたこ焼きもありますし」

まほ「せっかくだから味見してみよう。他の物を食べられなくなったら困るから、ほどほどに」

エリカ「サラダとか食べましょうか。今のご時勢、肉より野菜の方が高級だったりしますよね」

まほ「それで肝心の肉は‥‥ふむ、正直あまり期待してなかったけれど、結構色々あるものね」

エリカ「ですよね。色々分けっこして、味見してみましょうか」

まほ「これ、美味しそう」

エリカ「こっちもなかなか‥‥まあ、最初はこんなものですかね」

まほ「じゃあ、席に戻ろう。私もお腹が空いてきた」

エリカ「では隊長。いただきます。焼けるまではそのまま食べられるものをつつきつつ、お話の続きを」

まほ「いただきます。どこまで話したかしら」

エリカ「みほみたいになりたい、という、壮絶なジョークをぶちかましたところですね」

まほ「そうか。いや、別に冗談で言ったわけではないけど」

エリカ「無礼は承知ですが、かなり無理があると思いますよ」

まほ「それは自覚してる。大体、私がいきなりあんな感じになったら、隊員も混乱するし士気の低下も有り得るだろう」

エリカ「ですよね」

まほ「しかし、徐々に形から入るというのはどうだろう。チーム名とか」

エリカ「たしかに、大洗はちょっと可愛い感じのチーム名つけてるし、連合組んだ時もそんな感じでしたよね。それに則るなら、象さんチームとか虎さんチームとかでしょうか」

まほ「いや、戦車の名前から取るのはよそう。かなり重複してるからな」

エリア「ああ、たしかに。虎さんチームα、虎さんチームβとかになると、可愛いんだかなんなんだかわからなくなりますよね」

4: 2016/07/28(木) 01:50:24.68 ID:cmwY4PPLo
まほ「それに、何々さんチームというのも、ちょっとアレじゃないか?」

エリカ「なんです?」

まほ「マネしたみたいでかっこ悪いじゃないか」

エリカ「みたいっていうか、思いっ切りマネしてるんですけどね」

まほ「あと、もう少し迫力が欲しいな。大洗はともかく、黒森峰の戦車道チームである以上、ある程度は威厳が無いと」

エリカ「なかなか贅沢を言いますね。じゃあ、かっこよかったり、ちょっと怖そうな動物を選んで、○○隊、とかでどうです?」

まほ「うん、なかなかいいな。可愛らしさからは少し外れるが、今までの無機質さよりは親しみやすいだろう」

エリカ「例えば、なんですかね。鮫とかどうです?」

まほ「シャーク隊か。いいじゃないか!」

エリカ「英語にすると、雰囲気出ますね」

まほ「カマキリとかはどうだ。マンティス隊だ」

エリカ「若干悪役っぽいけど、いいですね。ちょっと、指示出す感じで言ってみたらどうです?」

まほ「やってみよう。では‥‥マンティス隊、前へ。シャーク隊は周囲を警戒しつつ待機」

エリカ「いいじゃないですか!」

まほ「しっくり来るな」

エリカ「他に厳つそうなのは‥‥クモ。スパイダーとかですかね」

まほ「せっかくだしもっとかっこよく、ゴライアスバードイーターとかはどうだろう」

エリカ「長すぎませんか。ゴライアスバードイーター隊。ちょっと聞いただけじゃ、クモなのかどうかもわかりませんし」

まほ「そうか」

エリカ「ちなみに、せっかくだしドイツ語にしたらどんな感じになるんですかね」

まほ「ああ、ドイツ語は響きがかっこいいからな」

エリカ「ええと‥‥カマキリは、ゴッテスアンベーテリン、らしいですね」

まほ「長いな。ゴライアスバードイーターとさほど変わらない」

エリカ「なんでそんなにゴライアスバードイーター推しなんですか。鮫は‥‥あった。ハイ、っていうみたいです」

まほ「うっ‥‥ちょっと、無いな」

エリカ「ハイ隊‥‥沖縄っぽいですね」

まほ「逆に、ドイツ語でしっくり来る単語を探した方が早いかも知れない」

エリカ「そうですね。カッツェ、は猫ですね」

まほ「なかなかだな」

エリカ「あとカッコよさそうなのは‥‥あっ、シュバインとかいうのありますよ」

まほ「おお、いいじゃないか」

エリカ「意味は‥‥あ、豚ですね」

まほ「無しだな‥‥」

エリカ「響き重視で、いいんじゃないですか?」

まほ「いや、指示を出す度に部下を豚って呼ぶんだぞ?」

エリカ「その筋の子なら喜ぶんじゃないですかね」

まほ「その筋の子がいるなら、それはそれで嫌すぎるんだが」

5: 2016/07/28(木) 01:51:17.93 ID:cmwY4PPLo
エリカ「あとは、もう動物にこだわらないで、ドイツ語のかっこよさに甘えちゃうっていうのも手ですかね」

まほ「そうだな。色で統一とか、シンプルでいいんじゃないか?」

エリカ「色ですか。それだと‥‥ロト隊、ゲルプ隊、グリューン隊、みたいな感じになるみたいですね」

まほ「かっこいいが、戦車というよりは戦闘機に乗ってそうだ」

エリカ「はい?」

まほ「いや、こっちの話。だが、これでチーム名についてはなんとなく方向性が見えてきたな」

エリカ「ですね。そうだ、名前といえば、作戦名とかはどうします?」

まほ「流石はエリカ。私も、次はそれについて意見を聞こうと思っていた。それはそうと、このカレーなかなか悪くないな」

エリカ「聞いた話だと、味付けしないで焼いた肉をカレーにトッピングするとか、個々人でアレンジするのが流行ってるみたいですよ」

まほ「贅沢だな。‥‥やってみよう。豚バラがいいかな」

エリカ「それ、もう塩ダレに漬け込んであるやつじゃないですか?さっき食べましたけど」

まほ「そうか‥‥では、こっちを。‥‥うん、当たり前のように美味しいな」

エリカ「あとは、綿あめを乗せて焼くと照り焼きっぽくなるとか聞きましたね。‥‥なんの話でしたっけ」

まほ「作戦名」

エリカ「あ、そうでした」

まほ「大洗は、かなり直感的な付け方をしているな」

エリカ「なんでしたっけ。こそこそ作戦とか、もくもく作戦、私達が負けた直接の作戦は、フラフラ作戦、とかでしたっけ」

まほ「一見ふざけてるが、万一作戦内容を忘れても、作戦名からの連想ですぐに思い出せるな」

エリカ「アンツィオもそんな感じにした方がいいのでは」

まほ「たしかに。だが、あそここそ雰囲気とか響き重視だろうからな」

エリカ「それで、私達はどんな感じがいいです?」

まほ「一度、大洗方式で考えてみるか」

エリカ「そうですね。では、名前から直感的に動きがわかるように」

まほ「ズズズイーン、ドゥダダン! 作戦とかどうだろう」

エリカ「‥‥なんです? それ」

まほ「勢いよく真正面へ前進、接敵後、速やかに砲撃という感じだな」

エリカ「もう少しなんとかなりませんかね」

まほ「では、シュシュイーン、ヒュワッ! 作戦とか」

エリカ「‥‥なんです?」

まほ「先遣隊が敵の側面へシュシュイーンと展開、そこに気を取られている間に、別働隊がヒュワッと奇襲をかける作戦だ」

エリカ「擬音が独特すぎるんですが」

まほ「そうか?」

6: 2016/07/28(木) 01:52:12.99 ID:cmwY4PPLo
エリカ「じゃ、じゃあ次は、雰囲気重視にしてみましょうか。幸い、うちの子達は作戦内容とか忘れないでしょうし」

まほ「優秀で助かる。偉人の名言からでも取ってくるか?」

エリカ「もしくは、チーム名と同じく、単純にかっこいい単語ですかね」

まほ「かっこいい単語か‥‥そういえば、ベルリンの赤い雨とかいう言葉を聞いた事があるな」

エリカ「かっこいいですね」

まほ「あとは、ハンブルクの黒い霧とか、ゾーリンゲンの鈍色刃とか」

エリカ「かっこいいですけど、どこで聞いたんですか」

まほ「隊員が持ってた漫画に載ってた」

エリカ「なるほど。たしかに漫画的な響きですね」

まほ「このまま引用でいいんじゃないか。ブレーメンサンセット作戦、とか」

エリカ「いいですが、足りなくなりません? 自分で考えないと」

まほ「たしかに、4つを使い回し続けるというのも格好がつかないな」

エリカ「あっ」

まほ「何?」

エリカ「ブレーメンといえば、御伽噺から取ってくるとかどうですかね。響き的に悪く無さそうだし、そもそもの目的である、可愛らしさとか親しみやすさにも繋がりません?」

まほ「なるほど。流石はエリカ。頼れる」

エリカ「それほどでも」

まほ「ブレーメンの音楽隊作戦を開始。うん、いいじゃないか」

エリカ「ラプンツェル作戦、手無し娘作戦‥‥これならいくらでも出てきますし、足りなくなる事はないでしょう」

まほ「そうだな。‥‥ちょっと待って。なんだその二つめの話。手無し娘? 怖いんだが」

エリカ「あれ、こういう話ありませんでしたっけ」

まほ「知らないが‥‥その作戦は禁止にしよう。怖いから」

エリカ「わかりました。何はともあれ、チーム名と作戦名がお洒落になったら、多少は雰囲気も変わるんじゃないですか?」

まほ「そうだな。明日から、早速試してみよう」

エリカ「‥‥それはそうと、その食べ方、気に入ったんですか?」

まほ「ああ、うん。似たような味付けの肉ばかり食べてると、口の中がモタッとしてしまうだろう。そんな時、カレー味で一度リセットするんだ」

エリカ「本当にカレーがお好きなんですね」

まほ「‥‥実を言うと、そこは少し自信があるんだ」

エリカ「自信?」

7: 2016/07/28(木) 01:53:30.63 ID:cmwY4PPLo
まほ「ほら、私の見た目や雰囲気でカレーが好きというのは、なかなかギャップがあるだろう」

エリカ「まあ、たしかに」

まほ「イメージ的には、好物は茹でたジャガイモです、とか言ってそうじゃないか」

エリカ「そこまでは言いませんが」

まほ「自分で言うのはなんだが、ちょっとかわいくないか?」

エリカ「あー‥‥うーん‥‥それなんですけどね」

まほ「うん?」

エリカ「ほら、その意味で言うと、私の好物もハンバーグで、イメージ的には似たような感じじゃないか」

まほ「ああ。隊長と副隊長が揃って子供っぽい食べ物が好き、とか、時々言われるな」

エリカ「実際、友達なんかには、その顔面でハンバーグ好きって、とか言っていじられるんですよ」

まほ「やはりギャップがあって、いいんじゃないか」

エリカ「ただ、そのギャップって‥‥なんていうんですかね。ほら、普段強気な子がお化け嫌いだと、可愛いじゃないですか」

まほ「たしかに」

エリカ「私達の場合、そういうのとは違って‥‥わかりやすく例を挙げると、真壁刀義がスイーツ好きとか、どっちかというと、そういう感じなんじゃないかなーと」

まほ「まかっ‥‥全然かわいくないじゃないか」

エリカ「ですよね? 真壁が甘い物好きだって聞いて、「あーん、真壁ったらあんなビジュアルなのに嬉しそうにエクレア食べてて、かわいーん」ってならないじゃないですか」

まほ「たしかに。ちょっと面白いだけだな」

エリカ「私達も、そっち系統だと思うんですよ」

まほ「うぐぐ‥‥言われてみると、カレーという単語も、少し面白く聞こえる気がしてきた」

エリカ「なんせ、キレンジャーの好物ですからね」

まほ「待って。それ言われるともう、かわいらしさが一かけらも見えなくなってしまったんだが」

8: 2016/07/28(木) 01:54:25.41 ID:cmwY4PPLo
エリカ「ちなみに、あの子の好物はなんでしたっけ」

まほ「マカロンだな」

エリカ「もう、そっちは単語自体がメルヘンチックですもんね」

まほ「そうだな。なんだマカロンって。今までに多分2回くらいしか食べた事ないぞ」

エリカ「やっぱり、デザート系がいいんじゃないですか。単純に言葉の響きがかわいいですし」

まほ「それはそうだが‥‥さっきの、スイーツ真壁現象が発生しないか?」

エリカ「いや、仮にも隊長は女子なんですから、強面プロレスラーとは違うと思いますよ」

まほ「そうだろうか。‥‥待て。仮にもとか言うんじゃない」

エリカ「ま、まあまあ。ちょっと、試してみましょうよ。西住まほ隊長、好きな食べ物はなんですか?」

まほ「プリンです」

エリカ「んふっ」

まほ「笑ってるじゃないか!」

エリカ「い、いや違、違うんですよ。なんでよりによってプリンなんですか。完全に笑わせにきてるじゃないですか」

まほ「失敬な」

エリカ「パ行は禁止にしましょう。笑っちゃうから。では‥‥西住さん、好きな食べ物は?」

まほ「アロエヨーグルトです」

エリカ「ふぐぅ!」

まほ「くふっ‥‥な、なんで笑うんだ。美味しいじゃないか」

エリカ「いや、美味しいですけど! 大好物聞かれてアロエヨーグルトって答える奴、世の中にいるわけないじゃないですか! 世界中に1人もいないですよ! 自分でちょっと笑っちゃってるし」

まほ「た、たしかに、そんな人見た事ないが」

エリカ「もうちょっと、好物の欄に書かれておかしくないやつにしましょうよ。西住さん、好物はなんですか?」

まほ「ジャムパンです」

エリカ「くっふ! つ、ついにスイーツのジャンル飛び越えちゃったじゃないですか!」

まほ「イ、イチゴは可愛いじゃないか」

エリカ「いや、そこにパンが付いちゃうと、いっぺんに可愛くなくなりますから!‥‥ん? 普通に、果物っていう手もあるんじゃないですか?」

まほ「たしかに。ブドウとか」

エリカ「いいんじゃないですか? では試しに‥‥隊長、好きなものはなんですか?」

まほ「マルセイバターサンドです」

エリカ「なんで干しちゃうんですか! ブドウを!」

まほ「スイーツ路線が諦め切れなくて」

エリカ「あれもう、路線的にはスイーツとかじゃなくて、お土産っていう別ジャンルですから。同系統はウナギパイとかシウマイですから」

9: 2016/07/28(木) 01:55:27.53 ID:cmwY4PPLo
まほ「今更だが、あれじゃないか? 姉妹揃って甘いものが好物というのも、なんだか、マネしたみたいじゃないか?」

エリカ「いや、だから、完全にマネしてるんですけどね。しかし、マカロン強いですね」

まほ「たしかに。付け焼刃で超えられる気がしない」

エリカ「もういっそ、完全に乗っかっちゃえばいいんじゃないですか?」

まほ「と言うと?」

エリカ「マキロンとか」

まほ「んふっ‥‥なんだ? 私は「訓練後のこの一杯がたまらんな」とか言って、消毒液飲むのか?」

エリカ「に、人気出るんじゃないですか?」

まほ「出るかも知れないが、それは金魚飲むおじさんとかと同列の人気だろう」

エリカ「あっはは! あ、こ、好物、金魚でいいんじゃないです?」

まほ「そ、そんな事が書かれた雑誌、お母様に読まれてみろ。二度と飲み食いできない身体にされる」

エリカ「くふっ。に、西住流こわい。‥‥あ!」

まほ「どうした?」

エリカ「お母様の手料理、とかいいんじゃないです?」

まほ「うーん‥‥あー‥‥せめて、高校入学の時とかなら‥‥今更だと、取ってつけた感がないか?」

エリカ「そうですか? 学園艦で3年過ごして、改めてお母様の味が恋しく感じた、みたいな」

まほ「ふむ‥‥もしかしたら、お小遣いも上がるかも知れない」

エリカ「いい事尽くめじゃないですか」

まほ「しかし、相手はお母様だからな。読む人によっては、若干、言わされてるっぽく見えないか?」

エリカ「どれだけ恐怖政治なんですか。世間のイメージ」

まほ「まあ、もし機会があれば言ってみる事にしよう」

エリカ「他には、あれですね。あの子、ぬいぐるみ好きじゃないですか」

まほ「ああ。あの、可愛くないやつ」

エリカ「可愛くないけど、一応ぬいぐるみですからね。隊長も、ぬいぐるみの一つや二つ持っておくのはどうです?」

まほ「ぬいぐるみか‥‥」

エリカ「ほら、向こうが熊なら、虎とかいいんじゃないですか? その2匹が一緒に出てる作品とかありますし」

まほ「ああ、あの有名な。しかし‥‥あの作品、熊はまあ可愛いが、虎はあれ‥‥微妙じゃないか? デザイン。声もターミネーターだし」

エリカ「怒られますよ」

10: 2016/07/28(木) 01:56:59.53 ID:cmwY4PPLo
まほ「というか、うちの戦車だと結構な割合でディズニーと合致しそうだな」

エリカ「言われてみれば。マウスにティーガーにエレファントに」

まほ「戦車の分のぬいぐるみを揃えるというのはどうだろう。チームに愛着があるみたいで、可愛くないか?」

エリカ「‥‥物凄く今更なんですが、自分で可愛くないか、とかって言っちゃうと、かなり可愛さが削がれる気がしますね」

まほ「たしかに。まあいい。今度の長期休暇にでも、ランド的なところへ行ってみよう」

エリカ「日程によっては、シー的な方にも行けるんじゃないです? 調べておきましょうか」

まほ「頼む」

エリカ「あ、お金渡しておくんで、私にも一匹、ティーガー的なもの買ってきてもらったり出来ます?」

まほ「えっ」

エリカ「え? ダ、ダメです?」

まほ「いや、そうじゃなくて。‥‥一緒に行かないのか?」

エリカ「えっ。今、そんな感じの流れでした?」

まほ「流れ的には微妙だったかも知れないけど、ランド的なところに一人で行くのは辛いだろう。流石に」

エリカ「まあ、そうですが。わかりました。ご一緒します」

まほ「助かる」

エリカ「あっ」

まほ「うん?」

エリカ「隊長。今回の件って、そもそも隊員に親しまれたいってところから始まったんですよね? 可愛らしさとかは二の次というか」

まほ「まあ、そうだな」

エリカ「他の子も誘えばいいんじゃないですか? ランド的なところに」

まほ「‥‥‥‥」

エリカ「‥‥‥‥」

まほ「エリカ」

エリカ「はい?」

まほ「エリカを副隊長に任命した私は正しかったのだと、今改めて感じた」

エリカ「ありがとうございます。できれば戦車で感じて欲しかったですが」

まほ「よし。そうかそうか。よしよし。エリカ、食べよう。何やら、俄然食欲が沸いてきた」

エリカ「よかったですね」

まほ「卒業前に戦車道の仲間と遊びに行くというのは、親しみ云々を抜きにしても、楽しみだな」

エリカ「そうですね。私もですし、他の子も喜ぶと思います」

11: 2016/07/28(木) 01:57:52.44 ID:cmwY4PPLo
まほ「問題は予定を空けられるかどうかだが‥‥まあ、なんとかなるだろう。明日にでも、懇親会に向けて予定を立て始めよう」

エリカ「最悪、知波単との練習試合でも組めばどうにかなりそうですね。あそこたしか、千葉的な県の学校だった筈ですし、性格的にも、うちが申し込めば、有り難がって受けてくれそうな気がします」

まほ「‥‥エリカ」

エリカ「はい?」

まほ「飛び級して、私と一緒に卒業しよう。私にはエリカが必要だ」

エリカ「プロポーズですか?」

まほ「財力と地位なら保証できるぞ」

エリカ「生々しすぎる」

まほ「まあ、それは置いておくとして、高校を出たら、うちに入門しないか。戦車を続けるのなら」

エリカ「そうですね‥‥」

まほ「しばらくは私も一隊員として大学戦車道に身を投じるが、いつまでもそのままの地位に甘んじているつもりは無いからな。やはり、頼れる副官が必要だ。どうせなら、西住流の元で公私共に連携を高めた方がいいじゃないか」

エリカ「もしかしたら、隊長が副官になるかも知れませんよ? 私が西住流を学んで、グレートエリカとして生まれ変わってしまったら」

まほ「ふっ、それはそれで面白い。いや、グレートエリカを名乗るつもりなら、恥ずかしすぎるから、泣きながらでも阻止するが」

エリカ「ちょっとその光景も見てみたいですね。どちらにせよ、今はまだ先の話です。私は来年、必ず雪辱を果たすつもりです。全てはそれからですよ」

まほ「頼もしいな。ますます手放したくない。だがエリカがそう言うのなら、まずは私の引退まで、私の戦車道をみっちりと全て叩き込んでやろう。厳しいのと優しいの、どっちがいい?」

エリカ「優しいのでお願いします」

まほ「なんで今の流れでそうなるんだ」

エリカ「冗談ですよ」

まほ「ならば、スタミナを付けないとな。お代わりを取りに行こう」

エリカ「お供します。あっちの方に、お寿司とかあるはずですよ」

まほ「さっき、カニも見かけたぞ。本当になんでもあるな」

エリカ「今度、他の子達も誘って来ましょうか」

まほ「それはいい。エリカ」

エリカ「はい?」

まほ「懇親会、楽しみだな」

エリカ「はい!」


 数ヵ月後、タイミングの巡り会わせが悪く、都合の付かない学校ばかりで、唯一試合を組めた相手はプラウダ。
 懇親会の行き先も、夢の国から、登別伊達時代村に変更されるのだが、なんだかんだで割と楽しかったりするのはまた別の話である。



                                         おわり

12: 2016/07/28(木) 02:00:14.52 ID:cmwY4PPLo
お姉ちゃんの口調が安定しない現象。ちゃんと再現しようとして女口調混ぜると更に怪しくなるよ!
というわけで読んでくれた人いたらありがとうございます。

13: 2016/07/28(木) 02:16:22.95 ID:WVWH7UDW0
乙 正直かなり面白かった

20: 2016/07/28(木) 12:23:18.74 ID:yYekzpU7o
乙!

引用元: まほ「みほみたいになりたい」