277: ◆H5wAVi2uhY 2016/10/26(水) 07:04:05.53 ID:SVPAt9n70
――次の日

男神官「困ったな…」

女神官「ええ」

早苗「どうかしましたか?」

男神官「実は…サナエ様と、戦士像である貴方様の夫と、妖精の神チルノを否定し、逆らう者が増えてきました」

早苗「え!?」

チルノ「な、なにおー!けしからん!」

女神官「これは我々の問題なので、自分たちで何とかしますが、一応ご報告だけしておきます」

早苗「は、はあ…」

チルノ「いいや!あたいが直々に説教してやる!」

魔理沙「おいおい落ち着け」ガシッ

チルノ「は、はなせー!ちくしょうめ!」ジタバタ

早苗「……」


東風谷早苗「アクトレイザー」【前編】
278: 2016/10/26(水) 07:05:33.95 ID:SVPAt9n70
――そして次の日

早苗「……」

魔理沙「……」

チルノ「……」

エンジェル「……」

神殿は誰もいない。静まりかえっている

チルノ「ほら!だから言ったじゃないか!あたいが説教した方がいいって!」

エンジェル「ま、まさかあの二人まで反旗を翻すとは…」

早苗「あの寺院を建ててから歯車が狂い始めましたね」

魔理沙「ああ。しかも昨日、寺院の様子を見てたんだけどよ、なぜか新しい寺院にだけ魔物が襲ってこないんだ」

早苗「完全に黒ですね」

魔理沙「んじゃやることは決まりだな」

早苗「ええ。新たな寺院へいきましょう」

~怪しげな寺院にて~

魔理沙「こ、ここか…」

エンジェル「人々が沢山いますね…」

住民一同「…………」ゴゴゴ

早苗「皆さんの目が、完全にイッてしまっている…」

住民1「サナエハ詐欺師ダ。追イ出スベキ」

住民2「ソノ夫ハ、チカラ無キ弱者。使イ物二ナラン」

早苗「な、なんですって!」

エンジェル「酷い…!」

住民3「神チルノハ馬鹿ダ。殺セ」

チルノ「誰が馬鹿だ!」

魔理沙「悪いがそれは否定できないぜ」

279: 2016/10/26(水) 07:07:14.27 ID:SVPAt9n70
魔理沙「んで、今回は三人で襲撃に行くのか?」

早苗「……」

早苗は冷や汗を垂らしながら怪しげな寺院を見つめる

早苗「……ついこの間、これからは二人でダンジョン攻略をしようと話し合いましたが」

早苗「実際、どうでしょうか?」

魔理沙「私が前回、チルノとアイトスの火山に向かった時は…まあそれなりに苦戦もしたが…」

魔理沙「ぶっちゃけ、私かチルノが単体で行っても全く問題なかったな」

チルノ「わっはははは!火炎車のやつ、バカだったもんな!」

早苗「そうですか。私は…鈴仙さんとこのエリアを攻略しましたが」

早苗「道中でも、ボス戦でもかなり苦戦しました」

早苗「けれども、やろうと思えばソロでも攻略は可能だと思う難易度でした」

早苗「でも今回は…」チラッ

魔理沙「言いたい事はわかる。物凄く強力な邪気が漂っているもんな」

エンジェル「……恐らくここの主は、邪神でしょう」

魔理沙「知ってるのか?」

エンジェル「はい。大昔、カミ様がサタンの部下である邪神と闘った事があります」

エンジェル「全盛期のあの方ですら、苦戦を強いられました」

魔理沙、早苗「!!?」

エンジェル「実力は今までの連中とは、一線を画する物があります」

魔理沙「考えてみりゃ…幻想郷でも神の名のつく者の大抵は、強力な連中ばかりだったな」

早苗「しかも、ここではスペルカード戦なんて物は存在しない。ガチの頃し合いです」

魔理沙・早苗「……」

チルノ「大丈夫だ!あたいがいるから心配いらん!」

魔理沙「とりあえず鈴仙を呼ぶか」

チルノ「おい!無視するな!」

280: 2016/10/26(水) 07:11:12.47 ID:SVPAt9n70
早苗「鈴仙さんを呼ぶのは賛成です、。しかし邪神相手に鈴仙の能力が通用するかどうか…」

魔理沙「確かに」

チルノ「そんなに不安ならさ、あいつを呼べば良いじゃん」

エンジェル「アイツとは?」

チルノ「霊夢だよ!アイツは…私の次につよい!」

魔理沙「順番が圧倒的に逆だぜ…まあたしかに、霊夢ならソロで邪神をぶっ潰す事位やりかねない。ルール抜きでも」

早苗「そうですね。霊夢さんは行かないと言ってたけど、土下座くらいすれば、あの人も協力してくれるでしょう」

チルノ「1円玉あげる方が喜ぶんじゃない?」

魔理沙「でもさ…なんか…こう」

早苗「?」

魔理沙「私たちの手でやりたいじゃん?霊夢の手なんか借りないでさ」

魔理沙「本当はさ、私がソロでいきたい位だぜ」

そう言う魔理沙の目は、静かに激しく燃えていた

チルノ「あたいだって霊夢の力なんて頼りたくない!」

エンジェル「そうは言いますが…氏んでしまったら元も子もないです」

魔理沙「……」

チルノ「あ、あたいは…あたいは!だ、大丈夫だもん!ふん!」プイッ

早苗「……まあ一応、切り札はありますが」

チルノ「え?」

早苗「強力な力を具現化する。切り札を」スッ

そういうと早苗は二枚のカードをみせる

全員「……」

早苗「もし万が一、皆さんが危なくなったら…使いましょう」

281: 2016/10/26(水) 07:14:41.07 ID:SVPAt9n70
~深夜・カサンドラにて~

鈴仙「え、今回は4人で攻略!?」

早苗「はい」

魔理沙「今回のはマジでヤバそうなのが相手なんだ」

鈴仙「この間の巨大植物だって相当ヤバかったのに!?」

早苗「あんなの比じゃないですよ…」

鈴仙「……」サーッ

鈴仙の顔は見る見る蒼ざめていく

鈴仙(え?じゃあそれよりも強いサタンって一体…)ガクガク

チルノ「全くみんな大げさなんだよ!邪神なんてあたいがぶっつぶしてやるよ!」

魔理沙「お前少しだまってろ」

早苗「霊夢さんを呼ぶ事も考えましたが、今回は四人でいきます」

鈴仙「え、ちょ、待っ…!霊夢を呼ばなきゃダメよ!まだ氏にたくない!」ガクガク

早苗「大丈夫です。もしもの時の保険を用意してますから」

鈴仙「ほ、保険?それ信用できるの?」ガクガク

早苗「ええ。大丈夫です」

魔理沙「夜明けと共に出発だ。数時間ほど仮眠とってから行くぞ」

~カサンドラの海岸にて~

夜が明けて、四人はマラーナへ向かう

霊魂「」ピタッ

魔理沙「ん?どうした霊魂」

霊魂「……」

早苗「どうやら『自分はここまで』と嘆いています」

早苗「『足手まといになるし、カサンドラを見守らないと』とも言っています」

鈴仙「……」

霊魂「……」ズーン

チルノ「うどんげに会えなくなるのが氏ぬほど辛いってさ」

鈴仙「……フフ、また来るわよ。安心して」

霊魂「……!」パァァァ

282: 2016/10/26(水) 07:17:43.46 ID:SVPAt9n70
~その頃、幻想郷~

聖「た、ただいま~」フラフラ

村紗「聖!!ボロボロじゃないですか!」

一輪「大丈夫ですか姐さん!?」

聖「ふふふ…大丈夫大丈夫…」

聖「十日も留守をしてしまってごめんね…」

星「ま、まあ…無事とは言い切れませんが…一安心です…」

星「で、勝敗は?」

聖「……」チラッ

アクトレイザー「……」

聖は星の隣に居るカミを見て、申し訳なさそうに口を開く

聖「ごめんなさい。負けちゃったわ~」ニッコリ

アクトレイザー「笑顔でそう言い切れるという事は、悔いは無いようだな」

聖「ええ」

アクトレイザー「ご苦労だった。では…」チラッ

カミは聖の後ろに居る、酒をガブガブと飲む小鬼を見つめる

アクトレイザー「飲酒の時間はそろそろ終わりにして貰おうか。伊吹萃香」

萃香「プハッ…まあそう慌てんなって。少しは休憩させてくれ」

萃香「一眠りしたら…そうだな。紅魔館近くの湖で決闘でどうだい?」

アクトレイザー「ああ。よろしく頼む」ペコッ

萃香「へへへ…神の力、見せてもらよ」

アクトレイザー「鬼の四天王の力、見せてもらう」

妖夢「いよいよ修行の総仕上げですね」

アクトレイザー「うむ」

283: 2016/10/26(水) 07:20:35.88 ID:SVPAt9n70
~マラーナ・寺院前~

ゴゴゴ……ザァァァーー…

暗雲立ち込める最中、雷やら雨が降り注ぐ

魔理沙「なんだこの天気は…気味悪い」

チルノ「怖い雰囲気だな」

早苗「ええ、何か嫌な予感がします…」

エンジェル「あ、見てください!神殿前に人々が!」

ガヤガヤ

鈴仙「こんな天気の日に何を…」

悪魔「諸君、よく聞け」

悪魔「我らがカーリア様のために、お前たちは生餌になってもらう。異論は無いな?」

女神官「異論ナシ!大賛成ダ!」

男神官「蛇ノ王、邪神カーリア万歳!!!」

住民一同「万歳!万歳!万歳!」

エンジェル「!!?」

早苗・魔理沙「なっ…」

鈴仙「」

チルノ「何やってんだあのバカ!!」

エンジェル「成敗してやる!」ピュンッ

グサッ

悪魔「ぐあああぁぁ!!」バタッ

光を纏った矢は、悪魔の頭部をつら抜き倒れる

住民一同「」ギロッ

エンジェル「この後も、悪魔たちは人々を惑わすでしょう」

エンジェル「私が人々が生贄にならないように悪魔を討伐します!どうか4人は寺院へ!」

魔理沙「行くか」

早苗「ええ!」

284: 2016/10/26(水) 07:21:46.11 ID:SVPAt9n70
~寺院内部~

チルノ「何ここ…気持ち悪い…」

チルノ「こんな所、別荘なんかするもんか!」

鳥の魔物「ゴォォ!」スッ

チルノ「邪魔だ!」パキィィン

鳥の魔物「」ドサッ

蛇の様な魔物「ジャアァァ!」ドドッ

早苗「あら可愛い」スッ

ドゴォォ!

早苗「きゃっ!」

蛇のような魔物に、早苗がそっと手を差し伸べたが、魔物はそのまま早苗に体当たりをする

鈴仙「……」チャキッ

ピュンッ!

蛇の様な魔物「ゴォォ!?」

鈴仙の銃から放たれたレーザー光線で、魔物を粉々にする

鈴仙「遊んでる場合じゃないでしょう!」

早苗「すみません…」

~~~~

少し進むと大きなエレベータのような場所へ辿り着く
降下していく間、壁に張り付いた魔物が口から矢を飛ばしてくる

魔物「……」ピュンッ

チルノ「あたらないよう~だ!」

魔理沙「ま、こういうのは幻想郷で慣れてるしな」

全員、難なく避けていく

285: 2016/10/26(水) 07:24:27.04 ID:SVPAt9n70
~~~

早苗「気味の悪い銅像がありますね」

銅像「」フワッ

チルノ「な、なんだ!?首が宙に浮いてるぞ!」

魔理沙「赤蛮奇みたいな奴だな」

銅像「ペッ」

銅像は口から弾幕を放つが、やはり全員難なく避けていく
魔理沙は箒に魔力を纏い殴りかかる

ゴォン!

魔理沙「首が取れたなら、とっととくたばれ!!」

銅像「っ!!」ドサッ

~~~~

魔理沙「おっ…あれは氏神か」

氏神「……」フワッ

魔理沙「うし、ここはマスパで…」

早苗「ちょっとストーーップ!こんなのにマスパを使ったら、もったいないですよ!」

早苗「てい!やあ!」

ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!

早苗はお祓い棒で氏神を切りかかる
氏神はなんなく始末される

魔理沙「あれれ?氏神ってこんなもんだったっけ?」

早苗「小町さんならともかく、この程度の氏神にマスパなんてあり得ません」

魔理沙「そ、そうか…悪いな。ところでお前のお祓い棒、なんか剣みたいな切れ味だな」

早苗「え、そうですか?」

~~~

鈴仙「ここまでの道中、敵自体は割と強いのもいたけど…」

魔理沙「こんだけ人数いりゃ楽勝だわな」

早苗「問題はここからです」

チルノ「な、なんか緊張してきた……」ゴクリ

4人は大きな扉の前に立つ

早苗「さあ皆さん。いきますよ!!」

魔理沙・チルノ「おう!」

鈴仙「一体どんなのがいるんだろう…」

286: 2016/10/26(水) 07:26:58.50 ID:SVPAt9n70
~大広間~

早苗「さあ出てきなさい!」

チルノ「…」ゴクリッ

魔理沙「来たぞ!」

ゴゴゴゴ…

鈴仙「なにあれ…」

その邪神は台座にあぐらで座りながら、宙に浮きながら現れる

カーリア「……」

腕は6本あり、上段と中段の4本の腕には両手に武器を持ち、下段の腕は膝元に手を添えている

早苗「え、ちょっ…あれ、蛇じゃない…」

鈴仙「いくら貴方の好きな蛇でもアレはアウトよ!」

早苗「……わかってます。人々を惑わす邪神であり悪魔」

早苗「東風谷早苗、神の妻として…貴方を成敗します」

カーリア「愚カ存在ナリ。貴様タチヲ殺シ生贄トシヨウ」

カーリア「邪悪ノ波動ヲ増スタメニ、ソシテ魔王サタンノ為ニ」

早苗「皆さん、構えて!」

チルノ・鈴仙「……」グッ

魔理沙「よし、暴れるぜ!」

291: 2016/10/30(日) 22:47:41.91 ID:dEhPFYxU0
カーリア「愚カ者ドモヨ、氏シテソノ身ヲ悪二捧ゲヨ」

カーリアは首を左右に、カクカクと横に小刻みに動かし、手にもたれた独鈷杵(どっこしょ)を振り下ろす

全員「?」

早苗「魔理沙さん!上、上!」

鈴仙「チルノも上危ない!」

魔理沙「は?…って、うお!?」サッ

チルノ「ぎゃああ!?」サッ

チルノと魔理沙の頭上より、下がトゲトゲの台座が落ちてくる
注意された二人は辛うじて避けきる

カーリア「悪ノチカラヲ見ルガイイ」

バチバチ…バチチ…!

ブォォン!

こんどは独鈷杵が光を放ち、そこから光を纏った矢の弾幕が飛んでくる
鋭く早い弾幕だがなんとか全員避け切る

魔理沙「いちいち危ない奴だぜ」

チルノ「こっちも攻撃しかけるぞ!」

魔理沙とチルノは落ちてきた台座の上に乗り、攻撃の態勢を構える

魔理沙「恋符・マスター…」

チルノ「氷符・アイシクル…」

早苗「二人ともすぐに台座から下りて!!」

魔理沙・チルノ「??」

技を決めようとしたときに、二人は注意を促される

鈴仙「上!上!」

チルノ「また上かよ…ってぎゃあああ!!!」

魔理沙「おいおい嘘だろ!?」

ガシッ!!

天井を見上げると、またしても鋭い針が用意されていた
魔理沙とチルノは台座にのったまま、辛うじて針の被害を免れる

針と針の間の隙間に、腕と足を伸ばし、体が刺され潰されないように回避する

魔理沙「か、間一髪だぜ…」

チルノ「た、助けて早苗!うどんげ!」

292: 2016/10/30(日) 22:51:01.18 ID:dEhPFYxU0
早苗「あんなところに罠を用意しておくとは…」

鈴仙「来るわよ!」

カーリア「……」カクカク

ブォォン!

早苗「ぐっ…!!」

鈴仙「ぎゃっ…!!」

鋭い速さで飛んでくる光の矢の弾幕は、二人に被弾する

早苗「いたたた…」ガクッ

鈴仙「ぐっ…なんなの!?あの眼に止まらぬ早い弾幕!」

カーリア「……」カクカク

鈴仙「独特の動き…また来るわよ!」

バチ…バチバチ…ブォォン!

早苗「うっ…!!」

鈴仙「きゃあっ!」

カーリア「……」

早苗(ダメだ、速過ぎて回避できない…こうなったら)

カーリア「……」クネクネ

バチ…バチバチ…ブォォン!

早苗「せい!」

バキィィン!

早苗は自分の身を守る為に、目の前に結界を張る

早苗「よし!今度は被弾せずに済んだわ」

鈴仙「なるほど!私も魔法壁を張って…」

~~~~

早苗「アレから、超高速弾幕を被弾しないように、守りに入ってきました…」

ドゴォォン!

鈴仙「くっ…これじゃ、埒があかないわ」

早苗「でも段々、眼が慣れてきました。そろそろ自力で回避できるハズ」

鈴仙「そうね。攻撃に転じましょうか」

ドゴォン!

魔理沙「いつまで私たちはこの体勢で居れば良いんだ…」

チルノ「早く私たちを降ろせ~!!」

293: 2016/10/30(日) 22:52:20.96 ID:dEhPFYxU0
カーリア「……」

バチ…バチバチ…ブォォン!

早苗「よっと!もう当たりません!」サッ

早苗「てい!やあ!」

ザシュッ!ザシュ!

お払い棒で、カーリアの体を切り刻んでいく

鈴仙「狂夢・風狂の夢」カチッ

鈴仙は銃口から乱れるようにして放つ弾幕、眼から能力も発動させる

ボォォン!ボォォン!

カーリア「……!!」フラッ

鈴仙「よし、きいてるきいてる」

鈴仙(でもやっぱり、わたしの能力は無効化されてるわね…)

早苗「てい!やあ!」

ザシュッ!ザシュ!

早苗はひたすらお払い棒を、刀のような扱いで攻めていく

カーリア「邪魔ダ」スッ

カーリアが独鈷杵を振り下ろすと、天井に張り付いてた台座はようやく下りてくる

チルノ「うわ!?」

魔理沙「やっと解放されたぜ」

そしてその底がトゲトゲの台座は、早苗を襲うが、なんなく回避していく

早苗「危ない危ない…」サッ

鈴仙「……」ググッ

鈴仙(パワーをしっかり込めて)グッ

鈴仙「解き放つ…!!」チャキッ

ビュンッ!

ボォォン!ボォォン!

鈴仙の銃口から、レーザーが飛び出し、数発ほどカーリアに攻撃をあてる

カーリア「……」

鈴仙「か、硬い…まだあんな余裕な表情を」

294: 2016/10/30(日) 22:53:55.77 ID:dEhPFYxU0
魔理沙「ええーいもう!みみっちい攻撃はやめようぜ!派手いこうじゃないか」

魔理沙「弾幕総攻撃でいくぞ!」

魔理沙「魔符・ミルキーウェイ!」

チルノ「あたいも!氷符・アルティメットブリザード!」

早苗「では私も…ヘビにはヘビの弾幕を!蛇符・グリーンスネークカモン!」

鈴仙「幻朧月睨(ルナティックレッドアイズ)…!」

広い大広間を覆いつくすほどの光が、一斉にカーリアへと降り注がれる

ゴゴゴゴ…

魔理沙「やったか!?」

カーリア「…………」

カーリアは余裕の表情で、両手を合わせ、首をクネクネと動かし4人を挑発する

魔理沙「嘘だろ…いつもならさっきの流れで倒せたハズなのに」

早苗「寧ろ、いまの魔理沙さんの発言がイヤな意味でフラグでしたよ…」

魔理沙「ちくしょう!じゃあもう一回弾幕総攻撃だ!」

魔理沙「恋心・ダブルスパーク!」

チルノ「凍符・マイナスK!」

鈴仙「赤眼・望見円月(ルナティックブラスト)!」

早苗「妖怪退治・妖力スポイラー!」

ボォォォォン!!!!

魔理沙「もう流石に…」

カーリア「滑稽ダナ。人間ドモヨ」

全員「!!?」

鈴仙「う、嘘でしょ…」ヘナヘナ

早苗「……!」

チルノ「ちくじょう…」

295: 2016/10/30(日) 22:55:25.21 ID:dEhPFYxU0
ドゴォン!

魔理沙「くそ!!馬鹿にしやがって…」

魔理沙は力任せに壁を叩く

魔理沙「もういい!お前ら休んでろ」

早苗「え」

魔理沙「私がどうにかする」

チルノ「魔理沙…」

鈴仙「待ちなさい!少し冷静になりなさい!」

プライドを傷つけられ、完全に頭に血が昇った魔理沙は、もはや周囲の声など耳に入っていない

魔理沙「マスタースパーク!」

ボォォン!

カーリア「……」

魔理沙「覚悟しろあと十発ぶちこんでやる…!!」

ボォォン!ボォォン!ボォォン!

魔理沙「ぜぇぜぇ…」ガクッ

カーリア「モウ終ワリカ?」

魔理沙「どうなってんだよアイツの体は…」

魔理沙(あと一発が限界。どうせなら最後は)

魔理沙「チルノ!どうにかしてアイツの動きを止めてくれ!」

296: 2016/10/30(日) 22:56:58.31 ID:dEhPFYxU0
チルノ「あいよ!」

カーリア「フン」

ドゴォォン!

チルノ「ギャッ!!」

カーリアは素早くチルノの真下まで移動して、その巨体で勢いよく踏み潰す

カーリア「……」

パキィィン

カーリア「っ!!」

早苗「っ!!邪神が凍り付けにされていく」

魔理沙「うし!よくやったチルノ!」

チルノ「おらっ!!」グイッ

チルノは凍り付けなったその巨体を持ち上げる

チルノ「踏み潰されるのはファラオの時で懲り懲りだったのに…」

魔理沙「こっちに投げろ!」

チルノ「あいよ!」ポイッ

魔理沙「これで終わりだ!魔砲・ファイナルスパーク!」

ボォォォン!!!

極太のレーザーが氷塊を粉々にしていく

カーリア「…ッ!!」

ボトッ

早苗「見てください!片腕が落ちました!」

カーリアの中段の左腕が無くなる

魔理沙「へへ…ざまぁみろ…」

魔理沙「」ドサッ

魔理沙は力尽きて倒れる

鈴仙「片腕は吹き飛ばしたけど、まだあと5本もある…」

チルノ「魔理沙おつかれ」ファサッ

チルノはそっと、自分の白いマントを魔理沙にかける

297: 2016/10/30(日) 22:59:45.33 ID:dEhPFYxU0
カーリア「小癪ナ真似ヲ。腕ヲ一本切リ落トシタ程度デ付ケ上ガルナ」

チルノ「アイシクルソード!」

チルノは氷の剣を練成し、カーリアに襲い掛かる

カーリア「……」スイッ

カーリアはそれを軽やかに避ける

早苗「後ろにも私がいますよ!」

カーリア「……」スイッ

早苗がお払い棒で切りかかるが、それも軽やかに避けていく

カーリア「雑魚メ」

パァン!!

カーリア「グゥゥ!!」

ボトッ

強力な一撃を放つ為にずっと溜め込んでいた鈴仙
レーザーはカーリアの、上段の右腕を吹き飛ばす

鈴仙「ゼェゼェ…私を忘れてるわよ!」

早苗「鈴仙さん、グッジョブです!」

早苗「中段の左腕、上段の右腕…残るは4本です!」

チルノ「残り腕は全部あたいが切り落としてやる!」

カーリア「フン!」

ボォォォン!!ボォォォン!!ボォォォン!!

早苗「きゃっ!」

鈴仙「痛っ…」

チルノ「ぎゃっ!!」

三人はカーリアの高速弾幕に被弾する
その速度は勢いを増していた

カーリア「……」ギロッ

腕の切断部から血を流すカーリア
その表情は怒りに満ちていた

鈴仙「ひっ!」ビクッ

チルノ「こ、怖…」ガクガク

早苗「怯んではいけません!いきますよ!」

303: 2016/11/05(土) 13:55:11.90 ID:uo/0FK240
チルノ「いくぞ!でやぁ!!」

ザシュッ!

チルノは氷の剣で切り付ける
それに続くようにして早苗も、お払い棒を高く振り上げ攻撃を仕掛ける

カーリア「……」

早苗(チルノさんは上段の左腕に攻撃した…ならば私も!)

早苗「えい!」

ザシュッ!

鈴仙(パワーをしっかり溜めて…)ググッ

鈴仙「上段の左腕に目がけて…狙撃!」

パァァン!

カーリア「グォォ…!」

ボトッと上段の左腕が切れて落ちる

早苗「上段の腕は全て切り落としました!残る腕の数は3本!」

カーリア「図二乗ルナ、愚カナ勇者モドキ共ヨ」

カーリア「フン…!!」ググッ

バキ…ググ!!ゴゴゴゴ…

早苗「なっ…!」

鈴仙「う、嘘でしょう…」ペタッ

三人はカーリアのある異変に驚愕する
そのショックで鈴仙はその場で、ヘナヘナと膝をつく

チルノ「切り落とした腕が…全部再生しやがたった…!!」

304: 2016/11/05(土) 13:56:06.09 ID:uo/0FK240
カーリア「オ前タチハコレマデ…順調二我ガ眷属達ヲ、退治シテ来タノダロウナ…」

カーリア「ダガ私ハ違ウ。身ヲ持ッテ理解シテイル筈ダ」

カーリア「素直二諦メテ、ソノ命ヲサシ出セ」

鈴仙(だ、ダメだ…相手が悪すぎる…)ガクガク

鈴仙「も、もう逃げた方が良いわ!また一から準備しなおしてからでも…」

チルノ「それじゃあの寺の前に居る住民はどうなるんだよ!アイツら、全員生贄にされちまうぞ!」

鈴仙「あ…そ、そっか…」ガクガク

鈴仙「でも!このままじゃ!私たちが全滅してしまうわ!」

チルノ「そう思っている時点でお前の負け確定だ!やる気が無いなら帰れ!」

鈴仙「…!!べ、別にやる気が無い訳じゃないわよ!」

鈴仙「でも…怖い…」ガクガク

チルノ「あーもう!ビビるな!ここまで来たら命かけてなんぼだ!」

鈴仙「あなたは妖精であり神だから復活もできるけど…私は氏ぬのよ!?」

チルノ「うるさい!あたいだって…本当はちょっとビビッてんだぞ!!でも逃げたら外の連中が氏んじゃうだろ!」ガクガク

早苗「喧嘩している場合じゃありません!」

チルノ「……」

鈴仙「……」

早苗「いよいよ切り札を出す時がきました」

チルノ「あ…そういえば…」

鈴仙「忘れてたわ。言ってたわね、頼れる切り札があると」

カーリア「……無駄ナ足掻キヲ」

305: 2016/11/05(土) 13:57:22.85 ID:uo/0FK240
早苗「では…召喚します」

早苗はその場で正座をする
そしてお払い棒を左右に降り始める

早苗「……」

シャッ…シャッ…

カーリア「フン。恐怖ノアマリ、氏ヌ前ノ祈祷デモ始メタカ」

早苗「我が親族に、天候を操る神、地を想像する神あり…その二柱、大社を守りし者」

早苗「どうか我を助けたまえ…」

祈祷を終えるとバッと立ち上がり、二枚のカードを放り投げる
そのカードにはカエルの絵と、しめ縄と御柱の絵が描かれていた

早苗「終わりだ!邪神カーリア!己の愚かさを存分に知るがいい!」

カーリア「……誰ダ貴様ラ」

早苗の目の前に、半透明の姿をした二人の人物が現れる

チルノ「あ、お前ら!」

鈴仙「そうか…そういうことか!」

神奈子「呼んだかい早苗」

諏訪子「悪いね分身状態で。直々に出向かいたい所だけど、時間もないから許しておくれ」

306: 2016/11/05(土) 13:58:40.90 ID:uo/0FK240
早苗「諏訪湖様!神奈子様!そこにいるのは…蛇の王であり邪神の悪魔です」

早苗「ある程度までは追い詰めましたが、切り刻んだ体を再生してきて…あまりにも厄介すぎる相手なのでどうか」

諏訪子「おーけーおーけー!ある程度まで追い詰めてくれたのなら上出来だよ」

神奈子「体を再生したとは言え、体力そのものは奪われている筈だ」

神奈子「実際、今そうとう我慢してるだろ。ヘビの王よ」

カーリア「……」ズキズキ

カーリア「黙レ、タカガ分身如キ二何ガ出来ル」

神奈子「お前さんもどうせ分身なんだろ?サタンとかいうの奴の」

諏訪子「分身形態が私たちと異なるけどね」

神奈子「さて、とっとと潰しますか」

神奈子「……相手がヘビというのがちょっと複雑ではあるがな」

諏訪子「私1人で片付けても良いけど?」

神奈子「いや、せっかく召喚してくれたんだ。私も闘おう」

神奈子「邪神よ。お前は悪魔だ。例えその身がヘビであったとしても…」

神奈子「潰す」

ドゴォォン!!!!

鈴仙・チルノ「!!?」

カーリア「」

突如、どこからともなく飛んできた巨大な御柱
カーリアの頭部に直撃し、壁にめり込み潰してしまう

307: 2016/11/05(土) 14:00:28.69 ID:uo/0FK240
諏訪子「なんだよ。もう殺っちゃったの?」

神奈子「加減を間違えたか」

ググッ…ドォォン

神奈子「ん?」

バキバキ…ゴキ…ゴゴゴゴ…!!

カーリアは頭部を失いながらも、両手で御柱を引っこ抜く
御柱を床に投げ終えると、奇妙な音を立てながら、頭部の再生を始める

カーリア「……」

神奈子「ほう、邪神と呼ばれるだけの力はあるようだな」

神奈子「だがもう限界なんじゃないか?」

カーリア「ソンナ事ハ無イ」

カーリア「ウッ…」ガクッ

神奈子「強がりめ」

諏訪子「よかったー私の出番もありそうだね!」

諏訪子「っという訳で。ほいさっさっ!」ポイッ

諏訪子が何かを投げるが、速過ぎてカーリアは、上手く視認できなかった

カーリア「?」

ザシュッ

カーリア「!?」

ボトボトッ

カーリアが呆気に取られていたその瞬間だった
ふと自分の体に違和感を覚え、左右を見ると、6本の腕が全てを切り落とされていた

諏訪子「どうだい?神具・洩矢の鉄輪の威力」

カーリア「グ…ググ…ガ…」

308: 2016/11/05(土) 14:01:15.96 ID:uo/0FK240
神奈子「よし、では仕上げと行こうか」

神奈子の周囲にある4本の御柱が、まるで大砲の様な構えでカーリアへ向ける
そして諏訪子もまた、両手にもった鉄輪から光を纏い、弾幕発射の準備を整える

諏訪子「たまにはカエルがヘビに勝っても良いよね」

神奈子「構わんさ。そもそも奴は蛇と言う名の悪魔。この世の蛇達に対し失礼だ」

神奈子「神の総攻撃だ」

諏訪子「あいよ」

カーリア「……!!」

カーリア「図二乗ルナ!」

カーリアは光の矢の弾幕を乱発し、さらに天井から台座を幾つも落とす

神奈子「なんだこのトゲトゲの台座は。ふん!」バシッ

神奈子は手の甲でトゲトゲの台座をいとも簡単に弾いて、そのままカーリアの頭部に直撃させる

カーリア「ガッ…!!」

諏訪子「まだまだいくぞ!!」

まばゆい光弾が大広間を照らし、轟音が鳴り響く

309: 2016/11/05(土) 14:02:31.31 ID:uo/0FK240
カーリア「」ガクッ

鈴仙「つ、ついに倒した…」ヘナヘナ

チルノ「すげぇなアイツら」

早苗「さすがお二人です!ありがとうございます!」

ゴゴゴゴゴ…

諏訪子「まずいな、ここの寺院が崩壊するよ」

神奈子「脱出ルートを確保してやろう」ブンッ

ドゴォォォン!!

神奈子が壁に向かって御柱を投げ飛ばすと、壁はいとも簡単に破壊され、大きな穴がいくつも開いていく

神奈子「さあ、脱出するといい」

チルノ「恩に着るぜ!」グイッ

チルノは気絶した魔理沙を背負って、いち早く脱出する

鈴仙「ありがとうございます…は、早く逃げないと!」ダダッ

神奈子「では私たちは退場するとしよう」スッ

諏訪子「またねー」スッ

半透明の分身の神々は瞬く間に姿を消す

早苗「これで…残るは1つのエリアか…」

早苗は最後のダンジョンへの攻略に、大きな不安をいだきつつ、脱出していく

310: 2016/11/05(土) 14:03:39.13 ID:uo/0FK240
~その頃、幻想郷にて~

神奈子「」ビクッ

神奈子「ふぅ、どうやら私たちの分身があっちの世界でひと暴れしたようだな」

諏訪子「」ビクッ

諏訪子「うん。もう相手は初めから、かなり追い詰められてたけどね」

神奈子「それよりも…今日はアクトの修行の総仕上げの日だ」

諏訪子「ああ、修行の成果を見届けにいこう」

諏訪子「相手はあの小さな鬼さんだよね?最終試験の相手には打ってつけだね」

324: 2016/11/19(土) 05:47:11.36 ID:44gO2w350
~紅魔館~

レミリア「咲夜、外を御覧なさい」

咲夜「外ですか…ん?あの人だかりは一体」

レミリア「どうやら、小鬼とカミの決闘が行われるみたいよ」

咲夜「なるほど、修行の総仕上げといった所でしょうか」

レミリア「フフフ、楽しみだわ」

咲夜(あの世界の救済活動もとうとう大詰めか)

~紅魔館の近くの湖~

ガヤガヤ、ワイワイ

アクトレイザー「……」

萃香「ん……プハァッ」ゴクゴク

瓢箪に入っている酒を飲むと、萃香はフラフラとした足取りで目の前まで歩く

勇儀「ほら萃香。受け取りな」ポイッ

星熊勇儀は群集の中から、鬼バットを放り投げる
それを酔っ払った萃香が、難なくキャッチする

萃香「おいおい。こんなのいらないのに」

勇儀「相手は剣士だ。持っておいて損はない」

アクトレイザー「……」

妖夢「今回の決闘の審判を務める魂魄妖夢です」ペコッ

萃香「えぇ~!?今回は審判とかいるのかよ!堅っ苦しいなぁ!」

妖夢「今回の決闘においては、通常の攻撃は無制限。スペルカードは一回につき60秒で」

萃香「ほう。スペルカード使うまでは時間制限なしか。そりゃあ良い闘いが出来そうだ」

妖夢「その代わり使用できるスペルカードは3枚まで」

萃香「あらら、少ないねぇ…まあ良いけど」

アクトレイザー「良い勝負が出来ることを期待している」スッ

カミはスッと鞘から剣を抜き、剣を萃香に向ける
それに応じるように萃香も鬼バットを向け、剣とバットの先端をコツンと当てる

萃香「へへへ…」

妖夢「では始め!」

325: 2016/11/19(土) 05:48:22.55 ID:44gO2w350
萃香「いっくぜー」

萃香は手首についた鎖を掴み、ジャラジャラと音を立て回転させる

アクトレイザー「?」

妖夢(あの動き、まるで鎖鎌みたいだな…)

萃香「ほいっ」

回した鎖を真上に放り投げる
なぜかその鎖は異様に伸びていた

アクトレイザー(っ!?バカな、あんなに長くなかったハズだ…何かの術でもつかったのか)

萃香「……」ガシッ

萃香「えい」ビュンッ

真上に伸びきった鎖をガシッと手で掴み振り下ろす
するとまっすぐに、鎖と分銅はカミへと飛んでいく

ガキィィン

アクトレイザー「なっ…」

鎖はグルグルと剣に絡みつく
そのまま萃香は鎖を自分の方へと引っ張る

その瞬間、糸も簡単にカミの体は剣ごと引っ張られていく

アクトレイザー「…!!」ガリガリ

カミは萃香の鎖で、目の前まで引っ張られる

萃香「せーの…ほいさ!」

ボゴォォン!!

アクトレイザー「うっ…!!」

腹部に衝撃が走る
萃香の小さな拳が、カミの腹部にめり込んでいた

アクトレイザー(な、なんだこのパワーは…こんなに小さな体をしているのに)ガクッ

萃香「さー続いては?場外ホームランでもかっ飛ばしますかな!」グルングルン

アクトレイザー「っ!!」

萃香「せーの」

カミが膝をついて苦しんでいると、萃香は容赦なく鬼バットを握り、片足をあげて、フルスイングをする

ガゴォォン!!!

萃香「ふっとべー!」

アクトレイザー「うっ!!」

326: 2016/11/19(土) 05:49:16.43 ID:44gO2w350
パリィィン!!!

アクトレイザー「ぐっ…ぅぅ…」

カミが起き上がると、そこは赤い内装をした屋内だった
ふと、二人の人物が視界に入る

咲夜「久しぶりね。ずいぶん派手にやられたじゃない」

レミリア「」

衝撃で紅茶をこぼしてしまい、レミリアはビショビショに濡れていた

アクトレイザー「吹き飛ばされた先は紅魔館だったか」

レミリア「……咲夜、紅茶御変わり」

咲夜「畏まりました。でもその前にタオルを」スッ

レミリア「ありがとう、自分で拭くわ」フキフキ

アクトレイザー「すまない…せっかくのティータイムを。火傷はないか?」

レミリア「これくらい大した事ないし、気にしなくて良いわ。窓ガラスの弁償代はあの酔っ払いの鬼に払わせるから」

レミリア「その代わり、存分に暴れてきて頂戴」

アクトレイザー「うむ…ん?」

ゴゴゴ…!

レミリア「あなたの奪われた剣がとんでくるわよ」

アクトレイザー「……っ!!」ガシッ

カミは回転しながら飛んできた剣を難なく掴む

萃香「おおーい!まさかこれで終わりって事ないよね!?はよ降りてこんかーーい!」

レミリア「メチャクチャねあの女」

アクトレイザー「まさに鬼だな」ザッ

カミは破壊された窓ガラスから直接、下へと降りていく

327: 2016/11/19(土) 05:50:13.03 ID:44gO2w350
萃香「うっし、ウォーミングアップは完了した」

萃香「疎符・六里霧中」

妖夢「スペルカード発動…カウントダウン開始」ピッ

萃香がスペルカードを宣言すると同時に、妖夢は両腕についた片方のストップウォッチのタイマーを起動する

アクトレイザー「む、なんだ…霧?」

萃香「これも私の能力。霧に変身できる」

アクトレイザー「そうか、ならば私もそれ相応の姿で応戦しよう」

萃香「むむむ!?」

カミの体は石像化し、魂が離脱する
光り輝くカミの魂が、霧状の萃香の前に漂う

アクトレイザー「これが私の本来の姿だ」

萃香「ほう」

アクトレイザー「私は御神体に宿っている時と、魂を離脱させた時では、使える魔法が異なっていた」

萃香「引っかかる言い方だね。過去形になってるよ」

アクトレイザー「そうだ。いまの私ならば、石像に魂が宿っている時も、本来の姿でも…いつでも『天候系の魔法』が使える」

アクトレイザー「本来の姿をキミに見せているのは、単なる礼儀だ」

328: 2016/11/19(土) 05:51:19.92 ID:44gO2w350
萃香「そうかい。ではその天候系の魔法とやらを見せておくれ」

アクトレイザー「……雷符・神なりの道しるべ」

ゴゴゴゴゴ…

湖の上空に暗雲が立ち込める
そして激しい閃光が伊吹萃香を襲う

ボゴォォン!

萃香「おっとと…危ない危ない」

ボゴォォン!!ボゴォォン!!ボゴォォン!!

萃香「ぎゃーー!!ちょっ…カミナリ降らしすぎ!ま、待て、痛っ!!」ビリッ

アクトレイザー「どうやら霧になっても攻撃は通るようだな」

萃香「特殊な力が宿っていればダメージを与える事ができる。普通はすり抜けるけどな」

萃香「お前さんだって人事じゃないぞ!」

霧の中から極太の丸い弾幕が、無数に散らばる

ボォォン!!

アクトレイザー「うっ…!!」

光り輝くカミの魂に、特大の弾幕が被弾する

ゴゴゴ…ボゴォォン!!ボゴォォン!!

カミの雷と、萃香の散らばる特大弾幕が、交差し合い、互いの弾幕を相殺させていく

329: 2016/11/19(土) 05:52:32.31 ID:44gO2w350
―――時間はあっと言う間に過ぎていき、先に萃香のスペルカードが時間切れとなる
間も無くして、カミの技もタイムアウトになる

妖夢「タイムアウト。カミ、一枚目の技はそこまで」

時間切れとなると同時に、その魂は再び石像へと宿る

萃香「なかなかやるじゃないか」

すでに霧状態を解除し、元の姿に戻った萃香は、さっそく攻撃を仕掛ける

最初に見せた時と同じように、再び腕についた鎖を掴む
そして今度は両腕の鎖を回転させる

萃香「いっくぞー」ジャラジャラ

萃香「ほいさっ」ブンッ

アクトレイザー「二度も同じに手には引っかからんぞ!」サッ

カミが軽やかに鎖攻撃を避けるが

アクトレイザー「なっ!」

避けた反対側からも鎖が飛んでくる

萃香「今度は両方だ。同じじゃない」

ジャラジャラと音を立てながら、その鎖はカミの首に絡みつく

アクトレイザー「うっ…!!?」

萃香「人間にこれやったら氏んじゃうかも知れないし、やらないけどさ」

萃香「あんた神様だし…別に良いよね?」

そういうと萃香はグイッと鎖を引く
鎖に首を締め付けられながら、ガリガリと地を引きずられ、萃香の元まで引っ張られる

330: 2016/11/19(土) 05:54:14.43 ID:44gO2w350
アクトレイザー「ゲホゲホ!ゲホゲホ!」

萃香「……」ジャラジャラ

もがき苦しむカミを見下ろしつつ、絡まった鎖を萃香が自ら解いていく

アクトレイザー「……?」

萃香「苦しかったろ?」

アクトレイザー(なんのマネだ。なぜ鎖を解いて…)

萃香「お前さん、酸欠で上手く動けないハズだ」

萃香「いまから二枚目のスペカを宣言する…鎖が絡まった状態じゃ逃げる事も出来まい」

萃香「せいぜい頑張って逃げるんだね」

萃香「鬼符・ミッシングパワー」

ゴゴゴゴ…

アクトレイザー(っ!?巨大化した!!)

萃香「さあいくぞー!」ピョンッ

巨大化した萃香は空高くジャンプする
その動きに対応すべく、カミは立ち上がろうとするが、上手く体がいう事をきかない

アクトレイザー「ゲホゲホ…だ、ダメだ…息が苦しい…」

ヒュウゥゥゥゥ

ボォォン!!!

萃香「いっかーーい!」

アクトレイザー「うっ!!」

四つん這いになったカミの背中を、巨大化した萃香が踏みつける
その猛攻は止まる事無く、再び空高くジャンプする

ヒュウゥゥゥゥ…ボォォン!!!

萃香「にかーーい!!」

アクトレイザー「うっ…!!!」

ヒュウゥゥゥゥ…ボォォン!!!

萃香「さんかーい!」

アクトレイザー「……っ」

妖夢(やっぱり鬼の四天王じゃ相手が悪かったかな…もっと別な人を呼ぶべきだったか)

アクトレイザー(なるほど…仮想サタンとして彼女を選んだ理由がわかった気がする)

アクトレイザー「だがこのまま負けるわけにはいかない…!!」ムクッ

妖夢「っ!?立った…」

331: 2016/11/19(土) 05:55:51.00 ID:44gO2w350
萃香「お?立ったか!良い根性してるね~」

萃香「そんじゃ今度は、この鬼バットを御見舞いしてやる!」

巨大化した萃香は、巨大な鬼バットを振りかぶりながら地上へ落下していく

萃香「これで終わりだぜぇ~!神・アクトレイザー!」ブンッ

ガキィィィン!!!

アクトレイザー「ぐぐっ…」

全体重がかかった巨大な鬼バットを、剣一本で支えるカミ

萃香「へー。そんな細い剣でよくがんばるね~。で、いつまで支えられるかな?」

アクトレイザー「ぐ…ぐぐ…」

アクトレイザー「私は…神だ…!」

萃香「へへ、私は鬼だ…!」

ブチブチ…ギギギ…

萃香「ん?」

ブチブチ…ギギギ…

カミの体から、妙な音が鳴り響く

萃香(何の音だ…?)

ブチ…ギギ…

332: 2016/11/19(土) 05:56:50.22 ID:44gO2w350
アクトレイザー「伊吹萃香。キミがどれだけの強者であろうと」

アクトレイザー「キミを超えなければ…私はあの世界を救えない!」

ブチン!ブチン!ガララン…

カミの着ている服がやぶけ、足と腕に付いている鎧が弾き飛ぶ
その理由は筋肉が肥大化していたからだ

萃香「お?なんだなんだ、急に筋肉モリモリになっちゃって」

アクトレイザー「ぬおおおぉぉぉぉ!!!」

ブチブチ…ブチ…バサッ!

萃香「は!?!?」

妖夢「!!?」

闘う萃香も、審判を務める妖夢も、そして闘いの様子をみる誰もが目を丸くして驚いた

萃香「カミ様…あんた、背中に翼が…」

アクトレイザー「おおおおおぉぉぉぉ!!!」バサバサ

萃香「うわああ!」

驚いて思わず力を抜いてしまった萃香は、カミに力負けして上空へ押しのけられる

アクトレイザー「おおおおおおおお!!!」バサバサ

その白い翼で、空へと飛んでいく

333: 2016/11/19(土) 05:57:57.11 ID:44gO2w350
アクトレイザー「うおおおぉぉぉ!!!」

カミは自分が空を飛んでいることなど気付いていなかった
ただ一心不乱に、刀気を萃香に飛ばしていく

ボォォン!ボォォン!ボォォン!

萃香「ちょっ…待てって!落ち着けよ!ぎゃっ、痛いって!」

ボォォン!ボォォン!ボォォン!

萃香「ぎゃああ!!」

妖夢「タイムアウト。伊吹萃香、二枚目のスペルカードはそこまで」

萃香「分かった分かった!いま小さくなるから…」

萃香「おいカミ様!いい加減ちょっと冷静になれ!」

アクトレイザー「ぜぇぜぇ…ん?なぜ、私は空を飛んでいるのだ…」

アクトレイザー「魂は石像から離脱していないのに、空を飛べるはずがない」バサバサ

萃香「自分の背中をみなよ」

アクトレイザー「っ!?なんだこれは」バサバサ

萃香「この闘いの中でレベルアップしたようだね…良いね。こういう展開好きだよ」

萃香「そんじゃ私は惜しむ事無く、ラストスペルを使うよ」

アクトレイザー「っ!!」

萃香「これで一気にアンタを叩きのめす。いくらパワーアップしたからと言って、体力は結構削られてるハズだ」

萃香「ラストスペル…百万鬼夜行」

アクトレイザー「私もスペルカードを宣言しよう」

アクトレイザー「流星・対魔の星くず」

カミが宣言すると、空から星型の弾幕が降り注ぐ
同時に萃香の弾幕も四方八方に飛び交う

334: 2016/11/19(土) 06:00:18.32 ID:44gO2w350
アクトレイザー「キミのラストスペルは、純粋に激しい弾幕の嵐だな」

互いの弾幕が相頃し合う中、神と鬼は睨み合う

萃香「折角だ。私もあんたの技をパクらせてもらう」

萃香の鬼バットが赤いオーラに包まれる

萃香「うらぁぁ!!」

鬼バットを振り回すと、刀気の様な形をした赤い弾幕がカミへ飛んでいく

アクトレイザー「私の刀気のマネか」

萃香「そうだ!さあここから本当の弾幕合戦だ!」

萃香「おらおらおら~!」

アクトレイザー「うおぉぉぉ!!」

~~~~

妖夢「はいそこまで!」

弾幕が飛び交う空中戦は、妖夢の合図と共に止める

妖夢「伊吹萃香、3枚のカードを宣言するもカミは倒れず…よって、この勝負はカミの勝利!」

パチパチパチパチ…!

周りで観ていた妖怪やら鬼たちは拍手を送る

空を飛んでいたカミと萃香も地へ下りる
そして互いに握手を交わす

萃香「もう途中から勝敗なんて、どうでも良くなった。楽しかったよ」ギュッ

アクトレイザー「最後に良い勝負が出来た」ギュッ

萃香「まあ欲を言うと、スペルカード無しで本気の頃し合いとかしてみたかったけどさ…」

アクトレイザー「キミがとんでもない大異変でも起こせばそうするが?」

萃香「へへ…まあ。そういうのはしないから安心しな」

萃香「次に闘う時はもうちょっと、宣言できるカードの枚数を増やそうか」

アクトレイザー「ああ、そうだな」

335: 2016/11/19(土) 06:02:25.48 ID:44gO2w350
妖夢「カミよ。いよいよあの世界へ行くのですね」

アクトレイザー「ああ」

萃香「悪魔の討伐、頑張りなよ~」

レミリア「あなたも悪魔討伐を頑張りなさい?」ポンッ

萃香「へ?」

レミリア「ウチの紅魔館。あなたがアクトをホームランしたせいで、酷い目に合ったんだけど」

萃香「あー…うん。ごめん」

レミリア「さあ伊吹萃香。いますぐ私と戦いなさい」

萃香「ええ~…私、聖白蓮と十日間も闘って…その後にカミ様と戦ったんだよ?ちょっと休ませてよ~」

レミリア「問答無用よ!」

ワーワー!ギャーギャー!

アクトレイザー「……」

妖夢「あっちは構わなくて良いからいきましょう。まずは香霖堂へ」

アクトレイザー「え?」

336: 2016/11/19(土) 06:04:25.32 ID:44gO2w350
~香霖堂~

霖之助「いらっしゃい」

アクトレイザー「師匠よ、なぜお店に?」

妖夢「……カミよ。その格好はあまりにハレンチというか…」カァァ

顔と耳を真っ赤にした妖夢は、両手で顔面をふさぎつつ下を向く

妖夢「……」カァァ

アクトレイザー「む、そういうば…筋肉が肥大化したせいで、半裸になっていたな」

妖夢「私がお金を払うので、何か服を選んでください」ドキドキ

アクトレイザー「すまないな」

アクトレイザー「お、ちょうど以前着ていた、服と鎧に似たものが売っているじゃないか」

霖之助「ああそれね。西洋系の服と鎧が好みなんだね」

アクトレイザー「いつか和服も着こなしたいが…ココの世界の事はまだ知らないことばかりだ」

アクトレイザー「闘いが終わったら早苗とココへ来る。良い和服を用意してくれるかな?」

霖之助「ああ。貴方に似合いそうな和服があったら、取って置いてあげるよ」

~~~

服と鎧を装備し、会計を終える

妖夢「さあ、守矢神社へ向かいましょう」

アクトレイザー「ああ…ん?」

妖夢「どうしました?」

カミは店の中にある、盾に注目する

アクトレイザー(盾か…防御面で大きく役に立ちそうだ…)

妖夢「あ、その盾も買いますか?」

アクトレイザー「いや。流石にこれ以上おごられる訳には」

霖之助「ああその盾ね。あげるよ」

妖夢「え、良いんですか?」

霖之助「そこのカミ様は悪魔退治に行くんだって?それも元いた世界の平和を守るために」

霖之助「タダであげるよ。コレは自分からの捧げ物としてキミに献上する」

アクトレイザー「……すまないな店主よ」

337: 2016/11/19(土) 06:05:33.25 ID:44gO2w350
~異世界の土地・マラーナ~

男女神官「本当に申し訳ございませんでした!!!」

住人たち「申し訳ございませんでした!!!」

早苗「い、いや…そんな…」アタフタ

チルノ「お前ら反省しろ!」

魔理沙「お前は少し黙ってろ」スッ

チルノ「むぐっ!むぐぐ!」

男神官「……マラーナの開拓は大変つらいものでした」

女神官「家を建てても魔物の脅威さらされ、毎日が不安でした…あなた方が守ってくれてるにも関らず」

男神官「そんな時に例の寺院の、悪魔教祖よりこんな事を言われました」

男神官「魔物の手下になれば、ラクで楽しい生活ができると…」

女神官「その言葉に我々はすっかり心を奪われてしまいました…」

男神官「今回の一件、我々は人間の弱さと言うものを痛感いたしました」

男女神官「今後、あなた方に逆らうようなマネは絶対にいたしません!」

男神官「どうか他の地域もマラーナのように、安らぎのある土地にしてあげて下さい」

早苗「はい。厳しい環境でしょうが、どうか負けずに頑張ってください」

チルノ「分かれば良いんだ。もう反抗するなムグググググ…!」ジタバタ

魔理沙「だからお前は黙って聞いてろって」

~~~~

エンジェル「残るは土地はノースウォールと言う寒いです」

チルノ「はぁぁ…やっと涼しい場所にいける…」グスッ

魔理沙「お前、なぜか暑い場所ばっかりだったもんなぁ」

男神官「あ、お待ちください。捧げ物があります」

魔理沙「お、なんだなんだ」

女神官「これはカミの魔法です。お受け取り下さい」

早苗「ありがとうございます!これでまた夫がパワーアップできます!」

338: 2016/11/19(土) 06:07:32.41 ID:44gO2w350
鈴仙「あの…まずはカサンドラに寄り道しても良いかしら?」

魔理沙「やり残した事でもあったか?」

鈴仙「ええ。カサンドラで治療をしたでしょ?予防接種もしたし…その後の経過を知りたいから」

早苗「分かりました。まずカサンドラへいきましょう」

~カサンドラの神殿にて~

ガヤガヤ、ワイワイ

早苗「わあぁぁ…国民が沢山いる!」

鈴仙「近いうちに、予防摂取後の経過を見に行くとは言っておいたからね」

鈴仙「さあ皆さん!並んで下さい!検診させていただきまーす」

ヒュゥゥゥ…

鈴仙「ん?」

霊魂「~~!!///」

霊魂が物凄いスピードで飛んできて、鈴仙の周りをグルグルを回る

鈴仙「きゃっ!もう、ビックリさせないでよ…」

霊魂「///」

鈴仙(……なんかこの霊魂を見ていると、あの人を思い出すわ)

~~~

神殿の入り口付近では、長蛇の列が出来ていた
鈴仙は人々を検診する一方で、早苗たちは神殿の中で会議をしていた

男神官「そうですか…残りは1つの土地…」

女神官「カサンドラとは真逆の環境です。どうか体調を崩さぬように…」

早苗「はい」

チルノ「あたい的にはラッキーだね!」

魔理沙「今まで大変だったなお前も」

339: 2016/11/19(土) 06:08:41.14 ID:44gO2w350
早苗「エンジェルさん。前回闘った邪神は物凄くやっかいでしたが…」

魔理沙「あれと同じ位ヤバイのとか…やっぱいるのか?」

エンジェル「……ええ」

魔理沙・早苗「や、やっぱり…」

エンジェル「フロストワイバーンと言って、邪神と実力は互角でしょうね」

魔理沙「あんなのと互角なのがいるのかよ…」

早苗「ワイバーン…西洋タイプの龍ですか」

チルノ「フロストってなんか、涼しそうな響きだな」

魔理沙「むしろ寒い位だぜ」

チルノ「あたいと似たタイプかな?」

魔理沙「かもな。闘い方を事前によく考えておいた方が良いぜ」

エンジェル「今までと違い、寒い場所での戦いになります。吹雪なんか降られたら視界も悪いでしょう」

魔理沙「確かにな。何となくだが、決戦場は野外戦になりそうな気がする」

早苗「……」

早苗「魔理沙さん。正直、もう一回あの邪神クラスと闘うのは気持ち的にどうでしょうか?」

魔理沙「ラスボスのサタンならともかく…もう一回あのレベルとやりあうのは骨が折れるぜ。でもやるしか無いんだろ?」

早苗「……」

早苗「呼びましょう。霊夢さんを」

340: 2016/11/19(土) 06:09:57.54 ID:44gO2w350
エンジェル「え…れ、霊夢様を!?」

早苗「はい」

チルノ「やばくなったら、また神奈子と諏訪子を呼べば良いじゃん」

早苗「次は猛吹雪の中の闘いになるかもしれません」

早苗「もしも二人を召喚する前にやられてしまったら、意味がありません」

魔理沙・チルノ「……」

早苗「呼びましょう、霊夢さんを」

魔理沙「しょうがないな…この際、プライドは捨ててアイツに頭を下げるとしよう」

チルノ「5円玉あげれば喜ぶよ」

男神官「あの…失礼ですがレームとは一体?」

早苗「巫女さんです。私たちが束になっても適わないほど強い人です」

男神官「本当に人間なんですかその巫女は!?」

魔理沙「一応な」

早苗「鈴仙さんが検診を終えたら、さっそく幻想郷に戻って霊夢さんを呼びましょう」

「その必要はない」

突如として、神殿にいるはずのない男の声が響く

341: 2016/11/19(土) 06:11:16.37 ID:44gO2w350
魔理沙「誰だ!?」

「私だ」

ドスンッ…

神殿に置いてあるはずの、戦士像が動き、台座から地に降りる

チルノ「あ!お前は…!!」

早苗「あなた…!!」

魔理沙「お前…」

エンジェル「カミ様!!」

アクトレイザー「修行を終えて帰ってきた」

男女神官「」

アクトレイザー「うっ…」ググッ

魔理沙「どうした?」

アクトレイザー「うおぉぉぉ!」

ミチミチ…ブチ、ガキィィン!!バサッ…

肉体はあっと言う間に、筋肉を肥大化させ、白い翼を生やし姿を変える

魔理沙「な、なんだ!?いきなり…服とヨロイが弾けたぞ!?」

チルノ「かっけーー!!すげぇマッチョだ!」キラキラ

早苗「あなた…素敵です///」ダキッ

アクトレイザー「……」ギュッ

早苗からの抱擁に答えるように、カミもまた早苗を抱きしめる

妖夢「カ、カミよ…!その格好で抱き合うのはよろしくないかと思います…///」カァァ

妖夢「ふ、服を渡しますので、お受け取りください///」ドキドキ

魔理沙「お前も来てたのか」

チルノ「あ、妖夢久しぶり!」

342: 2016/11/19(土) 06:14:04.23 ID:44gO2w350
アクトレイザー「幻想郷で鍛えていたら、元の力を取り戻す所か、全盛期を超えてしまっていたようだ」ナデナデ

早苗「~~///」ギュゥゥ

魔理沙「ほう、そりゃ頼もしいな」

アクトレイザー「それと話は聞いたぞ。なんでもあのカーリアを倒したらしいな。奴は強かっただろう?」

魔理沙「ああ。なんか奴だけケタ違いだったぜ」

チルノ「アクト!お前も背中に翼が生えたんだな!」

アクトレイザー「ああ。伊吹萃香と決闘していたらいつの間にか生えていた」

魔理沙「萃香と闘ってたのか!?アイツもヤバイくらい強いだろ」

アクトレイザー「ああ。最後の相手として相応しい者だった」

早苗「あ、そういえば…これ、マラーナの人から貰いました!」

アクトレイザー「これはオーラの魔法じゃないか!またこれで強くなれる。ありがとう」ナデナデ

早苗「えへへ///」ギュゥゥ

男女神官「」

男神官「あ、あわ、あわわわわわ」

女神官「カ、カミよ…なんと神々しい…」

アクトレイザー「ああそうだ。後で新しいタイプの銅像を作ってくれるかな?」

男神官「か、かか、畏まりました!そのお姿、しかとこの目に焼き付けさせて頂きます!」

アクトレイザー「うむ。頼んだ」

妖夢「あ…あ、あのカミよ!///頼むから早く着替えてください///」カァァ

アクトレイザー「おっとすまない師匠よ」

男女神官「師匠!?」

妖夢「あ…いや、私は剣術の指南しかしてませんので…」

343: 2016/11/19(土) 06:16:09.71 ID:44gO2w350
アクトレイザー「……よし、着替え終えた」

アクトレイザー「そういえば外に人々が集まっているようだが?」

早苗「じつは…」

~少女説明中~

アクトレイザー「……そうか。今まで皆に苦労をかけてしまったな」

早苗「いえ、そんなこと」

アクトレイザー「少し、皆に挨拶をしてくる」コツコツ

男神官「え、え!?」オドオド

女神官「あ、えと…あ、挨拶!!?」オドオド

気が動転している神官二人をよそに、カミは人々が集まっている神殿入り口へと向かう

~神殿入り口前~

チルノ「おう!お前ら良く聞け!」

国民1「お、神チルノだ!」

国民2「どうされましたか神チルノ!」

チルノ「ついにあたいのダチが復活を遂げた!」

国民全員「っ!!?」

早苗「皆さん、紹介しましょう…私の夫です!」

アクトレイザー「…………」

アクトレイザー「カサンドラ民の諸君…今まで苦労かけさせてしまったな」

アクトレイザー「本当にすまない」

国民全員「」

344: 2016/11/19(土) 06:18:38.55 ID:44gO2w350
アクトレイザー「いままで私はある土地で、本来の力を取り戻すために修行に明け暮れていた」

アクトレイザー「私の頼もしい友人と、そして妻のおかげで、どうにか文明が発展しているようで一安心している」

アクトレイザー「……私はこれまで、キミ達に何もしてやれなかった」

アクトレイザー「故に私は」

背中からシャキンッと音をたて、鞘から剣を引き抜く
そして剣を高々と天に向けて振り上げる

太陽の光は剣先に当たり、まぶしくカミを照らす

アクトレイザー「ここに誓おう。私は必ずこの手で魔王サタンを倒す」

アクトレイザー「そして君たちが、二度と魔物に怯える事なく平和な暮らしが送れる事を…約束する」

国民全員「……」

国民全員が言葉を発する事無く、黙ったまま両手と両膝を地に付ける
そして頭を地につけ、静かに涙を流した

鈴仙「」ポカーン

鈴仙(あれ?何で修行に行ってたハズのカミ様がここにいるの?全然状況が把握でき無いんだけど)

345: 2016/11/19(土) 06:20:04.90 ID:44gO2w350
アクトレイザー「……」

カミは黙って剣を振りあげたまま、民たちの様子を見守る

国民全員「……」

国民たちはひたすら、頭を下げたまま静かに涙を流し続けていた

チルノ「お、おいおい…なんだよ。皆しんみりしちゃってさ…」

チルノ「あたいの事を応援してくれた時みたいにさ、もっとこう…パーッと盛り上がろうよ!なあってば!」

魔理沙「まあ。お前とアイツじゃ、場の盛り上げ方が根本的に違うんだろうよ」

エンジェル「カミ様…私は一生かけて付いていきます…」グスッ

早苗「……」ツーッ

鈴仙(早苗まで涙流しちゃって…ん?)

霊魂「……」

つい先ほどまで、鈴仙の周りを落ち着き無くウロウロしていた霊魂は、国民たちと同じく体を地に着け頭を下げていた

霊魂「……」

チルノ「なんだよ、霊魂まで大泣きしちゃって…」

鈴仙「わかるの?」

チルノ「うん。さっきまで落ち着きなかったのに、変な奴」

――こうしてカミは改めて、再び地上に舞い降りた

356: 2016/11/28(月) 02:13:03.48 ID:b+bRLu3E0
――カミが地上に降臨してより数日が経過
カサンドラの全ての国民の健康診断を終え、最後の土地へ赴くために、一同は準備を整える

アクトレイザー「さあ友よ、準備はできたかな?」

チルノ「いつでもオッケーだ!」

魔理沙「同じく」

早苗「みなさん暖かい格好に着替え終えましたか?」

妖夢「ばっちりです」

鈴仙「ここで冬物の上着を羽織るのは、キツイけどね…早くいきましょう」

魔理沙「ところで妖夢は、幽々子のお守りしなくて良いのか?」

妖夢「しばらく紫様の所にいるから思う存分、修行してきなさいって言われました」

魔理沙「アイツも自由人だな」

鈴仙「じゃあね。霊魂さん…ここで本当にお別れだね」ナデナデ

霊魂「……」シュン

アクトレイザー「じゃあ、また後でな」

霊魂「……!」コクッ

鈴仙(ん?神様は霊魂さんとまた会うのかな…)

アクトレイザー「さて、エンジェル。キミには別な任務を与えたい」

エンジェル「はい!何でしょうか」

アクトレイザー「これまで開拓してきた土地の全て見てきてくれてないか?どういう状況なのか気になるしな」

エンジェル「かしこまりました!いって参ります!」

早苗「そっか…他の土地の様子、最近見てなかったです。迂闊でした」

357: 2016/11/28(月) 02:16:07.66 ID:b+bRLu3E0
~極寒の地・ノースウォール~

魔理沙「おお…なんかこう…落ち着くな」

チルノ「うひょおおおぉぉ!涼しくて最高!!」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「この土地も、すっかり何も無くなってしまったな」

早苗「さあアナタ。奪われた物を取り返しにいきましょう」

アクトレイザー「ああ。この土地の魔物を全て倒し、文明を復活させよう」

~~~

魔理沙「魔物自体はフィルモアの頃と比べて、強化された奴ばかりだが…」

鈴仙「これだけ人数が揃ってれば、特に苦労する事もないわね」

斧を持った魔物「グゥゥ!」ガクッ

石像の魔物「グォォ!?」

神の軍団の放つ弾幕が、魔物たちを難なくと倒していく

アクトレイザー「フン!」

鳥の魔物「ギャッ!!」スパッ

カミが放つ刀気が、鳥の魔物を切り裂く

アクトレイザー「もうすぐ洞窟の最深部に到達するだろう」

~~~~

マーマンフライ「なっ!?貴様!蘇ったのか!?」

アクトレイザー「ああそうだ」

マーマンフライ「おのれ…サタン様には会わせんぞ!」

空飛ぶ人魚は、両手から緑色の弾幕を放つ

魔理沙「おいおい何だよこのヘナちょこ弾幕はよ…」サッ

チルノ「まだファラオと火炎車の方が厄介だったぞ!」サッ

早苗「マラーナのラフレシアはあんなに強かったのに」サッ

鈴仙「まあこれだけの人数に囲まれたら、実力とか関係無しに勝ち目はないでしょうけど」サッ

マーマンフライ「!?」

マーマンフライ(な、なんだコイツら…)

アクトレイザー「覚悟するんだな。マーマンフライ」

マーマンフライ「くそ!援軍など呼びおって…かつてサタン様が、6人の強力な部下を召喚したが、その真似でもしたつもりか!」

妖夢「無駄口叩いてる場合ですか?」

マーマンフライ「なっ…しまった!」

アクトレイザー・妖夢「せい!!」ビュン

ズバッ!!

マーマンフライは、カミと妖夢が放つ刀気で真っ二つにされる

358: 2016/11/28(月) 02:18:06.16 ID:b+bRLu3E0
~天空城~

アクトレイザー「これでこの土地も、人々が住める場所になった」

チルノ「なあ、神殿に挨拶にいかないのか?」

アクトレイザー「本来、神と人は直接関る事はない。遠くから見守りつつ、人々の願いを聞き入れるのが古来からの慣わしだ」

早苗「そうですね。これこそが本来の神と人間の関係であり、信仰のあり方ですね」

魔理沙「やり方は地味だけど、まあしゃあないわな」

チルノ「……」ウズウズ

チルノ「おい早苗!幻想郷は常識に囚われないんじゃないのかよ!」

早苗「ここは別世界ですよ?」

チルノ「知るか!あたいは直接地上に降りて、人間たちの願いを聞いてくる!」ダダッ

魔理沙「あ!おい待てよ!」

妖夢「まったく…これだから妖精は…」

早苗「どうしますアナタ?」

アクトレイザー「…………」

アクトレイザー「まあこれまで、私が不在の間はそうやって人々との関係を深めてきた訳だ」

アクトレイザー「ここは常識に囚われず、直接関わっていこうじゃないか」

早苗「わかりました!では地上へ降りましょう!」

鈴仙「結局、こうなるのね…」

359: 2016/11/28(月) 02:20:05.37 ID:b+bRLu3E0
アクトレイザー「二人とも、これから大変だろうけどヨロシク頼む」

男神官「」

女神官「」

男女神官「あわ、あわわわわわわ」

早苗「そんなに深々と頭を下げなくても…」

男神官「カミ様の他にも…その友人たち妖精の神に、さらにカミの妻たる女神サナエ様…」ガタガタ

女神官「なんと凄い方々が揃っているのかしら…」ガタガタ

アクトレイザー「それで、まずはどんな事がお望みだ?」

男神官「あ、えとあの、その…あの…」

アクトレイザー「む…よく考えれば愚問だったか。この土地は雪におおわれている」

早苗「ならばやるべき事は1つですね」

アクトレイザー「うむ。これから私と早苗で、奇跡の力を使い雪を溶かしていく」

アクトレイザー「私の友たちも、雪かきを手伝ってくれるはずだ。道を切り開いていきなさい」

男女神官「は、ははは…はい!」

~~~

魔理沙「いくぜ!マスタースパークだ!!」

ボォォン!!!

ノースウォール民一同「おおお!」

魔理沙「やっぱ雪かきはマスパに限るぜ」

鈴仙「じゃあ私も…ルナティックレッドアイズ」

妖夢「私もいきます。六道剣・一念無量劫」

ノースウォール民1「すごいな…これが神の軍団の力…」

ノースウォール民2「開拓も凄い勢いで進んでいる。ノースウォールの未来は明るいな」

チルノ「……」

チルノ「あたい…温度が熱い弾幕打てない…」ザクザクッ

チルノ「あ~…スコップの雪かきは辛いな~」ザクザクッ

360: 2016/11/28(月) 02:22:40.46 ID:b+bRLu3E0
――数日後

ノースウォール民1「いや~この間までは雪だらけだったのに…あっと言う間に緑の大地が見えてきた」

ノースウォール民2「あとは早く農作物が育ってくれれば、なお良しだな」

チルノ「なんだお前たち、腹減ってるのか?」

ノースウォール民1「あ、神チルノじゃないですか」

ノースウォール民2「ずいぶんと汗をかかれてる様ですが大丈夫ですか?」

チルノ「ずっとスコップで雪かきやってたからだよ!まったくもう!」

チルノ「まあいいや。カキ氷やるよ」パンッ

チルノが両手を叩くと小さな煙と共に、地に一本のシロップが現れ、両手にカキ氷がはいった器を二つ取り出す

チルノ「これな、甘くて美味しいぞ~」

チルノ「ほらシロップかけた、くえ!」

ノースウォール民1「うん…確かに甘くて美味しいですけど…寒いです」シャリシャリ

ノースウォール民2「こういうのは…もうちょっと暖かい日になら…」シャリシャリ

チルノ「あ?なんだよ…折角、腹減ったと言うもんだから気をきかせてやったのによぉ~」

男神官「みなさん、我らの神々からご報告があります」

ノースウォール民一同「なんだなんだ?」

早苗「見てください。これはアイトスから頂いた厚い上着です」

ノースウォール民一同「おおお!何て温かそうなんだ!」

アクトレイザー「これは獣の皮を剝いで作った物だ。当然この服を得るには狩りの技術が必要だ」

アクトレイザー「今はまだこの土地は文明も発展途上で、さらに魔物も住み着いてるが故に、迂闊に山には近づけないが」

アクトレイザー「もう少し発展を遂げたら、山へ行って、このすばらしき資源を得るといい」

ノースウォール民一同「はい!かしこまりました!素晴らしい技術を教え頂き感謝します!!」

全員、冷たい大地にひれ伏す

アクトレイザー「キミたち、ありがたいがこの冷たい大地で膝を崩す必要は無い」

チルノ「ぐぬぬぬ…なによこの扱いの差!」

361: 2016/11/28(月) 02:25:44.13 ID:b+bRLu3E0
~次の日・洞窟~

チルノは、かつて魔物が占拠していた氷の洞窟でひっそりと、体をやすめていた

チルノ「……」

アクトレイザー「わが友よ。どうしたこんな所で」

チルノ「ここはあたいの別荘にする事にしたんだ」

アクトレイザー「そうか。氷の妖精には打って付けの場所だな」

チルノ「なあアクト」プクッ

アクトレイザー「どうした。やさぐれた目をして」

チルノ「……ここの連中みんな冷たい。まるで氷みたいに」

チルノ「カサンドラとマラーナは暑苦しかったけど、みんな心が温かかった」

~回想・カサンドラ~

神チルノ万歳!!

万歳――!!

我らの偉大なる救いの神!万歳――!!!

チルノ「わっはははは!いいぞ!みんなあたいを称えろ!」

~回想・マラーナ~

神チルノ可愛い!!

ひんやりして気持ち良いです!

私にも抱き着かせて~!

チルノ「おいおい、お前らくすぐったいって!わははは!」

神チルノ!カキ氷食べたいです!

チルノ「しょうがないな!特別に沢山つくってやる!」

やったー!神チルノ愛してるー!!

チルノ「わっはははははは!!」

~回想おわり~

チルノ「ノースウォールの奴ら、全然あたいに感謝してくれない…」プクッ

チルノ「アイトスの人間も、おいしい物いっぱい食べさせてくれて…みんな良い人だったのに…」

チルノ「何なんだよ…ここの奴ら」グスッ

チルノは冷たい涙を流し、頬を膨らませる

362: 2016/11/28(月) 02:27:07.52 ID:b+bRLu3E0
アクトレイザー「……」ワシャワシャ

チルノ「ぅぅ……」ボロボロ

泣き崩れるチルノをなだめる様に、カミはチルノの水色の髪をなでる

アクトレイザー「キミはことの成り行きで妖精から神へと昇格した訳だが…」

アクトレイザー「キミはなぜ神になりたかったんだ?」

チルノ「そりゃ偉くなりたいからだ」

アクトレイザー「そうか」

アクトレイザー「それじゃ、偉くなってキミは何がしたかったんだ?」

チルノ「え?そんなの…あたいが一番の存在だって知ってもらいたくて」

アクトレイザー「キミはなぜ一番になる事にこだわるんだ?」

チルノ「はぁ?そんなの…えと…」

チルノ「うーーん…一番偉いのが最強だから?」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「私は古来から神としての役割を務めてきたが」

アクトレイザー「偉くなりたいなど思ったことは一度もない」

チルノ「え?じゃあ何で神やってんだよ」

アクトレイザー「人々が笑顔で平和に暮らせる事…私が古来から想い続けてきた理念だ」

アクトレイザー「その想いが結果的に、民からの信仰を得ることにも繋がっていた」

チルノ「……」

アクトレイザー「我らは信仰があって成り立つ存在…人間という存在そのものに、心から感謝しなければならない」

アクトレイザー「感謝の想いがより一層、人々に尽くそうと思う気持ちを強くさせるのだ」

チルノ「……」

チルノ「カサンドラでお前が演説しただけで、あの国の人間全員が涙を流してたけど」

チルノ「お前が慕われる理由、ちょっとだけ分かった」

アクトレイザー「神チルノよ、一先ずキミがやらなければ成らない事は」ナデナデ

チルノを片手で髪を撫で回しながら、もう片方の手で指を洞窟の外へ指をさす

アクトレイザー「人々を魔物の手から救うことだ」

アクトレイザー「まだこの土地には魔物が大勢いる」

チルノ「……」

チルノ「おう!やってやんよ!誰にも感謝されずともな!」

チルノ「あたいは妖精であり、神だからな!感謝の言葉なんざ無くても人間救ってやんよ!」ダダッ

363: 2016/11/28(月) 02:28:45.10 ID:b+bRLu3E0
~次の日~

エンジェル「カミ様!ただいま戻りました!」

アクトレイザー「うむ、ご苦労だったな」

エンジェル「開拓が凄い速度で進んでますね」

アクトレイザー「ああ。みんなの協力があったおかげでな」

アクトレイザー「それでどうだった?他の国の住民たちは」

エンジェル「ええ。問題なく一層、街を発展させていました」

エンジェル「ただ…1つだけ、頼まれごとがありまして」

アクトレイザー「頼まれごと?」

エンジェル「実はフィルモアの神官が、どうしても合わせたい人物がいると言ってまして」

早苗「フィルモア…懐かしいですね」

魔理沙「フィルモアの神官といえば、魔物の呪いにむしばまれ危うく氏に掛けた神官がいたな」

アクトレイザー「では早速、フィルモアに行くとしよう」

アクトレイザー「エンジェルと我が友チルノ、留守番を頼む」

チルノ「がってん承知の助だ!人間に感謝なんかされなくてもやってやるよ!」

エンジェル「チルノちゃん??なんかしばらく見ないうちに随分とやさぐれた様な気が…?」

チルノ「気のせいよ!」

364: 2016/11/28(月) 02:30:44.71 ID:b+bRLu3E0
~フィルモアの神殿にて~

アクトレイザー「しばらくぶりだな」

男神官「お…おお!!我らの永遠のカミよ…!!」

女神官「ついに地上に、正式に戻られたのですね…!!」

アクトレイザー「ああ。ノースウォールの開拓も順調だ」

アクトレイザー「サタンとの決戦の日も近い」

男神官「そうですか…やはり、そういうことなのですね」

アクトレイザー「ん?」

男神官「ごほごほ、げほごほ!!」ガクッ

アクトレイザー「おい大丈夫か!」

早苗「また体調が悪くなっている…!?」

男神官「ええ…じつはまた最近、悪夢を見るようになりまして…」

早苗「さては魔物の仕業…でもこの土地にはもう魔物は存在しない…」

アクトレイザー「サタンがこの者に悪夢を見させている可能性もある」

男神官「いいえ。それはありません…それにサタンはまだ貴方様が復活した事に気づいていません」

男神官「私の『一番弟子』がそう言ってました」

アクトレイザー「一番弟子…?」

男神官「はい…私は今回。その『一番弟子』にあわせたくて…」

365: 2016/11/28(月) 02:33:04.90 ID:b+bRLu3E0
男神官「弟子いわく、私と彼がいま、体調を崩しているのは魔物の呪いではなく…」

男神官「超能力で『未来』を見てしまい…その惨状があまりに酷い物で、その反動で体を壊してしまっているようです」

アクトレイザー「つまり、キミの『一番弟子』とやらも悪夢と超能力の反動で、体を壊してしまっているのか」

男神官「はい…しかも彼は、私以上に体がボロボロになってしまい…」

男神官「彼曰く、もう長くないと悟っています」

男神官「一番弟子は…私なんか足元にも及ばない程の才能を持ち…」

男神官「恐らく、私以上に『見てはいけない未来』をたくさん見てしまったのでしょう」

魔理沙「さっきから気になったんだが、その『恐ろしい未来』ってのは、なんなんだ?」

男神官「それが…曖昧な表現になってしまいますが…」

男神官「世界中が炎に包まれる夢です」

妖夢「…!?!?でも世界はいま良い方向に向かっているんですよ!?」

男神官「どういう経緯で世界が炎に包まれてしまっているのか分かりませんが…」

男神官「近い将来に、恐ろしい出来事が起こるのは確かです」

アクトレイザー「……」

男神官「それでも貴方様が、きっと世界を救ってくれることを…我々は信じています」

男神官「お願いですカミ様…どうか余命いくばくも無い我が一番弟子と会ってください」

男神官「彼は…『せめて氏ぬ前に、一目で良いから永遠の神に会いたい』と言っていました」

366: 2016/11/28(月) 02:34:38.63 ID:b+bRLu3E0
アクトレイザー「わかった、ではその一番弟子とやらの家まで…」

女神官「はい。ただいまお送りします」

聖者殿!無理はいけません!

家で安静にしてないと!

鈴仙「ん、外が騒がしいわね?」

男神官「来たか…家で待っていろとあれほど言ったのに…」

魔理沙「来たのか?一番弟子やらが」

男神官「はい。弟子の本名は○○○○と言いますが…」

男神官「皆から尊敬の念を込めて『聖者』と呼ばれています」

魔理沙「『せいじゃ』か…幻想郷にもいるけど、中身は真逆っぽそうだな」

女神官「彼はこれまで、町の発展のため、信仰のため、治安維持のために…ありとあらゆる努力をしてきました」

女神官「最近では、内戦寸前だった隣のブラッドプールの混乱に乗じて、戦争を仕掛けようとした不良集団を改心させ…全員を神官見習いへと導いた功績があります」

早苗「そんな危うい自体が起きかけてたんですか!?」

女神官「はい。彼は50人以上もの武装した不良集団相手に1人で勝利し、若者達を更生へと導きました」

ゴンゴン

男神官「○○○○だな?入りなさい。もう来ているぞ」

367: 2016/11/28(月) 02:37:30.69 ID:b+bRLu3E0
ドアを開けた瞬間、まばゆい光が隙間から差し込む
水色の長い髪をなびかせつつ、カミを真っ直ぐな目で見つめる

魔理沙「な、なんだあの光は…」

妖夢「ご、後光…??」

アクトレイザー「……」

聖者「……」ボロボロ

聖者と呼ばれた若者は神を拝見すると、涙を流しながら膝を崩し、両手と頭を地につける
それを見習って、後ろの弟子達も同じ行動を取る

聖者「あぁぁ…私のために…本当に…」ボロボロ

アクトレイザー「キミが○○○○…『聖者』と呼ばれている者か」

聖者「はい…」

聖者「ゲホゲホ!ゴボォォ!」

ビチャビチャと音をたてながら、口から血を吐く

全員「!!?」

早苗「吐血!?大丈夫ですか!?」ダダッ

早苗は小走りで聖者の前へと走る

聖者「だ、大丈夫です…ごぼぉ…!」

早苗「あれ?貴方は…フィルモアを開拓してた頃に…」

聖者「はい。サナエ様ともよく、魔物の封印にいきましたね」

魔理沙「なんだ知り合いだったのか」

早苗「はい。彼とはよく魔物の討伐関連で…」

早苗「しばらく見ないうちに、後光をさす能力に目覚めたんですね…」

聖者「これはその…いつの頃からか、体から勝手に発するようになっていて…」

弟子1「聖者殿!安静にしなければ!」

弟子2「聖者殿!ハンカチを!」

聖者「ありがとうございます…げほ!ごぼぉ!」

口に抑えたハンカチは、見る見る真っ赤に染まっていく

聖者「まだ帰るわけにいきません…」

聖者「大切な遺言を残さなければなりません」

368: 2016/11/28(月) 02:39:44.72 ID:b+bRLu3E0
アクトレイザー「大切な遺言…?」

聖者「我らが永遠のカミよ、お聞きください」

聖者「私の師匠から既に話は聞いてると思いますが…近いウチに、世界中に恐ろしい事が起こります」

聖者「世界は炎につつまれ…そして何故か、倒したはずの魔物が再び各地方に現れるでしょう」

アクトレイザー「なんだと…!?」

聖者「どうか、人々を守って欲しいのです」

アクトレイザー「そうか。それは重要な事を聞いた。感謝する!」

聖者「もったいないお言葉を…」

聖者「それと、もうひとつ遺言が」

アクトレイザー「うむ」

聖者「アイトスの少年神官が、恐らく私と似た夢を見ているでしょう」

聖者「彼に風を起こす力を与えてくださいませ」

早苗「風を起こす力…」

聖者「あの少年なら。3日もあればマスターするでしょう」

聖者「げほげほ!ごぼぉ!」

ビチャビチャ

吐血により、床が真っ赤に染まっていく

弟子1「聖者殿!」

聖者「」

弟子2「まずい!早く家に送っていこう!」

弟子一同「カミよ…ご多忙の中、我々に会いに来て頂き…本当にありがとうございます!!!!」

聖者の後ろに居た弟子達は、神に深々と一礼し、感謝の言葉を述べると、聖者を担いですぐに去って言った

369: 2016/11/28(月) 02:40:45.95 ID:b+bRLu3E0
早苗「行ってしまいましたね…」

魔理沙「なんか凄い奴だったな…」

アクトレイザー「ん?本と剣が落ちてるが…」

その本にはアルファベット文字が大量に書かれていた

早苗(これって何語に近いんだろ。全然わかんない。まるで暗号みたい)

弟子3「ああ…カミよ!申し訳ございません!」

弟子3「それは聖者殿の剣と本です!」

アクトレイザー「そうか。彼に渡しておいてくれ」

弟子3「はい!本日はありがとうございます!!」

アクトレイザー「……」

男神官「……いま、聖者の後ろに居た大勢の弟子達は」

男神官「さっき言いました『元不良集団たち』でした」

全員「!!?」

男神官「げほげほ…今日はご多忙の中、ありがとうございます」

男神官「これで我が一番弟子も…悔いなくいつでもあの世へいけるでしょう」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「早苗よ。頼みがある」

早苗「はい…アイトスへ行って。少年神官に風起こしを覚えさせるのですね?」

アクトレイザー「ああそうだ。頼む」

早苗「わかりました!」

370: 2016/11/28(月) 02:41:46.95 ID:b+bRLu3E0
~アイトスの神殿にて~

早苗「お久しぶりです!」

男神官「おお!サナエ様…お久しぶりです!」

女神官「今日はどうなさいましたか?先日、エンジェル様も訪問されましたが…」

早苗「はい、実は…」

少年「サナエ様は、私に用があると思われます」

男神官「おいお前…まだ体調悪いんだろ?寝てなきゃダメじゃないか」

少年「げほげほ…!」

少年「怪我しても無理して仕事をしていた師匠の背中を見て育った物で…お許しください」

男神官「そんな事言われたら、何も言い返せないじゃないか…」

少年「お久しぶりですサナエ様。ごほごほ…」

早苗「ええ、お久しぶりです」

少年「では、さっそくですがお話を聞かせてもらいます」

早苗「その様子だと、だいぶ分かってるようですが」

少年「最近、悪夢ばかり見てましたが、昨日は久々に違う夢を見ました」

少年「あなた様が、私を探している夢です」

早苗「ええ。実は…」

~少女説明中~

少年「なるほど。事情は把握しました」

少年「げほげほ!!」

早苗「大丈夫ですか?随分つらそうですが」

少年「少し咳が出る程度です。少なくともフィルモアにいる聖者と呼ばれている男ほど、酷くはありません」

少年「サナエ様、改めてお願いします。どうか私に風を起こす術を教えてください」

371: 2016/11/28(月) 02:42:33.69 ID:b+bRLu3E0
早苗「ではまずは手本をお見せます」

早苗「せい!」

ビュウォォォ…!!

少年「……」

少年神官は、オレンジ色の長い髪をなびかせながら、風車小屋を見つめる

少年「お見事です。今日は無風だったのに」

早苗「……?」ジッ

少年「どうされました?」

早苗「前から気になってましたがその水晶玉は?」

少年「これは私の武器です」

早苗「ぶ、武器!?」

少年「はい」

早苗「そ、そうですか…かわった武器ですね」

早苗「では、まず風を起こすコツですが…」

少年「……」コクッ

372: 2016/11/28(月) 02:44:29.00 ID:b+bRLu3E0
~3日後・ノースウォール~

早苗「あなた!ただいま戻りました!」ダキッ

アクトレイザー「任務ご苦労だったな」ギュッ

アクトレイザー「少年神官はどうだ?」

早苗「風を起こすという点だけみれば…私よりも凄い才能もっているかも知れません」

早苗「実質、2日でマスターしてましたよ!」

アクトレイザー「それは凄いな!これで聖者の遺言を無駄にする事はなくなったな」

エンジェル「お帰りなさいませ早苗様!」

早苗「はい、ただいま帰りました!」

エンジェル「さっそくですが、お二人にご報告したい事があります」

アクトレイザー「どうした」

エンジェル「ついにこの土地にも漁業が始まりました」

アクトレイザー「おお、そうか。魔物の巣はどうした?」

エンジェル「残るは1つだけになりました」

早苗「ここの開拓は、一番早いペースで進んでますね!」

エンジェル「それで、お二人に漁業を行われている場所まで来て頂きたいのですが」

373: 2016/11/28(月) 02:45:36.07 ID:b+bRLu3E0
~ノースウォール・港~

ワイワイ、ガヤガヤ

早苗「こんな寒い土地で…皆さん本当に凄いです」

早苗(そういえば海を見るのも久しぶりね…)

早苗「そして」チラッ

早苗が後ろを振り返ると、見たことも無いほど大きな巨木がたっていた

アクトレイザー「本当に昔からでかい木だ」

早苗「あなたは知ってるんですか?」

アクトレイザー「古来からこの世界を見てきたからな」

アクトレイザー「それこそ、この木がまだ小さかった頃からだ」

早苗「まあ」

アクトレイザー「……」

早苗「あれ、なんか文字が書かれてますよ?」

アクトレイザー「む、何かのイニシャルだな」

エンジェル「そのイニシャルですが…」

アクトレイザー「何か知ってるのか?」

エンジェル「実は男女の神官二人がですね、このイニシャルを見かけた時」

エンジェル「懐かしい感情にとりつかれたと言ってました」

エンジェル「僕は思うのですが…あの二人は昔、この場所に住んでいた恋人同士で、魔物に殺された魂が巡りに巡って…」

エンジェル「あの二人はまた再会したのではと…予想をしてます」

アクトレイザー「その話が本当なら、二人に記憶が無いとは言え、素晴らしい話だな」

エンジェル「ええ」

早苗「フフフ、良いこと思いつきました」

アクトレイザー「ん?」

374: 2016/11/28(月) 02:46:54.69 ID:b+bRLu3E0
早苗「えい」

ガリガリ…ガリガリ…

早苗はお払い棒で、木に三角の絵を描く
さらに、その三角の真ん中に一本の線を描く

アクトレイザー「早苗、この絵は一体?」

早苗「これは相合傘といいます」

アクトレイザー「あいあいがさ?」

早苗「この絵に込められた意味はその時々で、結構変わってきます」

早苗「私が学校に通っていた頃は大抵、からかいの目的として使われる事が多くありました」

早苗「ですが今から書くことは、決しておふざけ目的なんかではありません」

早苗「相合傘…それは、二人の愛を確固たるものとする為の…その証です」

アクトレイザー「なるほど」ガシッ

カミは早苗が持っているお払い棒を一緒に持つ

早苗「さあ、二人のイニシャルを…この相合傘に刻みましょう」

ガリガリ…ガリガリ…

アクトレイザー「出来たな」

早苗「ええ出来ました」

アクトレイザー「……」

早苗「……」

降りしきる雪の中、相合傘に二人のイニシャルを刻み終えると、二人はそっと抱き合う

早苗「ずっと一緒です。あなた」ギュゥゥ

アクトレイザー「ああ。ずっと一緒だ」

379: 2016/12/03(土) 07:35:20.94 ID:MUpPr55S0
~2週間後~

アクトレイザー「だいぶ街も発展してきたな」

早苗「ええ。工場も出来てます」

男神官「カミよ、ご報告があります」

アクトレイザー「うむ。どうした」

男神官「先日、最後の魔物の巣を封印してから…巨木に、魔物たちが現れ始めました」

女神官「おかげ我々は、漁業も出来なくなってしまいました…」

アクトレイザー「……ついに来たか」

早苗「あなた、いきましょう!」

アクトレイザー「ああ。皆を呼ぼう」

~~~

魔理沙「とうとうラストダンジョンか」

アクトレイザー「敵はいままで以上に強くなっている。油断はしない様に」

魔理沙「そりゃそうだけど…これだけ人数が揃ってればな…」

鈴仙「皆さん、ホットコーヒーです」

早苗「ありがとうございます」

アクトレイザー「ありがとう。場所が場所だからな。体が温まる」

チルノ「あたいにはアイスコーヒーが良かったなぁ」ズズッ

魔理沙「お前は寒さに強いんだから丁度良いんじゃないのか?ハンデだよハンデ。汗かきながら闘え」

380: 2016/12/03(土) 07:36:39.83 ID:MUpPr55S0
~ノースウォール・巨木にて~

アクトレイザー「ふんっ!」ズバッ

魔物「ウオッ!」ガクッ

鈴仙「さすがラストダンジョン。ここの敵はいままで以上に強い」

魔理沙「だけどそれ以上に、ここの魔物は地の利を完全に活かして闘ってやがる」

早苗「完全にこちらの動きを想定して、邪魔しに掛かってきてますね」

目玉の魔物「……」

盾を持つ魔物「……」

鳥の魔物「ギャォ!」

チルノ「ええい!小ざかしいマネばかりしやがって!」

チルノは氷の剣で、次々と魔物を倒していく

チルノ「しかし巨木の中って結構、グロイんだな」

チルノ「ここもあたいの秘密基地にしようと思ってたのに」

魔理沙「こんだけデカけりゃ、もはや秘密とは言えないけどな」

~~~~

チルノ「お、なんだこのシャボン玉!」

魔理沙「へ~!なかなか面白いな!」

早苗「不思議ですね。人一人を持ち上げるなんて」

アクトレイザー「全員、足元に気をつけるんだ」

パァァン!

魔理沙「うお!?」

重みでシャボン玉が割れ、同時に魔理沙はとっさに違うシャボン玉に移る

魔理沙「ま、さすがにずっと支え続けるのは不可能か」

早苗「っていうか私たち全員、一応飛べるんですけどね…」

アクトレイザー「さあ、もうすぐ頂上だ」

381: 2016/12/03(土) 07:38:29.89 ID:MUpPr55S0
チルノ「お、吹雪だな」

神の軍団全員が巨木の頂上に到着する

早苗「想定はしてましたが、やはり悪天候ですね」

魔理沙「視界が悪いぜ…こんな状況の中、あのカーリアと同等の奴と戦うのか」

アクトレイザー「……!来るぞ!」

全員「!!」

カミの合図と同時に、空から氷の弾幕が全員を襲う
それをギリギリで交わしていく

魔理沙「なかなか鋭い弾幕だ」

アクトレイザー「魔理沙、後ろからくるぞ!」

魔理沙「え?」クルッ

フロストワイヴァーン「ギャオォォ!!」

ガキィィン!!

魔理沙「うおぉぉ!!」

魔理沙は魔力をまとったホウキで、フロストワイヴァーンからの蹴りをガードする

魔理沙「危ねぇな、全然きがつかなかったぜ」

フロストワイヴァーン「……」バサバサッ

魔理沙「だがスピードじゃ負けないぜ」

フロストワイヴァーンは左右に動きながら、魔理沙の出方をみる
魔理沙もまたフロストワイヴァーンの素早い動きに、合わせるように左右に動く

アクトレイザー「彼女は凄いな。フロストワイヴァーンとほぼ同等の速さで対応している」

フロストワイヴァーン「ギャオォ!!!」

魔理沙「うお!?」スッ

僅かに氷の弾幕が、魔理沙の頬をかする
頬が僅かに切れる

魔理沙「おお怖い怖い」グシッ

血を腕で拭いて、ポケットからミニ八卦炉を取り出し構える

魔理沙「くたばれ!マスタースパークだ!!」

ボォォン!!

フロストワイヴァーン「……」サッ

魔理沙「ちっ!避けられたか…さすがラスボス一歩手前の敵だ」

382: 2016/12/03(土) 07:39:42.95 ID:MUpPr55S0
チルノ「おい!!あたいも忘れるなよ!」ポイッ

ゴォォン!!

フロストワイヴァーン「!!?」ガクッ

チルノ「わははは!どうだ!」

フロストワイヴァーン「……」バサバサ

巨大な氷塊をフロストワイヴァーンの頭部に叩き落す
一瞬、態勢を崩すもすぐに氷の翼を羽ばたかせ、吹雪の中に消えていく

早苗「これだけ視界が悪いと、どこに奴がいるのか分かり辛いです…」

鈴仙「……」

鈴仙はウサギの耳をピーンと立たせ、気配を察知する

鈴仙「丁度、巨木の真ん中の真上にいるわ!」

チルノ「なんだよ、もっと遠くまで逃げてるのかと思ったよ」

アクトレイザー「……全員。結界やら魔法壁を張ってガードをするんだ」

カミはそういうと、1人だけ巨木のど真ん中まで移動する

早苗「あなた!?危ないですよ!」

アクトレイザー「大丈夫だ」スッ

カミは天に目がけて、剣を振り上げる
それと同時に、空からフロストワイヴァーンの氷の弾幕が降り注がれる

魔理沙「うおぉ!?来たな!!」

早苗「凄い猛攻ね…!」

パキィィン!パキィィン!パキィィン!

チルノ「フフフ。あたいは平気だがな!」

魔理沙「お前、剣で攻撃してこいよ!」

チルノ「だってあの氷の龍さ、動き早いんだもん。それにアクトが何か仕掛けようとしてるし…」

383: 2016/12/03(土) 07:40:48.46 ID:MUpPr55S0
アクトレイザー「……いくぞ、フロストワイヴァーン」

アクトレイザー「光符・天空城の光」

ゴゴゴゴ…

全員「!?」

カミが詠唱すると神の頭上から、ぶ厚い光の柱が発生する
その柱の光は一気に拡散して消えていく

ボォォォン!!!

魔理沙「す、すげぇぇ」

鈴仙「神々しいわ…」

ドサッ…!

フロストワイヴァーン「ギャオオオ!!」

吹雪の中、ボロボロになったフロストワイヴァーンが落ちてくる

アクトレイザー「いまだ。全員、総攻撃だ!」

鈴仙「散符・インビジブルフルムーン」

魔理沙「恋心・ダブルスパーク!」

妖夢「空観剣・六根清浄斬」

早苗「秘術・グレイソーマタージ」

チルノ「うし、じゃああたいは…巨大な氷塊でも喰らっとけ!」

神の軍団の弾幕総攻撃が、フロストワイヴァーンを襲う

384: 2016/12/03(土) 07:42:07.60 ID:MUpPr55S0
フロストワイヴァーン「」

魔理沙「お、倒せたかな?」

フロストワイヴァーン「……」ググッ

早苗「まだ息があります!」

チルノ「おーし、あたいの氷の剣で」ダダッ

チルノ「いくぞ!!」ブンッ

フロストワイヴァーン「……」ザシュッ

ガキィィン!!

チルノ「うわああ!?」

チルノが剣を振り下ろすと同時に、フロストワイヴァーンが足蹴りし、チルノを吹き飛ばす

チルノ「す、凄い脚力だなお前!」

フロストワイヴァーン「ギャオオオオ!!」

フロストワイヴァーンは叫びながら、再び雲の中へと消えていく
そして再び、空から氷の弾幕が降り注がれる

早苗「いままで闘ってきたボスの中で一番、回避能力のある敵ですね…」

鈴仙「ああやって距離を取れると攻撃がし辛いわ…そうじゃなくて悪天候なのに」

妖夢「我々も飛行して応戦しましょうか?」

アクトレイザー「大丈夫だ。飛行して余計な体力を使わない方が良い」

妖夢「しかしここまで、距離を取られると…」

アクトレイザー「見方は今ここにいる者だけではない」

妖夢「え?」

フロストワイヴァーン「…………」

ズバッ!!

フロストワイヴァーン「ッ!?!?」

光輝く矢がフロストワイヴァーンの背中を射抜く

エンジェル「皆さん!お待たせしました!」

早苗「エンジェルさん!」

エンジェル「上空にも魔物たちがいて、なかなか援護できませんでした」

エンジェル「さあフロストワイヴァーン…僕だって人々の信仰の影響で、パワーアップしている」

エンジェル「神の使いとしてお前を成敗する!」

吹雪の中、無数の光の矢を放つ

385: 2016/12/03(土) 07:43:30.01 ID:MUpPr55S0
フロストワイヴァーン「ギャオオオ!!」

フロストワイヴァーンは矢の攻撃を幾つか受けながらも、必氏に回避していく
そして視界の悪さを利用しながら、上空から氷の弾幕を放つ

アクトレイザー「早苗、後ろから来るぞ!」

早苗「はい!」サッ

フロストワイヴァーン「ギャオオオ!!」

早苗「当たらないわよ…えい!」ザシュッ

早苗が後ろを振り返ると、既に目の前までフロストワイヴァーンは襲い掛かってきていた
早苗はバックステップしながら攻撃を回避し、さらにお払い棒で攻撃をする

フロストワイヴァーン「ッ!!」

チルノ「おらぁぁ!槍投げだ!」

ザシュッ!

フロストワイヴァーン「……ッ」ガクッ

フロストワイヴァーンの額に氷の剣が貫く
しかし、いまだに倒れずバサバサと翼をはためく

早苗「もうだいぶ弱ってますね…もう少しです!」

アクトレイザー「……ここで藤原妹紅から教わった技を使うとしよう」

カミの剣がシュボッと音を立て燃え上がる

アクトレイザー「いくぞ…妹紅直伝」

アクトレイザー「不氏・火の鳥-鳳翼天翔-」

剣を振り下ろすと同時に、火の粉が舞い、大きな火の鳥が現れる

フロストワイヴァーン「ッ!!?」

アクトレイザー「炎と共に消えろ…!」

フロストワイヴァーン「ギャオオオォォォ!!!」

フロストワイヴァーンは、炎の鳥に体を包み込まれると、その大きな体は激しく燃えながら溶けて消えていく

386: 2016/12/03(土) 07:44:37.26 ID:MUpPr55S0
~神殿にて~

男女神官「ありがとうございますカミさま!」

アクトレイザー「うむ」

男神官「これでノースウォールは平和な土地になりましたが…」

アクトレイザー「ああ。いよいよサタンとの最終決戦だ」

女神官「われわれに出来ることは祈る事しかできませんが…どうかご武運を」

魔理沙「しかしまあカーリアと同格の敵相手に…しかもあの悪天候の中…思ってたよりも楽に戦えたな」

鈴仙「やはり神クラスがいると心強いわ」

早苗「はい。ですがサタンはこれまでの相手とは更に、規格外の強さになるでしょう」

チルノ「おうよ!気合いれてくぞ!」

妖夢「ところでカミよ…その、サタンの根城は一体どこに」

アクトレイザー「北東の海、デスヘイムという島がある」

魔理沙「そんな島あったっけか?」

エンジェル「普段は海の底に沈んでいます。ですが、地上の魔物を全て倒してしまったので…」

アクトレイザー「ああ。間も無くデスヘイムが浮上するだろう」

早苗「しかし気がかりなのは…あのフィルモアの神官さん達が言っていた『未来の恐ろしい出来事』です」

アクトレイザー「……多分、全員勘付いていると思うが、サタンはこのあと何か仕出かすだろう」

全員「……」

387: 2016/12/03(土) 07:45:40.42 ID:MUpPr55S0
アクトレイザー「念のためデスヘイムへ行く前に、人々の安全を確保しよう」

早苗「そうですね。まずはそれが最優先ですね」

魔理沙「んじゃ、いったん各地に散らばるか?」

アクトレイザー「ああそうだな…そして最悪、私が単身でサタンを倒しにいこう」

魔理沙「いや、何人かは連れて行ったほうが良いと思うぜ」

早苗「そうですね…いくらアナタがパワーアップしてると言っても、念には念を…」

アクトレイザー「……そうか。ではこれから、誰がどの役割を担うか話し合うか」

早苗「ええ」

妖夢「では全員、会議室へ…」

ゴゴゴ…

アクトレイザー「む!」

鈴仙「じ、地震?」

アクトレイザー「しまった…想像以上に早くデスヘイムの浮上が始まったな…」

カミは北東の方を見つめる

魔理沙「そうか、この揺れこそがデスヘイム浮上の証拠って訳か」

ゴゴゴ…

エンジェル「いよいよサタンとの対面ですね」

アクトレイザー「ああ。一体いつ振りになるのだろうな…」

ドゴォォォォン!!!!!

全員「!!?」

ゆるやかな揺れは突如、激しい揺れへと変わる

388: 2016/12/03(土) 07:46:49.14 ID:MUpPr55S0
ドゴォォォォン!!!!!

魔理沙「う、うわあああ!?」

早苗「きゃああああ!!」

ゴゴゴゴゴ…!!!!!

チルノ「なんだこの揺れ!こんなの初めてだぞ!!」

ゴゴゴゴゴ…!!!!!

アクトレイザー(これは様子がおかしい…!いくらデスヘイムの浮上と言えど…度が過ぎる!!)

ミシミシミシ…!!ビキビキビキ…!!!

地面に大きな亀裂が走る

~数分後~

妖夢「な、なんとか治まりましたね…」

男神官「そ、外は無事だろうか…」

ガチャッ

男女神官「!?!?」

男女神官が扉を開けると、外は炎に包まれていた

全員「!!?」

魔理沙「な、なんだ…これ…」

ゴゴゴゴゴゴゴ…

早苗「町中が燃えてる…」

ヒュゥゥゥゥゥゥ…

鈴仙「何か落ちてくるわ!!」

ヒュゥゥゥゥ…ボォォン!

鈴仙「きゃっ!!」

街の一角に大きな赤黒い塊が落ちてくる

魔理沙「これ…マグマじゃねぇか!!」

ヒュゥゥゥゥ…ボォォン!

エンジェル「カミ様…これは…」

アクトレイザー「ああ」

アクトレイザー「サタンが激怒している…!」

389: 2016/12/03(土) 07:47:43.36 ID:MUpPr55S0
早苗「サタンが激怒…」

アクトレイザー「奴はようやく、私が復活したことを知ったのだろう」

アクトレイザー「サタンの怒りをこれ程までに感じるのは初めてだ」

全員「……」

アクトレイザー「幸い、この土地は寒い。すぐに炎も自然消火するだろう」

アクトレイザー「二人の神官よ、人々の安全の確保を」

男女神官「はい!!」

アクトレイザー「我々は…まず目の前の敵を倒すとしよう」

魔理沙「あ!おまえ…何で生き返ってんだ!」

マーマンフライ「サタン様に復活させてもらったのだ…しかも力を強化されてな」

チルノ「力を強化されたってお前、この人数で勝てると思ってんのか!」

マーマンフライ「黙れ、お前たちは絶対サタン様の所まで到達させんぞ!」

アクトレイザー「皆よ、早く目の前の敵を倒し」

アクトレイザー「いったん、各地へ散らばろう!」

390: 2016/12/03(土) 07:48:47.95 ID:MUpPr55S0
――デスヘイムが浮上する少し前

サタン「そうか。とうとうフロストワイヴァーンまでも倒したか」

魔物1「はい」

サタン「良いだろう。デスヘイムを浮上させよう」

魔物1「例の人間たちを迎え撃つのですね」

サタン「ああ。久しぶりの決闘…楽しみだ」

ゴゴゴ…

海底に沈んでいたデスヘイムはゆっくりと浮上していく

サタン「自らが強いと思い上がった人間共を、絶望に叩き落とすのが楽しみだ」

サタン(だが…さっきから妙な胸騒ぎがする。一体何なんだろうか…)

魔物2「大変ですサタン様!」

サタン「どうした。そんなに慌てて」

魔物2「その…フロストワイヴァーン様が倒されて…」

サタン「それはもう聞いた」

魔物2「それで…その…」

サタン「ん?」

魔物2「あの…その…何故か…あの場所に…」

魔物2「例の人間たちと共に…封印されたハズのカミがいました!!」

391: 2016/12/03(土) 07:49:56.10 ID:MUpPr55S0
魔物1「お前…そんなのありえんだろ!!」

魔物2「お前こそなぜ気がつかなかった!」

魔物1「俺は…怖くて、誰よりも早く逃げていた…そしたらフロストワイヴァーン様が燃え盛りながら消えていくのを遠くで見えて…」

魔物1「そんな事よりもだ!カミが復活などありえん!復活が早すぎる…!!」

魔物2「俺にも事情は知らん。だが自分以外にもカミを見たとの報告が多数あるのは事実だ」

サタン「…………」

魔物1「サタン様…これは由々しき事態です…」

魔物2「サタン様…我々はどうすれば」

ブチンッ

魔物1・2「!!?」

ポタポタ…

サタンの額の血管が切れて、血が流れる

サタン「すまん。私も歳をとった。恐らく聞き間違いだとは思うんだが…」

サタン「もう一度言ってくれ」

魔物2「あの…その…」

魔物2「例の人間たちと共に…封印されたハズのカミがいました…」

ブチンッ

魔物1・2「」ビクッ

ブチンッ、ブチンッ
ポタポタ…

サタンの額の血管が更に切れ、額が血まみれになって行く
その流れる血はサタンの目に入り、血涙を流すように流れていく

392: 2016/12/03(土) 07:50:36.81 ID:MUpPr55S0
サタン「…………」

サタン「」プルプル

ワナワナと体を震わせ、殺気が全身から溢れる

サタン「ん…んん…!!」

サタン「ふざけるな!!!!!!!!!!!!!!!!」

ドゴォォォォォン!!!

激しい揺れと衝撃波が世界中を襲う
ゆるやかに浮上していたデスヘイムは、物凄い速度で一気に地上へと浮上していく

393: 2016/12/03(土) 07:53:03.78 ID:MUpPr55S0
サタン「ゼー…ゼー…フゥゥ…フゥゥ…」

怒り満ちたサタンは激情を抑えるために息を整える

サタン「なぜ奴が復活している!?ありえん!!」

サタン「おのれカミめ…!!舐めたマネを…!!!」

サタン「部下の人間達を引き連れて私に復讐だと!?その昔、6匹の部下を召喚したが、その真似をしたのか!!?」

サタン「ゼー…ゼー…今度は確実に頃す!!封印なぞ生ぬるい!!」

サタン「お前達」

魔物1・2「は、はい!」

サタン「我が眷属を全員召集させよ」

魔物1・2「はい!!」

サタン「氏んでしまった同士も私の力で復活させる…会議を始めるぞ」

~~~~

サタン「各地に復活させた眷族を一体ずつ派遣する」

魔物1「一体だけでよろしいのですか?」

サタン「ああ。強力な奴を送るからな…そして我が分身はこのデスヘイムで待機だ」

サタン「元々の予定は迎え撃つだけだったが…」

サタン「………」ワナワナ

サタン「それじゃ怒りが治まらん」

サタン「いまこの島から火山噴火を起こし、マグマで世界中を火の海にしている所だ」

サタン「カミも人間も皆頃しにしてやる」

394: 2016/12/03(土) 07:54:35.30 ID:MUpPr55S0
魔物1「我々は何をすればよろしいですか?」

サタン「諸君達に選択肢を与える」

サタン「各地に散らばって人間どもを頃しつつ、カミに立ち向かうか?」

サタン「それとも、胃袋の中で私の糧となるか?」

サタン「好きなほうを選べ」

魔物全員「……」

魔物1「我らは弱小の身です」

魔物2「人間は襲えてもカミに負ける姿が想像できます」

魔物3「我ら無数の大軍は、貴方の糧になる決意は出来てます」

サタン「そうか。事を終えたら復活させてやる。それまで私の胃袋の中でゆっくり眠り、糧となれ」

サタン「お前達6匹はカミを直接迎え撃つのだ」

ミノタウロス「……」

ウルフ・ツェッペリン「……」

ファラオ「……」

火炎車「……」

カーリア「……」

フロストワイヴァーン「……」

サタン「今度こそカミを頃すぞ」

400: 2016/12/05(月) 02:12:19.07 ID:XNIMbtgt0
チルノ「へん、強化された意味全然無いよ!」

マーマンフライ「」ガクッ

アクトレイザー「ノースウォールには大きな洞窟もあるし、神殿もある…さらに巨木もある」

アクトレイザー「避難所に困る事はない。それに雪原地帯だ。火災もじきに治まる」

アクトレイザー「ノースウォール以外の土地へ行こう」

アクトレイザー「部隊の編制だが…」

魔理沙「アクト、お前は先にデスへイムへ行ってこい」

アクトレイザー「しかし、それでは人々が」

魔理沙「私は後からデスヘイムに行く。お前はサタン討伐に集中しろ」

アクトレイザー「……わかった。では各地の守るべき担当地域での問題を終えたら、デスへイムへ来てくれ」

エンジェル「僕は始まりの地、フィルモアへいきます!」

魔理沙「了解だ。私はブラッドプールへ行く」

チルノ「あたいはカサンドラ!」

妖夢「では私はアイトスへ」

鈴仙「私はマラーナへ向かうわ」

早苗「えっとそれじゃ、私は…」

アクトレイザー「早苗よ、私と一緒に来てくれるか」

アクトレイザー「デスヘイムへ」

早苗「……っ!はい!!」

アクトレイザー「では諸君、各地の問題解決が見込めたらデスヘイムへ集合だ!」

401: 2016/12/05(月) 02:16:03.88 ID:XNIMbtgt0
~始まりの地・フィルモア~

エンジェル「さあ来たのは良いけど」

ゴゴゴゴゴ…!

エンジェル「やっぱり樹木が多いだけあって、火災による被害は甚大だ…!!」

エンジェル「早く人間たちを救わないと!」

セントール「ギャアアォォォ!!」

エンジェル「!?」

セントール「」ドサッ

エンジェル「魔物が…倒れた…」

聖者「ぜぇぜぇ…」ボタボタ

ノドを剣で串刺しにされたセントール
セントールを倒したのは村の若い神官の1人、聖者と呼ばれる者だった

その姿は血まみれでボロボロだった

エンジェル「だ…大丈夫ですかアナタ!?血まみれじゃないですか!!」

聖者「あぁぁ…アナタ様は…天使様…またお会いできて光栄です」

聖者「流石に上級の魔物相手は…私には荷が重過ぎるようです…」

聖者「ゴホゴホ!」

咳と共に、ドバッと血を吐く

エンジェル「っ!?」

聖者「気にしないで下さい…元より私は、もう長生きできない身でした」

聖者「どうか世界のために…カミが向かっているであろう北東の邪悪な島へ、闘いへ赴いて下さいませ」

聖者「国の者達はすでに避難は完了してます」

エンジェル「……!!わかりました。お勤めご苦労でした」

エンジェル「私はデスヘイムへ向かいます…若い勇者よ!ありがとう!」

聖者「…………」

聖者(私の役目は終わった…)

聖者(最後に…恐れ多いが、この世界の未来を超能力で観て見よう)

聖者「呪文を詠唱する…」

聖者「MFCL SYMC FJSD」

聖者「………………」

聖者「何も見えなかった。それだけ熾烈な闘いになるという事ですね」

聖者「ですが私は信じています…アナタ様が必ず世界を救う事を…」

聖者「」

402: 2016/12/05(月) 02:18:17.10 ID:XNIMbtgt0
~ブラッドプール~

魔理沙「うわぁぁ…すげぇぇ燃え上がってるぜ…」

ゴゴゴゴゴ…

魔理沙「しかし何だ。魔物自体は全然いないな…ノースウォールにも1体だけしか出てこなかった」

魔理沙「この降りそそぐマグマと、強力な魔物一体だけで、世界を滅ぼすっ事か?」

ブラッドプール民達「に、逃げろぉぉ!マグマと…魔物が襲い掛かってくるぞ!!」

魔理沙「おう!来たぜ!」

ブラッドプール民達「おお!英雄マリサ!」

魔理沙「ここは私に任せろ。お前達は…そうだ、湖の近くのどうくつに隠れてろ」

ブラッドプール民達「はい!!」

マンティコア「ゴォォ!!」

魔理沙「お、ライオンみたいな魔物を発見」

魔理沙「んじゃ、とっとと倒しますかな…」

「その必要は無いわ」

ザクザクザク!!

マンティコア「ゴォォォォ!!?」

ドサッ

魔理沙「うおぉぉ!?な、なんだ…ナイフの串刺し!?」

「何やら大変な事になってるわね」

魔理沙「あれ?お前…帰ったんじゃなかったのか?」

魔理沙「咲夜」

咲夜「お嬢様の命令でね。そろそろあのカミが世界を救う頃だろうから」

咲夜「『せっかくだからカミに恩を売っておきなさい』と言われて」

魔理沙「へ、恩着せがましい奴だな」

咲夜「人間達の避難誘導と、街の消化活動の方は私がやっておく」

魔理沙「そりゃ助かる。時間を止める奴はこういう時も便利だな」

咲夜「アナタは…サタンの所へいきなさい」

魔理沙「おう!行って来るぜ」

魔理沙「あ、もしも後でデスヘイムに来るなら方角を教えといてやる」

魔理沙「北東の小さな島だ」

咲夜「分かった。余裕があったらそっちにも行くわ」

403: 2016/12/05(月) 02:19:56.96 ID:XNIMbtgt0
~カサンドラ~

チルノ「あれれ…誰もいない…」

チルノ「まさか皆氏んじゃった!?いや、そんなハズない…」

チルノ「おぉーい!みんな!ドコにいるんだよ!」

カサンドラ民1「おお、神チルノ!」

チルノ「お前ら!一体ドコに隠れてたんだ!?」

カサンドラ民2「我々は事前に、神殿の地下やら、民家の地下深く…他にも各施設に防空壕を作ってました」

チルノ「そうか。なんにしても無事でよかった!」

男神官「神チルノ!ご無事でしたか…」

チルノ「おうよ!それにしてもお前達、やけに準備が良いな」

女神官「ええ。前々から我々を含めた国民全員…妙な声が聞こえましてね…」

チルノ「こえ?」

男神官「はい。それが不思議な話で…かつてこのカサンドラで若くして神官を務めていた…」

男神官「今は亡き青年の声が…忠告が聞こえてきて…」

男神官「『我らのカミは近いうちにサタンとの決戦を迎える。その時に何か悪いことが起きるかも知れないから、避難所を作ってくれ』と」

チルノ「え……?」

霊魂「……」ヒョコッ

チルノ「あ、霊魂」

霊魂「……」

チルノ「そうか。奇跡的にこの国にはまだ氏者が出てないのか!」

チルノ「よかったよかった…おっしゃ!あたいが町中の火を消してやるぜ!」

ドゴォォォォン!!!!

全員「!!?」

チルノ「うおぉぉ!?な、なんだ!また地震か!?」

ダゴバ「ゴォォォォ!!!」

チルノ「げげげ!?またアリジゴクじゃないか!!」

チルノ「しかも前よりも、さらに巨大化してやがる…」

ダゴバ「ゴォォォォォォ!!!!」

チルノ「」ビクッ

チルノ「び、ビビッて何かないぞ!!覚悟しろ!!」

404: 2016/12/05(月) 02:22:04.83 ID:XNIMbtgt0
チルノ「アイシクルソード!」

チルノは両手に氷の剣を練成する

チルノ「うおおおぉぉぉ!!」

ザシュッ!!ザシュッ!!

ダゴバ「ゴォォォォォォ!!!!」

アリジゴクは以前よりも更に強力な勢いで、石の弾幕を広範囲に渡って投げつける

ドゴォォン!ドゴォォン!ドゴォォン!

カサンドラ民「うわあああ!!?」

チルノ「お前ら危ないぞ!ここから離れろ!こんなバケモノが出てきた以上、民家の防空壕だって安全じゃない!」

ダゴバ「ゴォォォォォォ!!!!」

チルノ「ああもうウルセーな!強化したのはお前だけじゃないんだぞ!あたいだって強くなったんだ!」

ドゴォォン!

チルノ「ギャッ!!くそ…この岩石弾幕は地味に痛ぇな…」フラフラ

ヒュゥゥゥゥ…ドゴォォォン!!

チルノ「あちちち!溶岩あつい!」

チルノ「チクショー!避けるべき弾幕が多すぎる!」

「苦戦してるようねチルノ」

チルノ「え?あ…あれ?あれれ!??」

カサンドラ民1「なんだあの空飛ぶ少女は…?」

「でもよく頑張ってるじゃない。これだけの悪条件の最中…」

「てかあんた本当にチルノ?妙に神々しいけど」

チルノ「なんでお前がここに…」

「別に望んで来た訳じゃないわ。お茶飲んで昼寝してたら…」

「変な女に『皆も頑張ってるんだから、修行してきなさい』と言われ、無理矢理この世界に投げ飛ばされたのよ」

「でもまあ…来て正解かもね」

「こんな惨状を目の当たりにしたら、放っておけない」

「チルノ、あとは私に任せなさい」

「アナタはこの国の消化活動を」

405: 2016/12/05(月) 02:24:49.71 ID:XNIMbtgt0
チルノ「お、おう!消化が終わったらあたいはデスレイムに行くけど」

「あぁ!?誰がデスレイムですって!」

チルノ「あ、間違えた…デスヘイムだ!北東にある小さな島だよ!」

「ええ分かったわ。私も事を終えたら行くわ」

カサンドラ民1「神チルノ!あの巫女だけに任せてよろしいのでしょうか」

チルノ「ああ大丈夫だ!」

ダゴバ「ゴォォォォ!!!!」

「……」ググッ

空飛ぶ少女は、両手から巨大な白黒のボールを練成する

ダゴバ「ガアアアアア!!」グワッ

カサンドラ民1「まずい!丸呑みにされてしまう!逃げろ巫女さん!!」

「……」ポイッ

巨大な白黒のボールを、巨大アリジゴクの口内へと放り投げる

ダゴバ「ッ!!…!!?、!?!?」ジタバタ

巨大な怪物は口に入った白黒ボールに、咽を詰まらせ、もがき苦しむ

「アンタはもう氏んでいる」

シャンシャン

お払い棒を左右に振ると突如、巨大アリジゴクを囲むようにして、大量の御札が出現する

カサンドラ民2「なんだアレ…四角い紙?」

少女がお払い棒を立てに振ると、その大量の御札は一斉に、アリジゴクを襲う

ボォォォォォォォン!!!!

「………」

カサンドラ民1「すげぇぇ…巨大怪物を跡形もなく消し去ってる…」

カサンドラ民2「なんだあの巫女さんは…」

~~~~

チルノ「お、もう倒したのか!さすが早いな」

「今からこれ以上、火山弾は来ないように結界を張るわ」

「24時間は耐えられる結界を張る。この国は大きそうだし…結界の完成まで時間がかかるけど」

チルノ「わかった。んじゃとっとと雪でも降らせて消化する!」

「お願いね」

「この砂漠の土地に結界を張り終えたら…次は他の土地にも結界を張らないと」

406: 2016/12/05(月) 02:28:36.49 ID:XNIMbtgt0
~アイトス~

妖夢「この国はデスヘイムからのマグマだけでなく、地元の火山までもが爆発してる…」

ゴゴゴゴゴゴゴ…!!!

妖夢「マグマによる被害はここが一番酷い…はやく皆を避難させないと」

蒼龍「」ドサッ

妖夢「っ!?なんだ…空から龍が降って来た…」

少年「」ドサッ

蒼龍の亡骸と共に空から、血まみれの少年神官がドサッと音をたて落ちてくる

妖夢「あ、あなた…まさかこの魔物を倒したんですか!?」

少年「」コクコク

妖夢「酷い傷…いま手当てをしますね!」

少年「私は…前々から…体を壊してました…」

少年「そして魔物との闘いで…傷尽き…私はもう完全に手遅れでしょう…」

妖夢「そんな…」

少年「私の使命は…この国を守る事」

少年「先日、サナエ様から風の操り方を教わりました」

少年は両手を天に掲げる
一方、数百メートル先には炎の竜巻が起こっていた

妖夢「な、なんだ…あの炎の竜巻…」

ゴゴゴゴゴゴゴ

少年「私があの竜巻を吹き飛ばしましょう」

少年「そして…アイトス中に燃え広がっている炎を、私の風で消し去って見せます」

妖夢「わかりました!人々はもう避難に向かってるんですか!?」

少年「はい。全員、前から作っていた避難所へ向かってます」

少年「うおぉぉぉ!!!」

ゴゥゥゥゥ…!!

力強い風が炎の竜巻を散らす
同時にその強い風は、アイトス中の炎を消していく

少年「アナタ、神の軍団のお方ですね?」

妖夢「はい!」

少年「まだ逃げ遅れてる住民も多くいるはずです。どうか助けてあげて下さい」

少年「そして、そのあとは北東の島へ向かって下さい…ここは、私がどうにかします」

妖夢「分かりました!」

407: 2016/12/05(月) 02:29:56.23 ID:XNIMbtgt0
~数時間後・マラーナ~

鈴仙「ぜぇぜぇ…やっと倒した…やっぱり強いな…」ガクッ

ラフレシア「」

鈴仙「でも初見じゃなくて良かった…ある程度対策もとれたし」

鈴仙「……っていうかココジャングルだし。こんな所にまでマグマを落としてたせいで、部下のラフレシアも弱ってたじゃない」

鈴仙「サタンも頭に血がのぼり過ぎて、そこまで計算出来なかったのかしら?まあこっちとしては好都合だけど」

「あら、ボロボロね。大丈夫?」

鈴仙「え!?なんでアナタがここに!」

「…………」フイッ

鈴仙の前に現れた巫女は、あからさまにゲンナリした表情をみせる

鈴仙「ああ……なんかもう、全部察しがついたわ」

「……ただ、ここの世界に来て正解かもね」

「さっき色んな土地に行って、結界を張ってきたわ」

「巨大な結界を張るのに時間がかかるから、アナタも先に『デスヘイム』とやらに行ってきなさい」

鈴仙「ありがとう…もう自分の治療なんかしてるヒマはないわね」

408: 2016/12/05(月) 02:31:27.50 ID:XNIMbtgt0
~デスヘイム~

早苗「」

早苗(なにこれ…邪悪な銅像が…)

早苗(まるで圧迫面接みたい)

アクトレイザー「ここから順番に闘っていく事となる」

早苗「最終ステージはボスラッシュですか…」

アクトレイザー「さあ、覚悟はいいか?」

早苗「はい!」

アクトレイザー「いくぞ!」

ボォォォン!

光と共に二人は戦地へとワープしていく

409: 2016/12/05(月) 02:33:38.69 ID:XNIMbtgt0
~デスヘイム~

ミノタウロス「ば、バカな…強化されたハズのこの俺が…」

ミノタウロス「前回、会ったときは俺に苦戦してたじゃないか…!!」

アクトレイザー「それ以上に私のほうが強くなったという事だ」シャキン

早苗とカミは圧倒的な力で、強化されたミノタウロスをいとも簡単に追い詰める

早苗「さあ覚悟しなさい!ミノタウロス!」

ミノタウロス「クソォォォォ!!」

~~~~

ウルフ・ツェッペリン「前回、闘ったメイドとは違う相手…」

ウルフ「だが強化された私を簡単に倒せると思うな」

ビュン!ビュン!

ウルフは瞬間移動を多用しながら、弾幕を投げつけたり、雷を落とす

ボォォン!ボォォン!ボォォン!

早苗「つ、強い…咲夜さんはこんなのに勝ったんですか!?」

ウルフ「フハハハ、私はあの時よりも強くなっている。覚悟しろ小娘!」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「フンッ!」

ウルフ「なっ!!」

ボォォン!!

瞬間移動を多用し、相手を惑わすウルフ
その消えた姿が現れる瞬間を狙って、カミは相手にめがけ刀気をとばす

ウルフ「ぐあああ!!」

ボォォン!ボォォン!ボォォン!

カミは容赦なく刀気をとばす

アクトレイザー「相手は1人ではないぞ」

ウルフ「おのれ…カミめぇぇ!!!」

ウルフ「ゴォォォォォ!!!!」

メキメキ…!!

早苗「獣に変身した!?」

アクトレイザー「恐れる事はない早苗。ここからの奴の戦法は力任せの物だ」

アクトレイザー「パワーに全振りしてるが、油断しなければ大した事は無い」

~~~~

早苗「な、なんとかあの瞬間移動する魔物も倒しましたね…」

ゴゴゴゴ…

ファラオ「……」

早苗「デ、デカい…コレが、チルノさんの言ってたファラオ…」

早苗(みんな凄い怪物と闘ってきたんですね…)

アクトレイザー「早苗、来るぞ!」

早苗「はい!」

413: 2016/12/12(月) 02:42:51.46 ID:+PGWH+1/0
その後カミと早苗はファラオを倒し、後続する火炎車、カーリアを倒す

アクトレイザー「ゼェゼェ…」

アクトレイザー「流石に強化されたカーリアは、二人でも苦戦したな…」

早苗「はい…」

フロストワイヴァーン「ギャオォォォ!!!」

アクトレイザー「来たな…お前も強化されてるようだが」

早苗「前と違って吹雪じゃないですね」チラッ

早苗が空を見上げると、暗闇と皆既日食が目に映る

アクトレイザー「ああ視界は良好だ…いくぞ!フンッ!」

フロストワイヴァーン「……」サッ

カミが刀気を放つが、フロストワイヴァーンはそれを避ける

早苗「えっ!?」

アクトレイザー「元々回避能力は高かったが、更に洗練されているな」

バサバサッ

カミは翼をはためかせ宙に浮く
それに続くようにして早苗も飛行する

早苗「今回は空中戦になりそうですね」

アクトレイザー「ああ」バサバサッ

フロストワイヴァーン「ギャオォォォ!!」

フロストワイヴァーンの口から氷の弾幕が放たれる
それは以前よりも更に強力な勢いになっていた

カミと早苗はそれをギリギリで避けていく

早苗「弾幕の速度も上がってる…!」

アクトレイザー「避けてばかりではダメだ。行くぞ!」

シュッ!シュッ!

カミは刀気をとばし、早苗もカミの弾幕を模範した刀気の様な弾幕を撃っていく

414: 2016/12/12(月) 02:44:32.33 ID:+PGWH+1/0
アクトレイザー「強化されてるだけあって、体力もケタ違いだな」

フロストワイヴァーン「ギャオオオォォ!!」

早苗「あと一歩でサタンの所までいけるのに…!」

アクトレイザー(サタン戦まで魔力を温存したかったが…ここは止む得ない)

アクトレイザー(なにか魔法を使おう)

魔理沙「おう待たせたな!」

エンジェル「カミ様!ただいま参上いたしました!」

アクトレイザー「魔理沙!エンジェル!」

チルノ「あたいも来たよ!」

妖夢「遅れました!」

鈴仙「同じく遅れてごめん!」

早苗「皆さん…もう他の土地は大丈夫なんですか!?」

鈴仙「ええ。思わぬ助っ人が現れてね」

魔理沙「こっちにも助っ人が来てた!」

チルノ「こっちもだよ!」

早苗「……??」

アクトレイザー「……そうか。誰なのか気になるが、一先ず今は」

アクトレイザー「目の前の敵を倒すことに集中しよう」

フロストワイヴァーン「ギャオオオォォ!!」

415: 2016/12/12(月) 02:45:37.88 ID:+PGWH+1/0
――その後、フロストワイヴァーンを倒した神の軍団は、再び邪悪な銅像の前に移動する

魔理沙「しかし凄い絵面だなこれは」

チルノ「すげーおっかない顔してるね」

早苗「残るはサタン1人…」

アクトレイザー「さあ、準備は良いか?」

カミが全員の顔を見ると、既に覚悟を決めた表情でいた

アクトレイザー「さあ行こう我が戦友達よ…」

アクトレイザー「サタン!残るは貴様だけだ!」

アクトレイザー「今行くぞ!!」

ボォォォン!

光が全員を包み、戦地へとワープする

(BGM)
https://www.youtube.com/watch?v=4m209mxvJ5Q

416: 2016/12/12(月) 02:47:38.41 ID:+PGWH+1/0
アクトレイザー「………」

魔理沙「ここがサタンのいる場所か…すげぇ場所だな」

早苗「宇宙空間…?」

妖夢「ずいぶんと歪な場所ですね」

早苗「こんな邪悪な気配は初めてです」

鈴仙「」ブルッ

チルノ「どうした、ビビッてるの?」

鈴仙「そりゃビビるでしょ…この空気」

チルノ「情けないな…って言いたいけど、たしかに凄い場所だよな」

魔理沙「んで、その肝心のサタンはドコにいるんだ?」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「来る」

ドゥン、ドゥン、ドゥン、ドゥン

全員「っ!!」

宇宙とも思える歪か空間で、いきなり天井から青色の弾幕が降り注ぐ
弾幕慣れしている神の軍団はいとも簡単に避ける

魔理沙「いきなり弾幕ごっことは過激な挨拶だな」

サタン「…………」スッ

全員「!!?」

ドコからともなくいきなり、目の前にサタンが現れる

サタン「………」

ブゥゥン!!

驚愕する一同を追い詰めるように、サタンの口から上下に交差する高速弾幕が放たれる

魔理沙「熱ちち!」

チルノ「ギャッ!」

アクトレイザー「大丈夫か!」

魔理沙「ああ、なんとか…それよりもビックリしたぜ」

チルノ「不意打ちとは卑怯だぞ!」

サタン「……」

アクトレイザー「サタン…お前を成敗しにきた!」

サタン「貴様、よくもなめた真似を」

サタン「なぜお前が復活しているのか…そしてこれだけの戦力をどこで手に入れたのか…気になって仕方がないが」

サタン「今はともかく、お前たちを抹頃する事だけに集中しよう」

アクトレイザー「抹殺されるのはお前だ」

サタン「」ブチッ

サタン「黙れ!!お前たち全員…皆頃しにしてやる!!!」

417: 2016/12/12(月) 02:49:23.04 ID:+PGWH+1/0
サタン「いくぞ人間ども!そしてカミ!」

スゥゥ

魔理沙「なっ!消えやがった!」

早苗「瞬間移動を使えるのですか…厄介ですね」

ドゥン、ドゥン、ドゥン、ドゥン

再び頭上から弾幕の嵐が降り注がれる

アクトレイザー「みんな聞いて欲しい」

アクトレイザー「奴はしばらくは弾幕を打ち続けるだろう」


アクトレイザー「そして弾幕の嵐が止んだ瞬間がチャンスだ」

カミのアドバイスを聞くと全員は黙って頷き、弾幕を避けていく

~~~~

アクトレイザー「弾幕が止んだ」

魔理沙「よし、いまだ!!」

サタン「……」スッ

早苗「皆さん、総攻撃です!」

魔理沙「いくぜ!!恋心・ダブルスパーク!!」

チルノ「凍符・パーフェクトフリーズ!」

鈴仙「散符・インビジブルフルムーン!」

早苗「蛇符・神代大蛇!」

エンジェル「矢符・エンジェルアロー!」

サタン「!!?」

サタンに目がけて、無数の弾幕が押しよせる

ボォォォォン!!!

サタン「グォォォ!!!」

魔理沙「どうだ!人間の力を思い知ったか!」

サタン「……っ」

サタンは再び姿を消す

早苗「あ!また姿を消して…」

アクトレイザー「次で確実にしとめよう」

サタン(……たしかに、実力のある人間たちのようだ)

ドゥン、ドゥン、ドゥン、ドゥン

チルノ「へへ、なんだよ…どんな強いのが来るのかと思えば…大したことないじゃない!」

418: 2016/12/12(月) 02:50:09.62 ID:+PGWH+1/0
サタン「舐めるな!!」

ブゥゥン!!

サタンの口から上下に交差する高速弾幕が放たれる
しかし既に攻撃パターンを見切ったのか、全員軽々と避ける

アクトレイザー「いくぞ師匠。そして早苗」

早苗・妖夢「はい!」

シュッ!

カミと妖夢の振り上げた剣に青白い光が纏う。早苗のお祓い棒にも光はじめる
三人が武器を振り下ろすと同時に、光の刃がサタンに目がけて飛んでいく

ボォォン!

サタン「ぐぅぅ!!」

アクトレイザー「攻撃をやめるな!一気に攻めるぞ!」

シュッ…ボォォン!ボォォン!ボォォン!

刀気がサタンを追い詰めていく

サタン「グオッ!グオォォォォ…」ガクッ

サタンは雄叫びをあげると同時に、体が爆発していく

チルノ「あれ?もう終わり?」

魔理沙「え?弱っ…」

アクトレイザー「いや、まだ終わっていない」

419: 2016/12/12(月) 02:51:01.15 ID:+PGWH+1/0
サタン「さすがだな…よく覚えてるじゃないか」

ゴゴゴゴゴ……ゴォン!ゴォン!

全員「!?」

アクトレイザー「……」

爆煙の中、現れたのは別な形態に姿を変えたサタンだった
顔は色白く、コウモリの様な様相

また背中の骨格には、もう1つの頭が不気味に張り付いていた

サタンの背中「ギャオォォォォ!!!」

早苗「何ですかあの姿…」

魔理沙「まるでケルベロスだな」

サタン「さあ…ココからが本番だ」

サタンの手から、上下から攻めてくる弾幕が放たれる

420: 2016/12/12(月) 02:52:09.26 ID:+PGWH+1/0
魔理沙「だがこんな弾幕は屁でもないぜ」サッ

魔理沙(しかし闘ってて思ったが…サタンの攻撃パターンって)

魔理沙(思いっきり弾幕ごっこそのものじゃないか。弾幕の張り方も、この世界の奴にしては巧みだし)

魔理沙(意外と幻想郷向けの闘い方をしてるんだな)

サタン「ゴォォ!!」

サタンは口からトゲトゲの弾幕を上下に放つ

早苗「なんですかあの弾幕…奇妙な動きをしますね」

妖夢「じわじわと近づいてきます」

魔理沙「金平糖?」

チルノ「ねえ、なんかじわじわと近づいて来てるよ」

鈴仙「げっ…あれもしかしてホーミング弾幕じゃ」

全員「!?」

サタン「ゴォォ!!」

サタンはさらに追尾式の弾幕をばらまく

アクトレイザー「恐れる事はない。あの弾幕は簡単に打ち消せる」

アクトレイザー「フン!」ブンッ

ボゴォン!

カミが刀気を放つと、じわじわと近づいてくる弾幕は、いとも簡単に破壊できた

チルノ「あ、本当だ。なーんだ簡単に処理出来るんだな」

早苗「みなさん!こんなのスペカ使う必要もありません。通常弾幕で対応しましょう!」

全員から放たれる弾幕は、サタンのホーミング弾幕を破壊していく

サタン「……」

チルノ「よーし!こんどはサタンに攻撃だ!」

アクトレイザー「っ!!待てチルノ!危ないぞ!!」

421: 2016/12/12(月) 02:56:08.77 ID:+PGWH+1/0
チルノ「えい!やあ!」

サタン「……」

チルノは氷の剣でサタンに切りかかるが、サタンには全くダメージが通らず無表情でいた

チルノ「ちくしょう!なんだこいつ…やせ我慢してるのか?」

妖夢「よし!ならば私も!」

妖夢は物凄いスピードでサタンに切りかかる
しかしやはりサタンは表情を一切変えない

サタン「……」

妖夢「どうなっているんだ…まるでダメージが通っている気がしない」

アクトレイザー「あの骨格に攻撃しても意味がない」

アクトレイザー「奴の本体はあの青い核だ」

サタン「フン、本当によく覚えているな」

チルノ「っ!!これか!!」

ザシュッ

サタン「ぐっ!」

妖夢「効いた…良し、くらえ!!」

ザシュッ、ザシュッ!

サタン「ぐぅぅ…!!」

チルノと妖夢は一心不乱に、サタンの本体を切り掛かる

アクトレイザー「まずい…そろそろ引くんだな二人とも!!」

チルノ・妖夢「……??」

422: 2016/12/12(月) 02:57:07.26 ID:+PGWH+1/0
サタン「……」

サタン(昔通りに闘ってもダメだな。奴から完全にパターンを読まれている)

サタン(ここは少し泳がせよう)

アクトレイザー「早く!距離を置くんだ!」

妖夢「…?ひとまず一旦、引きましょうチルノさん」

チルノ「え?お、おう」

アクトレイザー「全員、バリアを張るんだ!」

早苗「はい!」

早苗が小さな結界を張ると、全員も見習って魔法壁やらバリアを張る

チルノ「何をあんなに焦ってるんだアクトの奴?」

魔理沙「何かとんでもないのがくるんじゃないか?」

サタン「……」

サタン「ゴォォ!」

全員がサタンを警戒する中、サタンは口から追尾式の弾幕がばら撒かれる

魔理沙「あ、あれれ??」ガクッ

アクトレイザー「なっ…」

エンジェル「っ!?」

チルノ「おいおい!どんな攻撃が来るのかと思ったら、またホーミング金平糖かよ!」

チルノ「驚かすなよ!」

ザシュッ、ザシュッ

チルノは文句を言いながら、氷の剣で追尾弾幕を破壊していく

アクトレイザー「私の記憶違い…?」

エンジェル「そんなハズはありません…私にも違和感があります」

サタン「……」

エンジェル「明らかに前とパターンを変えてる気がします」

アクトレイザー「……うむ、奴は何かを企んでいる」

アクトレイザー「全員、気を緩めるな!」

早苗・妖夢・鈴仙「はい!」

魔理沙「緩めるなと言われてもなあ…」

チルノ「楽勝じゃんコイツ」

423: 2016/12/12(月) 02:59:50.59 ID:+PGWH+1/0
しばらくサタンは同じパターンを繰り返す
カミはその戦闘に大きな違和感を残しながらも、仲間たちと共にサタンにダメージを与えていった

チルノ「よし!だいぶダメージを与えたぞ!」

サタン「ぜぇ…ぜぇ…」

エンジェル「チルノちゃんの言うとおり、サタンはだいぶ追い詰められてます。あと少しで息の根も止められるでしょう。でも何か嫌な予感が…」

アクトレイザー「ああ、妙な胸騒ぎがする…」

アクトレイザ(奴はなぜあの技を使わない…記憶が間違っているハズもない。あの技には散々と苦しめられたハズ)

サタン「ゼェ…ゼェ…ガフッ!!」

サタンは口からドバッと血を吐く

チルノ「へへーん!ざまぁみろ!」

早苗「あなた!あと少しですね!」

アクトレイザー「……」

早苗「あなた…?」

アクトレイザー「早苗、私の後ろにいなさい」

早苗「え?」

アクトレイザー「奴は何か企んでいるぞ。昔と明らかにパターンを変えて闘っている」

アクトレイザー「それに…見るんだ。奴の本体を」

早苗「本体って…あの青いコアですか?」

早苗がサタンの青い核、本体に目をやると、その青い光が不気味に増していた

アクトレイザー「何をする気だ」

サタン「ぜぇぜぇ……」

サタン(だいぶダメージが大きい…だが、ここまで耐えたかいがあった)

サタン(このときを待っていた)

サタン(この流れの中で…偶然にも、奴らの陣形は直列になった)

サタン「……」ゴゴゴゴゴ

アクトレイザー「っ!!全員、バリアを張るんだ!今すぐにだ!!」

チルノ「…??何をまたそんな焦って」

アクトレイザー「早く!!!」

チルノ「わ、分かったよ!そんな怒鳴るなよ…」

429: 2016/12/12(月) 10:15:01.68 ID:+PGWH+1/0
サタン「さすがカミ。勘が鈍っている訳ではない様だな」

サタン「だが避けようもない運命は、受け入れるべきだ」

シュンッ

全員「!!?」

サタンは全員の目の前から姿を消す

エンジェル「瞬間移動!?」

アクトレイザー「バカな!あの形態でそんな技は使わなかったハズだ…!!」

早苗「サタンは一体ドコに!?」

サタン「……」スッ

チルノ「うわぁあ!?ビックリした!」

サタン「いくぞ…まとめて吹き飛ばしてくれる!!」

430: 2016/12/12(月) 10:20:05.17 ID:+PGWH+1/0
サタン「ウオオオォォ!!!」

ボゴォォン!!

サタンの青い核から鋭い弾幕が射出される

チルノ「何だよ。どんな凄い技が来るかと思ったら、たった一発のなんの変哲もない弾幕かよ…」

バキィィン!ビキビキ…

チルノ「え?」

チルノが目の前に張っていた、厚い氷のバリアを簡単に破壊していく

ボゴォォン!!

チルノ「え、ちょっ…」パァァァ

アクトレイザー「チルノォォォ!!」

弾幕に直撃した瞬間、チルノは粉々になり、辺り一面に氷の結晶が散らばる
サタンが放った弾幕は真っ直ぐに、魔理沙の方へと向かう

魔理沙「うおお!?こっちきた!」

魔理沙は両手を前にだして、練成した魔法壁を強化させる

バキィィン!ビキビキ…

魔理沙(な!?ひび割れが…!)

ボゴォォン!!

魔理沙「ぐふっ!」

魔理沙の魔法壁は簡単に破壊され、凶弾に直撃し、体が宙に舞う
そして後ろにいる妖夢へ、凶悪な弾幕は飛んでいく

妖夢「くっ…!!」

バキィィィン!!!

妖夢「ごふっ!!」

霊力をまとった両手の剣でガードするが、簡単に押し切られる
妖夢が持っていた両手の刀と、妖夢の体は宙に舞う

アクトレイザー「まずい…全員、避けろ!!!」ガシッ

早苗「きゃっ…」

カミは早苗をかばうように、抱きしめながら避ける
それに続くようにエンジェルと鈴仙も、間一髪の所で避け切る

凶悪な弾幕はそのまま加速しながら、遠く先の見えない彼方へと飛んでいく

431: 2016/12/12(月) 10:22:34.76 ID:+PGWH+1/0
アクトレイザー「大丈夫か早苗!」

早苗「はい…貴方のおかげで…」

鈴仙「な、なんだったのいまの…一瞬で皆、やられちゃった…」

エンジェル「あれがサタンのもっとも凶悪な攻撃手段です…なかなか出さないから怪しいとは思っていましたが…」

アクトレイザー「おのれサタン…」

ドゴォォォォン!!!!!

全員「!!?」

後ろからとてつもない爆発音が轟く
全員が後ろを振り向くとそこには大きな雲が出来上がっていた

鈴仙「なに…あれ…」ガクガク

早苗「キノコ雲!?嘘でしょ…!?」

大きなキノコ雲が、その場にいる者達に恐怖を与える

サタン「クク…フフフ…」

サタン「ハハハハハハ!!ハハハハハハハハハハ!!!」

アクトレイザー「これは…サタンもまた昔よりパワーアップしている…」

アクトレイザー「あんな爆発力は昔には無かった」

432: 2016/12/12(月) 10:25:06.03 ID:+PGWH+1/0
アクトレイザー「わが友、チルノ…」

キラキラと輝く氷の結晶が辺りに漂う
カミは粉々になったチルノの白いマントと、リボンを拾う

エンジェル「チルノちゃんは妖精です。また生き返りますが…」

アクトレイザー「事実上、リタイアだな」

早苗「妖夢さん!しっかり!」

妖夢「」

アクトレイザー「師匠は生きているか!?」

早苗「辛うじて脈は残ってますが…」

妖夢の周りに血だまりが出来ていた
その血だまりはどんどん広がっていく

早苗「かなり危険な状態かと」

鈴仙「魔理沙…」

魔理沙「」

早苗「魔理沙さんの容態は!?」

鈴仙「……」

早苗「え…なんで。なんで何も答えないんですか」

鈴仙「……」

早苗「うそでしょ…魔理沙さん…」ガクッ

アクトレイザー「何という事だ…私がもっと彼女に注意を促していれば…」グスッ

エンジェル「そんな魔理沙さん!」ボロボロ

魔理沙「」

鈴仙「……」

鈴仙「まだ助かる見込みはあるわ」

全員「っ!!」

鈴仙「だけどその為には」チラッ

サタン「クク…ハハハハ…!」

鈴仙「サタンを早急に始末しないと、完全に手遅れになってしまうわ」

433: 2016/12/12(月) 10:26:46.62 ID:+PGWH+1/0
サタン「さあ…『溜め込んだ力』を今こそ解放する」

サタン「ゴォォ!」

サタンは周囲にホーミング弾幕をばら撒く
そして、その直後に瞬間移動をする

鈴仙「また消えた!」

早苗「ホーミング弾幕をばら撒いといて消えると…」

アクトレイザー「鈴仙よ、ひとまず妖夢師匠と魔理沙の応急処置をしてもらえないか?」

アクトレイザー「サタンの方は……早苗とエンジェル、私で倒す」

鈴仙「カミ様…」

アクトレイザー「頼む」

鈴仙「わかりました!」

サタン「おっと、そうはさせない」スッ

全員「!?」

鈴仙「あっ…」ガクガク

鈴仙の目の前にサタンが突如現る
そして既に青い核は、今にも凶弾を放とうとしていた

鈴仙は恐怖のあまり、腰がくだけて動けずにいた

サタン「氏ぬがいい」

鈴仙「いや…やだ…」ボロボロ

サタン「フンッ!!」

アクトレイザー「くっ…間に合え…!」バサッ

ボゴォォン!!!

アクトレイザー「うっ!」

早苗・エンジェル「鈴仙さん!!」

鈴仙「キャッ!」

早苗「え?」ガシッ

爆煙の中、とくにダメージを負っていない鈴仙が飛んできて、それを早苗が受け止める

早苗「え、鈴仙さんどうして…」

鈴仙「カミ様が目の前に立って、私を守ってくれたの…」

サタン「ハハハハハハハハハ!!!」

サタン「カミよ…せっかくの装備が粉々になってしまったな!」

アクトレイザー「くっ…」

エンジェル「カミ様が持っていた盾が…サタンの弾幕に破壊されてしまったみたいです…」

早苗・鈴仙「っ!?」

434: 2016/12/12(月) 10:29:43.17 ID:+PGWH+1/0
鈴仙(カミ様の盾を粉々って…カミ様だって盾に魔力をまとってたハズ…)

鈴仙(なんなのあの殺人弾幕は…)

アクトレイザー「ぐふっ…うっ…」ガクッ

早苗「あなた!」

サタン「クク…どうだ。久しぶりだろ、私のあの技を喰らうのは」

アクトレイザー「ああ…思い出していた所だ。がふっ…まさか盾まで破壊するとは思わなかったが」

アクトレイザー「以前よりも破壊力を増したな…」

サタン「さあ、もう一度いくぞ!」

アクトレイザー「っ!!全員、気を緩めるな!」

サタン「ウオォォ…」ググッ

サタンの本体たる青い核は再び光を増す

ザクザク!!

サタン「ぐぅぅ!!」ガクッ

全員「!?」

突如、サタンの青い核に針が数本刺さる

「ずいぶん凄い場所ねココ」

早苗「え…霊夢さん!?」

エンジェル「霊夢さま!?」

アクトレイザー「博麗の巫女!なぜココに!?」

霊夢「……察してよ。説明するのもめんどいし。私としても不本意だったわよ」

霊夢「でもこの世界に来て正解だったわ」ギロッ

サタン「……巫女?」

霊夢「あんな邪悪そうなのは初めてよ。さっさと倒してこの世界の異変を解決しましょう」

435: 2016/12/12(月) 10:31:08.50 ID:+PGWH+1/0
霊夢「ん?これはチルノのリボン?」

アクトレイザー「ああ…」

霊夢「そう。レベルアップしてたっぽいから期待してたけど、それ以上にあの悪魔の方がやばい様ね」

妖夢「」

霊夢「妖夢まで…アンタなら最後まで立っていると思ってたのに。生きてるの?」

早苗「ええなんとか」

霊夢「ほっ…てか魔理沙まで。だらしないわね」

魔理沙「」

霊夢「ちょっと魔理沙。起きなさい。さっさと倒して幻想郷に帰るわよ」ペチペチ

鈴仙「あ…霊夢…いまは…」

霊夢「……」ペチペチ

霊夢「ん?魔理沙…」ガシッ

霊夢「」

霊夢「え…う、うそ…」

霊夢「……」ガクガク

鈴仙「聞いて霊夢!いま魔理沙は仮氏状態なの」

鈴仙「逆を言えば、まだ氏んだ事が確定してる訳じゃない。早急にサタンを始末してしかるべき治療を…」

霊夢「……」

鈴仙は必氏に魔理沙の容態を説明する
しかし霊夢にはその言葉が届いていなかった

霊夢は今だかつて、感じた事のない感情におそわれていた

436: 2016/12/12(月) 10:33:14.27 ID:+PGWH+1/0
サタン「どうした、体が震えているぞ」

霊夢「」ガクガク

サタン「恐怖のあまり声も出なくなったか?」

サタン「それとも知り合いが氏んでしまって、悲しんでいるのか?ハハハハ!!!」

鈴仙「っ!!だからまだ確定した訳じゃ…」

霊夢「……」

霊夢「まったくバカよね。こんな世界にきたせいで…カミさまに任せれば良かったのに…ただの自殺行為じゃない」

早苗「ちょっと霊夢さん!!そんな言い方は無いじゃないですか!!」

アクトレイザー「……」

サタン「なんだ。あまり悲しんでる様子には見えないな」

霊夢「生憎、私はそういう性分じゃないの。冷たいから」

サタン「ずいぶんと悪魔的な心の持ち主だな」

霊夢「私は人間よ。今も昔も、これからも」

霊夢「サタンといったわね?」

サタン「ああそうだ」

霊夢「今日、私と会った事を後悔させてやるわ」

霊夢「……いや。後悔すら出来ないか。今から私に処刑されるんだし」

サタン「ほう」

霊夢「鈴仙、エンジェル、早苗…そしてアクトさん」

霊夢「アナタ達は下がってなさい。こいつは私1人で始末する」

全員「!?」

早苗「ダメです霊夢さん!危険すぎます!」

437: 2016/12/12(月) 10:36:39.48 ID:+PGWH+1/0
霊夢「……」テクテク

アクトレイザー「やめるんだ博麗の巫女!」

早苗「待って霊夢さん!」ダダッ

霊夢「……」グッ

早苗は霊夢の真後ろまで来る
すると霊夢は後ろに振り返り、早苗の胸ぐらを掴む

早苗「ひっ…!?」

早苗(霊夢さんが本気で怒ってる…)

霊夢「……」バッ

無言の威圧で早苗をにらみ、バッと早苗を突き放す
突き放された早苗をカミが受け止める

アクトレイザー「早苗…」ガシッ

早苗「私は大丈夫です…でも霊夢さんが」

霊夢「アクトさん、修行の苦労を無駄にするようで悪いわね」

霊夢「でも私いま、虫の居所がとても悪いの」

霊夢「何をしでかすか分からないから、離れていた方が良いわよ」ギロッ

そういうと霊夢はサタンを睨みつつ、ポケットからスペルカードを取り出し、高々と振り上げる

霊夢「そういえばこの世界ってスペカのルールとか無かったわよね。宣言するまでもないか」パッ

霊夢は後ろにポイッとカードを投げ捨てる
そのカードはヒラヒラと早苗の手に治まる

早苗「え…!?このスペカ、まさか…!!」

アクトレイザー「そのスペルカードがどうしたんだ」

早苗「噂では聞いてたけど、まさか本当に使えるなんて…」

アクトレイザー「そんなに凄い技なのか」

早苗「色々と反則レベルの技です」



438: 2016/12/12(月) 10:39:35.01 ID:+PGWH+1/0
霊夢「処刑、始めるわ」

霊夢の周りに、7つの陰陽玉が周囲に展開される
その陰陽玉はグルグルと霊夢の周囲で回転する

サタン「……」ゴゴゴゴゴ

サタンの青い核もまた光を増す

霊夢「この技つかうのも随分久しぶりね」

霊夢「発動までに時間がかかるのが、難点なんだけどね」

サタン「ウオォォォ!!!」

ボゴォォン!!!

サタンの凶弾が霊夢に向かって放たれる

霊夢「なによ…このスピードだけのヘナチョコな弾幕…」

早苗「霊夢さん逃げて!!!」

アクトレイザー「よけろ!!!」

霊夢「どうして私がこの悪魔から逃げなきゃ行けないのよ」

霊夢「それにこんな弾幕、結界を張って対応すれば」スッ

バキィィン!!ビキビキ…

霊夢「え」

ボゴォォン!!!!

結界を破壊し、霊夢がいた場所に大きなキノコ雲が現れる

439: 2016/12/12(月) 10:41:27.66 ID:+PGWH+1/0
早苗「そんな…霊夢さんまで…」

アクトレイザー「サタン!!きさまぁぁ!!」

サタン「ハハハハハハ!!ハハハハハハハハハ!!!」

ゴゴゴゴゴ…

霊夢「」ユラッ

全員「!!?」

サタン「なっ!?バカな!!」

霊夢「」ユラユラ

血だらけなった霊夢はフラフラとした足取りで、サタンに立ち向かう
その目は虚ろな物で、意識があるとは思えない

サタン(なんだコイツ、なぜ生きている。少なくとも意識は無いはずだ)

サタン(ありえん…あの技を喰らっていて生きてるなど。普通なら体がバラバラになってもおかしくないというのに)

霊夢「かえしなさいよ…」シュッ

霊夢は無意識ながらもサタンに、針を投げつける
しかし正常な状態でない霊夢はコントロールが定まらず、サタンには当たらない

霊夢「……」シュッ

霊夢「かえしなさいよ…まりさ…」ギロッ

サタン「」

霊夢「かえしなさい…かえしなさい…」シュッ

尚もサタンに針を投げつける霊夢
しかしやはり針はサタンに当たらない

サタン「」

霊夢の執念がサタンの心を揺れ動かしたのか
このときサタンは生まれて初めて『恐怖』という感情を覚えた

霊夢「」ドサッ

やがて霊夢は力なく倒れる

サタン(なんだ…なぜ震えているのだ私は…この私が人間ごときに恐怖しているだと…!?)

440: 2016/12/12(月) 10:43:27.03 ID:+PGWH+1/0
早苗「霊夢さん!!」

エンジェル「霊夢さま!!」

霊夢「……」

ドクン…ドクン…

鈴仙「息はあるようね…ほっ。でも早急に手当しないと」

アクトレイザー「……」

サタン「」ガクガク

アクトレイザー「サタンが震えている」

早苗「え?」

アクトレイザー「鈴仙は治療に専念してくれ」

アクトレイザー「いまがチャンスだ。サタンを倒すぞ」

アクトレイザー「フンッ!!」ブンッ

ボゴォォン!!

サタン「ぐおぉぉ!?」

サタンの青い核に、カミの刀気が被弾する

早苗「わたしも!」ブンッ

早苗のお祓い棒から、星型の弾幕が飛び出す

ボゴォォン!!

サタン「ぐぅぅ!!」

エンジェル「ぼくも行くぞ!」ピュンッ

ボォォン!

サタン「ぐおぉ!!」

サタン「ぜぇぜぇ、おのれ…私は負けんぞぉ!!!」

444: 2016/12/13(火) 10:03:40.22 ID:z0EdrrlN0
神の軍団からの猛攻は続く

ボォォン!

サタン「ぐああ!!」

ボォォン!!

サタン(くそ…何なんだ…人間などか弱い生き物ではないか…)

サタン(なぜこの私が恐怖を覚えなければならんのだ…!)

サタン「うおぉぉぉ!!!」

ボゴォォン!!!

アクトレイザー「うっ!!」

早苗「きゃっ!」

サタンは凶弾を、真下に目がけて撃ちつける
大きなキノコ雲と共に衝撃波が起きて、カミたちを吹き飛ばす

アクトレイザー「直撃でない分、ダメージはそこまでではないが…」

早苗「衝撃波で飛ばされて、サタンと距離を取られてしまいましたね…!」

445: 2016/12/13(火) 10:04:58.92 ID:z0EdrrlN0
サタン「ゴォォ!!」

サタンの口からホーミング弾幕が射出される

エンジェル「っ!!またホーミング弾」

早苗「とっとと破壊しちゃいましょう」

アクトレイザー「うむ」

サタン「おっと、そうはさせない」スッ

アクトレイザー「なっ!?」サッ

サタンが瞬間移動し、カミの前に現れる
そしてその青い核から、凶弾が放たれる

ボゴォォォン!!!

アクトレイザー「うっ…!!」ガクッ

早苗「あなた…!」

アクトレイザー「くっ…何て破壊力なのだ…がふっ」

サタン「ハハハハ…カミよ、お前はあと何発この凶弾に耐えられるかな?」

サタン「まだまだいくぞ」

早苗・アクトレイザー「っ!!」

ザクザクザク!!

サタン「ぐわぁぁ!!」

サタンが、青い核に力をチャージしていた時だった
突如、青い核に大量のナイフが刺さる

咲夜「待たせたわね」

早苗「咲夜さん!?」

アクトレイザー「また来てくれたのか!」

446: 2016/12/13(火) 10:06:04.79 ID:z0EdrrlN0
咲夜「ええ。人々の避難に手間取ってて遅くなったわ」

咲夜「それにしても…」

妖夢「」

魔理沙「」

霊夢「」

咲夜「いかに激しい闘いだったのか。倒れている三人を見ただけで分かるわね」

サタン「貴様…いま私に何をした!!?」

ザクザク!!

サタン「ぐぅぅ…!!」ガクッ

咲夜「……」

再び大量のナイフがサタンの青い核を襲う

鈴仙「カミ様、ひとまず全員の応急処置が完了しました」

鈴仙「わたしも戦闘に参加します…ルナティックレッドアイズ!」

ボォォォン!!!

サタンのホーミング弾を一掃していく

サタン「ぜぇぜぇ…どいつもこいつも…何なのだ…」

447: 2016/12/13(火) 10:08:05.26 ID:z0EdrrlN0
サタン「人間如きが!粋がるな!!」

アクトレイザー「光球・聖なるオーラ」

オーラの魔法をスペカさせた技を、青い核に撃ちつける

ボォォン!!

サタン「ぐわぁぁぁぁ!!」ガクッ

多大なダメージを背負ったサタンは、とうとう体を地に着ける

サタン「ぜぇぜぇ…まだだ!!まだ終わってないぞ…!!」ググッ

目にも止まらぬスピードで、凶弾が3発ほど放たれる

ボゴォォン!!!ボゴォォン!!!ボゴォォン!!!

アクトレイザー「うっ…!!」

カミは多大なダメージを背負いながらも、膝を落とす事無く、仁王立ちしたままサタンをにらむ

しかし体力は徐々に限界に近づいてきている

アクトレイザー「ぜぇ…ぜぇ…」

早苗「あの殺人弾幕を何発も…大丈夫ですかあなた!」

アクトレイザー「正直、大丈夫ではないな…」

アクトレイザー(思えば蘇生した魔物との連戦だったからな。体力もそろそろマズイ…)

サタン「いい加減にくたばれ!!」

霊夢「……」ムクッ

霊夢「霊符・夢想封印」

七色の光が青い核を包む

ボォォォン!!!

サタン「ぐああああぁぁぁぁ!!!」

鈴仙「え、霊夢!?嘘でしょ!?」

早苗「意識を取り戻したんですね!」

咲夜「あなた、もう人間やめてるでしょ?」

霊夢「ぜぇぜぇ…私は一生人間よ」

エンジェル「さすが霊夢様です!」

霊夢「どうも…ってか、私の事は『さま』じゃなくて『さん』で良いわよ。位はあなたの方が上でしょ」

448: 2016/12/13(火) 10:10:18.56 ID:z0EdrrlN0
サタン「ぜぇ…ぜぇ…」

サタンは激しく息を切らしながら、グッタリと倒れている

アクトレイザー「フン!!」ブン

カミの刀気が青い核へ飛ばされる

ボォォン!!

サタン「ぐっ!!」

更に容赦なく刀気を放つ

ボォォン!!

サタン「ぐぅぅぅ!!!」

アクトレイザー「……」

サタン「こひゅー…こひゅー…」

霊夢「既に虫の息ね…ぅぅ!」ガクッ

早苗「霊夢さん、無理しちゃダメです」ガシッ

霊夢「ごめん」

血だらけの霊夢は、早苗に体を支えてもらう

サタン「こひゅー…こひゅー…」

アクトレイザー「……」

カミは黙って、瀕氏のサタンをジッと見る

エンジェル「カミさま…とうとう我らの悲願が達成される時が来たようですね」

アクトレイザー「ああ。長かった。有史以前からの闘いだったからな」

カミは最後の一撃を与えるために、大きく剣を振りかぶる

アクトレイザー「……」グッ

449: 2016/12/13(火) 10:12:52.69 ID:z0EdrrlN0
アクトレイザー「……」

サタン「こひゅー…こひゅー…」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「……」

霊夢「カミ様…げほげほ!あのね…色々と感極まるだろうけど」

霊夢「早いところ始末しましょ」

霊夢「……葬式の準備しないと。魔理沙の」

鈴仙「あの…魔理沙は仮氏状態であって、まだ息を吹き返せる可能性があるんだけど」

霊夢「え!?何よもう…それ早く言ってよ!」

鈴仙「貴方が人の話を聞いてなかっただけでしょ?」

魔理沙「」

魔理沙「げほっ…げほっ…」

全員「!!」

霊夢「魔理沙!息を吹き返したのね!」

アクトレイザー「ほっ…蘇生したか。一安心だ」

早苗「魔理沙さん…」グスッ

鈴仙「良かった…想像してたよりも、ずっと早く蘇生したわ」

魔理沙「……」

鈴仙「まだ気を失ってる状態だけど」

咲夜「って言うかあなた、バッグに輸血パックを入れてたの?」

鈴仙「当たり前じゃない。相手は強敵だし念には念よ」

450: 2016/12/13(火) 10:13:33.66 ID:z0EdrrlN0
アクトレイザー「……」

アクトレイザー「……」

霊夢「ちょっとアクトさん…どうしたの?」

早苗「あなた…?」

アクトレイザー(本当に良いのか?)

アクトレイザー(このまま悪を完全に滅ぼし、サタンを永久に亡き者にする事が…)

アクトレイザー(それが本当の正義?)

何かが引っかかっていて、最後の一撃を与える事ができない
カミの頭の中にある記憶が蘇る

451: 2016/12/13(火) 10:15:01.83 ID:z0EdrrlN0
~回想・紫との出会い~

アクトレイザー「幻想郷というのは忘れ去られた者たちが集う、終着点みたいな場所なのか?」

紫「いいえ。ここは楽園。神も妖怪も人間もいる…全てを受け入れる理想郷です」

アクトレイザー「……妖怪?」

紫「そういえばアナタの居た世界では、妖怪という概念が存在しないわね」

紫「簡単に言うと、アナタの居た世界でいう魔物といった所かしら」

アクトレイザー「なに?人間と魔物が…一緒に…??」

紫「そして私も妖怪です」

~回想・命蓮寺での修行にて~

アクトレイザー「変な事を聞くようだが」

アクトレイザー「そなたがもしも、私の立場ならどうする?」

聖「当事者になってみないと分かりませんが」

聖「今の私の考えで言うなら、そのサタンを退治はするでしょう」

聖「しかし頃しはしません。懲らしめるだけです」

聖「そして教えを説き、改心するように説得し続けます」

452: 2016/12/13(火) 10:16:16.35 ID:z0EdrrlN0
アクトレイザー「……」

ビキ…ミシミシ…パリィィン

早苗「あ…空間にひび割れが…」

歪な空間が割れ始める
その割れた隙間より、太陽の光がカミとサタンを照らす

ミシミシ…ミシミシ…ビキッ

霊夢「この歪な空間は、サタンの生命力を顕現してるものね」

鈴仙「じゃあ、サタンもいよいよ終わりって事なのね」

霊夢「そうだけど…ゲホゲホ!なかなかアクトさんがトドメを刺さないわね…」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「……」チャキン

サタン「……?」

カミは静かに剣を鞘に収める

全員「!?」

早苗「貴方…何を…?」

453: 2016/12/13(火) 10:17:13.07 ID:z0EdrrlN0
アクトレイザー「サタンよ。お前は絶対に許されない存在だ」

アクトレイザー「コレまでの数々の悪事。忘れる事もない」

アクトレイザー「お前はこの世界にいてはならない。この世界に住む権利も無い。私が絶対に許さない」

アクトレイザー「……しかしお前の様な、どうしようもない悪党でも受け入れてくれる世界を私は知っている」

アクトレイザー「全てを受け入れる世界だ」

アクトレイザー「私はその世界で封印と解いてもらい、リハビリを行い力をつけた」

アクトレイザー「サタン。すでに虫の息のお前を…今ココで頃すのは実に容易い」

アクトレイザー「しかし…あの世界を知っている身としては、お前を頃すのが惜しくなる」

アクトレイザー「私の手を取れサタン」

アクトレイザー「これまでの悪事を深く深く反省し…もう二度と悪さをしないと私に誓え」

アクトレイザー「そして共生し合おう。幻想郷で」

454: 2016/12/13(火) 10:18:42.75 ID:z0EdrrlN0
エンジェル「おぉぉ…カミよ…」

早苗「あなた…」グスッ

鈴仙「全てを受け入れる…か」

咲夜「また1人、厄介なのが増えるのね」

霊夢「………………」

霊夢(考えが甘すぎる気もするけど)

霊夢(魔理沙も生き返ったし…ま、いっか)

霊夢「言っておくけど。異変を起こしたら真っ先に倒しに行くから。覚悟しなさい」

エンジェル「サタンを…幻想郷につれて帰るのですか」

アクトレイザー「サタンをこの世界に置いておくのは、私が絶対に許さない」

アクトレイザー「だが幻想郷なら話は別だ。あそこは全てを受け入れる」

アクトレイザー「さあ、私の手を握るんだ」

慈悲の想いを込め手を差し伸べる

しかしサタンの表情は、ひどく歪んだものだった

455: 2016/12/13(火) 10:19:46.89 ID:z0EdrrlN0
サタン「……」ゴゴゴゴ

ボゴォォン!!!

アクトレイザー「うっ!!!」

サタン「……」

サタンの凶弾がカミの腹部を襲う
大きな爆発が起こるが、威力は先ほどよりも落ちている

アクトレイザー「うっ…」ガクッ

早苗「サタン…なんて事を!!」

エンジェル「カミのご厚意をよくも!!」

霊夢「こんなクズ初めてだわ!」

咲夜「真の悪魔はやはり…レミリアお嬢様だけで充分ね」

鈴仙「……こんな奴、受け入れるべきでは無いわ」

エンジェル「皆さん…総攻撃です」

霊夢「霊符・夢想封印」

早苗「秘術・グレイソーマタージ!」

咲夜「奇術・エターナルミーク」

鈴仙「散符・インビジブルフルムーン」

無数の弾幕がサタンを襲う

サタン「グオォォォ…!!!」

456: 2016/12/13(火) 10:20:57.86 ID:z0EdrrlN0
サタン「こひゅー…こひゅー…」

アクトレイザー「……」

カミは鞘から剣を引き抜く

サタン「こひゅー…こひゅー…」

アクトレイザー「残念だ」

アクトレイザー「やはり私とお前は、相容れぬ関係と言うわけか」

サタン「こひゅー…こひゅー…」

アクトレイザー「お前にも幻想郷を見せてやりたかった…」

アクトレイザー「本当に素晴らしい場所だと言うのに」

サタン「…………」

アクトレイザー「さらばだ、サタン」

カミの光をまとった剣が振り下ろされる

457: 2016/12/13(火) 10:22:28.88 ID:z0EdrrlN0
ゴゴゴゴ…ビキ…ビキビキ…

エンジェル「サタンの歪な固有結界が崩れていく…」

パリィン…パリィン…ガラガラ…

ガラスが割れる様な音が、あちこちで響く
そして光が一気に差し込んでくる

鈴仙「ここは…海食崖?」

全員の目に映ったのは断崖絶壁から一望できる、綺麗な海が広がっていた

早苗「キレイ…」

ピシピシ…ミシミシ…

霊夢「げっ、地面にも地割れが広がってきてるわ!」

アクトレイザー「大丈夫だ」

一番先頭に立っていたカミは、全員の不安をなぎ払う
そしてカミの目の前に倒れている、黒い塊と化したサタンの遺体を見つめる

アクトレイザー「……」

サタン「」

ピシピシ!!ガラララララ…ドボォォォン

サタンの所だけの地面が垂直に崩れる
そのままサタンは、岩石と共に海水へ落ちていく

早苗「サタンが…海へ落ちていく…」

458: 2016/12/13(火) 10:24:35.35 ID:z0EdrrlN0
アクトレイザー「……」

しばらく全員、その美しい海辺に見惚れていた

アクトレイザー「さあ、幻想郷に帰ろう」

霊夢「そうね…疲れた」

アクトレイザー「私とエンジェルは少し寄り道をする。先に幻想郷に帰っていてくれ」

早苗「寄り道?」

アクトレイザー「早苗よ、魔理沙と妖夢師匠の側にいてあげてくれ」

早苗「はい!わかりました」

咲夜「あれ?でもいまの時間帯って、スキマは開いてたかしら」

早苗「あ…まだ早いかも」

霊夢「たしかスキマが開く時間って決まってるんだっけ?めんどくさ…」

クパァァァ…

全員「!!?」

突如、全員の目の前にスキマ空間が現れる
そして同時に、手紙が飛び出てくる

『みんなお疲れ様。byゆかり。追伸:行き先は永遠亭と繋がってます』

咲夜「このタイミングの良さ…」

霊夢「あいつ、絶対どこかで見てたでしょ」

鈴仙「魔理沙も妖夢もまだ応急処置しかしてなし、早く戻りましょう」

早苗「あなた!先に戻ってます!」

アクトレイザー「うむ」

アクトレイザー「さあエンジェル。行こうか」

エンジェル「はい!!」

アクトレイザー「ああ、そうだ早苗」

早苗「はい?」

アクトレイザー「行く前にもう1つ頼みが…」

459: 2016/12/13(火) 10:26:24.73 ID:z0EdrrlN0
~カサンドラ~

民1「あれ、結界が解除された…」

民2「曇り空もなくなり、陽の光が…」

民3「マグマも降ってこなくなった」

男神官「ん?」

女神官「どうしました?」

男神官「神殿の前に…剣が刺さっている」

女神官「これは…まさか!」

男神官「間違いない!カミ様のものだ!」

民全員「おおおぉぉぉ…!!」

フワッ…バサッ

空から白いマントが落ちてくる
それはカミの剣の上に、フワリと白いマントが被さる

男神官「そしてこの白いマントは…神チルノの物だ!」

民1「神チルノ…」

民2「剣の隣にある、キレイな木の棒は何でしょうか?」

女神官「これは…カミの妻・女神サナエ様が使われていた神器です!」

男神官「……」

男神官「状況を察するに、魔王との闘いが終わった事を知らせているのではないかと思います」

民一同「……!!!」

民1「じゃあ…もうこの世界からは完全に魔物がいなくなった…」

民一同「……」

男神官「皆さん。神々からもらったメッセージの品物は、神殿にてお納めします」

女神官「感謝をしに神殿の中へ。中に入れない者はこの場で祈りを捧げましょう」

民一同「……」バッ

一人…また一人と、その場で大地にひれ伏し、涙を流しながら神々に感謝をし始める

――この日、カサンドラだけでなく世界中の人々が感謝の祈りを捧げる

460: 2016/12/13(火) 10:27:48.13 ID:z0EdrrlN0
~翌日・幻想郷・永遠亭にて~

サタンとの決戦から夜が明ける
時刻は午後を回っていた

アクトレイザー「早苗、ただいま」

早苗「あなた!」

アクトレイザー「魔理沙と師匠の容態は?」

早苗「まだ意識が戻ってません…」

アクトレイザー「そうか…早く目を覚ましてくれると良いが」

魔理沙「……」

妖夢「……」

アクトレイザー「博麗の巫女も入院することになったのか?」

霊夢「zzz……」

早苗「はい。幻想郷に帰還して、妖夢さんと魔理沙さんの入院期間だけ聞き終えると、安心しきった表情で…その場で倒れて」

早苗「そのままずっと寝てます。霊夢さんも怪我が酷いので入院確定してます」

461: 2016/12/13(火) 10:28:47.79 ID:z0EdrrlN0
早苗「これで全部終わったんですね」

アクトレイザー「ああ。悪魔との闘いはな」

早苗「本当にお疲れ様です」

アクトレイザー「ああ。キミには本当に感謝している」

紫「失礼するわ」

早苗「あ!お久しぶりです紫さん!」

突如、スキマを明けて現れる八雲紫

紫「お疲れのところ悪いけど、しばらくアクトを借りるわね」

早苗「え!?か、借りるって…?」

アクトレイザー「早苗よ…私もいつまでも、八雲紫のスキマ能力に頼っている訳にはいかんのだ」

アクトレイザー「3ヶ月ほど、修行に出かける」

早苗「しゅ、修行!?」

紫「彼がね、ワープ能力を覚えたいと言って来たの」

紫「私の様にあらゆる『境界を操る』能力を手にするには、もの凄く苦労するし10年以上かかるけど」

紫「ワープ能力程度なら、3ヶ月もあればマスターできるわ。あなたの夫ならね」

紫「他の弟子たちはもっと時間がかかりそうだけど…」

早苗(他の弟子たち…?)

462: 2016/12/13(火) 10:30:18.27 ID:z0EdrrlN0
アクトレイザー「早苗、すまないな…また寂しい想いをさせて」

早苗「いえ…あなたの言うとおり。いつまでも紫さん頼みではいけませんし」

アクトレイザー「それで…三ヵ月後の帰還の日に、宴会を開く事になった」

早苗「宴会ですか!随分ひさしぶりですね」

アクトレイザー「本当はすぐにでも開きたいのだが…」チラッ

アクトレイザー「我が戦友たちの体がボロボロでな、とても酒を飲める状態ではない」

早苗「そうですね…とても、宴会なんか開ける状態ではないですね」

アクトレイザー「……早苗よ。3ヶ月後の宴会は、普通の宴会とは違う物にしたい」

早苗「え?」

アクトレイザー「キミと私の関係は、あくまで婚約であって、まだ正式な夫婦ではない」

アクトレイザー「……3ヵ月後の宴会の日。結婚しよう」

463: 2016/12/13(火) 10:31:16.49 ID:z0EdrrlN0
早苗「……っ!!」ボロボロ

両手を押さえて、涙を流す

アクトレイザー「婚約を申し込んだのはキミの方だった」

アクトレイザー「だが正式なプロポーズは私から言いたかった」

早苗「はい…喜んで!」

アクトレイザー「早苗…」

早苗「あなた…」

互いの肩を優しくつかみ見つめ合う
そして、互いの顔をゆっくりと近づける

早苗・アクトレイザー「……」スッ

紫「あらあら、お熱いこと」ニヤニヤ

早苗・アクトレイザー「ハッ!」

アクトレイザー「……続きはまた今度にしよう」

早苗「そ、そうですね///」

464: 2016/12/13(火) 10:32:32.58 ID:z0EdrrlN0
アクトレイザー「ああ…そうだ。もう1つ伝えておかねば」

早苗「はい?」

アクトレイザー「その…我が友人・チルノがまだ幻想郷に帰ってきてないみたいだが…」

早苗「はい…もしかしてまだあっちの世界に?」

アクトレイザー「それが…」チラッ

カミは紫の方に視線を送る

紫「私の式神に時間を見つけては、あの世界に派遣して探索をさせてるんだけど…」

紫「全然見付からないのよ」

早苗「!?」

紫「でもね…時々、彼女の『気配』を一瞬だけ感じる時があるらしいの」

早苗「……?という事はまだあの世界に残っているという事ですか」

紫「そういう事になるわね」

アクトレイザー「だが実体化しない上、気配を読み取れるのも一瞬…どうすれば良いのか我々も困っている」

早苗「でもチルノさんは、妖精であり、いまじゃ神様の一人…すぐに復活するハズじゃ」

アクトレイザー「……私が思うに、サタンから受けたダメージがあまりにも大きすぎて、後遺症で蘇生しきれてないのではと思っている」

465: 2016/12/13(火) 10:34:21.73 ID:z0EdrrlN0
紫「妖精さんのことは私の式神に、引き続き探索をしてもらうわ。心配しないで」

早苗「ありがとうございます」

アクトレイザー「そういえば守矢神社には帰ったのか?」

早苗「いえ、まだです」

アクトレイザー「そうか。神奈子と諏訪子が会いたがっていた」

早苗「ええ。もう少し看病したら一度、守矢神社へ帰ります」

アクトレイザー「チルノの4人の友人たちが、神社で夜通しで祈願をしていた」

アクトレイザー「彼女が無事に帰ってくるように…っと」

早苗「そうですか。なら私も祈祷しないと」チラッ

霊夢「zzz……」

魔理沙「……」

妖夢「……」

早苗「私、お酒は得意じゃないけど…飲むなら、皆で飲みたいです」

アクトレイザー「ああ、そうだな」

アクトレイザー「私が修行している間は、神奈子や諏訪子が変わりに、あの世界の様子を見てくれる」

早苗「そうですか…私も手伝わないと」

紫「フフフ。霊夢たちの看病や、あの世界での見まわり、妖精さんの探索と…幻想郷に帰ってきてからも忙しくなりそうね」

早苗「ええ、全然心が休まりません」

アクトレイザー「早苗よ。結婚したら…旅行にでもいくか」

早苗「はい。二人でどこかゆっくり出来るところへ…」

アクトレイザー「では…行ってくる」

早苗「いってらっしゃい…」

471: 2016/12/17(土) 01:29:44.90 ID:+RLyrlfN0
~サタンとの決闘から1週間後~

妖夢「……ん」

妖夢「あれ…ここは?」

幽々子「……」ダキッ

妖夢「……っ?」

ようやく意識を取り戻した妖夢
布団から起き上がると同時に、主君から抱擁をうける

幽々子「良かった…私、心配で心配で…」ボロボロ

妖夢「ゆ、幽々子さま…」

幽々子「あなたはまだ、私の様になるのは早いわ…」グスッ

霊夢「やっと目が覚めたのね」

妖夢「霊夢さん?」

妖夢「あれ…私はたしかカミと共に闘いに赴いてたのに…全部夢だったの…?」

妖夢「あいたたたた!お、おなかが…」

霊夢「夢じゃない。現実よ」

妖夢「……そっか。私はサタンの攻撃で気を失って」

妖夢「……!!そうだ、あの後はどうなったんだ…!!?」

霊夢「勝ったわよ」

妖夢「え、本当ですか!!」

霊夢「ええ。あんたは気絶してたから知らないでしょうけど、あのあと私や咲夜も参戦したのよ」

妖夢「そ、そうだったんですか」

妖夢「それで、いまカミは…」

霊夢「えっとね…」

~少女説明中~

霊夢「……っというわけよ」

妖夢「そうですか。三ヶ月ほど修行を…その後はカミと早苗さんの結婚式とその披露宴…」

霊夢「ええ、そして…」チラッ

魔理沙「……」

霊夢「魔理沙は…いまだ昏睡状態。チルノは行方不明」



472: 2016/12/17(土) 01:33:10.72 ID:+RLyrlfN0
~二ヵ月後~

魔理沙「……ん」

全員「!!」

アリス「魔理沙…」

サニー・ルナ・スター「魔理沙さん!!」

小鈴「魔理沙さん…やっと…」

鈴仙「師匠!魔理沙が…」

永琳「ええ」

魔理沙「あれ…なんだここ…永遠亭?」

魔理沙「……懐かしい顔ぶれが沢山いるじゃないか」

霊夢「……」

魔理沙「霊夢…」

霊夢は魔理沙の意識を回復を確認すると、立ち上がって後ろを降り向き歩き出す

霊夢「……」テクテク

魔理沙「おい…ま、待てよ…私、全然状況が飲み込めないんだが」

霊夢「詳しい話は早苗から聞いて」

霊夢「それと…1ヵ月後に宴会があるから」

魔理沙「……??なんだよあいつ…」

霊夢「私は顔を洗ってくるわ」

早苗「それが良いですね。霊夢さん今にもなきだしs」

霊夢「こら、余計な事を言うのはやめなさい」

早苗「はいはい」

華扇「まったく…心配かけて」

魔理沙「華扇…久しぶりだな。元気だったか?」

華扇「あなたがずっと昏睡状態だったから、あまり元気ではなかったわ」

魔理沙「え、昏睡状態?私が?」

魔理沙「……ああ!!そうだ!!サタンはどうなったんだ!?」

早苗「ちゃんと討伐しましたよ」

魔理沙「そ、そっか…悪いな、あんな油断さえしなけりゃ」

華扇「今度、困った事があったら私にも相談してね」

魔理沙「ああ…あの時は、華扇の力なんて借りなくても私たちだけでやれると思ってたからな…」

華扇「よほどの強敵だったようね」

魔理沙「ああ…イマイチ実感わかないが、私をこん睡状態にさせる位、厄介な相手だったようだ」

魔理沙「ああそうだ!たしか龍の写真とったんだ。あとでみるか?」

華扇「え!?異世界の龍の!?」

魔理沙「ああ。サタンの部下のだけどな」

霊夢「あんたいつの間に…どっか天狗見たいな事を」

473: 2016/12/17(土) 01:34:33.30 ID:+RLyrlfN0
~????~

「ああ…ふわふわする…」

「あれからどうなったんだろう…あたいはサタンに負けちゃったけど…」

神チルノよ!どうか雨を降らせてください!

「これは…カサンドラの住民の声?」

「よっしゃ、雨なんて言わないで大サービスに雪をふらせてやる」

パァァァ…

おおお!この灼熱の大地に雪が!

ありがとうございます!神チルノばんざい!

「へへへ、これくらいお安い御用だ」

「……」

わー!コレが雪…すごい!!

「えへへ、カサンドラの子供らも喜んでるな」

「………あたいにもあんな風にはしゃいでた頃があったっけ」

「ルーミア、ミスチー、リグル、大ちゃん…みんなどうしてるだろ」

「またみんなに会いたいな」

「また…みんなに…」

チルノー!!

チルノちゃーーん!!

「あれ?なんだろ、みんなの声が聞こえる」

「み、みんな…」

「あたいもみんなに会いたい」

パァァァァ…

474: 2016/12/17(土) 01:35:58.15 ID:+RLyrlfN0
~守矢神社~

大妖精「チルノちゃん…帰って来てよぉ…」ボロボロ

ミスティア「また一緒に遊びましょうよ!」

ルーミア「うおおおチルノ!かえってきてよ!」

リグル「またいっしょにイタズラしようよ!」

神奈子「今日も来てるな」

諏訪子「わざわざここまで参詣してるのにな…力になってやりたいが」

早苗「チルノさん…」

ヒュウゥゥゥ…

突如、寒風が吹き乱れ、青白い空間がが現れる

チルノ「よー!みんな、呼んだ?」

全員「!?」

早苗「え!?ち、チルノさん!?!?」

神奈子「おまえ…どうやって幻想郷に帰ってきたんだ」

チルノ「え?なんかね…みんなの声が急に聞こえてきて…」

チルノ「『幻想郷に帰りたい』って念じてみたら…いつの間にか…」

諏訪子「ふむ…もしかすると、それは一種のワープ能力って奴かもね」

早苗「わ、ワープ能力…凄いじゃないですか!チルノさん!」

チルノ「え、あたいってそんなに凄い?最強?」

神奈子「ああ。最強はともかくすごい能力だ。ちょうどお前の友達もワープ能力を得る為に修行中だ」

チルノ「友達…えと…アクト?」

諏訪子「ああそうだ」

475: 2016/12/17(土) 01:37:45.90 ID:+RLyrlfN0
チルノ「……」

チルノ「あーーー!!!そうだ!!サタンはどうなったんだ!?たおしたの!?」

早苗「ええ、ちゃんと討伐は完了しましたよ」

チルノ「そ、そっか…よかった…」ヘナヘナ

チルノ「ごめん早苗…あたい。全然役に立たなかったね」

早苗「いえ、そんな事ありません」ニコッ

チルノ「で、でも…」

大妖精「チルノちゃん!!」ギュッ

ルーミア「あいたかったのだー!」ギュッ

ミスティア「やっと帰ってきたのね!」ギュッ

リグル「また遊ぼう!!」ギュッ

チルノ「み、みんな…」グスッ

チルノを四方から囲み抱きつく友人たち
チルノも懐かしさに思わず涙がこぼれる

チルノ「ありがとう。でもあたい神になっちゃったから…これからは、遊ぶ回数が限られてきちゃう。それで良いなら」

大妖精「え、チルノちゃん神様になっちゃったの??」

リグル「すごーい!」

ミスティア「友達が大物になって帰ってきた!」

ルーミア「でも今日くらいは私達に付き合ってよ」

チルノ「勿論だ!んじゃさっそく湖に行って遊びに行こう!」

早苗「やれやれ…これで一安心ですね」

神奈子「小さな神よ。遊びに行く前にちょっと話がある」

チルノ「ん?」

神奈子「おまえも一端の神になった訳だ。どうだ?ウチの守矢系列の傘下に入らないか?」

チルノ「さんかって何だ?」

諏訪子「まあ要するに友達関係って意味だよ」

チルノ「なーんだ。そういう事なら良いよ!」

早苗(お二人とも。『傘下』の本当の意味をちゃんと教えないと…!)コソコソ

諏訪子(だって下の立場にあるなんて言ったら、アイツ絶対怒るだろ?)ヒソヒソ

神奈小(形は何だっていい。ウチの系列に入ってくれればそれでいいじゃないか)ヒソヒソ

早苗「ぐぬぬぬ……」

神奈子「あとで分社も立てるけど良いよな?」

チルノ「分社?よく分からんけど良いぞ!」

476: 2016/12/17(土) 01:40:03.79 ID:+RLyrlfN0
~三ヵ月後・守矢神社にて~

神奈子「ついにこの日が来たか」

諏訪子「早苗…結婚、おめでとう!」グスッ

早苗「神奈子様…諏訪子様…ありがとうございます!」

霊夢「あーあ…早苗に先を越されちゃったか…」

早苗「霊夢さんだってすぐにいい人みつかりますよ!」

諏訪子「そうだよ。大体、博麗神社にはいつも色んなのがいるだろ?」

霊夢「妖怪にモテても嬉しくないし…っていうか同性ばっかりじゃない」

魔理沙「んで、新郎はいつくるんだ?」

紫「もう間も無く来るわよ」スッ

魔理沙「うわぁぁ!?いきなり現れんな!」

紫「早苗、結婚おめでとう」

早苗「ありがとうございます!……それで、旦那の修行の方は?」

紫「ええ。『ワープ能力』はしっかりマスターしたわ。もう私が手助けする必要もなさそうね」

パァァァ…

全員「!?」

早苗「え、なにこの光は…」

早苗たちが雑談をしていると、突如大きな光が辺りを照らす
そしてその光の中から、カミが現れる

アクトレイザー「待たせたな諸君。そして早苗」

早苗「あなた…!」ダキッ

早苗はカミに抱き尽き、カミもまた早苗を温かく抱擁する

アクトレイザー「ずいぶんと集まったな」ギュッ

早苗「はい!参加者も前回の宴会よりも大勢します」

~~~~

霊夢「それにしても…紫のスキマ空間と随分異なるわね」

魔理沙「紫のはもっと不気味だもんな」

アクトレイザー「ああ…なぜかは知らんが、紫が展開するスキマ空間と、私のスキマ空間は異なるようだ」

紫「私のは目玉が浮き出てるけど、彼のは眩しい光が現れる」

紫「どうやら本人の気質や性格で、スキマ空間に違いが出るようね」

477: 2016/12/17(土) 01:40:56.84 ID:+RLyrlfN0
アクトレイザー「わが親愛なる友よ。本当に無事でよかった…」

妖夢「カミよ…情けない結果で申し訳ない限りです」

魔理沙「最後の最後で氏にかけたが…まあ、楽しかったよ」

アクトレイザー「二人がいて本当に助かった」

アクトレイザー「そして友神チルノ、キミも幻想郷に帰ってこれたのだな」

チルノ「ああ。悪かったな…まさか最強のあたいが負けるだなんて」

チルノ「次は悪魔野郎なんかあたい1人で全滅できる位…強くなる!」

チルノ「これからもよろしくな!アクト!」

アクトレイザー「ああ!」

レミリア「あら、聞き捨てならない台詞を吐いてるわね。喧嘩する?」

チルノ「良いよ!目に物をみせてやる!」

美鈴「まあまあ。今日は大切な披露宴。だんまくごっこはまた後にしましょう?」

レミリア「覚えてなさい、成り上がりの神もどぎ」

チルノ「おうよ!喧嘩はまた今度だ!」

478: 2016/12/17(土) 01:41:55.65 ID:+RLyrlfN0
アクトレイザー「早苗…これを」

カミは早苗の指に、そっと指輪を入れる

早苗「あっ…」

アクトレイザー「これからはずっと一緒だ」

早苗「はい…!!」

カミと早苗は抱き合い、お互いの顔をそっと近づける

ヒューヒュー!

霊夢「///」

魔理沙「///」

咲夜「……」ドキドキ

妖夢「はわわわわわわわわ///」

鈴仙「す、すごい光景をみてしまったわ…///」ドキドキ

早苗「フフフ、私を幸せにしてくださいね///」

アクトレイザー「ああ勿論だ」

479: 2016/12/17(土) 01:43:02.99 ID:+RLyrlfN0
アクトレイザー「さて諸君、今日は私と早苗の披露宴に参加していただき、心から感謝する」

アクトレイザー「ここで改めて私の直属の部下と、守矢神社の関係者を紹介したい」

アクトレイザー「まずは…わたしの嫁である早苗だ」

早苗「今日はありがとうございます!」ペコッ

アクトレイザー「次に友人の…八坂神奈子に洩矢諏訪子」

諏訪子「今日は披露宴に来てくれてありがとう」

神奈子「これからも守矢神社をよろしく」

アクトレイザー「傘下としてウチの系列に入った…妖精の神・チルノだ」

チルノ「えへへへ、いえーい!」

アクトレイザー「続いては…私の直属の部下たちだ」

そういうとカミは、鞘から剣を引き抜き、横に薙ぎ払う
光のスキマ空間が出現すると、そこには4人の人物がたっていた

アクトレイザー「まずは…古来から、苦楽を共にした最高の部下であり、友人であり英雄である…エンジェルだ」

エンジェル「皆さん、こんばんは。今日はありがとうございます!」

魔理沙「おっ!エンジェル久々だな!」

エンジェル「魔理沙さんも、無事に退院できたようで何よりです」グスッ

霊夢「残り三人は誰かしら?見たことないけど…」

480: 2016/12/17(土) 01:44:24.26 ID:+RLyrlfN0
アクトレイザー「さて…残り三人は私の新しい部下だ」

アクトレイザー「彼らは元人間。それぞれが国を救った英雄たちである」

鈴仙「元人間で…英雄…?」

アクトレイザー「私は彼らに力を授けた。今では上級クラスの実力者とも対等に張り合える頼もしい部下だ」

アクトレイザー「この幻想郷で異変が起きたとき…どうか彼らを頼ってほしい」

魔理沙「まーた新しい勢力ができたのか。あとで弾幕ごっこを申し込もうかな」

アクトレイザー「紹介しよう。彼らの名前は…前世の人間時代では…」

アクトレイザー「○○○○と××××、△△△△と呼ばれていた」

アクトレイザー「あだ名では、聖者…もう一人は少年とよばれ…」

アクトレイザー「さらにもう一人は青年と呼ばれていた」

魔理沙「!!?」

チルノ「え!?あー…そういう事ね」

鈴仙「え…え?えええ!?せ、青年くん!?」

早苗「ふふふ、やっと気がついたようですね鈴仙さん」

早苗「あのカサンドラにいた霊魂も、その正体は青年くんの魂だったんですよ?」

鈴仙「う、嘘でしょ!?あ…でも言われてれば…思い当たる節がいくつも…」

481: 2016/12/17(土) 01:47:32.09 ID:+RLyrlfN0
アクトレイザー「彼らにはそれぞれ称号を与えている」

アクトレイザー「その称号を新しい名前にするようだ。さあ三人とも挨拶を」

聖者「始めまして。フィルモア出身の○○○○です。前世では聖者と呼ばれていました」

聖者「天使見習いにして…謎解きに特化した『パスワード』の称号を授かりました。故にこの名を新しい名として行こうと思います」

パスワード「よろしく」

少年「私は××××呼ばれていたものです。出身地はアイトス。称号は情報処理に特化した『イベント』」

イベント「これからはこの名前で天使見習いとしての活動をしていきます。よろしく」

パチパチパチパチ…

温かい拍手が彼らを包む

青年「あ…えと、私は…カサンドラ出身の△△△△です。なぜかよく『青年』って呼ばれてました」

青年「私も…一応前世では未成年にして神官でしたが…」

青年「趣味は可愛い女の子を口説くことで…なぜ私のような馬鹿者が天使見習いになれたのか…」

青年「そして何故か戦闘に特化した『バトル』の称号を与えられました…なぜ私が選ばれた非常に謎ですが…」

バトル「あ、これからは『バトル』と名乗るのでヨロシクです」

パチパチパチパチ…

鈴仙「」

バトル「あ、うどんちゃん…お久しぶり…青年と呼ばれてた△△△△だよ。あの時の霊魂の正体も私だったんだ」

鈴仙「」

アクトレイザー「以上。私の愛する妻と、頼もしい友人と部下たちだ」

霊夢「天使見習い…って事は、まだ正式な天使じゃないのね」

魔理沙「またすごい面子がそろったな」

482: 2016/12/17(土) 01:53:20.16 ID:+RLyrlfN0
――カミの演説が終わると、各自が好きに酒を飲み始める

魔理沙「いや~まさかお前が天使になるとはな!」

バトル「いや~本当に、世の中よくわかんないっすよね~魔理沙ねえさん」

バトル「でもまだ見習いですから。半分幽霊で半分天使の半端モンっすよ」

妖夢「半霊半天…なんか私と種族的に近いですね」

バトル「いずれは正式な天使になるから…それまでは妖夢ねえさんと近い存在っすね」

チルノ「えへへへ、また会えたな青年!」

バトル「おっす神チルノ!またあなた様に会えて光栄の極みです」

咲夜「あなたがカサンドラとブラッドプールを救った英雄?」

バトル「」

咲夜「はじめまして、一時離脱もしたけど共に闘った十六夜咲夜です」

バトル「」

沙夜「??」

バトル「こ…この世の物とは思えない美人さんが…いま、私の目の前に…」

咲夜「はあ?」

鈴仙「ちょっと!」グイッ

天使見習いバトルが鼻の下を伸ばしていると、横から鈴仙がバトルの頬をつよく掴む

バトル「っ!?痛い痛い!は、はなしてくれ~」

鈴仙「もう!アナタは美人だと思う相手なら誰にでも口説くのね!」

バトル「う、うどんちゃん…」

鈴仙「……」

鈴仙「色々とお話もしたいし…二人っきりで飲もう?」

バトル「……!!うん飲む!うどんちゃんと朝まで飲む!」

483: 2016/12/17(土) 01:54:43.99 ID:+RLyrlfN0
チルノ「よっしゃーミスチー!カラオケ歌うぞ!」

ミスティア「オッケー!んじゃ曲は『あの桜はアルカリ』で!」

バトル「神チルノ!私もうたいます!!」

チルノ「おっしゃこい!」

鈴仙「ちょ、ちょっと!二人っきりで話すって言ったじゃない!」

バトル「そんなの歌い終わってからもできるじゃん!」

バトル「さあうどんちゃん!今宵は永遠の神・アクト様の披露宴!盛大に盛り上げていこう!」

バトル「うどんちゃんも我々と共に一緒に歌うぞー!!」ギュッ

鈴仙「え、ちょ、待っ…キャ!いきなり体を持ち上げないでよ…」

天使見習いバトルは、鈴仙をお姫様だっこして歌い始める

チルノ・ミスティア「ワハハハハハハハ!!!」

バトル「ワハハハハハハハ!!!」

鈴仙「もう…ばか…」

魔理沙「あいつ、もうすっかり幻想郷に馴染んでるな」

霊夢「あなたち…どうしたの?顔色悪いけど」

パスワード「すまない…酒は今まで飲んだことなくて…ウッ!」

イベント「どうも我ら二人は酒があまり得意じゃないようで…ウッ!」

霊夢「ちょっとちょっと!吐くなら森の中か、便所でしてよね!」

バトル「神チルノ!カラオケ終わったら飲みくらべ勝負しましょー!!!」

チルノ「望むところだーー!!!」

萃香「わたしも参戦するぜ!!!」

鈴仙「ちょっと!私との雑談はいつになるのよ!」

――その後、鬼の萃香と天使見習いバトルの、飲み比べ勝負は引き分けに終わった

484: 2016/12/17(土) 01:58:35.79 ID:+RLyrlfN0
~深夜~

アクトレイザー「楽しい飲み会だったな」

早苗「ええ」

アクトレイザー「あまり酒は強くないのだろ?大丈夫か」

早苗「はい、ちゃんと量は抑えたので」

アクトレイザー「パスワードとイベントは大丈夫か?」

パスワード・イベント「う~ん…」グッタリ

早苗「かなり…うなされてます」

アクトレイザー「まさか二人が酒が苦手だとは…」

萃香「ワハハハハハハ!お前気に入ったよ!また一緒に飲もう!」

バトル「うっす!萃香ねえさん!」

早苗「あの方は異常なほどお酒に強いですが…」

アクトレイザー「ハハハ、彼は全てにおいて豪快な男だからな」

バトル「いやーゴメンゴメンうどんちゃん」

鈴仙「もー…散々と人を待たせて」

バトル「とりあえず、この赤ワインでも飲みながら、積もりに積もった話をしよっか?」

鈴仙「まだ飲むの!?もう…」

バトル「……ドコから話そっか」

鈴仙「え?そうね…」

アクトレイザー「……二人の邪魔をしてはならない。私たちは宴会の片づけをしよう」

早苗「はい」

485: 2016/12/17(土) 02:00:20.98 ID:+RLyrlfN0
――すでに帰宅した者や、宴会場で酔いつぶれてしまった者、寝てしまった者がいる中、早苗とカミは、散らかったゴミの山を片付ける

霊夢「ちょっと…新郎新婦が何も律儀に片付けなくても…部下にやらせれば良いじゃない」フラフラ

アクトレイザー「部下二人は顔色が悪いし、もう一人は…その邪魔しては悪いしな」

霊夢「エンジェルは?」フラフラ

アクトレイザー「神チルノに連れてかれた。ミスティアと呼ばれる妖怪少女が経営してる屋台で飲みにいくと言ってたな」

霊夢「そう…早苗、私も眠いから泊まって行っても良い?」

早苗「はい。好きな所で布団敷いて休んでください」

霊夢「悪いわね」フラフラ

アクトレイザー「……」

早苗「……」

アクトレイザー「早苗」

早苗「はい」

アクトレイザー「幻想郷は本当に良い場所だ」

早苗「ええ、そうですね」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「だからこそ…残念でならない」

アクトレイザー「サタンにもこの世界にきて…和解し、共に酒を飲み合いたかった」

早苗「あなた…」

アクトレイザー「……」

~~~~~

霊夢「んじゃおやすみ…」

霊夢「……」

霊夢「そういえば。招待状おくってやったのに結局こなかったわね…」

霊夢「フレアとかいう妬み巫女…」

486: 2016/12/17(土) 02:03:42.97 ID:+RLyrlfN0
~数日後・デスヘイム跡地にて~

紫「……」

八雲紫は断崖絶壁の前に立つ

藍(らん)「素晴らしい景色ですね…」

紫「ええ。やっぱり海って良いわね」

橙(ちぇん)「わぁぁ…泳ぎたいな…!」

藍「ふふふ、そうだな」ナデナデ

紫「……」

藍「それで…我らをこの世界に呼んだ用件とは?」

紫「用ってほどじゃないけど…まあ、あれよ」

紫「これで全部終わりだし…一緒に感傷に浸って欲しいというか」

藍「はぁぁ……まあ確かに、見事なまでに美しい世界に生まれ変わりましたね」

藍「紫様はスキマをあけて時々、様子は見てましたしね…寂しくなる気持ちがあるのは分かります」

紫「何を勘違いしてるの藍」

藍「え?」

紫「私は…魔王サタンが欲しかった」

藍「は、はあぁぁ!?」

紫「私はね、きっとアクトが最後は彼に情けをみせる事を確信してたわ」

紫「そして見事にアクトは私の想像通り、サタンに救いの手を差し伸べた」

紫「それなのに…サタンったら。あんな意地を張って」

紫「想像以上に頭が固い男だったわね…サタン」

487: 2016/12/17(土) 02:06:47.16 ID:+RLyrlfN0
藍「ちょ、ちょちょちょ!待ってください!あそこまで邪悪すぎる存在…大昔の鬼でも妖怪でもいませんでしたよ!」

藍「あんなキチOイを幻想郷に連れて帰るって…私には理解できません」

紫「幻想郷は全てを受け入れるわ」

藍「……っ」

紫「近年、妖怪も鬼も、みーんな性格がすっかり丸くなっちゃったじゃない?」

紫「まるで人間みたいにふるまったり…」

紫「こんな事じゃ、人々にとって妖怪は『恐怖の対象』では無くなってしまう」

紫「妖怪は人間に恐れられ、人間は妖怪を退治する…そうする事で、幻想郷のバランスは保たれる」

紫「でも近頃、妖怪はどうも舐められてる気がするのよ」

紫「そうじゃなくても命蓮寺や神霊廟といった…『正義』の力を持った勢力が増えすぎてるのに」

紫「守矢神社もいまでは、幻想郷でもトップクラスの『正義の勢力』になりつつある」

藍「正義と悪のバランスが崩れかけてる…という事ですか?」

紫「そこまで自体は深刻じゃないけど…」

紫「いずれにせよ私はサタンを『利用』して意図的に異変を起こし…霊夢に退治させるつもりだった」

紫「そして天狗の新聞を利用して、あることない事を書かせて…改めて妖怪の恐ろしさを里の住民に知らせるつもりだった」

藍「……」

紫「妖怪とは精神的な生き物。常に人々から恐れられなければならない」

紫「アクトはまだ…幻想郷の本質を理解してないわ」

488: 2016/12/17(土) 02:07:47.29 ID:+RLyrlfN0
紫「はぁあ~…ゆかりんガッカリ…」

藍「……しかし、さすがにあのダメージを背負ってはもう復活することは無いでしょう」

紫「わかってるわよ…」

ガツン、ガツン、ガツン

橙「ん?」

藍「どうした?チェン」

ガツン、ガツン、ガツン

橙「なにか音がする」

ガツン、ガツン、ガツン

藍「本当だ…」

紫「?」

爪で何かを引っ掻くような、乱暴な音が聞こえる

ガツン!ガツン!ガツン!

その音はどんどん大きくなっていく

橙「あ、見て藍さま!崖から何かが這い上がってくるよ!」

藍「ん、どれどれ…」

藍「うっ…!!なんだあのグロテスクな物体は…!?」

モゾモゾと蠢く、黒く不気味な塊は、鋭いツメで這い上がってくる

ガツン!ガツン!ガツン!

489: 2016/12/17(土) 02:10:37.75 ID:+RLyrlfN0
紫「……」

ガツン!ガツン!ガツン!

藍「チェン!さがってなさい…!」

橙「なにあれ怖いよ…藍さまぁ」ガクガク

ガツン!ガツン!ググッ…

海草やら深海魚に嚙まれた黒い塊は、モゾモゾと動きながら地上に到着する

藍「何なんだ…この生き物は…」

紫「……」

紫「サタン?」


藍・橙「え!?」

サタン「ぐぐ…ぎぎぎ…がぁぁ…」ガクガク

藍「う、嘘だろ…もう三ヶ月以上たってるんだぞ!?なんで生きてるんだ!!」

サタン「ゼェゼェ…」

サタン「ウガァァアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!」

藍・橙「…ッ!?」

紫「……」

サタンが大声で叫ぶと、周りから衝撃波が放たれる
海水は大地とは真逆の方向に津波が発生する

藍「な、なんだこの力は…」

490: 2016/12/17(土) 02:11:06.87 ID:+RLyrlfN0
サタン「ゼェゼェ…」

サタン「この世に『背徳』の二文字が存在するかぎり…私は何度でも蘇る…」

サタン「どこにいるのだカミ!!!出て来い!!!」

サタン「まだ終わってないぞ!?もう一度勝負しろ!!!」

サタン「ん!?」チラッ

サタンが空を見上げると、そこには天空城が目に映る

藍「あれは天空城…」

サタン「ククク…そこか…」

サタン「ん、なんだあの光は…」

天空城の前に大きな光が差し込む
カミが展開した光のスキマ空間だった

サタン「なっ…!天空城が消えていく…」

サタン「行かせるかて…」ギリギリ

サタン「待たぬかぁぁ!!!」シュバッ

藍「なっ…飛行しただと!?」

サタンは猛スピードで飛んでいき、スキマの中へと消えていく

藍「と、とんでもないことになった…」

紫「橙に藍、幻想郷へ急ぎましょう」

橙・藍「はい!」

491: 2016/12/17(土) 02:13:15.12 ID:+RLyrlfN0
~天空城~

アクトレイザー「ん?」チラッ

早苗「どうされましたアナタ?」

アクトレイザー「いま…サタンの気配を感じたような」

早苗「え!?」

アクトレイザー「…………」

アクトレイザー「いや、気のせいだ」

早苗「もう、おどろいたじゃ無いですか」

アクトレイザー「すまない」

アクトレイザー(もうサタンはこの世にいない)

アクトレイザー(……いるはずがないのだ)

~幻想郷・妖怪の山~

ヒュゥゥゥゥ…ドゴォォン!

サタン「ぐおぉぉ!?」

サタンは幻想郷に到着した瞬間、力尽きる
あと少しで天空城に辿り着く、一歩前だった

サタンはうめき声を上げながら、天空を飛行する城へと手を伸ばす

サタン「ぅぅ…ぐぅぅぅ…!!」

サタン「お、おのれ…カミめぇ…」

橙「……」

藍「……」

紫「……」

492: 2016/12/17(土) 02:15:07.65 ID:+RLyrlfN0
サタン「あと少し…あと少しだったというのに…」

サタン「こひゅー…こひゅー…」

藍「……」

式神の八雲藍は、サタンに向かいそっと手の平を向ける

藍「正直、惨くてみていられない」

藍「私が介錯します」

紫「……」

紫「待って藍」

藍「え?」

紫「……」

サタン「ぅぅ…そこにいるのは誰だ…」

サタン「悪魔に近いが、それとは違う妙な気配…何者だ…」

紫「初めまして魔王サタン。私、八雲紫と申しますわ」

サタン「ヤクモ…ユカリ…?」

紫「魔王サタン…アナタがうけた傷を一週間かけて癒してあげましょう」

サタン「なんだと?」

橙・藍「!?」

紫「その代わり…いくつかの条件を飲んでほしいのだけれど…」

サタン「何でもいい!さっさと早く私のキズを癒せ!!」

紫「フフフ…」

紫「ようこそ魔王サタン。幻想郷へ」

第一章・完(第二章へ続く)

493: 2016/12/17(土) 02:19:42.38 ID:+RLyrlfN0
ここまで見てくれて本当にありがとうございます
第一章はこれで終わり

第二章は別スレを立てて書きます

なお、おまけ回を書くのでまだ第二章にはいきませんし、終わるまでスレもまだ立てません
(おまけ回は、一章と二章の間の話)

第二章はだいぶ話のノリが変わると思います
前半は東方的(茨歌仙や鈴奈庵といった書籍版)なノリで、後半は再びアクトレイザーのノリが強くなります

とりあえず次回はオマケ回という事で


三人の天使(このSSでは見習い)ですが、あれはアクトレイザー2にも出てきます

499: 2016/12/25(日) 07:55:45.44 ID:qLTG2J0I0
『おまけ』

~~~~~~~~

サタン討伐し、その三ヵ月後に神アクトレイザーと早苗は正式に結婚
それから数ヶ月の間、二つの異変があった

都市伝説といったオカルト関連の騒ぎ、そして月の民による幻想郷の浄化作戦

幻想郷の人間たちは異変解決に向かうが…

~~~~~~~~~

アクトレイザー「……」テクテク

カミは守矢神社の境内にて腕組みをしながら、落ち着きなく右往左往していた

諏訪子「なんだよ落ち着きがないな」

神奈子「神ならもっとどっしりと構えてないとダメだぞ」

アクトレイザー「諏訪子に神奈子よ…私はもう我慢の限界だ」

アクトレイザー「私自身が今回の異変を解決しよう」

神奈子「ダメだ。何度言わせれば分かるんだ」

アクトレイザー「……」

諏訪子「異変解決ってのは人間がやるって相場で決まってるんだよ」

アクトレイザー「そんな事だれが決めたんだ?曖昧な言い回しだな。私はいく」

神奈子「お前は困っている者を自分の手で守らなければ気が済まないようだが」

神奈子「言い換えれば『過保護』だ」

諏訪子「アクトがいた世界の人間はともかく、幻想郷には強い力をもった人間がいる」

諏訪子「異変解決は修行にもなる。私たちがすべきことは見守る事」

神奈子「我々が動くのは人間だけでは、どうにもならない時だけで良い。それまでは見守る事だけに専念するべきだ」

諏訪子「大体、アンタの部下だって派遣しただろ?えーと…かつて青年と呼ばれたバトル天使が」

諏訪子「それに加えて…霊夢に魔理沙、永遠亭のウサギも出動してるんだ…戦力としては充分だろ」

500: 2016/12/25(日) 08:02:14.61 ID:qLTG2J0I0
アクトレイザー「……何を言っても無駄だ。私の意志は変わらない」

神奈子「……」

諏訪子「……」

神奈子「1つ聞くが、前の『オカルト異変』の時はなぜ積極的に出動しなかった?」

アクトレイザー「あ、あの時は…人里の人間に危害が及ばないよう…警護を勤めていて…」

アクトレイザー「それに『あの世界』の町の復興とその見守りも忙しくてだな…」

神奈子「理由はそれだけか?」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「さ…早苗が…特に目立った動きをしてなかった物でな…」

神奈子「はぁぁ…」

アクトレイザー「ため息をつかなくても良いじゃないか…前回での異変は解決するために動き出した者達も大勢いた」

アクトレイザー「それを悟ってか、早苗も動かなかったし…」

諏訪子「あんた結局の所、早苗がただ心配なだけだろ!」

アクトレイザー「当たり前ではないか!!いまもこうしている間に…早苗は危険に晒されているのだぞ!?」

諏訪子「あんたね、気がついてるとは思うけど…早苗はあの世界での経験を得て、そうとう強くなったんだよ?」

神奈子「まだ未熟な点も多いが…近い将来、博麗霊夢と同等の実力者になる日も近い」

必氏にカミを説得しようとする守矢の二柱
しかしカミは意志を変えず、背中に背負った剣を引き抜く

アクトレイザー「……神奈子よ。そういえば今日はまだ『稽古』をしてないな」

神奈子「そうだね。あんたは力が衰えないように我々と1日1戦を交え、修行を欠かさなかった」

諏訪子「でもアクトって…私達に勝てた事ある?」

アクトレイザー「ない。毎日1戦を交えてるが、そなた達二人には勝てた試しがない」

アクトレイザー「そなた達は途方もなく強い。尊敬してる」

諏訪子「そりゃどうも。でもそれじゃ…あんたの本懐は達成されないんじゃ?」

神奈子「言っておくが全力で阻止させてもらう。いつもみたいに一対一じゃない」

神奈子「二体一だ。早苗の所へいきたければ我々を同時に倒せ」

アクトレイザー「望むところだ…いくぞ!!」

501: 2016/12/25(日) 08:03:21.94 ID:qLTG2J0I0
~その頃、道中~

魔理沙「おお、まさかお前が派遣されるとはな」

バトル「ちっす。青年とよく呼ばれてたバトル天使です」

魔理沙「他の二人はどうしたんだ?」

バトル「イベント天使はあっちの世界の見守り、パスワード天使は人里の警護やってます」

バトル「アクト様も行きたがってたんですがね…あのお二人に引き止めれてしまい。仕方なく私を派遣したようですが…」

バトル「私の想像だと、まだ本心じゃ諦めてないような気もします」

魔理沙「ま、今回の異変もサクッと解決できるだろ」

早苗「……」

魔理沙「どうした早苗。元気ないが」

早苗「え?そ、そんなことないですけど…」ソワソワ

魔理沙「ふーん。ま、チャッチャと終わらせようぜ」

早苗「……はい」

バトル「うどんちゃん!僕が全力でキミを守るからね!」

鈴仙「そ、そんなに心配しなくても…保険として『紺珠の薬』も持って来てるし」

魔理沙「あれ、結局の永琳の作った薬飲んでなかったのか」

鈴仙「うん。その…青年君が飲まなくて言いっていうから」

バトル「薬に頼らずともこの私がいれば問題ない!うどんちゃんは私が守るからな!」

502: 2016/12/25(日) 08:05:15.93 ID:qLTG2J0I0
鈴仙「そういえば気になってたんだけど」

バトル「ん?」

鈴仙「青年くんはまだ正式な天使じゃなくて、見習いなんだよね?」

バトル「うん。まだ完全に天使になるには早いって言われて」

魔理沙「そもそもお前ら三人はどういう経緯で『天使見習い』になったんだ?」

バトル「あれは…アクト様が、魔王サタンを滅ぼしたあとの話なんですが…」

バトル「我らは霊魂の状態で、カミに別世界へと導かれ…四季映姫さまに会ってきました」

~回想~

小町「映姫さま、客人です」

小町「いやー!高潔な魂をもった者たちだったおかげで、あっと言う間に辿りつきましたよ」

映姫「これはこれはわざわざココまで…」ペコッ

アクトレイザー「忙しいところ悪いな」ペコッ

アクトレイザー「察しはついてると思うが、彼らは幻想郷の民ではない」

アクトレイザー「私がいた世界の…英雄たちだ」

アクトレイザー「どうか彼らを裁く前に、お願いがある」

アクトレイザー「この3人の英雄を…彼らを…私の部下にしたい」

映姫「元人間から天使へと昇格させたいと」

アクトレイザー「そうだ」

映姫「たしかに彼らは天使の称号を得られるだけの器はありますね」

映姫「1人だけ、欲の深そうな者もいますが…まあその器の大きさと、善に対し情熱的なのは認めましょう」

映姫「私としては構いません」

アクトレイザー「感謝する」

映姫「しかし…彼ら三人とも、前世は悪魔でしたね?」

霊魂三人「……」

503: 2016/12/25(日) 08:08:12.35 ID:qLTG2J0I0
アクトレイザー「ああそうだ。前々世にて悪魔達に殺され…魔物に変えられた経緯がある」

アクトレイザー「そして、悪魔に変えられた後は…言うまでもない」

霊魂三人「……」

映姫「不本意とは言え悪魔に変えられた後は…殺戮の限りを尽くした。そういう事ですね?」

霊魂三人「……」

映姫「結論を言うとアナタ達三人は地獄には落ちません」

映姫「むしろ生前の功績を称え…今生まれかわったら、幸福なる未来が待っているでしょう」

映姫「しかし人から天使になるというのは…それまで関ってきた友人や知人、家族との縁が切れてしまいます」

映姫「ひたすらカミの使いとして、永遠に人々を救済し続ける事を意味します」

映姫「三人の英雄たちは、そのことは理解してるのですか?」

アクトレイザー「三人にはすでに説明した。本人たちも迷うこと無く納得している」

霊魂三人「……」

映姫「……どうやら、三人の英雄たちも本気で決意しているようですね」

映姫「良いでしょう。私は彼らを裁きません」

映姫「ただし、私から1つ忠告をしておきたい」

アクトレイザー「なんだ?」

映姫「何事にも順序、下積みは大事です」

映姫「魔物だったころの悪行の反省も兼ねて…まずは天使の見習いから初めてはいかがでしょうか」

アクトレイザー「見習い…か。わかった」

アクトレイザー「聞きたまえ英雄たちよ…君たちは数十年ほど見習い期間を設ける」

アクトレイザー「そして悪しき存在とも闘えるように…私から力を授けよう」

アクトレイザー「長い付き合いになる。共に平和を守ろう…英雄たちよ」

映姫「そうそう。1つだけ忠告を」

アクトレイザー「む?」

映姫「この三人の中で、どうしようもない女好きの英雄がいますが」

映姫「『英雄色を好む』という言葉もありますが、そんな物は通用しません」

映姫「あまり女好きがすぎると『堕天使』に陥るでしょう」

映姫「恋愛自体は構いませんが1人にしぼりなさい」

映姫「アナタがかつて夢見た…『国の最高神官となり、世界一の美人と結婚し、さらに側室を数人設ける』は諦めなさい」

小町「なかなかの野望の持ち主だったんだなお前さん」

アクトレイザー「……気を付けたまえカサンドラの英雄よ」

霊魂「……」コクコク

~回想終了~

504: 2016/12/25(日) 08:09:37.08 ID:qLTG2J0I0
魔理沙「なるほどな。そんな経緯があったとは…」

バトル「映姫様は厳しいお方だと聞いてたけど、意外とあっさり認めてくれたんスよ」

バトル「親族や友人たちと会えなくなるのは寂しいが…カミ様から直々にお願いされるほど光栄な話はない。断る理由もない」

鈴仙「……っていうか。青年くんの生前の将来の夢って…あれ、本当なの?」

バトル「うん。国の最高神官となって人々を導き…」

バトル「その後、世界一の美女と結婚し、とびっきりの美女の側室を設けるのが夢だった」

鈴仙「呆れて返す言葉がないわ…」

早苗「皆さん。前方に何者かが現れました…!」

清蘭「こちら清蘭、好戦的な地上人と接触。浄化活動にはいる」

清蘭「……ってあれ鈴仙じゃん。ひさしぶりー!元気?」

鈴仙「久しぶり。さっき思いっきり攻撃を仕掛けれけどね」

清蘭「これも仕事なの、判るでしょう?」

魔理沙「知り合い?」

鈴仙「ええ。月の都に住んでた頃の」

バトル「うどんちゃんと同じウサ耳…」

バトル「キミ可愛いね!」

清蘭「は、はぁ?」

魔理沙「おまえいい加減に懲りろよ!」

バトル「だ、だって!あんなに…あんなに可愛い子が…」

鈴仙「もう!いまは異変解決してる最中でしょ!」

バトル「あ、ご、ごめんうどんちゃん!」

清蘭「貴方は何者なの?」

バトル「永遠の神アクトレイザー様に仕える、天使見習いだ!前世の名前は△△△△!今はバトルと名乗っているバトル天使だ!」

清蘭「て、天使の見習いって…たしかに背中には翼はあるけど、あまり天使っぽくないわね」

505: 2016/12/25(日) 08:12:42.05 ID:qLTG2J0I0
清蘭「んで、やけに仲良さげだけど…どういう関係なの?」

鈴仙「えっと…彼とは友達」

清蘭「ふーん」

バトル「……」

バトル(私とうどんちゃんの関係…か)

バトル「うどんちゃん」

鈴仙「ん?」

バトル「好きです。付き合ってください」

全員「!!?」

鈴仙「」

清蘭(いきなり何を言い出してんだコイツ)

バトル「ずっと忙しくてなかなか会えなかったし。このまま友達だけの関係で終わるのもイヤだ」

早苗「な、なにも今言わなくても…」

バトル「映姫様の忠告を考えると…私はもう白黒はっきりしたいんだ」

バトル「ただ、ここでどんな答えが返ってこようと、私はキミを守り続ける。天使見習いだから」

鈴仙「はぁぁ…本当に、バカなんだから」

鈴仙「知ってるわよ。私を好いてること位」

バトル「ええ!?なんで!?」

鈴仙「毎週のように近況報告の手紙は届くし…て言うか前にナンパされた時点で勘付くし」

鈴仙「……」

鈴仙「もう二度と、他の女の人を口説かないと誓うなら、付き合ってもいいよ」

全員「!!?」

バトル「え、本当!?やったーー!!」

魔理沙「な、なんて軽いノリなんだ…」

鈴仙「その…私だけを見てね」モジモジ

バトル「もちろんだ!」

バトル「っという訳で、うどんちゃんとの関係はいまから恋人同士だ」

清蘭「……」

清蘭「メーデーメーデー!緊急事態発生!むかし地上に逃亡した鈴仙が、自称天使と名乗る変な男と付き合うことになった!」

鈴仙「ちょ、テレパシー使って月のみんなに報告しないで!」



506: 2016/12/25(日) 08:13:51.61 ID:qLTG2J0I0
清蘭「変な茶番を見せられたけど…とにかく決闘よ!」

バトル「良いだろう!私が受けて立つ!」

清蘭「いや、あなたじゃなくて鈴仙に言ってるんだけど…」

バトル「私は天使見習いだ!アクト様から命をうけた以上…幻想郷に害をなすキミを排除する」

バトル「そして愛する彼女に傷など付けさせてたまるか!」

バトル「いくぞ!私のラストスペル…」

鈴仙「ちょ、いきなりラスぺは早すぎるわ!」

バトル「じわじわとやるのは性に合わない。一気にケリをつけよう」

バトル「迷符・飢えと渇きと孤独の数日間」

早苗「なにこれ…急に妙な空間に…」

魔理沙「これは固有結界…」

鈴仙「灼熱の砂漠の大地…遠くに見えるピラミッド…」

清蘭「え、なにこの空間。ものすごく暑いんだけど…」ダラダラ

バトル「私がかつて味わった地獄…それをいまから弾幕で表現しよう」

バトル「さあ覚悟しろ。飢えと渇きと孤独に苦しんだあの灼熱地獄の体験ツアーだ!」

バトル「耐久スペルだ。どこまで耐えられるかな」

清蘭「」

507: 2016/12/25(日) 08:14:52.73 ID:qLTG2J0I0
それから幻想郷の人間たちと天使見習いは、順調に勝ち進み、真の黒幕の元まで辿り着く

一方、神アクトレイザーもまた二柱との決着がつく

~~~~

神奈子「ぜぇぜぇ…う、嘘だろ…」ガクッ

諏訪子「いままで私達に勝てなかったのに…」ガクッ

アクトレイザー「悪く思うな」

神奈子「負けてしまった以上、もうそなたの意志を尊重しようではないか」

神奈子「だがいま早苗がドコにいるのか…わかるのか?」

諏訪子「もうずいぶん時間が経っちゃったよ?」

アクトレイザー「問題ない」

アクトレイザー「こうやって…まぶたを閉じれば、早苗がいまどこにいるのか。私には分かる」

瞳を閉じて精神統一するカミ
そして剣を縦に振ると、空間が裂けはじめる

アクトレイザー「早苗の居場所…わかったぞ。かなり特殊な場所だ」

アクトレイザー「ではいってくる!」

諏訪子「あーあ…いっちゃった…」

神奈子「早苗関連のことになるとアクトは、別人染みた強さを誇るな」

諏訪子「っていうかアクトも段々、幻想郷の住民っぽくたってきたよね。初めて会ったときは絵に描いたような優等生気質だったのに」

神奈子「ああ。良くも悪くも幻想郷にすっかり馴染んでしまった」

508: 2016/12/25(日) 08:16:14.18 ID:qLTG2J0I0
~~

魔理沙「それにしても侵略してきた月の民が、まさか別の誰かに月を侵略されていたとはな」

鈴仙「相手は恐ろしく強いわね…あの神霊」

早苗「ぜぇぜぇ…」

純狐「あら、そろそろ限界のようね」

魔理沙「早苗、もうボロボロじゃないか!降参して私と変われ!」

早苗「いえ…まだ闘えます」

バトル「」

鈴仙「まだ青年君の意識が戻らないわね…いまのうち手当てしておこうっと」

魔理沙「しかし純狐とかいう奴は何なんだ…あのデタラメ地味た強さ…」

純狐「さあ、次いくわよ?」

純狐「殺意の百合」

早苗「ぜぇぜぇ…」

早苗(螺旋状のビームが沢山…あんなの避けられない…)

早苗(もうダメだわ…意識が…)

純狐「終わりよ。自称現人神」

ボォォォン!!!!

魔理沙(あーこりゃダメそうだな)

魔理沙「なあ、次は私がいっていいか?」

鈴仙「いや、私がいくわ」

魔理沙「故郷の問題だもんな…しょうがない。ゆずってやる」

アクトレイザー「いや、私が倒す」

全員「!!?」

爆煙の中から現れたのは傷ついた早苗でなく、体を張って早苗を守ったカミだった

早苗「あ、あなた…」

アクトレイザー「早苗…なんて酷い傷なんだ」ギュゥゥ

早苗「……」ギュゥゥ

509: 2016/12/25(日) 08:18:13.77 ID:qLTG2J0I0
純狐「……だれ?」

アクトレイザー「この子の夫だ」

純狐「あら結婚していたの?まだ若いのに」

アクトレイザー「異変の首謀者か?」

アクトレイザー「……貴様、神の1人だな?」

純狐「ご名答。そういうあなたも神ね」

アクトレイザー「なぜ神と言う立場でありながらこんな事をした」

純狐「はぁぁ…説明するのも面倒だし」

純狐「今は深い事は考えず闘いを楽しみましょう…純粋に」

アクトレイザー「神でありながら人々を困らせるとは…呆れてものが言えぬ」

アクトレイザー「……説教はあまり得意ではない。闘いと言う形で説教をさせてもらう」

純狐「肉体言語…ふふ、判りやすくて良いわ」

純狐「それにしても…『夫婦』か…」

純狐「なかなか良い夫を持ったわね。あなたも」

早苗「ええ。この世でもっとも愛してる人ですから」

純狐「……私もあなたの夫みたいな素晴らしい殿方と結婚してれば…息子を失わずにすんだかもね」

早苗「え?」

純狐「私は最低最悪な夫と結婚をした。でも貴方は気高く最高の夫と結ばれた」

純狐「じつに妬ましいわ…私の純化する能力が、憎しみと嫉妬の炎を燃やす」

純狐「さあ、いつまでも私に夫婦愛を見せ付けてないで、かかってきなさい」

510: 2016/12/25(日) 08:19:31.36 ID:qLTG2J0I0
アクトレイザー「早苗、キミはもう休んでいなさい」

早苗「はい。アナタ、どうかご無事で…」

アクトレイザー「……」

純狐「フフフ…」

アクトレイザー(私には分かる。この女は只者ではない)

アクトレイザー(正直、勝てるかどうか…だがそんな事言ってられぬ)

カミの額から冷や汗が流れる

霊夢「ごほごほ…待ちなさい」

霊夢「着替えるのも面倒だったのよ…ごほごほ」

アクトレイザー「博麗の巫女!?どうした、マスクをして…それに寝巻き姿で…」

魔理沙「霊夢の奴、体調悪いのに無理してここまで来やがったんだ。勿論、私たちは止めたんだが言う事きかなくて」

鈴仙「しかも、ここまで一発も被弾せずに来たのよ?デタラメ染みてるとしか言いようがないわ」

霊夢「幻想郷の異変は博麗の巫女が解決する…昔から相場で決まってることよ。本来アクトさんは出る幕じゃない」

霊夢「……とは言え。私も体調悪くてね」

霊夢「あの純狐とか言うの。一緒に倒しましょ」

アクトレイザー「キミが仲間と言うのは心強い。だが決して無茶はするな」

霊夢「分かってる」

アクトレイザー「さあいくぞ!!」

純狐「いくわよ…『純粋なる狂気』」

511: 2016/12/25(日) 08:20:02.59 ID:qLTG2J0I0
――その後、氏闘の末に純狐に勝利する
しかし異変は依然として続いていた

首を傾げていた所、稀神サグメからまだ異変が終わっていない事、他にも純狐と手を組んでいる者がいる事を知らされる

霊夢と魔理沙、鈴仙、そして早苗とアクトレイザーは闘いに赴く
そしてへカーティア・ラピスラズリと名乗る地獄の女神と闘う事となる
激しい氏闘の末、辛うじて勝利する

そしてその後、幻想郷にて宴会が開かれる

512: 2016/12/25(日) 08:21:12.43 ID:qLTG2J0I0
~博麗神社にて~

早苗「博麗神社で宴会って、なんか久々ですね」

霊夢「なぜか最近は守矢神社での宴会が多かったからね」

魔理沙「あれ?鈴仙は」

霊夢「縁側で、彼氏と仲良く飲んでるわ」

魔理沙「何だかんだ言って上手くやってるんだな」

アクトレイザー「さあ早苗よ、我々も一杯しよう」

早苗「はい!では乾杯」

~~~

早苗「あなた!私が作って来たお弁当です!」

早苗は卵焼きを箸で掴み、そっとカミの口元へ運ぶ

早苗「はい、あーん」

アクトレイザー「んん…ふぅ、素晴らしい。美味すぎる」

アクトレイザー「では私からも…」スッ

カミは肉じゃがを箸で掴み、早苗の口元へ運ぶ

早苗「ん…あなたの愛のおかげで美味しさが増しました///」

アクトレイザー「……」

早苗「……」

チュッ

早苗「フフフ…」

アクトレイザー「ハハハ…」

513: 2016/12/25(日) 08:21:52.17 ID:qLTG2J0I0
霊夢「なんかもう見てるこっちが恥ずかしくなるわ…」

魔理沙「なんかアクトも段々、人目をはばからなくなって来たよな。色んな意味で」

神奈子・諏訪子「分かる」

霊夢「元はと言えばあんたらにも原因があるでしょ…」

神奈子「そりゃそうだけどさ…なんかもう毎日毎日、あんな光景をみせられたれねぇ…」

諏訪子「正直、まさかあそこまでバカップルになるとは思ってなかったからさ…」

妖夢「……」

妖夢「はぁぁ…」

魔理沙「ん?何を落ち込んでるんだ妖夢」

妖夢「え?いや…べつに」

魔理沙「……」

魔理沙「おまえ、アクトに惚れてたな?」

妖夢「っ!?!?な、ななな///ち、ちが、違う!!」

霊夢・魔理沙(反応わかりやす)

妖夢「いきなり変な事を言わないでください!大体わたしとあの方がつりあうはずもあるまい!!///」

魔理沙「はいはい」

514: 2016/12/25(日) 08:23:15.30 ID:qLTG2J0I0
早苗「フフフ」

アクトレイザー「ハハハ」

純狐「相変わらず仲が良いのね」

早苗「アナタ達は…」

ヘカーティア「ふふふ、お呼ばれされちゃったから来たわ」

アクトレイザー「君たちには言い事は山ほどあるが折角の宴会の席だ」

アクトレイザー「一先ず過去の事は水に流す事にしよう」

へカーティア「フフフ。器が大きいのね。そうじゃないと神は勤まらないけど…」

ヘカーティア「あなたの言いたい事はわかるわ。『神としてありえない行動だ』とかどうせそういうのでしょ?」

アクトレイザー「平たく言えばな」

へカーティア「アナタはちょっと真面目すぎるのよ。もう少しふんぞり返ってもいいと思うわよ?」

純狐「そうよ。神なんだから」

アクトレイザー「……返す言葉もない」

早苗「ちょっと!私の夫に変な事を言わないで!私は真面目な夫が好きなの!」ギュゥゥ

アクトレイザー「早苗…私も生真面目なキミが好きだ」ギュゥゥ

純狐「……良いわね。本当素敵な夫で。羨ましいわ」

515: 2016/12/25(日) 08:24:35.22 ID:qLTG2J0I0
~~~

へカーティア「へぇ~そのサタンってのと、ずっと闘い続けてたのね」

純狐「私の元夫や嫦娥よりも、凶悪な存在がこの世にいたなんてね…」

アクトレイザー「幻想郷の頼もしい仲間と、愛する妻がいたおかげで、私自身もそしてあの世界も救われた」

アクトレイザー「だからこそ私もこの世界を守りたい」

早苗「あなたと私がいれば、どんな異変だって解決できます!」

純狐「これが愛の力…か」

純狐「……」

へカーティア「純狐、そろそろ本題に移らない?」

純狐「ええ、そうね」

アクトレイザー「ん?なにか話したいことでもあるのか」

へカーティア「神アクトレイザー…私と純狐と結婚しない?」

アクトレイザー「」

早苗「はぁぁ!!?」

アクトレイザー「すまん。言っている意味が判らない」

へカーティア「だーかーらー、私と純狐と結婚して、私たちの夫になってほしいのよん」

アクトレイザー「」

純狐「あなたとなら昔のような悲劇なんて絶対起きないと思うの」

純狐「だってアナタほどの素敵な殿方、見たことないもの」

へカーティア「わたしもね、純狐と同じくアナタに興味が沸いたの」

早苗「おい変なTシャツ野郎!あんた何いってんのよ!?」

へカーティア「あらあら、言葉使いが荒くなってるわよん?」

早苗「夫は私だけのお方です!譲る気はないです!」

へカーティア「だーかーら、奪う気なんてないから」

純狐「あなたの幸せを分けて欲しい…それだけよ」

早苗「絶対いやです!そんなのダメ!」

516: 2016/12/25(日) 08:26:06.38 ID:qLTG2J0I0
アクトレイザー「ひ、一先ず逃げよう」

早苗「そうですね。なんかあの二人しつこそうだし…」

早苗「霊夢さん!ごめんなさい…私ちょっと席を外します」

アクトレイザー「同じく。すまないな博麗の巫女」

霊夢「勝手にしなさいよ…」

へカーティア「あー、待ってよぉ~ん」

純狐「自分ばっかりずるいわ。私にも幸せを分けるべきよ」

ワーワー!ギャーギャー!

魔理沙「しかし幻想郷には変な奴らがどんどん集まるな…」

霊夢「はぁぁ、私も素敵な彼氏ほしいなぁ」

アクトレイザー「さあ早苗よ、愛の逃避行だ」

早苗「はい!」

~オマケ終わり~

517: 2016/12/25(日) 08:27:25.25 ID:qLTG2J0I0
以上です
ここまで読んでくれてありがとう

霊夢が体調悪かったのは、第二章の話の中で原因が明らかに
今年中に第二章かけるか判らないけど、準備ができたらURLを貼って投下します

引用元: 東風谷早苗「アクトレイザー」