1: 2019/01/05(土) 13:28:07.28 ID:Var6PDKV0
元ネタ
『ラブライブ!サンシャイン!!』
『機動戦士ガンダムUC』
他、『ラブライブ!』や宇宙世紀のガンダム作品

機動戦士ガンダムUCに相当ネタバレあり。
昔書いたSSの続編。当時とダブるレスを入れる分、前作知らなくても楽しめるように書きます。


2: 2019/01/05(土) 13:46:55.89 ID:Var6PDKV0
宇宙世紀0085、一年戦争とグリプス戦役の戦間期、アクシズはまだ地球圏に帰還しておらず、その後の激動の時代と比べれば牧歌的とも言える日々が続いていた。ネオ・ジオンの正統なる後継者ミネバ・ラオ・ザビにとっても最も平和な時代だったといえよう。

ハマーン 「まさか、嫌がってなどおりませぬ」

ハマーン 「ミネバ様がご所望とあらば、いくらでも」

ハマーン 「それでは……参ります……」

ハマーン 「きょ……今日も、元気に頑張ルビィ……」

ミネバ(6歳) 「ハマーン?」

ハマーン 「失礼しました、ミネバ様……」

ハマーン 「……」

ハマーン 「今日も元気にがんばルビィ?」(ポーズ込み)

ミネバ(6歳) 「おおっ! いつもながらハマーンのルビィはそっくりじゃ!」

3: 2019/01/05(土) 13:54:18.55 ID:Var6PDKV0
ハマーン 「お褒めに預かり恐縮です」

ミネバ(6歳) 「知っておろうがわらわもAqoursのメンバーになれるのじゃ」

ミネバ(6歳) 「スゥー、ハァー……」

ミネバ(6歳) (せーの!)

ミネバ(6歳) 「だ天使ヨハネとけいやくして、あなたも私のリトルデーモンに……なってみない?」

ハマーン 「お見事です、ミネバ様」

4: 2019/01/05(土) 14:01:53.80 ID:Var6PDKV0
ハマーン (ミネバ様の元に長居した。ブリッジに戻らねば……)

ハマーン (ミネバ様の心の支えになればとお見せした『ラブライブ!サンシャイン?』)

ハマーン (私はミネバ様が彼女なりの輝きを見つけて下さることを期待したが、幼くしてご両親を失ったミネバ様は自らを不幸体質と捉え、ヨシコ・ツシマに傾倒された……)

ハマーン (違うな……)

ハマーン (かつてあの男は幼いミネバ様に『ラブライブ!』を見せていた。その意趣返しに過ぎない)

ハマーン (μ'sに染めようとしていた相手が久しぶりに再会したらAqoursに染まっていたとしたら……。あの男の反応が楽しみだ)

5: 2019/01/05(土) 14:10:42.51 ID:Var6PDKV0
マシュマー 「ハマーン様?」

ハマーン 「何があった? 状況を報告しろ」

マシュマー 「ブリッジ、異常ありません……」

オペレーターA 「おい、あれ見ろよ……」

オペレーターB 「シッ、声が大きい」

ハマーン 「?」

ハマーン 「マシュマー、ならば何故狐に抓まれたような顔をしている?」

マシュマー 「いえ、ハマーン様に何か心境の変化があったのかと」

ハマーン 「面白いことを言う。私の何が変わったというのだ?」

マシュマー 「ハッ、そのツインテールもお似合いです、ハマーン様」

ハマーン (髪型元に戻すの忘れた!)

6: 2019/01/05(土) 14:20:00.89 ID:Var6PDKV0
数年後

シャア 「よくもミネバをこうも育ててくれた!」

ハマーン 「ミネ……ヨハネ様の御前である!」

7: 2019/01/05(土) 14:30:34.19 ID:Var6PDKV0
それから9年。ここは建造中の工業コロニー、インダストリアル7。そのドッキングベイ内部、中央ポートには美しく成長した16歳のミネバの姿があった。

ミネバ (ここを移動するのは危険が伴いますが、追手の目を晦ます為には……)

ズルッ!

ミネバ (手が滑った!?)

ミネバ (落ちる! 落ちてる!)

ミネバ (まさか……)

ミネバ (堕天使ヨハネ、インダストリアル7に……)

ミネバ (堕天!)

ミネバ (ってピィーンチ!)

13: 2019/01/06(日) 11:54:21.84 ID:ZnxfXmxX0
バナージ (何とか不時着出来た……。一時はどうなるかと……)

ミネバ (まさか追手? だったら!)

ミネバ 「堕天使奥義! 堕天龍鳳凰縛!」

バナージ 「イテテテテ!」

バナージ (何故コブラツイスト?)

ミネバ 「誰か?」

バナージ 「何すんだよ!」

ミネバ (追手じゃない……)

14: 2019/01/06(日) 12:03:45.31 ID:ZnxfXmxX0
バナージ 「名前言ってなかった。俺は――」

ミネバ「バナージ」

バナージ「えっ」

ミネバ「この子が呼んでたから」

ハロ「バナージ、ガンバレ。バナージ」

バナージ「そう、バナージ・リンクス」

ミネバ「私は……ヨハネ。ヨハネ・ツシマ」

バナージ「ヨハネ……」

バナージ「こいつはハロ。知らない? 大戦中のエースパイロットが作った、マスコットロボットのレプリカ。子供の頃、流行ったろ?」

ミネバ「私、田舎に住んでいたから……」

バナージ 「田舎って?」

ミネバ 「ヌマヅ」

15: 2019/01/06(日) 12:52:49.57 ID:ZnxfXmxX0
ミネバはバナージの案内の元、ビスト邸に辿り着き、ビスト財団の当主カーディアス・ビストと対面する。

カーディアス 「当家の主、カーディアス・ビストです」

ミネバ 「断りなくお屋敷へ踏み入ったご無礼をお詫び致します。私は堕――」

カーディアス 「存じ上げています。今はその名を口にされない方がよいでしょう」

ミネバ 「では名乗りません。私の立場さえ理解して頂けるのなら、それで」

ミネバ 「考え直して頂きたくてここへ来ました。魔具『ラプラスの箱』を私達に託すというお話を」

カーディアス (魔具?)

16: 2019/01/06(日) 13:01:46.16 ID:ZnxfXmxX0
ミネバ 「バナージ、帰って。ここまで連れてきてくれてありがとう。あとは自分で出来ます」

バナージ 「ヨハネ……俺手伝うよ。君は戦争を止めに来たんだろう?  この人は、そういう力がある人なんだろう?  君の言う戦争って言葉は、学校の先生が口にするのとは違う。重いんだ。怖いことなんだって分かるんだ、だから俺……!  だから……」

ミネバ 「バナージ」

バナージ「今朝、君が空から落ちてくるのを見て凄くドキドキした。それまでズレていたものが元に戻って、初めて自分の居場所が見えたような気がして……。君が誰だってかまわない。俺のこと、必要だって言ってくれ。そしたら俺は……」

ミネバ「必要ない」

バナージ「!」

ミネバ「あなたは、もうリトルデーモンとしての役目を十分に果たしました。ここからは先は人ならざる者の領域。私に関わらない方がいい」

バナージ「……」

17: 2019/01/06(日) 13:12:03.79 ID:ZnxfXmxX0
一度はミネバの元を去った失意のバナージ。しかしインダストリアル7にてモビルスーツ同士による戦闘が始まるととてもミネバを放っておけず、バナージは彼女を探した。その最中、バナージはMSデッキで白いモビルスーツを発見する。そのコックピットには重傷を負ったカーディアスがいた。

カーディアス 「ここまで来た、その気持ちが揺らがぬ自信はあるか?」

バナージ 「えっ……?」

カーディアス 「彼女は大分イタいぞ。共に行くには、この世間の重みを受ける覚悟がいる。それでも……」

バナージ 「自信とか覚悟なんて、無い。俺は彼女に必要とされたいだけなんです」

カーディアス 「ならば、これを持って行け……」

カーディアスはバナージにユニコーンガンダムを託すと程なくして息絶えた。我が子バナージが白き一角獣と共に奇跡を起こすことを願って。

18: 2019/01/06(日) 13:21:11.85 ID:ZnxfXmxX0
ミネバはヨハネ・ツシマの偽名で避難民を装い、連邦の強襲揚陸艦ネェル・アーガマに収容された。その後、バナージも搭乗していたユニコーンガンダムごとネェル・アーガマに収容され、二人は再会を果たすが、ミネバの正体が連邦軍に露見してしまう。折しもネェル・アーガマがネオ・ジオンの攻撃を受けている最中のことであった。

ミネバ 「ダグザ・マックール中佐。その勇気があるなら、鍵を壊し私を頃すがいい。さすれば、鍵と私の喪失によって、ネオ・ジオンに打撃を与えることは出来る。あるいは、このまま何もせずに全てを奪われるか。もう猶予は無いぞ」

バナージ 「ヨハネ!」

バナージ 「そんな話し方をしちゃダメだよ。人も自分も追い詰める」

ミネバ 「バナージ……」

バナージ 「ここを出よう。君はこんなことに関わるべきじゃない!」

ミネバ 「私は、ミネバ・ザビである」

バナージ 「ヨハネだよ!」

バナージ 「嘘でも本当でも、俺にはヨハネ・ツシマだ!」

20: 2019/01/06(日) 20:05:06.58 ID:ZnxfXmxX0
ミネバとネェル・アーガマを護らんとユニコーンガンダムで出撃したバナージであったが、ネオ・ジオンのMSクシャトリヤに敗れて鹵獲される。囚われの身となったバナージはネオ・ジオンの拠点パラオに連行された。
そこでバナージは初期の宇宙移民者が残した礼拝堂を目にする。バナージを案内したのはクシャトリヤのパイロット、マリーダ・クルス。

バナージ 「ここは……」

マリーダ 「ココは礼拝堂ね」

バナージ 「礼拝堂?」

マリーダ 「イエス、このパラオがまだアステロイド・ベルトにあった頃に造られました。初期の宇宙開拓者といえば、地球で食い詰めた者や政治犯……他に生きていく術を持たなかった者達ばかりでした。太陽も星の一つに紛れてしまいそうなアステロイド・ベルトに住む彼らには、縋るべき輝きが必要だったんでしょう」

バナージ 「輝き……」

21: 2019/01/06(日) 20:19:54.29 ID:ZnxfXmxX0
マリーダ 「輝きが無ければ人は生きていけないわ。だけど……宇宙に棄てられた人々はやがて神に代わる輝きを見出した。ラブライブという名の、新しい輝きを。彼らには、それが必要だったわ」

マリーダ 「絶望に抗い、残酷で不自由な世界で生き続けるために……。この世界には改善の余地がある、と思わせてくれる何かが」

マリーダ 「母校が廃校(なくなる)、それを防ぐ為に可能性を信じて足掻き続け、最後まで笑顔を忘れなかったスクールアイドル」

マリーダ 「私達ジオンはそんなスクールアイドル達に自らを重ね、ラブライブに熱狂した」

バナージ 「人間だけが神を持つ……」

バナージ 「そう言っていた人がいるんです。今を超える力……ゼロからイチへ、イチからその先へ、可能性という名の内なる神を……って」

マリーダ 「Oh、ロマンチスト!」

22: 2019/01/06(日) 20:32:57.45 ID:ZnxfXmxX0
マリーダ 「……ヨハネ、いえミネバ様のために行動を起こしてくれたこと……お礼を言うわ」

バナージ「え?」

マリーダ 「因みにここはミネバ様が堕天使ヨハネとしてミサを執り行う場所よ、バナージをここに案内したのは内緒ね」

バナージ 「ミサって……?」

マリーダ 「動画の生配信ね。コメント付きの」

バナージ「ええっ!?」

バナージ 「あなたも……あ、えっと……」

マリーダ 「マリーダ」

バナージ 「マリーダさんも、ミサをやったりするんですか?」

マリーダ 「ナッシング! ……人手が足りなくてもしないわ」

23: 2019/01/06(日) 20:41:26.06 ID:ZnxfXmxX0
一方、ネェル・アーガマではバナージ及びユニコーンガンダムの奪還作戦が進行していた。

ダグザ 「我々はこれを人質救出作戦と捉えています。我々は彼に借りがある。やりようはあります」

ダグザ「……この艦には、ハイパー・メガラブアローが搭載されていましたね?」

24: 2019/01/06(日) 20:51:47.36 ID:ZnxfXmxX0
オットー (それにしても、超大型のメガ粒子砲に誰がいったいこんな名前を付けたのやら……)

ウタルデ 「4…3…2…1……」

オットー 「ハイパー・メガラブアロー、シュート!」 

ダグザ「逃げおおせて来い。迎えに行く!」

遂に人質救出作戦が遂行された。
ユニコーンガンダムの所在を知らされたバナージは機体に乗ってパラオから脱出、しかしマリーダの駆るクシャトリヤがバナージを再び捕らえようとする。NT‐Dシステムが発動したユニコーンガンダムがクシャトリヤに止めを刺そうとした時、バナージは強化人間マリーダの心の闇を見た。

25: 2019/01/06(日) 21:09:03.99 ID:ZnxfXmxX0
バナージ (このイメージは……)





女の声 「そういう趣味の客ってのもいるんだろ。今日からお前のマスターは私だよ」

マリーダ 「ハグしよっ」

男の声 「今日は果南ちゃんなんだね」

マリーダ 「ニギニギしただけで、お兄さんののっぽパンもうギンギンずらぁ……」

男の声 「あーいいよー……。梨子ちゃんの菱形のお口でジュポジュポされるのいいよー」

男の声 「このままだと千歌ちゃんもしいたけみたいにお母さんになるね」

女の声 「もう重石は取れたんだろ! 来るんだよ!」

女の声 「ちょっとあんた、軍って何だい? ジオンの落ち武者だったら警察に……ヒィッ!?」

ジンネマンの声「もういい……すまなかった」





バナージ (これがマリーダさんの過去……)

バナージ (こんなの……悲し過ぎます!)

マリーダ (優しさだけでは人は救えない)

マリーダ (推しだ何だ言ったところで劣情をぶつける対象であることに変わりないのだから)

29: 2019/01/11(金) 06:11:32.93 ID:P9cN23kR0
使い方次第では連邦政府をも転覆させられると言われているラプラスの箱。
このラプラスの箱の在り処が示されるラプラス・プログラムには、幾重にも封印が施されていた。この封印を解くには、ユニコーンガンダムにNT-D(ニュータイプ・デストロイヤー・システム)を発動させる必要があった。封印を一つ解いては開示された場所にユニコーンガンダムを移動させ、NT-Dを発動させる。この繰り返しの日々でバナージは様々な人との出会いと別れを経験する。

一方、バナージに敗れて連邦軍の捕虜となったマリーダは、ビスト財団に引き渡され、研究所にて再調整されていた。強化人間として生まれた者の悲劇である。

マーサ 「ルビィ、お姉ちゃんの言うことを聞きなさい!」

マリーダ「ピギィ!」

30: 2019/01/11(金) 06:30:59.71 ID:P9cN23kR0
そして、ここトリントンにおいて、バナージの乗るユニコーンガンダムは、ネオ・ジオンの水陸両用MAシャンブロと対峙していた。シャンブロのパイロット、ロニが連邦への怨みを吐露しながら街を破壊するのを目の当たりにしたバナージは彼女を止めようとする。

ロニ 「父も母もジオンの残党狩りで氏んだ!  投降を許されず殺されたんだ!  なぶり頃しだよ! ラブライブで優勝しても廃校を免れなかった浦の星と同じ! 救われなかったんだ!』

バナージ 「見つけるんだ。憎しみや怒りが生きる意味なんて哀しすぎる」

ロニ 「理不尽には怒るのが人間だよ。人は神じゃないもん!」

バナージ 「ロニさん! 戻ってくれ!」

リディ 「あきらめろ!」

ロニ 「子供が親の願いに呑まれるのは、世の定めなんだよバナージ……私は間違っていない!」

31: 2019/01/11(金) 06:40:55.40 ID:P9cN23kR0
ロニ 「ヨーソロー……!ヨーソロー……!ヨーソロー……!ヨーソロー……!ヨーソロー……!ヨーソロー……!ヨーソロー……!ヨーソロー……!」

リディ 「バナージ! このまま撃て! 可能性に殺されるぞッ!」

バナージ 「うわあぁぁ!」

ロニ 「バナージ………私、バカだ…バカ曜だ」

バナージ 「撃てませええん!」

リディの乗るデルタプラスは、ユニコーンガンダムからビームマグナムを奪うとその引き金を引いた。コックピットを撃ち抜かれて機能停止したシャンブロを見てバナージは打ちひしがれるが、さらなる悲劇がバナージを襲う。

32: 2019/01/11(金) 06:48:05.15 ID:P9cN23kR0
ロニを救えず落胆したバナージも、搭乗する機体に大きく性能差があったリディも敵ではなかった。
突如トリントンに現れた黒いユニコーンに搭乗していたのは、黒澤ルビィ風に再調整されたマリーダであった。敗れたバナージは連邦に囚われの身となる。そしてカーディアス亡き後、ビスト財団の当主となったマーサは、連邦の捕虜となっていたミネバと極秘に会談していた。

マーサ 「ヨハネ・ツシマ……偽名にしても素敵な響きですわね」

ミネバ「私の移送は、ローナン・マーセナス議長も了解してのことか」

マーサ 「無論です」

33: 2019/01/11(金) 06:55:29.34 ID:P9cN23kR0
マーサはミネバに対し、ラプラスの箱の封印、ミネバとバナージの身の安全、ネオ・ジオンの存続と引き換えに、ビスト財団との共生を要求。しかしミネバは屈せず交渉は決裂した。

マーサ 「そのプライドの高さには、敬意を表するわ」

マーサ 「でもそのプライドが人を頃すこともある。お分かり?  ぶっぶーですわ。あなたはたった今、あなたを慕うジオンの生き残り達から未来を奪ったのよ。ビスト財団と共生するという、唯一の未来をね」

マーサ 「ネオ・ジオンの再興は、認めません!」

マーサ (ああ……私は今、ダイヤ様とシンクロしている)

35: 2019/01/11(金) 21:23:43.39 ID:P9cN23kR0
しかし失意のバナージに転機が訪れる。バナージが囚われている戦艦ラー・カイラムには、ビスト財団が『箱』を利用して連邦と結託するのを好ましく思わない人物がいた。その人物こそラー・カイラム艦長、ブライト・ノアである。
ブライトは手を尽くし、バナージがミネバを連れて宇宙へ脱出する算段を整えると共に、バナージと会って彼を勇気づけた。
艦長室に戻ったブライトを、壁に貼られたアムロ・レイの顔写真が出迎える。数々のニュータイプを指揮した歴戦の指揮官の目には、伝説のニュータイプがこちらを見て笑っているように思えてならなかった。
ブライトはアムロの写真に呼び掛けた。

ブライト 「笑うなよ、だって可能性感じたんだ」

36: 2019/01/11(金) 21:35:09.67 ID:P9cN23kR0
ブライトのお膳立ては功を奏し、バナージは隙を見てユニコーンガンダムで追手を一時的に振り切ると、ミネバ救出に向かう。しかし、バナージより一足早くミネバ救出に駆けつけた人物がいた。かつてミネバにその想いを告白するも拒絶されたリディ・マーセナスである。

リディ 「一人で世界と戦うつもりか?」

ミネバ 「一人ではありません。私には数多のリトルデーモンがいます」

リディ 「……! ミネバ、やめろ!」

ミネバ「あなたを上級リトルデーモンに任命します。さようなら、あなたのことは忘れない」

リディ「ミネバあぁー!!」

リディの静止を振り切り超大型輸送機ガルダから身を投げ出したミネバは心の中でバナージに呼び掛けた。

ミネバ「受け止めなさい、バナージ」

37: 2019/01/11(金) 21:47:37.61 ID:P9cN23kR0
バナージ「……はっ。 脳内に直接響くこの感じ、ヨハネ!」

バナージ 「やれるな、ユニコーン!」

堕天するミネバを等速で落下しながら、ユニコーンガンダムはそのマニピュレータで優しくミネバを受け止めた。
こうして遂にバナージはミネバと再会を果たす。

バナージ 「……君の声、脳内にはっきり聞こえた。嬉しかった。自分がなんでここに居るのか、分かった気がした。君が呼んでくれたから」

ミネバ 「私だって」

バナージ 「この感覚が本物なら、マリーダさんにも俺の声が届いている筈なんだ。必ず連れ戻すよ」

38: 2019/01/11(金) 21:55:30.31 ID:P9cN23kR0
バナージはマリーダを連れ戻そうとするが、再調整されたマリーダは黒いユニコーンことユニコーンガンダム2号機バンシィでバナージに戦いを挑んだ。

マリーダ 「私はプル……トゥエルビィ……。マスターは……アルベルト・ビスト……」

アルベルト 「プル・トゥエルビィ、私はダイヤお姉ちゃんの甥っ子でお前のマスターだ。落ちついて私の言葉だけを聞け」

バナージ 「やめてくれマリーダさん! お願いだ、正気に戻ってくれ!」

マリーダ 「あなたの声聞くと、ルビィ頭がズキズキする!」

バナージ 「頭が痛いのは、本当のあなたが抵抗している証拠だ!」

ジンネマン 「マリーダなら聞け! 俺だ、ジンネマンだ!」

マリーダ 「あ、あの……あの……おじさん誰ですか?」

ジンネマン「財団の奴ら、再調整しやがったな!」

40: 2019/01/11(金) 22:04:30.05 ID:P9cN23kR0
ジンネマン 「マリーダ、戻って来い! お前が戻れば、みんな元通りだ!」

マリーダ 「ハァ……ハァ……ハァ……うっ……くっ……」

マリーダ 「ルビィのマスターは……私のマスターは……!」

マリーダ (この記憶は……)





マリーダの脳裏に浮かび上がった記憶、それはかつてマリーダがジンネマンに救出されて間もない頃の思い出だった。

ジンネマン 「俺の推しだ……名前はマリー」

ジンネマン 「そのうちお前も彼女と同じ年頃に……」

マリーダ (これ、女の子のイラストが書いてある)

マリーダ (MARI OHARA……)

41: 2019/01/11(金) 22:12:53.43 ID:P9cN23kR0
マリーダ (思い出した……あの時マリ・オハラのSRカードを渡されて「オタクきもっ」って思ったけど、それでもマスターは私を大事にしてくれて……)

マリーダ (涙……私……今泣いてるの……)

ジンネマン 「そこを開けて降りて来いマリーダ!  一緒に宇宙へ帰るんだ!  俺と来い……」

ジンネマン 「俺を独りにするなあああっ!」

マリーダ 「うッ……はァッ……」

自身の感情のせめぎ合いに耐えきれず気を失うマリーダ。それに呼応するかのようにバンシィもまた緊急停止した。

ジンネマン 「マリー……」

マリーダの無事を確認し、感極まるジンネマン。こうしてプル・トゥエルビィはマリーダ・クルスとして再び自我を取り戻したのである。

44: 2019/01/13(日) 00:34:01.28 ID:FPpOma4Q0
バナージ達は偽装貨物船ガランシェールに乗り、ネェル・アーガマの牽引にて宇宙への脱出を果たす。が、連邦はゼネラル・レビルを旗艦とする大部隊で待ち伏せしていた。頼みのユニコーンガンダムはエネルギー切れ、絶対絶命の危機に瀕したネェル・アーガマとガランシェールだったが、ネオ・ジオンのMSが少数で連邦軍を一方的に叩いて撤退させる。かくして、連邦から追われることとなったネェル・アーガマは不本意ながらもネオ・ジオンと行動を共にすることとなる。
この歪な共闘の最中、バナージとミネバは、ネオ・ジオン残党「袖付き」の首魁フル・フロンタルの真意を知ることとなる。

45: 2019/01/13(日) 00:43:42.42 ID:FPpOma4Q0
フロンタル 「劇場版『ラブライブ!サンシャイン!!』で統合先の静真高校は浦の星の生徒を分校に押し込めました」

フロンタル 「『真面目に取り組んでいる静真の生徒の部活の雰囲気が、浦の星の生徒が入ることでだらけてしまうことを一部の父兄が懸念した』」

フロンタル 「この言いがかりに等しい
統合反対の理由は、連邦の理不尽に慣れた我々スペースノイドですら違和感を感じずにはいられませんでした。静真は何故統合を認めなかったか? 認めた瞬間に、主従が逆転してしまうことを知っているからです」

46: 2019/01/13(日) 01:03:05.53 ID:FPpOma4Q0
フロンタル 「渡辺曜の従姉妹で静真に通う渡辺月は言いました。『静真には全国大会に出場した部活が幾つもある』と。注目すべきは『出場した』という部分です。もし静真に全国大会で優勝した部活があれば、彼女は『優勝した部活がある』と発言したでしょう。レベルの高い部活があることを説明するにはそれが最も説得力があるからです。しかし月はそう言わなかった」

フロンタル 「理由は明白です。静真には全国大会で優勝した実績を持つ部活が無かったと見るべきでしょう。それに対して浦の星のスクールアイドル部は『ラブライブ!』で全国制覇を成し遂げた」

47: 2019/01/13(日) 01:12:03.71 ID:FPpOma4Q0
フロンタル 「チカ・タカミは『ゼロからイチへ』と言いましたが、この場合は『一位以外はゼロ』と言えます。全国大会で二位以下の部活が静真に幾らあろうとも、浦の星のスクールアイドル部の前では有象無象の集団に過ぎません」

フロンタル 「『ラブライブ!』という華やかなステージで日本一となった美少女揃いの部活がある。Aqours発起人のチカ・タカミは、この事実を武器にしたのです。ライブを通じて自分達の存在を認めさせるという発想を捨てず、統合反対派に勝利しました」

フロンタル 「これを踏まえ、我々が存在する現実の世界の話をしましょう」

フロンタルはサイド共栄圏の構想を語った。

48: 2019/01/13(日) 01:23:46.76 ID:FPpOma4Q0
ミネバ 「……聞いてしまえば、つまらぬ話だ」

ミネバ 「連邦を蚊帳の外に置いたサイド共栄圏の構築。変わろうとしない者に変われと要求するより、無視してしまえばいいという……劇場版でAqoursが成し遂げたこととは対となる発想」

ミネバ 「スクールアイドルの奇跡を夢見たチカ・タカミの理想からは遠い。自ら理事長に就任して、学院の存続を謀ったマリ・オハラの狂気、熱情からも程遠い」

ミネバ「幼かった私に『ラブライブ!』を見せてくれたシャア・アズナブルは、本当に氏んだな」

49: 2019/01/13(日) 01:33:03.25 ID:FPpOma4Q0
ミネバはフル・フロンタルと袂を分かつことを決意。
時を同じくしてネェル・アーガマもまたネオ・ジオンと決別、ネェル・アーガマ艦内にて双方が戦闘となる。
混乱の中、ユニコーンガンダムを確保すべくモビルスーツデッキに向かうバナージであったが、ユニコーンを目の前にしてフロンタルに捕らえられた。フロンタルはバナージに問いかける。

フロンタル 「『箱』を使って、棄民たるスペースノイドの宿願を果たせるのは我々だけだ。君に何が出来る?  君は『ラプラスの箱』をどう使うというのだ?」

バナージ 「みんなの為に……」

バナージ 「『みんなで叶える物語』の為に使う……。μ'sもAqoursも、トーキョーもヌマヅも関係無い!」

50: 2019/01/13(日) 01:50:06.55 ID:E/YRekml0
フロンタル 「君の言う"みんな"とは何だ? 一人の人間が全ての意志の代弁者になることは出来ない。器にでもならない限り」

フロンタル 「父の思いを託され、訓練を受けさせられた君は、一種の強化人間だ。その力を示してしまった以上、もう君は"みんな"の中には帰れない。いつか私と同じ絶望に突き当たることになる」

マリーダ 「"それでも"と言い続けるね、バナージ!」

ミネバ 「兵を引きなさい、フル・フロンタル。私達はお前と同じ道は歩まない!」

ミネバ 「ガランシェール隊、ネオ・ジオンのリトルデーモン達にも聞いてもらいたい」

52: 2019/01/13(日) 10:40:12.46 ID:E/YRekml0
ミネバは説いた。現実に流されることなく、スペースノイドとアースノイドの融和を諦めてはいけないと。

ミネバ 「二つの学校が一つに統合した際に発生した問題をAqoursは乗り越えた。旧世紀の人類は、ジオン・ダイクンが夢見た人の進化と調和を既に描いていた!」

ジンネマン 「マリーダ・クルス」

マリーダ (!?)

ジンネマン 「コックピットを開けろ」

マリーダ (……)

ヴィィィン

ミネバ (コックピットのハッチが開いた!?)

ジンネマン 「それでいい。姫様を連れてコックピットから出ろ」

ミネバ 「マリーダ……」

ミネバ 「ギラン!」

マリーダ 「……」

ミネバ (何よ、その『何やってんのこいつ』って言いたげな表情は)

ミネバ (……このヨハネのチャームを拒絶するなんて……これが強化人間の精神力……)

ミネバ (だったら!)

53: 2019/01/13(日) 10:53:59.07 ID:E/YRekml0
ミネバ 「ジンネマン! お前はいつまで二次元に囚われているのだ!? お前にはマリーダがいるというのに! お前もリトルデーモンとしての務めを果たしなさい! マリーダを救った時からあなたは――」

ジンネマン 「理屈では消せんのです。萌えも、尊さも」

ジンネマン 「(対象が架空のキャラだから)何も……してやれなかった……!  (他人から見たらヲタの自分は)怖かったろうに、イタかったろうに……何も……!   マリィ……」

マリーダ 「パパ……」

ジンネマン 「……!?」

マリーダ 「わがままを……許してくれますか……?」

マリーダ 「許してくれないっ言うのならパパもママも勘当します!」

ジンネマン (まさか、2期10話の再現!?)

ジンネマン (あの口リ鞠莉が登場した回……)

ジンネマン 「…………ウッ……ウウッ……」

ジンネマン 「……赦す」

ジンネマン 「マリーダ……最後の命令だ……心に従え!」

マリーダ 「シャイニー!」

54: 2019/01/13(日) 11:01:46.23 ID:E/YRekml0
アンジェロ 「ジンネマン! 貴様ぁっ!」

アンジェロ 「お前達キモヲタはいつだってそうだ! お前達は、臭くて、太ってて!  だから!」

マリーダ (させない!)

アンジェロの操縦するローゼンズールがジンネマンを手にかけようとしたその時、クシャトリヤがローゼンズールに体当たりした。たまらずバランスを崩すローゼンズール。

アンジェロ 「ぐはッ!」

フロンタル 「アンジェロ」

アンジェロ 「大佐!」

アンジェロ (今はこいつ等の相手をするより、大佐をお守りしてネェル・アーガマから脱出するのが先か)

フロンタル 「バナージ君。我々はこれで失礼する」

バナージ 「待て!」

フロンタル 「ここから先は競争だ」

フロンタルとアンジェロはネェル・アーガマから脱出し、ネオ・ジオンの母艦に帰還した。以降、ネェル・アーガマは単艦にてラプラスプログラムが示した最終座標を目指す。生き延びる為、フル・フロンタルの手に『箱』が渡るのを阻止する為、持ち帰った『箱』と共に、真実を世界に問う為。

55: 2019/01/13(日) 11:10:48.05 ID:E/YRekml0
ラプラスプログラムが示した最終座標、即ちラプラスの箱の在り処は、インダストリアル7を建造中のコロニービルダー『メガラニカ』であった。
ネオ・ジオンの艦隊やビスト財団が送りこんだバンシィとの戦いを経て、ネェル・アーガマは傷付きながらもインダストリアル7に辿り着く。

そしてバナージとミネバがメガラニカで見たラプラスの箱の正体とは……。

バナージ 「宇宙世紀憲章の……石碑?」

ミネバ 「……あっ。あの石碑、ほら、あそこ」

ミネバ 「私たちが知っているのと違う。条文が一つ多い」



宇宙世紀憲章 第七章『未来ずら』
"将来、宇宙においてスクールアイドルに感応した人類の発生が認められた場合、その者達を優先的に政府運営に参画させる。"

57: 2019/01/13(日) 14:00:45.27 ID:E/YRekml0
一方、早い段階で箱の正体を知っていた人物がこの宙域にいた。バンシィの新たなパイロットとなったリディである。憎悪に囚われ暴走したリディはユニコーンガンダムを破壊しようとしたが、マリーダは身を呈してこれを食い止めた。マリーダの氏をきっかけに我に返ったリディは後悔に苛まれながらも、ネェル・アーガマのクルーに箱の秘密を明かしたのである。

リディ 「艦長。連邦は、なぜジオンをああも恐れて否定してきたんでしょうね。コロニー落としをやった悪魔の集団……それは結果であって、始まりじゃない。問題はラブライバーなんですよ」

リディ 「"将来、宇宙においてスクールアイドルに感応した人類の発生が認められた場合――」

リディ 「その者達を優先的に政府運営に参画させることにする" ……百年前に紡がれた祈りは、シャア・アズナブルがジオン内部に『ラブライブ!』を布教した瞬間から、呪いに変わってしまった……」

58: 2019/01/13(日) 14:05:57.30 ID:E/YRekml0
リディ 「増えすぎたヲタクを宇宙に棄てたことへの贖罪のように『未来ずら』という名の一節を、初代首相リカルド・マーセナスは書き加えた」

ミヒロ 「……!」

リディ 「俺のご先祖、リカルド・マーセナスはラブライバーだった……」

リディ 「叶わぬ夢と思いながら、旧世紀に流行ったアイドルアニメが再び宇宙世紀に日の目を見ることを願った」

リディ 「だが彼は、連邦の支配体制の人柱にされた。宇宙世紀憲章も書き換えられ、それで全てが終わったはずだった。暗殺を実行したテ口リストの一人、サイアム・ビストが本物の石碑を手に入れさえしなければ……それで……」

59: 2019/01/13(日) 14:12:25.79 ID:E/YRekml0
ラプラスの箱の持ち主はビスト財団の創設者にしてバナージの曽祖父にあたるサイアム・ビストであった。サイアムはバナージとミネバに『箱』を託さんとするが、フロンタルは超大型MAネオ・ジオングにてメガラニカに侵攻、武力をもって箱を手に入れようとした。それに対しバナージとリディはフロンタルを止めるべくガンダムで対抗する。遂に白き一角獣と黒き獅子が共闘した。

リディ 「やるぞ、バナージ。この輝きは、俺達だけが生み出しているものじゃない」

バナージ 「分かってます。みんながこの中に……!」

フロンタル「人の中から発した輝き……この温かさを持ったものが……虚しいな……」



そしてサイアムはミネバに自身の願いを託した。

サイアム 「ミネバ殿下、あなたの口から真実を伝えて頂きたい。我らのたった一つの望みを、この宇宙世紀を生きる人々へ、あなた自身の言葉で……」

60: 2019/01/13(日) 14:18:25.34 ID:E/YRekml0
フロンタル 「二機のガンダムが揃って立てつくか。人の総意の器であるこの私に!」

バナージ 「器だなんて、たとえ造り物であっても人はそんなものになれませんよ!」

リディ 「その仮面の下にあるものを吐き出せ! フル・フロンタル!」

フロンタル 「ならば、受けて立つまで。ガンダム!」

戦いは熾烈を極めたが、ユニコーンはネオ・ジオングの隠し腕に捕まった。

フロンタル 「……奇跡もまた、繰り返す」

フロンタル 「そして何も変わらない。見ろ、バナージ君」

バナージ「あ……あぁっ」

様々なアイドルアニメの映像が走馬灯のようにバナージの意識に流れ込んで来る。

フロンタル 「やはり君にも見えるようだな。では、この宇宙の刻の果てまで共に行こうか、バナージ君!」

61: 2019/01/13(日) 14:24:17.84 ID:E/YRekml0
フロンタル 「『チャンス~トライアングルセッション~』『LEMON ANGEL PROJECT』『アイマス』『アイカツ』『ゾンビランド・サガ』幾多のアイドルアニメが生まれ、ファンを魅了し、そして消えていった……」

バナージ 「待って下さい。『チャンス~トライアングルセッション~』ってマニアック過ぎじゃないですか。よく覚えてましたね」

フロンタル 「ヒロインが所属する芸能事務所の社長の声が私に似ていたものでな」

バナージ 「それに……」

バナージ 「『WUG』が抜けてますよ!」

フロンタル 「どんな名作を創っても、どれ程大ヒットしようとも、アイドルアニメはいつか、時代と共に忘れ去られる……」

バナージ (そこスルーかよ!)

62: 2019/01/13(日) 14:32:48.64 ID:E/YRekml0
フロンタル 「ジブリアニメや一部のSF物、スポーツ物、アクション物、他のジャンルの人気アニメが何十年と愛され続けているのと比べ、アイドルアニメはあまりにも作品の寿命が短い」

バナージ 「『超時空要塞マクロス』は金字塔じゃないですか」

フロンタル 「確かにアイドルは出てくるが、マクロスはSFロボット物と分類すべきであろう」

フロンタル 「人がどれだけ足掻こうと、結末は変わらない」

フロンタル 「君にも分かる筈だ。『ラブライブ!』も『ラブライブ!サンシャイン!!』も、この虚無の入口で人が見る一刻の夢。慰めにもならない幻だ。それが人を間違わせ、無用な争いを生みもする。この真理を知らない者がラブライバー――」

バナージ 「それでも……」

フロンタル 「ただ存在し消えてゆくだけのアニメに、過分な期待を持たせるべきではない」

バナージ 「それでも!」

63: 2019/01/13(日) 14:48:36.99 ID:E/YRekml0
バナージ 「Aqoursの3年生が高校を卒業した後、チカ・タカミは言った」

バナージ 「『ゼロに戻る訳じゃない』と。マリ、ダイヤ、カナン、彼女達がAqoursを離れ、それぞれが別々の道を歩むことになっても、彼女達がAqoursで輝いた時間は決して無くならない。それは他のメンバーにも、浦の星そのものにも同じことが言える」

バナージ 「学校が無くなったって、浦の星で過ごした日々が無くなる訳じゃない。Aqoursがやってきたことは全部残ってる」

「そして『ラブライブ!サンシャイン!!』があったから俺はヨハネと巡り会えた。届けたい想い、伝えたい言葉……それを歌で表現することで人は誤解なく分かりあえる。それがスクールアイドルとラブライバーなんだ!」

フロンタル 「そのような世迷い言を……」

バナージ 「あなただって言える筈だ。それが言えるだけの――」

フロンタル 「勇気はどこに?」

バナージ 「君の胸に!」

ユニコーンガンダムの両手のマニピュレータが、半壊したシナンジュの胸部に触れる。

フロンタル 「熱……暖かな光……」

フロンタル 「こんなものがいくら積み重なっても、何も……」

フロンタル 「そう、何も……! 」

フロンタル 「……ん!?」

64: 2019/01/13(日) 14:53:01.53 ID:E/YRekml0
ララァ(残留思念) 「この熱が、宇宙を暖めるのでしょう?」

フロンタル 「あっ?」

シャア(残留思念) 「潮時か……」

ララァ(残留思念) 「大佐がラブライバーだったときの想いは、充分に伝わったでしょうから……」

フロンタル 「あぁ……」

バナージ 「この光は……」

フロンタル 「君に、託す。為すべきと思ったことを……」

アムロ(残留思念) 「もう、いいのか?」

シャア(残留思念) 「後は彼らに任せよう」

ララァ(残留思念) 「ウフフフフ……」

ネオ・ジオングはゆっくりと自壊していった。これで全てが終わったかに見えたが、もう一つの大きな危機がこの宙域に迫っていた。

65: 2019/01/13(日) 14:59:42.77 ID:E/YRekml0
レイアム 「コロニー……レーザー……」

オットー 「グリプス2が修復されていたなんて話、聞いてないぞ!」

バナージ 「ネェル・アーガマは早くこの宙域から離脱してください! 」

ミネバ 「聞こえますか? バナージ、リディ少尉」

バナージ 「ああ、聞こえてるよヨハネ。ヨハネも今すぐその人を連れて、インダストリアル7へ――」

ミネバ 「二体のガンダムに授ける。堕天の力を!?」

ミネバ 「……」

ミネバ 「53万」

リディ 「?」

ミネバ 「私の持つ魔力の全てをユニコーンとバンシィに委ねました」

ミネバ 「これでメガラニカを救ってみせなさい。そして必ず帰ってきて。約束を違えることは許しません」

バナージ 「ありがとう、ヨハネ」

バナージ 「行こう、リディさん。ヨハネが俺達に魔力を託した。これで皆を守れる」

リディ 「いや、言ってることおかしいだろ?」

バナージ 「ヨハネから受けた魔力でユニコーンとバンシィがメガラニカ前面にサイコ・フィールドを張れば!」

リディ 「魔力53万って何だよ? 話聞けよ……!」

リディ 「可能性に殺されるぞ!」

66: 2019/01/13(日) 15:05:51.88 ID:E/YRekml0
マーサは、連邦政府の中心人物でリディの父にあたるローナン・マーセナスに対し、メガラニカへのコロニーレーザー発射を提案した。ラプラスの箱を、箱の秘密を知り得る者諸共葬り去るべく、ローナンはコロニーレーザーの使用を承認、グリプス2からコロニーレーザーが発射された。

バナージ 「今のお前は可能性の魔獣だ、ユニコオオーン!」

リディ 「ええい、もうどうにでもなれ、バンシィィッ!」

ユニコーンとバンシィの二体のサイコマシーン

それらに搭乗する二人のニュータイプのパイロット

自壊したネオジオングに搭載されていた膨大な量のサイコフレーム

アムロ、シャア、ララァの残留思念の手助け

そしてひょっとしたらヨハネの魔力

これらが全て揃ったことで実現した一回限りの奇跡。三層のサイコフィールドはコロニーレーザーを減衰させ、メガラニカを無事守り抜いたのである。

67: 2019/01/13(日) 15:15:15.59 ID:E/YRekml0
オペレータ 「直撃しました」

オペレータ 「目標より、強力な電磁放射発生」

ミネバ (放送)「ピー……ザザ……ザザ……地球と……宇宙……」

ミネバ(放送)「この世界に住まう、全ての人達へ……ザザ……」

ミネバ(放送) 「私は、ミネバ・ラオ・ザビです。このような形で、皆さんの脳内に直接語りかける無礼をどうぞお許し下さい」

ミネバ(放送) 「私はかつて、ジオン公国を煽動したザビ家の血を継ぐ者です」

管制員 「目標に、外観上の損傷は一切認められません」

ローナン「!?」

ミネバ(放送) 「しかし、これから私がお話しすることは、私の出自とは何ら関係がありません」

ミネバ(放送) 「何故ならミネバ・ラオ・ザビとは世を忍ぶ仮の姿で、私の真の姿は……」

ミネバ(放送) 「堕天使ヨハネだからです!」

ミネバ(放送) 「元は天使だった私はその美貌を神に嫉妬されて運気を奪われ――」

ミネバの放送はノリノリで続いた。

ミネバ(放送) 「――この事実の公表をもって連邦を糾弾し、ジオン再興に結び付ける意思は毛頭ありません。もしそのようなことを考えるものが現れれば、堕天使ヨハネの名において粛清する、と宣言しておきます」

ミネバ 「あなたも、堕天使ヨハネのリトルデーモンになってみない?」

68: 2019/01/13(日) 15:22:41.36 ID:E/YRekml0
マーサ 「世界でどれだけの人間がこの放送の意味を理解出来るかしら……」

ローナン 「さあ……」

ブライト 「マーサ・ビスト・カーバイン、取り敢えずあなたを連行します。ご同行を」

アルベルト 「もうよしましょう、叔母さん。『箱』の魔力は堕天使に吸い取られたのです」



堕天使ヨハネから全地球圏に向けて発せられたこの放送によって、ニュータイプの存在とその権利に言及した『宇宙世紀憲章』の存在が明かされても、世界の枠組みが大きく変化することは無かった。
そしてこの放送と、フル・フロンタルの氏により、求心力を失ったネオ・ジオン残党軍『袖付き』は瓦解していくのである。



更に時は流れ……

ミネバ 「この堕天使ヨハネが魔力を与え、ヨハネの眷族として覚醒した魔獣ユニコーンに新たな真名を与えましょう」

ミネバ 「技術的特異点を意味する真名『シンギュラリティ・ワン』。どうかしら、バナージ?」

彼女の中二病はまだ戸口に立ったに過ぎない。


69: 2019/01/13(日) 15:49:44.92 ID:E/YRekml0
これにて完結。
投下にかかった時間が予定を大幅に超え、失礼しました。
読んで下さった皆さん、ありがとうございました。特にコメント下さった皆さんありがとうございました。


これが前作です。

シャア・アズナブル 「見せて貰おうか、『◯◯◯◯◯!』の劇場版とやらを」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1484379403/


最後に……

劇場公開された『ガンダムUC』最終章にあたるepisode7の題名が『虹の彼方に』

『ラブライブ!サンシャイン!!』劇場版の副題が『Over the Rainbow』

これって、奇跡だよ!

71: 2019/01/14(月) 15:59:48.76 ID:ILBSRykKO
手が込みすぎィ!
乙!

引用元: バナージ・リンクス 「嘘でも本当でも、俺にはヨハネ・ツシマだ!」