1: 2014/12/11(木) 09:22:53.65 ID:ApOP0bQf0.net
タイトル:天気の話
差出人:明日の世界
受取人:女
本文
天気の話は会話のきっかけに丁度良い。
会話のとっかかりになるし、生活に大きく関与する部分だから、誰にだって通じる。
インドアな読書家でも、本の湿気を気にしたり、雨の音をBGMにしたりする。
どんな人にだって天気の話は通じるし、あなたの好きな人にだって例外じゃない。
だから会話に困ったときや、話したい相手がいるときは、何だって話してみるのがいい。
天気の話は、あくまでとっかかりに過ぎない。

3: 2014/12/11(木) 09:25:35.12 ID:ApOP0bQf0.net
女「変なメール……」

女(天気の話?でも、言われてみれば確かに切っ掛けにはいいよね)

女「明日、やってみようかなー」

母「まだ起きてるの?明日日直で早いんでしょ?早く寝なさーい」

女「あ、はぁーい」

4: 2014/12/11(木) 09:32:01.27 ID:ApOP0bQf0.net
翌日
放課後、教室にて

女「終わったー……」

男「……女さん?何してんの?」

女「へ?」

男「あ、日直?」

女「あ、男くん。……男くん!?」

男「え、うん。どうしたの?」

女「えとえーと何もないよていうかどうしたの?もう学校終わりだよ帰らなくていいの?」

男「あ、うん。忘れ物しちゃって」

女「わわわすれもの?ノートか何か?」

男「えーとね、本なんだ」

女「本?」

男「そう、これ」

女「日本の政治思想……ムズカシソー」

6: 2014/12/11(木) 09:38:44.33 ID:ApOP0bQf0.net
男「そんなことないよ。ただ読むだけなら誰でも出来るし」

女「ヘェー……」

男「うん……」

女(会話途切れちゃった……きっかけ……きっかけ……きっかけ?そういえば昨日のメール……)

天気の話は会話きっかけに丁度良い。

女「い、いい天気だね!」

男「もう夕方だけどね。そういえば、女さんはどうして残ってるの?日直の仕事は終わったみたいだけど……」

女「あ、えーと、日誌。先生にとどけないとだから」

男「なるほど。俺も先生に鍵返しに行くし、一緒に行こうか」

女「え、うん。行く行く」

女(あのメール、すごく助かった……。変なメールとか言ってごめん)

7: 2014/12/11(木) 09:42:21.37 ID:ApOP0bQf0.net
男・女「失礼しました」

女「図書室行ってたんだね。何か借りたの?」

男「いや、借りたい本はなかった。でもちょっと立ち読みしちゃって」

女「何かおもしろかったの?」

男「えっとね……開いちゃうと読んじゃうんだ。あらすじだけのつもりだったんだけどね」

女「それでこんな時間まで?」

男「字があると読んじゃうんだ。ついつい、ね」

女「ふふ、本、好きなんだね」

9: 2014/12/11(木) 09:51:31.14 ID:ApOP0bQf0.net

女の部屋

女「たくさん男くんと話せたなー……」ニヤニヤ

ピロリーン

女「メール……まただ……」

タイトル:本の話
差出人:明日の世界
受取人:女
本文
ヴェネツィアを泳ぐ魚や、アルジェンティーノ広場の猫。
カルピ村のマンブレッティ氏の車。
30と30は同じ数なのに、車なら多くて髪なら少ない。
アントニオをやめたおじいさんや、魚になったトーダロさん。
不思議な話はお好きかしら?
彼はきっと好きですよ。

10: 2014/12/11(木) 09:55:29.89 ID:ApOP0bQf0.net
翌日
学校・図書室

男「あ……」

女「あ……」

男「こんにちは。放課後にどうしたの?」

女「なんとなく……。昨日話したから、ここにいるのかなーって」

男「うん。基本的には毎日いるよ」

女「何してるの?」

男「図書室でやることはひとつ」

女「本?何読んでるの?」

男「見た目が変われば受け取られ方も変わるって話を読んでた」

女「んんん?」

男「家族から冷たくされたおじいさんがね、猫になったら可愛がられるんだ」

11: 2014/12/11(木) 09:59:34.82 ID:ApOP0bQf0.net
女「ねこ……」

男「猫は好き?」

女「うん、好きだよ、猫」ニャー

男「俺も好きだな。かわいいし」

女「私は、うん。私もそう思う」

男「何か他に理由があるの?」

女「好きなときに好きなこと出来て、羨ましいから……」

男「あー。なるほど。わかるよ。俺もそういうこと考えたことがあるし」

女「……そのおじいさん、もしかしてアントニオさん?」

男「知ってるんだね。こんなマイナーな作品」

女「ううん。聞いたことがあるだけだよ。なんていう作品なの?」

12: 2014/12/11(木) 10:02:46.92 ID:ApOP0bQf0.net
男「短編集なんだけどね。こういう名前」

女「猫とともに去りぬ?」

男「そう。よかったら貸してあげるよ」

女「え?どうして?」

男「なんだか楽しくてね。あんまりこういう話してくれる人が友達にはいないから」

女「私がそういう人になってくれればいい?」

男「そういうわけじゃないけど、好きな作品のことを知っていてくれたから、嬉しくて」

女「じゃあ……うん。借りるね」

男「ありがとう」

13: 2014/12/11(木) 10:08:39.46 ID:ApOP0bQf0.net

女の部屋

女「ふふ。髪が30本なんだ……ハゲだ……でも車は30台も持ってるんだ……」

ピロリーン

女「メール?そういえばまたあのメールに助けられたな……明日の世界さん……」

タイトル:勉強の話
差出人:明日の世界
受取人:女
本文
猫の話はできた?
本を読むと少しは賢くなれた気がするよね。
賢いといえば、期末テストがもうすぐだけど大丈夫?
しっかり勉強しないとね。彼に本を返すついでに勉強しちゃうといいんじゃない?

15: 2014/12/11(木) 10:14:06.01 ID:ApOP0bQf0.net
翌日放課後
図書室

女「本、ありがとう」

男「もう読んだの?早かったね」

女「すごく不思議で、気付いたら引き込まれてた」

男「どの話が面白かった?」

女「やっぱり、社長と会計係かな。髪の話とか笑っちゃった」

男「確かに面白いね。マンブレッティが出てくるのは笑えるよ」

女「あ、そうだ、勉強しなきゃ。ごめんね、今日はちょっと勉強して帰るよ」

男「あ、テスト勉強?そうだな、俺もやってくよ。どうせ誰も来ないから、二人でやろうか」

女「へ?いいの?」

男「お互いわからない部分教えあえるしいいと思うよ」

女「ありがとう。じゃあ早速始めよっか……!」

16: 2014/12/11(木) 10:21:27.02 ID:ApOP0bQf0.net
約3ヶ月後
女「あ、またメール……」

タイトル:99回目のメールですね
差出人:明日の世界
受取人:女
本文
あなたが羨ましい。
私も幸せになりたい。

女「いつもと違う……」

タイトル:Re:99回目のメールですね
差出人:女
受取人:明日の世界
本文
いつも助けてくれてありがとうございます。
すごく助かってます。
おかげで男くんっていう男の子と仲良くなれそうです。
あなたが幸せになれるように、私にお手伝い出来ることはありますか?

19: 2014/12/11(木) 10:27:07.41 ID:ApOP0bQf0.net
翌日・放課後
図書室

女「えっと、男くん」

男「ん?どしたの」

女「今度の休みの日、暇?」

男「えっ、うん、ひま、だよ」

女「一緒に映画、行かない?友達と行く予定だったんだけどね、行けなくなっちゃってね、だから、ね」

男「え、うん、落ち着いて落ち着いて」

女「うん、落ち着いてるよ、だからね、デートとかじゃなくて、えーと、だからー」

男「行く行く。そういう誘い方するってことはチケットは取っちゃったんでしょ?」

女「え……うん。取っちゃった……」

男「なら付き合うよ。待ち合わせどうしようか?」

女「えっと……」

20: 2014/12/11(木) 10:32:10.10 ID:ApOP0bQf0.net
休みの日・昼
映画館近くの喫茶店

女「男くんまだかな……私変な格好してないよね……」ソワソワ

ピロリーン

女「メール……明日の世界さんだ」

タイトル:とうとう100回目ですね
差出人:明日の世界
受取人:女
本文
あなたが私の為に出来ることがあるとすれば、仲良くなってる男の子を邪険にすることくらいです。
だからお願い。どうかその男の子と距離を取って。
その子と仲良くされるのは辛いの。私だって仲良くしたいのに。
その男の子をちょうだい?
私も男くんのこと好きなの。

22: 2014/12/11(木) 10:37:17.01 ID:ApOP0bQf0.net
女「え……」

タイトル:Re:とうとう100回目ですね
差出人:女
受取人:明日の世界
本文
どういうことですか?
98回目までは仲良くするためのメールをくれたのに、99回目から明日の世界さんは何か変ですよ。
今日、男くんに告白しようと思ってます。
明日の世界さんが応援してくれたおかげでここまでこれました。
どうして今になってそんなことを言うんですか?

女「送信っと」ポチ

男「ごめん、ちょっと遅刻したね」ゼェゼェ

女「ううん。私も知り合いとメールしてたから。待ってないよ」

男「ごめんね、お詫びに昼食……にはもう遅いから、映画まで甘いものでも食べに行こう」

女「やったー!」

26: 2014/12/11(木) 10:45:08.88 ID:ApOP0bQf0.net
映画の後
帰り道

女「ホントに送ってもらってもいいの?」

男「うん。あ、ちょっと待ってて」

女「うん?」

男「飲み物買ってくるから」

女「うん、待ってる」

男(昼間の女ちゃんのメール……気になる。アドレスは覚えてるから、メールしてみるか?)

男「文字を読んじゃう癖、やめなきゃなー……」

男(明日の世界さん……。俺のことを好きって言ってくれたけど……何者だろうか)

28: 2014/12/11(木) 10:49:36.55 ID:ApOP0bQf0.net
タイトル:あなたは誰ですか?
差出人:男
受取人:明日の世界
本文
俺に話があるなら、こちらのメールアドレスに直接連絡してください。
女ちゃんに迷惑をかけないようにしてあげてください。
メールを見ているときの不安げな顔が忘れられません。

男「送信……。さて、冷えてきたし暖かい飲み物にしとくか……」

一方女
女(……帰ってきたら言う。好きって言う。言う!)

女「ハァー……寒くなってきたな……」

女(……好き好き好き好き好き……好き……よし、予行演習おわり!言うぞ……言うぞっ!)

31: 2014/12/11(木) 10:55:19.34 ID:ApOP0bQf0.net
男「ごめん。お待たせ」

女(きたー!!!)

女「すき!」

男「………………え?」

女(あれ?)

男「えっと、ごめん、意識が他に行ってて……。もう一度言ってもらっていい?」

女(……そ、そういうこともあるよね…………。よし…………!)

女「すきです!」

男「…………」

女「つきあってください!」

男「……うん。ありがとう。是非、俺でよければ」

33: 2014/12/11(木) 10:58:27.67 ID:ApOP0bQf0.net
男「でも、いいの?」

女「え?」

男「映画の後に謝ったけど……覗き見しちゃったあのメール」

女「……うん。あの人とはちゃんと話する」

男「わかった。俺も俺でちょっとやってみるよ」

女「ちょっと?」

男「うん。メールしてみるよ。メールアドレスも覚えてるし」

女「……わかった。ありがとう」

35: 2014/12/11(木) 11:03:13.76 ID:ApOP0bQf0.net

女の部屋

女(……明日の世界さん、返事がない。どうしたんだろう)

女「急に怖くなったし、お世話になったけど、もう連絡しない方がいいよね」

女(男くんと恋人になれたし、最後にお世話になったお礼はしとこう)

タイトル:ありがとうございました
差出人:女
受取人:明日の世界
本文
今までお世話になりました。

36: 2014/12/11(木) 11:08:34.86 ID:ApOP0bQf0.net
男の部屋
男「……は?」

タイトル:秘密です
差出人:明日の世界
受取人:男
本文
あなたと会ったことがあります。
あなたのことを好きになったことがあります。
あなたに告白したことがあります。
あなたに振られたことがあります。
今またあなたのことが好きになりました。
未来のあなたはどこにいますか?

男「……意味が分からない。俺に告白してくれたのは人生で女ちゃん一人だけだぞ……」

男(いや、これは俺が告白をそうと認識できなかっただけなのかもしれない……。そうなると)

男「未来のあなたはどこにいますか?ってなんだ……」

37: 2014/12/11(木) 11:15:50.90 ID:ApOP0bQf0.net
タイトル:未来の俺?
差出人:男
受取人:明日の世界
本文
意味が分からない。説明してくれ。
俺に会ったことがある人で俺に交際を申し込んできたのは女ちゃん一人だけだと思う。
もし俺が、あなたの告白をそうと認識出来ずに無視してしまっていたのなら、謝らせてくれ。
あなたは何者だ?

男「…………誰だ、こいつは……」

男(女ちゃん本人なはずがないし、やっぱり誰かわからない……)

41: 2014/12/11(木) 11:22:07.21 ID:ApOP0bQf0.net
???「……告白したんだ。多分成功したんだろうなー」

タイトル:未来の俺?
差出人:男
受取人:明日の世界
本文
意味が分からない。説明してくれ。
俺に会ったことがある人で俺に交際を申し込んできたのは女ちゃん一人だけだと思う。
もし俺が、あなたの告白をそうと認識出来ずに無視してしまっていたのなら、謝らせてくれ。
あなたは何者だ?

???「意味わかんないはずだよね。ごめんね」

???(……告白、成功したのかな。いや、聞くまでもないか。どうせ成功だ)

???「ていうか、男くんならわかりそうなもんだけどなー。こういうの、SFでよくあるし。パラレルワールドとか」

タイトル:よく考えてみたらわかると思う
差出人:明日の世界
受取人:男
本文
あり得ないと思うところから考えたら、意外に当てはまってたりすることってあるよね。
私の正体はそういうの。当ててみて。

42: 2014/12/11(木) 11:31:33.39 ID:ApOP0bQf0.net
???「パラレルワールドって平行世界?だっけ」

タイトル:未来人?
差出人:男
受取人:明日の世界
本文
会ったことがないなら、これから会う可能性があると思った。
突飛な可能性が正解と言ったのが本当なら、真っ先に思いつけるのはこれ。
明日の世界さんは未来人?

???「すごいなー。さすが男くん」

タイトル:正解です
差出人:明日の世界
受取人:男
本文
私は未来人です。
男くん、私のこと好きですか?
それとも、女ちゃんのことが好きですか?

44: 2014/12/11(木) 11:36:46.17 ID:ApOP0bQf0.net
???「私、魅力ないからなぁ……。中古だし、根暗だし、陰湿だし」

タイトル:あなたのことはまだ好きになれない
差出人:男
受取人:明日の世界
本文
女ちゃんと付き合うことにしたから、あなたのことを好きになれても付き合うことは出来ない。

???「だよねー。ははは。わかってたよ。当たり前だよ」

???(羨ましい。羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい)

???「誰だって中古より新品だよねー。中古なんかより……」グスッ

46: 2014/12/11(木) 11:47:44.54 ID:ApOP0bQf0.net
男「……なんなんだ。この人は。本当に未来人なのか?未来人という仮定を当てはめて読んでいいのか……」

タイトル:no title
差出人:明日の世界
受取人:男
本文
どこがよかったの?
どこがそんなによかったの?
私よりよかったの?

男「……言いたいことだけは言っておこう。女ちゃんに害が及ぶかも知れない」

タイトル:もう女ちゃんに連絡を取るな
差出人:男
受取人:明日の世界
本文
彼女とは趣味が合う。何より可愛いし明るい。
あなたの魅力がわからないから何とも言えないけど、少なくとも今は魅力を感じる。

47: 2014/12/11(木) 11:53:30.96 ID:ApOP0bQf0.net
???「連絡を取るな……か。無理なんだよー。我慢できない」

タイトル:101kあいめ
差出人:明日の世界
受取人:女

???「私ばーっかり辛いもん。ちょっとくらい八つ当たりさせてよ」

痛いぃぃ!やめて先輩!痛いの!やめて……うぇ……いだい……

???「ああ、くそっ。思い出したくないのに……薬……」

51: 2014/12/11(木) 12:02:05.89 ID:ApOP0bQf0.net
女「ん?メール……男くんからかな」

タイトル:101kあいめ
差出人:明日の世界
受取人:女
本文
ねぇあなたどうして男くんに告白したの?
私男くんのこと好きって言ったよね?言ったよね!
今からでも別れてよ。
今まで幸せだったんでしょ?
ならちょっとの幸せくらい私に分けてくれてもいいじゃない。
お願い男くんをちょうだい。私後悔してるの。
あなたみたいに天気の話でもすればよかった。
くだらないことでも話し続ければ良かった。
私はあなたみたいに出来なかったから痛い思いをしたの?
教えてよ。どうすれば人並みに幸せになれるの?

女「……え、何これ怖い」

53: 2014/12/11(木) 12:08:00.17 ID:ApOP0bQf0.net
次の休みの日
街・カフェ

男「明日の世界さんに連絡を取ってみたんだ」

女「うん……」

男「どうしたの?」

女「あの人、なんだか怖くなってきて」

男「女ちゃんに連絡は取らないように言ったんだけど……」

女「昨日一回きたよ」

男「一回だけ?」

女「うん……こんな内容だった」

54: 2014/12/11(木) 12:19:17.78 ID:ApOP0bQf0.net
男「…………後悔してる」

女「え?」

男「明日の世界さんは大きな後悔をしてる」

女「う……ん?確かにそう書いてあるけど……」

男「確かにこの人は怖いけど……でも悔やんでることがある」

女「痛い思いとか書いてあるね」

男「……女ちゃん。俺たちって印象的な場面で天気の話してるよね」

女「え……うん。教室でしてる……」

男「たかが天気の話くらい誰だってするのに……この人はそれが出来なかったと悔やんでる」

女「うん。あの時話さなかったら……きっと告白できなかった」

57: 2014/12/11(木) 12:34:21.84 ID:ApOP0bQf0.net
男(未来人……俺が会ったことある人……天気の話をしなくて後悔……)

タイトル:あなたの名前が知りたい
差出人:男
受取人:明日の世界
本文
嘘を吐かずに正直に答えて欲しい

???「どうしよう」

???(私の名前……言えない……)

???「どうしようどうしようどうしよう」

???(……でもどうして名前言えないの……?言ってしまえばいいのに)

???「でも言いたくない」

タイトル:名前は言いません
差出人:明日の世界
受取人:男
本文
理由も言いません

59: 2014/12/11(木) 12:40:37.95 ID:ApOP0bQf0.net
男「言いたくないってさ」

女「そっか……」

男「でも、正直見当は付いてる」

女「え?明日の世界さんの本名?」

男「うん……多分正解」

女「でも、まだ会ったことはないんでしょ?」

男「いや……ある」

女「???」

男「多分……未来の女ちゃんだ」

62: 2014/12/11(木) 12:54:08.35 ID:ApOP0bQf0.net
女「うん……うん!?」

男「多分……平行世界とか違う時間軸の未来に生きてる女ちゃんだよ」

女「へーこーせかい?」

男「わからないならとりあえずもう一つの世界って思っておけばいいよ」

女「わかった」

男「多分そこで女ちゃんは俺に告白して振られるんだ……。関係を積み重ねられなかったから」

女「想像したくもない……」

男「……でも向こうは言いたくないみたいだ。理由はわからないけど」

65: 2014/12/11(木) 13:01:35.70 ID:ApOP0bQf0.net
タイトル:女ちゃんだよね
差出人:男
受取人:明日の世界
本文
違ったらそう言ってくれ
正解なら……何か手伝えることはないか?

???「ないよないよ!だって私のこと振ったでしょ!何言ってんのコイツ!」

???(ああくそ!頭痛い……薬……)

???「………………わかった……こいつバカなんだバカだからバカなこと言い出すんだ」

???(あの時……振ったくせに……)

67: 2014/12/11(木) 13:12:02.82 ID:ApOP0bQf0.net
あの時
平行世界女「え……?」

平行世界男「ごめん……」

平行女「ああ……振られたんだな……私」

平行女(何となく……そんな気はしてたんだけど……)

平行女「振られたのかぁ……あーあ……」

あの時から2ヶ月ぐらい
平行女「よし……!新しい恋探すぞー!さらば男くん!」

あの時から1年9ヶ月くらい
平行女「大学って広いなー……迷いそう……」

平行先輩「あれ?新入生?迷った?」

平行女「あ……はい……2号館ってどこでした?」

69: 2014/12/11(木) 13:17:05.03 ID:ApOP0bQf0.net
平行先輩「……かわいいねー。彼氏いないの?」ジロジロ

平行女「はい……あ、この辺で失礼しますね」

平行女(何この人……目つき怖い……)

平行先輩「あーうん。またねー」

平行女「あ、はい。また機会があれば……」

平行先輩「うんうん。暇があったらうちのサークルおいでよ」

平行女「機会があったら……。失礼しますね」

71: 2014/12/11(木) 13:26:28.26 ID:ApOP0bQf0.net

大学・
平行女「……やめてください」

平行先輩「あ?うるさい」ドガッ

平行女「ぅっ……痛い……やめて……」

平行先輩「黙れ。脱げ」

平行女「だ……誰kむぐ……!」

平行先輩「黙れって言ってんだろうが」ゲシッ

平行女「ぐ……ぅぅ……いだい……」

平行先輩「……もういいか」ビリビリ

平行女「破らないで……」ポカポカ

平行先輩「チッ……これ飲め」

74: 2014/12/11(木) 13:35:52.76 ID:ApOP0bQf0.net
大学・空き教室でした

平行女「なにこr……ンクッ……」

平行先輩「気持ちよくなれるヤツだよ」ゴクッ

平行女「ァ……なにこれェ……」フラフラ

平行先輩「始めてて2錠はやりすぎたか……まあいいや……どうせ穴なんだ……」

平行女「や……やめへ……」ポカ

平行先輩「まだ抵抗すんのか……クソが」ドガッ

平行女「ぐぅぅ……痛いぃぃ!」

平行先輩「……おい処Oかよ……めんどくせぇ」ミチミチ

平行女「ぎっ……ィィィィ!痛いぃぃ!やめて先輩!」

平行先輩「チッ……痛いと覚めんのかよ……」パンパン

平行女「痛いの!やめて……うぇ……いだい……」

平行先輩「また効いてきたな……」

75: 2014/12/11(木) 13:42:26.40 ID:ApOP0bQf0.net
平行先輩「ふぅ……なかなか良かったぞ」

平行女「ぅ……ぅ……」ヒック

平行先輩「誰にも言うな」

平行女「ぅ……」

平行先輩「返事」

平行女「は……はぃ……」

平行先輩「じゃ帰るわ。後始末しとけよ」

平行女「服……」

平行先輩「知るかよ。そんだけ布ありゃ隠せるだろうが」ゲシッ

平行女「ぐっ……ぅぅ……」グス

77: 2014/12/11(木) 13:58:30.93 ID:ApOP0bQf0.net
1ヶ月後
平行女「…………」

平行女(過去……変えられたらいいのに……)

平行女「あの……クソッ……クソが……」

平行女(なんで懲役だよ……氏刑でも軽いのに……)

平行女「過去を変える方法……」カタカタ

平行女(検索結果……約10,400,000件……)

平行女「アハハ……すっごいや……こんなにある……」

平行女(“嫌な過去に縛られない”)

平行女「論外」

平行女(“今を素晴らしくすることで過去を素晴らしく……”)

平行女「なるわけない」

20時間後

平行女(“過去の自分にメールを送る”)

平行女「私は……いつの自分にメールを送るんだろ……」

79: 2014/12/11(木) 14:08:09.89 ID:ApOP0bQf0.net
メーリングソフト“明日の世界”へようこそ
このソフトは過去にメールを送ることが出来ます。
制限や制約はありません。好きにメールを送ることが可能です。
差出人の名前は“明日の世界”となります

平行女「へぇ……。なら……大学より前に……送ろう……」

平行女(あ……あの教室……。男くん……)

平行女「そうしよう……アハハ……私……まだ好きだったんだ……諦めてないじゃん……」

平行女(あの時……なんでも良いから会話のきっかけさえあれば……ちょっとは変わったんだ……)

タイトル:天気の話
差出人:明日の世界
受取人:女
本文
天気の話は会話のきっかけに丁度良い。
会話のとっかかりになるし、生活に大きく関与する部分だから、誰にだって通じる。
インドアな読書家でも、本の湿気を気にしたり、雨の音をBGMにしたりする。
どんな人にだって天気の話は通じるし、あなたの好きな人にだって例外じゃない。
だから会話に困ったときや、話したい相手がいるときは、何だって話してみるのがいい。
天気の話は、あくまでとっかかりに過ぎない。

83: 2014/12/11(木) 14:18:37.71 ID:ApOP0bQf0.net
翌日
平行女「昨日のメールに返信……ない。そりゃそうか……あんな怪しいメール……信じないよね」

ピロリーン

タイトル:どなたですか?
差出人:女
受取人:明日の世界
本文
どなたかはわかりませんが、天気の話をしてくれてありがとうございます。
おかげで気になる人とたくさん話すことができました。

平行女「きた……!話せたんだ……!よくやった私……」

平行女(確か……次の日……。図書室で……本読んでたよね……)

タイトル:本の話
差出人:明日の世界
受取人:女
本文
ヴェネツィアを泳ぐ魚や、アルジェンティーノ広場の猫。
カルピ村のマンブレッティ氏の車。
30と30は同じ数なのに、車なら多くて髪なら少ない。
アントニオをやめたおじいさんや、魚になったトーダロさん。
不思議な話はお好きかしら?
彼はきっと好きですよ。

87: 2014/12/11(木) 14:28:20.85 ID:ApOP0bQf0.net
タイトル:このメールも50回目です
差出人:明日の世界
受取人:女
本文
私はあなたを応援しています。
あなたの幸せは、私の幸せでもあります。
だから、がんばって。
あなたとその男の子が、絶対に上手く行きますように……。


タイトル:79回目
差出人:明日の世界
受取人:女
本文
明日の彼は少し不機嫌かもしれない。
明るく振る舞って彼を楽しませてあげよう。
そうすれば、あなたと彼は少しでも近づけるはず。
私も仲間に入れたらと思うこともあります。


タイトル:このメールも90回になりました
差出人:明日の世界
受取人:女
本文
あなたがちょっとだけ羨ましい。
私もそんな素敵な恋がしたかったな。
私の分までがんばって!

88: 2014/12/11(木) 14:41:27.73 ID:ApOP0bQf0.net
タイトル:99回目のメールですね
差出人:明日の世界
受取人:女
本文
あなたが羨ましい。
私も幸せになりたい。

平行女「過去、変わってるのに……なんで……私処Oじゃないの?」

平行女(私じゃないの?でもメアドも私のだし、ソフトはちゃんと動いてる……)

平行女「ねぇ。ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ。どうして私の隣に男くんいないの?」

平行女(おかしいおかしいおかしい……。メールが届いてるなら過去は変わるはず……昔の私から画像データも送られてきてる……変わってなきゃおかしいよ)

平行女「もしかして、私の過去にはメール送れない?」

・よくある質問
└・過去の自分にメールを送れますか?
いいえ。過去のあなた自身にメールを送信することはできません。
これはタイム・パラドックスが起こる可能性があるからです。

89: 2014/12/11(木) 14:50:38.23 ID:ApOP0bQf0.net
平行女「じゃあ……私……あはは」

今までやってたこと……無駄?

平行女「あはは……アハハハハ八八ノヽノヽノヽノ\/\ ……!!」

タイトル:とうとう100回目ですね
差出人:明日の世界
受取人:女
本文
あなたが私の為に出来ることがあるとすれば、仲良くなってる男の子を邪険にすることくらいです。
だからお願い。どうかその男の子と距離を取って。
その子と仲良くされるのは辛いの。私だって仲良くしたいのに。
その男の子をちょうだい?
私も男くんのこと好きなの。

平行女「…………アハハ」

平行女(もう、変わんないんだな……)

92: 2014/12/11(木) 15:04:15.28 ID:ApOP0bQf0.net
回想おわり

平行女「今更……今更……!」

タイトル:私?
差出人:女
受取人:明日の世界
本文
今までありがとう。
あなたのこと、怖いと思ってごめんなさい。
何かできること、ありませんか?

平行女「……男くんを譲ってくれないくせに……」

平行女(もうどうでもいい……もう氏のう……)

平行女「外……久し振り……」

平行女(ここ……どこ?駅……?ああ、電車……飛び込もう)フラァー

93: 2014/12/11(木) 15:08:31.13 ID:ApOP0bQf0.net
???「危ない」

平行女「……え?」

???「落ちるよ。自頃するのは良いけど、迷惑かけないようにしなよ」

平行女「男……くん?」

平行男「ん?……女さん?懐かしいなー!久し振りだね」

平行女「あ、うん……離して……」

平行男「飛び込まない?」

平行女「うん……」

平行男「わかった。……送るよ。フラフラじゃないか」

平行女「うん……」

94: 2014/12/11(木) 15:14:33.15 ID:ApOP0bQf0.net
平行男「大学、行ってないの?」

平行女「うん……」

平行男「飛び込もうとしたのは……どうして?」

平行女「しにたいの……」

平行男「何があったの?」

平行女「つらかったの……いたかったの……」

平行男「そうか……。家、ここだったよね」

平行女「うん……」

平行男「あ、そうだ……よかったら……」ゴソゴソ

平行女「…………なんでたすけたの?」

平行男「さっき言った。自頃するにしてもやり方があると思う」

平行女「それだけ……?」

平行男「……うん。あの時はね」

97: 2014/12/11(木) 15:25:16.11 ID:ApOP0bQf0.net
平行男「今は……少し違う」

平行女「うん……」

平行男「知った顔が……それも1度は好きになった女の子があんなことするのは耐えられない」

平行女「……今更……」

平行男「うん……確かに今更だ……。軽率だった」

平行女「今更……だよ……」

平行男「……ごめん」ゴソゴソ

平行女「許さない」

平行男「なら……いつでも連絡をしてほしい」

平行女「しないよ……」

平行男「これ……連絡先。いつでもいいから……」

平行女「しないから……」

平行男「なら捨てていいよ……それじゃあ」

平行女「こんなの……それ」

98: 2014/12/11(木) 15:28:46.88 ID:ApOP0bQf0.net
平行男「君のことを振った後……君のことをよく考えるようになった……」

平行女「どうでもいいよ……」

平行男「卒業式の日に告白しようとして……でも……君はどこにもいなくて……それからは会えなくて……」

平行女「帰って……聴きたくないよ……」

平行男「……言い訳だった。ごめん。今日は帰るよ」

100: 2014/12/11(木) 15:43:41.05 ID:ApOP0bQf0.net
女「いやいやいやいや……難しくない?あっちにはあっちの都合あるだろうし……」

男「いや、俺のことだ……どうせのんびりやってるよ」

女「でも、短絡的じゃない?」

男「そうだけど……でも恋愛の傷は恋愛で治すしかないよ」

女「む……タシカニ」

男「だから……」

女「ホントにできるの?」

男「やってみるしかない……でもまずは向こうの女ちゃんの気持ちを確認するんだ」

103: 2014/12/11(木) 15:52:41.41 ID:ApOP0bQf0.net
タイトル:確認したいことがあります
差出人:男
受取人:明日の世界
本文
そちらの俺は生きていますか?
生きているなら、彼女も持たずにひとりでのんびりしているでしょうと推測します。
そして多分、明日の世界さんのことを意識してるはずです。

平行女「……意識して、くれてるのかな……あれは……」

平行女(……連絡……してみる?)

平行女「……するだけなら…………」

タイトル:さっきはごめん
差出人:平行女
受取人:平行男
本文
落ち着いたので、きちんと話をしたいです。

105: 2014/12/11(木) 15:58:46.19 ID:ApOP0bQf0.net
タイトル:Re:さっきはごめん
差出人:平行男
受取人:平行女
本文
連絡くれてありがとう。
俺も落ち着いて話したいと思っていました。
次の休みの日にでもゆっくり話しましょう。
待ち合わせは……

平行女「……連絡……きちゃった……どうしよ……」

タイトル:連絡が来た
差出人明日の世界
受取人:男
本文
どうすればいいかわからない

男「……向こうの俺は少なくともまだ生きてるみたい」

女「さすがに数年では氏ぬ確率も低かったしね」

男「よし、今度は俺たちが……向こうの俺たちを成功させるんだ」

107: 2014/12/11(木) 16:03:51.25 ID:ApOP0bQf0.net
平行女「……」ソワソワ

平行女(変な格好じゃないかな……)

平行女「髪……伸ばしっぱなしだし……服……よれよれだし……」

平行男「女さん。こんにちは」

平行女「こ……こにちわ……」

平行女(びっくりした……)

平行男男「近くのカフェでも行こうか」

平行女「う……うん……」

113: 2014/12/11(木) 16:15:58.66 ID:ApOP0bQf0.net
タイトル:アドバイス
差出人:男
受取人:明日の世界
本文
俺の性格から言って、始めた話を途中で終えることはないと思う。
だから明日の世界さんはしっかり話を聞いてあげて欲しい。
女ちゃんもがんばれって言ってくれてる。
俺も応援してる。

平行女(がんばる……がんばる……がんばる……)

平行男「じゃあ……遅くなってごめん。……俺から……いいかな」

平行女「うん……話、しよう」

平行男「……俺は君を振った日から……振った君のことをよく考えるようになった……」

平行女「……うん。忘れる努力をした私とは逆に…………」

平行男「……自分を好きだって言ってくれた子が、今でも好きなままでいてくれてるって勝手に思ってるんだ。なんて虫のいい話だろうね」

平行女「ほんとに……そうだよ」

平行男「だから……改めて俺に告白させて欲しい……」

平行女「……いいよ。断るから…………」

平行女(ただの意地……男くんのことはまだ好きなのに……)

115: 2014/12/11(木) 16:22:11.16 ID:ApOP0bQf0.net
平行男「俺は……女さんのことを強く意識してる……。今更だけど……付き合って欲しい」

平行女「………………」

平行男「ダメって言うなら……せめて友達から始めたい……」

平行女「今更……」

平行男「そうか……うん。わかった……ごめんね
……無駄な時間をとらせて……」

平行女「待たせといて……友達からなんて……我慢できない……」

平行男「え?」

平行女「ずっと……諦められなかった……」

121: 2014/12/11(木) 16:36:44.33 ID:ApOP0bQf0.net
平行女「好きです……!」

平行男「……付き合ってください!」

1月後

タイトル:ありがとう
差出人:明日の世界
受取人:男
本文
あなたたちのおかげ……というのは違うかも知れないけど、とりあえず私は落ち着きました。
まだ少し男の人はこわいけど……なんとか話せるくらいにはなりました。
こっちの男くんは、やっぱり私が思ったその通りの人でした。
毎日律儀にメールをくれますが……結局電話してしまいます。
やっぱり声を聞けるのはうれしい。
長くなるのも嫌なので、簡潔に。
私には……あなた達を妬んだ瞬間があります。
でも、これからはあなたたちに負けないように、関係を積み重ねて行けたらなと思ってます。
今までありがとう。
これからはこのメールソフトを使わないようにしたいと思います。
さようなら。

125: 2014/12/11(木) 16:40:55.58 ID:ApOP0bQf0.net
女「……よかった」

男「うん……。でも、喜んでばっかりもいられないよ」

女「どうして?」

男「幸せって握ってないと逃げちゃうからね」

女「その時は……探しに行くよ」

男「うん。俺も……この時間を維持するために最大限の努力はする」

ピロリーン

女「メール?誰からだろう……」

130: 2014/12/11(木) 16:52:42.84 ID:ApOP0bQf0.net
タイトル:102通目です。お元気ですか?
差出人:明日の世界
受取人:女
本文
あなたにはたくさんひどいことを言いました。
謝らなければならないなと思って……もう1度だけ声をかけることにします。
ごめんなさい。
謝ることしかできませんが、ごめんなさい。
許してくれなくても構いません。自分でも……自分を許せませんから。
私は今幸せです。そちらも……幸せでしょう。
あなたの明日の世界が、もっと幸せであるように願ってます。

平行女「送信……終わり。ありがとう。お世話になりました」



「明日の世界」と関連コンポーネントの削除を完了しました。

おわり

131: 2014/12/11(木) 16:54:25.50 ID:GlZg1rRRa.net
おつ

引用元: 女「何、このメール……」