1: 2012/10/02(火) 19:10:04.73 ID:m0kGvp1S0

美希「そうだよ!」

P「なんだ、それ?」

美希「ミキ以外にもね、きっとハニーのこと好きな女の子っていっぱいいると思うんだ」

P「はは、そんなわけないだろ。そんなにモテたりしないよ」

美希「だから戦争なの」

P(聞いちゃいない)

4: 2012/10/02(火) 19:16:25.00 ID:m0kGvp1S0

P「美希が言ってるようなことはありえないよ。だから戦争なんて物騒な言葉を使うのはやめなさい」

美希「えー。ハニーってばノリわるいの……」

P「悪かったな……もしかして美希、暇なのか」

美希「うん」

P「じゃあ寝てなさい」

美希「もういっぱい寝たの。それで、こんな夢を見たから、不安になっちゃったんだ……」

P「……」

美希「ハニーがお話に付き合ってくれないと、ミキ不安で一日8時間しか眠れなくなっちゃうかも……」

P「それでも多いわ」

6: 2012/10/02(火) 19:23:45.71 ID:m0kGvp1S0

美希「とにかく、付き合ってよ!」

P「……わかったわかった、仕事あるからちょっとだけな。それで?」

美希「?」

P「その……正妻戦争? ってのは具体的になんなんだ? まさか誰かと喧嘩とかするんじゃ……」

美希「そ、そんなことしないの! 765プロのみんなはみーんな友達だよ」

美希「だから、ミキ的には、痛いのもカナシイのも、や! って思うな」

P「……」

美希「だからこれは、ちょっとした調査なの」

P「調査?」

美希「うん! ハニーの心を本当に射止めるのは誰なのか想像してみて、ケンカを……ミゼン? に防ぐんだよ」

P(よくわからないな)

7: 2012/10/02(火) 19:29:50.58 ID:m0kGvp1S0

P(まあ、話に付き合うだけならいいか)

美希「ねえねえ。ハニーが結婚するとしたら、どんなタイプがいい?」

P「……そうだなあ」

美希「うんうん!」

P「優しくて、気立てがよくて……あまりガミガミ言わない人がいいかな」

美希「ガミガミ?」

P「ほら、俺の仕事って時間的に不安定だろ? そういうので文句言われるのはちょっとな」

美希「ハニーは縛られるのがやなんだね」

P「そういう言い方はあれだけど……」

美希「でもでも! それならミキはぴったりだって思うな! おっOいも大きいし!」

P「む、胸の大きさは関係ない!」

11: 2012/10/02(火) 19:35:14.69 ID:m0kGvp1S0

P「大体な、俺は美希とは結婚しないよ」

美希「え……?」

P「だってお前、まだ15歳じゃないか。法律で決まってるだろ、女の子は16歳以上にならないと結婚しちゃだめってな」

美希「そーなの!!? ど、どど、どうしよう……」

P「どうしたんだよ?」

美希「15歳だから結婚できるよ☆ って歌っちゃってたの……」

P「あー、まあそれは……美希のキャラ的にそうさせたというか」

美希「……」

P「……」

美希「ま、そんなことはどーでもいいの」

P「そうか……」

美希「じゃあじゃあ、ハニー的には、16歳以上の子じゃないとダメってカンジ?」

P「うん、まあ……そうだな」

16: 2012/10/02(火) 19:39:40.02 ID:m0kGvp1S0

美希「へー……そっかー……なるほどなの」

P「……意外と、ショック受けたりしないんだな」

美希「え? なんで?」

P「いや、15歳とは結婚しないとか言ったからさ」

美希「だってそれって、16歳になったらホントのホントに結婚してもいいってことでしょ?」

美希「あと一年なんてすぐなの! ミキだってもうオトナなんだから、それくらい待てるよ」

P「ははは……」

美希「……も・し・か・し・て~」ニヤニヤ

P「な、なんだよ」

美希「ミキが嫉妬しちゃうって思った?」

P「い、いやべつに、決してそんなことは……」

美希「あは☆ ハニーってばカワイイの!」

19: 2012/10/02(火) 19:45:14.62 ID:m0kGvp1S0

美希「16歳以上となると~……でこちゃんとかやよいはもうアウトだね」

P「やよいに関してはいくつになってもアウトな気がする」

美希「? なんで?」

P「いや……」

美希「とにかく、高校生しかハニーは結婚しないってことかな」

P「そういう言い方はよせ。高校生以上、ってことだよ」

美希「じゃあじゃあ、雪歩とか?」

P「……うーん……雪歩か……」

20: 2012/10/02(火) 19:50:00.80 ID:m0kGvp1S0

【雪歩と結婚したら……】

雪歩「おかえりなさいですぅ、プロデューサー」パタパタ

P「ただいま、雪歩。……お、良い匂いがするな」

雪歩「えへへ……今日は美味しい秋刀魚が手に入ったんです」

P「秋刀魚か! ああ、それはいいな。さっそく夕食にしようか」

雪歩「……!」

P「どうした?」

雪歩「あうぅ……あ、ああ、アレを言うのを忘れちゃいましたぁ……」

P「アレ?」

雪歩「今日こそは、今日こそは、って思ってたのにぃ……!」

P「な、なんだよ。それなら今からでもいいから、言ってごらん」

22: 2012/10/02(火) 19:53:46.95 ID:m0kGvp1S0

雪歩「……」モジモジ

P「……」

雪歩「あ、あの……プロデュ、じゃなくて……あ、あなた……?」

P「う、うん」

雪歩「その……おかえりなさいです」

P「え? ああ、ただいま」

雪歩「ご、ご飯にしますか? お風呂にしますか? そ、そそ、それとも……」

P「……」ゴクリ

雪歩「わ、わた……し?」


―――
――



P「雪歩で。雪歩でお願いします」

美希「むー! ハニー、妄想はもう終わりなの!!」

34: 2012/10/02(火) 19:59:46.22 ID:m0kGvp1S0

P「良い……雪歩はいいな。こう、夫を立てる妻というか……」

美希「今まで見たことない良い表情をしてるの……」

P「……ごほんごほん! ま、まあ、こんな感じだよ。とても良かった、可愛い」

美希「……ハニー、もしかして雪歩のこと好きなの?」

P「え? 当然好きに決まってるだろ」

美希「!」ガーン

P「雪歩だけじゃない、765プロのみんな好きだけどさ」

美希「あ、そーいうこと……」

美希「そんなお決まりな台詞はいらないの!」プンプン

P「な、なんだよ。急に怒るなよ……」

美希「……ま、とにかく! こんなカンジで色々妄想していって、ナンバーワンを決めるのが正妻戦争なの」

P「なるほど……」

38: 2012/10/02(火) 20:00:16.50 ID:m0kGvp1S0
ご飯タイム

45: 2012/10/02(火) 20:25:58.73 ID:m0kGvp1S0

美希「でもでも、雪歩にはミキ負けないって思うな」

P「へえ、自信満々だな。その理由は?」

美希「だって、雪歩は男の人苦手でしょ? だからきっと、夜にハニーを満足させてあげられないかなって」

P「ブッ!!!!」

美希「ひゃあっ! き、きちゃないの……」

P「お、おま……アイドルがそういうことを言うんじゃない!」

美希「んっふっふー! ミキだってもう、ハニーが思ってるほどコドモじゃないんだよ? もう心も体もオトナなの」

P「え、そう……なのか?」

美希「そーだよ! だから、夜眠れないときでも、ハニーに添い寝してたっぷり寝かせてあげられるの」

P「……夜って意味、わかってるのか?」

美希「え? 一緒にオヤスミするってことでしょ?」

P「……ま、いいか」

51: 2012/10/02(火) 20:31:20.09 ID:m0kGvp1S0

P「美希って意外と……いや、そうでもないのか……?」ブツブツ

美希「それで、次は? 次は?」ピョンピョン

P「え、まだ続けるのか?」

美希「あったりまえだのクラッカーなの!」

P「いくつだよ……」

美希「15歳だよ? さっきも話したでしょ?」

P「はは……うん、そうだな。でも、次、って言ってもなあ……」

美希「ハニーが決められないなら、ミキが決めていい?」

P「ああ、いいぞ」

美希「それじゃあ次はね~……響なの!」

P「なるほど響か……」

53: 2012/10/02(火) 20:33:41.33 ID:m0kGvp1S0

【響と結婚したら……】

ガチャ

P「ただいま響~! 良い子にしてたか~!」

P「……って、あれ?」

シーン

P「……」

P「いつもだったらピョコピョコ飛び跳ねて来るのに……」

P「まぁ少し遅くなっちゃったからな、もう寝てるのかもしれない……少しさみしいな」

55: 2012/10/02(火) 20:37:00.94 ID:m0kGvp1S0

P「……音を立てないように……」

ソローリソローリ

P「……」

いぬ美「……ばうっ」

P「!」ビクッ

P「い、いぬ美……ただいま。今日は中にいるのか」

いぬ美「……」クイクイ

P「え? こっちに来いって?」

いぬ美「……」グイグイ

P「わかったわかった」

56: 2012/10/02(火) 20:41:25.80 ID:m0kGvp1S0

テクテク

P「一体何が……」

P「あ」

響「……すぅ、すぅ……」

ぶた太「……ブヒヒ」

P「ははは……ぶた太を枕にして寝てるな」

響「むにゃむにゃ……えへへ、ぷろりゅーさー……」

P「……おや、これは?」

ゴチャア……

P「……縫いかけのマフラー」

59: 2012/10/02(火) 20:45:49.89 ID:m0kGvp1S0

P「響……」

いぬ美「ばうばうっ」

ぶた太「ブヒ」スック

ガタン

響「ふごっ!? な、なに!!?」

P「……おはよう、響」

響「え、え!? ぷ、プロデューサー……」

P「こんなところで寝てたら風邪ひくぞ。さ、ベッドに行こう」

響「……えへへ……」

スリスリ

P「どうした?」

響「起きたら目の前にプロデューサーがいたから……幸せなのさー」

62: 2012/10/02(火) 20:48:59.92 ID:m0kGvp1S0

P「……よい、しょっと」グイ

響「!? な、なにすんの!?」

P「何って、まだ響は夢の中みたいだからさ。布団に連れてってあげようと思って」

響「だ、だからって……お、お姫様抱っこなんて……」

P「いやか?」

響「うー……いや、じゃないけど……恥ずかしいぞ……」

P「じゃ、行こう」

響「……うん……」

ギュッ

63: 2012/10/02(火) 20:54:44.06 ID:m0kGvp1S0

P「……あのマフラー、もしかして俺に?」テクテク

響「ええっ!!? み、見ちゃったの……?」

P「ん? ああ、目に入ったから」

響「うぎゃー! み、みみ、見てもみてないフリしてよっ!」

P「ええ!? す、すまん」

響「うぅ……せっかく、サプライズにしようと思ったのにぃ……」

P「……毎年毎年、ありがとな」

響「! ……えへへ……」ギュッ

P「完成したら、大切に使わせてもらうよ」

響「……うんっ。楽しみにしててよねっ!」

P「ああ……おっと、寝室に着いたな」

―――
――


P「今夜は寝かさないぞ……響」

美希「もー終わり終わりおわり~!!!」

68: 2012/10/02(火) 21:01:41.16 ID:m0kGvp1S0

美希「……まずいっこ、いい?」

P「う、うん」

美希「長いの」

P「いやあ、つい夢中になっちゃって……」

美希「……でも響って、意外とカワイイところあるんだね」

P「やっと気付いたか! そうなんだよ、響はかわいいんだ!」

P「編み物趣味で料理もカンペキ、その上優しくて素直で……」

P「でも夜なんかは、緊張してガチガチになって……またそこもいいなって」

美希「むー……」プクー

P「も、妄想の話な? そんな顔するなって……」

美希「ミキだって、お望みとあらばガチガチにハニーを締め付けて寝ることもできるよっ!」

P「そういうことじゃないんだけど……まあいいか」

72: 2012/10/02(火) 21:06:58.36 ID:m0kGvp1S0

美希「……えーと……うーんと……」

P「どうした?」

美希「響に勝ってるとこ、探してるの」

P「……」

美希「お料理は……負けちゃうかも。おっOいもけっこーあるし……」

P「最近また縮んだけどな。なんでなんだろ、あれ」

美希「フシギなの……」

P「……なあ、美希」

美希「なあに?」

P「もしかしてこれってさ、美希がみんなに勝ってるところ探して、俺にアピールしたいってだけ?」

美希「そ、そそ、そんなことないの」

P(目が泳いでる)

78: 2012/10/02(火) 21:13:07.14 ID:m0kGvp1S0

P「……美希だって、決してみんなに負けちゃいないよ」

美希「!」

P「美希には美希でいいところはたくさんある。純粋だし、思いやりも持ってるし」

美希「えへへ……そう、でもあるけど~……♪」

P「最近は色々、頑張ってくれてるしな」

美希「ねえねえ、見た目は? 響より好き?」

P「……いやいや、見た目に関して、どっちのほうが好きって言うのは控えさせてもらうよ」

美希「え~。なんでー!?」

P「そんなこと言えるか。俺はみんなのプロデューサーなんだぞ」

美希「……なーんてね。ミキ、ホントはわかってるの」

P「……」

美希「……ね、ねえ、次は?」

P「あ、ああ。そうだな……」

84: 2012/10/02(火) 21:18:09.44 ID:m0kGvp1S0

【真と結婚したら……】

真「プゥロデューサー! へへっ、今日は何がたべ

―――
――


美希「ダメなのダメなのダメなの!!!!」

P「えっ」

美希「おしまいおしまい!!」

P「まだ始まったばかりなのに……」

美希「真くんとのことは、妄想でも絶対ダメーっ!」

P「……そんなに真のことがお気に入りなのか」

美希「お気に入りっていうか、ミキの王子様ってカンジ。だから……」

P「だが断る」

美希「えっ」

P「せっかくここまで来たんだ。語らせてくれよ」

美希「ええー……」

98: 2012/10/02(火) 21:26:56.91 ID:m0kGvp1S0

【改めて、真と結婚したら……】

真「プゥロデューサー! へへっ、今日は何が食べたいですかっ?」

P「うーん、そうだな。真が作る料理だったら全部うまいから、なんでもいいよ」

真「な、なんでもいいって、そーいうのが一番困るんですよっ!」

P「あはは、でも本音だからな。真を嫁に出来て本当に良かったと思ってるよ」

真「! ぷ、プロデューサー……」

P「おいおい、何年経ってもこういうのには慣れないのか?」

真「だ、だって……もうっ、プロデューサーが慣れすぎなんですよっ!」プイ

P「……じゃあ、肉じゃがなんてどうだ? 真が作る肉じゃがはもう最高の最高だから」

真「!」パァァ

真「わかりましたっ、それじゃあ腕によりをかけて、最高のごはんを作りますねっ!」

P「かわいいなあ」

真「え」

P「いや、なんでもない……」

真「ぷ、プロデューサー!?」

102: 2012/10/02(火) 21:31:34.60 ID:m0kGvp1S0

カァ、カァ……

P「……」

トントントン

P「夕暮れ、包丁がまな板をたたく音、食欲をそそる良い匂い……」

P「いいなあ。こういうの……」

真「? なにか言いましたかー?」ヒョコ

P「ああいや、こっちの話だよ。真、なにか手伝うことはあるか?」

真「大丈夫ですっ! こっちはボk……私にまかせて、あ、あなたは休んでいてください!」

P「……ああ、わかったよ」

真「さーって、次は、っと……」

104: 2012/10/02(火) 21:36:25.40 ID:m0kGvp1S0

P・真「「ごちそうさまでした!」」

P「いやあ、やっぱり美味いな」

真「へへ、ありがとうございますっ!」

P「最初の頃より、見栄えも味もかなりレベルアップしてるじゃないか。最高だよ」

真「そりゃーもう! いっぱい練習しましたからね!」

P「……」

真「プロデューサー? どうしたんですか、ボーっとして」

P「あ、いや……なんか、新婚の頃を思い出してしまってな」

真「……大変でしたよね」

P「ああ……美希が包丁もって

真「プロデューサー」

P「……すまん」

107: 2012/10/02(火) 21:39:41.67 ID:m0kGvp1S0

真「そ、そんなことより! お風呂沸いてますよ、入っちゃってください!」

P「あ、ああ」スック

真「いってらっしゃーい……」

P「……」

チラ

P「なあ、真」

真「……な、なんですか?」

P「一緒に入ろうか」

真「……」

真「えぇええええ!!?」

111: 2012/10/02(火) 21:43:56.88 ID:m0kGvp1S0

真「そ、そんな、いきなり……!」

P「結婚したての頃は、いつも一緒だったろ?」

真「そそ、そーですけどっ! その色々、じゅ、準備というか……」

P「準備なんて必要ないさ」

真「あ、あなたはそうかもしれないけど、わ、私には必要なんですっ! お、女ですから……」

P「……」

真「……わ、私、ご飯の後片付けしないと!」

P「真」

ぎゅっ……

真「わぷ」

P「無理して女っぽくしなくてもいいさ」

真「え……」

P「頑張って良い奥さんであろうとしなくても、真は昔のままで、十分かわいかったんだから」

116: 2012/10/02(火) 21:48:35.10 ID:m0kGvp1S0

真「……プロデューサー、気付いてたんですか?」

P「当たり前だろ? 今までツッコまなかったけど、その『私』っていうのもさ」

真「……ボク、なんて……この年になって、恥ずかしいですし……」

P「夫婦に恥ずかしいも何もあるか。いつだって元気な、素の真が、俺は一番好きだよ」

真「!」

P「……ダメか?」

真「だだ、ダメって……?」

P「一緒に風呂」

真「……」

ぎゅっ……

真「ダメなわけ、ないです……」

122: 2012/10/02(火) 21:52:27.12 ID:m0kGvp1S0

真「ねえ、プロデューサー?」

P「どうした?」

真「……今週の日曜日、どこかに連れてってください」

P「ああ、もちろんさ。久しぶりのデート、楽しみにしててくれ」

真「へへっ……」

P「嬉しそうだな」

真「もちろんですっ! で、デートもそうですけど……」

真「……ボクは、あなたのお嫁さんになれたことが……本当に嬉しいんです」

―――
――


P「俺もだよ、真……」

美希「……」

P「……ってあれ? ツッコミがない……美希?」

美希「…………」

P(泣いている……)

125: 2012/10/02(火) 21:55:19.17 ID:m0kGvp1S0

美希「……グスッ……」

P「お、おいおい……どうしたんだよ」

美希「どーしたもこーしたもないってカンジ……」

P「……そんなに、いやだったか?」

美希「あったりまえなの! うぇぇ……」

P「……」

美希「ま、真くんを……ハニーに取られちゃったぁ……!」

P「えっ」

131: 2012/10/02(火) 22:01:48.61 ID:m0kGvp1S0

P「……落ち着いたか?」

美希「うんっ! ありがとうなの、ハニー。頭撫でてくれて」

P(あの状況じゃ断れないもんな……)

ぐ~

美希「落ち着いてきたら、おなかが減っちゃったの」

P「自由だな……」

美希「ねえねえハニー。今ね、ミキね、とっても甘いモノが食べたいってカンジ」

P「うーん……とはいえ、もうそろそろ仕事に戻らないと」

美希「このあとどっか行くの?」

P「いや、書類仕事だけだけど……はやく終わらせないと、残業になっちゃうから」

美希「あは♪ それならミキも終わるまで待ってるから心配ないよ?」

P「そういう問題じゃないだろ……」

美希「これはミキを泣かせたバツなの」

P「うぐ……そう言われると、何も言い返せない……ケーキでいいか?」

美希「うんっ!」

141: 2012/10/02(火) 22:08:06.85 ID:m0kGvp1S0

テクテク

P「美希は本当に真のことが好きなんだな」

美希「そーだよ! だからたとえハニーでも、真くんは譲らないの」

美希「真くんのお嫁さんになるのは、このミキなんだから!」

P「俺と結婚するんじゃなかったのか?」

美希「あ……うぅ……そーだったの……」

P「そもそも真は女だろ? お嫁さんになるって……」

美希「じゃあ、ミキが真くんの旦那さんになるの?」

P「……いや、それもなんか違うな」

美希「王子様の真くんも、お姫様の真くんも、ミキはどっちも好きだけどね!」

P「ま、たしかにどっちもかわいいな」

美希「えへへっ、ハニーもなかなかわかってるってカンジ!」

146: 2012/10/02(火) 22:14:59.71 ID:m0kGvp1S0

幼女「ママー、いおりん買って~」

女性「ダメよ。あなた面倒見れないでしょ?」


P「……」

美希「ハニー? 何見てるの?」

P「ああいや、あの子供連れをだな」

美希「子ども……ハッ! ま、まさかハニー……!」

P「いやいやいや! 違うから! そうじゃないから!」

美希「むー……ホントかなぁ……」

P「本当だって……それより、まだ正妻戦争? って続けるのか?」

美希「うん! 真くんを乗り越えたんだから、もうミキに怖いものはないってカンジ」

P「そ、そっか」

美希「ケーキ屋さんにつくまで、話してもいいよ?」

P「うーん……それじゃあ次は……春香かな」

美希「……春香……なかなか手ごわいヨカンがするの……」

148: 2012/10/02(火) 22:19:36.97 ID:m0kGvp1S0

【春香と結婚したら……】

P「……」ソワソワ

ガチャ

春香「ただいまー」

P「お、おお! おかえり、春香!」

春香「あっ、プロデューサーさん! 先に帰ってたんですね」

P「ああ……」

春香「えへへ……おかえりなさい」

チュッ

P「ん……おかえりのキス、って、こういう感じでするもんなのか?」

春香「だ、だって……毎回しないと、なんか落ち着かないんですよぅ」

152: 2012/10/02(火) 22:25:50.01 ID:m0kGvp1S0

P「そ、それより……どうだったんだ?」ソワソワ

春香「どうだった、って?」

P「おいおい、わかってるだろ? 今日一日、そのせいで仕事に集中できなかったんだぞ」

春香「ちゃんとお仕事しないとダメですよ? やよいたちがかわいそうですから」

P「うん……、まあ、そうなんだが……」

春香「……ふふ」

P「……」

春香「……やっぱり……できて、ました」

P「え?」

春香「……赤ちゃん。えへへ……」

P「! そ、そうか! あはは!」

春香「プロデューサーさん……グスッ……ご懐妊ですよ、ご懐妊……!」

159: 2012/10/02(火) 22:32:31.14 ID:m0kGvp1S0

P「いやあ……そっか、そうだったか……!」

P「おめでとう……い、いや、おめでとうってのもおかしいのかな? とにかく俺も嬉しいよ……」

春香「……パパ?」

P「そ、それはまだ気が早いだろ」

春香「でも、これから九ヶ月なんてあっという間ですよっ!」

P「……うん、そうだな」

春香「えへへ……名前、考えといてくださいね?」

P「名前か……ところで、男の子? それとも女の子だったのか?」

春香「それこそまだ気が早いですよぅ。まだ今の時点じゃわかりませんから」

P「じゃあ名前なんて……」

春香「だから、両方考えといてくれればいいんですっ!」

P「あはは……わかったよ。誰からも愛される、素敵な名前を考えておこう」

161: 2012/10/02(火) 22:36:09.64 ID:m0kGvp1S0

―――

春香「……あ。今、動いた……」

P「ほ、本当か!?」

春香「あ、ほら、また……プロデューサーさん、来てくださいっ!」

P「どれ……」

ピト

P「……」

モゾ

P「! け、蹴った! 蹴ったぞ! あはは、元気いっぱいだな!」

春香「ふふ、そうですね……」

P「は……はは……」

春香「……プロデューサーさん?」

P「……」

春香「……何を、考えているんですか?」

P「……春香には、隠し事はできないな」

163: 2012/10/02(火) 22:44:20.45 ID:m0kGvp1S0

P「俺な……もうすぐ、父親になるってことが……実はまだ、よくわかっていないんだ」

春香「……」

P「今こうして、動いているのを感じて……そこに命があるってことを実感して」

P「そしたら、急に……なんというか、不安になってしまったんだよ」

春香「プロデューサーさん……」

P「……俺、良い父親になれるかな……」

春香「……ふふ、あなたにしては、珍しく弱気ですね?」

P「……」

春香「大丈夫です。私が保証しますよ。あなたは絶対、絶対良いお父さんになれます」

春香「なんて言ったって……私が、こんなに好きになった人なんですから」

P「……それ、関係あるか?」

春香「関係大ありです。元トップアイドルの私が認める、とってもすごい人なんですよ?」

P「あはは……春香、変わったな。なんというか、強くなったというか」

春香「えへへ……。女の子は、あなたが知らないうちにどんどん強くなっていくんですよ」

春香「女子三日会わざれば刮目して見よ! です! ……あれ? 男子だったかな」

166: 2012/10/02(火) 22:50:01.64 ID:m0kGvp1S0

P「……ごめんな」

春香「え?」

P「いや、不安なのは俺だけじゃないはずなのに……というか、むしろ春香の方がそのはずなのに」

春香「そ、そんなことないですよ?」

P「顔が『のワの』←こんな感じになってるぞ。誤魔化しちゃだめだ」

春香「……えへへ」

P「……お互い、まだまだ、わからないことばっかりだな……」

春香「……あなた……」

チュッ

P「……」

春香「……そうですね……知らないこと、まだまだいっぱいあります」

P「……まるで、初めて会った頃みたいに」

春香「はい……でも、これだけは違いますよ?」

P「え?」

春香「初めて会った頃より、今のほうが……ずっと、ずーっと、あなたのことが大好きなんですから」

169: 2012/10/02(火) 22:52:51.83 ID:m0kGvp1S0

P「春香……」

春香「また、一緒に頑張っていきましょう? あの頃みたいな気持ちで、ふたりで二人三脚で……」

P「……ああ!」

春香「そしたらきっと……ううん、絶対。今よりもっともっと、良いことがたくさん待ってるはずですから」

P「そうだな……春香?」

春香「なんですか?」

P「……最近は、なかなか言えなかったけど……」


P「愛しているよ」

春香「……えへへ。私のほうが、愛していますよ……」


おわり

177: 2012/10/02(火) 22:55:01.82 ID:m0kGvp1S0

―――
――


美希「おわりじゃねーの!!」

P「えっ」

美希「勝手におわらすんじゃねーの!!!」

P「み、美希。言葉遣いが荒いぞ……まるで不良みたいだ」

美希「なんなのなの! なんなのなの!!」

P「いけない……美希が我を忘れていらっしゃる……」

187: 2012/10/02(火) 23:01:22.13 ID:m0kGvp1S0

P「どう、どうどう……」

美希「……フー……フー……!」プルプル

P「落ち着け……深呼吸をするんだ」

美希「……し、しんこきゅー……」

P「そう……俺に合わせて……そーれ、ヒッヒッフー」

美希「ひっひっふー……」

P「ヒッヒッフー」

美希「ひっひっふーってこれラマーズ法なの! もう妄想はおわりだよっ!」

P(バレたか……)

美希「うぅー……ねえ、ハニー……」

P「うん?」

美希「だんだん、なんというか……カゲキになってない?」

P「過激って……そうか? 子どもを作る描写もなかっただろ」

美希「? ……よくわかんないけど、イチャイチャしすぎって思うなっ!」

190: 2012/10/02(火) 23:06:30.89 ID:m0kGvp1S0

美希「春香に勝ってるとこ……春香に勝ってるとこ……」ブツブツ

P「……」

美希「……転ばないよ?」

P「そうだな……でも、それって勝ってるところなのか?」

美希「うーん……それに、ミキのほうがお洒落さんなの」

P「春香の私服だってかわいいって俺は思うよ」

美希「……」

美希「やっぱりハニーは春香のおなかに子ども作らせたいんだー!!!」

P「!?」

 ざわざわ……

  春香……? 春香ってあの……?

P「す、すいません、違います、違いますから! アイドルの天海春香とは僕たち無関係ですから!」

P「……お、おいおい美希! こんな大通りでそんなこと言うんじゃない!」

美希「ぶー……」プクー

196: 2012/10/02(火) 23:13:44.40 ID:m0kGvp1S0

【765プロ事務所】

美希「~♪」モムモム

P「……」

美希「しあ~せなの~……♪」

P「そっか……それは良かった。ほら、ほっぺにクリームついてるぞ」

美希「んー。取ってー」

P「はいはい」

フキフキ

P「……しかし、食べきれるのか? そのケーキの山」

美希「だいじょーぶだよ! 甘いモノはベツバラだから!」

P「明らかに美希の腹より体積多い気がするけど……」

美希「ミキはこう見えてもけっこー大食いなの。貴音には負けちゃうけどね」

P「ははは……」

P(結局、美希の機嫌を直すために、ケーキを山ほど買うはめになってしまった)

P(財布がさみしくなってしまったな……まあ、これで美希が元通りになるなら安いもんか)

201: 2012/10/02(火) 23:19:40.01 ID:m0kGvp1S0

美希「ふぅ……おなかいっぱいなの。ごちそうさま、ハニー!」

P「本当に全部食べきりおった……」

美希「そしたらなんだか眠くなってきちゃったの……あふぅ」

P「フリーダムすぎだろ……食べてすぐ寝たら牛になるぞ」

P(というかそもそも、眠れなくなるから付き合えって言ったんじゃ……)

美希「んー……ミキは……食べたらぜんぶ、お肉がおっOいに行くから……問題ないの……」

トロ-ン

P「……」

美希「ねえ、ハニー……?」

P「なんだ?」

美希「膝枕、して?」

P「……」

P「いいよ。こっちおいで」

203: 2012/10/02(火) 23:23:50.02 ID:m0kGvp1S0

ポフン

美希「えへへ……」

P「……」

美希「あったかいね……ねえねえ、ハニー」

P「今度はどうした?」

美希「頭、撫でて? そしたら気持ちよくグッスリなの」

P「……」

ナデナデ

美希「……う~ん……きもちぃーの……zzz……」

P(はええ)

204: 2012/10/02(火) 23:27:55.95 ID:m0kGvp1S0

P「……」

美希「……むにゃむにゃ……」

ガチャ

P「!」

律子「ただいま戻りましたー……って、あら?」

P「り、律子……しー、しー!」

律子「……何やってるんですか?」

P「いや、なりゆきというかだな……」

律子「はぁ~……相変わらず、美希には甘々ですね」

P「そんなつもりはないんだが……」

律子「みんな言ってますよ、プロデューサーと美希は仲が良すぎるって」

P「……」

律子「もしかして、付き合ってるんじゃないか、結婚するんじゃないかって」

P「っ!」

律子「なーんて……って、なんですかその表情」

206: 2012/10/02(火) 23:32:02.33 ID:m0kGvp1S0

律子「まさか本当に……?」

P「……いや、違うよ」

律子「ふーむ……」

P「ただ、さっき美希とこんな話をしてたんだ。正妻戦争、とか言ってな」

律子「なんですか、それ」

P「いやまあ、俺もよくわかってないんだけどな……」

―――
――


律子「……なるほど。なんといいますか、まあ……」

チラ

P「……」

律子「妄想するのは自由よね、うん」

P(なんか恥ずかしい)

209: 2012/10/02(火) 23:38:59.62 ID:m0kGvp1S0

律子「美希も美希だけど、あなたもあなたよね。わざわざ付き合ってあげるなんて」

P「う……」

律子「それで、仕事は終わったんですか?」

P「いや、まだだ……」

律子「だと思った。私も手伝いますから、さっさと終わらせちゃいましょう」

P「……今?」

律子「トーゼン、い・ま・です。美希はそう簡単に起きないんだから、膝枕してないでこっち来てください」

P「……」

ソー……

コロン

美希「ふみゅ……むにゃむにゃ……zzz……」

P「……」

律子「名残惜しそうな顔してないで」

P「そそ、そんなつもりは」

213: 2012/10/02(火) 23:45:08.22 ID:m0kGvp1S0

―――

P「……あ、律子。その書類だけど」

律子「え? ああ、そうね。印鑑印鑑……」

P「わるいな」

律子「いえいえ」

P「……」カタカタ

律子「……」カキカキ

律子「……あ、プロデューサー。今度のミニライブですけど……」

P「ん? ああ、アレか。うん、大丈夫だ、ちゃんと先方とも話してきたから」

律子「そうですか」


美希「……」ブルッ

美希「……さ、さむいの……ハニー……」モゾモゾ

美希「って、あれ?」

美希「……」

215: 2012/10/02(火) 23:48:36.13 ID:m0kGvp1S0

美希「……」

ソー……

チラ


P「……それでさ……」

律子「……へえ、なるほど……」


美希「……」

美希「なんか、息ピッタリってカンジ」

美希「…………」

美希「ふーんだ」

ゴロン

美希「……ハニーのバカ……」

美希「でもべつにいーの。でこちゃんから奪ったうさちゃんがあるから、寒くなんてないもん」

ギュッ……

220: 2012/10/02(火) 23:53:47.60 ID:m0kGvp1S0

美希「……」

コックリコックリ

美希「……なんだか、また眠くなってきたの……」

美希「あふぅ……むにゃむにゃ……」


―――
――



美希(……ミキにはわかるの。ミキは今、夢を見てる)

美希(今日はたくさんハニーとお喋りできたから、夢の中でもハニーが出てきて……)

美希(それで、ハニーってば……夢の中でも、正妻戦争とか言って……)

美希(……それで……)

228: 2012/10/03(水) 00:06:49.04 ID:uO4RXl620

【律子と結婚したら……】

律子「……――デューサー! プロデューサー!」

P「ほあ!? あ、ああ、朝か!?」

律子「そーですよ、朝です! いい加減に起きないと、遅刻しちゃいますよ?」

P「う、うん……」

モゾモゾ

律子「ほらほら、シャキっとしなさい。あなたがそんなんだと、みんなに示しがつかないでしょ?」

P「わかったよ……ふわぁ~」

律子「まったく……朝ごはん出来てますから、ちゃっちゃと食べちゃってくださいね」

230: 2012/10/03(水) 00:12:12.69 ID:uO4RXl620

P「一緒に食べないのか?」

律子「私はもう食べちゃいましたよ。女の朝は準備が山積み、戦争なんですから」

P「……そうか……」

律子「な、なーに? その顔……」

P「いや、もう少しはやく起きればよかったなーって」

律子「……なんで?」

P「そしたら、律子と一緒に朝ごはんを食べられたし……もう少し、ゆっくりできただろ」

律子「……だとしても、ゆっくりしてる時間なんてありませんよ」

P「それでも、五分くらいさ……くっついていられたじゃないか」

律子「……」

P「昨日の夜みたいに」

律子「ば、ばば、バカ言ってんじゃないの!」

律子「もー……まだ夢の中にいるんじゃないの……」カァァ

234: 2012/10/03(水) 00:15:50.40 ID:uO4RXl620

P「さて、それじゃあそろそろ行こうか」

律子「ええ」

ガチャ

律子「あ……プロデューサー」

P「ん?」

律子「……ネクタイ、曲がってますよ」

キュ、キュ

P「ああ、悪いな」

律子「ちゃんとカッコつけてくださいね」

P「な、なんだよカッコつけるって……」

律子「あなたがカッコ悪いと、みんなやる気でないんですから」

P「……そーいうもんか?」

律子「そーいうもんです。はい、出来上がり!」

ポンポン

238: 2012/10/03(水) 00:22:14.46 ID:uO4RXl620

テクテク

律子「……こうして、あなたと一緒に出勤する日が来るなんて、前までは思ってもいなかったわ」

P「どうしたんだ、いきなり」

律子「……」

P「律子?」

律子「朝起きて、夜寝て……仕事中も、四六時中一緒ってわけじゃないけど……顔を合わせられて」

律子「……私、今の生活がとっても幸せなんです」

P「……」

律子「あの……それ、だけ……」

P「……らしくないじゃないか」

律子「……そーよ、今日の私はいつもの私らしくないのよ……」

律子「だから……」

ギュッ

P「!」

律子「……こうして、手をつなぐことだって、出来ちゃうんです」

240: 2012/10/03(水) 00:26:47.91 ID:uO4RXl620

P「何かあったのか?」

律子「……あえて何があったのかといえば、昨日ね」

P「昨日?」

律子「昨日、あなたがあんなにするから……それで、今朝もあんなこと言うから」

P「あはは……」

律子「あの……プロデュ……じゃなくて……あなた?」

P「うん?」

律子「……私、普段はあんまり、こういうの得意じゃないから……言えないけど」

P「……」

律子「あなたが言ってくれるように、私だって……あなたのことを想っています」

P「律子……」

律子「だ、だから……!」

241: 2012/10/03(水) 00:30:09.01 ID:uO4RXl620

律子「うぅー……だ、だから……」

P「……」

律子「……明日からは、もう少し……」

律子「早起き、しましょうか……」モジモジ

P「!」

律子「……あーもう……なんでこんなこと……」

P「……律子」

律子「は、はい!? なーに、へんだって言いたいんでしょ!?」

P「そんなつもりはないよ」

律子「じゃ、じゃあ何を……」

P「……今日はこのまま、手をつないで事務所まで行こうか」

律子「! な、なんで……?」

P「そういう気分なんだよ。いやか?」

243: 2012/10/03(水) 00:32:43.60 ID:uO4RXl620

律子「いやとか、そーいう問題じゃ……み、みんなに何を言われるか」

P「言わせておけばいいさ。結婚してるのはみんな知ってることなんだから」

律子「……本気?」

P「本気だよ。見せ付けてやろう」

律子「……」


律子「……わ、わかりました……」


―――
――



美希「そんなのってないの!!!!」ガバッ

P・律子「「!?」」

248: 2012/10/03(水) 00:37:47.59 ID:uO4RXl620

美希「ハニー!!」ドタドタ

P「お、おはよう美希」

美希「おはようございますなの! それよりも~……!」

律子「どーしたのよ、血相変えて……」

美希「むぅ……律子っ!」

律子「さんを付けなさい」

ペシッ

美希「あうっ。……律子……さん……」

律子「よろしい。で?」

美希「で? ってなに?」

律子「なにか、この人に言いたいことがあったんじゃないの?」

美希「あっ、そーだったの! ハニー!」

P「な、なんだよ」

美希「律子……さんとイチャつくのはいい加減にして欲しいって思うな!」

P・律子「「……は?」」

252: 2012/10/03(水) 00:43:53.83 ID:uO4RXl620

美希「律子さんも律子さんなの……ミキがハニーのこと好きって知ってるのに、手なんてつないで……」

律子「ちょ、何言ってんの!?」

美希「ミキ見たもん! あれでしょ、コイビトつなぎって言うんだよ! 指と指を絡ませて……やん」

律子「勝手に言って勝手に照れてるんじゃないわよ……」

P「……なあ、美希。それなんの話だ? 本当に心当たりがないんだけど」

美希「むむ。ハニーも誤魔化す気?」

P「とは言っても……なあ、律子?」

律子「え、ええ。そんなのまったく記憶にないわ」

美希「それなら教えてあげるよ! だってだって、さっき夢の……中……で……」

美希「……」

P「……」

律子「……」


美希「夢だったの。あは☆」

259: 2012/10/03(水) 00:51:48.84 ID:uO4RXl620

律子「そんなこったろーと思ったわ……」

美希「正直スマンカッタと思ってるの」ニコニコ

律子「本当かしら……あーもう、憎ったらしいわねこの顔」

プニプニ

美希「いひゃいの~……」

P「おいおい律子、あんまり美希をいじめるなよ」

律子「あなたは美希に甘すぎですっ!」

美希「えひぇひぇ……」ニコニコ

律子「……美希、さっきからなんで笑ってるのよ」

美希「と、とにかくはにゃして欲しいって思うな……」

律子「はいはい」パッ

プルン

美希「あふぅ。……えっとね。夢だったから嬉しいんだ」

律子「……なにそれ?」

美希「律子さんとハニーが仲良かったのが、ホントのことじゃなかったから……だから、嬉しいの」

266: 2012/10/03(水) 00:56:31.49 ID:uO4RXl620

P「美希……」

美希「でもでも、そこでユダンするミキじゃないよ? ハニーは渡さないんだから!」

ギュー

P「……」

美希「あれ? いやがらないの? もしかしてもしかして、ついに想いが通じた!?」

P「調子に乗らない。……ま、今だけな」

美希「今だけでも嬉しいの~……♪」

スリスリ

律子「……まったく、あんたには敵わないわね」

美希「? それってどーいう意味?」

律子「なんでもないわ」

269: 2012/10/03(水) 01:03:12.62 ID:uO4RXl620

律子「あんたの素直さがたまに羨ましいわね……」

美希「あは♪ 律子……さんも、素直になったときはカワイイのに」

律子「んなっ……どこで見たのよそんなの!」

美希「夢の中だよ」

律子「……はぁ……」

美希「それよりハニー、お仕事おわったの?」

P「ん、ああ。律子が手伝ってくれたおかげでこの通りな」

美希「それじゃあそれじゃあ、一緒に帰ろ! 律子さんも!」

P「……だそうだ」

律子「……私は遠慮しておくわ」

美希「え~。なんでー?」

律子「もうおなかいっぱいで砂糖吐きそうなのよ。だからもう、ひとりにしてちょうだい」

美希「律子さんお砂糖出せるの!? スゴイね! ずっとずっと甘いモノ食べられるの!」

律子「……まったく、素直なのかただのおバカさんなのか……」

272: 2012/10/03(水) 01:10:16.74 ID:uO4RXl620

美希「それじゃあね、ばいばーい!」

律子「はいはい。また明日~」

バタン


P「……なあ、美希」

美希「なあに?」

P「……帰りに、ご飯でも食べていこうか」

美希「えっ、いいの!?」

P「ああ。まあ、ケーキ食ったあとだから入らないかもしれないけど」

美希「んっふっふー! 甘いモノはベツバラって言ったでしょ?」

美希「ミキの胃袋は宇宙なの。おにぎりならまだまだ入るよ!」

P「ははは……というか、その笑い方、気に入ったのか?」

美希「うん! それに亜美たちの出番はないっぽいからね。んっふっふ~」

P「?」

276: 2012/10/03(水) 01:15:26.21 ID:uO4RXl620

美希「ハニー、なんかいつもより優しいね?」

P「そうか?」

美希「そうなの。いつもだったら、寄り道せずにまっすぐ帰りなさいって言うのに」

P「……まあ、今日だけな」

美希「今日だけでも嬉しいって思うな……」

P「……」


P(……今日色々と美希と話していて、嬉しい気持ちを感じなかったわけじゃないからな)

P(まあ、少しだけ、だけど……)

P(それに、もう……この子の涙は見たくはないし。だから……自然と、優しくなってしまうのかもしれない)


P「……なーんて、言ってやらないけどな」

美希「なんの話?」

P「こっちの話だ。なんでもないよ」

280: 2012/10/03(水) 01:21:09.47 ID:uO4RXl620

―――

美希「送ってくれてありがとね、ハニー!」

P「いいってことさ。気をつけて帰るんだぞ?」

美希「あは、ハニーってばおかしーの。もう玄関だよ?」

P「うぐ、ま、まあそうだけど……」

美希「……泊まってく? えへ」

P「バカ言ってんじゃないよ。親御さんもいるのに」

美希「いなかったらオーケーみたいな言い方だね?」

P「……」

ペシッ

美希「あうっ。三時間ぶり二回目のチョップなの……」

P「……それじゃあな。おやすみ」

美希「うんっ! おやすみなさいなの!」

282: 2012/10/03(水) 01:26:14.46 ID:uO4RXl620

P「さて……俺も帰ろうかな。車の鍵車の鍵、っと……あったあった」

ガチャ バタン

P「……」

チラ

美希「……」フリフリ

P「……」

……プルルル

美希『はいなの! もしもしハニー、どーしたの?』

P「いつまでも手を振ってないで、家の中に入りなさい」

美希『でもでも、ハニーをお見送りしたいんだもん』

P「……」

美希『あ……ダメ、だった?』

P「いや……そういうわけじゃないんだけどさ」

285: 2012/10/03(水) 01:29:53.47 ID:uO4RXl620

美希『あは! それなら、問題ないね♪』

P「……美希が帰るまで、俺は動かないぞ」

美希『ミキだって、ハニーが車出すまではここを動かないの』

P「……」

美希『……』

P「……わかったよ」

美希『!』

P「美希を風邪引かせるわけにはいかないからな。俺はもう行くよ」

美希『う、うん……』

P「じゃあ、今度こそ……おやすみ、美希」

美希『……おやすみなさいなの……』

289: 2012/10/03(水) 01:34:55.97 ID:uO4RXl620

P「……」

美希『……』

P「……最後に」

美希『え? な、なになに?』

P「今日色々と話をしてさ……それでいま、なんとなく思ったんだ」

美希『……?』

P「将来、美希と結婚して……それで旦那さんになる人は、幸せだなって」

美希『!』

P「うん、まあ……ありていに言ってしまえば、羨ましくもあるよ」

美希『そ、それって――

ピッ


P「よーし、帰るか」

ブロロロ……


美希「なんなのなの! なんなのなの!!」プンプン

291: 2012/10/03(水) 01:37:29.91 ID:uO4RXl620
少しコーヒー休憩
そのあと二日目を書いてく

300: 2012/10/03(水) 01:57:33.39 ID:uO4RXl620

【翌日 765プロ事務所】

P「うーん、今日も良い天気だ。さてと……」

ガチャ

美希「……おはようございますなのー……」

P「おはよう、美希。……どうしたんだ、その顔」

美希「あふぅ……寝不足ってカンジ」

P「昨日あれから、すぐ寝なかったのか?」

美希「うん……7時間しか眠れなかったの……」

P「……ま、まあその量が多いか少ないかはともかく。一体どうして?」

美希「どうしてってそんなの決まってるの!」

美希「ハニーが昨日、あ、あんなこと言うから……!」

P「……あんなのことって?」

美希「……もーいいの! ふーんだ」

P(顔が赤くなってる)

P(こんなに照れる子だったっけかな……かわいい)

304: 2012/10/03(水) 02:03:33.92 ID:uO4RXl620

美希「ねえねえ、今日のお仕事はなあに?」

P「えっと、今日の美希は……あずささんと一緒に、ラジオの収録だな」

美希「あずさと!? やったやったやった~♪」

P「嬉しそうだな。まあ、そういえば美希はあずささんのこと大好きなんだっけ」

美希「うんっ! ミキのお姉ちゃんだよ」

美希「いつもは竜宮小町があるから一緒にいられないし、こーいうときに会えるのは嬉しいの」

P「それは何よりだな。……よし、それじゃあ行こうか!」

美希「えっ、もう?」

P「ああ。まだ収録まで十分時間はあるけど……それとは別に、仕事があるから」

美希「……?」

P「あずささんを発見するという大仕事がな……」

美希「なるほどなの……」

307: 2012/10/03(水) 02:10:17.75 ID:uO4RXl620

  クエックエックエックエ……

 バサ…… グサッ

        ウオォオオ……!

美希「……」

P「はい、はい……え!? さっき言ってたのと居場所が……この短時間でどうやって……!?」

美希「……」

P「……わ、わかりました、そういうことなら……。絶対にそこを動かないでくださいね!」

ピッ

美希「……見つかったの……?」ゲッソリ

P「ああ……」

美希「ね、ねえハニー……ここどこ?」

P「群馬だ」

美希「……」

先住民「……」ギロ

美希「……も、もう行こ! ここ、なんか怖いの!」

310: 2012/10/03(水) 02:16:45.71 ID:uO4RXl620

―――

ブロロロ……

P「……ふぅ……。ようやく都内に戻ってきたぞ……」

美希「まさかあんなことになるとは思ってなかったの……」

美希「ハニー、服どうするの? パンツとシャツしか着てないけど」

P「あずささんと合流したあと、一回事務所に戻るよ」

美希「そっか……ごめんね……ミキを守るために……」

P「プロデューサーとして、当然のことさ」

美希「……ハニー……」

美希「えへへ……やっぱりハニーは、ミキの王子様なんだね」

P「どうした、突然?」

美希「ううん、なんでもないの……でももう、昨日のことは許してあげる」

P「……そっか」

312: 2012/10/03(水) 02:22:20.12 ID:uO4RXl620

ブロロロ……

プスンプスン

P「うう……新車だったのに……もうガタがきてる……」

美希「……ねえねえ!」

P「ん?」

美希「昨日の続き、して?」

P「続きって……正妻戦争ってやつか?」

美希「うん! 今のミキなら、なんだって乗り越えられる、そんな気がするの!」

P(昨日もそんなこと言って、途中から我を忘れてた気がするけど……)

P「……まあ、美希がそう言うなら。あずささんのいる場所に着くまで、まだ時間あるしな」

美希「それじゃあ、お願いしまーす♪」

P「そうだな……それじゃあ、ちょうど今話題になってる、あずささんかな」

316: 2012/10/03(水) 02:28:53.43 ID:uO4RXl620

【あずささんと結婚したら……】

あずさ「……それで、そのとき春香ちゃんったら……ふふっ」

キーンコーンカーンコーン

あずさ「あら? あの学校のチャイムが鳴って……まあ大変! もうこんな時間だわ」

あずさ「もうお昼休みも終わりじゃない……」

スッ

あずさ「……プロデューサーさん……」

あずさ「また、来ます」

あずさ「ふふっ、今度はどんなお土産がいいですか?」

あずさ「あなたの大好きだった、コーヒー? それとも……」

あずさ「……」

あずさ「……そう、ですね。あなたなら、きっと……こう言ってくれますよね」

あずさ「私が来てくれるだけで、十分だ、って……」

あずさ「……」

320: 2012/10/03(水) 02:34:48.25 ID:uO4RXl620

テクテク

お婆ちゃん「……おや、またあんたかね」

あずさ「あら、おばあちゃん。お元気そうでなによりです~」

お婆ちゃん「あっはっは! 元気なのはいいけど、いい加減に迎えに来てほしいもんだね」

あずさ「もう、またそんなこと言って……」

お婆ちゃん「もうこの年になったらね、天国のジイさんに会いにいけることが一番の楽しみなんだよ」

あずさ「……」

お婆ちゃん「……あずさちゃんは、まだ違うけどね。でもだいぶ顔色もよくなったみたいで、アタシも嬉しいよ」

あずさ「……もうあれから、随分、経ちましたから……」

お婆ちゃん「……旦那も幸せだろうね。こんなに若くて綺麗なお嫁さんに、ここまで想ってもらえるんだから」

あずさ「ふふっ……」

321: 2012/10/03(水) 02:40:19.76 ID:uO4RXl620

ブォー……


あずさ「……」

あずさ「……プロデューサーさん……」


あずさ「ふふっ、なんだか思い出してしまいますー」

あずさ「あの頃のあなたは、いつもハラハラした顔で……私の手をにぎっていてくれましたよね」

あずさ「あずさが迷子にならないように、って……」


カンカンカンカン……


あずさ「……」

あずさ「……電車……」

あずさ「踏み切り……」


あずさ「……――っ!」

329: 2012/10/03(水) 02:43:31.79 ID:uO4RXl620

ガタンガタン……

  ガタンガタン……


あずさ「……っ……。はぁ、はぁ……」

ドックン、ドックン

あずさ「……」

ギュッ

あずさ「う、うぅ……」

あずさ「……どうして、あなたは……ここにいないんですか……!」

あずさ「私は……いま……こんなにも……!」

プルルルル

あずさ「……」

プルルルル

あずさ「……電話? 誰からかしら……」

331: 2012/10/03(水) 02:47:16.97 ID:uO4RXl620

律子『……あずささん! 今どこですか?』

あずさ「その声は……律子さん?」

律子『そうです、律子ですよ。家にいってもいないから……』

あずさ「……すみません、でも、今戻っているところですから」

律子『……迎えにいきます』

あずさ「ええ? でも、もうすぐそこよ?」

律子『だとしても……お願いです、わかってください』

あずさ「……」

律子『私だって、もう……目を離した隙に誰かがいなくなってしまうのは……いやなんですよ』

あずさ「……わかりました。それじゃあ……、お願いします」

333: 2012/10/03(水) 02:50:32.47 ID:uO4RXl620

―――

あずさ「……」

律子「……行きましょう」

あずさ「ええ……」

ギュッ

あずさ「手をひっぱってもらわなくても、いなくなったりしないわよ?」

律子「……」

あずさ「……そう、ですね。ごめんなさい」

律子「……」

あずさ「……律子さん」

律子「なんですか?」

あずさ「……ありがとう……」

律子「……これくらい、お安いごようです」

335: 2012/10/03(水) 02:57:17.58 ID:uO4RXl620

あずさ「……いつも、こうして歩いていたんです」

律子「え?」

あずさ「プロデューサーさんに、手をつないでもらって……」

あずさ「私たちの居場所……765プロへと続く、この坂道を……」

律子「……そう、ですか」

あずさ「ふふっ……それで、ひとりだと、どうしても思ってしまうんです」

あずさ「この坂道を登るたびに……あの人がすぐ、隣にいるように……」

律子「……」

あずさ「……律子さん、私はいま――


―――
――



美希「いい加減にして欲しいの!!!」

P「うえっ!? な、なんだよ、まだ途中だろ? ここからあずささんのアイドル復帰までの道のりをだな」

美希「そこまで凝ってたの!? 妄想でも、して良いことと悪いことがあるって思うな!」

339: 2012/10/03(水) 03:04:30.04 ID:uO4RXl620

美希「うぅ……グスッ……」

P「美希……」

美希「な、なんでハニーが氏んじゃってるのー……」

P「いや、深い意味はないんだけど……あずささんにはそういうの似合うかなって……」

美希「深い意味もなく勝手にいなくなっちゃダメなのっ!」

P「……すまん」

美希「謝って!」

P「ごめん……反省してるよ。妄想でもちょっと、やりすぎた」

美希「そうじゃないの! ミキじゃなくて、あずさに謝って!」

P「え?」

美希「だ、大好きな人が突然いなくなっちゃったら……そんなの、想像するだけで、や、なの……」

P「……」

美希「だから……」

P「……ああ、わかった」

P(俺としたことが……また、美希を泣かせてしまった……)

342: 2012/10/03(水) 03:09:40.85 ID:uO4RXl620

―――

あずさ「……あ、プロデューサーさん! すみません、またご迷惑……を……」

P「あずささん……」

あずさ「……ず、随分、ワイルドな格好ですね? 何があったんですか~……?」

P「いえ、大したことではありませんから。すみません、下着一丁で」

あずさ「い、いいんですけれど~……」

美希「……」プンプン

あずさ「美希ちゃんもなんだかご機嫌ナナメみたいだし……」

あずさ「んー……何がどうなって……?」

P「そんなことより、あずささん!」

あずさ「は、はい!」

P「申し訳ありませんでしたっ!」

あずさ「……え~……?」

343: 2012/10/03(水) 03:16:22.33 ID:uO4RXl620

P「俺、勝手にいなくなったりしませんから!」

あずさ「……? い、いつもいなくなるのは、私のほうじゃ……」

P「いいえ、俺なんです! 俺があのとき……!」

美希「うぅ……グスッグス……」

P「……もうあなたをひとりにはさせて、悲しい思いをさせたりしませんっ!」

あずさ「え、ええ!?」

P「ずっと目を離さずに、あなたのことを見守っています!」

あずさ「ちょ、ちょっと……突然なにをおっしゃるんですか!?」

美希「ミキもなの! ずっとずっと、あずさのそばにいてあげるからね!」

ギュー

あずさ「美希ちゃん……」

347: 2012/10/03(水) 03:21:28.53 ID:uO4RXl620

P「すみませんでした……っ!」

美希「あずさ……ハニーもこう言ってるから、ここはどうか許してあげて欲しいの……」

あずさ「……」

あずさ「な、なんだか、よくわからないですけれどー……」

あずさ「でも……」


P「あずささん……!」

美希「あずさ……」


あずさ「……ふふっ。大丈夫ですよ、ふたりとも」

あずさ「私たちが離れることはありません。だって……」

あずさ「私のことを想ってくださっている気持ちは……、痛いほど、この胸に伝わりました」

あずさ「そして……それは、私だって、同じ気持ちなんですから」

あずさ「……ありがとう」

355: 2012/10/03(水) 03:26:46.80 ID:uO4RXl620

―――

P(……それからしばらく、俺と美希は大いに泣いていた)

P(あずささんは、どこか不思議そうな表情をしていたけど……俺のことは、許してくれたみたいだった)

P(……あれ?)

P「な、なんで謝ってるんだっけ……」

P「こういう方向のあれだったっけかな……」


美希「うわぁ~ん!!」

あずさ「よしよし……」


P「でも……まあ、いいか」

P「どんな方法であれ、俺達の絆はより深まったみたいだからな」

P「さあ、仕事だ仕事……うん、気を取り直そう」

356: 2012/10/03(水) 03:32:38.91 ID:uO4RXl620

美希「それでね、正妻戦争ってのは……」

あずさ「まあ、そんなことを~……ふふ。プロデューサーさん?」

P「な、なんですか?」

あずさ「私のことは、どんな新婚生活を描いてくれたんですか?」

P「!!!」

あずさ「憧れるわ~……やっぱり結婚は、女の夢ですから」

あずさ「私もいつか、運命の人と出会って、それで……ふふ、ふふふ♪」

P「……」

あずさ「もしかして、あんな感じ? それとも……ふふっ♪」

美希「……」

あずさ「……あら?」

P「すみませんでした」

あずさ「ええ?」

P「言えないです、すみません。でも、いつか必ず……」

美希「こればっかりはミキにもなんとも言えないの……」

360: 2012/10/03(水) 03:39:37.49 ID:uO4RXl620

―――

P(色々とあったが……何はともあれ、ふたりはラジオ収録の仕事に行ってくれた)

P(今日がテレビの収録とかじゃなくて良かったな……美希の目、真っ赤だったから)

P(そして俺はいま、局のロビーで暇を潰しているところである)


千早「……あ」

P「ん? おお、千早じゃないか!」

千早「ふふ、おはようございます、プロデューサー」

P「こんなところで、奇遇だなあ! あっはっは!」


P(事務所以外でちーちゃんに会えたぞっ! なんてツいてるんだ俺は!)

P(ひゃっほう!)

364: 2012/10/03(水) 03:50:02.70 ID:uO4RXl620

千早「今日は、ラジオですか?」

P「うん、美希とあずささんのな。えっと、千早もそうだったっけ?」

千早「ええ。……というか、これだってプロデューサーが取ってきてくれた仕事じゃないですか」

P「そうだったそうだった! あっはっは!」

千早「ふふ……プロデューサーは、いつも元気ですね」

P「それは君の前だからだよ!」

千早「え?」

P「千早を目の前にしたら、気分も高まるってもんさ!」

千早「そ、そういう冗談はよしてください! 私、そういうの慣れてないから……」

P「冗談なんかじゃないぞ! 俺は本当に……」

千早「ほ、本当にやめてください! もう……いつもこうなんですから」モジモジ


P(出た! 両手の人差し指と人差し指を合わせてモジモジするポーズ!)

P(俺はこの照れ千早が特にお気に入りなのである!)

P(やっぱり千早はかわいいなあ!)

370: 2012/10/03(水) 03:57:45.90 ID:uO4RXl620

P「それでな、あのとき美希ったらさ……」

千早「……プロデューサーは」

P「ん? どうした?」

千早「前々から思っていましたけど……随分美希のこと、気に入ってるんですね」

P「ああ、そりゃまあな。美希は良い子だし、素直だし」

千早「……」

P「お、おい、千早?」

千早「……す、素直なほうが、好きなんですか?」

P「え? うん、まあそうかな……」

千早「そうですか……まあ、なんでも、いいですけれど」

P「それがどうしたんだ?」

千早「……いえ」プイ

P「……?」

千早「じゃ、じゃなくて……そっぽ向くのは違うわ……」ブツブツ

P(なんだかよくわからないけど……、良いな、今の仕草)

373: 2012/10/03(水) 04:04:24.50 ID:uO4RXl620

美希「……」ジー

P「でさ、さっきの話の続きだけど……」

千早「……あら? ふふ、プロデューサー?」

P「今度はどうした?」

千早「……いえ、なんでもないです。それで、美希がどうしたんですか?」

P「ああ、それがさ。いきなり正妻戦争なんて言い出して……」

美希「……」ジー

千早「正妻戦争? なんですか、それ」

P「なんでも、美希いわく、俺のことを気に入ってる女の子は何人もいるらしくてさ」

P「まあ、そんなことないとは思うんだけどな。それで……」

千早「……なるほど……ふふ、ふふふ!」

P「さ、さっきからどうしたんだよ? 突然笑ったりして」

千早「……プロデューサー、後ろを見てください」

P「え?」クルン

美希「うりゃあ! なの!」ブスッ

376: 2012/10/03(水) 04:10:03.37 ID:uO4RXl620

P「目があああ! 目があああ!」ゴロゴロ

美希「ハニーってば、千早さんと仲良くしすぎって思うな!」

P「そ、その声は……美希か!?」

美希「そーだよ! ミキなの!」

千早「おはよう、美希」

美希「えへへ、おはようなの、千早さん」

千早「大丈夫かしら、プロデューサー……」

美希「ふーんだ」プイ

千早「……美希? ちょっと耳を貸して」

美希「なあに?」

千早「……私はさっき気付いたんだけど――

P「あああああ」ゴロゴロ

千早「ちょっと静かにしてください」

380: 2012/10/03(水) 04:16:48.25 ID:uO4RXl620

P「ひどい……」メソメソ

千早「……ごほん!」

千早「それでね。私はさっき、あなたがここにいることに気付いたんだけど……」ヒソヒソ

美希「ふんふん」

千早「……美希は本当は、いつからいたの?」

美希「……けっこー前からなの」

千早「やっぱりね……」

美希「知ってたの?」

千早「いいえ、そういうわけじゃないけど……なんとなく、かしら」

美希「……」

千早「それじゃあ、プロデューサーがどんな話をしてたかも、聞いてたわよね?」

美希「! そ、それは……」

千早「……ほとんどが、あなたの話よ。だから照れくさくて、出てこれなかったんでしょう?」

美希「……」

美希「…………はいなの」

384: 2012/10/03(水) 04:24:28.21 ID:uO4RXl620

美希「千早さんはなんでも知ってるんだね……」

千早「ふふ、なんでも知っているわけじゃないわ。知っていることだけ」

美希「それはどっちかというとミキのセリフだって思うな! ブレイク的に考えて!」

千早「なにを言っているの……?」

美希「……さあ?」

千早「……とにかく。照れ隠しで目潰しなんて、少し過激すぎるわ」

千早「ちゃんと、プロデューサーに謝りましょうね」

美希「……うん」

385: 2012/10/03(水) 04:29:24.71 ID:uO4RXl620

P「ふう……ようやく視界が戻ってきたかな……」

シパシパ

美希「ハニー」ズイ

P「どわあ!? み、美希!? 近いって……」

美希「ごめんね……ミキ、ちょっとカゲキすぎたの」

P「え? ああ、目潰しのことか」

美希「うん……目、見える?」

P「……大丈夫だよ。それに、亜美たちにいつもやられて慣れてるからな!」

美希「……」

P「……心配するなって。でも、理由を聞かせてくれないか?」

美希「……えっとね……」

387: 2012/10/03(水) 04:34:32.43 ID:uO4RXl620

美希「ハニーが千早さんと仲良さそうにしてるのを見て……ちょっと、モヤモヤしたんだ」

P「……それならそうと、最初から普通に出てきてくれればよかったのに」

美希「でもでも、ハニーはその……ミキのこと、いっぱい話してくれてたから……」

美希「なんか、ずっと聞いてたくなって……」

P「……」

美希「それでもモヤモヤは止まらなかったの。でも、聞いていたかったの」

美希「だから、それでね……よくわかんなくなっちゃって」

美希「ミキの胸のあたりが、ぐるぐるきゅーってなっちゃって……」

P「それで、ついつい目潰しを?」

美希「そうなの、ついつい……」

P「そうか……それなら仕方ないな」

千早(ついついで済まされることなのかしら)

390: 2012/10/03(水) 04:41:56.17 ID:uO4RXl620

美希「……ねえ、ハニー」

P「ん?」

美希「あのね……ハニーって、千早さんのこと、好きなの?」

P「当たり前だろ。昨日も言ったようにだな……」

美希「みんなのこと好き、ってこと?」

P「ああ、そうだよ」

美希「……それにしては、トクベツお気に入り、ってカンジ」

P「……もしかして、嫉妬してるのか?」

美希「……そーだよ! 千早さんにハニーを取られるのが、や、なの!」

P「ははは……そんなことはないって」

美希「え……?」

P「たとえ仮に、俺が千早のことを特別気に入ってたとしたって……」

P「相手はあの千早だぞ? 俺のことなんか眼中にないさ」

美希「そうかな……」

千早(あの、私ここにいるんですけれど……なんてリアクションしたらいいのよ、もう……)

393: 2012/10/03(水) 04:48:56.79 ID:uO4RXl620

P「まあ……千早がかわいいっていうのは否定しないけどな」

美希「!」

千早「!」

P「なんなら、千早への想いをここで熱く語ったいい」

千早「い、いや、その流れはおかし

美希「そ、それは……」

P「……なんてな。さすがにそんなことしないよ」

千早「……」

美希「……いいよ」

P「え?」

美希「千早さんとのこと、ここでミキに話してくれてもいいよ」

美希「それでも、ミキは……ハニーのこと、好きな気持ち、変わらないから」

美希「それで、ハニーに知って欲しいの。ミキの気持ちの強さを……」

P「美希……わかった」

千早(どうしましょう……なんだか大変なことに……)

402: 2012/10/03(水) 05:05:38.61 ID:uO4RXl620

【千早と結婚したら……】


ちゅ、ちゅ……


千早「……んっ……」

P「……」

千早「……はぁ、はぁ……」

千早「ぷ、プロデューサー……!」

P「……」

千早「……お、お願いです……もう……――っ!」

407: 2012/10/03(水) 05:10:22.90 ID:uO4RXl620

千早「ぷろでゅーさぁー……」

P「……おや? なんか、聞こえたような……」

千早「まだそうやって……はぁ、はぁっ……!」

P「おかしいな……ここには俺以外、『人間』はいないはずなんだけど」

千早「……うぅ……」

P「……」

ずんずん ずんずん

千早「……あうっ……!」

P「……」

千早「……わ……」

P「ん?」

千早「……」


千早「……もっと……優しくして欲しい……わん」

413: 2012/10/03(水) 05:16:40.46 ID:uO4RXl620

P「……ま、次第点ってところかな」

千早「あ、ありがとうございます……わん」

P「本当は……フンッ」

千早「っ!!」

P「人の言葉を少しでも話すのは……NGなんだけどっ!」

千早「くぅ……!」

ずんずん♪ ずんずん♪

千早「あぁっ……」

P「こうなっちゃ、難しいだろうからな」

千早「ふぅ……んっ……ふぅ……」

P「しかしなんだな、千早からこういうのを望んでくるとは思わなかったよ」

千早「……ぁ、あ……!」

P「結婚するまで知らなかったが……千早はとんだド変態だったみたいだな」

千早「」ゾクゾク

千早「ご、ごめんなさい……ふふ、ふふふ」

416: 2012/10/03(水) 05:21:35.56 ID:uO4RXl620

P「なにを喜んでるんだ? それに、その言葉……」

千早「っ!」

P「……ま、千早がそういう態度なら、俺もやめたっていいんだけど」

千早「ごめんなさいっ! ……じゃ、じゃなくて……っ」

千早「ワンッ! わんわんっ! ハッハッハッハ……」

ダラー

P「……よだれ垂らして。そんなに続けたいのか? この雌犬め……」

千早「」ゾクゾク

千早「ハッハッハッハッハッハッハ……!」

P「……まあ、しつけるのも飼い主の仕事だからな……」

千早「! ぷ、プロデューサー……」

P「ん? プロデューサー? おかしいな、喋ってもいい人間の言葉はひとつだけだったのに」

千早「…………」


千早「……ご主人……様……!」

420: 2012/10/03(水) 05:26:14.32 ID:uO4RXl620

―――

千早「……ふう。ありがとうございました。とても良かったです……」

P「あ、ああ……もういいよな? 普通にしても……」

千早「ええ」

P「良かった……さすがに、ああいう演技には自信がないからなぁ」

P「それじゃあそろそろ、寝ようか……」

千早「何を言っているんですか?」

P「えっ」

千早「明日はお休みでしょう? まだまだ、夜はこれからですよ」

P「ちょ、そんな……もう、弾切れ……」

千早「……そんなこと言って……」

P「っ!」

千早「……ふふ。まだ、頑張れますよね?」

P「……はい……」

423: 2012/10/03(水) 05:30:46.32 ID:uO4RXl620

P「……あ、そこは……無理無理無理、こわい」

千早「……」

P「き、汚いって……!」

千早「……この体に、汚いところなんてないですよ……」

P「ああんっ!」

千早「ふふふ……、いつもと、立場が逆ですね」

P「え……? ぎゃ、逆って……!?」

千早「とってもかわいいです……あ・な・た」


―――
――



P「……てな感じで、どうかな? こういう新婚生活も……」

美希「」

千早「」

P「……あれ?」

427: 2012/10/03(水) 05:38:51.15 ID:uO4RXl620

美希・千早「「……」」

P「……えーっと……」

P「!」

P(しまった! 昨日までのことを忘れたのか、俺!)

P(美希は……『夜』といっても、一緒にオヤスミするくらいの認識しかない、純粋無垢な子だったのに!)

P「あ、あのな、美希……」

美希「……」

P「今のは、つまり……うまく説明できないんだけどさ」

美希「知りたくないの……それを知っちゃったら、ミキ、汚れちゃう気がするの……」

P「そ、そうか……」

千早「……」プルプル

P「……千早?」

千早「……――しは」

P「え?」

千早「私は! 新婚早々じゃ、犬プレイなんて望みませんからっ!! 勘違いしないでくださいっ!!!」

431: 2012/10/03(水) 05:44:22.56 ID:uO4RXl620

千早「そういうのはもっとこう、段階を踏んで……!」

P「わ、わかったわかった! すまん、少し過剰に表現しすぎたよ」

千早「……わ、わかればいいんですけれど……」

P「……」

千早「……」

美希「……」


P「!」

千早「!」

美希「?」


千早「ち、違います! そそ、そうじゃなくて……そういうことが言いたかったんじゃなくて」

P「へえ?」

千早「あのっ、だから……な、なんてことを想像するんですか! 失礼です、セクハラですよっ!?」

P「そうだな……ふふ」

千早「ほ、本当にわかってるんですか!? その笑顔をやめてください!!」

436: 2012/10/03(水) 05:52:32.98 ID:uO4RXl620

美希「千早さん、ぷりぷりしながらどっか行っちゃった……」

P「少しやりすぎたかな……」

美希「もう、ハニー? あんまり千早さんを怒らせたらダメだよ?」

P「ああ……反省してるよ。ふふ」

美希「……なんかね。よくわかんないんだけど……」

P「ん?」

美希「ハニーの話を聞いてると、なんかこうね……体がポカポカしてきたの」

P「……」

美希「ねえ、ハニー……これって、なんかの病気なのかなぁ……?」

チラ

P「……っ!」


P(かわいい)

P(上目遣い 言ってる言葉 信じられん かわいい)

P(……くそっ、誰に教わったんだこんなテクニック!)

439: 2012/10/03(水) 05:58:07.28 ID:uO4RXl620

P「……と、とにかく事務所に帰ろうか」

美希「うん……」

P「そういえば、あずささんは?」

美希「竜宮小町でレッスンがあるからって、さっき律子……さんに連れてかれちゃったよ」

P「そうか……」

美希「……あのね、ハニー」

P「ど、どうした?」

P(いけないいけない、さっきの美希の仕草を見てから、少し平常心じゃいられなくなってるぞ)

美希「……ミキ、さっきのハニーの話、半分くらいしかわかんなかったけど……」

P「半分?」

美希「うん。千早さんが犬になりたいってことくらい」

P「……まあ、その認識で合ってるよ。千早は犬になりたがってる、間違いない」

442: 2012/10/03(水) 06:02:33.66 ID:uO4RXl620

美希「えっと、半分くらいしかわかんなかったけど……」

美希「でも、ハニーが千早さんのことお気に入りってことは、やっぱりわかったの」

P「……」

美希「……それでもね」

P「うん……」

美希「ミキは……ハニーのこと、だいすきだよ」

P「っ!」

美希「……そ、それだけなの! も、もう帰ろっ!」

P「……」

ドキドキ


P(……やばい)

P(今のは……やばかった……)

P(というか、もしかして、俺はもう……?)

446: 2012/10/03(水) 06:08:36.88 ID:uO4RXl620

【765プロ事務所】

ガチャ

美希「ただいまーなのー!」

小鳥「あら、お帰りなさい美希ちゃん。プロデューサーさんも……」

P「ただいま戻りました。変わりないですか?」

小鳥「ええ、特に問題ありませんよ。……でも、強いて言うとすれば」

P「え?」

小鳥「千早ちゃんが真っ赤な顔して帰ってきて、そのままウロウロしてすぐ帰宅したってことくらいかしら」

P「あはは……」

小鳥「なにかあったか、ご存知ですか?」

P「い、いえ! なにも知らないです!」

小鳥「ふーん……?」

448: 2012/10/03(水) 06:14:11.52 ID:uO4RXl620

美希「ねえねえ小鳥。正妻戦争って知ってる?」

小鳥「え? 制裁戦争……? な、なんだかこわい響きね」

美希「えー。こわくなんかないよ! ね、ハニー!」

P「うん、まあ……そうだな」

P(これのせいで何度か寿命を縮む思いもしたけれど)

P「……たぶん、音無さんは勘違いしてるんです。制裁じゃなくて、正妻」

小鳥「……正妻」ピク

美希「そーなの! ……あ、でも、ミキが考えた言葉だから、小鳥は知らないよね」

P「おお、自分でそのことに気付けたか! えらいぞ、美希」

美希「えへへ……」

小鳥「ちょっと詳しく聞かせてください」ズイ

P「えっ」

小鳥「ね、ね」ズイズイ

452: 2012/10/03(水) 06:22:10.88 ID:uO4RXl620

小鳥「……なるほど、そんなことが……」

P「まあ、美希の遊びに付き合ってるだけですけどね」

美希「むー! 遊びなんかじゃないよ! ミキ的には、けっこーシンケンなんだから!」

P「あはは、わかってるわかってるって」

小鳥「そ、それで……今まで、誰について話したんですか?」

P「な、なんだか随分食いつきがいいですね」

小鳥「あら、やだ私ったら……」

美希「えーっとね、今まで話したのは……」

・雪歩
・響
・真
・春香
・律子……さん
・あずさ
・千早

P「……あれ? 律子について言ったっけ?」

美希「? 夢の中で、ちゃーんと聞いたよ?」

P「そっか……それならそうなんだろうな」

454: 2012/10/03(水) 06:27:22.16 ID:uO4RXl620

P「残るは、貴音だけですね」

小鳥「えっ!!?」

P「だってそうでしょう? 中学生組と結婚する妄想なんて、出来ないですから」

小鳥「そ、そりゃそうかもしれませんけど……そうじゃなくて」

美希「?」

小鳥「……誰か、忘れていませんか? 合法な年齢で、まだ言っていない人を……」

P「それが、貴音でしょう?」

美希「そーなの」

小鳥「……」

456: 2012/10/03(水) 06:34:43.11 ID:uO4RXl620

美希「ねえねえハニー。せっかくだから、今話してよ。貴音のこと」

P「ええ? 突然だな」

美希「でも貴音なら、今までの……んーっと……」

美希「真くんや春香、あずさ、千早さんのに比べたら……、たぶんマシだって思うの」

P「ふーむ……」

小鳥「……」

P「……音無さんもいるのに? なんだか恥ずかしいな」

美希「千早さんの目の前で話したハニーの言うセリフじゃないって思うな」

P「ははは、まあそりゃそうか!」

小鳥「いーんです……どーせ私なんて……」シクシク

P「それじゃあ……貴音か……そうだな……」

462: 2012/10/03(水) 06:44:05.04 ID:uO4RXl620

【貴音と結婚したら……】

貴音「……あなた様、あなた様」

クイクイ

P「うん? どうしたんだい、お前や」

貴音「ふふっ、今宵は月がとても美しく輝いておりますよ」

P「……ああ、そうだね。こんなに綺麗な月を眺められたのは、いつぶりだろうか」

貴音「いかがでしょう、夕餉は縁側で頂くというのは」

P「それはいい。早速準備に取り掛かろうか。よいしょ、っと……」

貴音「ああ、いけません。あなた様はお休みになっていてくださいませ」

P「そういうわけにもいかないよ。お前の細い腕じゃあ、あそこに夕飯を用意するだけでも、ちょっとした手間だろう」

貴音「お体にさわります。どうか、横になっていてください」

P「しかし……」

貴音「……ふふ、お忘れですか? 私は、そこまで柔な女ではないのですよ?」

P「……ははは……それもそうか……」

467: 2012/10/03(水) 06:52:17.07 ID:uO4RXl620

リーンリーン……


P「では……頂くとしようか」

貴音「ええ。頂きます」

P「頂きます」


リーンリーン……


P「……相変わらず、お前の作る料理は、素晴らしいな」

貴音「有難う御座います。しかしどうなさったのです、突然に……」

P「いやね……少し、昔を思い出してしまって」

貴音「はて、昔……ですか?」

P「ああ。あれは、ちょうどこんな風に、月の光で夜闇が照らされていた日だった」

貴音「……ふふ。確かに、随分と昔の話ですね」

P「……あの日。僕は君にプロポーズをしたんだ……」

貴音「忘れもいたしません。私の人生の中でも、最も光輝いていた日のひとつですから……」

472: 2012/10/03(水) 07:02:01.45 ID:uO4RXl620

P「ふう……食った食った」

貴音「ふふっ、はしたないですよ? まるであの頃の様です」

P「ははは……しかし、お前にそうやって言われるのも、何年ぶりのことかな」

貴音「……」

P「いつも済まないな……」

貴音「……あなた様も、相変わらずですね」

P「うん? どうしてだい?」

貴音「相も変わらずに、いけずのままです」

P「ふむ……そう言われる覚えはないのだけど」

貴音「いいえ、いけずです。私の気持ちなど考えずに、そうやって……」

P「……」

貴音「……済まない、という言葉は……禁止ですよ。あなた様は、私にとって掛け替えのない連れ合いなのですから」

P「そうだったな……済まない」

貴音「もう、またそうやって……」

貴音「……でも、あなた様のそういうところに、私は心惹かれたのかもしれませんね」

474: 2012/10/03(水) 07:09:54.99 ID:uO4RXl620

P「お前も、今日は随分と饒舌だね」

貴音「夫婦とはそういうものですよ。互いが互いに、深く響き合っていくものです」

P「……ああ、確かに……」

貴音「……いかがでしょう? 食後に一杯というのは……」

P「そいつはいい。月を眺めながら、久しぶりに贅沢な気分を味わうとしようか」

…………
……


貴音「あなた様。猪口を」

P「ん……」

とくっとくっとくとく……

P「……っとと」

貴音「大丈夫ですか?」

P「ああ。それじゃあ……」


「「乾杯」」

477: 2012/10/03(水) 07:18:51.59 ID:uO4RXl620

P「……綺麗だ」

貴音「真、そのとおりですね。大変に素晴らしい満月……」

P「月もそうだが……今言ったのは、お前のことだよ。月に照らされて、より美しく見える」

貴音「ふふ、お上手ですね」

P「本気にしていないね?」

貴音「当然でございます。私だって、あの頃に比べて随分と老いました」

P「……そんなことはない。お前は……今でも……」

貴音「……あなた様? もう酔われてしまったのですか?」

P「うん……そうかもしれないな。しかし……今言ったことは……」

貴音「……わかっております。あなた様は、嘘のつけぬ人ですから」

P「……わかってるなら、いいが」

貴音「寝室へ参りましょう。今日はもう、お休みになるべきです。さあ、肩を……」

P「ああ……」

479: 2012/10/03(水) 07:24:38.96 ID:uO4RXl620

P「……なあ、お前や」

貴音「どうなさいました?」

P「久しぶりに、キスをしようか」

貴音「……」

P「……そういう気分なのさ」

貴音「……ふふ。やはり、あなた様は変わっていませんね」

貴音「いつだって、唐突に……私の心を揺さぶるのです」

P「いやかい?」

貴音「まさか」



貴音「……」

P「……ありがとう。とても素敵なキスだった」

貴音「こんなに、潤いを失ってしまった唇でも?」

P「関係あるものか。お前の唇だ」

貴音「……お上手、ですね」

484: 2012/10/03(水) 07:30:16.76 ID:uO4RXl620

―――

P「……お前や。お前はどこに……?」

貴音「あなた様、貴音はここにおりますよ」

P「おお、そうか……」

貴音「……貴音のことが、わかるのですか?」

P「うん、わかるよ……当然じゃないか」

貴音「……っ」

P「なんだか、目の前が暗くて、よく見えないが……」

ぎゅっ

P「……お前の手の温もりは、確かに感じている……」

貴音「……」

P「なあ、お前や……うん? 違うな……どうして僕は……君のことをそんな風に……」

貴音「あなた様……」

486: 2012/10/03(水) 07:34:52.36 ID:uO4RXl620

P「……貴音……」

貴音「! は、はい、私は……貴音は、ここにいます!」

P「貴音……そうだね、君の名前は、貴音だ……」

貴音「ええ、ええ。そうですとも……」

P「……なあ、貴音」

貴音「はい……」

P「……今週は、どんな仕事がいいかな?」

貴音「……っ」

P「歌か、グラビアか……テレビに出演、というのもある」

貴音「っ! あなた様……!」

P「……俺は……絶対に、君を……」

P「貴音を、トップアイドルに……」

貴音「……」

491: 2012/10/03(水) 07:42:01.34 ID:uO4RXl620

P「だから……」

貴音「……」

P「最後まで、一緒に……頑張って……いこうな……」

貴音「……ええ、ええ……もちろんです……!」

P「……ああ、でももう、なんだか……眠くなってきてしまった」

貴音「っ!」

P「済まないな……」

貴音「……いいえ、いいのです」

貴音「あなた様のそういうところに、私は心惹かれたのですから……」

P「そうか……」


P「……愛しているよ、貴音……」

貴音「……私も同じ気持ちですよ、あなた様」


おわり

494: 2012/10/03(水) 07:43:52.82 ID:uO4RXl620

―――
――


P「……」

美希「……」ウルウル

小鳥「うぐっえぐっ……ずびびっ……」


P「……」

P(どうしよう)

P(なんだかしんみりしてしまったぞ……)

495: 2012/10/03(水) 07:44:30.80 ID:uO4RXl620
朝ごはんタイム

514: 2012/10/03(水) 08:09:13.05 ID:uO4RXl620

P「……とまあ、貴音と結婚するならこーんな感じ!」

美希「……グスッ」

小鳥「うぇええ……! ひぐっえっぐ……」

P「なん……だけ……ど」

P「……」

美希「はに゛ぃ……」

P「お、おう! どうした美希!」

美希「なんではに゛ぃ、すぐ氏んでしまうん……?」

P「ちょ、落ち着け……美希じゃないみたいだぞ」

小鳥「びぇええええ」

P「ごめんなさい、ちょっと静かにしてもらってもいいですか」

小鳥「……ひ、ひどい……」

516: 2012/10/03(水) 08:14:51.58 ID:uO4RXl620

P「……妄想の話だから、さ。簡単に氏んだりしないよ」

美希「うん……わかってるの。でも……」

P「……」

美希「……貴音、羨ましいな」

P「え?」

美希「最後まで、好きな人と一緒にいれるなんて……ミキも、そういうのがいいの」

P(……まあ、氏んだのは俺だったんだけど……)

P「……らしくないじゃないか。美希がそういうことを言うなんて」

美希「……」

P「……」

美希「……結婚する、って、すごいことなんだね」

P「……ああ、そうだな」

美希「ミキね、今まで……そういうとこまで、考えたことなかったの」

517: 2012/10/03(水) 08:21:52.89 ID:uO4RXl620

美希「ミキが考えてた結婚って、ただ、好きな人とずーっと一緒にいられるってことだけ……」

P「でも……大抵の人が、そうだと思うぞ」

美希「そーなの?」

P「……まあ、俺も結婚というものに直面したことないから、わからないけど」

美希「……」

P「……」

美希「あんまり簡単に、結婚、なんて言っちゃダメなのかな?」

P「……そんなことはないさ。美希がしたいこと、言いたいことを……、我慢する必要はない」

P「美希がそう言ってくれるおかげで、幸せな気持ちになる人だっているんだから」

美希「……それって……」

P「……まあ、少なくとも俺もそのひとりさ」

美希「……そっか。えへへ……」

520: 2012/10/03(水) 08:30:14.62 ID:uO4RXl620

小鳥「……」


P「美希……」

美希「ハニー……」


小鳥「……なんなの……この空気……?」


小鳥(私、なんでここにいるのかしら)

小鳥(……私はどうして、生きているんだろう)

小鳥(どこに向かって飛び立ち……、どこで……羽を休めるんだろう)

小鳥(結婚……結婚って、なあに? わからない……)

小鳥(でも、私が道に迷ったとき……そんなときは、いつだって、これが私を導いてくれた)

小鳥(私の、たったひとつの武器……)


小鳥(……妄想……!)

522: 2012/10/03(水) 08:36:03.47 ID:uO4RXl620

【音無さんと結婚したら……】

リンゴーン

 リンゴーン……


パーンパーカパーン

 パーンパーンパパーン


春香「じゃあみんな、行くよ?」

みんな「はいっ!」

春香「……せーのっ!」


みんな「小鳥さん! ご結婚、おめでとうございます!!」


小鳥「……みんな……!」

527: 2012/10/03(水) 08:47:42.74 ID:uO4RXl620

春香「えへへ……小鳥さん、とっても綺麗ですよ」

小鳥「春香ちゃん、ありがとうね……」

あずさ「ふふっ……先を越されちゃいましたね~」

小鳥「あずささん……」

伊織「まさか、小鳥が本当に結婚できるなんてね。ま、お似合いなんじゃない?」

小鳥「もう、伊織ちゃんったら、私のことをなんだと思っていたの?」

千早「素敵です、音無さん。……さすがの私でも、ちょっと憧れてしまいます……」

小鳥「……ふふ。千早ちゃんだって、すぐに良い人が見つかるわよ」

やよい「うっうー! 小鳥さんっ、赤ちゃんができたら、ぜったい、ぜーったい、連れてきてくださいねっ!」

小鳥「え、ええ? 赤ちゃんだなんて、まだ気が早いわよ」

真「いいなあ~。へへっ、次は絶対、ボクが結婚しますからねっ!」

小鳥「ふふっ。そ・の・ま・え・に~……、彼氏さんを見つけないとね?」

530: 2012/10/03(水) 08:56:04.74 ID:uO4RXl620

雪歩「あの、その……うぅ、わ、私、みんなと違って、なんて言ったらいいかわかりませ~ん!」タタッ

小鳥「ええ!? ゆ、雪歩ちゃーん!?」

律子「おめでとうございます、小鳥さん。あの人のこと、絶対に離しちゃダメですよ!」

小鳥「ふふ、わかっているわよ……」

亜美「んっふっふ~! ピヨちゃん、めっちゃ幸せそうだね!」

小鳥「そりゃそうよ……」

真美「んっふっふー! でもでも、兄ちゃんを選んじゃうなんて、ピヨちゃんちょっともったいないんじゃない~?」

小鳥「そんなことないわ……彼はとっても素敵な人よ」

響「ビヨコぉ……! う、うう……自分、涙で目の前が見れないぞ……!」

小鳥「響ちゃん……ありがとう……」

貴音「おめでとうございます……。お二人がいつまでも、末永く幸せでありますよう……」

小鳥「貴音ちゃん……ええ、そうね。いつまでも、ずっと……」


美希「……小鳥……」

小鳥「! み、美希ちゃん……来てくれたのね……」

532: 2012/10/03(水) 09:02:59.76 ID:uO4RXl620

美希「……ホントはね、今日、来るつもりはなかったの」

小鳥「そ、そう……」

美希「ふたりの幸せそうな姿見たら、きっとミキ……泣いちゃうから」

小鳥「美希ちゃん……」

美希「……でも、やっぱりそんなんじゃダメって思ったんだ」

小鳥「……」

美希「えへへ……おめでとうなの、小鳥」

小鳥「……っ」

美希「あっ、泣いちゃダメだよー!」

小鳥「でも……! わ、私……いえ、私達は……誰よりも、美希ちゃんに祝ってもらいたくて……!」

美希「……そんな顔してたら、もったいないよ? せっかくの結婚式なのに」

小鳥「……」

美希「ほらほら! あっちでハ……ううん、プロデューサーが待ってるの!」

美希「小鳥はミキに勝ったんだから、もっと堂々として欲しいって……思うな」

小鳥「……うん……!」

534: 2012/10/03(水) 09:08:09.58 ID:uO4RXl620

P「音無さん……」

小鳥「……ふふっ。もう、音無さん、じゃないでしょう?」

P「あ、そ、そうですね……小鳥」

小鳥「はい♪ なんですか、あなた?」

P「その……うまく、言えないんだけど……」

小鳥「……?」

P「綺麗だ、とても……」

小鳥「……あ、ありがとう、ございます……えへへ」

P「君と結婚できることを……俺は、誇りに思うよ」

小鳥「わ、私だって……負けてないんですから……!」

536: 2012/10/03(水) 09:14:23.57 ID:uO4RXl620

神父「……――さん。あなたは、この女性を……」

神父「健康な時も、病の時も、富める時も貧しい時も、良い時も悪い時も」

神父「愛し合い、敬い、なぐさめ助けて……変わることなく愛することを、誓いますか?」

P「はい、誓います」


神父「……小鳥さん。あなたは、この男性を……」

神父「健康な時も、病の時も、富める時も貧しい時も、良い時も悪い時も」

神父「愛し合い、敬い、なぐさめ助けて……変わることなく愛することを誓いますか?」

小鳥「……ひゃ、ひゃい! ち、誓います」


クスクス……


小鳥「うぅ……」カァァ

神父「……ごほん! えー、それでは……」

537: 2012/10/03(水) 09:18:36.19 ID:uO4RXl620

神父「……では、ベールを上げてください。誓いのキスを……」

P「……」

小鳥「……」


ドックン ドックン……


小鳥「……っ」

小鳥(やだ……心臓の音が、こんなに……)

小鳥(も、もしかして、みんなにも聞こえてるんじゃ……!?)


小鳥「あわわ……」

P「……小鳥」ボソボソ

小鳥「え……?」

538: 2012/10/03(水) 09:24:48.93 ID:uO4RXl620

P「……大丈夫。何も心配はいらないよ」

小鳥「あなた……」

P「……幸せに、なろうな。ふたりで……」

小鳥「……っ」ジワ

小鳥「はい……!」

スッ

小鳥(……ついに、ベールが上げられて……)

小鳥(私の顔は、みんなに、そしてあなたに……見られてしまう)

小鳥(……私はいま、どんな顔をしているのかしら)

小鳥(緊張してる顔? 不安な顔?)

小鳥(……いいえ、そうじゃないわ)

小鳥(きっと、いま、私は――)

539: 2012/10/03(水) 09:28:32.34 ID:uO4RXl620

P「……」

小鳥「……っ」


 ワァ……!

   パチパチパチパチ……!


P「……愛しているよ、小鳥」

小鳥「……えへへ……わ、私もです……!」


小鳥(きっと、いま、私は――)

小鳥(世界で一番、幸せな女の子の顔をしているんだわ……!)


―――
――


小鳥「えへ、えへへ……なーんて! なーんてね!」

小鳥「あんっ、もう、あなたったら……大胆なんだから!」クネクネ

小鳥「……って、あら?」

542: 2012/10/03(水) 09:35:34.00 ID:uO4RXl620

小鳥「……」

ポツーン

小鳥「誰もいない……」

小鳥「……? 書き置きが……」


『いくら声をかけても反応がないので、お先に失礼します。戸締りをよろしくお願いします Pより』

『小鳥、とっても幸せそうだったの! 今度、何考えてたか教えてね☆ ミキより』


小鳥「……」

小鳥「いま事務所には、私しかいないのね……」


小鳥「……」

小鳥「……逆に考えるんだ」

小鳥「『これでいくらでも激しく妄想し放題さ』と考えるんだ」


小鳥「うふふふふ……♪」

547: 2012/10/03(水) 09:42:53.71 ID:uO4RXl620

―――

P「……音無さん、大丈夫かな」

美希「? なにが?」

P「いや、あの表情……尋常じゃなかったからさ」

美希「でもでも、とっても幸せそうだったよ?」

P「まあそうだけど……時折涙も浮かべてたんだぞ」

美希「きっとそれくらい、良いことがあったってことなの!」

P「……そうだな! 深く考えないで、気にしないでおこう」

549: 2012/10/03(水) 09:47:39.45 ID:uO4RXl620

美希「……ねえ、ハニー?」

P「うん? どうした」

美希「ありがとなの。また今日も送ってくれて」

P「……これくらい、お安い御用だよ」

美希「……」

P「美希」

美希「なあに?」

P「……なんか、この二日で……ちょっと、変わったな」

美希「そう? うーん……そう……かも」

P「なんというか、大人っぽくなったよ」

美希「……今まで考えたことないこと、いっぱいいっぱい考えたからかな」

551: 2012/10/03(水) 09:55:58.09 ID:uO4RXl620

美希「……さっきも、言ったけど……」

美希「ミキね、今までずっと……あんまり、結婚のこと、深く考えてなかったかもしれないの」

P「……」

美希「大好きな人と、ずっとずっと一緒にいられる、ってことだけ」

美希「……でも、それじゃやっぱり、ダメなんだよね」

P「……ダメってことは……」

美希「ううん、ダメなの」

美希「だからね、もっと、もーっと……これからは、たくさん考えるようにする」

美希「……だから、それでね……ハニーにお願いがあるんだ」

P「お願い? なんだ、なんでも言ってごらん」

美希「……うん」

美希「ミキが、ちゃーんとそういうこと考えて、ちゃーんと答えが見つかるまで」

美希「待っててもらっても、いい?」

553: 2012/10/03(水) 10:01:04.16 ID:uO4RXl620

P「……まず一つな」

美希「え? なになに?」

P「待つって言うけど……そもそも俺は、美希と結婚したい! なんて言ってないぞ」

美希「……」

美希「ええええ!!?」

P「逆にこっちが驚くわ……本当にそのつもりだったのか」

美希「だ、だってだって! ハニーは、ミキのこと、好きなんでしょ!?」

P「いやまあ、そりゃそうだけど……それは、美希だけじゃなくて、みんな――」

美希「あーもう、そーいうのはいいの! そ、それで、いつか結婚したいんじゃないの!?」

P「いやいや、いつそんなこと言ったんだ?」

美希「……」ワナワナ

P「……美希?」

美希「……ガーン、なの……出鼻をくじかれたってカンジ……」

556: 2012/10/03(水) 10:06:13.55 ID:uO4RXl620

美希「うぅ……そ、そんなのってないの……」

P「……」

美希「……16歳になっても、ダメ?」

P「年齢の問題じゃないって」

美希「……そ、っか……」

P「……ただまあ、なんだ……」

美希「え?」

P「いや……昨日言ったことを、へんな意味で捉えたら、そう勘違いされるのも無理ないかもしれないな」

美希「昨日言ったことって……」


『将来、美希と結婚して……それで旦那さんになる人は、幸せだなって』

『まあ……ありていに言ってしまえば、羨ましくもあるよ』


美希「……そーだよ! じゃああれって、どーいう意味なの!」

P「そのまんまの意味だよ」

美希「どーいうことなの!」

557: 2012/10/03(水) 10:12:43.20 ID:uO4RXl620

P「ただ、羨ましいってだけ。美希みたいな子と結婚できる人はさ」

美希「……それって、違うの?」

P「……まったく違うよ」

美希「……」

P「……」

美希「そっか……そう、なんだね」

P「え?」

美希「ハニーはべつに……ほ、本当は……ミキのこと、トクベツだって……思って……」

P「……」

P「ごめん、美希」

美希「っ! う、ううぅ……! や、やっぱり……!」

P「……」

美希「……グスッ……え、えへへ……それなそーって……はやく言ってくれればいいのに」

P「……」

P「違うんだ……それも、違う。ああもう、なんて言えばいいんだよ……」

559: 2012/10/03(水) 10:17:18.53 ID:uO4RXl620

美希「なんなのなの……なんなのなの……」

P「……あの、さ」

美希「……」

P「まずな、今ごめん、って言ったのは……うまく言葉が見つからなかったことに対してだ」

美希「え……?」

P「……俺は今まで、確かに美希と結婚したいなんて、言ったことはなかった。そうだな?」

美希「うん……」

P「……だから……」


P「……今、言うよ。俺の本当の気持ちを」

美希「……? そ、それって、どういうこと……?」

562: 2012/10/03(水) 10:22:35.02 ID:uO4RXl620

P「……なにか勘違いされて、そういう風に思って欲しくもない」

P「だから、言う。今度はちゃんと、はっきりと、わかってもらいたいから」


P「……いつになるかわからない、叶えてやれるかもわからない約束なんて、本当はしたくはない」

P「だけど、言う。いま言わないと、俺だって……苦しいから」


美希「……」

P「美希」

美希「は、はいなの……」

P「……俺は……」


P「美希のことが、好きだよ」

美希「……っ!!」

568: 2012/10/03(水) 10:26:07.63 ID:uO4RXl620

美希「……」

P「……」

美希「……えへへ、わかってるの」

美希「ハニーが言ってるのは……ミキが思ってるようなことじゃないって」

P「美希が思ってるようなこと、ってなんだ?」

美希「そ、そんなの……決まってるの。ミキだけじゃなくて、みーんな――」

P「ちがうよ」

美希「……」

P「アイドルとしての美希、じゃない」

P「ただの星井美希として、ひとりの女の子として……、美希のことが大好きなんだ」

美希「!!!」

P「……今はまだ、無理だけど……」

P「いつか、そのときが来たら……結婚だって、美希とならしていいって、本当に思ってる」

573: 2012/10/03(水) 10:31:28.02 ID:uO4RXl620

美希「……」

ペタン

P「!?」

美希「……あは……腰、抜けちゃったの……」

P「お、おい、大丈夫か?」

美希「う、うん……へーき……」

P「……」

美希「……ねえ、ハニー?」

P「どうした?」

美希「ホントにホント?」

P「……ホントだよ」

美希「ウソ、ついてない? 実はドッキリでしたー、とか……春香がよく出てる番組みたいに」

P「こんなこと、冗談じゃ言えないって」

577: 2012/10/03(水) 10:36:16.36 ID:uO4RXl620

美希「じゃあじゃあ……っ」

美希「ミキのこと、ぎゅってしてくれる? できる?」

P「当たり前だろ」

ぎゅーっ

美希「……っ! く、苦しいの……」

P「あ、す、すまん……」

美希「……ううん、いーの……もっと、強くして?」

P「……」グッ

美希「! ……う、うぅ……!」

ポロポロ……

美希「うぇぇん……!」

581: 2012/10/03(水) 10:45:00.38 ID:uO4RXl620

美希「ミキねっ、ミキね……っ!」

P「うんうん……」

美希「ずっと、ずーっとね……」

美希「ハニーがあの日、全部やる気なくなっちゃったミキのために……、たくさん、たくさん、言葉をくれたときからね……!」

美希「ずーっと……ずー……っと!」

P「ああ……」

美希「いつか、こうなるといいな、って……! だ、だから……!」

P「……」


美希「……うれしいの……!」

美希「ほんとうに、ほんとうに……グスッ」

美希「うわああああん!!!」

ポロポロ……

586: 2012/10/03(水) 10:48:55.32 ID:uO4RXl620

P「……美希が嬉しいなら、俺も同じくらい嬉しいよ」

美希「……っ!」

P「……絶対、幸せにしてみせるから」

美希「……」

ゴシゴシ

美希「……ち、ちがうの……そんなの、や、なの!」

P「えっ」

美希「ハニーがミキを幸せにするんじゃなくて……」

美希「……ふたりで、いっしょに幸せになろ?」

P「……ああ、そうだな!」

美希「うんっ! それが、夫婦ってものなの!」

P「それはまだ気が早い」

ペシッ

美希「あうっ」

590: 2012/10/03(水) 10:57:05.35 ID:uO4RXl620

―――

テクテク

美希「えへへ……」

ギュー

P「い、痛いよ」

美希「ねえ知ってる? これって、コイビトつなぎって言うんだよ」

P「……なんだっけ、美希の夢の中で、俺と律子がしてたっていう?」

美希「むぅ……ミキっていう、コ・イ・ビ・ト! がいながら、他の女の子の話をするのはよくないって思うな」

美希「ハニーったら律子……さんにデレデレしちゃって……あんなの、もう二度とゴメンなの」

P「い、いや、でも夢の話だろ?」

美希「夢でもなの! ハニーが夢に出てくるときは、ミキ以外の子と出演しちゃダメ!」

P「無茶言うなって……そもそも、美希の夢じゃないか」

美希「それでもやーなの!」

P「……」

P(どうやら大人っぽいと感じたのは、さっきの一瞬だけだったみたいだ)

592: 2012/10/03(水) 11:02:52.27 ID:uO4RXl620

P「まあ、そこもかわいいんだけどな」

美希「え!? な、なに? なんのハナシ?」

P「いや……なんでもないよ」

美希「もー、なんなの!」

P「あはは……」

美希「……ねえ、ハニー?」

P「うん? どうした……って、こんなやり取りも何回目かな」

美希「これから何回でもするよ! ねえハニー! ねえねえハニー!」

P「わかったわかった、ちゃんと聞くから……。それで? なんかあったのか?」

美希「んーっと……ちょっと思ったんだけど」

P「うんうん」

美希「正妻戦争は、ミキの大勝利、だよね?」

P「……そうだな」

600: 2012/10/03(水) 11:09:02.80 ID:uO4RXl620

美希「思えばこれまで、いろんな戦いがあったの……」

P「そうだっけ……」

美希「そーだよ! ハニーは楽しかっただけかもしれないけど、ミキ的には、やな思いもいっぱいしたんだから!」

P「じゃ、じゃあ、途中でやめてくれって言えばよかっただろ?」

P「そもそも大半は、美希が俺に言わせたんじゃないか」

美希「むむ……ハニー、細かいことを気にすると、頭ツルツルになっちゃうよ?」

P「髪のことは言うな!!」

美希「!? ご、ごめんなさいなの……」

P「あ、いや……俺の方こそ、急に大声出してすまん」

美希「……ミキ、ハニーはべつにまだ大丈夫だって思うな」

P「そういうのを気にしちゃうお年頃なんだよ……」

607: 2012/10/03(水) 11:16:12.16 ID:uO4RXl620

美希「……でもでも」

P「ん?」

美希「もしツルツルになっても、ミキはハニーのこと、大好きなままだよ?」

P「……うん、まあ……ありがとう」

美希「あっ、信じてないでしょ?」

P「そういうわけじゃないけど……なんか複雑でな」

美希「だってミキはこれから、一生、一生、ハニーといっしょにいるんだからね!」

美希「髪の毛のことなんて、いちいち気にしてらんないの」

P「……」

美希「……だからね、ハニーもミキと、同じ気持ちになって欲しいって思うな」

P「……どういうことだ?」

美希「んーっとね……つまり、その……」

616: 2012/10/03(水) 11:25:34.10 ID:uO4RXl620

美希「もしも、ツルツルのおじいちゃんになっちゃっても……ミキはハニーのこと、大好き」

美希「だから……もしも、ミキがヨボヨボのおばあちゃんになっちゃっても……」

美希「ハニーには、ミキのこと好きでいて欲しいの」

P「……そんなの、当たり前じゃないか」

美希「!」

P「どんなときだって、いっしょの気持ちだよ。美希が俺のことを見捨てない限りな」

美希「んっふっふー! それこそ、ありえないってカンジ!」

美希「なんといってもミキは、ハニーの正妻になる女の子なんだもん!」

P「ははは、そうだな! そうだよ、美希は俺の妻になる女の子だ!」

美希「……ねえねえハニー!」

P「今度はどうしたんだ?」


美希「ずっと、ずーっと、いっしょにいようね!」

P「……ああ、約束だ!」


おわり

620: 2012/10/03(水) 11:28:44.90 ID:uO4RXl620
一旦終わり
でも少し休憩したあと、ちょっとだけ後日談書く

628: 2012/10/03(水) 11:41:02.07 ID:uO4RXl620

―――
――


美希「ふんふんふ~ん♪ さーて、お次はー……」

美希「……あれ?」

美希「……」スッ


美希「これ、ハニーが使ってた手帳なの」

美希「……」


天使美希『ダメだよ! 勝手に見たら怒られちゃう!』

悪魔美希『でもでも、気にならない?』

天使美希『たしかにそーなの』

悪魔美希『あは♪ さっすがミキなの、ハナシがわかるってカンジ!』


美希「……」

美希「えーい、見ちゃえ!」

632: 2012/10/03(水) 11:48:17.51 ID:uO4RXl620

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
20XX年○月△日

先週は色々とあったが……俺と美希は、無事に付き合うことになった。
まあ、これから先のことを考えると、良いことばかり待っているとも言えないだろうけど……
でも今は、この幸せをただ、精一杯にかみ締めているとしよう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


美希「……日記?」

美希「ハニー、こんなのつけてたんだ……」

美希「続きは……」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
同日

しかしながら、正妻戦争……。
あれは確かに、あのとき美希が言っていたように、俺にとっては楽しいものであった。
765プロのみんなはみんなかわいいからな! 妄想も捗るってもんだ!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


美希「……」

美希「これ以上見るのは、キケンなヨカンがするの……」

634: 2012/10/03(水) 11:54:36.01 ID:uO4RXl620

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ついては、この手帳に、美希には語れなかった部分を少しだけ書いておくことにする。
つまり……

中学生組のことだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


美希「!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
やよい、亜美、真美、伊織……。
ふふ。誰にも語らずに、ただ紙に書くだけなら、誰も咎めはしまい。
これは合法だ! あーっはっは!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


美希「ハニー……」

643: 2012/10/03(水) 11:59:31.71 ID:uO4RXl620

美希「……」ペラ


――――――――――――――
INDEX

【やよいと結婚したら……】 1‐8

【亜美と結婚したら……】 9‐15

【真美と結婚したら……】 16‐35

【伊織と結婚したら……】 36‐78

――――――――――――――


美希「?」

美希「どういう意味だろ……ページ番号?」

美希「なんか、真美とでこちゃんのページだけすっごく多い気がするの」

648: 2012/10/03(水) 12:05:14.99 ID:uO4RXl620

美希「……」

美希「これは、試練なの」

美希「ミキの、ハニーへの愛を確認するための試練……」


美希「だから、ついついミキがこの先を見ちゃうのも、仕方ないってカンジ!」

美希「だからね、ミキは悪い子じゃないよ!」

美希「……」

ドキドキ

美希「う、うん……それじゃあまず、やよいから……」

651: 2012/10/03(水) 12:14:00.58 ID:uO4RXl620

【やよいと結婚したら……】

ガララ

P「ただいま~」

やよい「あっ、プロデューサー! おかえりなさーい!」トタタ

P「おお、やよい! 帰ってたのか」

やよい「はいっ! えへへ、久しぶりに家族のみんなと会えて、とっても嬉しかったですっ!」

P「そうかそうか……」

やよい「……あの、でもー……」

P「ん? どうし――

ぎゅっ

P「……」

やよい「……プロデューサーと、くっつけなかったのは……ちょっと、さみしかったかなーって」

654: 2012/10/03(水) 12:18:47.54 ID:uO4RXl620

P「……」

ナデナデ

やよい「!」

P「甘えん坊だな」

やよい「……そーなんです、私、あまえんぼうさんなんです」

P「まあ、実家じゃお姉さんにならなきゃだからな……我慢、してたのか?」

やよい「ガマン、ってわけじゃないですけどー……」

P「……俺はさ」

やよい「?」

P「やよいが帰ってる間、我慢してたぞ」

やよい「……そ、そーなんですか?」

P「ああ。こんな風に、帰ってきたら毎日くっついてくるのがいないと、調子も狂うってもんさ」

やよい「……えへへ……」

659: 2012/10/03(水) 12:25:20.32 ID:uO4RXl620

やよい「じゃあ今日は……いっぱいいっぱい、くっつきましょうね……」

P「……っ」

やよい「……プロデューサー? あの……」

P「……どうした?」

やよい「な、なにか言ってください……くっつくの、やですかー?」

P「……そんなわけないだろ」

ガバッ

やよい「っ!」

P「我慢してた、ってのはさ……何も、くっつくことだけじゃないんだ」

やよい「え……?」

P「……今までさ、やよいにも何回か怒られたから……アレ、我慢してたんだぞ」

やよい「あ、あれ、って……?」

やよい「!」

P「いま、やよいが想像したモノだよ……正直言って、もう限界なんだ」

663: 2012/10/03(水) 12:30:45.26 ID:uO4RXl620

やよい「はわわわ……そ、そんな……」

やよい「わ、私がいないんだから! それは、ガマンしなくてもー……」

P「そんなことして、やよいに不誠実でいたくないからさ」

やよい「……」

P「やよいは、いやなんだろ? 俺が、ひとりで――」

やよい「そ、それ以上言うのは、メッ! ですっ!」

P「……だからさ、いいか?」

やよい「で、でも……っ」

やよい「……ここ、廊下……それに、お料理もまだ途中で……」

P「我慢できないんだよ」

やよい「……どーしてもですか……?」

P「ああ」

やよい「……」


やよい「そ、それなら……しかたないかなーって……」カァァ

665: 2012/10/03(水) 12:35:00.19 ID:uO4RXl620

―――
――


パタン

美希「……これ以上は、ホントのホントにアウトなの」

美希「……でも……」

ソー……

ペラ

美希「……」

美希「!!!!」

美希「え? え、え? ……え!!?」


美希「お、お兄ちゃんって呼ばせて……? どういうことなの……!?」

美希「……こ、これは……」

美希「!!!!!」

667: 2012/10/03(水) 12:38:32.87 ID:uO4RXl620

美希「……」ゲッソリ

美希「……思っていた以上のダメージってカンジ……」

美希「まさか、やよいが……自分から……」


美希「……」

美希「毒食わばお皿ごといただきますなの」

美希「つ、次は……亜美かな……」

671: 2012/10/03(水) 12:44:50.35 ID:uO4RXl620

【亜美と結婚したら……】

亜美「兄ちゃん兄ちゃん! 今度の日曜日、暇っしょ~?」

P「ああ、そうだけど……なんだ、どこか行きたいのか?」

亜美「うんっ! あのね、遊園地行こうよ、遊園地! 夢の国!」

P「えー……あそこは混むし、行列も長いからなあ……」

亜美「ぶーぶー! そこがまたいいんじゃん! これぞ夢の国のDAIGO味ってカンジでさ!」

P「……醍醐味?」

亜美「そーいうカンジ。今ハロウィンだからさ、キーホルダーもらえるチャンスなんだよ~」

P「そ、そんな理由で……」

亜美「……だめ?」ウルウル

P「うぐっ……お前な、いつもそーやれば言うこと聞くと思って」

亜美「……」ジワァ

P「だーもう、わかった、わかったよ!」

677: 2012/10/03(水) 12:51:29.31 ID:uO4RXl620

―――

亜美「んっふっふ~♪」

P「お目当てのものは貰えたか?」

亜美「うん! もーばっちしだよ~!」

P「しかし、なんだな……似合ってるな、その耳」

亜美「そっくりっしょ~? これで亜美も、ミニ――

P「バカヤロー!! それ以上言うな!!!」

亜美「ご、ごめんね兄ちゃん……今のはさすがにまずかったよ……」

P「いや、まあ……わかればいいんだ……」

679: 2012/10/03(水) 12:57:46.68 ID:uO4RXl620

亜美「兄ちゃん兄ちゃん、次、あれ乗ろ!」

亜美「ねえねえ兄ちゃん、亜美おなかすいちゃった」

亜美「わあー! ねえねえ! あそこ! 着ぐるみ! 写真撮ろう写真!」

亜美「やった~♪ 次はパレード見よ、パレード! そんでそんで――

P「ちょっと待って」

亜美「どったの~?」

P「お前本当に二十代か……?」

亜美「そだよ? ここにいる亜美は、成人した、ちゃんとしたオトナの亜美なんだから」

P「うん、まあ……そうだよな」

685: 2012/10/03(水) 13:04:10.39 ID:uO4RXl620

P「まったく、背ばっかり大きくなって……中身はあの頃のままだな」

亜美「でもでも、あの頃に、兄ちゃんが彼氏さんになってくれたんじゃん」

P「……」

亜美「てことは、兄ちゃんは今の亜美もスキスキってことっしょ~?」

P「そうだけど……」

亜美「んっふっふー! それじゃあ、なんも問題ないっぽいね!」

P「と、とにかく休憩させてくれよ。俺はもう若くないんだから」

亜美「えー。しっかたないなぁ~兄ちゃんは……じゃあ、三分だけね」

P「悪魔め……」

亜美「天使だよ! んっふっふ~……いつも兄ちゃんが言ってくれるじゃん」

689: 2012/10/03(水) 13:10:31.95 ID:uO4RXl620

『本日の営業時間は、間も無く終了となります――』


P「……さ、そろそろ帰ろう」

亜美「……」

P「おいおい、そんな顔するなよ……また今度、来れるだろ?」

亜美「そーだけどー……」

P「……」

亜美「……なーんか、さみしいね」

P「まあ、そうだな……お土産、見にいこうか」

亜美「うん……あれ買ってね、クランキー……」

P「わかったわかった……」

692: 2012/10/03(水) 13:15:47.40 ID:uO4RXl620

テクテク

P「……」

亜美「……ねえねえ兄ちゃん」

P「ん?」

亜美「亜美、つかれちゃった。おんぶー」

P「えっ……本気?」

亜美「本気と書いてマジだよっ!」

P「俺も割と足にきてるんだけど……開園から閉園までって、相当だぞ……」

亜美「……うん、そだよね」

P「……」

亜美「ごめんね、兄ちゃん……やっぱいいや、おんぶ。ちゃんと歩けるから……」

P「……ったく、もう……ほら」

亜美「え?」

P「おんぶ。してやるからさ」

亜美「……」

696: 2012/10/03(水) 13:20:19.77 ID:uO4RXl620

亜美「……んしょ、っと」

P「おおっと……亜美、でっかくなったなあ」

亜美「んっふっふー。ナイスバデー?」

P「背は高くなったけど、まあ……その、なんだ。その他はあれだな……」

亜美「」ガブッ

P「あ痛!?」

亜美「うあうあー! やっぱ兄ちゃんも、おっOい大きいほうが好きなんだ~!」

P「んなこと言ってないだろ……」

700: 2012/10/03(水) 13:25:56.80 ID:uO4RXl620

テクテク ヨロヨロ

亜美「……ねえ、兄ちゃん?」

P「ん?」

亜美「ありがとね。今日は、亜美のわがままに付き合ってくれて……」

P「……いいんだよ。ふだん、忙しくてあんまり構ってやれないからな」

亜美「……楽しかった?」

P「もちろん。亜美といっしょだったんだ、楽しくないわけないだろ」

亜美「んっふっふ~……そっか~……亜美もだよ、兄ちゃん……」

P「……」

亜美「……あのね。ついでにわがまま、もう一個言っちゃうとね……」

P「うんうん……」

亜美「本当は……兄ちゃんに、もっとおうちにいて欲しいんだ……」

703: 2012/10/03(水) 13:31:30.89 ID:uO4RXl620

P「……それは……」

亜美「でもでも、亜美もわかってるよ。兄ちゃんのお仕事は、そういうもんなんだって」

P「……」

亜美「だから、このわがままは……聞いてくれなくても、いいっぽいよ」

P「亜美……」

亜美「……あのさ、兄ちゃん」

P「ん?」

亜美「ひとりでおうちにいるの、さみしいから……ね? そろそろ、さ」

P「……ああ、そうだな。もうそろそろ……頃合かもな」

亜美「……」

P「……亜美」

亜美「なあに?」

P「……うん、その、なんだ……頑張ろう?」

亜美「……ぷぷっ! な、なに言ってんの~!?」

P「いやいや、でも、これしか言いようがないだろ!?」

705: 2012/10/03(水) 13:35:23.74 ID:uO4RXl620

―――

亜美「……兄ちゃん……」

P「亜美……本当にいいのか?」

亜美「うんっ……今日は、あれ、無くていい」

P「……それじゃあ――


―――
――



パタン

美希「さすがにこれ以上はアウトなの」

美希「……」

美希「ハニー……なんで、すぐそっちの方向に行っちゃうの……」

710: 2012/10/03(水) 13:40:20.03 ID:uO4RXl620

美希「……」

美希「……でも……」

美希「亜美、ちょっとかわいかったかも」

美希「……」

キュン

美希「……」ブンブン

美希「つ、次は……真美かな!」

美希「亜美と双子ちゃんだもんね。今のと同じくらいの、やんわりなレベルに決まってるの!」

713: 2012/10/03(水) 13:42:56.80 ID:uO4RXl620

【真美と結婚したら……】


くちゅ、くちゅ……


真美「に、兄ちゃんっ……そ、そんなに、されたら……――っ!」

P「おいおい、もうか? はは、真美は感じやす


―――
――



バッタン!!!


美希「なんなのなの! なんなのなの!!!」

719: 2012/10/03(水) 13:49:31.01 ID:uO4RXl620

美希「……フー……フー……」

美希「一瞬、亜美の続きを読んじゃったかと思ったの……!」

美希「し、しかもこれ……えーっと、さっきのページによると……」

美希「……」

ピコピコ

美希「19ページもある……」

美希「デートとか、そういうの抜きにして、亜美よりずっとずっと量が多いの……」

美希「……」


美希「キョーミないよ? ホントだよ?」

美希「でも、一応……確認はしとかないといけないって思うな」

723: 2012/10/03(水) 13:52:43.21 ID:uO4RXl620

美希「……」

美希「!!」


美希「……」ゴクリ

ペラ……

美希「!!!!!」

美希「まさか挿絵が付いてるなんて……」


美希「……」

美希「あ、真美の……もみあげが……」

美希「」

美希「ウソ、ウソ……?」

美希「か、髪の毛って……そういう風に使うものじゃ……ないの……!」

728: 2012/10/03(水) 13:57:52.08 ID:uO4RXl620

美希「……」

パタン

美希「……亜美と真美。同じ双子ちゃんなのに、なんでこんなに違うの……」

美希「どっちがいいかって言うと……それはわかんないけど」


美希「……」

美希「……あとは、でこちゃん……」

美希「なんか、読むのがこわいな……」

744: 2012/10/03(水) 14:21:13.26 ID:uO4RXl620

【伊織と結婚したら……】

伊織「もうあったまきた!!!」

P「それはこっちのセリフだ!!!」

伊織「はぁ~……もう、ダメね、私たち」

P「……ああ、そうだな! こんなときばっかり同じ気持ちで残念だよ!」

伊織「離婚よ、り・こ・ん!」

P「はは、そいつはいい。俺だってなあ――

―――
――


パタン……

美希「……」

美希「え? え?」

美希「ビックリして思わず閉じちゃったの」

美希「ちょ、ちょちょ……え? ホントのホントに……?」

746: 2012/10/03(水) 14:25:20.42 ID:uO4RXl620

美希「そんなのってないの……」

美希「だ、だって、今までのカンジだと……、そういうのって、ダメだって思うな」

美希「……」


美希「……もう一回、もう一回だけ……」

美希「ミキはハニーを信じてるの……」

750: 2012/10/03(水) 14:30:55.04 ID:uO4RXl620

【伊織と結婚したら……】

伊織「もうあったまきた!!!」

P「それはこっちのセリフだ!!!」

伊織「はぁ~……もう、ダメね、私たち」

P「……ああ、そうだな! こんなときばっかり同じ気持ちで残念だよ!」

伊織「離婚よ、り・こ・ん!」

P「はは、そいつはいい。俺だってなあ、もういい加減、伊織のぬいぐるみ扱いはうんざりなんだよ!」

伊織「なによ! 最初の方は嬉しがってたくせに!」

P「そうしないと、お前が泣いちゃっただろうが!!」

伊織「っ! わ、私のせいだって言うの……!?」

P「そうだよっ! 伊織がさみしくて泣くから、結婚してから毎日毎日うさちゃんの着ぐるみを着て……」

伊織「え、ちょっと……ほ、ホントに? ホントにいやだったの……?」

P「あ、いや……俺も、べつに、いやだったってわけじゃないけど……うん……」

755: 2012/10/03(水) 14:38:52.37 ID:uO4RXl620

P「……とにかく! 今度という今度は、お前の言うことは聞けん!!」

伊織「……ふんっ。それくらいのことが出来ないなら、私だってあんたなんかいらないわよ!」

P「なんだと!?」

伊織「なによ!!」

P「常識で考えてみろ! なんだよ、これ!」

伊織「あら、このかわいさがわからないなんて、やっぱりあんたは凡人なのね」

P「ふざけんな! 男のバニースーツなんて誰が得するんだ!!」

伊織「私に決まってるじゃない!!」

P「それじゃあ適当に使用人の誰かにでも着せてればいいだろ!!」

伊織「っ! な、なんで、そんなこと言うの……!?」

P「……」

伊織「わ、私は……あ、あんたに似合うと思って……」

伊織「……あ、あんた以外の男に、興味ないの……知ってるでしょ……?」

P「……今のはさすがに言い過ぎたな。すまない」

767: 2012/10/03(水) 14:48:09.58 ID:uO4RXl620

伊織「うぅ……グスッ……」

P「……ったく。お前はいつもそうだよな!」

伊織「な、なによ……!」

P「泣けば言うこと聞くと思ってやがる。そのウソ泣きに、何度だまされたことだか」

伊織「ウソ泣きなんかじゃないわよ!!」

P「じゃあ毎回毎回、本気で泣いていたっていうのか!!?」

伊織「そうに決まってるじゃない! あんたにウソをつくなんて、私のプライドが許さないわ!!」

P「……え、じゃあ、あのときも?」

伊織「あのときって?」

P「あのさ、うさちゃんの手が片方取れちゃって、急いで縫いに来なさいって泣きながら電話してきたとき……」

伊織「……なによ、悪いわけ!?」

P「悪いわけあるか! そんなことで本気で泣くとは普通思わないだろ!!」

伊織「うさちゃんはトクベツなのよ!! 知ってるでしょう!?」

P「ああ知ってるよ! お前のことならなんでも知ってるさ!! おしりのほくろとかもな!!」

伊織「その存在は私すら知らなかったわよ!!!」

771: 2012/10/03(水) 14:54:15.94 ID:uO4RXl620

伊織「え、ちょっと……ほんとにほくろ、あるの?」

P「ああ」

伊織「……大きい?」

P「いや、普通……」

伊織「やだ、もう……へんじゃないかしら」

P「そんなの、誰も見ないって……」

伊織「あんたが見るじゃない!!!」

P「そんなものがあったってお前の体の美しさは損なわれないだろ!!?」

伊織「私は完璧でいたいのよ! あんたの前では!!」

P「完璧じゃなくたって良い、そのままの伊織で良いって何度言わせるんだ!!!」

伊織「このわからずや!!」

P「それはこっちのセリフだ!!!」

776: 2012/10/03(水) 15:02:26.53 ID:uO4RXl620

パラパラパラ……


伊織「……ごめんね」

P「いや、俺の方こそ……」

伊織「離婚、だなんてウソよ……言ってみただけ。私、あんたがいないと、もうダメなんだから」

P「わかってたさ。それに、俺だってそうだ……なんだかんだ言って、俺、伊織のわがままを聞くのが好きなんだ」

伊織「……ねえ……」

P「ん?」

伊織「……すき……」

P「……ああ、俺もだよ」

―――
――


パタン

美希「あ、もういいの……うん、ごちそうさま」

美希「飛ばし読みでちょーどいいレベルだったの。ミキのさっきの気持ちを返して欲しいって思うな」

783: 2012/10/03(水) 15:09:22.05 ID:uO4RXl620

美希「……」

美希「ケンカするほど、仲がいいってことかな?」

美希「だとしたら……ちょっと、羨ましいかも」

美希「ミキたちは、全然ケンカとかしないから……」


美希「……」

美希「落ち着いて、ミキ」

美希「よく考えたら、これはゼンゼン、参考にならないって思うな」


美希「……うん、そうだよね!」

美希「ミキたちには、ミキたちのやり方があるもん! でこちゃんのことはすっぱり忘れるの」

787: 2012/10/03(水) 15:13:45.81 ID:uO4RXl620

美希「……えーっと……これで全部、かな?」


パラパラ


美希「いま思えば、正妻戦争だなんて……なんかちょっと、恥ずかしいな」

美希「でもでも、あの頃のミキは……もう、なにがなんでもってカンジだったもんね」

美希「そのおかげで、今の……」


パラパラ……


美希「……あれ?」

美希「最後……このページ、って……」


【美希と結婚したら……】


美希「……!」

792: 2012/10/03(水) 15:16:46.89 ID:uO4RXl620

美希「……」

美希「ハニー……」


ペラ……


美希「……」

美希「……うん、そう、そうだったよね……」

美希「ミキたちは……」

795: 2012/10/03(水) 15:22:37.30 ID:uO4RXl620

ガチャ

P「おーい、美希……って、ここにいたのか」

美希「あ、ハニー! おかえりなさいなの」

P「ただいま。何を読んで……」

P「」

美希「……えへ。見ちゃった」

P「すいませんでした」

ズサッ

美希「なんていう綺麗な土下座なの……」

P「ほ、ほんと……取っておこうと思って取っておいたわけじゃなくて……」

美希「あ、べ、べつに、怒ってるわけじゃないよ?」

P「いや、でも……」

美希「……そ・れ・よ・り~。この、最後のページ! これってどーいうこと?」

P「う……そ、そのままの意味だよ」

797: 2012/10/03(水) 15:27:15.17 ID:uO4RXl620

美希「……これって、さ」

P「……うん。そこからは、ただの日記……というか、メモかな」

美希「……」

P「毎年、この日に何があったか覚えておけるように……」

美希「……そっか……」

ペラペラ

美希「えへへ、そうだったよね。あの年は、こんなことがあったの」

P「……美希」

美希「なあに?」

P「なんというか、へんな感じになってしまったけど……ほら」

美希「! ……ぺ、ペンダント?」

P「ああ……美希に似合うと思って」

798: 2012/10/03(水) 15:29:30.29 ID:uO4RXl620

P「……美希。今日がなんの日だか、覚えてるか?」

美希「……うんっ! 忘れるわけないの!」


美希「今日は、ふたりの、大切な……」

美希「10回目の……」



美希「結婚記念日なの!」


おわり

806: 2012/10/03(水) 15:33:25.32 ID:uO4RXl620
今度こそおわりです、読んでくれた方ありがとう
正妻はミキミキだよ 間違いない

807: 2012/10/03(水) 15:33:48.83 ID:PJ7QN2d90
乙なのなの!

808: 2012/10/03(水) 15:34:10.64 ID:G5K5eqdd0


やっぱ美希が正妻っすな

809: 2012/10/03(水) 15:34:14.34 ID:K0TB5vur0
よかったよかった
乙乙

816: 2012/10/03(水) 15:42:38.63 ID:6uX9OaH70
なんなのなの

818: 2012/10/03(水) 15:44:23.62 ID:qdeK8E/x0
なのなの

819: 2012/10/03(水) 15:44:37.11 ID:oApPUYWv0
長時間乙!
春香さんはやはり天使だった

引用元: P「正妻戦争……?」