1: 2015/09/14(月) 22:06:15.48 ID:m9KL+rWz0



ミリP(以下、P)「静香とな」

横山奈緒「はい」

P「うどんを食べに行ったんだよ」

奈緒「行ってましたね。ウチら置いて」

P「立ち食いの店だったから皆で行くのはな」

奈緒「なるほど。それで?」

P「それで、俺は何時も通りかき揚げやら芋やら乗せた大盛りを頼んで、静香を待ってたんだよ」

奈緒「はい」

P「そしたらな、あいつ、フツーのうどんを一杯頼んだだけだったんだよ」

奈緒「それ、普通ちゃいます?」


アイドルマスター ミリオンライブ! ぬいぐるみ 最上静香

2: 2015/09/14(月) 22:08:15.25 ID:m9KL+rWz0



P「あの静香だぜ? 一日うどんを食べなければ氏んでしまうという」

奈緒「そうは言うてませんよ?」

P「あいつの行動はそう言ってるようなもんだよ」

奈緒「はぁ」

P「一大事だと思って心配したらさ、」

P『私が素うどんを食べることが変ですか?』

P「だってよー」

奈緒「あの、プロデューサーさん」

P「おうよ」

奈緒「今のなんです?」

P「え?」

奈緒「え?」



3: 2015/09/14(月) 22:10:04.04 ID:m9KL+rWz0



P「静香の真似だけど」

奈緒「はぁ?」

P「え何その冷たい視線痛いんだけど」

奈緒「似てる似てないやなくて、酷いんですけど」

P「えー、そんなかー」

奈緒「なんでオッサンが十代女子の真似をしてるんですか」

P「オッサンじゃないやい」

奈緒「プロデューサーさんみたいな人は大体オッサンですー」

P「なんやとコラ」

奈緒「うわマジギレした」



4: 2015/09/14(月) 22:11:47.53 ID:m9KL+rWz0



P「十代女子にマジギレなんてしませーん」

奈緒「目がガチやったで」

P「俺のモノマネはいいんだよ! クエスチョンはシズカだよ」

奈緒「ロコの真似とか止めてくださいね」

P「ぐっ」

奈緒「するつもりだったんかい」

P「……結局静香の奴、食べ終わったらそそくさと帰っちゃってさ」

奈緒「ただ調子悪かっただけとちゃいます?」

P「レッスン見てたけど、調子抜群だったよ?」

奈緒「ふむ」

P「それから機嫌も悪そうだし、ホント困ってんだよ奈緒先生」

奈緒「誰が先生やオッサン」



5: 2015/09/14(月) 22:13:03.40 ID:m9KL+rWz0



奈緒「で、その静香は今どうしてるんです?」

P「あぁ、衣装合わせで三階に」

奈緒「なるほど」

P「そうだ、お祝いの買い出し行く予定だったんだ」

奈緒「……あ、今日、誕生日やったか」

P「そうそう。だから俺、静香の昼飯奢ったんだぜ?」

P「多分それで誕生日終わったと思ってるから、戻ってきた時に腰を抜かす程驚かしてやる」

奈緒「……ん?」



6: 2015/09/14(月) 22:13:53.20 ID:m9KL+rWz0



P「どうした奈緒、なんか探偵がふとした拍子に謎解く前みたいだぞ」

奈緒「プロデューサーさん、今日、静香の誕生日ですよね?」

P「あ、ああ」

奈緒「……いやこんなん、推理でもあらへんやん」

P「何が?」

奈緒「何が、って……そうか、分からんからウチに話してるんやねこの人」

P「なんだよーまるで俺だけ真相に気付いてない残念な奴みたいじゃんか」

奈緒「客観視は出来てるんやな……」



7: 2015/09/14(月) 22:15:52.10 ID:m9KL+rWz0



P「焦らすなよ~、教えてくれよ~」

奈緒「えープロデューサーさん、ホンマに分からへんの?」

P「真相を知ってる依頼人なんて居ないっつーの」

奈緒「そうやけど……いやこんな事に気づかないて……」

P「そんなに?」

奈緒「そんなにですよ」

P「ホンマか」

奈緒「ホンマです」



8: 2015/09/14(月) 22:17:30.71 ID:m9KL+rWz0



奈緒「分かりました、じゃあ状況確認しましょ」

P「おうよ、ミステリーの基本だな」

奈緒「こんなんをミステリー呼んだら、全国のミステリー作家から苦情が来ますわ」

P「炎上商法は確かに良くないな」

奈緒「……先ず、今日は静香の誕生日です」

P「うん」

奈緒「そして、プロデューサーさんはお昼、静香とうどんを食べに行った」

P「歩いて五分の所にある、立ち食いの店だ。一緒に行くのは初めてじゃない」

奈緒「んで、そこで静香とうどんを食べた、と」

P「俺は大盛り、静香は素うどん一杯だけ」

奈緒「その辺から静香の機嫌が悪い」

P「機嫌が悪いっていうか、ツンケンしてる感じ」



10: 2015/09/14(月) 22:20:05.62 ID:m9KL+rWz0



奈緒「プロデューサーさん」

P「はい」

奈緒「取り敢えず、買い出し行ってきて下さい」

P「え、真相は? トリックは? 解決編は?」

奈緒「それは行きながら考えて下さーい。てか急がないと、静香帰ってきますよ」

奈緒「ウチが上行って時間稼ぎますから、ささささ」

P「えぇ~……じゃあヒント、せめてきっかけをくれ!」

奈緒「今までの話が十分きっかけ思うんですけど……」

P「頼む! 今度飯奢るから!」

奈緒「そんな飯で釣るなんて……まぁ、ええわ」

P「よっ、流石横山奈緒! 太っ腹!」

奈緒「あぁ?」

P「すみませんでしたぁ!」



11: 2015/09/14(月) 22:21:40.04 ID:m9KL+rWz0



奈緒「……ヒントはですね、プロデューサーさん」

P「うん」

奈緒「誕生日、ですよ」

P「誕生日?」

奈緒「プロデューサーさんは、誕生日のお祝いって、めっちゃ楽しみやったでしょ?」

P「まぁ、子どもの頃はな」

奈緒「ウチも静香も、まだその子どもなんです」

奈緒「子どもは単純なことが嬉しかったり、嫌なもんなんですよ」

奈緒「例えば、誕生日のお祝い、と、か」

奈緒「……はいヒントは以上! 買い出し買い出し!」

P「……ふむ。考えてみる。ありがとな、奈緒」

奈緒「いえいえ~、報酬は後でたんまりもらいますんで」



12: 2015/09/14(月) 22:23:11.96 ID:m9KL+rWz0



P「誕生日、か」

P「静香も案外、今日を楽しみにしてたのかもな」

P「うどん奢るのは、駄目だったのか?」

P「でもうどん、静香の好物だぞ?」

P「お祝い用のうどんがあるのか? いやそういう問題か?」

P「……ヒント。誕生日ってことと、静香が子どもだってこと」

P「単純なことが嬉しくて、嫌」

P「俺は子どもの頃、誕生日をどう祝ってもらった?」

P「どう祝ってもらいたかった?」

P「何をしてほしかった?」


P「俺は、静香をちゃんと祝おうとしたか?」


P「…………そう、か」


13: 2015/09/14(月) 22:24:53.75 ID:m9KL+rWz0



P「ただいまもどりましたー……あれ、誰も居ないのか?」

最上静香「あ、プロデューサー」

P「うわ静香!?」

静香「何驚いてるんですか」

P「いや無人かと思ったら人が現れたら、そりゃねぇ」

静香「はぁ」

P「てか、なんで誰も居ないの?」

静香「私が聞きたいです。奈緒さんに言われて来てみたら、誰も居なくて……」

P「奈緒のやつ……今度、たらふく奢ってやるか」



14: 2015/09/14(月) 22:26:30.65 ID:m9KL+rWz0



P「静香」

静香「はい」

P「さっきは、悪かったよ」

静香「……何のことですか」

P「昼のこと。一緒にうどん食べたろ」

P「俺は静香がうどん食べられたら何処でもいいと思ったんだ。あの時は時間も十分なかったし、何時もの店で済ませてしまった」

P「でも、今日は、誕生日だもんなぁ」

P「お祝いだって言うなら、もう少し店は選ぶべきだった」

P「あれじゃあ、ただ昼飯食べただけだ」

P「配慮が足りなかった。ホント、悪かった」



15: 2015/09/14(月) 22:28:09.10 ID:m9KL+rWz0



静香「……私の方こそ、すみませんでした」

静香「誕生日に、変に期待して、勝手に失望して、プロデューサーを困らせてしまいました」

P「いいんだよ。それくらい甘えてくれて」

静香「私、自分が思うよりも子どもなんだって、気付いたのも嫌で……」

P「年に一度は、そう思っていいだろ」

静香「そう……ですか?」

P「勿論。だからさ、今からやり直させてくれ」

P「静香の誕生日、ちゃんと祝いたい」


P「静香の時間を、俺にください」



16: 2015/09/14(月) 22:30:34.23 ID:m9KL+rWz0



静香「……今から事務所で何かあるんじゃないですか?」

P「さぁ。俺が預かり知らないことは関係無い」

静香「ひどい人」

P「駄目、かな」

静香「駄目、だと思います」

P「え」

静香「でも……今日くらい、駄目なのもいいかな」

静香「プロデューサー、今度はちゃんと、お祝いしてくれますか?」

P「勿論!」

静香「それなら……」


静香「私の時間を、貴方にあげます」



17: 2015/09/14(月) 22:32:29.56 ID:m9KL+rWz0



奈緒「うわー、二人おてて繋いでるで。ヒューヒュー」

北沢志保「……結局、私たちの準備は無駄ですか」

北上麗花「じゃあ主役の居ないお誕生日パーティー、始めちゃおうか」

箱崎星梨花「あ、いいですね! 私たちは私たちで、静香さんをお祝いしちゃいましょう!」

野々原茜「しょ~がないなぁ、ここは年中主役の素質がある茜ちゃんに任せときなよ!」

奈緒「そやな。じゃ、こっちはこっちで盛り上がることにしよか!」

奈緒「全部プロデューサーさんの奢りやから、ピザでも寿司でもじゃんじゃん頼むで~!」



 おわり

18: 2015/09/14(月) 22:38:38.97 ID:m9KL+rWz0


 以上です。

 さて静香の誕生日です。何時もうどんが大好きな彼女がそれを嫌う場面があるとしたら? というのが話の骨子でした。そして誕生日SSなのに横山奈緒が半分以上喋る謎。Pと夫婦漫才出来ますねこりゃ。

 それでは、最上静香の笑顔が今後益々輝くことを願って!

引用元: ミリP「静香の時間を、俺にください」