415: 2013/03/28(木) 12:36:30.05 ID:rSBtnlOV0

420: 2013/03/28(木) 13:02:59.30 ID:rSBtnlOV0
裁判前日

バタバタバタバタ!

 ドタバタバタバタ

ハニー「ここに来てからずっと、お掃除しているけれど。おわりが見えそうにないわね」

ハーマイオニー「ね?私達も中々大変だったのよ。あなたほどではないけど……このお屋敷は広いし、それに」

ジニー「そこら中が物で溢れているし、変な道具もいっぱいあるし」

フレッド「こりゃ大掃除と言うよりさ、相棒。この屋敷におれたちが戦争をしかけてるようなもんだよなぁ」

ジョージ「そりゃ大事にすぎるけどな、相棒。クリーチャーにけしかけれて抵抗されまくってるのはいるが」

ハニー「お掃除のし甲斐があるわ、そうでしょう?」

ジニー「おねぇさま家庭的ステキ!」

ハニー「そうね、私は高貴で可憐で……ロン!?」

ロン「うわっ!?なんだよこの銀細工、脚がたくさ、蜘蛛みたいで気持ち悪いマーリンの髭!!髭!!!ひげぇえええ!!」

ハーマイオニー「動かないで! っ!!」

ロン「うわぁ!? あー、ありがとうハーマイオニー。君にかかれば分厚い本も武器になるんだね、よーーーく覚えておくよ、ほんと。ハニーの美しさは忘れようがないけど」

ハニー「当然ね。その本は?」

ハーマイオニー「そこに置いてあったの。えーっと……『生粋の貴族――魔法界家系図』ですって。こんな本がなんとなしにおいてあるって……」

シリウス「この家のバカさ加減がよく分かるだろう?さっ、その気持ち悪い毛抜きも何の役にもたたない本もよこしなさい。こっちのいらないもの袋にいれてしまおう」

ジニー「捨てるものの袋も大きくなったわね。おねぇさまが来たからみんな気合が入ってもうおねぇさまってステキ」

ハニー「知っているわ。さながら、そうね。私はあらゆる善行の先導者と言ったところかしら」

ロン「あぁハニー!君がいればアズカバンの極悪人でさえ道端のゴミを拾って崇めるよ!ヒンヒン!」

シリウス「ハッハ、まったくだな」

ハーマイオニー「あなた無実だったでしょう……?」


422: 2013/03/28(木) 13:20:22.35 ID:rSBtnlOV0
ハニー「シリウス、手は大丈夫なの?さっき嗅ぎタバコいれに噛まれて、カサブタだらけになったでしょう?休んでいたほうが……」

シリウス「心配いらない、ただの『瘡蓋粉』の効果だ。呪文でこの通り。フレッド?あの嗅ぎタバコ入れは、布で包んで捨ててくれたろうね?」

フレッド「合点さ、シリウス」
ゴソゴソゴソゴソ
ジョージ「もちのロニーでな」

シリウス「あぁ、確かにポケットは布の中といえるだろうな。気をつけて扱うんだぞ、え?」

フレッジョ「「シリウスおじさん大好き!」」

シリウス「色んな意味でやめろ」

ハニー「……」

ロン「あぁハニー、言ってもいいと思うよ?私もtt痛い!あぁハニー!君からの折檻で受けたカサブタなんて豚にとっては勲章もんだよヒンヒン!」

ハーマイオニー「はたくだけでそこまでならないでしょ……あら?噂をすれば、勲章だわ……ま、マーリン勲章勲一等!?」

シリウス「あぁ、それか。つまらないものだよ、捨ててしまうといい。ほら」

ジニー「つまらないって、ダンブルドアの持っているのと同じものなのに……おねぇさまなら五百個くらい送られててもおかしくないけど」

ハニー「そうね、むしろ私そのものがマーリンみたいなものね。そうでしょう?」

ロン「伝説的だしねマーリンのハニー!」

ハーマイオニー「わけのわからないことを言わないの!本当に、いいのかしら……」

シリウス「なぁに、じいさんが魔法省にたらふく金をくれてやった、それだけのことでもらったものだ。何の価値もない。間違ってもダンブルドアの功績や、ハニーと同等のものなどではないよ」

ハーマイオニー「魔法界の嫌な部分をまた知ってしまったわ」

ロン「結局世の中お金、とハニーかぁ……」

ハニー「あら、あなたには私の豚っていう称号があれば十分だと思うのだけれど」

ロン「そうだねハニー!ヒンヒン!なんだこんな勲章マーリンの髭!マーリン勲章だけど!」

クリーチャー「……大旦那様の勲章までもなんたる侮辱何たる蛮行、このクリーチャーがこのクズどもから宝をお隠しせねばなんというこの盗賊ども塵以下のゴミ氏ねばいいのにカサブタ粉が目にはいって氏ねばいいのに……」

シリウス「そうだな、その程度で氏ぬとは思えないがお前で試してみるか?え? 失せろ!!!」

ハーマイオニー「シリウス!言い過ぎで、あー……ハニーが聞いてるわよ!!」

シリウス「ご退席してもらおうか!!!」

ロン「扱いやすいなぁ」

423: 2013/03/28(木) 13:40:02.87 ID:rSBtnlOV0
クリーチャー「……ご主人様。クリーチャーめはご主人様たちのお力になろうと馳せ参じたまでにございます!」

シリウス「あぁ、お前がいないことが何より私達の力になる、それくらい分からないのか?え?」

ロン「ハニーと真逆だよな」

シリウス「全くだ」

ロン「痛い!ありがとう!ヒンヒン!」

シリウス「ともかくさっさとこの部屋から出ろ。それで……そいつをどこに持って行く気だ!」

クリーチャー「さて何のことやらクリーチャーめには分かりかねますご主人様ほど頭がよろしくありませんゆえあぁそのでっかちな頭で奥方が想像もしないような蛮行を働き通しだったこのクズめにこれを渡すわけにいくものかこれはブラック家の由緒ある……あぁ!!」

シリウス「ブラック家の家紋、父の指輪か。いいか、クリーチャー。こんなものを後生大事に取っていたとしても、ブラック家の再興はありえない。とっとと捨ててしまえ。よ、っと」

フレッド「ナイッシュー、シリウス!」

ジョージ「グリフィンドール先取点!」

クリーチャー「酷いあんまりだこのクズ出来損ない純血とは名ばかりの欠陥品めお前なんて、お前なんて闇夜に煌く一等星(笑)のくせに」

シリウス「それはあいつだって同じことだろうがうるさい!」

クリーチャー「片やしし座!方やおおいぬ(笑)座の一等星では格がちがうようにお思いいたしますねクリーチャーめは」

シリウス「いい加減にしろ!洋服をくれてやるぞ!?」

クリーチャー「やれるもんならやってみろクリーチャーは知ってるぞお前はそれをするわけにはいかないクリーチャーはお前達がここで何を企んでいるか知っているのだから。穢れた血と、血を裏切る者のクズどもと……」

シリウス「ハニー、目を瞑っていてくれるかい?」

ハニー「!?こ、ここで、そんな、きゅ、急に、あの……んっ、はい!つ、つぶったわ!!」

ロン「あぁハニー!手を胸元でぎゅっと握り締めて震える君はとてももうこの世のものとは思えないくらい素晴らしいけどね!!とりあえずあとでシリウスはリーマスにぶっとばしてもらうから安心しなよマー髭!」

ハーマイオニー「ハニーに対する間違った配慮は認めてあげるけど!腰布を掴んで放り出すのはやりすぎよシリウス!!!!」

フレッド「ナイッシューシリウス!」

ジョージ「グリフィンに追加点だ!」

425: 2013/03/28(木) 13:59:10.81 ID:rSBtnlOV0
シリウス「あいつは本当に……おっとハニー、もう開けてもいいよ」

ハニー「? な、何もしていないのに……あら?クリーチャーは……あぁ、そういう、そう……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「ニヤニヤするならクリーチャーと同じように出て行ってもらってもいいのよ!?」

ロン「あぁハニー、そうなると一番堪えるのは君だろうけどねなんでもないよヒンヒン!えっと、シリウス。邪魔者もいなくなったし、このキャビネットをさっさと終わらせっちまおうよ」

シリウス「そうだな、あとはここの写真の数々だけだ。やぁエラドーラ伯母、もう二度と会うこともないだろうがね」

ポイッ ガシャン! ギャーーーーァァァァァ!!

ジニー「写真が断末魔をあげてるわ……おねぇさまの豚になっていればこんな目にもあわなかったのに」

ハーマイオニー「時代を越えさせようとしないで。えーっと、シリウス。ここの食器も?」

シリウス「あぁ、捨てて良い。モリーはキッチンにある分で十分と言っていた」

フレッド「気分良いよな、いくらでも食器を割り放題っていうのはさぁ」

ジョージ「普段は一枚でも割れば荒れ放題の庭の掃除の刑だってのにな」

トンクス「食器を割るって?任せてよ」

ハーマイオニー「俄然やる気を見せないでよ、適任のように思うけど。こんにちわ、トンクス」

トンクス「よっ!報告もひと段落したからこっちを手伝おうってさ。ハニー、元気?」

ハニー「えぇ、私だもの。トンクスは?」

トンクス「そりゃわたしだからね、元気一杯だよ。あー、でもちょびーっと凹んでるかなー。ほら、報告に居合わせたのがさぁ、あの堅物の……」

「えぇ、そうでしょうとも。あなたが苦手な先生だったのですからね、ニンファドーラ・トンクス?」

トンクス「うひゃぁ!?!?う、うっわ、あ、あっはは!先生、冗談、冗談よ、ほんっと!」

ハニー「! マクゴナガル先生!」

フレッド「にゃんこー」

ジョージ「にゃんこー」

マクゴナガル「こんにちわ、ポッター。ウィーズリーズ、お望みならば赤毛の双子ネコに変えてさしあげましょうか?」

フレッジョ「「冗談きついぜ、先生」」

437: 2013/03/28(木) 14:21:31.33 ID:rSBtnlOV0
マクゴナガル「あなたが無事着いたと聞いて、ホッとしましたよ。えぇ、マッド-アイに任せれば確実だとも思ってはいましたが」

トンクス「せ、先生?今回はさ、わたしがすっごく頑張ったんだよ?ほんとだよ?ねぇ、ハニー?」

ハニー「えぇ、そうね。トンクスが引っ張ってくれたおかげで、ここまで来られたと思うわ」

マクゴナガル「それは結構。ですが、トンクス。団の最年少とは言えなんですその軽薄な態度は。いいですか?あなたはもう大人なんですから、もう少し落ち着いた言動をなさい。シリウス、あなたもです」

トンクス「うへぇ……はいはい、はーい、わっかりました……あー、承知つかまつりました」

シリウス「まっこと心の真に迫るお言葉をお聞かせいただき恐悦至極にございまする」

ロン「ぶれないなぁ、マクゴナガルは」

ハーマイオニー「先生だもの、当然よ。えぇ、これが大人よ、マグルの服装も完璧だし、さすが先生だわ」

ハニー「あら、ならあなたも大人になってみ――」

マクゴナガル「それで、ポッター」

ハニー「!? は、はい、先生」

ロン「……ぶれないなぁ、マクゴナガル。マーリンの髭」

ジニー「いいとこだったのに……ヒンヒン」

ハーマイオニー「……ハッ!そ、それが正しいのよ!後、ハニー!後で、よ!」

マクゴナガル「随分と掃除を頑張っているようですね。前回ここに来た時から、見違えたと言ってもいいでしょう」

ハニー「そうだと、いいのですけれど。リーマスが来てくれた時に、廊下の『通った人にボルトを吐きだす古時計』は直すことが出来たし、キッチンを暗くしてたあの紫色のカーテンも外せたわ」

ロン「あのカーテンのやつ、あやうく僕を締め頃すところだったなぁ、あぁ、ハニーのあの時の顔で僕軽く気を失いそうだったよ」

ハーマイオニー「首絞められていたからでしょ。マンダンガスが助けてくれて、なんとかなったのよね」

ジニー「ママが珍しく褒めてたわ、ハニーの次に」

マクゴナガル「それは良かった。ポッター、あなたがいるおかげでみな精力的に働く気になったようですね?」

ハニー「えぇ、そうみたい。先生、何せ私って……」

マクゴナガル「ですが、あなたは。あなた自身の問題も忘れないように」

ハニー「……」

マクゴナガル「明日の裁判、検討を祈っていますよ。それでは」

バタンッ

ハニー「……」

ロン「……あー、シリウス。休憩にしようよ。もちの僕で」

ジニー「ママに頼んでお茶を淹れてもらうから、もちの末兄で」

シリウス「あぁ、私が行ってこよう。さぁハニー、そっちに座っていなさい。ロンの上に、うん」

フレッド「ほーんと、ぶれねぇよなぁマクゴナガル先生はさ」

ジョージ「せっかく忙しさで忘れさせようとしてたってのに」

トンクス「真面目堅物だからね……い、いないよね!?もういないよね!?」

ハーマイオニー「あ、あぁ言う人も必要よ、あの……ハニー?大丈夫、絶対大丈夫よ。だか……きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうね。絶対、平気だとは思うのだけれど……自信をつけさせて、もらえるかしら……?」

ハーマイオニー「あっ、あぁ、そんな、ハニー。ダメよ、まだお昼なのに、そんな、あぁ、あなたの自信なんて、私がそうしなくたって、グリンゴッツの金貨みたいに山のようじゃない……あなたの、綺麗なところと、同じくらい……」

ロン「つづけて」

ジニー「どうぞ」

トンクス「な、なにしてんの!?!?なにしてんのちょ、っちょ、ちょっとあの、わ、わたしお茶手伝ってくるかうわぁ!?」

ドンガラガッシャーーーーン!!

440: 2013/03/28(木) 14:41:45.35 ID:rSBtnlOV0
シリウス「さぁ、お茶だよ。うん?ハーマイオニー、どうしたね。あれから君一人で片付けでもしたのかい?息があがっているが」

ハーマイオニー「フーッ、フーッ、そ、そう、あの、えっと。心の整理といった、ところ、かしら」

ハニー「えぇ、そうね。おかげさまでスッキリだわ」

ロン「僕らの方こそ」

ジニー「ほんとほんと。あっ、ヒンとヒンと」

ハーマイオニー「黙ってて」

モリー「仲が良いことは良いことだわ。さっ、昼食も一緒にしてしまいますからね。あっ、トンクスは座ってて。なんだか顔も赤いもの」

トンクス「あー、そ、そう?分かった……さっきのは見間違いかなんかだと思おう、うん」

フレッド「綺麗に片付いた部屋でおふくろ特製サンドウィッチをたらふくほうばる、これ以上の贅沢があるかね相棒」

ジョージ「いいや、思い当たらないね。ふくろに入ったなんだかゴソゴソ言ってるのがなければもっと最高だけどさ」

シリウス「写真は引き裂いてから捨てるべきたったな。いや、ハニーがいるところでは見せられないか」

ロン「屠殺場みたいなもんだもんな。あぁハニー!君の美貌は僕らを軽々と悩頃するけどね!もちの僕で」

ハニー「病院がいくつあっても足りないわね、えぇ……」

モリー「ハニー、ミネルバが言ってしまったようだからお話してしまいましょう。明日は、アーサーがあなたに付き添うわ」

トンクス「アーサーが出勤するのに着いて行くんだよ。わたしでも良かったんだけどさ、何故だかみんなに反対されたのよ」

シリウス「この屋敷から出て真逆の方向に歩き出しかねない君に、ハニーを任せられるわけがないだろう……」

ハニー「……そう。ウィーズリーお父様に、ね……あの」

モリー「シリウスが着いて行くのは反対だ、と。ダンブルドアはお考えだわ。それに、私も――」

シリウス「あぁ、『ダンブルドアが正しい』と思いますよ。当然、全く、至極真っ当に。何一つ反論なんてないさ、あぁ」

モリー「そう、随分聞き分けがよろしくなってたすかりますこと!」

ハニー「……ダンブルドアは、いつそれを?手紙でも届いたのかしら。あの腹黒、私には一通も……」

モリー「あぁ、いいえ、ハニー。あの方はね」

シリウス「ダンブルドアは昨日の晩、君達が寝室に上がってからやってきたんだ。ここにね」

ハニー「…………そう」

ロン「定例会議もんだよ、もちの僕で」

ハーマイオニー「……ハニー?お紅茶、冷めてしまうわ」

ハニー「……そうね。どうでもいいわ。あんな、豚なんて。どうだって、いいんだから。もう」

441: 2013/03/28(木) 14:49:51.08 ID:rSBtnlOV0


ハニー「……」

ハニー「……(裁判の前日、ここに来ていたのに。あの人は私に、会おうともしなかった)」

ハニー「(それは、あの人は私の親でもおじいちゃんでもないけれど。少し、くらい)」

ハニー「(知恵を授けるでも、声をかけるでも。してくれたっていいじゃない)」

ハニー「(私の、わたしの豚なのでしょう? ヒンヒンって、言ってくれたじゃないの)」

ハニー「(相談、したかったのに。傷のこと。痛みのこと……それに)

ハニー「(あの夢……長い廊下、大きな扉。何度も何度もみている、あの夢)」

ハニー「(ダンブルドアは、何を考えているの?)」

ハニー「……」

ハニー「(あぁ、嫌だわ……嫌よ。私、ヴォルデモート以外にこんなこと、思いたくもないのに)」

ハニー「(今はダンブルドアが、なんだか。憎くて憎くて、仕方ないわ)」




ハーマイオニー「あっ、ちょ、ハニー、そんな強――」

バタンッ

ロン「残念だけど豚は寝る時間だ!もちのロンでお邪魔にならない廊下でね!ヒンヒン!」

444: 2013/03/28(木) 15:05:52.34 ID:rSBtnlOV0
早朝

ハニー「……」

ハニー「まだ、五時半ね」

ハーマイオニー「スーッ、スーッ」

ハニー「……ありがとう、落ち着かせてくれて。あなたは落ち着くどころではなかったでしょうけれど」

ハーマイオニー「スーッ、スーッ……んっ……スーッ……」

ハニー「行ってきます……次会うときも、あなたとホグワーツ生同士でいたいわ。わたしの大事な、お友達だもの」

ガチャッ

ロン「マーリンの髭が一万と7069本、マーリンの髭が……うーん」

ハニー「……あなたも。気の利く豚は好きよ? 行ってくるわね」

ロン「うーん、マーリンの髭が一万と7070本……」

ハニー「……ヒンヒン本といいたいの?結構、無理やりよ。ふふっ。安心しなさい、わたしはどこまでいってもあなたの飼い主だし……お友達なんだから」

ハニー「さぁ……朝食を、とりにいかなきゃ」


トン、トン、トントン……


ロン「……」

ガチャッ

ハーマイオニー「……ハニーは、行った……?」

ロン「あぁ。心をマーリンの髭にして、無言で送り出したけどさ。これは堪えるよな。でも大丈夫、僕のハニーだぜ?もちのロンで」

445: 2013/03/28(木) 15:26:52.33 ID:rSBtnlOV0
キッチン

ハニー「……みんな、起きていたの?」

トンクス「ふぁ、ぁーあ。おはよっ、ハニー。うーん、今まで起きてたってのがただしい、けどさ……座りなよ。こっち……あー、隣の椅子まで転げさせちゃったのは、気にしないれ……」

モリー「少しは気にして頂戴。さっ、ハニー。何を食べたいかしら?しっかり食べて、元気をつけなきゃ。オートミール?マフィン?ニシンの燻製?トースト?高級懐石?モリーのきまぐれパスタは今日は旬の食材をふんだんに――」

ハニー「あー、それじゃ。トーストをいただくわ……」

リーマス「もっと食べないともたないかもしれないよ、ハニー。それで、トンクス?何か言いかけていたね?」

トンクス「ん、スクリムジョールには気をつけないと、って……あいつ、私やキングズリーに変なこと聞いて来るんだ。何か勘ぐってる……ふあ~ぁ」

モリー「はい、ハニー!トーストをどうぞ。たんとお食べなさい」

ハニー「いただくわ。ありがとう……」

シリウス「……美味しくないかい?うん?」

ハニー「……絨毯を噛んでいるみたい」

モリー「ちょっと待っていて頂戴ね、ハニー。あのパン屋、小麦粉をネズミにして潰してあげましょうか……」

ハニー「ちがうの、ちがうのよおかあさま。あのね、味が分からなくって……」

アーサー「緊張することはないよ、ハニー」

ハニー「私が、緊張?朝から冗談が過ぎるわ、おとうさま」

アーサー「あぁ、寝ぼけていてね。なに、すぐ終わるよ。それに尋問と言っても、私の事務所と同じ階にあるアメリア・ボーンズの事務所で行われるものだ。なにも仰々しいものじゃぁない」

トンクス「アメリアは良い人だよ、ハニー。公平な人だから、ちゃんと、ふぁ~。事実だけ言えば」

リーマス「あぁ、法律は君に有利だ。全て事実なのだから、君の味方をするに決まっている。未成年の魔法使いでも、命を脅かされる状況では魔法を使って良い。これは当たり前のことだ」

アーサー「さて、ハニー。あまり腹に入らないようなら、もう行こうか。なるべく早く到着していた方が心象が良くなる。モリー、皆を頼んだよ」

トンクス「がんばれ、ハニー!わたし、ふあ、夢のなかで、おうえん、sて……ハッ!お、応援してるから!」

ハニー「徹夜だったのでしょう?寝て頂戴。ありがとう、トンクス」

リーマス「絶対にうまくいく、心配いらないよ」

シリウス「アメリアによろしく。いざとなったら、犬は平気か聞いてみるといい」

ハニー「……ふふっ。ありがとう……行ってきます」

シリウス「あぁ……さて、リーマス。私はしごく穏やかにハニーを送り出したわけだが、そろそろこの首に巻かれた屈辱的なものを外してもらおうかこいつめ」

リーマス「ダンブルドアの言いつけでハニーが帰るまで外すなということだからね、聞けないね。聞く気もないけど」

ハニー「……あの豚は、もう」

448: 2013/03/28(木) 15:47:06.58 ID:rSBtnlOV0
数十分後

魔法省入り口前

アーサー「いやぁ、マグルの交通施設は楽しかった!!まるで、そう!サーカスを見ている気分だったよ!あれなら毎日でも乗りたいものだね!」

ハニー「……私の罪状から省みて魔法無しで移動した方が良い、とは言っていたけれど。おとうさま、ただ自分が乗りたかっただけじゃ……」

アーサー「とんでもない!とんでも!決して!自動の切符売り場とか!自動の改札とか!どんな気電をつかったものかなんて!決して!!!」

ハニー「電気、だわ」

アーサー「だが以外だったのが……人型ロボットではなく箱形だった、というのが……いや、あれもあれで素晴らしい思いつきだがね?」

ハニー「実用性というものがあるの、何事も。えーっと、それでこれは?どう見ても、ただの……電話ボックスにしか見えないのだけれど……それもこんな裏路地の、人っ子一人いない古ぼけた」

アーサー「あぁ、移動キーの時も言っただろう?マグルの目を引いたり、興味をもたれてはいけないのさ。私も外来者用入り口を使うのは初めてだがね……さっ、入りなさい」

ハニー「……本当に、ただの電話ボックスだわ。みかけは」

アーサー「みかけはね。さて、ダイヤルを……6、2、4、4、2、っと」

ハニー「どういう文字列なの?」

アーサー「ロニーを獅子寮に、だよ。あの頃ロンは自分がグリフィンに入れるか不安がっていてね、願掛けのつもりで……」

ハニー「……あなたって」

アーサー「あぁ、ここの設計は私が……おっと、きたきた」

『魔法省へようこそ! お名前とご用件をどうぞ!』

アーサー「マグル製品不正使用取り締まり局のアーサー・ウィーズリーです。尋問を受けるハニー・ポッターに付き添ってきました」

『あらアーサー、元気?こないだは……ハニー・ポッター!?あのハニーのことを言ってるんじゃ――』

アーサー「とりあえず今は業務にしようか」

ハニー「……しっかりしてよ魔法省。まぁ、私の名前を聞いて戸惑うのは当たり前だけれど」

アーサー「あぁ、とくに今はそうだろうね、うん」

449: 2013/03/28(木) 16:01:06.78 ID:rSBtnlOV0
ゴウンゴウンゴウンゴウン

ハニー「すごい……電話ボックスごと、エレベーターのように地下へ潜っていくわ……!」

アーサー「なるほど、エレベーターというのはこんな感じなのかね。いつか空に向かって上がるというそれに乗ってみたいものだ……」

ハニー「流石にそんな技術はまだまだ先でしょうけれど……それで、これが外来者の証明なのね。また、バッジだわ。バッジ好きね魔法界」

アーサー「しっかり見える位置につけておくんだよ? さぁ……エントランスだ」

ハニー「……わぁ」

アーサー「あぁ、そうだね。私も入省したときは、驚いて口をあんぐりあけたものだよ……中々立派だろう?」

ハニー「ホグワーツの大広間、それよりももっと広いホールね……地下、なのに天井が真っ青で、ステキだわ!でも、あの文字がちらついているのが少し気になるかしら」

アーサー「あれはその日の業務や差し迫った日程なんかを流していてね。掲示板のようなもの、と思えば良い。ほら、あちらの壁を見てごらん。暖炉がいくつも並んでいるだろう?左側は入省用、右側は出省用だ。おやおや、夜勤の明けの連中が氏にそうな顔で並んでいるね。亡者のようだ」

ハニー「亡者……?」

アーサー「よく言う冗談だよ、気にしなくていい。さぁ、着いた。行こう。杖の登録を済ませないとならないからね」

ハニー「えぇ……噴水まであるのね。室内なのに」

アーサー「あぁ、女子職員の『癒しをよこせ!!!』というなんとも癒されない剣幕での要望でね。中にある像は、あまり癒されるともいえないが」

ハニー「……黄金でできた魔法使いと魔女、それに二人をみあげるケンタウルスと小鬼、屋敷しもべ妖精の……そうね、なんだか嫌味だわ」

アーサー「『魔法族の和の泉』という名もまた、ね。でもここに入れられたお金は聖マンゴ疾患傷害病院に全額寄付されているから、その点では魔法族に有益をもたらしているよ、うん」

ハニー「……無罪だったら、ありったけの金貨を放り込むわ」

アーサー「いい心がけだよ。私も、そうだな。そう……い、1ガリオン、だけ、うん」

ハニー「心だけで十分だわ、ありがとう」

452: 2013/03/28(木) 16:16:55.63 ID:rSBtnlOV0
守衛室

守衛「……不氏鳥の尾の羽、二十八センチ。試用期間四年、違いないか?」

ハニー「えぇ」

守衛「杖は返します。それと」

ハニー「なぁに?」

守衛「……握手を」

アーサー「おっと、今は急いでいるのでね。仕事が終わったら私に会いに来てくれるかい?それじゃ」

ハニー「えっ、あぁ、そうね。またね、守衛さん」

守衛「……」ブンブンブンブン

ハニー「……すごく手を振っているわ」

アーサー「あー、彼は寡黙だからわからなかったが、そうか。うん、君をここに入れさせたことはある意味ファッジにとって失敗かもしれないね、うん。預言者新聞にも『ポッターの記事は書いても写真は載せるな!』と言っていたのに」

ハニー「当然ね、私を目にすれば虜にならざるを得ないのですもの」

アーサー「彼はまぁ、元々公正な青年だからね、うん。ファッジ心酔の重症者にはきかないから覚えておくんだよ?例えばあの三男とか……さぁ、エレベーターに乗ろうか」

ハニー「呼ぶのじゃない、魔法界でもエレベーターって」

アーサー「さっきはマグル文化に興奮していたよ、うん。おっと、やぁボブ。まだ定員までは空きがあるよ、どうぞ。なにが入っているんだい?」

ボブ「よう、アーサー!HAHAHA!さーてね、だがそりゃおっかないもんだろうよ。うちのカミさんの手料理に比べればやさしいけどな!HAHAHA!」

ハニー「……ここ英国よね」

ボブ「おっとあんたは……ふぅん、ハニー・ポッター。なーるほどねぇ。それで、アーサー?こいつ、ただの鶏かと思ったら火を噴いて……おいおい、ハニー・ポッターだってぇ!?HAHAHAHAHA!冗談きついぜ!!!」

アーサー「ボブ、気持ちは分かるが浮かれすぎないでくれ。魔法省のイメージが、ほら。遅いがね」

455: 2013/03/28(木) 16:40:29.69 ID:rSBtnlOV0
『四階、魔法生物規制管理部です』

ボブ「それで、カミさんがマクドナルド片手にこう言ったんだ。俺の甲斐性なんてこのポテト……おっと、こうしちゃいられねぇ!アーサー、じゃあな!」

アーサー「オチはあとで送っておくれよ!?  あー、すまないねハニー。彼はどうにも小粋なやつで」

ハニー「今更なにが出てきても驚かないわ。この私が驚くこと自体ありえないけれど。送る、と言うのは?ふくろうを?」

アーサー「昔はそうしていたよ。だけど掃除が大変だし、書類が飛んでしまうから不評でね。あれを見てごらん。紙飛行機がいくつもエレベーターに乗っているだろう?あぁやって、局ごとに連絡メモを送ることができるんだ」

ハニー「ふぅん……便利だわ。私も豚に連絡を送るときはそうしようかしら」

アーサー「少し複雑な工程が入るから、難しいかもしれないよ。あー、そうだな。ダンブルドアに相談してみるといい」

ハニー「……できそうにないわ」

アーサー「うん?何か……おっと、着いたよハニー。二階、ここに私の働く部署があるんだ」

ハニー「……えーっと、ここってまだ地下のはずよね?何故だか、窓から日の光が見えるのだけれど」

アーサー「あぁ、『魔法ビル管理部』が設定するんだよ。この間は二ヶ月もハリケーンが続いた。『賃金を上げろ!!』というストライキでね。あれは参った。同僚達にまで迷惑をかけてどうするんだ、まったく……おっと、ハニー。すこし寄り道するよ。時間はまだあるからね」

ハニー「? ここって……『闇払い本部』」

キングズリー「おや。おはよう、ウィーズリー」

ハニー「あら、キング……えっ?」

アーサー「シッ、ハニー……やぁ、シャックルボルト。なんだか私に報告があるとかで立ち寄ったのだが、なるべく手短に頼めるかね。時間がおしている」

キングズリー「そう手間はとらせない。この資料の確認を頼むよ……君にもっていてもらおうか。さぁ」

ハニー「羊皮紙の束……?中に雑誌が挟まってるわ」

キングズリー「……雑誌の方は帰ったら彼と一緒に観るといい。面白がるだろう」

ハニー「!」

キングズリー「さぁ、アーサー。今渡したのは『空とぶマグルの乗り物』についての過去の事例だがね。なにとぞ、スペシャリストの君に話を聞きたいのだが」

アーサー「あぁ、そんなに褒めてもらわなくても身に染みているよ。そして私の見解だが、彼が古い空飛ぶオートバイ使用しているとは思えないね」

キングズリー「意見は報告書にまとめてくれ。その前に前回の『足榴弾』についての報告書も、直しがまだあがっていないようだが」

アーサー「正しくは『手榴弾』だよ、シャックルボルト。危険の伴う物には正しい知識がないと君の仕事はやっていられないのではないか?え?」

ハニー「……なんだかんだでやり手ね、二人って」

ヒソヒソ

「あの二人、馬が合わないよな……」

「同じハゲなのにな……」


キングズリー「そこ、減俸」

アーサー「あとで仕事を回させてもらうよ、そこのお二人」

456: 2013/03/28(木) 16:55:22.15 ID:rSBtnlOV0
アーサー「キングズリーはダンブルドアとの懇意にしていることさえまだ知られていないんだ。だから私とも、たまに報告書のことでひと悶着起こす同僚、の立ち位置を守っているんだよ」

ハニー「流石はプロといったところかしら……それで、あなたの部署はこの向こうなの?」

アーサー「あぁ。おっと、言いたいことはわかるよ、ハニー。悪いね、私の部署はいわゆる窓際族に近いのだ」

ハニー「あー、っと……廊下がいきなり、えっと。古めかしい感じに」

アーサー「優しいね君は。みすぼらしいと言っていいんだよ……さぁ、そのどんづまりのここ。ここが私の働く『マグル製品不正使用取締り局』だ」

ガチャッ

ハニー「……」

アーサー「狭いだろう?うん?」

ハニー「落ち着くわ」

アーサー「???」

ハニー「なんでもない。書類の山、ね……あら、自動車のポスター。ふふっ、しっかり趣味のものもかざっておいでなのね」

アーサー「あぁ、これは仕事に関わるから堂々と貼っていられるよ。それにエジソンの分解図に……」

ハニー「エンジン、だわ。怖すぎるわよそんなもの飾っていたら」

アーサー「おっと失礼、エンジンの分解図、それにプラグの配線の模式図」

ハニー「見るだけでワクワクするのでしょうね?」

アーサー「そしてこの、不思議な赤と緑のフィルムが貼られた眼鏡をかけてみると!なんと絵柄が飛び出すポスター!」

ハニー「……」

アーサー「これなんて、見てごらん!普通に見ていたらただの静止画だけど、自分が見る場所を移すととあら不思議!絵柄が変わるんだ!すごいだろう!?」

ハニー「……」

アーサー「さらに!ここ、ここだ!ここを擦るとリアルなにおいがする花のポスター!ハニー!なんと画期的だとは思わないかい!?いやー、マグルの発想は素晴らしいね、本当」

ハニー「魔法ってなんなのかしら」

461: 2013/03/28(木) 17:14:10.01 ID:rSBtnlOV0
アーサー「適当にかけてくれていいよ。まだ時間はある……パーキンズは来ていないね。彼の椅子を使うといい」

ハニー「えぇ、ありがと……あら、写真ね。みんなが手をふっているわ」

アーサー「あぁ、私の元気の源だよ。家族……あー」

ハニー「あっ。あー、あの……」

アーサー「いや、いや。気にしなくても良い。そうだね、職場は一番近いのに、この写真にはいない大馬鹿者もいるが……いつか分かるはずだ、彼も。うん」

ハニー「えっと、パーキンズというのは同僚の方?」

アーサー「あぁ、この部署は私と彼で回っていてね。年寄りだが、真面目で……おっと、噂をすれば」

パーキンズ「アーサー!よかった、もう来ていましたか!どうすればいいか分からなくて、今しがたふくろう便を送りにいったところだった……それはいい!問題が!!」

アーサー「うん?まさかまた逆流トイレのことかい? あれなら、魔法警察パトロールに一任することになっただろう?あぁ、こちらは――」

パーキンズ「ちがう、ちがうのですアーサー!ハニー・ポッターさんの尋問ですよ――つい、さっき!知らせが!尋問は古い十号法廷で、八時から、と……!」

アーサー「なんだって?だが私はアメリアの部屋と……八時、なんということだ!ハニー、急いで!さぁ立つんだ!もう五分も前にそこに着いていなくてはいけなかった!!」

ハニー「え、えぇ。あの、ありがとう!知らせてくれて!御礼を言ってあげる!!」

パーキンズ「いえ、いえ、私――うわぁ!?リリーだ!?」

ハニー「娘のハニーよ!覚えてね!ヒンヒン鳴いてもいいわ!」

パーキンズ「ヒンヒン!!」

アーサー「瞬殺か分かっていたが! さぁ、ハニー!あの法廷は随分と下だ!急がないと!」

ハニー「どうして、どうしていきなり変更になってしまったの???」

アーサー「さぁ、分からない。いや、もしかして……それはいい!さぁ、エレベーターに!下、下だ!早くここにいてよかったよ、出席しなかったら大惨事になるところだ!」

ゴウンゴウンゴウン

ポーン!

『三階。魔法事故惨事部です』

「やぁアーサー、どうしたい?随分と焦って……」

アーサー「悪いね私はいまとてもとても急いでるんだそれでもまだ君は私を呼び止めた上でこのエレベーターに乗ろうというのかいそうか君はむこう二週間ほどデスマーチを覚悟する用意があるというわけだなえっそんなことはないだったら早く閉めてくれるかマーリンの髭!!!」

ピシャンッ! ゴウンゴウンゴウン

ポーン!

『四階、魔法生物規制――』

アーサー「マーリンの髭!!アーサーの私に力を貸さなくてなにがマーリンだマーリンの髭!!髭!!!!」

ハニー「お、落ち着いてお父様!」

467: 2013/03/28(木) 17:29:41.48 ID:rSBtnlOV0
ポーン!

『エントランスでございます。この空間はアトリウムとも呼ばれ、以降はこちらの名称を使わせていただくことを――』

アーサー「どうでもいい!はやく!はや、まったく!おはようさんボード!」

ボード「おや……アーサー。あなたも下ですか。ここいらでは滅多に――会うことはないと思いましたが」

ハニー「……なんだか消え去りそうな声の魔女だわ」

アーサー「急用でね。この子を連れて行かないといけなくなったんだ」

ボード「ああ、そうですか――なるほど。あなたは……」

ポーン!

『神秘部でございます』

アーサー「ボード、また今度!さぁ、ハニー。こっちだ。十号法廷……あんな、何年も使われていないところなんて!」

ハニー「ここで、尋問が……?上の階の廊下と違って、ずいぶんと……壁も廊下もむき出しで、これじゃまるで……」

アーサー「いや、いや。ここじゃない。もっと下だ。あんなところまではエレベーターも通っていない……さぁ、こっちの階段を!あぁ、私にもっと体力があれば君をおぶってやれるのに!やっぱりシリウスをつれてくればよかった!」

ハニー「そ、そんなの、願ってもないけれど、いいえ、ちょ、早い……やっぱり、ホグワーツの地下牢教室みたいだわ、このあたりって」

アーサー「さぁ、この階だ……十号、十号、と……あった!この扉だ……ハァ、よかった。大遅刻、とまではならなかったようだ……」

ハニー「この……いかつい黒い扉の向こう?ここが、尋問の行われる場所なの?」

アーサー「あぁ、どうやらそうらしい。さぁハニー、心の準備をさせる時間がなくて本当にすまない。いってきなさい」

ハニー「……!? 私、一人で!?」

アーサー「あぁ……あぁ、そのことも言っていなかった。私は、ここまでだ。大丈夫、君なら絶対に。さぁ」

ハニー「……うん」


ギィィィィィィッ

ハニー「……」

シーーーーン

ハニー「ここ、って……すり鉢状の、演劇場のような。あぁ、私……ここに、来た事があるわ」

ハニー「……バーティJrが、アズカバン送りになった、大法廷」

ハニー「……上等、だわ」

バタンッ!

469: 2013/03/28(木) 17:46:23.07 ID:rSBtnlOV0
ハニー「……」

ファッジ「遅刻だ」

ハニー「……ごめんなさいね。でもどうやら、連絡にミスがあったようだわ。私はついさっき――」

ファッジ「ウィゼンガモットのせいではない。君には今朝方ふくろう便が送られている。言い訳は無用、着席しなさい」

ハニー「……この私が座るのに随分と固そうな椅子ですこと」

ハニー「……」

「「「「「……」」」」」」

ハニー「(五十人、くらいかしら。全員、赤紫のローブで胸に銀の刺繍……陪審員、というやつ、よね)」

ハニー「(……最前列にファッジ、あとの二人の魔女は……分からないわ)」

ハニー「(右側の魔女なんて、詰まれた書類で姿が隠れているもの……なんだか、嫌な予感しかしないのは何かしら)」

ハニー「……」

ファッジ「さぁ、被告人がやっと出廷した。始めよう、準備はいいか?」

「はい大臣!!ようございますもちの大臣ですあぁ大臣!!」

ハニー「!? ぱ、パーシー!?」

パーシー「余すところなく発言を記録しますよ!任せてください僕は 魔法省大臣付き上級補佐官! ですから!」

ハニー「……眼鏡が……」

ハニー「……意味が分からないけれど、か、かわいいネコの縁に……!!!」

ファッジ「うむ、ドローレス、君の人選や見立ては確かだね。さて」

ファッジ「懲戒尋問。八月十二日開廷」

パーシー「そうでしょうともはい大臣!」

ファッジ「未成年魔法使いの妥当な制限に関する法令と国際機密保持法の違反事件。被告人」

ファッジ「ハニー・リリー・フローレンス・ポッター、住所、サレー州、リトル・ウィンジング、プリベット通り四番地、違いないか」

ハニー「……えぇ」

ファッジ「よろしい。尋問官、コーネリウス・オズワルド・ファッジ魔法大臣、アメリア・スーザン・ボーンズ魔法法執行部部長、ドローレス・ジェーン・アンブリッジ上級次官、パーシー・イグネイシャス・ウィーズリー――」



ダンブルドア「被告側証人、アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア」

ハニー「!?」

ザワザワザワザワザワザワ
 ダンブルドアだ……! キャー!アルバース!

ファッジ「! お前は……!」

ダンブルドア「やぁ、コーネリウス。わしじゃよっ」

474: 2013/03/28(木) 18:01:18.81 ID:rSBtnlOV0
ザワザワザワザワザワ

ハニー「……はぁ。なんだか、気合が抜けてしまったわ。まったく……」

ファッジ「あー――ダンブルドア?えー、それではあなたは、あー……こちらからの伝言を……あー――無事に受け取れたようですな?」

ダンブルドア「それがのう、コーネリウス。わしのとこにはどうやら魔法省のふくろうがとどかなんだ」

ファッジ「それは、それは――あー」

ダンブルドア「む、君にも心当たりが皆目検討つかない、と。もしや奴の手の者の仕業かもしれんのう。ほれ、こないだヴォルデモート復活したじゃろ?」

ザワザワザワザワザワザワ!!

ファッジ「しずかに!!静かに!!!ダンブルドア、本件と関係の無い話をするのならば――!」

ダンブルドア「大有りなのじゃがのう。ともあれ、わしのとこには君からの連絡は来ておらん。だが、なぁに。心配ごむようじゃ。一昨日の晩あたりからこのあたりをぶらぶらしとったから」

ファッジ「!?!?」

ダンブルドア「というのは冗談で、三時間ほど前からここにおってのう。噴水の縁に腰掛けて、ボーーッと一昨日の晩御飯のことを考えておったのじゃが、水面に天井に移された尋問場所の変更が、それはもう唐突に一瞬だけ映ったのじゃ」

ファッジ「……なんのことやら」

ダンブルドア「さて、なんじゃろうな。座ってよいかね?おや、証人用に椅子がない、これは困った。老人に空気椅子をさせるつもりかね?うん?アルバス、無茶ブリには全力で答えるお茶目心もっとるよ?」

ファッジ「っ!おいウェーザビー!椅子を……!」

ダンブルドア「いや、いや、よいよ、パーシー。面白いめがねじゃの。心配ご無用、お世話様、じゃ」

ポンッ

ハニー「……ふかふかの、肘掛椅子が。あなって――」

ダンブルドア「さてコーネリウス、始めよう」

ファッジ「仕切るな!~~っ、よろしい!!揃ったようなので、尋問を開始する!!!」

483: 2013/03/28(木) 18:42:49.04 ID:rSBtnlOV0
ファッジ「えー、あー――罪状、罪状だ、そうだ。まずはこれを読み上げる!」

ダンブルドア「コーネリウス、落ち着くのじゃ。ヒッヒッ、フーじゃよ?最近のトレンドは深呼吸のようじゃがの」

ファッジ「うるさい!何を産ませる気だ!!」

ダンブルドア「我々の、相互理解じゃ」

ファッジ「うるさい黙れ!! ウォッホン!被告人の罪状は以下の通り!」

ファッジ「被告人は非魔法族――以後マグルと呼ぶ――の面前で守護霊の呪文を行った。これは一八七五年制定の『未成年魔法使いのだと運制限に関する法令C頁、並びに『国際魔法戦士連盟機密保持法』第十三条の重大な違反に当たる」

ファッジ「被告人は以前、マグルの面前で呪文を行使し、その際に同様の警告を受け取った経緯がある。そのため、その行動が違法であることは熟知している、それに違いはないな!」

ハニー「えぇ、でも――」

ファッジ「にも関わらず、被告人は八月二日の夜、守護霊を出現させた。そうだな?」

ハニー「えぇ、そうだわ。でも――」

ファッジ「繰り返し確認するが、十七歳未満の魔法使いが学校の外で魔法を使うことが許されていないと承知してのことだな?」

ハニー「そうよ。でも――」

ファッジ「その上で、マグルだらけの地区においてあんなにも目立つ呪文を行使したのだな?」

ハニー「そうだわ。でもあの時は、そうしないと――」

アメリア「完全な守護霊を?」

ハニー「えっ?えぇ、そうよ。私だもの。だから――」

アメリア「有体守護霊を作り出したのか?その歳で?」

ハニー「……霞以上のもの、という意味よね。もちろん、そうだわ。いつだってパパの形をしているもの」

ザワザワザワ

アメリア「ふむ……眼鏡の。いつだって、ということは以前から守護霊を?」

ハニー「三年生の時から。なぜなら……」

アメリア「驚きだ。この歳で、有体守護霊、ふむ。まさに、あれの子供だ」

ザワザワザワザワ

ファッジ「ウォッホン!この際、それがどのような魔法であるかはどうでもよい!!!」

ダンブルドア「どうでもよい、ということはないと思うがのう、コーネリウス。どういう状況で使われたのかを検証せんといかんじゃろう?」

ハニー「そう、そうよ!吸魂鬼!吸魂鬼が、あそこに現れたの!だから私……」

シーーーーーーーン

ハニー「……今更私に見惚れることはないと思うわ。とにかく、あそこに吸魂鬼が現れた。だから私は、連中を追い払うためにパ、守護霊を出した。それだけよ」

アメリア「……リトル・ウィンジングに、吸魂鬼? 君、それは……それは、わけが分からない。筋がとおっていないよ」

ファッジ「はっは、そうだろう、アメリア?この子は妄言癖がある、そう言っただろう、うん?さてさて、今回の嘘は中々考えたようだ。そうだな、吸魂鬼ならマグルに見えないから証言がなくともそれらしく聞こえる、そう考えたのだろうが、連中は――」

ハニー「嘘じゃないわ!私のいとこが襲われたの!!私は、わたしは必氏に!!」

ファッジ「ではそのいとこが証言するというのかね!?見えもしないものを!?君は杖で脅して口裏を合わせているのではいか?えっ!?たくさんだ、もうたくさん!必氏に練習した嘘を遮って悪いが――」

ダンブルドア「わしからも遮らせてもらおうかのう、コーネリウス。実は、ここに一粒のレモン・キャンデー……まちごうた。証人を呼んであるのじゃ。あすこに吸魂鬼があらわれたことを証拠づける、証人をのう」

ファッジ「……ダンブルドア、あなたのようなおいぼれの戯言を聞いてる暇は本省には」

ダンブルドア「おーぉう、そのおいぼれの知識も古臭くて誰も覚えておらんのかのう。ウィゼンガモット権利憲章に、被告人は自分の事件に関する証人を召喚する権利を有する、そうじゃろ?アメリア、その権利を差し止めるのがきみたち法執行部の方針かね?」

アメリア「……大臣、正当な意見です。証人を呼びましょう」

ファッジ「~~~っ!よろしい!さぁ、どこのどいつだね!?え!?今ならシリウス・ブラックでも歓迎しよう!」

ハニー「ほんと!?」

ダンブルドア「ご期待のところ悪いがのう、あなたは面識ござらんでしょうな。アラベラ・ドーレン・フィッグさんじゃ」

ハニー「……!」

486: 2013/03/28(木) 19:02:33.45 ID:rSBtnlOV0
ザワザワザワザワ

フィッグ「……どえれぇところに引っ張りだされたもんさね」

ハニー「……フィッグさ、えっ?」

ダンブルドア「……」

ハニー「……(目で、話すな、って、言ってるわ。なによ。仕方ないじゃない。打ち合わせもなにも、してくれなかったのはあなたじゃないの……!!!)」

ファッジ「アラベラ・ドーレン・フィッグ?何者だね」

フィッグ「あたしゃ、リトル・ウィンジングの近くに住んどりましてね。この、ハニー・ポッターの家の近くで」

ファッジ「ポッターの周辺に、ポッター以外の魔法使いが住んでいるという記録はない!」

フィッグ「そりゃ、あたしゃスクイブで。だからあたしゃ、あんた様のところに登録なんかされとらんでしょうが?」

ファッジ「スクイブ……?なるほど……あとで調べさせよう。ここの、ウェーザビーに」

ハニー「……さっきウィーズリーって呼んでなかったかしら、普通に」

パーシー「あぁ大臣!愛称なんて光栄ですお任せく大臣!!」

ハニー「……あぁそう」

ファッジ「それで、スクイブというのは吸魂鬼が見えるものなのかね?え?」

フィッグ「バカにすんじゃないよ!見えますともさ!」

ハニー「……」

ファッジ「……結構。話を聴こうか」

フィッグ「あぁ、あたしゃあの日、ウィステリア・ウォークの奥にある角の店まで、キャット・フーズを買いに行ってたんさ。あー、行ってました。ミスター・プレンティスはそこのしか食わないでね。それで、あー……八月二日、夜ころだったかね。騒ぎを聞いたのは」

ファッジ「吸魂鬼が現れた、と??」

フィッグ「そのとおりで。連中は、あー、走って、ここにいる子ともう一人を――」

アメリア「吸魂鬼は走らない。滑るように移動するはず――」

フィッグ「そう言いたかったんでさぁ!なにせあたしゃ、あんたさまみたいに頭がよくないから。それで、滑って二人を追い詰めていて……」

アメリア「どんな姿をしていましたか?」

フィッグ「あん?あー、姿、そうさね。一人は、うん、ここんとこめっきり変わって、うん、べっぴんになった女の子と、あー、育ちすぎたボンレスハムみたいな」

アメリア「違う、違う。吸魂鬼の方です」

ハニー「……大丈夫かしら」

487: 2013/03/28(木) 19:21:39.77 ID:rSBtnlOV0
フィッグ「吸魂鬼、そう、そいつ。そいつが二人を追い詰めていたんでさぁ」

アメリア「それはもう聞きました、結構。吸魂鬼がどんな姿をしていたのか、答えなさい」

フィッグ「あっ、あぁ……えーっと、まず大きくて。そう、黒いマントを着ていた。あれは、そう、さながら氏神を思わせるような姿で、仮に彼らが鎌をてに携えていたら我々は冥界からの迎えがきたと錯覚することだろう――間違ってはいないのだg」

アメリア「……訛りはどうしました?」

フィッグ「そんな感じだったさね!あぁ、真面目に考えさせんじゃないよ、柄じゃない」

ハニー「……もしかして本でみたことしか、ないんじゃ……」

ファッジ「ふんっ。それで終わりかね?え?」

フィッグ「あっ、ありまさぁ。あるんだ、うん。連中を近くに見たとき……あたしゃ、あたしゃなんだか恐ろしくなってねぇ。暑い夜だったってのに、一気に冷え込んじまって……それで、この世から幸せってもんが全て消えOちまったような、そんな気分になっちまったんだ。あ、なったんです」

アメリア「……!」

フィッグ「いやーな思い出しか考えられなくなっちまった……悪い、悪い思い出を」

アメリア「吸魂鬼は、二人に襲い掛かったのですね?」

フィッグ「あぁ、そんで、一人はとっくに倒れてて。もう一人、これがハニーだったんだ。ハニーは何度か、失敗しかけたけんども、しゅごれいを作り出して自分の方の吸魂鬼を追い払った。そんで、あの、例の、おそろしいことをいとこの方にしようとしてる吸魂鬼も。それで、それが、あの夜起こったことさ……暑い暑い、夏の夜のことさね」

ザワザワザワ……ザワ

ファッジ「……まとめ方だけはばっちり練習できていたようですな! それで、それがお前のみたことだな!?」

フィッグ「えぇ、それが起こったことでさぁ」

ファッジ「よろしい!退出しなさい、すぐに!」

フィッグ「……いいんかね?」

ダンブルドア「あぁ、アラベラ。まっこと、あなたはよくやってくれましたぞ」

フィッグ「そうかい、それじゃぁね……」

ハニー「……」

ギィィッ、バタンッ

489: 2013/03/28(木) 19:46:10.63 ID:rSBtnlOV0
ファッジ「……全く、証拠にはなりませんでしたな!!!そうでしょう、諸君!?!?」

ザワザワザワザワ

アメリア「いや、ファッジ。大変有用な証拠を述べてくれたと私は思う」

ファッジ「何を言うのだね、聞いていただろう!?あの不自然極まりない吸魂鬼の見た目の台詞を!」

アメリア「だが、彼女は吸魂鬼が襲うときの特徴を的確に表現していました。あれは、それを受けた事がある者にしか出せない表情だ。吸魂鬼がいなかったのなら、あんな顔はできない。それに、そんな証言をして何の意味がある?」

ファッジ「だが、しかしだ!吸魂鬼が、マグルの街をうろついていてたまたま魔法使いにでくわす!?そんな偶然がありえますかな??」

ダンブルドア「あぁコーネリウス、それが偶然だろうと信じる者はここにはおらんじゃろ」

ファッジ「……どういう意味かね!?我々がもしも吸魂鬼をその地区にうろつかせる、なんて意味の分からない命令をしたとしても!確実に記録が残っている!そういうことになっている!!」

ダンブルドア「そう、その記録は残っておらん。と、なれば。連中が今や、魔法省以外からの命令を受けることがあると思っていいのかもしれんのう」

ザワザワザワザワザワ!

ファッジ「静かに!静かに!! ダンブルドア、そのお言葉は先日うかがった!そしてその時も答えたはずだ!いいかね、吸魂鬼種族は全て!我々が管理下におくアズカバンに留まっている!我々の命令にのみしたがっているのだ!」

ダンブルドア「そうじゃの。そうなれば、コーネリウス。八月二日にリトル・ウィンジングに吸魂鬼が現れたことは既に証明された。ならばどうして、彼奴らはあそこにおったのか」

ザワザワザワザワ

ダンブルドア「我々は自問せねばならんじゃろうて。魔法省の 内の 誰が何のために。吸魂鬼にそのような命令をくだしたのか」

ザワザワザワ  シーーーーン



「エヘン、エヘンッ!」

ハニー「? なぁに、今の……小さい女の子が、自分の方に注意を引こうとだすような、可愛い咳払い……でも、ここにそんな……」

ダンブルドア「……したがって、コーネリウス、わしは――」

「あら、聞こえませんかしら。エヘンッ!エヘンッ!」

ダンブルドア「……」

「「「「「「……」」」」」」」

ハニー「……?やっぱり、可愛い女の子みたいな、甲高い声。飴を転がすような……どこに……?」

ダンブルドア「……ウィゼンガモット大法廷の諸君。わしは諸君らの立場から追われた者じゃが、今このときだけはわしの言葉に従って欲しい。ゆっくり、深呼吸といきましょうぞ」

ファッジ「おい!仕切るんじゃない! み、みなも何故したがっている!?!?」

スーーーーーー、ハーーーーーーーー

ダンブルドア「よろしい。気分の悪くなったものはわしの方へ。よいレモン・キャンデーをあげようぞ。なに、わしにとってはみんなはいつまでも味方じゃよ。そうじゃろ?」

アルバス……

ダンブルドア「……それでは。腹をくくって」



ダンブルドア「なんじゃね、ドローレス?」

ファッジ「お前が仕切るなというのに!!ドローレス・ジェーン・アンブリッジ上級次官に発言を許可する!」

アンブリッジ「感謝いたしますわ、大臣っ♪」

ハニー「!?」

魔法使い「『ウィゼンガモット法廷記その10、書類の山から立ち上がり姿を見せたのは我々が何より恐れるものだった……』

『その鈴の音がなるような声に騙されそちらを見ていた新人の多くが、あまりのことに表情が凍りつき、吐き気を催した。無理もない。同じ人類とは思えないほどだらりと開かれた大きな口、飛び出た丸い大きな目、しまりのない大きな顔、さながら青白いガマガエルのような、そんな人物が現れたのである』

『そんなおぞましい顔はクルクルとした巻き毛に覆われて、黒い小さなリボンをいくつもちりばめている。そうか、あれはお菓子のハエなのだな、と、誰もがおも、お……』ウォェエェエエエエエ!」

魔法使い2「もういい!もうやすめ!!耳を塞いで休むんだ!!」

アンブリッジ「わたくしが姿を見せるといつも沸きますわね!さながら、法廷のアイドルですわっ♪」

ウォェエエエエエエエエ!

505: 2013/03/28(木) 20:11:17.27 ID:rSBtnlOV0
ギャーーー!ギャーーー!

ザワザワザワザワ!

アンブリッジ「落ち着いて、落ち着いてみなさん?私は逃げも隠れもしませんわ、ですから歓声はそのへんで♪」

ウワァアアアアアアアア!!
 ギャアアアアアアアアアア!

ハニー「…………ダメよ私。見た目で判断しない。よしっ……うーん……うわぁ」

ファッジ「しずまれ!!静まらんか!!!」

ダンブルドア「そえで、どろーれふ。何かいいたいことがある、そうなのじゃろ?」

ハニー「……飴舐めてるわこの人」

アンブリッジ「えぇ、ダンブルドア先生♪」

ダンブルドア「おぉう……教師生活を後悔したのは初めてじゃ」

アンブリッジ「わたくし、きっと誤解していますのね!お優しいダンブルドアせんせっ?愚かにもわたくし、ほんの一瞬ですけどまるで……」

ハニー「……あまり直視したくはないけれど。この人、口元はニタニタしているのに……目が全然、笑っていないわ」

アンブリッジ「先生の言い方ですと、魔法省が命令してこの女の子を襲わせた!そうおっしゃってるように聞こえましたわっ♪オッホホホホホホホッ!」

アッハハハハハハ、ハハハ
 笑うしかねぇ、アッハハハハハ……

ダンブルドア「気を確かに。そうじゃの、吸魂鬼が魔法省からの命令のみにつき従うということが確かならば、そして一週間前、二人の吸魂鬼がこの子とそのいとこを襲ったのが確かならば、論理的にはそう言っておることになろう……それとも、なにかね。魔法省で制御できん吸魂鬼がおるとでも――」

ファッジ「魔法省の統制外にある吸魂鬼など、いない!!連中は、連中は我々のみに忠実だ!!!」

ダンブルドア「だといいのじゃが。それでは、コーネリウス。この件に関しては徹底的な調査がなされると期待しますぞ」

ファッジ「~~~っ、魔法省が何を調査するかを決めるのは、あなたの仕事じゃぁないぞ!」

ダンブルドア「無論、君の仕事じゃ。わしはあの素晴らしい学びやであっちをちょこちょこ、こっちをちょこちょこするだけじゃ。わしはただ単に、君達の仕事に全幅の信頼をよせておる、そう言いたかっただけじゃよ。ホントジャヨー」

526: 2013/03/28(木) 22:55:57.12 ID:rSBtnlOV0
ファッジ「~~~っ、吸魂鬼のことは、もういい!今は、この子のやらかしたことの話をしている!」

ダンブルドア「そうじゃ。して、この子が行使した呪文はなんじゃったかの?守護霊の呪文、おぉ!吸魂鬼に有効な、まさにそれではないかね。すなわち法令第七条に記された例外的状況の、まさにそれじゃ」

ファッジ「っ、えぇい、一々講釈いただかなくとも第七条は熟知しているっ!!しかし、しかしだ!その子はこれまで何度も、本件と同じようなことをしでかしている!それを忘れてはいけませんぞ!」

ダンブルドア「さて、なんのことかのう」

ファッジ「その子はこれまでも様々なでっちあげによって魔法の不正使用の罪を逃れてきている!三年前にも同じ警告を……!」

ダンブルドア「そのことならば、それをしでかした確たる証人をここに呼んでもよいぞ?退学に絡んでおらんかったから今までそういうことにしておいたがのう。指パッチンで来てくれるじゃろ、ヒ……なんとかと言って」

ハニー「……」

ファッジ「~~っ、それに、それにだ!この子は、一昨年もおばさんをふくらませて……!」

ダンブルドア「その事に関しては、コーネリウス?ほかならぬあなた自身がでっちあげに協力してくれたはずじゃが?」

ファッジ「そ、それは、しかし、うむ……」

ダンブルドア「『もっと大人の魔法使いでさえ、感情の劇的な爆発に伴う魔法力の暴走を抑えるのは難しい』そう、おだやかな顔で言ってくれたはずじゃがのう。コーネリウス」

ファッジ「うるさい!うるさい!その上、その子は!あなたの学校で、今までいくつもの……」

ダンブルドア「しかし魔法省は、ホグワーツにおける生徒の不品行について罰則する権利はないはずじゃ。城における彼女の態度や素行は、本件とは全く無関係のはずじゃが」

ファッジ「ほーぉ、ほーぉう!?ダンブルドア、あなたが学校で何をやろうと、魔法省なんて関係ない!そうおっしゃりたいのですかな!」

ダンブルドア「生徒の話じゃ耳ついとるのかね君は。魔法省にホグワーツの生徒を退学にする権限など存在しない、これは八月二日にわしが念を押したはずじゃ。よいかの、コーネリウス。現在魔法界における法律において、本件当事者である彼女を罰するものは存在せん」

ファッジ「~~~っ、法律は、変えられる!」

ダンブルドア「そのようじゃな。早速いくつかの事例を書き換えたようで。なんと、まぁ!誇り高いウィゼンガモット大法廷の諸君が、こんな小さな女の子をいじめるために召集されるとは!わしが在籍していたのなら黙っておかんがのう」

「あー、それは……ごにょごにょ」
「新しい、あの、あるば、ごにょごにょ」
「わたしたちもほんとは、あー、ごにょごにょ」
「……ぶっちゃけハニーを観たかっ、ごにょごにょ」

アンブリッジ「エヘンッ!エヘンッ!ファッジ大臣はどんなに小さな事案でも、それが後々に響く大犯罪の芽になるのならばこの法廷を動かすという素晴らしい先見の明をお持ちで――」

ダンブルドア「無駄に終わったわけじゃがの。本法廷において、彼女のこれまでの経歴の逐一一切を罰するような事案は存在せん。以上、わしの証言はおわりじゃ。さーて、判決はどうなるかのう。楽しみじゃ」

ファッジ「~~~っ、この、この、……!!」

アメリア「大臣、もういいでしょう。あとは裁判官達の判断を待とう」

ザワザワザワザワ ヒソヒソヒソヒソ

ハニー「……これで決まってしまうのね。私、ほとんど喋っていないのに……」

ダンブルドア「……」

ハニー「……目も合わさないのね、そう。あの、アンブリッジとか言う人の方がよっぽど、私を見ている気がするわ」

アンブリッジ「……」

ハニー「……狙われたハエになった気分がして、とっても嫌だわ」

534: 2013/03/28(木) 23:18:21.08 ID:rSBtnlOV0
ザワザワザワザワ
 ガヤガヤガヤガヤ

ハニー「……」

ザワザワザワ……シーン

アメリア「……被告人を、無罪放免とすることに賛成の者、挙手を」

バッ サッ、 ササササササッ

ハニー「……怖い、けれど。ちゃんと、観なきゃ……っ!ほとんどが、手を!」

ファッジ「~~~っ!!」

アメリア「結構。それでは、有罪とすることに賛成の者」

ファッジ「魔法界の秩序のために!」バッ!

アンブリッジ「もちろんですわ!!」バッ!

パーシー「はい、はいっ、大臣!そうですとも、大臣!!!」バッ!

サッ ソローッ

ハニー「……五、六人、というところかしら……やった、や、った……!」

ダンブルドア「……うむ?おぉ、評決中かの?うん?すまんのうコーネリウス、わし、残暑につられてちとうたた寝しておったようじゃ。どうなったのか、君の口から教えてくれんか」

ファッジ「結構、結構だ!無罪放免!!!」

ダンブルドア「上々、上々。今がわしの夢うつつの中でなければのう。さて、っと」

ハニー「あっ……ダンブる――」

ダンブルドア「生徒の無罪が決まったところで。わしは忙しいから行かねばならん。ゼノフィリウスんちに面白いカブが生ったそうでの。ホグる子もおるというし、楽しみじゃ。それでは」

ハニー「あっ、ちょ、っと……!」

ギィィィッ、バタンッ!

ザワザワザワザワ
 終わったー ザワザワザワザワ まさかあれがいるとは ザワザワザワザワ

ハニー「……結局一度もこっちを観なかったわね、あの人。なによ、もう……もう行って、いいのかしら」

ザワザワザワザワ

ファッジ「ウェーザビー!記録は録っただろうな!」

パーシー「はい大臣!ばっちりですともええ大臣!」

ファッジ「まったくの無駄だった!全部君が食べておきたまえ!」

パーシー「当然ですともはい大臣!僕はあなたのためならヤギにでもなんでもしゃもしゃもしゃもしゃ」

ハニー「……やっぱりロンのお兄さんなのよね、パーシーも」

538: 2013/03/28(木) 23:32:50.29 ID:rSBtnlOV0
ハニー「……もう私の事を完全にムシしているようだし、帰りましょう……あっちの人は、虫を見る目をしているけれど」

アンブリッジ「……」

ハニー「……」

「おい、声かけろよ……」

「無理だろ、ついさっきまで自分を裁いてた相手だぞ?話してくれるわけねぇよ……」

「で、でも噂だと、ジャンピングスライディング土下座をすれば踏んでくれるとかなんとか」

「何それご褒美……あぁっ!」

ガチャッ、ギィィィッ

アーサー「! ハニー、判決はどうなったね!?え!?ダンブルドアは何も言ってくれなかったんだ!カブがどう、とか!」

ハニー「無罪よ、無罪放免。とう、当然のことだけれど」

アーサー「そうか!よかった、よかった!いや、うん!もちろん、証拠の上ではそうなるに決まっているんだ!それでもやはり――」

ゾロゾロゾロゾロ……
 ガヤガヤガヤガヤ

アーサー「なんと……なんと、この人たちは」

「あー……おはよう、ウィーズリー」

「おはよう、アーサー……あー……うん、すまん……」

「おはよう……わ、わたしは、仕事があるから……」

アーサー「なんてこった、なんてこった!マーリンの髭!大法廷で裁かれたのか!?」

ハニー「……そうみたい。私にふさわしいステージだったわ、ええ」

アーサー「それは、それはまたなんという……あぁ、私も番号に気を取られていてここがどこか忘れていた……」

アメリア「おはよう、アーサー。その子はよくやったよ」

アーサー「あぁ、どうにもそうらしい。ありがとう……あぁ」

パーシー「……」

ファッジ「……」

ハニー「……険悪だわ」

アンブリッジ「……大臣、大臣♪早く行きましょう、お仕事が待っていますもの」

「そうでしょうとも、大臣。どうやらとても愉快ではない時間だったようで。私との会食で、気分を紛らわせてフォしィですな」

ツカッ、ツカッ、ツカッ、ツフォイ

ハニー「……あら、相も変わらずフォイフォイ言っておいでなわけね。ミスター・マルフォイ」

ルシウス「それはもう、守護霊ポッター嬢。それが我が門の誇りですからな」

541: 2013/03/28(木) 23:56:19.91 ID:rSBtnlOV0
ハニー「守護霊……そう、早速お仲間の誰かに聞いたわけね? 先月、あの面白くない仮面をつけた場にいたような仲間に?」

ルシウス「仮面?先月?なんのことでしょうな。先月といえば私はフィンランド、もといフォィランドにいましたが。おぉ、なんといい響フォィランド……」

ハニー「うるさいわ」

アーサー「ルシウス、君が此処になんのようだね」

ルシウス「おやおやウィーズリー。あなたに私とファッジ大臣との個人的なお話に口を挟む権利など、あるわけがないと思いますがな?とくに、これの」

ジャラッジャラジャラフォイ

ルシウス「絡むお話ですからな。あなたの人生分の給料でも、お話にならんでしょう」

ハニー「……汚いお金で、おとうさまが家族のために一生懸命稼ぐお金をバカにしないで頂戴」

パーシー「……」

ルシウス「汚い、そうおっしゃいますかな、ポッター。君こそまたダンブルドアのご機嫌うかがいで、また難を逃れたようだ。さながら君こそ、蛇のようですな?」

ハニー「可愛らしいと言いたいわけ?知ってるわよ」

ルシウス「???」

アーサー「???」

ハニー「私に用じゃないのなら、さっさとどこかに行けばいいじゃない。そうでしょ?」

ルシウス「これはこれは、想像以上の驕り高ぶりかただ。大臣、行きましょうか?ひとまずあなたの部屋でお話を……」

ファッジ「あぁ、そうしよう。ウェーザビー、アンブリッジ、職務室へ行っていたまえ」

アンブリッジ「はい大臣っ♪ さぁさ、行きましょう使える方のウィーズリー。今日の眼鏡はピッタリだったわ」

パーシー「は、はい、アンブ、うっぷ、アンブリッジ次官!仕事は出来る!あんぶり、うっ、アンブリッジ次官!!」

ハニー「……なんだか同情したくなってきたわ」

アーサー「……自分で選んだ道さ、パーシーも。まったく……それにしても、ルシウスか」

ハニー「……ねぇ、まさかとは思うけれど。大臣は、あちら側に操られているんじゃ……」

ファッジ「その可能性がないとは言い切れない。だが、少なくともダンブルドアはまだファッジは自分の考えで彼の邪魔をしてるのだろうと思っているよ……わざわざ操らなくとも、ダンブルドアを目の敵にしているからね」

ハニー「……わざわざ危険をおかすよりも、金貨を渡して自由の身を確保しておく、そういうこと?」

アーサー「ああ、まったく、ルシウスらしい汚い下衆な手だ。しかし自分のコネの使い方をしってる、まったく厄介だよ。ルシウス・マルフォイという奴は……さぁ、行こうか。こんなところにいつまでもいたら、息がつマルフォイ」

ハニー「うつってるわ落ち着いて」

548: 2013/03/29(金) 00:08:35.76 ID:TyXXmwS+0
ポーン!

『アトリウムです』

アーサー「さぁ、早く戻ろう。みんなに君から吉報を伝えてフォしィからね」

ハニー「その前に少し噴水に座って休みましょう?疲れてるのよ、きっと」

アーサー「?なにがだね……あぁ、そうか。噴水といえば、そういえば……そう、そうだった。い、いいい1ガリオンだったね!うん!」

ハニー「……」

アーサー「大丈夫、大丈夫さ。ちょっと向こう半年ほど昼食は買いだめしておいたマグルの魔法の品『増えるワカメ』にたよることになるだろうけどね、君のお祝いだふふふ、ふふふふさよなら私の1ガリオン……」

ハニー「お父様、気持ちだけで十分だってば。そうね、じゃぁ投げ入れる形だけ。はい、これを入れて?」

アーサー「あ、あぁ、いいのかね、君みたいに小さな子から、金貨をもらうことになるなんて……」

ハニー「平気よ、言ったでしょう?私……」

クルッ、ジャラジャラジャラジャラジャラバサーーーッ!

アーサー「」

ハニー「巾着分ぜーんぶ、入れるつもりだったんだもの……あぁ、スッキリしたわ!色々!色々ね!」

アーサー「……ま、マーリンの、髭!!」

ポチャン!

552: 2013/03/29(金) 00:11:42.00 ID:TyXXmwS+0
>>541下から四番目
×ファッジ「~~
○アーサー「~~
マーリンの髭!髭!!!

557: 2013/03/29(金) 00:29:52.99 ID:TyXXmwS+0
グリモールド・プレイス

フレッド「ホーメン!」

ジョージ「ホーメン!」

フレッジョ・ジニー「「「ホッホッホーーーー!」」」

ジニー「さすがおねぇさま!!ヒンヒン!」

ロン「当たり前だろ!僕のハニーだぞ!ヒンヒン!おめでとうハニー!」

ハーマイオニー「分かってたわ!無罪になることくらい!だって何の罪にもならないってどこを調べてもそうなって、いたもの!そうよ!」

ハニー「はいはい、ありがとう。その割にはとっても、感極まって抱きついてくれるくらいホッとしたのね?ハーマイオニー」

ハーマイオニー「ぐすっ、そうで、なくったって!いつだって抱きつくわ、わたし!また今度、城でだって!」

ハニー「えぇ、そうね。そうしてもらえると、私もきっと楽しいわ」

フレッド「ホーメン!」

ジョージ「ホーメン!」

フレッジョ・ジニー「「「ホッホッホーーーー!!」

ジニー「おねぇさまステキ!!ヒンヒン!」

モリー「さぁさ、おまえたち。嬉しいのは分かるけど、ジニーを掴んでクルクル回らないの!えぇ、嬉しいのはとっても分かるけどねっ!」

アーサー「そうだぞ、うん。静かにしなさい、ハニーが詳しく聞かせられないだろう?あの後、法廷の前でルシウス・マルフォイと会って困るフォイだったこととかを」

シリウス「なるほどな、だからさっきから感染していたわけだ。なんだと?ルシウ――」

フレッド「ホーメン!」

ジョージ「ホーメン!」

フレッジョ・ジニー「「「ホッホッホーーーーー!」」」

ジニー「おねぇさま抱いて!!ヒンヒン!!!」

アーサー「こらっ!静かにせんか!あぁ、そうなのだ。またファッジに会っていたようでね。すぐに知らせないと」

シリウス「私が手紙を出してこよう、うん……あぁ、ハニー」

ハニー「シリウス!わたし…………あー」

シリウス「うん、そうだな。私は君の後見人として、とても嬉しい。君は、あぁ。無罪に決まっているし、あの城で学ぶべきものがまだまだたくさんある、そうだ。あの二人だってそれをのぞ、うん。望んでいる、そうだろう?よくやった、ワフン。良かったよ、おめでとう」

ハニー「……あ、ありがとう」

シリウス「それじゃ、私はちょっと、ちょっと行って来るよ……しばらくかかるかもしれない。探さないでくれ」

バタンッ

ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

犬「アォーーーーーーォウ!!!」

ハーマイオニー「……あぁいう遠吠えは、孤独を感じた時に起こすのだそうよ?」

ロン「……まぁ、さ。残りの夏で分からせてやればいいよ、ハニー。そうだろ?」

ハニー「……困った人ね、シリウスおじさんは」

フレッジョ・ジニー「「「ホッホッホーーーー!」」」

モリー「お黙り!!!!」

ロン「あのママの雄たけびはどういう時に?」

ハーマイオニー「いつものこと、そうなんでしょ?」

ロン「よく分かってるじゃないか。マーリンの髭」

561: 2013/03/29(金) 00:56:21.70 ID:TyXXmwS+0
数日後

モリー「さぁ!ハニーの無罪を祝って!今日はこのカビだらけの戸棚を三人には掃除してもらいましょう!」

ロン「ママ、何でもかんでも『ハニーの無罪を祝って』をつければ喜んでたのは昨日くらいだよ。マーリンの髭」

ハーマイオニー「昨日までそれに喜んでた私達も大概だけどね……」

ハニー「任せて、お母様。ピッカピカにして……私が学校に行った後も、シリウスがちゃんとここで暮らせるようにしておくんだから!」

ロン「ハニーは変な方向に燃えちゃったよ。シリウスが絡むといつも明後日どころか未来の彼方までいっちゃうけど」

ハーマイオニー「いつものことよね」

ハニー「うるさいわ。さっ、やってしまいましょ……っつ」

ハーマイオニー「……大丈夫?傷が痛むの?」

ハニー「えぇ……平気、ほんの少しだけよ。さっ、棚の上の方を磨きたいのだけれど……何か台がほしいわね」

ロン「うん?ハニー、何か言ったかい?ロナル台・ウィーズリーこと君の豚に相談してみなよ!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「流れるように四つんばいになったわね、ぶれないわ、ほんと」

ハニー「使える豚は好きよ、ロン。よい、しょ、っと」

ロン「あぁハニー、ゆっくりでいいよ!危ないからね!もっと踏みしめるように!そう!もっとじっくり!ヒンヒン!ありがとう!よし、登ったね。それじゃハーマイオニー、次は君だよ」

ハーマイオニー「えぇ、ちょっと待って。歯をくいしばっておくことね」

ロン「おい、何助走とってんのさ!やめろよ!そのまま僕の背中酷く蹴り登る気かい!?僕はマゾじゃないぞ!!」

ハーマイオニー「それはびっくりだわね、えぇ」

569: 2013/03/29(金) 01:17:53.04 ID:TyXXmwS+0
ロン「シリウスはさ、あんまり掃除の手伝いをしなくなっちまったよな。ハニーは存在してるだけで僕らの生きる手助けになってるけどさ」

ハニー「眩しくてもしっかり見てみればいいわね、えぇ」

ハーマイオニー「何者になるつもりなの。もう、あの人は……バックビークの世話につきっきりね」

ハニー「……きっと、私が学校に行くのに未練が出来ないように、そう思っているのじゃないかしら」

ロン「ったく、ここにきて変に大人ぶられても困るフォイだよな。ハニーは行かせない!とかリーマスと言い合ってたほうがまだ……」

ハニー「そう、なの……!?」

ロン「……どうしよう、ハーマイオニー。僕、こんな期待の眼差しのハニーを裏切る手段知らないよ……そんなの、豚憲章に載ってないよ……マーリンの髭」

ハーマイオニー「……ハニー、ロンのいつもの冗談よ」

ハニー「ロン」

ロン「な、なんだいハニー!僕のハニー!」

ハニー「ちょっと、玄関ホールで『ブラック家なんて、僕んちに比べればマーリンの髭さ!』って、言ってきてほしいのだけれど」




シリウス「だからだな?まだ、新しい『闇の魔術に対する防衛術』の教師は決まっていないんだろう?変装すれば、ほら!私でも十分だろう!?え!?」

リーマス「だから、君の顔は目立ちすぎると言ってるんだ。原型を止めないくらいに変えてもいいならお望みどおりにしてあげるけどね」

トンクス「シリウスも『七変化』だったらよかったのにねー――」

『ギィエエエエエエエエエエエェェェィィこのクソガキぃぃぃいいいいいいいいい!!』

トンクス「うぇえ!?わ、私まだ何もしてないよ!?あっ、今朝また皿割っちゃったけどさぁ!?」

リーマス「!? 今日誰かが来る予定などなかったはずだが……」

シリウス「敵か!?」

バターン!!

シリウス「どこのどいつだ!私の大事なハニーに手を上げるつもりならそこになおれ!ブラック家のブラックなシミにして……君は何をしてるんだ」

ロン「はなせこんにゃろ!クリーチャー!いてっ!お客に手をあげるのが屋敷しもべ妖精のすることかよ!マーリンの髭!」

クリーチャー「うるさいこの血を裏切るガキ!奥方になんてことを!なんてことをこの氏ね!氏ね!脛を蹴られて氏ねぇええええ!!!!」


ハニー「わ、私の、大事な、って……!と、当然だけれどね!だって私シリウス、シリウスは家族で、えぇ……!」

ハーマイオニー「……」

ハニー「ニヤニヤ、しないのっ!!!」

574: 2013/03/29(金) 01:42:14.28 ID:TyXXmwS+0
ロン「ただいま……脛が氏ぬかと思った。スネイプが氏ねばいいのに」

ハーマイオニー「サラッと酷い当てこすりはしてさしあげないの」

ハニー「よくやったわ、ロン。色々と」

ロン「あぁハニーもちの僕さハニー!ヒンヒン! でもママに怒られっちまったよ、さっさと掃除してきなさいって」

ハーマイオニー「それはそうよ、まだまだ途中だもの」

ロン「僕らがここに来てからどれだけの埃を取り除いてきたと思ってるんだい?ハニーの豚である誇りはいつも胸にあるけど。ここ、ここにねっ」

ハニー「えぇ、胸を張りなさい。私の一番の豚さん」

ロン「ヒンヒン!」

ハーマイオニー「私がおかしいのかしら、ロンの胸についてるのは埃しか見えないわ。もう」

ロン「そりゃまみれて掃除してるからね、もちのロンさ。あーぁ、屋敷しもべ妖精にでもなった気分だよ」

ハーマイオニー「それはそれは、良かったわ。これであなたも彼らに対する態度を改められるのじゃないかしら」

ロン「あぁ、クリーチャーに対して『こんにゃろう』って思うのが『こんちくしょう』に大改編されたよ」

ハーマイオニー「そうじゃなくて!『S.P.E.W』にもっと真剣になりましょう、って言っているの!」

ロン「おいおい、反吐の掃除までするなんて勘弁してよ」

ハーマイオニー「スピューじゃないったら!もう怒ったわ!ロナルド・ウィーズリー、そこになおって……あっ」

ハニー「落ち着いきなさい、ハーマイオニー。それはとっても複雑な問題だ、って……あら」

ロン「な、なんだよハーマイオニー拳なんか握ってさ避けられないだろうけどマーリンの髭……うん?どうしたんだい?」

ハーマイオニー「……降りられないわ」

ハニー「……」

ロン「……あー、オーケー。ハーマイオニーはまだ、分かるよ。でもハニー、言っちゃ悪いけどハニー、ほんと悪いけど、君飛行バカだよね?」

ハニー「誰がバカよこの豚!!それとこれとは、ち、ちがうのよ!こんな中途半端な高さ……それに、ここは箒の上じゃないわ!!」

ハーマイオニー「あぁ、もう、これじゃ私達、ネコみたいで……私の方だけでしょうとかいいから、い、今はそんな場合じゃないでしょハニー!?落ちても知らないわよ!?」

ギィィッ

シリウス「君達、ひと段落したら昼食にしようとモリーが言っているが……どうした?何か問題……」

ハニー「……」

シリウス「……」

ツカッ、ツカッ、ツカッ

シリウス「さあ!ハニー!!!私の胸に飛び込んで来い!」

ハニー「なっ、そん、そんなのいらないわ!いいから!な、何かはしごとか、そういうのでいいの!はや、はやく、もう!!ろ、ロン!さっきみたに台に、ちょ、っと!

ロン「すっごい良い顔だよ、ここ数日の鬱憤を晴らすかのように。マー髭」

ハーマイオニー「ハニーにとっては良い思い出よね」

ロン「だろうね。ほら、さっさとおいでよ君も。ハニーは俄然はりきるシリウスい任せるけどさ」

ハーマイオニー「……えっ」

ロン「……おいおい、なんで君までそこで固まるんだよ、おい。まったくマーリンの髭」

シリウス「さぁ、おいでハニー!はっはっは、君はまだ私が必要のようだな、そうかそうか!ハッハッハ!」

ハニー「~~~っ!もう!シリウスおじさん!いじわる、しなでよぉ!!」

バターーーーーン!ガシャァアアアアアアアアン!

トンクス「そ、そんでさ。この間、キングズリーにいいお店紹介してもら……うわ!?何の音!?私まだ何もしてないよ!?!」

リーマス「……どこぞのへたれた犬が人が乗って不安定な棚に寄りかかった結果大惨事、とみるね。私は。まったく」

579: 2013/03/29(金) 02:12:02.47 ID:TyXXmwS+0
夏休み最終日

ハニー「……んっ。おはよう、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「んっ……あぁ、もう朝なの……?ついさっき、眠ったような……えぇ、時間的にそうなのでしょうね、もう」

ハニー「まだ最終日前日だけれどね……ロンは……?」

ハーマイオニー「あ、明日から学校なのだから今日は早く休むわ!絶対なんだから!分かってるの!? あぁ、ロンなら……なんだか夢半分で言われたわ。えーっと、豚定例会の連中に新学期についての手紙を送るからちょっと出てくる、とか……悪夢かしら」

ハニー「そっ、よくやっているわ、本当に……そう、それならもう少しゆっくりしていられるのかしら……ねぇ?」

ハーマイオニー「ちょ、っと。ダメよ、って、もう。みんなもう起きているでしょ!?着替えないと、ハニー、聞いて……」

白豚「ピィーヒンヒン!」

ハニー「……珍しく豚にしては気がきかない行いね、私の……あら?」

ハーマイオニー「なんだか最近いいところで邪魔されてばかりな気が、いいえ、それでいいんだけどよくないと言うか……アッ!ホグワーツからの、手紙ね!」

ハニー「……忘れられたのかと思ったわ、あの腹黒に」

ハーマイオニー「?そんなはずないじゃない。でも本当、遅すぎるわよね。今日中に教科書とか、そろえられるかしら……きっとすごく混むでしょうね、ダイアゴン横丁」

ハニー「新しい教科書……ミランダ・ゴズホーク著『基本呪文集・五学年用』と、ウィルバート・スリンクハード著『防衛術の理論』だわ」

ハーマイオニー「……スリンクハード?確かなの?」

ハニー「この私が読み違えるとでも?」

ハーマイオニー「古代の碑文でさえお手の物でしょうね、はいはい。おかしいわね……ホグワーツの先生が指定するような、内容ある本を書いている人ではないのだけど」

ハニー「流石、私のハーマイオニーね」

ハーマイオニー「褒めてもあなたのためになることしか出来ないわ。一体、新しい先生って誰なのかし――――まぁ」

ハニー「あー……そう、よね。今年は……その年だわ」

ハーマイオニー「えっ――だ、だって、私達の寮には――あなた、あなたがいるじゃない!みんなに認められて、それに――」

ハニー「私が跪かせたりするのは関係ないのじゃないかしら。ハーマイオニー、あなたの知ってる事はわたしのためになる、って言っていたけれど。それって、グリフィンドールのためになることだ、って、多分みんな知っているわ」

ハーマイオニー「でも――ほんとうに?この、バッジ……あぁ、ハニー。どうしましょう!私、私とっても……!」

ハニー「えぇ。監督生おめでとう、ハーマイオニー!」

583: 2013/03/29(金) 02:40:25.03 ID:TyXXmwS+0
ハーマイオニー「あぁ……とっても光栄だわ。寮の模範生に選ばれるなんて……!」

ハニー「あなたは元からそうだけれどね……へぇ、なかなか良いバッジじゃない。ほんとバッジ好きね魔法界」

ハーマイオニー「えぇ、赤と金色……グリフィンドールのシンボル、ライオンのマークの上に『P』の文字……あぁ、絶対に私よりあなたの綺麗な赤毛に映えるのに」

ハニー「そんなことないわよ、もう。あなたはたまに自己評価が低すぎるのだから……分からせるわよ?」

ハーマイオニー「い、いいから! これ、とってもいい手触りだわ。パーシーがことあるごとに磨いていた気持ちもわかるわね……ハニー、触ってみる?」

ハニー「いいの?ありがとう……へぇ、ほんとね。なんだか陶器みたいな――」

バターーーーーン!!

ロン「マーリンの髭!!ねぇ、ハニー!!とんでもないことが起きたんだ!聞いてくれるかい!?ハニー!僕のハニー!信じられないよ!僕、僕……なんてこった!!!!マーリンの髭!!!!」

ハニー「!? あぁ、ろ、ロン。一体どうしたのよ、今更私の素晴らしさを改めて認識したの!?」

ロン「そんなの一秒後とにしてるよもちのロンで!君も!やっぱりね!!そうだと思ったよあぁハニーだって君って模範生どころか全人類の模範となるべき存在だもんね!!!」

ハニー「???あ、これね。ちがうのよ、私じゃ――」

ロン「僕も選ばれたんだ!!」

ハニー「?」

ロン「見てよ、ハニー!これ、ビルやチャーリーやパーシーがつけてたのとおんなじ!!完璧・パーフェクト・『P』バッジだ!!」

ハーマイオニー「……まぁ」

ロン「あぁ、君がもらうのは分かってたよハニー!そうだよハニー!だって君がなんなきゃ誰がなるってんだい!?え!?君を選ばないならそんなの選んだやつはとんでもないマヌケでトンチンカンな奴さ!」

ハーマイオニー「」

ハニー「えーっと……ロン、私の豚。落ち着いて。私じゃ、ないのよ。これをもらったのは」

ロン「あぁハニー!そうだねハニー!君って――えっ」

ハニー「……ハーマイオニーよ、監督生に選ばれたのは」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……」

ロン「……おめでとう、ハーマイオニー!分かってた、僕には、うん、分かってたよ、ほんと」

ハーマイオニー「……えぇ、どうも。誉高き監督生さん。お褒めの言葉は、あとずさりされるとよく聞こえないわ?」

ロン「あ、あっはは、あの、あのさ。ほら、僕ちょっと舞い上がっちまって、それだけで、あの」

ハーマイオニー「私をえらぶのはマヌケでトンチンカン?」

ロン「ち、ちが、ほんの、ほんの言葉の、マー髭で……ぎゃぁっ!!マーリンの髭!!髭!!」

ハニー「……ロンは、もう」

588: 2013/03/29(金) 03:09:46.21 ID:TyXXmwS+0
フレッド「悪夢だ、これは悪ぃ夢だ、至極当然の感覚でそう思うね、僕ぁ」

ジョージ「とんでもねぇ、こりゃ地獄に違いない、とうの昔に分かってた」

ハニー「現実よ、まぁ、私の豚ならばこれくらい当たり前のことだけれど。よくやったわ、ロン」

ロン「あ、ありがとうハニー。いてて。ハーマイオニーの奴、マメフクロウのピッグウィジョンことハニーの豚の鳥かごで殴りやがって、マーリンの髭」

ハニーの豚「ピピィーヒン!」

ハニー「ロンに嬉しい手紙を運べて誇らしそうね。出来る豚は好きよ、よしよし」

ロン「なんで僕ってふくろうじゃないんだろ」

ジニー「人類だからよ、ってハーマイオニーが昔言ってたわ。あぁ、ハーマイオニーは怒って行っちゃったわね」

ハニー「ご両親に手紙を出してくる、ですって。監督生の意味ならマグルのご両親でも分かるもの」

ジニー「それだけ名誉なこと、なのよね。うちじゃ散々茶化されていたから忘れてたわ。ロン、すごいわね。見直しちゃった」

ロン「ハーマイ鬼ーがなんだって? あぁ、なんだよ急に。豚以外のことで褒めるなよ、当たり前だろ僕はこれでも兄貴だぜ?」

フレッド「お前の兄貴である俺達からは、侮蔑と軽蔑をそれぞれこめた眼差しを送らせてもらうぜ。なにが監督生だ、くそくらえだよ」

ジョージ「お前だけは僕らの路線だとばかり思っていたのにな。分別と経験を積んだまともな頭をしてたら、監督生なんてならないね」

ロン「むっかつくけど、あー、僕だって今でも信じられてないよ……」

フレッド「おうおう、ママがムカつくぜ」

ジョージ「あぁあぁ、噂をすれば、だよ」

ガチャッ

モリー「なんです、騒々しい。ハーマイオニーはなんだか不機嫌だし……そういえば、教科書のリストが届いたって聞きましたよ?よこして頂戴、母さんがまとめて買ってきますからね」

フレッド「緊急の買出しでメチャ混みな上等な今日の横丁でもさ、ママ」

ジョージ「赤と金のバッジでもつけてりゃ目立って仕方ないだろうねぇ」

モリー「そんなバッジがどこにあるの、まったく。ロン?あなたはお洋服がもう全部二十センチも短くなったでしょう?まったくお前ときたらどうしてそうすぐに伸びるのかしら……パジャマは何色がいいかしら?栗色?ハニー色?」

591: 2013/03/29(金) 03:19:41.55 ID:TyXXmwS+0
フレッド「バッジなら、そのロニーが貸してくれるぜママ」

ジョージ「まさにそれと同じ、赤と金にしてやりゃいいさ」

モリー「何のバッジですって、ってば」

ハニー「お母様、選択が終わった私たちのお洋服を運ぶのに気を取られているのはわかるけれど、少しこっちを向いてくださるかしら」

ジニー「監督生バッジよ、ママ。ロンがもらったの」

モリー「……!?」

ビリビリッ!

ロン「あぁ!?唯一丈があってた僕のパジャマ!!ハニー色だったのに!!」

モリー「なんて、今、なんて?だって、それは……あぁ、あぁ――!!!ロン!その手にもっているのはなぁに!?ママによぉーく見せて頂戴!あぁ!ちょっと、おまえたちどきなさい! あぁ――ロン!なんて素晴らしい!これで兄弟みーんなだわ!」

フレッド「おうおう、どくともさ。抱き締められるのなんてお子ちゃまロニーで十分だからな」

ジョージ「兄弟みんなだってよ。それじゃ僕らはなんなんだよ、お隣さんかなにかかい?え?」

ロン「ま、ママ!やめてくれよ、ちょ、っと、マーリンの髭!」

モリー「お父様が聞いたら喜びますよ、ロン!あぁ、母さんは鼻が高いわ!あなたもビルやパーシーのようにこのまま首席になるかもしれない!あぁ、心配だらけのこんなときになんて良い報せ、あぁ、ロニーちゃん!!ちっちゃなロニーちゃんが監督生!!」

ロン「ママ、マーーーーマ!やめて、って!落ち着いて、くれよ!!もう!!!」

ジニー「ロンったら、首まで真っ赤」

ハニー「顔中お母様にキスされてるわ、ふふっ」

フレッジョ「「オェッ」」

594: 2013/03/29(金) 03:37:12.66 ID:TyXXmwS+0
モリー「ぐすっ、感動的過ぎて泣けてきたわ」

ロン「勘弁してよ、もう。鳴くのはヒンヒンで十分だよ……ヒンヒン」

ハニー「なく違いよ、お母様にそんなまねさせないわよ」

モリー「ごめんなさいねロン、あなたが産まれて来たとき一瞬、ほんの一瞬だけ、また男の子か……と思ってしまって」

ロン「僕だって何度僕ってなんで女の子じゃないんだろうと思ったことかここ四年ほど!!マーリンの髭!!!」

モリー「グスッ、ずずっ。さぁ、ロニー。なにが良い?パーシーにはふくろうを買ってあげたけど、おまえはもうもっていますものね?」

ロン「な、なにがだい?か、買う?うん?」

モリー「ご褒美をあげなくっちゃ、そうでしょう!?あぁ、可愛い可愛いロニー!」

ロン「!? そ、そんな悪いよ!ママ、僕……僕あー――」

モリー「なにが欲しい?言ってごらんなさい?」

ロン「は、ハニーの愛とか」

ハニー「年中無休で受け取ってるでしょう?」

ロン「そうだったねヒンヒン!」

ジニー「お金で買えないわよね、うん」

モリー「新しいダンスローブなんてどう?おまえはあれが気に入っていなかったでしょう?」

フレッド「僕らが買ってやったよ、まったくドブに捨てたも同然だったな」

ジョージ「これならまだドロ沼に沈めてやったほうが自然によかったよな」

ロン「あー――ママ、ほんと、無理ならいいんだ。あのさ……一度、一度でいいから」

モリー「えぇ!何でも言ってごらんなさいな!」

ロン「ほ、箒!自分用の箒が、欲しいんだ、僕……だ、ダメかな」

モリー「……もちのおまえでいいですとも!えぇ、お祝いだから当たり前よ!さっ、こうしていられないわ!箒も買うとなるともう行かないと。みんな、またあとで。昼食はトンクスに任せていますからね」

フレッド「正直に言いなよママ、つまり昼食抜きだろ?」

ジョージ「あの人に忠実に料理なんて無理な相談だよな」

モリー「だ、大丈夫よ、あたためるだけだもの――」

  チュドーーーーーーーン!!!

  トンクス「うわぁああああああああ!!大鍋爆発したーーーーーー!?!?!?」

モリー「……急いで作りなおしてから、いくわ。またあとで。あぁ、ロニー坊やが監督生! 荷造りはしておくんですよ!あぁ私、どうしていいやら!ロニー!その可愛いほっぺをもう一回ままにおだし!んー、まっ!」

ロン「やめてって、ママ!!あぁ、もう!マーリンの髭!」

598: 2013/03/29(金) 04:05:38.85 ID:TyXXmwS+0
フレッド「僕らもお前にキスしなくていいか?ロニー様」

ジョージ「跪いて手の甲にしてもいいぜ?ロニー様々?」

ロン「やめろよ。さもないと……」

フレッド「減点するってか?おぉ、怖い怖い。我らの悪戯三昧の日々もこれにて終幕かもなぁ」

ジョージ「僕らを罰則するってか?ハッ!面白いからやらせてみたいもんだね終末までにさぁ」

ハニー「気をつけなさいよ、二人とも。ロンはもう、それが出来る立場なのだから」

ロン「あー、ハニー。あの、君の命令ならあれだけど、僕は、あー。この二人のやる事には別に……マー髭で」

フレッド「なんとも頼もしいお言葉ですな、監督生さん!ハッハハ!せいぜい学校に奉公しろよ!」

ジョージ「頼り甲斐のある模範生だ。へいジニー、ビルが下にいるから報告しにいってやろうぜ?」

ジニー「ほんと?行くわ。おねぇさま、あとでまた!ロン、ほんとおめでヒン(監督生だなんてさっすがおねぇさまの一番の豚よね豚一同を代表して貴殿の益々の豚としての活躍に期待をこめてもう一度、おめでとう!)」

ガチャッ バタンッ

   フレッド「ロニー坊やがっ、っ!っ!かん、監督生!だってよっ!!」

   ジョージ「ねーよ!っははは、あーーーっははは!ねーーーーーよ!」

   ジニー「ちょ、ちょっと!笑いすぎよ!ねぇ!」

   フレッド「おーきくなっちまって!こりゃ僕らの助けなんてもういらないな!え?」

   ジョージ「あぁ、まったく!これで心置きなく最後の年を迎えられるってもんだ!」

   ジニー「だから、もう!……最後?何言ってるの?二人はまだ六年生じゃない……???」


ロン「ちっくしょ、あの二人笑いやがってさ。マーリンの髭」

ハニー「やっかみもあるでしょうけれど、二人なりに本当に嬉しいのもあると思うわよ?」

ロン「どうだか。まぁ、君が言うなら正しいんだろうけどさぁ……箒、箒かぁ」

ハニー「良かったわね。これで飛べる豚になれそう?」

ロン「あぁ!それに――いや、抜けぬマーリンの髭算用はやめよう。ママについて買い物にいければいいのになぁ。ニンバスは高くて絶対無理だけど、クリーンスイープの新しいのが出てるんだ――型落ちでいいから、新品がいいな」

ハニー「えぇ、お母様にそう伝えたほうが、いいのじゃない?」

ロン「うん、そうだね。流石ハニー!ヒンヒン!ちょっと急いで行って来るよ!君の言葉はいつだって僕の心に響いてくるよな!もちの僕で!」

ハニー「えぇ、行ってらっしゃい。ロン、本当におめでとう」

ロン「君に褒められるなんて光栄だよハニー!こんなバッジよりずっとずっとね!あぁハニー!僕のハニー!  ねぇ、ハニー」

ハニー「なぁに? さぁ、早く行きなさいな。お母様が出発してしまうわよ?」

ロン「ダンブルドアは、さ。何か考えがあるんだと思うよ。だから、こんなバッジがあるかどうかじゃ、君の価値なんて変わらない。それを、分かっててほしい」

ハニー「……」

ロン「――それに、ほら!僕とハーマイオニーが監督生だけど、君はそれよりもっともっと偉いグリフィンドールの女王様だからね!君に付き従うのは変わりないよ!もちのロンで!」

ハニー「……えぇ、ありがと。さっ、行きなさい。私の豚」

ロン「ヒンヒン!」

ガチャッ バタンッ

ハニー「……」

ツカッ、ツカッ、ツカッ

ボフッ

白豚「……ピィーヒン?」

ハニー「……ううん、ヘドウィグ。別に、気分が悪いわけじゃないの。ただ、すこしこうしてたいだけ。眠らないから……心配しないでね」

600: 2013/03/29(金) 04:17:20.07 ID:TyXXmwS+0
ハニー「……」

ハニー「分かってる。ハーマイオニーは、とっても良い子だもの」

ハニー「規則をよく分かってて、それを守るのがどれだけ大事かも分かってる。破る程度も、分かってきてる」

ハニー「ロンは、ロンはとっても気が利くわ。私のこと、支えてくれてる。なんだかんだ言って、きっと寮のみんなのことも見てあげられるはず」

ハニー「監督生に、ぴったり、なのよ。二人とも」

ハニー「二人が一緒に、っていうのもステキだわ。だから……だか、ら」

ハニー「応援、したい、のにな」

ハニー「……ハーマイオニーより、わたしのほうが、って、思っちゃう」

ハニー「ロンがなれるなら、特例を作ってでも私がなっても、って、思えてしまう」

ハニー「……またのけ者はごめんよ、って、どうしようもないことを、思ってしまう」

ハニー「……監督生を選ぶのであろう、あの人にも。ダンブルドア、にも」

ハニー「どうしてあの二人なの、って」

ハニー「あなたはわたしがこれまでしてきたこと、一番よく分かってくれてるはず、なのに」

ハニー「一番、褒めてくれた、のに。そんなあなたがどうして、選んでくれないの、って」

ハニー「……」

ハニー「わたし、嫌な子だ」

ハニー「とってもとっても、嫌な子、だわ」

ハニー「……ヘドウィグ、おいで。ちょっとだけ。すこーしだけ、こうさせて」

ギューーッ

ヘドウィグ「……ピーィ」

ハニー「……二人のお祝いの時には、良い子で、いたいから。ナイショね、ヘドウィグ」

616: 2013/03/29(金) 13:19:43.21 ID:6vBiRkpL0


モリー「みんなグラスはもった!?いきわたりましたか!えぇ、トンクス。あなたは座ったままでお願いね」

トンクス「そ、そうよね。めでたい席だし、こぼしちゃいけないよ、うん。おとなしく……うわぁ!?あー、肘がタルトに……ご、ごめん」

リーマス「すぐにみんな手をつけるんだ、気にすることはない。さぁ、モリー。音頭を」

モリー「えぇ!それじゃ、乾杯しましょう!新しい監督生おめでとう!ロン!ハーマイオニー!」

カンパーーーイ!

ロン「こ、こんなもんしてもらなくってもいいのにさ!まったく!マーリンの髭!」

ハーマイオニー「あー、みんなありがとう。私、がんばります」

フレッド「おい聞いたか相棒、あの才女様々がこれまで以上に口うるさくおなりになるみたいだ」

ジョージ「そりゃいいニュースだぞ。益々ズル休みスナックボックスの需要がうなぎのぼりだな」

ハーマイオニー「いっておきますけど、私の目がハニーから離れている間はそんなもの売りさばかせませんからね!」

ハニー「それじゃ商売大繁盛ね、二人は。おめでとう、ロン、ハーマイオニー」

ロン「ありがとうハニー!何度でも言うよだって君に対する感謝は君が存在するだけで思わず口からこぼれでるくらい自然のせつりでありがとうハニー!ヒンヒン!」

モリー「さぁ、さぁ!お父様とビルにも知らせたらすぐに来るそうだけど、ロンには私たちからのプレゼントを先に渡してしまいましょう!さぁさ、ロニー!おまえの箒ですよ!」

ロン「! やったぜ、やった……ママ!?マジかよマーリンの髭!!髭!!クリーンスイープ11号、最新じゃないか!!!!」

モリー「ご褒美ですもの!奮発しなきゃ!」

フレッド「おうおう、俺たちも盛大に奮発してやろうぜ相棒」

ジョージ「あぁ、あぁ。まずはくそ爆弾の百連発と行こうか」

リーマス「いろいろな意味で後が怖いからやめてほしいね。ハーマイオニー、君の親御さんは喜んでいたかい?」

ハーマイオニー「えぇ、結局そこの角の電話ボックスで知らせたのだけど、とっても。後からお祝いも贈るって」

ハニー「今夜も私から受け取るでしょうけれどね」

シリウス「? なんだね、部屋でブラッシングでもしてあげるのかい?」

リーマス「それが褒美なのは君くらいだろう」

618: 2013/03/29(金) 13:34:09.16 ID:6vBiRkpL0
ギィィィッ

ムーディ「この騒ぎはなんだ!?敵か!?呪うぞ!!!」

モリー「あらあら、アラスター。いらしてくれてうれしいわ!さぁさぁ、そんな物騒なものは下ろしになって!」

ムーディ「むっ、そうか――むっ!?おい!?」

トンクス「……すっごいや、モリー、マッド-アイから杖奪って後ろにまわって、お尻のポケットに突っ込んじゃった」

リーマス「母の力というのは偉大だね、あぁ」

モリー「お祝いの席なんですよ、今日は!あぁ、でもその前にお願いしたいことがあるの。客間の文机を見て、何が中に入っているのか教えてくださらない?いつもガタガタ言っていて、きっと『まね妖怪』だとは思うのだけど」

ムーディ「祝いだと?え?それにかこつけて毒頃するつもりじゃないだろうな。わしはこの瓶からしか飲まんぞ……客間だな?むっ……なるほど、確かにまね妖怪が入っとる。わしが行こうか?」

モリー「いえ、いえ。私があとでやっておきましょう。今ならとっても簡単に追い払えそうな気がしますもの」

ムーディ「むっ、そうか。だが油断大敵!忘れるな?え?」

ハニー「ここからでも壁やらなにやら見透かしてしまうのね、ムーディ先生は」

ロン「便利だよな……あれっ、おいおい、ちょっと待てよ?」

ハーマイオニー「! そうよ、それならマッド-アイはまね妖怪の本当の姿――」

ロン「服やらなにやらまで透視できるってことかよマーリンの髭!髭!!ハニー!こんどからあのおっさんの前に立つときは僕を挟んでくれよ君の豚の僕をね!!もちのロンで!!」

ハーマイオニー「そっち!?   いえ、重要ね!!重要ねそれは!!!!」

ハニー「あの人ほど達観してたらそんなものいちいち見ないでしょ、もう」

ムーディ「何を騒いどる、聞こえとるぞ。第一、わしがこれをいれたのは十年くらい前のことだ。ガキじゃあるまいし、その頃には女の裸など見飽きとる」

ロン「この野郎!!!!!!!」

ハニー「……危険な男にはロマンスがつきもの、というやつかしら」

ハーマイオニー「シリウスのほうを見ながら言うといいたいこと筒抜けよ、ハニー」

623: 2013/03/29(金) 13:52:52.08 ID:6vBiRkpL0
ムーディ「それで?祝いというのは?誰か腕でも欠けたメンバーの退院祝いか?」

モリー「後ろ向きなお祝いになさらないで。ハーマイオニーと、うちのロンが監督生になったの!兄弟で四番目よ!」

フレッド「数的にゃ上から六番だけどね」

ジョージ「僕らは欠番さドンケツだしな」

ムーディ「むっ。監督生……なるほど?」

ハニー「……えぇ、私のロンとハーマイオニーが。さすがでしょう?」

ムーディ「うむ、まっことめでたいことだ。お二人さん」

ロン「うわっ!は、はい!」

ハーマイオニー「あ、ありがとうございます……」

ムーディ「権力は持っていて損はない。使い方を間違うとあの馬鹿のようになるが。して、権力を持ったものは往々にしてトラブルを引き寄せるものだ。だがダンブルドアは、お前たち二人が大概の呪い程度に遅れはとらんと判断したのだろうな?え?油断大敵!忘れるな。試しておくか?ん?」

ロン「ま、まままマーリンの髭!」

トンクス「いーじめないでよマッド-アイ。お二人さんおめでと」

ハーマイオニー「ありがとう、トンクス。あっ、今日は赤毛なのね。素敵だわ」

トンクス「あんがと!ハニーとお揃いってね!あとおでこ、ほら!傷も!ハニー、どう?今回は鏡みながらやったからね!ばっちりだよ……あれ?」

ハニー「あー……」

トンクス「……だからこれだと逆じゃない!!あぁ、もうわたしってさぁ……こんなんだから監督生に選ばれなかったんだろうなぁ」

ムーディ「あと目上に対する態度とかだろう、うん」

トンクス「マッド-アイは敬意払われるタイプじゃないでしょ?あー、でもよくお行儀よくなさいってスプラウト先生に言われたっけ。んー、チャーリーも割と滅茶苦茶してたけどなぁ」

ジニー「滅茶苦茶って?」

トンクス「うん、温室での合同授業でさ。作業中に居眠りしてて、スプラウト先生が怒ったら『チャーリーは夜明けまで飛んでたんです許してやってください!!』ってグリフィンドールの総土下座だよ」

ロン「……ほらハニー、監督生なんて大したあれじゃないんだよ、な?」

ハニー「あなたのお兄さんが規格外なだけだと思うわ」

625: 2013/03/29(金) 14:14:47.52 ID:6vBiRkpL0
ジニー「今度の手紙でチャーリーに監督生の話聞こうっと。シリウスは?」

シリウス「ハッハッハ!バウワウ!誰も私を監督生にするはずがない、そうだろう?ジェームズと悪戯ばかりしていたし、罰則三昧だ。ただし、点も引かれた倍は稼いでやったがね」

ハニー「……そうなの!」

ロン「この晴れやかなハニーの顔だよ、素敵だけど」

ハーマイオニー「仕方ないわ、素敵だからいいわよ、もう」

シリウス「リーマスは、そうだな。『良い子』にしていたから、五年生の時バッジをもらえた。そうだろ?え?」

リーマス「あぁ、君たちが一時期ピーマスと呼び出した時は怒りのあまり満月を早く迎えるところだった」

シリウス「あのねずみとかぶるからすぐにやめにしたがね。何より、語呂が悪い」

リーマス「君たちの意地とか性格もね。とにかく、ダンブルドアは私が親友たちをおとなしくさせられると思ったのだろう。見事失敗だったわけだが」

シリウス「あぁ、おかげでむしろやりやすくなった。監督生用の浴室も使い放題で……あぁそうだ、君たちも今年からはそうなるな。いいか?緑の蛇口に触れるなよ?」

ハニー「大惨事よね」

シリウス「おや、知っていたかいハニー。あぁ、例のアレでか。使いこなしているようでうれしいよ」

ハニー「えっ。え、あ、まぁ……そうね。私だもの、あの……」

ビル「監督生用の浴室の話?あそこはいいよな、綺麗だしおちつくし。やぁみんな。それでロン、ハーマイオニー。おめでとう」

ジニー「ビル! パパも!」

アーサー「知らせを聞いて飛び上がったよ。あぁ、ロン。よくやった」

ビル「まったくだ。それで、おーいフレッド、ジョージ」

フレッド「なんだよ優等生組、いそいそとやってきて」

ジョージ「俺たちゃドンケツをさするので忙しいんだ」

ビル「そうか?この間の――銀行からの融資の話の――お土産があるんだけどなぁ」

フレッジョ「「ようロニー!!!ちょっくら胴上げさせろよ!!!」」

ロン「うわぁ!?おい、おいなんだよやめろよ!!!僕をハニーの頭より高い位置にあげるなよ!ま、マーリンの!マーリンの髭!髭!!」

627: 2013/03/29(金) 14:35:47.18 ID:6vBiRkpL0
ガヤガヤ、ガヤガヤ

ロン「十秒で120キロまで加速さ。悪くないだろ?ハニーの美しさは千里を駆けるけど」

トンクス「いいなぁ、コメットなんて最新型でも100ちょっとがせいぜいだよ……追い風で」

ハーマイオニー「監督生の業務ってどんなものがあるのかしら。放課後は拘束される?私、責任を負うのは望むところだけど勉強はおろそかにしたくないし、何よりハニーとの時間が――」

ルーピン「それほど仕事を押し付けられるということもないけど、君がどれくらい監督生然として過ごすかによるだろうね。やろうと思えば朝から晩まで生徒に文句をつけることができるわけだ」

ビル「そう、君がロンにカリカリするみたいにさ……冗談、冗談だよ。ハハハ――ママ!いきなり髪をつかむのはやめてくれよ!」


モリー「ほら、ジニー。やっぱりビルの髪は伸びすぎでしょう?絶対に短いほうがいいわ!」

ジニー「いいじゃない、かっこいいもの。それに、伸ばせるときに伸ばしたほうがいいと思うわ」

アーサー「そのとおりだよ、だから髪の話はやめよう」

シリウス「モリー、あまりうるさく言うのはやめておけ。若い頃はみんな自分のしたいようにするものだ。私も十代後半から伸ばしていたよ」

モリー「えぇ、えぇ!初めてみたときはどこのロックミュージシャン(笑)の若造かと思いましたよ!」

シリウス「あぁ、ハハハッ。昔マグルの、なんだ?警官?とかいうのにもそんな眼で見られたな、懐かしい。あのときはジェームズと一緒にまさに格好もそんな風だった……おや?ハニーはどこにいった? 糖蜜パイでも取りにいったかな」


キングズリー「ダンブルドアはなぜポッターを監督生にしなかったのだろう?私にはわからない」

ムーディ「あいつのことだ、何か考えがあるのだろう」

キングズリー「考え、そうだな。しかしそうすることで放っておきっぱなしにすることへの謝罪にもなっただろうに」

ムーディ「そんなくだらん情などであいつは判断せん。いかに自分の……うむ?」


ハニー「……みんな、話が弾んでるわ」

ハニー「……」

ハニー「……楽しいけれど。シリウスの言葉に励まされて、とっても楽しく思えたけれど」

ハニー「まだ、やっぱり……なんだか、もやもやしてしまうわ」

ハニー「……私、ベッドに戻ったほうが、みんなのためじゃ……」

ムーディ「こんな隅っこでどうした、え?食事に毒はなかったように思うが、盛られでもしたか?」

ハニー「……ムーディ先生」

ムーディ「先生ともう呼ぶな、呼び名は統一しろ混乱する」

628: 2013/03/29(金) 15:08:33.11 ID:6vBiRkpL0
ハニー「……割と影になっている場所だと思ったのに」

ムーディ「そういうところにこそ輩がおるからな、わしは定期的に確認しとる。どれ、なんだ、元気がないお前さんに面白いものを見せてやろう」

ハニー「……面白いもの?」

ムーディ「ポドモアの奴がわしの一張羅の『透明マント』を返しにこんし、古いほうの予備は効果が薄れてきおってな。まだどこかにあるはずだ、と家中をひっくりまわしておったのだが……」

ハニー「? 効果が薄れる?何をおっしゃっているの?」

ムーディ「うん?『透明マント』の透明効果の話だが……おぉ、これだ、これだ。不氏鳥の騎士団設立時の写真だ、どうだ?え?」

ハニー「……そんなものがとってあったのね。あぁ、みんなが手を振ったり、乾杯したりしているわ」

ムーディ「わしはそんなものは残さなくていいと言ったのだがな……うん?モリー、あれにいくのか?」

モリー「えぇ、マッド-アイ。デザートもお食べになってね。私は食後の運動にサクッと『まね妖怪』をたたき出してきますから」

ムーディ「油断大敵だぞ! モリーはこの写真にはおらん。騎士団のメンバーではなかったからな。あの頃あいつは……そうだな、少し大変だった」

ハニー「? あぁ、誰か、子供が生まれた頃なのね」

ムーディ「そうだ。それにこのあとすぐ……やめにしよう。真ん中はダンブルドアだ、いまより髭が短いな。隣はわしだ。まだ鼻がちゃんとついとるじゃないか、え?」

ハニー「えぇ、かっこいいわ」

ムーディ「誉めても眼しか取り出せんぞ。こっちがディグル、こっちがマッキノン夫婦。それに、この二人がアリスにフランク・ロングボトム……わしの教え子だった」

ハニー「……ネビルの」

ムーディ「いい腕をした『闇払い』でな……あんなことになるのならば、鍛えないほうがよかったのかもしれん。こっちはエメリーン・バンズ、おまえの救出舞台にいたあいつだ。それに、ルーピンとブラック。若いが即戦力としてダンブルドアが迎え入れたメンバーだ。この時はお前と五つも離れとらんぞ?え?」

ハニー「私なら、もう入ってもおかしくないけれどね」

ムーディ「言いよるわ小娘が。フェンフィックにディアボーン……どちらもこのあとすぐにやられた。ディアボーンは遺体もみつからなんだ。ポドモア、なんと、若いな。この頃から借りたものを返さない癖があった……こっちはハグリッドだ、うむ、まっこと、何年たってもこいつは変わらん。でかくてひげもじゃだ」

ハニー「……ふふっ」

ムーディ「ギデオンとフェービアン・プルウェット兄弟……雄雄しく戦った。氏喰い人五人を道連れにした。あぁ、妹に手出しさせんと思ったのだろうな」

ハニー「……妹さんがいらっしゃったの」

ムーディ「兄弟といえば、そうだな。こいつ、こいつはダンブルドアの弟でアバーフォース。似とるが、少し間抜けた顔だろうが?一度しかあっとらんが、変なやつだった……おぉ、やっとみつかったわ。おい、どいとくれ、どいとくれ。ほら、この二人だ」

ハニー「……あ」

ムーディ「リリーとジェームズ・ポッター!お前さんがこれを気に入ると思ってな」

ジェームズ『ハハハハハハハハ!』

リリー『――――』ニコニコ

ハニー「……声は聞こえないはずなのだけれどね……あぁ、二人……あぁ……二人の、間に」


ピーター『――――』

ハニー「……ピーター」

ムーディ「むっ?気に入らんか?うん?」

ハニー「――いいえ、その、とっても興味深かったわ。ねぇ、ほかのみんなに……シリウスたちに見せてあげれば、もっと喜ぶんじゃないかしら。その、私、荷造りが済んでなかったのを思い出したの。パパとママの、アルバムとか、出しっぱなしだわ。思い出させてくれて、ありがとう……それじゃ!」

タッタッタッタッタ

バタンッ!


ムーディ「……」

トンクス「……馬鹿じゃないの?」

ムーディ「……うるさいいつからいた」

トンクス「わたしだって闇払いだから注意くらい払うよ。まったく……ちょっとリーマスとシリウスに話してくる」

630: 2013/03/29(金) 15:21:18.33 ID:6vBiRkpL0
二階

ハニー「……」

ハニー「……あんな写真、見たことなかったわ」

ハニー「……そうよね、ピーターは最後の最後にパパが気づくまで、パパたちの親友だと周りに思われていたのだもの」

ハニー「本当は、あのアルバムにもたくさんうつったものがあってもおかしくないのよ」

ハニー「……ハグリッドがわざと、ピーターの映っているものははずしてくれていたのよね」

ハニー「少し考えれば、わかっていたはずなのに」

ハニー「……でも、パパとママが。二人と、ピーターが一緒にいるところ、なんて、見せられたら」

ハニー「……」

   「 あぁ、やめて! もう、もうやめて……!!」

ハニー「!? この声……客間のほう?」

   「あぁ、なんてひどい……うぅ、ぅぅぅっ」

ハニー「……」

ガチャッ ギィィィッ

モリー「あぁ、ロン!ロン……氏んで、しまうなんて……!!」

ロン『』

ハニー「!? そんな、そんな――そんなこと、ありえないわ。だって、ロンはついさっき――お母様、杖!杖を!」

モリー「! り、り、『リディクラス』!」

バチンッ!!

ビル『』

ハニー「!今度はビルの、倒れた姿……」

モリー「やめてーっ!『リディクラス』!『リディクラス』!『リディクラス』!」

バチンッ!

アーサー『』

バチンッ!

フレッド『』ジョージ『おい、おい相棒、冗談はよせ――』

バチンッ!

パーシー『』

バチンッ!

チャーリー『』

バチンッ!

ジニー『』

バチンッ!

ハニー『』

ハニー「っ、この私のまねなんておこがましいわねまね妖怪風情のくせに!お母様、立って!ここから出て!!!」

モリー「ハ、ニー……?」

シリウス「何事で……ハニーィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!?!?」

リーマス「君、『闇の魔術に対する防衛術』の先生には向いていないようだよ」

636: 2013/03/29(金) 15:41:02.76 ID:6vBiRkpL0
ギューーーッ

ハニー「っちょ、っと、シリウス!苦しい、苦しいから!いいから、お母様のほうをささえ、んっ!ちょ、っと!耳に、息、が!!ねぇ!!!」

リーマス「……『リディクラス、ばかばかしい』ほんとばかばかしいよ」

バチンッ!

満月『』

リーマス「あぁ、今はそれを見ても恐れなんて感じないのさ残念なことにね。消えてくれ」

スウゥゥゥッ

モリー「おぉっ――おぉ、おぅ――うぅ、っ、ぉぉおっ――」

シリウス「心臓が止まって犬に生まれ変わるかと思った……モリー……さぁ、リーマスがあいつは蹴散らした。何もいないよ、君に悪夢をみせるやつは」

リーマス「ただのまね妖怪だ、モリー。そんなに――おっと。あぁ、泣くのはとめないがね、抱きとめさせてもらうよ」

モリー「あぁっ、なんて――私、いつも夢に――不安で不安で――!」

リーマス「……」

シリウス「……」

モリー「あぁ、ハニー――おばさんに失望したでしょうね?あんな簡単なまね妖怪も、追い払えない、ないんて――」

ハニー「……そんなことないわ、お母様。わたし、あれに何度も気絶させらているもの。だから……」

モリー「あぁ、私――私、心配で。家族の半分も――騎士団にいる!みんなが、みんなが――兄さんたちみたいに、なってしまったら、って――!!」

ハニー「兄さん……そういえば前にシリウスが、プルウェットって……あぁ……あぁ、お母様」

モリー「ハニー、ハニー!あなたみたいな優しい子まで、あぁ――!殺されてしまったら、と考えてしまって――パーシーとも仲直りできないままだったら、どうすれば――そのままお別れになって、しまったら――いつも二人一緒のあの子たちになにかあったら――アーサーや私が氏んだら、ロンやジニーは――誰が面倒を!」

シリウス「……あの頃とは状況が違う。モリー、あの頃は私たち一人に対してやつらが二十人もいたんだ。あぁはならない、絶対にだ……それに、パーシーのことだがね。いつか気づいて、こちらに戻って頭を下げるさ。まぁ、私は一度頭をはたいてやらないと気がすまないだろうが。これはみんなに言えるかな?どうだい?」

リーマス「あぁ、眼鏡にヒビを入れてやろう、お手の物さ。それに、ロンとジニーのことだけど。もしも仮にそうなったとして、二人を路頭に迷わせると思うかい、モリー。私たちはちゃんとした大人のつもりだったのだが」

シリウス「あぁ、なんなら私を二人の後見人にすればいいさ。ドンとこい。片側の胸はハニーで埋まっているから、片方に二人抱え込むことになるがね」

モリー「――ふふっ、えぇ――ぐすっ、わたし、馬鹿なことを……ハニー」

ハニー「……えぇ、お母様。馬鹿なことなんかじゃ、ないわ。お母様は、とっても優しいから……みんなの、お母様よ?」

モリー「あり、ありがとうね、本当……あぁ、ハニー。今年、今年、こそは、学校で、お利口にしていて、頂戴ね?約束して?」

ハニー「……二人も監督生がいっしょなのだもの。流石の私も、そうなると思うのだけれど。そうでしょ?」


639: 2013/03/29(金) 15:56:27.09 ID:6vBiRkpL0
ハニー「……寝室まで送らなくても、よかったのに」

シリウス「あぁ、君は強い子だからな、いらないことは分かっている。私たちがそうしたかっただけだ」

リーマス「一応は、言っておくよ。ハニー、今日みたことは、誰にも――」

ハニー「話さないわ。当然、ロンやハーマイオニーにも」

リーマス「……言うまでもなかったね。うん、それじゃ、早く休みなさい」

シリウス「明日からは学校だ……楽しんできなさい。私のことなど忘れて」

ハニー「無理よ」

シリウス「……いいかね、ハニー。君には君の生活がある。こんなところで閉じ込められている者のことなど気にかけていては、楽しい学生時代を棒に――」

ハニー「それじゃ、シリウスは私のことを忘れたままここに閉じこもるというの?」

シリウス「それは――違う。しかし」

ハニー「だったら私だってそうするわ……とめる権利なんてないでしょ?」

リーマス「シリウス、君の負けだ。思えばこの目をした相手に君が口論できるはずがないんだ」

シリウス「……まったくだ。あぁ、ハニー。とても嬉しく思うよ。たまに手紙を書こう。返事をくれ」

ハニー「えぇ。リーマスも。私、せめて二人が元気にしているって分かれば、とっても勇気付けられるから」

リーマス「っ、っ、そうかい?あぁ、それじゃたまに書かせてもらうよ」

シリウス「小さくこぶしを握るのはやめてもらえるか肘があたる。それじゃ、ハニー。おやすみ」

リーマス「さっき追い払ったまね妖怪がどこかにいたら、ばかばかしく笑って追い払っておくれ」

ハニー「えぇ……ねぇ、そういえば。リーマスは、まね妖怪は満月に変わるでしょう?」

リーマス「あぁ、不発に終わったけどね」

ハニー「シリウスは……なんに、なるの……」

シリウス「私か?私……そう、だな」

ハニー「……」



シリウス「……君のご両親だろう。私は、あの二人に……おや」

ハニー「スーッ、スーッ」

リーマス「……眠ってしまったようだ。いろいろと、疲れたんだろう……それより君は、なんてことを言おうとしているんだ、まったく」

シリウス「……」

リーマス「……モリーのことを笑えるのかい、パッドフット」

シリウス「……後悔をする時間だけはあったんだよ、ムーニー」

643: 2013/03/29(金) 16:17:02.76 ID:6vBiRkpL0


モリー「こら!!まちなさい!!ジニーに大怪我をさせるところだったのよ!?分かっているのこの馬鹿息子!!」

フレッド「さーてね!僕らは赤と金色のバッジなんてもらってないからまったくさっぱりさ!許せよなジニー!」

ジョージ「ほーらよ!僕らの特性ハニーカラーの伸び耳をやるからさ!それできれいさっぱり水にながせよな!」

ジニー「あいたたた……許すわ!」

ロン「毎年のことだけど、新学期の移動前は騒々しいよね。ハニーを思う僕の心の内ほどじゃないけど」

ハニー「えぇ、騒音すぎて公害レベルね」

ハーマイオニー「ただでさえ今は、あのシリウスのお母さんの声で大変だけどね」

『キィエエエエエエエエエエエエエエこの穢れた血!血を裏切る者!芥の輩――』

モリー「語彙の足りないうるさい女は黙ってなさい!!こら!!待ちなさい!!!」

ロン「そんでママとの大合唱ってわけだ。朝から元気だなぁ」

ハニー「……ほんと、元気になってよかったわ……っ」

ハーマイオニー「……あなたの方こそ、そうだといいのだけど。また傷が痛むの、ハニー?」

ハニー「……平気。ハーマイオニーこそ、ベッドから立ててよかったわね」

ロン「あぁ、君たちついさっきまでヒンヒンがヒンヒンでヒンヒンだったもんな?うん?ヒンヒンうるさい?豚以外にはそう聞こえるんじゃないかな」

モリー「さぁ、ハニー、ロン、ハーマイオニー!こっちにおいでなさい!荷物は持たずに、マッド-アイが面倒みて駅まで厳重に運んでくれますからね!」

ハニー「お願いするわ、マッド-アイ」

ムーディ「手榴弾など入っとらんだろうな?え?」

ハニー「どこで手に入れるというのよ……あなたは正確に知ってるのね、流石だわ」

モリー「ここからキングズ・クロスまで歩いて二十分もないわ!ゆっくり、安全に行きなさい。トンクスが引率して……あぁ、うそでしょう?」

犬「バウワウッ!」

ハニー「!? し、シリウス!?」

モリー「……シリウス!ダンブルドアが、絶対にいけないと言ったはずです!!!」

犬「クゥーン?」

リーマス「……『なにをいっているのか、わた、ぼくスナッフル、はにーのおともだちだよっ☆』だそうだ」

ハニー「し、シリ、スナッフル。そんな、気持ちはとってもとっても、とっても嬉しいけれど……」

モリー「あぁっ、もう!時間がないというのに!それならご自分の責任でそうなさい!ただし、ハニーに何かあったらただじゃおきませんよ!」

犬「バフッ!」

ハニー「! お散歩できるわね、シリウ、スナッフル!」

ロン「言ってる言ってる」

ハーマイオニー「ハニー、ハニー、とりあえず落ち着いて。スリッパは脱ぎましょう?駅についてから恥をかくのはあなたよ?」

リーマス「シリウスにいたっては恥も外聞もないようだけどね」

645: 2013/03/29(金) 16:28:31.71 ID:6vBiRkpL0
トンクス「よっ!ハニー……うわ!?何その犬!呪うよ!?」

ハニー「えっと、あなたのお母様のいとこよ!」

トンクス「あっ、あー……そういやこんなだっだわ。何してんの……」

犬「バウワゥ!」

トンクス「いやリーマスじゃないんだから犬語わかんないよ、わたしは」

ロン「僕らからしてみりゃ、ママから聞いてなかったら君がトンクスだっていう方が信じられないんだけどね」

ハーマイオニー「いつもみたいに一部分だけ変えるんじゃなくて……今日は全身そっくり老婆になっているのね」

トンクス「大したもんでしょ?あーー、うぉっほん。たいしたもんじゃろが?え?さぁーて、ハニィや。駅に向かおうかねぇヒェッヒェッヒェッヒェ!」

ハーマイオニー「……やりすぎよ」

犬「キャンキャンッ!」

ハニー「ふふっ、シリウスったらとってもはしゃいでるわ」

ロン「君こそねハニー!あぁハニー!はしゃぐ君って素敵だよヒンヒン!」

ハニー「ロン」

ロン「なんだいハニー!」

ハニー「四足歩行だと、豚と犬って、どちらが速いのかしら」

648: 2013/03/29(金) 16:46:14.25 ID:6vBiRkpL0
九と四分の三番線

ポーーーーーッ!

ネビル「ハニー!あぁハニー!会えて光栄だよハニー!ヒンヒン!ろ、ロン?なんで出会って即効氏にそうなくらいフラフラしてるんだい!?ロン、ローーーーン!?ホームから落っこちるよーーー!?!?」

ロン「ぜぇ、ぜぇ、聞くなよ、ネビル。豚の中の漢の君にだって、譲れないものがあるのさ。ゼェ、ゼェ、マーリンの髭」

犬「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」

トンクス「見ものだったなぁ。ロンったらすごいね、箒いらないんじゃないの?」

ハニー「二人とも、全力疾走することないじゃないの……」

ハーマイオニー「意地の張り合いをけしかけたあなたが言わないの、まったく。こんにちわネビル」

ネビル「うん!あっ、女の子の監督生はハーマイオニーだったんだね。おめでとう。ハニーは僕らの女王様だけど」

ハーマイオニー「えぇ、はいはい。私のほうが偉いなんて微塵も思っていないから安心して頂戴」

ネビル「そういえば、ハニー犬を飼ってたんだ。いい犬だね、豚と同じくらい!ヒンヒン!」

犬「クゥーン?」

ハニー「えぇ、私の大事な、家族よ。そうね、あなたたちくらいにね」

ロン「ヒンヒン!」

ネビル「ヒンヒン!」

犬「バウワウッ!!」

ハーマイオニー「……スナッフル、隣に立ってる私に当たって痛いくらい尻尾をふるのはやめて」

フレッド「到着、っと。おぉっと、聞いてた通りにあの犬公はまったく元気にやってるな、え?」

ジョージ「日の光をずいぶんと浴びてなかっただろうしな、あそこじゃ陰気にもなるってもんだ」

モリー「はいはい、あれにかまっていないの。すぐに出発ですよ……アーサー!ジニー!どこ!?」

アーサー「ここだよ、モリー!みんな着いたようだね。さっ、はやく乗りなさい」

ルーピン「荷物も、到着だ。マッド-アイ、やはりぎりぎりになってしまったじゃないか。間に合ってよかったが、ハニーたちに着替えなしで生活させるところだったんですよ?」

ムーディ「何か仕掛けられて氏ぬ目にあうよりマシだろうが!油断大敵!あとポッター!」

ハニー「なぁに?」

ムーディ「下着にまで名前を書くのは相手が萎えるからお勧めせ――」

ハニー「 あ な た 何 言 っ て る の ! ! ! 」

ロン「どうなのさ、そこんとこ」

ハーマイオニー「書くというより、綺麗な刺繍だからむしろ関心するわ」

ハニー「黙って!!黙って!!シリウ、スナッフル!!とってきて!!!」

犬「!! バウワウ!バウ!」

リーマス「あぁ、うん、それは有効な手だよハニー。分かってきたじゃないか」




マルフォイ「……フォーイ?……いや……ふぅーん……?」

650: 2013/03/29(金) 16:55:49.26 ID:6vBiRkpL0
ポーーーーーッ!

リーマス「みんな、乗るんだ。気をつけて。ハニー、行ってきなさい」

ムーディ「まっこと、目ん玉をひん剥いて目立たぬようにするんだぞ?」

トンクス「このデリカシーない人はあとでわたしがひん剥いておくから安心して。じゃあね。みんなに会えてうれしかった」

アーサー「手紙を書くときは内容に気をつけて。迷ったら、むしろ書かないほうがいい」

モリー「でも、あぁ、一言でいいから手紙を頂戴ね!みんな、みんなよ!いいこと、フレッド、ジョージ!」

フレッド「僕らかい?まっかせてくれよおふくろ!」

ジョージ「学校からの罰則の届けが大量だろうさ!」

モリー「あぁ、あぁ!それでもいいから!母さんにしっかり、元気でいることを伝えてちょうだい!いいわね!あぁ、おまえたち!元気で!お願いよ――!」

犬「バウワウッ!!」

ハニー「みんな、ありがとう!行ってきます……んっ!スナ、ッフル!い、行って来るわ……手をなめたりしたら、汚いじゃない!もう!」

ロン「あぁハニー!分かるよハニー!それでもその手は拭かないんだよねまったく君ったら最後まで痛い!ありがとう! じゃあねみんな!いつでも心にハニーを!」

ハーマイオニー「お見送りありがとう!あぁ、スナッフル!?並走したら危ないわ!?」

ジニー「あっはは、窓から顔だしたみんなも笑ってる……バイバイ!パパ、ママ!」

ハニー「行ってきます……ホグワーツに!」

犬「ハッハッハッハッハッハ……アォーーーーーーーーォウ!!」


ポーーーーーーーーッ!!!

682: 2013/03/31(日) 16:24:25.99 ID:zKIYMC890
大変遅くなった
再開
このスレは一旦ここで区切りどころやもしれん

683: 2013/03/31(日) 16:25:48.31 ID:zKIYMC890
大変遅くなった
再開
このスレは一旦ここで区切りどころやもしれん

688: 2013/03/31(日) 16:41:19.09 ID:zKIYMC890
ガタンゴトン、ガタンゴトン

フレッド「それじゃ、俺達はリーと商売の話があるんでね。ここらで失礼するよ」

ジョージ「諸君、我らが獅子寮の勝敗のために今年も励みたまえよ。そんじゃな」

ハーマイオニー「言われなくともあなたたちにやりたい放題させないわ。ねぇ、ロン?私達、監督生だもの!」

ロン「えっ、あぁ、うん、そうだな、ハニーは監督になるべきだよな。クィディッチの終身名誉監督にね!それなら僕も目指す甲斐ってもんがヒンヒン!」

ジニー「目指す……?ロン、役職豚をこれ以上極めるの?」

ハニー「なんのことかしらね。さっ、私達も空いている席を探しましょう?」

ハーマイオニー「……あー……あの、ね。ハニー、ごめんなさい」

ロン「ごめん、ごめんよハニー!君からひと時も離れるなんて僕はなんてこった豚失格だちくしょう僕はいつになったら二つに分かれられんだマーリンの髭!」

ハニー「……なぁに?」

ハーマイオニー「私達、先に先頭車両の方に行かないといけないの。そこで、各寮の監督生との顔合わせだとか、城につくまでの見回りとかを……」

ハニー「……そっ。あなたたちのお仕事なのでしょ? 頑張って」

ロン「その言葉があれば僕はあの双子だってしょっぴいてやるくらい働いてみせるよハニー!あぁハニーごめんよh」

フレッド「へぇ?」

ジョージ「ほぉ?」

ロン「マー髭!!!」

ハーマイオニー「あぁ、本当にごめんなさいねハニー。でも、ずっとあちらにいるわけじゃないと思うわ。すぐに……きゃぁ!?」

ハニー「そうね。ロンとあなたの分の席も、とっておいてあげる。寝そべられるだけのスペースにしなくっちゃ、ね……?」

ハーマイオニー「そ、そんなにいらないわ、あなた、まだ学校にもついてな、あぁ、そんな、ハニー、それは、あなたを思うと私の鼓動はホグワーツ特急を追い抜いてしまいそうだけど……!」

ジニー「つづけて!」

ロン「どうっ、ごふっ、ごうぞ!!」

689: 2013/03/31(日) 16:42:10.23 ID:zKIYMC890
×ごうぞ
○どうぞ
マーリンの髭!

692: 2013/03/31(日) 17:01:55.79 ID:zKIYMC890
ジニー「おねぇさまとふたりきりあぁなんてひさしぶりおねぇさまと二人きりで歩けるなんて雌豚でよかった!!!(二人は行ってしまったわね、おねぇさま)」

ハニー「えぇ、そうね。二人の大事な役目だもの、応援しなくっちゃ」

ジニー「随分ギリギリだったから、席があるかしら……そうなったら私、通路に四つんばいになっておねぇさまのいすになるわ!ヒンヒン!」

ハニー「見上げた精神だけれど、そういうのはロンに任せるわ。あなたは立派な女の子なのだから……あら?」

ネビル「あっ!ハニー!また会えて光栄だよ!それにジニー!ヒンヒン!」

ジニー「ヒンヒン!」

ネビル「あっ、そうなんだ。二人は大変だね。監督生なんて、僕には荷が重いなぁ。尊敬しちゃうよ」

ハニー「私の傍にいる人たちだもの、それくらい軽いものよ。あら、あなただって私からの期待なら軽々応えられるとおもうのだけれど?」

ネビル「もちの一番豚だよハニー!」

ハニー「それはロンの特権だからやめてあげて。それで、ネビル。私を出迎える精神は見上げてあげるけれど、あなたはどこの席なのかしら?」

ネビル「あー、ごめんなさいハニー!僕もばあちゃんからのお小言が長くってギリギリに列車に乗ったものだから……空いているコンパートメントを見つけられていないんだ」

ジニー「当たり前だけど毎度メチャ混みよね、この特急……あら?」

ネビル「あぁごめんよハニー!こうなったら僕、通路に四つんばいになって君のいすになる準備を……!」

ハニー「流石私の豚さんたちね。考えることは一緒のようだわ」

ジニー「ネビル、空いていないなんて何言ってるの?すぐ、そこ。ほとんど空じゃない……ルーニーがいるだけで」

ハニー「? るーにー?」

ジニー「あっ、ごめんなさいおねぇさま。彼女って変わり者だからよくそう呼ばれてて……」

ネビル「あー……僕、あの子の邪魔はしたく、その……」

ハニー「ネビル、私、脚が疲れたのだけれど」

ネビル「ヒンヒン!!失礼!!!」

ジニー「流石ネビル!漢だわ!漢!豚の中で!」

ガラガラッ!!

「……急にどうしたの? みえざるピンクのユニコーンでもみつけた?」

ジニー「こんにちは、ルーナ。それってどういう生き物なの?」

ハニー「ルーナ……?」

「みえないからわかんないよ。今は、まだね」

694: 2013/03/31(日) 17:17:44.99 ID:zKIYMC890
ジニー「あっ、おねぇさまは初めてよね。えっと、私と同い年で……」

ハニー「……ええ、顔を見るのは。でも何度も名前だけは見たことがあるわ」

ジニー「?」

ネビル「ここ、座っていいかな!空いてる所他になくって!」

「いいんじゃない? あたし、ここに座るときに『姿が見えない名無しのなんとかさん。あたし、ここに座っていいのかな』なんて、聞いてないもン」

ネビル「そ、そう。ありがとう」

ハニー「失礼するわね……えぇっと」

ハニー「……ルーナ・ラブグッド、って。あなたのことだったのね」

ルーナ「うん……? あたし、顔に自分の名前書いたままだったのかな」

ハニー「そうじゃないけれど……書いていたことがあるの?」

ルーナ「みんながあんまりあたしの名前『ルーニー』って間違うから、知らないのかなって。違ったみたいだけど」

ジニー「あー、その……ルーナ? 夏休みは、楽しかった?」

ルーナ「うん。とっても楽しかったよ、ありがと」

ジニー「ぜ、ぜんぜんこっち観ないわ……おねぇさまを直視するなんて雌豚一号でもためらうのに!!」

ルーナ「それで……あんた、ハニー・ポッターだ」

ハニー「知っているわ」

ルーナ「そうかな? あたしはあんたがあんたのこと、あんまり知らないように見えるけど」

ハニー「!?」

ネビル「お、おい!ハニーと初対面のくせに何を言い出すんだよ!ぼ、僕、豚代表として戦うぞ!ヒンヒン!」

ルーナ「? 誰?」

ネビル「そこ!?ぼ、ぼく、あの、ネビル・ロングボトムだけど、あの、ルーニー」

ジニー「ネビル。ルーナ、よ。ルーナ・ラブグッド。レイブンクローの、四年生」

ルーナ「計り知れぬ英知こそ、われらが最大の宝なり~♪」

697: 2013/03/31(日) 17:41:49.29 ID:zKIYMC890
ネビル「えっと……なんで雑誌をさかさまにもってるの?」

ルーナ「このルーン文字、解明されてない古代のものなんだ、って。さかさまにしてみたら分かることがあるんだ。きっと、相手の耳をキンカンに変えちゃう呪文とか、そういうのだよ」

ジニー「……また、ルーン文字のルーナ文字解釈?」

ハニー「ルーナ文字?」

ジニー「『古代ルーン文字学』の授業でルーに、あー、ルーナがこういう事を言い出すと、先生が困ってこう言うの」

ルーナ「『発想を柔軟に』って言うのにね。なんでかな」

ネビル「柔らかすぎて先生の手から零れ落ちるからじゃないかな」

ジニー「えっと、素敵なネックレス、ね?それって、あー……バタービールのコルク???」

ルーナ「うん。これをつけておけば、面白い人に会えるからって。ほんとだったね」

ハニー「それは私に言っているの?冗談、私を装飾する言葉は高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的で家庭的のどれかからにして頂戴」

ルーナ「うん、当たってた。あんたやっぱり面白いもン」

ハニー「なっ、さっきから面白いってあなたね……杖、どうして耳に挟んでいるのかしら。あなたの方がよっぽど、面白い風貌だけれど」

ルーナ「? だってこうしたほうが、杖の声が聞こえるじゃない」

ハニー「杖の、声?」

ルーナ「うん」

ハニー「……あぁ、乱暴しないでーー、とか?そういうことね」

ジニー「!?」

ネビル「!?」

ルーナ「そういう時もあるかも。あたしのはいつも歌ってるけど」

ハニー「陽気なのね、はいはい。あなたを見ていればわかるけれど」

ネビル「じ、ジニー、どうしよう。ハニーが、僕らの分からない領域に……」

ジニー「……不思議ちゃん女王様!」

ネビル「!それだ!ヒンヒン!」

ハニー「ちょっと、一緒にしないで。私はただ聞いたことがある例をあげただけよ、ちょっと、ちょ、この豚!!!」

ネビル・ジニー「「ヒンヒン!!」」

ルーナ「……? 謝るなら普通に言えばいいんじゃないの?」

701: 2013/03/31(日) 17:56:39.22 ID:zKIYMC890
ルーナ「もういい?あたし、『ザ・クィブラー』を読むのに忙しいんだけど」

ネビル「! ハニーとの会話を自分から切り上げるなんてどんな神経しているんだい!ヒンヒン(怒)」

ジニー「魔法省大臣だってもっと謙虚よおねぇさまの前では!!」

ハニー「この夏すっかりふてぶてしかったけれどね。いいわ、ルーナ。邪魔したわね」

ルーナ「そうでもないよ。ただ、あたし早くこの呪文を知りたいから急いでるんだ」

ハニー「……耳をキンカンに?」

ルーナ「うん。だってキンカンは『ブリバリング・ハムディンガー』の大好物だって言われてるもン。耳がキンカンなら、きっと話しかけてくれるんじゃないかな」

ハニー「……そうね、えぇ。私達はこっちで、跪かせたりしているわ」

ネビル「喜んで!」

ジニー「ご褒美だわ!」

ルーナ「ん、お喋りしてて。あたしたまに笑っておくから――」

ネビル「……雑誌で顔覆っちゃった。あんな風にして読めるのかな」

ジニー「……読むんじゃなくて、杖が語りかけるのを聞いてる、とか、そういうことをいいそうだわ」

ハニー「……色んな人がいるのね、ほんと」

704: 2013/03/31(日) 18:15:20.77 ID:zKIYMC890
ハニー「いいわ。私達は私達で……あら。駅では曇り空だったのに、すっかり快晴ね」

ネビル「君っていう太陽が存在してるだけで豚のみんなはスッキリ快晴も同じだけどね……あっ!そういえばこいつを日にあてておかなきゃ!ハニーっていう日にも!」

ジニー「なに?おねぇさま記念日?毎日でしょう?……なに、その、えっと……内臓の鉢植えみたいなもの」

ハニー「……随分と的確ね、ジニー。褒めてあげるわ。そうね……灰色の、おできがついたサボテン?」

ネビル「これ、『ミンビュラス・ミンブルトニア』って言うんだ!この前の誕生日に、アルジー大叔父さんがくれたんだよ!とっても貴重なんだ!」

ジニー「ダンブル、なに?」

ネビル「『ミンビュラス・ミンブルトニア』!だ、ダンブルドアがここから生えてきたら驚きだろう!?」

ハニー「えぇ、そうね。ひっちぎってそこの窓から放り投げてやるわ」

ネビル「あの腹黒豚この夏君になにしたのハニー!?なんならリコール運動やるよハニー!?」

ハニー「むしろ何もしなかったのよ、忘れて。それで、どういう……あー、植物なの、これは」

ネビル「うん!とってもすごい防衛機能を持ってるんだよ、ハニー!スプラウト先生の温室にだってないかもしれないくらい貴重で……見てて?」

ジニー「……羽ペンをとりだして、なにするの?ネビル?」

ネビル「いいから!ハニー、きっとびっくりするよ!よーし!」

ハニー「ネビル……ネビル、ちょっと待ちなさい!ネビル!」

ブスッ

プルプルプル ブシャァアアアアアアアア!!

ジニー「!? ダンブルドアのおできというおできから、み、緑色の液体――」

ネビル「『ミンビュラス・ミンブルトニア』だって……う、うわ、こ、こんな――」

ガラガラッ!!

ロン「おっと失礼監督生のパトロールだよやぁハニーそれでなんだいネビル飲み物でも用意してくれたのかいありがマーリンの髭ぇえええええ!!」

ジニー「……」ポタポタポタポタ

ネビル「……」ポタポタポタポタ

ルーナ「……? あれ、周りを真緑にする呪文だったのかな?」

ハニー「……あなたは本で覆っていたから顔は無事なわけね。私の方もほとんどだけれど。ロン、私の豚。よくやったわ、出来る豚ね」

ロン「まずい!もういらない! あぁ、ハニー!君に一滴もかからなくて良かったよハニー!もう少しで終わるから君のハーマイオニーも一緒にすぐ戻るからねハニー!それじゃ、僕一度トイレにでも行って綺麗にしてくるよ!ヒンヒン」

ロン「ネビル 君の処分は今夜決めるから覚悟しとけな もちのロンで」

ハーマイオニー「……いよいよもってあなた化け物じみてきたわね」

707: 2013/03/31(日) 18:30:50.36 ID:zKIYMC890
ネビル「あー……ごめん、ごめんよ、まさかこんなに広範囲に飛ばすものとは、思わなくって」

ハニー「ネビル」

ネビル「はい!すいません!ヒンヒン!全部僕がすすります大丈夫『臭液』は毒じゃないから大丈夫でズズズズズズズズッ!」

ガラガラッ

「こんにちは、ハニ――あ、あら」

ハニー「!?」

ジニー「! 雌狐!!!!!」

ルーナ「チョウ・チャン?どうしたの?」

チョウ「ど、どうした、って、こっちの台詞……あン、えっと、ルーナ?あなたが?」

ルーナ「? あー、うん。緑色一色になれば『レタス喰い虫』の気持ちになれて、もっと下等な意思疎通手段の理解に、とかなんとか、あったもン」

チョウ「そ、そう……えぇっと、ハニー。あの、挨拶しようと思っただけなの。それじゃ、お城で。またね!きっとよ!」

ガラガラピシャンッ!!

ハニー「……ネビル!!!」

ネビル「ごめんなさいハニーあぁハニーほんとごめんなさいひんひ、いや、僕、僕なんて、ブヒィー!ブヒィー!」

ジニー「おねぇさま、あんな泥棒猫と話す機会が流れたことなんて気にしなくていいと思うわ。そうよ、うん!それにほら、こんなのすぐ綺麗になるわ……『スコージファイ、清めよ!』」

パッ!

ハニー「……シートや床に飛び散っていた緑色の液体が消えたわね。よくやったわ、ジニー」フーッ

ジニー「光栄だわおねぇさま!」

ネビル「僕の胃の中のもの以外はね、あっ、うん、当然の報いなので大丈夫です……えっと、ルーナ?あー、かばってくれてありがとう。チョウのハニーに対するイメージとかがきっと……でも、何も得しないのになんでだい?」

ルーナ「? んーん、いいよ。あたしの近くで変なことがあったら、大概あたしのせいにしとくんだ。ほら、あたしの傍で見えないピンクのユニコーンが、あたしに見てもらいたくて暴れたのかもしれないもン」

ハニー「……変な人ね、ほんと」

ルーナ「あんたに言われたくないかな」

712: 2013/03/31(日) 18:57:15.17 ID:zKIYMC890
昼過ぎ

ガラガラッ

ロン「あぁハニー!君に会えない午前中なんてまったく7月を思い出して氏ぬかと思ったよマー髭!」

ハニー「えぇ、そうね。私もイマイチ座り心地が良くなくて困っていたところだわ、ロン」

ネビル「ロンが戸を開けて、ハニーが腰を浮かせて……そこにロンが滑り込んで」

ジニー「何事もなかったように会話……こ、これが、一番豚。凄いわ」

ハーマイオニー「えぇ、凄く馬鹿よね、ほんと。もう私から何も……あら?」

ルーナ「――? どこまで読んだかな――ここだ。キンカン、に、変える、耳の形は――」

ハーマイオニー「えぇっと、ハニー?こちらは……?」

ロン「おいおいピリピリすんなよハーマイオニー。君、あれだろ?うちのご近所の、ラブグッド家の」

ルーナ「――あ。クリスマス・ダンスパーティに、ハニーと行った……?」

ハーマイオニー「……」

ロン「ぴ、ピリピリさせるなよハーマイオニーを。それがどうかしたかい?」

ルーナ「あたし誰にも誘われなかったけど、気にしないな。だってクリスマスって静かに祝うものだし、それに、ダンスってあんまり好きじゃないんだ」

ロン「へぇ……?」

ルーナ「――つづき、っと、ここかな」

ロン「……えっ。今、会話終わったのかい?あれ?おーい、もしもーし……こりゃダメだ。ハニー、君に骨抜きにされておかしくなったのかい?」

ジニー「ルーナがいっつもちょっとおかしいのはいつものことよ?」

ロン「これが、ちょっと?そりゃいい評価だぜジニー。それなら君の中じゃスネイプの奴は少しだけ他の寮に厳しいけど良識のあるいい教師なんだろうな、もちのロンで。ハニーの良識ったら常識を覆すけどさ」

ハニー「そうね。私に合わせるものね、常識が」

ハーマイオニー「慣れてしまっている自分が嫌だわ」

716: 2013/03/31(日) 19:32:16.90 ID:zKIYMC890
ジニー「監督生の方はどうだったの?パーシーみたいな人はいた?あ、眼鏡ってことじゃなくて」

ハニー「パパ?」

ハーマイオニー「ハニー、その眼鏡じゃなくって。と言うかお父様=眼鏡で本当にいいの……?」

ロン「あんな完璧・パーフェクトみたいな監督生は後にも先にもパース一人で十分だよ。あぁ、ハーマイオニーは割とその路線かもしれないけどさ」

ハーマイオニー「あら、私は間違ってもハニーに反抗なんてしないわ」

ハニー「そうよね、私に、従順な、ハーマイオニー?」

ハーマイオニー「含みのある言い方はやめて!わ、私、私監督生なのだから!去年までとは違うわ!」

ロン「あぁ、シチュエーションが増えていいよな。ハニーの素晴らしさは羊皮紙を何枚増やしたところで食べきれないけど、豚でヤギたる僕でも」

ネビル「監督生って、寮に二人いるんだよね?他のとこはどうだったの?」

ハーマイオニー「ハッフルパフはアーニー・マクミランとハンナ・アボットだったわね」

ロン「出来る豚だよアーニーは。まぁ一番の豚は僕だけどさ」

ハニー「城で会ったらお祝いしないといけないわね、あの豚にも。レイブンクローは?」

ハーマイオニー「アンソニー・ゴールドスタインと、パドマ・パチルよ。パーバティの双子の腐ってない方」

ロン「それで、スリザリンだけどさ……誰だとおもう?」

ハニー「……回りくどい言い方は嫌いだけれど、今は知りたくないわね……まさか」

ロン「あぁ、君の予感はいつも正しいよハニー。そのまさか、マルフォイの野郎さ。それにイメチェン失敗パグ犬のパンジー・パーキンソン」

ネビル「あぁ、うん、三年生の時と雲泥の差だよね……ハニーはいつでも頂点な美しさだけど」

ハニー「当然ね、私だもの。それにしても……ほんと、あの腹黒は何を考えているのかしら」

ロン「あぁ、だってあのマルフォイの奴なら絶対に権利を濫用することなく誠実に学校のために勤めるもんね……言っててマーリンの髭が伸びそうだよ僕ぁ。あることないことでっちあげて僕らから減点してこようもんなら、こっちはあの脳みそトロール以下の豚以下に難癖つけてやろう」

ハーマイオニー「あなたまで濫用してどうするのよ」

ハニー「ロン、あいつと同じ位置に格を落とすようなまねはよしなさい」

717: 2013/03/31(日) 19:51:21.86 ID:zKIYMC890
ロン「ヒンヒン!ハニーがそういうならね! でもあいつがハニーは言わずもがなだけど豚の同胞たちにやってくれたら、僕だって黙ってられないよ」

ハーマイオニー「ヒンヒン言っておくわけ?いつものように豚語で」

ロン「ハニー以外が豚って言うなよ! 違うさ、ゴイルにでも書き取りの罰則をさせてやろう。『僕は ハニーの豚です なぜなら 頭が 豚の尻尾みたいに クルクル パーだから』……HAHAH――」

ルーナ「! っふふ、っふ、ふ、っはは、アハハハハハハハハッハハハハハ!!」

ジニー「!? る、ルーナ??」

ルーナ「クルく、っふふ、ハハハハハハハハハハッ!アッ、ッハハ、八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \ ! !!」

ロン「あ、は、ははっ。そんなにウケるなんて……あー……確かに僕ぁゴイルのモノマネに関してはかなり自信があるよ?何せ一回マジもんになってことがあるからね」

ネビル「……?」

ロン「こっちの話だぜネビル。でも、あー、そこまで、笑えるとは……からかってる?」

ルーナ「ノ \ / \/ \ノ \ / \/ \ノ \ / \/ \ ! ! ! おっかしいぃ! あんたってあんた、なんだっけ?誰?」

ロン「今そこかい!? さっき言いかけてたけど、ほら、近所に住んでるロン・ウィーズリーだよ!またの名をハニーの一番の豚だよ!おっとこっちはハニーだけが呼べるものだけどね!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「なら一々名乗らないでいいじゃない。えーっと、ルーナ?大丈夫?雑誌、足元に滑り落ちたわよ……これ、『ザ・クィブラー』?」

ルーナ「あぁ、あんたって面白い、おもしロンだね――あぁ、あんがと。気になる?読んでも良いよ」

ハーマイオニー「えっ、いいえ、あの、遠慮するわ。だって……あら?シリウス・ブラック特集――」

ハニー「借りてもいいかしら!」

ハーマイオニー「――えぇ、そう言うだろうと、思っていましたとも」

ルーナ「うん。中々面白かったよ。うん、おもしロン、で、っふ、ふふっ、クルクル、ふふっ――」

ロン「ツボに入ったのは分かったからハニーの読書の邪魔するレベルの笑い方やめてくれよな、あとそのおもし僕ってのやめてくれよ」

ハーマイオニー「活用してるじゃないのよ」

719: 2013/03/31(日) 20:06:05.10 ID:zKIYMC890
ハニー「『シリウス・ブラック――加害者か、被害者か――』まぁ……ロン!」

ロン「あぁハニー!了解だよハニー!今度からそいつを定期購読を豚どもの義務にするぜヒンヒン!」

ルーナ「あんがと」

ハーマイオニー「なんであなたが……?」

ハニー「『シリウス・ブラックは本当に黒なのか――大量殺人者?それとも、歌う恋人?』」

ハニー「……なぁに、この見出し」

ロン「ヒンヒン!ストップ!伝令ストップ!!様子見だ豚ども!ヒンヒン!」  ヒンヒン!

ハーマイオニー「騒がしくしないで読み進めましょう……えっと……『シリウス・ブラックとは『例のあの人』の手下の中でも我々にとってもっとも有名な中の一人である。十四年前の大量殺人事件、そして二年前の大胆不敵な脱獄じけんで、この魔法界の紙面を大いに賑わせてきた。』」

ジニー「『魔法省始まって以来の広域捜査網は未だ彼を捕らえるにいたっていないが――』そうよね、黒光りするとっても立派な操作網(笑)よね!」

ネビル「な、なんでちょっと笑いながら言うの? それじゃ、ブラックが捕まるのもほんの時間の問題で……痛い!ロン!痛いよ!なんで脛を小突くんだい!?」

ロン「これはそうじゃないんだけどそうと言えない人の代わりだ!!ヒンヒン!!」

ハニー「出来る豚ね、ロン……『ブラックが再逮捕されて吸魂鬼に引き渡されるべきであることは、誰も疑わない――しかし、そうなのか?』違うわ!!!!」

ハーマイオニー「そうよね、そうかもしれないわよねだからハニー少し抑えて、ほら、肯定的な意見が始まるみたいよ?」

ハニー「そ、そうよね、えぇ。ロン、めくって」

ロン「もちの僕さ!」

722: 2013/03/31(日) 20:32:33.92 ID:zKIYMC890
ハニー「『最近明るみになった驚くべき事実によれば、シリウス・ブラックは十四年前のあの日、殺人現場にはいなかった可能性があるというのだ』……!!」

ハーマイオニー「ハニー、とりあえず喜ぶ顔は控えましょ?えぇ、控えるだけでいいから」

ロン「『「シリウス・ブラックの本名は、スタビィ・ボードマンよ!」パーキス夫人はそう語る』おったまげー」

ジニー「『「彼って十五年前くらいに耳をカブで打たれて引退した、『ザ・ホブゴブリンズ』ってロックバンドのリードボーカルだったの」』……へぇ」

ルーナ「カブってすごいね」

ハニー「『「新聞でブラックの顔をみたとき、私にはすぐに分かったわ!だってその少し前まで、私と彼は恋仲でロマンチックなディナーをしていたのだもの。魔法省は私のこの証言で、すぐに彼を特赦にするって――」』そういえば……若い頃……ロックミュージシャンみたいな格好、してた、って……」

ロン「おいハニーの豚!今すぐあの屋敷まで飛んでこい!!とっちめるんだ!」

ハーマイオニー「やめなさい。ほら、ハニー。本気にするだけ無駄よ、なんだか夢見がちなご婦人の悪い冗談だわ」

ルーナ「――」

ハーマイオニー「だって、この雑誌のほかの記事を見て?『ファッジは小鬼をパイに入れて焼く狂人』、『クリーンスイープ六号に乗って月蛙を袋一杯もって帰ったつきまくりの男』」

ロン「僕の最新型クリーンスイープだって無理に決まってるね。ハニーを乗せたら余裕だけど冥王星くらいまで」

ハーマイオニー「とにかく、ぜーんぶ眉唾にもほどがあるわ。『解明不可能な難解古代ルーン文字』?えぇ、えぇ。これがルーン文字だとしたらロンの居眠り中の落書きだって古代の碑文書として大英博物館に寄贈されるでしょうとも」

ロン「暑くなるなよハーマイオニー、でもやるね。おもしロンだぜ」

ハーマイオニー「気に入ってないで。とにかく、ハニー。真に受けないほうがいいわ。『ザ・クィブラー』ってこういう信じるにも値しない記事を書くクズ雑誌だ、って。有名で――」

ルーナ「あら あたしのパパが編集してるんだけど」

ハーマイオニー「そう、この子のお父様が編集するってくらいだからきっと――えっ。あっ、私、あの……」

ルーナ「返してもらえる? うん、あんがと。信じてもらえる人にしかパパもあんまり読んでもらいたくないだろうから」

ハーマイオニー「……あー、えっと。すくなくとも、えぇ。好奇心は、満たされるわね!あの、面白くって……」

ルーナ「なんでだろうね。あたしとパパが大真面目にやってることって、みんなに笑われるんだ。何が見えてるんだろ、わかんないな」

ハーマイオニー「……あの」

ロン「……君の負けだぜハーマイオニー。謝んなよ」

ハニー「許してあげてくれるかしら、悪気はそんなにないのよ」

ルーナ「?別に怒ってないよ。 不思議なだけ」

735: 2013/03/31(日) 22:09:02.11 ID:zKIYMC890
ルーナ「――」

ハーマイオニー「あぁ、どうしましょう。あんな風に本で顔を覆って……話したくもないくらい、怒ってしまったのかしら」

ジニー「平気よ、あの子の読書スタイルみたいだから」

ロン「君もにたようなもんだろ、ハーマイオニー?おっと、君の場合は本の方に覆いかぶさるって感じだけどね。ハニーの愛は世界中を覆ってるけど」

ハニー「えぇ、そうね。ワールドワイドね」

ハーマイオニー「どんなネットワーク構築してるのよ、もう……ああ、そうだわ。じきに車内販売のカートがくるから、お詫びになにか……あら、噂をすれば?」

ガラガラッ

ロン「……いーや、ハーマイオニ。あのハニーみたいに甘くてステキなお菓子のカートじゃぁないみたいだぜ。その反対、食欲も元気も奪っちまう胸糞野郎さ」

ハニー「何しにきたのよ、マルフォイ」

マルフォイ「礼儀正しくすることだな、ポッター。ポッティーのいかれポンチめ。さもないと罰則だ。生憎僕みたいな誇り高い人間は、このバッジを受け取っているものでね」

ネビル「さっそくホコリだらけみたいなくせに偉そうに」

マルフォイ「なんだロングボトム、罰則をくらいたいのかい?」

ネビル「舐めるな!僕はスネイプの授業で常習だ!君みたいな奴の罰則屁でもないよ!」

ロン「ネビル!漢だ!漢だね君は!豚の――」

ネビル「むしろウエルカムだよ!!」

ロン「戻って来いネビル、いくら豚とはいえそっちに行っちゃいけない。僕らはハニーの豚だろ眼ぇさませマー髭!」

ネビル「痛いっ! ハッ!僕は、なんてことを!ハニー以外からの折檻を懇願するなんて!!!!」

ハーマイオニー「茶番はやめていただける? マルフォイ、私達のいる前で難癖つけてくるのなら、同じ監督生として黙っていないわよ?」

マルフォイ「おぉ、怖い怖い。僕はただ聞きたかっただけさ。おいポッター、どんな気分だい?え?」

ハニー「あなたがいなければ気分爽快よ、えぇ」

マルフォイ「そこのウィーズリーのこそこそイタチやら、グレンジャーの出来損ないの下に着く気分のことさ。僕は一生味わえそうもないからね、参考までに聞こうと思ったんだ」

ハーマイオニー「あなたなんて生まれた瞬間から卑劣だわ。出て行って!」

マルフォイ「ふんっ、いいかポッター。僕は君が犬のように従えるクズども一人さえ見逃さないぞ。そう、 犬 のようにね」

ハニー「あら、それじゃハーマイオニーは猫さんだから大丈夫のようね……?」

ハーマイオニー「何の話をしてるの!違うでしょ、そういう……そう……にゃ、にゃー――」

マルフォイ「そう!犬のようにお前達を困るフォイさせてやるんだ!覚悟するんだな、ポッター!」

ロン「君、とことん空気読めないよな」

ネビル「かえれよ」

マルフォイ「ロングボトムはなんなんださっきから!!!」

ジニー「私達にとってはあなたの存在そのものが理解不能だから早くでていってコウモリの鼻くそ食らうの?」

マルフォイ「~~~っ、ふん!」

ガラガラッ、フォイッ!

ハニー「……最後までうるさいわね」

736: 2013/03/31(日) 22:25:59.18 ID:zKIYMC890
ネビル「ほんと、フォイフォイのやつなんだったんだろうね」

ルーナ「――へぇ、あれがフォイなんだ。城で夜歩いてる時に、足音がフォイになると、っふ、おもし、ロンになっちゃって、進めなくなるから困る、ふぉ、ふふふっ、あはは――」

ジニー「ルーナ、あなたの笑い声心臓に悪いからやめてね?生フォイ聞いてなくてよかったわね。それで、えーっと……マルフォイの、ことだけど。あの、おねぇさま……?」

ハニー「……犬のように、ね」

ハーマイオニー「……知られていたんだわ」

ロン「あぁ、ハニーが犬も飼ってるってことがね!なぁネビル、ルーナ!フォイのことなんてフォイフォイ忘れてそっちの、なんだっけ?ネビルのもってる変な植物でフォイに復讐できないか考えようじゃないかもちの僕で」

ルーナ「ふぉ、あっは、ははっ、ッハハ、八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \ !  ! !」

ネビル「こ、声大きいよルーナ!?それとロン、これ、『ミンビュラス・ミンブルトニア』っていって……」

ロン「えっ?なんだって?ダンブルドア?」

ネビル「君達兄妹そのネタ好きだね!?」

ハーマイオニー「……ルーナとネビルがいるところでは、詳しく話ができないわ」

ハニー「……後でロンにはあーんをしてあげようかしら」

738: 2013/03/31(日) 22:50:53.52 ID:zKIYMC890
ガタンゴトン、ガタンゴトン

ハニー「さぁ、出来る豚にはご褒美よ、ロン。あーん」

ロン「ヒンヒン!恐れおおいよハニー!ありがとうございまモグモグ生きててよかった!!」

ネビル「ずるい!ずるいよロン!君ばっかりいつも得をして!僕もハニーのマットになれれば……!」

ロン「残念だったねネビル!漢の君にもこればっかりは譲れないよもちのロンで!」

ハーマイオニー「……譲る時が来たかもしれないわ。ロン、そろそろ時間よ?」

ロン「えっ?ハニーへの溢れる想いを叫ぶ時間かいあぁハニー君って最高だよ!!」

ハニー「えぇ、知ってるわ」

ハーマイオニー「そんなの常日頃でしょ。そうじゃなくて、見回りの時間。それに、もうお城に着くからまた先頭車両に行かなくっちゃ……ハニー、ごめんなさい」

ハニー「いい、ってば。あなたたちの仕事でしょう?これから三年間、毎回そうするつもり?あんまりしつこいと謝る度に喋れなくしてしまうけれど」

ハーマイオニー「……ごめんなさ――さ、させないわ!今年は!今年は私、監督生なんだから風紀を、風紀をあの!」

ネビル「いやいや気になさらず」

ロン「なーに返って空気がよくなる」

ジニー「だからどうぞ、つづけて」

ルーナ「? どうぞ?」

ハーマイオニー「あなたも分からないのに乗らないで! ほら、ロン!行くわよ!」

ロン「あっ!おい、ハニー以外が僕の首輪を引っ張るのはやめろよ!あぁハニー!またすぐ列車の外でねハニー!ヒンヒン!」

ガタンガタン、ガタン、ガタン……

739: 2013/03/31(日) 23:15:01.87 ID:zKIYMC890
ホグズミート駅

ガヤガヤガヤガヤ ザワザワザワ

ハニー「……寒いわね。あぁ、あなた。えっと、ルーナ。ロンの鳥篭を持ってくれてありがとう」

ルーナ「――いいよ。このふくろう、知り合いなんだ」

ハニーの豚「ピピィーヒーン!」

ハニー「あぁ、そういえばあの時……知り合い、って。へぇ。言葉は通じないと言っていたのに?まぁ、私は言葉がなくとも跪かせるけれど」

ルーナ「どうだろ、あたしの言うことって普通の人でも分かんないことが多いみたいだから。返ってそのほうがいいんじゃないかな。あんただって、言葉が通じる人間ならなんだって分かってもらえるわけじゃないでしょ?同じだよ」

ハニー「……ふくろうの話から、随分飛んだわね」

ルーナ「? ふくろうの話しかしてないよ、あたし」

ガヤガヤガヤガヤ
 ヒソヒソ、ヒソ

ハニー「なんでもないの。また、この視線ね……さて、ハグリッドはどこかしら。いつも通りなら、このくらいで……あら?」

「一年生はこっちにおいで!一年生!早くおいで!こんな天気の日に年寄りに無理させんじゃないよ!」

ハニー「あれは……グラプリー・プランク先生!?」

ネビル「あー、去年ハグリッドの代わりに『魔法生物飼育学』をおしえた……あれ?ハグリッドは?」

ジニー「知らないわ。ねぇ、早く城に向かいましょう?おねぇさまを冷やしていいと思ってるの、同胞のみんな」

コリン「ヒンヒン!それはいけません!さぁハニー!行きましょう行きましょう!」

ネビル「あっ!コリン君どっから出てきたのさ!ロンがいないなら僕がハニーの後ろヒンヒン!」

ハニー「押さないの、待ての出来ない豚は嫌いよ……あら?」

ネビル「どうしたのハニー!」

ハニー「……ねぇ、あれがいつもの、馬車よね?」

ジニー「そうだけど、何か変わりがあったの?」

ハニー「……一目瞭然じゃない。あんな……皮ばった爬虫類のような皮膚に、コウモリみたいな翼?頭はドラゴン、みたいな……」

ハニー「可愛い馬がいるわ!!!」

骨馬「……ブルルンッ!」

ネビル「……?」

ジニー「……?」

ルーナ「――」

ハニー「ねっ?とってもおかしな……あら、ロン!やっと来たのね」

ロン「あぁ、ごめんよハニー!こんな寒空を君に歩かせるなんておい豚ども何やってんだカーペットになりやがれ……えーっと、何の話をしてたんだい?道端にスクリュートでもいたのかな、可愛いって聞こえたけどさ」

ハーマイオニー「野生化したなんてそれこそ大惨事だわ。馬車がどう、って?ハニー?」

ハニー「えぇ、だって、ほら。こんな、骨のような馬が引いているのは初めてでしょう……?」

ロン「……?あぁ、いや、ちょっと待っててくれハニー。君が言うならそうなんだ、世界の真理だ、開け僕の中の真実つまりはハニーを見る目……見えた!なんてこった!チャドリーキャノンズが優勝だ!!!!!」

ハーマイオニー「明後日の方向を幻視しないで。別次元と言ってもいいわね……ハニー?えぇ、っと。その馬車は、いつもの通りだとおもうのだけど……?」

ハニー「……え?」

ルーナ「――」

741: 2013/03/31(日) 23:20:41.17 ID:zKIYMC890

あまり言い訳したくないのだが一つだけ。骨馬のネタバレ含むので嫌な人は読み飛ばす方向で
この骨馬を見られるようになる条件は、原作で言われたことだと矛盾が生じるため
ローリングのインタビューで明言された
『直面した氏を正しく理解した後見られるようになる』とある
原作ハリーがセドの氏の帰りの馬車ではまだ骨馬を見られなかったのはこのため
なので、ハニポタにおいては去年度の両親のゴーストでも霞でもないものがヴォルの杖から現れるのをみて
『ヴォルから引き継いでいた両親の最期の記憶を改めて理解したため見えるようになった』
という方向でまぁ細かいことはマー髭!!!!!で 以上

750: 2013/03/31(日) 23:32:01.33 ID:zKIYMC890
ハニー「見えないの?だって、こんな……霞んでもない、ここにいるのに?冗談はよして」

ハーマイオニー「あなたこそ、冗談じゃ……えぇっと、えぇ。ハニー、あなたがそんな冗談を言う人でないのは、分かってるけど……」

ロン「うーん、うーん……ハッ!見えた!!おい馬!なに一番の豚の僕をさしおいてハニーに熱い視線送ってんだ!マーリンの髭!」

ハニー「……ロン、そっちの馬?は今目をつぶっているわ。じゃぁ……本当に、これは……」

ルーナ「あんたがおかしくなったわけじゃないよ」

ハニー「……えっ?」

ルーナ「見えるよ、ヘンテコな天馬でしょ?あたし、入学したときからずーっと見えてたもン」

ハニー「あなたにも……?」

ハーマイオニー「ロン、万眼鏡も試してみましょう。なんとしても私達だってみるのだから!」

ロン「俄然もちの僕さ!!!!」

ルーナ「無理じゃないかな、あたしも初めて見える人に会ったし。そもそもあんまり人と喋んないけど。だから、あんたは何も変じゃないよ」

ハニー「……」

ルーナ「あんたは、あたしと同じくらいまともってことだもン」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……」

ルーナ「そうは思えないくらい、変な人だけど」

ハニー「……ふふっ。あなたにだけは、言われたくないわ」

751: 2013/03/31(日) 23:47:22.52 ID:zKIYMC890
ガラガラガラガラガラ

ロン「馬……馬……うーん……馬ってなんだっけ……マーリンの髭?」

ハーマイオニー「知恵熱出ているわよ。もうやめにしましょう、見えないものは仕方ないわ……とっても不服だけど」

ハニー「私も何が原因で見えているのか分からないから、教えられないわよ?」

ジニー「うぅ、またおねぇさまたちがついていけないお話を……ね、ねぇ!ハグリッドは、どうしちゃったのかしら」

ネビル「さっき僕それ振ったとき流したよねジニー!?えぇっと、病気にでもなったのかなぁ。風邪とか」

ロン「ハグリッドが寝込む風邪なんてハニーが近づいたら一発でゲフンゲフンじゃないか!主にハーマイオニーの看病的な意味でゲフンゲフン!」

ハニー「えぇ、そうね。二人で仲良く療養しないといけないわ」

ハーマイオニー「絶対あなた薄着で治す気ないと思うわ、絶対。あー……何かトラブル、かしら」

ルーナ「――巨人にだけ悪いことをさせる歌、ってのを聴いたのかな。前の号で特集してたんだ」

ロン「おいおい、何を読んだか知らないけどな。彼は半巨人ってだけだぜ?」

ハニー「それにそんな眉唾なものなんかでハグリッドは悪いことなんてしないわ。私の豚だもの。それだけですぐに正気よ」

ルーナ「そっ。だといいけど、レイブンクローじゃあの人あんまりいい教師じゃないって言われてるから、喜ばれるかもね。あたしは面白いと思うけど」

ハーマイオニー「あー、それにはすこーしだけ分からないでも……冗談、冗談よ、ほんの……きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうねハーマイオニー。そんな冗談口にする人の口は塞いで、おともだちの大切さ、体に教え込まないと、ね……?」

ハーマイオニー「あっ、そ、そんな、だって、今年私達『ふくろう試験』で、ちょっと、不安だったの、あの、あぁ、もちろんハグリッドはとっても素敵なお友達、あぁ、ハニー、あなたの大切さなんて、『叫びの屋敷』の真実くらい知っている、わ……」

ロン「つづけて!」

ジニー「どうぞ!」

ネビル「ヒンヒン!」

ルーナ「あれ?あんなところにナーズルがいる……なんで百合の花のところにいるんだろ――?」


753: 2013/04/01(月) 00:05:32.66 ID://3yM1Fb0
大広間

ロン「あぁ、ここに来ると戻ってきたんだなーって感じするよな。ハニーの笑顔は常に僕らの中に残ってるけど」

ハニー「えぇ、そうね。供給も無尽蔵だから安心しなさい……帰って、きたのね」

ヒソヒソヒソ 

ハニー「……また、好きじゃない視線はついているようだけれど」

ハーマイオニー「何度目、っていうお話ね。気にしないのが一番よ、ハニー。まったくここの城の人たち、流されやすいにもほどがあるわ。この言い回しも何度目かしら」

ロン「ほぼ毎年な気がするよ。ルーナはあっちの、レイブンクローのテーブルに行ったね。君に中々懐いてたから、流れでこっちに来るもんかと思ってたよ」

ハニー「あれは懐いたというより、面白がっていたのよ。この私を。まったく」

ロン「豚にするかいハニー!ヒンヒン!」

ハニー「やりにくいから、考えておくだけにするわ。夜中の城の廊下で何をしているのかは、聞きたいところだけれど……ジニーは」

ハーマイオニー「私達についてくるかと思ったら、途中で同級生たちに呼び止められたわね……えーっと、男の子達のグループに」

ロン「……あいつら、ジニーの肩に少しでも触れてみろ。マーリンの髭を生やさせてやる髭」

ハニー「普通に仲が良さそうなのだから、余計なことはしないのよ、ロン」

ハーマイオニー「まったくステキなお兄様ですこと。先が思いやられるわね……ハグリッドもいない、わ」

ハニー「……教職員テーブルにあの豚がいないと、ひっそりして見えるわね、えぇ」

ロン「寂しいよねハニー、分かってるよ僕は君の一番痛い!ありがとう!」

754: 2013/04/01(月) 00:21:42.50 ID://3yM1Fb0
ロン「それにしても、ハグリッドの奴どうしたのかな。良い同胞だし、もちのロン友達として心配だよ僕ぁ」

ハーマイオニー「預言者新聞にハグリッドのことは一度も書かれてなかったもの、また閉じこもっているという線はないでしょうし……本当に、病気なのかしら」

ハニー「……きっと、あの腹黒なら知っているのでしょうね」


ダンブルドア「――」


ロン「ダンブルドア? そりゃ、あの人なら大概のこと知ってるだろうけどね。ハニーのことなら負けないけど」

ハーマイオニー「私も参戦させていただくわよそんなもの。どういうこと、ハニー?」

ハニー「ほら、きっと。ハグリッドとマダム・マクシームには何か同じ任務が与えられた、そう言っていたでしょう?それがまだ終わっていないのだわ」

ロン「あー、そりゃありえそうだよハニー。なんてったって君の言うことだからね……あれ?足りないといえば、さ。まだ『闇の魔術に対する防衛術』の新しい先生らしき人、いないな」

ハーマイオニー「本当ね……あぁ、あれよ。あそこの人じゃないかしら?ハグリッドを探したせいで上を見すぎていたのね。あそこ、フリットウィック先生よりはもちろん大きいけど、とっても小柄な人のようだわ」

ロン「うん? うわっ、あれか。なんだいありゃ、早すぎる春のおめでたい陽気が人の形してるみたいだ。まっピンクのローブに、まっピンクのカーディガン、まっピンクの……ベール?マーリンの髭」

ハニー「顔が隠れているわね……でもなんだか、どこかで覚えがある服装のセンス、だわ。なんだかこちらを見ているような視線も、ね。」

???「……」

759: 2013/04/01(月) 00:33:31.76 ID://3yM1Fb0
ガヤガヤガヤガヤ
 ザワザワザワザワ
 
ヒソヒソヒソ ヒン

ロン「よーし、ぶれない奴らもいるな。流石ハニーの豚」

ハニー「当然ね、私の可愛い豚たちだもの。随分とまた押されているようだけれど」

ロン「ヒンヒン!最後の一匹になっても僕は鳴き続けるよハニー!ヒンヒン!」

ネビル「僕だってヒンヒン!」

ヒンヒン!

ハーマイオニー「はいはい、グリフィンドールの大方は平気のようでよかったわね。静かにして、組分け帽子がおかれたわ」

マクゴナガル「一年生、お入りなさい!」

ギィィィィッ

ゾロゾロゾロゾロ

ロン「うわー、ちっこいジャリどもがたくさんだ」

ハーマイオニー「ロン!」

ロン「おっとごめんよ、未来のハニーの豚候補がたくさんだ」

ハーマイオニー「……もう何も言わないわ。私だって、『S.P.E.W』に一人でも多く加入してもらうんだから!」

ロン「おいおいハーマイオニー、君まで監督生の権力を濫用しないでくれよな。マーリンの髭」

ハニー「言い争いはやめて、もう……組分けが、歌いだすわ。今年も、去年とは違うのよね?」

ロン「あぁ、君にとっては三曲目かな?さーて、奴さん今年はどんな歌だろうね」



組分け「あー、あー――みんなありがとう」

……

組分け「突然だけど――みんな、友情、って……なんだろう」

ロン「……」

組分け「分からない、僕には――分からないんだ。一番よく知っていた、はずなのに」

ハーマイオニー「……」

組分け「そんなわけで、聴いてください 『組分けのバラード~1995年夏with創設者』」

ハニー「……スッと歌い出しなさいよ」

761: 2013/04/01(月) 00:56:02.40 ID://3yM1Fb0


  昔々のその昔 私がまだまだ新しく
  ホグワーツ校も新しく

  創始者四人も若かりし
  想いに別れを思いもせず

  同じ絆で結ばれた

  同じ望みは類なき
  魔法の学び舎興すこと
  四人の知識を残すこと

 「ともに興さん、教えん!」と

  四人の『友』は意を決し
  ホグワーツ校を興したり

  これほどの友ありうるや?
  スリザリンとグリフィンドール

  匹敵するはあと二人?
  ハッフルパフとレイブンクロー

  あぁ、願わくば聞きたまえ

帽子の歌う言の葉を
  歴史の残す真実を

  かくも固き友情は
  四人の結んだ絆の行方は
  いつしか綻び崩れ去る

  純血のみを教えたり
蛇はその身を眩ませた
  
  最も鋭き知能を追った
  鷹は地に落ち戻らない

  善良で全てを教えた優しさの
  穴熊は深き眠りにおちる

後に残るは、獅子なりしのみ
  勇気を求めし獅子なりしのみ

  
  悲しき歴史は時を巡り
  此度の城にも至りたる

  私の役目は分けること
  されど憂えるその結果
  
  毎年行う四分割
  恐れし結果が来はせぬか

  帽子の歌をききたまえ
  歴史の警告を利きたまえ

  ホグワーツ校は危機なるぞ
  外なる敵は恐ろしや

  我らが内に固めねば
  崩れ落ちなん 内部より

  ホグワーツ校の四寮は
  今ぞ手を取り助け合わん

  かつての四人がそうであり
  獅子の夢見た学び舎がため…

  さてさてはじめん! 組分けを


762: 2013/04/01(月) 01:09:29.15 ID://3yM1Fb0
パチパチ……パチ
 ザワザワザワザワ ヒソヒソヒソ

ロン「あー……なんだか今年の歌は、いつもと違ったね?え?いつもはくどいくらい寮の特色を歌うのに、今年のは、なんていうか……悲劇でも聞いてる気分だった」

ハニー「……というか、そのまんまね。そこから、現状に対しての……警告」

ハーマイオニー「驚いたわ……これまでもこういうこと、あったのかしら」

「えぇ、ありましたとも」

ハニー「!  ニコラス・ド・ミムジー・ポーピントン郷。私の豚ならば、私の目の前の皿を透かして登場するような無粋なことはやめなさい」

ロン「そうだぜ『殆ど首なし豚のニック』!僕の上でハニーが驚いて縮み上がって痛い!」

ニック「これはこれは申し訳ありませんハニー!我らが霊魂の救済者ハニー!ヒンヒン! えぇ、前回の『例のあの人』の時代にも、あの帽子はこういった歌をよこしたことがありますよ」

ハーマイオニー「……外は危険、私達がお互いに、って?」

ニック「左様。あれはいつも校長室にいますからな。ダンブルドアが何かしているのを感じ取り、自分の歌で生徒に警告を促すのを名誉と思って、歌を考えているのでしょう。一年他にやることなくて暇でしょうし」

ロン「最後」

ハニー「たまに私の眼になったり、口から剣を吐いたりもするけれどね……あの歌バカも、創設者四人の知恵の結晶と言うだけある、ということね」

ハーマイオニー「そう、ね……歴史の重みある言葉だもの、説得力が……」



マクゴナガル「アバクロンビー、ユーアン!」

組分け「言いにくい!アズカバn」

マクゴナガル「遊ぶなら糸をすべてほどきますよ!?!?」

組分け「実はグリフィンドーーール!!」


ロン「えーっと、歴史の重みが、なんだって?」

ハーマイオニー「……うるさいわ」

ハニー「四人も中々ふざけた人たちだったのよ、えぇ」

769: 2013/04/01(月) 01:25:07.50 ID://3yM1Fb0







マクゴナガル「ゼラー、ローズ!」

組分け「スリザリンかと思った?スリザリンかと思った?よろこべ!グリフィンドーーーーール!!!」

ワーーーーワーーー!
 パチパチパチパチ 性格悪いぞ組分けーーー!

組み分け「ありがとう、ありがとう。いやぁ確かに最後の発表の仕方はこの一年の集大成で――」

マクゴナガル「来年一度でもやれば四つに裂きますからね」

組分け「!? そ、それでは諸君、また来年!!」

パチパチパチパチパチ
 ザワザワザワザワザワ

ロン「まだあの歌の件でざわついてるね。僕の胃袋はハニーに会えなかった時期くらいざわついて仕方ないけどさ」

ハーマイオニー「あの頃とは違ってただ単におなかがすいてるだけでしょう?」

ハニー「私を見ているだけでおなか一杯なのではないの、ロン?私の豚?」

ロン「あぁ、君って僕の心の栄養だからねハニー!ヒンヒン……おっ!ダンブルドアが立った!いよいよだ!」


ダンブルドア「えーオホン、オホン。一年生の諸君、入学おめでとう。わしがダンブルドアじゃ。ほれ、カエルチョコカードの通りじゃろ。どうじゃ?有名人じゃよ?」


ワーーー スゲーーーー
クスクスクスクス


ハーマイオニー「……相変わらずの人ね、ダンブルドア先生って」

ハニー「……あんなに楽しそうなのはとても久しぶりだけれどね、えぇ。なによ」


ダンブルドア「さて、さて。古顔の諸君もこんばんはじゃ。ともあれ挨拶するにはまた後に時間がある。今は――おもいっきりかっ込めぇええい!」

ロン「いいぞいいぞ!!」

ネビル「わぁい!料理だぁー!」

ワーーーワーーー!
 パチパチパチパチパチ! ガヤガヤガヤガヤ



ダンブルドア「じゃが校長先生からの忠告じゃ。今年は食べすぎんほうが……しもうた、遅かった……ポモーナ、胃薬の準備を大至急……」

ポンフリー「例年の倍以上ストックしてありますわ、校長先生」

???「……」バクバクバクバクバクバクバクッ

772: 2013/04/01(月) 01:28:42.12 ID://3yM1Fb0
×ポモーナ
○マダム・ポンフリー
ポモーナはスプラウト!マーリンの髭!!!

778: 2013/04/01(月) 01:44:25.09 ID://3yM1Fb0
ガヤガヤガヤガヤ
 カチャカチャ、ガチャンッ
ワイワイワイワイ

ハニー「……」

ハーマイオニー「? ハニー、食欲がないの?」

ロン「もしかして例のあの馬とかなんとかのせいかいハニー!?あぁハニー、それともハニー、このうざったいヒソヒソのせいかな!?君が注目を集めるのは世の常なんだから気にしてたらキリ無いよだって君は僕のハニーだからねヒンヒン!」

ザワザワザワ ヒソヒソ

ハニー「……そんなんじゃないわ。それにあの馬は、可愛いって言ったでしょう?そうじゃなくて……いやな、予感がして」

ハーマイオニー「それで食べない、というわけ?もう、屋敷しもべ妖精が頑張ってつくってくれた料理なのに、食べないなんて」

ロン「あれ、丁度一年前の君からは思いも寄らない成長っぷりじゃないかハーマイオニー。この分じゃ来年には連中をはべらせてブヒブヒ言わせてるね怖い!フォークを目の前に突き刺すなよハニーのふとももに当たったらどうすんだ!!!」

ハーマイオニー「去年とは違って彼らの仕事を尊重することにしたの。それに、今年は色々と多角的に行動するんだから」

ロン「おいおい、まさかあそこでやった経験を生かして『お掃除体験教室!~屋敷しもべ妖精の気持ちを体感しよう~』なんてもん、おっぱじめる気じゃ……」

ハーマイオニー「!冴えてる、ロン、あなたとっても冴えてるわ!それ、いただきよ!流石ハニーの豚で『S.P.E.W』の幹部ね!!」

ロン「……ハニー以外が僕を豚って呼ぶなよ。あといつから僕幹部なのさマー髭」

ハニー「……これ以上ヒートアップされても困るから、糖蜜パイだけ、いただくわ」

783: 2013/04/01(月) 02:05:40.72 ID://3yM1Fb0
ザワザワザワザワ 
 ヒソヒソヒソ ガヤガヤ

ダンブルドア「全員よく食べ、よく飲んだようじゃの。うむ、わしも正直もう眠い。今すぐここでベッドに向かってアクシオるかわしの特権校内『姿くらまし』るかもうこのまま立ったまま眠ってしまおうかと思っておる――ところ――j」

マクゴナガル「アルバス」

ダンブルドア「うぉっほんおはよう諸君。君らが眠りをも貪る前にいくつかお知らせじゃ。脳みその端っこでよいから叩き起こして聞いてくれんかの。なーに、他愛ない話じゃ。天井の星の数を数えている間に終わるじゃろ」


ハニー「……本物の空映すから無数じゃないのよ」


ダンブルドア「今回で記念すべき五百回目になるそうじゃが、管理人のフィルチさんから伝言じゃ。授業と授業の間に廊下で呪文を使わないこと。その他諸々の禁止事項はフィルチさんの管理室の壁に全て張ってあるので、いつでも見にきていいそうじゃ」


フレッド「おいおいご冗談だろ校長先生、そんなことしてたら奴さんの部屋は羊皮紙で溢れっちまってるよ。そんな嘘じゃだまされないね、エイプリルフールじゃあるまいし」

ジョージ「大方ヒントを貰おうとしてノコノコとやってきた生徒をしょっぴいちまうんだろ、涙が溢れるね。あぁ、つまりは俺達二人の誕生日じゃあるまいしねってな、相棒」


ダンブルドア「ステレオで合いの手をどうもじゃミスター・ウィーズリーツインズ。さて、今年は二人、新しい先生をこの場に迎え入れることとなった。まずは、一時的な代理じゃが『魔法生物飼育学』の担当としてグランプリー・プランク先生を。心から歓迎申し上げましょうぞ」

パチパチパチパチパチ!

プランク「はいはい、ありがとねぇはいはい。すこーしのあいだだがね、あたしゃ」


ハニー「あの人には何にも恨みはないけれど、本当にそうだといいわね」

ロン「ハグリッドはいつ帰ってくるかなぁ」

ハーマイオニー「きっと、すぐよ。本来なら夏で終わらせるはずの任務だと思うもの……信じましょう?」

ハニー「当然よ。私の可愛い、豚だもの。わたしの、ね」


ダンブルドア「そしてもう一人。恒例の……『闇の魔術に対する防衛術』の――」

???「エヘンッ、エヘンッ!」

ザワザワザワザワ

ロン「うん? なんだろ、いまの声……随分女の子っぽい咳払いだったよな、ハニーには何周差か分からないくらい劣るけど」

ハニー「あれと比べられたくはないわ……いいえ、まだ、まだよ……」

ハーマイオニー「?ハニー、なんだかあなた顔色……あっ、あのまっピンクの人が立ち上がったわ!?」

ロン「文字通りだと緋色のおべべ、って感じだけどさ……声はすっごい、女の子っぽいな。マーリンの髭!」

ザワザワザワザワ

「女教師か……!?」
 「すっごい可愛い声だぞ!!」
「顔、顔が見たいなっ……!!」

???「あらあら、みなさんあわてんぼうですのね。校長?わたくし、自分の紹介は自分でいたしますわ。少しお時間をいただけますかしらっ♪」

791: 2013/04/01(月) 02:29:39.98 ID://3yM1Fb0
???「エヘンッ、エヘンッ!みなさん、静粛にっ」

ザワザワザワザワ


???「ホグワーツに戻ってこられて本当に、嬉しいですわ!それに、みなさんの可愛いお顔がわたくしを見上げているのも!とってもとってもステキっ♪」


ザワザワザワザワ

フレッド「なんだよなんだよ、僕らは五歳児かい?なんなんだあのあやすような甘ったるい声は」

ジョージ「そうだそうだ、だのに馬鹿な野郎共は何人か照れてやがるぜ、ったくあまっちょろい」


???「みなさんとお知り合いになれるのをとても楽しみにしていますわ!そして――エヘンッ、エヘン」


ハニー「……あの咳払い、あの風貌……やっぱり……」



???「わたくしは魔法省から来た者として申し上げます。魔法省は常々この若い魔法使いや魔女の教育は非常に重要であると考えていました――」

ザワザワザワ ヒソヒソ

ロン「な、なんだかいきなり話し方が変わっちまったね、なんていうか、機械的?ハニーに尽くす僕らは機械も顔負けの従順さだけどね」

ハーマイオニー「……魔法、省!?」


???「みなさんが持って生まれた才能は、慎重に教え、導き、そして養って磨かなければものになりません。この魔法界の古来からの技は正しくそして等しく後代に伝えていかなければ、永久に失われてしまいます。そのような知識の宝庫を守り、また伝承する気高い教育という職場にいるみなさまに、わたくしは敬意を表し、そしてわたくし自身もそれらを守り、補い、磨く者として務めていく所存です」

マクゴナガル「――っ」

スネイプ「……チッ」


ハニー「……スネイプに同調したいのは初めてね……何にも、今の言葉にはなんにも心が篭ってない……きっと、これからの……」



???「しかしながらこの学園、ホグワーツは歴史あるあまり昨今では何らかの新規なものを導入していたように思えます。もちろん、そうあるべきです。進歩なければ待つのは衰退と停滞、しかしながら! 進歩のための進歩!これは奨励されるべくではありません。我々が守り進歩をもって磨くのは、証明された伝統と磨かれてきた歴史であり、手を加える必要のない真実なのです。ですから進歩のための進歩はむしろ非であり、我々が退けるべきと言え――」

ザワザワザワザワ

ロン「おい、ネビル。あの人の言うこと、すこしでも分かるか?」

ネビル「……へ?あ、うん。ごめんよ、ねてた」

ハニー「……みんな、聞く気もなくしたようね。あら、ルーナなんてまたあの雑誌……チョウは、お友達とお喋りしているわ。ねえ、ハーマイオニー?私達……あら」

ハーマイオニー「……ダメよ、ハニー。聞いていないと」

ハニー「……真剣なのは分かるけれど、あんまり見ていないほうがいいと思うわ」

796: 2013/04/01(月) 02:54:50.21 ID://3yM1Fb0
???「――ですから大事なのはバランス、古きものと新しきもの、恒久的なものと変化、伝統と革新――」


フレッド「バランスだとよ、あんたのその目にも厳しい桃色一色はなんなんだ、と言いたいね」

ジョージ「まったくだ。なんならあの隠してる目のあたりにクソ爆弾でも一発投げ込むかい?」

ハニー「……私の思っているとおりなら、これからそれ以上の阿鼻叫喚になるわ」

フレッジョ「はっはは、冗談きついぜ、エイプリルフールじゃあるまいし!」」


???「――すなわち!変化には改善の変化ある一方で!時満ちれば、判断の誤りであったと認められるような変化もあるということです!古き慣習は維持されまたそうあるべきですが!時代遅れとなったものは放棄されるべきでしょう!」

ザワザワザワザワザワ


ロン「おいおい、なんだか熱が入ってきたぞ。相変わらず、言ってることはちんぷんかんぷんだけど。ハニーの美しさくらい明瞭だったらいいのにね」

ハニー「一目見れば誰でも分かるわね、えぇ。でもロン、あの人の方を向いてはだめよ……あぁ、みんな、まくしたて始めたのに気づいてみてしまっているわ……」


???「さあ、みなさん!可愛いホグワーツのみなさん!保持すべきは保持し、正すべきは正し、禁ずべきやり方と分かったものはなんであれ切り捨て、いざ前進しましょう♪」

ザワザワザワザワ

「なんだか良いことを……言ってる?」

「わかんねぇ……でも声優しいし」

「あぁ、おまけに可愛いっぽいし……」

???「さぁ!魔法省と共にいざ!」

バサッ!


アンブリッジ「このドローレス・ジェーン・アンブリッジが!みなさんを解放的で効果的で、かつ責任ある新しい時代へ!お連れしますわっ♪」



ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
アアァアアアアアアアアアアアア!??!?  オアアアアアアアアフォオオオイ!?!?

ロン「ヒンヒンヒン!おい豚どもバリケードだ、っぷ、ハニーに一目もふれさ、うぶっ、うぇ、おったまげー!なんだありゃ!?蛙!?人の服着た……早く壁を!!」

ハニー「ハーマイオニー、ハーマイオニー、気を確かに……んっ」

ハーマイオニー「ぅう、なに、が、おき――!?っちょ、んっ、ふっ、んんっ!?」

ロン「よーし!豚ども仕事が速いな!これであのカエルババアの姿はハニーに見えないし、おまけにハニーたちの姿も中にいる僕にしか、え?なんだって?そこ代われ?ふきとべ?もげろ?HAHAHA、やだねっ!!

797: 2013/04/01(月) 02:58:19.37 ID://3yM1Fb0
ハーマイオニー「んっ、はに、は、にー!やめ、いいえ、やめ、てほしくはない、けど、ちょっ、と!聞いて、頂戴!あの、人。とんでもないことをしようとしてるわ!」

ハニー「えぇ、とんでもないのは見れば分かるったら。見たらみんなみたいになるのでしょうから、やめてほしいけれど」

ロン「あぁ、男子の八割は机につっぷしてるし、女子の大半は泣いてるし、あと、ルーナはなんだか鼻歌歌ってるねなんなんだあのこ、ウップ」


ルーナ「~~♪人間蛙はいたんだよ、パパ、っと~~~♪今年は楽しくなりそうだもン!手紙は減ってもゆるしてほしいな」


ハーマイオニー「見た目じゃ、なくって!あの人の言っていたこと、聞いてた!?つまり……魔法省がこの学校に、干渉すると言っているのよ!?」

ハニー「……」

ロン「……」


アンブリッジ「あらあら、ここでもわたくしは大人気のようですわ……よろしく、みなさんっ♪」

ウワアッァアアアアアアアァアァlバババババババ


ハニー「……武力で?」

ロン「あぁ、おっそろしい生物兵器をぶちこんできたよな、もちのロンで」

ハーマイオニー「そ、それも、あるけど、そうじゃなくて!もう!」

ハニー「何を考えていようと、知ったことじゃないわ」


ハニー「私には、騎士団。いいえ、私の豚団がついているんだもの?そうでしょ?」

ロン「ヒンヒン!もちのロンさ、ハニー!」

ハーマイオニー「……緊張感に欠けるんだから、もう」

ヒンヒーーーーーン! ヒソヒソ……ヒソ



つづく

800: 2013/04/01(月) 03:01:19.16 ID://3yM1Fb0
残りのページ数考えると終わるわけあらへんからこのスレは学校開始前で区切りや!
上巻でこれじゃ先が思いやられるで!
次はまた日曜になりそうやけど堪忍な!
ラドクリフお大事に
じゃあの!


 ハリー・ポッターシリーズ

 一巻~七巻

 世界的大ヒット発売中!

 2014年後半、USJにて

 ハリポタアトラクション建設決定!!

 グッズ各種、先行発売中 ! !

801: 2013/04/01(月) 03:03:13.07 ID:eXf+oGaAO
お疲れ様!
続き楽しみに待ってるよ

802: 2013/04/01(月) 03:03:28.83 ID:l6W9MUpRO
乙フォイ!

803: 2013/04/01(月) 03:04:36.05 ID:7OlfpPmK0
長いことお疲れさんです
俺たちは気長に待てる豚だからな
日曜まで待つなんてへっちゃらさ!ヒンヒン!

引用元: ハニー・ポッター「騎士団、いいえ。私の豚団ね、そうでしょ?」