1: 2007/09/11(火) 21:00:20.14 ID:CXkOPuZC0
キョン「え……」

4: 2007/09/11(火) 21:02:24.75 ID:CXkOPuZC0
ハルヒ「古泉くんが超能力者でしょ」
古泉「はい」
ハルヒ「有希が宇宙人で」
長門「……」
ハルヒ「みくるちゃんが未来人」
みくる「ふぇ?」
ハルヒ「で、あんたはなんなの」
キョン「一般……人……です……」
涼宮ハルヒの憂鬱 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)
6: 2007/09/11(火) 21:04:17.40 ID:CXkOPuZC0
ハルヒ「それにあんた面倒くさいとか言ってたでしょ?」
キョン「それは……」
ハルヒ「不思議なことが存在すると分かった以上一般人に用はないの」

11: 2007/09/11(火) 21:07:37.52 ID:CXkOPuZC0
ハルヒ「はやくでていきなさい」
キョン「ちょっとまってくれよ!!」
ハルヒ「なに?」
キョン「実をいうと、俺は今までやってきたこのSOS団が楽しかった。三人が一般人じゃないと分かったあともだ。
    それに、俺だって正式な団員の一人じゃないか。こんなことでやめさせるなんてなっとくいかないぞ」
ハルヒ「いいたいことはそれだけ?」
キョン「h……――」

バタンッ

19: 2007/09/11(火) 21:14:15.92 ID:CXkOPuZC0
SOS団を強制退団させられた俺は、あまりの悔しさと絶望に次の日学校を休んだ。
古泉からの電話があったのはその日の夜のことだった。

古泉『調子はどうですか?』

キョン「ああ……だいぶ落ち着いてきたよ」

古泉『今回の件ですがね、僕としては正直、今夜あたりに閉鎖空間が大量に発生するものと思ってたんですよ』

キョン「……」

古泉『だいたい分かってるようですが、お察しのとうり、閉鎖空間の出現率は0です。
   どうやら涼宮さんはあなたを退団させたことになんの後悔も抱いてないと。
   むしろ不思議の発見があって喜んでると言ってもいいくらいです。』

24: 2007/09/11(火) 21:19:00.02 ID:CXkOPuZC0
古泉『残念ですが、「機関」としても、SOS団としても、僕達があなたに会う事はもうないようです。
   僕は涼宮さんがあなたに好意を抱いてると思ってたんですがね、どうやら思い違いだったようです
   それでは、僕は来週のキャンプの準備があるのでこのへんにしたいと思います。
   あなたにこれ以上説明してもなんの意味もないので
   どうぞ明日の準備にでもとりかかって下さい。では』

…プツ

25: 2007/09/11(火) 21:20:58.06 ID:CXkOPuZC0
次の朝

谷口「よぉ、キョンじゃねーか。どうした? 元気ないな」

キョン「まあ……色々あってな……」

谷口「ん? もしかして仲間はずれにでもされたか?wwww」

キョン「……」

谷口「え?」

31: 2007/09/11(火) 21:25:38.10 ID:CXkOPuZC0
谷口「ああ……そりゃ残念だったな」

キョン「……俺の今までの活動はなんだったんだ。ということだ……」

谷口「まあ、あいつらのことなんてさっさと忘れちまおうぜ! 運動部にでも入ればどうだ? まだ青春はまにあうぜ」

キョン「遠慮しておくよ……」

谷口「そうか……」

その日の放課後、いつもならSOS団の部室へ直行のはずなのだが、それもこの前で終わったのだ。
靴を履き替えるため、一階へつながる階段へと向かった。

35: 2007/09/11(火) 21:29:07.40 ID:CXkOPuZC0
ふと階段の手前で聞き覚えのある声が二つ聞こえて、俺は足を止めた。

?「それじゃ、あんたは明日からでいいから!」

?「おう、来週はキャンプだっけか?準備するものをあとで連絡してくれよ」

?「そんなもん明日でいいのよ。それじゃ!その紙に適当に書いといて!
  私はやらなきゃいけないことがたくさんあるから!ああ大変」

?「じゃあな」



二つの声。
そう、まぎれもなくハルヒと谷口の声だった。

39: 2007/09/11(火) 21:36:55.27 ID:CXkOPuZC0
朝ではいつもの数倍長く見えたこの坂、今ではさらにその数倍長く見えた。

俺と谷口が入れ替わり? 谷口は一般人じゃないのか? それじゃあ俺はなんのためにやめたんだ。
これじゃあつじつまが会わない。

そんなことを考えながらいったいどれくらいの時間歩いていたのだろうか。
気付くとそこは例の公園だった。
はじめて長門に呼び出された公園。今までの思い出が一瞬にしてフラッシュバックする。

なぜか長門がベンチにいるような気がして、除いてみる。
結果は当然、いなかった。

これからどうしようか。この公園で呆然に何時間も立ちすくしている分けにはいかない。

そうだ…

そんな俺に、一つの答えが浮かんできた。

43: 2007/09/11(火) 21:41:29.59 ID:CXkOPuZC0
長門の部屋の部屋番号を入力し、ボタンを押す。
数秒の空白があったあと、ゆっくりと長門の声が聞こえた。

長門「なに?」

キョン「谷口が新しく入るのを知っているか」

長門「……知っている」

キョン「谷口は一般人じゃないのか。あいつももしかして宇宙人か何かなのか?」

長門「彼はあなたと同じ、ただの人間」

キョン「じゃあ、なぜ俺がやめてあいつが入ってきたんだ」

長門「おそらく……」

キョン「……」

長門「涼宮ハルヒの好意対象が彼に向いたためだと思われる」



51: 2007/09/11(火) 21:44:08.69 ID:CXkOPuZC0
キョン「……………………」

長門「そして、涼宮ハルヒの興味から完全に除かれたあなたに私も興味がない」

キョン「…………………」

長門「できればもう話しかけないでほしい」

キョン「………………」

そのまま沈黙が続き、俺が気付いた時にはすでに長門の反応はなかった。

59: 2007/09/11(火) 21:49:01.99 ID:CXkOPuZC0
次の日、俺は最後の望みをかけて走っていた。
一学年上の教室に行くのは何か嫌な感じだが、今はそんなこと気にしている場合ではない。

キョン「あ、朝比奈さん!!」

みくる「ふぇっ?」

キョン「ちょっとお話があります」

鶴屋「え、なになに?キョン君も強引だなぁー!」


朝比奈さんをつれて屋上へ行く。本来ならロマンチックな展開かもしれないが、そんなの今はどうでもいい。

64: 2007/09/11(火) 21:53:12.66 ID:CXkOPuZC0
キョン「単刀直入に聞きますが、ハルヒうぐほぇ」

突然左の頬に強烈な痛みを感じた。

キョン「え……え?……え?」

朝比奈さんの目には、いつしか長門が大騒動をおこしたときと同じような涙が浮かんでいた。

みくる「なんですか!人を強引につれてきて!やめてください!」

キョン「え、俺ですよ? キョンです」

みくる「私は涼宮さんのためにこの時代に来ています。長門さんや古泉くんからも聞いていると思いますが、
    涼宮さんの興味からはずれた人間に興味はないんです!」

目の前がまっくらになった。

81: 2007/09/11(火) 22:02:12.12 ID:CXkOPuZC0
背中にしみる夕焼け。俺はあのあと再び長門と会うのを試みてみたが、
今度はあいさつをする暇もないくらいの反応できられしまった。

夕方の公園で一人寂しくベンチに座っている俺は、はたから見ればただの失恋した空しい男子生徒なのかもしれない。
いや、それが外れているわけでもないのか……

公園には誰もいなかった。いっそのこと氏んでしまおうか。
そんな考えが頭をよぎったとき、突然、天使の美声が俺の耳を突き抜けた。

?「キョーンくん」

97: 2007/09/11(火) 22:14:05.53 ID:CXkOPuZC0
キョン「あ、朝比奈さん!」
そこにいたのは、まぎれもない、あの朝比奈さん(大)だった。

みくる(大)「大分落ち込んでるみたいね」

キョン「ええ……まあ……」

みくる(大)「あのときはごめんね、色々あったから……」

キョン「あの時? あ、ああ……あれですか…」

みくる(大)「ふふっでもよかった。まだ大丈夫みたい」

キョン「え?」

みくる(大)「ううん、なんでもないの」

キョン「そうですか……
    ところで、朝比奈さんはなぜここに?」

みくる(大)「ああ、それなんだけどね……」

ここで、俺はとんでもないことを聞かされたのだった。
朝比奈さん(大)が一生口にするわけがないと思っていた言葉がいくつも飛び出たことにも驚いたが、
それ以上にこんなことを朝比奈さん(大)が言う意味もわからなかった。
そうしてその話の大半を聞き終えた俺は、自分でもおかしいくらいに燃えたぎっていた。
もう、今の俺は本当の自分ではないのかもしれない。自分でも自覚できそうだ。

朝比奈さん(大)からある物と一枚の紙を貰い、俺はそのまま家に帰った。

114: 2007/09/11(火) 22:23:47.83 ID:CXkOPuZC0
朝、俺は目覚ましが鳴る前に起きた。
興奮してほとんど眠れなかったが、実行の日のことを考えるだけで全身のやる気が溢れ帰る気がした。

学校につくと、まず谷口が話しかけてきたが、俺はそれをスルーし、自分の席に座った。

ハルヒ「あんた何してんの?」

キョン「なにって、着席だ」

ハルヒ「せ き が え」

そうだった。昨日教師の謎の気まぐれにより、急遽席替えが行われたのだ。
ハルヒの位置はそのまま。そのかわり、俺の位置に谷口がきて、俺は最前線の席になったのだった。

キョン「すまんね」

ハルヒ「さっさとどいれくれない?谷口の席がよごれるし」

キョン「はいはい」

俺は起立し、自分の席へ小走りで行く。

132: 2007/09/11(火) 22:32:00.13 ID:CXkOPuZC0
放課後、俺は数十分ほどの教室待機後、SOS団部室へ向かった。
扉の前に立ってはいるが、もちろん中に入るわけではない。
俺はそっと扉に耳をあてた。

ハルヒ『キョンプは次の土曜ね!二泊三日。ちょうど祝日で連休だし』
古泉『明日発ですか』
谷口『俺は今すぐ行きたい気分だぜ!』
ハルヒ『時間は八時にいつもの場所に集合!』


つい先日まではこの会話に自分が混ざっていたのだな、と思うと再び悔しさがました。
そのまま部員に気付かれないように部室から離れると、鞄からメモ帳を取り出し、今聞いてきた事をメモした。
もしかしたら長門あたりに気が付かれてるかもしれんがな。

139: 2007/09/11(火) 22:35:29.83 ID:CXkOPuZC0
家に帰ってからもう一度計画の整理をする。
準備物の用意も万端だ。これほど大きいバックを持っていったら怪しまれるだろうか。
いや、平然を保っていたら大丈夫のはずだ。

あとは、決行の時を待つだけ……

147: 2007/09/11(火) 22:40:13.86 ID:CXkOPuZC0
時間、七時五十分。
メンバー5人中、4人がそろっていた。
あのときの俺と同じように、数分後遅れて谷口がやってくる。
ハルヒ達が買ったキップと同じものを購入し、電車にのった。
もちろん気付かれぬよう、離れたところにだ。

164: 2007/09/11(火) 22:48:33.60 ID:CXkOPuZC0
数時間電車に揺られて、ようやくハルヒ達がおりるのを確認できた。
降り過ごさないように急いで電車をおりる。
なるほど、朝比奈さん(大)に聞いていたとうり、たいした山奥にキャンプに来たものだ。
ハルヒらしいと言えばハルヒらしいじゃないか。

何十メートルも離れて、慎重についていく。ここで気付かれたらいっかんの終わりだった。


数時間ほど歩くと、それなりの家が見える。どうせ機関とやらが準備したものに違いない。
俺があそこに入っていっても止めてもらえるはずもなく、そこからいくらか離れた場所に小さなテントを貼った。

190: 2007/09/11(火) 23:00:15.29 ID:CXkOPuZC0
夜。静寂していた。
ランプに火を灯し、朝比奈さん(大)から貰った計画表を改めて読みなおす。
あのときの朝比奈さん(大)の言葉が浮かんできた。

みくる(大)『今度、涼宮さんたちが行くキャンプがあるでしょう?
       キョン君には、そこで谷口くんと涼宮さんを殺害して貰います』

まず、この言葉を聞いた時にはじめて思った事は、これは本当に朝比奈さんだろうか、だ。
しかし、その後の話を聞いていく中で、朝比奈さん特有のあのなんとも言えない感じを感じ取ることができた。

みくる(大)『このキャンプの二日目。この日、空間が大きく歪む日なんです。しかも、その場所だけで
       この歪んでいる間には、長門さんの力はおろか、涼宮さんの力まで無になってしまいます。
       涼宮さん、谷口くんをこのバット。これでなくてはいけません。理由は禁則事項ですが、
       これで殴り頃して下さい。
       長門さんもこのときだけは普通の人間と同じなので、殺そうと思えば殺せますが、
       こっちで色々こまるので、やるなら気絶くらいにしてくださいね。古泉くんも同じく。
       私ですか?大丈夫です☆すぐ気絶しちゃいますから』

202: 2007/09/11(火) 23:04:33.11 ID:CXkOPuZC0
キョン『でも、なぜそんなことをする必要があるんですか? ハルヒが消えたら朝比奈さん達だって困るはずです』

みくる『詳しくは禁則事項ですが、一つだけ言える事は、そうですね、佐々木さんの存在ですかね
    まあしいていうなら、佐々木さんのほうが大きな力を持っていると……あ、もう言えないみたいです
    それじゃあ、私はそろそろ戻りますね。がんばってください』


朝比奈さんはそう言って暗闇へと消えていったのだった。


俺はバックに入っているバットとスコップを見つめる。殺害後、うめる計画だった。
最後に自分の内ポケットに入っているある物を確認して、今夜は就寝した。

225: 2007/09/11(火) 23:12:48.62 ID:CXkOPuZC0
朝、すがすがしい気分で起きた。
まわりが自分の部屋と違う事に気付く。ああ、そうだった。キャンプにきてたんだっけ。
部屋は広かった。個室ではなく、SOS団の女子全員がここで寝ている。
ハルヒ「おきなさーい!」
有希「……」
みくる「ふぁぁぁ」

ハルヒ「なにしてるの、時間はあと一日しかないのよ。まずは今日の予定1!魚釣りにいきましょう!
    はやく服に着替えて、私は谷口たちを呼んでくるから」

そう言って、私服にすばやく着替えた私は部屋を飛び出した。

237: 2007/09/11(火) 23:17:46.09 ID:CXkOPuZC0
竿を川に向かって振り下ろす。糸がのびて、うまく川に落ちた。

谷口「朝っぱらから釣りかよ」
古泉「昼になったら今度はバードウォッチングらしいですよ」
谷口「遊びにきてるだけじゃねえのか?」
ハルヒ「そこ、へんなこと言わない」


谷口たちと釣りをする時間はあっという間に過ぎていった。
ふと気付いて腕時計を除いた時にはすでに1時をまわっていた。

ハルヒ「あら、とりあえずお弁当にしましょうか!ここで食べるわよー!」
谷口「うぃーやっとか」


248: 2007/09/11(火) 23:22:44.59 ID:CXkOPuZC0
お弁当も食べ終わり、釣れた魚は谷口にまかし、今度はバードウォッチングに入った。
正直鳥を観察してもおもしろくなんてないが、今はもうこの時間をいれるだけでいいのだ。
それに不思議なことはもう見つかっている。宇宙人、未来人、超能力者、まさか本当にいたなんて……

谷口「おい、なんか天候悪くねーか?」

古泉「そうですね、今にも雨が降りそうな雰囲気です」

みくる「濡れるのはいやですー」

有希「……」

ハルヒ「そうね、じゃあ今日はもう別荘に帰ってボードゲームでもしましょうか!
    走るわよ!みくるちゃん」

みくる「ふぇえ」

私の声を中心に、みんな一斉に走りだす。それと当時に少しだが頭皮に水が落ちた感触がした。

258: 2007/09/11(火) 23:28:26.83 ID:CXkOPuZC0
ハルヒ「ふう……セーフね」

全員中へ入りきったと当時に一気に雨がひどくなった。
まるで、私たちを隔離でもしようかというくらいの強烈な雨だ。

ハルヒ「とりあえず、部屋にいきましょうか。このままだと気持ち悪いし、みんな着替えてしましょう」

谷口「お、いいじゃん」

ハルヒ「除いたら容赦しないわよ」

谷口「は、はは、分かってるってwww」

そうして、谷口に除かれることもなく、私たちは全員服を着替え、居間にあつまった。

266: 2007/09/11(火) 23:34:16.27 ID:CXkOPuZC0
みくる「で、電気つけませんかぁ」

みくるちゃんの一言で部屋の暗さに気付く。
朝はあんなに明るかったのに今は夜並みに暗かった。

ハルヒ「そうね、もう四時…… 雨のせいかよけい暗いわね。有希、そこ近いからお願い」

パチッ
居間の電気がついた。

古泉「それにしても……なにかおかしいとは思いませんか」

谷口「なにが? なんかおかしいことでもあったか?」

古泉「いえ、朝、我々がでかけるまで居ためいd……もう隠さなくてもいいんでしたか。これは失礼
   機関の者たちが誰もいません。」

ハルヒ「え、そういえば…… 別の部屋にいるんじゃないの?」

古泉「それにしてはこの部屋以外の電気はついていませんようですし、あ、もしかしたら急用があったのかもしれません」

谷口「おいおい、怖い事いうなよ」

287: 2007/09/11(火) 23:42:40.37 ID:CXkOPuZC0
みくる「ひっ」

ハルヒ「ど、どうしたの。みくるちゃん」

みくる「今、へんな音が聞こえたような……」

谷口「気のせいじゃないんですか? 俺は聞こえなかったけど…」

ハルヒ「有希、あなたって色々分かるんでしょ? この屋敷に私たち以外の誰かがいるかどうか分かる……?」

有希「コンタクトをとってみる。…………おかしい。アクセスすることができない」

ハルヒ「それどういうことよ…?」

有希「プログラムが遮断されている。今の私に思念体にアクセスするとは不可能」

297: 2007/09/11(火) 23:52:46.43 ID:CXkOPuZC0
雨の音がいっそうひどくなった気がする。
私たち5人は居間のすみにかたまっている。大きな居間を一番広く見渡せるのはここだ。

カチ……コチ……カチ……コチ……
大きな古時計の秒針の音と、雨の音だけが部屋に響いた。

谷口「これからどうするよ」
古泉「とりあえず、ここで固まっておくのがいい手でしょうか」
みくる「そうですよね!下手に動くよりこうしてみんなでかたまってるほうg……――」

部屋全体が大きな光につつまれた。蛍光灯の明るさとはまるで違う。
それと当時に巨大な爆発音も響いた。

みくる「きゃあッ」
ハルヒ「だ、大丈夫よみくるちゃん。ただの雷なんだから……」

私がそう言い終わったとき、部屋の明るさが明暗と繰り返され、最終的には暗のほうで留まった。

有希「停電……」

317: 2007/09/11(火) 23:58:36.36 ID:CXkOPuZC0
古泉「僕が見てきましょうか」

そう言って古泉くんが立ち上がる。

谷口「あぶないんじゃねーのかあ」

古泉「大丈夫ですよ。あなたも一緒に来ますか」

谷口「いや、俺は遠慮しておく……」

古泉「そうですか。たかが停電ですよ。ビクビクしてもしょうがないですよ」

有希「私が行く……」

ハルヒ「有希!」

有希「大丈夫」

古泉「ありがとうございます。では、ちょっと行ってきますね。
   十分程度で帰ってくると思うので、適当にまってて下さい」

354: 2007/09/12(水) 00:11:34.21 ID:2szkfZRa0
あれから40分。二人はまだ帰ってこない。

みくる「ふええ、どうしましょう……」

ハルヒ「これだけ待っても帰ってこないってのはおかしいわ。
    なにかあったんじゃないのかしら」

谷口「二人でラブラブしてるっていう可能性は?wwwwwww」

ハルヒ「私、ちょっと見てくる。」

みくる「えぇっ」

谷口「マジかよ」

ハルヒ「仲間の危機を見捨てるわけにはいかないわ、ただし谷口も一緒にきなさい」

谷口「ええ、俺!?」

ハルヒ「そうよ。みくるちゃんはここに居て。行くわよ」

谷口「おいおい……」

377: 2007/09/12(水) 00:19:52.70 ID:2szkfZRa0
ドアを開け、廊下にでる。
廊下も同じく真っ暗で、とても心地よいようには見えなかった。

谷口「こりゃ怖い」

ハルヒ「しかたないでしょ。ところで、有希たちが行ったのはどっちよ」

谷口「んなこと俺が知るかよ」

ハルヒ「まあ、たぶんこっちでしょ。その部屋があやしいわ。入りましょう」

キィィっと不快な音とともに部屋の扉があく。中はそれほど大きい部屋でもなく、ちょうど子供部屋程度の広さの部屋だった。

ハルヒ「ここじゃあ、ないみたいね」

谷口「ああ、さっさと出ようぜ きみがわr……――」

突然響いた悲鳴で谷口の言葉が遮られる。

ハルヒ「みくるちゃん!?」

379: 2007/09/12(水) 00:20:28.65 ID:2szkfZRa0
すごく……眠いです……

386: 2007/09/12(水) 00:23:39.63 ID:2szkfZRa0
私はとっさにドアを閉めた。鍵もしめた。
人の気配がしたからだ。

谷口「どうした?はやく朝比奈さんを」
ハルヒ「少し静かに」

沈黙が続く。
雨の降り注ぐ音。雷の爆発音……そしてもう一つ聞こえた。

足音だ

399: 2007/09/12(水) 00:30:12.63 ID:2szkfZRa0
その足音はゆっくりと部屋の前まで近付いてくる。
時折とまって部屋を確認しているようだ。
ギィ……ギィ……とゆっくりと。


そうしているうちに、足音はとうとう部屋の前へ。
すぐに入ろうとしないところをみると、まだ私達がどの部屋にいるかまでは分かってはいないようだ。

このまま、このまま通りすぎてくれれば……!

しかし、その思いもたたれた。突然ドアが激しく叩かれはじめたのだ。
叩かれるだけじゃない、「あ、あーあーあ」などと苦痛のような声をだしながらドアをばんばんと叩いてきた。

それにしてもこの声が、どこか聞き覚えがあるのは気のせいだろうか。

627: 2007/09/12(水) 17:50:30.53 ID:2szkfZRa0
ハルヒ「え、まさか……」

どうやら谷口も同じようだった。この扉の向こうに誰がいるか、
それがはっきりと分かっているようだ。
私は急いで扉をあける。
そこで目に入ったのは、ナイフを片手に黒いフードをかぶった残虐者でもない。
ましてや、私たちを助けにきた勇気ある誰か、というわけでもなかった。

谷口「古泉……!」

ドサッ…という音とともに顔中真っ赤になった古泉くんが倒れてくる。
まだ息はあるようで、必氏に立ち上がってこちらを向こうとしていた。

ハルヒ「だ、大丈夫!?」

あまりの無惨さに一瞬息を飲んだが、すぐに冷静を取り戻し’’それ’’に目をやる。

古泉「ぼくは……大丈夫です……
   そんなことより、早く谷口くんをつれてこの屋敷からでて下さい…早くしないと、早く……」

いつもの古泉くんのような冷静さはもう見られなかった。
そこにあるのは人間に潰され、今にも息絶えそうな蟻のような古泉一樹だったのだ。

ハルヒ「な、なんでよ……」

古泉「詳しく説明などしている時間はありません…… はやく、そこの窓から」

彼は上がらない手を無理矢理あげるようにし、私たちの後を指差した。
振り返ってみると、そこには教室の窓と同じ程度の窓があり、そのまま外に抜け出せるようになっていた。

675: 2007/09/12(水) 18:49:42.37 ID:2szkfZRa0
雨が激しく肌をつねるが、気にしている場合ではなかった。
古泉君を置いてきた罪悪感もある。でも、今は彼ののこした言葉に従って逃げることが優先だ。

谷口「どこまで逃げるんだよ」

ハルヒ「知らないわよ、そんなの」

口は雨と土の味でいっぱいだった。崩れ落ちた土砂に足をとられて転びそうになることも数回あった。
時折後ろを振り返るが、少なくとも、雨で見えない範囲を除いては誰もついてきてはいない。

谷口「前、前!」

突然の谷口の言葉で足を止めた。
目の先には、昼間とは打って変わって激しい流れの川があった。

ハルヒ「ここは……」

谷口「朝釣りにきた場所じゃねーか」

しまった。山を上ってきた道の方向に逃げてきたつもりだったが、この雨のせいで視界が狂ったか、
真反対の川の方向に来てしまっていたのだ。

谷口「どうするよ、ここで隠れてるか?」

ハルヒ「そんな余裕ないでしょ。早く下山して誰かを呼ばないと。古泉くんたちがヤバいわ」

そんなとき、雨の音とは別に植物がこすれる音がした。

692: 2007/09/12(水) 19:08:31.81 ID:2szkfZRa0
音がした方向に首を向けると、木と木の間からゆっくりと見覚えのある顔がでてきた。

ハルヒ「え」

谷口「あ」

記憶がフラッシュバックする。SOS団設立の時に無理矢理つれて来て以来、
毎日のように部室で顔を会わせていた人物。


その面影自体はないにひとしかった。
髪は雨と泥で濡れて、目にまるで生気がない。
服はボロボロで草と泥と雨でよごれている。そして何より、恐ろしいほど無表情だった。

手にもったバットをずるずると引きずって、フラフラしながらこちらにやってくる。
数歩あるいたところでそいつは止まった。何かくるものと思ったが、どうやら何か喋っているようだ。
雨と雷の音で聞こえずらい。
どうにか私はその声を聞き取ろうとした。

「……―――」

743: 2007/09/12(水) 19:32:28.50 ID:2szkfZRa0
ハルヒ達が釣りに出かけて30分がたった。
そろそろいいだろう。
俺はバットを片手に、テントを出た。

ハルヒ達の泊まっていた屋敷の方向へ走っていく。
屋敷が見えてきたところで、木の影に体を隠し、玄関の前を確認した。

誰もいない。

次に、場所を移動し窓から内部を除き見る。
今度は人を数人発見できた。いつかに出会った人ではなかっが、またどうせ’’機関’’の者達だろう。

その後屋敷のまわりをひとまわりしたあと、一番気付かれにくいであろう場所の窓をバットで叩き割る。
案の定、内部の人間には聞こえなかったようで、なんなく中に侵入する事に成功した。

755: 2007/09/12(水) 19:46:52.30 ID:2szkfZRa0
バギッ

氏なない程度に灰皿を振り下ろす。
足音を頃していたせいか、相手が油断していたせいか、楽に気絶させることができた。

他の数人にも同じように背後から忍び寄り灰皿で叩いた。
もちろん殺害するまでとは言わない。ただ気絶させるだけでいいのだ。

俺は血の付いた灰皿を地面に投げ捨てた。
朝比奈さんから補充されたことを思い出す
『あ、それと、そのバットは二人を殺害するとき以外はつかわないで下さいね。まあ色々とありますので』

そのまま機関のやつらを引きずって部屋におしこみ、板と釘で念入りにドアを閉じた。
もちろん部屋の内部には窓がなかったはずだ。

766: 2007/09/12(水) 19:59:42.88 ID:2szkfZRa0
ぽつぽつと雨が降り出す。
俺は奥の小さな部屋に息を潜めていた。
改めて今の自分を想像する。バットで二人を殴り頃し、山へうめようとしている残虐者。
本当にこんな俺でいいのだろうか。
元はと言えば、ハルヒが誰に好意を寄せようが、誰をやめさせて誰を入れようが、
誰が俺を毛嫌いしようが、俺にどうこういう権利はないのではないだろうか。
ましてや、命をうばう権利など……
そう考えると、今まで自分がやっていることがひどくかなしく感じてくる。
『憂鬱』ってやつとは少し違うかな。

壁にもたれかかって雨の音を聞いているうちに、そんなことはどうでもよくなってきた。
もう、考えるのをやめよう。

832: 2007/09/12(水) 20:52:03.33 ID:2szkfZRa0
玄関扉が大きく開いた音で意識が上昇する。
……寝てしまっていた。
いそいで準備をしなくては、バット握り、気付かれないように部屋をでた。
次に、ブレーカー向かって小走りで進んだ。順調じゃないか。

居間のほうから声が漏れていた。
ハルヒの馬鹿でかい声がここまで聞こえる。

ようやくブレーカーまで到着すると、俺をまっていたかのように大きく雷が鳴った。
ほぼそれと同時に、ブレーカーを落とす。
今までわずかながらも居間からもれていた光も消えた。
やるなら今だ。バットを強く握った。

852: 2007/09/12(水) 20:58:57.89 ID:2szkfZRa0
そろそろと居間へ近付く。
バットを握る力がいっそう強くなった。

「僕がみてきましょうか」

突然そう聞こえて仰天した。
やばい、どうする。

長門「私もいく」
古泉「ありがとうございます。では」

二人分の足音がこちらに近付いてきた。
どうする、どうする。

875: 2007/09/12(水) 21:04:09.67 ID:2szkfZRa0
古泉「おや、これは少々怖いですね」

長門「………」

古泉「はやく行きましょうか。涼宮さんたちが待っています。」

長門「……」

892: 2007/09/12(水) 21:07:57.34 ID:2szkfZRa0
古泉「ブレーカは、っと。ここですね、ありました」

長門「……」

古泉「これをあげれば元に戻るはずです。よいしょっと」

長門「!」

古泉「どうsうごへえぁ」

長門「あなたは…」

キョン「悪いな」

俺は長門の鼻に薬品をしみこませたハンカチをおしつける。
さすがの長門も今日ばかりは普通の人間と同じようだ。うまい具合に意識を落としてくれた。 

914: 2007/09/12(水) 21:14:26.08 ID:2szkfZRa0
長門と古泉を別部屋に移動させ、俺は再び居間に戻ろうとする。

ハルヒ「行きましょう」

まただ、今度はハルヒが古泉たちを心配してきやがった。
いや、もしかしたらこれはチャンスかもしれない。

ハルヒ「谷口もきなさい」

ナイス、といいたくなるほどのタイミングだった。
これなら、今なら二人いっぺんに殺せる。やってやるぞ、俺は……、やるぞ!

942: 2007/09/12(水) 21:24:29.86 ID:2szkfZRa0
ここは一度チャンスを伺うために、近くにあった小部屋に飛び込んだ。
飛び込んだ部屋はクローゼットと窓くらいしかない質素な部屋で、ドアに耳をおしあてて外の様子を伺う。

ハルヒ『暗いわね……』

谷口『そうだな』

こんな日常会話を聞いているだけでも、今の俺には大ダメージものだった。
そんなことを考えていると、突然高音の悲鳴に近いものが耳に刺さる。この声は朝比奈さんだ。

ハルヒ『みくるちゃん!?』

谷口『やばいぜ、そこの部屋に入ろう』

やばい、こっちこそやばい。
今俺の姿を見られたら終わりだ。
どうする。どうする。
そんなとき目に飛び込んできたのはクローゼットだった。

23: 2007/09/12(水) 21:40:06.68 ID:2szkfZRa0
ギリギリだった。中に飛び込んで、閉めたと当時にハルヒ達が部屋に入ってきたのだ。
これは逆に好都合かもしれない。油断している間にここから飛び出て二人を抹殺。
いける、でろ、俺。
足が動かなかった。恐怖なのか「まだまて」という無意識の意思表示なのか、俺の体が急に動かなくなった。
今でなければチャンスはもう少ない。いや、ないにひとしい。


動け、動け、動け、俺の体、なぜ動かない。


不意に、頬がぬれていたことに気付く。室内だから雨ではない。ではなんだ。
答えは簡単、涙だった。

その瞬間、今までのSOS団での思い出が頭を駆け巡った。
映画撮影、野球大会、七夕。他にもいっぱいある。
俺のつまらなかった日常をかえたのはまぎれもなくハルヒだった。入学早々楽しい日々を迎えることができたのだ。
そんな恩人ともいえる人物を、俺は壊そうとしている。
思い出は十分に貰った。もう貰うものなどないんだ。
こんなのただ俺の嫉妬じゃないか。ハルヒが谷口を好きになろうとそんなのあいつの勝手なんだ。


俺は、なにをしているんだろう。



そう悟った瞬間、足から崩れ落ちるように倒れた。

34: 2007/09/12(水) 21:43:15.63 ID:2szkfZRa0
クローゼットの扉が勢いよく開く。だがもうそんなこと気にしなかった。
ハルヒ、谷口。さあ俺をみろ。俺はもう何もしない。
今まですまなかった。煮るなり焼くなり好きにすればいい。

古泉「…………」

キョン「え?」

60: 2007/09/12(水) 21:47:24.27 ID:2szkfZRa0
倒れた状態のままで古泉と目があった。

古泉「………」

キョン「え、ハルヒと谷口は?」

古泉「…………」

古泉の目先に顔を向けてみると、窓が開いていた。
どうやら、二人で逃げ出したらしい。
つまり二人は、いもしない敵を恐れて逃げていったのだ。

78: 2007/09/12(水) 21:52:23.50 ID:2szkfZRa0
「キョーンくん」

そんなとき、妙に聞き覚えるある声が聞こえた。
顔を上にむけて見上げると、古泉の上に朝比奈さん(小)が立っていた。
しかし、その朝比奈さんはいつもの朝比奈さんではなかった。
目にはまるで生気が宿っていなく、口元だけ笑っている。無理矢理笑顔をつくったような表情をしていた。

キョン「あさひな……さん……?」

124: 2007/09/12(水) 22:06:02.30 ID:2szkfZRa0
みくる「まさかキョンくんがやるとは思ってもみなかったです」

いつの間にか朝比奈さんは、いつものプリティースマイルに戻っていた。

キョン「説明……してくれますか…?」

みくる「ふふっ、最近ね、佐々木さんの存在が高く評価されはじめてきたの。
    涼宮さんの力よりも佐々木さんの力の方が強大ということが分かって…
    それでね、キョン君は世界を滅ぼしかねない力と、世界のためにつかう力、どっちのほうがいいと思う?」

キョン「それは……」

みくる「もちろん後者よね。それで上の方から涼宮さんの存在を消すように言われていたの。
    私も今日、実行しようと思ってたんだけど、あなたが先にやったみたいね……
    そうとうストレスがたまってたの?」

キョン「……」

みくる「まあそういうことだから、キョン君には少しここで眠っててほしいの。」

そういうと朝比奈さんは、先ほど俺が機関の奴らを殴りたおしたときに使った灰皿を、俺の頭めがけて落とした。    

165: 2007/09/12(水) 22:13:04.05 ID:2szkfZRa0
ここからコピペ

173: 2007/09/12(水) 22:15:26.21 ID:2szkfZRa0
なんというコピペすれ……

183: 2007/09/12(水) 22:20:28.20 ID:2szkfZRa0
ハルヒ「み、みくるちゃん!?」

木の影から出てきた人物は、まぎれもない朝比奈みくるだった。

みくる「ふふふ……涼宮さん……こんばんは……」

雨の音に混じるような声で、たしかにそう聞き取れた。

谷口「朝比奈さん!? どうしたんですか!そのバット……」
ハルヒ「あ、もしかして護身用?そうよね!みくるちゃん!」

みくる「残念だけど、違うんですよ。御二人を頃すためのバットなんです」

185: 2007/09/12(水) 22:21:19.45 ID:2szkfZRa0
>>184
最初はSSなんて書く予定はなかった。とだけ言っておこうか

201: 2007/09/12(水) 22:27:59.14 ID:2szkfZRa0
ハルヒ「う、嘘でしょ?ねえ、みくるちゃん……」

谷口「そうですよ……はやくそれおろして下さいよ……」

みくるちゃんをなんとか落ち着かせようとしているのか、
谷口はゆっくりと近付いていった。

みくる「あたしに近付かないほうがいいと思うなぁ」

谷口「そんなこと言ってないで、はやく山をおりまし…―」

一瞬だけ赤い液体が空中をとんだが、次の時にはすでに雨に流されていた。

みくる「あはははははははははははははっはははは」

彼女の雄叫びのような声だけが、雨にまじって山に響き渡った。

220: 2007/09/12(水) 22:33:20.18 ID:2szkfZRa0
みくる「ああああああああははあははははははははははははは」

ハルヒ「みくる……ちゃん……」

彼女は狂ったように何度も何度も谷口の頭を殴りつける。
私には、なぜあんなにかわいかったみくるちゃんが、こんなにまでなってしまったのか検討もつかなかった。

谷口の頭部分の原型はほぼないに等しく、見るも無惨な光景が広がっていた。
地面は流れ出す血で、まるで血の海のようになっていた。

235: 2007/09/12(水) 22:39:32.67 ID:2szkfZRa0
ハルヒ「あ………ああ…………ああ」

恐怖していた。悲しみより恐怖の方が上回っていた。
次は自分だ、私がやられる。そう思うと体中が震え上がった。



みくる「あははははははははははははは………あは?」

みくるちゃんの突然の笑い声のストップに、なにか異変を感じる。
なるべく谷口をみないように、顔を見上げる。

みくる「あ……あ……」

彼女の胸と胸の間には、何かが突き出ていた。
鋭く、先が尖った物……
まぎれもなく、それはナイフか包丁、刃物類であった。

キョン「助けにきたぜ」

273: 2007/09/12(水) 22:49:25.22 ID:2szkfZRa0
「助けにきたぜ」

思いっきり格好をつけたつもりだったが、どうもしっくりこなかった。
たぶん、目の前に広がる光景のせいだろう。
手に持ったナイフが、今朝比奈さんの胴を突き抜けている。

朝比奈さんは口から血を吐きながら、前に倒れていった。
そのはずみでナイフが抜け落ちるが、もうそんなのどうでもよかった。

ハルヒ「キョン…!」

ハルヒの目には大量の涙が浮かんでいた。
こんなハルヒを拝めるのは運がいいのだろうか。いいわけないか。

目の前に倒れている朝比奈さんをもう一度まじまじと見た。
いくらとっさの出来事で内ポケットに入れておいたナイフしかなかったとはいえ、人を一人頃してしまったのだ。
それも、朝比奈さんを。
とたんに強烈な罪悪感に襲われたが、急に体が暖かくなって一瞬だが忘れることができた。

キョン「ハルヒ……」

299: 2007/09/12(水) 22:57:09.76 ID:2szkfZRa0
体いっぱいに広がるハルヒの体温。
俺は最初に閉鎖空間に閉じ込められたあのときのように、手を背中にまわした。
ハルヒは俺の胸の中で泣きじゃくり、そんなの気にもしてないようだったが。

ハルヒ「ごめんね、ごめんね、ごめんね」

泣きながらハルヒはそう何度も繰り返している。


いいさ、もう忘れた。

また明日から今までと同じようにSOS団をやっていこう。
まあ、メンバーをまた集めなおす必要があるかもしれんがな。

こんな感動の場面、俺じゃなくともそっちに気をとられて、
背後に何がいた、なんてことは誰でも分かるはずがない。

356: 2007/09/12(水) 23:07:17.39 ID:2szkfZRa0
とたん、後頭部に強烈な痛みが走った。
小さいころ公園の遊具からまっ逆さまに落ちたときの数倍の痛みだった。

俺はその衝撃でハルヒを押し倒す形で前に倒れる。
激しい痛みと頭痛で声はでなかった。ただ、聞き取ることは可能だった。

「あまいですよ。朝比奈さん達が得ている情報は、あるていど機関も得ているんですよ。
 さっそく殺害意見が広まりまして、今夜決行しようと思ってはいたんですが……
 まさかあなたがくるとは」

途絶えかけている視界に、うっすらとうつったハンサムスマイルは、
まぎれもなく『古泉一樹』のものだった。

消えていく意識の中で、俺が最後に聞いたのはハルヒの叫び声と、頭をかちわったような鈍い音だった。

438: 2007/09/12(水) 23:37:34.04 ID:2szkfZRa0
エピローグ

すがすがしい気持ちで教室に突入した。
何故だか、朝から妙に目覚めがよく、いつもはつらい坂を上る時にも、無性に気分がよかった。
俺は我が席へ着席するとともに、後ろで何かをいいたそうにハラハラしている爆裂女に話しかけた。

キョン「なにか面白いことでもあったか?」
ハルヒ「キャンプに行きましょう!」
キョン「いいな、どこへだ?」
ハルヒ「古泉くんのところの屋敷なんだけどさぁ……」

平和な世界。昨日までとまったく同じはずなのに、ハルヒの言葉一つ一つが強く心にしみた。
ずっとこのままでいられるだろうか。と俺らしくないことも頭を過る。
まあ、叶うことなら、そうであってほしいがな。

ハルヒ「じゃあ決定ね!土曜、朝八時に駅前集合!遅れたら氏刑だから!」
キョン「はいはい」

なにかデジャビュを感じながらも、その日にちと時間を深く記憶に刻み込んだ。
キャンプ、か。楽しみだ。悪い事でも起こらなきゃいいがな……

444: 2007/09/12(水) 23:38:59.48 ID:2szkfZRa0

?「驚きましたね。涼宮さんの力がこれほどまでとは」
SOS団部室内。二人の人間が話し合っていた。
?「タイムパトラックスがここまでうまく起こったのは初めてです。」
?「僕らが思っていた以上に、涼宮さんには大きな力がやどっているかもしれません」
?「前回はこちらの手違いで申し訳ありませんでした」
?「状況もなおったんですし、あまり気にしなくてもいいと思いますよ。
  ところで、そのときの僕、どうだったんですか?あまり記憶がないんですが」
?「それは聞かないほうがいいと思いますよ。あなたのためにも」
?「そうですか……では遠慮しておきましょうか」

えんど

449: 2007/09/12(水) 23:39:48.48 ID:2szkfZRa0
ろくなラストでなくてごめんなさい

468: 2007/09/12(水) 23:42:43.08 ID:2szkfZRa0
キョンの泣く頃に
     未来削除編  完

とかやりたかったけど他の編とかできないよね

476: 2007/09/12(水) 23:44:27.04 ID:2szkfZRa0
こんなSSに突き合ってくれてありがとうだったんだぜ

引用元: ハルヒ「キョン、あんたクビ」