119: 19/06/26(水)20:47:09 ID:4NT
前話【デレマスSS】REVENGE!~Do your best!~

~6話Unrelenting effort~

120: 19/06/26(水)20:47:55 ID:4NT
--ボーカルレッスン室
久美子、ほたる、忍、梨沙「♪~」

慶「はい、OKです! 今日のレッスンはここまで!」

梨沙「やっぱりちゃんとしたレッスンとなると普段の歌い方じゃダメみたいね......」

忍「そうだね......。歌うのは好きだからそれなりにはいけると思ってたけど、発声の仕方が全然違うみたい......」

慶「いやいや! 2人とも十分ですよ! 確かに技術はまだまだですけど、指示したことはすぐに修正できてましたし、むしろかなり上出来です!」

ほたる「みなさんとっても上手ですごいです。私なんかよりずっと......」

慶「ほたるちゃんはせっかくいい声してるんですからもっと自信持っていきましょう! 前のプロダクションでも多少レッスンしてたってことですし、他の皆さんを引っ張っていくつもりでやってみてください!」

久美子「ほたるちゃんはさすがね。音楽だったら負けないと思ってたけど、やっぱりアイドルとしての経験の差を感じたわ」

慶「そうですね。久美子さんの音感は現状でこの事務所ではずば抜けているので、所謂『アイドルの歌い方』ってやつを出来るようにしていきましょう!」

慶「ところで、今日は皆さんプロデューサーさんに呼ばれてるんですよね? 何の話か聞いてるんですか?」

梨沙「それが教えてくれないのよ! 全員揃ってからじゃないと駄目だってもったいぶっちゃって」

忍「みんなでやるような大きなお仕事が決まったんじゃないかな。この前ちひろさんがそろそろそういう仕事が必要って言ってたし」

久美子「だったら待っていられないわね。ちょっと早いけど事務所に集まっておかない? 向こうのレッスンが終わったらすぐに始められるようにね」

慶「そういうことでしたらここの掃除は私がしておくので着替えてきていいですよ。後でお話し聞かせてくださいね!」
THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER Treasure☆
121: 19/06/26(水)20:48:37 ID:4NT
--ダンスレッスン室
バタ-ン!!

聖來「はいストップ! 歌鈴ちゃん大丈夫?」

歌鈴「は、はい~、なんとか......」

聖來「うーん、テンポ上がってくると足が遅れて転んじゃうのかも。遅いテンポで慣らしてからやった方がいいかな」

藍子「歌鈴ちゃん大丈夫? 立てる?」

歌鈴「だ、大丈夫です~」

聖來「泰葉ちゃんはやるべきことをやってるだけって感じかな。もっと自分を出してみてもいいんじゃない? ほら、演技とか得意なんだし、それと同じようにさ!」

泰葉「なるほど、演技もダンスも似たようなものってことですね。次から意識してみます」

聖來「朋ちゃんはもうちょっと大袈裟に動いてみようか。練習のうちは大きく動いておいた方がいざ本番って時に楽になるよ」

朋「うーん、分かってはいるんだけど、どうしても出来ないのよね......」

藍子「あの、私はどうでしたか?」

聖來「ちょっとテンポに遅れがちになるけど、自分で気づいて修正できてるし、基礎レッスンの段階では問題なしかな。しばらくはみんなのレベルに合わせてこれくらいのレッスンをする予定だから物足りなかったら連絡して? 宿題でも考えておくからさ」

藍子「はい!」

歌鈴「藍子ちゃん流石です......。私なんてもう立ってるのでやっとなのにさらに宿題なんて......」

藍子「私なんてみんなよりちょっと早くレッスンしてただけですからね。すぐにできるようになりますよ」

聖來「それよりさ、この後プロデューサーさんから話があるんでしょ? アタシも行っていいかな? このあと何も予定なくて暇なんだよね」

朋「いいんじゃない? 別に内緒話しに行くわけじゃないし」

聖來「じゃあ決まり! さ、早く着替えて事務所戻ろ!」

122: 19/06/26(水)20:49:39 ID:4NT
--スピカプロダクション
朋「ただいまー。ダンスレッスン組戻ったわよ!」

ちひろ「あら、こちらも案外早く済んだんですね」

聖來「ダンスレッスンは初心者がやると結構キツイからね。立てなくなるまでやってもあんまり意味ないから早めに切り上げたんだ」

P「なんだ、聖來も来てたのか。まあいいか。全員揃ったことだし、早速集めた理由話すぞ」

P「端的に言えば、みんな揃ってイベントに出る!」

ちひろ「ちょっとPさん、それじゃ皆さんにちゃんと伝わりませんよ?」

P「分かってますよ。みんな、アイドルコラボレーションってイベント知ってるか?」

忍「もしかしていろんな事務所のアイドルが単発のユニット結成して歌うやつ? 毎年テレビでやってるよね」

P「そうだ。それに参加できることが決まった。もちろん全員でな」

久美子「ちょっと待って、そんな大規模なイベントになんでウチみたいな小さい事務所が参加できたの?」

P「このイベント、元々は無名アイドルと有名アイドルを組み合わせて、無名アイドルは技術を盗み、有名アイドルは初心を思い出すことを目的に開催してたんだ。ま、今は無名同士も有名同士も組むことあるけど」

P「で、その昔の名残もあってシンデレラプロダクションみたいなデカいとこも参加するけど、ウチみたいな弱小プロも実は割と簡単に参加出来るんだよ」

ほたる「他の方とコラボ......悪いことが起きなければいいですけど......」

P「なに、相手は百戦錬磨の有名アイドルたちだ。ちょっとやそっとのトラブルは軽く対処してくれるよ。胸を借りるつもりでいいんじゃないかな」

泰葉「それで、私たちはどの事務所の誰とコラボするんですか?」

ちひろ「今日の17時に第1弾のユニットが発表されるみたいですけど、それ以降の発表分はまだ決まってないみたいですね。有名なアイドルと組む場合、スケジュールの確保が必要になるのでユニットを決める運営サイドも中々手間取るらしいです」

梨沙「17時っていったら......あと5分しかないじゃない!」

P「まあその時間に合わせて集合かけたからな。どうせならみんなで見たいだろ?」

123: 19/06/26(水)20:50:15 ID:4NT
タイトル忘れてました

124: 19/06/26(水)20:51:23 ID:4NT
~~6話 Unrelenting effort~~

125: 19/06/26(水)20:51:45 ID:4NT
ちひろ「ということで、はい、これがアイドルコラボレーションのユニット発表会場を生中継した映像です!」

朋「やけに準備がいいわね......」

ちひろ「こういうのは楽しんだ者勝ちですからね♪」

歌鈴「あ、なんか偉そうな人が喋ってますよ。この人が発表するんですかね?」

藍子「確かイベントを主催してる会社の社長さんですね。挨拶した覚えがあるような......」

P「そういえば藍子は前にデレプロ代表として参加したことがあったな。その時ペア組んだ子、何してるんだろうな、最近名前聞かないけど」

ちひろ「そんなことより、もうすぐ発表が始まりますよ!」

『それでは、アイドルコラボレーションの参加ユニット第1弾を発表させていただきます。まずは1組目、緒方智絵里、三村かなこ、持田亜里沙、柳瀬美由紀。2組目は......』

梨沙「1組目からすごいメンバーね。みんな有名どころじゃない」

P「イベントのトップバッターだからな。運営も置きにいったんだろう」

『14組目は相葉夕美、高森藍子』

藍子「えっ! スピプロトップバッター私ですか!?」

P「お、流石、持ってるなあ。相葉さんは何回か一緒に仕事したことあるし、最高のスタート切れるんじゃないか? 第一印象は重要だし、嬉しい限りだ」

『17組目は本田未央、松山久美子、矢口美羽』

忍「あっ、久美子さんが呼ばれたよ!」

ちひろ「未央ちゃんですか。懐かしいですね。矢口さんも別のプロダクションですけど、最近人気急上昇中ですし、中々いいクジ引いたんじゃないですか?」

泰葉「確か藍子さんは本田さんとユニット組んでましたよね?」

藍子「うん。茜ちゃんも入れてポジティブパッションっていうユニットでね。未央ちゃんは面白いのできっと楽しいコラボになると思いますよ」

『以上で第1弾のユニット発表を終わりにいたします』

P「第一弾はとりあえず終わりか。じゃあ藍子と久美子はこれからのことについて打ち合わせしたいから残ってくれ。それ以外のみんなは解散! レッスンで疲れてるだろうし、各自家でしっかり休むこと!」

126: 19/06/26(水)20:52:30 ID:4NT
--数日後、Fプロダクション(夕美所属事務所)
夕美「いらっしゃい、藍子ちゃん。久しぶりだねっ」

藍子「夕美さん、お久しぶりですっ」

夕美P「お互い知らない仲では無いですし、早速打ち合わせ始めましょうか。とは言ってもレッスン日程は決まってますし、ユニット名決めるくらいしかやることないですが」

P「相葉さんは何か考えてた案とかあります?」

夕美「うーん、私は華やかなステージにしたいからお花関連の言葉がいいかなーって思ってたんだけど......。藍子ちゃんはどう?」

藍子「いいんじゃないですか? 夕美さんといえばお花ってイメージありますし、私もお散歩してるときによく写真に撮りますし」

夕美「じゃあ、『Flowery』なんてどうかな?」

藍子「いいと思いますっ。可愛らしくて素敵な名前ですねっ」

夕美P「......かなりあっさり決まっちゃいましたね」

夕美「だったらまだ時間あるし、一緒にレッスンしていかない? 正直組まれてる合同レッスンの日程だけだと足りなさそうだし......」

藍子「私はもちろんいいですけど......Pさんは大丈夫ですか? この後すぐ久美子さんの方の打ち合わせですよね?」

P「いや、大丈夫だ。正直なところ俺がいない方が捗る筈だ。本田さんのプロデューサー、奴に変更になったらしいからな。打ち合わせにも参加してくるだろう」

藍子「あー......、未央ちゃんもそんなこと言ってたかもしれません」

P「まあ久美子はもう大人だし、矢口さんのプロデューサーもいるみたいだから連絡入れておけば問題ないだろう」

夕美「なんだかよく分からないけど、大丈夫そうなら早く始めよっ♪」

127: 19/06/26(水)20:55:39 ID:4NT
--デレプロ(未央所属事務所)
美羽「お、遅れてすいません!」

美羽P「いやぁ、デレプロは大きいですなぁ。ウチのNプロとは大違いだ。お陰で迷っちまいましたよ。アハハ」

元同僚P「ちょっとは悪びれてほしいもんだが......まあいい、全員揃ったところでデレプロの主張だけはさせてもらうぞ」

元同僚P「本田の今まで見せたことのない姿を見せろ、ということで上層部から指示が降りている。ユニット名は『サンセットノスタルジー』。後は好きに決めてくれ。俺は他の仕事があるのでこれで失礼する」

未央「ちょっとプロデューサー、言い方悪いよ~。それじゃあみうみうとくみちーに誤解されちゃうよ?」

久美子「......くみちー? 私のこと?」

美羽「未央ちゃんはいろんな人にあだ名をつけるのが得意なんですよ!」

未央「もしかして嫌だった? それだったらやめるけど......」

久美子「いや、そういう訳じゃないわ。ちょっと驚いただけ。あだ名、ありがと。それでお願いするわ」

美羽P「それで、本田さん、誤解って一体どういうことなんだい?」

未央「えっとね、まずユニットのコンセプトもユニット名も一つの案ってだけ。プロデューサーはちょっと強引なとこあるからあんな言い方してたけど、違うものでも全然大丈夫だよ」

久美子「でも、いいんじゃないかしら? サンセットノスタルジー。私たち年齢もバラバラで統一感ないから、だったらいっそのことちょっと古めのコンセプトで行くのも面白いと思うけど」

美羽「私も賛成です! サンセットだけに!」

美羽P「ガハハ! 美羽は面白いこと言うなあ! このユニットはうまくいきそうだぞ!」

久美子「そ、そうね......」

未央「それじゃ、この後は合同レッスンの予定だよね? トレーナーさんは多分もう準備済んでるはずだから早く行こっ!」

128: 19/06/26(水)20:56:09 ID:4NT
--デレプロレッスンルーム
麗「矢口と松山は初めてだな。青木麗だ。よろしく頼む」

サンノス「よろしくお願いします!」

麗「初対面といっても手加減するつもりはないから心してかかるように」



麗「松山! 動きが小さい! それだとアイドルコラボレーションのような大きなステージでは止まっていると思われるぞ!」

麗「動きを大きくしてもテンポには遅れるな! リズムに合わせることすら出来ない者にステージに立つ資格はない!」

麗「疲れを顔に出すな! 指先まで意識を向けろ!モニターには一人一人がアップで映されるんだ! みっともない姿を晒してもいいのか!」

麗「ストップ! 松山の立ち位置がずれた。最初からやり直し!」

麗「まったく、一体慶は今まで何を教えていたんだ......」

129: 19/06/26(水)20:56:36 ID:4NT
--スピカプロダクション
P「ただいまー」

藍子「あっ、もうみんな集まってるんですね」

ちひろ「よかった、間に合いましたね。もうすぐ第2弾ユニットの発表ですよ」

泰葉「でもまだ久美子さんが帰ってきてないんですよ」

P「言われてみれば確かにいないな。合同レッスンは結構前に終わったらしいからもう戻ってると思ってたけど」

『では、アイドルコラボレーション参加ユニットの第2弾を発見させていただきます』

梨沙「あっ、始まるわよ!」

P「仕方ない、久美子は発表終わってから様子聞いてみるよ」

『42組目は道明寺歌鈴、藤居朋、依田芳乃』

朋「歌鈴ちゃんと一緒ね!」

歌鈴「よ、よろしゅくお願いします!」

ちひろ「依田さんは、独特な雰囲気があるアイドルみたいですね。実際に会ったことはないのでネットの情報しかないですけど......」

『以上で参加ユニット発表第2弾を終わりにいたします。続いて......』

忍「第2弾は朋さんと歌鈴ちゃんだけみたいね」

ガチャ

久美子「ただいま」

P「お、遅かったな。もう発表終わっちゃったぞ」

久美子「......ちょっと休んでから来たからね」

プルルルル

慶「あっ、すいません! 一番上の姉から電話かかってきちゃったのでちょっと出てますね」

久美子「あっ......」

P「ん? どうした?」

久美子「えっと......いや、なんでもないわ。ちょっとお手洗い行ってくる」

藍子「......」

130: 19/06/26(水)20:57:12 ID:4NT
--屋上
藍子「どこにいるのかと思ったらこんなとこにいたんですね」

久美子「......来ないで」

藍子「嫌ですよ。慶さんから聞きました。今日のレッスン、麗さんだったんですよね」

久美子「そうよ。でもそれがなんだって言うの? 私は2人の足手まといで、何もできなかった。得意だと思ってた歌でもね」

藍子「麗さん、褒めてたらしいですよ。大した根性だ、って。初めてあの人のレッスン受けて1時間持つ人は滅多にいないですから。私は20分で動けなくなりましたし、確か未央ちゃんも3、40分くらいでギブアップしてたと思います。茜ちゃんは元気でしたけど」

久美子「そんなの関係ないわ。私は2人に比べて歌も踊りも下手だった。それもこれから本番までの期間では追いつくことすら出来ないくらい」

藍子「......そんなの当たり前です。未央ちゃんは何回も何回もレッスン受けてきてるんです。きっと矢口さんも。たった数回のレッスンで巻き返せると思えるほどの覚悟でやっていけるほどアイドルは甘くないですよ」

久美子「じゃあどうすればいいのよ」

藍子「それは久美子さんが自分で考えることですよ。でも、一つだけ。ウチの事務所は、入ってくる仕事は少なく、トレーナーも2人しかいないのでレッスンもたくさん組めるわけじゃない。となると自由な時間はたくさんあるはずですよね?」

久美子「......ありがとう、何で気付かなかったのかしらね。ピアノはレッスンが無くても散々自主練習してたのに」

藍子「そういえばさっきプロデューサーさんが独り言言ってましたけど、夕方からは誰のレッスンも入ってなくて、レッスン室の鍵は慶さんの靴箱の奥にあるらしいですよ」

久美子「何よ、全部バレてるんじゃない。恥ずかしいことしちゃったわね」

藍子「なんのことですか? 私はただプロデューサーさんのやたら大きい独り言をそのまま伝えただけですよ」

久美子「はいはい、そういうことにしといてあげる。ありがとね、藍子ちゃん」

131: 19/06/26(水)20:57:40 ID:4NT
--事務所
P「あぁ~、やっと終わったぁ~。今何時......って、えっ! もう日付超えてるし! おい、終電ないぞ! はぁ~、仕方ない、今日はここで寝るか」

P「っと、その前に戸締りしないとな」

P「......なんでレッスン室の電気がまだ付いてるんだ。しかもなんか音聞こえるし。まさか......」ガチャ

P「おい、久美子! いつまでやってるつもりだ!」

久美子「あら、プロデューサー。まだいたのね」

P「まだいたのね、じゃないよ。帰れるのか?」

久美子「大丈夫よ。ここから歩いて5分くらいだから」

P「そんな近いとこだったのか!?」

久美子「そ。だから心配しなくても大丈夫。それよりプロデューサーは? もう電車ないんじゃない?」

P「まあな。でも、何時間やってたんだよ」

久美子「休憩抜いたら大体5、6時間くらいかしら。やればやるほど課題が見えてくるからやめどきが分からなくて」

P「やる気があるのはいいことだけど、体調管理はしっかりしてくれよ。確認してなかった俺も悪いけど、詰め込み過ぎは良くない。次回からはレッスン室は20時までな。それより後は休むとかにしてくれ」

久美子「分かったわよ。私も身体壊したい訳じゃないしね」

P「ならいい。さ、送っていくから早く着替えて帰るぞ」

久美子「ありがと。5分待ってて」

132: 19/06/26(水)20:58:17 ID:4NT
--帰り道
久美子「そうだ、プロデューサー、ウチ泊まる? 布団一枚くらいだったらあると思うよ。事務所で寝泊まりなんてプロデューサーが身体壊しちゃうよ」

P「いや、申し訳ないし大丈夫だよ。職業柄雑魚寝には慣れてるしな」

久美子「雑魚寝に慣れる職業ってどんな職業よ......」

P「ほら、前いたデレプロは事務所がデカい分仕事も多かったんだよ。残業してて終電逃すってのはよくあることだったんだ」

久美子「芸能界って大変なのね......」

P「ま、あの時はそれはそれで楽しかったけどな。ちひろさんは一緒に残業してくれたし、昼間は藍子も手伝ってくれたし」

久美子「そっか......。ねえ、デレプロに入ったばっかの時の藍子ちゃんってどんな感じだったの?」

P「んー、普通、って感じだったかな。歌も踊りも特別出来るって訳じゃなかったし」

久美子「じゃあ、やっぱり居残り練習とかしてたのかな」

P「してたぞ。ポジティブパッションの本田さんと日野さんは運動神経いいから迷惑かけたくなかったんだろうな。それこそ今日の久美子みたいに何時間も」

久美子「いいえ、きっと全然違うわ。藍子ちゃんはデビューしてすぐ売れっ子になったんだもの。お仕事とかで忙しい中自主レッスンしたんだから私よりずっと大変だったはずよ」

P「条件は関係ない。藍子も久美子も自分が出来る最大の努力をしようとしてる。もちろん他のみんなも。それが全てじゃないかな。スピプロにはそういうことが出来る子しかいないから、だから俺はみんながいいアイドルになれると思ってるんだ」

久美子「随分と褒めてくれるのね。じゃあ期待に応えるためにまずはアイドルコラボレーション。成功させなきゃ。次の合同レッスンで未央と美羽をあっと言わせてやるわ」

P「よし、じゃあそれには俺も付いていくか。楽しみにしてる」

久美子「ますます失敗出来ないわね。明日からも気合入れていかないと。あ、もう家あそこだからもう大丈夫よ」

P「そうか、じゃあ俺は事務所に戻るよ。ゆっくり休めよ」

133: 19/06/26(水)20:58:53 ID:4NT
--1ヶ月後、アイドルコラボレーション本番
夕美「いよいよ本番だねっ! 絶対成功させようね!」

藍子「そうですね。たくさんレッスンしてきましたから、ファンのみなさんを笑顔にしてみせますっ」

スタッフ「Floweryのお二方、スタンバイお願いします!」

P「ステージはかなり温まってるぞ。全力出してこい!」

134: 19/06/26(水)20:59:39 ID:4NT
Flowery「みなさんこんにちは! Floweryです! お願いします!」

ウワァァァァァ!!! 

ファンA「おい、まさかあのユニット、夕美ちゃんと藍子ちゃんのペアじゃないか!?」

ファンB「2人とも超有名どころじゃん!」

ファンC「ってか藍子ちゃん、事務所辞めて引退したって噂無かったか!?」

藍子「ふふっ、みなさんびっくりしてますね♪ お仕事はちょっと減っちゃいましたけど、引退してないですよ」

夕美「じゃあみんなが盛り上がってるうちに曲に入ろ!」

藍子(こんなにたくさんのファンに大きなステージ、久しぶりですね。絶対に失敗できません)

夕美「あれっ、藍子ちゃん! 立ち位置! もう1歩くらい右だよ!」

藍子「あっ! すいません!」

P(ん、どうした? まさか久しぶりの大舞台で緊張してるのか?)

135: 19/06/26(水)21:00:14 ID:4NT
藍子(あっ! ここのステップは右足からじゃなくて左足からでした......)

藍子(あれっ、次の歌詞って何でしたっけ......)

藍子(いけない、ミスに気を取られてテンポが遅くなって......)

夕美「藍子ちゃん! 顔強張ってるよ!」

藍子「あっ......」

ファンA「なんか2人とも動きがバラバラじゃないか?」

ファンB「もしかしたら仲悪いのかもな。無理やりコラボさせられて可哀想に」

ファンC「もうすぐ曲も終わるな。次のユニット誰なんだろう」

P「最後まで挽回出来なかったか......」

夕美「あ、ありがとうございました!」

藍子「ありがとうございました......」

136: 19/06/26(水)21:01:48 ID:4NT
P「藍子、一体どうしたんだ? レッスンではあんなに調子良かったのに」

藍子「すいません......。ちょっと頭冷やしてきますね......」

P「あ、おい、ちょっと!」

スタッフ「サンセットノスタルジーのお三方、スタンバイお願いします!」

夕美「サンセットノスタルジーって確かスピカプロダクションの子がいましたよね? 藍子ちゃんは私に任せてステージのサポートをしてあげてください!」

P「すいません、ありがとうございます」

137: 19/06/26(水)21:02:16 ID:4NT
元同僚P「フン、どうやらやらかしたようだな。無理言って事務所辞めた結果こんなパフォーマンスになるとはよほど素晴らしいレッスンをしてたらしい」

P「......久しぶりだな。今回のレッスンは相葉さんの事務所に主導権あったからデレプロが絶賛してたと伝えておくよ」

元同僚P「自分の事務所でレッスンする金が無いだけだろうが。高森でさえあれなのだからサンセットノスタルジーのステージが楽しみだな」

P「そう思って見ていればいいさ」

美羽P「お、何か揉め事ですかな!? そんな時はアイドルでも見ましょうや! 陽気な気分になれますぞ! ほら、もうサンノスの曲が始まります!」

元同僚P「そ、そうだな」

138: 19/06/26(水)21:02:48 ID:4NT
久美子(まずは曲の入り。インパクトが大事だから特に大きく動いてキビキビと......)

久美子(観客の盛り上がり方からしてまずは成功したかしら。次は難しいステップ。何回も練習したから出来るはず......!)

久美子(美羽がアドリブを入れた! 反対側の私も何かしないとバランスが悪くなるから......)

久美子(アドリブにはなんとか対応できたと思うけど......。っと、いけない。次はハイトーンが連続する所。綺麗な声で歌うことを考えなきゃ)

久美子(最後の決めポーズ。かなりキツいけど背筋伸ばして笑顔をキープ!)

ウワァァァァァ!!!

P「よし、決まった!」

サンノス「ありがとうございました!」

139: 19/06/26(水)21:03:17 ID:4NT
久美子「やったわ! プロデューサー!」

P「ああ、よくやった! 最高だ! 努力が報われたな!」

美羽P「こら! 美羽! ほとんど打ち合わせ無しの即席ユニットなんだから突然アドリブなんかしちゃダメだろ? 松山さんがバランス取ってくれたからどうなっていたか!」

美羽「えへへ、ごめんなさい! でも久美子さんだったら絶対にカバーしてくれると思ってたし!」

久美子「ありがと。でもやるならやるで一言言って欲しかったわ。びっくりしたんだから」

未央「まあ、大成功だったんだし、それでよし! だよね? プロデューサー!」

元同僚P「ああ、そうだな。本田の足が引っ張られなくて安心したよ。特にどっかの弱小事務所はついさっきFプロの相葉にかなり迷惑かけてたからな」

久美子「相葉ってもしかして相葉夕美ちゃん? 迷惑って藍子ちゃんに何かあったの!?」

P「ああ、ちょっと調子悪かったみたいでちょっとミスを連発しちゃったんだ。今相葉さんが様子を見てるはずだけど......」

久美子「それを早く言ってよ! 今すぐ行くわよ!」

140: 19/06/26(水)21:03:39 ID:4NT
--控え室
久美子「藍子ちゃん!? 大丈夫!?」

藍子「......久美子さんですか。大成功みたいですね、サンセットノスタルジー。ここでも歓声が聞こえてましたよ」

久美子「私のことなんてどうでもいいわ! 一体何があったの!?」

藍子「久しぶりの大きなステージで上がってしまって、レッスンでは出来ていたことが一つも上手くいかなくて......。ファンのみなさんは楽しみにしてくれていたのに申し訳ないです......」

夕美「レッスンで出来ていたっていうのは嘘じゃないんです。ただちょっと気負い過ぎちゃった感じというか」

P「そういうことだったのか。申し訳ない。俺が今まであんまり仕事を取ってこれなくてブランク空いたからだ。メンタルケアの面でも目が行き届いてなかった」

久美子「......プロデューサーは謝る必要なんか無いわ。失敗したのは全て自分の実力不足のせいよ」

夕美「ちょっと、松山さん! 流石に言い過ぎなんじゃ......。藍子ちゃんだってたくさんレッスンしてきて、だからこそ今落ち込んでるんですよ?」

久美子「悔しいなら納得行くまで練習するしかない。半端な覚悟でアイドルできるほど甘くない。だったよね?」

藍子「......いつだったかそんな話もしましたね。要するに私は再スタート切るために移籍したのに頭の中はデレプロのまま切り替えられてなかったってことですか」

夕美「どういうこと?」

藍子「前は多少のミスはあっても次の仕事はいくらでもありました。事務所の力が強かったおかげです。でもスピプロでは一つのミスが自分、そして事務所の命取りになります。それが分かってなかった時点で私は覚悟ができてなかったんです」

P「でもそれが今回分かった。それだけで収穫なんじゃないかな」

藍子「そう言ってもらえると嬉しいです。また0から少しずつ積み重ねていくことにします。もうこんなミスだらけのステージなんて嫌ですから」

P「それから、一つのミスが事務所の命取りとか言ってるが、甘くみるなよ? 誰がプロデューサーしてると思ってるんだ? 元トップアイドル、高森藍子の生みの親だぞ?」

久美子「今はやたら知名度の高い地下アイドルだけどね」

藍子「ふふっ、そうですね。でも裏を返せば、またスタート地点に立てたってことですから。誰よりも早くゴールまで行ってみせますっ♪」

P「もう大丈夫そうだな。そろそろ朋と歌鈴の出番だし、ステージ袖に戻ろうか。相葉さん、ありがとうございました」

夕美「ありがとうございました! また共演できるといいねっ♪」

藍子「そうですねっ。その時は絶対に大成功させましょう」

藍子(それにしてもサンセットノスタルジーのステージ、凄い盛り上がってましたね......。みんなたくさんレッスンして新人とは思えないくらいにレベルアップしてますし、私も負けていられません!)

141: 19/06/26(水)21:04:20 ID:4NT
~~6話 Unrelenting effort完~~

142: 19/06/26(水)21:06:22 ID:4NT
ありがとうございました。
気づけば5話から5ヶ月以上も経ってしまいました。申し訳ありません。読んでくださる方がどれだけいるか分かりませんが、今後も更新していきますのでよろしくお願いいたします。
今後はもう少しペースを上げていこうと思います。

引用元: [デレマスss]REVENGE!