1: ◆b2/ys3/tgw 2015/02/14(土) 18:42:30.15 ID:Ho7yOvQio

【響×P】の者です
バレンタインという事で、かなり短いですが一つ投下します
千早編です

↓過去作です

【響×P】自分は今、プロデューサーに「恋」をしている

響「さみしいぞ、プロデューサー、」

貴音「響は太陽の如く」

伊織「私は宝石」

2: 2015/02/14(土) 18:44:01.11 ID:Ho7yOvQio
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春香の気持ちは、知っていた


それでも私は、春香を愛する


そして今日も


私は、喘ぐのだ

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3: 2015/02/14(土) 18:46:07.72 ID:Ho7yOvQio

「千早ちゃん」

世間の慌ただしさも落ち着いた、一月の終わりごろ

物が少なく、ただっぴろいダイニング

その中央で二人寄り添い、手を重ねる

「今年は千早ちゃんも何かしようよ」

4: 2015/02/14(土) 18:47:30.72 ID:Ho7yOvQio

春香が見せる、雑誌の特集記事

"今年のバレンタインに勝つ方法"

「いえ、遠慮しておくわ」

「春香以外、渡す相手もいないもの」

「そ、そっか……えへへ…」

軽く俯き、パラパラとページを進める

春香の耳が赤くなった

5: 2015/02/14(土) 18:48:42.38 ID:Ho7yOvQio

しばらくの無言、二人雑誌を眺める

角が折られた、手作りチョコのページ

「やっぱり春香は手作り?」

「あ、うん、そうだよ!」

張り切って、記事を捲る

6: 2015/02/14(土) 18:50:14.56 ID:Ho7yOvQio

「ガトーショコラもいいなー」

「あ、でも、生チョコも…」

「あ、それとね?」


「今年は響ちゃんと一緒に作るんだー!」

ずきり、刺さる言葉

7: 2015/02/14(土) 18:51:14.78 ID:Ho7yOvQio

「響ちゃんちにお邪魔してねー?一緒に作ろうかなーって!」

楽しそうにページをめくる春香

春香と重ねた手をきゅっと、握る

「それで、千早ちゃんも一緒にって、思って」


「春香」

「んー?何?千早ちゃ…っ!……ん…」

8: 2015/02/14(土) 18:52:43.92 ID:Ho7yOvQio

春香を抱き寄せ、唇を奪った

春香は驚きつつも、目を閉じた

そのまま優しく床に押し倒し、春香の上に覆いかぶさる


9: 2015/02/14(土) 18:53:35.58 ID:Ho7yOvQio

「千早ちゃん…?」

私の影に入る春香

私の頬に手を添え、撫でる

そっと柔らかく、春香は微笑む

10: 2015/02/14(土) 18:56:47.67 ID:Ho7yOvQio

「大丈夫だよ」


「私は、どこにもいかないから」


「私は千早ちゃんが、好きだから」

11: 2015/02/14(土) 18:58:02.75 ID:Ho7yOvQio


  嘘


  だって春香は


12: 2015/02/14(土) 18:58:56.76 ID:Ho7yOvQio


  我那覇さんのことが


  好きなんでしょう?



13: 2015/02/14(土) 18:59:44.36 ID:Ho7yOvQio

言えない

そんなこと

「ありがとう、春香」

だから、笑顔を作る

14: 2015/02/14(土) 19:00:33.11 ID:Ho7yOvQio

「チョコレート、楽しみにしてるわ」

そんな気持ちを上塗るように


もう一度優しく、甘い唇を舐めた

15: 2015/02/14(土) 19:01:25.53 ID:Ho7yOvQio

今日も私は喘ぐ
甘ったるい部屋の中で

今日も私は蜜を舐める
脳内にまで染み渡らせる

今日も私は蜜を垂らす
みっともなく、汚らしく


今日も私はあなたを愛す
今日もあなたは、空を見上げた
大空に浮かぶ太陽に、首を傾げた

16: 2015/02/14(土) 19:02:01.64 ID:Ho7yOvQio
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春香の気持ちは、知っていた
春香が本当は、私のことなど見ていないという事
春香が本当に好きなのは、我那覇さんだという事
それでも私は、春香を愛する
私に向けられる愛が、偽りだと知っていても
決して表に出さず、気づかぬ振りを
そして今日も


私は、喘ぐのだ

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17: 2015/02/14(土) 19:02:32.38 ID:Ho7yOvQio

おわり

引用元: 千早「嘘」