1: 2011/01/24(月) 22:21:52.38 ID:9uadB6Ih0
めだか「…だそうだ」

古賀「えっ」

瞳「本当なら私もついていきたかったんだけどね…」

名瀬「おいおい…大丈夫なのか?色々と」

めだか「いくら江迎同級生と二人きりとはいえ、善吉はそこまで節操のない男ではありませんよ、お姉さま」

名瀬「いや、そうじゃなくてよー。実家とか江迎にとってはトラウマの塊じゃないのか?これで-13組に戻ったら人吉が球磨川主催のディナーにご招待だぞ」

瞳「江迎さんが言いだしたのよ。善吉君を両親に会わせたいって」

名瀬「えっ」

瞳「まぁ、こういうのは当人に任せましょ」

めだか「善吉が御両親の前で粗相をしなければよいが…」

名瀬(そこかよ…)

3: 2011/01/24(月) 22:23:02.26 ID:9uadB6Ih0
駅前

怒江「私も長い事一人暮らしだったから、ちょっと楽しみなんだぁ」

善吉「へー…ってか、俺で大丈夫なのか?やっぱりお母さんに頼んだ方が良かったんじゃあ」

怒江「ううん、いいの。こればかりは人吉先生に頼りたくなかったから」

怒江「それに、人吉くんがいるでしょう?」

善吉「…、そうだなっ!」

怒江(人吉くんと二人きり……)

怒江(こういう状況じゃないっていうのはわかってるつもりだけど、なんだか幸せぇ…///)

善吉「どうした?顔が赤いぞ。やっぱり無理してるんじゃあ…」

怒江「えっ!?ううん!!大丈夫よ。(ああ顔が近いよぉ><)」

善吉(………やっぱり無理してるよなー。ちゃんと支えてやらねーと)

5: 2011/01/24(月) 22:23:52.59 ID:9uadB6Ih0
電車内

怒江(どうしようどうしよう。何を話せばいいんだろう。人吉くんの好きそうな話題ってなんだろう。せっかく二人きりなんだから何か話さないともったいないよぉ。
あんまりうるさい女の子は嫌われちゃうかな…ああ、でも、無愛想な女の子もタイプじゃないよね?え?え?人吉くんってどんな女の子が好きなんだろう…
………今、一瞬だけ、あっちのコ見た?)チラッ

善吉(あれ、鍋島先輩だ。何してんだろう。声掛けるべきか迷うな…あ、隣の車両行っちゃったか)

怒江(あれって箱庭学園の制服だよね?ああ、もしかして制服フェチなのかな。じゃあ制服着てくればよか…って、私転校したてでまだ制服持ってないじゃない。
制服…電車…もしかして痴漢願望とかあるの?「こんな短いスカート履いて、誘ってるんだろ?」とか、「嫌なら声出せよ…」とか囁いたりする妄想とかしてたのかな。
どうしよう…わたしミニスカとか持ってないよ。ワンピースじゃ痴漢しにくいよね。スカートたくしあげたら一目で周囲にばれちゃうしね。
で、でも、なにも痴漢ってお尻だけじゃないし!胸!胸を触ってくるかもしれないわ。それなら私相手でも痴漢できるし。
人吉くんは巨O好きかな?黒神さんや名瀬さんほど大きくないから心配だな…あ、でも人吉先生とか不知火さんみたいな平たい方が好きって可能性もなきにしもあらずよね。
あああ、電車内で何を考えてるのよ私!!やだ、顔に出てないよね。いつもこんな変態的なこと考えてる女の子だなんて思われたくないよぉ…
お味噌汁。そう!私にはお味噌汁があるのよ!人吉くんが巨O派でも貧O派でも、私のお味噌汁の前ではどうでもいい身体的特徴の好みにすぎないのよ!!
人吉くんは赤味噌が好きなのかなぁ、白味噌かなぁ、私は合わせ味噌が好きだから、人吉くんもそうだったらいいなぁ。
でもでも、「怒江の作ってくれた味噌汁なら、何味噌でも美味しいよ」とか言ってくれるかもしれないし。どうしよう、そんなこと言われたら豚汁もけんちん汁も金輪際作れなくなっちゃうわ。
好みの味付けを人吉先生に聞いておこう。濃い味が好きだったら、コレステロールも気にしなきゃいけないし…って何十年後の話してるのよ。
いえ、健康は若いうちから考えなきゃ駄目だわ。やっぱりしっかりと栄養管理しなきゃ。八十年経っても私が人吉くんにお味噌汁作って上げられるように…)ポヤポヤ

善吉「…?」

6: 2011/01/24(月) 22:25:07.17 ID:9uadB6Ih0
鍋島「なんや、おもしろそうやなぁ。ちょっかいかけるべきだったか」

雲仙「やめとけやめとけ」

雲仙姉「9536749324038643」

雲仙「いや盗撮とか引くわ」

鍋島「…;」

7: 2011/01/24(月) 22:25:45.92 ID:9uadB6Ih0
善吉「着いたな。ここが江迎の故郷か」

怒江「う、うん…」ガクガク

善吉「………大丈夫か?」

怒江(なんとか気を紛らわせてきたけど、やっぱり無理。ホームに降りたときから胃がヒクヒクしてて…吐きそう)

怒江「少し…休ませて(ああ、目に見えるものすべてが嫌だ。逃げたい。帰りたい。箱庭学園に…)」

善吉「……、」ギュッ

怒江「あっ///」

善吉「あそこのベンチで休むか、な?」

怒江「…うん」ニコッ

8: 2011/01/24(月) 22:26:56.69 ID:9uadB6Ih0
怒江「まずは、あそこのお宅」

善吉「わかった」

怒江「大丈夫かなぁ…私、怖い」

善吉「俺がついてる。何があってもこの手を放しはしないからさ」

怒江「…ありがとう、人吉くん」

善吉「カッ、そのために来たんだ、当たり前だろ」

怒江「うん…///」ドキドキ

9: 2011/01/24(月) 22:27:49.77 ID:9uadB6Ih0
鍋島「見ていて口の中が甘くなってくるくらいイチャイチャしとんなぁ」

雲仙姉「1946293046153849」

雲仙「デバガメ共…」

10: 2011/01/24(月) 22:28:23.30 ID:9uadB6Ih0
怒江「―――っ、――――――」

知人A「―――!!――――――!?」

善吉「………………」



知人B母「―――――!?!?」

怒江「―――。―――!」フルフル



知人C両親「「―――!!!!」」

怒江「………っ!!」

善吉「…」………ギュッ



鍋島「…」

雲仙姉「…」

雲仙「ほら、帰るぞ」

11: 2011/01/24(月) 22:28:57.33 ID:9uadB6Ih0
怒江(自分で決めた事。幸せになれるって思った時から、決めてた事)

怒江(悪意を持って力を使ってしまった事、何度もあるから)

怒江(取り返しのつかない事もしてしまったから)

怒江(ちゃんと謝らなきゃ)

怒江(悪い事をしたんだから、謝らなきゃ)

怒江(でも…もう、くじけそうだよ)

怒江「人吉くん…」ウルウル

怒江(ずっと手を握っててくれてありがとう)

怒江(あと、一軒。一番行きたくない場所)

怒江(私、でも、もう、心が潰れそうだよ)

ギュッ

善吉「江迎…」

12: 2011/01/24(月) 22:29:50.35 ID:9uadB6Ih0
ギュッ

怒江「えっ?」

怒江(………抱きしめられてる!?)

怒江「ひ、人吉くん―――」

善吉「江迎、無理するな」

怒江「……っ」

善吉「スゲー頑張ってるよ、お前。どんな酷い事を言われても顔を背けずに受け止めるだなんて、俺にはできない」

善吉「……一旦、帰ろう。少しずつでいいんだ。今日はちょっと頑張りすぎたんだよ、お前は」

怒江「…やさしいね」

怒江(ありがとう。でも)

怒江「黒神さんなら、きっと逃げずに立ち向かうよね」

善吉「めだかちゃん?いや、あいつは参考にしない方が…;」

怒江「お願い、もう少しだけ、付き合って」

善吉「江迎……、わかった」

怒江「ありがとう」

ギュゥゥゥゥ…

13: 2011/01/24(月) 22:30:36.65 ID:9uadB6Ih0
老人「……?」

怒江「ご、御無沙汰してます」ドキドキ

老人「お、お前さんは…」

怒江(ッ……声が、出ない)パクパク

怒江(怖いよ…思い出しちゃうよ…)

怒江(初めてワンちゃんを抱いてしまった日を………!!!)

善吉「(マズイ………)あの、」

老人「怒江ちゃんじゃないか!」

怒江「……ふぇっ?」

老人「いやぁ~久しぶりだね。元気だったか?」

怒江「あの、あのっ」

老人「…彼氏さんかい?イケメンじゃないか」

怒江「―――ごめんなさいっ!!」

老人「―――!!」

怒江「ワンちゃんを腐らせてしまってごめんなさい!!」



怒江「いままでずっと、謝れなくてっ、ごめんなさいッ!!!!」

14: 2011/01/24(月) 22:31:39.37 ID:9uadB6Ih0
老人「……随分と綺麗になったねぇ」

怒江「……??」ビクビク

老人「もう夕方だ。町内回ってきたんだね?」

怒江「…はい」

老人「ありがとう」

怒江「っ」ピクッ

老人「怒江ちゃんがそんな綺麗な目をする日がくるなんて思わなかったよ」

怒江「おじい…さん…」

老人「もう、手を握っても大丈夫なんだね?」

怒江「えっ、あ、はい…」

老人「じゃあ、ちょっと待ってておくれ」

怒江「…」ドクン!ドクン!



老人「さぁ、抱いてあげてくれ」

子犬「キャン!」

怒江「あっ…」

老人「あんなに抱きたがっていたじゃないか。もう遠慮しなくていいんだろう?」

怒江「~~~っ!!」ポロポロ

老人「初めて犬を抱こうとした時、あれ以来の綺麗な眼だ。ああ、懐かしいねぇ」

怒江「っ、っ、」グズッ

善吉「…」ホッ

子犬「キャンキャン!!」


ギュ

16: 2011/01/24(月) 22:33:57.60 ID:9uadB6Ih0
江迎母「………怒江?」

怒江「ただいま…お母さん」ギュッ

母「怒江…あなた、その手」

怒江「うん、紹介するね。人吉善吉君」

母「怒江ッ…!!」ボロボロッ

怒江「お母さん。今まで、迷惑掛けてごめんなさい。これからも迷惑かけちゃうかもしれない。けど」

怒江「私、幸せになるから」

怒江「今までの事、全部背負って」

怒江「ちゃんと乗り越えて」

怒江「幸せになるから」

怒江「だから、」

怒江「私を…産んでくれてありがとう!!」

母「怒江……!!」

ギュッ

母「ごめんなさい。私が守ってあげなきゃいけなかったのに。私がッ…」ボロボロッ

怒江「ありがとう…お母さん。ありがとう……!!」

善吉(良かったな…江迎)

17: 2011/01/24(月) 22:34:36.95 ID:9uadB6Ih0
瞳「遅くなったから江迎さん家に泊まるって」

古賀「」

名瀬「」

めだか「フム、ちゃんと挨拶できたのだな。両親公認とは順風満帆、いいことだ!」凛ッ

おわり

18: 2011/01/24(月) 22:36:42.60 ID:9uadB6Ih0
本誌読んで我慢出来なかった。後悔はしてない。
読んでくれてありがとうございました。
短いしVIPに立てようかと思ったけど規制されてたので。
続き?ねぇよ。むしろ書いてくれたら読む。

引用元: 善吉「ちょっと江迎家に行ってくる」