1: 2017/11/28(火) 02:51:22.76 ID:DTs0QAHJ0
戸塚「好きな人がいるんだ」

夕方,校門で出会った部活帰りで,体操服の格好をした戸塚は唐突にそう告げた.

八幡「えっ」

戸塚「えへへ.好きな人のことは,まず八幡に打ち明けようと決めていたんだよ.びっくりした?」

八幡「…ああ」

俺は驚いていたし,心底から幸せそうな戸塚を祝福してやろうという気もちもあった.

ただ戸塚が,それを言うために俺を待っていたのだと思うと,おっくうになった.だから返事も自然とそっけなくなる

戸塚「ずっと気になっていたんだけど,その人に告白する思い切りがつかなくて,悩んでいたんだ.

でも今朝,海老名さんの話を聞いて決心できた.それで,今日,告白しようと思って」

そんなに頬を赤らめて,早口で言うなよ.こっちまでなんだか背中がむず痒くなる.

『やがて、季節は移ろい、雪は解けゆく。』
2: 2017/11/28(火) 02:52:49.70 ID:DTs0QAHJ0
八幡「それで相手は,どんな人物なんだ?」

大天使戸塚が好きになると言うのだから,神のごとき清らかな心の持ち主か.

あるいは,雪ノ下さんのような希代の悪魔だ.

この学校で,その一線を超えそうなやつは幾人か思い当たりはするが

戸塚と特別仲がよかったようには見えなかった.

戸塚「えっと.一見ぶっきらぼうだけど優しい人で,傷ついても前を向いているところ,それが…きっと好きな,理由」

昔の番長みたいな女性だな.戸塚の言葉を鵜呑みにするなら,嫉妬するレベルだ.

でも,それはきっと真実ではない.

恋は盲目で,多くの場合相手を近くに置きすぎて,全体が見えていない.

ソースは俺.クラス中に俺が告白したことを触れ回った女の子を,なぜ好きになったのか,今となっては分からない.

八幡「そうか,俺とは気が合わなそうだが.告白,上手くいくといいな」

同時に,物事はなるようになる部分もある.相手の欠点を見つけたからと言って,幻滅するような戸塚ではない.たった一年程度の付き合いの俺でもそれくらい,戸塚のことは分かっているつもりだ.

戸塚「あはは….やっぱり気づかないんだね,八幡は」

八幡「?まあ,俺が思いつく限りで言えば,当てはまるやつは川崎ぐらいか」

戸塚「もうっ.いいよ,僕がはっきり言うから」

戸塚「僕が好きなのはっ――――はちまんなんだよ」

はちまん,はて,そんな女いただろうか.

あるいは,はちまさんか.

3: 2017/11/28(火) 02:54:07.67 ID:DTs0QAHJ0
首を傾げる俺に業を煮やしたのか,戸塚が俺の人差し指をつまみあげて,顔の前まで持ち上げた.

指の向く方には,自分の腐った目がある.

戸塚「はーちーまーんーっ!」

八幡「可愛いすぎるだろ」

思わず,口走ってしまった.

だが,男だ.いかに外見が可憐な水仙の花であっても,内面が大和撫子のように母性にあふれていようとも,男だ.

改めて戸塚の胸部へ視線を落として,気づく.

そこには,俺の知らない突起物があった.

それは半お椀型で,ちょうど掌にすっぽり収まるくらいの物体だ.

つまり,おっOいだ.しかもでかすぎず,小さすぎない,形の良い乳房.

俺の視線に気づいた戸塚が.両手を交差させて身を守りながら,後ずさる.

戸塚「あの…八幡?」

八幡「わるい.最近,急激に視力が落ちたみたいだ」ゴシゴシ

おかしい,そう何かかがおかしい.

八幡「戸塚,俺の記憶が正しければ,性別は男だったはずだが」

戸塚「むう,いくら僕でもおこるよ.」

拗ねて口を尖らせる戸塚がいじらしくて,抱きしめてやりたくなる.

これは病気か,病気だな.病気に違いない.

戸塚「せっかく告白したのにからかうなんて,いじわるだよ」

八幡「そうだった…」

完全に頭から抜けていた.

戸塚「それで…その,僕と付き合ってくれますか?」

緊張と不安の混ざったかすれ声は,俺から言葉を奪い,心すら奪った.

13: 2017/12/05(火) 00:18:42.01 ID:SHNP282Y0
戸塚と付き合う.

たとえ夢だとしても,これほど幸福なことを見逃す手立てはない.戸塚は天使だ.

目の前の天使を,今だけは自分の思うがままに触れる.

それは,ずっとそうしたくて,できなかったこと.

八幡「戸塚…」

今や,戸塚の瞳がじんわりと濡れてきている.

なにがそんなに怖い.俺が怖いのか.俺に振られることが,そんなに怖いのか.

その気持ちは,分かる.俺だって戸塚に向けるのは,同じ気持ちだから.

頭の奥がじんじんと,熱を帯びていく.

八幡「初めて会った時から,気になっていたんだ」

八幡「あのときテニス部の件で見た,戸塚の向上心と優しさはなんというか,驚いた.こんな真面目な奴がいるのかって具合だ」

戸塚「う,うん」

スポ根は自分の趣味じゃない.くだらないものだと,自分から切り捨ててしまったものだ.

だけど戸塚を見たとき,真実,心の底では羨望と嫉妬が入りまじっていた.

へたくそでも,努力して,前に進んでいくのが眩しかった.

八幡「そんな戸塚を応援したい…っていったら傲慢だな.

ただ観客側として,戸塚が進んでいくのを見ていたい,と思う」

我ながら,頓珍漢な返事である.だけど,それが俺の答えだ.

道をあきらめた自分と,進み続ける戸塚.

暗と明,陰と陽.決して混じることがない二人.

付き合うことも,離れることもなく,延々と続けばいい.

戸塚「八幡が観客側だったら,僕から見えないよ…」

八幡「それでいいだろう,普段から観客を意識する必要なんてない.もし戸塚に相談したいことがあれば,いくらでも乗ってやる」

話しはついたと判断してむりやり踵を返すと,背中に衝撃が走った.

戸塚「僕は八幡と対等になりたい.助けられてばかりじゃ,いやなんだ.

それに僕だって,八幡を見ていたいよっ!…」

背中に当たる柔らかくて弾力があって,なにやら未知の艶めかしい感触.

そして,耳元に当たる吐息.

そこでようやく戸塚に優しく抱きしめられていることに,気づいた.

戸塚「同じ位置に立つには,ぼくは…どうすればいいの? 八幡…」

そんなの,俺が知りたいくらいだ.

14: 2017/12/05(火) 00:21:44.80 ID:SHNP282Y0
一方その頃 雪乃の家

由比ヶ浜「あ.あ.あ,水をかぶったらゆきのんが,パパパ,パンダに…すごい」

雪乃『…由比ヶ浜さん,衝撃を受けるのは分かるけれど』

雪乃『こちらへ近づかないでくれるかしら』

由比ヶ浜の気迫に押され,一頭の小柄なパンダが,後ずさる.

由比ヶ浜「着ぐるみ,じゃないんだよね?すっごいゆきのん,変身能力まであるんだ」

雪乃『そんな売れないヒーローみたいな言い方はやめてちょうだい.これ,すごく不便なのよ』

由比ヶ浜「パンダの状態でもホワイトボードで文字を書けるのは,ゆきのんらしいね.爪と爪の間に挟んでるんだ?」

雪乃『私は今まで,パン君にもビール瓶を持たせたり,新選組の格好をさせたりしていたわ.でもそれは,過酷な労働だったのよ.今の私は,ありのままの姿

で笹を頬張るパン君が好きだわ』

由比ヶ浜「ということは今,お湯をかけると裸のゆきのんがでてくるんだよね」ジュルリ

雪乃『お風呂しか,お湯をかぶることはないと思うのだけれど…』

由比ヶ浜「でも,雨の日は戦々恐々だよね.もし雨粒に当たったら…」

雪乃『服が飛び散って,可愛いパンダが呆然と立っていることになるわね』

由比ヶ浜「そんな誇らしげにいうことじゃないよ,警察沙汰だよ.動物園送りだよゆきのん」

雪乃『善処するわ』

由比ヶ浜『でも,私に打ち明けてくれたってことは,やっぱり心細いんだ.ゆきのんのことは私が守るっ.ふぅ慣れてないと書くの大変だね』

雪乃『…由比ヶ浜さんまでホワイトボードを用いる必要はないのだけれど』

由比ヶ浜『えへへ,こういうのを類は友を呼ぶ,って言うんだよね』

雪乃『…肉食動物に極めて近い思考回路を持っているなんて,自分で言うものじゃないわ』

由比ヶ浜『ゆきのんがこういう言い方するときって慰めてないよね,むかつく』

雪乃「がう」

由比ヶ浜「都合のいいときだけ獣語はずるいし」

雪乃『ふふ,お風呂へ入ってくるわ』

由比ヶ浜『私も一緒に入る,たまには裸の付き合いしようよ』

雪乃『やめておいたほうがいいわ』

由比ヶ浜『なんで?そんなに恥ずかしがらないでもいいのに』

雪乃『この姿のわたし,毛玉がすごいのよ…先日も排水管が詰まったわ…』

由比ヶ浜『…それでも入る』

雪乃『ばかね』

由比ヶ浜『ばかだもんっ』

19: 2017/12/16(土) 02:39:55.02 ID:00uHJ2Gb0
比企谷家 トイレ


八幡「…」ガラガラ

小町「ねぇ」

八幡「…」クルクル

小町「お兄ちゃん,いつまで入ってるの」

八幡「まだ出ない.下のトイレへ行ってくれ」

小町「さっきからトイレットペーパーを垂らしては,また巻き直す音がするんだけどっ.考え事なら自分の部屋ですればいいじゃん」

八幡「悩みごとがあるんだ,ほっておいてくれ」

小町「お兄ちゃんが悩むなんて珍しい~,小町は興味津々なのです」

八幡「帰れ」

小町「ここが小町の家なのでーす.で,なにに悩んでいるの?」

八幡「…まあいい,小町も女子なら,笑わないで聞いてくれ」

小町「はーい」

八幡「女子の胸って急に大きくなることがあるのか?今まで無乳だったやつが制服の上からでも分かるくらいに」

小町「…」ジーッ

八幡「なんだよ」

小町「それ,当人にも聞いたの?すけべ」

八幡「聞かねえよ,あと呼び名を変えるな」

小町「よかったよかった」

小町(雪乃さん,ついに極厚パッド付ブラジャーを購入したんだ.お兄ちゃんは気づいてないみたいだし,釘を刺しておこう)

八幡「実は,今まで男だと思っていたとは言ったが」

小町「くずぅぅぅぅううううっ!小町がその場にいたら,ガチビンタが飛んだよ」

八幡「でも今まで,男らしいところあっただろう?」

小町「いやーー,性格はアレでも外見が美少女じゃん」

八幡「…その通りだ」

小町「とにかく当人の前でその話題に触れるのは厳禁だよ.普段通りに接すること,分かった?」

八幡「おう」

20: 2017/12/16(土) 02:59:32.75 ID:00uHJ2Gb0
次の日 休み時間


戸部「あれれれ?戸塚君,胸大きくなった感じ?あといつも以上に女の子的な雰囲気を感じるわー」

戸塚「アハハ….」

八幡「戸塚が困っているじゃねえか.馬鹿野郎っ!しねっ」

戸部「うわっ,ヒキタニ君暴力反対っ!」

葉山「眼球をボールペンで突き刺すのは愚策だ比企谷.こういうときは目に見えないよう腹を殴るんだ,こういう風にね」ブンッ

戸部「隼人君,ひどいっしょー」


海老名「最近,男子同士,仲良いよね~…最初は遊びだけど一歩間違えたら危ないラインが見えるよ,ぐふふふふっ」

由比ヶ浜「超えたら,けが人がでるってことだよね?あっち系の意味じゃないよね優美子」

優美子「どちらでも超えたらまずいし.特に隼人が心配だし」

由比ヶ浜「隼人君が一番腕っぷしが強いのに」

優美子「あんまりあの二人と遊ぶと,頭が悪くなるし」

由比ヶ浜「母親の目線で見てたっ!?」

22: 2017/12/17(日) 01:51:25.53 ID:kehJopTH0
戸塚「もういいよ,二人とも.僕は気にしてないから」

戸部「まじ戸塚君,天使っす」

八幡「ならいいが…むりするなよ」ジーッ

葉山「困ったことがあれば,いつでも相談してくれ.クラスメイトだろう?」ジーッ

戸塚「う,うん.えっと,僕の格好,なにかおかしいかな?」

八幡(今の戸塚はミルク色のセーターを着ていて,なおかつなだらかな丘陵が二つあって,さらに萌え袖である.しかも長めのスカートの裾をつかんでいる

が,なにもおかしくない.そう,ぜったいに触れてはならない)

八幡「いや,そ」

戸部「そうそう,俺はそれを聞きたかったの.なんで戸塚君,女子制服を着ているん?」

八幡「」

葉山「だめだ戸塚,今ここで始末しよう.クラスの平穏の為だ.大人になってもどうせろくなことをしない」

戸部「なんか聞いちゃいけないことを聞いた感じ?ゴメンっっっ」

慌てて逃走しようとする戸部を,戸塚が手で制止する.

戸塚「ううん,いつかは言わなきゃならなかったと思うから,ありがとう戸部くん」

戸塚はその場に立ち,震える声で宣言した.

戸塚「僕,水をかけられると女の子になってしまう体質なんです」

23: 2017/12/17(日) 01:59:38.24 ID:kehJopTH0
それから,戸塚の話によれば,こうだ.

つい先月,学校主催で,中国へ旅行する話があったそうな.異文化交流という立派な看板を掲げたそれは,全く人気がでなかった.

理由としては,国家間の亀裂やら中国という微妙な観光地,あるいは面倒くさいというとても共感できるものがあった.

そこで担当の先生は焦り,頼めそうな生徒を漁り,戸塚が選ばれたというわけだ.

まあ,平塚先生に土下座されたら断れないよな.先生に対する同情よりむしろ怖いよ.やくざにランドセルを送られた気分だ.

そんなこんなで中国へ渡った一行は異文化交流をそこそこ楽しみつつ,怪しげなガイドに連れられて,伝説的な呪泉卿へ至る.そこでは『大小100以上の泉が

湧いており、いくつかの泉には修行用の長い竹が立ててある。ひとつひとつの泉には悲劇的伝説があり、泉で溺れると、最初にその泉で溺れた者の姿となる。

それ以降、本人の意思に関係なく強制的に水に濡れると変身し、湯をかぶると元に戻る体質となる』

そこで戸塚は娘溺泉に溺れてしまったらしい.

マジで,神様っているんだな.感謝する.

25: 2017/12/17(日) 02:10:21.66 ID:kehJopTH0
おわりです

『』はwikipediaを参照しました
教授が読んだら激怒不可避

26: 2017/12/17(日) 02:16:07.75 ID:YHOBtCW/0
止水桶探さなきゃ

24: 2017/12/17(日) 02:04:22.23 ID:QGbAa5ZL0
最高かよ

引用元: 戸塚が女性なのはやはり間違っている