1: 2020/02/23(日) 20:40:10.60 ID:ex/pPk3R0
●全33レス前後(予定)
●キャラ曲解・崩壊注意、ナルガミは関西弁モード採用
●産卵回で何か新しいものが目覚めたような気がする


2: 2020/02/23(日) 20:41:49.12 ID:ex/pPk3R0

ナルガミ「ワイらの?」

サムターン「職業・・・」

ルルゥ「・・・だって?」

クリム「はい」




 ザワ ザワ

  ガヤ ガヤ …




サムターン「・・・そういえば、教えてなかったな」

ナルガミ「クリムとはまだパーティ組んどらんしな」

ルルゥ「夜のパーティならよく組むけどね」ニヤニヤ

クリム「ま、またそんなこと・・・ もう」

ナルガミ「まあそういやそやな。 ワイら、スタンクらとは冒険ではあまり組まんからな」

クリム「そう、ですよね。 なにか理由でも・・・」

サムターン「まあ相性というか・・・ 単純に実力の問題だ」

クリム「えっ」

ナルガミ「ワイらスタンクらほど強くないねん」

3: 2020/02/23(日) 20:43:23.18 ID:ex/pPk3R0

クリム「え?」

ルルゥ「モンスターの大群をばったばったやっつけられるほど、僕ら強くないんだよ」

ナルガミ「火山地帯とか砂漠とか海底神殿とか、あんなしんどいとこ行ってたら身がもたんわ」

サムターン「足手まといにはなりたくないからな」

クリム「え、え。 でも・・・」




「なに言ってやがる」




ナルガミ「お?」

スタンク「・・・おまえらが弱いだって?」

サムターン「事実だろう」

ゼル「冗談キツいぜ」

ルルゥ「だって僕らパワーもないし、魔法だって使えないし」

ブルーズ「ワシはお前らだけは敵に回したくないぞ」

クリム「・・・みんな、そう言うんです。だから気になって」

ナルガミ「スタンクお前、クリム君に教えてやっとらんの?」

スタンク「教えてやってよかったのか?」

サムターン「もうみんな知ってることだ」

ルルゥ「そういえば一時期内緒にしてたっけ」

4: 2020/02/23(日) 20:45:31.47 ID:ex/pPk3R0

クリム「内緒に・・・?」

ゼル「そう言えばっておい、お前らがそうしてくれって言ったんだろ」

サムターン「まあ、あまり言いふらすなとは言ったな」

ナルガミ「結局あんま気にすることも無かったけどな」

クリム「な、なにか危ないようなことでも・・・?」

ナルガミ「そんなんやないけど、まあ前の職場への義理ちゅうか」

クリム「ほんとに、いったい何をやってたんですか?」

ルルゥ「・・・何を、か」ニヤッ



「せっかくだから、当ててみてよ」



クリム「えっ」

ルルゥ「ね、当ててみて。僕は何だと思う?」

クリム「え、えっと・・・ 魔法使いとか」

ルルゥ「魔法なんて使えないっていま言っただろ」ニヤニヤ

ナルガミ「ワイは何だと思う?」

クリム「え、えーっと、盗賊とか・・・」

ナルガミ「ワイ、細かい手作業苦手やねん」

サムターン「俺はどうだ」

クリム「え、その、あの・・・ 剣士、だったり、しないですか?」

サムターン「剣か、使えないことも無いんだが・・・」

5: 2020/02/23(日) 20:47:50.69 ID:ex/pPk3R0

ルルゥ「どうしてもわからない?」ニヤニヤ

クリム「わ、わかりませんよ。教えてくださいよう」

ルルゥ「なら、僕たちと一緒に来てよ」

クリム「えっ?」

ルルゥ「僕らとパーティ組めば、すぐにでもわかるだろ?」

クリム「・・・僕が、みなさんと?」

ルルゥ「いいでしょ? サム、ナルガミ」

ナルガミ「ワイもええと思う、頼みに行こうと思ってたとこや」

サムターン「・・・仕方ないか。 クリム、俺たちの仕事を手伝ってほしい」

クリム「え・・・仕事?」

サムターン「危険は伴う。だが、礼金ははずむ」

ルルゥ「危ないことは僕らが全部引き受ける、だからお願い」

クリム「ぼくが、皆さんの仕事に・・・」ゴクッ

サムターン「無理にとは言えないが。 君は俺が・・・ 魔族が苦手なんだろう?」

クリム「いえ・・・ ぜひ、ぜひやらせてください」ギュッ

サムターン「・・・いいのか」

クリム「はい。 危ないことでも、できるだけ、がんばりますから」

ナルガミ「んなことさせたらメイドリーちゃんに怒られてまうわ」ニッ

クリム「(よし、よしっ! がんばるぞ・・・!)」




 ザワ ザワ

   ガヤ ガヤ …

6: 2020/02/23(日) 20:49:18.19 ID:ex/pPk3R0

【鉱山地帯】


 … ザッ ザッ ザ

   ジャリ ジャリ ジャリ …



サムターン「・・・大丈夫か、クリム」ザッ ザッ

クリム「はい。 皆さんも足元、気を付けてくださいね」

サムターン「いや、俺のことは大丈夫か」ザ ザ ザ

クリム「ええ、思ったよりも平気です。 ・・・ルルゥさんも、しっかりつかまっててください」

ルルゥ「うん。さすがだね、クリム」

クリム「・・・たいしたことないです」

ルルゥ「そんなことないよ」




 キラ キラ キラ キラ

  キラ キラ キラ キラ




ルルゥ「きみでなけりゃ、この『光の迷宮』は抜けられない」

サムターン「光の精霊が住みついた水晶の鉱床、闇の魔法でさえかき消される」ザッ ザッ

ナルガミ「ウィルオーウィスプ店のレビュー見てピーンと来たんや、クリムしかおらんってな」

7: 2020/02/23(日) 20:51:05.27 ID:ex/pPk3R0



 キラ キラ キラ キラ

  ギラ ギラ ギラ ギラ



クリム「・・・暗い横穴があります、たぶん出口です」

ナルガミ「そうなんか? ・・・おっ、ほんまや」

ルルゥ「わっ」



 キラ  キラ  キラ ……



ルルゥ「・・・急に真っ暗になったからびっくりしたよ」

ナルガミ「ワイは目が慣れてきた。 そこそこ明るいで」

サムターン「ここで作戦の確認をしておこうか」ガサッ

クリム「・・・ここの地図ですね」

サムターン「ああ。 ルルゥ、現地点はここか?」

ルルゥ「うん。 あいつらのアジトまであと少し」

クリム「夜盗の集団、でしたか」

ナルガミ「せや。 コウモリ獣人の盗賊団や」

ルルゥ「あいつらは、僕らがまさかこっち側から来るとは思っていないはず」…ガサリ




「でもあいつら耳がいいから、これ以上近づいたら気づかれる」

8: 2020/02/23(日) 20:53:06.05 ID:ex/pPk3R0

クリム「・・・だから、二手に分かれるんですか」

ナルガミ「せや。 クリムはワイと来てもらう」

サムターン「ふたりならほとんど音を立てずに動けるだろうからな」

ルルゥ「クリムって羽あるくせにはばたいたりしないで浮いてるからね」

サムターン「俺とルルゥが先に潜入して陽動する」

ナルガミ「その間にワイらはこっちからアジトに潜入、『お姫さん』を救出や」

サムターン「ルルゥ、『姫』はこの位置で間違いないのか」

ルルゥ「うん、確かめてある。まだ無事だってのもね」
              ス カ ウ ト
クリム「ルルゥさんは 偵 察 兵 だったんですね」

ルルゥ「はずれ」

クリム「えっ? でもこの地図を作ったのも、ルルゥさんなんですよね」

ルルゥ「うん、骨が折れたよ」

クリム「敵地に潜入して情報を集めるのって、スカウトの仕事じゃないんですか?」

ルルゥ「本職じゃないよ、フェアリーだから得意だけどね」

サムターン「だがまあ、当たらずとも遠からずだ」

クリム「当たらずとも遠からず・・・?」

ナルガミ「ま、それは後や。 クリム、よろしく頼むで」

クリム「は、はい」

ナルガミ「『お姫さん』を助けるのも、クリムの大事な仕事やからな」

サムターン「『姫』を救出したら合図してくれ、夜盗どもの殲滅にかかる」

9: 2020/02/23(日) 20:54:29.01 ID:ex/pPk3R0

クリム「殲滅・・・ですか」ゴクリ

ナルガミ「せや、あいつらも賞金首やからな」ペロリ

サムターン「最初から殲滅にかかると逃げ出すからな」

ルルゥ「『お姫さま』も危なくなるかもだしね」

サムターン「俺たちは可能な限り奴らを引き付ける」

ナルガミ「ワイらは『お姫さん』助けたらここに戻ってくるんやな」

ルルゥ「うん、やつらはコウモリだから、光の迷宮を抜ければ追ってこられない」

サムターン「そうすればクリムと『姫』はもう安全だろう」

ルルゥ「僕らも危なくなったらこっちから逃げよう」

サムターン「夜盗ごときに後れは取らんが、油断は禁物だ」

クリム「・・・あの」

ルルゥ「わかってるよ、クリム」

サムターン「契約は守る」




(「殺さないでください。 ・・・できるだけでいいんです」)

(「できることなら、誰も殺さないで、氏なないで・・・」)




クリム「・・・無理を言ってすみません」

ナルガミ「お互いさんや」

10: 2020/02/23(日) 20:55:02.18 ID:ex/pPk3R0

サムターン「それじゃあ行ってくる」

ルルゥ「合図したらふたりもお願い」

ナルガミ「合点承知や」

クリム「どうか、気をつけて」




ザッ ザッ ザッ …

 … パタ パタ パタ




サムターン「(・・・どうだ?)」ザッ ザッ

ルルゥ「(たぶん、そろそろ気づくよ)」パタ パタ

サムターン「(そのようだ)」… ザ ッ



 ・・・・・  ・・・・・・  ・・・・・

    ・・・・・  ・・・・・



サムターン「(前に三人)」

ルルゥ「(後ろに・・・たぶんふたり。 いくよっ!)」シュッ!




 パ   ア   ン   ッ

11: 2020/02/23(日) 20:57:46.02 ID:ex/pPk3R0


 パ   ア   ン   ッ




クリム「!?」

ナルガミ「おっ」




パンパンッ  パパパパンッ




ナルガミ「合図や、行くで。 ・・・マントとフード、しっかりかぶっておいてな」

クリム「は、はい」

ナルガミ「光をもらしちゃあかんで」




パパンッ パパパンッ パパパパパ




夜盗「ぎゃ?!」「うげっ!」「ぐあああ!」

サムターン「効果てきめんだな」ダッ!

ルルゥ「音の爆弾さ、へへっ」パタタッ!

夜盗「み、耳が!」「痛ええ! くそおっ!」「待ちやがれ!」

12: 2020/02/23(日) 20:58:36.14 ID:ex/pPk3R0

ナルガミ「(・・・こっちや)」

クリム「(は、はい)」

ナルガミ「(見張りがおるかもしれん、気ぃつけてな)」

クリム「(はいっ。 ・・・)」




 …ガ ッ  キ ィ ン



クリム「・・・!」

ナルガミ「(お、やっとるな)」




 キ ィ ン   ガキ ッ    ビシ ッ




ナルガミ「(わざと音たてて、ワイらから離れるように逃げてくれとる。急ぐで)」

クリム「(はい。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)」

ナルガミ「(・・・心配か?)」

クリム「(い、いえ)」

ナルガミ「(ま、大丈夫やろ。 あいつらめっちゃ強いんやで)」



 キ ュ イ ン !!

13: 2020/02/23(日) 21:00:03.40 ID:ex/pPk3R0

 ギィン ガキッ ビシッ

  キ ュ イ ン ッ ッ




夜盗「このコソ泥が!」ブンッ!

サムターン「面白いジョークだ」ガキッ!

ルルゥ「どっちがだよ・・・ っと」

夜盗「くらいやがれ!!」 ク ワ ッ !




─────────! ─────!

────────────────!!




ルルゥ「よっ。はっ、とっ」ピュンッ シュンッ

サムターン「気を付けろルルゥ、超音波だ」

ルルゥ「わかってるって。 あたらなけりゃ、たいしたことないっ!」シャッ!




──── ビシッ バシ バシィッ




夜盗「おごえ?!」「うぐう!」「ごぼっ」

ルルゥ「ばーか、大口あけてるからさ」

14: 2020/02/23(日) 21:01:06.40 ID:ex/pPk3R0


夜盗「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




ナルガミ「(・・・おるで、見張りや)」

クリム「・・・・・」ゴクリ

ナルガミ「(ひとりだけやな、ありがたいこっちゃ)」

クリム「(やるん、ですか)」

ナルガミ「(約束やからな、頃しはしないで)」…スッ



 パ ク ッ 。



クリム(え? ・・・笛?)

ナルガミ「─────…。」ス ウ …

クリム(細長い管を口に咥えて・・・)

ナルガミ「       」プッ!




 プ ツ ッ !




夜盗「う・・・?!」

15: 2020/02/23(日) 21:03:06.02 ID:ex/pPk3R0

クリム「!」

ナルガミ「(2~3日はぶっ倒れててもらうけどな)」ニヤッ

夜盗「う・・・ あ・・・」バタッ

クリム「(そ、それ、武器だったんですか?!)」
          ブ ロ ウ ガ ン
ナルガミ「(そう、吹 き 矢 や。 知らんかったんか?)」

クリム「(・・・はい、はじめて見ました)」

ナルガミ「(狩りなんかで使っとるもんやで。 ・・・さ、ちゃっちゃっと済ますで)」

クリム「(は、はい。 ・・・・・・・・・・)」




夜盗「     」ヒクッ ヒクッ…




ナルガミ「(大丈夫や、氏にはせんで)」

クリム「(毒・・・ですか)」

ナルガミ「(ワイの家の秘伝の毒薬、プラス自前の毒のカクテルや)」

ナルガミ「(そんじょそこらの治療魔法じゃ解毒でけへんでぇ)」
                ハンター      イェーガー
クリム「(ナルガミさんは、猟 人… いえ、猟 兵 なんですか?)」

ナルガミ「(うん、猟兵? ワイがか?)」

クリム「(・・・はい。 狩りで使う武器を使ってるってことは、そうなのかなって)」

ナルガミ「(んな立派なもんやない、ええとこ野伏りや)」

16: 2020/02/23(日) 21:05:04.62 ID:ex/pPk3R0

クリム「(のぶせり???)」

ナルガミ「(・・・おっ。 おしゃべりは後や。 見つけたで)」

クリム「(あっ)」




 …カチャッ カチャ


   ガ チ ャ ッ …




クリム(箱・・・ いや、小さな檻?)

ナルガミ「(まずいなあ・・・ 『お姫さん』、気ぃ立っとる)」

クリム「・・・・・・」

ナルガミ「(ワイはもうここから近寄れへん。 クリム、頼むで)」

クリム「(・・・はい)」… ス ッ




 カチャッ カシャカシャ ガシャッ



ナルガミ「・・・・・・」

クリム「(・・・怖くない、怖くない)」ギュッ!




 怖 く な い っ !!

17: 2020/02/23(日) 21:05:42.98 ID:ex/pPk3R0

サムターン「・・・」

ルルゥ「・・・」



 … ジ ャ キ ッ



夜盗「手こずらせやがって・・・」「もう逃げられねえぞ」

サムターン(囲まれたか)

夜盗「たたじゃおかねえ」「バラまいてやる」

ルルゥ(・・・思ったより、人数が多い)




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




サムターン(二人はまだか)

夜盗「「「入る場所を間違えたな!」」」

ルルゥ(・・・やっちゃう?)

夜盗「「「地獄で後悔しな!!」」」ダッ!

サムターン(仕方ないか・・・・・)




 ジ ャ ラ ラ ラ ラ ッ

18: 2020/02/23(日) 21:07:13.61 ID:ex/pPk3R0

ルルゥ「!」

夜盗「あ? 何の音だ・・・」

サムターン(合図だ。 ルルゥ、伏せろ)サッ!

ルルゥ「よっと」スッ!

サムターン「…『カグツチ』」パッ!




 ボ   ゥ   ン   ッ




夜盗「ぐわ!?」「ぎゃああ!」「あちいいいっ!!」

ルルゥ「うわ、すっご」

夜盗「て、てめえら! このっ」ダッ!

サムターン「『ワダツミ』」シャッ!




 ド   ザ   ァ   ッ




夜盗「うわあ!」「ごぼっ!?」「ぶぐ ぶぐぶぐっ」

ルルゥ「さー、もう手加減なしだ。 逃がさないよ」ジャキッ!




 シ ュ バ バ バ バ バ バ ッ ・・・

19: 2020/02/23(日) 21:08:30.87 ID:ex/pPk3R0


 ボ ウ ン ッ …




ナルガミ「おお」

クリム「!」

ナルガミ「派手にやっとるな」

クリム(爆発音に熱気・・・)




 … ド ザ ア ッ




クリム(それに水の音!)

ナルガミ「サムのやつやな」

クリム「や、やっぱり魔術士だったんですか」

ナルガミ「あれ魔法とちゃうで」

クリム「え?」




夜盗「うわあちい! 何してやがる、はやく魔法封じを・・・」

夜盗「もうやってる! き、効かねえっ・・・!!」

ルルゥ「ふふふふ、ばーか」ピシュッ ザキッ

夜盗「うぐえ」「ぎはっ」

20: 2020/02/23(日) 21:09:40.55 ID:ex/pPk3R0

クリム「ま、魔法じゃないならいったい・・・」

ナルガミ「お、おいクリム」

クリム「あっ」




… ヂ ! ?  ヂ ヂ …




ナルガミ「や、やばいやばいやばいでほんま」オタオタ

クリム「こ、怖くない怖くない」ナデナデ




…ヂ? ヂ…  ………




クリム「・・・ふう、大丈夫です」ホッ

ナルガミ「・・・心臓止まるでほんま」ドキドキ

クリム「・・・あ」



 … ザ ッ 。



サムターン「二人とも、無事か」

ルルゥ「よかった」

21: 2020/02/23(日) 21:12:42.23 ID:ex/pPk3R0

ナルガミ「ご苦労さんやったな」

クリム「ふたりとも、大丈夫ですか?」

ルルゥ「うん。 ・・・それが、『お姫さま』?」

クリム「はい。 よく寝てます」





… … … … ヒュ

ヒュウ … … … …




        パヨカカムイ
サムターン「 病  魔 か」

ルルゥ「こうしてるとただの小鳥にしか見えないね」

ナルガミ「怒らせたら病原菌バラまくおっかない姫さんやけどな」



 ヒ ュ ー … … … …



ナルガミ「コウモリどもは免疫あるけどワイらはそうはいかん」

ルルゥ「だから毒も病気も効かないクリムにしか救けられないと思ったんだけど・・・」

ナルガミ「まさかメロメロに懐かせるとは思わんかった、さすが天使さまや」

クリム「・・・あんまり嬉しくないです」ナデナデ


22: 2020/02/23(日) 21:13:46.70 ID:ex/pPk3R0

ナルガミ「まあ救出成功や、ほな行ってくるで」…シュルッ

クリム「えっ?」

ルルゥ「よろしくね」

サムターン「俺たちはひとまず、クリムと姫を安全なところに連れていく」

ルルゥ「夜には手勢連れて戻ってくるから」

ナルガミ「夕方までには終わらせとくで、ほな」シュル シュル …

クリム「あっ・・・」





ザッ ザッ ザッ …





クリム「・・・・・」

ルルゥ「今回はありがとう、クリム」

クリム「は、はい」

サムターン「契約通り、いやそれ以上の成果だった。 礼を言う」

クリム「・・・はい。」

ルルゥ「どうかした、クリム?」

クリム「いえ。 なんでも・・・」

サムターン「ナルガミのことを心配してるのか?」

23: 2020/02/23(日) 21:15:03.78 ID:ex/pPk3R0

クリム「し、心配だなんて。 でも・・・」



(ほんじゃ、残りの夜盗どもも片付けとくわ)

(あっちゃこっちゃに散らばっとるやろから、ゆっくりやるわ)




クリム「真っ暗い洞窟の中に散らばった、コウモリ獣人たちを、その、ひとりでなんて・・・」

ルルゥ「大丈夫だよ、むしろ邪魔しないほうがいい」

サムターン「俺たちが行ってもあいつの邪魔になるだけだ」

クリム「邪魔って、でも・・・」
                             ・ ・ ・ ・ ・
ルルゥ「クリム、あいつが何で『ナルガミ』って呼 ば れ て るか知ってる?」

クリム「呼ばれてるって・・・ 本名じゃないんですか?」

サムターン「ああ。 あいつはそう呼ばれるようになったんだ。 その戦い方から、な」

クリム「戦い方・・・」

ルルゥ「呼ばれるようにって、最初にそう呼んだのはサムだろ」

サムターン「まあな」




 シ ー ン …




夜盗(く、くそ・・・)(あいつら、いったいなんなんだ・・・)(・・・ちくしょう)

24: 2020/02/23(日) 21:15:44.02 ID:ex/pPk3R0

夜盗(いったいなんだったんだ、あいつら)

夜盗(絶対、ただもんじゃねえ。 くそったれ・・・)





 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





夜盗(お宝は惜しいが、命あってのものだねってやつだ)

夜盗(しかたねえ。夜までここに隠れて、暗くなったら外に・・・)





 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ プ ツ ッ





夜盗「うぐぇ」…ドシャッ

夜盗「?!」






 …プツッ   プツッ

25: 2020/02/23(日) 21:17:22.19 ID:ex/pPk3R0

サムターン「あいつは、暗闇でも見えるんだ」

クリム「夜目が効くんですか?」

ルルゥ「そんなもんじゃない、あいつは『熱を見る』んだよ」






夜盗「ぐお」ドサッ 「ぷあっ」ドシャ

夜盗(見えてやがるぞ!)(散らばれ!!)バササッ!




 ───── プ ツ ッ





夜盗「あぐう」ドチャッ

夜盗(く、くそ! またやられた!)

夜盗(目を凝らせ、熱を見ろ! 音でも探せ!)カッ!




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




夜盗(み、見えない、聞こえない、なんにも・・・ げえっ)ドサアッ

26: 2020/02/23(日) 21:18:24.06 ID:ex/pPk3R0

サムターン「しかも相手からは自分の熱を見られない」

ルルゥ「変温動物だしね」

サムターン「そして音ひとつ出さずに這いまわる」

ルルゥ「岩肌の隙間にはいりこんで、超音波だってかいくぐっちゃう」




───── プツッ  プツッ




夜盗「げえ」「うあっ」

夜盗(飛んでると狙い撃ちされる!)

夜盗(地面に降りろ、岩かげに隠れろ!)バササッ







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





夜盗(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・な、なんなんだ)

夜盗(ほんとになんなんだよ・・・ 怖ぇよ・・・)




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

27: 2020/02/23(日) 21:20:01.28 ID:ex/pPk3R0

夜盗(大丈夫、大丈夫だ・・・ まわりは鍾乳石だらけだ)

夜盗(どこから狙われたってなにも当たらねえ・・・)





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ シ ュ ル ッ 。





「・・・『ナルガミ』とは、『雷』を意味する言葉だ」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ シュル シュル





「あいつは、上から襲ってくる。 そして一瞬で、一撃で仕留める」





 シュル シュル シュル シュル


夜盗(・・・ん? げっ─────)


   ザ  シ  ュ  ッ






      なるがみ
「だから『  雷  』 なのさ」

28: 2020/02/23(日) 21:22:29.20 ID:ex/pPk3R0

ナルガミ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ナルガミ「おっ」




ザッ ザッ ザッ ザッ ザ …

 ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ

ドスン ドスン ドスン ドスン ドスン




ナルガミ「待っとったで」

ルルゥ「お待たせー」

サムターン「無事か」

ナルガミ「おかげさんでな・・・うん?」

クリム「よ、よかったです」

ナルガミ「なんや、もう大丈夫やのに」

クリム「ごめんなさい。 邪魔だとは思ったんですが・・・」

ナルガミ「別に邪魔やないけど、そっちは平気なんか?」

フランケンシュタイン「おでたちは平気だど」

狼獣人「公爵も心得ている、だから光も聖なる力も平気なわれらを遣わせた」

半魚人「・・・ちょっと体が乾くけど」ゼハゼハ

ゴーゴン「裏切り者を捕らえててくれたこと、ディジーを救け出してくれたことに御礼申し上げます」

29: 2020/02/23(日) 21:24:03.41 ID:ex/pPk3R0

ナルガミ「気の利いたもんやな、連中は中に転がしてあるで」

ゴーゴン「何人おりましたか」

ナルガミ「20人や、最初に聞いた人数より多かったな」

ゴーゴン「やはり」

ナルガミ「報酬にイロつけてな?」ニ タ ー

ゴーゴン「もちろん」ニ コ リ 。

サムターン「よし、もう一息だな」

ゴーゴン「いえ、皆様方はお休みを」

ナルガミ「へ?」

狼獣人「20人くらいわれわれだけで充分だ」

フランケンシュタイン「おでひとりでもええど」ムキムキ

半魚人「ここで待っていて。すぐに終わらせる」

クリム「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



 ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ

ドスン ドスン ドスン ドスン ドスン



ナルガミ「はあ、やっと一息ついたわ」

クリム「・・・ナルガミさんは、ほんとに、すごいんですね」

ナルガミ「すごいのはクリムくんの方やで」

30: 2020/02/23(日) 21:25:37.38 ID:ex/pPk3R0

クリム「そんな、おだてないでください」

ナルガミ「おだててなんかないで。 クリムは怖いの我慢してここに来たんやろ?」

クリム「はい。 ・・・僕は弱虫です」

ルルゥ「僕らだって怖かったよ、でも僕らは戦えるから」

ナルガミ「戦えないのに危ないとこ来るなんてすごい度胸やないかい」

サムターン「君は恐怖を乗り越え勇気を示した、胸を張るといい」

クリム「ありがとうございます。・・・でも、結局皆さんの職業はなんなんですか?」

ナルガミ「はあ? まだわからんかったんか」
                              アサッシン
クリム「・・・はい。誰のも、まだ。 ナルガミさんも、暗殺者じゃないんですよね?」

ナルガミ「ああ。 なんや、サムらに訊いたんか」

サムターン「似たようなものだけどな」

クリム「ああ、もう、本当にわかりません!」

ルルゥ「それじゃあ最後の大ヒントあげる」ニヤニヤ




「僕ら三人とも、おんなじ職業なんだよ」




クリム「え?」

ルルゥ「ね?」

サムターン「ああ」

ナルガミ「せやで」

クリム「ええええええ?!」

31: 2020/02/23(日) 21:28:18.51 ID:ex/pPk3R0

ナルガミ「なんや、そんなにビビることか」

クリム「だ、だって! 同じ職業なんて!!」

ルルゥ「だってそうだし」ニヤニヤ

クリム「スカウトみたいなことも、魔法みたいなことも、アサッシンみたいなことも!

    そんななんでもできる職業なんてあるわけ・・・」





「お待たせしました、ニンジャマスター」





クリム「えっ」

ルルゥ「あちゃー」

サムターン「本当に早かったな」

ゴーゴン「ゴミ掃除は手早く、ですわ。 ニンジャマスター・サムターン」

ナルガミ「そのマスターちゅうのやめてくれんか、こそばゆいわ」

狼獣人「過ぎた謙遜は慇懃と言うのだ、ニンジャマスター・ナルガミ」

ルルゥ「ばらしちゃだめだよ、もう」

半魚人「・・・なんのことです? ニンジャマスター・ルルゥ」

フランケンシュタイン「こいつら潰れっちまわないうぢに、とっどと行くど」ドッチャリ

クリム「           」ポカーン

32: 2020/02/23(日) 21:29:11.90 ID:ex/pPk3R0

【後日 食酒亭】



 ザワ ザワザワ


  ガヤガヤ ガヤ




クリム「いらっしゃいませー・・・ あっ」

スタンク「おーうクリム、ご苦労だったな」

ゼル「盗賊討伐大成功だって聞いたぜ」

クリム「大成功なんて、そんな・・・」

カンチャル「まあ話、聞かせろよ」

スタンク「おねーちゃん、エール三つ頼むぜ」

メイドリー「はいよろこんでー(棒」



 ザワザワ ガヤガヤ…



スタンク「そうかあ、デリベル公爵のかあ」

ゼル「ああ、間違いなかったらしい。 あのコウモリ獣人たち、公爵の下僕だったんだとさ」

カンチャル「公爵のところから財宝くすねて逃げ出してたんだって?」

ゼル「ペットの病魔も盗み出してな、そうだろクリム」

33: 2020/02/23(日) 21:30:39.84 ID:ex/pPk3R0

クリム「はい。 病魔・・・ディジーちゃんをさらって、ひどいことをしようとしてたって」

スタンク「村に病気をバラまいてから盗みに入ろうとしてたんだろ?」

ゼル「解決が遅れたら教会が動いてたとこだったぜ」

クリム「はい、でもみんな捕まって、公爵に引き渡されました」

ゼル「(今ごろ、頃してやっといたほうがマシだったような目に遭ってるだろうけどな)」

クリム「でもびっくりしました、ナルガミさんたちがまさかニンジャだったなんて」

スタンク「そうだろ? 俺たちもびっくりしたんだ」

クリム「スタンクさんたちも?」

ゼル「ああ、あいつらが初めてここに来た日、そりゃ驚いたもんだ」

カンチャル「とうとう来たか、って思ったよ」




(ニンジャだ)(ニンジャ?!)(ニンジャだぞ!)
 レンジャー                               ジツ
( 遊撃兵と同等以上の戦闘力と技量を持ち、さらに神秘的な 術 を扱う東方の特殊職・・・)

(こんなところに何しに・・・)(・・・まさか暗殺?!)(うう、心当たりがありすぎるぅ・・・・)




クリム(心当たりってどんなんだろ・・・)

スタンク「でもまあ、普通に仕事辞めて冒険者になりに来ただけだったけどな」

クリム「仕事を? なんで・・・」

ゼル「おっと、クリム。 それは聞かないのが冒険者のマナーだぜ」

34: 2020/02/23(日) 21:31:46.68 ID:ex/pPk3R0

クリム「・・・で、でも。 ニンジャって国直属の部隊だって、すごく待遇もいいって・・・」

スタンク「誰にだって事情ってやつがあるもんだ」

カンチャル「そうでなけりゃこんな稼業選ばないよ」




(・・・別に。 務まらなかっただけだ)

(あっちは仕事選べんからなー。 ワイ、気楽にやりたいねん)

(ぼくらやっぱり、その日ぐらしのほうが向いてたしね)




クリム「・・・みなさん、ほんとうにすごいんですね」

ツタ「ここにいるのはみんな無頼のやから、一騎当千のつわものたちさ」

クリム「・・・ツタさん」

ツタ「そうでなけりゃ冒険者稼業なんてつとまりゃしないよ」

クリム「そうですね・・・」

ツタ「ほらクリム、あんたの分」ジャラッ

クリム「わっ!」

スタンク「あん? なんだその金」

クリム「こ、これは・・・」ドギマギ

ツタ「こないだのレビューの取り分だよ」

クリム「そ、そんな、こんなときに」アタフタ

35: 2020/02/23(日) 21:34:36.27 ID:ex/pPk3R0

スタンク「レビュー? なんだそりゃ、俺は知らんぞ」

ツタ「当たり前だろう、ナルガミたちと一緒に書いてたやつなんだから」

ゼル「あいつらと?」

クリム「う、あ・・・」




                  いろ
(ゴーゴン「・・・では、報酬に 艶 をつけさせていただきますわ。 ふふふふっ・・・」)




スタンク「ほほう、そりゃ是非とも聞きたい話だなあ」

クリム「そ、そこに貼ってありますから」

カンチャル「直接聞かせろよー。 はい3枚分代金」チャリンチャリン

クリム「こ、こんなの受け取れませんっ!!」

ゼル「逃がさねえぞ、クリム・・・ おっ? ゴーゴンだって」

クリム「や、やめてくださあいっ!」





(ゴーゴン「この眼が綺麗? そう言ってくれたのはキミが初めてよ、クリム」)

(狼獣人「ああ、マスター・ナルガミ! 絞めて、もっと絞めてくれっ・・・!」)

(半魚人「ふふふ、うわさ通り。 ・・・悪い男だね、マスター・サムターン」)

(フランケンシュタイン「マスター・ルルゥ・・・ おで、おめえに惚れちまいそうだど・・・」)






※おしまい※

引用元: ナルガミ「ワイたちの」サムターン「職業」ルルゥ「だって?」