1: 2022/12/13(火) 17:45:17.435 ID:XoIrEAIb0.net
悪魔「そんなわけがないだろう。人間は欲深いものだ」
少女「本当にない」
悪魔「どんな願いでも叶うのだぞ」
少女「そのための対価は?」
悪魔「魂だ」
少女「魂より大事な願いってある?」
悪魔「……ないかもしれん」
少女「本当にない」
悪魔「どんな願いでも叶うのだぞ」
少女「そのための対価は?」
悪魔「魂だ」
少女「魂より大事な願いってある?」
悪魔「……ないかもしれん」
4: 2022/12/13(火) 17:46:38.755 ID:XoIrEAIb0.net
少女「あなたは誰?」
悪魔「悪魔だ」
少女「新人さん?」
悪魔「そんなわけがない」
少女「本当は?」
悪魔「入社2年目だ」
悪魔「悪魔だ」
少女「新人さん?」
悪魔「そんなわけがない」
少女「本当は?」
悪魔「入社2年目だ」
7: 2022/12/13(火) 17:48:15.216 ID:XoIrEAIb0.net
悪魔「悪魔としての力を疑っているのか? 願いは本当に叶うぞ」
少女「大丈夫。疑ってない」
悪魔「ならさっさと願いを言え。魂をよこせ」
少女「そうところ本当新人さんだよね」
悪魔「馬鹿にしてるのか」
少女「かわいいと思うよ」
悪魔「それを馬鹿にしてるというのだ」
少女「大丈夫。疑ってない」
悪魔「ならさっさと願いを言え。魂をよこせ」
少女「そうところ本当新人さんだよね」
悪魔「馬鹿にしてるのか」
少女「かわいいと思うよ」
悪魔「それを馬鹿にしてるというのだ」
8: 2022/12/13(火) 17:49:45.587 ID:XoIrEAIb0.net
悪魔「わたしは早く魂を集めねばならんのだ。ノルマがヤバいのだ」
少女「助けてあげたいけどね。本当に願いはないから」
悪魔「この際なんでもいい。必要とあらば足も舐めよう。願いを」
少女「プライドないの?」
悪魔「ない。ノルマ達成の邪魔だ」
少女「マジでないんだね」
少女「助けてあげたいけどね。本当に願いはないから」
悪魔「この際なんでもいい。必要とあらば足も舐めよう。願いを」
少女「プライドないの?」
悪魔「ない。ノルマ達成の邪魔だ」
少女「マジでないんだね」
9: 2022/12/13(火) 17:50:52.731 ID:XoIrEAIb0.net
悪魔「ぬう。どうしたものか」
少女「メロンでも食べる?」
悪魔「いいのか?」
少女「いくらでもあるし」
悪魔「そっちのぶどうもいいか?」
少女「いいよ。わたしは食べないし」
少女「メロンでも食べる?」
悪魔「いいのか?」
少女「いくらでもあるし」
悪魔「そっちのぶどうもいいか?」
少女「いいよ。わたしは食べないし」
12: 2022/12/13(火) 17:52:25.586 ID:XoIrEAIb0.net
悪魔「ぬう。腹が膨れると眠くなるな」
少女「隣来る?」
悪魔「いいのか?」
少女「ベッド広いし」
悪魔「職務中だし」
少女「最近は業務に昼寝を取り入れてる会社も」
悪魔「……ぐう」
少女「あるらしいね。って言ってる間に寝てたね」
少女「隣来る?」
悪魔「いいのか?」
少女「ベッド広いし」
悪魔「職務中だし」
少女「最近は業務に昼寝を取り入れてる会社も」
悪魔「……ぐう」
少女「あるらしいね。って言ってる間に寝てたね」
13: 2022/12/13(火) 17:53:58.592 ID:XoIrEAIb0.net
悪魔「おはよう」
少女「夜中だよ」
悪魔「願いを言え」
少女「ないかな」
悪魔「飲み物欲しい」
少女「水でいい?」
少女「夜中だよ」
悪魔「願いを言え」
少女「ないかな」
悪魔「飲み物欲しい」
少女「水でいい?」
14: 2022/12/13(火) 17:55:37.441 ID:XoIrEAIb0.net
悪魔「暇だ」
少女「夜中だしね」
悪魔「テレビは?」
少女「夜中だからダメ」
悪魔「ぬう」
少女「絵本読んであげる」
悪魔「馬鹿にするな」
少女「夜中だしね」
悪魔「テレビは?」
少女「夜中だからダメ」
悪魔「ぬう」
少女「絵本読んであげる」
悪魔「馬鹿にするな」
15: 2022/12/13(火) 17:56:44.008 ID:XoIrEAIb0.net
悪魔「次は? 次はどうなるのだ?」
少女「一人ぼっちのゾウガメさんは、友だちがほしくてたまりません。ですが体が重くて動けない。そんなときオオワシさんがやってきました」
悪魔「早く。早く続き」
少女「今日はここまで」
悪魔「そんなあ」
少女「おやすみ」
悪魔「おやすみ」
少女「一人ぼっちのゾウガメさんは、友だちがほしくてたまりません。ですが体が重くて動けない。そんなときオオワシさんがやってきました」
悪魔「早く。早く続き」
少女「今日はここまで」
悪魔「そんなあ」
少女「おやすみ」
悪魔「おやすみ」
17: 2022/12/13(火) 17:58:12.812 ID:XoIrEAIb0.net
悪魔「メロンうまい」
少女「全部食べていいよ」
悪魔「うわあい」
少女「テレビ見る?」
悪魔「見る」
少女「どのチャンネル?」
悪魔「Eテレ」
少女「全部食べていいよ」
悪魔「うわあい」
少女「テレビ見る?」
悪魔「見る」
少女「どのチャンネル?」
悪魔「Eテレ」
18: 2022/12/13(火) 17:59:24.725 ID:XoIrEAIb0.net
悪魔「願いはないか」
少女「ないよ」
悪魔「絵本を読んでくれ」
少女「いいよ」
悪魔「わくわく」
少女「ないよ」
悪魔「絵本を読んでくれ」
少女「いいよ」
悪魔「わくわく」
19: 2022/12/13(火) 18:00:59.502 ID:XoIrEAIb0.net
悪魔「そろそろ外で遊びたい」
少女「ムリ」
悪魔「なぜ」
少女「わたしやだ」
悪魔「ずっと寝ていては体に悪いぞ」
少女「そんなこと言われても」
悪魔「さては運動音痴だな?」
少女「怒るよ」
少女「ムリ」
悪魔「なぜ」
少女「わたしやだ」
悪魔「ずっと寝ていては体に悪いぞ」
少女「そんなこと言われても」
悪魔「さては運動音痴だな?」
少女「怒るよ」
20: 2022/12/13(火) 18:02:14.762 ID:XoIrEAIb0.net
悪魔「何にしろ運動不足はよくない」
少女「そう言われても」
悪魔「まずは立て。そして歩け」
少女「わっ」
悪魔「手をつないでやる。散歩なのだ」
少女「……」
少女「そう言われても」
悪魔「まずは立て。そして歩け」
少女「わっ」
悪魔「手をつないでやる。散歩なのだ」
少女「……」
21: 2022/12/13(火) 18:03:26.854 ID:XoIrEAIb0.net
悪魔「いっちに、いっちに」
少女「あんよが、じょうず、あんよが、じょうず」
悪魔「自分でやっててどうなのだそれは」
少女「意外と悪くない」
少女「あんよが、じょうず、あんよが、じょうず」
悪魔「自分でやっててどうなのだそれは」
少女「意外と悪くない」
23: 2022/12/13(火) 18:04:48.919 ID:XoIrEAIb0.net
少女「疲れた」
悪魔「そうか」
少女「もうだめ最悪」
悪魔「ぬう」
少女「ねえ悪魔さん」
悪魔「うん?」
少女「ありがとう」
悪魔「うむ」
悪魔「そうか」
少女「もうだめ最悪」
悪魔「ぬう」
少女「ねえ悪魔さん」
悪魔「うん?」
少女「ありがとう」
悪魔「うむ」
25: 2022/12/13(火) 18:06:11.161 ID:XoIrEAIb0.net
少女「一人ぼっちのゾウガメさんは、オオワシさんのおかげでたくさんの友だちができました」
悪魔「うんうん」
少女「本当にたくさん、たくさんの……」
悪魔「うんうんうんうん」
少女「……」
悪魔「?」
少女「悪魔さん。わたしの魂持って行っていいよ」
悪魔「うんうん」
少女「本当にたくさん、たくさんの……」
悪魔「うんうんうんうん」
少女「……」
悪魔「?」
少女「悪魔さん。わたしの魂持って行っていいよ」
27: 2022/12/13(火) 18:07:48.968 ID:XoIrEAIb0.net
悪魔「いきなりどうした」
少女「もういいよ。十分だよ」
悪魔「何が何だかわからん」
少女「わたしの願いは叶ったから」
悪魔「ますますわからん」
少女「もういいよ。十分だよ」
悪魔「何が何だかわからん」
少女「わたしの願いは叶ったから」
悪魔「ますますわからん」
28: 2022/12/13(火) 18:08:53.962 ID:XoIrEAIb0.net
少女「わたし、ずっと友だちが欲しかったんだ」
悪魔「うん」
少女「ずっとこの病院にいたからずっと一人ぼっちだった」
悪魔「そうか」
少女「今はもう友だちがいるから」
悪魔「なるほどわからん」
悪魔「うん」
少女「ずっとこの病院にいたからずっと一人ぼっちだった」
悪魔「そうか」
少女「今はもう友だちがいるから」
悪魔「なるほどわからん」
29: 2022/12/13(火) 18:10:15.486 ID:XoIrEAIb0.net
悪魔「つまりなんだ。お前の願いはわたしの知らないところで叶っていたのか?」
少女「知らないところじゃないよ」
悪魔「わたしは知らん。わたしの叶えた願い以外で魂を取ることはできん」
少女「……わたしはズルして悪魔さんを引き留めたんだ」
悪魔「……」
少女「願いがないって嘘つけばそばにいてくれるんじゃないかって。ごめん。でも本当に楽しかったんだ」
悪魔「……」
少女「知らないところじゃないよ」
悪魔「わたしは知らん。わたしの叶えた願い以外で魂を取ることはできん」
少女「……わたしはズルして悪魔さんを引き留めたんだ」
悪魔「……」
少女「願いがないって嘘つけばそばにいてくれるんじゃないかって。ごめん。でも本当に楽しかったんだ」
悪魔「……」
30: 2022/12/13(火) 18:12:26.458 ID:XoIrEAIb0.net
少女「本当にごめん。だましてごめん」
悪魔「聞きたくない」
少女「でも」
悪魔「聞かなかった。だから絵本もう一回読んでくれ」
少女「たぶん今夜氏ぬと思う」
悪魔「……」
悪魔「聞きたくない」
少女「でも」
悪魔「聞かなかった。だから絵本もう一回読んでくれ」
少女「たぶん今夜氏ぬと思う」
悪魔「……」
31: 2022/12/13(火) 18:13:12.107 ID:XoIrEAIb0.net
悪魔「嘘だ」
少女「嘘だったらいいね。でもきっと外れないよ。長く病気してるとわかるんだ」
悪魔「……」
少女「だから持って行ってください」
悪魔「いやだ」
少女「わたしは悪魔さんと一緒がいいな」
悪魔「いやだ。絶対にいやだ」
少女「お願い」
悪魔「!」
少女「これがわたしの願いです」
少女「嘘だったらいいね。でもきっと外れないよ。長く病気してるとわかるんだ」
悪魔「……」
少女「だから持って行ってください」
悪魔「いやだ」
少女「わたしは悪魔さんと一緒がいいな」
悪魔「いやだ。絶対にいやだ」
少女「お願い」
悪魔「!」
少女「これがわたしの願いです」
34: 2022/12/13(火) 18:14:27.924 ID:XoIrEAIb0.net
少女「さあ、連れて行って」
悪魔「……いやだ。わたしはお前の友だちなんかじゃない」
少女「悪魔さん」
悪魔「友だちが欲しいならそういえばよかったんだ。お前はわたしをだました。悪魔をだましたんだ」
少女「悪魔さん」
悪魔「そんな愚か者には罰を与えなきゃならない」
少女「罰?」
悪魔「安易な道に逃げ込んだ者への、長く苦しい刑罰だ」
少女「……」
悪魔「その苦しみの中で考えろ。本当にその願いが正しかったのかを」
少女「……」
悪魔「さらばだ」
悪魔「……いやだ。わたしはお前の友だちなんかじゃない」
少女「悪魔さん」
悪魔「友だちが欲しいならそういえばよかったんだ。お前はわたしをだました。悪魔をだましたんだ」
少女「悪魔さん」
悪魔「そんな愚か者には罰を与えなきゃならない」
少女「罰?」
悪魔「安易な道に逃げ込んだ者への、長く苦しい刑罰だ」
少女「……」
悪魔「その苦しみの中で考えろ。本当にその願いが正しかったのかを」
少女「……」
悪魔「さらばだ」
35: 2022/12/13(火) 18:15:14.005 ID:XoIrEAIb0.net
少女「それきり悪魔さんはいなくなってしまいました」
少女「わたしに愛想をつかしたのでしょう」
少女「そして、次の日」
少女「わたしはまだ生きていました」
少女「わたしに愛想をつかしたのでしょう」
少女「そして、次の日」
少女「わたしはまだ生きていました」
37: 2022/12/13(火) 18:16:39.250 ID:XoIrEAIb0.net
少女「その次の日も、そのまた次の日も氏にませんでした」
少女「わたしの体はそれから少しずつ快方に向かい始めました」
少女「少しずつ、少しずつ。退院できるまでになりました」
少女「ああこれなんだな、と、遅れて気づきました。これが罰なんだなと」
少女「わたしはこれから、弱い体を引きずってまた外の世界に入っていかなければなりません」
少女「わたしの体はそれから少しずつ快方に向かい始めました」
少女「少しずつ、少しずつ。退院できるまでになりました」
少女「ああこれなんだな、と、遅れて気づきました。これが罰なんだなと」
少女「わたしはこれから、弱い体を引きずってまた外の世界に入っていかなければなりません」
38: 2022/12/13(火) 18:17:31.722 ID:XoIrEAIb0.net
少女「めまいがします。しゃがみこみたくなります」
少女「それでも頑張ります」
少女「この人生の終わりには、きっと悪魔さんが迎えに来てくれると信じているから」
少女「それでも頑張ります」
少女「この人生の終わりには、きっと悪魔さんが迎えに来てくれると信じているから」
39: 2022/12/13(火) 18:18:58.190 ID:XoIrEAIb0.net
悪魔「――昔々あるところに一人ぼっちのゾウガメさんがいました」
悪魔「ゾウガメさんは友だちが欲しかったけれど体が重くて動けませんでした」
悪魔「でもオオワシさんが手伝ってくれて、世界中を旅することができました」
悪魔「一人ぼっちだったゾウガメさんには、今ではたくさんの友だちがいます」
悪魔「ゾウガメさんは待っています。いつか、別れたオオワシさんと、最後にまた出会うのを」
悪魔「一番の友だちに出会うのを」
悪魔「めでたしめでたし」
悪魔「ゾウガメさんは友だちが欲しかったけれど体が重くて動けませんでした」
悪魔「でもオオワシさんが手伝ってくれて、世界中を旅することができました」
悪魔「一人ぼっちだったゾウガメさんには、今ではたくさんの友だちがいます」
悪魔「ゾウガメさんは待っています。いつか、別れたオオワシさんと、最後にまた出会うのを」
悪魔「一番の友だちに出会うのを」
悪魔「めでたしめでたし」
40: 2022/12/13(火) 18:19:28.850 ID:XoIrEAIb0.net
はい
53: 2022/12/13(火) 18:29:54.156 ID:SZECnaDM0.net
乙
良かった
良かった
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります