209: 2018/03/22(木) 19:59:04.43 ID:gc7gwcFro
アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(10) (電撃コミックスEX)

武内P「アイドルに、興味はありませんか?」あかね「はいっ?」

210: 2018/03/22(木) 20:02:10.55 ID:gc7gwcFro
あかね「アイドルって……あたしがですか!?」


武内P「はい、貴女です」


あかね「きゅ、急にそんな事言われても~」デレデレ

乱馬「おい、あかね。気をつけろ、コイツなにかたくらんでやがるぞ」

あかね「はっ? 何でそんな事がわかるのよ」


武内P「……」


乱馬「あの顔に加えて、あかねをアイドルにするってのが怪しい」

ぶぎゅる!

あかね「顔はともかく、あたしがスカウトされちゃおかしいっての!?」


武内P「……」

211: 2018/03/22(木) 20:05:36.77 ID:gc7gwcFro
乱馬「いってーな! 何すんだ、この暴力女!」

あかね「ふん! 自業自得じゃない!」


武内P「あの……少し、お時間をいただいても宜しいでしょうか?」


あかね「あっ、すみません!」

乱馬「やめとけって、どうせサギか何かに決まってんだろ」

あかね「……」むー

あかね「良いですよ! そこの喫茶店で、お話聞かせて下さい!」



武内P「はい。ありがとう、ございます」



乱馬「おい、あかね!?」

乱馬「……ちっ! ったく、しょーがねーなー!」

212: 2018/03/22(木) 20:09:22.77 ID:gc7gwcFro
  ・  ・  ・

乱馬・あかね「ほ……本物のプロデューサー……!?」


武内P「シンデレラプロジェクトの、二期生を集めているのです」

武内P「なので、貴女には是非、そのメンバーに加わって頂きたいと……」


あかね「シンデレラプロジェクト……って、‘あの’!?」

乱馬「はー! アンタ、その見た目でかなり優秀なんだな」

あかね「ちょっと乱馬!? いい加減失礼でしょ!」

乱馬「へいへい」


武内P「あの……お名前を聞いても?」


あかね「あかね……天道あかねです」


武内P「申し訳ありません。この話はなかったことに……」


乱馬・あかね「はっ!?」

213: 2018/03/22(木) 20:12:54.22 ID:gc7gwcFro
あかね「あのっ!? どうして名前を聞いただけで!?」

乱馬「ホラ見ろ、からかわれたんだよ」

あかね「乱馬は黙ってて!」


武内P「待ってください! 決して、からかったわけでは!」


あかね「だったら、どうして!」


武内P「……既に、346プロダクションには、日野茜さんが在籍しています」

武内P「なので……」すちゃっ


乱馬・あかね「……マイク?」


武内P『あかね、という名前の方が二人になってしまうのでーす!』『でーす!』『でーす!』


乱馬・あかね「……はあ」きーん

214: 2018/03/22(木) 20:18:11.66 ID:gc7gwcFro
武内P「……申し訳ありません、天道さん」


あかね「い、いえ……」

乱馬「残念だったなー、あかね! アイドルになれなくて――」


ウェイトレス「ああっ! つまずいて水をこぼしてしまったわー!」


らんま「ぶわっ! 冷てっ!?」

あかね「ちょっと、大丈夫?」

らんま「……まー、いつもの事っちゃいつもの事だからな」


武内P「アイドルに、今日にはありませんか?」


らんま・あかね「……」

らんま・あかね「は?」

216: 2018/03/22(木) 20:20:33.72 ID:gc7gwcFro


  スカウトマンは無口なプロデューサー!

 

217: 2018/03/22(木) 20:24:38.44 ID:gc7gwcFro
あかね「いや、ちょっと待ってください!」

あかね「さっきまで、男の姿を見てたでしょ!?」

らんま「それなのにスカウトって、アンタなぁ……」


武内P「笑顔です」


らんま・あかね「は?」


武内P「貴女の笑顔が見たいと、そう、思いました」


あかね「……」

らんま「だーめだ。まるで聞いちゃいねえ」


武内P「お名前を伺っても、よろしいでしょうか?」


あかね「……なんか、あたしの時より聞き方が丁寧な気がするんだけど」

218: 2018/03/22(木) 20:29:04.53 ID:gc7gwcFro
らんま「しゃーねーなー!」

らんま「無差別格闘早乙女流、早乙女乱馬だ!」

らんま「だけどな、おれはアイドルになんかならねーからな!」


武内P「待ってください! せめて、名刺だけでも!」

武内P「無差別格闘早乙女流さん!」


らんま「そりゃ、おれ流派の名前だ!」

らんま「乱馬だよ! 早乙女乱馬!」


武内P「申し訳ありません、早乙女さん」

武内P「ですが……考えてみてください」

武内P「貴女ならば、きっと、トップアイドルになれると、私は思います」


らんま「そ、そーか?」

らんま「いやー、確かに? 女のおれは可愛いし巨Oだけども?」

あかね「……」

219: 2018/03/22(木) 20:34:13.39 ID:gc7gwcFro
武内P「お願いします」

武内P「ルックス、スタイル、共に申し分ありません」

武内P「それに、流派という事は……体を動かすのも?」


らんま「そりゃまー、得意だけどよ」


武内P「! 本当ですか!?」


らんま「お、おう」


武内P「歌は……歌の方は、いかかですか!?」


らんま「まあ、結構自信があるな!」


武内P「……」すちゃっ

武内P『お願いします! どうか、アイドルになってください!』『さーい!』『さーい!』


らんま「うるせーからそれやめろ!」きーん

220: 2018/03/22(木) 20:37:22.70 ID:gc7gwcFro
武内P「早乙女さん、お願いします!」

武内P「どうか、シンデレラプロジェクトの二期生に!」


あかね「……」

ばしゃっ!

乱馬「あいちちちちち!」

乱馬「おい、あかね! いきなり何すんだ!?」

あかね「でも、乱馬はお湯をかぶると男になっちゃうんですよ?」

あかね「それでも良いんですか?」


武内P「あの……」

武内P「お湯をかぶる、という状況は滅多にないのでは?」


乱馬・あかね「……」

乱馬・あかね「た、確かに普通はそうだ……!?」

221: 2018/03/22(木) 20:42:09.14 ID:gc7gwcFro
武内P「お願いします、早乙女さん!」


乱馬「あのなあ、だからおれは――」

あかね「……良いんじゃない? アイドルにでも何でもなっちゃえば」

乱馬「はあ!? どうしてそうなる!」

あかね「何よ、さっきはちょっとノリ気だった癖に」

あかね「女の姿を褒められたからって、デレデレしちゃって」

乱馬「デレデレなんてしてねえ!」


武内P『お願いします、早乙女さーん!!』


乱馬・あかね「……!」きーん

222: 2018/03/22(木) 20:48:56.54 ID:gc7gwcFro
  ・  ・  ・

早雲「……なるほどねぇ、そんな事が」

なびき「良いんじゃない、アイドル。なっちゃえば」


乱馬「他人事だと思って、テキトー言うな!」


なびき「どうせ暇なんだしさ、お金も稼げるし良いじゃないの」

玄馬「乱馬! お前は何を考えている!」

乱馬「アイドルになんか、なるつもりねーっての!」


玄馬「プロデュースは任せろ! 儲けは七対三でどうだ!」


乱馬「ややこしくなるから黙ってろ!」

ばしゃっ!

パンダ『何をする!』


武内P「早速、お話をさせていただいてもよろしいでしょうか?」


あかね「……全然動じないんですね」

223: 2018/03/22(木) 20:54:20.59 ID:gc7gwcFro
乱馬・パンダ「……!」

わちゃわちゃ


武内P「ご家族の方からも、早乙女さんを説得していただきたいのです」


早雲「う~ん、しかしねぇ」

なびき「父親だったら、そこに居るわよ」


武内P「そこ、ですか?」


パンダ『どうも! 父です』


武内P「……」

武内P「聞けば、早乙女さんは、天道さん宅に居候中の身、だと」

武内P「なので、天道さん達からも、是非説得していただきたいのです」


パンダ『おーい、もしもーし』


あかね「……全っ然目もくれない」

224: 2018/03/22(木) 20:59:20.27 ID:gc7gwcFro
武内P「お願いします、どうか」


早雲「……お話はわかりました」

早雲「ですが、乱馬くんは修行中の身」

早雲「アイドルと、修行は両立出来ますかな?」ぎろり


武内P「スケジュールを調整し、支障の無いようにします」

武内P「勿論、学業の方もおろそかにならないように」


早雲「……なんて言えば良いと思う?」

あかね「お父さん!?」

早雲「だって、しっかりしてそうなんだもん……!」

あかね「頑張ってお父さん! 説得されちゃ駄目!」

早雲「う、うむ……ゴホン!」


早雲「そのお話、信じても?」ぎろり


武内P「はい。私を信じて下さい」ぎろり


早雲「……」

早雲「……ううっ、怖いよう、顔怖いよう」しくしく

あかね「お……お父さん……!」

225: 2018/03/22(木) 21:04:15.55 ID:gc7gwcFro
乱馬「あのなあ! おれはアイドルになんかならねーぞ!」

乱馬「いくら周りがなんて言ったってだな――」

パンダ『隙あり!』

ベシッ!


ジャボーンッ!

らんま「……こんに゙ゃろ゙う! 汚え゙ぞ!」


武内P「では……どうすれば、アイドルになっていただけますか?」


らんま「あん? どうすれば?」


武内P「はい、私は貴女を諦める気はありません」

武内P「なんとしてでも、シンデレラプロジェクトの二期生に加わって頂きたいのです」


一同「なんて熱意……!」じ~ん

らんま「おいお前ら! ちょっとほだされてんじゃねーぞ!」

226: 2018/03/22(木) 21:09:27.09 ID:gc7gwcFro
らんま「なんとしてでも、ねぇ」


武内P「はい。何としてでも、です」


らんま「おもしれえ! だったら、おれと勝負しな!」

らんま「おれに勝ったら、アイドルでも何でもやってやらあ!」

らんま「よっ――」

とんっ

らんま「――っと」

すたっ


あかね「ちょっと乱馬!? 何言ってるのよ!」

らんま「しょーがねーだろ。こうでも言わなきゃ引き下がらなさそうなんだから」

なびき「野蛮ねー」

らんま「うるせー!」

らんま「さあて、どうするんだ、プロデューサーさんよ!」


武内P「わかりました」

武内P「貴女にアイドルになっていただくためでしたら、その勝負お受けします」


一同「……はっ!?」

227: 2018/03/22(木) 21:13:56.26 ID:gc7gwcFro
  ・  ・  ・

らんま「良いか? 手加減なんてしねーからな」ばきっ


武内P「はい、わかりました」


あかね「ちょっとお父さん! 二人を止めてよ!」

あかね「乱馬はともかく、プロデューサーさんが怪我しちゃう!」

早雲「いや……それは出来ない」

あかね「どうして?」

早雲「……不甲斐ない父を許してくれ」

あかね「そんな……どうしても、止められないの?」

早雲「だって、本当に顔が怖いんだもん」しくしく

なびき「本当に不甲斐ないわねー」

あかね「お、お父さん……!」


玄馬「それでは、無制限一本勝負!」

玄馬「はじめっ!」

228: 2018/03/22(木) 21:21:25.85 ID:gc7gwcFro
らんま「すぐにカタをつけてやらー!」

だっ!


武内P「……」

ゴゴゴゴゴッ!


らんま「っ!?」

ぴたっ!


なびき「ありゃ? どうして乱馬くんは止まったの?」

あかね「うん……すぐに勝負がつくと思ったのに」

早雲「いや……よく見てみるんだ」


らんま「くっ……!」

ぽたっ…ぽたっ…


あかね「何? どうして、乱馬はあんなに汗をかいてるの?」

早雲「彼の放つ‘気’……‘やる気’に当てられているのだ」

あかね「‘やる気’!?」

玄馬「それも、かなりの熱をもった‘気’だ……!」

あかね「まさか……それが向けられて、あんなに汗を!?」


らんま「……へっ! これは予想外だったぜ……!」

ぽたっ…ぽたっ…

229: 2018/03/22(木) 21:30:05.07 ID:gc7gwcFro
らんま「迂闊に近づくと、何かしてきそうだ……!」

らんま「気が途切れる、一瞬で倒すしかねえ……!」

ぽたっ…ぽたっ…


玄馬「乱馬め、持久戦にするつもりだな」

早雲「しかし、あの汗……どこまで体力が持つか」

あかね「体力と気力の勝負、ってことね……!」

なびき「長くなりそうだから、部屋に戻ってるわね」


武内P「……」


らんま「! 気が消えた!……いや、違う!」

らんま「……罠にハメようったってそうはいかねえぞ!」

ぽたっ…ぽたっ…


武内P「あ、いえ……汗をかいてらっしゃるので、ハンカチを……」

スッ…

らんま「へっ? あ、あんがと。なんだかわりーな」

武内P「いえ、お気になさらず」



早雲「……これは長くなりそうだねぇ」

230: 2018/03/22(木) 21:36:03.57 ID:gc7gwcFro
  ・  ・  ・
一時間後


らんま「……くそっ、一切表情が変わらねえとは……!」

ぽたっ…ぽたっ…!


武内P「……」

ゴゴゴゴゴッ!


らんま「……だが、隙を見せるわけにはいかねえ……!」

ぽたっ…ぽたっ…!


武内P「……」

ゴゴゴゴゴッ!


あかね「乱馬ー、お風呂空いたから入っちゃって―」


らんま「……!」だああーっ!

らんま「おめーなー! こっちは真剣にやってるっつーのに――」

らんま「――しまった! 隙が――!?」


武内P「……」

ゴゴゴゴゴッ!


らんま「……ん? なんで絶交のチャンスに何もしてこねえんだ?」

ぽたっ…ぽたっ…!

232: 2018/03/22(木) 21:41:40.38 ID:gc7gwcFro
武内P「私は、プロデューサーですから」

武内P「アイドルになっていただこうと言う方に、手は出せません」

ゴゴゴゴゴッ!


らんま「……ほー、なめられたもんだな」

ぽたっ…ぽたっ…


武内P「……それに」

ゴゴゴゴゴッ!


らんま・あかね「?」


武内P「勝負とは……一体、何の勝負なのでしょうか?」

武内P「時間の制限は無いとわかっているのですが……」


らんま「あんた、何の勝負かわからずやってたのか!?」

あかね「……あんたの一人相撲だったみたいね」

らんま「……」

らんま「は……ははははは」

233: 2018/03/22(木) 21:48:28.60 ID:gc7gwcFro
らんま「はははは……はぁ」


武内P「……あまり、よくない笑顔です」


らんま「……わりーけど、こっちゃ無駄に疲れたんだ」

あかね「とりあえず、お風呂入ってきちゃったら?」

らんま「そうさせてもらうわ」


武内P「待ってください! アイドルには――」


ガラッ!


かすみ「失礼します」

かすみ「お客様は、夕食はどうなさる予定ですか?」

かすみ「お決まりでないのでしたら、一緒にいかがですか」


あかね「ほら、晩ごはんの前に、ちゃっちゃと行ってきなさいよ」

らんま「うるせーなー! そうしようと思ってた所だよ!」

らんま「おい! 話はその後で――」


武内P「っ……!」りんごーん! りんごーん!


武内P「アイドルに、興味はありませんか?」


かすみ「はい?」


らんま・あかね「……」

234: 2018/03/22(木) 21:54:55.56 ID:gc7gwcFro
  ・  ・  ・

かすみ「おかわりはありますから、どんどん食べてくださいね」ニコリ

武内P「良い、笑顔です。いただきます」


あかね「なんか、かすみおねーちゃんにビビッときたみたい」

なびき「それで、乱馬くんへの興味が失せちゃったのね」

早雲「いかんぞー! 絶対に許さんからなー!」

なびき「背中に隠れながら言わないでくれる?」

早雲「だ……だって怖いんだもん」


らんま「どうでも良いけど……完全に負けた気分だ」


パンダ『やーいやーい』



おわり

236: 2018/03/22(木) 22:37:44.10 ID:W20ce822o
らんまのキャラよく掴んでて面白かった
マイクとか高橋留美子の世界観が再現されてたし
ぜったい小指立ててるわ

引用元: 武内P「クローネの皆さんに挨拶を」