1: 18/10/08(月)10:39:01 ID:XvO
灯織は別に1人で銭湯に行ける子だとは思っています
2: 18/10/08(月)10:39:56 ID:XvO
――夕方、駅前

灯織「ふう、今日のレッスンも疲れた……」

灯織(なぜか休憩時間になったらめぐるがいなくなって、真乃と2人で話してばっかりだったけど……)

灯織「さてと、家に帰って晩ご飯の準備をしてからお風呂でも――」ハッ!

灯織(しまった……そういえば家のお風呂が壊れて、明日業者が来てくれるんだった……)

灯織(1日入らないのは……ダメだよね。アイドルなんだし、普段から身だしなみはしっかりしておかないと)

灯織(だけど、どうしよう……どこか温泉か、銭湯に行かないと……)

灯織(できれば綺麗なところがいいけど、温泉なんて滅多に行かないからドコにあるのか分からない……)

灯織(こんなときにレジャー施設に詳しそうな真乃かめぐるがいてくれたら……っ!?)

灯織(……ダメ、自分で温泉くらい見つけて行かないと、また2人の足を引っ張っちゃう……!)


灯織「……ん?」


『スーパー銭湯 極みスパ! 送迎バス』


灯織「スーパー……銭湯?」

灯織(なんだろう、駅前に銭湯の送迎バス……? なんで銭湯に行くのに送迎バスがあるんだろう……)

灯織(でも……送迎バスがあるってことは、きっと大きくて人気のある銭湯だろうし……)

灯織「……よし」


……
…………

3: 18/10/08(月)10:40:50 ID:XvO
――数十分後、『スーパー銭湯 極みスパ!』(入口)

灯織「す、凄い……!」

灯織(駅から少し外れた場所にあるけど、想像していたよりも凄く大きい施設……)

灯織「入口に看板……レストラン、リラックスルーム、岩盤浴、漫画読み放題……分かった、きっと色んな施設が入っているからスーパー銭湯って名前なんだ」

灯織(最初は何がスーパーなのか分からなくて変に身構えていたけど、それさえ分かれば私だって……!)

灯織「っと、忘れてた……近くのお店でバスタオルと下着くらいは買っておかないと……」

灯織(……うん、普段なら慣れないことをするとよく失敗したりするけど、今回はちゃんと気付けているから大丈夫)

灯織「……さっきまで駅前にいたんだから、そのときに買っておけばよかった」


……
…………

4: 18/10/08(月)10:41:52 ID:XvO
――『スーパー銭湯 極みスパ!』(受付)

<ワーワー!!

<キャッキャッ!


灯織(家族連れが多い……そう、だよね、こんなに大きい場所なら、1人で来る人は少ない、よね……)

「いらっしゃいませ」

灯織「あ、はい」

「本日は1名様でしょうか?」

灯織「ぁっ……」ピクッ

灯織(やっぱり1人かって聞かれた……真乃やめぐると一緒だったら、こういう場所でも浮くことはなかったんだろうけど……)

灯織(でも、今日の私は銭湯を利用しに来ただけのちゃんとした客だから、大丈夫……!)

灯織「はい、1人です」

「かしこまりました。それは施設内ではこちらのキーバンドをご着用し、番号のロッカーをご利用ください」

「施設内の商品の購入に関しましても、キーバンドに付いているチップをかざしてご利用できます」

灯織「えっ!?」ビクッ!

灯織「あの、お会計は……」

「清算は最後にこちらの受付で一括となっておりますので」

灯織「へえ……!」

灯織(凄い……施設の買い物もこれ1つで全部出来るんだ。これが、スーパー銭湯の力……!!)

5: 18/10/08(月)10:43:40 ID:XvO
「ではあちらのカウンターで貸し出しの浴衣をお受け取りください」

灯織「わかりました」スタスタスタ


灯織「……すみません」

「いらっしゃいませ。貸し出しの浴衣ですが、こちらの表からサイズをお選びください」

灯織「それじゃあ……このサイズで」

「かしこまりました……それではこちらの袋の中に貸し出しの浴衣、バスタオル――」

「あ、バスタオルはご持参しているなら貸し出しのバスタオルはご利用になられませんね」

灯織「っ!?」ビクッ!!


ドクンッ!!


灯織(そ、そんな……バスタオルの貸し出しも、してるなんて……)ハァ、ハァ……

灯織(さっきお店でバスタオルを買ったのに……施設内で自分だけ別のバスタオルを使うなんて……は、恥ずかしい……!)ハァー、ハァーッ!!

灯織(それならいっそ、バスタオルも借りて……)


灯織「あ、あの……バスゥ……」

「はい?」


灯織(いや、ダメ……! わざわざバスタオルを持ってきているのにここで借りたら、この店員さんに変な客だと思われちゃう……!)ハァ、ハァ、ハァッ!!

灯織(でも、買ってきたバスタオルを脱衣所で使ってたら小さい子に『ママ―、あの人のバスタオルだけ色が違うよー』って指を指されて恥ずかしい思いをしちゃう……どうすれば、どうするのが最善なのか……分からない……!)ヒューッ! ヒューッ!

灯織(だ、だめ……緊張で、体が震えて……呼吸も、苦しくなって……やっぱり、私は何にも出来ないままで……)ハァッー! ハァッー! ハァッー!

灯織(助けて……真乃……めぐる……!!)


恋鐘「あれぇー……灯織!! 灯織もスーパー銭湯に来とったばい!」

灯織「!?」ビクッ!


……
…………

6: 18/10/08(月)10:44:33 ID:XvO
恋鐘「スーパー銭湯に初めてきた?」

灯織「うん……だから、バスタオルとかも自分で買って持ってきちゃったし、色々よくわからなくて……」

恋鐘「そかそかー。それならうちと一緒にお風呂入るばい。ついでに晩ご飯も一緒に食べるばい!」

灯織「い、いいの? 恋鐘も他の友達と来たりしてるんじゃない……?」

恋鐘「それが今日はみんな用事あるみたいで、うちも1人で来とったったい」

灯織「そうだったんだ……それじゃあ私と一緒だね」

恋鐘「うんうん、うちも灯織と一緒なら楽しく温泉に入れるけん、一緒にいこっ!」

灯織「うん。それじゃ2階に行こうか」

恋鐘「あ、ちょっと待って! 先に売店に寄らないかんね」

灯織「えっ、どうして?」

灯織「まさか……シャンプーやリンスのほうは買わないとダメだったの……!?」ハッ!

恋鐘「違うちがう、垢すりの道具とか買うけん、他の道具は売店に売ってるばい」

灯織「そ、そっか、そうだよね。せっかく銭湯に来たなら垢擦りもしっかりやらないと……それに、汚い体のまま湯船に入るのもマナー違反だろうし……」

灯織「やっぱり私は真乃やめぐるがいないと……」

恋鐘「あはははっ! そげんこと気にせんでもよかばい。うちは気持ちいいけん垢擦りしてるばい」

灯織「そうなんだ……それじゃあ私も、垢擦りしてみようかな……」

恋鐘「うんうん、うちらもアイドルやけん、キレイにしとかんとね」


……
…………

7: 18/10/08(月)10:45:16 ID:XvO
――2階(大浴場)

灯織「凄い……! 泡風呂や寝湯とか、色々なお風呂の他にもサウナが4種類も……これが、スーパー銭湯……!」

恋鐘「最初にちゃーんと掛け湯で体キレイにせんといかんよ。ほら灯織も背中向くばい」

灯織「う、うん、ありがとう」

恋鐘「これでよしと、それじゃ順番に入るけん、のんびりしよかー」

灯織「うん。あ、でもお風呂道具は洗い場に置いておかないと……」

恋鐘「そげんことするのはいかんよ。道具はここの棚に置いて、洗い場使うときにもっていかないと、他のお客さんが使えんばい」

灯織「うっ、そうだよね……他の人のことも考えられないなんて、やっぱり私は……」

恋鐘「それじゃあ泡風呂から入るばい! 灯織、いこいこ!」


……
…………

8: 18/10/08(月)10:45:47 ID:XvO


カポーン!


灯織「――で、この間のイベントも真乃とめぐるがいてくれたから成功出来たんだよね」

恋鐘「うんうん、よう頑張っとるね。イルミネのみんなはええ子やね」

灯織「アンティーカも凄いよね。恋鐘もリーダーで頑張ってるし……」

恋鐘「ふふーん、アンティーカはどのユニットよりも真面目にアイドルやっとるけん、当然たい!」

恋鐘「特にユイカはうちと一緒に良くレッスンしとるけん、ユイカはうちが一番信用しとるアイドルの1人やね!」

灯織「そうなんだ……三峰さんとはまだ話したことはないけど……」

恋鐘「ユイカは卑しいこともせんし、アイドルも一生懸命ばい。灯織も仲良くなれるばい」

灯織「そうだね。私もアイドルはずっと真剣にやっていたいって思うから……」

恋鐘「うんうん、それじゃあ今度はユイカも誘ってスーパー銭湯にいくばい!」

――グギュルルルルッ!!

恋鐘「っ!?」ビクッ!

灯織「どうしたの?」

恋鐘「……ちょっと、昨日アンティーカのみんなとかっぱ寿司に5時間くらいいたけん……お通じかちょーっと良うなかね」グルルルルル

灯織「え……無理しないほうがいいよ……っていうか無理しないで、ここお風呂場だから」

恋鐘「う、うん……それじゃ灯織、ちょっとトイレ行ってくるけん……」

灯織「ここでうんこ漏らしたらアイドル以前に人として終わり……だから」

恋鐘「た、たい……」ザバッ!


恋鐘「ばりうんこ行きたかー!」ピュー!!


灯織「恋鐘、大丈夫かな……いや、ここは大丈夫でいてくれないと困るね」

灯織「……大丈夫だよね? まさかお風呂の中で少し……なんてないよね!?」ザバッ!


……
…………

9: 18/10/08(月)10:46:22 ID:XvO
――3階(リラックスルーム)

恋鐘「はぁー……んーっ! お風呂に入って、岩盤浴でのんびりして、床に転がるのは気持ちええね」ゴロゴロ

灯織「そうだね」

恋鐘「ふっふ~ん……」ユッサユッサ

灯織「……恋鐘って胸大きいね」

恋鐘「ん? こんなの大きくてもええことなかよ。うちは灯織やユイカくらいが羨ましいばい」

灯織「凄いね、今の台詞って人によっては完全に嫌味に捉えられるよ」

恋鐘「すごかろー?」

灯織「まあ、いいけど……それにしても、本当になんでもあるね、スーパー銭湯って」

恋鐘「せやろ? お風呂に入った後はレストランでご飯を食べて、リラックスルームで転がりながらカフェの飲み物飲んで……至れり尽くせりやね」

灯織「うん。もうしばらくこうして……」prrrrr!!

灯織「あ、ごめん、私の携帯だ……しまった、今日のご飯担当、私だった……家帰ってご飯作らないと」

恋鐘「さっきうちとご飯食べたけど、お家の家事当番なら守らないといけないけん。早めに帰ったほうがええね」

灯織「そうだね……それじゃ恋鐘、今日もありがとう」

恋鐘「うちはもうちょっとここでのんびりしてるばい。また一緒に温泉入ろうね」

灯織「うん、それじゃまた明日事務所で」




恋鐘「ふぅー……灯織は先に帰ったし、うちは漫画でも読みながらもう少し――」チラッ



10: 18/10/08(月)10:47:18 ID:XvO

千雪「はぁ、気持ちよかったですね、温泉」

P「銭湯なんて久しぶりにきたよ」

千雪「今日はごめんなさい、お仕事帰りなのに私が我がまま言って付き合わせてしまって」

P「まあ、たまにはいいよ。それに今日は千雪も暑い中で外の仕事だったし、さっぱりしたいよな」

千雪「ええ、それにPさんも少しはゆっくりお休み出来るんじゃないかと思いましたから……」

P「そうだなあ……仕事の合間だけど、こうやって休むのも久しぶりだよ。まだ仕事残ってるから後で事務所に戻るけど」

千雪「いつも私のことを見てくださっているんですから、たまには自分のことも労わってくださいね」

P「それを言うなら、千雪も無理しないで、辛いときは言ってくれよ。仕事の調整もある程度は出来るんだから」

千雪「いえ、私はそんな……Pさんから頂いたお仕事なら、しっかりこなしたいって思っていますので」

千雪「……あっ、そういえば……やっぱりスーパー銭湯なだけあって、家族連れが多いですね」

P「ん、確かに。まあ1人で来るなら普通の銭湯に行くだろうしなあ」

千雪「……私たちも、こうしていると家族だって思われちゃうのかしら」

P「千雪……」


P&千雪「……」



恋鐘「」


……
…………

11: 18/10/08(月)10:48:36 ID:XvO
――翌日、事務所近くの公園前

めぐる「えええー!? 灯織、昨日温泉行ったの!?」

灯織「スーパー銭湯だよ。色々施設があって、温泉以外も楽しんだけど」

真乃「温泉……最近行ってないなぁ……」

めぐる「どうして真乃を誘わなかったの!? 真乃だって温泉行きたいよね?」

真乃「ほわっ? 温泉……うん、たまには入りにいきたいなって思うかな?」

めぐる「そうだよね! ほら灯織、今度は真乃と一緒に温泉に行かないと!」

灯織「えっ……う、うん……それじゃあ真乃、今度の休みにでも行く……? ていうか、めぐるは行かないの……?」

めぐる「もちろん行くよ! しっかり観察しないと!」



「かー! かー! かー!!」



灯織「ん……いま、何か聞こえたような……?」ピクッ

めぐる「カラスの鳴き声じゃない?」

真乃「ほわっ……まるで人間みたいなカラスさんの鳴き声……」

灯織「まあいいか……もう少しで打合せの時間だし、早く事務所に行かないと」

めぐる「そうだね、行こいこっ!」





恋鐘「卑しかーっ! 卑しか女ばい! 千雪、卑しかー!!」


12: 18/10/08(月)10:49:04 ID:XvO
おわり

助けてとばりうんこと卑しか言わせたかっただけです

引用元: 【シャニマス】灯織「スーパー銭湯……うん、ここに行こう」