598: ◆m9tEpcJqyE 2015/02/09(月) 00:19:17.88 ID:TSrCcdEGO
前回はこちら
【How to communication~社会人編~】
《鎮守府》執務室
提督(@休憩中)「……なるほど」(ペラ…
提督「(やはりこのHow to communicationシリーズは為になることが書いてある)」
提督「(特につい先日発売された『How to communication~社会の常識、教えてあげようか?~』は、各シチュエーション毎に問題と、最適なコミュニケーション解が用意されており……)」
提督「(近年の流行りか、ページの隅に登場するヤクザや人魚?などのキャラクターも、読み進めても飽きが来ない)」
提督「実に勉強になる……」
提督「こ、これは、私のコミュニケーション能力が改善されるのも時間の問題だな、フフ」(もこっち感
提督「……む?」
『Q:アナタの職場で、学生時代の異性の友人、あるいは幼馴染みが部下として働くことになりました。とても気の置けない相手です……そんな相手に、アナタはどう接しますか?
1:部下は部下、みんなと同じで
2:他の人に対するより、心持ちフランクな感じに
3:周りに変に勘繰られると困るから無視で』
提督「……ふむ、学生時代の異性の友人」(モヤモヤ・・
『HEY! 提督ぅ、tea timeの時間ネー♪』
提督「………………2番、か?」(ペラッ
『A:2番を選んだアナタ、bad communication ! 他より付き合いが長いから、なんて理由でフランクに接する相手を作るのは、職場の雰囲気を悪くするかも。
あの人だけ特別視してる、なんて部下に思われたら大変なことになりますよ!』
提督「」(キリキリキリ…
(翌日)
金剛「HEY! 提督ぅ、いいお茶の葉が手に入ったから、これから一緒にtea timeするデース♪」(ウキウキ
提督「……す、すまないが執務が残っているのでな、お茶はまたの機会にお願いするよ、金剛…君」
金剛「……へ?」
提督「ど、どうかしたのかね、金剛君」
金剛「ぇ……と、その……」(オロオロ
金剛『訳:きゅ、急にどうしたの、金剛君だなんて改まっちゃって……』(ソワソワ
提督『訳:と、特にこれといった理由はないのだが……ほ、他の者を君付けで呼んでいるのに、君だけ呼び捨てというのは如何なものか、と思ってな』
金剛『訳:や、やーね、そんな今更……い、いままで通りで構わないじゃない。ほらっ、み、みんなも全然、気にしてないわよ……!』
提督「……むう」
金剛『訳:そ、それとも私……なにかアナタを怒らせることしちゃった……?』(オドオド
提督『訳:べ、別にそんなことはないぞ……?』
金剛『訳:な……なら、そんな意地悪はやめてよ……私のこと、ちゃんといつもみたいに…呼んで…………ゥ、ヒグ……ふぇぇぇん…』(ポロポロ…
提督「」
提督「(あ……後で処分…しよう、あの本……)」(ズキズキキリキリメキメキ…!!
《人間関係において最適解なんてあってないようなもの、という話》
(事情説明後)
<な、なあ、金剛、そろそろ機嫌を直してはくれないだろうか……
<……知らないっ!(ぷいっ
<ぬう……
《鎮守府》執務室
提督(@休憩中)「……なるほど」(ペラ…
提督「(やはりこのHow to communicationシリーズは為になることが書いてある)」
提督「(特につい先日発売された『How to communication~社会の常識、教えてあげようか?~』は、各シチュエーション毎に問題と、最適なコミュニケーション解が用意されており……)」
提督「(近年の流行りか、ページの隅に登場するヤクザや人魚?などのキャラクターも、読み進めても飽きが来ない)」
提督「実に勉強になる……」
提督「こ、これは、私のコミュニケーション能力が改善されるのも時間の問題だな、フフ」(もこっち感
提督「……む?」
『Q:アナタの職場で、学生時代の異性の友人、あるいは幼馴染みが部下として働くことになりました。とても気の置けない相手です……そんな相手に、アナタはどう接しますか?
1:部下は部下、みんなと同じで
2:他の人に対するより、心持ちフランクな感じに
3:周りに変に勘繰られると困るから無視で』
提督「……ふむ、学生時代の異性の友人」(モヤモヤ・・
『HEY! 提督ぅ、tea timeの時間ネー♪』
提督「………………2番、か?」(ペラッ
『A:2番を選んだアナタ、bad communication ! 他より付き合いが長いから、なんて理由でフランクに接する相手を作るのは、職場の雰囲気を悪くするかも。
あの人だけ特別視してる、なんて部下に思われたら大変なことになりますよ!』
提督「」(キリキリキリ…
(翌日)
金剛「HEY! 提督ぅ、いいお茶の葉が手に入ったから、これから一緒にtea timeするデース♪」(ウキウキ
提督「……す、すまないが執務が残っているのでな、お茶はまたの機会にお願いするよ、金剛…君」
金剛「……へ?」
提督「ど、どうかしたのかね、金剛君」
金剛「ぇ……と、その……」(オロオロ
金剛『訳:きゅ、急にどうしたの、金剛君だなんて改まっちゃって……』(ソワソワ
提督『訳:と、特にこれといった理由はないのだが……ほ、他の者を君付けで呼んでいるのに、君だけ呼び捨てというのは如何なものか、と思ってな』
金剛『訳:や、やーね、そんな今更……い、いままで通りで構わないじゃない。ほらっ、み、みんなも全然、気にしてないわよ……!』
提督「……むう」
金剛『訳:そ、それとも私……なにかアナタを怒らせることしちゃった……?』(オドオド
提督『訳:べ、別にそんなことはないぞ……?』
金剛『訳:な……なら、そんな意地悪はやめてよ……私のこと、ちゃんといつもみたいに…呼んで…………ゥ、ヒグ……ふぇぇぇん…』(ポロポロ…
提督「」
提督「(あ……後で処分…しよう、あの本……)」(ズキズキキリキリメキメキ…!!
《人間関係において最適解なんてあってないようなもの、という話》
(事情説明後)
<な、なあ、金剛、そろそろ機嫌を直してはくれないだろうか……
<……知らないっ!(ぷいっ
<ぬう……
625: 2015/02/10(火) 01:31:48.15 ID:0E26X5D0o
【とりかえっ子しよッ!】
《鎮守府》工廠
妖精A「暇に耐えかねて、性格入れ替え装置を作ってしまいました」
妖精B「船の建造ができなくてやった」
妖精C「反省はしてる、でも後悔はしてないです」
那珂「妖精さんたち、お疲れさまー!」
川内「ぶー、今日も夜戦できなかったー」
神通「妖精さん、お疲れ様です。出撃から戻ってきたので、艤装の整備をお願いしてもいいですか?」
妖精A「……」(チラ
妖精B「記念すべき実験台1~3号」
妖精C「ポチッとな」
川内那珂神通「「「え?」」」
<キャアァァァァァッ!?
《鎮守府》工廠
妖精A「暇に耐えかねて、性格入れ替え装置を作ってしまいました」
妖精B「船の建造ができなくてやった」
妖精C「反省はしてる、でも後悔はしてないです」
那珂「妖精さんたち、お疲れさまー!」
川内「ぶー、今日も夜戦できなかったー」
神通「妖精さん、お疲れ様です。出撃から戻ってきたので、艤装の整備をお願いしてもいいですか?」
妖精A「……」(チラ
妖精B「記念すべき実験台1~3号」
妖精C「ポチッとな」
川内那珂神通「「「え?」」」
<キャアァァァァァッ!?
626: 2015/02/10(火) 01:34:46.54 ID:0E26X5D0o
提督「す、すまない、妖精君たち。神通君たちがこちらへ来ていないか…………む?」
川内「…………」
那珂「…………」
神通「…………」
提督「な、何やら様子がおかしいが……ど、どうかしたのかね?」(オソルオソル
川内「――――艦隊のアイドル、川内ちゃん参上~! キャハ♪」
提督「ぬ?」
那珂「あ、あの、軽巡洋艦 那珂、帰投しました。ほ、報告が遅くなってすみません……」(オドオド
提督「う、うぬ?」
提督「(川内君と那珂君の様子が……じ、神通君、何か知らないかね?)」(ヒソヒソ
神通「…………」(ユラッ
<壁ドン!
提督「!?」
神通「提督……」(顎クイッ
提督「じ、神通君? ななな、なにを……?」
神通「提督……夜戦には補給(キラづけ)が必要だよね」(耳元囁き
神通「これから一緒に夜戦(意味深)……しよ?」(サワサワ…
提督「」
<クスッ……待ちに待った夜戦だぁ♪(ゴソゴソ…
<じ、神通君、これ以上は……!
妖精A「ア、アワワ、えらいこっちゃ……」
妖精B「自分、ちょっと漣さん呼んでくるです」
妖精C「上手いこと誤魔化しておいてください」
妖精B「ガッテン承知!」
<どうしたの? そんなに赤くなって。はは~ん、さては私との夜戦が待ちきれないんですね?(ペロ…
<や、やめたまえ、本当にやめたまえ……!!
川内「神通ちゃんと提督って本当に仲良し(意味深)だよね~♪」
那珂「あ、あの、いくらなんでも工廠でするのは……」(オロオロ
川内「…………」
那珂「…………」
神通「…………」
提督「な、何やら様子がおかしいが……ど、どうかしたのかね?」(オソルオソル
川内「――――艦隊のアイドル、川内ちゃん参上~! キャハ♪」
提督「ぬ?」
那珂「あ、あの、軽巡洋艦 那珂、帰投しました。ほ、報告が遅くなってすみません……」(オドオド
提督「う、うぬ?」
提督「(川内君と那珂君の様子が……じ、神通君、何か知らないかね?)」(ヒソヒソ
神通「…………」(ユラッ
<壁ドン!
提督「!?」
神通「提督……」(顎クイッ
提督「じ、神通君? ななな、なにを……?」
神通「提督……夜戦には補給(キラづけ)が必要だよね」(耳元囁き
神通「これから一緒に夜戦(意味深)……しよ?」(サワサワ…
提督「」
<クスッ……待ちに待った夜戦だぁ♪(ゴソゴソ…
<じ、神通君、これ以上は……!
妖精A「ア、アワワ、えらいこっちゃ……」
妖精B「自分、ちょっと漣さん呼んでくるです」
妖精C「上手いこと誤魔化しておいてください」
妖精B「ガッテン承知!」
<どうしたの? そんなに赤くなって。はは~ん、さては私との夜戦が待ちきれないんですね?(ペロ…
<や、やめたまえ、本当にやめたまえ……!!
川内「神通ちゃんと提督って本当に仲良し(意味深)だよね~♪」
那珂「あ、あの、いくらなんでも工廠でするのは……」(オロオロ
637: 2015/02/10(火) 14:00:37.70 ID:0E26X5D0o
【とりかえっ子しよッ!】第七駆逐隊ver
《鎮守府》工廠
妖精A「……初めて提督さんに怒られたです」
妖精B「お、俺は悪くねえ! 妖精Cが誤魔化せって言ったんだ!」
妖精C「お? やるですか、お?」
妖精A「不毛な争いはやめるです。へこんだ気分を盛り上げるために、性格入れ替え装置で遊んでみるです」
妖精B「あと一回、あと一回だけだから」
妖精C「すぐに元の戻せばヘーキヘーキ」
漣「おつかれーっす。久しぶりにキスカ島のお掃除、疲れたー……妖精さんたち~、整備よろです」
曙「ごめんねー、妖精さん……敵の攻撃、直撃して中破しちゃった……」
朧「大破しなかっただけ儲けもの」
漣「まあ、漣はほぼ無傷なんですけどね」(ドヤァ
潮「それは漣ちゃんが変……練度が高いからだと思う」
朧「なんにせよ、大破した艦が出なくてよかった」
曙「ま、まあ? 私…たちが怪我したら、クソ提督がまた落ち込んじゃうしね!」(フンッ
妖精A「お約束をいただいたところで、ポチッとな」
漣曙朧潮「「「「はい?」」」」
<わあぁぁぁぁぁぁっ!?
《鎮守府》工廠
妖精A「……初めて提督さんに怒られたです」
妖精B「お、俺は悪くねえ! 妖精Cが誤魔化せって言ったんだ!」
妖精C「お? やるですか、お?」
妖精A「不毛な争いはやめるです。へこんだ気分を盛り上げるために、性格入れ替え装置で遊んでみるです」
妖精B「あと一回、あと一回だけだから」
妖精C「すぐに元の戻せばヘーキヘーキ」
漣「おつかれーっす。久しぶりにキスカ島のお掃除、疲れたー……妖精さんたち~、整備よろです」
曙「ごめんねー、妖精さん……敵の攻撃、直撃して中破しちゃった……」
朧「大破しなかっただけ儲けもの」
漣「まあ、漣はほぼ無傷なんですけどね」(ドヤァ
潮「それは漣ちゃんが変……練度が高いからだと思う」
朧「なんにせよ、大破した艦が出なくてよかった」
曙「ま、まあ? 私…たちが怪我したら、クソ提督がまた落ち込んじゃうしね!」(フンッ
妖精A「お約束をいただいたところで、ポチッとな」
漣曙朧潮「「「「はい?」」」」
<わあぁぁぁぁぁぁっ!?
638: 2015/02/10(火) 14:01:06.00 ID:0E26X5D0o
提督「す、すまない、妖精君たち。漣君たちがこちらへ来ていないか…………む?」
曙「…………」
朧「…………」
潮「…………」
漣「…………」
提督「――――」(ゴクリンコ
提督「み、みんな、キスカ島の巡回任務ご苦労様。つ、疲れているだろうが、今回の戦果を纏めたいので、艤装を預けたら執務室までお願いしたい……のだが」(オソルオソル
潮「そ、そんなこと言って、私たちの恥ずかしい格好を見に来ただけなんでしょう!? この……クソ提督!」(キッ
曙「私は提督のそういうとこ、キライ……じゃ、ないです」(テレ
朧「ご主人様ってば、真ッ面目~♪ これはご褒美あげなきゃですねー。何がいいかな……ん~、飴ちゃん食べます?」
漣「み、みんな、提督にそんなこと言っちゃダメだよ……」(オドオド
提督「」(ゲボッ
<吐血!? ちょっと、どうしたのよクソ提督!?
<大変……すぐに医務室に運ばないと
<看病イベントktkr! って言ってる場合じゃないな、コレは
<て、提督、しっかりしてください~!?
妖精A「……さすがに反省」
妖精B「第七駆逐隊のみなさんのキャラに慣れていたことが逆に災いしました」
妖精C「精神制御が間に合わなかった模様」
妖精A「性格入れ替え装置、分解しちゃうです」
妖精B「仕方ないですね」
妖精C「溶かして資材に戻しておきましょう」
<カーン・・カーン・・!
<あ、また何か面白そうなものが出来ちゃったです
<これが我々の業という奴でしょうか……
<ヒャア、我慢できねえ!
曙「…………」
朧「…………」
潮「…………」
漣「…………」
提督「――――」(ゴクリンコ
提督「み、みんな、キスカ島の巡回任務ご苦労様。つ、疲れているだろうが、今回の戦果を纏めたいので、艤装を預けたら執務室までお願いしたい……のだが」(オソルオソル
潮「そ、そんなこと言って、私たちの恥ずかしい格好を見に来ただけなんでしょう!? この……クソ提督!」(キッ
曙「私は提督のそういうとこ、キライ……じゃ、ないです」(テレ
朧「ご主人様ってば、真ッ面目~♪ これはご褒美あげなきゃですねー。何がいいかな……ん~、飴ちゃん食べます?」
漣「み、みんな、提督にそんなこと言っちゃダメだよ……」(オドオド
提督「」(ゲボッ
<吐血!? ちょっと、どうしたのよクソ提督!?
<大変……すぐに医務室に運ばないと
<看病イベントktkr! って言ってる場合じゃないな、コレは
<て、提督、しっかりしてください~!?
妖精A「……さすがに反省」
妖精B「第七駆逐隊のみなさんのキャラに慣れていたことが逆に災いしました」
妖精C「精神制御が間に合わなかった模様」
妖精A「性格入れ替え装置、分解しちゃうです」
妖精B「仕方ないですね」
妖精C「溶かして資材に戻しておきましょう」
<カーン・・カーン・・!
<あ、また何か面白そうなものが出来ちゃったです
<これが我々の業という奴でしょうか……
<ヒャア、我慢できねえ!
647: 2015/02/11(水) 03:34:51.23 ID:Kk6zCjaxo
《育成所》母港
(川内型、龍田&育成所艦娘、訓練中・・・)
所長「ここからでしたら、艦娘たちの訓練が見学できますよ。今はちょうど、白兵戦(水上)訓練をしているようですね」
提督「か、艦船を自分の手足ように動かすのに、まず自分の身体を満足に扱えなくてはいけませんからね……。この訓練は……ひ、非常に有効かと……」
<顔はやめてよぉ~……!
<おわ、っとと……!?
<那珂ちゃん、川内姉さん、いったん退いて!
<あら~、ちょっとピンチかしら~?
所長「フッ……どうですか、ウチの艦娘たちの練度は? 実戦を積んだ提督殿たちの部下にも見劣りしないではないでしょう」
他所提督「む……そーっすね」
提督「…………」
所長「おや、どうかされましたか?」
提督「っ!? あ、い、いえ、育成所の艦娘たちの練度の高さに感銘を受けていたところです。私も一提督として、恥ずかしくない働きをせねば……と」(キリキリ…
所長「それはそれは……立派な心がけです」
所長「(本土の鎮守府に所属しているといっても、所詮はこの程度さ。クク、自慢の艦娘が劣勢で青ざめていらっしゃる、フフフ!)」(ご満悦
提督「は、はい……うぐぐ」(キリキリ
他所提督「(お、おい、無茶すんなって……。所長さんの相手は俺がすっから、お前は気配頃しとけよ……!)」
提督「(ハァー……ハァ゛ー……だ、大丈夫、問題な゛い゛……!)」(蹲り
他所提督「(ぜってー無理だって。エピソード終盤のワンピキャラみたいな発音になってるし!!)」
<!! 提督……? た、大変、川内姉さん、那珂ちゃん、提督が……!
<えー? あ、ホントだ、また胃痛で倒れかけてる!!
<じゃあじゃあ、医務室に連れてってあげないとだねー。那珂ちゃん、ちょっと本気出しちゃいます!
<そうね~、ここの子たち、予想してたよりはずっと強いものね~♪
所長「なん…だと…?」
他所提督「あ、バカ……」
(川内型、龍田&育成所艦娘、蹂躙中・・・)
神通「――――提督、大丈夫ですか!? お、お水です、早くお薬を……!」(背中サスサス
提督「へ……平気だ。神通君たちは……け、怪我はなかったかね?」(蒼白
川内「うん、平気平気~」
那珂「頭にタンコブできちゃったけどねー……」
龍田「確かに私の艦は古いけど~、白兵戦(水上)には関係ないですから~♪」
他所提督「まあ、そうなるな」
他所提督「(……できれば、所長さんを調子づかせておきたかったんだけどなぁ)」
龍田「(あら~、私たち頑張ったのに提督はご不満?)」
他所提督「(そういうわけじゃねえさ……。ただ、所長さんみたいなタイプは、こっちのこと見下して悦に入ってるぐらいがいっちゃん扱いやすいんだよ)」(頭ガリガリ
龍田「…………」
他所提督「んあ? なんだよ、人の顔じっと見て」
龍田「ううん~、なんでも~♪」
龍田「(馬鹿のように見えて、肝心なところではしっかり『提督』なのよね~、ウチの提督……)」
(川内型、龍田&育成所艦娘、訓練中・・・)
所長「ここからでしたら、艦娘たちの訓練が見学できますよ。今はちょうど、白兵戦(水上)訓練をしているようですね」
提督「か、艦船を自分の手足ように動かすのに、まず自分の身体を満足に扱えなくてはいけませんからね……。この訓練は……ひ、非常に有効かと……」
<顔はやめてよぉ~……!
<おわ、っとと……!?
<那珂ちゃん、川内姉さん、いったん退いて!
<あら~、ちょっとピンチかしら~?
所長「フッ……どうですか、ウチの艦娘たちの練度は? 実戦を積んだ提督殿たちの部下にも見劣りしないではないでしょう」
他所提督「む……そーっすね」
提督「…………」
所長「おや、どうかされましたか?」
提督「っ!? あ、い、いえ、育成所の艦娘たちの練度の高さに感銘を受けていたところです。私も一提督として、恥ずかしくない働きをせねば……と」(キリキリ…
所長「それはそれは……立派な心がけです」
所長「(本土の鎮守府に所属しているといっても、所詮はこの程度さ。クク、自慢の艦娘が劣勢で青ざめていらっしゃる、フフフ!)」(ご満悦
提督「は、はい……うぐぐ」(キリキリ
他所提督「(お、おい、無茶すんなって……。所長さんの相手は俺がすっから、お前は気配頃しとけよ……!)」
提督「(ハァー……ハァ゛ー……だ、大丈夫、問題な゛い゛……!)」(蹲り
他所提督「(ぜってー無理だって。エピソード終盤のワンピキャラみたいな発音になってるし!!)」
<!! 提督……? た、大変、川内姉さん、那珂ちゃん、提督が……!
<えー? あ、ホントだ、また胃痛で倒れかけてる!!
<じゃあじゃあ、医務室に連れてってあげないとだねー。那珂ちゃん、ちょっと本気出しちゃいます!
<そうね~、ここの子たち、予想してたよりはずっと強いものね~♪
所長「なん…だと…?」
他所提督「あ、バカ……」
(川内型、龍田&育成所艦娘、蹂躙中・・・)
神通「――――提督、大丈夫ですか!? お、お水です、早くお薬を……!」(背中サスサス
提督「へ……平気だ。神通君たちは……け、怪我はなかったかね?」(蒼白
川内「うん、平気平気~」
那珂「頭にタンコブできちゃったけどねー……」
龍田「確かに私の艦は古いけど~、白兵戦(水上)には関係ないですから~♪」
他所提督「まあ、そうなるな」
他所提督「(……できれば、所長さんを調子づかせておきたかったんだけどなぁ)」
龍田「(あら~、私たち頑張ったのに提督はご不満?)」
他所提督「(そういうわけじゃねえさ……。ただ、所長さんみたいなタイプは、こっちのこと見下して悦に入ってるぐらいがいっちゃん扱いやすいんだよ)」(頭ガリガリ
龍田「…………」
他所提督「んあ? なんだよ、人の顔じっと見て」
龍田「ううん~、なんでも~♪」
龍田「(馬鹿のように見えて、肝心なところではしっかり『提督』なのよね~、ウチの提督……)」
648: 2015/02/11(水) 03:35:37.52 ID:Kk6zCjaxo
所長「……………………」(ギリッ
菊月「も、申し訳ありませんでした。私の指揮が未熟なばかりに……」
所長「――――いえ、いいんですよ。何度も厳しい実戦を潜り抜けてきた方たちが相手です、むしろ善戦してくれただけで私は満足です」
所長「今日の経験を次回に活かせるよう、頑 張 っ て く だ さ い ね ?」
菊月「は……は、い」
所長「――――それでは提督殿、視察や訓練の見学でお疲れでしょう。お茶の用意がありますので、どうぞコチラへ」
他所提督「お、マジすか! ありがとうございます!」
提督「(神通君たちは、駆逐艦の子たちにしっかり休息を取らせて――――)」(ボソボソ…
神通「はい……了解しました」
提督「…………い、行ってくるよ」
川内「ま、ここは任せておいて! この子たちに夜戦のノウハウを叩き込んどいてあげるから!」
那珂「よーし、休憩の間、那珂ちゃんココの子たちに歌を教えてあげよ~っと♪」
龍田「あっちの軽巡さんたちは個性的ね~」
他所提督「……お前もどっこいどっこいだろ」
龍田「そうかしら~?」(首傾げ
他所提督「そーだよ」
菊月「も、申し訳ありませんでした。私の指揮が未熟なばかりに……」
所長「――――いえ、いいんですよ。何度も厳しい実戦を潜り抜けてきた方たちが相手です、むしろ善戦してくれただけで私は満足です」
所長「今日の経験を次回に活かせるよう、頑 張 っ て く だ さ い ね ?」
菊月「は……は、い」
所長「――――それでは提督殿、視察や訓練の見学でお疲れでしょう。お茶の用意がありますので、どうぞコチラへ」
他所提督「お、マジすか! ありがとうございます!」
提督「(神通君たちは、駆逐艦の子たちにしっかり休息を取らせて――――)」(ボソボソ…
神通「はい……了解しました」
提督「…………い、行ってくるよ」
川内「ま、ここは任せておいて! この子たちに夜戦のノウハウを叩き込んどいてあげるから!」
那珂「よーし、休憩の間、那珂ちゃんココの子たちに歌を教えてあげよ~っと♪」
龍田「あっちの軽巡さんたちは個性的ね~」
他所提督「……お前もどっこいどっこいだろ」
龍田「そうかしら~?」(首傾げ
他所提督「そーだよ」
649: 2015/02/11(水) 03:48:46.79 ID:Kk6zCjaxo
(深夜)
他所提督「んで? ココってやっぱ黒なのか。お前がこうやってみんな呼び出した時点で、まあ確定なんだろうけど」
提督「……十中八九、な」
神通「提督がそうおっしゃるということは……そういうことなんですね」
龍田「…………」(キョロキョロ
神通「ど、どうかしましたか?」
龍田「う~ん、川内さんの姿が見えないと思って~……」
那珂「ああ、川内ちゃんなら今、提督の命令で――――」
《育成所》医務室
川内「――――」(ゴソゴソ
川内「(提督にお願いされて来たけど……やっぱ苦手だなあ、こういうの)」
川内「(お、医務室の換気口まで到着~!)」
川内「(人の気配なーし。よい……しょ、っと)」(ガサゴソ
川内「イテッ!」
川内「(う~、お尻打った……)」(サスサス
川内「(とりあえず、ここのお医者さんが保管してるだろう薬品の伝票とか管理記録……を回収すればいいんだよね)」(ガサゴソガサゴソ
川内「(提督が言うに、本棚とか部屋の隅って言ってたけど―――お、本当にあった)」
<カコン……ギギギィ・・
川内「(隠し部屋、ホントに出てきたよ)」
川内「(さてさて、鬼が出るか蛇が出るか……)」
川内「――――って……え?」
《育成所》来賓用宿泊施設
提督「ここで行われている詳しい不正の内容は、川内君が帰ってきてから話すとして……。問題はコレだ」(コロン
他所提督「薬……?」
提督「医務室でここにいる艦娘に支給されているものだ。知り合いになった艦娘から入手してきた」
他所提督「入手したって……なんか齧った後あるけど、まさかお前……」
提督「そ、その辺は問題ない。艦娘が口に入れる前に、ラムネと交換したし……だいたい、この薬を齧ったのは私だからな」
他所提督「――――は?」
他所提督「誰が……何を齧ったって?」
提督「私が……ここで艦娘たちが義務付けられている薬を」
神通「提督、どうしてそんなことをするんですか!? 提督の身に何かあったら、漣さんが……わ、私だって悲しむって……!!」
那珂「ど、どうどう、神通ちゃん、落ち着いて! 怒るなら、提督がどんな薬飲んだとか、そういうの聞いてから判断しよ、ね!?」
神通「~~~~!!」(ギッ
提督「(わ、私は何か、神通君の気に障ることをしたのだろうか?)」(キリキリギチビキ・・
他所提督「(知らね、自分で考えろ)」
提督「ぬ、ぬう……」
提督「い……いろいろと不可解な点はあるが、話を整理しよう。まず、どうして私たちがここまで出向いた目的について――――」
他所提督「んで? ココってやっぱ黒なのか。お前がこうやってみんな呼び出した時点で、まあ確定なんだろうけど」
提督「……十中八九、な」
神通「提督がそうおっしゃるということは……そういうことなんですね」
龍田「…………」(キョロキョロ
神通「ど、どうかしましたか?」
龍田「う~ん、川内さんの姿が見えないと思って~……」
那珂「ああ、川内ちゃんなら今、提督の命令で――――」
《育成所》医務室
川内「――――」(ゴソゴソ
川内「(提督にお願いされて来たけど……やっぱ苦手だなあ、こういうの)」
川内「(お、医務室の換気口まで到着~!)」
川内「(人の気配なーし。よい……しょ、っと)」(ガサゴソ
川内「イテッ!」
川内「(う~、お尻打った……)」(サスサス
川内「(とりあえず、ここのお医者さんが保管してるだろう薬品の伝票とか管理記録……を回収すればいいんだよね)」(ガサゴソガサゴソ
川内「(提督が言うに、本棚とか部屋の隅って言ってたけど―――お、本当にあった)」
<カコン……ギギギィ・・
川内「(隠し部屋、ホントに出てきたよ)」
川内「(さてさて、鬼が出るか蛇が出るか……)」
川内「――――って……え?」
《育成所》来賓用宿泊施設
提督「ここで行われている詳しい不正の内容は、川内君が帰ってきてから話すとして……。問題はコレだ」(コロン
他所提督「薬……?」
提督「医務室でここにいる艦娘に支給されているものだ。知り合いになった艦娘から入手してきた」
他所提督「入手したって……なんか齧った後あるけど、まさかお前……」
提督「そ、その辺は問題ない。艦娘が口に入れる前に、ラムネと交換したし……だいたい、この薬を齧ったのは私だからな」
他所提督「――――は?」
他所提督「誰が……何を齧ったって?」
提督「私が……ここで艦娘たちが義務付けられている薬を」
神通「提督、どうしてそんなことをするんですか!? 提督の身に何かあったら、漣さんが……わ、私だって悲しむって……!!」
那珂「ど、どうどう、神通ちゃん、落ち着いて! 怒るなら、提督がどんな薬飲んだとか、そういうの聞いてから判断しよ、ね!?」
神通「~~~~!!」(ギッ
提督「(わ、私は何か、神通君の気に障ることをしたのだろうか?)」(キリキリギチビキ・・
他所提督「(知らね、自分で考えろ)」
提督「ぬ、ぬう……」
提督「い……いろいろと不可解な点はあるが、話を整理しよう。まず、どうして私たちがここまで出向いた目的について――――」
674: 2015/02/12(木) 21:19:31.05 ID:PQuBZw0GO
川内「ふーん、医務室の地下に変な機械いっぱいの研究室……いかにもって感じだね」(抜き足差し足
川内「ん……?」
重巡艦娘「―――――」
川内「(壁に繋がれてる……何かの実験に使われたのかな)」
川内「ねえ、大丈夫……なわけないか。ご丁寧に、逃げらんないよう足まで撃ち抜いちゃって……」
川内「(うーん、やばい薬を何度も大量に打たれたって感じかな)」(瞳孔確認
重巡艦娘「ァ……ぅ………ヒ…ィ…!」(ブルブル…
川内「心配しないで、私は……私たちは味方だから」
川内「アンタにそんなことした連中は、絶対に私たちがぶっ飛ばしてあげるからね」(手ギュッ
重巡艦娘「………ぁ…ぅ」
川内「(ホントは助けてあげたいけど、連れていくわけにもいかないし……ね)」
川内「(妖精さん印の『データ取るね』君をパソコンに差して……はい、ワン、ツー、スリー……オッケー)」
川内「(あとは、それっぽい資料を適当に詰め込んで……)」
川内「(ん? なんかこれだけ色褪せてるなー……ま、いいや、これも回収、回収)」
川内「(長居は無用、即時撤退!)」
川内「……ゴメンね」(タタッ
重巡艦娘「……ぅ…ぃ、ツ……ちゃ……花…………マ………っ…」(ブツブツブツ
《育成所》客用宿泊部屋
提督「…………ゴクン」(ザラジャラ…
提督「ふぅ……で、では話を始めよう」
他所提督「話一つすんのに、どんだけ胃薬飲むんだよ」
提督「……わ、私たちがここに来ることになったのは、先せ……元帥の命を受けてココを調べていた艦娘と連絡がつかなくなったからだ」
他所提督「(ヤロー、流しやがった……)」
提督「彼女が調べていたのは、駆逐艦の艦娘に対する違法な実験、また艦娘としての登録が抹消された少女の売買記録だ」
神通「そんな……酷い」
提督「やり口としてはそこまで巧妙ではなかったのだが……場所のせいもあって、証拠を揃えきれなくてな」
他所提督「そこで、人員補充の要請に合わせて、指導役として先生の部下が潜り込んで、誰がどの程度事件に噛んでるのか、っつーのを調べてたんだが……」
提督「恐らく、捕まったのだろう。つい先日、彼女からの連絡が途絶えてしまった」
提督「密偵だと気付かれたか……もしくは、最初から『実験用』の巡洋艦艦娘が必要で、人員の補充を申請したという可能性も考えられる」
那珂「う~ん、それはかーなーり、よからぬ感じだよね」
提督「ああ……まったくだ」
<コン……コココン……
川内「ん……?」
重巡艦娘「―――――」
川内「(壁に繋がれてる……何かの実験に使われたのかな)」
川内「ねえ、大丈夫……なわけないか。ご丁寧に、逃げらんないよう足まで撃ち抜いちゃって……」
川内「(うーん、やばい薬を何度も大量に打たれたって感じかな)」(瞳孔確認
重巡艦娘「ァ……ぅ………ヒ…ィ…!」(ブルブル…
川内「心配しないで、私は……私たちは味方だから」
川内「アンタにそんなことした連中は、絶対に私たちがぶっ飛ばしてあげるからね」(手ギュッ
重巡艦娘「………ぁ…ぅ」
川内「(ホントは助けてあげたいけど、連れていくわけにもいかないし……ね)」
川内「(妖精さん印の『データ取るね』君をパソコンに差して……はい、ワン、ツー、スリー……オッケー)」
川内「(あとは、それっぽい資料を適当に詰め込んで……)」
川内「(ん? なんかこれだけ色褪せてるなー……ま、いいや、これも回収、回収)」
川内「(長居は無用、即時撤退!)」
川内「……ゴメンね」(タタッ
重巡艦娘「……ぅ…ぃ、ツ……ちゃ……花…………マ………っ…」(ブツブツブツ
《育成所》客用宿泊部屋
提督「…………ゴクン」(ザラジャラ…
提督「ふぅ……で、では話を始めよう」
他所提督「話一つすんのに、どんだけ胃薬飲むんだよ」
提督「……わ、私たちがここに来ることになったのは、先せ……元帥の命を受けてココを調べていた艦娘と連絡がつかなくなったからだ」
他所提督「(ヤロー、流しやがった……)」
提督「彼女が調べていたのは、駆逐艦の艦娘に対する違法な実験、また艦娘としての登録が抹消された少女の売買記録だ」
神通「そんな……酷い」
提督「やり口としてはそこまで巧妙ではなかったのだが……場所のせいもあって、証拠を揃えきれなくてな」
他所提督「そこで、人員補充の要請に合わせて、指導役として先生の部下が潜り込んで、誰がどの程度事件に噛んでるのか、っつーのを調べてたんだが……」
提督「恐らく、捕まったのだろう。つい先日、彼女からの連絡が途絶えてしまった」
提督「密偵だと気付かれたか……もしくは、最初から『実験用』の巡洋艦艦娘が必要で、人員の補充を申請したという可能性も考えられる」
那珂「う~ん、それはかーなーり、よからぬ感じだよね」
提督「ああ……まったくだ」
<コン……コココン……
675: 2015/02/12(木) 21:20:03.41 ID:PQuBZw0GO
提督「……戻ってきたようだな」(カチャッ
川内「ふぃ~、ただいまー」
神通「せ、川内姉さん、お疲れ様です」
那珂「川内ちゃん、おかえり~。成果はあった?」
川内「あった、あった。ありすぎて困っちゃうくらい……はい提督、パソコンのデータと目についた資料、盗ってきたよ」(ゴソゴソ
川内「あとさ、忍び込んだ研究室にだけど……」
(川内、説明中・・・)
他所提督「……やりたい放題だな」
提督「じょ、状況は把握した。その監禁されていた艦娘の救出も目的に加えよう」
川内「仕事を成功させるだけなら、無視した方がいいんだろうけどね……ありがと」
提督「こ、こちらこそ、私たち提督がやるべき仕事を手伝ってもらって……か、感謝する」
川内「アハハ、いーって、いーって、そんなに畏まんないでよ~」(ウリウリ
提督「す、すみません、そういったスキンシップは勘弁してもらえませんか……」(懇願
川内「……りょーかい」
川内「(ここまで拒絶されると、さすがにちょーっと堪えるなぁ……)」(糸目
提督「うぅ……」(キリキリ…
提督「と、とりあえず、私は川内君が持ってきてくれた資料を読んでみる。他所提督はパソコンのデータの方を頼む」
他所提督「あいよ」
(提督、他所提督、データ確認中・・・)
龍田「提督、何かわかりましたか~?」
他所提督「あー、もうここ黒だよ、真っ黒」(イライラ
他所提督「孤児だとか、半分家を追い出されたような、行く宛のない子に的を絞って……クソがっ」(ガンッ!
龍田「……物にあたっちゃダメですよ~?」
他所提督「ワリ……。おい、そっちの方はどうよ」
提督「うぬ? あ……ああ、こちらも大当たりだ。証拠として申し分ない」
提督「(まさか、こんな年代物を引っ張り出しているとはおもわなかったが)」
《艤装リンク増強剤実験部隊》
試薬被験体1号 装甲巡洋艦:八雲
試薬被験体2号 装甲巡洋艦:吾妻
試薬被験体3号 防護巡洋艦:千歳
試薬被験体4号 戦艦:敷島
試薬被験体5号 駆逐艦:東雲
試薬被験体6号 駆逐艦:夕霧
・
・
・
676: 2015/02/12(木) 21:21:26.76 ID:PQuBZw0GO
提督「ここの駆逐艦の艦娘に行われた投薬実験のデータや、入手先その他諸々、きちんと記録していて助かるよ」
他所提督「……そういや、お前ここで配られてる薬飲んだんだよな。大丈夫なのかよ?」
提督「む……? 大丈夫だ、問題ない。口にした後、心拍の上昇と高揚感があったが……問題なのは長期間の服用を続けた場合だろうな」
他所提督「お、おう」
神通「……だからといって、自分で試すのはいけないと思います」(むっすぅー
川内「(ねー、なんで神通、怒ってんの?)」
那珂「(えっとねー、提督が自主的にモルモットやっちゃったからかなー)」
川内「(モルモット、って……うげ、飲んだんだ、ここの薬……)」
非難する(ドン引きした)視線<チクチクチクチク・・・
提督「え、えー……それでは、こ、ここからどう動くかの話だが……」(キュウキュウキリキリ…
提督「主犯格はやはりというべきか、ここの所長だが……こ、これだけ証拠があれば、問題なく拘束できるだろう」
他所提督「お、そんじゃ一発かましに行くか? 何かあった時用に、ちゃんと刀持ってきてるぜ!」
川内「えっ、もしかして今日は夜戦していいの!? ヤッター、待ちに待った夜戦だぁー♪」
那珂「深夜ライブか~、那珂ちゃんセンター、張り切っちゃいます!」
提督「あ、いや……み、水を差すようで悪いが、我々が動くのは明日の朝だ」
龍田「さっさと拘束しちゃわないんですか~?」
提督「い……いろいろと下準備があるのでな……」
提督「明日の動きについては、これから説明するので……それが終わったら、警戒のため、朝まで交代で仮眠を取っていこう」
川内「夜戦ないの!? ヤダ~!」
那珂「川内ちゃん、わがまま言ったらダメだよー?」
提督「そ、その、神通君、頼んでおいた件は……」
神通「…………」
提督「あ……あの、神通君…さん」
神通「……妖精さんたちに聞いてきてください」(プイッ
提督「…………りょ、了解した」(キリキリキリキリキリ…
他所提督「(今回ばっかは同情の余地ねーな)」
龍田「(あら~、女の子の扱い方、ウチの提督よるド下手そう~♪)」
川内「(まー、もう一時間もしたら、態度が冷たかったかもしれません……、ってオドオドし始めるよ……たぶん)」
那珂「(どっちにしろ提督の胃に大ダメージ……神通ちゃん、さっすが~♪)」
707: 2015/02/14(土) 03:08:38.92 ID:m0u5wm+No
(早朝)
<ザラザラ……ジャララ……
提督「――――ふぅ…」(ゴキュリッ
神通「(きょ、今日はいつもよりお薬の量が多いです……。まさか、昨日私が提督に冷たくしたから……!?)」(涙目
川内「(見てるだけでお腹いっぱいになってきた)」
那珂「(たまにだけど、提督が飲んでるの本当に胃薬なのかな~、って疑っちゃうよね……)」
提督「……では、みんな準備は出来ているかね」
神通「は、はい!」
川内「もっちろん!」
那珂「今日は久しぶりに真面目にやるよ~♪」
他所提督「よっしゃ、そっちも準備万端みてえだな。……龍田!」
龍田「は~い、こっちもバッチリよ~」
提督「では、手筈通り……」
他所提督「俺と龍田は研究室を押さえる。んで、お前の方は所長の身柄を……だろ」
提督「そうだ。そちらの方が人数が少ない、大変かもしれないが任せたぞ」
他所提督「……わかってると思うけど、気をつけんだぞ?」
提督「ああ」
他所提督「…………」
提督「どうした?」
他所提督「うんにゃ。……おっしゃ、んじゃ、悪者退治といこうじゃねーか!!」
川内「オー!」
龍田「氏にたい人はどこかしら~♪」(槍ブンブカ
他所提督「いや、殺さねーからな?」
龍田「え~~~?」
他所提督「不満そうにされても困るっつーの……」
神通「あ、あの、提督……が、頑張りましょうね!」
提督「ああ」(スタスタスタ
神通「」
神通「(や、やっぱり提督、き、昨日のことで私のこと煩わしく……)」(半泣き
那珂「(じ、神通ちゃん、ファイト!!)」
<ザラザラ……ジャララ……
提督「――――ふぅ…」(ゴキュリッ
神通「(きょ、今日はいつもよりお薬の量が多いです……。まさか、昨日私が提督に冷たくしたから……!?)」(涙目
川内「(見てるだけでお腹いっぱいになってきた)」
那珂「(たまにだけど、提督が飲んでるの本当に胃薬なのかな~、って疑っちゃうよね……)」
提督「……では、みんな準備は出来ているかね」
神通「は、はい!」
川内「もっちろん!」
那珂「今日は久しぶりに真面目にやるよ~♪」
他所提督「よっしゃ、そっちも準備万端みてえだな。……龍田!」
龍田「は~い、こっちもバッチリよ~」
提督「では、手筈通り……」
他所提督「俺と龍田は研究室を押さえる。んで、お前の方は所長の身柄を……だろ」
提督「そうだ。そちらの方が人数が少ない、大変かもしれないが任せたぞ」
他所提督「……わかってると思うけど、気をつけんだぞ?」
提督「ああ」
他所提督「…………」
提督「どうした?」
他所提督「うんにゃ。……おっしゃ、んじゃ、悪者退治といこうじゃねーか!!」
川内「オー!」
龍田「氏にたい人はどこかしら~♪」(槍ブンブカ
他所提督「いや、殺さねーからな?」
龍田「え~~~?」
他所提督「不満そうにされても困るっつーの……」
神通「あ、あの、提督……が、頑張りましょうね!」
提督「ああ」(スタスタスタ
神通「」
神通「(や、やっぱり提督、き、昨日のことで私のこと煩わしく……)」(半泣き
那珂「(じ、神通ちゃん、ファイト!!)」
708: 2015/02/14(土) 03:10:58.30 ID:m0u5wm+No
《育成所》医務室
他所提督「たーのーもー!!」(前蹴り
扉<ウボァーッ!?
医師「な、なんだ!?」
他所提督「いやー、どもども~、朝早くにすんませんねえ――――御用改めである、神妙に縄につけい!」
龍田「お縄につけ~♪」
医師「いきなり入ってきて、言うに事を欠いて人を罪人扱いだと? ふざけるなよ、貴様ら――――!」(ガタッ
他所提督「フンッ!!」(回し蹴り
<メキョッ!!
医師「ガッハァ!!?」
他所提督「……人がおちゃらけてる間に、観念して神妙にしろよ」
医師「な、な……!!?」
龍田「(証拠があるからやりたい放題ね~)」
他所提督「おっし、確保、確保」(ふん縛り
医師「っ、うぐ……な、何をする放せ……!!?」(ジタバタ
他所提督「あー、ウッセウッセ。おい龍田、研究室だかに閉じ込められてる艦娘、助けるぞ」
龍田「は~い♪」
龍田「(ウフフ、普段と違って、ウチの提督ったらやる気満々~)」(キラキラ
他所提督「う~ん……」(ソワソワ
龍田「? どうかしました~?」
他所提督「いや、早いとこ提督と合流しねえとなって。正直、所長をアイツに任せたの失敗だったかもしれねえ……」
龍田「ああ~、アッチの提督さん頼りないものね~」
龍田「言い方は悪いけど~、実験のデータを見ても平然としてたし~……人とコミュニケーション取るのでいっぱいいっぱいで~、艦娘のことまで気を回してられないって感じよね~」
他所提督「……なに言ってんだ、龍田?」
龍田「はぃ~?」
他所提督「俺が失敗だって言ってるのはソコじゃねえよ」
他所提督「俺が心配してんのは――――」
???「動かないでくれ」(ガシャッ
他所提督「!!」
菊月「……」
駆逐艦艦娘「…………」
駆逐艦艦娘「…………」
駆逐艦艦娘「…………」
駆逐艦艦娘「…………」
駆逐艦艦娘「…………」
龍田「あら~、団体様ご案内~?」
菊月「すまないが……そこから先は関係者以外、立ち入り禁止だ」(スッ
駆逐艦艦娘ズ「「「…………」」」(ジャキッ!
他所提督「……やれやれだぜ」
他所提督「たーのーもー!!」(前蹴り
扉<ウボァーッ!?
医師「な、なんだ!?」
他所提督「いやー、どもども~、朝早くにすんませんねえ――――御用改めである、神妙に縄につけい!」
龍田「お縄につけ~♪」
医師「いきなり入ってきて、言うに事を欠いて人を罪人扱いだと? ふざけるなよ、貴様ら――――!」(ガタッ
他所提督「フンッ!!」(回し蹴り
<メキョッ!!
医師「ガッハァ!!?」
他所提督「……人がおちゃらけてる間に、観念して神妙にしろよ」
医師「な、な……!!?」
龍田「(証拠があるからやりたい放題ね~)」
他所提督「おっし、確保、確保」(ふん縛り
医師「っ、うぐ……な、何をする放せ……!!?」(ジタバタ
他所提督「あー、ウッセウッセ。おい龍田、研究室だかに閉じ込められてる艦娘、助けるぞ」
龍田「は~い♪」
龍田「(ウフフ、普段と違って、ウチの提督ったらやる気満々~)」(キラキラ
他所提督「う~ん……」(ソワソワ
龍田「? どうかしました~?」
他所提督「いや、早いとこ提督と合流しねえとなって。正直、所長をアイツに任せたの失敗だったかもしれねえ……」
龍田「ああ~、アッチの提督さん頼りないものね~」
龍田「言い方は悪いけど~、実験のデータを見ても平然としてたし~……人とコミュニケーション取るのでいっぱいいっぱいで~、艦娘のことまで気を回してられないって感じよね~」
他所提督「……なに言ってんだ、龍田?」
龍田「はぃ~?」
他所提督「俺が失敗だって言ってるのはソコじゃねえよ」
他所提督「俺が心配してんのは――――」
???「動かないでくれ」(ガシャッ
他所提督「!!」
菊月「……」
駆逐艦艦娘「…………」
駆逐艦艦娘「…………」
駆逐艦艦娘「…………」
駆逐艦艦娘「…………」
駆逐艦艦娘「…………」
龍田「あら~、団体様ご案内~?」
菊月「すまないが……そこから先は関係者以外、立ち入り禁止だ」(スッ
駆逐艦艦娘ズ「「「…………」」」(ジャキッ!
他所提督「……やれやれだぜ」
709: 2015/02/14(土) 03:11:46.71 ID:m0u5wm+No
《育成所》所長室
<knock……knock……
所長「……どうぞ」
提督「朝早くから失礼します」
神通「し、失礼します」
川内「お邪魔しまーす」
那珂「所長さん、おっはようございま~す♪」
所長「おや、これはこれは提督殿……それに、部下の方たちまで。こんな朝早くにどうかされましたか?」
提督「……それは、所長さんも予想がついているのではありませんか?」
所長「さて、何のことやら? 私にはとんとわからないですね」
提督「そうですか」
提督「……では、駆逐艦艦娘に対する違法な実験、並びに登録を抹消した艦娘の失踪事件について詳しい話を伺いたいのでご同行願います」
所長「ハハハ、急にそんなことを言われても困ります。登録を抹消した艦娘はキチンと本土へ送り帰していますし、第一、投薬実験が行われているのなら、まず疑うべきは医務室の先生では?」
提督「ご心配なく、そちらには他所提督が向かっておりますので」(ニコリ
神通「(……提督?)」
提督「――疚しいところがないのでしたら、どうかご協力を」
所長「――――チッ」
<knock……knock……
所長「……どうぞ」
提督「朝早くから失礼します」
神通「し、失礼します」
川内「お邪魔しまーす」
那珂「所長さん、おっはようございま~す♪」
所長「おや、これはこれは提督殿……それに、部下の方たちまで。こんな朝早くにどうかされましたか?」
提督「……それは、所長さんも予想がついているのではありませんか?」
所長「さて、何のことやら? 私にはとんとわからないですね」
提督「そうですか」
提督「……では、駆逐艦艦娘に対する違法な実験、並びに登録を抹消した艦娘の失踪事件について詳しい話を伺いたいのでご同行願います」
所長「ハハハ、急にそんなことを言われても困ります。登録を抹消した艦娘はキチンと本土へ送り帰していますし、第一、投薬実験が行われているのなら、まず疑うべきは医務室の先生では?」
提督「ご心配なく、そちらには他所提督が向かっておりますので」(ニコリ
神通「(……提督?)」
提督「――疚しいところがないのでしたら、どうかご協力を」
所長「――――チッ」
739: 2015/02/20(金) 02:23:15.41 ID:slq+DWi5o
《育成所》医務室
菊月「抵抗しないなら、私たちも手荒なことはしない」
菊月「だから……頼むから、おとなしく私たちに従ってくれ」
他所提督「おいおい、こう言っちゃなんだけど俺たち、お前らのこと助けに来たんだぜ?」
菊月「……そんなことはわかってる。それでも、私には……私たちには、ここ以外にいる場所がないんだ……!」
他所提督「……お前、こんなとこにずっといたいのか?」
菊月「そ……それは……」
菊月「けど……けど! 家からも、孤児院からも追い出されて……最後の頼みの綱だった艦娘の適性もギリギリで『いらない』って言われた私たちでも……」
菊月「教えてもらったんだ、まずい薬を飲んだり、痛い注射を我慢すれば、役に立てるようになるって……私だけじゃない、ここにいるみんなが、鎮守府や基地に必要な艦娘になれるんだって……!」
他所提督「信じてんのか、そんな話」
菊月「っ……信じてるさ……いいや、私だけは信じてなきゃいけない」
菊月「みんなで約束したんだ……嫌なことはたくさんあるけど、一緒に頑張ろうって」
菊月「気分が悪くなるってわかってても、みんなでいっせーので飲み込んだり……注射が痛くて泣いてる奴がいたら、からかって笑わせて、励まして……」
菊月「やっと……やっと、みんな、まともに艦を動かせるところまで来たんだ……!」
菊月「やめられるわけ、ないだろう……私が音を上げたら……治療が必要になって、本土に送られた子たちや……」
駆逐艦艦娘「…………」
駆逐艦艦娘「…………」
駆逐艦艦娘「…………」
駆逐艦艦娘「…………」
駆逐艦艦娘「…………」
菊月「……こんな風になっても、私についてきてくれるみんなに、私……なんて言って謝ればいいの……?」
他所提督「…………ッ!!」(ギリッ
医師「お、おいっ、いつまでくだらない話をしてるんだ……!? 早く、早く私を助けろっ、この役立たずどもが……!!」
龍田「あの~、今あの子たちと提督、大事なお話中だから~、少し黙っててくださる~?」(本気の鳩尾蹴り
<ドブッ…!!!
医師「ガハッ!? ~~~ッッ!!?」(ジタバタ
菊月「抵抗しないなら、私たちも手荒なことはしない」
菊月「だから……頼むから、おとなしく私たちに従ってくれ」
他所提督「おいおい、こう言っちゃなんだけど俺たち、お前らのこと助けに来たんだぜ?」
菊月「……そんなことはわかってる。それでも、私には……私たちには、ここ以外にいる場所がないんだ……!」
他所提督「……お前、こんなとこにずっといたいのか?」
菊月「そ……それは……」
菊月「けど……けど! 家からも、孤児院からも追い出されて……最後の頼みの綱だった艦娘の適性もギリギリで『いらない』って言われた私たちでも……」
菊月「教えてもらったんだ、まずい薬を飲んだり、痛い注射を我慢すれば、役に立てるようになるって……私だけじゃない、ここにいるみんなが、鎮守府や基地に必要な艦娘になれるんだって……!」
他所提督「信じてんのか、そんな話」
菊月「っ……信じてるさ……いいや、私だけは信じてなきゃいけない」
菊月「みんなで約束したんだ……嫌なことはたくさんあるけど、一緒に頑張ろうって」
菊月「気分が悪くなるってわかってても、みんなでいっせーので飲み込んだり……注射が痛くて泣いてる奴がいたら、からかって笑わせて、励まして……」
菊月「やっと……やっと、みんな、まともに艦を動かせるところまで来たんだ……!」
菊月「やめられるわけ、ないだろう……私が音を上げたら……治療が必要になって、本土に送られた子たちや……」
駆逐艦艦娘「…………」
駆逐艦艦娘「…………」
駆逐艦艦娘「…………」
駆逐艦艦娘「…………」
駆逐艦艦娘「…………」
菊月「……こんな風になっても、私についてきてくれるみんなに、私……なんて言って謝ればいいの……?」
他所提督「…………ッ!!」(ギリッ
医師「お、おいっ、いつまでくだらない話をしてるんだ……!? 早く、早く私を助けろっ、この役立たずどもが……!!」
龍田「あの~、今あの子たちと提督、大事なお話中だから~、少し黙っててくださる~?」(本気の鳩尾蹴り
<ドブッ…!!!
医師「ガハッ!? ~~~ッッ!!?」(ジタバタ
740: 2015/02/20(金) 02:23:53.38 ID:slq+DWi5o
他所提督「……馬鹿だなぁ、本当に馬鹿だよ」
他所提督「艦娘だなんだの前に、お前ら子供なんだから……泣くぐらい嫌なことなら、絶対に嫌だって駄々こねてりゃよかったんだよ」
菊月「だって……だって、しょうがないじゃないか! 私たちのこと助けてくれようとした先生は、しょ、所長たちに連れていかれて……私たちのせいで酷いことされたんだぞ……!!?」
菊月「もう頼れない……頼れるわけ、ないじゃないか……」
他所提督「子供がそーいう遠慮してんじゃねーよ。先生だってな、自分がヒデー目に遭うってわかってても、本気でお前らのこと助けたかったから行動を起こしたんだ……元帥の、大本営からの命令ほっぽりだしてでもな」
他所提督「『ココ』を出たら、そんな奴は山ほどいるぜ? 俺だろ、玖珂の奴もやるだろうし……あと、メガネとかオネエとか……とにかくいっぱいさ」
他所提督「そういう奴がいっぱいいる場所に連れてってやるから、俺らと一緒にこんなとこ出ていこうぜ……な!」
菊月「……本当に、いいのか?」
菊月「本当に……私たちみんな、ここから連れていってくれるんだな……?」
他所提督「オウ、俺様約束守ル。提督、嘘ツカナイ」
菊月「プッ……フフ、こんなところでふざけ……ハ、ハハ…………っ、フグッ、ぅぅぅ…………ァ、ゥァァア゛ア゛ア゛……!!」
他所提督「おー、泣け泣け、鼻水すすり上げて泣き喚け」
他所提督「……そんで、泣くのに飽きたら笑いやがれ」
菊月「うん……うんっ………!!」
駆逐艦艦娘「…………ッ、グスッ」
駆逐艦艦娘「ぅ……ぁ……ぁぁ……っ」
駆逐艦艦娘「…………ぁ……ぁぁう……!」
駆逐艦艦娘「ハ、ァ…………ァッ」
駆逐艦艦娘「グスッ……ぅ……ぅ??」
龍田「……この子たちは、もう大丈夫かしら~?」
他所提督「本土に戻ったら、検査と薬の除去やカウンセリングで当分、入院だろうけど……平気さ、きっと」
他所提督「龍田、悪いけどここ任せた」
龍田「了解~。地下の先生さんの救助も任せておいて~」
他所提督「おう、助かる。んじゃ、俺は玖珂んとこ行ってくる」
龍田「さっきからずぅっと向こうの提督さんを気にしてるけど~……提督ってもしかしてホ〇だったの~?」
他所提督「ちげーよ! 俺は普通にボンッ、キュッ、ボンが大好きだよ!?」
龍田「…………」(後退り
他所提督「ンッンー……さっきも言いかけたけど、俺がアイツを気にしてんのは、今回の件で一番ブチギレてるのが玖珂だからだよ」
龍田「ウソ~?」
他所提督「嘘でも冗談でもねえよ。端から見りゃ、むしろ無関心なんじゃねってくらい冷静だったけど……」
他所提督「いるだろ、たまに。怒りが限界通り越すと、異常に冷静になるタイプ」
龍田「……ひょっとして~、提督よりも怒ってました~?」
他所提督「たぶんありゃ、怒りが三周くらいして逆に超絶COOLになってる。頭ン中、キンッキンに冷えてやがる」
他所提督「知ってるか、龍田」
龍田「何をですか~?」
他所提督「……重度の霜焼けってな、火傷したみてえに無茶苦茶熱くて痛いらしいぜ?」
他所提督「艦娘だなんだの前に、お前ら子供なんだから……泣くぐらい嫌なことなら、絶対に嫌だって駄々こねてりゃよかったんだよ」
菊月「だって……だって、しょうがないじゃないか! 私たちのこと助けてくれようとした先生は、しょ、所長たちに連れていかれて……私たちのせいで酷いことされたんだぞ……!!?」
菊月「もう頼れない……頼れるわけ、ないじゃないか……」
他所提督「子供がそーいう遠慮してんじゃねーよ。先生だってな、自分がヒデー目に遭うってわかってても、本気でお前らのこと助けたかったから行動を起こしたんだ……元帥の、大本営からの命令ほっぽりだしてでもな」
他所提督「『ココ』を出たら、そんな奴は山ほどいるぜ? 俺だろ、玖珂の奴もやるだろうし……あと、メガネとかオネエとか……とにかくいっぱいさ」
他所提督「そういう奴がいっぱいいる場所に連れてってやるから、俺らと一緒にこんなとこ出ていこうぜ……な!」
菊月「……本当に、いいのか?」
菊月「本当に……私たちみんな、ここから連れていってくれるんだな……?」
他所提督「オウ、俺様約束守ル。提督、嘘ツカナイ」
菊月「プッ……フフ、こんなところでふざけ……ハ、ハハ…………っ、フグッ、ぅぅぅ…………ァ、ゥァァア゛ア゛ア゛……!!」
他所提督「おー、泣け泣け、鼻水すすり上げて泣き喚け」
他所提督「……そんで、泣くのに飽きたら笑いやがれ」
菊月「うん……うんっ………!!」
駆逐艦艦娘「…………ッ、グスッ」
駆逐艦艦娘「ぅ……ぁ……ぁぁ……っ」
駆逐艦艦娘「…………ぁ……ぁぁう……!」
駆逐艦艦娘「ハ、ァ…………ァッ」
駆逐艦艦娘「グスッ……ぅ……ぅ??」
龍田「……この子たちは、もう大丈夫かしら~?」
他所提督「本土に戻ったら、検査と薬の除去やカウンセリングで当分、入院だろうけど……平気さ、きっと」
他所提督「龍田、悪いけどここ任せた」
龍田「了解~。地下の先生さんの救助も任せておいて~」
他所提督「おう、助かる。んじゃ、俺は玖珂んとこ行ってくる」
龍田「さっきからずぅっと向こうの提督さんを気にしてるけど~……提督ってもしかしてホ〇だったの~?」
他所提督「ちげーよ! 俺は普通にボンッ、キュッ、ボンが大好きだよ!?」
龍田「…………」(後退り
他所提督「ンッンー……さっきも言いかけたけど、俺がアイツを気にしてんのは、今回の件で一番ブチギレてるのが玖珂だからだよ」
龍田「ウソ~?」
他所提督「嘘でも冗談でもねえよ。端から見りゃ、むしろ無関心なんじゃねってくらい冷静だったけど……」
他所提督「いるだろ、たまに。怒りが限界通り越すと、異常に冷静になるタイプ」
龍田「……ひょっとして~、提督よりも怒ってました~?」
他所提督「たぶんありゃ、怒りが三周くらいして逆に超絶COOLになってる。頭ン中、キンッキンに冷えてやがる」
他所提督「知ってるか、龍田」
龍田「何をですか~?」
他所提督「……重度の霜焼けってな、火傷したみてえに無茶苦茶熱くて痛いらしいぜ?」
741: 2015/02/20(金) 02:25:10.75 ID:slq+DWi5o
《育成所》所長室
所長「――――チッ」
所長「大本営から視察の話が来た時から、そんなことだろうと思ってはいましたが……」
所長「新進気鋭の提督二人も寄越すとは、大本営も暇なんですね」
川内「ネタは上がってるんだ、おとなしく観念しろー!」
那珂「そーだ、そーだ~!」
所長「……フン、提督殿の部下は躾がなっていないようですね」
川内「にゃんだとー!?」
那珂「あっ、そんなこと言うんだ、ヒッド~イ!」
提督「私の部下は皆、やるべき時はやってくれる子たちだ、彼女たちを侮辱する発言は慎んでもらおう」
川内「いやあ、それほどでも……」(テレテレ
那珂「わーい、提督に誉めてもらっちゃったー♪」
提督「……話を進めても構わんかね?」
川内那珂「「あ、はい」」
神通「(提督……ほ、本当にどうされたんでしょう……)」
提督「この育成所で、栄養補助の名目で駆逐艦の艦娘たちに飲ませている薬について調べさせてもらった」
提督「なんともまあ、珍しいものを引っ張り出してきたものだ」
所長「おや、その口ぶりから察するに、提督殿はこの薬についてご存じのようですね」(ゴソ…
川内「え、そうなの?」
提督「――――艦娘たちの働きにより、深海棲艦から僅かながら領海を取り戻した頃」
提督「資材の供給にもある程度の目処が立つようになり、広大な海の上、身一つで戦っていた艦娘のために、急ピッチで艦船の建造が行われた」
提督「艤装の本来の能力で、艦娘一人一人が自身に対応する艦船を自由に操れるようになれば、深海棲艦との戦いをこれまで以上に優位に進めることができる……軍としても、そこに大きな期待を寄せていたのだろう」
提督「……しかし、残念なことにそうはならなかった。艤装を造った妖精君たちが、艦を動かす原動力たる『感情』について詳しくなかったため、当時建造された艦船の多くが、期待されていたほどの働きができなかった」
提督「しかし、艦船を用いた戦闘は、艦娘を生身で戦わせるよりはよほどマシな戦果を上げたことは確か」
提督「ならば、今以上に艦船の操作を向上させてやればいい。そういう考えが生まれるのは、半ば必然だったのだろう」
提督「そうして誕生したのが、《艤装リンク増強剤実験部隊》。艦娘と艤装のリンクを薬剤によって人為的に強化された部隊。数えきれないほどの深海棲艦を沈めた彼女たちは、通りがかった船を沈める少女の伝承に倣った名で呼ばれるようになったのだが……」
提督「――――申し訳ない、これは所長には関係のない話だったな」
所長「いえいえ、まさか提督殿がここまでお詳しいとは思いもしなかったので、感心しているところです」
所長「資料を発見した時は体が震えましたよ。薬剤一つで練度の低い艦娘が、改修を重ねた高い練度艦娘に劣らぬ艦船操作を行える……素晴らしい、実に素晴らしい」
提督「……この薬を調べたのなら、何故これが不要なものとして処理されたのか、飲ませ続けるとどういった副作用があるのか把握しているはずだが」
所長「長期間に渡って服用した場合の思考能力の低下、感情の鈍化のことですか? それのどこが副作用なのです?」
所長「艦娘なんてものは、黙って上に従って深海棲艦を沈めていればいい。痛いだの苦しいだの文句を言わなくなるのは、これ以上ないメリットでしょう」
所長「私のところに駆逐艦の艦娘を『発注』してくださる提督には非常に好評ですよ。不平不満を言わず、自分のなすべき仕事をこなす理想的な部下が手に入った、と」
神通「そんな、酷いです……」
川内「……サイッテー」
那珂「那珂ちゃん、おこだよ!?」
所長「酷い? 私は……いや、私たちはただ、人類が深海棲艦に勝利するために、最適な手段を取っているだけ――」
所長「――――チッ」
所長「大本営から視察の話が来た時から、そんなことだろうと思ってはいましたが……」
所長「新進気鋭の提督二人も寄越すとは、大本営も暇なんですね」
川内「ネタは上がってるんだ、おとなしく観念しろー!」
那珂「そーだ、そーだ~!」
所長「……フン、提督殿の部下は躾がなっていないようですね」
川内「にゃんだとー!?」
那珂「あっ、そんなこと言うんだ、ヒッド~イ!」
提督「私の部下は皆、やるべき時はやってくれる子たちだ、彼女たちを侮辱する発言は慎んでもらおう」
川内「いやあ、それほどでも……」(テレテレ
那珂「わーい、提督に誉めてもらっちゃったー♪」
提督「……話を進めても構わんかね?」
川内那珂「「あ、はい」」
神通「(提督……ほ、本当にどうされたんでしょう……)」
提督「この育成所で、栄養補助の名目で駆逐艦の艦娘たちに飲ませている薬について調べさせてもらった」
提督「なんともまあ、珍しいものを引っ張り出してきたものだ」
所長「おや、その口ぶりから察するに、提督殿はこの薬についてご存じのようですね」(ゴソ…
川内「え、そうなの?」
提督「――――艦娘たちの働きにより、深海棲艦から僅かながら領海を取り戻した頃」
提督「資材の供給にもある程度の目処が立つようになり、広大な海の上、身一つで戦っていた艦娘のために、急ピッチで艦船の建造が行われた」
提督「艤装の本来の能力で、艦娘一人一人が自身に対応する艦船を自由に操れるようになれば、深海棲艦との戦いをこれまで以上に優位に進めることができる……軍としても、そこに大きな期待を寄せていたのだろう」
提督「……しかし、残念なことにそうはならなかった。艤装を造った妖精君たちが、艦を動かす原動力たる『感情』について詳しくなかったため、当時建造された艦船の多くが、期待されていたほどの働きができなかった」
提督「しかし、艦船を用いた戦闘は、艦娘を生身で戦わせるよりはよほどマシな戦果を上げたことは確か」
提督「ならば、今以上に艦船の操作を向上させてやればいい。そういう考えが生まれるのは、半ば必然だったのだろう」
提督「そうして誕生したのが、《艤装リンク増強剤実験部隊》。艦娘と艤装のリンクを薬剤によって人為的に強化された部隊。数えきれないほどの深海棲艦を沈めた彼女たちは、通りがかった船を沈める少女の伝承に倣った名で呼ばれるようになったのだが……」
提督「――――申し訳ない、これは所長には関係のない話だったな」
所長「いえいえ、まさか提督殿がここまでお詳しいとは思いもしなかったので、感心しているところです」
所長「資料を発見した時は体が震えましたよ。薬剤一つで練度の低い艦娘が、改修を重ねた高い練度艦娘に劣らぬ艦船操作を行える……素晴らしい、実に素晴らしい」
提督「……この薬を調べたのなら、何故これが不要なものとして処理されたのか、飲ませ続けるとどういった副作用があるのか把握しているはずだが」
所長「長期間に渡って服用した場合の思考能力の低下、感情の鈍化のことですか? それのどこが副作用なのです?」
所長「艦娘なんてものは、黙って上に従って深海棲艦を沈めていればいい。痛いだの苦しいだの文句を言わなくなるのは、これ以上ないメリットでしょう」
所長「私のところに駆逐艦の艦娘を『発注』してくださる提督には非常に好評ですよ。不平不満を言わず、自分のなすべき仕事をこなす理想的な部下が手に入った、と」
神通「そんな、酷いです……」
川内「……サイッテー」
那珂「那珂ちゃん、おこだよ!?」
所長「酷い? 私は……いや、私たちはただ、人類が深海棲艦に勝利するために、最適な手段を取っているだけ――」
742: 2015/02/20(金) 02:25:51.64 ID:slq+DWi5o
提督「―――――――そんな理由か?」
所長「なに?」
提督「そんな理由で、『この薬』を蘇らせたのだな……? 艦娘たちに、飲ませたのだな?」
提督「――と――が……元帥が……艦娘と共に歩みたいと願った人たちが、氏にもの狂いで築いた『今』を踏みにじったのだな……!?」(ズイッ
所長「ッ……!? 来るな! ―――オイッ!!」
<ガシャーンッ!!
軽巡艦娘「…………」(ザッ
軽巡艦娘「…………」(ジャキ!
軽巡艦娘「…………」(ガシャッ
神通「! 提督、危ない……!!」(ガバッ
川内「那珂、伏せて!!」
那珂「わきゃあ!?」
<パンッ……パパパンッ……パンッ!
所長「お前ら、コイツらの処分は任せたぞッ!」(バッ
<タッタッタッタ・・・・!
川内「あっ、逃げた!」
那珂「イタタ……提督、神通ちゃん、大丈夫!?」
神通「わ、私は平気! 提督、お怪我はありませんか?」
提督「……!!」(ダッ
神通「キャッ……!?」
軽巡艦娘「…………!」(ジャキッ
軽巡艦娘「ここから先には――」
提督「――――邪魔だ…どけっ!!!」
軽巡艦娘「ヒッ!?」(ビクッ
川内「あ、ちょっと、提督!?」
那珂「行っちゃった……って、私たちも追いかけないと!!」
神通「っ……!!」(ダッ!
川内「ちょっと神通!? もうっ、自分勝手に動かないでよー!!」
神通「川内姉さんたちも急いで! 提督一人では危険です……!!」
743: 2015/02/20(金) 02:26:45.01 ID:slq+DWi5o
那珂「ああ、もう! みんな、あんまり自分勝手だと那珂ちゃん、怒っちゃうからね!?」
川内「ホントだよ、まったく。目の前に艤装構えてる子が並んでるのに、それ無視して走ってっちゃうなんてさー」
軽巡艦娘「ど、どうする……?」
軽巡艦娘「て、提督と艦娘一人ぐらいなら、所長の方でなんとかできるよ……たぶん」
軽巡艦娘「私たちがこいつらを処分して、さっさと追いつけばいいだけでしょ」
軽巡艦娘「そ、それもそうね……!」
那珂「……ふ~ん?」
川内「あ、なになに、もしかして君たちって、わかってて所長に協力してた口?」
軽巡艦娘「っ、だったらどうだっていうのよ!?」
軽巡艦娘「本土の鎮守府でチヤホヤされてるアンタたちにはわかんないでしょうね! こんな辺鄙なところで、使えない駆逐艦の子たちの世話をさせられる私たちの気持ちなんて!!」
軽巡艦娘「こんなところで子供の世話をするために艦娘になったわけじゃないのよ! だいたち、こんな娯楽もない場所でいつまでも耐えられるわけないじゃない!!」
那珂「そっかー、それであの所長に協力したんだ~♪」
川内「駆逐艦の子たちに、エッグイ薬飲ませてるの見て見ぬふりして……医務室の地下で、同じ巡洋艦の艦娘が酷い目に遭ってるの知ってて、無視して」
川内「私たち軽巡が水雷戦隊の旗艦できるの、駆逐艦の子たちがいるお陰ってのがわかんないかなー」
那珂「挙句の果てに、艤装の砲口向けちゃったんだ~……提督に」(ビキキッ
川内「普段はコミュ能力ボッロボロで頼りない感じだけど、あれで結構、真剣にみんなを守るために指揮とか執務、頑張ってくれてるんだよねー」
川内「そんな提督に艤装の主砲向けたんだ……どうなるか わ か っ て る よ ね ?」(ビッキビキッ
軽巡艦娘「「「!!?」」」
川内「ホントだよ、まったく。目の前に艤装構えてる子が並んでるのに、それ無視して走ってっちゃうなんてさー」
軽巡艦娘「ど、どうする……?」
軽巡艦娘「て、提督と艦娘一人ぐらいなら、所長の方でなんとかできるよ……たぶん」
軽巡艦娘「私たちがこいつらを処分して、さっさと追いつけばいいだけでしょ」
軽巡艦娘「そ、それもそうね……!」
那珂「……ふ~ん?」
川内「あ、なになに、もしかして君たちって、わかってて所長に協力してた口?」
軽巡艦娘「っ、だったらどうだっていうのよ!?」
軽巡艦娘「本土の鎮守府でチヤホヤされてるアンタたちにはわかんないでしょうね! こんな辺鄙なところで、使えない駆逐艦の子たちの世話をさせられる私たちの気持ちなんて!!」
軽巡艦娘「こんなところで子供の世話をするために艦娘になったわけじゃないのよ! だいたち、こんな娯楽もない場所でいつまでも耐えられるわけないじゃない!!」
那珂「そっかー、それであの所長に協力したんだ~♪」
川内「駆逐艦の子たちに、エッグイ薬飲ませてるの見て見ぬふりして……医務室の地下で、同じ巡洋艦の艦娘が酷い目に遭ってるの知ってて、無視して」
川内「私たち軽巡が水雷戦隊の旗艦できるの、駆逐艦の子たちがいるお陰ってのがわかんないかなー」
那珂「挙句の果てに、艤装の砲口向けちゃったんだ~……提督に」(ビキキッ
川内「普段はコミュ能力ボッロボロで頼りない感じだけど、あれで結構、真剣にみんなを守るために指揮とか執務、頑張ってくれてるんだよねー」
川内「そんな提督に艤装の主砲向けたんだ……どうなるか わ か っ て る よ ね ?」(ビッキビキッ
軽巡艦娘「「「!!?」」」
744: 2015/02/20(金) 02:27:44.33 ID:slq+DWi5o
「――――クソ、クソッ! 何が氏にもの狂いで築いただ……馬鹿馬鹿しい! 深海棲艦を沈めるための道具に、何を熱くなっているんだ……!!」
異様なまでの怒気を露にした提督を口汚く罵りながら、所長は母港とは逆の位置にある海岸に向かって駆けていた。
「(軽巡の艦娘どもに奴らの処分は命じておいた。が、提督どもを消す以上、ここにはもう残れない……!)」
詰め寄ろうとした提督に怯えた自分から必氏に目を反らし、逃亡を正当化する。
艤装リンク増強剤の開発に手を出した時点で、いずれ大本営から調査の手が入ることはわかっていた。
その時が縁の切れ目。
肌身離さず持ち歩いている艤装リンク増強剤の製法と臨床実験の電子データを土産に、身の安全を保証してもらう算段はつけていた。
所長「(私をこんな辺境に左遷した大本営に、いつまでも義理を果たす意味はない。私の働きを認めてくれているスポンサーに、ほとぼりが冷めるまで匿ってもらって……!)」
あの提督が追ってくる。
極度の緊張か、それとも恐怖か。痺れを訴える足を無理矢理に動かし続けた。
息急ききって、坂道を駆け上がる。
この坂を上りきれば、あとは脱出用の小型艇に飛び込むだけ。所長の顔に歪んだ笑みが浮かぶ。
そこで気が抜けたのだろう、突然、道の端から現れた駆逐艦の艦娘――文月に反応するのが遅れた。
「グアッ……!!?」
「……ひゃあっ!?」
おそらく、またいつものように花壇で土いじりをしていたのだろう。避け損ねた所長にぶつかられ、転倒した文月の手から、子供用の小さなスコップと水の入った如雨露が飛んだ。
「ぁ、あう……ぁ、ゴ、ゴメンなさい、大丈夫ぅ――」
転んだ痛みに涙を浮かべながら、それでも、自分より先に所長の身を案じた文月に返ってきたのは罵声と、力任せの拳だった。
「ッッッ!! こ…のっ、邪魔してんじゃねえよ、ゴミカスがぁ!!」
「ぎゃぅ……!?」
ガッ、と肉を打つ鈍い音が山道に響く。
「うぐ……う、うぅ……」
「どいつもこいつも……!」
口の中に広がったのは、山土の味か。
顔から地面に倒れ、痛みに身を震わせる文月を、立ち上がった所長が見下ろして唸る。
「何でっ、どうして俺の邪魔するんだよ!?」
溜まりに溜まった鬱憤を晴らすように、地面にうずくまった文月を滅茶苦茶に踏みつけ、喚き散らす。
「ぁぅ……うっ……や、やめてよぉ……」
「ッるっせーんだよ! 口ごたえしてんじゃねえ、テメエら艦娘は黙って命令に従ってりゃいいんだよ……!!」
必氏に体を丸めながら、弱々しく絞り出す文月の声が余計に癇にさわった。
体を踏みつける足にさらに力がこもり、鈍い、土嚢を蹴りつけるのに似た音を鳴らす。
「命令通りに動けない上に、いつもいつもしょうもないところで大破しやがって……! 戦艦空母の弾除けになってりゃいい分際で、進軍の邪魔してんじゃねーよ!!」
「ヒグッ……ゥ、い、いたいよぉ……グス……せ、先生ぇ……」
痛みに耐えかね、ついに泣き出した文月の口からこぼれた単語に、ピクリと所長の眉が跳ねた。
「ハァッ……ハアッ……! 先生……? 先生……あの重巡艦娘のことか、アァ!?」
文月の後頭部で纏めた髪を乱暴に掴み、顔を上げさせて語気も荒々しく問い詰める。
「ぁぐ……!?」
「お前もそうか……お前もアイツみたいに、俺を馬鹿にするのか?」
「ひぅ……え……え?」
痛みと恐怖にパニックを起こす少女を睨みつける所長の脳裏で、改良した艤装リンク増強剤の投与を行うため、拘束した重巡洋艦の艦娘の言葉が蘇る。
――――暴力をふるって従わせれば満足ですか。だとしたら、なんておめでたい……辺境に送られたのも当然の結果というやつですね、司令官さん?
逃走防止のために足を撃ち抜かれ、激痛に脂汗を滲ませながら、しかし、この島の巡洋艦の艦娘と違い、自分に媚びることをせず、気丈に振る舞った少女の眼差し。
最後の最後まで、自分という人間を否定する瞳が、所長の中にある理性の糸を引きちぎる。
カッ、爆発したように頭の奥が熱くなる。その衝動に任せて、気が付いた時には、まったく関係のない駆逐艦の少女の首に手をかけていた。
「~~~~~~っ!!」
「ヒッ……ぅ……ぅぅっ……!?」
異様なまでの怒気を露にした提督を口汚く罵りながら、所長は母港とは逆の位置にある海岸に向かって駆けていた。
「(軽巡の艦娘どもに奴らの処分は命じておいた。が、提督どもを消す以上、ここにはもう残れない……!)」
詰め寄ろうとした提督に怯えた自分から必氏に目を反らし、逃亡を正当化する。
艤装リンク増強剤の開発に手を出した時点で、いずれ大本営から調査の手が入ることはわかっていた。
その時が縁の切れ目。
肌身離さず持ち歩いている艤装リンク増強剤の製法と臨床実験の電子データを土産に、身の安全を保証してもらう算段はつけていた。
所長「(私をこんな辺境に左遷した大本営に、いつまでも義理を果たす意味はない。私の働きを認めてくれているスポンサーに、ほとぼりが冷めるまで匿ってもらって……!)」
あの提督が追ってくる。
極度の緊張か、それとも恐怖か。痺れを訴える足を無理矢理に動かし続けた。
息急ききって、坂道を駆け上がる。
この坂を上りきれば、あとは脱出用の小型艇に飛び込むだけ。所長の顔に歪んだ笑みが浮かぶ。
そこで気が抜けたのだろう、突然、道の端から現れた駆逐艦の艦娘――文月に反応するのが遅れた。
「グアッ……!!?」
「……ひゃあっ!?」
おそらく、またいつものように花壇で土いじりをしていたのだろう。避け損ねた所長にぶつかられ、転倒した文月の手から、子供用の小さなスコップと水の入った如雨露が飛んだ。
「ぁ、あう……ぁ、ゴ、ゴメンなさい、大丈夫ぅ――」
転んだ痛みに涙を浮かべながら、それでも、自分より先に所長の身を案じた文月に返ってきたのは罵声と、力任せの拳だった。
「ッッッ!! こ…のっ、邪魔してんじゃねえよ、ゴミカスがぁ!!」
「ぎゃぅ……!?」
ガッ、と肉を打つ鈍い音が山道に響く。
「うぐ……う、うぅ……」
「どいつもこいつも……!」
口の中に広がったのは、山土の味か。
顔から地面に倒れ、痛みに身を震わせる文月を、立ち上がった所長が見下ろして唸る。
「何でっ、どうして俺の邪魔するんだよ!?」
溜まりに溜まった鬱憤を晴らすように、地面にうずくまった文月を滅茶苦茶に踏みつけ、喚き散らす。
「ぁぅ……うっ……や、やめてよぉ……」
「ッるっせーんだよ! 口ごたえしてんじゃねえ、テメエら艦娘は黙って命令に従ってりゃいいんだよ……!!」
必氏に体を丸めながら、弱々しく絞り出す文月の声が余計に癇にさわった。
体を踏みつける足にさらに力がこもり、鈍い、土嚢を蹴りつけるのに似た音を鳴らす。
「命令通りに動けない上に、いつもいつもしょうもないところで大破しやがって……! 戦艦空母の弾除けになってりゃいい分際で、進軍の邪魔してんじゃねーよ!!」
「ヒグッ……ゥ、い、いたいよぉ……グス……せ、先生ぇ……」
痛みに耐えかね、ついに泣き出した文月の口からこぼれた単語に、ピクリと所長の眉が跳ねた。
「ハァッ……ハアッ……! 先生……? 先生……あの重巡艦娘のことか、アァ!?」
文月の後頭部で纏めた髪を乱暴に掴み、顔を上げさせて語気も荒々しく問い詰める。
「ぁぐ……!?」
「お前もそうか……お前もアイツみたいに、俺を馬鹿にするのか?」
「ひぅ……え……え?」
痛みと恐怖にパニックを起こす少女を睨みつける所長の脳裏で、改良した艤装リンク増強剤の投与を行うため、拘束した重巡洋艦の艦娘の言葉が蘇る。
――――暴力をふるって従わせれば満足ですか。だとしたら、なんておめでたい……辺境に送られたのも当然の結果というやつですね、司令官さん?
逃走防止のために足を撃ち抜かれ、激痛に脂汗を滲ませながら、しかし、この島の巡洋艦の艦娘と違い、自分に媚びることをせず、気丈に振る舞った少女の眼差し。
最後の最後まで、自分という人間を否定する瞳が、所長の中にある理性の糸を引きちぎる。
カッ、爆発したように頭の奥が熱くなる。その衝動に任せて、気が付いた時には、まったく関係のない駆逐艦の少女の首に手をかけていた。
「~~~~~~っ!!」
「ヒッ……ぅ……ぅぅっ……!?」
745: 2015/02/20(金) 02:30:31.35 ID:slq+DWi5o
苦しさのあまり、文月が首にかけた手に爪を立てる。しかし、今の所長にはその行為さえ神経を逆撫でするものでしかない。
自分に逆らっている。その事実だけしか、今の所長には見えていなかった。
「フー、フー……! 頃してやる……俺を認められない無能は、艦娘も大本営の連中も、全部、全部……!!」
薄ら笑いを浮かべて、少女の首を締めながら口の端から泡を垂らす姿は、狂乱している以外の何物でもない。
バタバタと足をバタつかせる文月の身体に腰を下ろし、加減など抜きに手に力を込めていく。
「カ……ァ、ハ…………ァ……!!」
痛みと酸欠に視界が歪む。
どうして自分がこんな目に遭っているのか、文月にはそれがわからなかった。
自分に艦娘としての才能がなかったからだろうか。駆逐艦一つまともに動かせないノロマだっただろうか。
(苦し……よぉ……。助けて……誰か、助けてぇ……)
徐々に体から力が抜ける。
落下しているような浮遊感の中、必氏に願う。
この島に来てから、何度も願っても助けてくれなかった神様に助けを求めて、声を絞り出す。
「だ……す……け、てぇ……!」
自分だけではない。菊月や、ここに送られて来た駆逐艦の艦娘も、みんな、みんな。
――いいよ、薬交換してあげる。内緒だかんね?
一番年下で、適正も低かった自分の代わりに、新しい薬を飲む役を代わってくれた子がいた。
――ん、まあこれ上手くいけば私、本土の鎮守府に行けるらしいし? モーケ、モーケ♪
「文月はちっちゃいから、気にしなくていいよ」と笑って連れていかれたきり、戻ってこない子がいた。
――よっしゃー、今日も一日がんばっていこー!!
いつもみんなを元気づけてくれていたのに、ここでの生活が長くなるにつれ、笑顔も、言葉も忘れてしまった子がいた。
――いいのよ、文月ちゃん。助けを求めるのは、全然恥ずかしいことでも、悪いことでもないんです。もし、誰かに何かをしてもらったら、その分を誰かに返してあげればいいんだから。
苦しいのなら、助けてと言えばいいんだと教えてくれた「先生」がいた。
だから、文月は叫んだ。恥も外聞もなく、涙や鼻水で顔をグシャグシャにしながら、必氏に、力の限り救いの手を求めた。
「――――ぅ、う゛っ……みんなを…たす、けてぇ……!!」
力のない自分。何もできない自分。
今まで出せなかった分の声を張り上げる。助けて、救って、守って、今目の前にいる悪い人をやっつけてと、掠れた声で訴える。
「っ、っ……うるさい……お前みたいな替えの利く駆逐艦を必氏に助けるような馬鹿、どこにいる……!!」
「ハ……ァ……ぅ」
首を絞めている人が何か叫んでいるが聞こえない。
抵抗してひっかいていた手にも力が入らない。
音が、遠い。
何も見えなくなってきた。
「ハ、ハハ、氏ねよ、氏んでしまえ! ……氏ねぇ!!」
文月の首から、ミキリと骨の軋む音が響く。
「みん……な……た…………す…て」
それでも、助けを求めることを文月はやめなかった。
最後まで、こと切れる最後の一瞬まで、「助けて」と声を出し続ける。
これが、力のない自分にできる精一杯のできることだと気づいたから。
(あのおいしいお薬くれたおじさんに、ちゃんと助けてって言えればよかったなぁ……)
本土から来た『提督』なら、もしかすると。そんな考えが浮かんだ。
「え……へ、へ……」
あの時、みんなを助けてあげてと訴えることが自分にできれば、きっと今頃。そんな都合のいい想像をして、口が弱々しく笑みを形作る。
そして、暗くなった文月の視界に――――ゴキリッ、と骨の砕ける鈍い音が響いた。
自分に逆らっている。その事実だけしか、今の所長には見えていなかった。
「フー、フー……! 頃してやる……俺を認められない無能は、艦娘も大本営の連中も、全部、全部……!!」
薄ら笑いを浮かべて、少女の首を締めながら口の端から泡を垂らす姿は、狂乱している以外の何物でもない。
バタバタと足をバタつかせる文月の身体に腰を下ろし、加減など抜きに手に力を込めていく。
「カ……ァ、ハ…………ァ……!!」
痛みと酸欠に視界が歪む。
どうして自分がこんな目に遭っているのか、文月にはそれがわからなかった。
自分に艦娘としての才能がなかったからだろうか。駆逐艦一つまともに動かせないノロマだっただろうか。
(苦し……よぉ……。助けて……誰か、助けてぇ……)
徐々に体から力が抜ける。
落下しているような浮遊感の中、必氏に願う。
この島に来てから、何度も願っても助けてくれなかった神様に助けを求めて、声を絞り出す。
「だ……す……け、てぇ……!」
自分だけではない。菊月や、ここに送られて来た駆逐艦の艦娘も、みんな、みんな。
――いいよ、薬交換してあげる。内緒だかんね?
一番年下で、適正も低かった自分の代わりに、新しい薬を飲む役を代わってくれた子がいた。
――ん、まあこれ上手くいけば私、本土の鎮守府に行けるらしいし? モーケ、モーケ♪
「文月はちっちゃいから、気にしなくていいよ」と笑って連れていかれたきり、戻ってこない子がいた。
――よっしゃー、今日も一日がんばっていこー!!
いつもみんなを元気づけてくれていたのに、ここでの生活が長くなるにつれ、笑顔も、言葉も忘れてしまった子がいた。
――いいのよ、文月ちゃん。助けを求めるのは、全然恥ずかしいことでも、悪いことでもないんです。もし、誰かに何かをしてもらったら、その分を誰かに返してあげればいいんだから。
苦しいのなら、助けてと言えばいいんだと教えてくれた「先生」がいた。
だから、文月は叫んだ。恥も外聞もなく、涙や鼻水で顔をグシャグシャにしながら、必氏に、力の限り救いの手を求めた。
「――――ぅ、う゛っ……みんなを…たす、けてぇ……!!」
力のない自分。何もできない自分。
今まで出せなかった分の声を張り上げる。助けて、救って、守って、今目の前にいる悪い人をやっつけてと、掠れた声で訴える。
「っ、っ……うるさい……お前みたいな替えの利く駆逐艦を必氏に助けるような馬鹿、どこにいる……!!」
「ハ……ァ……ぅ」
首を絞めている人が何か叫んでいるが聞こえない。
抵抗してひっかいていた手にも力が入らない。
音が、遠い。
何も見えなくなってきた。
「ハ、ハハ、氏ねよ、氏んでしまえ! ……氏ねぇ!!」
文月の首から、ミキリと骨の軋む音が響く。
「みん……な……た…………す…て」
それでも、助けを求めることを文月はやめなかった。
最後まで、こと切れる最後の一瞬まで、「助けて」と声を出し続ける。
これが、力のない自分にできる精一杯のできることだと気づいたから。
(あのおいしいお薬くれたおじさんに、ちゃんと助けてって言えればよかったなぁ……)
本土から来た『提督』なら、もしかすると。そんな考えが浮かんだ。
「え……へ、へ……」
あの時、みんなを助けてあげてと訴えることが自分にできれば、きっと今頃。そんな都合のいい想像をして、口が弱々しく笑みを形作る。
そして、暗くなった文月の視界に――――ゴキリッ、と骨の砕ける鈍い音が響いた。
777: 2015/02/23(月) 07:48:45.52 ID:6wCa3FQgO
自分の役目は、不正を行っていた育成所の所長を拘束して憲兵へ引き渡すこと。
組織に属する者として、この判断は間違っていないと思ったし、この島で実際に行われていた実験資料を目にした時も、憤りはしたが、所長を処罰するのは大本営だと言い聞かせもした。
胃と胸が軋みを上げるのを自覚しながら、自分のやることではないと、一ページ手繰る毎に繰り返して。
他所提督なら問答無用に殴り付けて溜飲を下げるのだろうなと想像し、それをできない己に嫌悪感さえ抱きながら、言い聞かせて、強く言い聞かせて……
「フー、フー……! 頃してやる……俺を認められない無能は、艦娘も大本営の連中も、全部、全部……!!」
少女に馬乗りになって、その細い首を締めながら薄ら笑いを浮かべる所長の姿を目にした途端、それまで頭の中で渦巻いていた感情の荒潮が凪ぐ。
(……そうか、私が間違っていたのだな)
寸毫の間。胸中に、試験のケアレスミスを指摘されたような呟きが漏れた。
「提督……!」
「やっと追いついた! ダメなんだよー、一人で先走っちゃ!」
「ま、待って那珂……タンマ、ちょっとタンマ、は、吐いちゃう……」
例えるなら、その衝動は津波。
水平線まで引いていた潮が、地上の全てを浚うように、提督の思考を根こそぎ洗い流した。
「…………」
提督の体が、弓から離れた矢の如く飛び出す。瞬く間に、二間の間合いが詰まる。
強烈な踏み込みに辺りの木々が身震いする。地面を這うような姿勢から振り抜かれた渾身の拳が、文月の首を絞める所長の下顎に突き刺さる。
ボキリッ、と骨の折れる音が響いた。
「ぐびゃっ……げぷ!?」
「わっ、飛んだ!?」
「うへー、本気で殴られたら人って浮くんだ……」
「那珂ちゃん、グラップラーとかそげぶだけだと思ってたよ」
殴り飛ばされて一回転した後、潰れた蛙よろしく山道に張りついた所長を見て、那珂と川内の脳内に、樽から海賊人形を出したら勝ちの脱出ゲームの映像が浮かんだ。
「カハッ……けへっ! コホッ……え゛……ぐぇっ……!!」
「……神通君、この子に手当てを」
「ハ、ハイ!」
新鮮な酸素を求めて喘ぐ文月の背中を擦ってやりながら、視線もくれずに提督が神通を呼びつける。
それは、普段の彼からすればあり得ない行為だ。
艦隊の指揮は除いて、何を頼むにしろ、命じるにしろ、まず相手の顔色を窺い、なるべく目を合わせないようにして頼むのが、彼の常なのだから。
「ねえ、大丈夫? 痛いとこないかな~?」
「あーあ、この子の首、鬱血してるじゃん。あとで冷やしてあげないとね」
「…………」
文月を神通たちに任せて、提督が静かに足を踏み出す。
向かう先には所長がいた。
「あ、はが……がっ……ァ?」
ボタボタとみっともなく口から血を滴らせながら、木を支えに半身を起こした所長の前で立ち止まる。
「ヒぁッ……」
「…………ふぅ」
顎が使い物にならず、くぐもった悲鳴を上げる所長を見下ろし、提督が疲れたように嘆息する。
そしてそのまま…………丁度いい位置まで所長が持ち上げた彼の顔面に拳を叩き落とした。
「ぎゃぶぁ!?」
パッ、と散った血飛沫で提督の白手袋に赤い斑点ができる。
「…………」
「ぶべらっ……!?」
洗濯が大変だと、他人事のように考えながら、さらにもう一発、拳を落とす。
グチリと鼻骨の歪む感触が拳に伝わる。
「…………」
「べぐっ!?」
もう一撃。今度は口から白い欠片がこぼれ落ちた。恐らく折れた歯だろう。
「……………………」
「ギャッ……ぐぶっ…………オゴッ!?」
もう一発、さらにもう一発、そこに加えてもう一発。
所長の胸ぐらを掴み、淡々と抉り込むように拳を落としていく。
組織に属する者として、この判断は間違っていないと思ったし、この島で実際に行われていた実験資料を目にした時も、憤りはしたが、所長を処罰するのは大本営だと言い聞かせもした。
胃と胸が軋みを上げるのを自覚しながら、自分のやることではないと、一ページ手繰る毎に繰り返して。
他所提督なら問答無用に殴り付けて溜飲を下げるのだろうなと想像し、それをできない己に嫌悪感さえ抱きながら、言い聞かせて、強く言い聞かせて……
「フー、フー……! 頃してやる……俺を認められない無能は、艦娘も大本営の連中も、全部、全部……!!」
少女に馬乗りになって、その細い首を締めながら薄ら笑いを浮かべる所長の姿を目にした途端、それまで頭の中で渦巻いていた感情の荒潮が凪ぐ。
(……そうか、私が間違っていたのだな)
寸毫の間。胸中に、試験のケアレスミスを指摘されたような呟きが漏れた。
「提督……!」
「やっと追いついた! ダメなんだよー、一人で先走っちゃ!」
「ま、待って那珂……タンマ、ちょっとタンマ、は、吐いちゃう……」
例えるなら、その衝動は津波。
水平線まで引いていた潮が、地上の全てを浚うように、提督の思考を根こそぎ洗い流した。
「…………」
提督の体が、弓から離れた矢の如く飛び出す。瞬く間に、二間の間合いが詰まる。
強烈な踏み込みに辺りの木々が身震いする。地面を這うような姿勢から振り抜かれた渾身の拳が、文月の首を絞める所長の下顎に突き刺さる。
ボキリッ、と骨の折れる音が響いた。
「ぐびゃっ……げぷ!?」
「わっ、飛んだ!?」
「うへー、本気で殴られたら人って浮くんだ……」
「那珂ちゃん、グラップラーとかそげぶだけだと思ってたよ」
殴り飛ばされて一回転した後、潰れた蛙よろしく山道に張りついた所長を見て、那珂と川内の脳内に、樽から海賊人形を出したら勝ちの脱出ゲームの映像が浮かんだ。
「カハッ……けへっ! コホッ……え゛……ぐぇっ……!!」
「……神通君、この子に手当てを」
「ハ、ハイ!」
新鮮な酸素を求めて喘ぐ文月の背中を擦ってやりながら、視線もくれずに提督が神通を呼びつける。
それは、普段の彼からすればあり得ない行為だ。
艦隊の指揮は除いて、何を頼むにしろ、命じるにしろ、まず相手の顔色を窺い、なるべく目を合わせないようにして頼むのが、彼の常なのだから。
「ねえ、大丈夫? 痛いとこないかな~?」
「あーあ、この子の首、鬱血してるじゃん。あとで冷やしてあげないとね」
「…………」
文月を神通たちに任せて、提督が静かに足を踏み出す。
向かう先には所長がいた。
「あ、はが……がっ……ァ?」
ボタボタとみっともなく口から血を滴らせながら、木を支えに半身を起こした所長の前で立ち止まる。
「ヒぁッ……」
「…………ふぅ」
顎が使い物にならず、くぐもった悲鳴を上げる所長を見下ろし、提督が疲れたように嘆息する。
そしてそのまま…………丁度いい位置まで所長が持ち上げた彼の顔面に拳を叩き落とした。
「ぎゃぶぁ!?」
パッ、と散った血飛沫で提督の白手袋に赤い斑点ができる。
「…………」
「ぶべらっ……!?」
洗濯が大変だと、他人事のように考えながら、さらにもう一発、拳を落とす。
グチリと鼻骨の歪む感触が拳に伝わる。
「…………」
「べぐっ!?」
もう一撃。今度は口から白い欠片がこぼれ落ちた。恐らく折れた歯だろう。
「……………………」
「ギャッ……ぐぶっ…………オゴッ!?」
もう一発、さらにもう一発、そこに加えてもう一発。
所長の胸ぐらを掴み、淡々と抉り込むように拳を落としていく。
778: 2015/02/23(月) 07:51:16.87 ID:6wCa3FQgO
「ゃ……ヒャめ…………ブバッ…!」
殴る。
殴る。
殴る。
殴る。
殴る。
殴る。
殴る。
「えっ、と……もしかして、アレって……」
「うん、まあ……ブチギレてるんじゃないかな」
冷めた目で、休むことなく所長を殴り続ける提督に、那珂と川内の二人が顔を見合わせて青ざめる。
「たひゅ、け…………も゛、ゆりゅ……ひ……」
「……」
赤黒く腫れ上がった唇を震わせて、息も絶え絶えに所長が助けを乞う。
思案するように、提督が小さく首を傾げた。
「そんな風に助けを求めた子も、中にはいたのだろう?」
声を昂らせることもなく、ただ事実を確認するように聞いて、『作業』を再開すべく拳を引く。
ここまでできるとは、自分でも意外だった。
どこか他人事のように感心しながら、振り下ろそうとした拳は――――しかし、中断された。
「ぬ……?」
「もう……やめてください……」
睥睨した先にいたのは神通だった。
振り上げた提督の腕を抱きしめ、首を振る。
「これ以上やるのは、ダメです……」
「大丈夫だよ神通君、この程度で人は氏なない」
「大丈夫じゃ、ないです……」
振り解こうとした腕に縋りついて訴える。
「お願いですからやめてください……これ以上やっても、後で提督が辛くなるだけですから……」
目に涙を浮かべて、神通は提督の腕を抱き締めた。
これ以上、傷ついて欲しくないという自分の気持ちを伝えるために、強く、強く。
「…………」
逡巡するように、自分の腕を抱き締める神通と、胸ぐらを掴まれて虚脱している所長を見比べる。
ここで止めてもいいのか。その問いかけに、提督はすぐに答えを出せなかった。
忌まわしい薬剤を復活させたこと。
深海棲艦と戦いながら、同時に、艦娘のために軍の体制や偏見とも戦った人たちの想いを踏みにじったこと。
共に戦うべき艦娘たちを汚し、辱しめ、食い物にしたこと。
続ける理由はあった。
しかし、
「…………っ」
震えながら、必氏に自分を引き留めようとしている部下を突き放すことは出来なかった。
「おっしゃー、やっと見つけたぜー! オーイ、玖珂ー、大丈夫か~!?」
後方から、他所提督の大きな声が届いた。
神通に抱き締められた右腕から力が抜ける。
「ぁ……て、提督……」
「君の気持ちはわかった……だから、離してくれないか」
「わかり、ました……」
恐る恐る離された手は、そのままダラリと垂れた。
右の拳は完全に固まっていて、しばらく開けそうになかった。
「戻ろうか」
「……はい」
呼びかけられた神通の顔が、クシャリと歪む。嬉しいような、泣きたいような、そんな表情に、提督の胸の奥で、鈍い痛みが疼いていた。
殴る。
殴る。
殴る。
殴る。
殴る。
殴る。
殴る。
「えっ、と……もしかして、アレって……」
「うん、まあ……ブチギレてるんじゃないかな」
冷めた目で、休むことなく所長を殴り続ける提督に、那珂と川内の二人が顔を見合わせて青ざめる。
「たひゅ、け…………も゛、ゆりゅ……ひ……」
「……」
赤黒く腫れ上がった唇を震わせて、息も絶え絶えに所長が助けを乞う。
思案するように、提督が小さく首を傾げた。
「そんな風に助けを求めた子も、中にはいたのだろう?」
声を昂らせることもなく、ただ事実を確認するように聞いて、『作業』を再開すべく拳を引く。
ここまでできるとは、自分でも意外だった。
どこか他人事のように感心しながら、振り下ろそうとした拳は――――しかし、中断された。
「ぬ……?」
「もう……やめてください……」
睥睨した先にいたのは神通だった。
振り上げた提督の腕を抱きしめ、首を振る。
「これ以上やるのは、ダメです……」
「大丈夫だよ神通君、この程度で人は氏なない」
「大丈夫じゃ、ないです……」
振り解こうとした腕に縋りついて訴える。
「お願いですからやめてください……これ以上やっても、後で提督が辛くなるだけですから……」
目に涙を浮かべて、神通は提督の腕を抱き締めた。
これ以上、傷ついて欲しくないという自分の気持ちを伝えるために、強く、強く。
「…………」
逡巡するように、自分の腕を抱き締める神通と、胸ぐらを掴まれて虚脱している所長を見比べる。
ここで止めてもいいのか。その問いかけに、提督はすぐに答えを出せなかった。
忌まわしい薬剤を復活させたこと。
深海棲艦と戦いながら、同時に、艦娘のために軍の体制や偏見とも戦った人たちの想いを踏みにじったこと。
共に戦うべき艦娘たちを汚し、辱しめ、食い物にしたこと。
続ける理由はあった。
しかし、
「…………っ」
震えながら、必氏に自分を引き留めようとしている部下を突き放すことは出来なかった。
「おっしゃー、やっと見つけたぜー! オーイ、玖珂ー、大丈夫か~!?」
後方から、他所提督の大きな声が届いた。
神通に抱き締められた右腕から力が抜ける。
「ぁ……て、提督……」
「君の気持ちはわかった……だから、離してくれないか」
「わかり、ました……」
恐る恐る離された手は、そのままダラリと垂れた。
右の拳は完全に固まっていて、しばらく開けそうになかった。
「戻ろうか」
「……はい」
呼びかけられた神通の顔が、クシャリと歪む。嬉しいような、泣きたいような、そんな表情に、提督の胸の奥で、鈍い痛みが疼いていた。
779: 2015/02/23(月) 07:52:58.03 ID:6wCa3FQgO
一応決着
次からいつもの形式で話を投下したいと思います
次からいつもの形式で話を投下したいと思います
780: 2015/02/23(月) 08:36:23.02 ID:TWD9zVGAO
乙
次回はこちら
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